JP2016089039A - コークス乾式消火設備の循環ガス燃焼装置 - Google Patents

コークス乾式消火設備の循環ガス燃焼装置 Download PDF

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正栄 山口
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Abstract

【課題】ボイラの寿命延長を実現でき、且つ、循環ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を低減できるコークス乾式消火設備の循環ガス燃焼装置の提供。
【解決手段】冷却塔3、除塵器4、ボイラ5の順に循環ガス2が循環する循環ガス経路8において、循環ガス2を燃焼させるコークス乾式消火設備1の循環ガス燃焼装置7であって、除塵器4は、重力沈降式の除塵器であり、除塵器4の上流側の冷却塔3の出口部8Aにおいて、循環ガス経路8に一次燃焼用空気を供給する一次燃焼用空気供給部10と、除塵器4の下流側のボイラ5の入口部8Bにおいて、循環ガス経路8に二次燃焼用空気を混入させる二次燃焼用空気供給部20と、を有する、という構成を採用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、コークス乾式消火設備の循環ガス燃焼装置に関するものである。
コークス乾式消火設備は、コークス炉で乾留(蒸し焼き)した赤熱コークスを冷却塔の上方から装入し、その下方より供給される循環ガス(不活性ガス)による対向流によって赤熱コークスを消火、冷却すると共に、その下流側に設けられたボイラにおいて赤熱コークスの顕熱を熱回収する構成となっている。このようなコークス乾式消火設備には、循環ガスに含まれる固形分(主としてコークス粉、その他のダスト)を除塵する除塵器を冷却塔とボイラとの間に設け、循環ガスがボイラに導入される前に、循環ガスの除塵を行っている。
ところで、赤熱コークスは、水素(H)を主体とするボラタイルマターを有しており、コークス乾式消火設備の閉回路の循環ガス経路において、その水素が燃焼すると、燃焼反応により水蒸気(H0)が発生する。この水蒸気が、冷却塔の高温のコークス層を通過する際、水性ガス反応により水素と一酸化炭素(CO)が発生し、循環ガス経路の可燃性ガス(水素や一酸化炭素)の濃度が上昇する。このため、コークス乾式消火設備では、循環ガス経路に空気を供給して可燃性ガスを希釈し、余剰ガスを系外に排出すると共に、不活性ガスの補給を行っている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、コークス乾式消火設備の循環ガスに含まれる可燃性ガスを完全燃焼させることにより、ボイラの蒸気発生量を増加させる蒸気回収方法が開示されている。このコークス乾式消火設備は、除塵器として、邪魔板を備える邪魔板反転式の除塵器を備え、その除塵器の上流側の冷却塔の出口部において、循環ガス経路の天井及び側壁から同時に空気を供給し、循環ガスに含まれる可燃性ガスを十分に燃焼させるようになっている。
特開平5−140562号公報
しかしながら、上記従来技術には、次のような問題がある。
従来技術では、邪魔板反転式の除塵器を備えている。循環ガスに含まれる固形分は邪魔板に衝突することで除塵されるが、循環ガスは邪魔板を大きく迂回することとなるため、循環ガスの流れが偏って、除塵器の下流側のボイラの入口部における循環ガスの流速分布が不均一となる。流速分布が不均一な状態の循環ガスがボイラに導入されると、粉コークスの集中によるボイラチューブの局所摩耗が促進する。
また、近年、環境基準において、余剰ガスとして大気に放出する循環ガスに含まれる一酸化炭素の濃度に厳しい制限が課せられている。除塵器内では、上記水性ガス反応と、一酸化炭素が燃焼反応によって二酸化炭素(CO)となり、その二酸化炭素がコークス粉に触れて一酸化炭素に還元されるソリューション反応と、が生じる条件(ガス温度、粉コークス量)が十分に揃っている。そうすると、冷却塔の出口部において一酸化炭素を燃焼させても、除塵器内で再び一酸化炭素の濃度が上昇することがあり、循環ガスに含まれる一酸化炭素の濃度が、余剰ガスとして大気に放出可能な環境基準を超えてしまうことが懸念される。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ボイラの寿命延長を実現でき、且つ、循環ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を低減できるコークス乾式消火設備の循環ガス燃焼装置の提供を目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、赤熱コークスを循環ガスで冷却する冷却塔と、前記冷却塔を通過した前記循環ガスに含まれる固形分の少なくとも一部を除塵する除塵器と、前記除塵器を通過した前記循環ガスから熱回収するボイラと、を有し、前記冷却塔、前記除塵器、前記ボイラの順に前記循環ガスが循環する循環ガス経路において、前記循環ガスを燃焼させるコークス乾式消火設備の循環ガス燃焼装置であって、前記除塵器は、重力沈降式の除塵器であり、前記除塵器の上流側の前記冷却塔の出口部において、前記循環ガス経路に一次燃焼用空気を供給する一次燃焼用空気供給部と、前記除塵器の下流側の前記ボイラの入口部において、前記循環ガス経路に二次燃焼用空気を混入させる二次燃焼用空気供給部と、を有する、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、重力沈降式の除塵器の上流側の冷却塔の出口部において一次燃焼が行われ、その除塵器の下流側のボイラの入口部において二次燃焼が行われる。重力沈降式の除塵器は、邪魔板が無いため、循環ガスの流れが偏ることがなく、温度分布が均一な状態で循環ガスをボイラに導入させることができる。また、本発明では、除塵器の下流側のボイラの入口部において二次燃焼が行われるため、除塵器内で水性ガス反応及びソリューション反応が生じ一酸化炭素が再び発生しても、除塵器内で発生した一酸化炭素を燃焼させることができる。また、本発明では、重力沈降式の除塵器を採用することで、ボイラの入口部における循環ガスのガス流速が遅く、ボイラの入口部の空間容積が大きくなるため、この大きな空間を利用した二次燃焼により、循環ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を効果的に低減させることができる。
また、本発明においては、前記冷却塔の出口部は、前記冷却塔の周壁部の周方向に沿って設けられた環状煙道を有し、前記一次燃焼用空気供給部は、前記環状煙道の底部に開口し、且つ、前記環状煙道の周方向に沿って並ぶ複数の空気供給口を有する、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、空気供給口が環状煙道の底部の略全体から一次燃焼用空気を供給して、環状煙道の底部で可燃性ガスを燃焼させる。燃焼により発生した高温ガスは、煙突効果により循環ガス経路において底部から天井に向かって上昇し、冷却塔の出口部に向かう過程で循環ガスと均一に混ざり合うため、ボイラの入口部における上部が他の部分よりも高温となるといったことを防止することができる。
また、本発明においては、前記一次燃焼用空気供給部は、前記複数の空気供給口のそれぞれから供給される前記一次燃焼用空気の流量を個別に調節する複数の流量調節弁を有する、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、環状煙道の周方向における一次燃焼空気の流量分布を調節することが可能となる。このため、本発明では、循環ガスの環状煙道における流れに適した配分で、一次燃焼用空気を供給することができる。
また、本発明においては、前記二次燃焼用空気供給部は、前記ボイラの入口部の底部に開口し、且つ、前記循環ガス経路の幅方向に沿って並ぶ複数の第2の空気供給口を有する、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、第2の空気供給口が循環ガス経路の底部の幅方向略全体から二次燃焼用空気を供給して、循環ガス経路の底部で可燃性ガスを燃焼させる。燃焼により発生した高温ガスは、煙突効果により循環ガス経路において底部から天井に向かって上昇し、その過程で循環ガスと均一に混ざり合うため、ボイラの入口部における上部が他の部分よりも高温となるといったことを防止することができる。
また、本発明においては、前記二次燃焼用空気供給部は、前記複数の第2の空気供給口のそれぞれから供給される前記二次燃焼用空気の流量を個別に調節する複数の第2の流量調節弁を有する、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、循環ガス経路の幅方向における二次燃焼空気の流量分布を調節することが可能となる。このため、本発明では、循環ガスのボイラの入口部における流れに適した配分で、二次燃焼用空気を供給することができる。
本発明によれば、ボイラの寿命延長を実現でき、且つ、循環ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を低減できる。
本発明の実施形態におけるコークス乾式設備の構成を示す図である。 図1の矢視A−A図である。 図2の矢視B−B図である。 図1の矢視C−C図である。 本発明の実施形態の一変形例に係る一次燃焼用空気供給部の構成を示す図である。 本発明の実施形態の一変形例に係る二次燃焼用空気供給部の構成を示す図である。 本発明の実施形態の一変形例に係る二次燃焼用空気供給部の構成を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態におけるコークス乾式設備1の構成を示す図である。図2は、図1の矢視A−A図である。図3は、図2の矢視B−B図である。図4は、図1の矢視C−C図である。
コークス乾式消火設備1は、図1に示すように、循環ガス2(図1において白抜き矢印で示す)を循環させ、赤熱コークスを冷却すると共に、赤熱コークスの顕熱を熱回収する設備である。循環ガス2は、不活性ガス(例えば窒素)を主成分とするガスである。
コークス乾式消火設備1は、冷却塔3と、除塵器4と、ボイラ5と、循環ガス吹込装置6と、循環ガス燃焼装置7と、を有する。コークス乾式消火設備1には、冷却塔3、除塵器4、ボイラ5の順に循環ガス2が循環する循環ガス経路8が形成されており、循環ガス吹込装置6がボイラ5を通過した循環ガス2を再び冷却塔3の下部に吹き込むようになっている。
冷却塔3は、赤熱コークスを循環ガス2で冷却する設備である。冷却塔3は、上部が予備室3A(プリチャンバ、貯留帯)となり、下部が冷却室3B(冷却帯)となっている。冷却室3Bは、小煙道3C(ガス吸引帯)の上端までの領域であり、その上は、予備室3Aとなる。冷却塔3においては、予備室3Aの上部を介して装入される赤熱コークスが、冷却室3Bの下部から吹き込まれる循環ガス2の対向流によって冷却(消火)される。
除塵器4は、冷却塔3を通過した循環ガス2に含まれる固形分2aの少なくとも一部を除塵する設備である。この除塵器4は、重力沈降式の除塵器である。重力沈降式の除塵器4には、邪魔板反転式の除塵器と異なり、邪魔板が存在しない。重力沈降式の除塵器4においては、循環ガス2に含まれる循環ガス2よりも比重の大きい固形分2a(主としてコークス粉、その他のダスト)が、重力によって除塵される。
重力沈降式の除塵器4には、循環ガス2が水平方向に通過する煙道4Aが形成されている。循環ガス2に含まれる固形分2aは、煙道4Aを通過する過程で、粒径の大きく重いものから順(優先的)に落下し除塵される。重力沈降式の除塵器4は、煙道4Aに邪魔板を備えず、上流側よりも下流側の方が流路面積が大きくなっている。このため、重力沈降式の除塵器4では、邪魔板反転式の除塵器に比べて、ボイラ5の入口部8Bにおける循環ガス2の流速が遅く、均一となり、また、ボイラ5の入口部8Bにおける粉コークス濃度が均一となる、という特徴がある。
ボイラ5は、除塵器4を通過した循環ガス2から赤熱コークスの顕熱を熱回収する設備である。ボイラ5においては、循環ガス2との熱交換により蒸気が生成される。ボイラ5の入口部8Bには、蒸気を生成するボイラチューブの一部であるスクリーン管5Aが配置されている。スクリーン管5Aは、循環ガス2が通過可能となるように、循環ガス経路8の幅方向(図1において紙面奥行方向)に隙間をあけて並列に配列されている。このスクリーン管5Aには、不燃性の耐火プロテクターを巻いてもよい。ボイラ5の出口部には、サイクロン5Bが設けられている。
循環ガス吹込装置6は、ボイラ5を通過した循環ガス2を冷却塔3の下部から吹き込む設備である。循環ガス吹込装置6は、循環ガス2を供給するブロア6Aと、供給された循環ガス2を冷却塔3に吹き込むブラストヘッド6Bと、供給された循環ガス2をブラストヘッド6Bに分配する分配器6Cと、を有する。循環ガス吹込装置6においては、ブロア6Aによって圧送された循環ガス2が分配器6Cを介してブラストヘッド6Bから冷却塔3の下部に吹き込まれ、循環ガス2は、冷却塔3、除塵器4、ボイラ5の順に循環する。なお、循環ガス吹込装置6は、循環ガス経路8に不活性ガスを補給する不図示のタンクを有する。
循環ガス燃焼装置7は、循環ガス2が循環する循環ガス経路8において、循環ガス2に含まれる可燃成分を燃焼させる設備である。循環ガス燃焼装置7は、除塵器4の上流側の冷却塔3の出口部8Aにおいて、循環ガス経路8に一次燃焼用空気を供給する一次燃焼用空気供給部10と、重力沈降除塵を終了した領域である除塵器4の下流側のボイラ5の入口部8Bにおいて、循環ガス経路8に二次燃焼用空気を混入させる二次燃焼用空気供給部20と、を有する。
冷却塔3の出口部8Aは、冷却塔3の周壁部13の周方向に沿って設けられた環状煙道11を有する。環状煙道11の下流側は、循環ガス2をボイラ5に導く煙道4Aと連通している。環状煙道11の底部は、図2に示すように、周方向に略等間隔に設けられた複数の仕切壁12によって形成されており、隣り合う仕切壁12の間には小煙道3Cが形成されている。この小煙道3Cは、冷却塔3の内部に連通している。
一次燃焼用空気供給部10は、環状煙道11の底部に開口し、且つ、環状煙道11の周方向に沿って並ぶ複数の空気供給口14を有する。空気供給口14は、複数の仕切壁12のそれぞれに設けられている。図3に示すように、仕切壁12の上部には、ノズル12aが設けられている。ノズル12aは、冷却塔3の周壁部13と交差する棒状の耐火材に空気通路を形成したものであり、上方に向かって開口する空気供給口14が形成されている。
空気供給口14は、分岐管15に連通している。分岐管15は、周壁部13を貫通して冷却塔3の外部に引き出され、冷却塔3の周壁部13を取り囲む主配管16に連通している。この主配管16は、冷却塔3の外部において支持梁16aに支持されている。また、主配管16上には、点検用の足場16bが設けられている。この主配管16は、空気供給源であるファン27(図1参照)に接続されている。
一次燃焼用空気供給部10は、複数の空気供給口14のそれぞれから供給される一次燃焼用空気の流量を個別に調節する複数の流量調節弁17を有する。流量調節弁17は、分岐管15のそれぞれに設けられている。本実施形態の流量調節弁17は、手動弁から構成されており、図3に示すように、足場16bからアクセス可能な位置に設けられている。なお、分岐管15が接続された主配管16の流量は、図1に示す流量制御系18により制御する。流量制御系18は、制御バルブを絞り、主配管16に供給する流量を調節する。
ボイラ5の入口部8Bは、ボイラ5の上部の循環ガス2の流れが水平から鉛直下方に変わる部分を含む。ボイラ5の入口部8Bの手前側には、温度センサ9Aが設けられている。また、ボイラ5の入口部8Bの下流側にも温度センサ9Bが設けられている。ボイラ5の入口部8BのC−C断面における循環ガス経路8は、図4に示すように、下部が矩形状で、上部が半円形状の略かまぼこ型となっている。
二次燃焼用空気供給部20は、ボイラ5の入口部8Bの底部21に開口し、且つ、循環ガス経路8の幅方向(図4において紙面左右方向)に沿って並ぶ複数の空気供給口22(第2の空気供給口)を有する。空気供給口22は、循環ガス経路8(除塵器4の底部開口よりも下流側の煙道4A)の幅方向において略等間隔で配列されている。空気供給口22は、分岐管23に連通している。分岐管23は、図1に示すように、除塵器4の壁部を貫通して煙道4Aの外部に引き出され、幅方向に延在する主配管24と連通している。この主配管24は、空気供給源であるファン27(図1参照)に接続されている。
二次燃焼用空気供給部20は、図4に示すように、複数の空気供給口22のそれぞれから供給される二次燃焼用空気の流量を個別に調節する複数の流量調節弁25(第2の流量調節弁)を有する。流量調節弁25は、分岐管23のそれぞれに設けられている。本実施形態の流量調節弁25は、手動弁から構成されている。なお、分岐管23が接続された主配管24の流量は、図1に示す流量制御系26により制御する。流量制御系26は、制御バルブを絞り、主配管24に供給する流量を調節する。
続いて、上記構成のコークス乾式消火設備1の循環ガス経路8における循環ガス2の反応及び循環ガス燃焼装置7の動作について説明する。
コークス乾式消火設備1においては、閉回路である循環ガス経路8に投入された赤熱コークスが、冷却塔3において不活性ガスを主体とした循環ガス2により、約1000℃から約200℃以下に冷却される。赤熱コークスは、水素(H)を主体とするボラタイルマターを有しており、冷却塔3内で、その一部を放出する。水素は可燃性ガスであるため、循環ガス燃焼装置7は空気を供給し、その水素を燃焼させ、下記の反応式(1)に示す反応によって水蒸気(HO)に変えることにより、水素濃度を下げる。
+ 1/2・O → HO …(1)
循環ガス経路8においては、この燃焼により発生した水蒸気が例えば冷却塔3の高温のコークス層を通過する際、下記の反応式(2)に示す水性ガス反応が生じる。
C + HO → H + CO …(2)
この水性ガス反応で発生した一酸化炭素は水素と同様に可燃性ガスであるため、循環ガス経路8においては、空気の供給により、下記の反応式(3)に示す燃焼反応が生じる。
CO + 1/2・O → CO …(3)
そして、循環ガス経路8においては、この燃焼により発生した二酸化炭素が例えば冷却塔3の高温のコークス層を通過する際、下記の反応式(4)に示すソリューション反応が生じる。
C + CO → 2CO …(4)
循環ガス燃焼装置7の一次燃焼用空気供給部10では、環状煙道11の底部に設けられた空気供給口14から一次燃焼空気が供給される。供給された一次燃焼用空気は、小煙道3Cを通過した直後の高温の循環ガス2と混合し、循環ガス2に含まれる可燃性ガス(水素、一酸化炭素)を燃焼させる。また、燃焼により発生した高温ガスは、煙突効果により循環ガス経路8において底部から天井に向かって上昇し、その過程で循環ガス2と均一に混ざり合う。本実施形態では、例えば環状煙道11の天井や側壁から一次燃焼用空気を供給する場合よりも、燃焼により発生した高温ガスと循環ガス2とが混ざり合う範囲を広く確保でき、循環ガス2の温度分布を均一にすることができる。
ところで、コークス乾式消火設備1では、冷却塔3の出口部8Aにおいて、一次燃焼用空気を供給し、循環ガス2に含まれる可燃性ガス(水素、一酸化炭素)を燃焼させているが、除塵器4内には、上記水性ガス反応(反応式(2))と上記ソリューション反応(反応式(4))が生じる十分な粉コークス量とガス温度が存在する。このため、循環ガス経路8において、除塵器4の煙道4Aを通過する間に、可燃性ガス(水素、一酸化炭素)の濃度が再び上昇することがある。
このため、本実施形態の循環ガス燃焼装置7は、除塵器4の下流側のボイラ5の入口部8Bにおいて、循環ガス経路8に二次燃焼用空気を混入させる二次燃焼用空気供給部20を有する。二次燃焼用空気供給部20では、循環ガス経路8の底部21に設けられた空気供給口22から二次燃焼用空気が供給される。供給された二次燃焼用空気は、循環ガス2と混合し、除塵器4内で循環ガス2に生じた可燃性ガス(水素、一酸化炭素)を燃焼させる。また、燃焼により発生した高温ガスは、煙突効果により循環ガス経路8において底部から天井に向かって上昇し、その過程で循環ガス2と均一に混ざり合う。本実施形態では、例えば循環ガス経路8の天井や側壁から二次燃焼用空気を供給する場合よりも、燃焼により発生した高温ガスと循環ガス2とが混ざり合う範囲を広く確保でき、循環ガス2の温度分布を均一にすることができる。
このように、本実施形態によれば、除塵器4の下流側のボイラ5の入口部8Bにおいて二次燃焼が行われるため、除塵器4内で水性ガス反応及びソリューション反応が生じ、環境基準において厳しい制限が課される一酸化炭素が再び発生しても、除塵器4内で発生した一酸化炭素の濃度を下げることができる。また、本実施形態では、重力沈降式の除塵器4を採用することで、ボイラ5の入口部8Bにおける循環ガス2のガス流速が遅く、ボイラ5の入口部8Bの空間容積が大きくなるため、この大きな空間を利用した二次燃焼により、循環ガス2に含まれる一酸化炭素の濃度を効果的に下げることができる。したがって、本実施形態では、赤熱コークスを冷却塔3に装入する際に、装入口から余剰ガスとして循環ガス2を放出する際に、サイクロン5B、バグフィルター等を通し、問題なく大気に放出することができる。
また、本実施形態では、重力沈降式の除塵器4の上流側の冷却塔3の出口部8Aにおいて一次燃焼が行われ、その除塵器4の下流側のボイラ5の入口部8Bにおいて二次燃焼が行われる。重力沈降式の除塵器4は、邪魔板が無いため、循環ガス2の流れが偏ることがなくガス流速が均一、且つ、温度分布が均一な状態で循環ガス2をボイラ5に導入させることができる。本実施形態では、この重力沈降式の除塵器4を採用することによって、ボイラ5の入口部8Bにおいて、循環ガス2のガス流速の均一化及び粉コークス濃度の均一化を図ることができ、ボイラ5の蒸発量最大化及びボイラチューブの長寿命化に対して有利になる。
このように、上述の本実施形態によれば、赤熱コークスを循環ガス2で冷却する冷却塔3と、冷却塔3を通過した循環ガス2に含まれる固形分2aの少なくとも一部を除塵する除塵器4と、除塵器4を通過した循環ガス2から熱回収するボイラ5と、を有し、冷却塔3、除塵器4、ボイラ5の順に循環ガス2が循環する循環ガス経路8において、循環ガス2を燃焼させるコークス乾式消火設備1の循環ガス燃焼装置7であって、除塵器4は、重力沈降式の除塵器であり、除塵器4の上流側の冷却塔3の出口部8Aにおいて、循環ガス経路8に一次燃焼用空気を供給する一次燃焼用空気供給部10と、除塵器4の下流側のボイラ5の入口部8Bにおいて、循環ガス経路8に二次燃焼用空気を混入させる二次燃焼用空気供給部20と、を有する、という構成を採用することによって、ボイラ5の寿命延長を実現でき、且つ、循環ガス2に含まれる一酸化炭素の濃度を低減できる。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、本発明は変形例として、図5〜図7に示す構成を採用し得る。
図5は、本発明の実施形態の一変形例に係る一次燃焼用空気供給部10の構成を示す図である。
図5に示すように、一次燃焼用空気供給部10では、流量調節弁17を操作し、環状煙道11の周方向における一次燃焼空気の流量分布を調節している。図5に示す例では、環状煙道11において、煙道4Aに接続される位置を一次燃焼用空気の最大流量とし、その位置から離れるに従って一次燃焼用空気の流量を小さくするようにしている(図5において点線矢印で示す)。環状煙道11においては、煙道4Aに向かって徐々に循環ガス2の流量が大きくなるため、循環ガス2の環状煙道11における流れに適した配分で、一次燃焼用空気を供給することができる。
図6は、本発明の実施形態の一変形例に係る二次燃焼用空気供給部20の構成を示す図である。
図6に示すように、二次燃焼用空気供給部20では、流量調節弁25を操作し、循環ガス経路8の幅方向における二次燃焼空気の流量分布を調節している。図6に示す例では、循環ガス経路8において、幅方向の中央を二次燃焼用空気の最大流量とし、中央から離れるに従って二次燃焼用空気の流量を小さくするようにしている(図6においてドットパターン付き矢印で示す)。循環ガス経路8の天部28は円弧状に形成され、中央に向かって循環ガス2の流量が大きくなるため、循環ガス2の循環ガス経路8における流れに適した配分で、二次燃焼用空気を供給することができる。
図7は、本発明の実施形態の一変形例に係る二次燃焼用空気供給部20の構成を示す図である。
上述の実施形態では、循環ガス経路8の底部21に空気供給口22(空気供給口22aで表す)を設けていたが、本発明はこの構成に限定されることなく、循環ガス経路8の天部28に空気供給口22(空気供給口22bで表す)を設けてもよい。また、空気供給口22a,22bのうち少なくともいずれか一つを採用することができ、組み合わせは任意である。
また、例えば、図1に示すボイラ5の出口に、循環ガス2のガス成分を分析するガス分析装置を設ければ、下記(1)〜(3)のような制御が可能である。
(1)例えば、一酸化炭素の濃度が、所定の閾値(例えば環境基準に基づく値)を超えており、ボイラ5の入口部8Bにおける温度が、所定の閾値(例えば設計温度)を超えそうな場合には、ブロア6Aによって循環ガス2の流量を増すことにより、冷却風量を増やす。
(2)また、例えば、ボイラ5の入口部8Bにおける温度センサ9Bの温度が、所定の閾値(例えば設計温度)以下で、一酸化炭素の濃度が、所定の閾値(例えば環境基準に基づく値)を超えており、循環ガス2の残存酸素(O)の濃度が所定の閾値(冷却塔3から切り出されるコークスの温度に基づく値)を超えそうな場合には、ファン27による空気供給量はそのままとして、流量制御系18,26により、一次燃焼用空気供給部10と二次燃焼用空気供給部20とに供給する空気流量の比率を調節する。この場合、二次燃焼用空気供給部20の空気流量の比率を大きくすることが効果的である。
(3)また、例えば、上記(2)の制御でも、一酸化炭素の濃度が拡大した場合には、一次燃焼用空気供給部10と二次燃焼用空気供給部20の空気供給分布を調節する。具体的には、均一な分布から、図5及び図6に示すような分布に調節することができる。
1…コークス乾式消火設備、2…循環ガス、2a…固形分、3…冷却塔、4…除塵器、5…ボイラ、7…循環ガス燃焼装置、8…循環ガス経路、8A…出口部、8B…入口部、10…一次燃焼用空気供給部、11…環状煙道、12…仕切壁、12a…ノズル(底部)、13…周壁部、14…空気供給口、17…流量調節弁、20…二次燃焼用空気供給部、21…底部、22(22a,22b)…空気供給口(第2の空気供給口)、25…流量調節弁

Claims (5)

  1. 赤熱コークスを循環ガスで冷却する冷却塔と、前記冷却塔を通過した前記循環ガスに含まれる固形分の少なくとも一部を除塵する除塵器と、前記除塵器を通過した前記循環ガスから熱回収するボイラと、を有し、前記冷却塔、前記除塵器、前記ボイラの順に前記循環ガスが循環する循環ガス経路において、前記循環ガスを燃焼させるコークス乾式消火設備の循環ガス燃焼装置であって、
    前記除塵器は、重力沈降式の除塵器であり、
    前記除塵器の上流側の前記冷却塔の出口部において、前記循環ガス経路に一次燃焼用空気を供給する一次燃焼用空気供給部と、
    前記除塵器の下流側の前記ボイラの入口部において、前記循環ガス経路に二次燃焼用空気を混入させる二次燃焼用空気供給部と、を有する、ことを特徴とするコークス乾式消火設備の循環ガス燃焼装置。
  2. 前記冷却塔の出口部は、前記冷却塔の周壁部の周方向に沿って設けられた環状煙道を有し、
    前記一次燃焼用空気供給部は、前記環状煙道の底部に開口し、且つ、前記環状煙道の周方向に沿って並ぶ複数の空気供給口を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のコークス乾式消火設備の循環ガス燃焼装置。
  3. 前記一次燃焼用空気供給部は、前記複数の空気供給口のそれぞれから供給される前記一次燃焼用空気の流量を個別に調節する複数の流量調節弁を有する、ことを特徴とする請求項2に記載のコークス乾式消火設備の循環ガス燃焼装置。
  4. 前記二次燃焼用空気供給部は、前記ボイラの入口部の底部に開口し、且つ、前記循環ガス経路の幅方向に沿って並ぶ複数の第2の空気供給口を有する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のコークス乾式消火設備の循環ガス燃焼装置。
  5. 前記二次燃焼用空気供給部は、前記複数の第2の空気供給口のそれぞれから供給される前記二次燃焼用空気の流量を個別に調節する複数の第2の流量調節弁を有する、ことを特徴とする請求項4に記載のコークス乾式消火設備の循環ガス燃焼装置。
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