JP2016090908A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、正常な現像剤を無駄に排出することなく、現像材の劣化度合いに応じて劣化現像剤を排出できる画像形成装置を提供することを目的としている。【解決手段】 感光ドラム20の表面上の静電潜像に現像剤Tを供給して現像剤像を形成する現像装置10と、該現像装置10により感光ドラム20の表面上に形成された現像剤像の濃度を検知する濃度センサ90と、該感光ドラム20の表面上に形成した現像剤像を濃度センサ90により検知した濃度結果に基づいて現像剤の劣化を判断する現像剤劣化度合い判断部5と、を有する構成であることを特徴とする。【選択図】 図2
Description
本発明は、電子写真複写装置、静電記録装置、レーザビームプリンタ等の画像形成装置に関する。
現像容器内のトナーが現像工程により消費される際に低印字率の画像形成が連続するような場合、トナーの消費が減少することで現像容器内のトナーの入れ替わりが少なくなると、現像容器内でのトナーの滞在時間が長くなる。
このように、現像容器内でのトナーの滞在時間が長くなると、トナーの攪拌及び現像ブレードとの摺擦が繰り返される。その結果、トナーの形状が不規則になったり、粒径分布に偏りが生じたり、外添剤がトナー表面に埋没若しくは表面から離脱する等、トナーが劣化し易くなる。
そして、トナーの劣化により画像濃度の低下、ゴースト、トナー飛散、かぶり等の画像不具合が生じ易くなる。尚、「かぶり」とは、本来印字しない白部(未露光部)においてトナーが現像されてしまい、地汚れのように記録材上に現れる画像不良である。
そこで、現像容器内で劣化したトナーを強制的に外部に排出させる種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1には、印字する画像のドット量(印字率)からトナー消費量を推測し、透磁率センサにより検知した現像容器内のトナー量の検知結果に基づいて現像容器内のトナーを中間転写ベルト上に強制的に排出させることが開示されている。
また、特許文献2には、一定時間毎のトナー補給モータの駆動時間の積算値に基づいて非現像時にトナーの強制排出を行うことにより、現像装置を複雑にすることなく印字率や温度の変化等に左右されずに一定のトナーを排出可能とすることが開示されている。
また、特許文献3では、測定用現像剤画像を基準現像剤画像と同じ画像形成条件で形成し、測定用現像剤画像の画像濃度が基準現像剤画像の画像濃度以下の場合に現像剤の強制消費動作を実行する。これにより、現像剤の無駄な消費を抑制することが開示されている。
しかしながら、特許文献1のように印字率に基づいてトナーを強制的に排出する場合には、例えば、温湿度等の環境条件や画像濃度等によっては、必ずしもトナーが劣化しているとは限らず、正常なトナーを無駄に排出する可能性があった。
また、特許文献2では、トナー補給モータの駆動時間によって、トナーが劣化しているであろうとの予測に基づいてトナーの強制排出を行っており、トナーの劣化の程度と、トナーの強制排出量とがずれていると、トナーを無駄に排出する可能性がある。
また、特許文献3のように画像濃度の検知結果に基づいてトナーの強制排出を行う場合には、環境の変動や現像容器の放置によるトナーの帯電不足と、トナー劣化との違いが判別し難く、適切なタイミングでトナーの排出が出来ない可能性があった。
また、画像濃度で判別する際に、画像濃度の低下が起こった頃には実際にはトナー劣化がかなり進行しており、トナーのリフレッシュ動作を実施しても簡単には画像濃度が回復しない可能性があった。
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、正常な現像剤を無駄に排出することなく、現像材の劣化度合いに応じて劣化現像剤を排出できる画像形成装置を提供するものである。
前記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、静電潜像が形成される像担持体と、前記像担持体上の静電潜像に現像剤を供給して現像剤像を形成する現像手段と、前記現像手段により前記像担持体上に形成された現像剤像の濃度を検知する検知手段と、前記像担持体上に形成した現像剤像を前記検知手段により検知した濃度結果に基づいて現像剤の劣化を判断する判断手段と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、検知手段により検知した濃度結果に基づいて判断手段が現像剤の劣化を判断する。そして、判断手段による判断結果に基づいて現像手段から像担持体に現像剤を移動させて該現像剤の強制排出を実行する。これにより、正常な現像剤を無駄に排出することなく、現像材の劣化度合いに応じて劣化現像剤を排出できる。
図により本発明に係る画像形成装置の一実施形態を具体的に説明する。
先ず、図1〜図10を用いて本発明に係る画像形成装置の第1実施形態の構成について説明する。図1は本実施形態の画像形成装置100の構成を示す。図1において、本実施形態の画像形成装置100は、静電潜像が形成される像担持体としての感光ドラム20を略中央部に配置している。画像形成装置100の下部には記録材1を供給可能に収容する記録材収容部80が配置されている。画像形成装置100には感光ドラム20を経て記録材1上に形成された現像剤像となるトナー像を定着する定着手段となる定着装置50が配置されている。
感光ドラム20の周囲には、感光ドラム20の表面を一様に帯電する帯電手段となる帯電ローラ30が設けられている。更に、該帯電ローラ30により一様に帯電された感光ドラム20の表面上に画像情報に応じたレーザ光60aを照射して静電潜像を書き込む露光手段となるレーザ露光装置60が設けられている。
更に、感光ドラム20の周囲には、レーザ露光装置60によって書き込まれた感光ドラム20の表面上(像担持体上)の静電潜像に現像剤Tとなるトナーを供給してトナー像として可視像化する現像手段となる現像装置10が設けられている。更に、該現像装置10により現像されて感光ドラム20の表面上に形成されたトナー像を記録材1上に転写する転写手段となる転写ローラ40が設けられている。更に、記録材1にトナー像を転写した後の感光ドラム20の表面上の残留トナーを除去するクリーニング手段となるクリーニング装置70等の電子写真用の各種デバイスが設けられている。
更に、現像装置10により感光ドラム20の表面上に形成された現像剤像の濃度を検知する検知手段となる濃度センサ90が設けられている。本実施形態の濃度センサ90は発光部を発光させて感光ドラム20の表面上に形成された現像剤像を照射し、その反射光を受光部により受光して、これ等の現像剤像濃度を検知する。
濃度センサ90により濃度検知する感光ドラム20の表面上に形成された現像剤像としては以下の画像を含む。即ち、画像情報に応じた通常のトナー像や、図3に示すトナー濃度検知の基準画像となるパッチ画像Pや、劣化現像剤像となる劣化トナー像D1や、図11に示して後述する現像剤Tから遊離した外添剤像D2が含まれる。
通常は、濃度検知用画像となるパッチ画像Pの濃度を濃度センサ90によって検知し、その検知結果に基づいて現像剤補給手段となるトナー補給装置6により現像装置10内にトナーを補給する。
本実施形態の画像形成装置100における記録材1の搬送経路上には、記録材1を供給可能に収容する記録材収容部80が設けられる。更に、該記録材収容部80に収容された記録材1を予め決められたタイミングで送り出すピックアップローラ53、該ピックアップローラ53によって送り出された記録材1を搬送する搬送ローラ54が設けられる。更に、該搬送ローラ54によって搬送された記録材1を位置決め規制して予め決められたタイミングで感光ドラム20と転写ローラ40とのニップ部に送り出すレジストローラ55を備えている。
本実施形態における画像形成装置100に設けられる制御手段となる制御部7は、CPU(Central Processing Unit;中央演算装置)を備えている。更に、記憶手段となるROM(Read Only Memory;リードオンリメモリ)と、RAM(Randam AccessMemory;ランダムアクセスメモリ)とを備えている。制御部7には図示しない操作パネルや表示部が接続されている。
ROMには、画像形成装置100を制御するための各種制御プログラムや各種設定、初期値等が記憶されている。RAMは、各種制御プログラムが読み出される作業領域として、或いは、画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。CPUはROMから読み出した制御プログラムや各種センサから送られる信号に従って、その処理結果をRAMに記憶させながら、各構成要素を制御する。
制御部7は、画像形成プロセス制御の他、図2に示す現像剤補給手段となるトナー補給装置6におけるトナー補給制御を行う。更に、制御部7に設けられた判断手段となる現像剤劣化度合い判断部5により現像装置10内の現像剤Tの劣化度合の判断を行う。
トナー補給装置6によるトナー補給制御は、予め定めたタイミングで現像剤Tの濃度を確認するために、濃度検知用の基準画像として、図3に示すパッチ画像Pを感光ドラム20の表面上に形成する。そして、このパッチ画像Pの濃度を濃度センサ90によって検知し、その検知結果に基づいてトナー補給装置6から現像装置10へのトナー補給を制御する。
一方、現像剤劣化度合い判断部5による現像剤Tの劣化度合の判断は、予め定めたタイミングで現像剤Tの劣化度合を判断する。このために、図3に示すように、濃度検知用の基準画像としてパッチ画像Pを感光ドラム20の表面上に形成する。そして、このパッチ画像Pの作像方向αの上流側(図3(a)の左側)に出来る劣化現像剤に起因する劣化現像剤像となる劣化トナー像D1の濃度を濃度センサ90によって検知する。そして、その検知結果に基づいて現像剤Tの劣化度合を判断する制御を行っている。
図2に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、静電潜像が形成保持される回転可能な像坦持体となる感光ドラム20と、該感光ドラム20の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段となるレーザ露光装置60と、現像装置10とを有する。
現像装置10は、感光ドラム20に対向して配置され、トナー及びキャリアを含む二成分現像剤からなる現像剤Tを担持する回転可能な現像剤担持体となる現像スリーブ11を有する。更に、該現像スリーブ11に隣設され、該現像スリーブ11に坦持される前の現像装置10内の現像剤Tを攪拌搬送する回転軸部材の外周に螺旋羽根が設けられた攪拌搬送部材13とを有する。
更に、該現像スリーブ11に交流成分と直流成分とを重畳した現像バイアス電圧を印加する現像バイアス電圧印加手段となる現像バイアス電源3を有する。現像装置10は、現像スリーブ11と感光ドラム20との間で該感光ドラム20の表面上の静電潜像に現像剤Tを供給して現像する。
更に、現像装置10に設けられた現像剤補給口12から該現像装置10に対して現像剤Tのうちトナーを補給するトナー補給装置6が設けられる。濃度検知用画像形成手段となる濃度検知用画像形成部2は、非作像時にレーザ露光装置60及び現像装置10を用いて感光ドラム20の表面に濃度検知用の基準画像となるパッチ画像Pを形成する。
更に、濃度検知用画像形成部2により感光ドラム20の表面に形成されたパッチ画像Pの濃度を検知する検知手段となる濃度センサ90を有する。更に、濃度センサ90により随時検知されるパッチ画像Pの感光ドラム20の回転方向に沿った濃度結果に基づいて、現像剤Tの劣化度合いを判断する現像剤劣化度合い判断部5を有する。
判断手段となる現像剤劣化度合い判断部5は、図3に示すように、パッチ画像Pの作像方向αの上流側に形成される劣化トナー像D1が存在するか否かを判断する。更に、該劣化トナー像D1の濃度結果により現像剤Tの劣化度合いを判断する。
ここで、感光ドラム20や現像スリーブ11としては、ドラム状やベルト状であっても良く、感光ドラム20にあってはトナーを坦持して搬送できれば良く、現像スリーブ11にあっては現像剤Tを担持して搬送できるものであれば良い。
また、現像装置10内に設けられる攪拌搬送部材13の個数は特に限定されないが、現像剤Tを循環させ且つ構成を簡略化する観点から二個が好適である。尚、その場合、二個の攪拌搬送部材13の配置は水平方向で且つ回転軸方向が略平行に設けるようにしても良いし、水平方向で且つ互いの回転軸方向が交差する方向に配置しても良い。
また、濃度検知用画像形成部2によって感光ドラム20の表面に形成されるパッチ画像Pは、非作像時に形成されるものであり、この「非作像時」とは、通常の画像形成時以外の時期を意味する。
更に、感光ドラム20の表面に形成されたパッチ画像Pの濃度を濃度センサ90により検知する際、直接、該感光ドラム20の表面上のパッチ画像Pの濃度を濃度センサ90により検知するようにしても良い。他に、感光ドラム20から一旦、中間転写体上に転写されたパッチ画像Pの濃度を濃度センサ90により検知することでも良い。即ち、感光ドラム20の表面上に形成された現像剤像(トナー像)が未定着の状態にあるときの画像であれば良い。
また、現像剤劣化度合い判断部5は、濃度センサ90により検知されたパッチ画像Pの感光ドラム20の回転方向に沿った検知結果に基づいて現像剤Tの劣化度合を判断する。その際に、パッチ画像Pの作像方向αの上流側(図3の左側)において、該パッチ画像Pの作像方向αの上流側のエッジ部P1から距離K1内に劣化トナー像D1があるか否かを判断する。このような現像剤Tの劣化度合いを判断するためのパッチ画像Pの形成時期としては、例えば、環境条件が大きく変化したとき、記録材1が規定の出力枚数に達したとき等が好適である。尚、高温高湿環境下では現像剤像の濃度自体が低下し易いため、パッチ画像Pの形成時期の時間間隔を長くして該パッチ画像Pを形成する方が好ましい。
また、一時期に現像剤Tの濃度及び劣化度合を判断する観点から、濃度検知用画像形成部2は、現像剤Tの補給制御に適用されるパッチ画像Pと現像剤劣化度合い判断部5に適用されるパッチ画像Pとを同じ画像とすることが好ましい。他に、夫々異なる時期にパッチ画像Pを夫々形成するようにしても良い。或いは、一つのパッチ画像Pにて濃度及び画像劣化度合いを確認するようにしても差し支えない。
現像剤劣化度合い判断部5は、劣化した現像剤Tの強制排出の実行タイミングを容易に判断する観点から濃度センサ90により検知された検知結果に基づいて以下の通り判断する。即ち、感光ドラム20の表面上に劣化トナー像D1が存在し、且つ該劣化トナー像D1の濃度結果が予め決められた基準濃度を超えると判断された場合に使用中の現像剤Tが強制排出を要する劣化度合であると判断する。
このような現像剤劣化度合い判断部5での基準濃度としては一段階であっても良いし、複数段階に分かれていても良い。基準濃度が一段階の場合は、現像剤劣化度合い判断部5による現像剤Tの劣化度合いの判断後には該現像剤Tの強制排出動作を実行すれば良い。また、基準濃度が複数段階の場合は、先ず、第一段階の基準濃度に基づいて現像剤Tの劣化度合が判断される。それ以降は、より短い時間的スパンで現像剤劣化度合い判断部5による現像剤Tの劣化度合いの判断を繰り返す。これにより、劣化した現像剤Tの強制排出量を多くするようにすれば良い。尚、このような現像剤劣化度合い判断部5での基準濃度は予め実験等で求め記憶手段となるメモリに記憶させておけば良い。
制御手段となる制御部7により、現像剤劣化度合い判断部5の判断結果に基づいて現像装置10から感光ドラム20に現像剤Tを移動させて該現像剤Tの強制排出を実行する場合は、レーザ露光装置60によって感光ドラム20の表面に所定電位を形成する。そして、現像バイアス電源3により現像スリーブ11に印加する現像バイアス電圧の出力値に応じて劣化した現像剤Tの強制排出量を制御すれば良い。
次に、図4を用いて画像形成装置100のトナー補給制御動作について説明する。図4はトナー補給制御を示すもので、例えば、制御部7により予め定めた枚数の記録材1に画像形成がなされたと判断した場合、現像剤Tの濃度をチェックするために、ステップS1において感光ドラム20の表面にトナー像からなるパッチ画像Pを作像する。このパッチ画像Pは、感光ドラム20の表面上に所望の大きさの静電潜像を形成し、現像装置10により現像することで作像される。
次に、ステップS2において、感光ドラム20の表面上に作像されたパッチ画像Pを濃度センサ90により検知し、制御部7において、例えば、平均濃度が算出される。ここで用いられるパッチ画像Pは、濃度センサ90により単なる濃度を検知できるようになっていれば良いことから、大きな面積を必要とせず、また、パッチ画像Pとしての画像密度も適宜選定すれば良い。
そして、ステップS3において、算出された濃度が予め決められた基準濃度を超えるか否かの判断がなされる。そして、基準濃度を超えない場合には、現像剤Tの濃度が不足しているものと判断して、ステップS4においてトナー補給装置6から現像装置10へのトナー補給を行う。
現像装置10へのトナー補給がなされたなら、前記ステップS1に戻り、更に、現像剤Tの濃度をチェックする。尚、例えば、算出された濃度に応じて、予め決められたトナー量をトナー補給装置6から現像装置10へ補給するようにしておけば、前記ステップS1に戻ることなく終了することも出来る。一方、前記ステップS3において、算出された濃度が基準濃度を超えていれば、トナー補給は行わずに終了する。
また、図5は現像剤Tの劣化度合を判断する様子を示す。例えば、予め定めた枚数の記録材1に画像形成が行われた場合、環境が大きく変化した場合、高画像密度の出力が連続した場合等の適宜の時期に、現像剤劣化度合い判断部5により現像剤Tの劣化度合を判断する。
ステップS11において、画像形成動作が開始されると、ステップS12において、制御部7は現像剤劣化度合い判断部5により現像剤Tの劣化度合のチェックを実行するか否かを判断する。
この判断基準は、制御部7のメモリに格納されているカウンタ、環境センサとなる温湿度センサ4により検知した検知情報、記録材1の一枚当たりの印字デューティ(Duty)等の情報を制御部7のCPUにて収集する。そして、これ等の各情報が予め設定した所定値を超えているか否かで現像剤Tの劣化度合のチェックを実行するか否かを判断する。
例えば、制御部7により、記録材1の印刷枚数が所定枚数を超えたと判断された場合、ステップS13において、通常の画像形成動作が終了した後の後回転に移行した際に、現像剤Tの劣化度合のチェックを行う。
先ず、ステップS14において、パッチ画像Pを作像する際に、設定手段となる制御部7により現像バイアス電源3を制御する。そして、図6(b)に示す通常の画像形成時のかぶり除去電位差Vbよりも、図6(c)に示す現像剤Tの劣化度合判断時のかぶり除去電位差Vbを大きく設定する。
設定手段となる制御部7は、かぶり除去電位差Vbを以下の通り変更する。かぶり除去電位差Vbは帯電ローラ30により帯電された感光ドラム20の表面上の非画像部電位となる図6に示す白地の電位VDと、現像バイアス電源3により現像スリーブ11に印加される現像バイアス電圧の直流成分の電位Vdcとの電位差である。
即ち、濃度センサ90により感光ドラム20の表面上に形成された現像剤像の濃度を検知する際のかぶり除去電位差Vbを以下の通り変更する。即ち、図10の縦軸に示すかぶり率Rが最小となる変曲点Bにおける電位差(かぶりが発生する最小の電位差)よりも大きくなる図10の該変曲点Bよりも左側に示される所定の電位差に設定する。
ここで、かぶり率Rとは以下の通りである。感光ドラム20の表面上に現像された、かぶりトナーを透明なテープで採取する。そして、未使用の用紙に貼った状態を反射濃度計(TOKYO_DENSYOKU REFLECTOMETER MODEL TC-6DS)で測定した反射率をX[%]とする。更に、透明なテープのまま未使用の用紙に貼った状態を前記反射濃度計で測定した反射率をY[%]とする。かぶり率Rは以下の数1式で定義される。
[数1]
R=X−Y
R=X−Y
図10において、変曲点Bよりも右側は、正極性に帯電した劣化トナーが多く現像されたかぶりを示し、変曲点Bよりも左側は、負極性に帯電した正常トナーのかぶりを示す。図10において、「□」は劣化を示し、「○」は通常を示す。
図6に示す電位VLは、感光ドラム20の表面上に形成された画像部電位となるトナー像(黒地)の電位を示す。図6に示す「●」は正常の極性に帯電されたトナーであり、「○」は劣化により極性が反転した反転極性トナーを示す。図6(c)に示すように、かぶり除去電位差Vbが大きい場合には、画像部電位となる黒地の電位VLにあった「○」で示す反転極性トナーが非画像部電位となる白地の電位VDに移動する量が増加する。
かぶり除去電位差Vbを変更する場合には、現像バイアス電源3により現像スリーブ11に印加される現像バイアス電圧の直流成分の電位Vdcを変更する。他に、図示しない帯電バイアス電源により帯電ローラ30に印加される帯電バイアス電圧を変更する。或いは、レーザ露光装置60により感光ドラム20の表面上に照射するレーザ光のレーザエネルギーを変更する。これにより、かぶり除去電位差Vbを所望の電位差に変更することが出来る。
ここで、かぶりとは、本来印字しない白部(未露光部)においてトナーが現像されてしまい、地汚れのように記録材1上に現れる画像不良である。そして、図6に示すかぶり除去電位差Vbにより、かぶりによる画像不良を除去する。
図5に示す前記ステップS14において、パッチ画像Pが感光ドラム20の表面上に形成されると、ステップS15において、濃度センサ90により該パッチ画像Pの図3に示す作像方向αに沿った濃度検知が行われる。このとき、濃度センサ90は短い時間間隔で感光ドラム20の表面上の多数点の濃度検知を行う。
そして、ステップS16において、現像剤劣化度合い判断部5は、図3に示す劣化トナー像D1があるか否かの判断を行う。即ち、濃度センサ90により検知された検知濃度データに基づいてパッチ画像Pの作像方向αの上流側(作像方向の上流側)で該パッチ画像Pの作像方向αの上流側のエッジ部P1から距離K1内に図3に示す劣化トナー像D1があるか否かの判断を行う。
即ち、現像剤劣化度合い判断部5は、現像バイアス電源3により、現像剤Tの劣化度合を判断する際のかぶり除去電位差Vbを通常の画像形成時のかぶり除去電位差Vbよりも大きくする。そして、パッチ画像Pを感光ドラム20の表面上に形成した際に現像剤Tの劣化に起因して該感光ドラム20の表面上に生じる劣化トナー像D1の濃度を濃度センサ90により検知する。そして、検知した濃度結果に基づいて該パッチ画像Pの作像方向αの上流側に劣化トナー像D1が存在するか否かを判断する。これにより、現像剤像に劣化現像剤像が存在するか否かを判断する。そして、劣化トナー像D1の濃度結果に基づいて現像剤Tの劣化度合いを判断する。
図5に示す前記ステップS16において、濃度センサ90により検知した濃度結果に基づいて感光ドラム20の表面上に生じた劣化トナー像D1が確認される。すると、ステップS17において、制御部7により該劣化トナー像D1の濃度がどの程度のものかが算出される。
そして、ステップS18において、前記ステップS17で算出された劣化トナー像D1の濃度を、予め実験的に求めたデータテーブルと比較して、図9に示すトナーリフレッシュ動作の諸条件を決定する。
前記ステップS17において算出された劣化トナー像D1の検知濃度Cが図9に示すように予め定めた濃度レベルL,M,Hの所定範囲に該当すると判断される。すると、劣化現像剤を現像装置10から強制的に感光ドラム20へ現像することにより排出するトナーリフレッシュモードを実行する。
本実施形態では、劣化トナー像D1の濃度に応じてトナーリフレッシュモードの諸条件を変更できるようにしている。例えば、現像剤Tの劣化が軽微である場合は、トナーリフレッシュ能力を小さくし、現像剤Tの劣化が顕著な場合は、トナーリフレッシュ性能を大きく設定している。
そして、ステップS19において、前記ステップS18で決定したトナーリフレッシュ動作の諸条件に基づいてトナーリフレッシュ動作を実行する。即ち、本実施形態では、現像剤劣化度合い判断部5による判断結果に応じて、制御部7は現像剤Tの強制排出の条件を決定する。
前記ステップS12において、現像剤Tの劣化チェックを実行する際の判断基準となる予め設定した所定値を閾値とし、該閾値に達していなければ、ステップS20に進んで画像形成後の後回転を通常通り行った後、終了する。
ここで、現像剤Tの濃度変化と、現像剤Tの劣化度合いの変化について説明する。一般に、二成分現像剤を用いる現像装置10にあっては、攪拌搬送部材13によって現像剤Tが攪拌搬送される際に該現像剤Tへの帯電がなされる。そして、図2に示すように、攪拌搬送部材13から現像スリーブ11に供給された現像剤Tは、目標の帯電量を有するトナーが同じく帯電したキャリア表面に付着した状態のものとなっている。
現像剤担持体となる現像スリーブ11の表面に担持された現像剤Tが感光ドラム20との対向部位からなる現像領域に達する。すると、該感光ドラム20の表面上の静電潜像に従って該現像剤Tのうちのトナーが該感光ドラム20の表面に移動し、静電潜像を可視化する現像が行われる。このとき、トナーは消費されるが、キャリアはそのまま現像装置10内に回収されるため、該現像装置10内ではトナーが不足して現像剤Tのトナー濃度が低下するようになる。
このような状況下で現像を続けると、現像装置10内のトナー不足が感光ドラム20の表面上の静電潜像を現像した後のトナー像に現れ、トナー像の濃度が低下する。これを防止するために、感光ドラム20の表面上の静電潜像を現像したトナー像の濃度を直接、或いは間接的に検知して適宜トナー補給を行うことで、現像装置10内の現像剤Tの濃度が安定し、トナー濃度も安定する。
しかしながら、このような現像が繰り返されると、現像に供されなかったトナーが繰り返しの撹拌動作によってトナーの外添剤が該トナーの樹脂部内に埋没したり、トナーから外添剤の遊離が発生することでトナーの劣化が徐々に進む。このようにして劣化したトナーは帯電性能が劣化しているため、現像に必要な帯電量に帯電出来ずに更に現像に供され難くなる結果、現像装置10内に蓄積されていく。
現像装置10内で劣化したトナーが増量すると該現像装置10内の良好なトナーが相対的に減ってしまい、感光ドラム20の表面に現像されるトナーが減少した結果、濃度低下に至る。また、帯電量が十分でないトナーが一部一緒に現像されることによって感光ドラム20の表面に現像されたトナー像が記録材1に転写される際にトナー像の周辺に帯電不良トナーが飛び散ったり、尾引きが発生する。
ここで、現像装置10内に反転帯電したトナーや帯電不良トナーが増加する。すると、図3に示すように、感光ドラム20の表面に形成されるパッチ画像Pの作像方向αの上流側のエッジ部P1から該作像方向αの上流側に少し離れた位置に劣化トナー像D1が形成される。
図6は反転極性側に帯電したトナーや帯電量が不充分なトナーによって、図3に示すようにパッチ画像Pの作像方向αの上流側のエッジ部P1から該作像方向αの上流側に少し離れた位置に劣化トナー像D1が形成される原理を説明する図である。図3に示すように感光ドラム20の表面に形成されるパッチ画像Pに含まれる反転極性側に帯電したトナーや帯電量が少ない劣化したトナーは、図3に示す作像方向αに対してパッチ画像Pの上流側に顕在化し易い。
図3に示すようにパッチ画像Pの作像方向αの上流側に劣化トナー像D1が形成される理由については詳しいことは判っていない。しかし、以下のように考えられる。
図6に示すように、感光ドラム20の表面上の非画像部電位となる白地の電位VDと、現像スリーブ11に印加される現像バイアス電圧の直流成分の電位Vdcとの間にかぶり除去電位差Vbがある。このかぶり除去電位差Vbにより、現像スリーブ11の表面上に担持された帯電したトナーを感光ドラム20の表面上の非画像部に移動させる電界(以下、「回り込み電界」という)が生じて力を受ける。
上記の力を受けた劣化トナーは自身の質量と帯電量により通常のパッチ画像Pの周辺に分散する。しかし、図3に示す作像方向αの上流側(図3の左側)は感光ドラム20の表面が作像方向αに回転移動している。これにより、パッチ画像Pから作像方向αの上流側の位置周辺に劣化トナーが集中する。このため図3に示すようにパッチ画像Pの作像方向αの上流側のエッジ部P1から該作像方向αの上流側に少し離れた位置に劣化トナー像D1が顕在化し易いと考えられる。
また、図6(c)に示すように、かぶり除去電位差Vbを大きくすると、感光ドラム20の表面上の非画像部にトナーを移動させる電界の力がより大きくなる。このため、劣化トナー像D1が顕在化し易くなる。
ここで、かぶり除去電位差Vbが200Vになるように感光ドラム20の表面上の非画像部電位となる白地の電位VDを調整する場合について説明する。画像形成時の白地の電位VDは−500Vである。感光ドラム20の表面上の画像部電位となる黒地の電位VLは−100Vである。現像スリーブ11に印加される現像バイアス電圧の直流成分の電位Vdcは−400Vである。このとき、画像形成時のかぶり除去電位差Vbは以下の数2式で表わされる。
[数2]
Vb=Vdc−VD
Vb=−400V−(−500V)=100V
Vb=Vdc−VD
Vb=−400V−(−500V)=100V
一方、検知時の白地の電位VDは−600Vである。黒地の電位(パッチ部電位)VLは−100Vである。現像スリーブ11に印加される現像バイアス電圧の直流成分の電位Vdcは−400Vである。尚、感光ドラム20の表面光量は0.2μJ/cm2から0.21μJ/cm2に変化する。このとき、検知時のかぶり除去電位差Vbは以下の数3式で表わされる。
[数3]
Vb=Vdc−VD
Vb=−400V−(−600V)=200V
Vb=Vdc−VD
Vb=−400V−(−600V)=200V
図3(b)は感光ドラム20の表面に形成された劣化トナー像D1を濃度センサ90により検知した様子を示す。図3(a)に示すように、感光ドラム20の表面に形成されたパッチ画像Pを濃度センサ90で検知したときの濃度分布は図3(a)の作像方向αに沿って図3(b)のように示される。
図3に示すパッチ画像Pの感光ドラム20の表面上における位置は、濃度センサ90により検知される該パッチ画像Pの作像方向αにおける距離Nを測定することで確定する。その後、パッチ画像Pの作像方向αの上流側のエッジ部P1から該作像方向αの上流側に距離K1の範囲内に濃度レベルO1以上の濃度が濃度センサ90により検知された際に劣化トナー像D1が存在することを判断する。また、現像剤Tの劣化度合いを判定する際も同様に濃度センサ90により検知した劣化トナー像D1の濃度が濃度レベルL(L>O1)を超えているか否かで判断する。
現像剤Tにおいて劣化トナーの含有量が多いと、パッチ画像Pの作像方向αの上流側のエッジ部P1から該作像方向αの上流側に少し離れた位置に顕像される劣化トナー像D1の劣化トナー量も多くなる。このため、濃度センサ90により検知される検知濃度Cの閾値を複数設けて、現像剤Tの劣化度合いに応じたトナーリフレッシュ動作を行うと、より効果的である。
図7は現像スリーブ11の表面に担持された現像剤Tにおける劣化トナーの含有率と、濃度センサ90により検知される劣化トナー像D1の検知濃度Cとの関係を示す。また、図9は濃度センサ90により検知される劣化トナー像D1の検知濃度Cと、トナーリフレッシュ動作の諸条件の設定例である。
予め実験を行って、現像スリーブ11の表面に担持された現像剤Tにおける劣化トナーの含有率と、濃度センサ90により検知される劣化トナー像D1の検知濃度Cとの関係を求めて参照データテーブルを作成しておく。また、画像濃度や画質と、現像剤Tにおける劣化トナーの含有率との相関関係を把握しておく。これにより、図9に示すように、トナーリフレッシュ動作を実行する検知濃度Cと、トナーリフレッシュ動作の諸条件とを求めておく。
図9に示すように、濃度センサ90により検知される劣化トナー像D1の検知濃度Cが濃度レベルL未満の場合は、トナーリフレッシュ動作は行わない。該検知濃度Cが濃度レベルL以上、且つ濃度レベルM未満の場合は、小程度のトナーリフレッシュ動作を実行する。該検知濃度Cが濃度レベルM以上、且つ濃度レベルH未満の場合は、中程度のトナーリフレッシュ動作を実行する。該検知濃度Cが濃度レベルH以上になってしまった場合には、大程度のトナーリフレッシュ動作を実行する。尚、濃度レベルL,M,Hの関係は{L<M<H}に設定される。
このように設定することで、原稿や環境の変動により現像剤Tの劣化が進行した場合にも適宜、劣化トナーを排出する制御が実行される。
<トナーリフレッシュ動作>
トナーリフレッシュ動作は、既知の方法を用いて、現像装置10内で劣化したトナーを感光ドラム20の表面に現像して強制排出が出来る程度の現像バイアス電圧の設定や感光ドラム20の表面電位に調整すれば良い。例えば、帯電ローラ30により一様に帯電された感光ドラム20の表面上にレーザ露光装置60により画像情報(例えば、黒ベタ画像)に応じたレーザ光を照射して静電潜像を形成する。
トナーリフレッシュ動作は、既知の方法を用いて、現像装置10内で劣化したトナーを感光ドラム20の表面に現像して強制排出が出来る程度の現像バイアス電圧の設定や感光ドラム20の表面電位に調整すれば良い。例えば、帯電ローラ30により一様に帯電された感光ドラム20の表面上にレーザ露光装置60により画像情報(例えば、黒ベタ画像)に応じたレーザ光を照射して静電潜像を形成する。
このときの静電潜像は感光ドラム20の回転軸方向の全域で所定の周長となるように設定され、該静電潜像の電位は図6に示す画像部電位となる黒地の電位VLで所定のドット面積を有する。そして、この静電潜像に現像装置10内の劣化トナーが現像し易い現像バイアス電圧を現像スリーブ11に印加する。これにより、感光ドラム20の表面上に劣化トナーを選択的に現像させる。本実施形態では、正常なトナーは負極性に帯電しており、劣化したトナーは帯電しないか、或いは、正極性に帯電する。
尚、レーザ露光装置60によりレーザ光を照射しない。このとき、感光ドラム20の表面上は帯電ローラ30により一様に帯電された非画像部電位となる白地の電位VDのままの状態である。そして、現像スリーブ11に印加される現像バイアス電圧の直流成分の電位Vdcで感光ドラム20の表面上に劣化トナーを選択的に現像させる。この場合は、現像スリーブ11に印加される現像バイアス電圧の直流成分の印加時間もトナーリフレッシュ能力に寄与するパラメータの一つとして設定される。
感光ドラム20の表面上に現像された劣化トナーはクリーニング装置70に設けられるクリーニングブレードにより掻き取られて廃トナー容器内に回収される。
本実施形態では、図9に示すように、かぶり除去電位差Vbを「小(180V)」「中(180V)」「大(210V)」の3段階で設定する。更に、トナーリフレッシュ動作時間も現像剤Tの劣化度合いに応じて「短(0.87秒)」「中(1.74秒)」「長(2.61秒)」の3段階に設定されている。尚、プロセススピードは230mm/secである。現像スリーブ11の線速は361mm/secである。現像スリーブ11の外径直径は20mmである。
制御部7による現像剤Tの強制排出からなるトナーリフレッシュ動作の実行タイミングは、印刷ジョブ毎、または記録材1の所定の印刷枚数毎に設定される。例えば、印刷ジョブ毎の現像剤劣化度合い判断部5による現像剤Tの劣化度合い判定直後と、各々の劣化度合いに応じた記録材1の通紙枚数毎に実行することが出来る。トナーリフレッシュ動作は、所定の間隔後に再度、現像剤劣化度合い判断部5により現像剤Tの劣化度合い判定を行うまで継続される。
図8は記録材1の通紙枚数に対するベタ黒画像の反射濃度の変化を示す。濃度測定には、濃度センサ90として、X−Rite社製の分光濃度計941型を用いた。記録材1としてA4の紙を500枚通紙する毎に、先行する記録材1と後続する記録材1との間で現像剤劣化度合い判断部5により劣化トナーの判定及び劣化度合いの判定を実施する。そして、先行する記録材1と後続する記録材1との間でトナーリフレッシュ動作を実行している。
図8の「□」で示す比較例は、温度が30℃、湿度が80%RH(Relative Humidity;相対湿度)の高温多湿環境下であり、トナーリフレッシュ動作を実施しない場合である。図8の「○」で示す実施例では、前記比較例と同じ高温多湿環境下にて、現像剤劣化度合い判断部5により現像剤Tの劣化トナー判定と、劣化度合い判定を実施し、トナーリフレッシュ動作を実行した場合である。
図8の「○」で示す実施例では、記録材1の通紙枚数に関わらずベタ黒画像の反射濃度は殆ど変化しない。これに対して、図8の「□」で示す比較例では、記録材1を約5万枚以上通紙すると、画像形成装置100の濃度規格である濃度閾値Aを下回ってしまうことが分かる。これにより、定期的にトナーリフレッシュ動作を行うことで濃度低下を防止することが出来る。
本実施形態では、パッチ画像Pを用いてトナー濃度を検知し、その検知結果に基づいてトナーを補給制御することで現像装置10内の現像剤Tの濃度を安定化させる。これと共に、図3に示すように、現像剤Tが劣化した場合に生じる劣化トナー像D1が、パッチ画像Pの作像方向αの上流側に現れているか否かの判断を行う。そして、劣化トナー像D1が確認されれば現在の現像剤Tが劣化状態にあるものと判断される。また、劣化トナー像D1の濃度を計測することで劣化度合いが判断される。
従って、一つの濃度センサ90による濃度結果に基づいて、現像装置10内の現像剤Tの濃度制御と、現像装置10内の現像剤Tの劣化度合いの判断とが可能となる。
本実施形態では濃度センサ90により検知した劣化トナー像D1の検知濃度Cから現像装置10内の現像剤Tにおける劣化トナーの存否や劣化度合いを判定した。しかし、現像剤劣化度合い判断部5による劣化現像剤像の存否は、図3に示すように、濃度センサ90により検知した濃度結果における検出時間となる劣化トナー像D1の検出幅Wに基づいて判断することも可能である。
本実施形態ではモノクロ画像を作像する画像形成装置100について説明した。他に、カラー画像を作像する画像形成装置に対しても同様に現像剤劣化度合い判断部5により各色の現像装置10内の現像剤Tの劣化トナー判定と、劣化度合い判定を実施出来る。そして、各色毎に定期的にトナーリフレッシュ動作を行うことが可能である。
カラー画像形成装置としては、例えば、感光ドラム20に形成した濃度検知用画像となるパッチ画像Pや劣化現像剤像となる劣化トナー像D1を図示しない中間転写体に転写する。そして、該中間転写体に転写されたトナー像の濃度を濃度センサ90で検知するように構成しても良い。
また、本実施形態では、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤を現像剤Tとして収容する現像装置10を搭載した画像形成装置100について説明した。他に、トナーのみからなる一成分現像剤を現像剤Tとして収容する現像装置10を搭載した画像形成装置100についても同様に現像剤劣化度合い判断部5により現像装置10内の現像剤Tの劣化トナー判定と、劣化度合い判定を実施出来る。そして、定期的にトナーリフレッシュ動作を行うことが可能である。
上記構成によれば、一つの濃度センサ90を用いて現像剤Tの濃度変化及び劣化度合いの二つの要因を把握出来、現像剤Tの劣化原因として帯電不良や反転帯電した現像剤Tの劣化度合いを、より直接的に計測できる。このため、現像剤Tの劣化度合いの判断における精度向上を図ることが出来る。
次に、図11及び図12を用いて本発明に係る画像形成装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
前記第1実施形態では、帯電しないか正極性に帯電した劣化トナーにより生成される劣化トナー像D1を劣化現像剤像として検出する一例について説明した。本実施形態では、劣化現像剤像として、帯電しないか正極性に帯電した劣化トナーにより生成される劣化トナー像D1に加えて、図11に示すように、濃度センサ90により現像剤Tから遊離した外添剤により生成される外添剤像D2を検出する構成とした。
前記第1実施形態では、図3に示すように、パッチ画像Pの作像方向αの上流側に現像された劣化トナー像D1の濃度を濃度センサ90により検知する。そして、その濃度結果に基づいて現像剤劣化度合い判断部5により現像剤T中における劣化トナーの存否及び劣化度合いを判断していた。
これに対して、本実施形態では、劣化トナー像D1のみではなく、トナーの表面から遊離した外添剤により生成される外添剤像D2の濃度を濃度センサ90により検知する。そして、その濃度結果に基づいて現像剤劣化度合い判断部5により現像剤T中におけるトナーの表面から遊離した外添剤の存否及び現像剤Tの劣化度合いを判断する。
ここで、現像剤Tのトナーの表面にコーティングされる外添剤は、トナーの流動性を向上する外添剤や、感光ドラム20の研磨剤としての機能を持たせた外添剤等、多種にわたる。正常なトナー樹脂が負極性の帯電である場合、帯電系列が正極性に該当する外添剤の種類はトナーから剥離や遊離を起こすと、それ自身が正極性の帯電であるため、感光ドラム20に現像されずに現像装置10内に留まってしまう。
現像スリーブ11の表面上に、トナーから遊離し、正極性に帯電した外添剤の比率が増すと、現像出来る現像スリーブ11の表面上のトナー量が相対的に減少しているため、感光ドラム20の表面上に現像されたトナー像の濃度が薄くなる。特に、黒ベタ画像や高印字画像が複数枚連続して印刷され、現像スリーブ11が先行する記録材1と、その直後に後続する記録材1との間ではクラッチ機構等により停止している構成において顕著に表れ易い。
現像剤Tに含まれる外添剤の材料にも依るがトナー樹脂との色味の違いが有れば良い。本実施形態では二酸化チタン等を外添剤として用いており、二酸化チタンの色味は白色であるから現像剤Tのトナー樹脂との色味の違いがある。感光ドラム20の表面に現像された外添剤像D2の濃度を濃度センサ90により検知した濃度結果に基づいて現像剤T中におけるトナーの表面から遊離した外添剤の存否及び現像剤Tの劣化度合いを判断することが可能である。
感光ドラム20の表面上に現像されたパッチ画像Pを濃度センサ90で検知した場合の作像方向αの濃度分布を図11に示す。トナーの表面から遊離した外添剤像D2の濃度を測定した結果は、図11(b)に示すような濃度分布のデータが得られる。
図11において、パッチ画像Pの作像方向αの距離Nを測定する。これにより該パッチ画像Pの位置を確定する。その後、該パッチ画像Pの作像方向αの上流側のエッジ部P1から該作像方向αの上流側の所定の距離K2内に濃度レベルO2以下の濃度が検出される。その場合にトナーから遊離した外添剤像D2が存在することを判断する。
また、現像剤Tの劣化度合いを判定する際も同様に濃度センサ90により検知した外添剤像D2の濃度が所定の濃度レベルを超えているか否かで判断するようにすれば良い。尚、外添剤像D2が存在することを判断する距離K2と、劣化トナー像D1が存在することを判断する距離K1とは同じ距離でも良いし、異なる距離でも良い。
図12は、劣化現像剤像として、劣化トナーからなる劣化トナー像D1と、トナーから遊離した外添剤からなる外添剤像D2の存否判断と、劣化度合い判断を行う様子を示す。劣化した現像剤Tのチェックは、例えば、予め定めた枚数の記録材1に画像形成が行われた場合、或いは、環境が大きく変化した場合、或いは、高画像密度の出力が連続した場合等の適宜のタイミングで現像剤Tの劣化度合を確認するために行われる。劣化した現像剤Tのチェックを行うか否かの判断は前記第1実施形態と同様である。
図12のステップS21において、パッチ画像Pを作像する際に、かぶり除去電位差Vbを通常の画像形成時よりも大きく設定して作像される。即ち、図10に示して前述したように、濃度センサ90により感光ドラム20の表面上に形成された現像剤像の濃度を検知する際のかぶり除去電位差Vbを以下の通り変更する。即ち、図10の縦軸に示す、かぶり率Rが最小となる変曲点Bにおける電位差よりも大きくなる図10の該変曲点Bよりも右側に示される所定の電位差に変更する。
パッチ画像Pが感光ドラム20の表面上に形成されると、ステップS22において、濃度センサ90により該パッチ画像Pの作像方向αに沿った検知(短い時間間隔で多数点の検知を行う)が行われる。そして、ステップS23において、濃度センサ90により検知された濃度データにパッチ画像Pの作像方向αの上流側のエッジ部P1から距離K2の範囲内に外添剤像D2があるか否かの判断がなされる。外添剤像D2が無かった場合はステップS24に進み、濃度センサ90により続けて検知された濃度データに図3に示すパッチ画像Pの作像方向αの上流側のエッジ部P1から距離K1の範囲内に劣化トナー像D1があるか否かの判断がなされる。
前記ステップS24において、図3に示す劣化トナー像D1が有ることが確認されると、ステップS25に進み、該劣化トナー像D1の濃度がどの程度のものかが算出される。そして、ステップS26において、図3に示す劣化トナー像D1の濃度を、予め実験的に求めたデータテーブルと比較して、図9に示すトナーリフレッシュ動作の諸条件を決定する。濃度センサ90により検知された劣化トナー像D1の濃度結果に基づいて、データテーブルと比較して現像剤Tの劣化が軽微である場合は、トナーリフレッシュ性能を小さく設定する。また、現像剤Tの劣化が顕著な場合は、トナーリフレッシュ性能を大きく設定する。そして、ステップS27においてトナーリフレッシュ動作を実行する。
前記ステップS23において、外添剤像D2が確認された場合、ステップS28に進んで該外添剤像D2の濃度を算出する。そして、ステップS29において、濃度センサ90により続けて検知された濃度データに図3に示すパッチ画像Pの作像方向αの上流側のエッジ部P1から距離K1の範囲内に劣化トナー像D1があるか否かの判断がなされる。
前記ステップS29において、劣化トナー像D1が確認された場合、ステップS30に進み、劣化トナー像D1の濃度を算出する。そして、ステップS31において、前記ステップS30で算出した劣化トナー像D1の濃度と、前記ステップS28で算出した外添剤像D2の濃度とを予め実験的に求めておいたデータテーブルと比較してトナーリフレッシュ動作の諸条件を決定する。そして、ステップS32において、トナーリフレッシュ動作を実行する。
前記ステップS29において、劣化トナー像D1がパッチ画像Pの作像方向αの上流側に存在しない。その場合、ステップS33に進んで、前記ステップS28で算出した外添剤像D2の濃度を予め実験的に求めておいたデータテーブルと比較してトナーリフレッシュ動作の諸条件を決定する。そして、ステップS34において、トナーリフレッシュ動作を実行する。
本実施形態では、劣化トナー像D1と外添剤像D2のそれぞれの濃度を濃度センサ90により検知して劣化トナーやトナーから遊離した外添剤の存否と、現像剤Tの劣化度合いを判断した。しかし、パッチ画像Pの作像方向αの上流側に顕像化される劣化トナー像D1と外添剤像D2のそれぞれの作像方向αの幅(検出時間)を計測して劣化トナーやトナーから遊離した外添剤の存否と、現像剤Tの劣化度合いを判断しても良い。また、外添剤像D2のみの濃度を濃度センサ90により検知してトナーから遊離した外添剤の存否と、現像剤Tの劣化度合いを判断しても良い。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
次に、図13を用いて本発明に係る画像形成装置の第3実施形態の構成について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
前記第1実施形態では、感光ドラム20の表面上に現像されたパッチ画像Pの作像方向αの上流側に現像された劣化トナー像D1の濃度を濃度センサ90により検知する。これにより現像装置10内の現像剤Tに含まれる劣化トナーの存否及び劣化度合いを判断した。
本実施形態では、濃度センサ90により感光ドラム20の表面上に形成された現像剤像の濃度を検知する際のかぶり除去電位差Vbを以下の通り設定する。即ち、図10の縦軸に示すかぶり率Rが最小となる変曲点Bにおける電位差(かぶりが発生する最小の電位差)よりも大きくなる図10の該変曲点Bよりも右側に示される所定の電位差に設定する。
これにより、図10に示す変曲点Bよりも右側の正極性に帯電した劣化トナーによる反転かぶりを感光ドラム20の表面上に生成する。そして、濃度センサ90により検知した反転かぶりの濃度に基づいて現像剤劣化度合い判断部5により現像剤Tの劣化度合いを判断する。
図13は、感光ドラム20の表面上に現像された反転かぶりを濃度センサ90により検知し、該反転かぶりの濃度に基づいて現像剤Tの劣化を判定する様子を示す。
ここで、かぶり除去電位差Vbが200Vになるように感光ドラム20の表面上の非画像部電位となる白地の電位VDを調整する場合について説明する。画像形成時の白地の電位VDは−500Vである。感光ドラム20の表面上の画像部電位となる黒地の電位VLは−100Vである。現像スリーブ11に印加される現像バイアス電圧の直流成分の電位Vdcは−400Vである。このとき、画像形成時のかぶり除去電位差Vbは以下の数4式で表わされる。
[数4]
Vb=Vdc−VD
Vb=−400V−(−500V)=100V
Vb=Vdc−VD
Vb=−400V−(−500V)=100V
一方、検知時の白地の電位VDは−600Vである。露光はしない(パッチは作らない)。現像スリーブ11に印加される現像バイアス電圧の直流成分の電位Vdcは−400Vである。このとき、検知時のかぶり除去電位差Vbは以下の数5式で表わされる。尚、現像スリーブ11に印加される現像バイアス電圧の直流成分の電位Vdcは可変としても良い。
[数5]
Vb=Vdc−VD
Vb=−400V−(−600V)=200V
Vb=Vdc−VD
Vb=−400V−(−600V)=200V
先ず、ステップS41において、かぶり除去電位差Vbを通常の画像形成時よりも大きくする。即ち、濃度センサ90により感光ドラム20の表面上に形成された反転かぶりの濃度を検知する際のかぶり除去電位差Vbを以下の通り設定する。即ち、図10の縦軸に示すかぶり率Rが最小となる変曲点Bにおける電位差(かぶりが発生する最小の電位差)よりも大きくなる図10の該変曲点Bよりも左側に示される所定の電位差に設定する。そして、感光ドラム20の表面上に劣化検出用画像(白地部)を形成する。
そして、ステップS42において、濃度センサ90により反転かぶりの濃度を検知し、ステップS43において、濃度センサ90により検知した反転かぶりの濃度が所定値以上か否かを判断する。前記ステップS43いおいて、濃度センサ90により検知した反転かぶりの濃度が所定値以上であった場合は、ステップS44に進み、予め実験的に求めておいたデータテーブルと比較してトナーリフレッシュ動作の諸条件を決定する。
そして、ステップS45において、トナーリフレッシュ動作を実行する。前記ステップS43において、濃度センサ90により検知した反転かぶりの濃度が所定値より小さい場合は、トナーリフレッシュ動作を行わず画像形成動作に移行する。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
T …現像剤
5 …現像剤劣化度合い判断部(判断手段)
10 …現像装置(現像手段)
20 …感光ドラム(像担持体)
90 …濃度センサ(検知手段)
5 …現像剤劣化度合い判断部(判断手段)
10 …現像装置(現像手段)
20 …感光ドラム(像担持体)
90 …濃度センサ(検知手段)
Claims (7)
- 静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体上の静電潜像に現像剤を供給して現像剤像を形成する現像手段と、
前記現像手段により前記像担持体上に形成された現像剤像の濃度を検知する検知手段と、
前記像担持体上に形成した現像剤像を前記検知手段により検知した濃度結果に基づいて現像剤の劣化を判断する判断手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。 - 前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像担持体に対向して配置される現像剤担持体に現像バイアス電圧を印加する現像バイアス電圧印加手段と、
前記帯電手段により帯電された前記像担持体の表面上の電位と、前記現像バイアス電圧印加手段により印加される現像バイアス電圧の直流成分の電位との電位差を設定する設定手段と、
を有し、
前記設定手段は、前記検知手段により前記像担持体上に形成された現像剤像の濃度を検知する際の前記電位差を、かぶりが発生する最小の電位差よりも大きくなるように設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記判断手段は、前記検知手段により検知した濃度結果に基づいて前記像担持体上に形成された現像剤像からなる基準画像の作像方向の上流側に劣化現像剤像が存在するか否かを判断し、該劣化現像剤像の濃度結果に基づいて現像剤の劣化度合いを判断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記判断手段による前記劣化現像剤像の存否は、前記検知手段により検知した濃度結果における検出時間に基づいて判断されることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
- 前記判断手段による判断結果に基づいて前記現像手段から前記像担持体に現像剤を移動させて該現像剤の強制排出を実行する制御手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記制御手段は、前記判断手段による判断結果に応じて現像剤の強制排出の条件を決定することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
- 前記制御手段による現像剤の強制排出を実行するタイミングは、印刷ジョブ毎、または記録材の所定の印刷枚数毎に設定されることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014227639A JP2016090908A (ja) | 2014-11-10 | 2014-11-10 | 画像形成装置 |
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