JP2016088018A - 射出成形金型、エジェクタピン、及び射出成形方法 - Google Patents

射出成形金型、エジェクタピン、及び射出成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】充填部に溶融樹脂を充填する際に、充填部内の空気を簡易な構成で適切に排出する。【解決手段】射出成形装置1は、射出された樹脂が充填されるキャビティ12と、キャビティ12に連通し、キャビティ12の気体を排出可能な通気孔36と、通気孔36の開口36aを閉塞する閉塞位置から排出位置へ前進してキャビティ12から成形品を押し出すエジェクタピン50とを備える。エジェクタピン50は、ピン本体51と、ピン本体51の軸方向一端側に設けられ、閉塞位置に位置する際に外周面にて開口36aを閉塞する先端部52と、ピン本体51の軸方向中央側の外周面に軸方向に沿って形成された溝54bを有し、排出位置の際に溝54bが開口36aから露出する溝部54とを有し、キャビティ12に樹脂が充填される際に、エジェクタピン50が排出位置から閉塞位置へ後退する。【選択図】図5

Description

本発明は、射出成形金型、エジェクタピン、及び射出成形方法に関する。
従来、射出成形では、金型のキャビティ(充填部)に溶融樹脂を充填させて成形品を成形した後に、エジェクタピンによって成形品を金型から離型させている。ところで、溶融樹脂を充填する際に充填部にガスや空気(以下、総称して気体と呼ぶ)が存在すると、成形品の成形に悪影響を及ぼすことが知られており、その対策として、充填部から気体を逃がす構成を採用している。
特許文献1には、エジェクタピンの先端部にガス抜き路の開口を開閉する弁体を有する射出成形金型が開示されている。弁体は、コイルバネに付勢されて開口を開放保持している。このように弁体が開口を開放することで、キャビティのガスが、エジェクタピンが嵌合するピン孔とのクリアランスを介して金型の外部に排出される。
特許第2528258号公報
ところで、特許文献1に記載のガス抜き構成の場合には、構成が複雑である。また、弁体は、キャビティ内に射出される溶融樹脂の成形圧が所定値以上となったときにコイルバネの付勢力に抗して開口を閉じる構成となっているため、開口を閉じるタイミングが不安定となり、ガス抜きの制御が精度良く行えない恐れがある。
また、特許文献1においては、エジェクタピンとピン孔とのクリアランスは微小であるため、キャビティの空気を十分に排出できない恐れがある。
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、充填部に溶融樹脂を充填する際に、充填部内の空気を簡易な構成で適切に排出することを目的とする。
本発明の第1の態様においては、射出された溶融樹脂が充填される充填部と、前記充填部に連通し、前記充填部の気体を排出可能な通気孔と、前記通気孔に進退可能に取り付けられ、前記通気孔の開口を閉塞する閉塞位置から前進位置へ前進して前記充填部から前記溶融樹脂の成形品を押し出すエジェクタピンとを備える射出成形金型であって、前記エジェクタピンは、円柱状のピン本体と、前記ピン本体の軸方向一端側に設けられ、前記エジェクタピンが前記閉塞位置に位置する際に外周面にて前記開口を閉塞する一端部と、前記ピン本体の軸方向中央側の外周面に軸方向に沿って形成された溝を有し、前記前進位置の際に前記溝が前記開口から露出する溝部とを有し、前記充填部に前記溶融樹脂が充填される際に、前記エジェクタピンが前記前進位置から前記閉塞位置へ後退する射出成形金型を提供する。
上記の射出成形金型において、前記溝部の前記軸方向と直交する断面形状は、略十字状の形状であってもよい。また、上記の射出成形金型において、前記溝部は、前記一端部から繋がって設けられ、前記溝部と前記一端部の接続部分に、曲面部が形成されていてもよい。
上記の射出成形金型において、前記溝部の溝は、前記ピン本体の軸方向中央側の外周面において、前記充填部で前記溶融樹脂が充填される充填口に対向する部分に設けられていてもよい。
上記の射出成形金型において、前記通気孔は、前記充填部における前記溶融樹脂の充填方向の上流側に位置する第1通気孔と、前記充填方向の下流側に位置する第2通気孔とを含み、前記エジェクタピンは、前記第1通気孔に進退可能に取り付けられた第1エジェクタピンと、前記第2通気孔に進退可能に取り付けられた第2エジェクタピンとを含み、前記充填部に前記溶融樹脂が充填される際に、前記第1エジェクタピンが第1前進位置から前記閉塞位置へ後退し、前記第2エジェクタピンが前記第1前進位置よりも前進した第2前進位置から前記閉塞位置へ後退してもよい。
上記の射出成形金型において、前記第2エジェクタピンは、前記第1エジェクタピンの前記第1前進位置から前記閉塞位置への後退に連動して、前記第2前進位置から第3前進位置へ後退した後に、前記第1エジェクタピンが前記閉塞位置に位置した状態で、前記第3前進位置から前記閉塞位置へ後退してもよい。
本発明の第2の態様においては、射出成形される溶融樹脂が充填される充填部に連通し前記充填部の気体を排出可能な通気孔に進退可能に取り付けられ、前記通気孔の開口を閉塞する閉塞位置から前進して前記充填部から成形品を押し出すエジェクタピンであって、円柱状のピン本体と、前記ピン本体の軸方向一端側に設けられ、前記エジェクタピンが前記閉塞位置に位置する際に外周面にて前記開口を閉塞する一端部と、前記ピン本体の軸方向中央側の外周面に軸方向に沿って形成された溝を有する溝部とを備えるエジェクタピンを提供する。
上記のエジェクタピンにおいて、前記溝部の溝は、前記ピン本体の周方向において複数形成されていてもよい。また、上記のエジェクタピンにおいて、前記溝部の前記軸方向と直交する断面形状は、略十字状の形状であってもよい。
上記のエジェクタピンにおいて、前記溝部は、前記一端部から繋がって設けられ、前記溝部と前記一端部の接続部分に、曲面部が形成されていてもよい。また、上記のエジェクタピンにおいて、前記溝部の溝の深さは、前記ピン本体の半径よりも大きくてもよい。
本発明の第3の態様においては、充填部に溶融樹脂を充填して成形品を成形した後に、前記充填部に連通し前記充填部の気体を排出可能な通気孔に進退可能に取り付けられたエジェクタピンを前進させて前記成形品を押し出す射出成形方法であって、閉塞位置にて外周面が前記通気孔の開口を閉塞する前記エジェクタピンの軸方向中央側に軸方向に沿って形成された溝が、前記開口から露出するように、前記エジェクタピンを閉塞位置から前進位置へ前進させる前進ステップと、前記充填部に前記溶融樹脂が充填される際に、前記エジェクタピンを前記前進位置から前記閉塞位置へ後退させて、前記充填部の気体を前記開口と前記溝との間から前記通気孔を介して排出させる後退ステップとを有する射出成形方法を提供する。
上記の射出成形方法は、前記溶融樹脂を収容されたシリンダー部から前記充填部へ前記溶融樹脂を射出する射出ステップを更に有し、前記後退ステップにおいて、前記シリンダー部内の前記溶融樹脂の位置を検出し、検出結果から射出中の前記溶融樹脂が所定位置に達したら、前記エジェクタピンを前記前進位置から前記閉塞位置へ後退させてもよい。
上記の射出成形方法の前記前進ステップにおいて、前記シリンダー部から前記充填部への前記溶融樹脂の射出を開始する直前に、前記エジェクタピンを前記閉塞位置から前記前進位置へ前進させてもよい。
本発明によれば、充填部に溶融樹脂を充填する際に、充填部内の空気を簡易な構成で適切に排出するができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る射出成形装置1の概略構成の一例を示す模式図である。 射出成形装置1の概略構成の一例を示すブロック図である 充填部に溶融樹脂が充填された際の金型10の構成を示す図である。 成形品が充填部から押し出された際の金型10の構成を示す図である。 キャビティ12内の気体を排出する構成を説明するための図である。 エジェクタピン50の正面図である。 エジェクタピン50の側面図である。 図6のエジェクタピン50のA−A断面図である。 図6のエジェクタピン50のB−B断面図である。 溝部と通気孔との関係を説明するための図である。 エジェクタピン50の断面形状を示す図である。 エジェクタピン50の断面形状を示す図である。 エジェクタピン40の溝部の第1変形例を示す図である。 エジェクタピン40の溝部の第2変形例を示す図である。 一実施形態に係る射出成形時の射出成形装置1の動作の一例を示すフローチャートである。 射出成形中のエジェクタピン50の状態を説明するための模式図である。 第2の実施形態に係る金型10の構成を説明するための模式図である。 気体を排出するためのエジェクタピン50、360の移動の様子を説明するための模式図である。
<第1の実施形態>
(射出成形装置の概要)
図1及び図2を参照しながら、本発明の一実施形態に係る射出成形装置の概要について説明する。図1は、一実施形態に係る射出成形装置1の概略構成の一例を示す模式図である。図2は、射出成形装置1の概略構成の一例を示すブロック図である。
射出成形装置1は、図2に示すように、金型10と、型締めユニット65と、射出ユニット70と、検出部80と、制御部90と、記憶部92とを有する。射出成形装置1は、金型10のキャビティ12に溶融樹脂を充填して成形品を成形した後に、キャビティ12に連通した通気孔に進退可能に取り付けられたエジェクタピン40、50を前進させて成形品を押し出す装置である。
金型10は、射出成形装置1に着脱可能に装着される。金型10は、開閉可能な雌型20と雄型30とで構成されている。金型10は、射出ユニット70から流入した溶融樹脂により成形品を成形する。金型10は、図1に示すように、充填部であるキャビティ12と、スプルー13と、ランナー14と、を有する。
キャビティ12には、溶融樹脂が充填される。キャビティ12は、成形品の形状に合わせて形成された凹部である。スプルー13は、射出ユニット70のノズルから樹脂が流入する部分である。ランナー14は、スプルー13とキャビティ12の間の通路である。射出ユニット70から射出された溶融樹脂は、スプルー13及びランナー14を経て、キャビティ12内に充填される。
型締めユニット65は、金型10を構成する雌型20と雄型30とを開閉する機構である。型締めユニット65は、例えばトグル式の機構(不図示)により金型を開閉する。金型10が閉じた状態でキャビティ12において成形品が成形され、金型10を開けた状態でエジェクタピン40、50によって成形品を金型10から離型させる。
射出ユニット70は、樹脂を加熱溶融して金型10内に射出する。射出ユニット70は、図1に示すように、ホッパー71と、シリンダー72と、ヒータ73と、スクリュー74と、ノズル75と、モータ76とを有する。
ホッパー71は、樹脂を収容する。シリンダー72は、円筒状の形状を成しており、ホッパー71から樹脂が供給される。ヒータ73は、シリンダー72の外周に設けられ、シリンダー72内の樹脂を加熱溶融する。スクリュー74は、シリンダー72内にモータ76によって図1に示す矢印方向に移動可能に設けられている。ノズル75は、シリンダー72の先端に設けられた吐出口である。
スクリュー74がノズル75側へ前進することで、ヒータ73により溶融された樹脂がノズル75から射出される。スクリュー74の移動量と樹脂の射出量とには相関関係があるため、スクリュー74の移動量を制御することで、樹脂のノズル75からの射出量を管理可能である。
検出部80は、金型10、型締めユニット65、及び射出ユニット70等の状態を検出する。例えば、検出部80は、射出ユニット70のスクリュー74の位置を検出する位置検出センサを含む。これにより、位置検出センサによる検出結果に基づいて、スクリュー74の移動量を検出可能となる。
制御部90は、射出成形装置1の全体動作を制御する。例えば、制御部90は、記憶部92に記憶されたプログラムに基づいて型締めユニット65及び射出ユニット70を動作させることで、射出成形を行う。
記憶部92は、制御部90が実行するプログラムや、制御部90が制御を行う際に用いるデータを記憶する。例えば、記憶部92は、射出成形を行う各種条件(例えば、スクリューの移動量や移動速度、ヒータの加熱温度、金型の冷却温度等)を記憶する。
(金型の構成)
図3及び図4を参照しながら、金型10の内部構成の一例について説明する。図3は、キャビティ12に溶融樹脂が充填された際の金型10の構成を示す図である。図4は、成形品がキャビティ12から押し出された際の金型10の構成を示す図である。
金型10は、図3と図4に示すように、雌型20と、雄型30と、エジェクタピン40と、エジェクタピン50と、可動プレート60とを有する。
雌型20は、射出ユニット70(図1)から射出された溶融樹脂が流入する。雌型20には、図1で説明したキャビティ12、スプルー13及びランナー14のそれぞれの一部を構成するスプルー孔21、ランナー凹部22及びキャビティ凹部23が形成されている。
雄型30は、雌型20に対向し、雌型20との間で相対的に移動可能な構成となっている。雄型30には、キャビティ12、スプルー13及びランナー14のそれぞれの一部を構成するスプルー孔31、ランナー凹部32及びキャビティ凹部33が形成されている。ランナー凹部32及びキャビティ凹部33には、それぞれ貫通孔である通気孔35、36が連通している。通気孔35、36は、キャビティ12内の気体を外部へ排出させる機能を有する。
エジェクタピン40は、ランナー14(具体的には、ランナー凹部32)に連通した通気孔35に進退可能に取り付けられていてもよい。エジェクタピン40は、通気孔35の開口35aを閉塞する閉塞位置(図3に示す位置)と、成形品を押し出す押出し位置(図4に示す位置)と、の間で移動する。エジェクタピン40は、ピン本体41と、先端部42と、連結部43とを有する。エジェクタピン40は、連結部43と接合する後端部(不図示)をさらに有していてもよい。
ピン本体41は、細長い円柱状の軸である。ピン本体41の外径は、通気孔35の内径より僅かに小さい。
先端部42は、ピン本体41の軸方向一端側の部分である。先端部42は、ピン本体41が閉塞位置に位置する際に通気孔35の開口35aを閉塞し、押出し位置に位置する際に成形品を押し出す。
連結部43は、ピン本体41の軸方向他端側の部分であり、可動プレート60と連結されている。連結部43は、可動プレート60の移動に伴い移動可能な構成となっている。このため、エジェクタピン40は、可動プレート60の移動に伴い、閉塞位置と押出し位置との間を移動する。
エジェクタピン50は、キャビティ12に連通した通気孔36に進退可能に取り付けられている。エジェクタピン50は、例えば、スプルー13から見てエジェクタピン40よりも離れた位置に位置する。エジェクタピン50は、エジェクタピン40と同様に、閉塞位置(図3に示す位置)と押出し位置(図4に示す位置)との間で移動する。なお、スプルー13とエジェクタピン40との距離、及びスプルー13とエジェクタピン50との距離の関係は任意であり、成形品の形状に基づいて設定してよい。
エジェクタピン50は、閉塞位置に位置する際に先端部52が通気孔36の開口36aを閉塞し、押出し位置に位置する際に先端部52がキャビティ12から成形品を押し出す。また、エジェクタピン50は、軸方向他端側で可動プレート60と連結されている。
一方で、エジェクタピン50には、エジェクタピン40とは異なり、キャビティ12の気体を排出するための溝部54が形成されている。なお、溝部54を含むエジェクタピン50の詳細構成については、後述する。
可動プレート60は、エジェクタピン40及びエジェクタピン50の軸方向他端側に移動可能に設けられている。可動プレート60は、移動することで、当該可動プレート60と連結されたエジェクタピン40及びエジェクタピン50を閉塞位置と押出し位置との間で移動させる。可動プレート60は、可動プレート60を移動させる駆動源(不図示)と連結された連結軸62を有し、駆動源の動力を受けて移動する。
(キャビティ12からの気体の排出について)
射出成形装置1においては、成形品の品質を確保するために、キャビティ12のガスを排出しながら、キャビティ12に樹脂を充填する。ガスの排出は、従来、雌型20と雄型30との境界であるパーティングラインでの隙間、金型10の入れ子構造による部材間の隙間、エジェクタピンと通気孔の間の隙間等から排出されるようになっている。しかし、これらの隙間は微小であるため、ガスを十分に排出することができず、ガスが残留するキャビティ12に樹脂が充填されることになる。キャビティ12に残留するガスは通常高温であるため、ガスが残留したキャビティ12に樹脂を充填して成形品を成形した場合には、前記ガスによって成形品に外観不良や形状不良等が発生しうる。
上記の問題を解決する方策として、例えば、エジェクタピンと通気孔の間の隙間(クリアランス)を大きくすることが提案されている。しかし、かかる方策の場合には、隙間が大きくなることで、当該隙間に樹脂が付着することにより、成形品にバリが発生する恐れがある。他方で、クリアランスを狭くし過ぎると、隙間が、モールドデポジットによって塞がれてしまい、金型10内にガスが残留しやすくなるので、所謂ガス焼け、ガスショート、テカリなどの外観及び機能不良を誘発する恐れがある。
また、モールドデポジットを除去するためには、定期的に金型を分解して清掃を行う必要がある。さらに、超音波洗浄や有機溶剤による丁寧な脱脂作業を行わなければ、モールドデポジットを除去できない。このため、モールドデポジットを除去のために、手間とコストを要することになる。
これに対して、本実施形態では、エジェクタピン50の外周面に軸方向に沿って形成された溝を有する溝部54が設けられ、溝部54の溝は、エジェクタピン50が前進位置である排出位置に位置する際に通気孔36から露出する。そして、キャビティ12に樹脂が充填される際に、エジェクタピン50が排出位置から閉塞位置へ後退する。
図5は、キャビティ12内の気体を排出する構成を説明するための図である。図5に示すように、エジェクタピン50は、キャビティ12内への溶融樹脂(以下、単に樹脂と呼ぶ)の充填が開始された際に、排出位置に位置している。このため、樹脂のキャビティ12内への流入に伴い、キャビティ12内の気体が、溝部54に流れ込んだ後、溝部54と通気孔36の内周壁の間の隙間から外部へ排出される。溝部54を設けることにより、溝部54の領域だけ気体を排出する隙間(空間)が広がるので、気体を排出しやすくなる。また、気体が金型外へ排出されるため、モールドデポジットの付着が大幅に低下する。
一方で、エジェクタピン50は、樹脂がキャビティ12で通気孔36に至る直前に閉塞位置に位置する。これにより、エジェクタピン50と通気孔36の間の隙間に樹脂が付着することを抑制できるので、目詰まりの発生を防止できる。
なお、図5では、一つの通気孔36及びエジェクタピン50が示されているが、実際には、金型10の奥行き方向に他の通気孔36及びエジェクタピン50が存在する。これにより、複数の通気孔36から気体を外部へ排出できる。
(エジェクタピンの詳細構成)
キャビティ12から気体を適切に排出できるエジェクタピン50の詳細構成について、図6〜図9を参照しながら説明する。
図6は、エジェクタピン50の正面図である。図7は、エジェクタピン50の側面図である。図8は、図6のエジェクタピン50のA−A断面図である。図9は、図6のエジェクタピン50のB−B断面図である。
エジェクタピン50は、図6に示すように、ピン本体51と、先端部52と、固定部53と、溝部54とを有する。
ピン本体51は、細長い円柱状の軸である。ピン本体51の外径は、通気孔36の内径より僅かに小さい。
先端部52は、ピン本体51の軸方向一端側の一端部である。先端部52は、ピン本体51の外径と同じ大きさの外径を有し、エジェクタピン50が閉塞位置に位置する際に外周面にて通気孔36の開口36aを閉塞する。また、先端部52の軸方向の幅は、開口36aを閉塞できる大きさであればよく、例えば2mm以下である。
固定部53は、ピン本体51の軸方向他端側の他端部である。固定部53は、可動プレート60に固定され、可動プレート60の移動に連動して移動することで、エジェクタピン50も移動する。固定部53は、可動プレート60に固定するために、ピン本体51の外径よりも大きい外径を有する。なお、前述したエジェクタピン40の連結部43は、図4に示すように、可動プレート60の座ぐり穴63と嵌合しており、可動プレート60に固定されていない。
溝部54は、先端部52と繋がっており、軸方向において先端部52よりも軸方向中央側に形成されている。溝部54の先端部52側の一部は、排出位置の際に通気孔36の開口36aから露出する。溝部54は、ピン本体51の外周面を削ることで形成されている。
溝部54は、図9に示すように、支柱部54aと、支柱部54aの周囲に形成された溝54bと、を有する。
支柱部54aは、ピン本体51の中心に対して対称な形状となっている。具体的には、支柱部54aの断面形状は、十字状である。
溝54bは、ピン本体51の軸方向に沿って形成されている。また、溝54bは、ピン本体51の周方向において複数形成されている。ここでは、図9に示すように、周方向において所定間隔で4つの溝54bが形成されている。溝54bの形状は、扇形状である。このような溝54bを設けることで、溝部54の断面形状が略十字状の形状となっている。溝54bの深さは、例えば図9に示すようにピン本体51の半径の約半分の大きさである。
溝54bの軸方向の長さL2は、通気孔36の長さ(図4に示す長さL1)よりも大きい。これにより、エジェクタピン50が排出位置に位置する際に、キャビティ12内の気体を、溝54bを介して排出させることができる。また、通気口36の径が開口36aの反対方向の途中から大きくなる場合は、溝54bの軸方向の長さL2は、開口36aから、当該通気口36の径が大きくなる部分までの長さを越える程度でもよい。
溝54bは、ピン本体51の軸方向中央側の外周面において、キャビティ12へ樹脂が充填される充填口であるランナー14に対向する部分に設けられている。キャビティ12内の気体は、樹脂の充填方向に沿って流れやすい。このため、溝54bをランナー14に対向する部分に設けることで、気体が溝54bに入り込みやすくなり、気体を排出させやすい。
なお、図8では、支柱部54aの外径が軸方向において同じ大きさに示されているが、これに限定されず、例えば支柱部54aがテーパ形状となっていてもよい。すなわち、支柱部54aの外径が、軸方向において先端部52から離れるに従って外径が小さくなってもよい。
上述した構成のエジェクタピン50は、キャビティ12に樹脂が充填される際に、溝54bが開口36aから露出する排出位置から閉塞位置へ後退する。例えば、エジェクタピン50は、射出ユニット70のスクリュー74がノズル75から所定距離(図1に示す距離L3)まで近づいたと検出部80により検出されると、排出位置から閉塞位置へ後退する。所定距離は、予め実験等により、通気孔36の近傍まで樹脂が至るまで樹脂を射出するスクリュー74の位置に対応するように設定されている。このため、上記のタイミングでエジェクタピン50を後退させることで、通気孔36に樹脂が到達する直前まで気体を排出することができる。
なお、上記では、スクリュー74がノズル75から所定距離まで近づいたことを検出部80が検出すると、エジェクタピン50が排出位置から閉塞位置へ後退することとしたが、これに限定されない。例えば、樹脂の射出のためにスクリュー74がノズル75側へ前進する時間が所定時間に達したら、エジェクタピン50が排出位置から閉塞位置へ後退してもよい。すなわち、樹脂の射出が開始されてからの時間に応じて、エジェクタピン50が排出位置から閉塞位置へ後退してもよい。
ところで、上記では、溝部54の4つの溝54bが、円周方向において離隔して4つ設けられていることとした。かかる場合には、エジェクタピン50が後退した際に、先端部52が通気孔の縁と干渉することを防止できる。以下では、図10を参照しながら、比較例と対比しつつ説明する。
図10は、溝部と通気孔との関係を説明するための図である。図10(a)は比較例に係るエジェクタピン950の溝部954を示し、図10(b)は本実施形態に係るエジェクタピン50の溝部54を示している。
比較例のエジェクタピン950の溝部954では、図10(a)に示すように円周方向の全領域に亘って溝が形成され、支柱部954aの断面形状が径の小さい円形状となっている。エジェクタピン950は、細長い軸であるので移動の際に振れることあり、かかる場合には、図10(a)に示すように、エジェクタピン950の中心C2が通気孔36の中心C1とずれる。そして、排出位置に位置するエジェクタピン950が後退する際に、エジェクタピン950の中心C2が通気孔36の中心C1とずれていると、エジェクタピン950の先端部952が通気孔36の縁と干渉してしまう(乗り上がってしまう)ので、エジェクタピン950が閉塞位置まで移動できず、先端部952が通気孔36を適切に閉塞できない。また、通気孔36の縁に先端部952が乗り上がることで、通気孔36が損傷する恐れがある。また、支柱部954aの部分で、座屈が発生する恐れがある。
これに対して、本実施形態に係るエジェクタピン50は、図9に示すように支柱部54aの断面形状が十字状である。このため、仮にエジェクタピン50の振れが発生しようとても、支柱部54aの外周縁が通気孔36の内周壁と接触して、触れが抑制される。この結果、図10(b)に示すように、エジェクタピン50の中心C2が通気孔36の中心C1と一致しやすいので、エジェクタピン50が後退した際に通気孔36の縁と干渉する(縁に乗り上がる)ことを防止できる。また、支柱部54aの断面形状を十字状にすることで、溝部54の剛性の低下を抑制でき、溝部54での座屈の発生を抑制できる。
(変形例)
上述した支柱部54aの円周縁には、図11に示すような面取り56が形成されてもよい。
図11は、エジェクタピン50の断面形状を示す図である。図11に示すように面取り56を形成することで、支柱部54aの縁に気体が当たって発生する乱流を抑制できる。これにより、乱流によって気体が溝54bに流入しないことを防止でき、この結果気体を溝54bから適切に排出できる。
また、支柱部54aと先端部52の接続部分である角に、図12に示すような曲面部58が形成されてもよい。
図12は、エジェクタピン50の断面形状を示す図である。図12に示すように曲面部58を形成することで、支柱部54aと先端部52の角のエッジが無くなり、キャビティ12から気体が曲面部58に沿って溝54bに呼び込まれやすくなる。すなわち、曲面部58が、気体の呼び込み部となっている。これにより、支柱部54aと先端部52の角で気体がキャビティ12へ跳ね返ることを抑制でき、この結果気体を溝54bから適切に排出できる。
上記では、支柱部54aの断面形状が、図9に示すような略十字状の形状であることとしたが、これに限定されない。例えば、支柱部54aの断面形状は、図13や図14に示す形状であってもよい。
図13は、エジェクタピン50の溝部の第1変形例を示す図である。第1変形例に係る溝部154には、周方向において所定間隔で3つの溝154bが形成されている。このため、支柱部154aの断面形状は、略Y字状の形状(三叉の形状)である。溝154bの深さは、図9の溝54bの深さと同じであるが、溝154bの幅は、溝54bの幅よりも大きい。かかる場合には、気体を排出する空間が広くなり、気体を排出しやすくなる。
なお、第1変形例の支柱部154aの外周縁にも、図10に示すような面取り56がされてもよい。
図14は、エジェクタピン50の溝部の第2変形例を示す図である。第2変形例に係る溝部254には、一つの溝254bが形成されている。溝254bは、キャビティ12において充填される樹脂が接近してくる接近方向に面している。そして、溝254bの深さは、ピン本体51の半径よりも大きくなっている。また、溝254bの幅は、ピン本体51の半径とほぼ同じ大きさである。これにより、溝254bが一つであっても、気体を排出する空間を十分に確保することができる。特に、第2変形例の構成は、外周面に複数の溝を形成することが困難な、外径が小さいエジェクタピン50において、有効である。
なお、第2変形例のエジェクタピン50には、周方向への回転を抑制するための周り止めが設けられてもよい。かかる場合には、溝254bが樹脂の接近方向に面した状態を維持できるので、気体を適切に排出できる。
(射出成形方法)
上述した射出成形装置1を用いた射出成形方法の一例について、図15及び図16を参照しながら説明する。
図15は、一実施形態に係る射出成形時の射出成形装置1の動作の一例を示すフローチャートである。図16は、射出成形中のエジェクタピン50の状態を説明するための模式図である。本処理は、制御部90(図2)が記憶部92に記憶されたプログラムを実行することで、実現される。
図15のフローチャートは、開いた状態の金型10の雌型20と雄型30とを型締めするところから開始される(ステップS102)。金型10を型締めした際に、エジェクタピン40及びエジェクタピン50は、図16(a)に示すように、それぞれ閉塞位置に位置する。
次に、制御部90は、可動プレート60を移動させることで、閉塞位置に位置するエジェクタピン50を図16(b)に示すように排出位置へ前進させる(ステップS104)。この際、エジェクタピン40は、座ぐり穴63(図5)によって、図16(b)に示すように移動せず閉塞位置に位置した状態が維持される。
次に、制御部90は、射出ユニット70から金型10へ樹脂を射出させる(ステップS106)。すなわち、射出ユニット70のスクリュー74が前進することで、樹脂が金型10内へ射出される。なお、上記では、エジェクタピン50を排出位置へ前進させた後に、樹脂を射出することとしたが、これに限定されない。例えば、樹脂の射出と、エジェクタピン50の排出位置への移動とを、同時に行ってもよい。また、樹脂の射出を開始した後に、エジェクタピン50を排出位置へ前進させてもよい。
金型10内へ射出された樹脂は、スプルー13、ランナー14を経由してキャビティ12内へ流入する。この際、エジェクタピン50が排出位置に位置するので、樹脂がキャビティ12内に流入する際に、キャビティ12内の気体が、図16(c)に示すようにエジェクタピン50の溝部54へ流れ込む。そして、気体は、溝部54と通気孔36を介して外部へ排出される。
次に、制御部90は、検出部80により、前進したスクリュー74がノズル75から所定距離まで近づいたか否かを判定する(ステップS108)。そして、制御部90は、ステップS108でスクリュー74が所定距離(図1に示す距離L3)まで近づいたと判定した場合には、可動プレート60を移動させることで、排出位置に位置するエジェクタピン50を図16(d)に示すように閉塞位置へ後退させる(ステップS110)。これにより、樹脂が通気孔36に到達する前に、エジェクタピン50が通気孔36の開口36aを閉塞するので、樹脂が通気孔36内に付着することを防止できる。なお、ステップS110の際も、エジェクタピン40は、図16(d)に示すように、移動せず閉塞位置に位置した状態が維持させる。
その後、制御部90は、スクリュー74を所定位置まで前進させることで、キャビティ12内への樹脂の充填が完了する。前述したようにエジェクタピン50の溝部54と通気孔36を介して気体が排出されるので、キャビティ12内に気体が存在しない、又は極めて微量の気体が存在した状態で、キャビティ12内に樹脂が充填されることになる。
制御部90は、金型10の保圧・冷却して、成形品を成形する(ステップS112)。次に、制御部90は、金型10を開くと共に可動プレート60を移動させて、閉塞位置に位置するエジェクタピン40及びエジェクタピン50を、図16(e)に示すように、それぞれ押出し位置へ前進させる(ステップS114)。これにより、キャビティ12内の成形品が金型10から離型される。
(第1の実施形態における効果)
第1の実施形態においては、キャビティ12に連通した通気孔36に進退可能に取り付けられたエジェクタピン50の外周面に軸方向に沿って形成された溝54bは、エジェクタピン50が排出位置に位置する際に通気孔36から露出する。そして、キャビティ12に樹脂が充填される際に、エジェクタピン50が排出位置から閉塞位置へ後退する。具体的には、エジェクタピン50が、樹脂の充填開始直前に閉塞位置から排出位置へ前進し、樹脂の充填中に排出位置から閉塞位置へ後退する。
かかる場合には、樹脂のキャビティ12内への流入に伴い、キャビティ12内の気体が、溝54bに流れ込んだ後、溝54bと通気孔36の内周壁の間の隙間から外部へ排出される。溝54bを設けることにより、溝54bの領域だけ気体を排出する隙間(空間)が広がるので、気体を排出しやすくなる。この結果、成形品の外観が良くなり、歩留まり向上につながる。
また、エジェクタピン50は、樹脂がキャビティ12で通気孔36に至る直前に閉塞位置に位置する。これにより、エジェクタピン50と通気孔36の間の隙間に樹脂が付着することを抑制できるので、目詰まりの発生を防止できる。これにより、金型10の清掃等の補修の周期が長くなり、補修コストが低下する。
さらに、エジェクタピン50は、溝54bが無い既存のエジェクタピンの外周面を削ることで形成可能である。このため、既存のエジェクタピンが取りけられた金型において、既存のエジェクタピンをエジェクタピン50に交換することで、キャビティ12内の気体を排出することができる。このように、既存の射出形成装置にエジェクタピン50を低コストで搭載できる。
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、溝部54を有するエジェクタピン50が通気孔36に進退可能に取り付けられていることとした。これに対して、第2の実施形態では、エジェクタピン50に加えて、溝部を有するがエジェクタピン50に比べて前進量が小さいエジェクタピン360が通気孔337に進退可能に取り付けられている点で、第1の実施形態と相違する。また、エジェクタピン50が、排出位置から閉塞位置へ後退する際に、排出位置と閉塞位置との間の停止位置で一時停止した後に閉塞位置へ移動する(2段階後退)点が、第1の実施形態と相違する。
図17は、第2の実施形態に係る金型10の構成を説明するための模式図である。
第2の実施形態に係る金型10は、図17に示すように、第1の実施形態で説明したエジェクタピン40及びエジェクタピン50と、エジェクタピン360とを有する。エジェクタピン40、50の構成は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
エジェクタピン360は、キャビティ12に連通した通気孔337に進退可能に取り付けられている。通気孔337は、キャビティ12における樹脂の充填方向の上流側に位置する。なお、エジェクタピン50が進退可能に取り付けられている通気孔36は、充填方向の下流側に位置する。
エジェクタピン360は、エジェクタピン50と同様に、閉塞位置と、押出し位置と、排出位置との間で移動する。図17は、3つのエジェクタピン40、50、360が閉塞位置に位置する状態を示している。なお、図17には図示されていないが、エジェクタピン360も可動プレート60(図1)に連結されており、可動プレート60の移動に連動して移動する。なお、エジェクタピン360は、可動プレート60の座ぐり穴(不図示)の部分と連結されており、前進量がエジェクタピン50よりも小さくなっている。
エジェクタピン360は、エジェクタピン50と同様な形状であり、先端部362と、溝部364とを有する。先端部362は、エジェクタピン360が閉塞位置に位置する際に通気孔337の開口337aを閉塞し、押出し位置に位置する際にキャビティ12内の成形品を押し出す。溝部364は、エジェクタピン360が排出位置に位置する際に開口337aから露出し、キャビティ12内の気体を排出させる。
続いて、図17及び図18を参照しながら、キャビティ12に樹脂を充填する際に気体を排出するエジェクタピン50及びエジェクタピン360の移動について説明する。図18は、気体を排出するためのエジェクタピン50、360の移動の様子を説明するための模式図である。
エジェクタピン50及びエジェクタピン360が、可動プレート60の移動に伴い、図17に示す閉塞位置から図18(a)に示す排出位置へ前進する。ここで、エジェクタピン360の排出位置(第1前進位置に該当)は、図18(a)に示すようにエジェクタピン50の排出位置よりも前進量(第2前進位置に該当)が少ない位置である。
エジェクタピン50及びエジェクタピン360が排出位置に位置した状態で、樹脂がキャビティ12に流入するが、この際にエジェクタピン50の溝部54及びエジェクタピン360の溝部364を介してキャビティ12の気体が排出される。
その後、キャビティ12内に流入した樹脂が通気孔337に至る直前に、可動プレート60の移動に伴い、排出位置に位置するエジェクタピン50及びエジェクタピン360が後退する(以下、第1後退と呼ぶ)。具体的には、図18(b)に示すように、エジェクタピン360が閉塞位置に後退し、エジェクタピン50が停止位置(第3前進位置に該当)へ後退する。エジェクタピン50が停止位置に位置する際には、エジェクタピン50の溝部54が通気孔36の開口36aから露出しているので、気体を排出できる。
その後、第1後退から所定時間(樹脂が通気孔36に至る直前に対応する時間)経過した後に、可動プレート60の移動に伴い、停止位置に位置するエジェクタピン50が図17に示す閉塞位置へ後退する(以下、第2後退と呼ぶ)。第2後退の際には、エジェクタピン360は、閉塞位置に位置した状態である。
なお、エジェクタピン40は、上述したエジェクタピン50及びエジェクタピン360の前進、第1後退、第2後退の際に、移動せず閉塞位置に位置する。
第2の実施形態の場合には、キャビティ12内の樹脂の充填方向の下流側及び上流側に溝部を有するエジェクタピン50、360を設けたので、樹脂の充填に合わせて複数の通気孔36、337から気体を適切に排出できる。
なお、第2の実施形態では、通気孔337が第1通気孔に該当し、通気孔36が第2通気孔に該当する。また、エジェクタピン360が第1エジェクタピンに該当し、エジェクタピン50が第2エジェクタピンに該当する。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
1 射出成形装置
10 金型
12 キャビティ
36 通気孔
36a 開口
50 エジェクタピン
51 ピン本体
52 先端部
54 溝部
54a 支柱部
54b 溝
58 曲面部
60 可動プレート
70 射出ユニット
80 検出部
337 通気孔
360 エジェクタピン
364 溝部

Claims (14)

  1. 射出された溶融樹脂が充填される充填部と、
    前記充填部に連通し、前記充填部の気体を排出可能な通気孔と、
    前記通気孔に進退可能に取り付けられ、前記通気孔の開口を閉塞する閉塞位置から前進位置へ前進して前記充填部から前記溶融樹脂の成形品を押し出すエジェクタピンと、
    を備える、射出成形金型であって、
    前記エジェクタピンは、
    円柱状のピン本体と、
    前記ピン本体の軸方向一端側に設けられ、前記エジェクタピンが前記閉塞位置に位置する際に外周面にて前記開口を閉塞する一端部と、
    前記ピン本体の軸方向中央側の外周面に軸方向に沿って形成された溝を有し、前記前進位置の際に前記溝が前記開口から露出する溝部と、
    を有し、
    前記充填部に前記溶融樹脂が充填される際に、前記エジェクタピンが前記前進位置から前記閉塞位置へ後退する、射出成形金型。
  2. 前記溝部の前記軸方向と直交する断面形状は、略十字状の形状である、
    請求項1に記載の射出成形金型。
  3. 前記溝部は、前記一端部から繋がって設けられ、
    前記溝部と前記一端部の接続部分に、曲面部が形成されている、
    請求項1又は2に記載の射出成形金型。
  4. 前記溝部の溝は、前記ピン本体の軸方向中央側の外周面において、前記充填部で前記溶融樹脂が充填される充填口に対向する部分に設けられている、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の射出成形金型。
  5. 前記通気孔は、前記充填部における前記溶融樹脂の充填方向の上流側に位置する第1通気孔と、前記充填方向の下流側に位置する第2通気孔とを含み、
    前記エジェクタピンは、前記第1通気孔に進退可能に取り付けられた第1エジェクタピンと、前記第2通気孔に進退可能に取り付けられた第2エジェクタピンとを含み、
    前記充填部に前記溶融樹脂が充填される際に、前記第1エジェクタピンが第1前進位置から前記閉塞位置へ後退し、前記第2エジェクタピンが前記第1前進位置よりも前進した第2前進位置から前記閉塞位置へ後退する、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の射出成形金型。
  6. 前記第2エジェクタピンは、
    前記第1エジェクタピンの前記第1前進位置から前記閉塞位置への後退に連動して、前記第2前進位置から第3前進位置へ後退した後に、
    前記第1エジェクタピンが前記閉塞位置に位置した状態で、前記第3前進位置から前記閉塞位置へ後退する、
    請求項5に記載の射出成形金型。
  7. 射出成形される溶融樹脂が充填される充填部に連通し、前記充填部の気体を排出可能な通気孔に進退可能に取り付けられ、前記通気孔の開口を閉塞する閉塞位置から前進して前記充填部から成形品を押し出すエジェクタピンであって、
    円柱状のピン本体と、
    前記ピン本体の軸方向一端側に設けられ、前記エジェクタピンが前記閉塞位置に位置する際に外周面にて前記開口を閉塞する一端部と、
    前記ピン本体の軸方向中央側の外周面に軸方向に沿って形成された溝を有する溝部と、
    を備える、エジェクタピン。
  8. 前記溝部の溝は、前記ピン本体の周方向において複数形成されている、
    請求項7に記載のエジェクタピン。
  9. 前記溝部の前記軸方向と直交する断面形状は、略十字状の形状である、
    請求項8に記載のエジェクタピン。
  10. 前記溝部は、前記一端部から繋がって設けられ、
    前記溝部と前記一端部の接続部分に、面取りがされている、
    請求項7から9のいずれか1項に記載のエジェクタピン。
  11. 前記溝部の溝の深さは、前記ピン本体の半径よりも大きい、
    請求項7又は8に記載のエジェクタピン。
  12. 充填部に溶融樹脂を充填して成形品を成形した後に、前記充填部に連通し、前記充填部の気体を排出可能な通気孔に進退可能に取り付けられたエジェクタピンを前進させて前記成形品を押し出す射出成形方法であって、
    閉塞位置にて外周面が前記通気孔の開口を閉塞する前記エジェクタピンの軸方向中央側に軸方向に沿って形成された溝が、前記開口から露出するように、前記エジェクタピンを閉塞位置から前進位置へ前進させる前進ステップと、
    前記充填部に前記溶融樹脂が充填される際に、前記エジェクタピンを前記前進位置から前記閉塞位置へ後退させて、前記充填部の気体を前記開口と前記溝との間から前記通気孔を介して排出させる後退ステップと、
    を有する、射出成形方法。
  13. 前記溶融樹脂を収容されたシリンダー部から前記充填部へ前記溶融樹脂を射出する射出ステップを更に有し、
    前記後退ステップにおいて、前記シリンダー部内の前記溶融樹脂の位置を検出し、検出結果から射出中の前記溶融樹脂が所定位置に達したら、前記エジェクタピンを前記前進位置から前記閉塞位置へ後退させる、
    請求項12に記載の射出成形方法。
  14. 前記前進ステップにおいて、前記シリンダー部から前記充填部への前記溶融樹脂の射出を開始する直前に、前記エジェクタピンを前記閉塞位置から前記前進位置へ前進させる、
    請求項13に記載の射出成形方法。
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