JP2016085915A - 正極材料、正極材料の製造方法、正極およびリチウムイオン電池 - Google Patents

正極材料、正極材料の製造方法、正極およびリチウムイオン電池 Download PDF

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Abstract

【課題】不純物量が低減された正極材料を提供する。また、不純物量が低減された正極材料を容易に製造することが可能な正極材料の製造方法を提供する。また、このような正極材料や、正極材料の製造方法により得られた正極材料を含む正極、当該正極を有するリチウムイオン電池を提供する。【解決手段】正極活物質を形成材料とする活物質粒子を含み、正極活物質は、LixAyDzPO4(AはFe、Co、Mn、Ni、Cu、Crからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属元素、DはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y、希土類元素からなる群から選ばれる1種または2種以上の金属元素であり、0<x≦2、0<y≦1、0≦z≦1.5である)であり、Aで表される金属元素およびDで表される金属元素の平均価数が2以上2.02以下であり、活物質粒子の粒子pHが6.5以上8.5以下である正極材料。【選択図】なし

Description

本発明は、正極材料、正極材料の製造方法、正極およびリチウムイオン電池に関するものである。
携帯電子機器やハイブリッド自動車に用いるための二次電池の研究が進められている。代表的な二次電池としては鉛蓄電池、アルカリ蓄電池、リチウムイオン電池などが知られている。種々の二次電池の中でも、リチウムイオン電池を用いたリチウム二次電池は高出力、高エネルギー密度等の利点を有している。
リチウムイオン電池に用いられる正極活物質として、Liと遷移金属とを含みオリビン構造を有するリン酸塩が知られている。このような正極活物質としては、例えば、LiMPO(Mは遷移金属)がある。遷移金属を示すMとしては、例えばMnやFeが挙げられる。
このような正極活物質は、用途に応じて種々の性能向上が求められる。例えば、リチウム二次電池は、性能向上のために充放電速度の向上が求められる。このような要求に対し、Pに対しLiやMを過剰に添加することで、小粒径化し充放電速度を向上させたLiMPOを合成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、性能向上のため、pH緩衝液を用いて正極活物質であるLiMPOを洗浄し、LiMPOに含まれる不純物を除去する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。不純物を除去することで、電池容量の増加や内部短絡の抑制などの効果が期待でき、リチウムイオン電池の長寿命化を図ることができる。
国際公開第2009/131095号 特開2009−032656号公報
不純物を含まない正極活物質(正極材料)が好ましいことは当然であるが、正極材料に含まれる金属由来の微量な金属酸化物の含有量や、Liやリン由来の微量なLiPO等の化合物の含有量を測定することは困難であった。そのため、洗浄が不十分な場合はサイクル特性、長寿命化に悪影響を与え、また、過度の洗浄は、生産効率、製造コスト等の点で改良が求められていた。
一方で、上述の方法など従来の方法による不純物低減の方法では、不純物を市場要求まで低減しにくく、生産効率、製造コスト等を考慮すれば更なる改良が求められていた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、不純物量が低減され高性能なリチウムイオン電池を製造しうる正極材料を提供することを目的とする。また、不純物量が低減された正極材料を容易に製造することが可能な正極材料の製造方法を提供することをあわせて目的とする。また、このような正極材料や、正極材料の製造方法により得られた正極材料を含む正極、当該正極を有するリチウムイオン電池を提供することをあわせて目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、正極活物質を形成材料とする活物質粒子を含み、前記正極活物質は、LiPO(ただし、AはFe、Co、Mn、Ni、Cu、Crからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属元素、DはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、Ge、Sc、Y、希土類元素からなる群から選ばれる1種または2種以上の金属元素であり、0<x≦2、0<y≦1、0≦z≦1.5である)であり、前記Aで表される金属元素および前記Dで表される金属元素の平均価数が2以上2.02以下であり、前記活物質粒子の粒子pHが6.5以上8.5以下である正極材料を提供する。
本発明の一態様によれば、前記正極活物質がLiMnPOである構成としてもよい。
本発明の一態様によれば、前記活物質粒子は、表面に炭素質が存在しており、前記活物質粒子を一次粒子として凝集した凝集体を含む構成としてもよい。
また、本発明に一態様は、正極材料の製造方法であって、前記正極材料は正極活物質を形成材料とする活物質粒子を含み、前記正極活物質は、LiPO(ただし、AはFe、Co、Mn、Ni、Cu、Crからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属元素、DはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、Ge、Sc、Y、希土類元素からなる群から選ばれる1種または2種以上の金属元素であり、0<x≦2、0<y≦1、0≦z≦1.5である)であり、前記活物質粒子をpH4.0以上pH6.0以下の酸性環境下に曝す工程を備える正極材料の製造方法を提供する。
また、本発明の一態様は、上記の正極材料、または上記の正極材料の製造方法により製造される正極材料を含む正極を提供する。
また、本発明の一態様は、上記の正極を有するリチウムイオン電池を提供する。
本発明によれば、測定が困難な金属由来の微量な金属酸化物や、Liやリン由来の微量なLiPO等の化合物が、リチウムイオン電池を組み上げて実測しなくても、電池性能の点で問題のない範囲内の含有量に低減され、不純物量が低減され高性能なリチウムイオン電池を製造しうる正極材料を提供することができる。また、不純物量が低減された正極材料を容易に製造することが可能な正極材料の製造方法を提供することができる。また、このような正極材料や、正極材料の製造方法により得られた正極材料を含む正極、当該正極を有するリチウムイオン電池を提供することができる。
本実施形態に係る正極、リチウムイオン電池の一例を示す模式図である。
[正極材料]
本実施形態の正極材料は、正極活物質を形成材料とする活物質粒子を含み、前記正極活物質は、LiPO(ただし、AはFe、Co、Mn、Ni、Cu、Crからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属元素、DはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、Ge、Sc、Y、希土類元素からなる群から選ばれる1種または2種以上の金属元素であり、0<x≦2、0<y≦1、0≦z≦1.5である)であり、Aで表される金属元素およびDで表される金属元素の平均価数が2以上2.02以下であり、前記活物質粒子の粒子pHが6.5以上8.5以下であるものである。
なお、希土類元素とは、ランタン系列であるLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの15元素のことである。
ここで、Aについては、Co、Mn、Ni、Feが好ましく、Mnがより好ましい。Dについては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Znが好ましい。正極活物質がこれらの元素を含む場合、高い放電電位、高い安全性を実現可能な正極材料とすることができる。また、資源量が豊富であるため、選択する材料として好ましい。
本実施形態の正極材料においては、正極活物質はLiMnPOが好ましい。
本実施形態の正極材料では、正極活物質は粒子状の形態を呈している。本明細書においては、正極活物質を形成材料とする粒子を「活物質粒子」と称する。
活物質粒子の大きさは、特に限定されないが、1次粒子の平均粒子径は0.01μm以上2μm以下であることが好ましく、0.02μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。
活物質粒子の1次粒子の平均粒子径が0.01μm以上であると、1次粒子の表面を炭素質被膜で充分に被覆することができ、高速充放電レートにおける放電容量が低くなりにくく、充分な充放電レート性能を実現することが可能となるため好ましい。
一方、活物質粒子の1次粒子の平均粒子径が2μm以下であると、1次粒子の内部抵抗が過大に大きくなることがなく、高速充放電レートにおける放電容量を充分確保できるため好ましい。
活物質粒子の形状は、特に限定されないが、球状、特に真球状のものが好適である。
ここで、活物質粒子の形状が球状であると、活物質粒子と、バインダー樹脂(結着剤)と、溶媒とを混合して正極用ペーストを調製する際の溶媒量を低減させることができると共に、この正極用ペーストの集電体への塗工も容易となるため好ましい。
また、活物質粒子の形状が球状であれば、活物質粒子の表面積が最小となり、正極材料にバインダー樹脂(結着剤)を添加する際の配合量を最小限にすることができる。バインダー樹脂の添加量を抑制すると、得られる正極の内部抵抗を小さくすることができるため好ましい。
さらに、活物質粒子の形状が球状であれば、活物質粒子が最密充填し易いため、単位体積あたりの正極材料の充填量が多くなる。その結果、電極密度を高くすることができ、リチウムイオン電池の高容量化を図ることができるため好ましい。
活物質粒子は、表面に炭素質が存在すると好ましい。ここで、炭素質とは、炭素単体または炭素を主成分とする炭素材料のことである。
また、「表面に炭素質が存在する」とは、
(i)活物質粒子の表面を炭素質からなる被膜(炭素質被膜)にて覆っている状態
(ii)活物質粒子の表面に炭素単体からなる粒子または炭素を主成分とする炭素材料からなる粒子が複数個付着または結合している状態
(iii)活物質粒子の表面に炭素単体からなる粒子または炭素を主成分とする炭素材料からなる粒子が複数個凝集してなる凝集体が複数個付着または結合している状態
のいずれか1種以上の状態を有するということを意味する。
以下、上記(i)〜(iii)の状態を呈する「表面に炭素質が存在する活物質粒子」を、複合粒子と称することがある。
また、これらの状態には、複合粒子の間に、炭素単体からなる粒子、炭素を主成分とする炭素材料からなる粒子、これらの粒子が複数個凝集してなる凝集体、のいずれか1種または2種以上が存在する状態も含む。
活物質粒子の表面における炭素質の被覆率は、60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。被覆率は、透過電子顕微鏡(TEM)、エネルギー分散型X線分光器(EDX)等を用いて測定することができる。
炭素質の被覆率が60%以上であると、本実施形態の正極材料をリチウムイオン電池の材料として用いる際に、リチウムイオンの脱挿入に関わる反応を活物質粒子の表面全体で均一に行うことが可能となり好ましい。
また、炭素質の被覆率が60%以上であると、活物質粒子の表面に水分が吸着しにくくなり、水分が電解液と反応することで生じるフッ化水素酸により電池構成部材が劣化することや、充放電時に水が分解することでガスが発生し電池パッケージの内圧が高まるなど、電池破損に繋がる不具合を抑制することができる。
また、複合粒子における炭素質中の酸素含有率は、5.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましい。
「酸素含有率」とは、炭素質全体に含まれる酸素原子の量(質量%)である。炭素質には、水酸基、カルボニル基、カルボキシ基、エーテル結合、エステル結合などの官能基(以下、酸素含有官能基と称することがある)の形で酸素原子が含まれる。
酸素含有量は、複合粒子中の正極活物質を塩酸溶液で溶解し炭素質単体を得た後、炭素質単体を純水にて洗浄し、100℃にて2時間真空乾燥を行い、得られた乾燥物について、酸素・窒素分析計を用いて酸素量を測定することで求めることができる。
炭素質が酸素含有官能基を有すると、充電時に酸素含有官能基から発生するガスにより電池パッケージの内圧が高まり、電池が破損するおそれがある。しかし、炭素質中の酸素含有率が5.0質量%以下であると、当該発生するガスの量を抑制し、電池の破損を抑制しやすいため好ましい。
また、炭素質中の酸素含有率が5.0質量%以下であると、炭素質中の酸素含有官能基に吸着する水分量が抑制され、水分が電解液と反応することで生じるフッ化水素酸により、電池構成部材が劣化すること抑制可能であり好ましい。
複合粒子の比表面積は、1m/g以上かつ80m/g以下であることが好ましく、4m/g以上かつ50m/g以下であることがより好ましい。
ここで、複合粒子の比表面積が1m/g以上では、複合粒子内でのリチウムイオンの移動または電子の移動に時間がかからず、内部抵抗が増加しにくく、出力特性の悪化を抑制できるため好ましい。
一方、複合粒子の比表面積が80m/g以下では、正極材料全体に含まれる炭素量が過剰とならず、正極材料全体の充放電容量の低下を抑制可能であるため好ましい。
なお、ここでいう「内部抵抗」とは、主として電子抵抗とリチウムイオン移動抵抗とを合算したものである。電子抵抗は炭素量、炭素の密度及び結晶性に比例し、リチウムイオン移動抵抗は炭素量、炭素の密度及び結晶性に反比例する。
この内部抵抗の評価方法としては、例えば、電流休止法等が用いられる。この電流休止法では、内部抵抗は、配線抵抗、接触抵抗、電荷移動抵抗、リチウムイオン移動抵抗、正負におけるリチウム反応抵抗、正負極間距離によって定まる極間抵抗、リチウムイオンの溶媒和、脱溶媒和に関わる抵抗およびリチウムイオンのSEI(Solid Electrolyte Interface)移動抵抗の総和として測定される。
この複合粒子の炭素の含有率は、0.3質量%以上かつ8.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上かつ5.0質量%以下であることがより好ましい。
複合粒子の炭素の含有率が0.3質量%以上では、電池を形成した場合に高速充放電レートにおける放電容量が低くなりにくく、充分な充放電レート性能を実現することが可能となるため好ましい。
また、複合粒子の炭素の含有率が8.0質量%以下では、リチウムイオンの拡散速度が遅い炭素中を、リチウムイオンが移動する距離が過大とならないため、高速充放電レートにおける電圧低下を無視できる程度に抑制可能となり好ましい。
本実施形態の正極材料は、LiPOで示される正極活物質において、Aで表される金属元素およびDで表される金属元素を合わせた金属元素全体(以下、単に「金属元素全体」)の平均価数が2以上2.02以下である。
Aで表される金属元素およびDで表される金属元素をあわせた金属元素全体の平均価数が2となる場合、正極活物質に含有する全てのAで表される金属元素およびDで表される金属元素が所望の化合物となる。この場合、大きな充放電容量を実現する事が可能となるため最も好ましい。一方で、高速充放電レートを実現可能な正極活物質を得るためには、後述の通り合成分散液のpHを弱酸に調整し正極活物質を微細にする必要がある。pH弱酸化により極少量の不純物生成が認められるものの、この際の金属元素全体の平均価数が2.02以下であれば充分な充放電容量を実現することが可能である。
本発明において、「金属元素全体の平均価数」は、得られた活物質の価数の評価はヨードメトリによって行った。ヨードメトリでは活物質質量40mg〜50mgに対して約10倍のヨウ化リチウムを溶かした17%塩酸20mLに活物質を溶かして、99.9%Mnで較正したチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定して価数を求めた。
また、本実施形態の正極材料は、活物質粒子の粒子pHが6.5以上8.5以下である。粒子pHが6.5以上では、pH4.0以上pH6.0以下の洗浄液が除去されているため好ましい。粒子pHが8.5以下であれば、Li、リン酸由来のLiPOなどの不純物が残留しているものの、その不純物量が電池性能に与える影響が少なく、高性能なリチウムイオン電池を製造しうるため好ましい。
本発明において、活物質粒子の粒子pHは、以下の通り測定した。
活物質粒子5gを、25℃の純水50g中に撹拌混合した後10分間静置した。その後、再度撹拌混合、10分間静置を行い、得られた上澄み溶液についてHORIBA製pHメーターD−51を用いて測定した。
以上のような本実施形態の正極材料によれば、測定が困難な金属由来の微量な金属酸化物や、Liやリン由来の微量なLiPO等の化合物が、リチウムイオン電池を組み上げて実測しなくても、電池性能の点で問題のない範囲内の含有量に低減されているため、高性能なリチウムイオン電池を製造しうる正極材料となる。
[正極材料の製造方法]
本実施形態の正極材料は、上述の活物質粒子をpH4.0以上pH6.0以下の酸性環境下に曝すことにより製造することができる。
活物質前駆体は、以下のようにして合成する。
まず、リチウム塩、前記Aを含む金属塩、前記Dを含む金属塩もしくは前記Dを含む化合物、およびリン酸化合物を分散媒中に分散させた分散液を調整する。
リチウム塩としては、酢酸リチウム(LiCHCOO)、塩化リチウム(LiCl)等、水酸化リチウム(LiOH)などを例示することができる。
Aを含む金属塩としては、2価のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩などを用いることができる。
Dを含む金属塩としては、2価のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩などを用いることができる。
Dを含む化合物としては、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、酢酸バリウム、硝酸チタニウムなどを用いることができる。
リン酸化合物としては、リン酸(HPO)、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)、リン酸水素二アンモニウム((NHHPO)等を例示することができる。
これらは、それぞれ1種のみ用いることとしてもよく、2種以上を併用してもよい。
分散媒としては、例えば水、アルコール類、エーテル類、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド等の極性有機溶媒、およびこれらを含む混合溶液、または液化ガス等を用いることができる。特に限定はされないが、環境負荷が小さく安価、安全であるため水を用いることが好ましい。また、水は臨界点付近で誘電率の大きな変化を示すことから、温度、圧力の操作により容易に各物質に対する溶解度等の溶媒物性をコントロールすることが可能であり、反応条件の制御が容易である。
分散液において、リチウム塩、前記Aを含む金属塩、前記Dを含む金属塩もしくは前記Dを含む化合物、およびリン酸化合物の混合比は、リチウム塩が過剰モル比であり、A、Dの総和とリン酸化合物のモル比が等比であることが好ましく、具体的にはリチウム塩:(A、Dの総和):リン酸化合物が2.5〜3.5:1:1が最も好ましい。
また、分散液のpHは、pH5.2〜6.5の範囲が好ましい。この範囲では不純物が生成するものの、一次粒子が微細かつ高結晶性な活物質粒子が合成可能であり、高速充放電レートにおける放電容量を充分確保できる。
pH5.2未満の範囲では、Aで表される金属元素およびDで表される金属元素の酸化により、これら元素の酸化物が不純物としてわずかに生成する。また、主にリン酸由来の三リン酸リチウムといった不純物が生成する。この不純物生成はpHが高いほど顕著であり、pH6.5より高い範囲では多くの不純物生成により十分な放電容量が確保できない。
次いで、調整した分散液を耐圧容器に入れ、所定の温度に加熱し、所定の時間反応させる(水熱反応)。
この反応条件は、溶媒の種類または合成する物質に応じて適宜選択されるが、溶媒が水の場合、加熱温度は80〜900℃、反応時間は0.5〜24時間が好ましい。この反応を密閉した耐圧容器内で行うと、この時の圧力は、0.1〜100MPaとなる。溶媒が水の場合、加熱温度が80℃〜374℃が好ましく、この時の圧力は、0.1〜22MPaとなる。さらに好ましくは、加熱温度は100〜350℃、反応時間は0.5〜5時間であり、この時の圧力は0.1〜17MPaとなる。
活物質粒子の大きさは、特に限定されないが、1次粒子の平均粒子径は0.01μm以上2μm以下であることが好ましく、0.02μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。
活物質粒子の1次粒子の平均粒子径が0.01μm以上であると、1次粒子の表面を炭素質被膜で充分に被覆することができ、高速充放電レートにおける放電容量が低くなりにくく、充分な充放電レート性能を実現することが可能となるため好ましい。
一方、活物質粒子の1次粒子の平均粒子径が2μm以下であると、1次粒子の内部抵抗が過大に大きくなることがなく、高速充放電レートにおける放電容量を充分確保できるため好ましい。
活物質粒子の粒子形状は、特に限定されない。この活物質粒子の粒子形状は製造方法によって特徴付けられることが多く、例えば、固相法では球形粒子、水熱合成法では矩形粒子や棒状粒子が得られ易い。ここで、球形粒子は充填性に優れており、矩形粒子はリチウムイオンの挿入脱離反応性に優れており、棒状粒子は粒子間の接触がし易くなることから電子電導性に優れている等の個別の特徴がある。そのため、これら球形粒子、矩形粒子及び棒状粒子は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(洗浄)
次いで、得られた活物質粒子を、pH4.0以上pH6.0以下の酸性環境下に曝し、不純物を洗浄除去する。酸性環境下への曝露は、上記水熱反応で得られた反応生成物(活物質粒子)を濾別した後に、得られた反応生成物をpH4.0以上pH6.0以下の洗浄液で洗浄することにより行ってもよく、水熱反応後のスラリーに酸を加えてスラリーをpH4.0以上pH6.0以下とすることにより行ってもよい。
曝露する酸性環境のpHが4.0以上であると、目的生成物のLiPOが溶けにくく収量が低下しにくい。また、結晶中のLiとHとのプロトン交換が生じにくいため、良好な電池特性を発現でき好ましい。
曝露する酸性環境のpHが6.0以下であると、所望の不純物洗浄効果が充分に得られ、さらにLiPOの酸化を抑制するため良好な電池特性を発現でき好ましい。
酸性環境下への曝露は、10分程度行うことで所望の不純物洗浄効果が充分に得られる。
酸の種類は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸などを用いることができる。
酸の濃度は、比較的希薄であることが好ましく、0.05〜0.15N程度が好ましい。
(スラリーの噴霧・乾燥)
次いで、上述の活物質粒子と、有機化合物と、溶媒とを混合してスラリーを調整する。なお、活物質粒子の表面に炭素質の被膜を形成しない場合には、有機化合物を用いないこととするとよい。
有機化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル等のビニル類、セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース類、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、マルトース、スクロース、ラクトース等の糖類、デンプン、ゼラチン、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド、グリコーゲン、ペクチン、アルギン酸、グルコマンナン、キチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、アガロース、ポリエーテル、エチレングリコール等の2価アルコール、グリセリン等の3価アルコール等が挙げられる。
正極活物質と有機化合物との混合比は、有機化合物の全量を炭素量に換算したときに、正極活物質100質量部に対して0.6質量部以上かつ10質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.8質量部以上かつ2.5質量部以下である。
ここで、有機化合物の炭素量換算の混合比が0.6質量部以上であると、炭素質被膜の被覆率が80%を下回りにくくなる。すると、調整したスラリーから得られる正極材料を用いて電池を形成した場合に、高速充放電レートにおける放電容量が低下しにくく、充分な充放電レート性能を実現することが可能となるため好ましい。
一方、有機化合物の炭素量換算の混合比が10質量部以下であると、調整したスラリーから得られる正極材料を用いて電池を形成した場合に、被覆層の比率が高くなり過ぎず、正極活物質量を確保できるため、電池容量の低下を抑制できる。また、電極密度の低下を抑制し、単位体積当たりのリチウムイオン電池の電池容量低下を抑制できる。
スラリーの調整時には、必要に応じて分散剤を添加してもよい。
溶媒としては、入手の容易さ、取り扱いの容易さ、製造コストの低さの点から、水が最も適している。また、この水に、この水と沸点の異なる溶媒を混合した混合液を用いてもよい。
ここで、水と沸点の異なる溶媒としては、例えば、メタノール(沸点:64.1℃/1気圧下)、エタノール(沸点:78.3℃/1気圧下)、2−プロパノール(沸点:82.4℃/1気圧下)等の1価アルコール、エチレングリコール(沸点:197℃/1気圧下)等の2価アルコール、グリセリン(沸点:290℃/1気圧下)等の3価アルコール、糖アルコール、フェノール類、シクロパラフィン系炭化水素(シクロアルカン)、シクロオレフィン系炭化水素(シクロアルケン)、シクロアセチレン系炭化水素(シクロアルキン)、ベンゼン系芳香族化合物、縮合環芳香族化合物、ベンゾ縮合環化合物、複素芳香族化合物、非ベンゼン系芳香族化合物の群から選択される1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
正極活物質と有機化合物とを溶媒に溶解あるいは分散させる方法としては、正極活物質が分散し、有機化合物が溶解または分散する方法であればよく、特に限定されないが、例えば、遊星ボールミル、振動ボールミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、アトライタ等の媒体粒子を高速で攪拌する媒体攪拌型分散装置を用いることが好ましい。
この溶解あるいは分散の際には、正極活物質を1次粒子として分散し、その後、有機化合物を添加して溶解するように攪拌することが好ましい。このようにすれば、正極活物質の1次粒子の表面が有機化合物で被覆され、その結果として、正極活物質の1次粒子の間に有機化合物由来の炭素が均一に介在するようになる。
このスラリーを調整する際には、スラリー中の正極活物質または前駆体の粒度分布の累積体積百分率について、90%の粒子径(D90)の、10%の粒子径(D10)に対する比(D90/D10)が5以上かつ30以下となるように制御するとよい。スラリーの分散条件は、例えば、スラリー中の正極活物質またはその前駆体の濃度、有機化合物の濃度、撹拌速度、撹拌時間等により調整することができる。これにより、スラリー中の正極活物質またはその前駆体の粒度分布が広くなり、よって、このスラリーを噴霧・乾燥して得られる凝集体中の正極活物質が最密充填され、凝集体の体積密度が50体積%以上かつ80体積%以下を実現することができる。
次いで、このスラリーは通常、雰囲気温度は溶媒の沸点以上である高温雰囲気中、例えば70℃以上かつ250℃以下の大気中に噴霧し、乾燥させる。
ここで、噴霧の際の条件、例えば、スラリー中の正極活物質またはその前駆体の濃度、有機化合物の濃度、噴霧圧力、速度、更に、噴霧後の乾燥させる際の条件、例えば、昇温速度、最高保持温度、保持時間等を適宜調整することにより、平均粒子径が0.5μm以上かつ100μm以下、好ましくは0.5μm以上かつ20μm以下の乾燥物が得られる。
噴霧・乾燥時の雰囲気温度は、スラリー中の溶媒の蒸発速度に影響を与え、これにより得られる乾燥物の構造を制御することができる。
例えば、雰囲気温度がスラリー中の溶媒の沸点に近くなればなる程、噴霧された液滴の乾燥に時間がかかるので、この乾燥に要する時間の間に、得られる乾燥物は十分に収縮することとなる。これにより、スラリー中の溶媒の沸点近傍の雰囲気温度にて噴霧・乾燥した乾燥物は、中空構造を取り難い。
一方、スラリー中の溶媒の沸点温度よりも大幅に高い雰囲気温度にて噴霧・乾燥を行うと、噴霧された液滴は瞬時に乾燥するので、スラリーの流動性は著しく低下する。したがって、得られる乾燥物は、瞬時に乾燥することで収縮に必要な時間が十分に与えられないこととなる。これにより、スラリー中の溶媒の沸点温度よりも高い雰囲気温度にて噴霧・乾燥した乾燥物は、中空構造を取り易くなる。さらには、凝集体に内在する細孔の細孔分布を単峰性とすることができ、かつ、この凝集体の平均細孔径を0.3μm以下とすることができる。
(焼成)
次いで、この乾燥物を、非酸化性雰囲気下、500℃以上かつ1000℃以下、好ましくは600℃以上かつ900℃以下の範囲内の温度にて0.1時間以上かつ40時間以下、焼成する。
この非酸化性雰囲気としては、窒素(N)、アルゴン(Ar)等の不活性雰囲気が好ましく、より酸化を抑えたい場合には水素(H)等の還元性ガスを数体積%程度含む還元性雰囲気が好ましい。また、焼成時に非酸化性雰囲気中に蒸発した有機分を除去する目的で、酸素(O)等の支燃性または可燃性ガスを不活性雰囲気中に導入することとしてもよい。
焼成温度が500℃以上では、乾燥物に含まれる有機化合物の分解・反応が充分に進行するために、有機化合物の炭化が充分なものとなり、その結果、得られた凝集体中に高抵抗の有機化合物の分解物が残存しにくく好ましい。
一方、焼成温度が1000℃以下であると、正極活物質中のLiが蒸発しにくいため正極活物質に組成のズレが生じにくく、また正極活物質が粒成長しにくい。その結果、高速充放電レートにおける放電容量が低くなりにくく、充分な充放電レート性能を実現することができるため好ましい。
以上により、本実施形態の正極材料を製造することができる。
[正極、リチウムイオン電池]
図1は、本実施形態に係る正極、リチウムイオン電池の一例を示す模式図である。図では、角型のリチウムイオン電池100を示している。リチウムイオン電池100は、正極110、負極120、セパレータ130、端子140、筐体150、蓋160を有している。リチウムイオン電池100はいわゆる積層型の構成を有している。
正極110は、本実施形態に係る正極であり、上述の正極材料、または上述の正極材料の製造方法により製造した正極材料を含む。図では、平面視矩形の部材として示している。
本実施形態の正極を作製するには、上記の正極材料または上述の正極材料の製造方法により製造した正極材料と、バインダー樹脂からなる結着剤と、溶媒とを混合して、正極形成用塗料または正極形成用ペーストを調整する。この際、必要に応じてカーボンブラック等の導電助剤を添加してもよい。
上記の結着剤、すなわちバインダー樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)樹脂、フッ素ゴム等が好適に用いられる。
正極材料とバインダー樹脂との配合比は、特に限定されないが、例えば、正極材料100質量部に対してバインダー樹脂を1質量部以上かつ30質量部以下、好ましくは3質量部以上かつ20質量部以下とする。
この正極形成用塗料または正極形成用ペーストに用いる溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール:IPA)、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジエチルエーテル、エチレングルコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングルコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングルコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類等を挙げることができる。これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
次いで、この正極形成用塗料または正極形成用ペーストを、金属箔の一方の面に塗布し、その後、乾燥し、上記の正極材料とバインダー樹脂との混合物からなる塗膜が一方の面に形成された金属箔を得る。
次いで、この塗膜を加圧圧着し、乾燥して、金属箔の一方の面に正極材料層を有する集電体(正極)を作製する。
このようにして、本実施形態の正極を作製することができる。
負極120は、図において平面視矩形の部材として示している。負極120としては、リチウムイオン電池用に用いられる負極として通常知られたものを用いることができる。例えば、金属Li、炭素材料、Li合金、LiTi12等の負極材料を用いたものを用いることができる。
セパレータ130は、正極110と負極120との短絡を防ぎ、電解液を含浸させて保持する機能を有する。セパレータ130としては、リチウムイオン電池用に用いられるセパレータとして通常知られたものを用いることができる。
端子140は、リチウムイオン電池100において、正極110および負極120とそれぞれ接続し、外部機器との電気的接続を行うものである。
筐体150は、正極110、負極120、セパレータ130、電解液を収容するものであり、図に示す角型の他にも、電池の規格に基づいた種々の形状、例えば円筒型を採用することができる。
蓋160は、筐体150を封止するものであり、端子140が付されている。
このようなリチウムイオン電池100は、まず正極110と負極120とでセパレータ130を挟持して筐体150に収容し(図1(a))、セパレータ130に電解液を含浸させて正極110と負極120との間に電解質を配置した後、正極110および負極120にそれぞれ接続される端子140を有する蓋160で筐体150を封止することで製造することができる(図1(b))。
なお、図では、一組の正極110と負極120とセパレータ130とを筐体150に収容することとしているが、複数の正極と複数の負極とを交互に配置し、各正極と負極との間にセパレータを配置する多層積層型の構成としてもよい。
また、電解液とセパレータ130の代わりに、固体電解質を用いても良い。
以上のような構成の正極によれば、本実施形態の正極材料を含むため、高性能な正極となる。
また、以上のような構成のリチウムイオン電池によれば、本実施形態の正極を含むため、高性能なリチウムイオン電池となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例で製造した正極材料については、以下の測定を行った。
(1)平均価数の測定
平均価数は、得られた活物質の価数の評価はヨードメトリによって行った。ヨードメトリでは活物質質量40〜50mgに対して約10倍のヨウ化リチウムを溶かした17%塩酸20mLに活物質を溶かして、99.9%Mnで較正したチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定して価数を求めた。
(2)粒子pHの測定
粒子pHは、活物質粒子5gを、25℃の純水50g中に撹拌混合した後10分間静置した。その後、再度撹拌混合、10分間静置を行い、得られた上澄み溶液についてHORIBA製pHメーターD−51を用いて測定した。
(3)比表面積の測定
比表面積は、比表面積計(BelsorpII、日本ベル社製)を用いて正極材料の比表面積(m/g)を測定した。
[実施例1]
水2L(リットル)に、6molの酢酸リチウム(LiCHCOO)、2molの硫酸マンガン(II)(MnSO)、2molのリン酸(HPO)を混合し、原料スラリーを調製した。
次いで、この原料スラリーの全体量が4L(リットル)になるように水を添加し、スラリー状の混合物を調整した。
次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、110℃にて4時間、水熱合成を行った。
得られた反応生成物を蒸留水で複数回十分に水洗した後、水に分散させ、20質量%LiMnPO分散液とした。次いで、LiMnPOに対し5質量%の硫酸を添加した。硫酸添加後の分散液のpHは4.75であった。
次いで、この分散液を25℃、回転数150rpmで3時間撹拌後、フィルター濾過し、濾別した固体を蒸留水で複数回十分に水洗することで、含水率30%のLiMnPOを得た。この洗浄操作におけるLiMnPO固形量あたりの収率は97.4%であった。
次いで、LiMnPOの固形分95質量部に対し、10質量%ポリビニルアルコール水溶液を加えてポリビニルアルコール質量が5質量部となるように混合し、さらに水を添加して総固形分20質量%の分散液とした。
この分散液をヤマト科学製スプレードライヤーADL311−Aを用い、入口温度180℃にて乾燥造粒後、600℃で1時間熱処理を行い、実施例1の正極材料を得た。
正極材料の平均価数は2.012、粒子pHは7.32であった。
(正極の作製)
得られた正極材料と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、導電助剤としてアセチレンブラック(AB)とを、質量比が80:10:10となるように混合し、さらに溶媒としてN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を加えて流動性を付与し、正極材料ペーストを作製した。
次いで、このペーストを厚み30μmのアルミニウム(Al)箔上に塗布し、乾燥させた。その後、30MPaの圧力にて加圧し、正極板を作製した。
次いで、この正極板を成形機を用いて直径16mmの円板状に打ち抜き、試験用正極を作製した。
(リチウムイオン電池の作製)
このリチウムイオン電池の正極に対し、負極としてリチウム金属を用い、セパレータとして間に多孔質ポリプロピレン膜を用いた。
一方、炭酸エチレンと炭酸ジエチルとを1:1(質量比)にて混合し、さらに1mol/LのLiPF溶液を加えて、リチウムイオン伝導性を有する電解質溶液を作製した。
次いで、2032コイン型セルを用いて、正極、セパレータ、負極を順に積層し、セパレータに電解質溶液を浸漬して、実施例1のリチウムイオン電池を作製した。
(リチウムイオン電池の評価)
環境温度25℃、充電電流0.1CAで、正極の電位がLiの平衡電位に対して4.5Vになるまで充電し、1分間休止の後、1CAの放電電流で2.0Vになるまで放電させた。
1サイクル目および300サイクル目の1C放電容量を表1に示す。
[実施例2]
硫酸の添加量を変更し、硫酸後の分散液のpHを4.11としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の正極材料、正極およびリチウムイオン電池を得た。
[実施例3]
硫酸の添加量を変更し、硫酸後の分散液のpHを5.87としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の正極材料、正極およびリチウムイオン電池を得た。
[比較例1]
硫酸の添加量を変更し、硫酸後の分散液のpHを6.89としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の正極材料、正極およびリチウムイオン電池を得た。
[比較例2]
硫酸の添加量を変更し、硫酸後の分散液のpHを9.27としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の正極材料、正極およびリチウムイオン電池を得た。
[比較例3]
硫酸の添加量を変更し、硫酸後の分散液のpHを3.14としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の正極材料、正極およびリチウムイオン電池を得た。
評価結果を下記表1に示す。
Figure 2016085915
表1に示すように、実施例1〜3では、300サイクル目であっても充放電特性の低下が少ないことが分かった。
対して、比較例1〜3では、充放電特性が低下することが分かった。
以上の評価の結果、本発明が有用であることが分かった。
100…リチウムイオン電池、100…粒子、110…正極、120…負極、130…セパレータ、140…端子、150…筐体、160…蓋
また、本発明に一態様は、正極材料の製造方法であって、前記正極材料は正極活物質を形成材料とする活物質粒子を含み、前記正極活物質は、LiPO(ただし、AはFe、Co、Mn、Ni、Cu、Crからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属元素、DはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、Ge、Sc、Y、希土類元素からなる群から選ばれる1種または2種以上の金属元素であり、0<x≦2、0<y≦1、0≦z≦1.5である)であり、水熱反応で得られ、前記活物質粒子と分散媒とを含む塩基性スラリーに酸を加え、pH4.0以上pH6.0以下の酸性スラリーを調製する工程と、酸性スラリーから前記活物質粒子を分離し、得られた前記活物質粒子を水洗する工程を備える正極材料の製造方法を提供する。
Figure 2016085915
また、本発明の一態様は、上記の正極材料含む正極を提供する。

Claims (6)

  1. 正極活物質を形成材料とする活物質粒子を含み、
    前記正極活物質は、LiPO(ただし、AはFe、Co、Mn、Ni、Cu、Crからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属元素、DはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、Ge、Sc、Y、希土類元素からなる群から選ばれる1種または2種以上の金属元素であり、0<x≦2、0<y≦1、0≦z≦1.5である)であり、
    前記Aで表される金属元素および前記Dで表される金属元素の平均価数が2以上2.02以下であり、
    前記活物質粒子の粒子pHが6.5以上8.5以下である正極材料。
  2. 前記正極活物質がLiMnPOである請求項1に記載の正極材料。
  3. 前記活物質粒子は、表面に炭素質が存在しており、
    前記活物質粒子を一次粒子として凝集した凝集体を含む請求項1または2に記載の正極材料。
  4. 正極材料の製造方法であって、
    前記正極材料は正極活物質を形成材料とする活物質粒子を含み、
    前記正極活物質は、LiPO(ただし、AはFe、Co、Mn、Ni、Cu、Crからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属元素、DはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、Ge、Sc、Y、希土類元素からなる群から選ばれる1種または2種以上の金属元素であり、0<x≦2、0<y≦1、0≦z≦1.5である)であり、
    前記活物質粒子をpH4.0以上pH6.0以下の酸性環境下に曝す工程を備える正極材料の製造方法。
  5. 請求項1から3のいずれか1項に記載の正極材料、または請求項4に記載の正極材料の製造方法により製造された正極材料を含む正極。
  6. 請求項5に記載の正極を有するリチウムイオン電池。
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