JP2016088043A - 画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法及びプログラム - Google Patents

画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法及びプログラム Download PDF

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英貴 門井
落合 孝
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Abstract

【課題】ドット群間の相対的な位置ズレ量が変動しても、高画質で安定した画像を形成する。
【解決手段】異なるドット配置のドット群を同一の領域に対して重ねることで記録媒体上に画像を形成する画像形成手段で用いるハーフトーン画像を生成する画像処理装置であって、前記異なるドット配置の各々に対応する閾値マトリクスを選択する選択手段と、前記選択手段で選択された閾値マトリクスをそれぞれ用いて入力画像を量子化し、前記異なるドット配置のハーフトーン画像を生成する量子化手段と、を備え、前記選択手段は、前記異なるドット配置の一部のドット配置に対応する閾値マトリクスとして、前記異なるドット配置のドット群間の相対的な位置ズレに適したロバスト性を有する閾値マトリクスを選択することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、画像形成に適した閾値マトリクスを設定する技術に関する。
パーソナルコンピュータで処理した画像やデジタルカメラ等で撮影した画像などを出力する装置として、記録媒体上にドットを用いて画像を形成する装置がよく使われている。このような画像形成装置の中で、記録媒体に色材を付着させることで記録媒体上に画像を形成する方式が広く実用化されており、その代表例としてインクジェット記録方式が知られている。インクジェット記録方式を採用した画像形成装置は、記録速度の向上や高画質化等のために、同一色同一濃度のインクを吐出可能なインク吐出口(ノズル)を複数、集積配列したノズル群を備える。さらに画質の向上を実現するために同一色で濃度の異なるインクを吐出可能としたノズル群や、同一色で同一濃度のインクの吐出量を何段階かに変化させて吐出可能としたノズル群が設けられる場合もある。また、ノズル群を複数列分配列した構成とする場合もある。
このようなインクジェット記録方式の代表例として、マルチパス方式とフルライン方式が挙げられる。マルチパス方式は、ノズル群を備えた記録ヘッドを記録媒体に対して相対的に主走査し、主走査の方向と略直交する副走査の方向に対して記録媒体をノズル群の長さ以下の搬送量で搬送する動作を繰り返し行うことで画像を形成する。また、フルライン方式は、記録媒体の幅をカバーする長さの複数のノズル群を備えた記録ヘッドを用いて、記録ヘッドと記録媒体とを相対的に走査することで画像を形成する。いずれの方式においても、記録媒体における同一の記録領域に対して、異なるドット群を複数回の記録で重ねることで最終的な画像を形成する。
このような画像形成において、各ドット群が重ねる画像(すなわちインクのドット配置)の違いによって最終的に形成される画像の質が影響を受けることが知られている。実際の画像形成装置においては、例えば記録媒体の搬送量やノズルの位置変位等の物理的なレジストレーションの変動をゼロにすることは困難であるため、ドット群毎のインクの着弾位置が目標位置に対してずれることは避けられない。そして、ドット群毎のインクの着弾位置ズレは、濃度変動や粒状性変動等の画質劣化の原因となり、ドット群が複数回の記録を重ねたときに意図する画像が形成されないことになる。
これに対し、各ドット群が形成するインクのドット配置を、着弾位置のズレが生じた場合にも粒状性変動や濃度変動の影響を受け難い(すなわち位置ズレに対してロバストな)ドット配置とし、形成される画像の劣化を低減する技術が開示されている。例えば、特許文献1では、各ドット群のインクのドット配置を決定する閾値マトリクスが、それぞれ高分散なドット配置を生成するように、閾値マトリクスを生成する技術が提案されている。
特開2010−274656号公報
しかしながら、ドット群毎のインクの着弾位置ズレの大きさは一定ではない場合が多くある。例えば、記録媒体(ロール紙)を高速に搬送するフルライン方式で、複数の記録ヘッドから吐出するインクによって複数のドット群を重複させて画像を形成する場合は、以下のような要因によってドット群間の相対的なインクの着弾位置が様々に変動してしまう。
・記録媒体の種類や特性(伸縮、厚み、たわみ等)
・装置の搬送系の経時的な変化(ローラー摩耗や偏心、滑り等)
・印刷環境(温度・湿度の変化)
そして、様々な位置ズレの条件下で画質が最良となる単一のドット配置を設計することは困難である。例えば粒状性の観点では、位置ズレがないと仮定して設計したドット配置は、位置ズレがない場合は粒状性が良好となるが位置ズレが発生すると粒状性が大きく劣化する。一方、位置ズレが大きいことを想定してロバスト性を重視したドット配置は、たとえ位置ズレがなくとも元々の粒状性があまり良くないという傾向がある。すなわち、着弾位置ズレなし時の粒状性と、着弾位置ズレによる粒状性劣化に対するロバスト性との間にはトレードオフの関係がある。
上述のような問題を解決し、様々な位置ズレの条件下で高画質に印刷するためには、その時々の位置ズレ量に適したドット配置を生成する閾値マトリクスを使用する必要がある。
この場合において、様々な位置ズレの条件に対応した複数の閾値マトリクスを予め用意するとすれば、これら閾値マトリクスの格納に必要なメモリ容量が増大してしまう。特に、閾値マトリクスの空間周波数分布を人間が知覚しにくいある一定周波数以上に偏らせて高画質化を図ったブルーノイズマスク法では、比較的大きな閾値マトリクスが使用される。例えば縦256画素×横256画素のサイズの閾値マトリクスを使用する場合、2つのノズル群を備えた記録ヘッドにて画像を形成するには2枚1組の閾値マトリクス組(閾値は16bitで量子化)を1組記憶するために約260KBの容量が必要となる。そして、最適な閾値マトリクスを使用するために特性の異なる8組の閾値マトリクス組を用意しメモリに格納するには、その8倍の約2.1MBの容量が必要となる。このように、より最適な閾値マトリクスを使用できるようにするべく予め用意する閾値マトリクス組を増やすとそれを格納するためのメモリ容量が増大し、画像処理装置の生産コストが増大するという課題があった。
本発明に係る画像処理装置は、異なるドット配置のドット群を同一の領域に対して重ねることで記録媒体上に画像を形成する画像形成手段で用いるハーフトーン画像を生成する画像処理装置であって、前記異なるドット配置の各々に対応する閾値マトリクスを選択する選択手段と、前記選択手段で選択された閾値マトリクスをそれぞれ用いて入力画像を量子化し、前記異なるドット配置のハーフトーン画像を生成する量子化手段と、を備え、前記選択手段は、前記異なるドット配置の一部のドット配置に対応する閾値マトリクスとして前記閾値マトリクス設定手段は、前記異なるドット配置のドット群間の相対的な位置ズレに適したロバスト性を有する閾値マトリクスを選択することを特徴とする。
本発明によれば、ドット群間の相対的な位置ズレ量が変動しても、高画質で安定した画像を形成することが可能となる。また、そのための閾値マトリクスを格納するメモリの記憶容量を抑制することができる。
印刷システムの構成例を示すブロック図である。 ハーフトーン処理部の内部構成を示すブロック図である。 一般的なディザ法によるハーフトーン処理を説明する図である。 ハーフトーン処理部における量子化処理の流れを示すフローチャートである。 位置ズレ情報の取得に用いる検査画像とその印刷結果の一例を示す図である。 記録ヘッドの構成例を示す図である。 2種類のドット配置において、両者の間に相対的な位置ズレのないときとあるときとを比較して説明した図である。 相対的な位置ズレに対するロバスト性と、相対的な位置ズレのないときの粒状性とのトレードオフ関係を示したグラフである。 閾値マトリクスの作成方法の流れを示すフローチャートである。 非共通閾値マトリクス候補作成処理の詳細を示すフローチャートである。 (a)は単位ポテンシャルの一例を示す図であり、(b)はポテンシャルマップの一例を示す図である。 総合ポテンシャルマップを作成する過程を図示したものである。 非共通閾値マトリクス選択処理の詳細を示すフローチャートである。 明視距離300mmにおけるDooleyの視覚特性関数を示すグラフである。 位置ズレ量と粒状性評価値との関係を示すグラフである。 変形例に係るハーフトーン処理部の内部構成を示すブロック図である。 各ノズル群のインク吐出可能な位置が固定されている記録方式を説明する図である。 3枚1組の閾値マトリクス(非共通閾値マトリクスが1枚)の作成手順を示す図である 3枚1組の閾値マトリクス(非共通閾値マトリクスが2枚)の作成手順を示す図である。 比較的小さい濃度変化が生じるケースを説明する図である。 非共通閾値マトリクス候補の作成処理の詳細を示すフローチャートである。 非共通閾値マトリクス選択処理の詳細を示すフローチャートである。 テスト印刷用チャートの一例を示す図である。 チャート上に形成されるパッチの拡大図である。 位置ズレに対するパッチの画質変化を説明する図である。 テスト印刷用チャートにおける各パッチの見え方の違いを説明する図である。 マルチパス印字方式で用いる記録ヘッドの構成例を示す図である。
以下、添付の図面を参照して、本発明を好適な実施例に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例において示す構成は一例にすぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
[実施例1]
まず、粒状性の変動を抑制することを主眼とした態様について、実施例として説明する。
図1は、本実施例に係る印刷システムの構成例を示すブロック図である。印刷システム100は、画像処理装置110と画像形成装置120で構成され、相互に接続されている。
画像処理装置110は、プリンタドライバがインストールされた一般的なパーソナルコンピュータ(PC)等の装置であり、以下に説明する機能は、PC内のCPUが所定のプログラムを実行することにより実現される。
画像処理装置110は、入力画像バッファ111、色分解処理部112、ハーフトーン処理部113、ハーフトーン画像バッファ114で構成される。
入力画像バッファ111は、画像処理装置110に入力された印刷対象のカラーの画像データ(以下、カラー画像データ)を格納する。カラー画像データは、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3つの色成分により構成されている。
色分解処理部112は、カラー画像データを入力画像バッファ111から取得し、画像形成装置120が備える色材(例えばCMYKの4色)に対応した画像データへ、色分解用ルックアップテーブル(不図示)を参照して分解する。本実施例では、色分解処理後の画像データ(以下、色分解後データ)を256階調の8ビットデータとするが、それ以上の階調数への変換を行っても構わない。なお、当初からCMYKで表現されたカラー画像データを入力して、色分解処理部112をスキップする構成であってもよい。
ハーフトーン処理部113は、色分解処理部112からの色分解後データに基づいて、ハーフトーン画像データを生成する。具体的には、複数の閾値マトリクスを用いて、画像形成装置120が直接表現可能な階調数への変換(量子化)と記録ヘッドの各ノズル群が形成するドット配置(ドットパターン)の決定を行う。本実施例では、CMYKの各色について、同一色同一濃度のドットを形成するノズル群が2つ存在し、それぞれに対し8ビットの色分解後データを1ビット(2値)のデータに変換するものとする。なお、このハーフトーン処理においては、CMYKの色毎にそれぞれ用意された複数の閾値マトリクスを用いる等して、各色個別に処理される。生成されたハーフトーン画像データは、ハーフトーン画像バッファ114に送られる。
ハーフトーン画像バッファ114は、ハーフトーン処理部113で生成されたハーフトーン画像データを一時的に格納するためのバッファである。
画像形成装置120は、ヘッド駆動回路121と記録ヘッド122とで構成される。画像形成装置120は、画像処理装置110から受け取ったハーフトーン画像データに基づいて、記録媒体を記録ヘッド122に対して相対的に移動することにより、記録媒体上に画像を形成する。本実施例の画像形成装置120はフルライン方式であり、記録ヘッド122はインクジェット記録方式とする。上述のテスト印刷及び本印刷はいずれも画像形成装置120で行われる。
ヘッド駆動回路121は、記録ヘッド122を制御するための、各ノズル群に対応する駆動信号を生成する。
記録ヘッド122は、1色あたり2つのノズル群(第1のノズル群及び第2のノズル群)を記録媒体の幅方向をカバーするように備え、各ノズル群には同一色で同一濃度のインクを吐出可能な複数のノズルが集積配列されている。そして、1色あたり2つのノズル群が記録媒体の搬送方向に対して一定距離で設置され、それぞれのノズル群から形成される部分的な画像を重ねることで、最終的な画像が形成される。
なお、画像形成装置120が画像処理装置110を含む構成でもよく、それら全体を画像形成装置としてもよい。
[ハーフトーン処理部(量子化処理部)]
次に、ハーフトーン処理部113の詳細について説明する。
図2は、ハーフトーン処理部113の内部構成を示すブロック図である。ハーフトーン処理部113は、閾値マトリクス選択部201、メモリ202、比較部203、ハーフトーン画像生成部204で構成される。ここで、ハーフトーン処理の概要について説明する。
図3は、一般的なディザ法によるハーフトーン処理を説明する図である。閾値マトリクス302は、そのサイズが幅=4画素、高さ=4画素であり、各画素に「0〜15」の閾値が一つずつ格納されている。ここでは、入力された画素値が閾値よりも大きいか同じであればオンドット(ドットを打つ)を出力し、入力された画素値が閾値よりも小さければオフドット(ドットを打たない)を出力する。従って、この閾値マトリクス302を使った場合、17階調のドット配置が得られる。例えば入力画像301は、単一の画素値“3”を持つ、幅=4画素、高さ=4画素の画像であり、この入力画像301に対して閾値マトリクス302を適用すると、出力画像303が得られる。本実施例では、第1のノズル群と第2のノズル群にそれぞれ対応する異なるドット配置の閾値マトリクスが適用されてハーフトーン処理が行われる。以下、ハーフトーン処理部113を構成する各部について説明する。
メモリ202には、1個の共通閾値マトリクスと、N個の非共通閾値マトリクスが保持されている。
閾値マトリクス選択部201は、第1のノズル群と第2のノズル群のそれぞれのドット形成で用いる1組の閾値マトリクスを上述のメモリ202に格納された閾値マトリクスの中から選択する。ここで、第1のノズル群によるドット形成のための閾値マトリクスは固定であり、常に選択される共通の閾値マトリクスとなっている。他方、第2のノズル群によるドット形成のための閾値マトリクスは非共通であり、N個の非共通閾値マトリクスの中から1個の非共通閾値マトリクスが選択される。この場合において、第2のノズル群によるドット形成のための1個の非共通閾値マトリクスの選択は、後述の位置ズレ情報に基づいて行なわれる。
比較部203は、入力画像データの画素値と選択された閾値マトリクスにおける対応する位置の閾値とを比較する。
ハーフトーン画像生成部204は、比較部203の比較結果に基づいて各ノズル群についてのハーフトーン画像を生成し、出力する。
図4は、本実施例に係る、ハーフトーン処理部113におけるハーフトーン処理の流れを示すフローチャートである。
ステップ401において、ハーフトーン処理部113は、不図示のHDD等から位置ズレ情報を取得する。ここで、位置ズレ情報とは、各ノズル群で形成されるドット群間の相対的な位置ズレの大きさや方向といった程度を示す情報であり、本実施例では、相対的な位置ズレ量の最大値とする。位置ズレ情報としては、上記最大値の他、例えば一定時間中の印刷で変動する相対的な位置ズレ量の平均値、分散、ズレ方向や大きさの確率分布等でも良い。このような位置ズレ情報は、所定の検査画像を印刷したチャートをセンサーで読み取ったり、若しくは目視で確認することにより得ることができ、それをHDD等に予め格納しておけばよい。図5は、位置ズレ情報の取得に用いる検査画像とその印刷結果の一例を示す図である。図5(a)に示す検査画像500には、複数の十字の図形が含まれており、これを各ノズル群で同じ位置に重ねて印刷してチャートを得る。図5(b)は、記録媒体上にノズル群毎の検査画像が重ねて形成されたチャートを示している。なお、図5(b)において、十字の図形が描かれる各領域を示す破線の枠501〜504や位置ズレの方向と量を示す破線の両矢印505〜507は、説明のために付したものであり、実際には印刷されない。まず、相対的な位置ズレがない場合は、領域501のようにきれいな十字の図形が形成される。しかし、相対的な位置ズレが発生した場合は、領域502〜504のように2つの十字が縦方向或いは横方向にずれて重なった図形が形成される。領域502は副走査方向の位置ズレ、領域503は主走査方向の位置ズレ、領域504は主走査方向と副走査方向の両方の位置ズレが発生した場合をそれぞれ示している。このとき、両矢印505〜507の長さをセンサーで直接読み取ったり、チャートのスキャン画像から測定して、その中で値が最も大きなものを位置ズレ情報として取得すればよい。なお、チャート上に形成する図形の形状やレイアウトは図5に示したものに限定されるものではなく、相対的な位置ズレ量を測ることができればどのようなものでもよい。このような位置ズレ情報は、例えば画像形成装置の工場出荷時に記録媒体の種類毎(普通紙、マット紙、光沢紙など)や印刷モード毎(高速印刷や低速印刷など)に測定し、装置内のHDD等に記憶しておけばよい。また、経年により、各ノズル群に対応するドット群間の相対的な位置ズレが変化する場合もあるため一定期間毎にキャリブレーションのために測定するようにしてもよい。より正確な位置ズレ情報が取得されれば高画質化が期待できるが、同時に計測に必要な工数・コストも増大するため、特に計測のタイミングは限定されるものではなく、状況に合わせて適宜行うことが望ましい。
図4のフローチャートの説明に戻る。
ステップ402において、閾値マトリクス選択部201は、取得した位置ズレ情報に対応する閾値マトリクスをN個の非共通閾値マトリクスの中から1つ選択する。具体的には、上述の位置ズレ情報を入力値とし、位置ズレの程度に応じた最適な非共通閾値マトリクスを出力値としたルックアップテーブル(LUT)を参照するなどの方法によって、1個の非共通閾値マトリクスが選択される。
ステップ403では、どのノズル群のためのハーフトーン画像の生成を行なうのかが決定される。1色あたり2つのノズル群を備える本実施例では、第1のノズル群と第2のノズル群のうちいずれのノズル群のためのハーフトーン画像の生成を行うのかが決定されることになる。
ステップ404において、閾値マトリクス選択部201は、ステップ403で決定されたノズル群に対応する閾値マトリクスを取得する。例えば、第1のノズル群のためのハーフトーン画像を生成すると決定されていた場合は、共通閾値マトリクスが取得される。一方、第2のノズル群のためのハーフトーン画像を生成すると決定されていた場合は、ステップ402で選択された非共通閾値マトリクスが取得される。
ステップ405では、入力画像データ内の画素のうち、比較処理の対象とする画素(以下、注目画素)が決定される。
ステップ406において、比較部203は、ステップ405で決定された注目画素の画素値と、ステップ404で取得した閾値マトリクスにおける対応する位置の閾値とを比較する。具体的には、入力画像データInにおける座標(x,y)の注目画素の画素値をIn(x,y)、取得した閾値マトリクスにおける対応する位置(x%W,y%H)の閾値をmatrix(x%W,y%H)として、両者を比較する。ここで“%” は剰余を表し、“W”及び“H”はそれぞれ閾値マトリクスの幅、高さを表す。こうして、入力画像データに対して閾値マトリクスが繰り返し割り当てられるように画素値の比較が行われる。比較の結果、In(x,y)で表される注目画素の画素値が閾値マトリクスの閾値以上の場合は、ステップ407に進む。一方、注目画素の画素値が閾値マトリクスの閾値未満の場合は、ステップ408に進む。
ステップ407において、ハーフトーン画像生成部204は、ドットを打つこと(オンドット)を表す値、例えば“1”を、当該注目画素における出力画素値として決定する。
ステップ408において、ハーフトーン画像生成部204は、ドットを打たないこと(オフドット)を表す値、例えば“0”を、当該注目画素における出力画素値として決定する。
ステップ409では、注目画素として処理されていない未処理の画素があるかどうかが判定される。未処理の画素があればステップ405に戻り、次の画素を注目画素として処理を続行する。一方、入力画像データ内の全ての画素が処理されていれば、ステップ410に進む。
ステップ410では、全てのノズル群(本実施例では、第1のノズル群と第2のノズル群の両方)について処理が完了したかどうかが判定される。未処理のノズル群があればステップ403に戻り、次のノズル群をハーフトーン画像生成のためのノズル群に決定して処理を続行する。一方、全てのノズル群について処理が完了していれば(すなわち、すべてのノズル群に対しハーフトーン画像が生成されていれば)、ステップ411に進む。
ステップ411において、ハーフトーン画像生成部204は、各ノズル群について生成されたハーフトーン画像データを出力する。出力されたハーフトーン画像データは、ハーフトーン画像バッファ114に格納される。
以上が、ハーフトーン処理部113におけるハーフトーン処理の内容である。
[記録ヘッドの構成例]
次に、画像形成装置120における印刷方法について説明する。図6は、記録ヘッド122の構成例を示す図であり、いわゆる多列ヘッドと呼ばれる。本実施例における記録ヘッド122は、前述の通り、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4種類のインク用のノズル群を各2つずつ搭載するが、ここでは説明の簡易化のためブラック(K)用のノズル群のみ図示している。図6において、上側に配置されているのが第1のノズル群、下側に配置されているのが第2のノズル群である。図6の例では、主走査方向に記録ノズル列は十分長く(記録媒体の幅をカバーするように)繋がっており、記録媒体の搬送方向(副走査方向)に上下に並んだ2つのノズル群が複数回の記録を重ねることで画像を形成する。なお、図6では横軸を主走査方向としているが、これは記録ヘッドが走査することを意味しない。複数のノズル群で記録を行うことで、画像形成の高速化、にじみやムラの軽減等の効果を得ることができる。
本実施例では、第1のノズル群が共通閾値マトリクスによるドット配置で、第2のノズル群が非共通閾値マトリクスによるドット配置で、それぞれ記録媒体上にドットを形成するように制御される。共通閾値マトリクスは文字通り共通化されるため、第1のノズル群のドット配置は位置ズレ情報に拠ることなく、入力画像データが同じであれば常に同じドット配置となる。一方、非共通閾値マトリクスは、N個の中から1個の非共通閾値マトリクスが位置ズレ情報に応じて選択されることから、選択される非共通閾値マトリクスに拠って異なるドット配置となる。なお、第1のノズル群に非共通閾値マトリクスを割り当て、第2のノズル群に共通閾値マトリクスを割り当ててもよいが、上述のように割り当てるのが望ましい。その理由は以下の通りである。
まず、共通閾値マトリクスによるドット配置は位置ズレ情報によらず固定で、非共通閾値マトリクスによるドット配置は位置ズレ情報によってブルーノイズ特性(分散性)が変わるものである。また、第1のノズル群から吐出されるインクは第2のノズル群から吐出されるインクに先行して記録媒体に着弾されるところ、インクが記録媒体に吸収されると記録媒体が波打つコックリングという現象が生じることが知られている。このコックリングにより、第2のノズル群から吐出されたインクの着弾位置はズレる傾向にある。つまり、先行する第1のノズル群のドットの方が正確に形成されやすい。そのため、第1のノズル群に共通閾値マトリクスを割り当てて、かつ共通閾値マトリクスをブルーノイズ特性の高いものにすることが望ましいといえる。これによって、分散性が高く空白領域が小さいドット配置を安定して形成でき、相対的な位置ズレによる粒状性劣化の発生程度を低減することができる。
なお、上述のとおり、以下では第1のノズル群と第2のノズル群が、同色(K)同径のインクを吐出する場合を前提に説明を行うものとするが、例えば、同色で異なる径のインクを吐出するノズル群、あるいは異なる濃度、異なる色のインクを吐出するノズル群が含まれていてもよい。
[位置ズレについて]
上述した多列ヘッドでの記録では、各ノズル群が形成する画像が目標位置からズレてしまうことがある。実際の画像形成装置においては、記録媒体の搬送速度の変動やノズルの位置変位などに関する物理的なレジストレーションの変動を完全に抑えることは困難であり、印刷中にわずかなズレが動的に生じ、それが記録媒体上のインクの着弾位置のズレとなる。このようなノズル群間の相対的なインク着弾位置のズレは、各ノズル群で形成した画像を重ねたときに意図していた画像が形成されないことを意味する。これが粒状性や濃度等の画質劣化の原因となり得る。
図7は、2種類のドット配置(一方をグレー、他方を格子で示す。)において、両者の間に相対的な位置ズレのないときとあるときとを比較して説明した図である。図7(a)は、相対的な位置ズレがないときの状態を示しており、意図した通りの均一なドット配置でドットが形成されている。図7(b)は、相対的な位置ズレがあるときの状態を示しており、各ノズル群に対応するドット配置が潜在的にもつ空白領域が顕在化しているのが分かる。つまり、図7(b)では、意図したドット配置とは異なる、ドットの疎密が発生してしまっている。そして、このようなドットの疎密は人間にはざらつき感として知覚されるため粒状性が劣化し、加えて、空白領域が顕在化したことにより濃度が薄くなって知覚されることになる。
この点、粒状性の劣化を抑制するためには潜在的な疎密ムラを低減すること、つまり各ノズル群が形成するドット配置を高分散(疎密ムラがなく満遍なく均一にドットが配置されていること)にすることが有効である。各ノズル群に対応するドット配置が大きな空白領域を持たなければ、ノズル群間の相対的な位置がズレても空白領域の顕在化は抑制されて粒状性の劣化が抑制される。しかしながら、各ノズル群に対応するドット配置を高分散となるように独立に設計を行うと、それらのドット配置を相対的な位置ズレなく重ね合わせたドット配置は高分散とならず、粒状性が良好でない。つまり、相対的な位置ズレに対するロバスト性を高めようとすると、相対的な位置ズレのないときは粒状性が犠牲になるというトレードオフの関係がある。
図8は、このトレードオフの関係を示したグラフである。図8のグラフにおける横軸は、各ノズル群に対応するドット配置の分散性と、それらを相対的な位置ズレなく重ね合わせたドット配置の分散性とのどちらを重視するかを調整した係数αである。この係数αの値が小さい時は各ノズル群に対応するドット配置の分散性を重視し、係数αの値が大きい時はそれらを相対的な位置ズレなく重ね合わせたときのドット配置の分散性を重視する。図8における縦軸は粒状性を示し、値が大きいほど粒状性が悪い。そして、図8において、実線は相対的な位置ズレなし時の粒状性評価値を示し、3種類の破線はそれぞれ異なる量の位置ズレ(1画素ズレ、1.5画素ズレ、2画素ズレ)が生じた時の粒状性評価値を示している。
図8のグラフからは2つの傾向が確認できる。まず1つ目は、係数αの値を小さくするに従って位置ズレなしの時の粒状性と位置ズレありの時の粒状性との差が小さくなる(粒状性劣化が抑制される=ロバスト性が高い)という点である。2つ目は、係数αの値を大きくすると相対的な位置ズレがない時の粒状性が良くなるという点である。このように位置ズレに対するロバスト性と粒状性との間にはトレードオフの関係が見てとれる。
上述の通り、紙種や経年によって相対的な位置ズレ量は変化することが想定され、そして位置ズレ量の大きさによって最適な係数αの値は異なる。例えば、相対的な位置ズレ量が小さいと想定される場合は位置ズレなしの時の粒状性を重視するために係数αの値が大きいものが好ましく、逆に相対的な位置ズレ量が大きいと想定される場合はロバスト性を重視するために係数αの値は小さい方が好ましい。様々な位置ズレ量に対応するためには、係数αの異なる閾値マトリクスを複数用意する必要がある。本実施例では、2枚1組の閾値マトリクス組のうち片方の閾値マトリクスは相対的な位置ズレ量に適したものを使用し、もう一方の閾値マトリックスは相対的な位置ズレ量に拠らず固定(共通化)される。この共通化により、トータルで必要な閾値マトリクスの数を削減でき、その結果、閾値マトリクスを格納するためのメモリ容量も削減できる。
[閾値マトリクスの作成方法]
次に、閾値マトリクスの作成方法について説明する。図9は、本実施例に係る、閾値マトリクスの作成方法の流れを示すフローチャートである。以下に示す一連の処理は、製品設計者等によって作成された閾値マトリクス作成ツール(プログラム)をPC等で実行することにより実現される。通常、ユーザが閾値マトリクス作成ツールを使用することはないが、一定の権限を持ったオペレータやメンテナンス者がこれを使用して閾値マトリクスを作成してもよい。
以下の処理で作成される閾値マトリクスは、8ビット(0~255)のグレースケールに対応し、入力画像データ内の注目画素の画素値が閾値マトリクス内の閾値以上のときにオンドットを出力する規則に従っている。閾値マトリクスのサイズは任意でよいが、2のべき乗の長さの辺をもつ四角形(例えば256×256)を用いるとより好適である。最終的には、共通閾値マトリクスが1つ、非共通閾値マトリクスが位置ズレ情報で示される条件分作成されることになる。
ステップ901では、共通閾値マトリクスが作成される。共通閾値マトリクスの作成方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を適用すればよい。好ましくは、ドット配置は高分散なものの方が良好なロバスト性を有するため、ブルーノイズマスク法等で作成することが望ましい。
ステップ902では、非共通閾値マトリクスの候補が作成される。この際、共通閾値マトリクスのドット配置が考慮される。図10は、非共通閾値マトリクス候補作成処理の詳細を示すフローチャートである。以下、詳しく説明する。
ステップ1001では、上述した係数αが初期化される。具体的には、係数αの値として“0”が設定される。以降の処理では、段階的に係数αの値を増加させて閾値マトリクスを複数作成する。この場合において、係数αの値は、“0”〜“1”の間で変化する(前述の図8のグラフを参照)。
ステップ1002では、係数αの増加の刻み幅Δαが設定される。上述の通り係数αは“0”〜“1”の間の値をとるため、Δαとしては“0.5”未満の値が望ましい。
ステップ1003では、現在の係数αに対応する閾値マトリクス作成のための初期化処理がなされる。具体的には、閾値マトリクス内の全閾値に“255”が設定される。処理開始直後の段階では係数α=“0”であり、その後はステップ1002で決定されたΔαが加算された値が次の係数αとなって(後述のステップ1017参照)、当該係数αについての初期化処理がなされる。
ステップ1004では、ステップ901で作成された共通閾値マトリクスから、ディザ法によって全階調(8ビット形式の場合、0〜255)のドット配置(以下、共通ドット配置[i]と呼ぶ。なお、iは階調値を示す。)が作成される。ここで、共通ドット配置は閾値マトリクスと同じサイズの配列(ドットパターン)であり、その値はオン(=255)またはオフ(=0)のいずれかのみをとる。
ステップ1005では、階調毎のポテンシャルマップが作成される。具体的な手順は以下の通りである。
まず、1つのオンドットにあてられる単位ポテンシャルと呼ぶ配列を作成する。ここで、単位ポテンシャルとは、着目するオンドットからの位置に対する2次元的な広がりを持った1価関数で、典型的には原点からの距離に対して単調減少する関数である。この場合、形状が円錐型に似るためコーンとも呼ばれる。これは、例えばオンドット同士の斥力を表すエネルギー関数のようなものと解釈することができる。ただし何らかの値が設定できればその意味にはこだわらない。図11(a)は、単位ポテンシャルの一例を示す図であり、頂点における値が“1.00”になるように正規化したσ=1.5の2次元ガウス関数となっている。
そして、作成された単位ポテンシャルに対し、各階調の共通ドット配置[i]のそれぞれに対応するポテンシャルマップ「PotentialC[i]」を作成する。ここで、ポテンシャルマップとは、閾値マトリクスと同じサイズの配列であり、その画素値はドット配置に単位ポテンシャルを作用させたときの和である。具体的には、まず、PotentialC[i]の全画素の値を“0”にする。次に、共通ドット配置[i]におけるドットパターン中のあるオンドットに着目し、その位置を中心とした単位ポテンシャルを考え、その値を1画素毎にPotentialC[i]に加算する。これを全てのオンドットに対して繰り返す。このとき、ポテンシャルマップの左端と右端、上端と下端は接触して連続しているように境界条件を設ける。上記加算処理が終了したとき、ポテンシャルマップは共通ドット配置に対応し、オンドットのある画素付近は値が大きく、オンドットが無い画素付近は値が小さくなっているはずである。図11(b)は、4つのオンドットが存在するドット配置に対応するポテンシャルマップの一例を示す図であり、左側がドット配置を示し、右側がそのポテンシャルマップを示している。図11(b)において、黒点はオンドットを示す。右側のポテンシャルマップにおいて、ドットを中心として同心円状にグレーの色が徐々に薄くなっており、矢印1101のグレーが濃い領域はドット密度が高い部分を表し、矢印1102のグレーがない領域(空白領域)はドット密度が低い部分を表している。そして、現ドット配置に新しくドットを追加するときに、上述のようなポテンシャルマップを参照してドット密度が疎な領域に次のドットを配置することで、ドット分散性の高い配置を構築することができる。
ステップ1006では、階調重みkn(n:自然数)が決定される。この階調重みは後続のステップ1008で使用される変数であり、0≦k1,k2,…,ki≦1かつk1+k2+…+ki=1の条件を満たすように決定される。ここで、k1,k2,…,kiは単調減少的に設定すること、例えば、k1=0.5、k2=0.3、k3=0.2、k4以降=0といった具合に段階的に小さな値としていくことが望ましい。
ステップ1007では、構築する非共通閾値マトリクスの階調値gが決定される。この際、最も明るい階調であるg=1から始め、最も暗い階調であるg=254までが、処理対象の階調値gとして順次決定される。
ステップ1008では、非共通閾値マトリクスのドット配置を決定するための基準となるポテンシャルマップ(以下、総合ポテンシャルマップ)が作成される。この総合ポテンシャルマップは、ステップ1005で階調毎に作成した個々のポテンシャルマップを足し合わせることで得ることができる。ここで、共通ドット配置[i]の対となる非共通閾値マトリクス側のドット配置を非共通ドット配置[i]とおく。なお、非共通ドット配置[i]におけるi=0は、全画素が白画素からなるドットパターンとなる。非共通ドット配置[i]は、非共通ドット配置[i-1]から作成されたポテンシャルマップPotentialN[i-1]を参照して、値の一番低い画素(ドット密度が疎な領域)にドットを追加し、そしてポテンシャルマップPotentialN[i-1]にその追加ドットを反映するという処理を1階調分のドット数が追加されるまで繰り返すことによって作成される。ここで、PotentialN[i-1]のみを参照するということは、共通ドット配置側のドットの配置を考慮しないことを意味する。したがって、このままでは非共通ドット配置と共通ドット配置とを重ね合わせたときの分散性が悪くなる。これを防ぐため、共通ドット配置側のポテンシャルマップと非共通ドット配置側のポテンシャルマップとを重み付けした上で足し合わせた総合ポテンシャルマップを利用する。この場合において、総合ポテンシャルマップの最も簡単な作成方法は、PotentialN[i-1]に対して、PotentialC[i]を係数αで重みを付けて画素毎に足し合わせるという手法である。これを式で表すと以下の式(1)のようになる。
総合ポテンシャルマップ=PotentialN[i-1]+α×PotentialC[i] ・・・式(1)
上記式(1)において、αは共通ドット配置側のドット配置をどの程度考慮するのかを決める重みであり、0<α<1.0の値である。図12は、上記式(1)を用いて総合ポテンシャルマップを作成する過程を図示したものである。図12において、ドットパターン1201は非共通ドット配置、ドットパターン1202は共通ドット配置を示している。そして、ポテンシャルマップ1203はPotentialN[i-1]に対応し、ポテンシャルマップ1204はPotentialC[i]に対応している。そして、出来上がった総合ポテンシャルマップ1205では、ポテンシャルマップ1204における2つのドットを中心としたグレーの円が重みαに応じて小さくなって(図12ではα=0.5)存在している。
このように、上記式(1)を用いることで、係数αの値が“0”に近い時は非共通ドット配置側の分散性を重視し、係数αの値が“1”に近い時は共通ドット配置と非共通ドット配置の重ね合わせの分散性を重視したドット配置を作成することができる。ところで、ディザ法の規則上、i階調目のドット配置におけるドットは、次のi+1階調目のドット配置でも同じ位置に存在しなくてはならない。上記式(1)では、共通ドット配置側はi階調目しか考慮されず、共通ドット配置[i+1]で追加されるドットについては考慮されないことになる。これでは、共通ドット配置[i+1]で追加されるドット付近に非共通ドット配置[i]での追加ドットが置かれてしまう恐れがある。非共通ドット配置[i]のドットは非共通ドット配置[i+1]でも継承されるため、この場合には非共通ドット配置[i+1]と共通ドット配置[i+1]との重ね合わせの分散性が悪くなってしまう。これに対処するには、次の式(2)で示すように、対象階調に後続する階調についても重み付けして足し合わせるようにすればよい。
総合ポテンシャルマップ=PotentialN[i-1]+α×(k1×PotentialC[i]+k2×PotentialC[i+1]+…+k[255-i]×PotentialC[254]) ・・・式(2)
上記式(2)において、kは上述のステップ1106で決定した階調重みである。また、αは上記式(1)で説明したとおりである。このように、上記式(2)で表される総合ポテンシャルマップを参照して非共通ドット配置[i]を決定することにより、共通閾値マトリクスと組み合わせた時に全階調で粒状性の良好な非共通閾値マトリクスを得ることができる。
ステップ1009では、1階調あたりの新たに加えるオンドットの数NAが決定される。オンドット数NAは、最も簡単には、閾値マトリクスの全画素数を全階調数で割った数とすればよい。そして、オンドット数NAは、通常、各階調値gにおいて一定の値となる。ただし、画像形成時のドットゲイン等の効果を考慮して階調毎に異なるNAとしてもよい。新たに加えるオンドット数NAが決まると、後続のステップ1010〜1014を含めたループ処理にて、非共通ドット配置[g-1]にオンドットを1つずつ加えていく。具体的には以下の通りである。
まず、ステップ1010では、オンドットを1つ加える位置(x, y)が決定される。その位置は、非共通ドット配置[g-1]でオンドットが未だ存在しない位置で、かつ上述の総合ポテンシャルマップ内で最も値が小さい位置とする。もし、ポテンシャルが最小値をとる位置が複数見つかった場合には、そのうちから1つをランダムに選べばよい。
ステップ1011では、非共通ドット配置[g-1]における上記決定された位置(x, y)に、オンドットが置かれる。
ステップ1012では、ポテンシャルマップが更新される。具体的には、PotentialN(i-1)に位置(x, y)を中心とした単位ポテンシャルを加算し、それに伴い総合ポテンシャルマップも再計算する。
ステップ1013では、非共通閾値マトリクスにおける位置(x, y)の値を現在の階調値gで置き換える処理がなされる。例えば、階調値g=2のとき、位置(x、y)の閾値マトリクスの値として“2”が設定される。
ステップ1014では、ステップ1009で決定されたオンドット数NAに到達したかどうかが判定される。すなわち、ステップ1010〜ステップ1013の処理がNA回だけ繰り返されたかどうかを判定する。NA回繰り返されていれば、現在の階調値gについてのドット配置の処理が終了する。この時の非共通ドット配置[g-1]を非共通ドット配置[g]とし、PotentialN[g-1]をPotentialN[g]とする。判定の結果、オンドット数NAに到達していれば、ステップ1015に進む。一方、オンドット数NAに到達していなければ、ステップ1010に戻り、オンドット数NAに到達するまで処理を繰り返す。
ステップ1015では、未処理の階調値gがあるかどうかが判定される。全階調が8ビット形式で表す本実施例の場合であれば、g=254に到達したかどうかが判定される。判定の結果、g=254に到達していれば、現在の係数αに対する非共通閾値マトリクスが完成したことになる。完成した非共通閾値マトリクスはHDD等に保存されて、ステップ1016に進む。一方、g=254に到達していなければ、ステップ1007に戻り、次の処理対象の階調値gを決定して処理を続行する。
ステップ1016では、全ての係数αに対する非共通閾値マトリクスが作成されているかどうかが判定される。具体的には、係数αの値が上限値である“1”であるかどうかが判定される。判定の結果、α=1であれば、非共通閾値マトリクス候補の作成処理が終了する。この時点で、上述したトレードオフ関係のバランスが異なる複数の非共通閾値マトリクスの候補が作成されたことになる。一方、α=1でなければ、ステップ1017に進んで係数αの値を更新(すなわち、現在の係数αにステップ1002で決定したΔαを加算)して次の処理対象の係数αを決定し、ステップ1003に戻って処理を続行する。
以上が、非共通閾値マトリクス候補作成処理の内容である。
図9のフローチャートの説明に戻る。
ステップ903では、ステップ902で作成された非閾値マトリクスの候補の中から、最適な非共通閾値マトリクスを選択する処理を行なう。相対的な位置ズレ量は紙種や経年によって変化することが想定される。そこで、本ステップにおいて、位置ズレ情報で示される位置ズレ量(例えば、記録媒体毎の想定される最大位置ズレ量)について、非共通閾値マトリクス候補の画質評価を行って最適なものを選択する。図13は、非共通閾値マトリクス選択処理の詳細を示すフローチャートである。以下、詳しく説明する。
ステップ1301では、様々な位置ズレ情報の中から処理対象とする位置ズレ情報(ここでは、記録媒体毎に設定された最大位置ズレ量の中から処理対象とする最大位置ズレ量)が取得される。
ステップ1302では、粒状性劣化量の許容値が取得される。ここで、粒状性劣化量とは、相対的な位置ズレがない時の粒状性評価値と最大位置ズレ量だけズレが発生した場合の粒状性評価値との差である。その許容値は任意であるが、印刷毎の粒状性のばらつきを考慮して、例えば“0.1”といった値が予め設定される。
続く、ステップ1303〜1306では、作成された個々の非共通閾値マトリクス候補について粒状性劣化量の導出・評価がなされる。本実施例では、係数αの値が大きい非共通閾値マトリクス候補の中から順に粒状性劣化量を導出し、上述の許容値以内ならループを抜け、許容値を超えているなら次の候補を評価するといった手順で処理している。その理由は、係数αの値が大きいものほど相対的な位置ズレなし時の粒状性が良好なためである(前述の図8を参照)。つまり、αが大きい非共通閾値マトリクス候補から順に評価することで、所望の粒状性劣化に対するロバスト性を持つ候補の中から、相対的な位置ズレなし時の粒状性が最良のものを選ぶことができる。
最初に、ステップ1303で、係数αの値が最も大きい非共通閾値マトリクス候補が、処理対象の非共通閾値マトリクス候補として決定される。そして、決定された非共通閾値マトリクス候補について、ステップ1304で相対的な位置ずれなしの時の粒状性の評価がなされ、続くステップ1305で相対的な位置ずれありの時の粒状性の評価がなされる。粒状性の評価方法としては、公知の手法(例えば、RMS粒状度を用いる方法やVTFフィルタを用いる方法)を適用すればよい。ここでは、高速フーリエ変換とVTF(Visual Transfer Function)フィルタを用いる方法について説明する。
まず、相対的な位置ズレなしの時の粒状性の評価(ステップ1304)では、共通ドット配置[i]と非共通ドット配置[i]とを位置ズレなく重ねた画像を生成する。この画像は、例えば各画素に対して、共通ドット配置[i]又は非共通ドット配置[i]のどちらかにドットが存在する画素では黒(例えば8ビット形式ならば“255”)、どちらにもドットが存在しない画素では白(同“0”)として生成する。そして、生成された画像を高速フーリエ変換処理により空間周波数成分へ変換する。人間の視覚周波数特性としては、DooleyによるVTF関数が知られている。図14は、明視距離300mmにおけるDooleyの視覚特性関数を示すグラフである。VTF関数の周波数に対する応答は、低周波数域に敏感であり、高周波数域に鈍感である。言い換えれば、空間的に広がった大きな疎密ムラは感じ取ることができるが、細かな疎密ムラを感じ取ることはできず一様な画像と知覚することを意味している。周波数成分上においてVTF関数をフィルタとしてかけ、視覚では認識できない高周波成分をカットする。そして高周波成分をカットした後の周波数成分の積分値を位置ズレなしの時の粒状性の評価値とする。
そして、相対的な位置ズレありの時の粒状性の評価(ステップ1305)では、共通ドット配置[i]を副走査方向へ最大位置ズレ量分ずらして非共通ドット配置[i]と重ねた画像を生成する。そして、生成された画像に対し、ステップ1304と同様、高速フーリエ変換処理を行なって空間周波数成分に分解した上で、VTFフィルタを用いて高周波数成分をカットした後の周波数成分の積分値を、位置ズレありの時の粒状性の評価値とする。ここで、最大位置ズレ量分ずらして重ねた画像を評価する理由は、位置ズレ量が大きいほど粒状性も劣化することが想定され、位置ズレ量が最大時の粒状性劣化量が許容値内であれば最大ズレ未満のズレに対しても許容値を超えないと考えられるからである。図15は、位置ズレ量と粒状性評価値との関係を示すグラフであり、縦軸の粒状性評価値は値が小さいほど粒状性が良好であることを表す。図15のグラフから明らかなように、位置ズレ量が3画素以上では変化がないものの、位置ズレ量が0画素から3画素の間では位置ズレ量が増すにつれて粒状性評価値が悪化しているのが分かる。もちろん、最大ズレ量未満のズレに対しても評価を行ってもよい。これにより、より詳細な評価を行うことができる。さらに、ずらし方向については、副走査方向以外のズレも想定される場合は、そのズレ方向に応じて重ねた画像を生成して評価してもよい。
そして、ステップ1306では、位置ズレなし/ありの時の各粒状性評価値から粒状性劣化量が導出される。ここで、粒状性劣化量は、「位置ズレありの時の粒状性評価値」から「位置ズレなしの時の粒状性評価値」を減算して求める。なお、ステップ1304及び1305で複数の位置ズレに対応する粒状性の評価を行なっている場合は、各位置ズレに対応する粒状性劣化量をそれぞれ求める。なお、上述の粒状性の評価は全階調にわたる複数の階調のドット配置に対して行うことが望ましいが、一部の階調のみ粒状性劣化が問題視される場合は対象の階調のみでもよい。
ステップ1307では、ステップ1306で導出された粒状性劣化量が、ステップ1302で取得した許容値の範囲内であるかどうかが判定される。導出された粒状性劣化量が許容値の範囲内であればステップ1308に進む。一方、導出された粒状性劣化量が許容値の範囲内でなければステップ1303に戻り、係数αの値が次に大きい非共通閾値マトリクス候補を処理対象に決定して処理を続行する。
ステップ1308では、許容値の範囲内と判定された閾値マトリクス候補が、現在の最大位置ズレ量に対応した非共通閾値マトリクスとして選択される。
ステップ1309では、未処理の位置ズレ情報(ここでは、他の記録媒体に対応する最大位置ズレ量)がないかどうかが判定される。未処理の位置ズレ情報があればステップ1301に戻り、次の位置ズレ情報についての処理を繰り返す。
例えば、記録媒体(用紙)が2種類あり、紙種1で想定される最大位置ズレ量は1画素で、紙種2で想定される最大位置ズレ量が2画素であったする。この場合、ステップ1301〜ステップ1309の処理が2回繰り返され、紙種1の最大位置ズレ量=1画素に対応する非共通閾値マトリクスと、紙種2の最大位置ズレ量=2画素に対応する非共通閾値マトリクスとが、それぞれ選択されることになる。
以上が、非共通閾値マトリクス選択処理の内容である。
こうして、図9のフローチャートの各ステップの処理が終了すると、作成された1個の共通閾値マトリクスと複数の非共通閾値マトリクスは、ハーフトーン処理部内113のメモリ202に格納される。
以上が、本実施例に係る、閾値マトリクス作成処理の内容である。上述の通り、第1のノズル群による形成画像のための閾値マトリクスを共通化して省メモリ化を実現しながらも、第2のノズル群による形成画像のための閾値マトリクスは粒状性劣化に対する所望のロバスト性を確保したものにすることができる。なお、閾値マトリクスの共通化の効果を数値化すると、共通化を行わない場合に比べて閾値マトリクスの記憶に必要な容量が(n+1)/2n(nは特性の異なる閾値マトリクスの数)となる。
<変形例1>
本実施例では、様々な位置ズレ情報に対応する非共通閾値マトリクスを予め作成しておき、使用する際に位置ズレ情報に応じたものを選択するという構成で説明したが、その都度動的に作成してもよい。図16は、本変形例に係るハーフトーン処理部113’の内部構成を示すブロック図である。閾値マトリクス選択部201に代えて、非共通閾値マトリクス作成部1601が設けられているのが分かる。
そして本変形例では、前述の図4のフローのステップ402において、取得した位置ズレ情報に応じた非共通閾値マトリクスが、非共通閾値マトリクス作成部1601によって作成されることになる。この際、非共通閾値マトリクス作成部1601は、入力された位置ズレ情報に基づいて上述の方法で非共通閾値マトリクスを一から作成してもよいし、または位置ズレ情報と対応付けられた閾値マトリクス作成のための最適なパラメータを事前に保持しておき、作成処理の負担を低減するようにしてもよい。ここでパラメータとは、マトリクスのサイズ、階調数、単位ポテンシャルを表す関数、係数α、階調重み等である。また、図16の例では、閾値マトリクス作成部1601はハーフトーン処理部内に設けているが、ハーフトーン処理部外に設けてもよい。
<変形例2>
また、本実施例では、記録媒体上の同一の位置に対し、記録ヘッドの各ノズル群がインクを吐出できる構成を前提に説明を行なった。しかし、各ノズル群がインク吐出可能な記録媒体上の位置が固定されており、記録媒体上の同一の位置に対しては複数のノズル群でインクを吐出できない構成の場合にも適用可能である。このような構成の場合には、さらに閾値マトリクスの格納に必要なメモリ容量を低減することができる。
図17は、本変形例に係る、各ノズル群のインク吐出可能な位置が固定されている記録方式を説明する図である。図17(a)は、第1のノズル群の吐出可能な位置をグレーで示し、第2のノズル群の吐出可能な位置を格子状の網掛けで示している。図17(b)は、本変形例に係る記録方式によって形成されるドット配置の一例を示す模式図である。図17(b)から明らかなように、第1のノズル群と第2のノズル群は、1行毎に交互にドットを形成し、第1のノズル群ではインクの吐出が不可能な位置が、第2のノズル群によって吐出されるインクによって埋められる関係にあることが分かる。ここで、図17(a)においてグレーや網掛け以外の白画素の位置は、それぞれのノズル群でインクの吐出が不可能な位置である。つまり、この白画素位置については、ハーフトーン処理部113は入力画像データに関わらずその出力データ(ハーフトーン画像データ)においてオフドットとしなくてはならない。そのため、閾値マトリクスにはこのオフドットの位置に対応する閾値を格納する必要がない。
このように、図17(a)で示す記録方式では、各ノズル群に対応する閾値マトリクスにおいて全画素数のうち1/2が白画素(オフドット)であるため、この白画素位置の閾値を格納する必要がなく、必要なメモリ容量を半分にすることができる。
なお、図17(a)に示したような、吐出不可能な位置がストライプ状に交互になっている場合の他、例えば市松模様状に交互になっていてもよい。このような場合も、同様に閾値マトリクスの格納に必要なメモリ容量を低減することが可能である。
なお、本変形例を実施するに際しては、インクの吐出が不可能な位置にドットが配置されないよう閾値マトリクスを作成する必要がある。具体的には、前述の図9のフローの非共通閾値マトリクス候補作成処理(ステップ902)におけるオンドット位置の決定(ステップ1010)で総合ポテンシャルマップが最小となる画素を探す際に、上記白画素を除外するように探索範囲を制限すればよい。これによって、ドットを配置可能な画素内で最適な位置にドットを配置することができる。
<変形例3>
本実施例では、1色あたり第1のノズル群と第2のノズル群の2つのノズル群で画像が形成されることを前提に、各ノズル群に対応する2枚1組の閾値マトリクスを作成した。この点、1色あたりN個のノズル群が存在する場合には、N枚1組の閾値マトリクスを同様に作成すればよい。例えば、1色あたり3個のノズル群が存在し、3枚1組の閾値マトリクスを作成する場合を考える。総合ポテンシャルマップの作成(ステップ1008)において、2枚1組の場合は、非共通閾値マトリクス側のポテンシャルマップに対し、係数αで重み付けをした共通閾値マトリクス側のポテンシャルマップを足し合わせていた。3枚1組の場合でもそれぞれのポテンシャルマップを足し合わせることで作成可能である。3枚1組の場合の非共通閾値マトリクスのドット配置の作成順序について、共通閾値マトリクスを2種類作成する例を図18に、非共通閾値マトリクスを2種類作成する例を図19に示す。
まず、共通閾値マトリクスを2種類作成(2枚を共通化)する場合は、図18に示すように、ステップ901で作成された2枚の共通閾値マトリクスに対して1枚の非共通閾値マトリクスを作成する。このとき総合ポテンシャルマップは、共通閾値マトリクス_1と共通閾値マトリクス_2の両方のドット配置も考慮に加えるべきであり、非共通閾値マトリクス側のポテンシャルマップへそれぞれ係数α_1、α_2で重み付けをして2つの共通閾値マトリクス側のポテンシャルマップを足し合わせる。
次に、非共通閾値マトリクスを2種類作成(1枚のみ共通化)する場合は、図19に示すように、ステップ901で作成された1枚の共通閾値マトリクスに対して2枚の非共通閾値マトリクスを作成する。作成順序としては、2つの非共通閾値マトリクスのドット配置を1階調ずつ交互に行う。総合ポテンシャルマップの計算は、例えば非共通閾値マトリクス_1のドット配置を決定する場合は、共通閾値マトリクスと非共通閾値マトリクス_2のドット配置も考慮に加えるべきであり、非共通閾値マトリクス_1側のポテンシャルマップへ、係数α_1で共通閾値マトリクス側のポテンシャルマップを、係数α_2で非共通閾値マトリクス_2側のポテンシャルマップを足し合わせる。同様に、非共通閾値マトリクス_2のドット配置を決定する場合は、非共通閾値マトリクス_2側のポテンシャルマップへ、係数α_1で共通閾値マトリクス側のポテンシャルマップを、係数α_2で非共通閾値マトリクス_1側のポテンシャルマップを足し合わせるようにすればよい。
このように、本実施例は、1色あたりN個(N>2)のノズル群が存在する場合にも同様に適用することができる。
[実施例2]
実施例1では、相対的な位置ズレに起因する粒状性劣化の抑制を主眼とする態様について示した。次に、相対的な位置ズレに起因する濃度変動の抑制を主眼とする態様について、実施例2として説明する。なお、実施例1と共通する部分については説明を省略ないしは簡略化し、以下では差異点を中心に説明するものとする。
濃度変動は、既に説明した通り相対的な位置ズレによるドットの被覆率の変化によって発生する。前述の図7(a)に示す状態では、2種類のドット群(第1のノズル群で形成されるドット群と第2のノズル群で形成されるドット群)の間で重なるドットはなく完全に排他関係にある。この状態から相対的な位置ズレが発生し、図7(b)のような状態になると新たに空白として現れる領域とドットが重なる領域とが発生する。一般的に、ドットが重なることによる濃度上昇の影響よりも、空白が現れたことによる濃度低下の影響の方が大きいため、この場合は結果的に全体としての濃度が低下することになる。
一方で、当初から一定程度のドット群間の重なりが生じていた状態から位置ズレが生じることで比較的小さい濃度変化が生じるようなケースも考えられる。図20は、このようなケースを説明する図である。図20(a)は、相対的な位置ズレがないときの状態を示しており、異なるドット群の間で重なるドットが既に存在する。図20(b)は、図20(a)の状態から相対的な位置ズレが発生したときの状態を示す図である。この場合、重なっていた2つのドットが分離して空白部分を埋める領域2001も出現しており、空白領域の発生を抑制する効果がある。このようなケースでは、相対的な位置ズレが発生しても濃度変化は小さくて済むことになる。
一般的に、2つのドットが重なると1つのドットに比べて、ドットが大きくかつ濃くなる。そのため、ドットが視覚的に目立つようになり粒状性が良好にならない。したがって、濃度変動の抑制という観点でも、実施例1と同様、相対的な位置ズレなしの時の粒状性とのトレードオフ関係があるといえる。具体的には、相対的な位置ズレが小さい場合であれば、粒状性を重視し、可能な限りドットの重複は回避したい。一方、相対的な位置ズレが大きい場合は、濃度変動を抑制するためにドット群間でドットの重複を有するドット配置が望ましい。様々な位置ズレ量に対応するためには、実施例1と同様、様々な位置ズレ量に応じた閾値マトリクスを使い分けることが好ましい。そこで、本実施例では、濃度変動に対するロバスト性と粒状性とを両立できるようにする。
[閾値マトリクスの作成方法]
以下、本実施例に係る、閾値マトリクスの作成方法について説明する。実施例1では総合ポテンシャル導出時の係数αによって各ノズル群に対応するドット群の分散性を調整していたが、本実施例では単位ポテンシャルの中心高さを変化させることで複数のドット群の間のドットの重複率を調整する。
ここで、単位ポテンシャルの中心(頂点)の高さがドット配置に与える影響ついて説明する。単位ポテンシャルの中心位置はオンドットが配置されている画素位置と同じであり、中心の高さは、既に配置されているオンドットと同じ位置にさらにオンドットを配置するかどうかという確率に影響する。ドットはポテンシャルマップの値の低い画素位置に加えられるという作成規則から、中心高さが低いほどオンドットが重なって配置されるようになり、中心高さが高いほどオンドットが重ならない配置となる。つまり、中心高さを変化させることでドットの重複率を調整することが可能である。なお、1つのドット群の中でドットが重なることは無いため、2つのドット群の間のドット同士が重なることとなる。
閾値マトリクスの作成処理の流れは、実施例1の図9のフローと同じであり、1)共通閾値マトリクスの作成(ステップ901)、2)非共通閾値マトリクス候補の作成(ステップ902)、非共通閾値マトリクスの選択(ステップ903)の順で処理がなされる。
まず、本実施例における非共通閾値マトリクス候補の作成処理について説明する。図21は、本実施例に係る、非共通閾値マトリクス候補の作成処理の詳細を示すフローチャートである。
ステップ2101では、単位ポテンシャルの中心高さ[t]の初期値[t_start]及び終値[t_end]が設定される。例えば、使用する単位ポテンシャルを前述の図11(a)で示した単位ポテンシャルとする場合、その中心高さは“1.00”であり、初期値[t_start]として“0.98”、終値[t_end]として“1.02”といった値が設定される。以降の処理では、中心高さ[t]を徐々に増加させて複数の非共通閾値マトリクス候補を作成する。
ステップ2102では、中心高さ[t]を増加させる刻み値Δtが設定される。刻み値Δtの値としては、例えば“0.01”といった値が設定される。この場合において、初期値と終値がそれぞれ上述のように設定されていた場合、t=0.98、0.99、1.00、1.01、1.02の5つの頂点高さに対応する非共通閾値マトリクス候補が作成されることになる。
ステップ2103では、現在の中心高さ[t]に対応する閾値マトリクス(非共通閾値マトリクス)作成のための初期化処理がなされる。具体的には、閾値マトリクス内の全閾値に“255”が設定される。処理開始直後の段階の中心高さはステップ2101で設定された[t_start]の値(上述の例では“0.98”)であり、その後はステップ2102で決定されたΔtが加算された値が次の中心高さ[t]となって、当該中心高さ[t]についての初期化処理がなされる。
後続の各処理(ステップ2104〜ステップ2115)については、実施例1に係る図10のフローのステップ1004〜ステップ1015にそれぞれ対応するので、説明を省略する。なお、ステップ2108での総合ポテンシャルマップ作成時に用いる係数αは、任意の固定値(例えば、0.6)とすればよい。さらには、実施例1のように、係数αの値を変えて複数の非共通閾値マトリクス候補を作成してもよい。
ステップ2116では、全ての中心高さ[t]に対する閾値マトリクスが作成されているかが判定される。具体的には、中心高さ[t]の値が終値[t_end]に達したかどうかを判定する。判定の結果、中心高さ[t]の値が終値[t_end]に達していれば、非共通閾値マトリクス候補の作成処理が終了する。この時点で、上述したトレードオフ関係のバランスが異なる複数の非共通閾値マトリクスの候補が作成されたことになる。一方、中心高さ[t]の値が終値[t_end]に達していなければ、ステップ2117に進んで中心高さ[t]の値を更新(すなわち、現在の中心高さ[t]にステップ2102で決定したΔtを加算)して次の処理対象の中心高さ[t]を決定し、ステップ2103に戻って処理を続行する。
以上が、本実施例に係る、非共通閾値マトリクス候補作成処理の内容である。
次に、本実施例における非共通閾値マトリクスの選択処理について説明する。図22は、本実施例に係る、非共通閾値マトリクスの選択処理の詳細を示すフローチャートである。基本的な処理の流れは、実施例1の図13のフローと同じである。本実施例においては、評価値としてドットの重複率を使用する点で実施例1とは異なっている。ここで、ドットの重複率は、評価対象のドット配置(ドットパターン)中の全てのドットのうち重なっているドットの割合を表す。相対的な位置ズレありの時となしの時とでドット重複率の変動が小さければ、濃度変動も抑制されると考えられる。以下、本実施例の特徴となる内容を中心に説明する。
処理対象とする位置ズレ情報(ここでは最大位置ズレ量)を取得すると(ステップ2201)、ステップ2202では、上記ドット重複率の変動量の許容値が取得される。この場合の許容値は、実施例1における粒状性評価値の許容値と同様、任意であるが、例えばCIE 1976 (L*, a*, b*) 色空間でΔL*=1.6といった値が設定される。
続く、ステップ2203〜2207では、作成された非共通閾値マトリクス候補についてドット重複率の変動量の導出・評価がなされる。上述の通り本実施例では、中心高さ[t]の初期値に対応する非共通閾値マトリクス候補から順にドット重複率の変動量を導出し、上述の許容値以内ならループを抜け、許容値以上なら次の候補を評価するといった手順で処理される。そして、許容値内と判定された閾値マトリクス候補が、現在の最大位置ズレ量に対応した非共通閾値マトリクスとして選択され(ステップ2208)、未処理の最大位置ズレ量がなくなるまで処理が繰り返される(ステップ2209)。
以上が、本実施例における非共通閾値マトリクス選択処理の内容である。
こうして、図9のフローチャートの各ステップの処理が終了すると、作成された1個の共通閾値マトリクスと複数の非共通閾値マトリクスは、ハーフトーン処理部内113のメモリ202に格納される。
以上が、本実施例に係る、閾値マトリクス作成処理の内容である。
以上の通り、複数の閾値マトリクス組のうち一部を共通閾値マトリクスとして共通化して省メモリ化を実現しながらも、非共通閾値マトリクスにより濃度変動に対する所望のロバスト性を確保する閾値マトリクスを用いて、ロバスト性と粒状性を両立する画像を形成することができる。
[実施例3]
次に、複数の閾値マトリクス組を使用してチャートを作成し、これを印刷(テスト印刷)することで非共通閾値マトリクスを選択する態様について、実施例3として説明する。なお、実施例1及び2と共通する部分については説明を省略ないしは簡略化し、以下では差異点を中心に説明するものとする。
図23は、本実施例に係るテスト印刷用チャートの一例を示す図である。図23に示すチャートは、主走査方向に対して記録媒体の搬送量が変動する場合に好適なチャートとなっている。そして、このチャートには、計N×X個のパッチが、第1のノズル群及び第2のノズル群のいずれか又は両方を用いて記録媒体上に形成される。チャート上の各パッチをnxで表すとき、ノズル群の方向に対して、1〜NまでのN通りのパッチが形成される。そして、このN通りのパッチを、主走査方向に対してX個分繰り返すことで、計N×X個のパッチが形成される。このとき、ノズル群の方向に対して、ステップ901で作成された共通閾値マトリクスとステップ902で作成された複数の非共通閾値マトリクス候補とを適宜組み合わせてハーフトーン処理を行ったパッチを配置する。
図24の(a)及び(b)は、チャート上に形成されるパッチを拡大した図である。各パッチは複数の領域を含み、図24(a)は2つの領域(領域1と領域2)で構成され、同(b)は3つの領域(領域1、領域2、領域3)で構成される。図24(a)に示したパッチの場合、領域1は第1のノズル群と第2のノズル群の両方を用いて形成され、領域2は第1のノズル群のみで形成される。また、図24(b)に示したパッチの場合、領域2が第1のノズル群と第2のノズル群の両方を用いて形成され、領域1と領域3が第1のノズル群のみで形成される。このように、1つのパッチ内を複数の領域に分割し、該領域毎にノズル群に対する画像データの分配率を異ならせてパッチが形成される。ここで、第1のノズル群で形成されるドットの集合を「ドット群1」と呼び、第2のノズル群で形成されるドットの集合を「ドット群2」と呼ぶこととする。ドット群1は共通閾値マトリクスで決定され、ドット群2は複数の非共通閾値マトリクス候補のうちのいずれかで決定されることになる。このとき、領域2を形成するドット配置は、領域1が、ドット群1とドット群2の位置ズレがない状態で記録媒体上に形成されたときの濃度と等しくなるように決定される。つまり、領域2におけるドット配置と、領域1におけるドット配置(ドット群1とドット群2の相対的な位置ズレがない状態で形成されるドット配置)において、ドットで埋められる面積の割合を略一致させるようにする。これにより、例えば図24(a)のパッチの場合、領域1と領域2の濃度はほぼ一致し、相対的な位置ズレがない場合においては領域1と領域2との境界(すなわち、×印状の形)が殆ど視認されなくなる。より望ましくは、濃度を等しくすることに加え、領域1におけるドット配置と領域2におけるドット配置とが略等しくなるように決定される。
この他、領域1及び領域2のそれぞれの形成に用いられる閾値マトリクスを用いて、目標とする濃度に近い階調付近のパッチを印刷して測色し、領域1と領域2の濃度が等しくなるように領域1及び領域2の単色画像データの値を調整するようにしてもよい。
なお、図24(a)及び(b)に示したパッチでは、領域間の境目を黒の実線で示しているが、これは説明の便宜上付したもので、実際のパッチ内には存在しない。また、領域間の境界は×印や○印以外の形状でもよく、さらには“NG”、“ズレ発生”等の文字を表すような境界としてもよい。また、チャート内のパッチの配置についても図23に示した例に限られるわけではなく、例えば行と列の関係を逆転させてもよい。
図25は、本実施例に係るテスト印刷用チャートの、位置ズレに対するパッチの画質変化を説明する図である。図25では、ドット群1とドット群2との間に位置ズレがない場合とある場合のそれぞれにおいて、領域1に対する閾値マトリクス組iを5通り分用いてチャートを作成した場合の、各パッチが示されている。この場合において、閾値マトリクス組は、共通閾値マトリクスといずれかの非共通閾値マトリクス候補との組合せである。そして、この場合の位置ズレ量は、いずれのパッチに対しても同一の位置ズレ量(例えば、ドット群1とドット群2とが副走査方向に対して相対的に40μmのズレ)であることを前提としている。このとき、閾値マトリクス組iにおける非共通閾値マトリクス候補は、iが大きくなるほど頂点高さtの値が小さくなるように作成されている。そして、頂点高さtの値が小さいほど領域1においてドット群1とドット群2のドットの重複率が増加し、ドットの重なりが増える影響で相対的な位置ズレがない時の粒状性が劣化するという特性を有する。なお、図25は、画質変化のうち濃度変動のみを示しており、粒状性の違いは表現していない。
図25から分かるように、位置ズレなしの時にはiの大小に関わらず領域1の図形(×印)が視認されることはないが、位置ズレありの時にはiが小さくなるほど、領域1の内部の濃度が領域2の濃度よりも相対的に薄くなって領域1の図形が視認される。これは、重複率が低いほど位置ズレによって空白が発生しやすく、一方、重複率が高いほど位置ズレによって重複ドットが分離し、位置ズレなし時には空白となっていた領域が埋められていくためである。一方、領域2に関しては前述の通りドット群1のみで形成されるため、相対的な位置ズレによる濃度変動は発生せず、いずれのパッチにおいても同一の濃度で形成される。すなわち、領域1をドット群1とドット群2との相対的な位置ズレによって濃度変化が生じるドット配置とし、領域2をドット群1のみで形成することで、同一の位置ズレ量に対する濃度変動の程度が異なるパッチで構成されるチャートを作成することができる。具体的には、画像処理装置110が、ハーフトーン処理されたチャートデータを画像形成装置120に送り、印刷(テスト印刷)を指示する。この印刷指示を受けて画像形成装置120が、当該チャートデータに基づきテスト印刷を実行する。
そして、このような特徴を踏まえて、使用する1組の閾値マトリクス組(すなわち、どの非共通閾値マトリクス候補を選択するのか)が例えばユーザによって指定されることになる。
図26は、本実施例に係る、出力されたテスト印刷用チャートにおける各パッチの見え方の違いを説明する図である。図26は、N=5、X=5の場合を示しており、ロバスト性の異なる5種類のパッチ(図25を参照)が、副走査方向に5個ずつ繰り返し形成されている。図26においては、副走査方向に対して記録媒体の搬送速度が変動するため、ロバスト性が同じパッチであっても、副走査方向の位置に対するパッチの見え方も変化する。すなわち、各パッチ内の領域1における濃度変動の発生程度がパッチによって異なるという現象が起きる。
そこで、これら複数のパッチを観察し、複数の閾値マトリクス組i(i=1〜5)の中から、濃度変動に対してロバスト性が確保されつつ粒状性が良好となるようなiを選択する。図26の例では、副走査方向の5つのパッチのいずれにおいても領域1の図形(×印)が視認されないのはiが3〜5の場合である。この中から粒状性がより良好(iの値が小さいほど粒状性が良好)なi=3が選択されることになる。なお、i=2の場合は、領域1の図形が視認されないパッチも3つ含むが、X=1及び3のパッチでは×印が視認されるため、位置ズレが搬送方向に対して変動する画像形成状況下では、十分なロバスト性を確保できているとはいえないので、不十分である。i=5についても同じ理由から選択されない。また、i=1の場合は、すべてのパッチで×が視認され、ロバスト性が確保できていないため選択されない。
そして、選択されたi=3の閾値マトリクス組における非共通閾値マトリクス候補を、前述のステップ903で選択される非共通閾値マトリクスとする。
なお、紙種や経年によって最大位置ズレ量は変化するため、最適な非共通閾値マトリクスも変化することになる。したがって、テスト印刷用チャートによる非共通閾値マトリクスの選択は、紙種毎や適切な時期毎に行われることが望ましい。
[実施例4]
次に、記録媒体上に画像を形成する方式として、同一記録領域に対して記録ヘッドを複数回走査させて記録を行うマルチパス印字方式を採用した場合の態様について、実施例4として説明する。
図27は、マルチパス印字方式で用いる記録ヘッドの構成例を示す図であり、CMYKの各色に1対1で対応した4つのノズル群で構成されている。マルチパス印字方式によって、複数の吐出口間におけるインクの吐出特性のばらつきの影響を緩和することができる。マルチパス印字方式における複数回の各走査をパスと呼び、最初の走査を1パス目、二回目の走査を2パス目等と呼ぶ。
このようなマルチパス印字方式においても、記録媒体の搬送量や主走査方向の位置変動などによるドットを形成するインクの着弾位置の変動により、1パス目が形成するドット群と2パス目が形成するドット群の間で位置ズレが発生することがある。そこで、1パス目のドット配置を共通閾値マトリクスで生成し、2パス目のドット配置を非共通閾値マトリクスで生成するといった具合にパス毎に異なる閾値マトリクスを割り当てることで、本発明をマルチパス印字方式の構成にも適用することができる。これにより、パス間の相対的な位置ズレに対してロバスト性と粒状性を両立できる。なお、パス数は特に制限されず3パス以上でもよい。この場合、NパスであればN枚の閾値マトリクスを使用するのが好ましい。なぜなら同じ閾値マトリクスを使用してしまうと、閾値が低い画素位置ばかりにドットが多く配置されて粒状性が良好にならないためである。したがって、例えばN=6の場合であれば、共通閾値マトリクスを3パターン(共通_1〜共通_3)、非共通閾値マトリクスを3パターン(非共通_1〜非共通_3)の計6枚の閾値マトリクスを作成する。そして、1パス目:共通_1、2パス目:共通_2、3パス目:共通_3、4パス目:非共通_1、5パス目:非共通_2、6パス目:非共通_3といった具合に各閾値マトリクスを各パスに割り当てるようにする。なお、共通と非共通の割合や順番は任意である。また、共通閾値マトリクスにより生成されたドット配置を何パス目で使用するかも特に制限されない。ただし、前述の通り、先行するパスに共通閾値マトリクスを割り当て、かつ共通閾値マトリクスをブルーノイズ特性の高いものにするのがより好ましい。
[その他の実施例]
また、本発明は、インターレース走査、フルライン方式における長尺ヘッドを構成する各記録ヘッドや記録チップ等、様々な構成に対して本発明を適用できる。以下、それぞれの概要である。
<インターレース走査に適用する場合>
インターレース走査とは、ピエゾヘッドのように解像度が粗い1個のノズル群を用いて、走査毎に間を補完するようにドットパターンを埋め合わせていく複数走査の方式である。例えば、インターレース走査で2回の走査を行う場合は、第1のノズル群をインターレース走査における1走査目分、第2のノズル群をインターレース走査における2走査目とそれぞれ読み替えることで適用可能である。
<フルライン方式における長尺ヘッドを構成する各記録ヘッドや記録チップに適用する場合>
短尺の記録ヘッドを複数つないで長尺ヘッドを構成するようなフルライン方式では、通常、短尺の記録ヘッドに複数のノズル群が平行配置されている。それら複数のノズル群を、前述の第1のノズル群や第2のノズル群と読み替えて適用すればよい。
本発明は、上述した実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給することによっても実現できる。この場合、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することにより、上述した実施例の機能を実現する。
110 画像処理装置
114 ハーフトーン処理部
120 画像形成装置
201 閾値マトリクス選択部

Claims (22)

  1. 異なるドット配置のドット群を同一の領域に対して重ねることで記録媒体上に画像を形成する画像形成手段で用いるハーフトーン画像を生成する画像処理装置であって、
    前記異なるドット配置の各々に対応する閾値マトリクスを選択する選択手段と、
    前記選択手段で選択された閾値マトリクスをそれぞれ用いて入力画像を量子化し、前記異なるドット配置のハーフトーン画像を生成する量子化手段と、
    を備え、
    前記選択手段は、前記異なるドット配置の一部のドット配置に対応する閾値マトリクスとして、前記異なるドット配置のドット群間の相対的な位置ズレに適したロバスト性を有する閾値マトリクスを選択する
    ことを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記選択手段は、前記一部のドット配置の残りのドット配置に対応する閾値マトリクスとして、前記異なるドット配置のドット群間の相対的な位置ズレに拠らない共通の閾値マトリクスを選択する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記相対的な位置ズレに適したロバスト性は、粒状性劣化に対するロバスト性であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
  4. 前記相対的な位置ズレに適したロバスト性は、濃度変動に対するロバスト性であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
  5. 前記共通の閾値マトリクスは、前記異なるドット配置のうち、先行する画像形成で用いられるドット配置に対応する閾値マトリクスであることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  6. 前記共通の閾値マトリクスは、ブルーノイズ特性を有すること特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置
  7. 前記選択手段は、前記異なるドット配置のドット群間の相対的な位置ズレの程度を示す情報に基づいて、前記異なるドット配置の一部のドット配置に対応する閾値マトリクスを選択することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  8. 前記選択手段は、前記相対的な位置ズレの程度を示す情報を入力値とし、対応する閾値マトリクスを出力値としたルックアップテーブルを用いて、前記選択を行なうことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
  9. 前記相対的な位置ズレの程度を示す情報には、ドット群間の相対的な位置ズレの量の最大値、平均値、分散、ズレ方向或いは大きさの確率分布のうちすくなくとも1つが含まれることを特徴とする請求項7又は8に記載の画像処理装置。
  10. 同一の位置ズレ量に対する濃度変動の程度が異なる複数のパッチで構成されるチャートのデータを生成する手段と、
    前記画像形成手段に対し、前記チャートの印刷を指示する手段と、
    をさらに備え、
    前記選択手段は、前記チャートの印刷結果に基づいてユーザが指定した閾値マトリクスを、前記相対的な位置ズレに適したロバスト性を有する閾値マトリクスとして選択する、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  11. 前記画像形成手段は、複数のノズル群を備え、
    前記チャートを生成する手段は、各パッチ内を複数の領域に分割し、当該領域毎に前記複数のノズル群のそれぞれに対する画像データの分配率を異ならせて前記複数のパッチを形成することにより、前記チャートのデータを生成する
    ことを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。
  12. 前記パッチは、前記複数のノズル群の各ノズル群に対応するドット群間の相対的な位置ズレがない場合には、前記複数の領域の境界が視認されないことを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
  13. 前記パッチは、さらに、前記複数の領域におけるそれぞれのドット配置が略等しくなるように形成されることを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置。
  14. 前記チャート上の各パッチは、記録媒体の幅方向又は記録媒体の搬送方向に対して、各パッチの生成に使用した複数の閾値マトリクス組が異なるように配置されることを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  15. 前記画像形成手段は、記録媒体の幅方向をカバーする複数のノズル群が、搬送方向に対して一定距離で配置されたフルライン方式の画像形成手段であり、
    前記異なるドット配置と前記複数のノズル群がそれぞれ対応付けられる
    ことを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  16. 前記画像形成手段は、1個のノズル群を備え、走査毎に間を補完するように複数の走査を行うインターレース走査の方式の画像形成手段であり、
    前記異なるドット配置と前記複数の走査がそれぞれ対応付けられる
    ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  17. 前記画像形成手段は、複数のノズル群を備え、
    前記複数のノズル群のそれぞれは、インクを吐出可能な記録媒体上の位置が制限され、
    前記異なるドット配置は前記複数のノズル群の各々に対応し、
    前記複数の閾値マトリクス組における各閾値マトリクスは、前記インクを吐出可能な記録媒体上の位置に対応する閾値のみを有する
    ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  18. 異なるドット配置のドット群を同一の領域に対して重ねることで記録媒体上に画像を形成する画像形成手段で用いるハーフトーン画像を生成する画像処理装置であって、
    前記異なるドット配置の各々に対応する閾値マトリクスを、前記異なるドット配置のドット群間の相対的な位置ズレの程度を示す情報に基づいて作成する作成手段と、
    前記作成手段で作成された閾値マトリクスをそれぞれ用いて入力画像を量子化し、前記異なるドット配置のハーフトーン画像を生成する量子化手段と、
    を備え、
    前記作成手段で作成される閾値マトリクスのうち、
    前記異なるドット配置の一部のドット配置に対応する閾値マトリクスは、前記異なるドット配置のドット群間の相対的な位置ズレに拠らない固定の閾値マトリクスであり、
    前記一部のドット配置の残りのドット配置に対応する閾値マトリクスは、前記異なるドット配置のドット群間の相対的な位置ズレに適したロバスト性を有する閾値マトリクスである、
    ことを特徴とする画像処理装置。
  19. 前記画像形成手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  20. 異なるドット配置のドット群を同一の領域に対して重ねることで記録媒体上に画像を形成する画像形成手段で用いるハーフトーン画像を生成する方法であって、
    前記異なるドット配置の各々に対応する閾値マトリクスを選択するステップと、
    前記選択するステップで選択された閾値マトリクスをそれぞれ用いて入力画像を量子化し、前記異なるドット配置のハーフトーン画像を生成するステップと、
    を含み、
    前記選択するステップは、前記異なるドット配置の一部のドット配置に対応する閾値マトリクスとして、前記異なるドット配置のドット群間の相対的な位置ズレに適したロバスト性を有する閾値マトリクスを選択する
    ことを特徴とする方法。
  21. 異なるドット配置のドット群を同一の領域に対して重ねることで記録媒体上に画像を形成する画像形成手段で用いるハーフトーン画像を生成する方法であって、
    前記異なるドット配置の各々に対応する閾値マトリクスを、前記異なるドット配置のドット群間の相対的な位置ズレの程度を示す情報に基づいて作成するステップと、
    前記作成ステップで作成された閾値マトリクスをそれぞれ用いて入力画像を量子化し、前記異なるドット配置のハーフトーン画像を生成するステップと、
    を備え、
    前記作成するステップで作成される閾値マトリクスのうち、
    前記異なるドット配置の一部のドット配置に対応する閾値マトリクスは、前記異なるドット配置のドット群間の相対的な位置ズレに拠らない固定の閾値マトリクスであり、
    前記一部のドット配置の残りのドット配置に対応する閾値マトリクスは、前記異なるドット配置のドット群間の相対的な位置ズレに適したロバスト性を有する閾値マトリクスである、
    ことを特徴とする方法。
  22. コンピュータを、請求項1乃至19の何れか一項に記載の画像形成装置として機能させるためのプログラム。
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