JP2016087802A - 油性インクジェット印刷方法、油性インクジェット印刷用インクセットおよび印刷物の製造方法 - Google Patents
油性インクジェット印刷方法、油性インクジェット印刷用インクセットおよび印刷物の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】油性インクで印刷媒体にインクジェット印刷する際の画像品質を高めるために該印刷媒体を前処理する目的で使用される前処理液であって、従来の前処理液よりも保存安定性に優れ、かつ、より高い品質の画像を印刷できるものを提供する。【解決手段】前処理液は、無機粒子と水と非水溶性有機溶剤と水溶性高分子とを少なくとも含んでなり、無機粒子は気相法シリカを含み、非水溶性有機溶剤は前処理液全量に対して20〜50質量%含まれ、水溶性高分子は1〜50mgKOH/gの酸価をもつ。前処理液中の水溶性高分子の含有量は、前処理液全量に対して1〜6質量%であることが好ましい。【選択図】なし
Description
本発明は、油性インクジェット印刷方法、該印刷方法に用いるインクセット、および印刷物の製造方法に関する。
インクジェット印刷システムにおいては、近年、印刷媒体の制約を受けずに高速でフルカラー印刷を行えることが益々要求されている。この要求に応えるためには、ラインヘッド方式のインクジェットプリンタの使用が適しており、その場合、普通紙等の印刷媒体への浸透が早く、乾燥が早く、かつ、印刷濃度が高く、滲みや裏抜けの少ない高画質な印刷画像の得られるインクが必要となる。
インクジェット印刷方式に用いられるインクジェットインクは、水性インクと非水性インクに大別される。水性インクは、溶媒として水を含有するため、印刷媒体として普通紙を用いた場合、溶媒が印刷媒体に容易に浸透し、顔料が印刷媒体の表面に留まり易いため、高濃度・高画質の印刷画像が得られ易い一方で、印刷媒体がカールやコックリングを起こし易く、印刷媒体の搬送性に悪影響を及ぼし、高速印刷の弊害となるという欠点がある。
非水性インクは、主として高揮発性の有機溶剤を溶媒として含有する溶剤インクと、主として低揮発性の有機溶剤を溶媒として含有する油性インクに大別される。溶剤インクは、乾燥性に優れているが、溶媒が大量に揮発するため使用環境が制限される。他方、油性インクは、印刷媒体として普通紙を用いた場合、印刷媒体への浸透性及び乾燥性に優れるだけでなく、水性インク及び溶剤インクよりも溶媒が揮発し難いため、インクノズルにおける目詰まりが生じにくく、インクノズルのクリーニング回数が少なくて済むといった利点があり、高速印刷、特にラインヘッド方式の高速インクジェット印刷に適している。
しかし、油性インクは、印刷媒体上での色材と溶媒の離脱性が悪く、特に印刷媒体として普通紙を用いた場合、色材と溶媒が一緒に印刷媒体の繊維間隙に浸透し易く、画像濃度の低下、裏抜けの増大が生じ、印刷画像の画質が悪化するという欠点があった。
従来、色材を紙表面に留めるために、無機粒子や定着樹脂で構成されたインク受容層を表面に備えた専用紙は各種存在する。しかし、普通紙で同様の効果を得るためには、印刷時に色材を紙表面に留める手段が必要になる。
水性インクでは、色材を溶媒と一緒に浸透させずに普通紙表面に留める方法として、インク中に反応性をもった物質を含有させ、その物質と反応する物質を含む処理液を用意し、該インクに重ねて該処理液を吐出し、紙表面で両物質を反応させることにより、色材を凝集させ、浸透しにくくする方法が既に提案されている(特許文献1〜3)。また、カチオン性の無機粒子を含む前処理液を印刷前に普通紙表面に塗布処理し、アニオン性染料を含む水性インクを反応させて定着させる方法が提案されている(特許文献4)。
また、非水性インクについて、アニオン性官能基を有する高分子化合物を含む第1のインクと、1級及び/または2級アミノ基を有する高分子化合物を含む第2のインクとを重ねて吐出し、紙表面で両物質を反応させることにより、色材を凝集させ、浸透しにくくする方法が既に提案されている(特許文献5)。
また、インクジェット印刷時に吸油性の高い無機粒子を含む前処理液で普通紙を前処理した後に、非水系インクで印字することで、無機粒子が形成する空隙でインク中の色材の浸透を抑制し、高濃度で裏抜けが少ない印刷画像を得る方法が既に提案されている(特許文献6,7)。
また、画像品質を高めるとともに用紙の変形も生じさせない前処理液として、シリカ粒子等の無機粒子、水、及び非極性溶剤を含み、非極性溶剤は、前処理剤全量に対し2質量%以上20質量%以下である顔料インク用前処理剤が既に提案されている(特許文献8)。
特許文献1〜4の方法では、特定のインクと特定の前処理液での反応で効果が得られるため、使用できるインクが限定される。
特許文献5の方法では、常に2種のインクを一定量重ねて印刷する必要があるため、画像率が高い印刷物を多枚数印刷する場合、インクの消費量が多くなる傾向がある。
特許文献6及び7の方法では、使用される無機粒子の粒子径が大きいため、前処理液中で沈降しやすく、前処理液の安定性に劣ることがあり、また、印刷後にインク中の色材が用紙表面に多く留まる一方で、印刷物を擦った際の汚れが大きくなることがあった。また、前処理液の使用量を最小限にするために、前処理液をインクジェットヘッドで油性インク描画部のみに塗布するシステムにした場合、無機粒子の粒子径が大きすぎてインクジェットヘッドで吐出することに支障を来すことがあった。
特許文献8では、シリカ粒子として気相法シリカを用いることは具体的に開示されておらず、また、この前処理液は、保存安定性に劣ることがあり、画像品質の改良性能についても更なる向上が求められている。
本発明は、油性インクで印刷媒体にインクジェット印刷する際の画像品質を高めるために該印刷媒体を前処理する目的で使用される前処理液であって、従来の前処理液よりも保存安定性に優れ、かつ、より高い品質の画像を印刷できるものを提供することを目的とする。
特許文献5の方法では、常に2種のインクを一定量重ねて印刷する必要があるため、画像率が高い印刷物を多枚数印刷する場合、インクの消費量が多くなる傾向がある。
特許文献6及び7の方法では、使用される無機粒子の粒子径が大きいため、前処理液中で沈降しやすく、前処理液の安定性に劣ることがあり、また、印刷後にインク中の色材が用紙表面に多く留まる一方で、印刷物を擦った際の汚れが大きくなることがあった。また、前処理液の使用量を最小限にするために、前処理液をインクジェットヘッドで油性インク描画部のみに塗布するシステムにした場合、無機粒子の粒子径が大きすぎてインクジェットヘッドで吐出することに支障を来すことがあった。
特許文献8では、シリカ粒子として気相法シリカを用いることは具体的に開示されておらず、また、この前処理液は、保存安定性に劣ることがあり、画像品質の改良性能についても更なる向上が求められている。
本発明は、油性インクで印刷媒体にインクジェット印刷する際の画像品質を高めるために該印刷媒体を前処理する目的で使用される前処理液であって、従来の前処理液よりも保存安定性に優れ、かつ、より高い品質の画像を印刷できるものを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的の下に鋭意研究した結果、無機粒子と水と非水溶性有機溶剤とを少なくとも含む前処理液において、該無機粒子として特定の無機粒子を用いるとともに、該前処理液中に特定の水溶性高分子を含有させ、かつ、該非水溶性有機溶剤の含有量を特定の範囲内とすることにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一局面によれば、前処理液で印刷媒体を前処理した後、色材と非水系溶剤とを少なくとも含んでなる油性インクにより該印刷媒体上に印刷を行う油性インクジェット印刷方法において、前記前処理液は、無機粒子と水と非水溶性有機溶剤と水溶性高分子とを少なくとも含んでなり、前記無機粒子は気相法シリカを含み、前記非水溶性有機溶剤は前記前処理液全量に対して20〜50質量%含まれ、前記水溶性高分子は1〜50mgKOH/gの酸価をもつことを特徴とする、油性インクジェット印刷方法が提供される。
また、本発明の他の局面によれば、色材と非水系溶剤とを少なくとも含んでなる油性インク、及び、無機粒子と水と非水溶性有機溶剤と水溶性高分子とを少なくとも含んでなる前処理液を少なくとも備え、前記無機粒子は気相法シリカを含み、前記非水溶性有機溶剤は前記前処理液全量に対して20〜50質量%含まれ、前記水溶性高分子は1〜50mgKOH/g未満の酸価をもつことを特徴とする、油性インクジェット印刷用インクセットが提供される。
また、本発明の他の局面によれば、前処理液で印刷媒体を前処理した後、色材と非水系溶剤とを少なくとも含んでなる油性インクにより該印刷媒体上に印刷を行う印刷物の製造方法において、前記前処理液は、無機粒子と水と非水溶性有機溶剤と水溶性高分子とを少なくとも含んでなり、前記無機粒子は気相法シリカを含み、前記非水溶性有機溶剤は前記前処理液全量に対して20〜50質量%含まれ、前記水溶性高分子は1〜50mgKOH/gの酸価をもつことを特徴とする、印刷物の製造方法が提供される。
本発明によれば、無機粒子と水と非水溶性有機溶剤とを少なくとも含む前処理液において、該無機粒子として気相法シリカを用いるとともに、該前処理液中に1〜50mgKOH/gの酸価をもつ水溶性高分子を含有させ、かつ、該非水溶性有機溶剤の含有量を前処理液全量に対して20〜50質量%としたので、該前処理液で前処理した印刷媒体に油性インクで印刷したときに、裏抜け及び滲みが防止されると同時に印刷濃度が向上し、前処理液の保存安定性が向上する。
より詳細には、本発明によれば、前処理液に、水に加えて、気相法シリカ及び油性インクに用いられているような非水溶性有機溶剤を含むため、該前処理液で前処理された印刷媒体の表面に油性インクで印刷した時、油性インクに含まれる色材が印刷媒体の内部に浸透するのを気相法シリカによって抑制する一方で、油性インクに対して親和性を持つ非水溶性有機溶剤が油性インクに含まれる溶媒の浸透速度を速めるので、色材が印刷媒体の表面に留まりやすく、高濃度で滲み及び裏抜けの少ない印刷画像を得ることが可能となる。
また、本発明によれば、非水溶性有機溶剤を上記特定量含むことにより、前処理液中の水分量を少なくすることができるので、前処理液を紙に塗工した際のカールや波打ち等の用紙変形を抑制でき、印刷物のハンドリング性を向上させることが可能となる。
また、本発明によれば、上記水溶性高分子を含有することにより、親和性がない水と非水溶性有機溶剤とが前処理液中に混合した状態で維持されるので、インク容器内や印刷装置のインク供給経路内での保存安定性にも優れる。したがって、本発明の前処理液を用いた油性インクジェット印刷方法は、前処理液で印刷媒体を前処理した後、長時間の乾燥や高負荷の乾燥システム無しに、油性インクを該印刷媒体上へ吐出させることにより印刷を行う油性インクジェット印刷方法、特にラインヘッド式インクジェットプリンタを用いて普通紙に印刷するインクジェット印刷方法において有用である。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
1.前処理液
本発明で使用する前処理液は、気相法シリカと水と非水溶性有機溶剤と水溶性高分子とを少なくとも含んでなる。本発明の前処理液は、気相法シリカが分散した水相と非水溶性有機溶剤からなる油相が水溶性高分子の作用で乳化されたエマルション形態をとることが好ましい。エマルション形態としては、W/Oエマルション形態とO/Wエマルション形態のいずれでもよいが、O/Wエマルション形態であることが好ましい。前処理液がO/Wエマルション形態を備える場合、W/Oエマルション形態に比べて、印刷媒体に塗工した後の前処理液の乾燥速度が速く、印刷時の油性インクとの親和性も向上するためである。
本発明で使用する前処理液は、気相法シリカと水と非水溶性有機溶剤と水溶性高分子とを少なくとも含んでなる。本発明の前処理液は、気相法シリカが分散した水相と非水溶性有機溶剤からなる油相が水溶性高分子の作用で乳化されたエマルション形態をとることが好ましい。エマルション形態としては、W/Oエマルション形態とO/Wエマルション形態のいずれでもよいが、O/Wエマルション形態であることが好ましい。前処理液がO/Wエマルション形態を備える場合、W/Oエマルション形態に比べて、印刷媒体に塗工した後の前処理液の乾燥速度が速く、印刷時の油性インクとの親和性も向上するためである。
1−1.非水溶性有機溶剤
本発明における非水溶性有機溶剤としては、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤の何れも使用できる。なお、本発明において、非水溶性有機溶剤とは、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しない有機溶剤をいう。
本発明における非水溶性有機溶剤としては、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤の何れも使用できる。なお、本発明において、非水溶性有機溶剤とは、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しない有機溶剤をいう。
非極性有機溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素溶剤、芳香族炭化水素溶剤等の石油系炭化水素溶剤を好ましく挙げることができる。脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素溶剤としては、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系等の非水系溶剤を挙げることができ、市販品としては、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、カクタスノルマルパラフィンN−10、カクタスノルマルパラフィンN−11、カクタスノルマルパラフィンN−12、カクタスノルマルパラフィンN−13、カクタスノルマルパラフィンN−14、カクタスノルマルパラフィンN−15H、カクタスノルマルパラフィンYHNP、カクタスノルマルパラフィンSHNP、アイソゾール300、アイソゾール400、テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220(いずれもJX日鉱日石エネルギー株式会社製);アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130(いずれも東燃ゼネラル石油株式会社製)等を好ましく挙げることができる。芳香族炭化水素溶剤としては、グレードアルケンL、グレードアルケン200P(いずれもJX日鉱日石エネルギー株式会社製)、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、ソルベッソ200ND(いずれも東燃ゼネラル石油株式会社製)等を好ましく挙げることができる。石油系炭化水素溶剤の蒸留初留点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがいっそう好ましい。蒸留初留点はJIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定することができる。
極性有機溶剤としては、脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等を好ましく挙げることができる。例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸イソブチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ピバリン酸2−オクチルデシル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル等の1分子中の炭素数が13以上、好ましくは16〜30の脂肪酸エステル系溶剤;イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソエイコシルアルコール、デシルテトラデカノール等の1分子中の炭素数が6以上、好ましくは12〜20の高級アルコール系溶剤;ラウリン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、α−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の1分子中の炭素数が12以上、好ましくは14〜20の高級脂肪酸系溶剤等が挙げられる。脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等の極性有機溶剤の沸点は、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であるか大気圧下では分解して蒸発しないために沸点が観測されないことがいっそう好ましい。
これらの非水溶性有機溶剤は、単独で使用してもよく、単一の相を形成する限り2種以上を組み合わせて使用することもできる。
非水溶性有機溶剤の前処理液全量に対する含有量は、通常、20〜50質量%であり、23〜40質量%であることが好ましい。非水溶性有機溶剤の含有量が20質量%より少ないと、前処理液全量に対する水または水溶性溶剤の割合が多くなるため、前処理液を紙に塗工した際の用紙のカールや波打ち等の変形が生じ、または、画像品質の向上効果が十分に得られなくなる。一方、非水溶性有機溶剤の含有量が50質量%より多いと、印刷媒体に塗工した前処理液が乾燥しにくくなり、このような溶剤が多く残留している印刷媒体に油性インクをインクジェット印刷すると、前処理液塗工面に透き通しが生じるとともに印刷部の裏抜けが大きくなり、また、印字ドットが過剰に滲み、印刷画像の品質が劣化する。
1−2.無機粒子
本発明において、前処理液には無機粒子として気相法シリカが含まれる。気相法シリカは、フュームドシリカともよばれる乾式シリカで、ケイ素塩化物を気化し高温の水素炎中で気相反応によって合成されたシリカ微粒子である。合成シリカの製法にはこの気相法のほかに沈殿法(湿式法)、ゾルゲル法などの湿式シリカの製法である湿式法がある。気相法シリカは細孔をもたない球状粒子であり、粒子径が小さく比表面積も小さいため、湿式シリカのように粒子径が大きく比表面積も大きい無機粒子と比較して、粒子自体の吸液性は低い。
本発明において、前処理液には無機粒子として気相法シリカが含まれる。気相法シリカは、フュームドシリカともよばれる乾式シリカで、ケイ素塩化物を気化し高温の水素炎中で気相反応によって合成されたシリカ微粒子である。合成シリカの製法にはこの気相法のほかに沈殿法(湿式法)、ゾルゲル法などの湿式シリカの製法である湿式法がある。気相法シリカは細孔をもたない球状粒子であり、粒子径が小さく比表面積も小さいため、湿式シリカのように粒子径が大きく比表面積も大きい無機粒子と比較して、粒子自体の吸液性は低い。
一方で、気相法シリカは粒子表面のエネルギーが非常に高く、凝集構造をとり易いという特徴をもっている。本発明において、気相法シリカを含む前処理液を印刷媒体に塗工して乾燥すると、粒子同士が凝集しながらネットワーク構造を形成し、均一で微細な空隙を多くもった前処理層が印刷媒体の表面に形成されると考えられる。これによって、前述した非水溶性有機溶剤による効果と相まって、油性インクが吸収される空隙を印刷媒体表面に均一に多く形成することができ、印刷物の印刷濃度が高く、ベタ画像が均一で、裏抜けと滲みが抑制された印刷物を得ることができる。
本発明の前処理液で使用する気相法シリカの平均1次粒子径は10nm〜100nmが好ましく、比表面積は30m2/g〜200m2/gが好ましい。ここで、上記平均1次粒子径は、電子顕微鏡で観察して求めた値である。気相法シリカは、電子顕微鏡等で観察すると、球状の粒子が複数つらなった凝集体の構造になっている。この球状の粒子が一次粒子であり、その大きさが一次粒子径として表される。また、上記比表面積は、BET法により測定された値であり、一般的なガス吸着法により測定することができる。
本発明の前処理液には、本発明の効果を損なわない限り、無機粒子として気相法シリカ以外の無機粒子を添加してもよい。このような他の無機粒子としては、前処理する基材の本来の見た目を損なわないように、無色または白色または半透明である粒子が好ましい。かかる他の無機粒子の具体例としては、気相法シリカ以外のシリカ、タルク、珪藻土、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、カオリン、マイカ、酸性白土、活性白土、ベントナイトなどの無機粒子が挙げられ、これらは、単独で使用しても、2 種以上を併用してもよい。
1−3.水溶性高分子
本発明の前処理剤は、1〜50mgKOH/gの酸価をもつ水溶性高分子を含有する必要がある。この範囲の酸価をもつ水溶性高分子は、前処理液中で乳化剤として作用し、本来混じり合わない水と非水溶性有機溶剤を均一に混合し、その後長期にわたり放置しても二層に分かれることなく安定に均一系を維持することができる。水溶性高分子の酸価は、5〜20mgKOH/gであることがより好ましく、8〜13mgKOH/gであることがさらに好ましい。ここで、上記酸価は、JIS K 0070:1992「化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法」に記載の方法により測定された値である。
本発明の前処理剤は、1〜50mgKOH/gの酸価をもつ水溶性高分子を含有する必要がある。この範囲の酸価をもつ水溶性高分子は、前処理液中で乳化剤として作用し、本来混じり合わない水と非水溶性有機溶剤を均一に混合し、その後長期にわたり放置しても二層に分かれることなく安定に均一系を維持することができる。水溶性高分子の酸価は、5〜20mgKOH/gであることがより好ましく、8〜13mgKOH/gであることがさらに好ましい。ここで、上記酸価は、JIS K 0070:1992「化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法」に記載の方法により測定された値である。
本発明の前処理剤で使用可能な水溶性高分子は、上記酸価を満たすものであれば特に限定されないが、具体例としては、アクリル系のランダムおよびブロック共重合体、スチレン/アクリル系のランダムおよびブロック共重合体、スチレン/マレイン酸系のランダムおよびブロック共重合体、等が挙げられる。市販品としては、ビックケミー・ジャパン社のアクリル系水溶性高分子DISPERBYK−190、2012、2015、2091、2096、星光PMC社のアクリル系水溶性高分子VS−1029等が挙げられる。
また、前記水溶性高分子の前処理液全量に対する含有量は、0.5〜10質量%が好ましく、1〜6質量%がより好ましい。水溶性高分子の含有量が0.5質量%未満の場合、前処理液を放置した際に二層に分離してしまう恐れがある。また、水溶性高分子の含有量が10質量%を超える場合、過剰に存在する水溶性高分子の影響で前処理液の粘度が高くなり、印刷媒体に前処理層を均一に塗工することが困難になる恐れがあり、また、過剰に存在する水溶性高分子がインク中の顔料の紙内部への浸透(滲み)を引き起こし、前処理液の効果が得られなくなる恐れがある。
1−4.その他の成分
本発明の前処理液は、その性状に悪影響を与えない限り、上記成分以外に、例えば、pH調整剤、分散剤、定着剤、防腐剤等の他の成分を含有してもよい。
本発明の前処理液は、その性状に悪影響を与えない限り、上記成分以外に、例えば、pH調整剤、分散剤、定着剤、防腐剤等の他の成分を含有してもよい。
気相法シリカを前処理液中に安定に分散させるためには、前処理液のpHをアルカリ性に保つことが好ましい。この観点から、本発明の前処理液には、アルキルアミン類またはアルキロールアミン類を含有させることが好ましい。前処理液のpH調整をするためにアンモニアを添加することも考えられるが、前処理液を塗工ロール上やインクジェットヘッド内に導入したまま長期放置した際に、沸点が低いアンモニアは揮発してしまうため、前処理液のpHが低下しシリカ粒子の凝集を引き起こす恐れがある。そのため、本発明の前処理剤では、揮発性が高くないアルキルアミン類またはアルキロールアミン類を使用することが好ましい。
前記アルキルアミン類またはアルキロールアミン類は特に限定されないが、前述したように常温で揮発性が高くないものが好ましく、具体的には、沸点が100℃以上のものが好ましい。好ましいアルキルアミン類及びアルキロールアミン類の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ペンチルアミン、ジブチルアミン等が挙げられる。
前記アルキルアミン類及びアルキロールアミン類の含有量は、前処理液のpHが9〜11となるように含有させることが好ましい。
1−5.前処理液の作製方法
本発明の前処理液は、例えば、気相法シリカを水相中に分散するとともに、該水相中に水溶性高分子を溶解させて得られた水相に、攪拌下、非水溶性有機溶剤を滴下して乳化することにより作製することができる。攪拌は、超音波照射機、ホモジナイザー等の乳化機として一般的に使用されている装置を用いて行うことができる。得られた前処理液は、必要に応じ、ろ過機を通してもよい。
本発明の前処理液は、例えば、気相法シリカを水相中に分散するとともに、該水相中に水溶性高分子を溶解させて得られた水相に、攪拌下、非水溶性有機溶剤を滴下して乳化することにより作製することができる。攪拌は、超音波照射機、ホモジナイザー等の乳化機として一般的に使用されている装置を用いて行うことができる。得られた前処理液は、必要に応じ、ろ過機を通してもよい。
気相法シリカを分散する水相は、水のみから構成されてもよく、水に加えて水溶性有機溶剤を含有してもよい。水としては、水道水、イオン交換水、脱イオン水等が挙げられる。水溶性有機溶剤としては、グリコール系溶剤、グリコールエーテル類、グリコールエーテル類のアセタート、低級アルコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、イミダゾリジノン系溶剤、3−メチル−2,4−ペンタンジオールなどが挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、また、単一の相を形成する限り、2種以上混合して使用してもよい。
また、気相法シリカを水相に分散させるために、分散剤を使用することができる。分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムやポリカルボン酸ナトリウム等の高分子金属塩やアルキロールアンモニウム塩等で、80mgKOH/g以上の高い酸価をもつものなどが挙げられ、具体例としては、ビックケミー・ジャパン社のDISPERBYK−180などが挙げられる。
2.油性インク
本発明で使用する油性インクは、非水系溶剤及び色材から主として構成されるが、必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。
本発明で使用する油性インクは、非水系溶剤及び色材から主として構成されるが、必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。
2−1.非水系溶剤
非水系溶剤は、油性インクの溶媒すなわちビヒクルとして機能するものであれば特に限定されず、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤の何れも使用できる。これらは、単独で使用してもよく、組み合わせて使用することもできる。なお、本発明において、非水系溶剤としては、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しない非水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
非水系溶剤は、油性インクの溶媒すなわちビヒクルとして機能するものであれば特に限定されず、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤の何れも使用できる。これらは、単独で使用してもよく、組み合わせて使用することもできる。なお、本発明において、非水系溶剤としては、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しない非水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
非極性有機溶剤及び極性有機溶剤としては、上記前処理液について列挙したものを用いることができ、蒸留初留点または沸点の好ましい範囲は上記前処理液の場合と同様である。これらの非水系溶剤は、単独で使用してもよく、単一の相を形成する限り2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、使用する非水系溶剤と単一相を形成できる範囲で他の有機溶剤を含ませてもよい。本発明の油性インクでは、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤を組み合わせて使用することが好ましく、非水系溶剤全量100質量%とした場合、20〜80質量%の非極性有機溶剤と80〜20質量%の極性有機溶剤とを組み合わせることが好ましく、30〜45質量%の非極性有機溶剤と55〜70質量%の極性有機溶剤とを組み合わせることがより好ましい。
2−2.色材
色材としては、顔料及び染料の何れも使用することができ、単独で使用しても両者を併用してもよい。印刷物の耐候性及び印刷濃度の点から、色材として顔料を使用することが好ましい。
色材は、油性インク全量に対して0.01〜20質量%の範囲で含有されることが好ましい。
色材としては、顔料及び染料の何れも使用することができ、単独で使用しても両者を併用してもよい。印刷物の耐候性及び印刷濃度の点から、色材として顔料を使用することが好ましい。
色材は、油性インク全量に対して0.01〜20質量%の範囲で含有されることが好ましい。
2−2−1.染料
染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料等の油溶性染料を挙げることができる。これらの染料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料等の油溶性染料を挙げることができる。これらの染料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
2−2−2.顔料
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料及び染付レーキ顔料等の有機顔料並びに無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキシサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。無機顔料としては、代表的にはカーボンブラック及び酸化チタン等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料及び染付レーキ顔料等の有機顔料並びに無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキシサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。無機顔料としては、代表的にはカーボンブラック及び酸化チタン等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
2−2−3.顔料分散剤
油性インク中における顔料の分散を良好にするために、油性インクに顔料分散剤を添加することが好ましい。本発明で使用できる顔料分散剤としては、顔料を非水系溶剤中に安定して分散させるものであれば特に限定されない。顔料分散剤の含有量は、上記顔料を十分に上記非水系溶剤中に分散可能な量であれば足り、適宜設定できる。
油性インク中における顔料の分散を良好にするために、油性インクに顔料分散剤を添加することが好ましい。本発明で使用できる顔料分散剤としては、顔料を非水系溶剤中に安定して分散させるものであれば特に限定されない。顔料分散剤の含有量は、上記顔料を十分に上記非水系溶剤中に分散可能な量であれば足り、適宜設定できる。
2−3.その他の成分
本発明の油性インクには、インクの性状に悪影響を与えない限り、上記非水系溶剤、色材、顔料分散剤以外に、例えば、界面活性剤、定着剤、防腐剤等の他の成分を添加できる。
本発明の油性インクには、インクの性状に悪影響を与えない限り、上記非水系溶剤、色材、顔料分散剤以外に、例えば、界面活性剤、定着剤、防腐剤等の他の成分を添加できる。
2−4.油性インクの製造方法
本発明の油性インクは、例えばビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。例えば、予め非水系溶剤の一部と色材の全量を均一に混合させた混合液を調製して分散機にて分散させた後、この分散液に残りの成分を添加してろ過機を通すことにより調製することができる。
本発明の油性インクは、例えばビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。例えば、予め非水系溶剤の一部と色材の全量を均一に混合させた混合液を調製して分散機にて分散させた後、この分散液に残りの成分を添加してろ過機を通すことにより調製することができる。
3.インクジェット印刷方法
本発明のインクジェット印刷方法は、前処理液で印刷媒体の印刷面を前処理した後、この前処理された印刷媒体の印刷面に油性インクを吐出させることにより行われる。前処理液での印刷媒体の前処理は、前処理液を、塗工(コーティング)、印刷等の方法で印刷媒体の印刷面に適用することにより行うことができ、具体的には、刷毛、ローラー、バーコーター、エアナイフコーター等を使用して印刷媒体の表面を均一にコーティングすることによって行ってもよく、または、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などの印刷手段によって画像を印刷することで行ってもよい。例えば、インクジェットプリンタを使用し、印刷媒体上へ前処理液を吐出した後これに重ねて油性インクを連続的に吐出させることにより印刷を行ってもよい。なお、本発明では、前処理液を印刷媒体に塗布した後、塗布された処理液が完全に乾燥する前に油性インクを吐出させてもよく、又は、塗布された処理液が乾燥した後に油性インクを吐出させてもよい。本発明のインクジェット印刷方法は、印刷物の製造方法として使用できる。
本発明のインクジェット印刷方法は、前処理液で印刷媒体の印刷面を前処理した後、この前処理された印刷媒体の印刷面に油性インクを吐出させることにより行われる。前処理液での印刷媒体の前処理は、前処理液を、塗工(コーティング)、印刷等の方法で印刷媒体の印刷面に適用することにより行うことができ、具体的には、刷毛、ローラー、バーコーター、エアナイフコーター等を使用して印刷媒体の表面を均一にコーティングすることによって行ってもよく、または、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などの印刷手段によって画像を印刷することで行ってもよい。例えば、インクジェットプリンタを使用し、印刷媒体上へ前処理液を吐出した後これに重ねて油性インクを連続的に吐出させることにより印刷を行ってもよい。なお、本発明では、前処理液を印刷媒体に塗布した後、塗布された処理液が完全に乾燥する前に油性インクを吐出させてもよく、又は、塗布された処理液が乾燥した後に油性インクを吐出させてもよい。本発明のインクジェット印刷方法は、印刷物の製造方法として使用できる。
前処理液の塗工量は、普通紙に対しては、無機粒子分塗工量にして0.5g/m2以上5.0g/m2以下であることが好ましく、0.5g/m2以上3.0g/m2以下がより好ましい。塗工量が0.5g/m2未満であると、インク中の色材の普通紙内部への浸透を抑制することが困難になる。また、塗工量が5.0g/m2を超えると、インクの浸透を過剰に抑制するため印刷ドットが小さくなりすぎ、結果として得られた印刷画像のベタ部分が不均一になってしまい、画像濃度が薄くなる。
本発明のインクジェット印刷方法を容易に実施できるように、上記前処理液と油性インクを少なくとも含むインクセットを構成して販売すると好都合である。
本発明において、印刷媒体は、特に限定されるものではなく、普通紙、コート紙及び特殊紙等の印刷用紙、布、無機質シート、フィルム、OHPシート並びにこれらを基材として裏面に粘着層を設けた粘着シート等を用いることができる。これらの中でも、普通紙及びコート紙等の印刷用紙を好ましく用いることができる。
普通紙は、その面上にインク受容層やフィルム層等が形成されていない印刷用紙である。普通紙の一例としては、上質紙、中質紙、PPC用紙、更紙及び再生紙等を挙げることができる。また、コート紙としては、いわゆる塗工印刷用紙やインクジェット用コート紙を好ましく用いることができる。塗工印刷用紙とは、従来、凸版印刷、オフセット印刷及びグラビア印刷等で使用されている印刷用紙であって、クレーや炭酸カルシウム等の無機顔料と澱粉等のバインダーを含む塗料を用いて、上質紙や中質紙の表面に塗工層を設けた印刷用紙である。塗工印刷用紙は、塗料の塗工量や塗工方法により、微塗工紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、上質コート紙、中質コート紙、アート紙及びキャストコート紙等に分類される。インクジェット用コート紙としては、マット紙及びフォト光沢紙等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明するが、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
製造例1〜8(前処理液の作製)
(1)無機粒子分散体の作製
表1に示す各成分をプレミックスし、その後、直径(φ)0.5mmのジルコニアビーズを入れ、ビーズミル(ロッキングミルRM05S型、株式会社セイワ技研製)にて分散し、得られた分散液をシリカ分散体1〜4とした。また、市販のコロイダルシリカ分散体クォートロンPL−3(商品名:扶桑化学株式会社製コロイダルシリカ水分散体、シリカ濃度20質量%、平均1次粒子径35nm)を、シリカ分散体5とした。
(1)無機粒子分散体の作製
表1に示す各成分をプレミックスし、その後、直径(φ)0.5mmのジルコニアビーズを入れ、ビーズミル(ロッキングミルRM05S型、株式会社セイワ技研製)にて分散し、得られた分散液をシリカ分散体1〜4とした。また、市販のコロイダルシリカ分散体クォートロンPL−3(商品名:扶桑化学株式会社製コロイダルシリカ水分散体、シリカ濃度20質量%、平均1次粒子径35nm)を、シリカ分散体5とした。
尚、表1記載の原材料の詳細は下記のとおりである。
・AEROSIL OX50(商品名):日本アエロジル株式会社製気相法シリカ水分散体、平均1次粒子径40nm、比表面積50m2/g
・AEROSIL 90G(商品名):日本アエロジル株式会社製気相法シリカ水分散体、平均1次粒子径20nm、比表面積90m2/g
・AEROSIL 130(商品名):日本アエロジル株式会社製気相法シリカ水分散体、平均1次粒子径16nm、比表面積130m2/g
・ミズカシルP−73(商品名):水澤化学工業株式会社製ゲルシリカ粒子、平均粒子径4μm、比表面積320m2/g
・DISPERBYK−180(商品名)::ビックケミー・ジャパン社製アクリル系ブロック共重合体のアルキロールアンモニウム塩、有効成分濃度81.0質量%、酸価94mgKOH/g、アミン価94mgKOH/g
・トリエタノールアミン:和光純薬製トリエタノールアミン、試薬特級
・AEROSIL OX50(商品名):日本アエロジル株式会社製気相法シリカ水分散体、平均1次粒子径40nm、比表面積50m2/g
・AEROSIL 90G(商品名):日本アエロジル株式会社製気相法シリカ水分散体、平均1次粒子径20nm、比表面積90m2/g
・AEROSIL 130(商品名):日本アエロジル株式会社製気相法シリカ水分散体、平均1次粒子径16nm、比表面積130m2/g
・ミズカシルP−73(商品名):水澤化学工業株式会社製ゲルシリカ粒子、平均粒子径4μm、比表面積320m2/g
・DISPERBYK−180(商品名)::ビックケミー・ジャパン社製アクリル系ブロック共重合体のアルキロールアンモニウム塩、有効成分濃度81.0質量%、酸価94mgKOH/g、アミン価94mgKOH/g
・トリエタノールアミン:和光純薬製トリエタノールアミン、試薬特級
(2)前処理液の作製
表2又は表3に各前処理液の組成を示す。上記で得られたシリカ分散体に、グリセリン、水、トリエタノールアミンおよび水溶性高分子を表2又は表3に示す割合で混合し、水相を得た。そして、該水相に超音波照射器で超音波を当てながら油相として表2又は表3に示す量のアイソパーMを滴下し、5分間照射後、得られた前処理液をメンブレンフィルター(開口径3μm)でろ過し、前処理液を作製した。前処理液はいずれもO/Wエマルションであった。
表2又は表3に各前処理液の組成を示す。上記で得られたシリカ分散体に、グリセリン、水、トリエタノールアミンおよび水溶性高分子を表2又は表3に示す割合で混合し、水相を得た。そして、該水相に超音波照射器で超音波を当てながら油相として表2又は表3に示す量のアイソパーMを滴下し、5分間照射後、得られた前処理液をメンブレンフィルター(開口径3μm)でろ過し、前処理液を作製した。前処理液はいずれもO/Wエマルションであった。
尚、表2及び表3に記載の原材料の詳細は下記のとおりである。
・グリセリン:和光純薬社製グリセリン、試薬特級
・DISPERBYK−190(商品名):ビックケミー・ジャパン社製アクリル系ブロック共重合体、有効成分濃度40.0質量%、酸価10mgKOH/g
・DISPERBYK−2012(商品名):ビックケミー・ジャパン社製アクリル系ブロック共重合体、有効成分濃度40.0質量%、酸価7mgKOH/g
・DISPERBYK−2096(商品名):ビックケミー・ジャパン社製極性エステル酸および高分子アルコールの共重合体、有効成分濃度99.0質量%、酸価40mgKOH/g
・DISPERBYK−193(商品名):ビックケミー・ジャパン社製ノニオン系アクリル系ブロック共重合体、有効成分濃度40.0質量%、酸価なし
・DISPERBYK−2091(商品名):ビックケミー・ジャパン社製アクリル系星形構造変性ポリアルコキシレート、有効成分濃度55.0質量%、酸価15mgKOH/g
・DISPERBYK−180(商品名):ビックケミー・ジャパン社製アクリル系ブロック共重合体のアルキロールアンモニウム塩、有効成分濃度81.0質量%、酸価94mgKOH/g
・アイソパーM(商品名):東燃ゼネラル石油株式会社製
・グリセリン:和光純薬社製グリセリン、試薬特級
・DISPERBYK−190(商品名):ビックケミー・ジャパン社製アクリル系ブロック共重合体、有効成分濃度40.0質量%、酸価10mgKOH/g
・DISPERBYK−2012(商品名):ビックケミー・ジャパン社製アクリル系ブロック共重合体、有効成分濃度40.0質量%、酸価7mgKOH/g
・DISPERBYK−2096(商品名):ビックケミー・ジャパン社製極性エステル酸および高分子アルコールの共重合体、有効成分濃度99.0質量%、酸価40mgKOH/g
・DISPERBYK−193(商品名):ビックケミー・ジャパン社製ノニオン系アクリル系ブロック共重合体、有効成分濃度40.0質量%、酸価なし
・DISPERBYK−2091(商品名):ビックケミー・ジャパン社製アクリル系星形構造変性ポリアルコキシレート、有効成分濃度55.0質量%、酸価15mgKOH/g
・DISPERBYK−180(商品名):ビックケミー・ジャパン社製アクリル系ブロック共重合体のアルキロールアンモニウム塩、有効成分濃度81.0質量%、酸価94mgKOH/g
・アイソパーM(商品名):東燃ゼネラル石油株式会社製
なお、上記平均1次粒子径、上記比表面積及び上記酸価は、何れも、上記記載の方法により測定された値である。
実施例1〜12、比較例1〜8
(1)油性インクの作製
表4に示す各成分をプレミックスし、その後、直径(φ)0.5mmのジルコニアビーズを入れ、ピコミルLR(浅田鉄工社)にて分散し、得られた分散液をメンブレンフィルター(開口径3μm)でろ過し、油性インクを調製した。
(1)油性インクの作製
表4に示す各成分をプレミックスし、その後、直径(φ)0.5mmのジルコニアビーズを入れ、ピコミルLR(浅田鉄工社)にて分散し、得られた分散液をメンブレンフィルター(開口径3μm)でろ過し、油性インクを調製した。
尚、表3記載の原材料の詳細は下記のとおりである。
・MONARCH800:キャボット社製カーボンブラックMONARCH800(商品名)
・ヒノアクトT−9100:川研ファインケミカルズ社製顔料分散剤 ヒノアクトT−9100(商品名)
・オレイン酸メチル:花王株式会社製エキセパールM−OL
・ミリスチン酸イソプロピル:花王株式会社製エキセパールIPM
・炭化水素溶剤:JX日鉱日石エネルギー株式会社製ノルマルパラフィンH
・MONARCH800:キャボット社製カーボンブラックMONARCH800(商品名)
・ヒノアクトT−9100:川研ファインケミカルズ社製顔料分散剤 ヒノアクトT−9100(商品名)
・オレイン酸メチル:花王株式会社製エキセパールM−OL
・ミリスチン酸イソプロピル:花王株式会社製エキセパールIPM
・炭化水素溶剤:JX日鉱日石エネルギー株式会社製ノルマルパラフィンH
(2)各前処理液の評価
(2−1)前処理液の作製時の状態
前述した方法で前処理液を作製後、状態を目視で観察し評価した。評価は以下の基準で行った。
◎:前処理液が均一で流動性が十分にあり、沈降物もない
○:前処理液が均一ではあるが、やや粘度が高い
×:前処理液の粘度が高く泡立ちも大きく、1時間放置すると二層に分かれるか沈降物が生じる
(2−1)前処理液の作製時の状態
前述した方法で前処理液を作製後、状態を目視で観察し評価した。評価は以下の基準で行った。
◎:前処理液が均一で流動性が十分にあり、沈降物もない
○:前処理液が均一ではあるが、やや粘度が高い
×:前処理液の粘度が高く泡立ちも大きく、1時間放置すると二層に分かれるか沈降物が生じる
(2−2)前処理液の保存安定性
前述した方法で前処理液を作製後、作製した前処理液をガラス製のスクリュー管に8割程度入れ蓋を閉め、常温下で3日間放置した後の状態を目視で観察し評価した。評価は以下の基準で行った。
◎:前処理液が均一で、放置前と状態が変わらない
〇:前処理液がやや不均一ではあるが、流動性が十分にあり撹拌すると均一に戻る
×:前処理液の粘度が大きく上昇しているか、二層に分離または固形分が沈降してしまっており、撹拌しても均一にならない
前述した方法で前処理液を作製後、作製した前処理液をガラス製のスクリュー管に8割程度入れ蓋を閉め、常温下で3日間放置した後の状態を目視で観察し評価した。評価は以下の基準で行った。
◎:前処理液が均一で、放置前と状態が変わらない
〇:前処理液がやや不均一ではあるが、流動性が十分にあり撹拌すると均一に戻る
×:前処理液の粘度が大きく上昇しているか、二層に分離または固形分が沈降してしまっており、撹拌しても均一にならない
(3)普通紙印刷物の品質評価
各前処理液を、市販の普通紙であるアスクルマルチペーパースーパーエコノミー(商品名)の片面に、自動バーコーターで、前処理液乾燥後の無機粒子分塗工量が約0.9g/m2になるように塗工し、温度23℃,湿度50%環境下で10分乾燥させたものを前処理紙とした。
得られた各前処理紙に、油性インクを理想科学工業株式会社製インクジェットプリンタ「オルフィスHC5500(商品名)」の吐出経路に導入し、画像を印刷した。
各前処理液を、市販の普通紙であるアスクルマルチペーパースーパーエコノミー(商品名)の片面に、自動バーコーターで、前処理液乾燥後の無機粒子分塗工量が約0.9g/m2になるように塗工し、温度23℃,湿度50%環境下で10分乾燥させたものを前処理紙とした。
得られた各前処理紙に、油性インクを理想科学工業株式会社製インクジェットプリンタ「オルフィスHC5500(商品名)」の吐出経路に導入し、画像を印刷した。
(3−1)ベタ画像の均一性
前述した方法で得られた印刷物において、印刷1日後の画像のベタ部分を目視で評価した。評価は以下の基準で行った。
○:濃度ムラがなく均一なベタである
△:やや濃度ムラがある
×:濃度ムラが大きくあり不均一なベタである
前述した方法で得られた印刷物において、印刷1日後の画像のベタ部分を目視で評価した。評価は以下の基準で行った。
○:濃度ムラがなく均一なベタである
△:やや濃度ムラがある
×:濃度ムラが大きくあり不均一なベタである
(3−2)印刷画像の印刷濃度
前述した方法で得られた印刷物において、光学濃度計(RD920:マクベス社製)を用い、印刷1日後のベタ画像の表側のOD値を測定し、印刷濃度とした。評価は以下の基準で行った。
◎:1.20≦印刷濃度
○:1.10≦印刷濃度<1.20
△:1.05≦印刷濃度<1.10
×:印刷濃度<1.05
前述した方法で得られた印刷物において、光学濃度計(RD920:マクベス社製)を用い、印刷1日後のベタ画像の表側のOD値を測定し、印刷濃度とした。評価は以下の基準で行った。
◎:1.20≦印刷濃度
○:1.10≦印刷濃度<1.20
△:1.05≦印刷濃度<1.10
×:印刷濃度<1.05
(3−3)印刷画像の裏抜け
前述した方法で得られた印刷物において、光学濃度計(RD920:マクベス社製)を用い、印刷1日後のベタ画像の裏側のOD値を測定し、その値から紙のOD値を差し引いた値を裏抜けとした。
◎:裏抜け≦0.13
○:0.13<裏抜け≦0.16
×:0.16≦裏抜け
前述した方法で得られた印刷物において、光学濃度計(RD920:マクベス社製)を用い、印刷1日後のベタ画像の裏側のOD値を測定し、その値から紙のOD値を差し引いた値を裏抜けとした。
◎:裏抜け≦0.13
○:0.13<裏抜け≦0.16
×:0.16≦裏抜け
(3−4)印刷画像の滲み
前述した方法で得られた印刷物において、印刷1日後の画像の文字・細線の部分を目視で観察した。評価は以下の基準で行った。
◎:滲みがなくシャープな文字・細線である
○:文字・細線の太りがややあるが、問題がないレベルである
×:文字が潰れ気味であり、細線も太っている
前述した方法で得られた印刷物において、印刷1日後の画像の文字・細線の部分を目視で観察した。評価は以下の基準で行った。
◎:滲みがなくシャープな文字・細線である
○:文字・細線の太りがややあるが、問題がないレベルである
×:文字が潰れ気味であり、細線も太っている
(3−5)用紙変形
前述した方法で得られた印刷物を平坦な場所に置き、用紙のカールしている状態、用紙が波打っている状態を目視で観察し、下記評価基準に従い評価した。
◎:用紙のカールまたは波打ちがない
○:用紙のカールまたは波打ちがややあるが、問題ないレベル
×:用紙のカールまたは波打ちが目立ち、印刷物の見た目に問題があるレベル
前述した方法で得られた印刷物を平坦な場所に置き、用紙のカールしている状態、用紙が波打っている状態を目視で観察し、下記評価基準に従い評価した。
◎:用紙のカールまたは波打ちがない
○:用紙のカールまたは波打ちがややあるが、問題ないレベル
×:用紙のカールまたは波打ちが目立ち、印刷物の見た目に問題があるレベル
表5の結果から、本発明の前処理液1〜11及び13を用いた実施例1〜12は、上記総ての評価項目において良好であったことがわかる。前処理液の保存安定性に関しては、トリエタノールアミンを多く含む実施例10(前処理液10)が特に良好な結果を示した。
これに対し、表6の結果から下記のことが判る。
前処理をしていない用紙に印刷した比較例1は、印刷濃度が低く、裏抜け及び滲みの発生も顕著であり、印刷物性能が劣った。
ゲルシリカ粒子を含む前処理液14を用いた比較例2は、印刷物性能が劣るだけでなく、粒子が沈降しやすく保存安定性が劣った。コロイダルシリカ粒子を含む 前処理液15を用いた比較例3は、印刷物性能が劣った。
シリカ粒子の分散剤以外に水溶性高分子を含まない前処理液16を用いた比較例4は、前処理液の作製時の状態が劣った。
前処理をしていない用紙に印刷した比較例1は、印刷濃度が低く、裏抜け及び滲みの発生も顕著であり、印刷物性能が劣った。
ゲルシリカ粒子を含む前処理液14を用いた比較例2は、印刷物性能が劣るだけでなく、粒子が沈降しやすく保存安定性が劣った。コロイダルシリカ粒子を含む 前処理液15を用いた比較例3は、印刷物性能が劣った。
シリカ粒子の分散剤以外に水溶性高分子を含まない前処理液16を用いた比較例4は、前処理液の作製時の状態が劣った。
非水溶性有機溶剤の量が本発明の範囲よりも少ない前処理液17を用いた比較例5は、油性インクと前処理層との親和性が不十分であり、印刷濃度の向上効果が不十分であり、また、前処理液の水分量が多いため用紙変形が顕著であった。
非水溶性有機溶剤の量が本発明の範囲よりも多い前処理液18を用いた比較例6は、前処理液の作製状態が悪く、印刷物性能も劣った。
酸価が本発明の範囲内の水溶性高分子を含まない前処理液12及び19をそれぞれ用いた比較例7及び8は、前処理液の安定性が悪く、比較例8では、前処理液の作製時の状態が劣った。
非水溶性有機溶剤の量が本発明の範囲よりも多い前処理液18を用いた比較例6は、前処理液の作製状態が悪く、印刷物性能も劣った。
酸価が本発明の範囲内の水溶性高分子を含まない前処理液12及び19をそれぞれ用いた比較例7及び8は、前処理液の安定性が悪く、比較例8では、前処理液の作製時の状態が劣った。
本発明のインクジェット印刷方法及びインクセットは、印刷媒体を前処理液で表面処理した後、油性インクをノズルヘッドから吐出して印刷媒体の処理表面に印字できるインクジェットプリンタで簡単に実施することができ、インクジェット印刷の分野で広く利用できる。
Claims (4)
- 前処理液で印刷媒体を前処理した後、色材と非水系溶剤とを少なくとも含んでなる油性インクにより該印刷媒体上に印刷を行う油性インクジェット印刷方法において、前記前処理液は、無機粒子と水と非水溶性有機溶剤と水溶性高分子とを少なくとも含んでなり、前記無機粒子は気相法シリカを含み、前記非水溶性有機溶剤は前記前処理液全量に対して20〜50質量%含まれ、前記水溶性高分子は1〜50mgKOH/gの酸価をもつことを特徴とする、油性インクジェット印刷方法。
- 前記水溶性高分子の前記前処理液全量に対する含有量が1〜6質量%である、請求項1に記載の油性インクジェット印刷方法。
- 色材と非水系溶剤とを少なくとも含んでなる油性インク、及び、無機粒子と水と非水溶性有機溶剤と水溶性高分子とを少なくとも含んでなる前処理液を少なくとも備え、前記無機粒子は気相法シリカを含み、前記非水溶性有機溶剤は前記前処理液全量に対して20〜50質量%含まれ、前記水溶性高分子は1〜50mgKOH/gの酸価をもつことを特徴とする、油性インクジェット印刷用インクセット。
- 前処理液で印刷媒体を前処理した後、色材と非水系溶剤とを少なくとも含んでなる油性インクにより該印刷媒体上に印刷を行う印刷物の製造方法において、前記前処理液は、無機粒子と水と非水溶性有機溶剤と水溶性高分子とを少なくとも含んでなり、前記無機粒子は気相法シリカを含み、前記非水溶性有機溶剤は前記前処理液全量に対して20〜50質量%含まれ、前記水溶性高分子は1〜50mgKOH/gの酸価をもつことを特徴とする、印刷物の製造方法。
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