JP2016089132A - 発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法及び発泡体の製造方法 - Google Patents

発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法及び発泡体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】既存の製造設備を使用でき、高い生産性で発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を製造できる発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法は、プロピレンモノマーを重合してポリプロピレンを得るプロピレン重合工程と、前記ポリプロピレンの存在下、エチレンモノマーを重合して、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合樹脂を得るエチレン重合工程とを有し、前記エチレン重合工程では、得られるポリエチレンの極限粘度が15〜30dl/gになるように重合条件を調整する方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、発泡成形されるポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法、発泡体の製造方法に関する。
ポリプロピレンは物性バランスに優れ、しかも安価であることから、日用品、食品用容器、電気製品の部品や筐体、自動車用の内装材や外装材、建築部材等、幅広い分野で使用されている。また、ポリプロピレンにおいては、軽量性、断熱性、衝撃吸収性等を得るために、発泡体とすることがある。
一般に、発泡体を製造するための樹脂としては、発泡性に優れたものが使用される。発泡成形用のポリプロピレン系樹脂組成物としては、重合触媒存在下でエチレンモノマーを予備重合して高分子量のポリエチレンを得た後、高分子ポリエチレンの存在下で、プロピレンモノマーを重合して得たものが提案されている(特許文献1)。
特許第3176932号公報
しかし、特許文献1に記載の製造方法では、高分子量ポリエチレンを得るための予備重合で特殊な設備を必要とし、また、重合が煩雑であるため、生産性が低く、製造コストが高くなる傾向にあった。ポリプロピレンは汎用樹脂であり、価格をあまり高くできないため、特許文献1に記載の製造方法は商業性に欠けていた。
本発明は、既存の製造設備を使用でき、高い生産性で発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を製造できる発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。また、発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を用いた発泡体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法は、プロピレンモノマーを重合してポリプロピレンを得るプロピレン重合工程と、前記ポリプロピレンの存在下、エチレンモノマーを重合して、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合樹脂を得るエチレン重合工程とを有し、前記エチレン重合工程では、得られるポリエチレンの極限粘度が15〜30dl/gになるように重合条件を調整する方法である。
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法においては、前記混合樹脂に希釈用ポリプロピレンを混合する希釈工程をさらに有することが好ましい。
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法においては、プロピレン重合工程及びエチレン重合工程にて、チタンと電子供与体化合物としてジカルボン酸またはその誘導体のジエステルとを含有する重合触媒を用いることが好ましい。
ジカルボン酸またはその誘導体のジエステルとしては、スクシネート系化合物を好適に用いることができる。
また、前記の高分子量のポリエチレンを得るためには、エチレン重合工程においてエチレンモノマーを30℃〜70℃で重合することが好ましい。
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法においては、得られる発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物におけるポリエチレン含有割合を2〜6質量%にすることが好ましい。
また、得られる発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレートが2〜7g/10分であり、歪み硬化指数が5.0以上であることが好ましい。
本発明の発泡体の製造方法は、上記発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造工程の後に、得られた発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を発泡成形する発泡工程を有する方法である。
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法では、既存の製造設備を使用でき、高い生産性で発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を製造できる。
本発明の発泡体の製造方法では、高い生産性で発泡体を製造できる。
歪み硬化指数を求める際に使用するグラフであって、横軸を伸長時間の対数、縦軸を伸長粘度の対数としてプロットしたグラフである。
「発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法」
<第1実施形態>
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法の第1実施形態について説明する。
本実施形態の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法は、プロピレン重合工程とエチレン重合工程と希釈工程とを有する。
(プロピレン重合工程)
プロピレン重合工程は、プロピレンモノマーを重合してポリプロピレンを得る工程である。
プロピレン重合工程では、プロピレンモノマーのみを重合してホモポリプロピレンを得てもよいし、プロピレンモノマーに少量のエチレンモノマーを添加して、ポリプロピレンをプロピレン・エチレンランダム共重合体としてもよい。プロピレン・エチレンランダム共重合体を得る場合には、エチレンモノマーの添加量を、プロピレンモノマーとエチレンモノマーの合計100質量%に対して5質量%以下の範囲にすることが好ましい。
重合の反応時間と圧力と温度は特に制限はないが、温度は50〜100℃であることが好ましい。圧力は大気圧であってもよいし、大気圧より高くてもよい。
重合の際には、水素等の分子量調整剤を添加して、ポリプロピレンの分子量を調整してもよい。
[重合触媒]
通常、重合の際には重合触媒が用いられる。重合触媒としては特に制限されないが、(A)マグネシウム、チタン、ハロゲン及び電子供与体化合物を含有する固体触媒成分;(B)有機アルミニウム化合物;(C)外部電子供与体化合物を含むものが好ましい。
固体触媒成分(A)は、様々な方法により得ることができる。例えば、下記(1)〜(7)に示す方法が挙げられる。
(1)マグネシウム化合物あるいはマグネシウム化合物と電子供与体化合物の錯化合物を、電子供与体化合物、粉砕助剤等の存在下または不存在下、粉砕し、または粉砕することなく、電子供与体化合物および/または有機アルミニウム化合物やハロゲン含有ケイ素化合物のような反応助剤で予備処理し、又は予備処理せずに得た固体と反応条件下に液相をなすチタン化合物と反応させる方法。
(2)マグネシウム化合物の液状物と、液状のチタン化合物を電子供与体化合物の存在下または不存在下で反応させて固体状のチタン複合体を析出させる方法。
(3)固体状のマグネシウム化合物と液状のチタン化合物および電子供与体化合物と反応させる方法。
(4)上記(2)又は(3)で得られたものに、さらにチタン化合物を反応させる方法。
(5)上記(1)、(2)、(3)のいずれかで得られたものにさらに電子供与体化合物およびチタン化合物を反応させる方法。
(6)マグネシウム化合物あるいはマグネシウム化合物と電子供与体化合物の錯化合物を、電子供与体化合物、粉砕助剤等の存在下または不存在下、およびチタン化合物の存在下に粉砕し、電子供与体化合物および/または有機アルミニウム化合物やハロゲン含有ケイ素化合物のような反応助剤で予備処理し、又は予備処理せずに得た固体をハロゲン又はハロゲン化合物または芳香族炭化水素で処理する方法。
(7)前記(1)〜(5)で得られた化合物をハロゲン又はハロゲン化合物又は芳香族炭化水素で処理する方法。
固体触媒成分(A)の調製に用いられるチタン化合物として、一般式:Ti(OR)g4-g(Rは炭化水素基、Xはハロゲン、0≦g≦4)で表される4価のチタン化合物が好適である。炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等が挙げられ、ハロゲンとしては、Cl、Br等が挙げられる。
より具体的なチタン化合物としては、TiCl、TiBr、TiIなどのテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH)Cl、Ti(OC)Cl、Ti(O−C)Cl、Ti(OC)Br、Ti(O−isoC)Brなどのトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCHCl、Ti(OCCl、Ti(O−CCl、Ti(OCBrなどのジハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCHCl、Ti(OCCl、Ti(O−CCl、Ti(OCBrなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタン;Ti(OCH、Ti(OC、Ti(O−Cなどのテトラアルコキシチタンなどが挙げられる。これらチタン化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記チタン化合物の中で好ましいものはハロゲン含有チタン化合物、とくにテトラハロゲン化チタンであり、特に好ましいものは、四塩化チタン(TiCl)である。
固体触媒成分(A)の調製に用いられるマグネシウム化合物として、マグネシウム・炭素結合やマグネシウム・水素結合を有するマグネシウム化合物、例えばジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、エチル塩化マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化マグネシウム、ブチルエトキシマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、ブチルマグネシウムハイドライドなどが挙げられる。
これらのマグネシウム化合物は、例えば有機アルミニウム等との錯化合物の形で用いることもでき、また、液状状態であっても固体状態であってもよい。
さらに好適なマグネシウム化合物として、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウム等のアルコキシマグネシウムハライド;フエノキシ塩化マグネシウム、メチルフエノキシ塩化マグネシウム等のアリロキシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキシマグネシウム等のアルコキシマグネシウム;フエノキシマグネシウム、ジメチルフエノキシマグネシウム等のアリロキシマグネシウム;ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等のマグネシウムのカルボン酸塩などが挙げられる。
これらマグネシウム化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述のプロピレン樹脂組成物の製造で使用する固体触媒成分(A)の調製に用いられる電子供与体化合物として、アルコール、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸又は無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物等の含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネート等の含窒素電子供与体などが知られているが、本発明における電子供与体化合物はジカルボン酸ジエステルを含むことが好ましい。ジカルボン酸とは2つのカルボキシル基を有する化合物である。ジカルボン酸ジエステルの具体例として、以下のものが挙げられる。
ジエチルスクシネート、ジブチルスクシネート、ジエチルメチルスクシネート、ジエチルジイソプロピルスクシネート、ジアリルエチルスクシネート、α−メチルグルタル酸ジイソブチル、マロン酸ジブチルメチル、マロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、イソプロピルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、フェニルマロン酸ジエチル、ジエチルマロン酸ジエチル、アリルマロン酸ジエチル、ジイソブチルマロン酸ジエチル、ジノルマルブチルマロン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジエチル、β−メチルグルタル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−2−エチルヘキシル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、シトラコン酸ジオクチル、シトラコン酸ジメチルなどの脂肪族ポリカルボン酸エステル。
1,2−シクロヘキサンカルボン酸ジエチル、1,2−シクロヘキサンカルボン酸ジイソブチル、テトラヒドロフタル酸ジエチル、ナジツク酸ジエチルのような脂環族ポリカルボン酸エステル。
モノエチルフタレート、ジメチルフタレート、メチルエチルフタレート、モノイソブチルフタレート、モノノルマルブチルフタレート、ジエチルフタレート、エチルイソブチルフタレート、エチルノルマルブチルフタレート、ジn−プロピルフタレート、ジイソプロピルフタレート、ジn−ブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジn−ヘプチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジn−オクチルフタレート、ジネオペンチルフタレート、ジデシルフタレート、ベンジルブチルフタレート、ジフェニルフタレート、ナフタリンジカルボン酸ジエチル、ナフタリンジカルボン酸ジブチル、トリメリツト酸トリエチル、トリメリツト酸ジブチルなどの芳香族ポリカルボン酸エステル。
3,4−フランジカルボン酸などの異節環ポリカルボン酸エステル。
また、多価ヒドロキシ化合物エステルを用いることもでき、その好ましい具体例として、1,2−ジアセトキシベンゼン、1−メチル−2,3−ジアセトキシベンゼン、2,3−ジアセトキシナフタリン、エチレングリコールジピバレート、ブタンジオールピバレートなどを挙げることができる。同様に電子供与体化合物としてヒドロキシ置換カルボン酸のエステルを用いることもでき、その好ましい具体例として、ベンゾイルエチルサリチレート、アセチルイソブチルサリチレート、アセチルメチルサリチレートなどを挙げることができる。
固体触媒成分中に担持させることのできる多価カルボン酸ジエステルの他の例としては、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジn−ブチル、セバシン酸ジn−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの長鎖ジカルボン酸のエステル類を挙げることができる。
コハク酸、コハク酸の1位または2位にアルキル基等の置換基を持つ置換コハク酸もジカルボン酸に含まれる。ジカルボン酸ジエステルの中でコハク酸、置換コハク酸、フタル酸、マレイン酸、置換マロン酸のジエステルがより好ましく、コハク酸エステル(スクシネート)系の電子供与体化合物を好適に用いることができる。
好適なスクシネート系化合物は、下記化学式(I)で表されるスクシネート構造を有する化合物である。
Figure 2016089132
式(I)中、R及びRは、互いに同一又は異なり、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基である。好ましいR及びRは、炭素数1〜8のアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、及びアルキルアリール基である。R及びRは、第1級アルキル、特に分岐第1級アルキルから選択される化合物が特に好ましい。好適なR及びRの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、ネオペンチル、2−エチルヘキシルが挙げられ、エチル、イソブチル、及びネオペンチルが特に好ましい。
〜Rは、互いに同一か又は異なり、水素、或いは、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基である。同じ炭素原子に結合しているRとR、RとRは互いに結合して環構造を形成してもよい。異なる炭素原子に結合しているR〜Rのいずれか2つ以上は互いに結合して環構造を形成してもよい。
式(I)に示される化合物の好ましい群の1つは、R〜Rが水素であり、Rが、3〜10個の炭素原子を有する、分岐アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、及びアルキルアリール基の単置換スクシネート化合物である。
好適な単置換スクシネート化合物の具体例としては、ジエチル−sec−ブチルスクシネート、ジエチルテキシルスクシネート、ジエチルシクロプロピルスクシネート、ジエチルノルボニルスクシネート、ジエチルペリヒドロスクシネート、ジエチルトリメチルシリルスクシネート、ジエチルメトキシスクシネート、ジエチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジエチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジエチルフェニルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルスクシネート、ジエチルベンジルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−t−ブチルスクシネート、ジエチルイソブチルスクシネート、ジエチルイソプロピルスクシネート、ジエチルネオペンチルスクシネート、ジエチルイソペンチルスクシネート、ジエチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチルフルオレニルスクシネート、1−(エトキシカルボジイソブチルフェニル)スクシネート、ジイソブチル−sec−ブチルスクシネート、ジイソブチルテキシルスクシネート、ジイソブチルシクロプロピルスクシネート、ジイソブチルノルボニルスクシネート、ジイソブチルペリヒドロスクシネート、ジイソブチルトリメチルシリルスクシネート、ジイソブチルメトキシスクシネート、ジイソブチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジイソブチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルスクシネート、ジイソブチルベンジルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−t−ブチルスクシネート、ジイソブチルイソブチルスクシネート、ジイソブチルイソプロピルスクシネート、ジイソブチルネオペンチルスクシネート、ジイソブチルイソペンチルスクシネート、ジイソブチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチルフルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−sec−ブチルスクシネート、ジネオペンチルテキシルスクシネート、ジネオペンチルシクロプロピルスクシネート、ジネオペンチルノルボニルスクシネート、ジネオペンチルペリヒドロスクシネート、ジネオペンチルトリメチルシリルスクシネート、ジネオペンチルメトキシスクシネート、ジネオペンチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジネオペンチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジネオペンチルフェニルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチルベンジルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチルイソブチルスクシネート、ジネオペンチルイソプロピルスクシネート、ジネオペンチルネオペンチルスクシネート、ジネオペンチルイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチルフルオレニルスクシネートが挙げられる。
これら化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
式(I)に示される化合物の他の好ましいものとして、R〜Rの少なくとも2つの基が、水素ではなく、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基から選択される二置換スクシネート化合物が挙げられる。水素ではない2つの基は同じ炭素原子に結合していることが好ましい。
好適な二置換スクシネート化合物の具体例としては、ジエチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジエチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチルー2−シクロペンチル−2−n−プロピルスクシネート、ジエチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジエチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジイソブチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロペンチル−2−n−プロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−フェニル−2−n−プロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロペンチル−2−n−プロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネートが挙げられる。
これら化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、式(I)に示される化合物の特に好ましいものとしては、水素とは異なる少なくとも2つの基、則ちR及びR、又はR及びRが異なる炭素原子に結合している化合物も挙げられる。
この化合物の具体例としては、ジエチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジエチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジエチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジエチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジエチル−2,2,3,3−テトラメチルスクシネート、ジエチル−2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジエチル−2,2,3,3−テトラプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジイソブチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチルー2,3−n−プロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジイソブチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−n−プロピル−3−(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−2,2,3,3−テトラメチルスクシネート、ジイソブチル−2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジイソブチル−2,2,3,3−テトラプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジネオペンチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−n−プロピル−3−(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−3―シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2,3,3−テトラプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネートが挙げられる。
これら化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、式(I)に示される化合物としては、R〜Rのうちの少なくとも2つ以上が結合して環を形成したものも好ましい。
このような化合物として、特表2002−542347号公報に記載されている化合物、例えば、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,6−ジメチルシクロヘキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,5−ジメチルシクロペンタン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチルメチル)−2−メチルシクロヘキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシ(シクロヘキシル)アセチル)シクロヘキサンが挙げられる。また、国際公開第2009/069483号、国際公開第2009/057747号に開示されている環状スクシネート化合物も好適に用いることができる。
式(I)に示される化合物のうち、R〜Rがヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子は、窒素原子、リン原子等の第15族原子、あるいは、酸素原子、イオウ原子等の第16族原子であることが好ましい。R〜Rが第15族原子を含む化合物としては、特開2005−306910号公報に開示されている化合物が挙げられる。R〜Rが第16族原子を含む化合物としては、特開2004−131537号公報に開示されている化合物が挙げられる。
固体触媒成分(A)を構成するハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはこれらの混合物が挙げられ、特に塩素が好ましい。
有機アルミニウム化合物(B)としては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、トリイソプレニルアルミニウム等のトリアルケニルアルミニウム、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド、エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシドのほかに、R 2.5Al(OR0.5(R,Rは、各々異なってもよいし同じでもよい炭化水素基である。)で表わされる平均組成を有する、部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のジアルキルアルミニウムハロゲニド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハロゲニド、エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハロゲニドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム、エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミド等の部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム等が挙げられる。
上記有機アルミニウム化合物(B)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
外部電子供与体化合物(C)は、有機ケイ素化合物を含む。
好ましい有機ケイ素化合物として、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo−トリルジメトキシシラン、ビスm−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2−ノルボルナントリメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリルオキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサンなどが挙げられる。
これらの中でも、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、p−トリルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、2−ノネボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ケイ酸エチルが好ましい。
上記外部電子供与体化合物(C)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記触媒の中でも、固体触媒成分(A)がマグネシウムとチタンとハロゲンとフタレート系またはスクシネート系化合物を含む電子供与体化合物とを含有する固体触媒、有機アルミニウム化合物(B)が、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、外部電子供与体化合物(C)が、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン等の有機ケイ素化合物であるものが好ましい。
このような重合触媒であると、生産性に優れ、立体規則性が高く分子量分布の広い重合体が得られる結果、剛性や耐熱性、ならびに成形性に優れた組成物を容易に製造できる。
(エチレン重合工程)
エチレン重合工程は、プロピレン重合工程で得たポリプロピレンの存在下、エチレンモノマーを重合して、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合樹脂を得る工程である。ここで、ポリエチレンとは、エチレンの単独重合体のみに限定されない。すなわち、エチレン重合工程において、プロピレン重合工程で重合しなかった残留プロピレンモノマーが存在している場合には、ポリエチレンは、エチレン単独重合体以外に、プロピレンモノマーとエチレンモノマーとが共重合したエチレン・プロピレン共重合体も含む。エチレン・プロピレン共重合体においては、プロピレン単位含有割合を10質量%以下にすることが好ましい。
エチレン重合工程では、得られるポリエチレンの極限粘度が15〜30dl/gになるように重合条件を調整する。ポリエチレンの極限粘度が前記範囲から外れると、得られる発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の発泡性が低くなる傾向にある。ここで、ポリエチレンの極限粘度は、以下の方法で求められる。
ポリプロピレンとポリエチレンの混合樹脂の極限粘度、ポリプロピレンの極限粘度を各々測定する。また、混合樹脂におけるポリエチレンの含有割合を13C−NMRで測定する。NMRの測定試料としては、1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解したものを用いる。
そして、ポリエチレンの極限粘度を、(混合樹脂の極限粘度−ポリプロピレンの極限粘度×ポリプロピレンの含有割合)/ポリエチレンの含有割合の式より求める。
エチレン重合工程では、プロピレン重合工程にて使用した重合触媒を継続使用してエチレンモノマーを重合すればよいが、重合触媒を追加添加しても構わない。
製造のしやすさの点からは、エチレン重合工程で使用するエチレン重合用反応器は、プロピレン重合工程で使用するプロピレン重合用反応器とは別にすることが好ましい。ポリエチレンの極限粘度を大きくするためには、エチレン重合用反応器を、プロピレン重合用反応器とは別にすると共に、プロピレン重合用反応器から内容物をエチレン重合用反応器に移送する際に、水素が含まれる気体成分を除去することが好ましい。
また、ポリエチレンを高分子量化して極限粘度を前記範囲のように高くするために、エチレン重合用反応器には、水素等の連鎖移動剤を供給しないことが好ましい。
重合の反応時間と圧力は特に制限はないが、重合温度は30〜70℃であることが好ましい。重合温度が30℃以下は強力冷却能力を持つ特殊な設備を必要とし製造上適さず、70℃以上ではポリエチレンの極限粘度を15dl/g以上にすることは困難である。圧力は大気圧であってもよいし、大気圧より高くてもよい。
本実施形態におけるエチレン重合工程では、エチレンモノマーの添加量を、混合樹脂におけるポリエチレン含有割合が5〜15質量%になるように調整することが好ましい。混合樹脂におけるポリエチレン含有割合を5〜15質量%にすれば、希釈工程にて希釈用ポリプロピレンを添加した際に、発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物におけるポリエチレン含有割合を容易に2〜6質量%にできる。
(希釈工程)
希釈工程は、エチレン重合工程で得た混合樹脂に希釈用ポリプロピレンを混合して発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を得る工程である。
希釈用ポリプロピレンとしては特に制限はなく、発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を成形して得る発泡体の要求物性に応じて適宜選択される。例えば、剛性が高い発泡体を得る場合には、剛性が高い希釈用ポリプロピレンを使用する。
混合樹脂に希釈用ポリプロピレンを混合する方法としては、混合樹脂に希釈用ポリプロピレンを添加した後、溶融混練する方法が挙げられる。
溶融混練するための装置としては、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等を用いることができる。溶融混練の前には、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等のミキサーを用いて、混合樹脂と希釈用ポリプロピレンとを混ぜてもよい。
溶融混練時の溶融温度は160〜350℃であることが好ましく、170〜260℃であることがより好ましい。
本実施形態では、希釈工程において、得られる発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物におけるポリエチレン含有割合が2〜6質量%になるように、希釈用ポリプロピレンの添加量を調整することが好ましい。発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物におけるポリエチレン含有割合が2〜6質量%であれば、発泡性がより高くなる。
また、希釈工程では、希釈用ポリプロピレンと共に発泡剤を混合樹脂に添加してもよい。発泡剤は、揮発型発泡剤であってもよいし、分解型発泡剤であってもよい。
揮発性発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、イソブタン、ネオペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタンなどの環式脂肪族炭化水素;メチルクロライド、メチレンクロライド、ジクロロフルオロメタン、クロロトリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、モノクロロペンタフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、1,2−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられる。
分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどが挙げられる。
さらに他の発泡剤として、二酸化炭素、窒素、水なども使用できる。
上記の発泡剤は2種以上を混合して用いることもできる。
発泡剤の添加量は、前記混合樹脂100質量部に対して、0.1〜6.0質量部であることが好ましく、0.5〜2.0質量部であることがより好ましい。発泡剤の添加量が前記範囲内であれば、気泡径が均一で且つ気泡が均一分散した発泡体を容易に得ることができる。
また、希釈工程では、希釈用ポリプロピレンと共に添加剤を混合樹脂に添加しても構わない。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、塩酸吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物および顔料(有機または無機)等が挙げられる。
(発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物)
得られる発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物のメルトフローレート(以下、「MFR」という。)は、2.0〜7.0g/10分であることが好ましく、3.0〜5.0g/10分であることがより好ましい。ここで、MFRは、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定した値である。発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRが前記範囲内であれば、発泡性がより高くなる。
また、発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、下記方法により測定した歪み硬化指数(SH)が5以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。歪み硬化指数が前記下限値以上であれば、発泡性に優れる。
[歪み硬化指数の測定方法]
発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を成形して、長さ60mm、厚み2mm、幅7mmの角柱状の測定用試料を作製し、その測定用試料を用い、伸長粘度計によって、測定温度:200℃、剪断速度:0.1s−1の条件で伸張粘度を測定する。
測定した伸張粘度について、伸張粘度の対数を縦軸に、伸長時間(秒)の対数を横軸にプロットし、40秒(以下、「歪み4」という。)のときの伸張粘度の値を(1)とする。10秒(以下、「歪み1」という。)から歪み硬化が始まる前の範囲の曲線を、傾きが最も小さくなる直線で近似し、その直線を歪み4まで外挿したときの伸張粘度の値を(2)とし、(1)/(2)で表される値を歪み硬化指数とする。
(作用効果)
本実施形態の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法では、既存の重合設備及び既存の溶融混練設備を使用できる。しかも、重合及び溶融混練は通常通りで簡便になるため、高い生産性で発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を製造できる。
<第2実施形態>
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法の第2実施形態について説明する。
本実施形態の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法は、プロピレン重合工程とエチレン重合工程とを有し、希釈工程を有さずに、発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を製造する方法である。
希釈工程を有さない本実施形態では、エチレン重合工程において、混合樹脂におけるポリエチレン含有割合が2〜6質量%になるようにエチレンモノマーを少な目に添加する。すなわち、本実施形態では、希釈工程を有さない代わりに、重合時に生成するポリエチレンの量を少なくする。
プロピレン重合工程及びエチレン重合工程における重合条件、重合触媒は、第1実施形態と同様である。
本実施形態においては、既存の重合設備を使用できる。しかも、重合において煩雑なことをする必要がないため、高い生産性で発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を製造できる。
「発泡体の製造方法」
本発明の発泡体の製造方法は、上記発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を発泡成形する発泡工程を有する方法である。
成形方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、中空成形法等を適用できる。また、押出成形機を用いてシート状に成形した後、このシートを真空成形法、圧空成形法等の二次加工方法によって所望の形状に成形してもよい。ただし、使用する金型、成形温度等の成形条件は、発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物が発泡可能なものとする。
希釈工程にて発泡剤を上記発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物に含有させた場合には、発泡成形前に、発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物に発泡剤を混合する必要はない。しかし、希釈工程にて発泡剤を上記発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物に含有させなかった場合には、発泡成形前又は発泡成形中に、発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物に発泡剤を混合する。
発泡体の発泡倍率は1.3倍以上にすることが好ましく、1.5倍以上にすることがより好ましい。発泡倍率が前記下限値未満のものは、発泡により得られる効果を充分に発揮できないことがある。
以下に、実施例及び比較例を示すが、本発明は以下の実施例に限定されない。
なお、各例における、ポリエチレンの極限粘度、ポリプロピレン系樹脂組成物のMFR、歪み硬化指数は以下のように測定した。
1)ポリエチレンの極限粘度:
ポリプロピレンとポリエチレンとの混合樹脂の極限粘度、ポリプロピレン単体の極限粘度を、各々測定した。その極限粘度は、テトラヒドロナフタレン中、135℃において毛細管自動粘度測定装置(SS−780−H1、柴山科学器械製作所製)を用いて測定した。
また、混合樹脂におけるポリエチレンの含有割合を13C−NMR(測定装置:日本電子社製JNM LA−400、共鳴周波数100MHz)で測定した。NMRの測定試料としては、1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解したものを用いた。
そして、ポリエチレンの極限粘度を、(混合樹脂の極限粘度−ポリプロピレンの極限粘度×ポリプロピレンの含有割合)/ポリエチレンの含有割合の式より求めた。
2)MFR:
ポリプロピレン系樹脂組成物及びポリプロピレン単体のMFRは、JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重:21.18Nの条件で測定した。
3)歪み硬化指数:
伸張粘度計RME(レオメトリック サイエンテフィック社製)を用い、測定温度:200℃、剪断速度:0.1s−1の条件で、長さ60mm、厚み2mm、幅7mmの角柱状のサンプルについて伸張粘度を測定した。
次いで、得られた伸張粘度について、図1に示すように、伸張粘度の対数を縦軸に、伸長時間(秒)の対数を横軸にプロットし、歪み4のときの伸張粘度の値を(1)とした。歪み1から歪み硬化が始まる前の範囲の曲線を、傾きが最も小さくなる直線で近似し、その直線を歪み4まで外挿したときの伸張粘度の値を(2)とし、(1)/(2)で表される値を歪み硬化指数とした。歪み硬化指数が大きい程、発泡成形性に優れる。
また、下記の例において、重合の際に使用した固体触媒A及び固体触媒Bは、以下の調製方法により得たものである。
固体触媒A:欧州特許第674991号公報の実施例1に記載された方法により調製した。固体触媒Aは、MgCl上にTiと電子供与体化合物としてのジイソブチルフタレートを上記の特許公報に記載された方法で担持させたものである。
固体触媒B:特開2011−500907号公報の実施例に記載の調製法に従い、固体触媒成分Bを調製した。具体的には以下の通りである:
窒素でパージした500mLの4つ口丸底フラスコ中に、250mLのTiClを0℃において導入した。撹拌しながら、10.0gの微細球状MgCl・1.8COH(攪拌数を10000rpmに代えて3000rpmにした以外は米国特許第4,399,054号の実施例2にしたがって製造したもの)、及び9.1ミリモルのジエチル−2,3−(ジイソプロピル)スクシネートを加えた。温度を100℃に上昇させ、120分間保持した。次に、撹拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液を吸い出した。
次に、以下の操作を2回繰り返した。
固体生成物に、250mLの新しいTiClを加え、混合物を120℃において60分間反応させ、上澄み液を吸い出した。固体を、60℃において無水ヘキサン(6×100mL)で6回洗浄した。これにより得られたものを固体触媒Bとした。
(実施例1)
上記固体触媒Aと、トリエチルアルミニウム(TEAL)及びジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を、固体触媒に対するTEALの質量比が18であり、TEAL/DCPMSの質量比が10となるような量で、室温において5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予備重合を行った。
(1−1)ポリプロピレンとポリエチレンとの混合樹脂の重合
得られた予備重合物を、1段目の重合反応器に導入し、水素で分子量(極限粘度)の調整を行いながら80℃でプロピレンモノマーを重合させてプロピレン単独重合体を得た。次いで、得られたプロピレン単独重合体を2段目の重合反応器に導入し、水素等のガス成分を除去すると共にエチレンモノマーを導入し、50℃で重合させて、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合樹脂を得た。その際、混合樹脂中のポリエチレン含有割合が8.2質量%、ポリエチレンの極限粘度が17.4dl/gになるように重合条件を調整した。
(1−2)希釈用ポリプロピレンの重合
得られた予備重合物を、重合反応器に導入し、水素で分子量の調整を行いながら、80℃でプロピレンモノマーを重合させて、MFRが3g/10分のプロピレン単独重合体を得た。
(1−3)希釈工程
得られた混合樹脂50質量部に、前記プロピレン単独重合体からなる希釈用ポリプロピレン50質量部を配合し、さらに、酸化防止剤(BASF社製Irganox1010)0.16質量部、酸化防止剤(住友化学社製SumilizerGP)0.16質量部、中和剤(淡南化学社製カルシウムステアレート)0.05質量部を添加した。次いで、溶融混練し、ペレット化して、ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。溶融混練の際には、同方向二軸押出機(テクノベル 15mm二軸押出機)を用い、スクリュー温度を230℃、スクリュー回転数を100rpmとした。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物のポリエチレン含有割合、MFR及び歪み硬化性を表1に示す。
(実施例2〜4)
混合樹脂と希釈用ポリプロピレンの配合割合を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。得られたポリプロピレン系樹脂組成物のポリエチレン含有割合、MFR及び歪み硬化性を表1に示す。
(実施例5)
2段目の重合では、重合温度40℃、混合樹脂中のポリエチレン含有割合が5.1質量%、ポリエチレンの極限粘度が20.8dl/gになるように重合条件を調整した以外は実施例1と同様にして、混合樹脂を得た。ポリプロピレン系樹脂組成物のポリエチレン含有割合、MFR及び歪み硬化性を表1に示す。
(実施例6)
上記固体触媒Bと、トリエチルアルミニウム(TEAL)及びジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を、固体触媒に対するTEALの質量比が18であり、TEAL/DCPMSの質量比が10となるような量で、室温において5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予備重合を行った。
(6−1)ポリプロピレンとポリエチレンとの混合樹脂の重合
得られた予備重合物を、1段目の重合反応器に導入し、水素で分子量の調整を行いながら80℃でプロピレンモノマーを重合させてプロピレン単独重合体を得た。次いで、得られたプロピレン単独重合体を2段目の重合反応器に導入し、水素等のガス成分を除去すると共にエチレンモノマーを導入し、50℃で重合させて、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合樹脂を得た。その際、混合樹脂中のポリエチレン含有割合が8.1質量%、ポリエチレンの極限粘度が18.3dl/gになるように重合条件を調整した。
(6−2)希釈用ポリプロピレンの重合
得られた予備重合物を、重合反応器に導入し、水素で分子量の調整を行いながら、80℃でプロピレンモノマーを重合させて、MFRが3g/10分のプロピレン単独重合体を得た。
(6−3)希釈工程
得られた混合樹脂70質量部に、希釈用ポリプロピレン30質量部を配合し、実施例1と同様に、溶融混練し、ペレット化して、ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物のポリエチレン含有割合、MFR及び歪み硬化性を表1に示す。
(実施例7)
2段目の重合では、重合温度40℃、混合樹脂中のポリエチレン含有割合が6.1質量%、ポリエチレンの極限粘度が21.6dl/gになるように重合条件を調整して混合樹脂を得た。それ以外は実施例6と同様にして、ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。得られたポリプロピレン系樹脂組成物のポリエチレン含有割合、MFR及び歪み硬化性を表1に示す。
(比較例1)
2段目の重合では、重合温度80℃、混合樹脂中のポリエチレン含有割合が7.1質量%、ポリエチレンの極限粘度が13.1dl/gになるように重合条件を調整した以外は実施例1と同様にして、混合樹脂を得た。混合樹脂を希釈用ポリプロピレンで希釈せず、そのままポリプロピレン系樹脂組成物とした。ポリプロピレン系樹脂組成物のポリエチレン含有割合、MFR及び歪み硬化性を表1に示す。
Figure 2016089132
実施例1〜7の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法は、ポリプロピレン系樹脂組成物を製造するための既存の設備をそのまま利用でき、また、煩雑な工程を有さず、簡便であった。また、ポリエチレン含有割合を適切にすることで、歪み硬化指数が高い樹脂組成物が得られた。
一方、比較例1の製造方法によって得られたポリプロピレン系樹脂組成物は、歪み硬化指数が低かった。
なお、本発明者らは、特許文献1に記載の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法の具体的実験の実施を検討したが、既存の重合設備を使用できないため、実施は困難であった。

Claims (8)

  1. プロピレンモノマーを重合してポリプロピレンを得るプロピレン重合工程と、
    前記ポリプロピレンの存在下、エチレンモノマーを重合して、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合樹脂を得るエチレン重合工程とを有し、
    前記エチレン重合工程では、得られるポリエチレンの極限粘度が15〜30dl/gになるように重合条件を調整する、発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記混合樹脂に希釈用ポリプロピレンを混合する希釈工程をさらに有する、請求項1に記載の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
  3. プロピレン重合工程及びエチレン重合工程では、チタンと電子供与体化合物としてジカルボン酸またはその誘導体のジエステルとを含有する重合触媒を用いる、請求項1又は2に記載の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
  4. ジカルボン酸またはその誘導体のジエステルがスクシネート系化合物である、請求項3に記載の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記エチレン重合工程におけるエチレンモノマーの重合温度が30℃〜70℃である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
  6. 得られる発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物におけるポリエチレン含有割合を2〜6質量%にする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
  7. 得られる発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレートが2〜7g/10分であり、歪み硬化指数が5.0以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造工程の後に、得られた発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を発泡成形する発泡工程を有する、発泡体の製造方法。
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