図1には本発明の一実施形態に係る画像形成装置1における用紙の搬送に関わる要部の構成が模式的に示されている。画像形成装置1は、自動両面ユニット(ADU: Automatic Duplexing Unit)を備えた電子写真式のカラープリンタである。ただし、これに限らず、モノクロプリンタ、複写機、複合機、またはファクシミリ機であってもよい。
画像形成装置1は、用紙収納部である給紙カセット35に収納された用紙5を搬送路70に沿って搬送しながら当該用紙5に画像を形成して排出する。
画像形成装置1の搬送路70は、片面印刷および両面印刷において用紙5が通る部分である共通搬送路71と、両面印刷において用紙5の表裏を反転させる部分として設けられた反転搬送路72とから構成される。共通搬送路71は、給紙カセット35の近傍の給紙ローラ41からタイミングローラ42と2次転写ローラ43と定着ローラ44とを順に経て排紙ローラ45に至る。反転搬送路72は、定着ローラ44から反転ローラ45へ向かい、スイッチバック位置PsbからADU搬送ローラ47,48と再給紙ローラ49とを経て、共通搬送路71におけるタイミングセンサ51の上流側に合流する。
給紙ローラ41は、ピックアップローラ40によって給紙カセット35から取り出された用紙5を搬送路70へ給紙する。タイミングローラ42は、2次転写ローラ43のニップ部である転写位置へ用紙5を送り出す。2次転写ローラ43は、タンデム式の作像部20において形成されて転写ベルト25に転写されたトナー像を、用紙5に転写させる。定着ローラ44は、トナー像が転写された用紙5に熱と圧力とを加える。排紙ローラ45は、フィニッシャ60に用紙5を排出する。
反転ローラ46は、片面の印刷を終えた用紙5の表裏を反転するためのローラであってスイッチバック位置Psbに設けられている。反転ローラ46は、用紙5の一部分をスイッチバック位置Psbへ引き込んだ後に反転し、用紙5をADU搬送ローラ47へ向かわせる。ADU搬送ローラ47,48および再給紙ローラ49は、共通搬送路71との合流位置へ向けて用紙5を搬送する。
搬送路70には、タイミングセンサ51、排紙センサ52、およびADU搬送センサ53,54が設けられている。これらセンサ51〜54はそれぞれが配置された位置(センサ位置)における用紙5の有無を検出する。各センサ51〜54として、例えば用紙5による遮光の有無を検出するフォトインタラプタまたは用紙5による光反射の有無を検出するフォトセンサを用いることができる。
タイミングセンサ51は給紙ローラ41とタイミングローラ42との間に設けられ、排紙センサ52はタイミングセンサ51よりも下流側である排紙ローラ45の上流側近傍に設けられている。ADU搬送センサ53はADU搬送ローラ47とADU搬送ローラ48との間に設けられ、ADU搬送センサ54はADU搬送ローラ48と再給紙ローラ49との間に設けられている。なお、後述する搬送状態についての判断において、タイミングセンサ51は第1の用紙センサとして用いられ、排紙センサ52およびADU搬送センサ53はそれぞれ第2の用紙センサとして用いられる。
図2には画像形成装置1の制御システムのハードウェア構成が示されている。
図2のように画像形成装置1は、印刷のための機械的な動作を行うエンジン部100と、印刷ジョブの受付けを含む印刷に関わるデータ処理を行うシステム制御部200とを有している。
エンジン部100は、作像部20、搬送駆動系30、フィニッシャ60、CPU(Central Processing Unit) 101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、および不揮発メモリ104を備えている。
作像部20は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナーのいずれかまたは全部を用いて、モノクロ画像またはカラー画像を形成する。作像部20は、定着ローラ44を加熱するヒータの駆動回路を含んでいる。
搬送駆動系30は、搬送路70に配置された上述の各ローラ40〜49を回転させるモータ、回転力の伝達の断続のためのクラッチ、搬送先を切り替えるガイド爪といった可動部材を作動させるソレノイドなどから構成される。
フィニッシャ60は、排紙ローラ45の下流側に配置され、搬送路70から排出された用紙5に対してフィニッシング処理を行う。フィニッシャ60は、画像形成装置1に与えられた印刷ジョブにおいてフィニッシング処理として綴じ処理が指定されている場合に、排紙ローラ45によって順に送り込まれた複数枚の用紙5をステープルで綴じて排出する。
CPU101は、ROM102に格納されているプログラムを実行することによって、作像部20、搬送駆動系30およびフィニッシャ60を制御する。CPU101は、プログラムの実行のワークエリアとしてRAM103を用い、不揮発性メモリ104をデータ保存エリアとして用いる。
CPU101には、搬送路70に配置された上述の各センサ51〜55から検出信号が入力される。CPU101は、各センサ51〜55からの検出信号によって用紙5の搬送状態を検知し、作像部20の動作と歩調を合わせて用紙5が移動するように搬送駆動系30を制御する。
システム制御部200は、本発明に関わる構成要素としてCPU201および操作部202を備えている。なお、図示を省略したが、システム制御部200は、CPU201が実行するプログラムを記憶するROM、プログラム実行のワークエリアとなるRAM、外部装置との通信のためのネットワークインタフェースなどを備えている。
CPU201は、外部装置からの印刷ジョブを受け付けると、エンジン部100のCPU101に対して、印刷ジョブにおける設定の内容を通知する。設定の内容は、印刷ページ数、用紙サイズ、片面/両面印刷の指定、フィニッシング処理の要否などである。CPU101とのやり取りで印刷が可能な状態であることを確認した後、CPU201はCPU101に印刷の開始を指示する。そして、作像部20の動作と歩調を合わせて、印刷すべき画像のデータをエンジン部100に転送する。
操作部202は、例えばタッチパネルディスプレイを備えたマンマシンインタフェースである。操作部202は、ユーザが用紙5のサイズを含む各種の動作条件を設定するための画面をタッチパネルディスプレイに表示させ、ユーザが設定した動作条件をCPU201に通知する。
さて、画像形成装置1においては、エンジン部100のCPU101によって検知される搬送状態の中に「分離状態」が含まれる。分離状態とは、搬送路70中において連れ送りされた複数枚の用紙5が分離された状態である。「連れ送りされた」という用語は、後述の「連れ送り」の様相で搬送されたことを意味する。以下、この分離状態の検知および検知した後の制御を中心に画像形成装置1における制御システムの機能を詳しく説明する。
図3には制御システムのCPU101の機能的構成が示されている。
CPU101は、搬送制御部110、用紙サイズ取得部170、三つの用紙長さ検出部151,152,153、分離判断部160、および表示制御部165を有する。これら構成要素は、CPU101が上述のプログラムを実行することによって実現される機能的要素である。
図1をも参照して、搬送制御部110は、用紙5を給紙カセット35から搬送路70に給紙して所定の速度で搬送するように搬送駆動系30を制御する。制御にあたり、搬送制御部110は、給紙カセット35から給紙する用紙5のサイズが用紙サイズ取得部170によって取得された設定サイズDsであるものとして、各ローラを回転駆動させる時間などを定める。
搬送制御部110は、給紙した用紙5が排紙センサ52を通過し終えるまで、タイミングセンサ51および排紙センサ52の出力(検出結果)を監視する。両面印刷ジョブの場合はADU搬送センサ53,54の出力(検出結果)をも監視する。
各センサ位置までの距離と搬送速度とから予測されるタイミングで各センサの検出結果が「用紙無し」から「用紙有り」に変化した場合、搬送制御部110は、搬送が正常であると判断して搬送を続行させる。
一方、各センサ位置に到着すべき時点を過ぎてもセンサの検出結果が「用紙無し」から「用紙有り」に変化しない場合、搬送制御部110は、ジャムが発生したと判断して搬送を停止させる。つまり、いわゆるジャム処理(ジャム停止処理)を行う。
また、搬送制御部110は、分離判断部160が搬送状態を分離状態であると判断したときに、連れ送りされた複数枚の用紙5a 、5bのうちの上流側の用紙5bである上流側用紙をジャムとすることなく排出する。すなわち、搬送制御部110は、分離状態においては、搬送路70に残留している用紙5bを搬送路70から排出する排出制御手段として動作する。なお、このような処理を「ジャム回避処理」ということがある。
搬送制御部110は、排紙センサ52またはADU搬送センサ53の搬出結果に基づいて検出された長さと給紙ローラ41 の駆動時間とに基づいて、排出するべき上流側用紙の枚数を算出し、算出した枚数に応じて搬送制御を行って上流側用紙を排出する。
搬送制御部110は、上流側用紙の排出中に、用紙長さ検出部151および用紙長さ検出部152,153によってそれぞれ検出された上流側用紙の長さが一致しない場合に、当該上流側用紙をジャムとして排出を停止する。なお、用紙長さ検出部151および用紙長さ検出部152,153は、後で述べるようにセンサ51〜53の検出結果に基づいて用紙5の長さを検出するが、上流側用紙の排出中にもそれぞ上流側用紙の長さを検出する。
さらに、搬送制御部110は、分離判断手段が搬送状態を分離状態であると判断したときに、連れ送りされた複数枚の用紙5a,5bのいずれに対してもフィニッシング処理を行わずに排出するようにフィニッシャ60を制御する。
用紙長さ検出部151は、タイミングセンサ51の検出結果に基づいて、タイミングセンサ51を通過する用紙5の長さを検出する。詳しくは、用紙長さ検出部151は、クロックCLKのパルスをカウントするカウンタとして構成される。用紙長さ検出部151は、タイミングセンサ51の検出結果が「用紙無し」から「用紙有り」に変化したときにカウントを開始し、検出結果が「用紙有り」から「用紙無し」に変化したときにカウントを終了する。すなわち、タイミングセンサ51の検出結果が「用紙有り」である時間を計時する。
用紙5の搬送速度は実質的に一定であるので、計時された時間は用紙5の長さに比例する。したがって、計時された時間に基づいて用紙5の長さを算出することができる。例えば搬送速度が230mm/sで、計時された時間が1291msであった場合、用紙の長さは296.93mm(230×1291/1000)となる。ただし、複数のセンサ位置での用紙5の長さを比較できればよい場合、必ずしも用紙5の長さを算出する必要はない。用紙長さ検出部151によるカウントのカウント値は、用紙5の長さの検出値(A)として分離判断部160に入力される。
用紙長さ検出部152は、排紙センサ52の検出結果に基づいて、排紙センサ52を通過する用紙5の長さを検出する。また、用紙長さ検出部153は、ADU搬送センサ53の検出結果に基づいて、ADU搬送センサ53を通過する用紙5の長さを検出する。これら用紙長さ検出部152,153は、用紙長さ検出部151と同様のカウンタとして構成される。用紙長さ検出部152によるカウントのカウント値は検出値(B)として、用紙長さ検出部153によるカウントのカウント値は検出値(C)として、それぞれ分離判断部160に入力される。
分離判断部160は、検出値(A)を第1の用紙長さ検出手段により検出された用紙の長さとして取り込み、検出値(B)または検出値(C)を第2の用紙長さ検出手段により検出された用紙の長さとして取り込む。そして、分離判断部160は、検出値(B)または検出値(C)が検出値(A)よりも小さいときに、搬送状態が分離状態であると判断する。
分離判断手段160は、さらに、検出値(B)に基づいて判定される上流側用紙の先端の位置が、タイミングセンサ51よりも下流側でかつタイミングローラ42よりも上流側であった場合に、搬送状態が分離状態であると判断する。
表示制御部165は、分離判断部160が搬送状態を分離状態であると判断したときに、スイッチバック位置Psbの近傍に用紙5a が残留していることを表示する。画像形成装置1に備わるタッチパネルディスプレイはシステム制御部200によって制御されるので、表示制御部165が実際に行うのは、用紙5a が残留していることの表示をシステム制御部200に要求する処理である。
用紙サイズ取得部170は、「設定サイズDs」を取得する。設定サイズDsは、給紙カセット35から搬送路70へ給紙されるべき用紙5の用紙サイズである。用紙サイズ取得部170は、例えばシステム制御部200から通知される印刷ジョブの設定の内容から用紙のサイズを設定サイズDsとして抽出する。
次に、分離状態に関係する「連れ送り」について説明する。連れ送りとは、印刷ジョブの実行に際して給紙されるべき用紙5の枚数よりも多い用紙5a、 5bが重ならずに連なって搬送されるトラブルである。「重ならずに」とは、重送として検出されない程度の僅か重なりの在る場合を含む。また、「連なって」とは、各センサ51〜54によって「用紙無し」と検出されない程度の僅かな間隙が用紙間に在る場合を含む。
連れ送りの生じる可能性のある場合として、次の条件〔1〕〜〔3〕を前提とした搬送の制御を行う場合がある。
〔1〕 タイミングセンサ51により検出した用紙5のサイズ(検出値(A))が設定サイズDsと異なっていたとしても、搬送を継続させて用紙5を排出する。つまり、搬送中に用紙5のサイズ違いを検出しても搬送を停止させない。
〔2〕 給紙に際して、給紙ローラ41を回転させる1枚あたりの時間を、用紙5の搬送距離がほぼちょうど設定サイズDsに対応する距離となる長さの時間とする。
〔3〕 検出値(A)を得た以降では検出値(A)が示す長さを用紙5の長さとして搬送を制御するものとし、用紙5が排紙センサ52を通過し終える予定の時点よりも早い時点で排紙センサ52が「用紙無し」を検出したとき、ジャムが発生したと判断して直ちに搬送を停止させる。
図4には連れ送りの発生過程の一例が示されている。図4(A)では1枚の用紙5を給紙する場合のローラの回転駆動のタイミングが示されている。図4(B)では正常に給紙される場合および連れ送りの生じる場合について、複数の段階のそれぞれにおける給紙ローラ41の近傍の様子が模式的に描かれている。なお、図4(B)において、複数の用紙5の区別を理解し易くするため、積み重ねてセットされた状態における上から奇数番目の用紙5を太い線で、偶数番目の用紙5を白抜きの細長い帯でそれぞれ表わしている。
まず図4(B)を参照して、給紙ローラ41は第1ローラ41Aと第2ローラ41Bとの対である。第1ローラ41Aが反時計回りに、第2ローラ41Bが時計回りに回転することで給紙が行われる。第2ローラ41Bはトルクリミッタを内蔵しており、例えば2枚の用紙5が重なってニップ部に突入してトルクが過大になったときに反転し、下側の用紙5の通過を防ぐ。
ピックアップローラ40は、重ねてセットされた複数の用紙5のうちの最上の用紙5を給紙ローラ41のニップ部へ送り出す。重ねてセットされた状態における用紙5の先端と給紙ローラ41のニップ部とは距離dだけ離れている。
次に図4(A)を参照して、時点t0ではピックアップローラ40および給紙ローラ41は停止している。時点t1でピックアップローラ40が回転を開始し、時点t4で停止する。時点t1より距離dの送出し分だけ遅い時点t2で給紙ローラ41が回転を開始し、時点t5で停止する。時点t2から時点t5までの時間T1は、上述の条件〔2〕に則して、給紙ローラ41が設定サイズDsの長さに相当する回転量を回転駆動される時間とされる。
図4(B)の左半部を参照して、給紙カセット35にセットされた用紙5は、設定サイズDsと同じサイズの用紙5である。時点t1で給紙カセット35からの用紙5の取出しが始まり、時点t2から時点t5へと時間が経過するのにつれて、1枚の用紙5が正しく給紙される。時点t5では給紙ローラ41が停止するが、その後も用紙5はタイミングローラ42によって搬送される。
図4(B)の右半部を参照して、給紙カセット35には設定サイズDsよりも小さいサイズの複数の用紙5a,5bがセットされている。すなわち、これら用紙5a,5bは設定サイズDsの用紙5と比べて搬送方向に短い。
このように用紙5a,5bのサイズと設定サイズDsとが食い違うという状況は、例えば給紙カセット35がサイズセンサを備えていない場合に起こり得る。すなわち、この場合には印刷ジョブの実行の開始に先立ってサイズ違いを検知してエラーを通知する処理が行われないので、給紙するべき用紙とは異なるサイズの用紙5a,5bがセットされたまま印刷ジョブが実行されることがある。
また、給紙カセット35がサイズセンサを備えていたとしても、設定サイズDsの用紙5の上にそれより小さいサイズの用紙5a,5bが重ねてセットされた場合、全ての用紙5,5a,5bのサイズが設定サイズDsと誤検出されてしまい、エラーが通知されずに印刷ジョブが実行されることがある。
時点t1で上側の用紙5aの取出しが始まり、時点t2で給紙ローラ41による用紙5aの給紙が始まる。
時点t3で用紙5aの後端が2枚目の用紙5bの上を通過し終えると、2枚目の用紙5bがピックアップローラ40と当接し、2枚目の用紙5bの取出しが始まってしまう。このため、1枚目の用紙5aに続いて2枚目の用紙5bが給紙されて連れ送りが発生する。
時点t4において、1枚目の用紙5aは給紙ローラ41を通り過ぎているが、上述の条件〔2〕に則して給紙ローラ41が回転駆動されているので、連れ送りの様相の搬送が続いている。その後の時点t5では、2枚目の用紙5bを挟んだ状態で給紙ローラ41が停止する。
〔連れ送りの対処の第1例〕
図5には連れ送りに起因する用紙5bの残留の一例が、図6には図5の例における給紙ローラ41が停止した時点の用紙5a,5bの位置が、それぞれ示されている。
第1例における設定サイズDsをA4SEFとし、給紙カセット35にセットされた用紙5a,5bのサイズをA5SEFとする。つまり、本来給紙するべき用紙の搬送方向の長さは297mmであるのに、実際に給紙する用紙5a,5bの搬送方向の長さは210mmである。
第1例における印刷ジョブは、設定サイズDsの1枚の用紙の片面に画像を形成する片面印刷ジョブである。印刷ジョブのための用紙の搬送は、図5(A)〜(D)の各段階を順に経る。
図5(A)では、用紙5aの給紙が進行中である。用紙5aの先端はタイミングセンサ51に到着していない。したがって、この段階でのタイミングセンサ51の検出結果は「用紙無し」である。
なお、図5中の各センサ51〜54について、「用紙無し」を示す状態を白抜きで、「用紙有り」を示す状態を黒の塗り潰しで、それぞれ表わしている。後述の図9も同様である。
図5(B)では、用紙5aと用紙5bとが連れ送りされている。これら複数の用紙5a,5bのうちの下流側(先行側)の用紙5aがタイミングセンサ51を通過中であり、タイミングセンサ51の検出結果は「用紙有り」である。上流側(後行側)の用紙5bは給紙中である。
図中に示される位置PEは、給紙中の用紙5aのサイズが設定サイズDsであると仮定したときの用紙後端の位置である。図5(B)の段階での位置PEは給紙ローラ41の上流側である。この後、位置PEが給紙ローラ41の位置になるタイミングで給紙ローラ41が停止する。
図5(C)では、既に給紙ローラ41は停止している。給紙ローラ41が停止したときに上流側の用紙5bがタイミングローラ42に到着しなかったことから、上流側の用紙5bはタイミングセンサ51を通過する途中の状態で止まっている。一方、下流側の用紙5aは定着ローラ44によって搬送されて排紙センサ52を通過中である。すなわち、連れ送りされた用紙5a,5bのうちの下流側の用紙5bのみが搬送されている。図5(C)では、タイミングセンサ51および排紙センサ52の各検出結果はいずれも「用紙有り」である。
下流側の用紙5aのみが搬送されたことから、搬送路70において用紙5aと用紙5bとが分離されている。つまり、図5(C)の搬送の状態は上述の分離状態の一例である。
図5(D)では下流側の用紙5aは排紙センサ52を通り過ぎており、排紙ローラ45によって排出し終える寸前の位置まで進んでいる。排紙センサ52の検出結果は「用紙無し」である。上流側の用紙5bは搬送路70に残留したままであり、タイミングセンサ51の検出結果は図5(C)の段階と同じく「用紙有り」である。
図5の例のように用紙5bが給紙ローラ41の近傍に残留するのは、給紙ローラ41が停止したときに用紙5bがタイミングローラ42に到着していなかった場合である。図6にはそのときの用紙5bの位置が具体的に示されている。
図6を参照して、画像形成装置1において、搬送路70上の給紙ローラ41の位置P41からタイミングセンサ51の位置P51までの距離は79mmとされ、タイミングローラ42の位置P42までの距離は91mmとされている。ただし、これら数値は一例であって適宜選定することができる。
給紙ローラ41が停止した時点t3における下流側の用紙5aの先端の位置P5aは、給紙ローラ41の位置P41から設定サイズDs分の297mmの距離を進んだ位置である。上流側の用紙5bの先端(用紙5aの後端でもある)の位置P5bは、位置P41から87mmの距離を進んだ位置である。この87mmという値は、設定サイズDs分の297mmと用紙5aの実際のサイズ分の210mmとの差分δである。
図7には図5の例に対処するための制御ルーチンのフローチャートが、図8には図5の例に関わる信号およびデータの変化を示すタイミングチャートが、それぞれ示されている。
図3をも参照して、搬送制御部110は、システム制御部200から印刷の開始の指示を受けると、搬送駆動系30に給紙を開始させる。この後、印刷ジョブの実行が終了するまでの間、図7の制御ルーチンが繰り返し実行される。
図7のステップ#11において、用紙長さ検出部151がタイミングセンサ51の検出結果に応じて用紙の長さの検出値(A)を更新する。すなわち、検出結果が「用紙無し(図8ではOFFと表記する)」である場合はクロックをカウントせず、検出結果が「用紙有り(図8ではONと表記する)」である場合にクロックをカウントする。
また、ステップ#12では、用紙長さ検出部152が排紙センサ52の検出結果に応じて用紙の長さの検出値(B)を更新する。
ステップ#13において、分離判断部160が検出値(B)の検出状態をチェックする。すなわち、用紙長さ検出部152による計時が終了して検出値(B)が確定しているか、計時が進行中(検出中)であるかをチェックする。ここで、計時が始まる前の状態も検出中に含まれる。チェック結果が検出中であった場合、分離判断部160は処理を終了する。この場合、フローは制御ルーチンの繰り返しに伴ってステップ#11に戻る。
ステップ#13において検出値(B)が確定している場合、分離判断部160は、検出値(A)と検出値(B)とが一致するかどうかをチェックする(#14)。チェック結果がYESである場合、分離判断部160は搬送状態が「正常」であると判断する(#22)。
図8(A)はこのように「正常」と判断される場合のタイミングチャートである。タイミングセンサ51および排紙センサ52は、設定サイズDs(例示ではA4SEF)の用紙5が通過している間にわたってONになる。検出値(A)および検出値(B)は、対応するセンサがONである間、時間の経過とともに増大し、センサがOFFになることで確定する。検出値(B)が確定した後、搬送の状態が「正常」と判断される。このとき、検出値(A)も確定している。搬送状態が「正常」と判断された場合、搬送制御部110は搬送駆動系30を通常どおり制御する。
図7に戻って、ステップ#14のチェック結果がNOである場合、分離判断部160は検出値(B)が検出値(A)よりも小さいかどうかをチェックする(#15)。チェック結果がNOである場合、分離判断部160はジャムが発生したと判断してその旨を搬送制御部110に通知する(#23)。搬送制御部110は、この通知を受けると、直ちに搬送を停止させる(#24)。
なお、ステップ#15のチェック結果がNOとなる場合として、例えば排紙ローラ45がスリップしたり一時的に止まったりといったトラブルの発生が挙げられる。
一方、ステップ#15のチェック結果がYESである場合、分離判断部160は、検出値(A)の検出状態をチェックする(#16)。
ステップ#16において検出値(A)が確定している場合、分離判断部160はジャムが発生したと判断し(#23)、搬送制御部110は直ちに搬送を停止させる(#24)。つまり、この場合は、排紙センサ52を通過した用紙の長さがタイミングセンサ51を通過したときと比べて短い場合であって、搬送の途中で用紙5がちぎれた可能性のある場合である。用紙5がちぎれる状況として、例えば高濃度の画像の印刷に際してトナーが定着ローラ44に貼り付くことがあり得る。用紙5の巻き付きによる定着ローラ44の損傷を防ぐため、ジャム処理がステップ#24で行われる。
ところで、ステップ#16のチェック結果が検出中となる場合というのは、搬送状態が分離状態となっている可能性のある場合である。この場合、分離判断部160は、搬送状態が分離状態か他のトラブルの発生した状態であるかをより確実に見極めるため、次の処理(#17〜#19)を実行する。
分離判断部160は、連れ送りされて残留しているであろう上流側の用紙5bの搬送距離、すなわち図6で説明した差分δを算出する(#17)。このとき、設定サイズDsから差し引く下流側の用紙5aの長さを検出値(B)に基づいて特定する。
続いて、分離判断部160は、算出した搬送距離(差分δ)とローラおよびセンサの既知の位置関係とから搬送路70における用紙5bの先端の位置P5bを特定する(#18)。そして、分離判断部160は、用紙5bの先端の位置P5bがタイミングセンサ51とタイミングローラ42との間であるかどうかをチェックする(#19)。
ステップ#19のチェック結果がYESである場合、分離判断部160は搬送状態が分離状態であると判断し、その旨を搬送制御部110に通知する(#20)。
搬送制御部110は、この通知を受けると、残留している上流側の用紙5bを排出するように搬送駆動系30を制御する。このとき、上流側の用紙5bの長さを検出値(B)によって示される用紙5aの長さと同じであるものとして、給紙ローラ41および他のローラをそれぞれ所定のタイミングで回転駆動させる。給紙ローラ41については、用紙5aの長さから上述の差分δを差し引いた長さ分の距離を移動するように回転駆動させる時間を定めてもよい。すなわち、用紙5aの長さが210mmで、差分δが89mmである場合、少なくとも121mm移動させるようにする。
一方、ステップ#19のチェック結果がNOである場合、分離判断部160はジャムが発生したと判断し(#23)、搬送制御部110は直ちに搬送を停止させる(#24)。
なお、印刷ジョブがフィニッシング処理を伴う場合、分離状態と判断した後に排出する用紙5a,5bについてフィニッシング処理を行わないようにしてもよい。
図8(B)は「分離状態」と判断される場合のタイミングチャートである。
タイミングセンサ51は、設定サイズDsよりも小さい(例示ではA5SEF)の用紙5aが到着したときから用紙5aが通過した後も引き続きONのままになる。それは、連れ送りされた用紙5a,5bのうちの上流側の用紙5bが残留するからである。検出値(A)は時間の経過とともに増大し続ける。
下流側の用紙5aのみが搬送されて排紙センサ52を通過し、それによって検出値(B)が確定した後、搬送の状態についての判断が行われる。確定していない状態の検出値(A)と確定している検出値(B)とが比較され、検出値(B)が検出値(A)よりも小さい場合、搬送状態が「分離状態」であると判断される。
以上の説明では、連れ送りされる用紙5a,5bの長さ(A5SEF=210mm)が差分δ(87mm)よりも長いので、残留する用紙5bは1枚のみであった。変形例として、給紙カセット35にセットする用紙の長さが例えば100mmで、設定サイズDsがA4SEF(=297mm)とした場合、2枚目の用紙は給紙ローラ41から197mm進んで止まる。この197mmは用紙の長さ(100mm)よりも長いので、2枚以上の用紙が1枚目の用紙から分離されて搬送路70に残留することになる。図7のステップ#21では、これらの複数の用紙を排出するようにしてもよい。具体的には2枚の用紙が残留していると判断した場合、各ローラを2枚分の距離(200mm:100mm×2)の搬送を行うように回転駆動させる。
また、残留している複数の用紙を排出する際に、各用紙の検出値(B)が異なった場合には、ジャム処理を行うようにしてもよい。
以上の第1例によると、片面印刷に際して連れ送りが生じた場合、その後の分離状態を検知することによって、連れ送りをジャムなどの搬送を停止するべきトラブルと区別することができる。残留している上流側の用紙5bを排出するので、ユーザが搬送路70から用紙5bを取り除く復旧作業を行う必要がなく、ユーザの負担が低減されるとともに、復旧作業中はジョブの実行が中断されることによる生産性の低下を低減することができる。
第1例では、設定サイズDsが例えばA4SEFであってそれより大きい例えばA3SEFの用紙が給紙され、タイミングローラ42付近でちぎれて一部がタイミングセンサ51の位置で止まった状態と、連れ送り後の分離状態との区別は難しい。しかし、そのような場合は、ちぎれるときに例えばローラの負荷が増大するのを検知するなどしてジャムと判別することができる。
〔連れ送りの対処の第2例〕
図9には連れ送りに起因する用紙5bの残留の他の例が、図10には図9の例における給紙ローラ41が停止した時点の用紙5a,5bの位置が、それぞれ示されている。
第2例における設定サイズDsはB4SEFであり、給紙カセット35にセットされた用紙5a,5bのサイズはB6SEFであるものとする。つまり、本来給紙するべき用紙の搬送方向の長さは364mmであるのに、実際に給紙する用紙5a,5bの搬送方向の長さは182mmである。
第2例における印刷ジョブは、設定サイズDsの1枚の用紙の両面に画像を形成する両面印刷ジョブである。印刷ジョブのための用紙の搬送は、図9(A)〜(D)の各段階を順に経る。
図9(A)の段階は、設定サイズDs分の給紙がちょうど終わって給紙ローラ41が停止した状態である。これ以前の段階で連れ送りが発生し、そのために2枚の用紙5a,5bが搬送路70内に存在する。下流側(先行側)の用紙5aはその一部が定着ローラ44を通過して反転ローラ46へ向かっている。上流側(後行側)の用紙5bの先端はタイミングローラ42に到着している。この段階でタイミングセンサ51の検出結果は「用紙有り」である。
図9(B)では、用紙5aと用紙5bとが連れ送りされて2次転写ローラ43の下流まで進んでおり、下流側の用紙5aと上流側の用紙5bとの境目がちょうど反転ローラ46にニップされている。反転ローラ46はこれら用紙5a,5bをスイッチバック位置Psbへ引き込むために正転している。タイミングセンサ51の検出結果は「用紙無し」に変わっている。
図9(C)では、反転ローラ46が反転を開始し、上流側の用紙5bのスイッチバックが始まろうとしている。下流側の用紙5aはこれより以前の段階で反転ローラ46から離脱して反転ローラ46の付近に留まっている。反転ローラ46から離脱したのは、反転ローラ46が設定サイズDsの用紙をその後端付近までスイッチバック位置Psbへ引き込むまで正転するように制御されるからである。設定サイズDsの用紙よりも短い用紙5aは正転の途中で反転ローラ46を通り過ぎて落下してしまう。
図9(D)では、上流側の用紙5bがADU搬送ローラ47によって搬送されて反転搬送路72内を移動している。ADU搬送センサ53の検出結果は「用紙有り」である。
上流側の用紙5bのみがスイッチバック搬送されたことから、搬送路70において用紙5aと用紙5bとが分離されている。つまり、図9(D)の搬送の状態は上述の分離状態の一例である。
このように図9の例では、図5の例とは違って、給紙ローラ41が停止した後も連れ送りが暫く続く。それは、給紙ローラ41が停止したときに上流側の用紙5bがタイミングローラ42に到着しているからである。図10にはそのときの用紙5bの位置が具体的に示されている。
図10を参照して、上述のとおり、搬送路70上の給紙ローラ41の位置P41からタイミングローラ42の位置P42までの距離は91mmとされている。
給紙ローラ41が停止した時点t3において、下流側の用紙5aの先端の位置P5aは給紙ローラ41の位置P41から設定サイズDs分の364mmの距離を進んだ位置である。上流側の用紙5bの先端(用紙5aの後端でもある)の位置P5bは、位置P41から182mmの距離を進んだ位置である。この182mmという値は、設定サイズDs分の364mmから用紙5aの実際のサイズ分の182mmをさし引いた値である。
図10から分かるとおり、給紙ローラ41が停止した時点t3において、上流側の用紙5bがタイミングローラ42を通過中であるので、用紙5bは時点t3の以後に給紙ローラ41の付近に残留することなくタイミングローラ42によって搬送されて下流へ移動する。
図9(D)に戻って、図9(D)の段階から暫くすると、用紙5bがADU搬送センサ53を通過し終える。通過し終える時点は用紙サイズが本来の設定サイズDsである場合に用紙が通過し終える時点よりも早いので、従来どおりの搬送の制御によれば、ジャムが発生したと判断されて搬送が停止されてしまう。このようなジャム処理をできるだけ無くすため、第2例では第1例とは部分的に異なる処理によって分離状態が検知される。
図11には図9の第2例に対処するための制御ルーチンのフローチャートが、図12には第2例に関わる信号およびデータの変化を示すタイミングチャートが、それぞれ示されている。
搬送制御部110は、システム制御部200から印刷の開始の指示を受けると、搬送駆動系30に給紙を開始させる。この後、印刷ジョブの実行が終了するまでの間、図11の制御ルーチンが繰り返し実行される。
ステップ#31において、用紙長さ検出部151が上述の第1例と同様にタイミングセンサ51の検出結果に応じて用紙の長さの検出値(A)を更新する。また、ステップ#32では、用紙長さ検出部153がADU搬送センサ53の検出結果に応じて用紙の長さの検出値(C)を更新する。
分離判断部160は、検出値(A)の検出状態および検出値(C)の検出状態をそれぞれチェックする(#33、#34)。いずれかのチェック結果が検出中であった場合、分離判断部160は処理を終了する。この場合、フローは制御ルーチンの繰り返しに伴ってステップ#31へ戻る。
検出値(A)および検出値(C)の両方が確定している場合、分離判断部160は、検出値(A)と検出値(C)とが一致するかどうかをチェックする(#35)。チェック結果がYESである場合、分離判断部160は搬送状態が「正常」であると判断する(#41)。
図12(A)はこのように「正常」と判断される場合のタイミングチャートである。タイミングセンサ51およびADU搬送センサ53は、設定サイズDs(例示ではB4SEF)の用紙5が通過している間にわたってONになる。検出値(A)および検出値(C)は、対応するセンサがONである間、時間の経過とともに増大し、センサがOFFになることで確定する。検出値(C)が確定した後、搬送の状態が「正常」と判断される。このとき、検出値(A)も確定している。搬送状態が「正常」と判断された場合、搬送制御部110は搬送駆動系30を通常どおり制御する。
図11に戻って、ステップ#35のチェック結果がNOである場合、分離判断部160は検出値(C)が検出値(A)よりも小さいかどうかをチェックする(#36)。チェック結果がNOである場合、分離判断部160はジャムが発生したと判断してその旨を搬送制御部110に通知する(#42)。搬送制御部110は、この通知を受けると、直ちに搬送を停止させる(#43)。
一方、ステップ#36のチェック結果がYESである場合、分離判断部160は、検出値(A)が検出値(C)の整数倍であるかどうかをチェックする(#37)。このチェックは、給紙カセット35には同じサイズの用紙がセットされるのが通常であるとの考えに基づいている。同じサイズの用紙が連れ送りされたとすると、検出値(A)は検出値(C)の整数倍になる。ステップ#37のチェックを行うことにより、搬送状態が分離状態であるか他のトラブルの発生した状態であるかをより確実に見極めることができる。ただし、このステップ#37のチェックを省略してもよい。
ステップ#37のチェックがYESである場合、分離判断部160は搬送状態が分離状態であると判断し、その旨を搬送制御部110および表示制御部165に通知する(#38)。
搬送制御部110は、この通知を受けると、反転搬送路72内に存在する上流側の用紙5bを排出するように搬送駆動系30を制御する。このとき、上流側の用紙5bの長さを検出値(C)によって示される長さであるものとして、ADU搬送ローラ47,48および他のローラをそれぞれ所定のタイミングで回転駆動させる。
表示制御部165は、分離判断部160から通知を受けると、スイッチバック位置Psbの近傍に用紙5aが残留していることを表示する(#40)。
ステップ#37のチェック結果がNOである場合、分離判断部160はジャムが発生したと判断し(#42)、搬送制御部110は直ちに搬送を停止させる(#43)。
なお、用紙5bが表裏反転されて再びタイミングセンサ51を通過する際に、当該用紙5bの長さを検出し、得られた検出値(A)が先に得られた検出値(C)と一致しない場合に、上流側用紙である用紙5bがジャムであるとしてその排出を停止する。つまりジャム処理を行う。
また、印刷ジョブがフィニッシング処理を伴う場合、分離状態と判断した後に排出する用紙5bについてフィニッシング処理を行わないようにしてもよい。
図12(B)は「分離状態」と判断される場合のタイミングチャートである。
タイミングセンサ51は、設定サイズDsよりも小さい(例示ではB6SEF)の用紙5a,5bが連なって通過する間にわたってONになり、上流側の用紙5bが通過し終えるとOFFになる。ADU搬送センサ53は、上流側の用紙5bが通過する間にわたってONになる。
検出値(C)が確定した後、搬送の状態についての判断が行われる。共に確定している検出値(A)と検出値(C)とが比較され、検出値(C)が検出値(A)よりも小さい場合、搬送状態が「分離状態」であると判断される。
以上の第2例によると、両面印刷に際して連れ送りが生じた場合、その後の分離状態を検知することによって、連れ送りをジャムなどの搬送を停止するべきトラブルと区別することができる。搬送路70内の上流側の用紙5bの搬送を続行して排出するので、上述の第1例と同様にユーザの負担が低減されるとともに、生産性の低下を低減することができる。
以上の実施形態において、設定サイズDsは、外部装置においてユーザが指定した用紙サイズ、画像形成装置1の操作パネルを用いてユーザが入力したサイズ、または給紙カセットに設けたサイズセンサによって検出されたサイズであってよい。
検出値(A)と検出値(B)または検出値(C)とを比較する際、各検出値に例えば長さに換算して±5mm程度の誤差がある得るものとして、一致または大小関係を判定することができる。
給紙ローラ41とは別にピックアップローラ40を有する給紙機構の構成を例示したが、
給紙ローラ41がピックアップローラ40を兼ねる構成であってもよい。そのような構成において、例えばブレーキパッドをローラに圧接することで重送を防止したとしても、連れ送りが発生し得るので、本発明を適用して連れ送りに起因する生産性の低下を低減することができる。
給紙ローラ41とタイミングセンサ51およびタイミングローラ42のそれぞれとの距離の具体値は例示の値に限らず、任意に選定されるものである。その他、画像形成装置1の全体的または部分的な構成、センサの種類、制御のフローなどは本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
上述の実施形態では画像形成装置1をプリンタとして説明したが、画像形成装置1は装置内で用紙を搬送するものであればよく、複写機、ファクシミリ機、または複合機であってもよい。画像形成の方式は電子写真式に限らず、インクジェット方式またはそれ以外の方式でもよい。