以下に、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。本発明の各実施形態に係る印刷装置は、昇華型熱転写方式の印刷装置であり、インクリボンのインクを昇華させて印画媒体の例であるロール紙に熱転写することにより、ロール紙に画像を形成する。なお、本発明の実施形態において、「印刷」とは、ユーザからの印刷指示に基づいてロール紙に画像を形成し、ロール紙を所定サイズに切断して排紙するまでの一連の全体動作をいうものとする。また、「印画」とは、印刷の動作のうち、ロール紙に対してインクリボンに塗布されたインクを熱転写することにより、画像をロール紙に形成する動作をいうものとする。
≪第1の実施形態≫
<印刷装置の本体の構成>
まず、本発明の第1の実施形態に係る印刷装置100の全体の構成例について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る印刷装置100(本体)と、この印刷装置100に用いられるカートリッジ110の外観構成の例を模式的に示す図である。図1に示すように、印刷装置100は、筐体としての本体ハウジング101を有する。本体ハウジング101の側面には、開口部108が形成されるともに、この開口部108を開閉自在に覆う蓋109が設けられている。そして、本体ハウジング101は、その側面に形成される開口部108からカートリッジ110を矢印120の方向に着脱可能に構成される。また、本体ハウジング101の上部には、表示部102と操作部103とが設けられる。表示部102は、LCDなどの表示画面を有する表示デバイスが適用され、印刷する画像データや印刷に必要な設定データを入力するためのメニューを表示できる。操作部103は、印刷装置100の電源のON/OFFを指示する電源スイッチ104と、表示部102に表示される各種メニューを選択するための選択スイッチ105とを備える。更に、選択スイッチ105の周囲には、表示部102に表示されたカーソルを所望の位置に移動させるための左右キー106および上下キー107が配置される。使用者等は、左右キー106や上下キー107を押下することによって表示部102に表示されるカーソルを移動させ、選択スイッチ105を押下することによって、カーソルを合わせた動作を確定することができる。
<カートリッジの構成>
カートリッジ110は、筐体としてのカートリッジハウジング111を有する。カートリッジハウジング111の内部には、印画媒体の例であるロール紙5(図4参照)と、各色のインクおよびオーバーコートが塗布されているインクリボン4(図2参照。後述)が収納されている。ロール紙5は、給紙ローラ112に巻き取られた状態で、カートリッジハウジング111に収容されている。また、インクリボン4は、供給ローラ113に巻き回され、一端(先端)が巻き取りローラ114に接続された状態で、カートリッジハウジング111に収容されている。カートリッジ110が印刷装置100から取り外されている状態では、ロール紙5はカートリッジハウジング111によって覆われており、使用者等はロール紙5に直接触れることができない。このような構成により、カートリッジ110の内部への異物等の侵入が防止される。カートリッジ110が印刷装置100に装着されると、ロール紙5が巻き回された給紙ローラ112の回転軸は、印刷装置100に設けられる給紙モータ215の回転機構と連結し、印刷装置100のメインコントローラ201(後述)によって回転が制御される。また、供給ローラ113の回転軸と、巻き取りローラ114の回転軸とは、印刷装置100に設けられるインクリボン巻上げモータ217の回転機構と連結し、印刷装置100のメインコントローラ201によって回転が制御される。印刷時において、ロール紙5は、カートリッジハウジング111から引き出される。そして、印刷装置100は、インクリボン4に塗布されたインクをサーマルヘッド227により加熱して昇華させてロール紙5に転写する。これにより、ロール紙5に画像を印画する。このほか、カートリッジ110には、カートリッジ110に関する情報が格納されたIC(図略)が設けられている。このICに格納される情報には、インクリボン4とロール紙5のサイズの情報が含まれる。
ロール紙5の表面には、転写されたインク(染料)を定着させる受容層が設けられる。具体的には、ロール紙5は、基材である天然紙の表面に、気泡を含み断熱材としての機能を有するPET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)のフィルムが貼り合わせられている。そして、これらPETやPPのフィルムの表面に、染料であるインクの受容性が高いポリマーからなる受容層が形成される。たとえば、PETやPPのフィルムの表面に、染料であるインクの受容性が高いポリマーを含む溶液を塗布することによって、受容層が形成される。なお、印画媒体は、前述のような構成のロール紙5に限定されない。印画媒体は、各色のインクおよびオーバーコートを転写できる(受容する)構成であればよく、各種記録用紙が適用できる。
図2は、インクリボン4の構成を模式的に示す平面図である。図2に示すように、本実施形態で用いるインクリボン4は、長尺の基材フィルム40を有する。そして、基材フィルム40の表面に、イエローのインク面41Yと、マゼンタのインク面41Mと、シアンのインク面41Cと、オーバーコート面41Oとが、長手方向に前記記載の順序で周期的に設けられている。長尺の基材フィルム40は、例えばポリエステルなどのフィルムが適用される。各色のインク面41Y,41M,41Cは、各色のインク層が形成される領域である。各色のインク層は、色材である各色のインク(染料)とバインダーと呼ばれる合成樹脂の混合材とを溶剤によって溶解させた溶液を基材フィルム40の表面に塗布し乾燥させることによって形成されている。オーバーコート面41Oは、アクリル樹脂を主成分としたオーバーコートが設けられる領域である。さらに、各色のインク面41Y,41M,41Cおよびオーバーコート面41Oの頭出し位置(先頭位置)には、帯状のマーカー42が設けられている。マーカー42は、黒色で遮光性を有し、基材フィルム40の長手方向に対して直角方向に延伸する。イエローのインク面41Yの先頭部分には、2本のマーカー42が設けられており、他の色のインク面41M,41Cおよびオーバーコート面41Oの頭出し位置には1本のマーカー42が設けられる。これにより、イエローのインク面41Yの頭出し位置と、他の色のインク面41M,41Cおよびオーバーコート面41Oの頭出し位置とを識別(区別)できる。
<印刷装置の機能構成>
次に、印刷装置100の機能構成の例について、図3を参照して説明する。図3は、印刷装置100の機能構成の例を示すブロック図である。
メインコントローラ201は、印刷装置100の全体を制御する。メインコントローラ201は、例えば、CPUを有するコンピュータが適用される。ROM202はメインコントローラ201に接続されており、印刷装置100を制御するためのコンピュータプログラムや、印画データ(後述)の生成に用いるγ補正データ(後述)などのデータが格納される。RAM203は、メインコントローラ201の演算処理用のワークメモリとして用いられるほか、操作部103を介して入力された各種設定データを一時的に格納する。そして、メインコントローラ201は、印刷装置100を制御するためのコンピュータプログラムをROM202から読み出し、RAM203をワークメモリとして使用して実行する。これにより、後述する印刷装置100の動作が実現する。また、メインコントローラ201は、印画データ生成手段としての機能を有し、ROM202に格納されたγ補正データに基づいて、印画のための各色の印画データを生成する。なお、本実施形態においては、外部から取り込まれる印刷対象の画像のデータを「画像データ」と称し、印画のために画像データから生成されるデータを「印画データ」と称して区別する。各色の印画データは、サーマルヘッド227に投入するエネルギーを規定する階調値を規定するデータである。例えば、印画データは、各画素に0〜255の階調値を有するデータであり、各画素の階調値が、サーマルヘッド227に投入するエネルギーのレベルを示す。この場合には、階調値が0の画素はインクやオーバーコートが転写されず(濃度が0であり)、階調値が255の画素は最高の濃度で転写される。
各色のイメージメモリ(イメージバッファ)224Y,224M,224Cは、画像データ入力部229を介して取り込んだ各色の画像データおよび生成した印画データを一時的に格納する。イエローのイメージメモリ224Yはイエローの画像データを、マゼンタのイメージメモリ224Mはマゼンタの画像データを、シアンのイメージメモリ224Cはシアンの画像データを、それぞれ一時的に格納する。なお、各色のイメージメモリ224Y,224M,224Cには、各色の印画データがビットマップ形式で格納される。オーバーコートのイメージメモリ224OPは、オーバーコート用の印画データを一時的に格納する。オーバーコート用の印画データは、メインコントローラ201が生成する。この際、メインコントローラ201は、イメージメモリ224Y,224M,224Cに格納されている印画データを適宜参照する。
サーマルヘッド227には、通電(発熱のためのエネルギーの投入)により発熱する複数の発熱体(図略)が主走査方向にライン状に配列されている。そして、これらの発熱体に選択的に通電して(発熱のためのエネルギーを投入して)発熱させることにより、インクリボン4に塗布されたインクを昇華させてロール紙5に転写する。すなわち、メインコントローラ201は、イメージメモリ224Y,224M,224C,224OPに一時的に格納される画像データと、ROM202にあらかじめ格納されているγ補正データを用いて、各色およびオーバーコートの印画データを生成する。そして、ドライバコントローラ225は、メインコントローラ201の制御にしたがい、メインコントローラ201が生成した印画データを用い、ヘッド駆動回路226を制御する。ヘッド駆動回路226は、ドライバコントローラ225の制御にしたがい、サーマルヘッド227に内蔵される発熱体に選択的に通電する(発熱のためのエネルギーを投入する)。これにより各色のインクおよびオーバーコートがロール紙5に転写されて印画が行われる。サーマルヘッド227は、印刷装置100のベースフレームに、ヘッドレバー612(図4参照)を介して回動可能に設けられている。そして、サーマルヘッド227は、回動することによって、印画位置611と退避位置に移動することができる。なお、印画位置611は、インクリボン4をロール紙5に圧接する位置をいう。サーマルヘッド227が印画位置611に移動すると、インクリボン4とロール紙5とは、サーマルヘッド227とプラテンローラ605とに挟持され、インクリボン4がロール紙5に圧接される。このため、サーマルヘッド227が印画位置611にあると、ロール紙5に画像を印画できる。退避位置は、サーマルヘッド227がインクリボン4およびロール紙5から離れた位置をいう。
ロール紙搬送モータドライバ211は、メインコントローラ201の制御にしたがい、ロール紙搬送モータ212,213を駆動する。ロール紙搬送モータ212,213は、回転機構を介して、後述するグリップローラ614や排紙ローラ606等に、動力を伝達可能に連結されている。そして、ロール紙搬送モータドライバ211は、ロール紙搬送モータ212,213を介してこれらのローラを駆動することにより、ロール紙5を搬送する。給紙モータドライバ214は、メインコントローラ201の制御にしたがい、給紙モータ215を駆動する。カートリッジ110が本体ハウジング101に装着されると、給紙モータ215は、給紙ローラ112の回転軸と回転機構を介して連結する。そして、給紙モータドライバ214は、メインコントローラ201による制御にしたがって、給紙ローラ112の回転軸を回転駆動させる。
インクリボン巻上げモータドライバ216は、メインコントローラ201の制御にしたがい、インクリボン巻上げモータ217を駆動する。カートリッジ110が本体ハウジング101に装着された状態では、インクリボン4の巻き取りローラ114の回転軸とインクリボン巻上げモータ217とが回転機構を介して連結する。このため、インクリボン巻上げモータドライバ216がインクリボン巻上げモータ217を駆動することにより、インクリボン4の巻き取りと巻き上げが行われる。ヘッドアップダウンモータドライバ218は、メインコントローラ201の制御にしたがい、ヘッドアップダウンモータ219を駆動する。ヘッドアップダウンモータ219が駆動することにより、サーマルヘッド227が昇降し、印画位置611と退避位置に移動する。カッターモータドライバ220は、メインコントローラ201の制御にしたがい、カッターモータ221を駆動する。カッターモータ221は、ロール紙5を切断するカッターユニットを構成するカッター刃609とカッター受け刃610を駆動する。ファンモータ制御部231は、メインコントローラ201の制御にしたがい、印画動作や各部の温度情報に基づき、ファンモータ232のON/OFFの制御などを行う。ファンモータ232の回転軸には冷却ファンが設けられており、その駆動によって主にサーマルヘッド227を空冷方式により冷却する。
終端検出センサ204は、給紙ローラ112に巻き回されたロール紙5が消費されて残量が所定の巻き数未満(たとえば、1巻き未満)になったこと(すなわち、ロール紙5の終端)を検出する。終端検出センサ204は、例えば、カートリッジ110の給紙ローラ112内に設けられる。終端検出センサ204によりロール紙5の終端が検出されると、メインコントローラ201は表示制御部222を制御し、ロール紙5の残量が少ない旨のメッセージを表示部102に表示する。
ロール紙頭出しセンサ206は、ロール紙5の搬送経路のプラテンローラ605とグリップローラ614の間に配置される。そして、ロール紙頭出しセンサ206は、印刷開始時において、カートリッジ110から引き出されたロール紙5の先端部がグリップローラ614の後方を通過したことを検出する。
リボン頭出しセンサ207は、インクリボン4の各色のインク面41Y,41M,41Cおよびオーバーコート面41Oの頭出し位置(先頭位置)に設けられるマーカー42を検出する。インクリボン巻き上げモータドライバ216は、メインコントローラ201の制御にしたがい、リボン頭出しセンサ207によるマーカー42の検出結果に基づいて、インクリボン巻上げモータ217を駆動する。これにより、インクリボン4の巻き上げ動作が実行される。
環境温度センサ208は、環境温度検出手段の例であり、印刷装置100が設置された環境の雰囲気温度を検出する。ヘッド温度センサ240はヘッド温度検出手段の例であり、サーマルヘッド227の温度(以下、「ヘッド温度」と記す)を検出する。環境温度センサ208(環境温度検出手段)は、雰囲気温度を検出できる構成であればよく、具体的な構成は限定されない。同様に、ヘッド温度センサ240(ヘッド温度検出手段)も、ヘッド温度を検出できる構成であればよく、具体的な構成は限定されない。環境温度センサ208(環境温度検出手段)とヘッド温度センサ240(ヘッド温度検出手段)は、いずれも、公知の各種温度センサが適用できる。環境温度センサ208とヘッド温度センサ240による検出結果は、メインコントローラ201に送信される。
IC読み書き部230は、カートリッジ110に設けられるICから、カートリッジ110に関する情報を読み出す。メインコントローラ201は、カートリッジ110のICから読み出した情報を、RAM203に一時的に格納し、印刷処理の際に参照する。画像データ入力部229は、画像データが格納された記憶媒体や記憶デバイスから画像データを読み出すことができる。画像データ入力部229は、記憶媒体を挿入可能なスロットや、外部の記憶デバイスなどに接続可能なポートや、無線通信装置などといった、各種インターフェースが適用される。
<印刷装置の各部の構成>
次に、印刷装置100が印刷を行う際に動作する各部の構成について、図4を参照して説明する。図4は、カートリッジ110が印刷装置100に装着された状態を、印刷装置100の側方から見た断面模式図である。
カートリッジハウジング111には、ロール紙5の搬送径路601およびカートリッジ出口602が設けられる。搬送径路601は、カートリッジ110に内包されるロール紙5が、印画時に印画位置611まで引き出される際に通過する経路である。給紙ローラ112に巻き回されていたロール紙5は、分離部材406により引き剥がされ、搬送径路601を通過し、カートリッジ出口602よりカートリッジ110の外部に引き出される。なお、カートリッジ出口602の外側近傍には、ロール紙検出センサ205(図4においては省略、図2参照)が設けられる。ロール紙検出センサ205は、ロール紙5の幅方向(主走査方向)の両端部に設けられており、カートリッジ出口602から押し出されたロール紙5の幅方向右端部と左端部とをそれぞれ検出する。2つのロール紙検出センサ205の検出タイミングの差により、メインコントローラ201は、カートリッジ出口602より押し出されたロール紙5の幅方向の傾きを認識することができる。
ピンチローラ604とグリップローラ614は、カートリッジ110から引き出されたロール紙5を挟持して搬送する。すなわち、グリップローラ614が回転することで(図4中においては時計回りに回転することで)、カートリッジ110から引き出されたロール紙5を、印画位置611に向けて搬送する。デカール用ガイド603は、ロール紙5の巻き癖(カール)を矯正するために設けられる部材であり、ロール紙5をその巻き癖の方向(カール方向)とは逆の方向に曲率を持つように湾曲させる。
プラテンローラ605は、印画位置611において、サーマルヘッド227との間で、インクリボン4とロール紙5とを重畳させた状態を維持する。なお、印刷装置100にはヘッド圧検出センサ209(図4では省略。図3参照)が設けられている。このヘッド圧検出センサ209は、ヘッド圧を検出する。ヘッド圧は、サーマルヘッド227とプラテンローラ605とがインクリボン4とロール紙5とを挟持する圧力である。
排紙ローラ606は、ロール紙5を排紙方向に搬送する。排紙ローラ606と従動ローラ607とは、ロール紙5の搬送経路を挟んで対向する位置に配され、図示しない駆動機構により圧接・離間する。そして、排紙時に圧接してロール紙5を挟持して搬送する。
カッターモータ221の動力は、ギア輪列608を介してカッターユニットに伝達される。カッターユニットは、カッター刃609とカッター受け刃610とを有する。カッター刃609とカッター受け刃610とは、ロール紙5の搬送経路を挟んで対向した位置に配置されている。カッター刃609とカッター受け刃610は、ギア輪列608により駆動され、上下の刃が鋏の刃のように擦り合わされることにより、ロール紙5を切断する。なお、カッターユニットの近傍には、印画範囲識別センサ210が設けられる(図4では省略。図3参照)。印画範囲識別センサ210は、ロール紙5へ画像が印画された範囲を識別する。
<印刷装置の印刷の全体フロー>
次に、印刷装置100の印刷の全体フローを、図5を参照して説明する。図5は、印刷装置100における印刷の全体フローを示すフローチャートである。印刷装置100は、カートリッジ110が装着され、電源が投入されると、図4に示す状態となる。また、メインコントローラ201は、カートリッジ110に設けられるICから、IC読み書き部230を介してカートリッジ110に関する情報を取得し、RAM203に格納する。さらに、メインコントローラ201は、印画対象となる画像データを画像データ入力部229から取り込む。そして、メインコントローラ201は、これらの処理を完了すると、図5に示す処理を開始する。図5に示す処理を含め、印刷装置100を制御するためのコンピュータプログラムは、あらかじめROM202に格納されている。そして、メインコントローラ201は、ROM202からこのコンピュータプログラムを読み出し、RAM203をワークメモリとして使用して実行する。これにより、図5に示す処理を含む印刷蔵置の100の制御が実現する。
ステップS801では、メインコントローラ201は、使用者等による操作部103に対する印画モードを設定する操作を受け付ける。本実施形態に係る印刷装置100は、印画モードとして通常モードと高画質モードとを有する。高画質モードは、高階調領域(高濃度領域)を強調することによって、通常モードに比較して画質の向上を図るモードである。高階調領域は、階調値(濃度)が閾値以上の領域をいい、中低階調領域は、階調値(濃度)が閾値未満の領域をいう。なお、この閾値は特に限定されるものではなく、適宜設定できる。通常モードにおいては、印刷装置100は、各色のインクを一回ずつロール紙5に転写することにより画像を印画する。高画質モードにおいては、印刷装置100は、高階調領域を強調するために、各色のインクを二回ずつ転写することにより画像を印画する。使用者等により印画モードを設定する操作があった場合には、ステップS802に進む。
ステップS802では、メインコントローラ201は、ステップS801において検出した操作に応じて、印画モードを通常モードと高画質モードのいずれかに設定する。
ステップS803では、画像データ入力部229から取り込んだ画像データを、表示制御部222を介して表示部102に表示し、使用者等による印画対象の画像データを選択する操作を受け付ける。使用者等は、表示部102に表示される画像データを視認し、操作部103に対して印画対象の画像データを選択する操作を行うことになる。メインコントローラ201は、使用者等による印画対象の画像データの選択操作が完了するまで、このステップで待機する。
ステップS804では、メインコントローラ201は、ステップS804で選択された画像データを、印画対象の画像データとして確定する。
ステップS805では、メインコントローラ201は、使用者等より操作部103を介して印刷指示があったか否かを判定する。印刷指示があったと判定した場合には、ステップS806に進む。そうでない場合には、印刷指示の操作があるまでこのステップで待機する。
ステップS806では、メインコントローラ201は、印刷可能か否かを判定する。具体的には、メインコントローラ201は、終端検出センサ204による検出結果に基づき、ロール紙5の残量が、ステップS804において選択された画像データの全てを印画できる量であるか否かを判断する。ロール紙5の残量が選択された画像データの全てを印画できる量である場合には、印刷可能であると判断する。この場合には、ステップS807に進む。ロール紙5の残量が、選択された画像データの全てを印画できる量でない場合には、印刷可能でないと判断する。この場合には、メインコントローラ201は、表示制御部222を介し、表示部102に印刷不可である旨のメッセージを表示する。そしてステップS807〜S809を経ずにステップS810に進む。
ステップS807では、メインコントローラ201は、印画データ生成手段として機能し、選択された画像データから各色の印画データとオーバーコートの印画データを生成する。印画モードが通常モードである場合には、メインコントローラ201は、各色のインクの印画データと、オーバーコートの印画データを生成する。印画モードが高画質モードである場合には、各色のインクの転写動作を二回ずつ行う。このため、メインコントローラ201は、各色のインクの一回目と二回目のそれぞれの印画データと、オーバーコートの印画データを生成する。そして、生成した印画データを、イメージメモリ224Y,224M,224C,224OPに格納する。なお、印画データを生成する処理については後述する。印画データの生成および格納が完了した場合には、ステップS808に進む。
ステップS808では、メインコントローラ201は、生成した印画データを用いて印刷処理を行う。メインコントローラ201は、印画モードが通常モードに設定されている場合には、各色のインクの転写を一回ずつ行い、全ての色のインクの転写が完了すると、オーバーコートの転写を行う。一方、メインコントローラ201は、印画モードが高画質モードに設定されている場合には、各色のインクの転写を二回ずつ行い、全ての色のインクについて二回の転写が完了した後に、オーバーコートの転写を行う。なお、各色のインクの一回目の転写が完了した後に、メインコントローラ201は、オーバーコートを転写する印画動作に類似する動作を実行する。ただし、この動作では、実際にはオーバーコートの転写を行わない。説明の便宜上、この動作を、オーバーコートの「疑似印画動作」と記す。そして、この動作の完了後、各色の二回目の転写を行い、その完了後に、オーバーコートの転写を行う。すなわち、ステップS808において、一回目の各色のインクを転写する印画動作、オーバーコートの疑似印画動作、二回目の各色のインクを転写する印画動作、オーバーコートを転写する印画動作を、この記載の順序で実行する。このように、高画質モードにおいては、各色のインクを二回ずつ転写することにより、高階調領域(高濃度領域)を強調する。これにより、通常モードに比較して高画質化を図る。そして、ステップS809に進む。なお、印刷処理の詳細については後述する。
ステップS809では、メインコントローラ201は、印画対象として選択された次の画像データが存在するか(残っているか)否かを判定する。印刷対象として選択された次の画像データが存在すると判定された場合には、ステップS807に戻り、ステップS807,S808の処理を繰り返す。一方、ステップS809において、印刷対象として選択された次の画像データが存在しない(全ての画像データの印刷を完了した)と判定された場合には、ステップS810に進む。
ステップS810では、メインコントローラ201は、終了処理を行い、印刷装置100を図4に示す状態に戻す。具体的には、メインコントローラ201は、ヘッドアップダウンモータドライバ218を制御してヘッドアップダウンモータ219を駆動し、サーマルヘッド227を退避位置に移動させる。また、メインコントローラ201は、給紙モータドライバ214を制御して給紙モータ215を駆動し、ロール紙5を、その先端部がカートリッジ110の搬送径路601に位置するように巻き上げる。
<印画データ生成>
ここで、ステップS807の印画データ生成について説明する。本実施形態では、メインコントローラ201が、印画データ生成手段として機能する。そして、メインコントローラ201は、使用者等により選択された画像データと使用者等により設定された印画モードに基づいて、各色の印画データを生成する。生成された印画データの各画素の階調値は、サーマルヘッド227に投入するエネルギーの大きさを規定する。この際、メインコントローラ201は、あらかじめROM202に格納されているγ補正データを読み出して使用する。γ補正データは、画像データに含まれる画素の各色の階調値を、自然な印画結果が得られるように補正するために用いられる補正データである。すなわち、メインコントローラ201は、γ補正データを用い、画像データの画素の各色の階調値と、それが実際に印画出力される際の出力結果の相対関係を調節して、より自然に近い出力結果が得られるように印画データを生成する。γ補正データは予めROM202に格納されており、メインコントローラ201は、必要に応じてRAM203上に値を展開して印画データの生成の処理に使用する。
通常モードの各色のインクの印画データと、高画質モードの一回目の各色のインクの印画データは、画像データに応じて、全ての階調値に出力を有するデータである。すなわち、通常モードの各色のインクを転写する印画動作と、高画質モードの一回目の各色のインクを転写する印画動作とにおいては、各画素の階調値に係わらず、全ての画素について転写(印画)を行う。本実施形態では、メインコントローラ201は、高画質モードの一回目の印画と通常モードの印画に用いる画像データの生成に、同じγ補正データを使用してもよい。
高画質モードの二回目の各色のインクの印画データにおいては、元になる画像データの階調値(濃度)がある閾値以上の高階調領域については、階調値が0ではない値を有し、閾値未満の中低階調領域は、階調値が0である。このように、高画質モードの二回目の各色のインクを転写する印画動作においては、高階調領域にのみ各色のインクを転写し、中低階調領域には各色のインクを転写しないようにする。
さらに、ステップS807において、メインコントローラ201は、オーバーコートの印画データを、あらかじめ定めた方法で自動的に生成する。なお、オーバーコートの印画データの生成方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の各種方法が適用できる。ここで生成されるオーバーコートの印画データは、全ての画素の階調値がある同じ値をとる印画データである。
<印刷処理>
次に、図5のステップS808の印刷処理について説明する。印刷装置100は、印画モードが通常モードに設定されている場合には、各色のインクを一回ずつ転写する印画動作を実行し、その後、オーバーコートを一回転写する印画動作を実行する。具体的には、印刷装置100は、イエローのインク、マゼンタのインク、シアンのインク、オーバーコートの順に、一回ずつ転写を行う。一方、印刷装置100は、高画質モードに設定されている場合には、各色のインクの転写を二回ずつ行い、その後、オーバーコートの転写を一回行う。また、一回目の各色のインクを転写する印画動作の完了後、二回目の各色のインクを転写する印画動作の実行前に、オーバーコートの疑似印画動作を実行する。具体的には、一回目のイエローのインク、一回目のマゼンタのインク、一回目のシアンのインク、オーバーコートの疑似印画動作、二回目のイエローのインク、二回目のマゼンタのインク、二回目のシアンのインク、オーバーコートの転写の順に、動作を実行する。
ここで、オーバーコートの疑似印画動作について説明する。各色のインクを転写およびオーバーコートを転写する印画動作においては、サーマルヘッド227とプラテンローラ605とでインクリボン4とロール紙5を挟持する。これにより、インク面41Y,41M,41Cまたはオーバーコート面41Oをロール紙5に圧接する。そして、その状態でインクリボン4とロール紙5を搬送しながら、サーマルヘッド227の発熱素子に選択的にエネルギーを投入(通電)して発熱させることにより、各色のインクまたはオーバーコートをロール紙5に転写する。そして、高画質モードにおいては、各色のインクを二回ずつ転写することによって、高階調領域(高濃度領域)を強調する。
なお、オーバーコートが転写されたロール紙5の表面には、各色のインクを重ねて転写することが困難である。このため、一回目の各色のインクの転写の完了後は、オーバーコートを転写することなく、二回目の各色のインクを転写することが好ましい。前記のとおり、インクリボン4には、各色のインク面41Y,41M,41Cとオーバーコート面41Oとが、長手方向に周期的に並べて設けられる。このため、各色のインクを二回ずつ転写する場合には、一回目の各色の転写の完了後、オーバーコート面41Oをスキップして、二回目の各色のインクを転写する。
一方、一回目の各色のインクの転写の完了後、二回目の各色のインクの転写の実行前に、インクリボン4とロール紙5をサーマルヘッド227とプラテンローラ605とで挟持し、その状態でロール紙5を搬送することにより、次のような効果が得られる。まず、ロール紙5がサーマルヘッド227とプラテンローラ605とで挟持された状態で搬送されるから、ロール紙5の表面が平滑になる。さらに、転写されたインクが、サーマルヘッド227の熱によりロール紙5の内部に移動するから、二回目の各色のインクを受容しやすくなるほか、耐候性が向上する。
そこで、第1の実施形態では、高画質モードにおいて、一回目の各色のインクの転写の完了後、二回目の各色の転写の実行前に、オーバーコートを転写する印画動作に類似する疑似印画動作を実行する。オーバーコートの疑似印画動作は、インクリボン4のオーバーコート面41Oをロール紙5に位置合わせして重ね合わせた状態で、インクリボン4とロール紙5とをサーマルヘッド227とプラテンローラ605により挟持し、その状態で搬送する動作である。この際、サーマルヘッド227にエネルギーを投入しない(通電しない)ことにより、ロール紙5にオーバーコートが転写されないようにする。すなわち、オーバーコートの疑似印画動作は、オーバーコートを実際に転写する印画動作と比較すると、サーマルヘッド227にエネルギーを投入しない(通電しない)点が相違する。その他は、オーバーコートを実際に転写する印画動作と同じでよい。これにより、高画質モードにおいて印画される画像の品質の向上を図ることができる。
次に、ステップS808における印刷処理について、図6を参照して説明する。図6は、印刷装置100の印刷処理のフローを示すフローチャートである。
ステップS101では、メインコントローラ201は、リボン印画画面数カウンターの数値を初期化して0にする。そして、S102に進む。なお、リボン印画画面数カウンターについては後述する。
ステップS102では、メインコントローラ201は、ロール紙搬送モータドライバ211を制御してロール紙搬送モータ212を駆動し、ロール紙5をカートリッジ110から送り出して給紙する。
ステップS103では、メインコントローラ201は、ロール紙搬送モータドライバ211を制御してロール紙搬送モータ212を駆動し、ロール紙5を印画開始位置まで搬送する。図7は、ロール紙5が印画開始位置に搬送された状態を模式的に示す断面図である。印画開始位置とは、図7に示すように、ロール紙5のうちの印画動作において画像が転写される領域(インクが転写される領域)が、サーマルヘッド227およびプラテンローラ605よりも排紙口613の側に搬送された位置をいうものとする。ロール紙5を印画開始位置へ搬送する動作を完了すると、ステップS104に進む。
ステップS104では、メインコントローラ201は、インクリボン巻き上げモータドライバ216を制御してインクリボン巻き上げモータ217を駆動し、カートリッジ110に収納されているインクリボン4を巻き上げる。これにより、インクリボン4のインク面41Y,41M,41Cまたはオーバーコート面41Oの頭出し動作を行う。前述のとおり、イエロー、マゼンタ、シアン、オーバーコートの順に転写(印画)する構成であれば、一巡目のステップS105においては、イエローのインク面41Yの頭出し動作を行うことになる。
ここで、ステップS105におけるインクリボン4の頭出し動作について説明する。図7に示すように、印刷装置100には、インク頭出しセンサ207と反射シート615とが、インクリボン4を挟んで対向するように設けられる。このような構成であると、インク頭出しセンサ207は、自身が出射して反射シート615で反射した光を検出できる。インクリボン4には、図2に示すように、各色のインク面41Y,41M,41Cおよびオーバーコート面41Oの頭出し位置に、帯状で遮光性を有する黒色のマーカー42が設けられている。このため、リボン頭出しセンサ207と反射シート615との間にマーカー42が位置すると、リボン頭出しセンサ207は、反射シート615で反射した光がマーカー42によって遮蔽されたことを検出できる。
また、イエローのインク面41Yの頭出し位置には2本のマーカー42が設けられており、他の色のインク面41M,41Cおよびオーバーコート面41Oの頭出し位置にはそれぞれ1本のマーカー42が設けられている。このため、リボン頭出しセンサ207により、イエローのインク面41Yの頭出し位置を、他の色のインク面41M,41Cおよびオーバーコート面41Oの頭出し位置と区別(識別)できる。インクリボン頭出しセンサ207による識別結果は、メインコントローラ201に送信される。これにより、メインコントローラ201は、各色のインク面41Y,41M,41Cのうち、最初に転写するイエローのインク面41Yの頭出し位置を認識ができる。メインコントローラ201は、これから転写するインク面41Y,41M,41Cまたはオーバーコート面41Oのマーカー42を検出すると、インクリボン巻き上げモータドライバ216を制御してインクリボン巻上げモータ217を停止する。一巡目であれば、イエローのインク面41Yのマーカー42を検出すると、インクリボン巻上げモータ217を停止する。
ここで、各色のインク面41Y,41M,41Cおよびオーバーコート面41Oを識別する方法について説明する。最初に転写するイエローのインク面41Yの頭出し位置には、2本のマーカー42が設けられている。このため、メインコントローラ201は、イエローのインク面41Yの頭出し位置と、他の色のインク面41M,41Cおよびオーバーコート面41Oの頭出し位置とを区別できる。本実施形態では、メインコントローラ201は、各色のインク面41Y,41M,41Cおよびオーバーコート面41Oの頭出しに、変数であるインクリボン頭出しカウンターを用いる。メインコントローラ201は、イエローのインク面41Yの頭出しを行った場合には、このインクリボン頭出しカウンターをリセット(数値を0に設定)する。また、イエロー以外のインク面41M,41Cおよびオーバーコート面41Oの頭出しを行った場合には、インクリボン頭出しカウンターに数値1を加算する。したがって、インクリボン頭出しのカウンターの値は、イエローのインク面41Yの頭出し後は0であり、マゼンタのインク面41Mの頭出し後には1となり、シアンのインク面41Cの頭出し後には2となり、オーバーコート面41Oの頭出し後には3となる。このように、メインコントローラ201は、インクリボン頭出しカウンターの値を参照することにより、各色のインク面41Y,41M,41Cおよびオーバーコート面41Oを識別できる。したがって、メインコントローラ201は、各色のインク面41Y,41M,41Cおよびオーバーコート面41Oの頭出しを実行できる。
以上のように、メインコントローラ201は、インクリボン巻上げモータ217を駆動してインクリボン4を巻き上げ、インクリボン頭出しセンサ207によりマーカー42を検出した場合に、インクリボン4の巻き上げを停止する。これにより、インクリボン4の各色のインク面41Y,41M,41Cおよびオーバーコート面41Oの頭出しが行われる。
ステップS105では、メインコントローラ201は、ヘッドアップダウンモータドライバ218を制御してヘッドアップダウンモータ219を駆動し、図8に示すように、サーマルヘッド227を印画位置611へ回動させる。図8は、サーマルヘッド227が印画位置611に移動した状態を模式的に示す断面図である。サーマルヘッド227は、印刷装置100のベースフレームに、ヘッドレバー612を介して回動可能に設けられている。そして、ヘッドアップダウンモータ219は、ヘッドレバー612を駆動し、サーマルヘッド227を、サーマルヘッド227とプラテンローラ605とでロール紙5とインクリボン4とを挟持する印画位置611へ回動させる。
引き続いて、メインコントローラ201は、印画を実行する。メインコントローラ201は、印画モードが高画質モードに設定されている場合には、各色のインクを二回にわたってロール紙5に転写する。一方、印画モードが通常モードに設定されている場合においては、各色のインクを1回ずつロール紙5に転写する。そして、本実施形態では、メインコントローラ201は、印画モードの設定と、インクの転写であるか否かと、オーバーコートの転写であるか否かに応じて、印画動作の内容を変更する。更に、高画質モードに設定されている場合には、各色のインクの転写が一回目であるか二回目であるかに応じても、印画動作の内容を変更する。
ステップS106では、メインコントローラ201は、各色のインクの転写を行うか否かを判断する。メインコントローラ201は、インクリボン頭出しカウンターを用いてこの判断を行う。すなわち、インクリボン頭出しカウンターの値が0〜2であれば、イエロー、マゼンタ、シアンのいずれかのインク面41Y,41M,41Cの頭出しが行われており、引続いて、頭出しされているインク面41Y,41M,41Cのインクの転写を行うことになる。このためこの場合には、ステップS107に進む。一方、インクリボン頭出しカウンターの値が3であれば、オーバーコート面41Oの頭出しが行われており、引続いて、オーバーコートの転写を行うことになる。このためこの場合には、ステップS201に進む。このように、まだ転写していない色のインクが残っている場合には、メインコントローラ201は、インクの転写であると判断する。そしてステップS107に進む。一方、全ての色のインクの転写が完了している場合には、メインコントローラ201は、各色のインクの転写ではないと判定する。この場合には、ステップS201に進む。
ステップS107では、メインコントローラ201は、ヘッドアップダウンモータドライバ218を制御してヘッドアップダウンモータ219を駆動し、サーマルヘッド227を印画位置611に回動させる。さらに、メインコントローラ201は、ロール紙搬送モータドライバ211を制御してロール紙搬送モータ212,213を駆動し、グリップローラ614によりロール紙5の搬送を開始する。ロール紙5を所定距離だけ搬送し、ロール紙5の搬送速度が予め定められた値に一定になると、メインコントローラ201は、ドライバコントローラ225を介してヘッド駆動回路226を制御し、サーマルヘッド227に内蔵される発熱体を発熱させる。これにより、各色のインクをロール紙5に転写する。例えば、一巡目のステップS109においては、インクリボン4に塗布されたイエローのインクを昇華させ、ロール紙5にイエローインクを転写する。
インクリボン4からインクをロール紙5に転写する際には、サーマルヘッド227とプラテンローラ605によってインクリボン4をロール紙5に圧接した状態(挟持した状態)で、サーマルヘッド227により加熱しながら所定の速度で搬送する。また、メインコントローラ201は、インクリボン巻き上げモータドライバ216を制御してインクリボン巻上げモータ217を駆動し、インクリボン巻き取りローラ114の回転軸を回転させてインクリボン4を搬送する。そして、印画中においては、インクリボン4とロール紙5は、同速度で密着して搬送される。このため、インクリボン4がロール紙5と同速度で搬送されるように、ある値以上の力がインクリボン4に掛からなくするための不図示のスリップ機構が、インクリボン搬送力伝達機構中に配置されている。
ステップS108では、メインコントローラ201は、ステップS107で開始した所定の色のインク(一巡目であればイエローのインク)の転写が完了したか否かを判定する。そしてこの色のインクの転写が完了した場合には、ステップS109に進む。
ステップS109では、メインコントローラ201は、ヘッドアップダウンモータドライバ218を制御してヘッドアップダウンモータ219を駆動し、サーマルヘッド227を退避位置に移動させる。そして、ステップS103に進む。
ステップS103では、メインコントローラ201は、インクリボン巻き上げモータドライバ216を制御してインクリボン巻き上げモータ217を駆動し、インクリボン4を巻き上げる。インクリボン4を巻き上げると、インクリボン頭出しセンサ207により、次に転写する色のインク面41M,41Cまたはオーバーコート面41Oのマーカー42が検出されることになる。そして、次に転写する色のインク面41M,41Cまたはオーバーコート面41Oのマーカー42が検出されると、メインコントローラ201は、インクリボン巻き上げモータドライバ216を制御してインクリボン巻上げモータ217を停止する。例えば、イエローのインクの転写が完了後においては、次に、マゼンタのインク面41Mの頭出し位置にあるマーカー42を検出することになる。このため、イエローのインクの転写の完了後には、マゼンタのインク面41Mの頭出しが行われる。このように、ステップS109からステップS103に進んだ場合には、このステップS104において、メインコントローラ201は、次に転写するインク面41Y,41M,41Cまたはオーバーコート面41Oの頭出しを行う。
以上説明したとおり、一巡目のステップS103〜S109において、イエローのインクの転写を行う。そして、イエローのインクの転写が完了すると、二巡目のステップS103〜S109において、マゼンタのインクの転写を行う。マゼンタのインクの転写が完了すると、三巡目のステップS103〜S109において、シアンのインクの転写を行う。また、四巡目のステップS104では、全ての色のインクの転写が完了しているため、オーバーコート面41Oの頭出しを行う。そして、四巡目のステップS106においては、全ての色のインクの転写が完了しているため、オーバーコートを転写すると判断されることになる。このため、四巡目のステップS106からはステップS201に進む。
ステップS201では、メインコントローラ201は、オーバーコートの転写を行うか否かを判定する。次いでオーバーコートの転写を行うと判断した場合には、ステップS202に進む。ステップS201で、次いでオーバーコートの転写を行わないと判断した場合には、本実施形態ではあり得ない状態である。このためこの場合には、ステップS301に進む。ステップS301においては、メインコントローラ201は、表示制御部222を制御して表示部102にエラー表示を行う。そして、この印画処理を終了する。
ステップS202では、メインコントローラ201は、印画モードが高画質モードか通常モードかを判断する。高画質モードであると判断した場合には、ステップS203に進む。通常モードであると判断した場合には、ステップS208に進む。
ステップS203では、メインコントローラ201は、各色のインクの転写が一回目であるか否かを判断する。各色のインクの一回目の転写が完了し、その後にオーバーコート面41Oの頭出しが行われた状態では、リボン印画画面数カウンターの数値が1である。このため、メインコントローラ201は、一回目の転写であると判断し、ステップS204−1に進む。一方、各色のインクの転写が二回目であると判断した場合には、ステップS208に進む。このように、高画質モードにおいては、各色のインクの一回目の転写の完了後であって、二回目の各色のインクの転写の動作よりも前に、ステップS204−1に進むことになる。
ステップS204−1では、メインコントローラ201は、オーバーコートがロール紙5に転写しないように、サーマルヘッド227が発熱しないように設定する。すなわち、既にオーバーコートの転写を行ったロール紙5には、それ以上、色材である各色のインクの転写を行えない。このため、各色のインクの二回目の転写の実行前にオーバーコートがロール紙5に転写しないように、メインコントローラ201は、サーマルヘッド227が発熱しないように設定する。
ステップS205では、メインコントローラ201は、各部を制御してオーバーコートを転写しない疑似印画動作を行う。具体的には、メインコントローラ201は、ヘッドアップダウンモータドライバ218を制御してヘッドアップダウンモータ219を駆動し、サーマルヘッド227を印画位置611に移動させる。サーマルヘッド227が印画位置に到達すると、メインコントローラ201は、ロール紙搬送モータドライバ211を制御してロール紙搬送モータ212,213を駆動し、グリップローラ614によりロール紙5の搬送を開始する。そして、サーマルヘッド227に内蔵される発熱体を発熱駆動せずに、所定の量、インクリボン4とロール紙5を搬送する。ここで、所定の量とは、ロール紙5へのオーバーコートの印画領域への印画を完了させる量である。ロール紙5を所定の量だけ搬送すると、疑似印画動作が完了する。このように、一回目の各色のインクを転写する印画動作の完了後、二回目の各色のインクを転写する印画動作の実行前に、オーバーコートの疑似印画動作を行う。これにより、ロール紙5の平滑化を図ることができる。さらに、既に転写されたインクをロール紙5の内部に移動させることにより、二回目の各色のインクの受容を高めるとともに、耐候性を高めることができる。
ステップS206では、メインコントローラ201は、ロール紙5の所定の量の搬送が完了したか否かを判断する。ロール紙5の所定の量の搬送が完了した場合には、ステップS205の動作が完了したと判断し、ステップS207−1に進む。
ステップS207−1では、メインコントローラ201は、ステップS204で設定したサーマルヘッド227が発熱しないようにする設定を、発熱する通常の設定に戻す。そして、ステップS109に進む。ステップS109では、メインコントローラ201は、サーマルヘッド227を退避位置に移動させる。以上の動作を経て、一回目の各色のインクを転写する印画動作およびオーバーコートの疑似転写動作が完了する。前述のとおり、オーバーコートの疑似印画動作では、実際にはオーバーコートを転写しない。
前述のとおり、ステップS202で高画質モードではないと判断された場合、または、ステップS203で各色のインクの一回目の転写ではないと判断された場合に、ステップS208に進む。すなわち、通常モードにおいては、各色のインクの転写が完了した後に、ステップS208に進む。一方、高画質モードにおいては、各色のインクの二回目の転写が完了した後に、ステップS208に進む。
ステップS208では、メインコントローラ201は、各部を制御してオーバーコートを転写する印画動作を行う。具体的には、メインコントローラ201は、ヘッドアップダウンモータドライバ218を制御してヘッドアップダウンモータ219を駆動し、サーマルヘッド227を印画位置611に移動させる。サーマルヘッド227が印画位置611に到達すると、メインコントローラ201は、ロール紙搬送モータドライバ211を制御してロール紙搬送モータ212,213を駆動する。これにより、グリップローラ614によるロール紙5の搬送を開始する。ロール紙5を所定の距離搬送し、ロール紙5の搬送速度が一定になると、メインコントローラ201は、ドライバコントローラ225を介してヘッド駆動回路226を制御し、サーマルヘッド227に内蔵される発熱体を発熱駆動する。これにより、インクリボン4のオーバーコート面41Oに塗布されたオーバーコートが、ロール紙5に転写され、オーバーコート画像が印画される。
ステップS209では、メインコントローラ201は、ロール紙5へのオーバーコートの印画領域への印画が完了したか否かを判断する。印画が完了していない場合には、メインコントローラ201は、印画動作(S208)を継続する。印画が完了した場合には、ステップS210に進む。
ステップS210では、メインコントローラ201は、ヘッドアップダウンモータドライバ218を制御してヘッドアップダウンモータ219を駆動し、サーマルヘッド227を退避位置に退避させる。サーマルヘッド227の退避が完了するとS211に進む。
ステップS211では、メインコントローラ201は、インクリボン巻き上げモータドライバ216を制御してインクリボン巻き上げモータ217を駆動し、インクリボン4を少量巻き上げ、インクリボン4にたるみがない状態にする。
ステップS212では、メインコントローラ201は、カッターモータドライバ220を制御してカッターモータ221を駆動し、ロール紙5をカットする。図9は、印画が完了した状態を模式的に示す図である。S212におけるロール紙5のカット動作では、先ず、図9に示すように、メインコントローラ201は、ロール紙搬送モータドライバ211を制御してロール紙搬送モータ212,213を駆動する。そして、ロール紙5を、画像が印画された領域の後端がカッター刃609とカッター受け刃610で構成されたカッターユニットに到達するまで搬送する。ロール紙5の搬送が完了すると、メインコントローラ201は、不図示の動力を制御して、排紙ローラ606と従動ローラ607を圧接する位置へ移動させ、ロール紙5を狭持する。排紙ローラ606と従動ローラ607とがロール紙5を狭持すると、メインコントローラ201は、カッターモータドライバ220を制御してカッターモータ221を駆動し、カッター刃609を移動させてロール紙5を切断する。メインコントローラ201は、ロール紙5の切断動作が完了すると、不図示の動力を制御して排紙ローラ606を駆動し、排紙ローラ606と従動ローラ607で狭持されているロール紙5を、排紙口613から印刷装置100の外部へ排紙する。
以上のステップを経て、印刷が終了する。印画モードが通常モードであれば、イエローのインク、マゼンタのインク、シアンのインク、オーバーコートの順に一回ずつ転写される。印画モードが高画質モードであれば、各色のインクが二回ずつ転写され、その後、オーバーコートが転写される。そして、各色のインクの一回目の転写の完了後、二回目の転写の実行前に、オーバーコートの疑似印画動作を実行する。このオーバーコートの疑似印画動作は、サーマルヘッド227に発熱のためのエネルギーを投入しない(通電しない)点を除き、オーバーコートを転写する印画動作と同じ動作である。
以上説明したとおり、第1の実施形態では、高画質モードにおいて、一回目の各色のインクの転写の完了後、二回目の各色の転写の実行前に、オーバーコートを転写する印画動作に類似する疑似印画動作を実行する。このような構成によれば、まず、ロール紙5がサーマルヘッド227とプラテンローラ605とで挟持されるから、ロール紙5の表面が平滑になる。さらに、転写されたインクが、サーマルヘッド227の熱によりロール紙5の内部に移動するから、二回目の各色のインクを受容しやすくなるほか、耐候性が向上する。したがって、高画質モードにおいて印画される画像の品質の向上を図ることができる。
図10は、ロール紙5の排紙後の状態を模式的に示す断面図である。ロール紙5の排出の完了後においては、ロール紙5は、図10に示すように引き出された状態になっている。そこで、メインコントローラ201は、次の画像データの印画を行わない場合は、引き出されたロール紙5をカートリッジ110の内部に収納し、カートリッジ110を本体ハウジング101から取り外し可能な状態にする。このため、メインコントローラ201は、ロール紙5の巻き取り動作を行う。具体的には、メインコントローラ201は、ロール紙搬送モータドライバ211を制御してロール紙搬送モータ212,213を駆動するとともに、給紙モータドライバ214を制御して給紙モータ215を駆動する。そして、グリップローラ614と給紙ローラ112の回転軸を、図10中の時計回り方向に回転させる。メインコントローラ201は、ロール紙5の巻き取りに、ロール紙頭出しセンサ206を使用する。すなわち、メインコントローラ201は、ロール紙頭出しセンサ206によりロール紙5が検出されている状態から検出されない状態に変化する位置を起点に、グリップローラ614と給紙ローラ112の回転軸を所定量追加駆動する。これにより、ロール紙5を精度よくカートリッジハウジング111の内部に収納できる。
≪第2の実施形態≫
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図11は、第2の実施形態に係る印刷処理を示すフローチャートである。なお、第1の実施形態と共通する構成については同じ符号を付し、説明を省略する。前述の第1の実施形態は、高画質モードである場合に、各色の一回目のインクの転写の完了後、オーバーコートの疑似印画動作において、サーマルヘッド227に通電しない(発熱させない)構成である。これに対して第2の実施形態は、高画質モードである場合に、オーバーコートの疑似印画動作において、オーバーコートがロール紙5に転写しない程度にサーマルヘッドに発熱のためのエネルギーを投入する(通電する)形態である。なお、オーバーコートの疑似印画動作は、第1の実施形態と同様に、一回目の各色のインクの転写の完了後であって、二回目の各色のインクの転写の前に実行される。
第2の実施形態は、第1の実施形態と比較して、全体フロー(図5参照)のステップS807の「印画データ生成」の内容が異なる。また、印刷処理のフロー(図6参照)のステップS204−1がステップS204−2に置き換わっている。さらに、ステップS207−1がなく、代わりにステップS202およびS203とステップS208との間に、ステップS2001が追加されている。これら以外については、第1の実施形態と同じ処理が適用できる。また、印刷装置100のハードウェア構成(図1参照)、インクリボン4の構成(図2参照)、機能構成(図3参照)も、第1の実施形態と共通の構成が適用できる。
次に、第2の実施形態の処理動作のうち、第1の実施形態と相違する処理動作について説明する。なお、次の説明は、印画モードが高画質モードである場合の処理動作である。
ステップS807(図5参照)の「印画データ生成」において、メインコントローラ201は、印画モードが高画質モードである場合には、各色のインクの一回目と二回目の印画データを生成する。併せて、オーバーコートの疑似印画動作に用いる印画データと、オーバーコートの実際の転写に用いる印画データを生成する。疑似印画動作に用いる印画データは、一回目の各色のインクの転写の完了後のオーバーコートの疑似印画動作において、サーマルヘッド227に投入する発熱のためのエネルギー(換言すると、サーマルヘッドの発熱量)を規定するデータである。オーバーコートが転写されたロール紙には各色のインクを転写することが困難になるため、オーバーコートの疑似印画動作においては、インクリボン4のオーバーコートがロール紙5に転写しない程度のエネルギーを、サーマルヘッド227に投入する。すなわち、オーバーコートの転写は、環境温度とヘッド温度と投入エネルギー量に影響される。印画環境温度とヘッド温度が低いとオーバーコートは転写されにくくなり、また、投入エネルギー量がある閾値よりも少ないと転写されない。
そこで、ステップS807において、メインコントローラ201は、オーバーコートの疑似印画動作に用いる印画データとして、全ての画素の階調値が前記閾値よりも低い印画データを生成する。そして、生成したこれらの印画データを、イメージメモリ224OPに格納する。例えば、印画データの階調が最高値(例えば、階調値が0〜255である場合の255)である場合に黒濃度が2.2になるように設定されているとする。この場合には、常温(25℃)環境下において印画開始時のヘッド温度が60℃未満であると、階調値が0〜255のうちの60以下であれば、オーバーコートがロール紙5に転写されない。そこで、この場合には、メインコントローラ201は、オーバーコートの疑似印画に用いる印画データとして、全ての画素の階調値が55である印画データを生成する。なお、各色のインクの一回目および二回目の印画データと、実際にオーバーコートを転写する印画動作の印画データは、第1の実施形態と同じでよい。例えば、メインコントローラ201は、オーバーコートの印画データとして、全ての画素の階調値が0〜255中の175である一様な印画データを生成する。
図11のステップS204-2において、メインコントローラ201は、イメージメモリ224OPに格納したオーバーコートの疑似印画動作で用いる印画データを読み出す。そして、ステップS205において、メインコントローラ201は、オーバーコートの疑似印画動作を行う。この際、ステップS204−2において読み出した印画データを用いて、サーマルヘッド227にエネルギーを投入する。前記のとおり、この印画データの各画素の階調値は、オーバーコートが転写される階調値よりも低い値である。このため、サーマルヘッド227は温度上昇するが、オーバーコートはロール紙5に転写されない。
ステップS2001に進んだ場合には、二回目の各色のインクの転写が完了している。ステップS2001において、メインコントローラ201は、実際にオーバーコートを転写するための印画データを読み出す。そして、メインコントローラ201は、各色のインクの二回目の転写の完了後、ステップS2001で読み出した印画データを用いて、ロール紙5にオーバーコートを転写する印画動作を実行する。
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第2の実施形態によれば、各色のインクの一回目の転写の完了後におけるロール紙5の挟持搬送動作において、サーマルヘッド227に、オーバーコートが転写されない程度のエネルギーを投入する。このため、効果を高めることができる。
≪第3の実施形態≫
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、一回目の各色のインクの転写の完了後、一回目のオーバーコートの転写を実行し、二回目の各色のインクの転写の完了後、二回目のオーバーコートの転写を実行する形態である。すなわち、第1の実施形態および第2の実施形態に比較して、オーバーコートの疑似印画動作が、実際にオーバーコートを転写する印画動作に置き換わっている形態である。なお、第1または第2の実施形態と共通する構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
第3の実施形態は、第2の実施形態と比較すると、印刷の全体フロー(図5参照)のステップS807において生成する一回目のオーバーコート用の印画データの内容が異なる。そして、印画フロー(図11)のステップS204−2において、ステップS807で生成した印画データを読み出し、ステップS205の印画動作において用いる。
ステップS807の「印画データ生成」では、メインコントローラ201は、各色のインクの一回目と二回目の転写の印画データと、一回目および二回目のオーバーコートの印画データを生成する。各色のインクの印画データの一回目と二回目の印画データの生成方法は、第1の実施形態と同じである。そして、メインコントローラ201は、生成した各色のインクの二回目の印画データに基づいて、一回目のオーバーコートの転写で用いる印画データを生成する。具体的には、生成した各色のインクの二回目の印画データから、二回目の印画動作において各色のいずれかまたは全部のインクが転写される領域(以下、「色彩領域」と称する)と、いずれの色のインクも転写されない領域(以下、「空白領域」と称する)を抽出する。そして、メインコントローラ201は、一回目のオーバーコートの転写に用いる印画データとして、空白領域にのみオーバーコート転写し、色彩領域にはオーバーコートを転写しないような印画データを生成する。なお、二回目のオーバーコートの転写の印画データは、第1及び第2の実施形態のオーバーコートの印画データと同じでよい。そして、メインコントローラ201は、生成したこれらの印画データを、イメージメモリ224Y,224M,224C,224OPに格納する。このように、第2の実施形態においては、二回目の各色のインクの転写においてインクが転写されない空白領域に、一回目のオーバーコートの転写において、実際にオーバーコートを転写する。
第3の実施形態の印画データの具体例を、図12を参照して説明する。図12は、印画される画像の例を模式的に示す図である。図12に示すように、例えば、縁ありモードで画像を印画する場合には、画像周辺の額縁部分1301は、各色のインクはいずれも転写されない空白領域である。そして、額縁部分1301の内側は、各色のインクが転写される色彩領域である。そこで、このような場合には、メインコントローラ201は、一回目のオーバーコートの印画データとして、額縁部分1301を、オーバーコートが転写される階調値(例えば、0〜255における175)に一様に設定する。一方、額縁部分1301以外の部分を、オーバーコートが転写されない階調値(例えば、0〜255における55)に一様に設定する。したがって、一回目のオーバーコート用の印画データは、額縁部分1301の階調値は175に一様に設定され、額縁部分1301以外の部分の階調値は55に設定された印画データとなる。
第3の実施形態によれば、第1および第2の実施形態と同様の効果を奏する。さらに、第3の実施形態によれば、オーバーコートが二回にわたって転写される領域が形成されるから、オーバーコートを転写することにより印画物に与える効果を高めることができる。
≪第4の実施形態≫
次いで、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、第1〜第3の実施形態と共通する構成には同じ符号を付し、説明を省略する。第4の実施形態は、一回目の各色のインクの転写の完了後、一回目のオーバーコートの転写を実行し、二回目の各色のインクの転写の完了後、二回目のオーバーコートの転写を実行する形態である。そして、一回目にオーバーコートが転写された領域に対しては、二回目の各色のインクの印画動作において各色のインクを転写しない。
第4の実施形態は、第3の実施形態と比較して、印刷の全体フロー(図5参照)のステップS807において生成する印画データの内容が異なる。そして、印画動作の際には、ステップS807において生成した印画データを使用する。図13は、印画データの内容を模式的に示す図である。それぞれ、図13(a)は、ステップS807において生成する一回目の各色のインクの印画データの内容を重ね合わせて示す模式図である。図13(b)は、ステップS807において生成する一回目のオーバーコートの印画データの内容を模式的に示す図である。図13(c)は、二回目の各色のインクの印画データの内容を重ね合わせて示す模式図である。
ステップS807において、メインコントローラ201は、一回目および二回目の各色のインクの印画用データと、一回目および二回目のオーバーコートの印画用データとを生成する。そして、メインコントローラ201は、生成した一回目および二回目の各色のインクの印画データおよびオーバーコートの印画データを、イメージメモリ224Y,224M,224C,224OPのそれぞれに格納する。
一回目の各色のインクの印画データは、第一の実施形態と同様である。すなわち、一回目の各色のインクの印画データは、図13(a)に示すように、画像データの内容に応じて画像の全ての領域に対してインクを転写するような構成を有する。より具体的には、印画データの各画素の階調値は、画像データの各画素の階調値に応じて、γ補正データを使用して決定される。
一回目のオーバーコートの印画データは、印画物に与える効果に応じた内容を有する。例えば、例えば印画物に特殊効果を与えるために、一回目のオーバーコートの印画動作において、画像の中央部分1302にのみ、オーバーコートを転写することがある。このような場合には、一回目のオーバーコートの印画データは、画像の中央部分1302の階調値がオーバーコートを転写できる階調値(例えば、0〜255のうちの175)に設定される。一方、中央部分1302以外の部分の階調値はオーバーコートが転写されない階調値(例えば、0〜255のうちの0〜55)に設定される。
図13(c)に示すように、二回目の印画動作に用いられる各色のインクの画像データは、一回目にオーバーコートが転写される対応する部分1303の階調値が、インクが転写されない階調値(例えば、0〜255のうちの0)に強制的に設定される。この場合、元になる画像データの階調値に係わらず、この部分1303はインクが転写されない階調値に設定される。
二回目のオーバーコートの印画データの内容は、第1の実施形態と同じでよい。例えば、全ての画素について、オーバーコートが実際に転写される階調値(たとえば、255階調のうちの175)の一様なデータが適用できる。
ここで、第4の実施形態に係る印画処理について、図14を参照して説明する。図14は、第4の実施形態に係る印刷処理を示すフローチャートである。この処理の開始に当たり、イメージメモリ224Y,224M,224C,224OPには、ステップS807で生成された一回目および二回目の各色のインクの印画データおよびオーバーコートの印画データが格納されている。なお、ここでは、図6に示す第1の実施形態および図11に示す第2の実施形態の印刷処理と共通する内容については説明を省略する。
ステップS101〜S106は、第1の実施形態と同じである。ステップS106において、各色のインクの転写を行うと判断された場合には、ステップS1401に進む。
ステップS1401において、メインコントローラ201は、ステップS802(図5参照)において設定した印画モードが、高画質モードであるか通常モードであるかを判断する。高画質モードに設定されている場合には、ステップS1402に進む。通常モードに設定されている場合には、ステップS1402,S1403を経ずにステップS1404に進む。
ステップS1404において、メインコントローラ201は、高画質モードであれば、一回目の各色のインクの印画データをイメージメモリ224Y,224M,224Cから読み出す。一方、通常モードであれば、通常モードで用いる各色のインクの印画データを読み込む。なお、高画質モードの一回目の各色のインクの印画データと、通常モードの各色のインクの印画データは、同じ内容でよい。この高画質モードの一回目の各色のインクの印画データまたは通常モードの各色のインクの印画データは、図5のステップS807においてメインコントローラ201が生成した印画データである。そして、高画質モードの一回目の各色のインクの印画データと通常モードの各色のインクの印画データは、元となる画像データの各画素の階調値に応じて、画像の全ての領域に各色のインクを転写する内容を有する。そして、ステップS107に進む。
ステップS1402において、一回目の転写ではないと判断された場合には、ステップS1403に進む。この場合には、二回目の各色のインクの転写を行うことになる。このためステップS1403において、メインコントローラ201は、二回目の各色のインクの印画データをイメージメモリ224Y,224M,224Cから読み出す。この二回目の各色のインクの印画データは、図5のステップS807においてメインコントローラ201が生成した印画データである。そして、この二回目の各色のインクの印画データは、一回目のオーバーコートの印画動作においてオーバーコートが転写された領域には各色のインクを転写しない内容を有する。
第四の実施形態によれば、第一の実施形態と同じ効果を奏することができる。さらに、第四の実施形態によれば、オーバーコートによって、印画物に種々の効果を与えることができる。
≪第5の実施形態≫
次に、本発明の第5の実施形態について、図15を参照して説明する。なお、第1の実施形態と共通の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。第5の実施形態は、ヘッド温度に応じて、オーバーコートの疑似印画動作を実行するか否かを切換える形態である。一般に、オーバーコートの転写は、印画環境温度およびヘッド温度と、投入エネルギーの量(オーバーコートの印画データの各画素の階調値)に影響される。印画環境温度およびサーマルヘッド温度が低いと、オーバーコートは転写されにくくなる。また、投入エネルギー量が少ないと、オーバーコートは転写されない。したがって、通常は、サーマルヘッド227にエネルギーを投入しなければ(非通電状態であれば)、オーバーコートの疑似印画動作において、オーバーコートはロール紙に転写されない。しかしながら、印画環境温度およびサーマルヘッド温度が高温であると、サーマルヘッド227にエネルギーと投入していなくても(非通電状態であっても)、オーバーコートの疑似印画動作において、オーバーコートがロール紙5に転写される場合がある。そこで、第5の実施形態では、環境温度およびヘッド温度を検出し、これらの温度の検出結果に応じて、オーバーコートの疑似印画動作を実行するか否かを切換える。これにより、疑似印画動作においてオーバーコートがロール紙5に転写されることを確実に防止する。
図15は、第5の実施形態における、印刷装置100における印刷処理を示すフローチャートである。図15に示す第5の実施形態においては、図6に示す第1の実施形態と比較して、ステップS204−1とステップS205の間に、ステップS1501が挿入されている点が相違する。それ以外は、第1の実施形態と同じでよい。
ステップS1501においては、メインコントローラ201は、ヘッド温度センサ240からヘッド温度の検出結果を取得するとともに、環境温度センサ208から印刷装置100が設置されている環境温度を取得する。そして、メインコントローラ201は、取得したヘッド温度と環境温度が、それぞれある設定値以下であるか否かを判定する。これらの設定値は、疑似印画動作を実行した場合にオーバーコートがロール紙5に転写されない温度の上限値またはそれよりも低い温度に設定される。具体的な温度は適宜設定されるものであり、特に限定されない。例えば、環境温度の設定温度は40℃が適用され、ヘッド温度の設定温度は60℃が適用される。そして、環境温度およびヘッド温度がそれぞれ設定温度以下である場合には、ステップS205に進む。環境温度およびヘッド温度が設定温度を超える場合には、このステップで待機する。このようなステップを有することにより、環境温度およびヘッド温度が設定温度以下であると判断されるまで、オーバーコートの疑似印画動作の実行が停止される。そして、環境温度およびヘッド温度が設定温度以下であると判断された場合に、ステップS205に進み、オーバーコートの疑似印画動作が実行される。
第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第5の実施形態によれば、オーバーコートの疑似印画動作において、オーバーコートがロール紙5に転写されることを確実に防止できる。
≪第6の実施形態≫
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。本発明の第6の実施形態は、前記第2の実施形態の変形形態である。前述のとおり、第2の実施形態では、オーバーコートの疑似印画動作において、オーバーコートがロール紙5に転写されないように、オーバーコートの疑似印画動作で用いる印画データは、オーバーコートが転写されない階調値に一様に設定される。そして、オーバーコートの疑似印画動作では、このような印画データを用い、オーバーコートがロール紙5に転写されない程度のエネルギーをサーマルヘッド227に投入する。第5の実施形態で説明したとおり、オーバーコートの転写は、印画環境温度およびヘッド温度と、サーマルヘッド227へのエネルギーの投入量に影響される。そして、環境温度およびヘッド温度が高いと、オーバーコートの疑似印画動作において、オーバーコートがロール紙5に転写されるおそれがある。
このため、オーバーコートが転写されないようにするためには、サーマルヘッド227に投入するエネルギー(すなわち、印画データの各画素の階調値)が低い方がよい。例えば、印刷装置100は、印画データの階調値が0〜255のうちの255である場合に、黒濃度が2.2になるように設定されているとする。この場合には、常温(25℃)環境下で、印画開始時のヘッド温度が60℃未満であり、オーバーコートの印画データの階調値が0〜255のうちの60以下であると、サーマルヘッド227を発熱させても、オーバーコートはロール紙5に転写されない。一方、オーバーコートの疑似印画動作を行った場合に得られる画質の向上の効果は、サーマルヘッド227に投入するエネルギーが大きいほど高くなる。そして、印画環境温度およびヘッド温度が高温であると、オーバーコートの印画データの各画素の階調値を前述のとおり0〜255のうちの60以下にしても、疑似印画動作において、オーバーコートがロール紙5に転写してしまう場合がある。
そこで、第6の実施形態では、印画環境温度およびヘッド温度が高温である場合に、オーバーコートの疑似印画動作においてオーバーコートがロール紙5に転写されないように、疑似印画動作を実行しない。さらに、環境温度およびヘッド温度に応じて、ヘッド温度がオーバーコートが転写されない温度の上限値またはその近傍の温度となるように、疑似印画動作において使用する印画データを補正する。例えば、本実施形態では、印画データが0〜255の階調値を有し、階調値が255の場合に最高濃度であるとする。そして、環境温度が40℃であり、ヘッド温度が60℃である場合には、オーバーコートの疑似印画動作に用いる印画データの各画素の階調値を58に修正する。
ステップS807において、メインコントローラ201は、一回目および二回目の各色のインクの印画データと、オーバーコートの疑似印画動作で用いる印画データと、実際にオーバーこと材を転写する印画動作で用いる印画データとを生成する。そして、メインコントローラ201は、生成したこれらのデータを、イメージメモリ224Y,224M,224C,224OPに格納する。これらの印画データは、第2の実施形態と同じでよい。
ここで、本発明の実施形態に係る印刷処理について、図16を参照して説明する。図16は、本発明の第6の実施形態に係る印刷処理を示すフローチャートである。第6の実施形態に係る印刷処理は、図11に示す第2の実施形態に係る印刷処理と比較すると、ステップS204−2とS205との間に、ステップS1501とS1502とが追加されている点が相違する。それ以外は、第2の実施形態と同じでよい。
ステップS1501においては、メインコントローラ201は、ヘッド温度検出手段の例であるヘッド温度センサ240からヘッド温度の検出結果を取得する。また、環境温度検出手段の例である環境温度センサ208から、印刷装置100が設置されている環境温度を取得する。そして、メインコントローラ201は、取得したヘッド温度と環境温度が、それぞれある設定値以下であるか否かを判定する。これらの設定値は、疑似印画動作を実行した場合にオーバーコートがロール紙5に転写されない温度の上限値またはそれよりも低い温度に設定される。具体的な温度は適宜設定されるものであり、特に限定されない。例えば、環境温度の設定温度は40℃が適用され、ヘッド温度の設定温度は60℃が適用される。そして、環境温度およびヘッド温度がそれぞれ設定温度以下である場合には、ステップS1502に進む。環境温度およびヘッド温度が設定温度を超える場合には、このステップで待機する。
ステップS1502では、メインコントローラ201は、オーバーコートの疑似印画動作に用いる印画データを修正する。具体的には、メインコントローラ201は、環境温度センサによる環境温度の検出結果と、ヘッド温度センサ240によるヘッド温度の検出結果から、ヘッド温度がオーバーコートが転写されない温度の上限値となるようなエネルギーの投入量を算出する。そして、算出したエネルギーの投入量となるように、印画データの各画素の階調値を修正する。そして、ステップS205に進む。ステップS205においては、修正した印画データを用いて、オーバーコートの疑似印画動作が実行される。
第6の実施形態によれば、第2の実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、環境温度およびヘッド温度に応じてオーバーコートの疑似印画動作を実行するか否かを切換えるため、オーバーコートの疑似印画動作においてオーバーコートがロール紙5に転写されることを確実に防止できる。
≪第7の実施形態≫
次に、第7の実施形態について、図17を参照して説明する。第7の実施形態では、高画質モードにおいて、一回目の各色のインクの転写の完了後で二回目の各色のインクの転写の実行前にオーバーコートの疑似印画動作を実行し、二回目の各色のインクの転写の完了後にオーバーコートの転写を実行する。そして、各色のインクを転写する印画動作と、オーバーコートを転写する印画動作(疑似印画動作を含む)とで、異なる印画パラメータを用いる。昇華型プリンタである印刷装置100は、環境温度やサーマルヘッド温度等の影響を補正する温度補正テーブルや、サーマルヘッドに蓄積する熱の影響等を補正する蓄熱補正テーブル等の印画パラメータが、あらかじめROM202に格納されている。そして、メインコントローラ201は、各色のインクを転写する印画動作と、オーバーコートを転写する印画動作において、これらの印画パラメータをROM202から読出して使用する。
熱転写方式の印刷装置100において、各色のインクの転写は、昇華転写プロセスである。これに対して、オーバーコートの転写は、熱溶融転写プロセスである。このため、各色のインクの転写とオーバーコートの転写とでは、プロセスの内容の違いから、環境温度やサーマルヘッド温度の影響や、蓄熱の影響が互いに異なる。そこで、第7の実施形態では、各色のインクの転写とオーバーコートの転写とで、これらの印画パラメータを異ならせる。
従来の昇華型熱転写方式の印刷装置では、オーバーコートを転写する印画動作は、オーバーコートを転写させるか転写させないかの二値の溶融転写プロセスである。そして、溶融転写プロセスにおいては、オーバーコートがロール紙5に転写するかしないかは、ヘッド温度のある閾値を挟んで急激に変化する。このため、オーバーコートを転写させる場合とさせない場合のそれぞれにおいて、ヘッド温度を前記閾値から十分なマージンを取ることにより、オーバーコートを転写させるか否かの制御が十分に可能である。このため、従来は、オーバーコートを転写する印画動作と各色のインクを転写する印画動作とで、同じ印画パラメータを用いていた。
しかしながら、オーバーコートの疑似転写動作によって画質を高めるには、疑似転写動作においてサーマルヘッド227に投入エネルギーを高くすることが好ましい。一方、サーマルヘッド227に投入するエネルギーを高くすると、ヘッド温度がオーバーコートの転写と非転写の閾値に近づくことになり、この閾値から十分なマージンがとれなくなる。このため、印画パラメータの設定が適切でないと、オーバーコートが転写してしまう。そうすると、二回目の各色のインクの転写ができなくなる。また、一般に、オーバーコートの転写の印画データは、画素の階調値がなるべく均一であることが求められる。これに対して、各色のインクの転写の印画データは、画素の階調値が均一であるとは限らない。このように、オーバーコートを転写する印画動作(疑似印画動作を含む)と、各色のインクを転写する印画動作とで、サーマルヘッドの発熱状況が異なる。このため、第7の実施形態においては、印画パラメータを、各色のインクの転写とオーバーコートの転写とで、異なるものを用いる。これにより、各色のインクの二回にわたる転写による高濃度を実現し、かつ、疑似印画動作においてオーバーコートを転写しないようにする。
オーバーコートを転写する印画動作(疑似印画動作を含む)に用いる印画パラメータと、各色のインクを転写する印画動作に用いる印画パラメータは、あらかじめ設定されてROM202に格納されている。そして、メインコントローラ201は、オーバーコートを転写する印画動作と、各色のインクを転写する印画動作とで、それぞれ互いに異なる印画パラメータをROM202から読み出して使用する。
印刷処理の動作について、図17を参照して説明する。図17は、第7の実施形態にかかる印刷装置100における印刷処理時の動作フローを示すフローチャートである。第7の実施形態に係る印刷フローは、図11に示す第2の実施形態と比較すると、ステップS107とS108との間にステップS1601が追加された点と、ステップS201とS202との間にステップS1602が追加された点が相違する。それ以外は、第2の実施形態と同じでよい。
ステップS106において、各色のインクの転写であると判断されると、ステップS1601に進む。ステップS1601において、メインコントローラ201は、引続いて実行するステップS107の印画動作に用いる印画パラメータに、各色のインクの転写用の印画パラメータを設定する。そして、ステップS107に進み、各色のインクの転写が行われる。
ステップS201で、オーバーコートの転写であると判断されると、ステップS1602に進む。ステップS1602において、メインコントローラ201は、引続いて実行するステップS205の印画動作に用いる印画パラメータに、オーバーコートの転写用の印画パラメータを設定する。そして、ステップS202に進み、オーバーコートの転写が行われる。
このように、第7の実施形態では、各色のインクを転写する印画動作と、オーバーコートを転写する印画動作とで、印画パラメータを変更する。
以上、本発明の好ましい実施形態について、複数実施例をあげて、説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、本発明が適用できる印刷装置のハードウェア構成は、図4などに示す構成に限定されない。インクリボンを用いる熱転写方式の印刷装置であればよい。
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラムを記憶したコンピュータ読取り可能な記憶媒体は本発明を構成することになる。