JP2016084654A - ハイドレート採取装置および採取方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水底にあるメタンハイドレートを塊のまま採取することができるハイドレート採取装置およびハイドレート採取方法を提供する。【解決手段】水底12にあるメタンハイドレートを採取するハイドレート採取装置10であって、水中を上昇するメタンハイドレートの塊GHが入る入口部22を下方に有し、上方に前記メタンハイドレートの取り出し部24を有するハイドレート上昇管20と、前記ハイドレート上昇管20の水深400mより深い領域の管20内にメタンガスが飽和状態まで溶けていない水W1を注入する注入部26と、を備えることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、海洋、湖等の底に埋蔵されるメタンハイドレートを採取するハイドレート採取装置および採取方法に関するものである。
ガスハイドレートは、高圧、低温の生成条件下において、水素結合によって形成される水分子(ホスト分子)の籠状構造(クラスレートと称される場合もある)の内部に別の分子(ゲスト分子)が包み込まれてできる結晶である。高圧、低温のガスハイドレート生成条件を満たす海洋、湖等の水底下には、前記ゲスト分子として主にメタンガスが取り込まれたメタンハイドレートが存在することが分かっており、新たなエネルギーとして期待されている。
海底や湖底(以下、水底と総称する)のメタンハイドレートには、水深数百mの水底表面に露出している表層型メタンハイドレートと、前記水底の更に地下において砂と交じり合った状態で存在する砂層型メタンハイドレートとがある。
砂層型メタンハイドレートは、水底よりも更に地下深くにあるとともに、砂と交じった状態であるために技術的にもコスト的にも採集が困難であるとされている。
一方、表層型メタンハイドレートは水底に露出しているため、砂層型よりも採取が容易であり、前記表層型メタンハイドレートを効率よく採取する方法が求められている。
例えば、特許文献1には、海底にあるメタンハイドレート層から採掘されるメタンハイドレートの塊を採取する方法として、両端が解放された管を海底から海面までの移送管として用い、前記塊を前記移送管内を上昇させて、該移送管の上方側から採取する方法が開示されている。メタンハイドレートは水よりも密度が小さいため、浮力によって移送管内を上昇する。特許文献1では、前記移送管内の下方側から圧縮空気等の高圧ガスを吹き込み、吹き込まれたガスの気泡が上昇流を形成する気泡ポンプ原理(ガスリフト効果ともいう)によって移送管内における揚力が高められている。
加えてメタンハイドレートの塊が移送管内を上昇すると、管内の圧力と温度は海面に近づくほど海底よりも低圧、高温になるため、前記メタンハイドレートの塊は管内を上昇するに従って一部が分解する。そして、その分解によって発生したメタンガスの気泡によって、前記ガスリフト効果が大きくなることが記載されている。
特表2002−536573号公報
ここで、水中に存在する気泡の体積は圧力によって大きく変化する。具体的には高圧下では気泡の体積は小さくなり、圧力が低くなると体積は大きくなるが、例えば水深1000mから海面(水深0m)付近まで気泡が上昇した場合には、前記気泡の体積は約100倍になる。
移送管内において気泡の体積が大きくなり、前記管内における気泡(ガス)の占める割合が大きくなり過ぎると、気泡による前記上昇流が上手く形成されずに水の流れが不安定になる場合がある。これにより、メタンハイドレートの上昇効率が低下する虞がある。
特に、メタンハイドレートはそれ自身が上昇に伴って分解し、分解ガス(メタン)の気泡を発生するので、海面に近づくほど移送管内における気泡の占める割合が増え易く、前述したメタンハイドレートの上昇効率の低下の虞が増す。
本発明の目的は上記問題を解決し、水底にあるメタンハイドレートを塊のまま採取することができるハイドレート採取装置およびハイドレート採取方法を提供することにある。
上記課題に鑑み、本発明の第1の態様に係るハイドレート採取装置は、水底にあるメタンハイドレートを採取するハイドレート採取装置であって、水中を上昇するメタンハイドレートの塊が入る入口部を下方に有し、上方に前記メタンハイドレートの取り出し部を有するハイドレート上昇管と、前記ハイドレート上昇管の水深400mより深い領域の管内にメタンガスが飽和状態まで溶けていない水を注入する注入部と、を備えることを特徴とするものである。
本明細書において「メタンハイドレート」とは、前述した水素結合によって形成される水分子の籠状構造の内部に、主としてメタンが取り込まれて形成されたガスハイドレートを意味し、純メタンを包蔵するガスハイドレートだけではなく、メタンを主成分とする天然ガスハイドレート(例えば、他の成分としてエタン、プロパン等の炭化水素や二酸化炭素等を包蔵する)を含むものとする。
また「水」とは、淡水、真水の他、海水、汽水等が含まれる。例えば、海洋や湖の水が挙げられる。
一般的に、水深400mよりも深い部分では圧力が高く水温が低いため、その水中にメタンが十分に(飽和状態で)存在すると、メタンハイドレートが生成される。したがって、通常メタンハイドレート層は水深400m以深に存在している。
海底や湖底等の水底にあるメタンハイドレート層は、ドリルやバケット等の掘削手段により掘削され、メタンハイドレートの塊(以下、単に塊と称する場合がある)として前記メタンハイドレート層から分離される。本態様においては、掘削された前記メタンハイドレートの塊は、前記ハイドレート上昇管の下方に設けられた入口部から管内に入り、当該管内の水中を上昇して上方の前記取り出し部から取り出されるように構成されている。
メタンハイドレートの塊は、前記ハイドレート上昇管内を通過可能であればできるだけ大きな塊として採取する方が望ましいが、通常ドリル等で掘削すると小さな塊(粒)も形成されるため、大きな塊と小さな塊の両方が前記入口部に入る。
ところで、水底のメタンハイドレート層近くに存在する水にはメタンがほぼ飽和状態まで溶けているため、メタンハイドレートの生成条件を満たす水深400mよりも深い部分では、通常メタンハイドレートは分解しない。
一方、前記メタンハイドレートの塊が水深400m未満にまで前記ハイドレート上昇管内を上昇したときには、水中の圧力、温度がメタンハイドレートの生成条件外となるので分解が始まる。このとき、前述したメタンハイドレートの小さな塊が多くあると、該小さな塊は比表面積が大きいために分解し易く、前記管内の水中に分解ガス(メタン)の気泡が過剰に生成される場合がある。加えて、水深が浅くなると気泡の体積は大きくなるので、前記管内における気泡の占める割合が大きくなり過ぎてメタンハイドレートの上昇が妨げられる虞がある。
ここで、本態様に係るハイドレート採取装置は、前記ハイドレート上昇管の水深400mより深い領域の管内にメタンガスが飽和状態まで溶けていない水を注入する注入部を備えている。
前述したように水底のメタンハイドレート層近くに存在する水にはメタンがほぼ飽和状態まで溶けているため、前記ハイドレート上昇管内にはメタンガスが飽和状態の水が前記入口部から入るが、水深400mより深い領域の管内にメタンガスが飽和状態まで溶けていない水を注入すると、当該管内の水中のメタン濃度を下げることができる。
前記ハイドレート上昇管内の水中のメタン濃度が下がると、圧力および温度がメタンハイドレートの生成条件であってもメタンハイドレートの塊が分解する。
このとき、前述のようにメタンハイドレートの小さい塊(粒)は分解し易いため、管内の水中のメタン濃度が下がったことにより分解してほぼ消失する。その分解により生じたメタンガスは高圧下(水深400mより深い領域の圧力)の水に溶け込む。
一方、メタンハイドレートの大きい塊は、表面が少し分解する程度で止まり、吸熱反応の分解であるので、メタンハイドレートの塊の表面に氷が生成し、メタンハイドレートの分解反応が抑制される。
その状態でメタンハイドレートの塊は浮力によって管中を上昇する。即ち、管内のメタンハイドレートの塊は、小さい塊のものはほとんどなく主に大きい塊のものの集まりになって上昇する。そして、水深400mより浅い領域にまで上昇すると、メタンハイドレートの生成平衡(圧力)が分解条件になるので、塊の表面が分解を始める。同時に分解吸熱により氷が更に生成し、予め表面に生成している前記氷と一緒になってメタンハイドレートの塊の表面が氷の膜で覆われる。これにより、自己保存効果によってメタンハイドレートの分解反応が止まる。
また、メタンハイドレートの小さい塊(粒)は、上記の通り既に分解してほとんど消失しているので、この水深が浅い領域で小さい塊(粒)が分解してメタンガスを発生する虞が低減される。
従って、前記ハイドレート上昇管の水深400mより深い領域の管内にメタンガスが飽和状態まで溶けていない水を前記注入部から注入することにより、メタンハイドレートがその分解条件下となる水深が浅い領域(水深400m未満の領域)に上昇した段階において、該メタンハイドレートの分解で発生するメタンガスの量を低減することができる。
ところで、水深が400mよりも浅い領域では、前記氷の膜ができて分解が止まるまでの間に発生したメタンガスは、気泡となってメタンハイドレートの塊の浮力をサポートするガスリフト効果を発揮する。これにより、メタンハイドレートの塊の上昇移動は一層円滑になる。しかし、前述したように、水深が浅い領域では発生したガスは体積が大きくなるので、その領域で多量のメタンガスが一気に発生すると、ハイドレート上昇管内において水に対して気泡の占める体積が過大となり、その影響でメタンハイドレートの塊のスムースな上昇移動が妨げられる虞がある。本発明は、上記の通り、その領域においてメタンハイドレート分解によるメタンガスの発生量が低減されているので、その虞を低減することができる。
以って、水底にあるメタンハイドレートの塊を効率よく採取することが可能となる。
本発明の第2の態様に係るハイドレート採取装置は、第1の態様において、前記注入部の注入口は、前記ハイドレート上昇管の下端部の位置に設けられていることを特徴とするものである。
言い換えると、前記注入部の注入口は、前記ハイドレート上昇管の下方に設けられた入口部の近傍の位置に設けられている。
本態様によれば、前記注入部の注入口が設けられる位置から、前記ハイドレート上昇管内の圧力、温度がメタンハイドレートの分解条件となる水深400mに達するまでの距離を長くとることができる。以って、管内を上昇移動するガスハイドレートの塊が水深400mに達するまでの間に、前記ガスハイドレートの小さい塊(粒)を確実に分解させることができる。
本発明の第3の態様に係るハイドレート採取装置は、第1の態様または第2の態様において、前記注入部の注入口は、上下方向に複数設けられていることを特徴とするものである。
本態様によれば、水を管内に段階的に注入することにより、ガスハイドレートの塊が注入口近傍で一気に分解することを防ぐとともに、ガスハイドレートの分解を段階的に行うことができる。
本発明の第4の態様に係るハイドレート採取装置は、第3の態様において、前記注入部は、各注入口からの水の注入量を調整可能であることを特徴とするものである。
本態様によれば、掘削されたメタンハイドレートの塊の大きさや塊の大小の割合に応じて各注入口からの水の注入量を調整することができる。
掘削されたメタンハイドレートの塊の大きさや塊の大小の割合は、掘削するメタンハイドレート層の状態や水中の環境、掘削手段の種類等によって変わる。例えば、小さい塊が多い場合には水の注入量を増やし、前記小さい塊を確実に分解させることができる。
本発明の第5の態様に係るハイドレート採取装置は、第1の態様から第4の態様のいずれかにおいて、前記ハイドレート上昇管の水深400mより浅い領域の管内に流体を供給する流体供給部を備えることを特徴とするものである。
前記「流体」とは、液体または気体を意味する。液体の一例としては海水、湖水等の水、気体の一例としては空気等が挙げられる。
前記ハイドレート上昇管内において、メタンハイドレートの分解吸熱によって氷が生成するため、上昇移動するメタンハイドレートの塊が詰まる場合がある。このような場合に、例えば前記管内の水よりも温度の高い水(流体)を該管内に供給することにより、詰まったメタンハイドレートおよびメタンハイドレートの塊の表面に生成した氷を分解することによりその詰まりを解消することができる。
また、一時的に空気等の気体(流体)を勢いよく吹き込むことにより、詰まりを解消することができる。
本発明の第6の態様に係るハイドレート採取装置は、第5の態様において、前記流体供給部の供給口は、上下方向に複数設けられていることを特徴とするものである。
本態様によれば、メタンハイドレートの塊が管内で詰まった位置に応じて前記流体の供給位置を変えることができる。
本発明の第7の態様に係るハイドレート採取方法は、水底にあるメタンハイドレートを採取するハイドレート採取方法であって、ハイドレート上昇管の下方に設けられる入口部から、水中を上昇するメタンハイドレートの塊を入れ、前記ハイドレート上昇管の水深400mより深い領域の管内にメタンガスが飽和状態まで溶けていない水を注入し、前記管内の水中を上昇したメタンハイドレートの塊を、前記ハイドレート上昇管の上方に設けられる取り出し部から取り出すことを特徴とするものである。
本態様によれば、第1の態様と同様の作用効果を奏する。
また、水深400mより浅い領域におけるメタンハイドレートの分解によって発生したメタンガスは、泡となってメタンハイドレートの塊の浮力をサポートするガスリフト効果を発揮する。これにより、メタンハイドレートの塊の上昇移動は一層円滑になり、水底にあるメタンハイドレートの塊を効率よく採取することが可能となる。
本発明に係るハイドレート採取装置の一例を示す概略構成図。 水中を上昇移動するハイドレートの塊について説明する図。 本発明に係るハイドレート採取装置の他の例を示す概略構成図。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
以下の説明では、実施例1と実施例2の2つの実施形態を例に挙げ、最初に実施例1に係るハイドレート採取装置の概略の構成について説明する。
次に、実施例1に係るハイドレート採取装置を用いたハイドレート採取方法とその作用について説明し、その後にハイドレート採取装置の他の例としての実施例2について説明する。
[実施例1]
<ハイドレート採取装置の概略構成>
ハイドレート採取装置の概略構成について図に基づいて説明する。図1は、本発明に係るハイドレート採取装置の一例を示す概略構成図である。
図1に示すように、本実施例では海底12(水底)の表層型のメタンハイドレート層14を掘削してメタンハイドレートの塊GHを採取する場合について説明する。メタンハイドレート層14は、ドリルやバケットを備えた掘削機40によって掘削される。掘削機40は、支援船18によって海底付近に設けられる駆動源42によって駆動されている。
掘削機40の掘削によってメタンハイドレート層14から分離されたメタンハイドレートの塊GHを、本発明に係るハイドレート採取装置10によって回収する。
ハイドレート採取装置10は、水中を上昇するメタンハイドレートの塊GHが入る入口部22を下方に有し、上方に前記メタンハイドレートの取り出し部24を有するハイドレート上昇管20(以下、単に管20と言う場合がある)を備えている。
メタンハイドレート回収船16は、取り出し部24からメタンハイドレートの塊GHを回収する船である。
ハイドレート上昇管20としては、例えばライザー管を用いることができる。入口部22は、メタンハイドレートの塊GHを入れ易いようにテーパー状に形成されていることが望ましい。尚、図1に示すハイドレート上昇管20はテーパー状の入口部22以外は下方から上方まで同径であるが、上方にいくに従って管径が太くなるように構成することもできる。
またハイドレート採取装置10は、ハイドレート上昇管20の水深400mより深い領域の管内にメタンガスが飽和状態まで溶けていない水W1を注入する注入部26を備えている。本実施例では、注入部26としてハイドレート上昇管20の上下方向に複数の注入口28a、注入口28b、注入口28cが設けられている。
注入部26は、各注入口(注入口28a、注入口28b、注入口28c)からの水W1の注入量を調整可能に設けられている。
尚、注入部26の注入口は、少なくともハイドレート上昇管20の下端部の位置に設けられていることが望ましい。本実施例では注入口28aがハイドレート上昇管20の下端部に位置している。
メタンガスが飽和状態まで溶けていない水W1の飽和度は、メタンガスが更に溶解できる飽和度であればよく、100%未満であればよいが、好ましくは50%以下であり、より好ましくは10%以下である。
メタンガスが飽和状態まで溶けていない水W1としては、メタンハイドレート層14が存在する同じ海の海水を用いることができる。メタンハイドレート層14の近くに存在する水W0にはメタンがほぼ飽和状態まで溶けているため、例えば、メタンハイドレート層14や他のメタンハイドレート層(不図示)の直上から離れた領域の海水を水W1として用いるとよい。
本実施例では、支援船18によって配設されるポンプ等の第1の水供給手段30が、メタンハイドレート層14の端から海底12に沿って距離R離れた海底12付近の領域に設けられている。また、第1の水供給手段30は、メタンハイドレート層14の上方(海面に近づく方向)に離れた領域に設けることもできる。
以上がハイドレート採取装置10の概略構成であり、本装置10を用いたハイドレート採取方法について以下に説明する。
<ハイドレート採取方法>
次に、図1および図2を参照してハイドレート採取装置10を用いたハイドレート採取方法について説明しつつ、その作用について説明する。図2は、水中を上昇移動するハイドレートの塊について説明する図である。
前述したように、掘削機40によって掘削されてメタンハイドレート層14から分離されたメタンハイドレートの塊GHは、入口部22からハイドレート上昇管20内に入る。海水よりも密度が低い(比重が小さい)メタンハイドレートの塊GHは、管内の水中を上昇して上方の取り出し部24から取り出される。
メタンハイドレートの塊GHは、ハイドレート上昇管20内を通過可能なできるだけ大きな塊Lとして採取することが望ましいが、通常ドリル等で掘削すると小さな塊S(粒)も形成されるため、大きな塊Lと小さな塊Sの両方が入口部22に入る。
ここで、ハイドレート採取装置10の注入部26からハイドレート上昇管20内にメタンガスが飽和状態まで溶けていない水W1を注入する。前記水W1の注入によって得られる効果について以下に説明する。
海底12のメタンハイドレート層14近くに存在する水W0にはメタンガスがほぼ飽和状態まで溶けており、メタンハイドレートの生成条件を満たす水深400mよりも深い部分では、通常メタンハイドレートは分解しない。
一方、メタンハイドレートの塊GHが水深400m未満にまでハイドレート上昇管20内を上昇したときには、海中の圧力、温度がメタンハイドレートの生成条件外となるので分解が始まる。このとき、前述したメタンハイドレートの小さな塊Sが多くあると、小さな塊Sは比表面積が大きいために分解し易く、前記管20内の水中に分解ガス(メタンガス)の気泡50が過剰に生成される場合がある。加えて、水深が浅くなると圧力が下がって気泡50の体積が大きくなるので、前記管20内における気泡50の占める割合が大きくなり過ぎてメタンハイドレートの塊GHの上昇が妨げられる虞がある。
ここで、入口部22は海底のメタンハイドレート層14の近傍にあるので、ハイドレート上昇管20内にはメタンガスが飽和状態の水W0が入口部22から入るが、水深400mより深い領域の管20内にメタンガスが飽和状態まで溶けていない水W1を注入すると、当該管20内の水中のメタン濃度を下げることができる。
ハイドレート上昇管20内の水中のメタン濃度が下がると、圧力および温度がメタンハイドレートの生成条件であってもメタンハイドレートの塊GHが分解する。
このとき、前述のようにメタンハイドレートの小さい塊S(粒)は分解し易いため、このときの分解によりほぼ消失する(図2において、消失した小さい塊Sを点線で示している)。この分解により生じたメタンガスは高圧下(水深400mより深い領域の圧力)の水W2に溶け込む。
一方、メタンハイドレートの大きい塊Lは表面が少し分解する程度で止まり、吸熱反応の分解であるので、メタンハイドレートの塊Lの表面に氷52が生成する[図2における一番下の塊(a)の状態]。
その状態でメタンハイドレートの塊GH(大きい塊L)は浮力によって管20中を上昇する。即ち、管20内のメタンハイドレートの塊は、小さい塊Sはほとんどなく主に大きい塊Lの集まりになって上昇する。そして、水深400mより浅い領域にまで上昇すると、メタンハイドレートの生成平衡(圧力)が分解条件になるので、塊Lの表面が分解を始める。同時に分解吸熱により氷52が更に生成し[図2における中段の塊(b)の状態]、水深400mより深い領域において予め表面に生成している氷52と一緒になってメタンハイドレートの塊Lの表面が氷52の膜で覆われる[図2における一番上の塊(c)の状態]。これにより、自己保存効果によってメタンハイドレートの分解反応が止まる。
また、メタンハイドレートの小さい塊S(粒)は、上記の通り既に分解してほとんど消失しているので、この水深が浅い領域で小さい塊S(粒)が分解してメタンガスを発生する虞が低減される。
従って、ハイドレート上昇管20の水深400mより深い領域の管20内にメタンガスが飽和状態まで溶けていない水W1を注入部26から注入することにより、メタンハイドレートがその分解条件下となる水深が浅い領域(水深400m未満の領域)に上昇した段階において、メタンハイドレートの分解で発生するメタンガスの量を低減することができる。
また、水深が浅い領域では発生したガスは体積が大きくなるので、その領域で多量のメタンガスが一気に発生すると、ハイドレート上昇管内において水に対して気泡の占める体積が過大となり、その影響でメタンハイドレートの塊GHのスムースな上昇移動が妨げられる虞がある。本発明においては、その領域においてメタンハイドレート分解によるメタンガスの発生量が低減されているので、その虞を低減することができる。
また、氷52の膜ができて分解が止まるまでの間に発生したメタンガスは、気泡50となって上昇流(矢印A)を形成し、メタンハイドレートの塊GH(主として大きい塊L)の浮力をサポートするガスリフト効果を発揮する。これにより、メタンハイドレートの塊GHの上昇移動は一層円滑になる。以って、水底にあるメタンハイドレートの塊GHを効率よく採取することが可能となる。
尚、ハイドレート採取装置10の注入部26から注入される水W1(メタンガスが飽和状態まで溶けていない)は、その温度が低い方が好ましい。高圧下においては水の温度が低いほどメタンガスの溶解度が高くなるためである。
したがって、第1の水供給手段30は水深の深いところ、例えば海底12近くに設けることが好ましい。尚、ある程度の深さになると水温の大きな変化は少なくなるので、周囲の水温に応じて第1の水供給手段30を設ける位置は変えることができる。
また、メタンガスが飽和状態まで溶けていない水W1の注入は、少なくともハイドレート上昇管20の下端部の位置から行うことが好ましい。すなわち、少なくとも注入部26の注入口28aから行うことが好ましい。
このことにより、水W1の注入位置から、ハイドレート上昇管20内の圧力、温度がメタンハイドレートの分解条件となる水深400mに達するまでの距離を長くとることができる。以って、水深400mより浅い領域における分解が始まる前に、ガスハイドレートの小さい塊Sを確実に分解させることができる。
また、複数の注入口28a、注入口28b、注入口28cから水W1を管20内に段階的に注入することにより、ガスハイドレートの塊GHが一つの注入口の近傍で一気に分解することを防ぐことができる。
また、掘削されたメタンハイドレートの塊GHの大きさや塊の大小の割合は、掘削するメタンハイドレート層14の状態や海中の環境、掘削機40の種類等によって変わる。したがって、上下方向に複数設けられる各注入口28a、注入口28b、注入口28cからの水W1の注入量は、例えば、掘削したときに生じた小さい塊Sの量に応じて調整することができる。より具体的には、小さい塊Sが多い場合には水の注入量を増やし、小さい塊Sを確実に分解させることができる。
また、メタンガスが飽和状態まで溶けていない水W1のメタン飽和度によって注入量を調整することもできる。例えば、飽和状態ではないが飽和度が高い水W1の場合には注入量を増やし、飽和度が低い水W1の場合には注入量を少なく調整することができる。
[実施例2]
実施例2では図3に基き、ハイドレート採取装置の他の実施例について説明する。図3は、本発明に係るハイドレート採取装置の他の例を示す概略構成図である。
尚、本実施例において実施例1と同一の構成については同一の符号を付し、その構成の説明は省略する。
本実施例に係るハイドレート採取装置60は、ハイドレート上昇管20の水深400mより浅い領域の管内に流体を供給する流体供給部34を備えている。
流体供給部34の供給口は、ハイドレート上昇管20の上下方向に複数設けられている。本実施例においては、供給口36a、供給口36b、供給口36cが設けられている。
前記流体としては、例えば海水、湖水等の水(液体)や、空気(気体)等が挙げられる。
ハイドレート上昇管20内において、メタンハイドレートの分解吸熱によって氷が生成するため、上昇移動するメタンハイドレートの塊GHが詰まる場合がある。このような場合に、例えば管20内の水よりも温度の高い水W3(流体)を当該管20内に供給することにより、詰まったメタンハイドレートおよびメタンハイドレートの塊の表面に生成した氷を分解させてその詰まりを解消することができる。
本実施例では、海面付近の水(温度が高い)をポンプ等の第2の水供給手段32により供給口36a、供給口36b、供給口36cに送るように構成されている。
尚、流体供給部34から供給する水としてメタンガスが飽和状態まで溶けていない水を用いても、メタンハイドレートを分解することができる。
また、本実施例においては流体供給部34から流体として水を供給する構成としたが、流体として空気等の気体を一時的に勢いよく吹き込むことにより、詰まりを解消することもできる。
また本実施例では、複数の供給口36a、供給口36b、供給口36cから水W3を管20内に注入できるので、メタンハイドレートの塊GHが管20内で詰まった位置に応じて水W3の供給位置を変えることができる。
尚、400mより深い領域の管内において詰まりが発生した場合には、第1の水供給手段30の位置(水深)をより海面に近い位置に変えて、注入部26から温度の高い水を入れて詰まったメタンハイドレートを分解し、詰まりを解消することも可能である。
本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
10 ハイドレート採取装置、12 海底、14 メタンハイドレート層、
16 ハイドレート回収船、18 支援船、
20 ハイドレート上昇管、22 入口部、24 取り出し部、26 注入部
28a、28b、28c 注入口、30 第1の水供給手段、
32 第2の水供給手段、34 流体供給部、36a、36b、36c 供給口、
40 掘削機、42 駆動源、50 気泡、52 氷、60 ハイドレート採取装置
W0 メタンガス飽和状態の水、
W1 メタンガスが飽和状態まで溶けていない水、
W2 ハイドレート上昇管内の水、
W3 W1より温度が高い水

Claims (7)

  1. 水底にあるメタンハイドレートを採取するハイドレート採取装置であって、
    水中を上昇するメタンハイドレートの塊が入る入口部を下方に有し、上方に前記メタンハイドレートの取り出し部を有するハイドレート上昇管と、
    前記ハイドレート上昇管の水深400mより深い領域の管内にメタンガスが飽和状態まで溶けていない水を注入する注入部と、
    を備えることを特徴とする、ハイドレート採取装置。
  2. 請求項1に記載のハイドレート採取装置において、
    前記注入部の注入口は、前記ハイドレート上昇管の下端部の位置に設けられていることを特徴とする、ハイドレート採取装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のハイドレート採取装置において、
    前記注入部の注入口は、上下方向に複数設けられていることを特徴とする、ハイドレート採取装置。
  4. 請求項3に記載のハイドレート採取装置において、
    前記注入部は、各注入口からの水の注入量を調整可能であることを特徴とする、ハイドレート採取装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のハイドレート採取装置において、
    前記ハイドレート上昇管の水深400mより浅い領域の管内に流体を供給する流体供給部を備えることを特徴とする、ハイドレート採取装置。
  6. 請求項5に記載のハイドレート採取装置において、
    前記流体供給部の供給口は、上下方向に複数設けられていることを特徴とする、ハイドレート採取装置。
  7. 水底にあるメタンハイドレートを採取するハイドレート採取方法であって、
    ハイドレート上昇管の下方に設けられる入口部から、水中を上昇するメタンハイドレートの塊を入れ、
    前記ハイドレート上昇管の水深400mより深い領域の管内にメタンガスが飽和状態まで溶けていない水を注入し、
    前記管内の水中を上昇したメタンハイドレートの塊を、前記ハイドレート上昇管の上方に設けられる取り出し部から取り出すことを特徴とする、ハイドレート採取方法。
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