JP2016094854A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】点火コイルの二次側に流れる二次電流を用いた内燃機関の気筒判別において、燃焼サイクルごとに異なる二次電流のバラツキの影響を抑制し、点火二次電流による圧縮気筒の判定精度を向上することを備えた内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関への燃料供給を停止した燃料カット状態において、スタータモータにより内燃機関の外部からクランクシャフトに回転力を加えているクランキング状態にて、全気筒に対して複数回点火し、そのときの各気筒の点火コイルの二次側に流れる二次電流から算出した放電時間の変化から圧縮気筒の判定を行う。
【選択図】図13

Description

本発明は、内燃機関(エンジン)の制御装置に係り、特に、エンジン始動時の圧縮気筒を検出して燃料噴射によりエンジン始動を行う内燃機関の制御装置に関する。
火花点火式の内燃機関にあっては、点火コイル等からなる点火装置によって点火プラグに火花放電が発せられ、燃焼室に導入された燃料を含んだ混合気が火花放電により燃焼されて動力を取り出すものである。そして、点火コイルに与える電気的エネルギの供給開始時期と、この電気的エネルギを点火プラグに放出する放出開始時期の制御を行うために点火制御装置が使用されている。
この点火制御装置は、通常ではマイクロコンピュータと入出力回路よりなる制御装置と、この制御装置からの制御信号を受けて点火コイルの一次コイルに流れる一次電流を導通、遮断するイグナイタより構成されている。一般的にイグナイタと点火コイルは一体的に形成されており、内燃機関のシリンダヘッドに固定されている。
一方で、自動車用の4サイクル内燃機関では、複数の気筒が吸気、圧縮、膨張、排気の4行程のサイクルで駆動されており、気筒ごとに圧縮された混合気を点火プラグで火花点火させることにより燃焼させて出力を得ている。その際、混合気の燃焼圧力がピストンを押し下げる力として効率的に働くよう、最適なクランク位置で混合気を火花点火させることが重要であり、各気筒の行程を判別するための気筒判別が行われている。
従来の気筒判別装置としては、カム軸に、その回転を検出し、1回転毎に1つのパルスを発生する気筒判別センサを設け、その気筒判別センサの出力に基づき特定気筒の圧縮上死点を判別する方法(特開平02−271055号公報記載)があり、この方法における気筒判別センサとしては、磁気、光、ホール、MREなどのセンサが用いられている。しかしながら、前述の方法では、磁気、光、ホール、MREなどの気筒判別センサを用いることによって、気筒判別に掛かるコストが高くなるという課題があった。そこで、低コストでかつ高精度で気筒判別を行うため、点火時期信号の出力時における特定の気筒の点火二次電流を検出する点火二次電流検出手段を設け、該検出された点火二次電流を気筒間で相互に比較し気筒判別を行う方法(特開平9−280152号公報記載)が提案されている。
特開平02−271055号公報 特開平9−280152号公報
しかし、点火二次電流の絶対値は気筒内の温度や流動の影響を受けやすく、サイクルごとに変動する可能性があるため、筒内圧が高い圧縮状態においても筒内圧が低い場合と同等の二次電流を検出する可能性がある。そのため、内燃機関の1サイクル間の所定のタイミングで二次電流を相互に比較した場合、誤判定する可能性がある。
本発明の目的は、燃焼サイクルごとに異なる放電時間のバラツキの影響を抑制し、点火二次電流による圧縮気筒の判定精度を向上することを備えた内燃機関の制御装置を提供することにある。
本発明の特徴は、内燃機関への燃料供給を停止した燃料カット状態において、スタータモータにより内燃機関の外部からクランクシャフトに回転力を加えているクランキング状態にて、全気筒に対して複数回点火し、そのときの各気筒の点火コイルの二次側に流れる二次電流から算出した放電時間の変化から圧縮気筒の判定を行うようにした、ところにある。
本発明によれば、燃焼サイクルごとに異なる放電時間のバラツキの影響を抑制し、放電時間による圧縮気筒の判定精度が向上できるという効果を奏することができる。
本発明が適用される内燃機関制御システムの構成図である。 コントロールユニットの入出力の関係を示す構成図である。 本発明の実施形態になる内燃機関の制御装置の構成図である。 図3に示す点火コイルとイグナイタの構成図である。 本発明の実施形態による点火制御装置のタイムチャート図である。 放電時間と筒内圧の関係を説明するための説明図である。 最大二次電圧絶対値と筒内圧の関係を説明するための説明図である。 本発明の第1の実施形態になる内燃機関の制御装置の制御フローチャート図である。 図8に示すステップS11の詳細フローチャート図である。 図9に示すステップS20の詳細フローチャート図である。 図9に示すステップS22の詳細フローチャート図である。 図9に示すステップS25の詳細フローチャート図である。 第1の実施形態による内燃機関の制御装置のタイムチャート図である。 図9に示すステップS25の第2の実施形態になる詳細フローチャート図である。 第2の実施形態による内燃機関の制御装置のタイムチャート図である。 図9に示すステップS25の第3の実施形態になる詳細フローチャート図である。 第3の実施形態による内燃機関の制御装置のタイムチャート図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
最初に、図1及び図2を用いて本発明が適用される内燃機関の制御システムの構成について説明する。ここで、図1に示す実施例は所謂MPI方式(マルチポイント式燃料噴射)の直列3気筒内燃機関を示している。
内燃機関27に吸入される空気は、エアクリーナ10を通過し、ホットワイヤ式エアフローセンサ11に導かれる。このホットワイヤ式エアフローセンサ11には白金を使用した熱線が使用されている。このホットワイヤ式エアフローセンサ11から吸入空気量に相当する信号が出力されるとともに、サーミスタを用いた吸気温センサ(図示せず)で計測される吸気温度信号が出力される。次に、吸入空気はエアクリーナ10に接続されたダクト12、空気流量を制御する絞り弁13を通り、コレクタ14に進入する。また、絞り弁13はECU15からの制御信号で駆動される絞り弁駆動モータ16により制御される。
コレクタ14に入った空気は内燃機関27と直結する各吸気管17に分配され、燃焼室18内に吸入される。バルブ駆動系にはバルブタイミング可変機構19が設けられ、目標位相角度に向けフィードバック制御する。また、シリンダブロックに取り付けられたクランク角センサ20からは、所定のクランク角毎にパルスが出力され、この出力はコントロールユニット15に入力されている。燃料は燃料タンク21から燃料ポンプ22で吸引、加圧され、プレッシャレギュレータ23により一定圧力に調圧され、吸気管に設けられたインジェクタ24から吸気管17内に噴射される。
絞り弁13には絞り弁開度を検出するスロットルセンサ25が取り付けられており、このセンサ信号はコントロールユニット15に入力され、絞り弁13の開度のフィードバック制御や、全閉位置の検出及び加速の検出等を行う。尚、フィードバックによる目標開度は、アクセル開度センサ26で求まるドライバーのアクセル踏み込み量とアイドル回転数制御、すなわちISC制御分とから求まるものである。
内燃機関27には冷却水温を検出するための水温センサ28が取り付けられており、このセンサ信号はコントロールユニット15に入力され、内燃機関27の暖機状態を検出し、燃料噴射量の増量や点火時期の補正及びラジエータファン29のON/OFF制御やアイドル時の目標回転数の設定を行う。また、アイドル時の目標回転数や、負荷補正量の算出するために、エアコンクラッチの状態をモニターするエアコンスイッチ30、駆動系の状態をモニターするトランスミッションに内蔵されたニュートラルスイッチ31等が取り付けられている。
排気管32の触媒33の上流には空燃比センサ34が装着されており、排気ガスの酸素濃度に応じた信号を出力するものである。この信号はコントロールユニット15に入力され、運転状況に応じて求められる目標空燃比になるように、燃料噴射パルス幅を調整する。
点火コイル35にはイグナイタ36が一体的に設けられており、コントロールユニット15からの点火制御信号が送られている。コントロールユニット15にて演算された点火時期に基づいた点火制御信号が入力され、点火プラグ37の火花放電の発生が実行される。また、コントロールユニット15や他の電気的機器にはバッテリ38から直流電圧が印加されている。
図2はコントロールユニット15に入力される信号と出力される信号を示している。コントロールユニット15には電源IC40からバッテリ電圧を降圧した電圧が印加されている。そして、コントロールユニット15のCPUの入力回路には、イグニッションスイッチ41、エアフローセンサ11、吸気温センサ42、水温センサ28、油温センサ43、クランクセンサ20、アクセル開度センサ26、スロットルセンサ25、空燃比センサ34、ニュートラルスイッチ30、エアコンスイッチ30、負荷補機スイッチ45、各気筒ごとに設けられた二次電流検出回路46等の信号が入力されている。また、コントロールユニット15のCPUの出力回路からは、インジェクタ24、イグナイタ36、重ね放電ユニット39、絞り弁駆動モータ16、バルブタイミング可変機構19、フューエルポンプ22等に信号が出力されている。
次に点火制御装置の構成について、図3、図4に基づき説明する。図3においてコントロールユニット15には点火制御手段47が設けられており、点火制御手段47から各イグナイタ36に点火順序にしたがって点火制御信号が供給される。点火制御手段47はソフトウエアによって実行される点火制御アプリケーションであり、これはCPUでの演算によって点火機能が実行されるものである。点火制御手段47からの点火制御信号は信号線48を介して各イグナイタ36に供給される。図4に示すように点火制御信号はイグナイタ36のスイッチング素子36Aのベースに与えられ、これによって点火コイル35の一次コイルに流れる電流が制御される。これらの構成はすでに周知であるのでこれ以上の説明は省略する。
図3に戻って、点火コイル35の二次コイルの二次電流は信号線49を介して二次電流検出回路46に供給され、この二次電流検出回路46の出力は点火手段47に入力される構成となっている。これによって、点火コイル35の二次コイルに流れる二次電流を検出でき、二次電流の大きさとその継続時間が判断できるようになる。
この点火制御手段47による点火の挙動を図5に示している。点火制御信号がイグナイタ36に与えられると、時刻t1で点火コイル35の一次コイルに一次電流が流れ、その後所定の通電角の時間だけ電流が流れた後に時刻t2で一次電流が遮断される。したがって、点火コイル35の二次コイルにはこれと同期して放電エネルギが蓄積され、時刻t2で高電圧が発生して点火プラグ37で火花放電が開始される。また、二次コイルには二次電流が放電時間Δtaだけ流れることになる。
次に図6、図7を用いて点火コイル35の二次コイルに流れる二次電流の特性を説明する。
図6は二次コイルに流れる二次電流の放電時間Δtaとその時の筒内圧の関係を示しており、筒内圧が増加するにしたがって放電時間が減少することを示している。
図7は点火時に点火コイル35の二次コイルに印加される二次電圧とその時の筒内圧の関係を示しており、筒内圧が増加するにしたがって二次電圧の絶対値が増加することを示している。
したがって、図6、図7に示した筒内圧と放電時間、または筒内圧と二次電圧の関係を用いて、放電時間または二次電圧から筒内圧を推定することが可能となる。よって、放電時間または二次電圧から圧縮行程にある気筒を判定することができる。
次に、本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図8を用いて内燃機関始動時の気筒判別制御について説明する。
図8の内容は、コントロールユニット15にプログラミングされ、あらかじめ定められた周期で繰り返し実行される。
ステップS10では、内燃機関への燃料供給を停止した燃料カット状態において、スタータモータにより内燃機関の外部からクランクシャフトに回転力を加えているクランキング状態を判定する。クランキング状態であるならばステップS11へ進み、クランキング状態で無いならば、エンドへすすみ処理を終了する。
ステップS11では、二次電流を用いてクランキング状態で圧縮行程にある気筒を判別する始動時気筒判別制御を実施する。
ステップS12では、ステップS11で判定した始動時気筒判別の結果に基づいて内燃機関が自立回転するために圧縮気筒へ燃料を噴射する。
次に図9を用いて図8のステップS11の始動時気筒判別制御について詳細を説明する。
図9のステップS20、S21、S22は内燃機関が保有する全気筒に対して実施し、3気筒(#1、#2、#3)の内燃機関であれば3気筒に対して実施する。以下詳細を説明する。
ステップS20は始動時の点火制御である。クランキング状態において予め決められた点火時期にしたがい全気筒に対して同時に点火を行う。ここで点火時期は全気筒が同時に点火するよう設定することが望ましく、3気筒であれば3気筒に対して同時に点火することが望ましい。
ステップS21は二次電流信号の読み込み行程であり、各気筒に設けられた点火コイルの二次側に流れる二次電流を気筒ごとに読み込む。ここで二次電流の読み込みは全気筒の点火コイルの二次電流を同時に読み込むことが望ましく、3気筒であれば3気筒の点火コイルの二次電流を同時に読み込むことが望ましい。
ステップS22は放電時間算出処理である。各気筒ごとに検出した二次電流を用いて気筒ごとの放電時間を算出する。
ステップS23は始動時点火回数カウンタCNTIGNのインクリメント処理であり、始動時点火制御を実施するごとに1カウントアップする。点火カウンタCNTIGNが[2]であれば、始動時に全気筒に対して2回点火したことを意味する。
ステップS24は始動時点火回数カウンタCNTIGNの値が予め決めた所定値以上か否かを判定する。始動時点火回数カウンタCNTIGNが所定値未満の場合は、スタートに戻りS20、S21、S22を実行する。所定値を[2]とした場合、始動時点火制御を2回実施するまで、ステップS25へ進まないこととなる。
ステップS25は気筒判別演算である。S22で算出した放電時間に基づきクランキング時の圧縮気筒を判定する。
次に図9ステップS20の始動時点火制御について図10を用いて詳細を説明する。
ステップ30は点火時期設定手段であり始動時点火回数カウンタCNTIGNごとに予め決めた点火時期をIGNTIMへ設定する。点火時期は、始動時点火回数カウンタCNTIGNが増加するごとにリタード側に設定することが望ましい。
ステップ31ではステップ30で設定した点火時期にしたがい点火コイルに設けられたイグナイタに対して点火制御信号を出力する。
次に図9ステップS22放電時間算出について図11を用いて詳細を説明する。
ステップS41では、図5に示す点火コイル35の二次電流の立ち上がり時点TISを検出する。この場合は二次電流の立ち上がり時点TISに同期して図示しないタイマを起動してカウントアップするようにしている。
次に、ステップS42に進み点火コイル35の二次電流の立ち下がり時点TIEを検出する。この場合は二次電流の立ち下がり時点に同期してタイマのカウントアップを停止するようにしている。したがって、ステップS43で二次電流の立ち上がり時点TISのカウント値と二次電流の立ち下がり時点TIEのカウント値から、TING=TIS-TIEの演算を行って、二次電流が流れている期間Δta(=TING)を求める。このように、タイマによって計測された経過時間が点火コイル35の二次コイルに二次電流が流れている期間Δta(=TING)となる。
なお、TINGは始動時点火回数カウンタCNTIGNごとに記憶する。
なお、図11では二次電流の立上りから立下りの時間を計測しているが、二次電流の積算値をTINGとしても良い。
次に図12を用いて図9のステップS25気筒判別演算について詳細を説明する。
ステップS51からステップS53では、図10のステップS30で設定した複数の点火時期ごとに取得した各気筒の二次電流が流れている期間TINGの変化を演算する。より具体的には、1回目の点火による二次電流が流れている期間TINGから、2回目の点火による二次電流が流れている期間TINGの差分を放電時間変化量ΔTINGに格納する。
ステップS54は最大値検索行程である。ステップS51からステップS53で演算した気筒ごとの放電時間変化量ΔTINGの中で最大の値をΔTMAXに格納する。
ステップS55にてステップS54で演算したΔTMAXが1番気筒(#1)の放電時間変化量ΔTING#1と等しければステップS56へ進み、圧縮気筒は1番気筒(#1)と判定する。ΔTMAXが1番気筒(#1)の放電時間変化量ΔTING#1と等しくない場合は、ステップS57へ進む。
ステップS57では、ステップS52で演算したΔTMAXが2番気筒(#2)の放電時間変化量ΔTING#2と等しければステップS58へ進み、圧縮気筒は2番気筒(#2)と判定する。ΔTMAXが2番気筒(#2)の放電時間変化量ΔTING#2と等しくない場合は、ステップS59へ進み、圧縮気筒は3番気筒(#3)と判定する。
次に図13を用いて、本実施形態による内燃機関の制御装置の動作について説明する。
図13は、本発明の一実施形態による内燃機関の制御装置の動作例を示すタイムチャートである。
図13の例では、内燃機関への燃料供給を停止した燃料カット状態において、スタータモータにより内燃機関の外部からクランクシャフトに回転力を加えているクランキング状態における内燃機関の各行程と筒内圧と点火信号と二次電流の動作を示している。内燃機関の各行程は、吸気、圧縮、膨張、排気の順で繰り返し実施され、特に圧縮行程では該当する気筒の筒内圧が増加し、膨張行程にて筒内圧が減少する動作となる。
図13の時刻t2と時刻t4はクランキング状態において予め決められた点火時期であり、図10のステップS30で設定した点火時期を示している。
時刻t2での点火を達成するために時刻t1でイグナイタ36に入力する点火信号をONにする。このとき、全気筒同時にONすることが望ましい。
時刻t2にて図10のステップS30で設定した点火時期で点火信号をOFFにすることで、点火コイルの二次側の二次電流が立ち上がり、1回目の放電を開始する。
時刻t4では、図10のステップS30で設定した点火時期の2回目の点火時期を達成するために時刻t3でイグナイタ36に入力する点火信号をONにする。
時刻t4にて図10のステップS30で設定した点火時期で点火信号をOFFにすることで、点火コイルの二次側の二次電流が立ち上がり、2回目の放電を開始する。
放電時間変化量ΔTINGは1回目と2回目の点火における放電時間の差(TING[1] - TING[2])であり、各気筒の二次電流の放電が終わった時点で演算される。
図13の例では、放電時間の差が最も大きい、2番気筒を圧縮行程と判定することができる。
以上説明した通り、本発明によれば内燃機関への燃料供給を停止した燃料カット状態において、スタータモータにより内燃機関の外部からクランクシャフトに回転力を加えているクランキング状態において、全気筒に対して複数回点火し、そのときの各気筒の点火コイルの二次側に流れる二次電流から算出した放電時間の変化から圧縮気筒の判定を行うようにした。
これによれば、燃焼サイクルごとに異なる放電時間のバラツキの影響を抑制し、放電時間による圧縮気筒の判定精度が向上できるという効果を奏することができる。
また、本実施例には、カム軸に設けた気筒判別用のカムセンサを記載していないが、気筒判別用のセンサを設けているシステムでも良く、その場合は、気筒判別用のセンサが異常になった場合の代替手段として本実施例に記載の方法を用いても良い。
次に図14、図15を用いて第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、図9のステップS25の気筒判別方法が異なる点である。
次に図14を用いて、図9のステップS25について第1の実施形態と異なる箇所を説明する。
図14のステップS51からS53は第1の実施形態と同一である。
第1の実施形態と異なる箇所は、図14のステップS75およびステップS77で放電時間変化量ΔTINGと予め設定した所定値とを比較する点である。ここで、放電時間は、筒内の温度で変動し、温度が上がるにつれて放電時間は短くなることから、所定値は水温、油温、吸気温で補正することが望ましく、温度が上がるにつれて小さく設定することが望ましい。また、点火コイルの電源電圧が増加することで放電時間は長くなることから、所定値は電源電圧で補正することが望ましく、電源電圧が大きくなるにつれて所定値を大きく設定することが望ましい。
図15は、本発明の第2の実施形態による内燃機関の制御装置の動作例を示すタイムチャートである。
図13のタイムチャートと異なる点は、気筒ごとに予め設定した所定値を設け、所定値と放電時間の差を比較し、圧縮気筒を判定する点である。
図13では予め設定した所定値以上の放電時間の差がある2番気筒を圧縮行程と判定することができる。
以上説明した通り、本発明によれば内燃機関への燃料供給を停止した燃料カット状態において、スタータモータにより内燃機関の外部からクランクシャフトに回転力を加えているクランキング状態において、全気筒に対して複数回点火し、そのときの各気筒の点火コイルの二次側に流れる二次電流から算出した放電時間の変化から圧縮気筒の判定を行うようにした。
これによれば、燃焼サイクルごとに異なる放電時間のバラツキの影響を抑制し、放電時間による圧縮気筒の判定精度が向上できるという効果を奏することができる。
また、本実施例には、カム軸に設けた気筒判別用のカムセンサを記載していないが、気筒判別用のセンサを設けているシステムでも良く、その場合は、気筒判別用のセンサが異常になった場合の代替手段として本実施例に記載の方法を用いても良い。
次に図16、図17を用いて第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、図9のステップS25の気筒判別方法が異なる点である。
以下、図16を用いて詳細を説明する。
図16のステップS51からステップS53は第1の実施形態と同様であり、ステップS64以降の処理が異なっている。
ステップS64はクランク角センサの読み込み行程であり、クランク軸の回転によるパルス信号を取り込む行程である。
ステップS65は排気・圧縮気筒判定であり、予め設定されてクランク角センサの入力パターンから排気または圧縮気筒を判定する。一般的にクランク角センサの検出歯には、歯欠けが設けられており、歯欠け位置のパターン認識により排気または圧縮気筒の2気筒を識別する。
ステップS66で排気または吸気気筒が1気筒と3気筒であれば、ステップS67へ進む。ステップS67では、1気筒と3気筒の中から圧縮気筒を識別するため、放電時間の大きいほうをΔTMAXへ代入し、ステップS68にて放電時間の大きい気筒が1気筒であれば圧縮気筒は1気筒と判定する。そうでなければ圧縮気筒は3気筒と判定する。
ステップS71では、排気または吸気気筒が2気筒と3気筒についての場合を示しており、判定方法は前述の方法と同様である。
図17は、本発明の第3の実施形態による内燃機関の制御装置の動作例を示すタイムチャートである。
第1の実施例と異なる点は、予め決められたパターンで出力するクランク角センサの入力信号に基づいて排気・圧縮気筒判定を行う点である。
また、図17の各気筒の点火時期はクランク角センサの歯欠けからの距離で設定し、望ましくは排気・圧縮気筒判定がしやすい用に設定することが良い。本実施例では、歯欠けから5パルス目と13パルス目に全気筒に対して同時に点火する設定を示している。
時刻t1は歯欠けから5パルス目の点火時期であり、全気筒に対して同時に点火を実施する。また、時刻t2は歯欠けから13パルス目の点火時期であり、全気筒に対して同時に点火を実施する。歯欠けから5パルス目と13パルス目の点火を連続して実施する場合は、排気・圧縮気筒は必ず1気筒と2気筒になることが図17がわかる。
また、歯欠けから5パルス目の点火を連続して実施する場合は、排気・圧縮気筒は必ず2気筒と3気筒になることが図17がわかる。
よって、クランク角センサの出力パターンから排気・圧縮気筒を識別することが可能となる。
時刻t2にて、排気・圧縮気筒が1気筒と2気筒あるため、1気筒と2気筒の二次電流の変化を比較し、変化が大きい1気筒が圧縮気筒を判別できる。
以上説明した通り、本発明によれば内燃機関への燃料供給を停止した燃料カット状態において、スタータモータにより内燃機関の外部からクランクシャフトに回転力を加えているクランキング状態において、全気筒に対して複数回点火し、そのときのクランク角センサのパターンから圧縮・排気の気筒を識別し、識別した気筒同士の点火コイルの二次側に流れる二次電流から算出した放電時間の変化から圧縮気筒の判定を行うようにした。
これによれば、燃焼サイクルごとに異なる放電時間のバラツキの影響を抑制し、クランク角センサで排気・圧縮気筒を絞ることで、放電時間による圧縮気筒の判定精度が向上できるという効果を奏することができる。
また、本実施例には、カム軸に設けた気筒判別用のカムセンサを記載していないが、気筒判別用のセンサを設けているシステムでも良く、その場合は、気筒判別用のセンサが異常になった場合の代替手段として本実施例に記載の方法を用いても良い。
11…エアフローセンサ、13…絞り弁、15…コントロールユニット、20…クランク角センサ、24…インジェクタ、35…点火コイル、36…イグナイタ、37…点火プラグ、46…二次電流検出回路、47…点火制御手段。

Claims (8)

  1. 点火制御手段からの点火制御信号をイグナイタに与え、前記イグナイタによって点火コイルの一次コイルに流れる一次電流を遮断して前記点火コイルの二次コイルに高電圧を発生させ、この高電圧を点火プラグに印加して燃焼室内の混合気を着火させると共に、前記二次コイルに流れる二次電流を検出する二次電流検出手段を有する内燃機関の点火制御装置において、
    前記検出した二次電流から気筒判別を行うことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の点火制御装置において、前記気筒判別は、内燃機関の1サイクル間に複数回点火し、点火回数ごとに2次電流の立上りから立下りまでの放電時間を計測し、点火ごとの放電時間の減少量が圧縮気筒判定閾値より大きい場合、当該気筒を圧縮気筒と判別することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  3. 請求項2において、前記所定の圧縮気筒判定閾値は、前記点火コイルの電源電圧および内燃機関の水温および油温および吸気温のうち少なくとも一方に基づいて算出されることを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  4. 請求項2に記載の内燃機関の点火制御装置において、予めクランク角センサの信号パターンから排気・圧縮行程にある気筒を識別し、識別結果の気筒の組み合わせの中から点火ごとの放電時間の減少量が圧縮気筒判定閾値より大きい場合、当該気筒を圧縮気筒と判別することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  5. 請求項1に記載の内燃機関の点火制御装置において、前記気筒判別は、内燃機関の1サイクル間に複数回点火し、点火回数ごとに2次電流の立上りから立下りまでの放電時間を計測し、点火ごとの放電時間の減少量が最大の気筒を圧縮気筒と判別することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  6. 請求項2に記載の内燃機関の点火制御装置において、予めクランク角センサの信号パターンから排気・圧縮行程にある気筒を識別し、識別結果の気筒の組み合わせの中から点火ごとの放電時間の減少量が最大の気筒を圧縮気筒と判別することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  7. 請求項1に記載の内燃機関の点火制御装置において、前記気筒判別は、内燃機関の1サイクル間に複数回点火し、点火回数ごとに2次電流の立上りから立下りまでの二次電流積算値を計測し、点火ごとの二次電流積算値の減少量が圧縮気筒判定積算閾値より大きい場合、当該気筒を圧縮気筒と判別することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  8. 請求項7において、前記所定の圧縮気筒判定積算閾値は、前記点火コイルの電源電圧および内燃機関の水温および油温および吸気温のうち少なくとも一方に基づいて算出されることを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
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