JP2016088780A - ガラス部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明では、防汚効果を比較的長く持続させることが可能なガラス部材を提供することを目的とする。【解決手段】ガラスを有するガラス部材であって、前記ガラスの第1の表面上に、透明導電性酸化物の層を配置することにより構成され、前記ガラス部材の表面抵抗は1×109Ω/□以下であり、前記第1の表面は、最大高さ粗さRzが70nm以上であり、前記透明導電性酸化物の層の厚さは、10nm〜30nmの範囲である、ガラス部材。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、建物の窓ガラス等に適用されるガラス部材に関する。
建物の窓ガラスなど、一年中外部環境に暴露されるガラス部材において、しばしば、「防汚性」が要求される場合がある。「防汚性」とは、外部環境に存在する塵、埃、および砂などの「異物」が付着し難い特性を言う。
ガラス部材の表面にそのような防汚性を発現させた場合、ガラス部材のメンテナンスや清掃が容易となり、またその頻度を少なくすることが可能になる。このため、防汚性を有するガラス部材に対しては、大きなニーズがある。
例えば、特許文献1には、シリカ粒子と酸化スズ粒子を含むアルコール系の分散液をガラス部材の表面に塗布することにより、ガラス部材の防汚性を高め得ることが示されている。
国際公開第2011/125949号
前述のように、特許文献1には、シリカ粒子と酸化スズ粒子を含む分散液で塗膜を形成することにより、ガラス部材の防汚性を向上できることが示されている。
しかしながら、このような分散液の塗工により得られた塗膜はムラが発生しやすく、時間とともに塗膜にクラック、剥離などが発生することで消失していくことが知られている。そして、塗膜がある程度消失した段階では、もはや防汚性は期待できなくなる。また、塗膜に剥離が生じた場合、剥離状況によっては外観上の不具合となるケースがあり、予期せぬ早期の段階で、ガラス部材の防汚性が急激に低下するおそれがある。
このため、長期にわたって防汚性を発揮することの可能なガラス部材に対しては、今もなお高いニーズがある。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、防汚効果を比較的長く持続させることが可能なガラス部材を提供することを目的とする。
本発明では、ガラスを有するガラス部材であって、
前記ガラスの第1の表面上に、透明導電性酸化物の層を配置することにより構成され、
前記ガラス部材の表面抵抗は1×10Ω/□以下であり、
前記第1の表面は、最大高さ粗さRzが70nm以上であり、
前記透明導電性酸化物の層の厚さは、10nm〜30nmの範囲である、ガラス部材が提供される。
本発明では、防汚効果を比較的長く持続させることが可能なガラス部材を提供することができる。
本発明の一実施形態によるガラス部材の断面を模式的に示した図である。 例3に係るサンプルの断面SEM写真の一例である。 例3に係るサンプルの表面SEM写真の一例である。 例7に係るサンプルの断面SEM写真の一例である。 例7に係るサンプルの表面SEM写真の一例である 例3に係るサンプルの長期屋外暴露試験の結果を、一般的なガラス基板の場合と比較して示したグラフである。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
本発明の一実施形態では、
ガラスを有するガラス部材であって、
前記ガラスの第1の表面上に、透明導電性酸化物の層を配置することにより構成され、
前記ガラス部材の表面抵抗は1×10Ω/□以下であり、
前記第1の表面は、最大高さ粗さRzが70nm以上であり、
前記透明導電性酸化物の層の厚さは、10nm〜30nmの範囲である、ガラス部材が提供される。
一般に、清浄なガラスの表面は、親水性を有する。従って、屋外で外部環境に晒されるガラス部材は、初期の段階では、「防汚性」を有する。すなわち、ガラス部材の表面に塵、埃、および砂などの「異物」が付着しても、降雨などによって、そのような異物は比較的容易に洗い流され、表面に汚れが付きにくい。
しかしながら、一般にガラスの親水性は、外部環境の暴露時間(すなわち使用時間)の増加とともに低下することが知られている。これは、ガラスの表面が「異物」と物理的および/または化学的に(強固に)結合してしまい、ガラスの表面に存在する親水基の割合が減少するためであると考えられる。このため、ガラス部材の防汚性も時間とともに低下して行く。そして、いったんガラス部材の防汚性が損なわれると、その後防汚性が改善されることはなく、その後は、汚れを除去するため、ガラス部材に対して頻繁な清掃が必要となる。
これに対して、本発明によるガラス部材では、ガラスの表面に、厚さが10nm〜30nmの範囲の、帯電防止機能を有する透明導電性酸化物の層が設置されているという特徴を有する。透明導電性酸化物の層は、例えばシート抵抗が1×10Ω/□以下である。本発明によるガラス部材では、このような透明導電性酸化物の層の存在により、ガラスの表面に、塵、埃および砂などの「異物」が静電的に吸着することを有意に抑制することができる。
また、本発明によるガラス部材では、上部に透明導電性酸化物の層が設置されるガラスの第1の表面は、最大高さ粗さRzが70nm以上である。すなわち、ガラスの第1の表面には、微細なナノメートルオーダーの凹凸が多数形成されている。
このような凹凸を有する表面には、「異物」が密着し難く、また凹凸によりガラス表面の親水基の量が実質的に増加するため、親水基が「異物」との反応等により減少することが有意に抑制される。このため、本発明によるガラス部材では、ガラスが本来有する親水性を、長期にわたって維持することができる。
さらに、本発明によるガラス部材の場合、透明導電性酸化物の層は、微細な凹凸を有するガラスの表面に設置されている。このため、特許文献1に記載の塗膜とは異なり、剥離の問題も生じにくく、予期せぬ早期の段階でガラス部材の防汚性が損なわれるという問題も生じ難い。
このような特徴および効果により、本発明では、防汚効果を比較的長く持続できるガラス部材を提供することが可能となる。
(本発明の一実施形態によるガラス部材)
次に、図面を参照して、本発明の一実施形態について詳しく説明する。
図1には、本発明の一実施形態によるガラス部材(以下、「第1のガラス部材」という)の断面を模式的に示す。
図1に示すように、第1のガラス部材100は、第1の表面112および第2の表面114を有するガラス基板110を有する。第1の表面112は、ナノメートルオーダーの多数の微細な凹凸を有する表面として構成される。
より具体的には、ガラス基板110の第1の表面112は、最大高さ粗さRzが70nm以上である。最大高さ粗さRzは、2001 JIS B0601に基づいて測定することができる。最大高さ粗さRzが大きいほど、直径がマイクロメートルオーダーである異物と第1の表面112との接触面積が減少するため、防汚性が向上する。また、ガラス基板110の第1の表面112において、算術平均粗さRaは7nm以上であることが好ましい。算術平均粗さRaは、1994 JIS B0601に基づいて測定することができる。
さらに、第1のガラス部材100は、ガラス基板110の第1の表面112上に配置された、透明導電性酸化物の層150を有する。透明導電性酸化物の層150は、10nm〜30nmの範囲の膜厚を有する。
ここで、本願において、「層」と言う用語は、ある表面に連続的に形成された膜状態のみならず、図1に示す層150のような、ある表面に断続的に形成された状態も含む概念であることに留意する必要がある。特に、第1のガラス部材100では、図1に示すように、ガラス基板110の第1の表面112は、比較的多数の微細な凹凸を有しており、このため、第1の表面112上に配置される透明導電性酸化物の層150は、通常、断続膜となる。
このような構成の第1のガラス部材100では、ナノメートルオーダーの多数の凹凸を有する第1の表面112によって、ガラスの親水性が長期間維持される。また、帯電防止機能を有する透明導電性酸化物の層150によって、第1のガラス部材100の表面に、塵、埃および砂などの異物が静電的に吸着することを有意に抑制することができる。従って、第1のガラス部材100では、比較的長期にわたって防汚性を維持することが可能となる。
なお、ガラス基板110の第1の表面112は、特異凸状部を有しても良い。以下、図1を参照して、この特異凸状部について説明する。
図1に示すように、ガラス基板110は、ナノメートルオーダーの多数の凸状部120を有する第1の表面112を有する。そして、これらの凸状部120の中には、特異凸状部が含まれる。特異凸状部とは、凸状部120のうち、根元部分の少なくとも一部が、先端部分に比べて内方にくびれている形状を意味する。
例えば、図1に示した例では、2つの特異凸状部171、172が認められる。このうち特異凸状部171は、根元部分の一方の側(右側)が内方にくびれている。一方、特異凸状部172は、根元部分の両方の側が内方にくびれており、いわゆるネック部170を有する。ネック部170とは、第1の表面112に形成された凸状部120において、上部に比べて断面が小さくなっている下側部分、いわゆる狭窄部を意味する。
本願では、2つの特異凸状部171、172を区別するため、特に、特異凸状部172を、ネック部170を有する凸状部と称する場合がある。
なお、凸状部におけるネック部170の有無は、以下のように判断できる。すなわち、図1に示すように、一つの凸状部(例えば特異凸状部172)の根元側で最も径が小さくなっている部分において、対向する2点(P点およびQ点)のそれぞれに対して、該点を通るように、ガラス基板110の厚さ方向に平行な直線L1、L2を引く。これらの直線L1、L2が、それぞれ、P点およびQ点よりも上部(第1の表面112からより遠ざかる方向)で凸状部172と交差する場合、その凸状部172は、ネック部170を有すると判断できる。
第1の表面112において、特異凸状部171、172の付近では、透明導電性酸化物の層150が断続膜になりやすいという傾向がある。
このような特異凸状部171、172は、表面積が増大し、大きな異物が入らなくなるため、好ましい。
このような特異凸状部171、172を有する第1の表面112は、例えば、ガラス基板110を400℃〜700℃程度の高温のフッ化水素(HF)ガスでエッチング処理することにより、形成することができる。
(各構成部材の仕様について)
次に、図1に示したような第1のガラス部材100を構成する各部材の仕様等について、詳しく説明する。
(ガラス基板110)
ガラス基板110の寸法および組成等は、特に限られない。ガラス基板110は、例えば、0.1mm〜20mmの厚さを有しても良い。
また、ガラス基板110は、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、および無アルカリガラス等で構成されても良い。
なお、ガラス基板110は、化学強化処理されても良い。
ここで、「化学強化処理(法)」とは、アルカリ金属を含む溶融塩中にガラス基板を浸漬させ、ガラス基板の最表面に存在する原子径の小さなアルカリ金属(イオン)を、溶融塩中に存在する原子径の大きなアルカリ金属(イオン)と置換する技術の総称を言う。「化学強化処理(法)」では、処理されたガラス基板の表面には、処理前の元の原子よりも原子径の大きなアルカリ金属(イオン)が配置される。このため、ガラス基板の表面に圧縮応力層を形成することができ、これによりガラス基板の強度が向上する。
例えば、ガラス基板がナトリウム(Na)を含む場合、化学強化処理の際、このナトリウムは、溶融塩(例えば硝酸塩)中で、例えばカリウム(K)と置換される。あるいは、例えば、ガラス基板がリチウム(Li)を含む場合、化学強化処理の際、このリチウムは、溶融塩(例えば硝酸塩)中で、例えばナトリウム(Na)および/またはカリウム(K)と置換されても良い。
前述のように、ガラス基板110の第1の表面112は、多数の微細な凹凸を有する。より具体的には、ガラス基板110の第1の表面112において、最大高さ粗さRzは70nm以上である。例えば、最大高さ粗さRzは、70nm〜0.5μmの範囲であり、70nm〜0.3μmの範囲であっても良い。
また、算術平均粗さRaは7nm以上であることが好ましい。例えば、算術平均粗さRaは、7nm〜50nmの範囲であり、7nm〜30nmの範囲であっても良い。
このような第1の表面112を有するガラス基板110は、例えば、ガラス基板110の第1の表面112を、高温のフッ化水素(HF)ガスでエッチング処理することにより製造することができる。
(透明導電性酸化物の層150)
層150の透明導電性酸化物としては、帯電防止機能が発揮できる限り、いかなる種類のものを使用しても良い。ここで、本実施形態の透明導電性酸化物の層150は、1×10Ω/□以下のシート抵抗を有し、好ましくは1×10Ω/□以下のシート抵抗を有し、より好ましくは1×10Ω/□以下のシート抵抗を有する。1×10Ω/□以下のシート抵抗を有する材料は、帯電防止機能を発揮することができる。また、透明導電性酸化物の層150は、1×10Ω/□以上のシート抵抗を有することが好ましい。シート抵抗を1×10Ω/□以上とすることで、後述する第1のガラス部材100の透過率差ΔTを−0.5%以上とすることができ、視認性の観点から好ましい。
透明導電性酸化物の層150は、例えば、酸化スズ、酸化インジウム、および/またはインジウムスズ酸化物(ITO)を含んでも良い。中でも酸化スズを主成分として含むことで、化学的耐久性が高くなるため、屋外で使用する用途には特に好ましい。なお、酸化スズを主成分として含む、とは、酸化スズを50質量%以上含むことと同義である。
前述のように、透明導電性酸化物の層150の厚さは、10nm〜30nmの範囲である。透明導電性酸化物の層150の厚さを10nm〜30nmの範囲とすることで、前述のシート抵抗を好適な範囲内に制御することができる。透明導電性酸化物の層150の厚さは、10nm〜25nmの範囲であることが好ましい。
なお、透明導電性酸化物の層150の設置方法は特に限られない。透明導電性酸化物の層150は、例えば、物理気相成膜(PVD)法、スパッタリング法、および化学気相成膜(CVD)法のような成膜方法で、ガラス基板110上に設置することができる。高温でのフッ化水素(HF)ガスエッチングに引き続いて、大気圧CVD法により酸化スズの製膜を実施すると連続して処理が可能となり工程的に好ましい。
(第1のガラス部材100)
以上示したような構成を有する第1のガラス部材100は、例えば、建物および車両の窓ガラス等に使用することができる。この場合、窓ガラスのメンテナンスおよび清掃の頻度を少なくすることが可能になる。
ここで、図1に示した第1のガラス部材100は、ガラス基板110を有し、この第1の表面112に、透明導電性酸化物の層150が配置される。
第1のガラス部材100の第1の表面112の水の接触角は、好ましくは20°以下であり、より好ましくは15°以下であり、さらに好ましくは10°以下である。水の接触角が20o以下であれば、第1のガラス部材100は良好な親水性を示す。水の接触角は、例えば接触角計(協和界面科学社製、型番:CA−X)などを用いて、第1のガラス部材100の透明導電性酸化物の層150が配置された側に水滴を滴下することで、測定できる。
第1のガラス部材100の透過率差ΔTが−0.5%以上であることが好ましい。透過率差ΔTが−0.5%以上であることで、反射光を少なくすることができ、視認性の観点から好適である。透過率差ΔTは、

ΔT=(エッチング処理および透明導電性酸化物層成膜後のガラス基板の平均透過率T(%)−エッチング処理前のガラス基板の平均透過率T(%))/T(%)

の関係式により算定される。T(%)およびT(%)は、例えば分光測定装置(島津製作所社製、UV−3100PC)などを用いて波長400nm〜700nmの平均透過率(%)を測定することにより求められる。このような第1のガラス部材100は、透過性を犠牲にすることなく、親水性機能および帯電防止機能を発現させることができるため好ましい。
第1のガラス部材100のヘイズは1%以下であることが好ましい。ヘイズが1%以下であることで、ぎらつきを減らすことができ、視認性の観点から好適である。ヘイズはヘイズメータ(スガ試験機社製、型番:HZ−2)などを用いて測定することができる。
しかしながら、これは単なる一例であって、第1のガラス部材100は、必ずしもガラス基板110を有しなくても良い。例えば、図1の例において、ガラス基板110の代わりに、凹凸形状を有する第1の表面112を有するガラス膜を、ガラス以外の基板上に配置しても良い。この他にも、第1のガラス部材100の多くの変形例が存在し得ることは、当業者には明らかである。
次に、本発明による実施例について説明する。
(第1の実験)
<エッチングガラスの作製>
フロート法により製造された縦100mm×横100mm×厚さ3mmのソーダライムガラス(旭硝子社製、製品名:AS)の第1の表面(100mm×100mmの面)に対して、530℃でフッ化水素ガスによるエッチング処理(約1.5体積%、約10秒間)を実施した。この処理により、ガラス基板の第1の表面がエッチング処理された。このガラス基板を基板Aとする。
走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、SPI3800N)を使用し、JIS B0601(2001年)に基づいて、基板Aの第1の表面の表面粗さ(Ra、Rz)を測定した。その結果、最大高さ粗さRzは、102nmであり、算術平均粗さRaは、8nmであった。
フロート法により製造された縦100mm×横100mm×厚さ3.1mmの高透過ソーダライムガラス(旭硝子社製、製品名:SOLITE(登録商標))の第1の表面(100mm×100mmの面)に対して、580℃でフッ化水素ガスによるエッチング処理(約1.5体積%、約10秒間)を実施した。この処理により、ガラス基板の第1の表面がエッチング処理された。このガラス基板を基板Bとする。
走査型プローブ顕微鏡を使用し、基板Aと同様の方法で、ガラス基板Bの第1の表面の表面粗さ(Ra、Rz)を測定した。その結果、最大高さ粗さRzは、95nmであり、算術平均粗さRaは、8nmであった。
(例1)
次に、基板Aの第1の表面に、SnO層を成膜した。
SnO層の成膜には、大気圧CVD法を用い、SnOの原料としてモノブチル三塩化スズを使用した。
成膜後に、SnO層の厚さを測定した。厚さの測定には、蛍光X線(リガク社製、ZSX100e)を使用し、Sn元素の検出カウント数から別途膜厚測定したサンプルで作成した検量線から換算して、SnO層の厚さを算定した。測定の結果、SnO層の厚さは、約11nmであった。本算出方法では、粒状の凹凸のあるSnOの場合でも、平坦化した厚さとして換算している。
以上の方法により、例1に係るガラス部材のサンプル(以下、「例1に係るサンプル」と称する)を製造した。
(例2〜例3)
前述の例1の場合と同様の方法により、例2〜例3に係るサンプルを製造した。ただし、これらの例では、SnO層の厚さを変化させて、サンプルを製造した。
(例4)
前述の例1の場合と同様の方法により、例4に係るサンプルを製造した。ただし、この例4では、エッチング基板として基板Bを用い、SnO層の厚さを変化させて、サンプルを製造した。
(例5〜例6)
前述の例1の場合と同様の方法により、例5〜例6に係るサンプルを製造した。ただし、これらの例では、エッチング基板として基板Bを用い、SnOの原料として四塩化スズを使用し、SnO層の厚さを変化させて、サンプルを製造した。
(例7)
前述の例1の場合と同様の方法により、例7に係るサンプルを製造した。ただし、これらの例では、エッチング基板として基板Bを用い、SnO層の厚さを変化させて、サンプルを製造した。
(例8〜例9)
前述の例1の場合と同様の方法により、例8〜例9に係るサンプルを製造した。ただし、例8では、厚さ2mmのソーダライム組成のフロートガラス基板(旭硝子社製、製品名:AS)に対して、例9では厚さ3mmのソーダライム組成のフロートガラス基板(旭硝子社製、製品名:AS)に対して、フッ化水素ガスによるエッチング処理を実施しなかった。例8に係るガラス基板を基板C、例9に係るガラス基板を基板Dとする。また、これらの例8〜例9では、例1の場合とはSnO層の厚さを変化させて、サンプルを製造した。
走査型プローブ顕微鏡を使用し、基板Aと同様の方法で、基板Cおよび基板Dの第1の表面の表面粗さ(Ra、Rz)を測定した。その結果、最大高さ粗さRzは、それぞれ4nmであり、算術平均粗さRaは、それぞれ0.5nmであった。
(例10〜例11)
例10に係るサンプルとして、SnO層の成膜を実施しない基板Aを準備した。また、例11に係るサンプルとして、SnO層の成膜を実施しない基板Bを準備した。
以下の表1には、例1〜例11に係るサンプルのSnO厚さなどをまとめて示した。
図2および図3には、それぞれ、一例として、例3に係るサンプルの断面SEM写真および表面SEM写真を示す。
これらの図から、例3に係るサンプルでは、ガラス基板の第1の表面側に、微細な多数の凹凸が形成されており、その上部に、凹凸を維持した状態で、薄いSnO層が配置されていることがわかる。また、ガラス基板の第1の表面に形成された凹凸の中には、多くの特異凸状部が存在することが観察された。
例1〜例4に係るサンプルの場合、いずれのサンプルにおいても、このような構造が観察された。
一方、図4および図5には、それぞれ、例7に係るサンプルの断面SEM写真および表面SEM写真を示す。これらの図から、例7に係るサンプルでは、ガラス基板の第1の表面に存在する微細な凹凸は、SnO層によって全体的に塞がれていることがわかる。
(評価)
例1〜例11に係るサンプルを用いて、以下の評価を実施した。
(透過率の測定)
各例に係るサンプルを用いて、サンプルの透過率を分光測定装置(島津製作所社製、UV−3100PC)により測定した。
得られた結果から、波長400nm〜700nmの間の平均透過率(%)を求めた。
また、得られたエッチング処理後のガラス基板の平均透過率T(%)を、エッチング処理前のガラス基板の平均透過率T(%)と比較し、透過率差ΔT=(エッチング処理および透明導電性酸化物層成膜後のガラス基板の平均透過率T(%)−エッチング処理前のガラス基板の平均透過率T(%))/T(%) を算定した。
(ヘイズの測定)
各サンプルにおいて、ヘイズメータ(スガ試験機社製、型番:HZ−2)を用いて、ヘイズを測定した。
(接触角の測定)
各サンプルにおいて、接触角計(協和界面科学社製、型番:CA−X)を用いて、ガラス基板のSnO層が設置された側に水滴を滴下し、接触角の測定を実施した。
(表面抵抗の測定)
各サンプルに対して、表面抵抗計(アドバンテスト社製、本体型番:R8340、検出器型番:R12704)を用いて、JIS R3256に準拠した方法で表面抵抗を測定した。
(結果)
各評価の結果を、まとめて前述の表1に示す。
これらの結果から、例1〜例6に係るサンプルは、水の接触角が20o以下となっており、良好な親水性を示すことがわかる。一方、例7〜例9に係るサンプルは、いずれも水の接触角が20oを超えており、あまり良好な親水性を有しないと言える。
また、例1〜例4に係るサンプルは、表面抵抗が1×10Ω/□〜1×10Ω/□の範囲にあり、良好な帯電防止機能を有すると言える。これに対して、例5、例6および例8に係るサンプルでは、表面抵抗は少なくとも7×1011Ω/□と大きくなっており、帯電防止機能を有しないと言える。
基板A、Bは良好な親水性を有してはいるが、帯電防止性能が不十分である。
この結果から、例1〜例4に係るサンプルは、例5〜例9に係るサンプルに比べて、良好な防汚性を有すると判断される。
なお、例1〜例4に係るサンプルは、透過率差ΔT(%)が−0.5%以上となっている。このことから、例1〜例4に係るサンプルは、透過性を犠牲にすることなく、親水性機能および帯電防止機能を発現させることができると言える。
(第2の実験)
(例12)
以下の方法によりガラス部材のサンプルを製造し、その粉体付着性を評価した。
前述の例3の場合と同様の条件で、基板Aの第1の表面に、SnO層を成膜した。測定の結果、SnO層の厚さは、約15nmであった。
以上の方法により、例12に係るガラス部材のサンプル(以下、「例12に係るサンプル」と称する)を製造した。
(例13〜例14)
前述の例12の場合と同様の方法により、例13に係るサンプルを製造した。ただし、この例13では、フロートガラス基板(厚さ3mm)に対して、エッチング処理を実施せず、ガラス基板の平滑な第1の表面上に、SnO層を成膜した。
また、エッチング処理およびSnO層の成膜のいずれも実施していない、未処理のガラス基板を例14に係るサンプルとした。
(粉体付着性試験)
次に、例12〜例14に係るサンプルを用いて、粉体付着性試験を実施した。
この試験は、以下のように実施した。
まず、各サンプルのSnO層が設置された表面側(すなわちガラス基板の第1の表面側)に、粉末タルク(富士タルク社製、LMS300、平均粒径4.5μm)を刷毛塗りする。なお、例14に係るサンプルでは、SnO層が設置されていないため、任意の主表面に粉末タルクを刷毛塗りした。
次に、各サンプルを立てた状態で、テーブル台にサンプルの端部を数回当接させ、表面に設置された粉末タルクを落下させる。
次に、前述の方法で、各サンプルのヘイズを測定する。測定されたヘイズの値が小さいほど、表面に残留する粉末の量が少ないことを意味するため、このような粉体付着性試験により、各サンプルにおける異物に対する表面の防汚性が判断できる。
各サンプルにおいて得られた粉体付着性試験の結果を、以下の表2にまとめて示す。
この試験結果から、例12に係るサンプルでは、例13および例14に係るサンプルに比べて、ヘイズの上昇が有意に抑制されていることがわかる。この結果から、ガラス基板の表面にナノメートルオーダーの多数の凹凸を形成するとともに、この表面に厚さ10nm〜30nmの範囲のSnO層を設置することにより、ガラス部材に帯電防止機能が生じ、表面へ異物の付着が抑制される傾向にあることが確認された。
(第3の試験)
図6には、例3に係るサンプルの長期屋外暴露試験の結果を示す。この図6は、サンプルを所定時間、屋外に暴露した後、いったんサンプルを回収し、該サンプルを構成するガラス基板の第1の表面側の水の接触角を測定する評価を、約200日間、継続して実施することにより得られたものである。
図6において、横軸は、暴露日数を示しており、縦軸は、接触角を示している。なお、図6には、比較のため、平滑な表面を有するソーダライム組成のガラス基板のみからなるサンプル(サンプルB)の結果を同時に示している。
この試験結果から、例3に係るサンプルでは、長期間にわたって、未処理のガラス基板に比べて、接触角の上昇が有意に抑制されていることがわかる。このことから、例3に係るサンプルでは、長期にわたって、防汚性が維持されると言える。
このように、ガラス基板の表面にナノメートルオーダーの多数の凹凸を形成するとともに、この表面に厚さ10nm〜30nmの範囲のSnO層を設置することにより、ガラス部材の防汚性を長期にわたって維持できることが確認された。
本発明は、例えば、建物の窓ガラスなど、一年中外部環境に暴露されるガラス部材に利用することができる。
100 第1のガラス部材
110 ガラス基板
112 第1の表面
114 第2の表面
120 凸状部
150 透明導電性酸化物の層
170 ネック部
171 特異凸状部
172 特異凸状部

Claims (10)

  1. ガラスを有するガラス部材であって、
    前記ガラスの第1の表面上に、透明導電性酸化物の層を配置することにより構成され、
    前記ガラス部材の表面抵抗は1×10Ω/□以下であり、
    前記第1の表面は、最大高さ粗さRzが70nm以上であり、
    前記透明導電性酸化物の層の厚さは、10nm〜30nmの範囲である、ガラス部材。
  2. 前記透明導電性酸化物は、酸化スズ、酸化インジウム、またはITOを含む、請求項1に記載のガラス部材。
  3. 前記透明導電性酸化物は、酸化スズを主成分として含む、請求項2に記載のガラス部材。
  4. 前記ガラスは、ソーダライムガラスである、請求項1乃至3のいずれか一つに記載のガラス部材。
  5. 前記第1の表面の算術平均粗さRaが7nm以上である、請求項1乃至4のいずれか一つに記載のガラス部材。
  6. 前記ガラス部材の表面抵抗が1×10Ω/□以上である、請求項1乃至5のいずれか一つに記載のガラス部材。
  7. 前記第1の表面の水の接触角が20°以下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のガラス部材。
  8. 前記ガラス部材の透過率差ΔTが−0.5%以上である、請求項1乃至7のいずれか一つに記載のガラス部材。
  9. 前記ガラス部材のヘイズが1%以下である、請求項1乃至8のいずれか一つに記載のガラス部材。
  10. 前記第1の表面は、ガラスをフッ化水素ガスでエッチング処理することにより形成される、請求項1乃至9のいずれか一つに記載のガラス部材。
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