JP2016088311A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】操舵系に対してより適切なアシスト力を付与することができる電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】アシスト制御量に対する制限値(上限値および下限値)が、アシスト制御量の演算に使用される操舵トルクを含む各状態量に対して個別に設定される。また、アシスト制御量にヒステリシス特性を有するヒステリシス制御量が加味される場合、当該ヒステリシス制御量に対する制限値(上限値IUL6 および下限値ILL6 )が演算される。そして、当該ヒステリシス制御量に対する制限値と前記状態量ごとに個別に設定される複数の制限値とを合算した値が、アシスト制御量に対する最終的な制限値として設定される。
【選択図】図11

Description

本発明は、電動パワーステアリング装置に関する。
たとえば特許文献1に記載されるように、電動パワーステアリング装置(以下、「EPS」という。)は、車両の操舵機構にモータのトルクを付与することにより運転者のステアリング操作を補助する。EPSは少なくとも操舵トルクに応じた適切なアシスト力を発生させるためにモータ電流のフィードバック制御を行う。すなわち、EPSは少なくとも操舵トルクに基づき演算されるアシスト電流指令値とモータ電流検出値との差が小さくなるようにPWMデューティの調節を通じてモータ印加電圧を調節する。
EPSにはより高い安全性が要求されるところ、引用文献1のEPSではつぎのような構成を採用している。すなわち、EPSは操舵トルクとアシスト電流指令値の方向が一致するときには定められた上限値または下限値でアシスト電流指令値を制限するのに対し、操舵トルクとアシスト電流指令値の方向が反対になるときにはアシスト制御演算に異常が生じたと判定してアシスト電流指令値を「0」に制限する。
特開2010−155598号公報([0037]、図3、図6)
ところが、特許文献1のEPSではつぎのような懸念がある。すなわち、特許文献1のEPSは操舵トルクが小さい範囲(0を中心とする正負の一定範囲)であるときにはアシスト電流指令値を「0」に制限することができない。一般に、アシスト電流指令値は操舵トルクに基づく基礎成分にステアリングの挙動を調整するための補償量を重畳して生成されるが、この補償量は操舵トルクの方向と一致しない場合がある。操舵トルクが大きい場合、補償量が操舵トルクの方向に一致しなくても、補償量は基礎成分によって相殺されるためアシスト電流指令値自体は操舵トルクの方向と一致する。したがって、アシスト電流指令値と操舵トルクの方向の不一致はアシスト制御演算の異常とみなすことができる。しかし、操舵トルクが小さい範囲では基礎成分が小さくなり、アシスト電流指令値に占める補償量の割合が大きくなるため、アシスト制御演算が正常であってもアシスト電流指令値と操舵トルクの方向が一致しない場合がある。このような場合にアシスト電流指令値を「0」に制限してしまうとステアリングの挙動を調整できなくなるおそれがある。そこで特許文献1のEPSは、操舵トルクが小さい範囲であるときにはアシスト電流指令値を「0」に制限せず、補償量が制限されない余裕を持たせた範囲内でアシスト電流指令値を制限している。このため、何らかの原因で異常なアシスト電流指令値が誤って演算されたとしても、操舵トルクが小さい領域においてはアシスト電流指令値の制限が甘いため、意図しないアシスト力が操舵機構に付与され、場合によってはセルフアシストが発生するおそれがある。
本発明の目的は、操舵系に対してより適切なアシスト力を付与することができる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
上記目的を達成し得る電動パワーステアリング装置は、ステアリングの操舵状態を示す複数種の状態量に基づきアシスト制御量を演算し当該アシスト制御量に基づき車両の操舵系に付与するアシスト力の発生源であるモータを制御する制御装置を備えている。前記制御装置は、前記アシスト制御量の演算に使用する各状態量に応じて前記アシスト制御量の変化範囲を制限する制限値を前記状態量ごとに個別に設定し、これら制限値を使用して前記アシスト制御量の値を制限する。
この構成によれば、アシスト制御量の制限値はアシスト制御量の演算に使用される各状態量に対して個別に設定される。何らかの原因によって異常値を示すアシスト制御量が演算された場合であれ、各制限値が使用されてアシスト制御量の変化範囲が制限されることにより操舵系に意図しないアシスト力が付与されることが抑制される。また、アシスト制御量の制限値がアシスト制御量の演算に使用される各状態量に対して個別に設定されるため、他の状態量に基づく制御に対する影響を考慮する必要がなく、アシスト制御量に対してより緻密で厳密な制限処理を施すことが可能となる。
また、上記の構成を前提として、前記制御装置は、前記ステアリングの操舵角の変化に対してヒステリシス特性を有するヒステリシス制御量を前記操舵角に基づき演算するとともに当該ヒステリシス制御量を加味して前記アシスト制御量を演算する。一方で、前記制御装置は、前記ヒステリシス制御量の変化範囲を制限する制限値を設定したうえで、当該ヒステリシス制御量に対する制限値と前記状態量ごとに個別に設定される複数の制限値とを合算することにより、前記アシスト制御量に対する最終的な制限値を生成する。
アシスト制御量にヒステリシス制御量が加味される以上、当該アシスト制御量に対する制限値についてもヒステリシス制御量を加味して設定することが好ましい。このようにすれば、ヒステリシス制御量が加味されたアシスト制御量に対して、より適切な制限値を設定することが可能となる。
上記の電動パワーステアリング装置において、前記制御装置は、車速を考慮して前記ヒステリシス制御量を演算する場合、前記ヒステリシス制御量に対する制限値も車速を考慮して設定することが好ましい。
この構成によれば、車速を考慮して演算されるヒステリシス制御量に対して、車速に応じた、より適切な制限値を設定することが可能になる。
上記の電動パワーステアリング装置において、前記ヒステリシス制御量は、前記ヒステリシス特性に従い前記操舵角の符号と逆の符号側へ向けて生成されることを前提とするとき、前記制御装置は、操舵トルクが設定値に達した以降、当該操舵トルクが増大するほど、前記ヒステリシス制御量に対する制限値をより小さな値に設定するようにしてもよい。
ヒステリシス制御量が操舵角と逆の符号側へ向けて生成されるものであるとき、当該ヒステリシス制御量に対する制限値も操舵角と逆の符号をもって設定される。このため、アシスト制御量に対する制限値にヒステリシス制御量に対する制限値を加味することにより、アシスト制御量に対する制限幅が操舵角と逆の符号側へ向けて拡がるおそれがある。操舵角は、基本的には操舵トルクと同じ符号側へ向けて変化するため、いわゆる逆アシストを許容する範囲が拡がることが懸念される。
この点、上記の構成によれば、操舵トルクが設定値に達した以降、操舵トルクが増大するほど、ヒステリシス制御量に対する制限値が、より小さな値に設定される。すなわち、アシスト制御量に対する逆符号側の制限幅を拡げようとするヒステリシス制御量が操舵トルクに応じて抑制される。このため、アシスト制御量に対する最終的な制限値が、操舵トルクと逆の符号側へ拡がることが抑制される。したがって、操舵トルクと逆の符号を有する異常なアシスト制御量が生成されるとき、当該異常なアシスト制御量は、より小さな値に抑えられた最終的な制限値に制限される。これにより、いわゆる逆アシストが抑制される。また、操舵トルクと逆の符号側へ向けたアシスト制御量の変動幅も縮小されるため、その分、モータのトルク変動が抑えられる。
上記の電動パワーステアリング装置において、前記制御装置は、前記ヒステリシス特性に基づき設定される情報として、切り込み操舵時における前記ヒステリシス制御量に対する制限値の単位時間当たりの変化量である切り込み勾配と、切り戻し操舵時における前記ヒステリシス制御量に対する制限値の単位時間当たりの変化量である切り戻し勾配と、前記ヒステリシス制御量に対する制限値の最大値と、前記ヒステリシス制御量に対する制限値の最小値と、を含む4つの情報を記憶していることを前提としてもよい。この場合、前記制御装置は、前記操舵角の変化に応じて前記ヒステリシス制御量に対する制限値を前記4つの情報を使用して設定するようにしてもよい。
この構成によれば、切り込み操舵時、および切り込み操舵時とは操舵方向が反対となる切り戻し操舵時のそれぞれにおいて、切り込み勾配、切り戻し勾配、最大値および最小値に基づき、ヒステリシス制御量に対する制限値が設定される。制御装置に予め記憶される4つの情報を使用することにより、ヒステリシス制御量に対する制限値を簡単に設定することができる。
本発明の電動パワーステアリング装置によれば、操舵系に対してより適切なアシスト力を付与することができる。
第1の実施の形態における電動パワーステアリング装置の概略構成図。 第1の実施の形態における電動パワーステアリング装置の制御ブロック図。 第1の実施の形態におけるアシスト制御部の制御ブロック図。 第1の実施の形態における操舵角とヒステリシス制御量との関係を示すグラフ。 第1の実施の形態における上下限リミット演算部の制御ブロック図。 第1の実施の形態における操舵トルクと制限値との関係を示すマップ。 第1の実施の形態における操舵トルクの微分値と制限値との関係を示すマップ。 第1の実施の形態における操舵角と制限値との関係を示すマップ。 第1の実施の形態における操舵速度と制限値との関係を示すマップ。 第1の実施の形態における操舵角加速度と制限値との関係を示すマップ。 第1の実施の形態におけるヒステリシス制御量リミッタの制御ブロック図。 第1の実施の形態における操舵角とヒステリシス制御量との関係を示すグラフ。 第1の実施の形態におけるヒステリシス制御量と制限値との関係を示すグラフ。 第1の実施の形態におけるアシスト制御量(電流指令値)の変化を示すグラフ。 第2の実施の形態におけるヒステリシス制御量リミッタの制御ブロック図。
<第1の実施の形態>
以下、電動パワーステアリング装置の第1の実施の形態を説明する。
<EPSの概要>
図1に示すように、電動パワーステアリング装置10は、運転者のステアリング操作に基づいて転舵輪を転舵させる操舵機構20、運転者のステアリング操作を補助する操舵補助機構30、および操舵補助機構30の作動を制御するECU(電子制御装置)40を備えている。
操舵機構20は、運転者により操作されるステアリングホイール21、およびステアリングホイール21と一体回転するステアリングシャフト22を備えている。ステアリングシャフト22は、ステアリングホイール21の中心に連結されたコラムシャフト22a、コラムシャフト22aの下端部に連結されたインターミディエイトシャフト22b、およびインターミディエイトシャフト22bの下端部に連結されたピニオンシャフト22cからなる。ピニオンシャフト22cの下端部は、ピニオンシャフト22cに交わる方向へ延びるラック軸23(正確にはラック歯が形成された部分23a)に噛合されている。したがって、ステアリングシャフト22の回転運動は、ピニオンシャフト22cおよびラック軸23からなるラックアンドピニオン機構24によりラック軸23の往復直線運動に変換される。当該往復直線運動が、ラック軸23の両端にそれぞれ連結されたタイロッド25を介して左右の転舵輪26,26にそれぞれ伝達されることにより、これら転舵輪26,26の転舵角θtaが変更される。
操舵補助機構30は、操舵補助力の発生源であるモータ31を備えている。モータ31としては、ブラシレスモータなどが採用される。モータ31は、減速機構32を介してコラムシャフト22aに連結されている。減速機構32はモータ31の回転を減速し、当該減速した回転力をコラムシャフト22aに伝達する。すなわち、ステアリングシャフト22にモータのトルクが操舵補助力(アシスト力)として付与されることにより、運転者のステアリング操作が補助される。
ECU40は、車両に設けられる各種のセンサの検出結果を運転者の要求あるいは走行状態を示す情報として取得し、これら取得される各種の情報に応じてモータ31を制御する。
各種のセンサとしては、たとえば車速センサ51、ステアリングセンサ52、トルクセンサ53および回転角センサ54がある。車速センサ51は車速(車両の走行速度)Vを検出する。ステアリングセンサ52は磁気式の回転角センサであってコラムシャフト22aに設けられて操舵角θsを検出する。トルクセンサ53はコラムシャフト22aに設けられて操舵トルクτを検出する。回転角センサ54はモータ31に設けられてモータ31の回転角θmを検出する。
ECU40は車速V、操舵角θs、操舵トルクτおよび回転角θmに基づき目標アシスト力を演算し、当該目標アシスト力を操舵補助機構30に発生させるための駆動電力をモータ31に供給する。
<ECUの構成>
つぎに、ECUのハードウェア構成を説明する。
図2に示すように、ECU40は駆動回路(インバータ回路)41およびマイクロコンピュータ42を備えている。
駆動回路41は、マイクロコンピュータ42により生成されるモータ制御信号Sc(PWM駆動信号)に基づいて、バッテリなどの直流電源から供給される直流電力を三相交流電力に変換する。当該変換された三相交流電力は各相の給電経路43を介してモータ31に供給される。各相の給電経路43には電流センサ44が設けられている。これら電流センサ44は各相の給電経路43に生ずる実際の電流値Imを検出する。なお、図2では、説明の便宜上、各相の給電経路43および各相の電流センサ44をそれぞれ1つにまとめて図示する。
マイクロコンピュータ42は、車速センサ51、ステアリングセンサ52、トルクセンサ53、回転角センサ54および電流センサ44の検出結果をそれぞれ定められたサンプリング周期で取り込む。マイクロコンピュータ42はこれら取り込まれる検出結果、すなわち車速V、操舵角θs、操舵トルクτ、回転角θmおよび実際の電流値Imに基づきモータ制御信号Scを生成する。
<マイクロコンピュータ>
つぎに、マイクロコンピュータの機能的な構成を説明する。
マイクロコンピュータ42は、図示しない記憶装置に格納された制御プログラムを実行することによって実現される各種の演算処理部を有している。
図2に示すように、マイクロコンピュータ42は、これら演算処理部として電流指令値演算部61およびモータ制御信号生成部62を備えている。電流指令値演算部61は、操舵トルクτ、車速Vおよび操舵角θsに基づき電流指令値Iを演算する。電流指令値Iはモータ31に供給するべき電流を示す指令値である。正確には、電流指令値Iは、d/q座標系におけるq軸電流指令値およびd軸電流指令値を含む。本実施形態においてd軸電流指令値は零に設定されている。d/q座標系は、モータ31の回転角θmに従う回転座標である。モータ制御信号生成部62は、回転角θmを使用してモータ31の三相の電流値Imを二相のベクトル成分、すなわちd/q座標系におけるd軸電流値およびq軸電流値に変換する。そして、モータ制御信号生成部62は、d軸電流値とd軸電流指令値との偏差、およびq軸電流値とq軸電流指令値との偏差をそれぞれ求め、これら偏差を解消するようにモータ制御信号Scを生成する。
<電流指令値演算部>
つぎに、電流指令値演算部について詳細に説明する。
図2に示すように、電流指令値演算部61は、アシスト制御部71、上下限リミット演算部72および上下限ガード処理部73を有している。また、電流指令値演算部61は3つの微分器74,75,76を有している。微分器74は操舵角θsを微分することにより操舵速度(操舵角速度)ωsを演算する。微分器75は前段の微分器74により算出される操舵速度ωsをさらに微分することにより操舵角加速度αsを演算する。微分器76は操舵トルクτを時間で微分することにより操舵トルク微分値dτを演算する。
アシスト制御部71は、操舵トルクτ、車速V、操舵角θs、操舵速度ωs、操舵角加速度αsおよび操舵トルク微分値dτに基づきアシスト制御量Ias を演算する。アシスト制御量Ias は、これら各種の状態量(τ,V,θs,ωs,αs,dτ)に応じた適切な大きさの目標アシスト力を発生させるためにモータ31へ供給する電流量の値(電流値)である。
上下限リミット演算部72は、アシスト制御部71において使用される各種の信号、ここでは操舵トルクτ、操舵角θs、操舵トルク微分値dτ、操舵速度ωsおよび操舵角加速度αsを取り込む。上下限リミット演算部72は、これら取り込まれる信号(τ,θs,dτ,ωs,αs)に基づきアシスト制御量Ias に対する制限値として上限値IUL および下限値ILL を演算する。上限値IUL および下限値ILL はアシスト制御量Ias に対する最終的な制限値となる。
上下限ガード処理部73は、上下限リミット演算部72により演算される上限値IUL および下限値ILL に基づきアシスト制御量Ias の制限処理を実行する。すなわち、上下限ガード処理部73はアシスト制御量Ias の値ならびに上限値IUL および下限値ILL を比較する。上下限ガード処理部73は、アシスト制御量Ias が上限値IUL を超える場合にはアシスト制御量Ias を上限値IUL に制限し、下限値ILL を下回る場合にはアシスト制御量Ias を下限値ILL に制限する。当該制限処理が施されたアシスト制御量Ias が最終的な電流指令値Iとなる。なお、アシスト制御量Ias が上限値IUL と下限値ILL との範囲内であるときには、アシスト制御部71により演算されるアシスト制御量Ias がそのまま最終的な電流指令値Iとなる。
<アシスト制御部>
つぎに、アシスト制御部71について詳細に説明する。
図3に示すように、アシスト制御部71は基本アシスト制御部81、補償制御部82および加算器83を備えている。
基本アシスト制御部81は操舵トルクτおよび車速Vに基づき基本アシスト制御量I を演算する。基本アシスト制御量I は、操舵トルクτおよび車速Vに応じた適切な大きさの目標アシスト力を発生させるための基礎成分(電流値)である。基本アシスト制御部81はたとえばマイクロコンピュータ42の図示しない記憶装置に格納されるアシスト特性マップを使用して基本アシスト制御量I を演算する。アシスト特性マップは操舵トルクτおよび車速Vに基づき基本アシスト制御量I を演算するための車速感応型の三次元マップであって、操舵トルクτ(絶対値)が大きいほど、また車速Vが小さいほど大きな値(絶対値)の基本アシスト制御量I が算出されるように設定されている。
補償制御部82は、より優れた操舵感を実現するために基本アシスト制御量I に対する各種の補償制御を実行する。補償制御部82は、たとえば慣性補償制御部84、ステアリング戻し制御部85、トルク微分制御部86およびダンピング制御部87を備えている。
慣性補償制御部84は、操舵角加速度αsおよび車速Vに基づきモータ31の慣性を補償するための補償量I (電流値)を演算する。補償量I を使用して基本アシスト制御量I を補正することにより、ステアリングホイール21の切り始め時における引っ掛かり感(追従遅れ)および切り終わり時の流れ感(オーバーシュート)が低減される。
ステアリング戻し制御部85は、操舵トルクτ、車速V、操舵角θsおよび操舵速度ωsに基づきステアリングホイール21の戻り特性を補償するための補償量I (電流値)を演算する。補償量I を使用して基本アシスト制御量I を補正することにより、路面反力によるセルフアライニングトルクの過不足が補償される。補償量I に応じてステアリングホイール21を中立位置に戻す方向へ向けたアシスト力が発生されるからである。
トルク微分制御部86は、逆入力振動成分を操舵トルク微分値dτとして検出し、当該検出される操舵トルク微分値dτに基づき逆入力振動などの外乱を補償するための補償量I (電流値)を演算する。補償量I を使用して基本アシスト制御量I を補正することにより、ブレーキ操作に伴い発生するブレーキ振動などの外乱が抑制される。補償量I に応じて逆入力振動を打ち消す方向へ向けたアシスト力が発生されるからである。
ダンピング制御部87は、操舵速度ωsおよび車速Vに基づき操舵系が有する粘性を補償するための補償量I (電流値)を演算する。補償量I を使用して基本アシスト制御量I を補正することにより、たとえばステアリングホイール21に伝わる小刻みな振動などが低減される。
加算器83は基本アシスト制御量I に対する補正処理として補償量I 、補償量I 、補償量I および補償量I を加算することによりアシスト制御量Ias を生成する。
ここで、目標操舵特性あるいは操舵感のチューニング幅を拡げるため、または操舵時のヒステリシス特性を最適化するための構成が設けられることがある。当該構成として、アシスト制御部71には、ヒステリシス制御部88および減算器89がそれぞれ設けられる。
ヒステリシス制御部88は、操舵角θsおよび車速Vをそれぞれ取り込む。そして、ヒステリシス制御部88は、操舵角θsに基づき基本的なヒステリシス制御量Ihy を演算し、当該基本的なヒステリシス制御量Ihy に対して車速Vに応じたゲインを乗算することにより、最終的なヒステリシス制御量Ihy を演算する。ちなみに、ヒステリシス制御量Ihy は、操舵角θsの変化に対してヒステリシス特性を有する補正成分である。
減算器89は、基本アシスト制御量I からヒステリシス制御量Ihy を減算し、当該ヒステリシス制御量Ihy が減算された最終的な基本アシスト制御量I を加算器83へ供給する。
基本アシスト制御量I から減算されるヒステリシス制御量Ihy の分だけ、アシスト制御量Ias 、ひいては電流指令値Iが減少する。すなわち、ヒステリシス制御量Ihy の減算分だけ、ステアリングシャフト22に付与されるアシスト力が減少する。ステアリングホイール21の操作に必要とされる操舵トルクτがヒステリシス制御量Ihy の減算分だけ増加するため、ヒステリシス制御量Ihy に応じた操舵感を運転者に与えることが可能となる。
運転者の操舵感は、主に、ステアリングホイール21に対して切り込み操作を行う際の操舵感と、切り戻し操作を行う際の操舵感とに分類可能である。このことを考慮して、ヒステリシス制御部88は、切り込みマップ(図示略)および切り戻しマップ(図示略)に基づき、操舵角θsの変化に対してヒステリシス特性を有するヒステリシス制御量Ihy を演算する。切り込みマップは、切り込み操作に対応する操舵角θsとヒステリシス制御量Ihy との関係を規定する。切り戻しマップは、切り戻し操作に対応する操舵角θsとヒステリシス制御量Ihy との関係を規定する。これら切り込みマップおよび切り戻しマップを個別に調整することにより、切り込み操作時の操舵感および切り戻し操作時の操舵感を個別に設定することが可能である。
図4のグラフに示されるように、ヒステリシス制御量Ihy は、一例として、つぎのようなヒステリシス特性を有する。
すなわち、まずステアリングホイール21がその中立位置から右方向へ操舵されたとする。この場合、図4のグラフに特性線L1で示されるように、操舵角θsが「0」を基準として正の方向へ増加するにつれてヒステリシス制御量Ihy の値は正の方向へ円弧曲線的に増大する。なお、操舵角θsの値が大きくなるほど操舵角θsに対するヒステリシス制御量Ihy の変化率の絶対値(特性線L1の接線の傾き)が小さくなる。
その後、操舵角θsが第1の操舵角θs1に達するタイミングで、操舵方向が右方向から左方向へ変更されたとする。この場合、図4のグラフに特性線L2で示されるように、操舵角θsが第1の操舵角θs1を基準として小さくなるにつれて、ヒステリシス制御量Ihy の値は直線的に減少する。なお、特性線L2で示されるヒステリシス制御量Ihy の変化率の絶対値は、特性線L1で示されるヒステリシス制御量Ihy の変化率の絶対値よりも大きな値に設定されている。
そして、ステアリングホイール21がさらに左方向へ操舵されることにより、ヒステリシス制御量Ihy の値が「0」となる第2の操舵角θs2を通過したとする。第2の操舵角θs2の絶対値は、第1の操舵角θs1の絶対値よりも小さい値である。この場合、図4のグラフに特性線L3で示されるように、ヒステリシス制御量Ihy の値は、操舵角θsが第2の操舵角θs2を基準として小さくなるにつれて負の方向へ曲線的に増大する。
この後、ステアリングホイール21が中立位置を通過してさらに左方向へ操舵されることにより、操舵角θsが「0°」を経て負の方向へ増加し、やがて第3の操舵角θs3へ到るとする。この場合、ヒステリシス制御量Ihy の値は、操舵角θsが負の方向へ増加するにつれて負の方向へ増大する。
なお、操舵角θsが第2の操舵角θs2から「0°」を経て第3の操舵角θs3へ変化するとき、操舵角θsが第3の操舵角θs3に近づくにつれて、操舵角θsに対するヒステリシス制御量Ihy の変化率の絶対値(特性線L3の接線の傾き)が小さくなる。
つぎに、操舵角θsが負の値である第3の操舵角θs3に達するタイミングで、操舵方向が左方向から右方向へ再び変更されたとする。この場合、図4のグラフに特性線L4で示されるように、操舵角θsが第3の操舵角θs3を基準として正の方向へ向けて大きくなるにつれて、ヒステリシス制御量Ihy の値は「0」へ向けて直線的に増大する。なお、特性線L4の傾きは、特性線L2の傾きと同じである。
そして、ステアリングホイール21がさらに右方向へ操舵されることにより、ヒステリシス制御量Ihy の値が「0」となる第4の操舵角θs4を通過して操作されるとする。第4の操舵角θs4の絶対値は、第3の操舵角θs3の絶対値よりも小さい値である。この場合、図4のグラフに特性線L5で示されるように、操舵角θsが第4の操舵角θs4を基準として正の方向へ増加するにつれて、ヒステリシス制御量Ihy の値は正の方向へ向けて円弧曲線的に増大する。
やがて、ステアリングホイール21が中立位置を通過してさらに右方向へ操舵されることにより、操舵角θsが「0°」を経て再び第1の操舵角θs1に到るとする。この場合、図4のグラフに特性線L5で示されるように、操舵角θsが「0°」を基準として正の方向へ増加するにつれて、ヒステリシス制御量Ihy の値は正の方向へ円弧曲線的に増大する。
なお、操舵角θsが第4の操舵角θs4から「0°」を経て第1の操舵角θs1へ変化するとき、操舵角θsが第1の操舵角θs1に近づくにつれて、操舵角θsに対するヒステリシス制御量Ihy の変化率の絶対値(特性線L5の接線の傾き)が小さくなる。
このように、ヒステリシス制御量Ihy が操舵角θsに対してヒステリシス特性を有することにより、操舵角θsの変化に対してヒステリシス特性を有する操舵感を運転者に与えることが可能である。
<上下限リミット演算部>
つぎに、上下限リミット演算部72について詳細に説明する。
図5に示すように、上下限リミット演算部72は上限値演算部90および下限値演算部100を備えている。
<上限値演算部>
上限値演算部90は、操舵トルク感応リミッタ91、操舵トルク微分値感応リミッタ92、操舵角感応リミッタ93、操舵角速度感応リミッタ94、操舵角加速度感応リミッタ95およびヒステリシス制御量リミッタ96を有している。また、上限値演算部90は、加算器97を有している。
操舵トルク感応リミッタ91は、操舵トルクτに応じてアシスト制御量Ias に対する上限値IUL1 を演算する。操舵トルク微分値感応リミッタ92は、操舵トルク微分値dτに応じてアシスト制御量Ias に対する上限値IUL2 を演算する。操舵角感応リミッタ93は、操舵角θsに応じてアシスト制御量Ias に対する上限値IUL3 を演算する。操舵角速度感応リミッタ94は、操舵速度ωsに応じてアシスト制御量Ias に対する上限値IUL4 を演算する。操舵角加速度感応リミッタ95は、操舵角加速度αsに応じてアシスト制御量Ias に対する上限値IUL5 を演算する。ヒステリシス制御量リミッタ96は、操舵方向に応じてヒステリシス制御量Ihy に対する上限値IUL6 (正側の最大値)を演算する。
加算器97は6つの上限値IUL1 〜IUL6 を足し算することによりアシスト制御量Ias に対する上限値IUL を生成する。
<下限値演算部>
下限値演算部100は、操舵トルク感応リミッタ101、操舵トルク微分値感応リミッタ102、操舵角感応リミッタ103、操舵角速度感応リミッタ104、操舵角加速度感応リミッタ105およびヒステリシス制御量リミッタ106を有している。また、下限値演算部100は、加算器107を有している。
操舵トルク感応リミッタ101は、操舵トルクτに応じてアシスト制御量Ias に対する下限値ILL1 を演算する。操舵トルク微分値感応リミッタ102は、操舵トルク微分値dτに応じてアシスト制御量Ias に対する下限値ILL2 を演算する。操舵角感応リミッタ103は、操舵角θsに応じてアシスト制御量Ias に対する下限値ILL3 を演算する。操舵角速度感応リミッタ104は、操舵速度ωsに応じてアシスト制御量Ias に対する下限値ILL4 を演算する。操舵角加速度感応リミッタ105は、操舵角加速度αsに応じてアシスト制御量Ias に対する下限値ILL5 を演算する。ヒステリシス制御量リミッタ106は、操舵方向に応じてヒステリシス制御量Ihy に対する下限値ILL6 を演算する。
加算器107は6つの下限値ILL1 〜ILL6 を足し算することによりアシスト制御量Ias に対する下限値ILL (負側の最大値)を生成する。
<上下限リミットマップ>
上限値演算部90および下限値演算部100は、それぞれ第1〜第5のリミットマップM1〜M5を使用して各上限値IUL1 〜IUL5 および各下限値ILL1 〜ILL5 を演算する。第1〜第5のリミットマップM1〜M5はマイクロコンピュータ42の図示しない記憶装置に格納されている。第1〜第5のリミットマップM1〜M5は、それぞれ運転者のステアリング操作に応じて演算されるアシスト制御量Ias は許容し、それ以外の何らかの原因による異常なアシスト制御量Ias は許容しないという観点に基づき設定される。
図6に示すように、第1のリミットマップM1は、横軸を操舵トルクτ、縦軸をアシスト制御量Ias とするマップであって、操舵トルクτとアシスト制御量Ias に対する上限値IUL1 との関係、および操舵トルクτとアシスト制御量Ias に対する下限値ILL1 との関係をそれぞれ規定する。操舵トルク感応リミッタ91,101はそれぞれ第1のリミットマップM1を使用して操舵トルクτに応じた上限値IUL1 および下限値ILL1 を演算する。
第1のリミットマップM1は、操舵トルクτと同じ方向(正負の符号)のアシスト制御量Ias は許容し、操舵トルクτと異なる方向のアシスト制御量Ias は許容しない観点に基づき設定されることにより、つぎのような特性を有する。すなわち、操舵トルクτが正の値である場合、アシスト制御量Ias の上限値IUL1 は操舵トルクτの増大に伴い正の方向へ増加し、所定値を境として正の一定値に維持される。また、操舵トルクτが正の値である場合、アシスト制御量Ias の下限値ILL1 は「0」に維持される。一方、操舵トルクτが負の値である場合、アシスト制御量Ias の上限値IUL1 は「0」に維持される。また、操舵トルクτが負の値である場合、アシスト制御量Ias の下限値ILL1 は操舵トルクτの絶対値が増大するほど負の方向へ増加し、所定値を境として負の一定値に維持される。
図7に示すように、第2のリミットマップM2は、横軸を操舵トルク微分値dτ、縦軸をアシスト制御量Ias とするマップであって、操舵トルク微分値dτとアシスト制御量Ias に対する上限値IUL2 との関係、および操舵トルク微分値dτとアシスト制御量Ias に対する下限値ILL2 との関係をそれぞれ規定する。操舵トルク微分値感応リミッタ92,102はそれぞれ第2のリミットマップM2を使用して操舵トルク微分値dτに応じた上限値IUL2 および下限値ILL2 を演算する。
第2のリミットマップM2は、操舵トルク微分値dτと同じ方向(正負の符号)のアシスト制御量Ias は許容し、操舵トルク微分値dτと異なる方向のアシスト制御量Ias は許容しない観点に基づき設定されることにより、つぎのような特性を有する。すなわち、操舵トルク微分値dτが正の値である場合、アシスト制御量Ias の上限値IUL2 は操舵トルク微分値dτの増大に伴い正の方向へ増加し、所定値を境として正の一定値に維持される。また、操舵トルク微分値dτが正の値である場合、アシスト制御量Ias の下限値ILL2 は「0」に維持される。一方、操舵トルク微分値dτが負の値である場合、アシスト制御量Ias の上限値IUL2 は「0」に維持される。また、操舵トルク微分値dτが負の値である場合、アシスト制御量Ias の下限値ILL2 は操舵トルク微分値dτの絶対値が増大するほど負の方向へ増加し、所定値を境として負の一定値に維持される。
図8に示すように、第3のリミットマップM3は、横軸を操舵角θs、縦軸をアシスト制御量Ias とするマップであって、操舵角θsとアシスト制御量Ias に対する上限値IUL3 との関係、および操舵角θsとアシスト制御量Ias に対する下限値ILL3 との関係をそれぞれ規定する。操舵角感応リミッタ93,103はそれぞれ第3のリミットマップM3を使用して操舵角θsに応じた上限値IUL3 および下限値ILL3 を演算する。
第3のリミットマップM3は、操舵角θsと反対方向(正負の符号)のアシスト制御量Ias は許容し、操舵角θsと同じ方向のアシスト制御量Ias は許容しない観点に基づき設定されることにより、つぎのような特性を有する。すなわち、操舵角θsが正の値である場合、アシスト制御量Ias の上限値IUL3 は「0」に維持される。また、操舵角θsが正の値である場合、アシスト制御量Ias の下限値ILL3 は操舵角θsの増大に伴い負の方向へ増加する。一方、操舵角θsが負の値である場合、アシスト制御量Ias の上限値IUL3 は操舵角θsの絶対値が増大するほど正の方向へ増加する。また、操舵角θsが負の値である場合、アシスト制御量Ias の下限値ILL3 は「0」に維持される。
図9に示すように、第4のリミットマップM4は、横軸を操舵速度ωs、縦軸をアシスト制御量Ias とするマップであって、操舵速度ωsとアシスト制御量Ias に対する上限値IUL4 との関係、および操舵速度ωsとアシスト制御量Ias に対する下限値ILL4 との関係をそれぞれ規定する。操舵角速度感応リミッタ94,104はそれぞれ第4のリミットマップM4を使用して操舵速度ωsに応じた上限値IUL4 および下限値ILL4 を演算する。
第4のリミットマップM4は、操舵速度ωsと反対方向(正負の符号)のアシスト制御量Ias は許容し、操舵速度ωsと同じ方向のアシスト制御量Ias は許容しない観点に基づき設定されることにより、つぎのような特性を有する。すなわち、操舵速度ωsが正の値である場合、アシスト制御量Ias の上限値IUL4 は「0」に維持される。また、操舵速度ωsが正の値である場合、アシスト制御量Ias の下限値ILL4 は操舵速度ωsの増大に伴い負の方向へ増加し、所定値を境として負の一定値に維持される。一方、操舵速度ωsが負の値である場合、アシスト制御量Ias の上限値IUL4 は操舵速度ωsの絶対値が増大するほど正の方向へ増加し、所定値を境として正の一定値に維持される。また、操舵速度ωsが負の値である場合、アシスト制御量Ias の下限値ILL4 は「0」に維持される。
図10に示すように、第5のリミットマップM5は、横軸を操舵角加速度αs、縦軸をアシスト制御量Ias とするマップであって、操舵角加速度αsとアシスト制御量Ias に対する上限値IUL5 との関係、および操舵角加速度αsとアシスト制御量Ias に対する下限値ILL5 との関係をそれぞれ規定する。操舵角加速度感応リミッタ95,105はそれぞれ第5のリミットマップM5を使用して操舵角加速度αsに応じた上限値IUL5 および下限値ILL5 を演算する。
第5のリミットマップM5は、操舵角加速度αsと反対方向(正負の符号)のアシスト制御量Ias は許容し、操舵角加速度αsと同じ方向のアシスト制御量Ias は許容しない観点に基づき設定されることにより、つぎのような特性を有する。すなわち、操舵角加速度αsが正の値である場合、アシスト制御量Ias の上限値IUL5 は「0」に維持される。また、操舵角加速度αsが正の値である場合、アシスト制御量Ias の下限値ILL5 は操舵角加速度αsの増大に伴い負の方向へ増加し、所定値を境として負の一定値に維持される。一方、操舵角加速度αsが負の値である場合、アシスト制御量Ias の上限値IUL5 は操舵角加速度αsの絶対値が増大するほど正の方向へ増加し、所定値を境として正の一定値に維持される。また、操舵角加速度αsが負の値である場合、アシスト制御量Ias の下限値ILL5 は「0」に維持される。
<ヒステリシス制御量リミッタ>
つぎに、ヒステリシス制御量リミッタ96について詳細に説明する。
図11に示すように、ヒステリシス制御量リミッタ96は、操舵方向判定部201、制限値演算部202、車速ゲイン演算部203、および乗算器204を有している。
操舵方向判定部201は、操舵角θsを取り込み、当該取り込まれる操舵角θsの経時的な変化に基づきステアリングホイール21の操舵方向を判定する。操舵方向判定部201は操舵方向の判定結果に応じてフラグFの値を設定する。操舵方向判定部201は、たとえば操舵方向が右である旨判定されるときにはフラグFの値を「1」に設定し、操舵方向が左である旨判定されるときにはフラグFの値を「−1」に設定する。
制限値演算部202は、操舵方向を示すフラグFの値に基づき、ヒステリシス制御量Ihy に対する上限値IUL6 を演算する。制限値演算部202は、たとえばECU40に設けられるメモリ205からヒステリシス制御量Ihy に対する上限値IUL6 を設定するための各種の情報を読み込み、当該読み込まれる情報に基づきヒステリシス制御量Ihy に対する上限値IUL6 を設定する。
ここで、メモリ205には、ヒステリシス制御量Ihy に対する上限値IUL6 を演算するために必要とされる各種の情報として、切り込み勾配K+α、切り戻し勾配K−α、制限値(IUL6 ,ILL6 )の最大値IL6−max (絶対値)、および制限値の最小値IL6−min (絶対値)が記憶されている。切り込み勾配K+αは、切り込み操舵時における制限値の単位時間当たりの変化量である。切り戻し勾配K−αは、切り戻し操舵時における制限値の単位時間当たりの変化量である。制限値演算部202は、切り込み勾配K+α、切り戻し勾配K−α、制限値の最大値IL6−max 、および制限値の最小値IL6−min を使用して、操舵角θsに応じて変化するヒステリシス制御量Ihy に対する上限値IUL6 を演算する。
車速ゲイン演算部203は、車速Vを取り込み、当該取り込まれる車速Vに応じた車速ゲインGを生成する。車速ゲイン演算部203は、横軸を車速V、縦軸を車速ゲインGとするゲインマップM6を利用して車速ゲインGを算出する。車速Vに対する車速ゲインGの値は、たとえば車両モデルによるシミュレーションを通じて設定される。
ゲインマップM6は、つぎのような特性を有する。すなわち、車速Vが「0(零)」から第1の設定値V1に達するまでの間、車速Vにかかわらず、車速ゲインGは第1の車速ゲインGV1に維持される。車速Vが第1の設定値V1を超えた以降、車速Vが増大するにつれて車速ゲインGも増加する。車速Vが第2の設定値V2に達した以降、車速Vに関わらず、車速ゲインGは第2の車速ゲインGV2に維持される。ただし、第2の設定値V2は第1の設定値V1よりも大きな値である。また、第2の車速ゲインGV2は第1の車速ゲインGV1よりも大きな値である。
乗算器204は、制限値演算部202により生成される上限値IUL6 に、車速ゲイン演算部203により生成される車速ゲインGを乗算することにより、最終的な上限値IUL6 を生成する。
なお、ヒステリシス制御量リミッタ106は、基本的にはヒステリシス制御量リミッタ96と同様の構成を有している。ヒステリシス制御量リミッタ106は、メモリ205に格納された切り込み勾配K+α、切り戻し勾配K−α、制限値の最大値IL6−max 、および制限値の最小値IL6−min を使用して、操舵角θsに応じて変化するヒステリシス制御量Ihy に対する下限値ILL6 を演算する。そして、当該下限値ILL6 に車速ゲインGを乗算することにより、最終的な下限値ILL6 を生成する。
<メモリに格納される情報の設定方法>
ここで、メモリ205に格納される各種の情報の設定方法について説明する。
まず、切り込み勾配K+αおよび切り戻し勾配K−αは、それぞれつぎのようにして設定される。
図12のグラフに実線の特性線L11で示されるように、たとえばステアリングホイール21が中立位置から左方向(負方向)へ切り込み操舵されるとき、操舵角θsが負の方向へ向けて増加するにつれてヒステリシス制御量Ihy は正の方向へ向けて円弧曲線状に増大する。このヒステリシス制御量Ihy は先の図4に示されるグラフに示されるヒステリシス特性に従って生成される。このヒステリシス制御量Ihy の変化を示す特性線L11に対して原点を通り、かつ横軸に対する勾配Kを有する接線TLを引き、この接線TLに対して、角度+αをなす直線TL+αを引く。この直線TL+αの横軸に対する傾きが切り込み勾配K+αとして設定される。また、接線TLに対して角度−αをなす直線TL−αを引く。この直線TL−αの横軸に対する傾きが切り戻し勾配K−αとして設定される。
ここで、角度+α,−αは、切り込み操舵および切り戻し操舵に応じて立ち上がったり立ち下がったりするヒステリシス制御量Ihy に対して、制限値(IUL6 ,ILL6 )を干渉させない観点に基づき設定される。勾配Kを有する接線TLを基準として、切り込み勾配K+αを有する直線TL+αおよび切り戻し勾配K−αを有する直線TL−αをそれぞれ設定し、これら直線TL+α,TL−αに沿って制限値を変化させることにより、当該制限値がヒステリシス制御量Ihy に干渉することが回避される。
ちなみに実際には、切り込み勾配K+αおよび切り戻し勾配K−αは、操舵方向に応じて、適宜符号が正負反転されて使用される。
すなわち、ステアリングホイール21が左方向へ切り込み操舵されることにより、ヒステリシス制御量Ihy が正方向へ向けて変化するときには、正の切り込み勾配K+αが使用される。これに対し、ステアリングホイール21が右方向へ切り込み操舵されることにより、ヒステリシス制御量Ihy が負方向へ向けて変化するときには、負の切り込み勾配−K+αが使用される。
また、ステアリングホイール21が左から右へ切り戻し操舵されることにより、ヒステリシス制御量Ihy が負方向へ向けて変化するときには、負の切り戻し勾配−K−αが使用される。これに対し、ステアリングホイール21が右から左方向へ向けて切り戻し操舵されることにより、ヒステリシス制御量Ihy が正方向へ向けて変化するときには、正の切り戻し勾配K−αが使用される。
メモリ205には、実際には正負の切り込み勾配K+αの絶対値、および切り戻し勾配K−αの絶対値がそれぞれ記憶される。制限値演算部202は、操舵方向(正確には、フラグFの値)に基づき、切り込み勾配K+αおよび切り戻し勾配K−αの符号(+,−)を決定する。
つぎに、制限値(IUL6 ,ILL6 )の最大値IL6−max (絶対値)は、つぎのようにして設定される。
すなわち、ヒステリシス制御量Ihy は、先の図4のグラフに示されるヒステリシス特性に従って生成される。このため、当該ヒステリシス特性が分かれば、操舵角θsに対するヒステリシス制御量Ihy の正方向における最大値および負方向における最大値を、それぞれ求めることが可能である。そして、これら求められたヒステリシス制御量Ihy の正方向における最大値および負方向における最大値に対して、それぞれ正負の適切な制限幅を持たせることにより、制限値の正方向における最大値+IL6−max 、および制限値の負方向における最大値−IL6−max をそれぞれ設定することが可能である。本例では、制限値の正方向における最大値+IL6−max の絶対値と、制限値の負方向における最大値−IL6−max の絶対値とが等しい値であるとして、メモリ205には正負の最大値IL6−max の絶対値が記憶される。
なお、正負の制限値(絶対値)の最小値IL6−min は、当然ながら「0」である。
切り込み勾配K+αおよび切り戻し勾配K−αが分かれば、それら切り込み勾配K+αを有する直線TL+α、および切り戻し勾配K−αを有する直線TL−αをそれぞれ求めることが可能である。また、正負の方向における制限値の最大値IL6−max の絶対値に基づき、正方向における制限値の最大値+IL6−max 、および負方向における制限値の最大値−IL6−max をそれぞれ求めることが可能である。
したがって、つぎの(A1)〜(A4)の4つの直線に基づき、ヒステリシス制御量Ihy に対する正側における制限値の最大値である上限値IUL6 を設定することが可能である。
(A1)制限値の最小値IL6−min で一定の直線
(A2)制限値の正側の最大値+IL6−max で一定の直線
(A3)切り込み勾配K+αを有する直線TL+α
(A4)切り戻し勾配K−αを有する直線TL−α
また、つぎの(B1)〜(B4)の4つの直線に基づき、ヒステリシス制御量Ihy に対する負側における制限値の最大値である下限値ILL6 を設定することが可能である。
(B1)制限値の最小値IL6−min で一定の直線
(B2)制限値の負側の最大値−IL6−max で一定の直線
(B3)切り込み勾配−K+αを有する直線TL+α
(B4)切り戻し勾配−K−αを有する直線TL−α
<ヒステリシス制御量に対する制限値の設定態様>
つぎに、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値の設定態様の一例を説明する。
操舵角θsの変化に応じて生成されるヒステリシス制御量Ihy に対して、制限値(上限値IUL6 および下限値ILL6 )は、つぎのように設定される。なお、ヒステリシス制御量Ihy は、先の図4のグラフに示されるヒステリシス特性に従って変化する。
図13のグラフに示されるように、ステアリングホイール21がその中立位置から左方向へ切り込み操舵されることにより操舵角θsが「0°」を基準として負方向へ向けて変化するとき、ヒステリシス制御量Ihy は「0」を基準として操舵角θsと反対方向である正方向へ向けて円弧曲線的に増大する。
このとき、上限値IUL6 は、切り込み勾配K+αを有する直線TL+αに沿って変化し、やがて正側の最大値+IL6−max に達する(時刻T1)。上限値IUL6 は、正側の最大値+IL6−max に達した以降、当該最大値+IL6−max に維持される。なお、下限値ILL6 は最小値IL6−min である「0」に維持される。
その後、ステアリングホイール21が左方向から右方向へ切り戻し操舵されることにより、操舵角θsが0°へ向けて変化するとき(時刻T2)、ヒステリシス制御量Ihy は、操舵角θsが「0°」に近づくにつれて、勾配Kの符号が正負反転した勾配−Kを有する接線TLに沿って直線的に減少し、やがて「0」に達する(時刻T3−4)。ヒステリシス制御量Ihy は、「0」に達した以降、今度は負方向へ向けて円弧曲線的に増大する。
このとき、下限値ILL6 は最小値IL6−min である「0」を基準として、切り込み勾配K+αの符号が正負逆転した切り込み勾配−K+αを有する直線TL+αに沿って負側へ向けて増加し、やがて負側の最大値−IL6−max に達する(時刻T3)。下限値ILL6 は、負側の最大値−IL6−max に達した以降、当該最大値−IL6−max に維持される。これに対し、上限値IUL6 は、切り戻し勾配K−αの符号が正負逆転した切り戻し勾配−K−αを有する直線TL−αに沿って「0」へ向けて減少し、やがて最小値IL6−min である「0」に達する(時刻T4)。上限値IUL6 は、最小値IL6−min に達した以降、当該最小値IL6−min に維持される。
そしてつぎに、ステアリングホイール21が中立位置を経て右方向へ切り込み操舵されることにより、操舵角θsが「0°」を基準として正方向へ向けて変化するとき、ヒステリシス制御量Ihy は操舵角θsと反対方向である負側の最大値に維持される。
その後、ステアリングホイール21が右方向から左方向へ切り戻し操舵されることにより、操舵角θsが0°へ向けて変化するとき(時刻T5)、ヒステリシス制御量Ihy はその負側の最大値から「0」へ向けて、勾配Kを有する先の接線TLに沿って直線的に変化し、やがて「0」に達する(時刻T6)。ヒステリシス制御量Ihy は、「0」に達した以降、今後は正側へ向けて円弧曲線的に増加する。
このとき、上限値IUL6 は、切り込み勾配K+αを有する直線TL+αに沿って変化し、やがて正側の最大値+IL6−max に達する(時刻T5−6)。下限値ILL6 はその負側の最大値−IL6−max を基準として、切り戻し勾配K−αを有する直線TL−αに沿って最小値IL6−min である「0」へ向けて変化する。やがて下限値ILL6 は、最小値IL6−min である「0」に到り(時刻T7)、その後は最小値IL6−min である「0」に維持される。
このように、操舵方向の切り替わり、換言すれば操舵角θsの正負の切り替わりに応じて、ヒステリシス制御量Ihy の正負が切り替わる。すなわち、操舵角θsが負方向へ変化するとき、ヒステリシス制御量Ihy は正方向へ向けて変化する。操舵角θsが正方向へ向けて変化するとき、ヒステリシス制御量Ihy は負方向へ向けて変化する。また同様に、操舵方向の切り替わりに応じて、上限値IUL6 は正側の最大値+IL6−max と最小値IL6−min との間で切り替えられる。また、操舵方向の切り替わりに応じて、下限値ILL6 は負側の最大値−IL6−max と最小値IL6−min との間で切り替えられる。操舵方向の切り替わりに応じて正負が切り替わるヒステリシス制御量Ihy に対して、上限値IUL6 および下限値ILL6 がそれぞれ干渉することもなく好適に設定される。
<電動パワーステアリング装置の作用>
つぎに、電動パワーステアリング装置の基本的な作用を説明する。
アシスト制御量Ias に対する制限値(上限値および下限値)がアシスト制御量Ias を演算する際に使用する各信号、ここでは操舵状態を示す状態量である操舵トルクτ、操舵トルク微分値dτ、操舵角θs、操舵速度ωsおよび操舵角加速度αsに対して個別に設定される。マイクロコンピュータ42は、アシスト制御量Ias に基づき最終的な電流指令値Iを演算するに際して、各信号の値に応じてアシスト制御量Ias の変化範囲を制限するための制限値を信号毎に設定し、これら制限値を合算した値をアシスト制御量Ias に対する最終的な制限値として設定する。ちなみに、信号毎の制限値、ひいては最終的な制限値は運転者のステアリング操作に応じて演算される通常のアシスト制御量Ias は許容し、何らかの原因に起因する異常なアシスト制御量Ias は制限する観点で設定される。マイクロコンピュータ42は、たとえば運転者の操舵入力に対するトルク微分制御およびステアリング戻し制御などの各種補償制御による補償量は許容する一方、各補償量の値を超える異常出力あるいは誤出力などは制限する。
マイクロコンピュータ42は、アシスト制御量Ias が最終的な上限値IUL および下限値ILL により定められる制限範囲を超えるとき、上限値IUL を超えるアシスト制御量Ias あるいは下限値ILL を下回るアシスト制御量Ias が最終的な電流指令値Iとしてモータ制御信号生成部62に供給されないように制限する。最終的な上限値IUL および下限値ILL には信号毎に設定された個別の制限値(上限値および下限値)が反映されている。すなわち、異常な値を示すアシスト制御量Ias が演算される場合であれ、当該異常なアシスト制御量Ias の値は最終的な制限値によって各信号値に応じた適切な値に制限される。そして、当該適切なアシスト制御量Ias が最終的な電流指令値Iとしてモータ制御信号生成部62に供給されることにより適切なアシスト力が操舵系に付与される。異常なアシスト制御量Ias が最終的な電流指令値Iとしてモータ制御信号生成部62に供給されることが抑制されるため、操舵系に対して意図しないアシスト力が付与されることが抑制される。たとえばいわゆるセルフステアなどの発生も抑制される。
また、アシスト制御量Ias を演算する際に使用する各信号に基づきアシスト制御量Ias に対する適切な制限値が個別に設定される。このため、たとえば基本アシスト制御量I を演算する際に使用される信号である操舵トルクτのみに基づいてアシスト制御量Ias の制限値を設定する場合に比べて、アシスト制御量Ias に対してより緻密な制限処理が行われる。アシスト制御量Ias の制限値の設定において、各種の補償量I ,I ,I に対する影響を考慮する必要もない。
ここで、アシスト制御量Ias の異常が続く限り継続してアシスト制御量Ias を制限することも可能ではあるものの、より安全性を高める観点から、つぎのようにしてもよい。
図14のグラフに示すように、アシスト制御量Ias の値がたとえば下限値ILL を下回るとき(時刻TL0)、アシスト制御量Ias の値は下限値ILL で制限される。マイクロコンピュータ42は当該制限される状態が一定期間ΔTだけ継続したとき(時刻TL1)、下限値ILL を「0」に向けて漸減させる(以下、「漸減処理」という。)。そして下限値ILL が「0」に至るタイミング(時刻TL2)でアシスト制御量Ias の値は「0」になる。その結果、操舵系に対するアシスト力の付与が停止される。当該漸減処理は、異常な状態が一定期間ΔTだけ継続したときにはアシスト力の付与を停止することが好ましいという観点に基づき行われる。アシスト制御量Ias の値は徐々に小さくなるのでアシストを停止させる際、操舵感に急激な変化が発生することはない。
なお、アシスト制御量Ias の値が上限値IUL を超える場合についても同様である。すなわち、マイクロコンピュータ42はアシスト制御量Ias の制限状態が一定期間ΔTだけ継続したとき、上限値IUL を「0」に向けて漸減させる。
当該漸減処理は上限値IUL および下限値ILL の演算処理とは無関係に強制的に行われるものである。マイクロコンピュータ42は、当該漸減処理の実行中において、アシスト制御量Ias の値が上限値IUL と下限値ILL との間の正常範囲内の値に復帰したとき、漸減処理の実行を停止するようにしてもよい。これにより、強制的に「0」に向けて漸減させた上限値IUL または下限値ILL は本来の値に復帰する。
<ヒステリシス制御量を加味した制限処理>
つぎに、ヒステリシス制御量を加味した制限処理について説明する。
アシスト制御部71によりヒステリシス制御量Ihy が加味されたアシスト制御量Ias が生成されるとき、当該アシスト制御量Ias に対する制限値(上限値IUL および下限値ILL )の取り扱いが懸念される。すなわち、アシスト制御量Ias に加味されているヒステリシス制御量Ihy を制限値にも反映させるべきかどうかである。結論としては、最終的なアシスト制御量Ias がヒステリシス制御量Ihy を加味して生成される以上、当該アシスト制御量Ias に対する制限値についてもヒステリシス制御量Ihy を反映させて生成することが好ましい。
ここで、上下限リミット演算部72において、ヒステリシス制御量Ihy が加味されることなくアシスト制御量Ias に対する制限値(IUL ,ILL )が演算される構成を採用する場合、つぎのようなことが懸念される。すなわち、上下限リミット演算部72においてヒステリシス制御量Ihy が加味されない場合、上下限リミット演算部72により演算される制限値(IUL ,ILL )は、ヒステリシス制御量Ihy が加味されていないアシスト制御量Ias に対する制限値である。このため、アシスト制御量Ias またはヒステリシス制御量Ihy の値の大きさによっては、ヒステリシス制御量Ihy が加味されたアシスト制御量Ias と、ヒステリシス制御量Ihy が加味されていない制限値(IUL ,ILL )とが互いに干渉するおそれがある。アシスト制御部71により正常なアシスト制御量Ias が生成されているにも関わらず、異常なアシスト制御量Ias が生成されている旨誤って検出されるおそれもある。
そこで本例の上下限リミット演算部72は、アシスト制御部71と同様に、操舵角θsおよび車速Vを取り込み、これら操舵角θsおよび車速Vに基づきヒステリシス制御量Ihy を演算する。そのうえで、上下限リミット演算部72は、算出されるヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(IUL6 ,ILL6 )を演算し、当該制限値を加味してアシスト制御量Ias に対する最終的な制限値(IUL,ILL )を演算する。当該最終的な制限値(IUL,ILL )にはヒステリシス制御量Ihy が反映されている。このため、当該最終的な制限値(IUL,ILL )によれば、ヒステリシス制御量Ihy が反映されたアシスト制御量Ias を、より適切に制限することが可能となる。
<実施の形態の効果>
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)アシスト制御量Ias の制限値はアシスト制御量Ias の演算に使用される各信号(各状態量)に対して個別に設定されるとともに、これら制限値を合算した値がアシスト制御量Ias に対する最終的な制限値として設定される。このため、何らかの原因によって異常値を示すアシスト制御量Ias が演算された場合であれ、当該異常なアシスト制御量Ias は最終的な制限値によって直接的に各信号値に応じた適切な値に制限される。適切な値に制限されたアシスト制御量Ias が最終的な電流指令値Iとしてモータ制御信号生成部62に供給されることにより意図せぬアシスト力が操舵系に付与されるのを的確に抑制することができる。
(2)アシスト制御部71においてヒステリシス制御量Ihy を加味したアシスト制御量Ias が演算される場合、上下限リミット演算部72ではヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(IUL6 ,ILL6 )が演算される。そして上下限リミット演算部72では、当該制限値(IUL6 ,ILL6 )を加味して、アシスト制御量Ias に対する最終的な制限値(IUL ,ILL )が演算される。このため、ヒステリシス制御量Ihy が加味されたアシスト制御量Ias と、アシスト制御量Ias に対する最終的な制限値(IUL ,ILL )とが互いに干渉することが抑制される。また、ヒステリシス制御量Ihy が加味されたアシスト制御量Ias に対して、より適切な制限処理を実行することが可能となる。
(3)上下限リミット演算部72では、ヒステリシス制御量Ihy に対する専用の制限値(IUL6 ,ILL6 )が演算される。このため、製品仕様または目標特性に応じた、きめ細かい制限値(IUL6 ,ILL6 )を設定することが可能である。ヒステリシス制御量Ihy に対する異常検出精度にも優れる。
(4)アシスト制御部71により演算されるヒステリシス制御量Ihy が車速Vに応じて変化するのであれば、当該ヒステリシス制御量Ihy が反映されたアシスト制御量Ias に対する制限値(IUL ,ILL )も当然、車速Vに応じて変えるべきである。このようにすれば、よりきめ細かい、かつ、より精度の高い制限処理を行うことが可能である。
(5)ヒステリシス制御量Ihy はせいぜい数N(ニュートン)に対応する程度であって、特別大きな値にはならない。このため、ヒステリシス制御量Ihy と制限値(IUL6 ,ILL6 )との間に多少の制限幅が存在したところで、何らの問題はない。このため、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(IUL6 ,ILL6 )は、図13のグラフに示されるように、滑らかなカーブを描くように変化するヒステリシス制御量Ihy に合わせて厳密に設定しなくてもよい。すなわち、ヒステリシス制御量Ihy の変化傾向に応じて、ある程度おおざっぱに制限値(IUL6 ,ILL6 )を設定すればよい。したがって、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(IUL6 ,ILL6 )の演算が簡単である。
(6)ECU40のメモリ205には、ヒステリシス特性に基づき設定される情報として、切り込み勾配K+αと、切り戻し勾配K−αと、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値の最大値IL6−max (絶対値)と、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値の最小値IL6−min (絶対値)とが記憶されている。ECU40は、操舵角θsの変化に応じて、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(IUL6 ,ILL6 )をメモリ205に記憶された4つの情報を使用して設定する。メモリ205に記憶される情報を使用することにより、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値を簡単に設定することができる。
<第2の実施の形態>
つぎに、電動パワーステアリング装置の第2の実施の形態を説明する。本例は、基本的には先の図1〜図14に示される第1の実施の形態と同様の構成を備えている。
アシスト制御量Ias は、操舵トルクτに基づく基本アシスト制御量I と、操舵速度ωsなどの操舵トルクτ以外の電気信号に基づく各種の補償量I 〜I とが合計されることにより生成される。ここで、ヒステリシス制御量Ihy は、操舵角θsの符号(操舵方向)に対して、逆符号となるように生成される。このため、操舵状況によっては、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(IUL6 ,ILL6 )に起因して、アシスト制御量Ias に対する最終的な制限値(IUL ,ILL )によって決まる、いわゆる逆アシストを許容する範囲が拡がるおそれがある。したがって、逆アシスト方向の異常なアシスト制御量Ias が演算されるとき、たとえばモータトルクに大きな変動が発生することが懸念される。そこで本例では、つぎの構成を採用している。
図15に示すように、ヒステリシス制御量リミッタ96は、トルクゲイン演算部206および乗算器207を有している。
トルクゲイン演算部206は、操舵トルクτを取り込み、当該取り込まれる操舵トルクτに応じたトルクゲインGτを生成する。トルクゲイン演算部206は、横軸を操舵トルクτ、縦軸をトルクゲインGτとするトルクゲインマップM7を利用してトルクゲインGτを算出する。操舵トルクτに対するトルクゲインGτの値は、たとえば車両モデルによるシミュレーションを通じて設定される。
トルクゲインマップM7は、つぎのような特性を有する。すなわち、操舵トルクτが「0(零)」から第1の設定値τ1に達するまでの間、トルクゲインGτは、操舵トルクτにかかわらず「1」に維持される。操舵トルクτが第1の設定値τ1を超えた以降、操舵トルクτが増大するにつれてトルクゲインGτは減少する。そして、操舵トルクτが第2の設定値τ2(>τ1)に達した以降、操舵トルクτにかかわらず、トルクゲインGτは「0」に維持される。
ちなみに、トルクゲインマップM7の特性は、つぎの観点に基づき設定される。すなわち、操舵トルクτの値が大きくなるほど、当該操舵トルクτの作用する方向へ向けたアシスト力が必要である。このため、操舵トルクτがある程度の大きな値であるとき、たとえば次式(A)に示されるように、基本アシスト制御量I の絶対値は、各補償量I 〜I の合計値(絶対値)よりも必ず大きな値となる。
│I │>│I +I +I +I │ …(A)
基本アシスト制御量I の符号は操舵トルクτの符号と同じであるから、操舵トルクτの符号と逆の符号を有するアシスト制御量Ias (電流)はそもそも生成されない。すなわち、操舵トルクτの符号と逆の符号を有する、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(IUL6 ,ILL6 )には、さほど意味はない。また、操舵トルクτの符号と逆の符号を有する異常なアシスト制御量Ias を制限する観点からすると、操舵トルクτの符号と逆の符号を有する、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(上限値IUL6 または下限値ILL6 )の絶対値は、操舵トルクτの増大に伴い、より小さな値に設定することが好ましい。したがって、本例では、操舵トルクτがある程度の大きさ(第1の設定値τ1)に達した以降、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(IUL6 ,ILL6 )に乗算されるトルクゲインGτの値を、操舵トルクτの増大に伴い減少させる。
乗算器207は、車速ゲインGが乗算された上限値IUL6 にトルクゲインGτを乗算することにより、最終的な上限値IUL6を生成する。
なお、ヒステリシス制御量リミッタ106は、基本的にはヒステリシス制御量リミッタ96と同様の構成を有している。ヒステリシス制御量リミッタ106は、ヒステリシス制御量Ihy に対する下限値ILL6 を操舵方向に応じて演算し、当該下限値ILL6 に、車速Vに応じた車速ゲインGおよび操舵トルクτに応じたトルクゲインGτをそれぞれ乗算することにより、最終的な下限値ILL6 を生成する。
さて、本例においても、ヒステリシス制御量Ihy を加味してアシスト制御量Ias に対する最終的な制限値(IUL6 ,ILL6 )が演算される。このヒステリシス制御量Ihy は、ステアリングホイール21が操作されるとき、必ず生成される。すなわち、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(IUL6 ,ILL6 )も、常にステアリングホイール21の動きに応じて、正負の符号をもって生成される。ここで、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(IUL6 ,ILL6 )は、常に操舵角θsの符号と逆の符号側へ向けて拡がる。
このため、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(IUL6 ,ILL6 )は、常に、操舵角θsの符号と逆符号を有するアシスト制御量Ias を許容する成分、すなわち操舵方向と反対方向へ向けた操舵アシスト(いわゆる逆アシスト)を許容する成分として作用する。
たとえば、アシスト制御量Ias の符号が負であるとき、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(IUL6 )は、アシスト制御量Ias に対する正側の制限値(IUL )を、当該アシスト制御量Ias の符号と反対の正側へ向けて拡げるように作用する。アシスト制御量Ias に対する正側の制限値(IUL )が拡がる分、正方向における逆アシストの許容領域が拡大される。同様に、アシスト制御量Ias の符号が正であるとき、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(ILL6 )は、アシスト制御量Ias に対する負側の制限値(ILL )を当該アシスト制御量Ias の符号と逆である負側へ向けて拡げるように作用する。アシスト制御量Ias に対する負側の制限値(ILL )が拡がる分、負方向における逆アシストの許容領域が拡大される。
したがって、操舵角θsの符号と逆の符号を有する異常なアシスト制御量Ias が演算されるとき、必ずヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(IUL6 ,ILL6 )の分だけ、操舵トルクτと反対方向のアシスト力を発生させるための電流がモータ31に対して余分に供給される。このため、操舵状態によっては、いわゆる逆アシストが発生することが懸念される。
この点、本例では、操舵トルクτに応じたトルクゲインGτをヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(IUL6 ,ILL6 )に乗算する。そして、操舵トルクτの値が第1の設定値τ1に達した以降、トルクゲインGτが漸減されることにより、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(IUL6 ,ILL6 )も漸減される。
ヒステリシス制御量Ihy は操舵トルクτに対しても逆符号を有するので、当然、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(IUL6 ,ILL6 )も操舵トルクτに対して逆符号を有する。このため、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(IUL6 ,ILL6 )が抑えられる分だけ、アシスト制御量Ias に対する最終的な制限値(IUL ,ILL )の操舵トルクτと逆符号側への拡がりも抑えられる。したがって、操舵トルクτの符号と逆符号を有する異常なアシスト制御量Ias が生成される場合、当該異常なアシスト制御量Ias は、より小さな値に抑えられた最終的な上限値IUL または下限値ILL に制限される。これにより、いわゆる逆アシストが抑制される。また、操舵トルクτの符号と逆符号へ向けたアシスト制御量Ias の変動幅も抑えられるため、その分、モータ31のトルク変動が抑えられる。
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(7)操舵トルクτが一定値に達した以降、操舵トルクτが増大するほど、ヒステリシス制御量Ihy に対する制限値(IUL6 、ILL6 )は、より小さな値となる。これにより、アシスト制御量Ias に対する制限幅を操舵方向と逆方向へ向けて拡げようとするヒステリシス制御量Ihy が、操舵トルクτに応じて抑制される。このため、いわゆる逆アシストになるような異常なアシスト制御量Ias が生成された場合のモータトルクなどに対する影響が低減される。
<他の実施の形態>
なお、第1および第2の実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
・アシスト制御部71において、車速Vが考慮されることなくヒステリシス制御量Ihy が生成される場合、上下限リミット演算部72においても車速Vを考慮する必要はない。この場合、ヒステリシス制御量リミッタ96,106において、車速ゲイン演算部203および乗算器204を割愛した構成を採用してもよい。このようにしても、ヒステリシス制御量Ihy が加味されたアシスト制御量Ias に対する制限値(IUL ,ILL )が好適に設定される。
・第1および第2の実施の形態では、ステアリングシャフト22にアシスト力を付与するタイプの電動パワーステアリング装置を一例として挙げたが、たとえばラック軸23にアシスト力を付与するタイプの電動パワーステアリング装置であってもよい。
10…電動パワーステアリング装置、20…操舵機構、31…モータ、40…ECU(制御装置)、96,106…ヒステリシス制御量リミッタ、201…操舵方向判定部、202…制限値演算部、203…車速ゲイン演算部、204…乗算器、205…メモリ(記憶装置)、K+α…切り込み勾配、K−α…切り戻し勾配、IL6−max …最大値、最小値…IL6−min

Claims (4)

  1. ステアリングの操舵状態を示す複数種の状態量に基づきアシスト制御量を演算し当該アシスト制御量に基づき車両の操舵系に付与するアシスト力の発生源であるモータを制御する制御装置を備え、
    前記制御装置は、前記アシスト制御量の演算に使用する各状態量に応じて前記アシスト制御量の変化範囲を制限する制限値を前記状態量ごとに個別に設定し、これら制限値を使用して前記アシスト制御量の値を制限する電動パワーステアリング装置であって、
    前記制御装置は、前記ステアリングの操舵角の変化に対してヒステリシス特性を有するヒステリシス制御量を前記操舵角に基づき演算するとともに当該ヒステリシス制御量を加味して前記アシスト制御量を演算する一方、前記ヒステリシス制御量の変化範囲を制限する制限値を設定したうえで、当該ヒステリシス制御量に対する制限値と前記状態量ごとに個別に設定される複数の制限値とを合算することにより、前記アシスト制御量に対する最終的な制限値を生成する電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御装置は、車速を考慮して前記ヒステリシス制御量を演算する場合、前記ヒステリシス制御量に対する制限値も車速を考慮して設定する電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記ヒステリシス制御量は、前記ヒステリシス特性に従い前記操舵角の符号と逆の符号側へ向けて生成されることを前提とするとき、
    前記制御装置は、操舵トルクが設定値に達した以降、当該操舵トルクが増大するほど、前記ヒステリシス制御量に対する制限値をより小さな値に設定する電動パワーステアリング装置。
  4. 請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御装置は、前記ヒステリシス特性に基づき設定される情報として、
    切り込み操舵時における前記ヒステリシス制御量に対する制限値の単位時間当たりの変化量である切り込み勾配と、
    切り戻し操舵時における前記ヒステリシス制御量に対する制限値の単位時間当たりの変化量である切り戻し勾配と、
    前記ヒステリシス制御量に対する制限値の最大値と、
    前記ヒステリシス制御量に対する制限値の最小値と、を含む4つの情報を記憶していることを前提として、
    前記制御装置は、前記操舵角の変化に応じて前記ヒステリシス制御量に対する制限値を前記4つの情報を使用して設定する電動パワーステアリング装置。
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