JP2016092071A - 太陽電池 - Google Patents

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【課題】 高いキャリアの移動度を確保でき、高い光電変換効率の得られる太陽電池を提供する。【解決手段】 複数の量子ドット3が集積された量子ドット集積部5と、該量子ドット集積部5内に厚み方向に延伸してなる量子細線7とを有する光電変換層1を備えており、量子ドット3および量子細線7は、バンドギャップがいずれも1.7±±1eV以内にある。また、量子細線7は長さ方向に直径が減少している。さらに、量子ドット3および量子細線7は、i型半導体、p型半導体およびn型半導体のうちのいずれかによって構成されている。【選択図】 図1

Description

本発明は、太陽電池に関する。
太陽電池は、二酸化炭素の排出が無く、発電時の燃料が不要という利点を有している。そのため、様々な種類の太陽電池に関する研究が盛んに進められている。現在、実用化されている太陽電池の中では、単結晶シリコン又は多結晶シリコンを用いた、一組のpn接合を有する単接合太陽電池が主流となっている。
従来の単接合太陽電池は、理論限界効率が30%に満たないものとされているため、理論限界効率をさらに向上させる新たな方法として、近年、光電変換層に量子ドットや量子細線などの量子物質を利用した太陽電池が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特表2009−537994号公報
ところが、特許文献1には、シリコンやゲルマニウムなどの半導体材料を量子ドットや量子細線の形状とし、これらを組み合わせて形成される単純な積層構造が示されているだけであり、特許文献1に開示された技術からは、光電変換層においてキャリアの高い移動度を確保し、高い光電変換効率を得ることは困難である。
従って本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高いキャリアの移動度を確保でき、高い光電変換効率の得られる太陽電池を提供することを目的とする。
本発明の太陽電池は、複数の量子ドットが集積された量子ドット集積部と、該量子ドット集積部内に厚み方向に延伸してなる量子細線とを有する光電変換層を備えており、前記量子ドットおよび前記量子細線は、バンドギャップがいずれも1.7±1eV以内にあることを特徴とする。
本発明の太陽電池によれば、高いキャリアの移動度を確保でき、高い光電変換効率を得ることできる。
(a)は、本発明の太陽電池の一実施形態を部分的に示す断面模式図であり、(b)は、(a)のA−A線に沿った断面図である。 本実施形態の他の態様を示すものであり、量子細線の径が長さ方向で異なっている形態を示す断面模式図である。 本実施形態の他の態様を示すものであり、光電変換層にp型半導体層およびn型半導体層のうちの少なくとも一方が積層されている形態を示す断面模式図である。 本実施形態の量子ドット太陽電池の製造方法を示す工程図である。
図1(a)は、本発明の太陽電池の一実施形態を部分的に示す断面模式図であり、(b)は、(a)のA−A線に沿った断面図である。ここでは光電変換層1が1層の太陽電池を示しているが、本発明はこれに限られるものではなく、光電変換層1が2層以上となったものにも適用される。
図1(a)に示すように、本実施形態の太陽電池は、少なくとも1層の光電変換層1を有している。光電変換層1は複数の量子ドット3が集積された量子ドット集積部5内に複数の量子細線7を有する構造である。ここで、量子細線7は、光電変換層1を厚み方向に延伸する長尺状を成している。また、量子ドット3および量子細線7は、バンドギャップがいずれも1.7±1eV以内にある。
図1(a)には、光電変換層1の下層側に透明導電膜9およびガラス基板11を、光電変換層1の上層側に電極層13を配置した構成を示している。この場合、ガラス基板11の下面側が光の入射面15aとなり、電極層13の上面側が光の出射面15bとなる。なお、光の入射面15a側であるガラス基板11の表面や光の出射面15bである電極層13の上面には保護層や反射防止材などが設けられる場合がある。
本実施形態の太陽電池を構成する光電変換層1は、量子ドット集積部5内に量子細線7を有する。量子細線7は、光電変換層1の厚み方向における界面の数が量子ドット3を同じ長さに並べたときに比べて少ないことから量子ドット3よりも導電性に優れている。このため量子ドット3内に生成した電子やホールなどのキャリアCが量子細線7を通じて透明導電膜9や電極膜13側に移動しやすいことから、光電変換に寄与するキャリアCを多く確保することができる。
また、この太陽電池では、上述のように、光電変換層1が量子ドット3と量子細線7とで構成される場合に、両部材のバンドギャップが1.7±1eV以内となっている。光電変換層1が量子ドット3と量子細線7という形状やサイズの大きく異なる量子物質によって形成される場合にも両部材間のバンドギャップの差が小さいことから両部材間におけるキャリアCの移動度を高めることができる。
さらに、この光電変換層1を構成する量子ドット3および量子細線7のバンドギャップが1.7±1eVのレベルであることから、従来の太陽電池に適用されている素子のバンドギャップ(1.1〜1.2eV)とは異なるエネルギー領域である。このため従来の太陽電池の構成にこの光電変換層1を組み合わせた場合にはより広いエネルギー領域をカバーできる太陽電池を得ることができる。ここで、量子ドット3および量子細線7のバンドギャップは、太陽電池から図1(a)に示すような断面を露出させた後に、その露出した表面に対して光電子分光測定を行うことによって求める。
この場合、量子ドット3の直径および量子細線7の直径はいずれも2〜20nmであることが望ましい。量子細線7の長さは量子ドット3の直径の10倍以上であることが望ましい。
図2は、本実施形態の他の態様を示すものであり、量子細線7の径が長さ方向で異なっている形態を示す断面模式図である。また、量子細線7は長さ方向に向けて直径が変化していることが望ましい。量子細線7には両端の直径がw、wと異なっているものが含まれていても良く、さらには、一方端から他方端にかけて直径が次第に減少するような形状のものが含まれていても良い。量子細線7がその両端で異なる直径を有するものであると、量子細線7は長さ方向に量子化準位の分布を有するものになる。この場合、直径が小さく量子化準位の大きい領域で短い波長の光が吸収され、直径が大きく量子化準位の小さ
い領域で長い波長の光が吸収される。これにより1本の量子細線7で波長の異なる光を吸収できるようになることから、より高い光電変換効率を得ることができる。この場合、長さ方向に直径が減少している量子細線7は個数比で10%以上含まれていることが望ましい。
また、この太陽電池では、量子ドット3および量子細線7は、i型半導体、p型半導体およびn型半導体のうちのいずれかによって構成されていることが望ましい。光電変換層1が量子ドット3および量子細線7によって構成されるときに、これらの量子ドット3および量子細線7が異なる電荷を有するものであると、量子ドット3と量子細線7との間に空乏層が形成されやすく電荷分離が容易となる。これにより量子ドット3および量子細線7に生成した電子やホールの量子ドット3および量子細線7への移動度をさらに高めることができる。
なお、上記の具体的な構成としては、量子ドット3がp型半導体またはn型半導体のとき、量子細線7がi型半導体である場合、量子ドット3と量子細線7とが相互にp型半導体およびn型半導体のいずれかで構成される場合とが挙げられる。
上記した量子ドット3および量子細線7の材料としては、種々の半導体材料が適用されるが、バンドギャップが上述のように1.7±1eVを満たす具体的な半導体材料としてはシリコン(Si)が好ましい。シリコンはサイズによって種々のバンドギャップを有するものにできるため、量子ドット3や量子細線7のように形状が大きく変化してもバンドギャップの調整が容易である。この場合、バンドギャップが1.7±0.2eV、直径が2〜6nmであることが望ましい。
図3は、本実施形態の他の態様を示すものであり、光電変換層1にp型半導体層およびn型半導体層のうちの少なくとも一方が積層されている形態を示す断面模式図である。
また、本実施形態の太陽電池では、例えば、図3に示すように、光電変換層1と透明導電膜9との間にp型半導体層およびn型半導体層のうちの少なくとも一方の半導体層17が積層されていても良い。このような構成の例としては、量子ドット3がp型半導体またはn型半導体であり、量子細線7がi型半導体である場合の半導体層17の材料としては、p型またはn型のアモルファスシリコンやn型の酸化亜鉛を挙げることができる。
さらには、半導体層17はp型半導体とn型半導体とを単接合させた積層体であってもよい。このような場合には、量子ドット3および量子細線7を有する光電変換層1との間で積層体を形成できるため光電変換層1と半導体層17とを異なるバンドギャップとした太陽電池の構成が可能となり、さらに広い波長領域をカバーできる太陽電池となる。
光電変換層1内に設けられる量子細線7の割合としては、個数比で10%以上であることが望ましい。
光電変換層1に含まれる量子細線7の個数比は、以下の方法により求める。まず、太陽電池を構成する光電変換層1から、例えば、図1(a)に示すA−A線断面に対応する断面を研磨によって露出させる。次に、断面を露出させた試料に対して、電子顕微鏡による観察を行うために必要な処理を行った後、電子顕微鏡による観察を行う。この場合、量子細線7の端面が20〜100個認められる一定の領域を定めて観察し、撮影する。この後、撮影した写真に見られる量子細線7のそれぞれについて横断面における形状の直径を測定する。次に、単位面積内に存在する全ての量子細線7を抽出し、量子ドット3を含めた全個数に対する個数割合を求める。
また、上記した量子ドット3および量子細線7においては、電子の閉じ込め効果を高められるという理由から量子ドット3および量子細線7の各表面に障壁層(バリア層)を有していてもよい。障壁層は量子ドット3や量子細線7となる半導体材料に比較して2〜15倍のエネルギーギャップを有している材料が好ましい。なお、量子ドット3が表面に障壁層を有する場合には、障壁層の材料としては、Siの酸化物やC、Ti、Cu、Ga、S、InおよびSeから選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物(半導体、炭化物、酸化物、窒化物)が好ましい。
上述のように、本実施形態の太陽電池について、図1〜図3を基に説明したが、本発明の太陽電池は、光電変換層1の厚みを変化させた場合には、吸収できる光の量をより多くすることができ、さらに高い光電変換効率を示す太陽電池を得ることができる。
次に、本実施形態の太陽電池の製造方法について説明する。図4は、本実施形態の太陽電池の製造方法を示す工程図である。まず、図4(a)に示すようにガラス基板21を準備する。次に、このガラス基板21の一方側の主面にITO(InSnO)を主成分とする透明導電膜23を形成する。
次に、図4(b)に示すように、透明導電膜23の表面に量子細線7となる半導体材料からなる柱状晶25を形成する。柱状晶25の形成にはスパッタ法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて形成した半導体膜をエッチングによって形成する方法
の他に柱状晶5に対応する部分を開口部としたマスクパターンを用いる方法が採られる。
次に、図4(c)に示すように、形成した量子細線7となる柱状晶25の周囲に量子ドット3となる半導体粒子27を充填することによって量子ドット集積部5を形成する。量子ドット集積部5を含む光電変換層1を多層化する場合には、図4(b)、(c)の工程を繰り返す。
最後に、量子ドット集積部5の上面側に電極層29を形成する。電極層29の材料としては、耐腐食性が高いという点で、金、銀、パラジウムおよび白金などから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。次いで、この電極膜29の表面に、必要に応じて保護層や反射防止材など形成する。
以上より得られる太陽電池は、光電変換層1がともに同じバンドギャップを示す量子ドット3と量子細線7とによって形成されてために、キャリアCの収集効率が高まり、光電変換効率を高めることができる。
1・・・・・・・・・・・光電変換層
3・・・・・・・・・・・量子ドット
5・・・・・・・・・・・量子ドット集積部
7・・・・・・・・・・・量子細線
9・・・・・・・・・・・透明導電膜
11、21・・・・・・・ガラス基板
13・・・・・・・・・・電極層
15a・・・・・・・・・光の入射面
15b・・・・・・・・・光の出射面
17・・・・・・・・・・半導体層
25・・・・・・・・・・柱状晶
27・・・・・・・・・・半導体粒子
C・・・・・・・・・・・キャリア



Claims (7)

  1. 複数の量子ドットが集積された量子ドット集積部と、該量子ドット集積部内に厚み方向に延伸してなる量子細線とを有する光電変換層を備えており、前記量子ドットおよび前記量子細線は、バンドギャップがいずれも1.7±1eV以内にあることを特徴とする太陽電池。
  2. 前記量子細線は、長さ方向に向けて直径が変化していることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  3. 前記量子ドットおよび前記量子細線は、i型半導体、p型半導体およびn型半導体のうちのいずれかによって構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池。
  4. 前記量子ドットおよび前記量子細線は、主成分がいずれもシリコンであることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の太陽電池。
  5. 前記光電変換層にp型半導体層およびn型半導体層のうちの少なくとも一方が積層されていることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれかに記載の太陽電池。
  6. 前記p型半導体層がアモルファスシリコン膜であることを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
  7. 前記n型半導体層が酸化亜鉛膜であることを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
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