JP2016088018A - 射出成形金型、エジェクタピン、及び射出成形方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献1においては、エジェクタピンとピン孔とのクリアランスは微小であるため、キャビティの空気を十分に排出できない恐れがある。
(射出成形装置の概要)
図1及び図2を参照しながら、本発明の一実施形態に係る射出成形装置の概要について説明する。図1は、一実施形態に係る射出成形装置1の概略構成の一例を示す模式図である。図2は、射出成形装置1の概略構成の一例を示すブロック図である。
スクリュー74がノズル75側へ前進することで、ヒータ73により溶融された樹脂がノズル75から射出される。スクリュー74の移動量と樹脂の射出量とには相関関係があるため、スクリュー74の移動量を制御することで、樹脂のノズル75からの射出量を管理可能である。
図3及び図4を参照しながら、金型10の内部構成の一例について説明する。図3は、キャビティ12に溶融樹脂が充填された際の金型10の構成を示す図である。図4は、成形品がキャビティ12から押し出された際の金型10の構成を示す図である。
先端部42は、ピン本体41の軸方向一端側の部分である。先端部42は、ピン本体41が閉塞位置に位置する際に通気孔35の開口35aを閉塞し、押出し位置に位置する際に成形品を押し出す。
連結部43は、ピン本体41の軸方向他端側の部分であり、可動プレート60と連結されている。連結部43は、可動プレート60の移動に伴い移動可能な構成となっている。このため、エジェクタピン40は、可動プレート60の移動に伴い、閉塞位置と押出し位置との間を移動する。
一方で、エジェクタピン50には、エジェクタピン40とは異なり、キャビティ12の気体を排出するための溝部54が形成されている。なお、溝部54を含むエジェクタピン50の詳細構成については、後述する。
射出成形装置1においては、成形品の品質を確保するために、キャビティ12のガスを排出しながら、キャビティ12に樹脂を充填する。ガスの排出は、従来、雌型20と雄型30との境界であるパーティングラインでの隙間、金型10の入れ子構造による部材間の隙間、エジェクタピンと通気孔の間の隙間等から排出されるようになっている。しかし、これらの隙間は微小であるため、ガスを十分に排出することができず、ガスが残留するキャビティ12に樹脂が充填されることになる。キャビティ12に残留するガスは通常高温であるため、ガスが残留したキャビティ12に樹脂を充填して成形品を成形した場合には、前記ガスによって成形品に外観不良や形状不良等が発生しうる。
キャビティ12から気体を適切に排出できるエジェクタピン50の詳細構成について、図6〜図9を参照しながら説明する。
図6は、エジェクタピン50の正面図である。図7は、エジェクタピン50の側面図である。図8は、図6のエジェクタピン50のA−A断面図である。図9は、図6のエジェクタピン50のB−B断面図である。
ピン本体51は、細長い円柱状の軸である。ピン本体51の外径は、通気孔36の内径より僅かに小さい。
支柱部54aは、ピン本体51の中心に対して対称な形状となっている。具体的には、支柱部54aの断面形状は、十字状である。
なお、上記では、スクリュー74がノズル75から所定距離まで近づいたことを検出部80が検出すると、エジェクタピン50が排出位置から閉塞位置へ後退することとしたが、これに限定されない。例えば、樹脂の射出のためにスクリュー74がノズル75側へ前進する時間が所定時間に達したら、エジェクタピン50が排出位置から閉塞位置へ後退してもよい。すなわち、樹脂の射出が開始されてからの時間に応じて、エジェクタピン50が排出位置から閉塞位置へ後退してもよい。
上述した支柱部54aの円周縁には、図11に示すような面取り56が形成されてもよい。
図11は、エジェクタピン50の断面形状を示す図である。図11に示すように面取り56を形成することで、支柱部54aの縁に気体が当たって発生する乱流を抑制できる。これにより、乱流によって気体が溝54bに流入しないことを防止でき、この結果気体を溝54bから適切に排出できる。
図12は、エジェクタピン50の断面形状を示す図である。図12に示すように曲面部58を形成することで、支柱部54aと先端部52の角のエッジが無くなり、キャビティ12から気体が曲面部58に沿って溝54bに呼び込まれやすくなる。すなわち、曲面部58が、気体の呼び込み部となっている。これにより、支柱部54aと先端部52の角で気体がキャビティ12へ跳ね返ることを抑制でき、この結果気体を溝54bから適切に排出できる。
なお、第1変形例の支柱部154aの外周縁にも、図10に示すような面取り56がされてもよい。
なお、第2変形例のエジェクタピン50には、周方向への回転を抑制するための周り止めが設けられてもよい。かかる場合には、溝254bが樹脂の接近方向に面した状態を維持できるので、気体を適切に排出できる。
上述した射出成形装置1を用いた射出成形方法の一例について、図15及び図16を参照しながら説明する。
図15は、一実施形態に係る射出成形時の射出成形装置1の動作の一例を示すフローチャートである。図16は、射出成形中のエジェクタピン50の状態を説明するための模式図である。本処理は、制御部90(図2)が記憶部92に記憶されたプログラムを実行することで、実現される。
第1の実施形態においては、キャビティ12に連通した通気孔36に進退可能に取り付けられたエジェクタピン50の外周面に軸方向に沿って形成された溝54bは、エジェクタピン50が排出位置に位置する際に通気孔36から露出する。そして、キャビティ12に樹脂が充填される際に、エジェクタピン50が排出位置から閉塞位置へ後退する。具体的には、エジェクタピン50が、樹脂の充填開始直前に閉塞位置から排出位置へ前進し、樹脂の充填中に排出位置から閉塞位置へ後退する。
また、エジェクタピン50は、樹脂がキャビティ12で通気孔36に至る直前に閉塞位置に位置する。これにより、エジェクタピン50と通気孔36の間の隙間に樹脂が付着することを抑制できるので、目詰まりの発生を防止できる。これにより、金型10の清掃等の補修の周期が長くなり、補修コストが低下する。
さらに、エジェクタピン50は、溝54bが無い既存のエジェクタピンの外周面を削ることで形成可能である。このため、既存のエジェクタピンが取りけられた金型において、既存のエジェクタピンをエジェクタピン50に交換することで、キャビティ12内の気体を排出することができる。このように、既存の射出形成装置にエジェクタピン50を低コストで搭載できる。
第1の実施形態では、溝部54を有するエジェクタピン50が通気孔36に進退可能に取り付けられていることとした。これに対して、第2の実施形態では、エジェクタピン50に加えて、溝部を有するがエジェクタピン50に比べて前進量が小さいエジェクタピン360が通気孔337に進退可能に取り付けられている点で、第1の実施形態と相違する。また、エジェクタピン50が、排出位置から閉塞位置へ後退する際に、排出位置と閉塞位置との間の停止位置で一時停止した後に閉塞位置へ移動する(2段階後退)点が、第1の実施形態と相違する。
第2の実施形態に係る金型10は、図17に示すように、第1の実施形態で説明したエジェクタピン40及びエジェクタピン50と、エジェクタピン360とを有する。エジェクタピン40、50の構成は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
なお、エジェクタピン40は、上述したエジェクタピン50及びエジェクタピン360の前進、第1後退、第2後退の際に、移動せず閉塞位置に位置する。
なお、第2の実施形態では、通気孔337が第1通気孔に該当し、通気孔36が第2通気孔に該当する。また、エジェクタピン360が第1エジェクタピンに該当し、エジェクタピン50が第2エジェクタピンに該当する。
10 金型
12 キャビティ
36 通気孔
36a 開口
50 エジェクタピン
51 ピン本体
52 先端部
54 溝部
54a 支柱部
54b 溝
58 曲面部
60 可動プレート
70 射出ユニット
80 検出部
337 通気孔
360 エジェクタピン
364 溝部
Claims (14)
- 射出された溶融樹脂が充填される充填部と、
前記充填部に連通し、前記充填部の気体を排出可能な通気孔と、
前記通気孔に進退可能に取り付けられ、前記通気孔の開口を閉塞する閉塞位置から前進位置へ前進して前記充填部から前記溶融樹脂の成形品を押し出すエジェクタピンと、
を備える、射出成形金型であって、
前記エジェクタピンは、
円柱状のピン本体と、
前記ピン本体の軸方向一端側に設けられ、前記エジェクタピンが前記閉塞位置に位置する際に外周面にて前記開口を閉塞する一端部と、
前記ピン本体の軸方向中央側の外周面に軸方向に沿って形成された溝を有し、前記前進位置の際に前記溝が前記開口から露出する溝部と、
を有し、
前記充填部に前記溶融樹脂が充填される際に、前記エジェクタピンが前記前進位置から前記閉塞位置へ後退する、射出成形金型。 - 前記溝部の前記軸方向と直交する断面形状は、略十字状の形状である、
請求項1に記載の射出成形金型。 - 前記溝部は、前記一端部から繋がって設けられ、
前記溝部と前記一端部の接続部分に、曲面部が形成されている、
請求項1又は2に記載の射出成形金型。 - 前記溝部の溝は、前記ピン本体の軸方向中央側の外周面において、前記充填部で前記溶融樹脂が充填される充填口に対向する部分に設けられている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の射出成形金型。 - 前記通気孔は、前記充填部における前記溶融樹脂の充填方向の上流側に位置する第1通気孔と、前記充填方向の下流側に位置する第2通気孔とを含み、
前記エジェクタピンは、前記第1通気孔に進退可能に取り付けられた第1エジェクタピンと、前記第2通気孔に進退可能に取り付けられた第2エジェクタピンとを含み、
前記充填部に前記溶融樹脂が充填される際に、前記第1エジェクタピンが第1前進位置から前記閉塞位置へ後退し、前記第2エジェクタピンが前記第1前進位置よりも前進した第2前進位置から前記閉塞位置へ後退する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の射出成形金型。 - 前記第2エジェクタピンは、
前記第1エジェクタピンの前記第1前進位置から前記閉塞位置への後退に連動して、前記第2前進位置から第3前進位置へ後退した後に、
前記第1エジェクタピンが前記閉塞位置に位置した状態で、前記第3前進位置から前記閉塞位置へ後退する、
請求項5に記載の射出成形金型。 - 射出成形される溶融樹脂が充填される充填部に連通し、前記充填部の気体を排出可能な通気孔に進退可能に取り付けられ、前記通気孔の開口を閉塞する閉塞位置から前進して前記充填部から成形品を押し出すエジェクタピンであって、
円柱状のピン本体と、
前記ピン本体の軸方向一端側に設けられ、前記エジェクタピンが前記閉塞位置に位置する際に外周面にて前記開口を閉塞する一端部と、
前記ピン本体の軸方向中央側の外周面に軸方向に沿って形成された溝を有する溝部と、
を備える、エジェクタピン。 - 前記溝部の溝は、前記ピン本体の周方向において複数形成されている、
請求項7に記載のエジェクタピン。 - 前記溝部の前記軸方向と直交する断面形状は、略十字状の形状である、
請求項8に記載のエジェクタピン。 - 前記溝部は、前記一端部から繋がって設けられ、
前記溝部と前記一端部の接続部分に、面取りがされている、
請求項7から9のいずれか1項に記載のエジェクタピン。 - 前記溝部の溝の深さは、前記ピン本体の半径よりも大きい、
請求項7又は8に記載のエジェクタピン。 - 充填部に溶融樹脂を充填して成形品を成形した後に、前記充填部に連通し、前記充填部の気体を排出可能な通気孔に進退可能に取り付けられたエジェクタピンを前進させて前記成形品を押し出す射出成形方法であって、
閉塞位置にて外周面が前記通気孔の開口を閉塞する前記エジェクタピンの軸方向中央側に軸方向に沿って形成された溝が、前記開口から露出するように、前記エジェクタピンを閉塞位置から前進位置へ前進させる前進ステップと、
前記充填部に前記溶融樹脂が充填される際に、前記エジェクタピンを前記前進位置から前記閉塞位置へ後退させて、前記充填部の気体を前記開口と前記溝との間から前記通気孔を介して排出させる後退ステップと、
を有する、射出成形方法。 - 前記溶融樹脂を収容されたシリンダー部から前記充填部へ前記溶融樹脂を射出する射出ステップを更に有し、
前記後退ステップにおいて、前記シリンダー部内の前記溶融樹脂の位置を検出し、検出結果から射出中の前記溶融樹脂が所定位置に達したら、前記エジェクタピンを前記前進位置から前記閉塞位置へ後退させる、
請求項12に記載の射出成形方法。 - 前記前進ステップにおいて、前記シリンダー部から前記充填部への前記溶融樹脂の射出を開始する直前に、前記エジェクタピンを前記閉塞位置から前記前進位置へ前進させる、
請求項13に記載の射出成形方法。
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