本発明は、カードコネクタに関する。
従来のカードコネクタが下記特許文献1に記載されている。このカードコネクタは、ボディと、スライダアッセンブリと、第1スプリングと、第2スプリングと、カバーを備えている。ボディは、カードが挿脱可能なスロットを有している。スライダアッセンブリは、ボディ内の第1位置から第2位置を越えて第3位置へカードと共にスライド可能に設けられている。第1位置は、スロットに挿入されたカードがカードコネクタに接続される接続位置である。第2位置は、カードがスロットから排出可能な排出位置である。第3位置は、カードがスロットからの飛び出しを防止する飛び出し防止位置である。第1スプリングは、第1位置に位置するスライダアッセンブリに対して第3位置への付勢力を付与する。第2スプリングは、スライダアッセンブリが第3位置に位置するとき、当該スライダアッセンブリに弾性的に接触して当該スライダアッセンブリを第2位置へ押し戻す。カバーは、ボディに取り付けられ、スライダアッセンブリ、第1スプリング及び第2スプリングを覆っている。
上記カードコネクタは、二つのコイルスプリングを必要としているため、部品点数が多い。
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、部品点数の低減を図ることができるカードコネクタを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のカードコネクタは、ボディと、スライダと、付勢部と、カバーとを備えている。ボディは、カードが挿脱可能なスロットを有する。スライダは、カードと共に少なくともボディ内の第1位置と当該第1位置よりもカードの排出方向側に位置する第2位置との間をスライド自在となるように、当該ボディ内に設けられている。付勢部は、第1位置に位置するスライダを排出方向に付勢するようになっている。カバーは、カバー本体と、板バネとを有している。カバー本体は、スロットを覆うようにボディに固着されている。板バネは、カバー本体に設けられている。板バネの少なくとも一部は、第1位置よりも排出方向側でスライダにカードの挿入方向側から弾性的に当接可能となるように、ボディ内に配置されている。
このような態様のカードコネクタは、部品点数の低減を図ることができる。その理由は以下の通りである。スライダが付勢部に付勢されることによって、スライダが第1位置から第2位置へ移動する。その過程で、カバーの板バネが、第1位置よりも排出方向側でスライダに弾性的に当接するので、スライダの排出方向への移動の勢いを抑制することができる。よって、本カードコネクタは当該移動の勢いを抑制するためのコイルスプリング等の弾性体の分、部品点数を低減することができる。
板バネの少なくとも一部は、第2位置でスライダに挿入方向側から弾性的に当接可能となるようにボディ内に配置された構成とすることが可能である。
スライダは、係合部を有する構成とすることが可能である。係合部は、カードの係合凹部に係合可能であり且つ係合凹部から脱する脱方向に少なくとも部分的に変位可能である構成とすることが可能である。ボディは許容空間を更に有する構成とすることが可能である。許容空間は、ボディ内に設けられており、且つスライダが第2位置に位置しているときに、係合部の脱方向への変位を許容するようになっていると良い。
このような態様のカードコネクタによる場合、スライダが第2位置に位置しているときに、カードをカードコネクタから容易に取り出すことができる。スライダが第2位置に位置しているときに、係合部が許容空間で脱方向へ変位し、係合部とカードの係合凹部との係合が容易に解除できるためである。
スライダは、ボディ内で第2位置を越えて、当該第2位置よりも排出方向に設けられた第3位置にスライド可能な構成とすることが可能である。ボディは、当接部を更に有する構成とすることが可能である。当接部は、ボディ内の許容空間よりも排出方向側に設けられており且つスライダが第3位置に位置しているときに、脱方向側から係合部に当接して当該係合部の脱方向への変位を不能にする構成とすることが可能である。カバーの板バネは、第2位置から第3位置へスライドするスライダによって排出方向に押圧され、排出方向に弾性変形する構成とすることが可能である。
このような態様のカードコネクタは、以下の技術的特徴及び効果を奏する。第1に、カードの排出方向への飛び出しを防止することができる。スライダが第3位置に位置しているときに、当接部が脱方向側から係合部に当接して当該係合部の脱方向への変位を不能にする。これにより、係合部がカードの係合凹部に係合された状態が維持されるので、カードの排出方向への飛び出しが防止される。第2に、スライダの第2位置を越えた排出方向の移動の勢いを抑制することができる。カバーの板バネの弾性変形によって、スライダに対して挿入方向に荷重がかかるためである。
第3位置は、第2位置よりも排出方向側ではなく、ボディ内の第1位置と第2位置との間に設けられていても良い。この場合、1)及び2)の構成とすることが可能である。1)許容空間は、スライダが第3位置に位置しているときに、係合部の脱方向への変位を許容する空間とすることが可能である。2)当接部は、スライダが第2位置に位置しているときに、脱方向側から係合部に当接して当該係合部の脱方向への変位を不能にする構成とすることが可能である。
このような態様のカードコネクタは、以下の技術的特徴及び効果を奏する。第1に、カードの排出方向への飛び出しを防止することができる。スライダが第2位置に位置しているときに、当接部が脱方向側から係合部に当接して当該係合部の脱方向への変位を不能にする。これにより、係合部がカードの係合凹部に係合された状態が維持されるので、カードの排出方向への飛び出しが防止される。第2に、スライダが第3位置に位置しているときに、カードをカードコネクタから容易に取り出すことができる。スライダが第3位置に位置しているときに、係合部が許容空間で脱方向へ変位し、係合部とカードの係合凹部との係合が容易に解除できるためである。
当接部は、脱方向の反対方向側の第1面と、挿入方向側の第2面と、第1面と第2面が当接する角部を有する構成とすることが可能である。係合部と、当接部の第1面に沿って排出方向に延びる仮想線との位置関係は、1)係合部が仮想線よりも部分的に脱方向側に位置し、2)係合部が第2面に当接可能であり、且つ3)スライダが第2位置から第3位置へ移動するとき、係合部が角部を乗り越えて第1面に当接可能である位置関係とすることが可能である。
このような態様のカードコネクタによる場合、スライダが第2位置を越えて第3位置へ移動する可能性を抑制することができる。スライダが第1位置から第2位置へ移動すると、スライダが板バネに弾性的に当接すると共に、係合部が部分的に当接部の第2面に当接するからである。
板バネは、カバー本体から排出方向に延びた板である基部と、基部に連続しており且つ当該基部に対して折り曲げられた先端部とを有する構成とすることが可能である。板バネの先端部は、第2位置に位置するスライダに弾性的に当接可能な構成とすることが可能である。スライダが板バネの先端部に当接することにより当該先端部にかかる荷重により、板バネの基部がボディから離れる方向に弾性変形可能である構成とすることが可能である。
このような態様のカードコネクタは、以下の技術的特徴及び効果を奏する。板バネの長寿命化を図ることができる。スライダが板バネの先端部に当接することにより当該先端部にかかる荷重が、板バネの基部及び先端部の弾性変形によって吸収されるためである。
板バネの先端部は、第2位置から第3位置へスライドするスライダによって排出方向に押圧されることにより、排出方向に弾性変形可能な構成とすることが可能である。この場合、スライダが板バネの先端部を押圧することにより当該先端部にかかる荷重により、板バネの基部がボディから離れる方向に弾性変形可能である構成とすることが可能である。
このような態様のカードコネクタは、以下の技術的特徴及び効果を奏する。第1に、スライダの第2位置を越えた排出方向の移動の勢いを更に抑制することができる。カバーの板バネの基部及び先端部の弾性変形によって、スライダに対して挿入方向に荷重がかかるためである。第2に、板バネの長寿命化を図ることができる。スライダが板バネの先端部に当接することにより当該先端部にかかる荷重が、板バネの基部及び先端部の弾性変形によって吸収されるためである。
ボディは、収容部と、挿入孔とを更に有する構成とすることが可能である。収容部は、ボディ内にスロットに隣接するように設けられており且つスライダをスライド自在に収容する構成とすることが可能である。挿入孔は、ボディの収容部よりも排出方向側の部分に設けられた構成とすることが可能である。板バネの先端部が挿入孔内に挿入された構成とすることが可能である。
このような態様のカードコネクタは、組み立てが容易である。カバーのカバー本体をボディに取り付けるときに、板バネの先端部が挿入孔に挿入される。このようにカバー本体のボディに対する取り付け及び板バネのボディ内への配置を一度に行うことができる。
ボディは、支持部と、連通孔とを更に有する構成とすることが可能である。支持部は、ボディの収容部と挿入孔との間に設けられており且つ板バネの基部を支持する構成とすることが可能である。連通孔は、収容部と挿入孔とが連通するように当該ボディの支持部を貫通した構成とすることが可能である。スライダは、連通孔から挿入孔内に挿入され、板バネの先端部に弾性的に当接可能である突起を更に有する構成とすることが可能である。
このような態様のカードコネクタは、板バネが支持部に支持されているため、カードコネクタに対して外部から振動や衝撃が加わったとしても、当該振動や衝撃による板バネのぐらつきが抑制される。
スロット及び挿入孔は、排出方向及び挿入方向に交差する交差方向の一方側に開口された構成とすることが可能である。カバー本体は、スロットを交差方向の一方側から覆う構成とすることが可能である。板バネの先端部は、基部から交差方向の他方側に延びており、挿入孔に交差方向の一方側から挿入される構成とすることが可能である。
このような態様のカードコネクタは、組み立てが更に容易になる。交差方向の一方側からカバーのカバー本体をボディに取り付けるときに、板バネの先端部が交差方向の一方側から挿入孔に挿入されるためである。
本発明の実施例に係るカードコネクタ及びカードの正面、平面及び左側面を表した斜視図であって、前記カードが前記カードコネクタに接続された状態を示す図である。
前記カードコネクタ及び前記カードの背面、底面及び右側面を表した斜視図であって、前記カードが前記カードコネクタに接続された状態を示す図である。
前記カードコネクタのカバーを取り外した状態の正面、平面及び右側面を表した斜視図であって、当該カードコネクタのスライダが第3位置に位置している状態を示す図である。
前記カードコネクタ及び前記カードの図1A中の2A−2A断面図であって、当該カードコネクタのスライダが第1位置に位置している状態を示す図である。
前記カードコネクタ及び前記カードの図1A中の2B−2B断面図であって、当該カードコネクタのスライダが第1位置に位置している状態を示す図である。
前記カードコネクタの正面、平面及び左側面を表した分解斜視図及び前記カードの正面、平面及び左側面を表した斜視図である。
前記カードコネクタの背面、底面及び右側面を表した分解斜視図及びカードの背面、底面及び右側面を表したである。
前記カードコネクタ及び前記カードの図2Aに対応する断面図であって、当該カードコネクタのスライダが第2位置に位置している状態を示す図である。
前記カードコネクタ及び前記カードの図2Bに対応する断面図であって、当該カードコネクタのスライダが第2位置に位置している状態を示す図である。
前記カードコネクタ及び前記カードの図2Aに対応する断面図であって、当該カードコネクタのスライダが第3位置に位置している状態を示す図である。
前記カードコネクタ及び前記カードの図2Bに対応する断面図であって、当該カードコネクタのスライダが第3位置に位置している状態を示す図である。
前記カードコネクタの第1設計変形例を示す断面図であって、当該カードコネクタのスライダが第3位置に位置している状態を示す図である。
前記カードコネクタの第2設計変形例を示す断面図であって、当該カードコネクタのスライダが第1位置に位置している状態を示す図である。
以下、本発明の実施例に係るカードコネクタCについて図1A〜図5Bを参照しつつ説明する。カードコネクタCは、カードMが接続可能なコネクタである。以下、これらについて詳しく説明する。なお、図2A〜図5Bに示されるY−Y’方向は、カードMのカードコネクタCに対する挿脱方向に相当する。Y方向は特許請求の範囲のカードの排出方向に相当する。Y’方向は特許請求の範囲のカードの挿入方向(排出方向の反対方向)に相当する。図2A、図3A〜図3B、図4A及び図5Aに示されるX−X’方向は、カードコネクタCの幅方向に相当する。X−X’方向は、Y−Y’方向に直角に交差する。X’方向は、特許請求の範囲の係合部の脱方向に相当する。図2B、図3A〜図3B、図4B及び図5Bに示されるZ−Z’方向は、特許請求の範囲の交差方向及びカードコネクタCの厚み方向に相当する。Z−Z’方向は、Y−Y’方向及びX−X’方向に直角に交差する。Z方向は、特許請求の範囲の交差方向の一方側に相当し、Z’方向は特許請求の範囲の交差方向の他方側に相当する。
カードMは、例えば、ICカード、PCカード、SIMカード、SDカード、miniSDカード等である。カードMは、図3Bに最も良く示されているように、係合凹部M1と、嵌合凹部M2と、複数の電極M3とを備えている。係合凹部M1は、カードMのX’方向側の端部の中央部に設けられている。嵌合凹部M2は、カードMのX’方向及びY’方向側の角部に設けられている。電極M3は、カードMのY’方向側の端部のZ’方向側の端面(底面)にX−X’方向に間隔をあけて設けられている。
カードコネクタCは、ボディ100と、複数の端子200と、スライダ300と、付勢部500と、ハートカム機構Hと、第1スイッチ端子600aと、第2スイッチ端子600bと、カバー700とを備えている。
ボディ100は絶縁樹脂で構成されている。ボディ100は、図1C、図2A及び図3Bに最も良く示されているように、スロット110と、複数の保持溝120と、第1収容部130と、挿入孔140と、支持部150と、連通孔160と、第2収容部170と、複数の第1係合突部180と、図示しない第2係合突部と、X方向側の外面と、X’方向側の外面と、Y’方向側の外面とを有している。なお、第1収容部130が特許請求の範囲の収容部に相当する。
スロット110は、ボディ100に設けられた凹部である。スロット110は、Y方向及びZ方向に開口している。スロット110は、Z’方向側の面と、Y方向の壁とを有している。スロット110のX−X’方向の寸法は、カードMのX−X’方向の寸法に対応している。スロット110のZ−Z’方向の寸法は、カードMのZ−Z’方向の寸法に対応している。スロット110のY−Y’方向の寸法は、カードMのY−Y’方向の寸法よりも小さい。このスロット110に対してカードMがY−Y’方向に挿脱可能となっている。なお、図2A及び図2Bに示されるカードMの位置は、カードMがカードコネクタCに接続される接続位置である。図4A及び図4Bに示されるカードMの位置は、カードMがカードコネクタCのスロット110から排出可能な排出位置である。図5A及び図5Bに示されるカードMの位置は、カードMがスロット110から飛び出しが防止される飛び出し防止位置である。
保持溝120は、図3Aに最も良く示されているように、スロット110のZ’方向側の面(底面)にX−X’方向に間隔をあけて設けられている。保持溝120は、Y−Y’方向に延びており且つスロット110のY方向の壁を貫通した長溝である。
第1収容部130は、ボディ100のスロット110のX’方向側の部分に当該スロット110に連通するように設けられた凹部である。第1収容部130は、Y−Y’方向に延びており且つZ方向に開放されている。第1収容部130は、スロット110よりもZ’方向に窪んでいる。第1収容部130は、Y’方向側の壁と、Y方向側の端部と、円柱131と、当接部132と、許容空間133とを有している。
円柱131は、図2Aに最も良く示されているように、第1収容部130のY’方向側の壁からY方向に延びている。当接部132は、第1収容部130内のY方向側の端部のX’方向側の部分に設けられた矩形状のブロックである。当接部132は、X方向側(脱方向の反対方向側)の第1面132aと、Y’方向側(挿入方向側)の第2面132bと、角部132cとを有している。角部132cは、第1面132aと第2面132bとが当接する当接部132の角部である。許容空間133は、第1収容部130内の当接部132よりもY’方向側に設けられている。換言すると、当接部132は、許容空間133よりもY方向側(排出方向側)に位置している。許容空間133のX−X’方向の寸法は、当接部132がない分、第1収容部130内のY方向側の端部のX−X’方向の寸法よりも大きい。
挿入孔140は、図2A及び図2Bに最も良く示されているように、ボディ100の第1収容部130のY’方向側に設けられている。挿入孔140はボディ100をZ−Z’方向に貫通している。すなわち、挿入孔140は、Z方向及びZ’方向に開口している。支持部150は、ボディ100の第1収容部130と挿入孔140との間に設けられた壁である。連通孔160は、支持部150のZ’方向側且つX方向側の部分をY−Y’方向に貫通した貫通孔である。連通孔160は、当接部132よりもX方向側に位置している。連通孔160を通じて第1収容部130と挿入孔140とが連通している。連通孔160のX−X’方向の寸法は、第1収容部130のX−X’方向の寸法よりも小さい。連通孔160のZ−Z’方向の寸法は、第1収容部130のZ−Z’方向の寸法よりも小さい。
第2収容部170は、図1Bに最も良く示されているように、ボディ100のスロット110のX方向側の部分に設けられた凹部であって、Z’方向に開口している。第2収容部170は、X’方向の開口を有している。図2Aに示されているようにX’方向の開口によって、第2収容部170がスロット110に連通している。
第1係合突部180は、図3Aに最も良く示されているように、ボディ100のX方向側の外面及びX’方向側の外面に各々Y−Y’方向に間隔をあけて設けられている。また、第2係合突部がボディ100のY’方向側の外面にX−X’方向に間隔をあけて設けられている。
各端子200は金属板で構成されている。端子200は、図3A及び図3Bに最も良く示されているように、固定板210と、接点部220と、テール部230とを有している。固定板210は、Y−Y’方向に延びた板である。固定板210は、Y方向側の端と、Y’方向側の端とを有する。接点部220は、固定板210のY’方向側の端に連続し且つZ方向及びY方向に折り返された板である。接点部220はZ方向に凸となるように湾曲している。テール部230は、固定板210のY方向側の端に連続しており且つZ−Z’方向に延びた板である。
端子200の固定板210が保持溝120に各々保持されている。保持溝120の間隔はカードMの電極M3の間隔に対応しているため、端子200も、電極M3に各々対応する位置に配置されている。端子200の接点部220が保持溝120からZ方向に突出している。接点部220が電極M3に各々接触可能な部位である。接続位置でカードMの電極M3が接点部220に接触することにより、カードMがカードコネクタCに接続される。これが、上記したカードMの接続位置である。端子200のテール部230は、保持溝120からY’方向に各々突出している。テール部230が図示しない基板の複数の第1電極に各々接続可能な部位である。
第1スイッチ端子600a及び第2スイッチ端子600bは、カードMが接続位置に位置したか否かを検出する位置検出スイッチである。第2スイッチ端子600bは、金属板で構成されている。第2スイッチ端子600bは、図2Aに示されるように、ボディ100の第2収容部170内に収容されている。第2スイッチ端子600bは、図3A及び図3Bに最も良く示されているように、ベース610bと、傾斜部620bと、接続部630bとを有している。ベース610bは、略L字状の板である。ベース610bは、第1板及び第2板を有している。ベース610bの第1板は、Y−Y’方向に延びている。ベース610bの第2板は、第1板のY’方向側の端部からZ’方向に延びた板である。ベース610bのY’方向側の端部及び第2板が、第2収容部170のY’方向側の内壁に設けられた圧入溝に圧入されている。接続部630bは、ベース610bの第1板のY方向側の端からX方向に延びた板であって、第2収容部170外に突出している(図2A参照)。接続部630bが上記基板の一対の第2電極の一方に接続可能である。傾斜部620bは、ベース610bの第2板からY方向及びX’方向の成分を含む方向に傾斜しつつ延びた板である。傾斜部620bは、X−X’方向に弾性変形可能である。
第1スイッチ端子600aは、金属板で構成されている。第1スイッチ端子600aは、図3A及び図3Bに最も良く示されているように、ベース610aと、傾斜部620aと、接続部630aとを有している。ベース610aは、略L字状の板である。ベース610aは、第1板及び第2板を有している。ベース610aの第1板は、Y−Y’方向に延びている。ベース610aの第2板は、第1板のY方向側の端からZ’方向に延びた板である。ベース610aのY方向側の端部及び第2板が、第2収容部170のY方向側の内壁に設けられた圧入溝に圧入されている。接続部630aは、ベース610aの第1板のY’方向側の端部からX方向に延びた板であって、第2収容部170外に突出している(図2A参照)。接続部630aが上記基板の他方の第2電極に接続可能である。傾斜部620aは、ベース610aの第2板からY’方向及びX’方向の成分を含む方向に傾斜しつつ延びた板である。傾斜部620aは、X−X’方向に弾性変形可能である。傾斜部620aの自由端部は、X’方向に凸の略V字状に折り曲げられている(これを折曲部と称する。)。傾斜部620aの折曲部が第2収容部170のX’方向の開口を通じてスロット110内に挿入されている。傾斜部620aの折曲部は、接続位置に位置するカードMにX方向に押圧される部分である。この傾斜部620aの折曲部がカードMにX方向に押圧されることによって、傾斜部620aがX方向に弾性変形する。傾斜部620aの自由端部の先端は、傾斜部620bの自由端部の先端のX’方向側に間隙を有して対向配置されている。傾斜部620aがX方向の弾性変形することによって、傾斜部620aの自由端部の先端が傾斜部620bの自由端部の先端に接触する。この接触により、上記位置検出スイッチがオンになり、カードMが接続位置に位置していることが検出される。
スライダ300は、図1C、図2A、図2B及び図4A〜図5Bに示されるようにY−Y’方向にスライド自在に第1収容部130内に収容されている。より具体的には、スライダ300は、第1収容部130内の第1位置(図2A及び図2B参照)と第3位置(図5A及び図5B参照)との間をカードMと共にY−Y’方向にスライド自在となっている。第1収容部130の第1位置と第3位置との間には、第2位置(図4A及び図4B参照)が設けられている。第1位置は、カードMが接続位置に位置するときに、スライダ300が位置する第1収容部130内の位置である。第2位置は、カードMが排出位置に位置するときに、スライダ300が位置する第1収容部130内の位置であって、第1位置よりもY方向側に設けられている。第3位置は、カードMが飛び出し防止位置に位置するときに、スライダ300が位置する位置であって、第2位置よりもY方向側に位置している。
スライダ300は、図3A及び図3Bに最も良く示されているように、本体部310と、突起320と、突部330と、ブロック340と、ガイド板350と、固定溝360と、収容凹部370と、窓部380とを有している。本体部310、突起320、突部330、ブロック340及びガイド板350は、絶縁樹脂で一体的に構成されている。
本体部310はY−Y’方向に延びた直方体のブロックである。本体部310は、Z方向側の面と、Z’方向側の面と、X’方向側の面と、Y方向側の端面とを有している。本体部310のZ方向側の面のX方向側の端部には、ガイド溝311が設けられている。ガイド溝311はY−Y’方向に延びている。スライダ300が第3位置に位置するときに、本体部310のY方向側の端面は、ボディ100の支持部150に当接可能である(図5B参照)。
ガイド板350はY−Y’方向に延びた板であって、本体部310のZ’方向側の面のX方向側の端部に設けられている。ガイド板350は、X方向側の面と、X’方向側の面と、Y’方向側の端部とを有している。
ブロック340は、本体部310のZ’方向側の面上のガイド板350よりもX’方向側の部分に設けられている。ブロック340はガイド板350のY’方向側の端部に一体化されている。ブロック340は、X’方向側の面と、Y方向側の端部と、Y’方向側の端部とを有している。本体部310及びブロック340のX’方向側の面からガイド板350のX方向側の面までX−X’方向の距離は、ボディ100の第1収容部130のX−X’方向の寸法と略同じ又は若干小さい。本体部310及びブロック340が第1収容部130のX’方向側の壁面上をX−X’方向に摺動可能となっており、且つガイド板350がボディ100の第1収容部130のX方向側の縁に沿ってY−Y’方向に摺動可能となっている(図2A、図4A及び図5A参照)。
ブロック340のY方向側の端部には、略L字状の固定溝360が設けられている。固定溝360は、Y方向及びZ’方向に開放されている。ブロック340のY’方向側の端部には、略半円柱状の収容凹部370が設けられている。収容凹部370は、Z’方向及びY’方向に開口している。収容凹部370には、コイルスプリングである付勢部500のY方向側の端部が挿入されている。付勢部500のY’方向側の端部は、第1収容部130の上記Y’方向側の壁に当接している。付勢部500のY’方向側の端部内には、第1収容部130の円柱131が挿入されている。このように付勢部500がスライダ300と第1収容部130のY’方向側の壁との間に介在している。スライダ300が第1位置に位置するとき、付勢部500がスライダ300と第1収容部130のY’方向側の壁との間で圧縮される。この付勢部500の付勢力によって、第1位置に位置するスライダ300にY方向(排出方向)への復帰力が付与される。
突部330は、ガイド板350のX方向側の面に設けられた直方体である。突部330は、図1Cに最も良く示されているように、スロット110内にY−Y’方向に移動自在に配置されている。突部330の外形は、図2A、図4A及び図5Aに示されるように、カードMの嵌合凹部M2の内形に対応している。突部330がカードMの嵌合凹部M2に嵌合可能な部分である。突部330がカードMの嵌合凹部M2に嵌合することによって、スライダ300がカードMと共にY−Y’方向にスライド自在となっている。
突起320は、図3Bに最も良く示されているように、本体部310のZ’方向側の面のガイド板350よりもY方向側の部分に間隙を有して設けられている。突起320は、略L字状のブロックであって、本体部310のY方向側の端面よりもY方向側に突出している。突起320のX−X’方向の寸法は、本体部310のX−X’方向の寸法よりも小さく且つボディ100の連通孔160のX−X’方向の寸法よりも若干小さい。スライダ300が第2位置及び第3位置に位置するときに、突起320が、ボディ100の連通孔160から挿入孔140内に挿入可能となっている(図4B及び図5B参照)。突起320とガイド板350との間の間隙が窓部380となっている。
スライダ300は、係合部400を更に有している。係合部400は、金属製のロックバネであって、スライダ300と共にボディ100の第1収容部130内にY−Y’方向に移動自在に収容されている。係合部400は、図2A〜図5Bに示されるように、固定部410と、鉤部420と、アーム430とを有している。固定部410は略L字状の板であって、スライダ300ののブロック340の固定溝360に嵌合している。このように係合部400がスライダ300のブロック340に固定されている。アーム430は、Y−Y’方向に延びた板であって、固定部410と鉤部420とを繋いでいる。アーム430は、スライダ300のガイド板350の上記X’方向側の面に沿って配置されている。アーム430はX−X’方向に弾性変形可能である。鉤部420は、鉤状に折り曲げられた板であって、アーム430の弾性変形に応じてX−X’方向に変位可能である。鉤部420は、第1V部及び第2V部を有している。鉤部420の第1V部は、X方向に略V字状に折り曲げられた部分であって、スライダ300の窓部380からX方向に突出し、ボディ100のスロット110内に配置されている。鉤部420の第1V部がカードMの係合凹部M1に係合可能な部位である。鉤部420の第2V部は、X’方向に略V字状に折り曲げられた部分である。鉤部420の第2V部と、ボディ100の当接部132の第1面132aに沿ってY−Y’方向に延びる仮想線α(図2A参照)との位置関係は以下の通りである。1)鉤部420の第2V部の頂点が、仮想線αよりもX’方向側に位置している。2)鉤部420の第2V部が当接部132の第2面132bに当接可能である。3)スライダ300が第2位置から第3位置へ移動するとき、鉤部420の第2V部が、当接部132の角部132cを乗り越えて、第1面132aに当接可能である。
スライダ300が第2位置に位置しているとき、鉤部420はボディ100の許容空間133内に配置される。このため、鉤部420は、X’方向(特許請求の範囲の脱方向)に変位可能となる。換言すると、係合部400は、許容空間133内で部分的にX’方向に変位可能となっている。カードMがY方向に移動することによって、カードMの係合凹部M1のY’方向側の縁部が、鉤部420の第1V部を押圧する。この押圧によって、鉤部420が許容空間133内でX’方向側に変位するため、カードMの係合凹部M1と鉤部420の第1V部との係合が解除され、カードMが上記排出位置でボディ100のスロット110から排出可能となる。このようにスライダ300の第2位置は、係合部400の鉤部420が許容空間133に位置するときに、スライダ300が位置する第1収容部130内の位置でもある。
スライダ300が第3位置に位置しているとき、鉤部420の第2V部が当接部132の第1面132aにX方向側から当接する。換言すると、当接部132が鉤部420の第2V部にX’方向側から当接する。この当接によって鉤部420がX’方向に変位不能となる。このため、鉤部420の第1V部とカードMの係合凹部M1との係合が維持されるので、付勢部500の付勢力によって、スライダ300と共にY方向に移動するカードMが上記飛び出し防止位置でボディ100のスロット110から飛び出すことが防止される。このようにスライダ300の第3位置は、係合部400の鉤部420が当接部132に当接するときに、スライダ300が位置する第1収容部130内の位置でもある。
ハートカム機構Hは、カム溝H1と、略U字状のピンH2とを有している。カム溝H1は、図1Cに最も良く示されているように、本体部310のZ方向側の面に設けられている。ピンH2は長さ方向の第1端及び第2端を有している。ピンH2の第1端がボディ100の支持部150に回転自在に軸支されている。ピンH2の第2端は、スライダ300の移動に応じてカム溝H1内を移動自在となるように、当該カム溝H1内に挿入されている。カム溝H1は、スライダ300が第1位置を越えてY’方向に押し込まれると、ピンH2の第2端を位置固定する一方、再度Y’方向に押し込むことによって当該位置固定を解除する形状となっている。
カバー700は、金属板で構成されている。カバー700は、図3A及び図3Bに最も良く示されているように、カバー本体710と、板バネ720と、押え板730と、ガイド740とを有している。カバー本体710は、ボディ100のスロット110及び第1収容部130をZ方向側から覆うようにボディ100に取り付けられている。カバー本体710は、主板711と、一対の側板712と、背板713とを有している。主板711は矩形状の板である。主板711のX−X’方向の寸法は、ボディ100のX−X’方向の寸法よりも若干大きい。主板711は、X方向側の端と、X’方向側の端と、Y方向側の端と、Y’方向側の端とを有している。側板712の一方は、主板711のX方向側の端からZ方向に延びた板であって、ボディ100のX方向側の外面に当接している。側板712の他方は、主板711のX’方向側の端から各々Z方向に延びた板であって、ボディ100のX’方向側の外面に当接している。各側板712には、複数の係合孔712aがY−Y’方向に間隔をあけて設けられている。背板713は、Y’方向側の端からZ方向に延びた板であって、ボディ100のY’方向側の外面に当接している。背板713には、複数の係合孔713aがX−X’方向に間隔をあけて設けられている。係合孔712aにボディ100の第1係合突部180が各々係合され、係合孔713aにボディ100の第2係合突部が各々係合されている。このようにしてカバー本体710がボディ100に取り付けられている。
板バネ720は、主板711に一体的に設けられた略V字状の板である。板バネ720は、基部721と、先端部722とを有している。基部721は、主板711のY方向の端のX’方向側の端部からY方向に延びた板である。基部721は、支持部150上に位置し、支持部150に支持されている。先端部722は、基部721のY方向側の端からZ’方向及びY’方向の成分を含む方向に延びた板である。先端部722は、ボディ100の挿入孔140に挿入されている。先端部722は、第2位置に位置するスライダ300の突起320に弾性的に当接可能であり、且つ第2位置から第3位置へ移動するスライダ300の突起320によって押圧され、Y方向(排出方向)に弾性変形可能である。スライダ300の突起320が先端部722を押圧することにより当該先端部722にかかる荷重により、基部721がZ方向(ボディ100から離れる方向)に弾性変形可能である。この板バネ720の先端部722及び基部721の弾性変形により、付勢部500に付与されたスライダ300のY方向への移動の勢いいが抑制され、且つスライダ300が第3位置から第2位置へ押し戻される。なお、図5Bでは、基部721のZ方向の弾性変形が表れていない。
押え板730は、主板711の板バネ720のハートカム機構Hに対応する部分が切り欠かれて形成された板である。押え板730は、Z’方向及びY’方向の成分を含む方向に傾斜している。押え板730がハートカム機構HのピンH2に弾性的に当接している。これにより、ピンH2のZ方向への浮き上がりが防止されている。
ガイド740は、主板711のスライダ300のガイド溝311に対応する部分が切り欠かれて形成された板である。ガイド740は、Z’方向に延びている。ガイド740のX−X’方向の厚み寸法がガイド溝311のX−X’方向の寸法よりも若干小さい。ガイド740がガイド溝311内にY−Y’方向に移動自在に挿入されている。これにより、スライダ300のY−Y’方向の移動が安定する。
以下、上記した構成のカードコネクタCの組み立て手順について詳しく説明する。まず、ボディ100及び端子200を用意する。端子200をボディ100の保持溝120に各々挿入する。これにより、端子200がボディ100にX−X’方向に間隔をあけて保持される。その後、第1スイッチ端子600a及び第2スイッチ端子600bを用意する。第1スイッチ端子600aをボディ100の第2収容部170に収容させ、ボディ100に保持させる。このとき、第1スイッチ端子600aの傾斜部620aの折曲部が第2収容部170のX’方向側の開口からスロット110内に配置される。その後、第2スイッチ端子600bをボディ100の第2収容部170に収容させ、ボディ100に保持させる。すると、傾斜部620bの自由端部の先端が、傾斜部620aの自由端部の先端のX方向側に間隙を有して対向配置される。
その一方で、スライダ300を用意する。係合部400の固定部410をスライダ300の固定溝360に保持させる。これにより、係合部400がスライダ300の本体部310のZ’方向側に配置される。具体的には、係合部400のアーム430がスライダ300のガイド板350よりX’方向側に配置され、係合部400の鉤部420がスライダ300の窓部380からX方向側に部分的に突出する。
その後、付勢部500を用意する。付勢部500のY方向側の端部をスライダ300の収容凹部370内に挿入する。この状態で、付勢部500のY’方向側の端部内に、ボディ100の第1収容部130の円柱131を挿入させ、且つ付勢部500のY’方向側の端部を第1収容部130のY’方向側の壁に当接させる。そして、付勢部500をスライダ300と第1収容部130のY’方向側の壁との間で圧縮させながら、付勢部500、スライダ300及び係合部400を第1収容部130内に収容させる。このとき、スライダ300の突部330及び係合部400の鉤部420の第1V部がスロット110内に配置される。
その後、カバー700を用意する。付勢部500を圧縮させ、スライダ300を第2位置よりもY’方向側に位置させた状態で、カバー700のカバー本体710がボディ100のスロット110及び第1収容部130をZ方向側から覆うように、カバー本体710をボディ100に取り付ける。これと共に、板バネ720の基部721をボディ100の支持部150上にZ方向側から載置し、板バネ720の先端部722をボディ100の挿入孔140にZ方向側から挿入する。その後、付勢部500を解放する。すると、スライダ300は、付勢部500のY方向への付勢力と、板バネ720のY’方向への付勢力とのバランスによって、第2位置に位置する。このようにしてカードコネクタCが組み立てられる。
以下、上記カードコネクタCにカードMを接続する手順について詳しく説明する。まず、カードMをカードコネクタCのスロット110に挿入する。すると、係合部400の鉤部420がカードMの嵌合凹部M2のY方向側の壁にX’方向に押圧され、許容空間133でX’方向側に変位し、アーム430がX’方向側に弾性変形する。その後、スライダ300の突部330が第2位置でカードMの嵌合凹部M2に嵌合すると共に、カードコネクタCの係合部400の鉤部420がX方向に変位してカードMの係合凹部M1に挿入され、アーム430が復元する。これにより、鉤部420が係合凹部M1に係合される。
その後、カードMを排出位置から接続位置にかけて移動させ、カードMを接続位置を越えてY’方向に押し込む。これに伴って、スライダ300及び係合部400が第2位置から第1位置に移動し、第1位置を越えてY方向側に押し込まれる。これにより、ハートカム機構Hがスライダ300を第1位置で位置固定する。カードMが接続位置へ移動する過程で、カードMの電極M3が端子200に各々接触する。これと共に、カードMが傾斜部620aの折曲部をX方向に押圧する。この押圧により傾斜部620aがX方向に弾性変形し、傾斜部620aの先端が傾斜部620bの先端に接触する。これにより、上記位置検出スイッチがオンになる。スライダ300の第2位置から第1位置への移動の過程で、付勢部500がスライダ300と第1収容部130のY’方向側の壁との間で圧縮される。以上の通り、カードMが接続位置でカードコネクタCに接続される。
以下、上記カードコネクタCからカードMを取り出す手順について詳しく説明する。まず、カードMを接続位置を越えてY’方向に押し込む。これにより、ハートカム機構Hのスライダ300に対する位置固定が解除される。
付勢部500の付勢力によって、スライダ300及び係合部400が第1位置から第2位置へと移動する場合、カードMは、スライダ300の突部330に押圧され、スライダ300と共に、接続位置から排出位置へ移動する。カードMが接続位置からY方向に移動すると、傾斜部620aが復元してX’方向に移動し、傾斜部620aの先端が傾斜部620bの先端から離れる。これにより、上記位置検出スイッチがオフになる。
スライダ300が第2位置に位置すると、スライダ300の突起320がボディ100の連通孔160から挿入孔140に挿入され、カバー700の板バネ720に弾性的に当接する。これと共に、係合部400の鉤部420がボディ100の当接部132の第2面132bに当接する。これにより、鉤部420がボディ100の許容空間133内に位置する。カードMをY方向に引っ張ると、鉤部420がカードMの係合凹部M1のY’方向側の縁部に押圧され、X’方向側に変位し、アーム430がX’方向側に弾性変形する。よって、カードMを排出位置でスロット110から容易に取り出すことができる。
付勢部500の付勢力によって、スライダ300及び係合部400が第1位置から第3位置へと移動する場合、カードMは、スライダ300の突部330に押圧され、スライダ300と共に、接続位置から飛び出し防止位置へ移動する。カードMが接続位置からY方向に移動すると、上記の通り、位置検出スイッチがオフになる。
スライダ300が第2位置から第3位置へ移動する過程で、スライダ300の突起320がボディ100の連通孔160から挿入孔140に挿入され、板バネ720の先端部722をY方向に押圧して弾性変形させ、且つ板バネ720の基部721をZ方向に弾性変形させる。これにより、スライダ300、係合部400及びカードMのY方向への移動の勢いが抑制される。これと共に、係合部400の鉤部420がボディ100の当接部132の角部132cを乗り越えて、当該鉤部420がX方向側に変位し、アーム430がX方向側に弾性変形する。スライダ300が第3位置に位置すると、ボディ100の当接部132の第1面132aが係合部400の鉤部420にX’方向側から当接する。これにより、鉤部420のX’方向側への変位が防止され、鉤部420とカードMの係合凹部M1とが係合した状態が維持される。よって、カードMが飛び出し防止位置でスロット110からY方向に飛び出すことが防止される。その後、板バネ720の基部721及び先端部722が復元する。この復元によって、スライダ300が第3位置から第2位置へ押し戻される。スライダ300が第2位置に位置すると、鉤部420が許容空間133内に位置する。カードMをY方向に引っ張ることにより、上記の通り、カードMを排出位置でスロット110から容易に取り出すことができる。
以上のようなカードコネクタCは、以下の技術的特徴及び効果を奏する。第1に、カードコネクタCの部品点数の低減を図ることができる。なぜなら、カバー700の板バネ720が、次の1)〜3)の役割を果たしている。1)板バネ720が第2位置でスライダ300にY’方向側から弾性的に当接することにより、スライダ300を第2位置でストップさせることが可能である。2)板バネ720が第2位置から第3位置へ移動するスライダ300の移動の勢いを抑制する。3)板バネ720がスライダ300を第3位置から第2位置へ押し戻す。よって、カードコネクタCは、当該役割を果たすためのコイルスプリング等の弾性体の分、部品点数を低減することができる。
第2に、カードコネクタCの組み立てが容易になる。前述のとおり、カードコネクタCの部品点数が低減されているからである。しかも、カバー700のカバー本体710をボディ100にZ方向側から取り付けると共に、カバー700の板バネ720の先端部722をボディ100の挿入孔140にZ方向側から挿入することができる。すなわち、カバー本体710のボディ100に対する取り付けと、板バネ720の先端部722のボディ100内への配置を同時に行うことができる。
第3に、カードコネクタCは小型化させることができる。上記の通りカバー700の板バネ720のボディ100内の収容スペースは、上記弾性体をボディ内に収容するスペースに比べて小さくすることができるからである。
第4に、付勢部500の付勢力によって、スライダ300及びカードMが第2位置を越えてY方向の移動する勢いを好適に抑制することができる。板バネ720の先端部722が第2位置から第3位置へ移動するスライダ300に押圧されることによって、Y方向に弾性変形すると共に、板バネ720の基部721が先端部722の弾性変形に応じてZ方向に弾性変形するからである。
第5に、板バネ720のぐらつきが防止される。なぜなら、板バネ720の基部721が支持部150に支持されているため、カードコネクタCに外部から振動や衝撃が加わったとしても、当該振動や衝撃による板バネ720のぐらつきが防止される。
なお、本発明のカードコネクタは、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
本発明のカードは、本発明のカードコネクタのスロットに挿脱自在である限り、どのようなものであっても良い。例えば、本発明のカードは、上記したカード以外のメモリーカードや、ゲームプログラムなどが記録されたROMカード等とすることが可能である。本発明のカードは、上記実施例又は後記する設計変形例の係合部に係合可能な係合凹部を少なくとも有していると良いが、これに限定されるものではない。
本発明のカードコネクタは、上記実施例又は後記する設計変形例のボディ、スロット、付勢部及びカバーを備えている限り任意に設計変更することが可能である。
本発明のボディは、上記した何れかの態様のカードが挿脱可能なスロットと、当該ボディ内に上記実施例又は後記する設計変形例のスライダをカード共に挿脱方向(第1方向)にスライド自在に収容し得る第1収容部とを有する限り任意に設計変更することが可能である。
本発明のボディの第1収容部内には、少なくとも第1位置及び第2位置が設けられていれば良い。本発明のボディの第1収容部内の第1位置は、任意に設定可能である。本発明のボディの第1収容部内の第2位置は、上記した何れかの態様の第1位置よりもカードの排出方向(第1方向の一方)側に位置する第2位置が設けられていれば良い。
例えば、第2位置は、カードがスロットから排出可能な排出位置に位置するときに、スライダが位置する第1収容部内の位置とすることが可能である。この場合、第1収容部内の第2位置よりも排出方向側に第3位置を設けることが可能である。この第3位置は、カードがスロットからの飛び出しを防止される飛び出し防止位置に位置するときに、スライダが位置する第1収容部内の位置にすることが可能である。又は、第2位置は、カードがスロットからの飛び出しを防止される飛び出し防止位置に位置するときに、スライダが位置する第1収容部内の位置にすることが可能である。この場合、第1収容部内の第1位置と第2位置との間に、第3位置を設けることが可能である。この第3位置は、カードがスロットから排出可能な排出位置に位置するときに、スライダが位置する第1収容部内の位置にすることが可能である。
上記した何れかの態様のボディの第1収容部内には、カードが排出位置に位置し、且つスライダが第2位置又は第3位置に位置しているときに、上記実施例又は後記する設計変形例の係合部がカードの係合凹部から脱する脱方向への変位を許容する許容空間が設けられていても良い。上記した何れかの態様のボディの第1収容部内には、上記した何れかの態様の許容空間よりも排出方向側に当接部が設けられても良い。この当接部は、カードが飛び出し防止位置に位置し、且つスライダが第3位置又は第2位置に位置しているときに、脱方向側から係合部に当接して当該係合部の脱方向への変位を不能にするようになっていると良い。
上記した何れかの態様の第1収容部は、上記した何れかの態様のボディ内のスロットより第1方向に交差する第2方向の何れか一方側に設けられており且つ当該スロットに連通していれば良い。
本発明のボディの第2収容部及び位置検出スイッチは省略可能である。本発明のボディの第2収容部は、上記した何れかの態様のボディに設けられており且つ上記した何れかの態様のカードが接続位置に位置したことを検出することができる位置検出スイッチ又は位置検出センサを収容可能である限り任意に設定可能である。
本発明のボディの挿入孔は省略可能である。本発明のボディの挿入孔は、上記した何れかの態様のボディの第1収容部よりも排出方向側に設けられている限り任意に設計変更することが可能である。本発明のボディの挿入孔は、上記した何れかの態様の第1収容部と一体化することが可能である。上記した何れかの態様の挿入孔は、有底の孔であっても良い。上記した何れかの態様の挿入孔は、上記した何れかの態様のスロットと同じ方向に開口しても良いし、異なる方向に開口しても良い。例えば、上記した何れかの態様の挿入孔は、第2方向の何れか一方側に開口しても良い。この場合、板バネは、カバー本体の側板に連接され、第2方向の何れか一方側から挿入孔に挿入される構成とすると良い。
本発明のボディの支持部及び連通孔は省略可能である。本発明のボディの支持部は、上記した何れかの態様のボディの収容部と挿入孔との間に設けられている限り任意に設計変更することが可能である。例えば、支持部は、板バネの基部を支持しない構成とすることが可能である。本発明のボディの連通孔は、上記した何れかの態様のボディの支持部を貫通し、上記した何れかの態様の収容部及び挿入孔を連通させる孔である限り任意に設計変更することが可能である。
本発明のスライダは、上記した何れかの態様のカードと共に、少なくとも上記した何れかの態様のボディ内の少なくとも第1位置と第2位置との間をスライド自在となるように、当該ボディ内に設けられている限り任意に設計変更することが可能である。
本発明のスライダの突起、突部、ガイド板、ブロック、固定溝、収容凹部及び/又は窓部は省略可能である。本発明のスライダの本体部が上記した何れかの態様の第1収容部に挿脱方向にスライド自在に収容された構成とすることが可能である。
本発明の付勢部は、上記した何れかの態様のスライダを上記した何れかの態様の第1位置で排出方向に付勢することができる弾性体である限り任意に設計変更することが可能である。例えば、付勢部は、コイルスプリング以外のスプリング、板バネ等のバネ又はゴム等とすることが可能である。
本発明のスライダの係合部は省略可能である。本発明のスライダの係合部は、以下の構成を有する限り任意に設計変更することが可能である。第1に、係合部は、上記した何れかの態様のスライダに設けられている。第2に、係合部は、上記した何れかの態様のカードの係合凹部に係合可能である。第3に、係合部は、上記した何れかの態様のカードの係合凹部から脱する脱方向に少なくとも部分的に変位可能である。例えば、係合部は、当該係合部全体が上記した何れかの許容空間で、上記した何れかの態様のスライダに脱方向に回動するように、当該スライダの本体部に設けられていても良い。また、係合部は、上記した何れかの許容空間で、上記した何れかの態様のスライダと共に脱方向に変位可能な構成とすることも可能である。この場合、係合部は、スライダと一体化されるように樹脂で構成されていても良い。
本発明のカバーは、上記した何れかの態様の又は後記する設計変形例のカバー本体及び板バネを有する限り任意に設計変更することが可能である。本発明のカバー本体は、上記した何れかの態様のスロットを覆うように、上記した何れかの態様のボディに固着されている限り任意に設計変更することが可能である。
本発明のカバーの板バネは以下の構成を有する限り任意に設計変更することが可能である。第1に、板バネが上記した何れかの態様のカバー本体に設けられている。第2に、板バネの少なくとも一部が、上記した何れかの態様のボディ内に配置されている。第3に、板バネの少なくとも一部が、上記した何れかの態様のスライダに、上記した何れかの態様の第1位置よりも排出方向(第1方向の一方)側で挿入方向(第1方向の他方)側から弾性的に当接可能である。本発明のカバーの板バネは、カバー本体の主板又は側板に設けられ、カバー本体の主板又は側板に対して折り曲げられ、且つ、上記した何れかの態様のボディの挿入孔又は第1収容部内に挿入された構成とすることが可能である。板バネがカバー本体の側板に設けられた一例が、図6A及び図6Bに示されている。
図6Aに示されるコネクタC’では、カバー700’の板バネ720’がカバー本体710の側板のY方向側の端に連接されている。板バネ720’は、上記実施例の板バネ720と略同じ形状であって、基部721’と、先端部722’とを有する。基部721’は、ボディ100’のX’方向側の端面に部分的に当接している。先端部722’は、ボディ100’の挿入孔140’にX’方向側から挿入されている。これ以外は、基部721’及び先端部722’は、上記実施例の基部721及び先端部722と同じ構成であるので、重複する説明は省略する。挿入孔140’は、X’方向に開口するように、ボディ100’の第1収容部130のY’方向側に設けられている。
また、図6Bに示されるコネクタC’’では、カバー700’’の板バネ720’’がカバー本体710’’の側板に設けられている。板バネ720’’は、カバー本体710’’の側板からY方向及びX方向の成分を含む方向に斜めに延びた金属板であって、ボディ100’’の第1収容部130’’内の第1位置に位置するスライダ300よりもY方向側に配置されている。スライダ300が第1位置から第2位置へ移動する過程で、板バネ720’’がスライダ300にY’方向側から弾性的に当接する。これにより、スライダ300のY方向への移動の勢いが抑制される。板バネ720’’がスライダ300に押圧されることにより、板バネ720’’は、X’方向に弾性変形する。第1収容部130’’は、板バネ720’’を挿入するためのX’方向の開口134’’を有している。コネクタC’及びC’’の上記以外の構成は、上記実施例のコネクタCと同じであるので、重複する説明は省略する。
板バネ720’’は、板バネ720’のような形状とすることが可能である。又は、板バネ720又は720’は、板バネ720’’のような形状とすることが可能である。
本発明の板バネの先端部は、上記実施例又は後記する設計変形例の基部に連続しており且つ当該基部に対して折り曲げられている限り任意に設計変更することが可能である。上記した何れかの態様の板バネの先端部は、上記した何れかの態様の第1収容部又は挿入孔内に配置されていても良い。
本発明の板バネは、基部が省略された構成とすることが可能である。本発明の板バネの基部は、上記した何れかの態様のカバー本体から排出方向に延びた板である限り任意に設計変更することが可能である。上記した何れかの態様の板バネの基部は、上記した何れかの態様の第1収容部又は挿入孔内に配置されていても良い。上記した何れかの態様の板バネの基部は、上記した何れかの態様の板バネの先端部にかかる荷重により、上記した何れかの態様のボディから離れる方向に弾性変形可能な構成とすることが可能である。
上記した何れかの態様の板バネは、上記した何れかの態様のスライダに、上記した何れかの態様の第2位置で挿入方向(第1方向の他方)側から弾性的に当接する構成としても良いし、上記した何れかの態様の第2位置から第3位置へスライドするスライダによって排出方向に押圧されることにより、排出方向に弾性変形可能な構成としても良い。なお、板バネには、上記当接及び/又は押圧により荷重がかかる。上記した何れかの態様の板バネが弾性的に当接するスライダの部位は任意に設定することが可能である。例えば、上記した何れかの態様の板バネが、ボディ内の第1位置よりも排出方向側でスライダの本体部又はスライダの係合部に弾性的に当接する構成とすることが可能である。上記した何れかの態様の板バネは、カバー本体の端に一体的に連接されていても良いし、カバー本体の一部を切り欠いて作成されていても良い。
本発明の端子は、上記した何れかの態様のボディに保持されており且つカードの電極にスロット内で接触可能である限り任意に設計変更することが可能である。例えば、端子は、ボディにインサート成形されていても良い。本発明のハートカム機構は省略可能である。
なお、上記実施例及び設計変形例におけるカードコネクタの各構成要素を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。上記した実施例及び設計変更例は、互いに矛盾しない限り、相互に組み合わせることが可能である。
C:カードコネクタ
100:ボディ
110:スロット
120:保持溝
130:第1収容部(特許請求の範囲の収容部)
131:円柱
132:当接部
133:許容空間
140:挿入孔
150:支持部
160:連通孔
170:第2収容部
180:第1係合突部
200:端子
300:スライダ
310:本体部
311:ガイド溝
320:突起
330:突部
340:ブロック
350:ガイド板
360:固定溝
370:収容凹部
380:窓部
400:係合部
410:固定部
420:鉤部
430:アーム
500:付勢部
600a:第1スイッチ端子
600b:第2スイッチ端子
700:カバー
710:カバー本体
711:主板
712:側板
713:背板
720:板バネ
721:基部
722:先端部
730:押え板
740:ガイド
H:ハートカム機構
H1:カム溝
H2:ピン
M:カード
M1:係合凹部
M2:嵌合凹部
M3:電極
本発明は、カードコネクタに関する。
従来のカードコネクタが下記特許文献1に記載されている。このカードコネクタは、ボディと、スライダアッセンブリと、第1スプリングと、第2スプリングと、カバーを備えている。ボディは、カードが挿脱可能なスロットを有している。スライダアッセンブリは、ボディ内の第1位置から第2位置を越えて第3位置へカードと共にスライド可能に設けられている。第1位置は、スロットに挿入されたカードがカードコネクタに接続される接続位置である。第2位置は、カードがスロットから排出可能な排出位置である。第3位置は、カードがスロットからの飛び出しを防止する飛び出し防止位置である。第1スプリングは、第1位置に位置するスライダアッセンブリに対して第3位置への付勢力を付与する。第2スプリングは、スライダアッセンブリが第3位置に位置するとき、当該スライダアッセンブリに弾性的に接触して当該スライダアッセンブリを第2位置へ押し戻す。カバーは、ボディに取り付けられ、スライダアッセンブリ、第1スプリング及び第2スプリングを覆っている。
上記カードコネクタは、二つのコイルスプリングを必要としているため、部品点数が多い。
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、部品点数の低減を図ることができるカードコネクタを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のカードコネクタは、ボディと、スライダと、付勢部と、カバーとを備えている。ボディは、カードが挿脱可能なスロットを有する。スライダは、カードと共に少なくともボディ内の第1位置と当該第1位置よりもカードの排出方向側に位置する第2位置との間をスライド自在となるように、当該ボディ内に設けられている。付勢部は、第1位置に位置するスライダを排出方向に付勢するようになっている。カバーは、カバー本体と、板バネとを有している。カバー本体は、スロットを覆うようにボディに固着されている。板バネは、カバー本体に設けられている。板バネの少なくとも一部は、第1位置よりも排出方向側でスライダにカードの挿入方向側から弾性的に当接可能となるように、ボディ内に配置されている。
このような態様のカードコネクタは、部品点数の低減を図ることができる。その理由は以下の通りである。スライダが付勢部に付勢されることによって、スライダが第1位置から第2位置へ移動する。その過程で、カバーの板バネが、第1位置よりも排出方向側でスライダに弾性的に当接するので、スライダの排出方向への移動の勢いを抑制することができる。よって、本カードコネクタは当該移動の勢いを抑制するためのコイルスプリング等の弾性体の分、部品点数を低減することができる。
板バネの少なくとも一部は、第2位置でスライダに挿入方向側から弾性的に当接可能となるようにボディ内に配置された構成とすることが可能である。
スライダは、係合部を有する構成とすることが可能である。係合部は、カードの係合凹部に係合可能であり且つ係合凹部から脱する脱方向に少なくとも部分的に変位可能である構成とすることが可能である。ボディは許容空間を更に有する構成とすることが可能である。許容空間は、ボディ内に設けられており、且つスライダが第2位置に位置しているときに、係合部の脱方向への変位を許容するようになっていると良い。
このような態様のカードコネクタによる場合、スライダが第2位置に位置しているときに、カードをカードコネクタから容易に取り出すことができる。スライダが第2位置に位置しているときに、係合部が許容空間で脱方向へ変位し、係合部とカードの係合凹部との係合が容易に解除できるためである。
スライダは、ボディ内で第2位置を越えて、当該第2位置よりも排出方向に設けられた第3位置にスライド可能な構成とすることが可能である。ボディは、当接部を更に有する構成とすることが可能である。当接部は、ボディ内の許容空間よりも排出方向側に設けられており且つスライダが第3位置に位置しているときに、脱方向側から係合部に当接して当該係合部の脱方向への変位を不能にする構成とすることが可能である。カバーの板バネは、第2位置から第3位置へスライドするスライダによって排出方向に押圧され、排出方向に弾性変形する構成とすることが可能である。
このような態様のカードコネクタは、以下の技術的特徴及び効果を奏する。第1に、カードの排出方向への飛び出しを防止することができる。スライダが第3位置に位置しているときに、当接部が脱方向側から係合部に当接して当該係合部の脱方向への変位を不能にする。これにより、係合部がカードの係合凹部に係合された状態が維持されるので、カードの排出方向への飛び出しが防止される。第2に、スライダの第2位置を越えた排出方向の移動の勢いを抑制することができる。カバーの板バネの弾性変形によって、スライダに対して挿入方向に荷重がかかるためである。
第3位置は、第2位置よりも排出方向側ではなく、ボディ内の第1位置と第2位置との間に設けられていても良い。この場合、1)及び2)の構成とすることが可能である。1)許容空間は、スライダが第3位置に位置しているときに、係合部の脱方向への変位を許容する空間とすることが可能である。2)当接部は、スライダが第2位置に位置しているときに、脱方向側から係合部に当接して当該係合部の脱方向への変位を不能にする構成とすることが可能である。
このような態様のカードコネクタは、以下の技術的特徴及び効果を奏する。第1に、カードの排出方向への飛び出しを防止することができる。スライダが第2位置に位置しているときに、当接部が脱方向側から係合部に当接して当該係合部の脱方向への変位を不能にする。これにより、係合部がカードの係合凹部に係合された状態が維持されるので、カードの排出方向への飛び出しが防止される。第2に、スライダが第3位置に位置しているときに、カードをカードコネクタから容易に取り出すことができる。スライダが第3位置に位置しているときに、係合部が許容空間で脱方向へ変位し、係合部とカードの係合凹部との係合が容易に解除できるためである。
当接部は、脱方向の反対方向側の第1面と、挿入方向側の第2面と、第1面と第2面が当接する角部を有する構成とすることが可能である。係合部と、当接部の第1面に沿って排出方向に延びる仮想線との位置関係は、1)係合部が仮想線よりも部分的に脱方向側に位置し、2)係合部が第2面に当接可能であり、且つ3)スライダが第2位置から第3位置へ移動するとき、係合部が角部を乗り越えて第1面に当接可能である位置関係とすることが可能である。
このような態様のカードコネクタによる場合、スライダが第2位置を越えて第3位置へ移動する可能性を抑制することができる。スライダが第1位置から第2位置へ移動すると、スライダが板バネに弾性的に当接すると共に、係合部が部分的に当接部の第2面に当接するからである。
板バネは、カバー本体から排出方向に延びた板である基部と、基部に連続しており且つ当該基部に対して折り曲げられた先端部とを有する構成とすることが可能である。板バネの先端部は、第2位置に位置するスライダに弾性的に当接可能な構成とすることが可能である。スライダが板バネの先端部に当接することにより当該先端部にかかる荷重により、板バネの基部がボディから離れる方向に弾性変形可能である構成とすることが可能である。
このような態様のカードコネクタは、以下の技術的特徴及び効果を奏する。板バネの長寿命化を図ることができる。スライダが板バネの先端部に当接することにより当該先端部にかかる荷重が、板バネの基部及び先端部の弾性変形によって吸収されるためである。
板バネの先端部は、第2位置から第3位置へスライドするスライダによって排出方向に押圧されることにより、排出方向に弾性変形可能な構成とすることが可能である。この場合、スライダが板バネの先端部を押圧することにより当該先端部にかかる荷重により、板バネの基部がボディから離れる方向に弾性変形可能である構成とすることが可能である。
このような態様のカードコネクタは、以下の技術的特徴及び効果を奏する。第1に、スライダの第2位置を越えた排出方向の移動の勢いを更に抑制することができる。カバーの板バネの基部及び先端部の弾性変形によって、スライダに対して挿入方向に荷重がかかるためである。第2に、板バネの長寿命化を図ることができる。スライダが板バネの先端部に当接することにより当該先端部にかかる荷重が、板バネの基部及び先端部の弾性変形によって吸収されるためである。
ボディは、収容部と、挿入孔とを更に有する構成とすることが可能である。収容部は、ボディ内にスロットに隣接するように設けられており且つスライダをスライド自在に収容する構成とすることが可能である。挿入孔は、ボディの収容部よりも排出方向側の部分に設けられた構成とすることが可能である。板バネの先端部が挿入孔内に挿入された構成とすることが可能である。
このような態様のカードコネクタは、組み立てが容易である。カバーのカバー本体をボディに取り付けるときに、板バネの先端部が挿入孔に挿入される。このようにカバー本体のボディに対する取り付け及び板バネのボディ内への配置を一度に行うことができる。
ボディは、支持部と、連通孔とを更に有する構成とすることが可能である。支持部は、ボディの収容部と挿入孔との間に設けられており且つ板バネの基部を支持する構成とすることが可能である。連通孔は、収容部と挿入孔とが連通するように当該ボディの支持部を貫通した構成とすることが可能である。スライダは、連通孔から挿入孔内に挿入され、板バネの先端部に弾性的に当接可能である突起を更に有する構成とすることが可能である。
このような態様のカードコネクタは、板バネが支持部に支持されているため、カードコネクタに対して外部から振動や衝撃が加わったとしても、当該振動や衝撃による板バネのぐらつきが抑制される。
スロット及び挿入孔は、排出方向及び挿入方向に交差する交差方向の一方側に開口された構成とすることが可能である。カバー本体は、スロットを交差方向の一方側から覆う構成とすることが可能である。板バネの先端部は、基部から交差方向の他方側に延びており、挿入孔に交差方向の一方側から挿入される構成とすることが可能である。
このような態様のカードコネクタは、組み立てが更に容易になる。交差方向の一方側からカバーのカバー本体をボディに取り付けるときに、板バネの先端部が交差方向の一方側から挿入孔に挿入されるためである。
本発明の実施例に係るカードコネクタ及びカードの正面、平面及び左側面を表した斜視図であって、前記カードが前記カードコネクタに接続された状態を示す図である。
前記カードコネクタ及び前記カードの背面、底面及び右側面を表した斜視図であって、前記カードが前記カードコネクタに接続された状態を示す図である。
前記カードコネクタのカバーを取り外した状態の正面、平面及び右側面を表した斜視図であって、当該カードコネクタのスライダが第3位置に位置している状態を示す図である。
前記カードコネクタ及び前記カードの図1A中の2A−2A断面図であって、当該カードコネクタのスライダが第1位置に位置している状態を示す図である。
前記カードコネクタ及び前記カードの図1A中の2B−2B断面図であって、当該カードコネクタのスライダが第1位置に位置している状態を示す図である。
前記カードコネクタの正面、平面及び左側面を表した分解斜視図及び前記カードの正面、平面及び左側面を表した斜視図である。
前記カードコネクタの背面、底面及び右側面を表した分解斜視図及びカードの背面、底面及び右側面を表したである。
前記カードコネクタ及び前記カードの図2Aに対応する断面図であって、当該カードコネクタのスライダが第2位置に位置している状態を示す図である。
前記カードコネクタ及び前記カードの図2Bに対応する断面図であって、当該カードコネクタのスライダが第2位置に位置している状態を示す図である。
前記カードコネクタ及び前記カードの図2Aに対応する断面図であって、当該カードコネクタのスライダが第3位置に位置している状態を示す図である。
前記カードコネクタ及び前記カードの図2Bに対応する断面図であって、当該カードコネクタのスライダが第3位置に位置している状態を示す図である。
前記カードコネクタの第1設計変形例を示す断面図であって、当該カードコネクタのスライダが第3位置に位置している状態を示す図である。
前記カードコネクタの第2設計変形例を示す断面図であって、当該カードコネクタのスライダが第1位置に位置している状態を示す図である。
以下、本発明の実施例に係るカードコネクタCについて図1A〜図5Bを参照しつつ説明する。カードコネクタCは、カードMが接続可能なコネクタである。以下、これらについて詳しく説明する。なお、図2A〜図5Bに示されるY−Y’方向は、カードMのカードコネクタCに対する挿脱方向に相当する。Y方向は特許請求の範囲のカードの排出方向に相当する。Y’方向は特許請求の範囲のカードの挿入方向(排出方向の反対方向)に相当する。図2A、図3A〜図3B、図4A及び図5Aに示されるX−X’方向は、カードコネクタCの幅方向に相当する。X−X’方向は、Y−Y’方向に直角に交差する。X’方向は、特許請求の範囲の係合部の脱方向に相当する。図2B、図3A〜図3B、図4B及び図5Bに示されるZ−Z’方向は、特許請求の範囲の交差方向及びカードコネクタCの厚み方向に相当する。Z−Z’方向は、Y−Y’方向及びX−X’方向に直角に交差する。Z方向は、特許請求の範囲の交差方向の一方側に相当し、Z’方向は特許請求の範囲の交差方向の他方側に相当する。
カードMは、例えば、ICカード、PCカード、SIMカード、SDカード、miniSDカード等である。カードMは、図3Bに最も良く示されているように、係合凹部M1と、嵌合凹部M2と、複数の電極M3とを備えている。係合凹部M1は、カードMのX’方向側の端部の中央部に設けられている。嵌合凹部M2は、カードMのX’方向及びY’方向側の角部に設けられている。電極M3は、カードMのY’方向側の端部のZ’方向側の端面(底面)にX−X’方向に間隔をあけて設けられている。
カードコネクタCは、ボディ100と、複数の端子200と、スライダ300と、付勢部500と、ハートカム機構Hと、第1スイッチ端子600aと、第2スイッチ端子600bと、カバー700とを備えている。
ボディ100は絶縁樹脂で構成されている。ボディ100は、図1C、図2A及び図3Bに最も良く示されているように、スロット110と、複数の保持溝120と、第1収容部130と、挿入孔140と、支持部150と、連通孔160と、第2収容部170と、複数の第1係合突部180と、図示しない第2係合突部と、X方向側の外面と、X’方向側の外面と、Y’方向側の外面とを有している。なお、第1収容部130が特許請求の範囲の収容部に相当する。
スロット110は、ボディ100に設けられた凹部である。スロット110は、Y方向及びZ方向に開口している。スロット110は、Z’方向側の面と、Y’方向の壁とを有している。スロット110のX−X’方向の寸法は、カードMのX−X’方向の寸法に対応している。スロット110のZ−Z’方向の寸法は、カードMのZ−Z’方向の寸法に対応している。スロット110のY−Y’方向の寸法は、カードMのY−Y’方向の寸法よりも小さい。このスロット110に対してカードMがY−Y’方向に挿脱可能となっている。なお、図2A及び図2Bに示されるカードMの位置は、カードMがカードコネクタCに接続される接続位置である。図4A及び図4Bに示されるカードMの位置は、カードMがカードコネクタCのスロット110から排出可能な排出位置である。図5A及び図5Bに示されるカードMの位置は、カードMがスロット110から飛び出しが防止される飛び出し防止位置である。
保持溝120は、図3Aに最も良く示されているように、スロット110のZ’方向側の面(底面)にX−X’方向に間隔をあけて設けられている。保持溝120は、Y−Y’方向に延びており且つスロット110のY’方向の壁を貫通した長溝である。
第1収容部130は、ボディ100のスロット110のX’方向側の部分に当該スロット110に連通するように設けられた凹部である。第1収容部130は、Y−Y’方向に延びており且つZ方向に開放されている。第1収容部130は、スロット110よりもZ’方向に窪んでいる。第1収容部130は、Y’方向側の壁と、Y方向側の端部と、円柱131と、当接部132と、許容空間133とを有している。
円柱131は、図2Aに最も良く示されているように、第1収容部130のY’方向側の壁からY方向に延びている。当接部132は、第1収容部130内のY方向側の端部のX’方向側の部分に設けられた矩形状のブロックである。当接部132は、X方向側(脱方向の反対方向側)の第1面132aと、Y’方向側(挿入方向側)の第2面132bと、角部132cとを有している。角部132cは、第1面132aと第2面132bとが当接する当接部132の角部である。許容空間133は、第1収容部130内の当接部132よりもY’方向側に設けられている。換言すると、当接部132は、許容空間133よりもY方向側(排出方向側)に位置している。許容空間133のX−X’方向の寸法は、当接部132がない分、第1収容部130内のY方向側の端部のX−X’方向の寸法よりも大きい。
挿入孔140は、図2A及び図2Bに最も良く示されているように、ボディ100の第1収容部130のY方向側に設けられている。挿入孔140はボディ100をZ−Z’方向に貫通している。すなわち、挿入孔140は、Z方向及びZ’方向に開口している。支持部150は、ボディ100の第1収容部130と挿入孔140との間に設けられた壁である。連通孔160は、支持部150のZ’方向側且つX方向側の部分をY−Y’方向に貫通した貫通孔である。連通孔160は、当接部132よりもX方向側に位置している。連通孔160を通じて第1収容部130と挿入孔140とが連通している。連通孔160のX−X’方向の寸法は、第1収容部130のX−X’方向の寸法よりも小さい。連通孔160のZ−Z’方向の寸法は、第1収容部130のZ−Z’方向の寸法よりも小さい。
第2収容部170は、図1Bに最も良く示されているように、ボディ100のスロット110のX方向側の部分に設けられた凹部であって、Z’方向に開口している。第2収容部170は、X’方向の開口を有している。図2Aに示されているようにX’方向の開口によって、第2収容部170がスロット110に連通している。
第1係合突部180は、図3Aに最も良く示されているように、ボディ100のX方向側の外面及びX’方向側の外面に各々Y−Y’方向に間隔をあけて設けられている。また、第2係合突部がボディ100のY’方向側の外面にX−X’方向に間隔をあけて設けられている。
各端子200は金属板で構成されている。端子200は、図3A及び図3Bに最も良く示されているように、固定板210と、接点部220と、テール部230とを有している。固定板210は、Y−Y’方向に延びた板である。固定板210は、Y方向側の端と、Y’方向側の端とを有する。接点部220は、固定板210のY方向側の端に連続し且つZ方向及びY’方向に折り返された板である。接点部220はZ方向に凸となるように湾曲している。テール部230は、固定板210のY’方向側の端に連続しており且つY−Y’方向に延びた板である。
端子200の固定板210が保持溝120に各々保持されている。保持溝120の間隔はカードMの電極M3の間隔に対応しているため、端子200も、電極M3に各々対応する位置に配置されている。端子200の接点部220が保持溝120からZ方向に突出している。接点部220が電極M3に各々接触可能な部位である。接続位置でカードMの電極M3が接点部220に接触することにより、カードMがカードコネクタCに接続される。これが、上記したカードMの接続位置である。端子200のテール部230は、保持溝120からY’方向に各々突出している。テール部230が図示しない基板の複数の第1電極に各々接続可能な部位である。
第1スイッチ端子600a及び第2スイッチ端子600bは、カードMが接続位置に位置したか否かを検出する位置検出スイッチである。第2スイッチ端子600bは、金属板で構成されている。第2スイッチ端子600bは、図2Aに示されるように、ボディ100の第2収容部170内に収容されている。第2スイッチ端子600bは、図3A及び図3Bに最も良く示されているように、ベース610bと、傾斜部620bと、接続部630bとを有している。ベース610bは、略L字状の板である。ベース610bは、第1板及び第2板を有している。ベース610bの第1板は、Y−Y’方向に延びている。ベース610bの第2板は、第1板のY’方向側の端部からZ方向に延びた板である。ベース610bのY’方向側の端部及び第2板が、第2収容部170のY’方向側の内壁に設けられた圧入溝に圧入されている。接続部630bは、ベース610bの第1板のY方向側の端からX方向に延びた板であって、第2収容部170外に突出している(図2A参照)。接続部630bが上記基板の一対の第2電極の一方に接続可能である。傾斜部620bは、ベース610bの第2板からY方向及びX’方向の成分を含む方向に傾斜しつつ延びた板である。傾斜部620bは、X−X’方向に弾性変形可能である。
第1スイッチ端子600aは、金属板で構成されている。第1スイッチ端子600aは、図3A及び図3Bに最も良く示されているように、ベース610aと、傾斜部620aと、接続部630aとを有している。ベース610aは、略L字状の板である。ベース610aは、第1板及び第2板を有している。ベース610aの第1板は、Y−Y’方向に延びている。ベース610aの第2板は、第1板のY方向側の端からZ方向に延びた板である。ベース610aのY方向側の端部及び第2板が、第2収容部170のY方向側の内壁に設けられた圧入溝に圧入されている。接続部630aは、ベース610aの第1板のY’方向側の端部からX方向に延びた板であって、第2収容部170外に突出している(図2A参照)。接続部630aが上記基板の他方の第2電極に接続可能である。傾斜部620aは、ベース610aの第2板からY’方向及びX’方向の成分を含む方向に傾斜しつつ延びた板である。傾斜部620aは、X−X’方向に弾性変形可能である。傾斜部620aの自由端部は、X’方向に凸の略V字状に折り曲げられている(これを折曲部と称する。)。傾斜部620aの折曲部が第2収容部170のX’方向の開口を通じてスロット110内に挿入されている。傾斜部620aの折曲部は、接続位置に位置するカードMにX方向に押圧される部分である。この傾斜部620aの折曲部がカードMにX方向に押圧されることによって、傾斜部620aがX方向に弾性変形する。傾斜部620aの自由端部の先端は、傾斜部620bの自由端部の先端のX’方向側に間隙を有して対向配置されている。傾斜部620aがX方向の弾性変形することによって、傾斜部620aの自由端部の先端が傾斜部620bの自由端部の先端に接触する。この接触により、上記位置検出スイッチがオンになり、カードMが接続位置に位置していることが検出される。
スライダ300は、図1C、図2A、図2B及び図4A〜図5Bに示されるようにY−Y’方向にスライド自在に第1収容部130内に収容されている。より具体的には、スライダ300は、第1収容部130内の第1位置(図2A及び図2B参照)と第3位置(図5A及び図5B参照)との間をカードMと共にY−Y’方向にスライド自在となっている。第1収容部130の第1位置と第3位置との間には、第2位置(図4A及び図4B参照)が設けられている。第1位置は、カードMが接続位置に位置するときに、スライダ300が位置する第1収容部130内の位置である。第2位置は、カードMが排出位置に位置するときに、スライダ300が位置する第1収容部130内の位置であって、第1位置よりもY方向側に設けられている。第3位置は、カードMが飛び出し防止位置に位置するときに、スライダ300が位置する位置であって、第2位置よりもY方向側に位置している。
スライダ300は、図3A及び図3Bに最も良く示されているように、本体部310と、突起320と、突部330と、ブロック340と、ガイド板350と、固定溝360と、収容凹部370と、窓部380とを有している。本体部310、突起320、突部330、ブロック340及びガイド板350は、絶縁樹脂で一体的に構成されている。
本体部310はY−Y’方向に延びた直方体のブロックである。本体部310は、Z方向側の面と、Z’方向側の面と、X’方向側の面と、Y方向側の端面とを有している。本体部310のZ方向側の面のX方向側の端部には、ガイド溝311が設けられている。ガイド溝311はY−Y’方向に延びている。スライダ300が第3位置に位置するときに、本体部310のY方向側の端面は、ボディ100の支持部150に当接可能である(図5B参照)。
ガイド板350はY−Y’方向に延びた板であって、本体部310のZ’方向側の面のX方向側の端部に設けられている。ガイド板350は、X方向側の面と、X’方向側の面と、Y’方向側の端部とを有している。
ブロック340は、本体部310のZ’方向側の面上のガイド板350よりもX’方向側の部分に設けられている。ブロック340はガイド板350のY’方向側の端部に一体化されている。ブロック340は、X’方向側の面と、Y方向側の端部と、Y’方向側の端部とを有している。本体部310及びブロック340のX’方向側の面からガイド板350のX方向側の面までX−X’方向の距離は、ボディ100の第1収容部130のX−X’方向の寸法と略同じ又は若干小さい。本体部310及びブロック340が第1収容部130のX’方向側の壁面上をY−Y’方向に摺動可能となっており、且つガイド板350がボディ100の第1収容部130のX方向側の縁に沿ってY−Y’方向に摺動可能となっている(図2A、図4A及び図5A参照)。
ブロック340のY方向側の端部には、略L字状の固定溝360が設けられている。固定溝360は、Y方向及びZ’方向に開放されている。ブロック340のY’方向側の端部には、略半円柱状の収容凹部370が設けられている。収容凹部370は、Z’方向及びY’方向に開口している。収容凹部370には、コイルスプリングである付勢部500のY方向側の端部が挿入されている。付勢部500のY’方向側の端部は、第1収容部130の上記Y’方向側の壁に当接している。付勢部500のY’方向側の端部内には、第1収容部130の円柱131が挿入されている。このように付勢部500がスライダ300と第1収容部130のY’方向側の壁との間に介在している。スライダ300が第1位置に位置するとき、付勢部500がスライダ300と第1収容部130のY’方向側の壁との間で圧縮される。この付勢部500の付勢力によって、第1位置に位置するスライダ300にY方向(排出方向)への復帰力が付与される。
突部330は、ガイド板350のX方向側の面に設けられた直方体である。突部330は、図1Cに最も良く示されているように、スロット110内にY−Y’方向に移動自在に配置されている。突部330の外形は、図2A、図4A及び図5Aに示されるように、カードMの嵌合凹部M2の内形に対応している。突部330がカードMの嵌合凹部M2に嵌合可能な部分である。突部330がカードMの嵌合凹部M2に嵌合することによって、スライダ300がカードMと共にY−Y’方向にスライド自在となっている。
突起320は、図3Bに最も良く示されているように、本体部310のZ’方向側の面のガイド板350よりもY方向側の部分に間隙を有して設けられている。突起320は、略L字状のブロックであって、本体部310のY方向側の端面よりもY方向側に突出している。突起320のX−X’方向の寸法は、本体部310のX−X’方向の寸法よりも小さく且つボディ100の連通孔160のX−X’方向の寸法よりも若干小さい。スライダ300が第2位置及び第3位置に位置するときに、突起320が、ボディ100の連通孔160から挿入孔140内に挿入可能となっている(図4B及び図5B参照)。突起320とガイド板350との間の間隙が窓部380となっている。
スライダ300は、係合部400を更に有している。係合部400は、金属製のロックバネであって、スライダ300と共にボディ100の第1収容部130内にY−Y’方向に移動自在に収容されている。係合部400は、図2A〜図5Bに示されるように、固定部410と、鉤部420と、アーム430とを有している。固定部410は略L字状の板であって、スライダ300のブロック340の固定溝360に嵌合している。このように係合部400がスライダ300のブロック340に固定されている。アーム430は、Y−Y’方向に延びた板であって、固定部410と鉤部420とを繋いでいる。アーム430は、スライダ300のガイド板350の上記X’方向側の面に沿って配置されている。アーム430はX−X’方向に弾性変形可能である。鉤部420は、鉤状に折り曲げられた板であって、アーム430の弾性変形に応じてX−X’方向に変位可能である。鉤部420は、第1V部及び第2V部を有している。鉤部420の第1V部は、X方向に略V字状に折り曲げられた部分であって、スライダ300の窓部380からX方向に突出し、ボディ100のスロット110内に配置されている。鉤部420の第1V部がカードMの係合凹部M1に係合可能な部位である。鉤部420の第2V部は、X’方向に略V字状に折り曲げられた部分である。鉤部420の第2V部と、ボディ100の当接部132の第1面132aに沿ってY−Y’方向に延びる仮想線α(図2A参照)との位置関係は以下の通りである。1)鉤部420の第2V部の頂点が、仮想線αよりもX’方向側に位置している。2)鉤部420の第2V部が当接部132の第2面132bに当接可能である。3)スライダ300が第2位置から第3位置へ移動するとき、鉤部420の第2V部が、当接部132の角部132cを乗り越えて、第1面132aに当接可能である。
スライダ300が第2位置に位置しているとき、鉤部420はボディ100の許容空間133内に配置される。このため、鉤部420は、X’方向(特許請求の範囲の脱方向)に変位可能となる。換言すると、係合部400は、許容空間133内で部分的にX’方向に変位可能となっている。カードMがY方向に移動することによって、カードMの係合凹部M1のY’方向側の縁部が、鉤部420の第1V部を押圧する。この押圧によって、鉤部420が許容空間133内でX’方向側に変位するため、カードMの係合凹部M1と鉤部420の第1V部との係合が解除され、カードMが上記排出位置でボディ100のスロット110から排出可能となる。このようにスライダ300の第2位置は、係合部400の鉤部420が許容空間133に位置するときに、スライダ300が位置する第1収容部130内の位置でもある。
スライダ300が第3位置に位置しているとき、鉤部420の第2V部が当接部132の第1面132aにX方向側から当接する。換言すると、当接部132が鉤部420の第2V部にX’方向側から当接する。この当接によって鉤部420がX’方向に変位不能となる。このため、鉤部420の第1V部とカードMの係合凹部M1との係合が維持されるので、付勢部500の付勢力によって、スライダ300と共にY方向に移動するカードMが上記飛び出し防止位置でボディ100のスロット110から飛び出すことが防止される。このようにスライダ300の第3位置は、係合部400の鉤部420が当接部132に当接するときに、スライダ300が位置する第1収容部130内の位置でもある。
ハートカム機構Hは、カム溝H1と、略U字状のピンH2とを有している。カム溝H1は、図1Cに最も良く示されているように、本体部310のZ方向側の面に設けられている。ピンH2は長さ方向の第1端及び第2端を有している。ピンH2の第1端がボディ100の支持部150に回転自在に軸支されている。ピンH2の第2端は、スライダ300の移動に応じてカム溝H1内を移動自在となるように、当該カム溝H1内に挿入されている。カム溝H1は、スライダ300が第1位置を越えてY’方向に押し込まれると、ピンH2の第2端を位置固定する一方、再度Y’方向に押し込むことによって当該位置固定を解除する形状となっている。
カバー700は、金属板で構成されている。カバー700は、図3A及び図3Bに最も良く示されているように、カバー本体710と、板バネ720と、押え板730と、ガイド740とを有している。カバー本体710は、ボディ100のスロット110及び第1収容部130をZ方向側から覆うようにボディ100に取り付けられている。カバー本体710は、主板711と、一対の側板712と、背板713とを有している。主板711は矩形状の板である。主板711のX−X’方向の寸法は、ボディ100のX−X’方向の寸法よりも若干大きい。主板711は、X方向側の端と、X’方向側の端と、Y方向側の端と、Y’方向側の端とを有している。側板712の一方は、主板711のX方向側の端からZ’方向に延びた板であって、ボディ100のX方向側の外面に当接している。側板712の他方は、主板711のX’方向側の端からZ’方向に延びた板であって、ボディ100のX’方向側の外面に当接している。各側板712には、複数の係合孔712aがY−Y’方向に間隔をあけて設けられている。背板713は、Y’方向側の端からZ’方向に延びた板であって、ボディ100のY’方向側の外面に当接している。背板713には、複数の係合孔713aがX−X’方向に間隔をあけて設けられている。係合孔712aにボディ100の第1係合突部180が各々係合され、係合孔713aにボディ100の第2係合突部が各々係合されている。このようにしてカバー本体710がボディ100に取り付けられている。
板バネ720は、主板711に一体的に設けられた略V字状の板である。板バネ720は、基部721と、先端部722とを有している。基部721は、主板711のY方向の端のX’方向側の端部からY方向に延びた板である。基部721は、支持部150上に位置し、支持部150に支持されている。先端部722は、基部721のY方向側の端からZ’方向及びY’方向の成分を含む方向に延びた板である。先端部722は、ボディ100の挿入孔140に挿入されている。先端部722は、第2位置に位置するスライダ300の突起320に弾性的に当接可能であり、且つ第2位置から第3位置へ移動するスライダ300の突起320によって押圧され、Y方向(排出方向)に弾性変形可能である。スライダ300の突起320が先端部722を押圧することにより当該先端部722にかかる荷重により、基部721がZ方向(ボディ100から離れる方向)に弾性変形可能である。この板バネ720の先端部722及び基部721の弾性変形により、付勢部500に付与されたスライダ300のY方向への移動の勢いが抑制され、且つスライダ300が第3位置から第2位置へ押し戻される。なお、図5Bでは、基部721のZ方向の弾性変形が表れていない。
押え板730は、主板711の板バネ720のハートカム機構Hに対応する部分が切り欠かれて形成された板である。押え板730は、Z’方向及びY’方向の成分を含む方向に傾斜している。押え板730がハートカム機構HのピンH2に弾性的に当接している。これにより、ピンH2のZ方向への浮き上がりが防止されている。
ガイド740は、主板711のスライダ300のガイド溝311に対応する部分が切り欠かれて形成された板である。ガイド740は、Z’方向に延びている。ガイド740のX−X’方向の厚み寸法がガイド溝311のX−X’方向の寸法よりも若干小さい。ガイド740がガイド溝311内にY−Y’方向に移動自在に挿入されている。これにより、スライダ300のY−Y’方向の移動が安定する。
以下、上記した構成のカードコネクタCの組み立て手順について詳しく説明する。まず、ボディ100及び端子200を用意する。端子200をボディ100の保持溝120に各々挿入する。これにより、端子200がボディ100にX−X’方向に間隔をあけて保持される。その後、第1スイッチ端子600a及び第2スイッチ端子600bを用意する。第1スイッチ端子600aをボディ100の第2収容部170に収容させ、ボディ100に保持させる。このとき、第1スイッチ端子600aの傾斜部620aの折曲部が第2収容部170のX’方向側の開口からスロット110内に配置される。その後、第2スイッチ端子600bをボディ100の第2収容部170に収容させ、ボディ100に保持させる。すると、傾斜部620bの自由端部の先端が、傾斜部620aの自由端部の先端のX方向側に間隙を有して対向配置される。
その一方で、スライダ300を用意する。係合部400の固定部410をスライダ300の固定溝360に保持させる。これにより、係合部400がスライダ300の本体部310のZ’方向側に配置される。具体的には、係合部400のアーム430がスライダ300のガイド板350よりX’方向側に配置され、係合部400の鉤部420がスライダ300の窓部380からX方向側に部分的に突出する。
その後、付勢部500を用意する。付勢部500のY方向側の端部をスライダ300の収容凹部370内に挿入する。この状態で、付勢部500のY’方向側の端部内に、ボディ100の第1収容部130の円柱131を挿入させ、且つ付勢部500のY’方向側の端部を第1収容部130のY’方向側の壁に当接させる。そして、付勢部500をスライダ300と第1収容部130のY’方向側の壁との間で圧縮させながら、付勢部500、スライダ300及び係合部400を第1収容部130内に収容させる。このとき、スライダ300の突部330及び係合部400の鉤部420の第1V部がスロット110内に配置される。
その後、カバー700を用意する。付勢部500を圧縮させ、スライダ300を第2位置よりもY’方向側に位置させた状態で、カバー700のカバー本体710がボディ100のスロット110及び第1収容部130をZ方向側から覆うように、カバー本体710をボディ100に取り付ける。これと共に、板バネ720の基部721をボディ100の支持部150上にZ方向側から載置し、板バネ720の先端部722をボディ100の挿入孔140にZ方向側から挿入する。その後、付勢部500を解放する。すると、スライダ300は、付勢部500のY方向への付勢力と、板バネ720のY’方向への付勢力とのバランスによって、第2位置に位置する。このようにしてカードコネクタCが組み立てられる。
以下、上記カードコネクタCにカードMを接続する手順について詳しく説明する。まず、カードMをカードコネクタCのスロット110に挿入する。すると、係合部400の鉤部420がカードMの嵌合凹部M2のY方向側の壁にX’方向に押圧され、許容空間133でX’方向側に変位し、アーム430がX’方向側に弾性変形する。その後、スライダ300の突部330が第2位置でカードMの嵌合凹部M2に嵌合すると共に、カードコネクタCの係合部400の鉤部420がX方向に変位してカードMの係合凹部M1に挿入され、アーム430が復元する。これにより、鉤部420が係合凹部M1に係合される。
その後、カードMを排出位置から接続位置にかけて移動させ、カードMを接続位置を越えてY’方向に押し込む。これに伴って、スライダ300及び係合部400が第2位置から第1位置に移動し、第1位置を越えてY’方向側に押し込まれる。これにより、ハートカム機構Hがスライダ300を第1位置で位置固定する。カードMが接続位置へ移動する過程で、カードMの電極M3が端子200に各々接触する。これと共に、カードMが傾斜部620aの折曲部をX方向に押圧する。この押圧により傾斜部620aがX方向に弾性変形し、傾斜部620aの先端が傾斜部620bの先端に接触する。これにより、上記位置検出スイッチがオンになる。スライダ300の第2位置から第1位置への移動の過程で、付勢部500がスライダ300と第1収容部130のY’方向側の壁との間で圧縮される。以上の通り、カードMが接続位置でカードコネクタCに接続される。
以下、上記カードコネクタCからカードMを取り出す手順について詳しく説明する。まず、カードMを接続位置を越えてY’方向に押し込む。これにより、ハートカム機構Hのスライダ300に対する位置固定が解除される。
付勢部500の付勢力によって、スライダ300及び係合部400が第1位置から第2位置へと移動する場合、カードMは、スライダ300の突部330に押圧され、スライダ300と共に、接続位置から排出位置へ移動する。カードMが接続位置からY方向に移動すると、傾斜部620aが復元してX’方向に移動し、傾斜部620aの先端が傾斜部620bの先端から離れる。これにより、上記位置検出スイッチがオフになる。
スライダ300が第2位置に位置すると、スライダ300の突起320がボディ100の連通孔160から挿入孔140に挿入され、カバー700の板バネ720に弾性的に当接する。これと共に、係合部400の鉤部420がボディ100の当接部132の第2面132bに当接する。これにより、鉤部420がボディ100の許容空間133内に位置する。カードMをY方向に引っ張ると、鉤部420がカードMの係合凹部M1のY’方向側の縁部に押圧され、X’方向側に変位し、アーム430がX’方向側に弾性変形する。よって、カードMを排出位置でスロット110から容易に取り出すことができる。
付勢部500の付勢力によって、スライダ300及び係合部400が第1位置から第3位置へと移動する場合、カードMは、スライダ300の突部330に押圧され、スライダ300と共に、接続位置から飛び出し防止位置へ移動する。カードMが接続位置からY方向に移動すると、上記の通り、位置検出スイッチがオフになる。
スライダ300が第2位置から第3位置へ移動する過程で、スライダ300の突起320がボディ100の連通孔160から挿入孔140に挿入され、板バネ720の先端部722をY方向に押圧して弾性変形させ、且つ板バネ720の基部721をZ方向に弾性変形させる。これにより、スライダ300、係合部400及びカードMのY方向への移動の勢いが抑制される。これと共に、係合部400の鉤部420がボディ100の当接部132の角部132cを乗り越えて、当該鉤部420がX方向側に変位し、アーム430がX方向側に弾性変形する。スライダ300が第3位置に位置すると、ボディ100の当接部132の第1面132aが係合部400の鉤部420にX’方向側から当接する。これにより、鉤部420のX’方向側への変位が防止され、鉤部420とカードMの係合凹部M1とが係合した状態が維持される。よって、カードMが飛び出し防止位置でスロット110からY方向に飛び出すことが防止される。その後、板バネ720の基部721及び先端部722が復元する。この復元によって、スライダ300が第3位置から第2位置へ押し戻される。スライダ300が第2位置に位置すると、鉤部420が許容空間133内に位置する。カードMをY方向に引っ張ることにより、上記の通り、カードMを排出位置でスロット110から容易に取り出すことができる。
以上のようなカードコネクタCは、以下の技術的特徴及び効果を奏する。第1に、カードコネクタCの部品点数の低減を図ることができる。なぜなら、カバー700の板バネ720が、次の1)〜3)の役割を果たしている。1)板バネ720が第2位置でスライダ300にY’方向側から弾性的に当接することにより、スライダ300を第2位置でストップさせることが可能である。2)板バネ720が第2位置から第3位置へ移動するスライダ300の移動の勢いを抑制する。3)板バネ720がスライダ300を第3位置から第2位置へ押し戻す。よって、カードコネクタCは、当該役割を果たすためのコイルスプリング等の弾性体の分、部品点数を低減することができる。
第2に、カードコネクタCの組み立てが容易になる。前述のとおり、カードコネクタCの部品点数が低減されているからである。しかも、カバー700のカバー本体710をボディ100にZ方向側から取り付けると共に、カバー700の板バネ720の先端部722をボディ100の挿入孔140にZ方向側から挿入することができる。すなわち、カバー本体710のボディ100に対する取り付けと、板バネ720の先端部722のボディ100内への配置を同時に行うことができる。
第3に、カードコネクタCは小型化させることができる。上記の通りカバー700の板バネ720のボディ100内の収容スペースは、上記弾性体をボディ内に収容するスペースに比べて小さくすることができるからである。
第4に、付勢部500の付勢力によって、スライダ300及びカードMが第2位置を越えてY方向の移動する勢いを好適に抑制することができる。板バネ720の先端部722が第2位置から第3位置へ移動するスライダ300に押圧されることによって、Y方向に弾性変形すると共に、板バネ720の基部721が先端部722の弾性変形に応じてZ方向に弾性変形するからである。
第5に、板バネ720のぐらつきが防止される。なぜなら、板バネ720の基部721が支持部150に支持されているため、カードコネクタCに外部から振動や衝撃が加わったとしても、当該振動や衝撃による板バネ720のぐらつきが防止される。
なお、本発明のカードコネクタは、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
本発明のカードは、本発明のカードコネクタのスロットに挿脱自在である限り、どのようなものであっても良い。例えば、本発明のカードは、上記したカード以外のメモリーカードや、ゲームプログラムなどが記録されたROMカード等とすることが可能である。本発明のカードは、上記実施例又は後記する設計変形例の係合部に係合可能な係合凹部を少なくとも有していると良いが、これに限定されるものではない。
本発明のカードコネクタは、上記実施例又は後記する設計変形例のボディ、スロット、付勢部及びカバーを備えている限り任意に設計変更することが可能である。
本発明のボディは、上記した何れかの態様のカードが挿脱可能なスロットと、当該ボディ内に上記実施例又は後記する設計変形例のスライダをカードと共に挿脱方向(第1方向)にスライド自在に収容し得る第1収容部とを有する限り任意に設計変更することが可能である。
本発明のボディの第1収容部内には、少なくとも第1位置及び第2位置が設けられていれば良い。本発明のボディの第1収容部内の第1位置は、任意に設定可能である。本発明のボディの第1収容部内の第2位置は、上記した何れかの態様の第1位置よりもカードの排出方向(第1方向の一方)側に位置する第2位置が設けられていれば良い。
例えば、第2位置は、カードがスロットから排出可能な排出位置に位置するときに、スライダが位置する第1収容部内の位置とすることが可能である。この場合、第1収容部内の第2位置よりも排出方向側に第3位置を設けることが可能である。この第3位置は、カードがスロットからの飛び出しを防止される飛び出し防止位置に位置するときに、スライダが位置する第1収容部内の位置にすることが可能である。又は、第2位置は、カードがスロットからの飛び出しを防止される飛び出し防止位置に位置するときに、スライダが位置する第1収容部内の位置にすることが可能である。この場合、第1収容部内の第1位置と第2位置との間に、第3位置を設けることが可能である。この第3位置は、カードがスロットから排出可能な排出位置に位置するときに、スライダが位置する第1収容部内の位置にすることが可能である。
上記した何れかの態様のボディの第1収容部内には、カードが排出位置に位置し、且つスライダが第2位置又は第3位置に位置しているときに、上記実施例又は後記する設計変形例の係合部がカードの係合凹部から脱する脱方向への変位を許容する許容空間が設けられていても良い。上記した何れかの態様のボディの第1収容部内には、上記した何れかの態様の許容空間よりも排出方向側に当接部が設けられても良い。この当接部は、カードが飛び出し防止位置に位置し、且つスライダが第3位置又は第2位置に位置しているときに、脱方向側から係合部に当接して当該係合部の脱方向への変位を不能にするようになっていると良い。
上記した何れかの態様の第1収容部は、上記した何れかの態様のボディ内のスロットより第1方向に交差する第2方向の何れか一方側に設けられており且つ当該スロットに連通していれば良い。
本発明のボディの第2収容部及び位置検出スイッチは省略可能である。本発明のボディの第2収容部は、上記した何れかの態様のボディに設けられており且つ上記した何れかの態様のカードが接続位置に位置したことを検出することができる位置検出スイッチ又は位置検出センサを収容可能である限り任意に設定可能である。
本発明のボディの挿入孔は省略可能である。本発明のボディの挿入孔は、上記した何れかの態様のボディの第1収容部よりも排出方向側に設けられている限り任意に設計変更することが可能である。本発明のボディの挿入孔は、上記した何れかの態様の第1収容部と一体化することが可能である。上記した何れかの態様の挿入孔は、有底の孔であっても良い。上記した何れかの態様の挿入孔は、上記した何れかの態様のスロットと同じ方向に開口しても良いし、異なる方向に開口しても良い。例えば、上記した何れかの態様の挿入孔は、第2方向の何れか一方側に開口しても良い。この場合、板バネは、カバー本体の側板に連接され、第2方向の何れか一方側から挿入孔に挿入される構成とすると良い。
本発明のボディの支持部及び連通孔は省略可能である。本発明のボディの支持部は、上記した何れかの態様のボディの収容部と挿入孔との間に設けられている限り任意に設計変更することが可能である。例えば、支持部は、板バネの基部を支持しない構成とすることが可能である。本発明のボディの連通孔は、上記した何れかの態様のボディの支持部を貫通し、上記した何れかの態様の収容部及び挿入孔を連通させる孔である限り任意に設計変更することが可能である。
本発明のスライダは、上記した何れかの態様のカードと共に、少なくとも上記した何れかの態様のボディ内の少なくとも第1位置と第2位置との間をスライド自在となるように、当該ボディ内に設けられている限り任意に設計変更することが可能である。
本発明のスライダの突起、突部、ガイド板、ブロック、固定溝、収容凹部及び/又は窓部は省略可能である。本発明のスライダの本体部が上記した何れかの態様の第1収容部に挿脱方向にスライド自在に収容された構成とすることが可能である。
本発明の付勢部は、上記した何れかの態様のスライダを上記した何れかの態様の第1位置で排出方向に付勢することができる弾性体である限り任意に設計変更することが可能である。例えば、付勢部は、コイルスプリング以外のスプリング、板バネ等のバネ又はゴム等とすることが可能である。
本発明のスライダの係合部は省略可能である。本発明のスライダの係合部は、以下の構成を有する限り任意に設計変更することが可能である。第1に、係合部は、上記した何れかの態様のスライダに設けられている。第2に、係合部は、上記した何れかの態様のカードの係合凹部に係合可能である。第3に、係合部は、上記した何れかの態様のカードの係合凹部から脱する脱方向に少なくとも部分的に変位可能である。例えば、係合部は、当該係合部全体が上記した何れかの許容空間で、上記した何れかの態様のスライダに対して脱方向に回動するように、当該スライダの本体部に設けられていても良い。また、係合部は、上記した何れかの許容空間で、上記した何れかの態様のスライダと共に脱方向に変位可能な構成とすることも可能である。この場合、係合部は、スライダと一体化されるように樹脂で構成されていても良い。
本発明のカバーは、上記した何れかの態様の又は後記する設計変形例のカバー本体及び板バネを有する限り任意に設計変更することが可能である。本発明のカバー本体は、上記した何れかの態様のスロットを覆うように、上記した何れかの態様のボディに固着されている限り任意に設計変更することが可能である。
本発明のカバーの板バネは以下の構成を有する限り任意に設計変更することが可能である。第1に、板バネが上記した何れかの態様のカバー本体に設けられている。第2に、板バネの少なくとも一部が、上記した何れかの態様のボディ内に配置されている。第3に、板バネの少なくとも一部が、上記した何れかの態様のスライダに、上記した何れかの態様の第1位置よりも排出方向(第1方向の一方)側で挿入方向(第1方向の他方)側から弾性的に当接可能である。本発明のカバーの板バネは、カバー本体の主板又は側板に設けられ、カバー本体の主板又は側板に対して折り曲げられ、且つ、上記した何れかの態様のボディの挿入孔又は第1収容部内に挿入された構成とすることが可能である。板バネがカバー本体の側板に設けられた一例が、図6A及び図6Bに示されている。
図6Aに示されるコネクタC’では、カバー700’の板バネ720’がカバー本体710の側板のY方向側の端に連接されている。板バネ720’は、上記実施例の板バネ720と略同じ形状であって、基部721’と、先端部722’とを有する。基部721’は、ボディ100’のX’方向側の端面に部分的に当接している。先端部722’は、ボディ100’の挿入孔140’にX’方向側から挿入されている。これ以外は、基部721’及び先端部722’は、上記実施例の基部721及び先端部722と同じ構成であるので、重複する説明は省略する。挿入孔140’は、X’方向に開口するように、ボディ100’の第1収容部130のY方向側に設けられている。
また、図6Bに示されるコネクタC’’では、カバー700’’の板バネ720’’がカバー本体710’’の側板に設けられている。板バネ720’’は、カバー本体710’’の側板からY方向及びX方向の成分を含む方向に斜めに延びた金属板であって、ボディ100’’の第1収容部130’’内の第1位置に位置するスライダ300よりもY方向側に配置されている。スライダ300が第1位置から第2位置へ移動する過程で、板バネ720’’がスライダ300にY’方向側から弾性的に当接する。これにより、スライダ300のY方向への移動の勢いが抑制される。板バネ720’’がスライダ300に押圧されることにより、板バネ720’’は、X’方向に弾性変形する。第1収容部130’’は、板バネ720’’を挿入するためのX’方向の開口134’’を有している。コネクタC’及びC’’の上記以外の構成は、上記実施例のコネクタCと同じであるので、重複する説明は省略する。
板バネ720’’は、板バネ720’のような形状とすることが可能である。又は、板バネ720又は720’は、板バネ720’’のような形状とすることが可能である。
本発明の板バネの先端部は、上記実施例又は後記する設計変形例の基部に連続しており且つ当該基部に対して折り曲げられている限り任意に設計変更することが可能である。上記した何れかの態様の板バネの先端部は、上記した何れかの態様の第1収容部又は挿入孔内に配置されていても良い。
本発明の板バネは、基部が省略された構成とすることが可能である。本発明の板バネの基部は、上記した何れかの態様のカバー本体から排出方向に延びた板である限り任意に設計変更することが可能である。上記した何れかの態様の板バネの基部は、上記した何れかの態様の第1収容部又は挿入孔内に配置されていても良い。上記した何れかの態様の板バネの基部は、上記した何れかの態様の板バネの先端部にかかる荷重により、上記した何れかの態様のボディから離れる方向に弾性変形可能な構成とすることが可能である。
上記した何れかの態様の板バネは、上記した何れかの態様のスライダに、上記した何れかの態様の第2位置で挿入方向(第1方向の他方)側から弾性的に当接する構成としても良いし、上記した何れかの態様の第2位置から第3位置へスライドするスライダによって排出方向に押圧されることにより、排出方向に弾性変形可能な構成としても良い。なお、板バネには、上記当接及び/又は押圧により荷重がかかる。上記した何れかの態様の板バネが弾性的に当接するスライダの部位は任意に設定することが可能である。例えば、上記した何れかの態様の板バネが、ボディ内の第1位置よりも排出方向側でスライダの本体部又はスライダの係合部に弾性的に当接する構成とすることが可能である。上記した何れかの態様の板バネは、カバー本体の端に一体的に連接されていても良いし、カバー本体の一部を切り欠いて作成されていても良い。
本発明の端子は、上記した何れかの態様のボディに保持されており且つカードの電極にスロット内で接触可能である限り任意に設計変更することが可能である。例えば、端子は、ボディにインサート成形されていても良い。本発明のハートカム機構は省略可能である。
なお、上記実施例及び設計変形例におけるカードコネクタの各構成要素を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。上記した実施例及び設計変更例は、互いに矛盾しない限り、相互に組み合わせることが可能である。
C:カードコネクタ
100:ボディ
110:スロット
120:保持溝
130:第1収容部(特許請求の範囲の収容部)
131:円柱
132:当接部
133:許容空間
140:挿入孔
150:支持部
160:連通孔
170:第2収容部
180:第1係合突部
200:端子
300:スライダ
310:本体部
311:ガイド溝
320:突起
330:突部
340:ブロック
350:ガイド板
360:固定溝
370:収容凹部
380:窓部
400:係合部
410:固定部
420:鉤部
430:アーム
500:付勢部
600a:第1スイッチ端子
600b:第2スイッチ端子
700:カバー
710:カバー本体
711:主板
712:側板
713:背板
720:板バネ
721:基部
722:先端部
730:押え板
740:ガイド
H:ハートカム機構
H1:カム溝
H2:ピン
M:カード
M1:係合凹部
M2:嵌合凹部
M3:電極