以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。図1は、本発明に係る車両用ディスプレイユニット100の概略的な構成を説明するための分解斜視図である。図2は、図1に示す車両用ディスプレイユニット100を組み付けた状態における矢印II方向から見た側面図であり、図3は、組み付け済みの車両用ディスプレイユニット100を矢印III方向から見た背面図である。
車両用ディスプレイユニット100は、図3に示す車両コネクタ41を介して、ナビゲーション機器や、オーディオ機器、空調機器など、車両に搭載された種々の電子機器と相互通信可能に接続される。そして、車両用ディスプレイユニット100は、ユーザからの操作入力に対応する制御信号を、そのユーザ操作に対応する電子機器に出力するとともに、各電子機器からの要求に応じた画像を表示する。
また、車両用ディスプレイユニット100は、当該車両コネクタ41を介して、車両電源や、車両情報(例えば車速など)を取り扱うECU、車両用ディスプレイユニット100の外部に設けられたディスプレイ(外部ディスプレイとする)などとも接続される。以降では、車両用ディスプレイユニット100に接続する機器をまとめて接続機器と称する。種々の電子機器や、車両電源、ECU、外部ディスプレイなどが請求項に記載の外部機器の一例に相当する。以下、この車両用ディスプレイユニット100の構成について、より具体的に説明する。
車両用ディスプレイユニット100は、図1に示すようにタッチパネル1、LCD(Liquid Crystal Display)モジュール2、板金3、基板4を備える。タッチパネル1、LCDモジュール2、板金3、基板4は、導体性の筐体背面部61、筐体側面部62A、62B、及びフレーム63などからなる筐体に収容される。なお、タッチパネル1、LCDモジュール2、板金3、及び基板4は、筐体内において互いに対向する姿勢で支持される。
この車両用ディスプレイユニット100において、タッチパネル1が、ユーザが当該車両用ディスプレイユニット100に接続する各電子機器に指示を行うためのインターフェースとして機能する。また、LCDモジュール2が、ユーザに対して種々の情報を提示するためのインターフェースの1つとして機能する。すなわち、タッチパネル1及びLCDモジュール2が、ユーザと情報のやりとりを行うためのユーザインターフェースユニット(以降、UIユニット)101として機能する。
また、以降で説明する板金3及び基板4が、タッチパネル1で受け付けた操作などに基づいて各接続機器を制御するとともに、各接続機器からの要求に基づいてディスプレイ(ここではLCDモジュール2)に表示する内容を制御するディスプレイ制御ユニット(以降、DCU)102として機能する。
車両用ディスプレイユニット100は、車両の所定の位置に、タッチパネル1がユーザに対向するように設置される。例えば、車両用ディスプレイユニット100は、インストゥルメントパネルの車幅方向中央部に取り付けられればよい。
なお、図1及び図3に示すように車両用ディスプレイユニット100は略長方形状であって、車両用ディスプレイユニット100は、タッチパネルやLCDモジュール2の表示面2Aの長辺方向が車幅方向となるように車両に取り付けられる。
また車両用ディスプレイユニット100の正面部分の形状及び面積は、LCDモジュール2の表示面2Aと略同一とする。ここでの略同一が指す範囲は、筐体の厚みや支持構造によって定まるものである。一例として、車両用ディスプレイユニット100の外形寸法は、長辺方向の長さ(すなわち幅)を200mm、短辺方向の長さ(すなわち高さ)を132mm、奥行きを40mmとする。もちろん、当該ユニットに収容される基板4は、長辺方向の長さが200mm以下であって、かつ、短手方向の長さが132mm以下となっている。
以降では、タッチパネル1から筐体背面部61に向かう方向を、正面方向と称し、各部を正面方向から見たときの右側を正面方向右側、左側を正面方向左側として各部の構成を説明する。また、位置関係を説明する際に用いる上下は、車両用ディスプレイユニット100が車両に設置されている状態における上下に対応するものである。
タッチパネル1は、例えば静電容量式のタッチパネルであって、LCDモジュール2の表示面2Aに積層される。なお、タッチパネル1は、ここでは静電容量式のタッチパネルとするが、その他の方式(例えば感圧式)によってユーザのタッチ位置を検出するタッチパネルであってもよい。
タッチパネル1は、フレキシブルケーブル(TP制御ケーブルとする)を介して後述するタッチパネルコントローラ55と電気的に接続される。タッチパネル1は、逐次ユーザによって当該タッチパネル1がタッチされているか否か、及びタッチされている場合にはそのタッチ位置を特定するための信号をタッチパネルコントローラ55に出力する。本実施形態では一例として、当該TP制御ケーブルは、タッチパネル1の下方縁部の正面方向右側端部から延出されているものとする。もちろん、TP制御ケーブルがタッチパネル1から延出される位置は、これに限らない。
LCDモジュール2は、種々の情報を表示する表示面2Aを備えるディスプレイである。LCDモジュール2は、図4に示すように、TFTガラスセル22を保護するためのLCDカバー21と、カラーフィルタ及びTFT基板を含むTFTガラスセル22と、光源としてのバックライト23と、が順に積層されて一体化された構成となっている。
LCDモジュール2は、その背面の下方縁部中央付近において、データドライバやゲートドライバに制御信号を入力するためのフレキシブルケーブル(LCD用ケーブルとする)が延出されている。当該LCD用ケーブルの他端は、後述するディスプレイコネクタ49を介してディスプレイコントローラ50と電気的に接続される。
LCDモジュール2は、ディスプレイコントローラ50からの制御信号に基づいて液晶を駆動し、バックライトからの光の透過率を画素毎に制御することにより、所望の情報を表示できるようになっている。
なお、バックライト23は、その下方縁部において、出力する光量を調整する制御信号を入力するためのフレキシブルケーブル(光源用ケーブルとする)が延出されている。当該光源用ケーブルの他端は、基板4に設けられたバックライトコネクタ53を介してメインCPU45と電気的に接続されている。
板金3は、略四角形状の導電性の板状部材であって、基板4を支持する役割を担う。また、その他、基板4から発生する電磁波からLCDモジュール2を保護するとともに、電磁波が車両用ディスプレイユニット100の外部に漏れる恐れを低減する。さらに、外部より到来する電磁波から基板4を保護する役割も果たす。
板金3は、正面方向右下の角部に、タッチパネルコントローラ55を設置するための、筐体背面部61の方向へ所定の角度で延出された台座部31を備える。ここでは一例として台座部31を、図5に示すように、板金3の平面部に対して上下方向に所定の角度をなすように設ける構成とする。
なお、台座部31は、基板4と接触せず、かつ、当該台座部31の下側に配置されたタッチパネルコントローラ55が筐体背面部61に接触しないように設けられていればよい。例えば台座部31は、板金3の平面部に対して直角となるように設けてもよい。
また、ここでは一例として台座部31を、板金3の正面方向右下の角部に設ける態様としているが、これに限らない。台座部31は、板金3の縁部に設けられていればよい。例えば台座部31は、板金3の左側縁部(又は右側縁部)に設けてもよい。ただし、タッチパネル1においてTP制御ケーブルが延出されている位置から相対的に近い位置に設けられていることが好ましい。
タッチパネルコントローラ55は、タッチパネル1の作動を制御するものであって、TP制御ケーブルによってタッチパネル1と相互通信可能に接続されている。なお、タッチパネルコントローラ55は、タッチパネル1との接続性を考慮して、台座部31の下面(筐体に対向する側の面)に配置する。
このタッチパネルコントローラ55は、さらに、TP制御ケーブルとは別のフレキシブルケーブル(TP入出力ケーブルとする)によって、基板4に設けられたタッチパネルコネクタ56と相互通信可能に接続されている。タッチパネルコントローラ55は、タッチパネルコネクタ56を介して基板4と電気的に接続され、タッチパネル1から出力されたタッチ位置信号を基板4に設けられた電子部品(例えばメインCPU)に提供する。
基板4は、DCU102として機能させるための種々の電子部品が実装される板状部材である。この基板4における部品配置については、図6及び図7を用いて説明する。図6は、基板4において筐体背面部61と対向する側の面(部品面4Aとする)を表しており、図7は、部品面4Aの裏側の面、すなわち板金3と対向する側の面(はんだ面4Bとする)を表している。
図6に示すように、基板4は部品面4Aに、複数の車両コネクタ41、オンボードコンタクト43A〜C、電源回路ブロック44、メインCPU45、メモリ46、入出力回路ブロック47、ディスプレイコネクタ49、BTモジュール51、バックライトコネクタ53、microSDカード(以降、μSDカード)スロット54、タッチパネルコネクタ56を備える。
また、図7に示すように基板4は、はんだ面4Bに電源回路ブロック44、メモリ46、サブCPU48、ディスプレイコントローラ50、音声回路ブロック52を備える。なお、部品面4Aに実装する部品のうち、はんだ面4Bに実装する部品に関連する部品については、その位置を図7において破線で表す。
もちろん、基板4の部品面4A及びはんだ面4Bの両方には、ここで述べた部品以外の多数の素子が高密度実装される。ここで言及している電子部品は、各面に配置される電子部品のうち、基板4における占有面積が比較的大きい、主要な部品である。
車両コネクタ41は、車両に搭載される種々の電子機器や車両電源などと、基板4とを電気的に接続するためのコネクタである。この車両コネクタ41が請求項に記載の外部用コネクタに相当する。オンボードコンタクト43A〜Cは、筐体背面部61と機械的に接触するとともに、基板4と筐体背面部61とを電気的に接続するための部材である。電源回路ブロック44は、車両用ディスプレイユニット100の各部に供給すべき電圧を生成する回路である。電源回路ブロック44は、車両電源から供給されている電圧を、各部の動作電圧に変換して出力する。
メインCPU45は、接続機器から取得した情報に基づいて、LCDモジュール2に表示させるための表示用データを作成し、その表示用データを後述のディスプレイコントローラ50に出力する。この表示用データが請求項に記載の画像データに相当する。また、メインCPU45は、所定のアプリケーションプログラムを実行することで、接続機器の動作を制御する。メモリ46は、メインCPU45やサブCPU48の演算処理に用いられる周知のメモリである。
入出力回路ブロック47は、メインCPU45やサブCPU48が、車両コネクタ41を介して、車両用ディスプレイユニット100の外部と信号の入出力を行うための回路である。サブCPU48は、電源回路ブロック44と協働して、当該車両用ディスプレイユニット100の電源のオン/オフを制御する。また、サブCPU48は、車両から入力される車両情報を管理(取得、蓄積など)し、メインCPU45に逐次提供する。つまり、サブCPU48は、当該DCU102におけるオペレーティングシステムに相当する処理を実行する。
ディスプレイコネクタ49は、LCD用ケーブルの接続端子と電気的に接続するためのコネクタである。ディスプレイコネクタ49は、ディスプレイコントローラ50とも電気的に接続されている。つまり、ディスプレイコネクタ49は、LCD用ケーブルと接続されることによって、LCDモジュール2とディスプレイコントローラ50とを電気的に接続する。
ディスプレイコントローラ50は、ディスプレイコネクタ49及びメインCPU45のそれぞれと電気的に接続されている。ディスプレイコントローラ50は、メインCPU45から入力される表示用データに基づいた制御信号を生成してディスプレイコネクタ49に出力し、LCDモジュール2が備えるデータドライバやゲートドライバを駆動させる。すなわち、ディスプレイコントローラ50は、LCDモジュール2の駆動を制御する。
BTモジュール51は、Bluetooth(登録商標)の規格に則った無線通信を実行するための無線通信モジュールである。BTモジュール51は、音声回路ブロック52、及び基板4の外部に設けられたBluetooth通信用のアンテナ(以降、BT用アンテナとする)のそれぞれと電気的に接続される。なお、本実施形態ではBTモジュール51は、Bluetooth通信に対応する無線通信モジュールとするが、その他の周知の近距離無線通信規格に準拠した無線通信モジュールであってもよい。
BTアンテナは、例えば筐体内部の正面方向右上角部に設けられているものとする。すなわち、BTアンテナは、部品面4Aを正面に捉える方向から見て、筐体内の部品面4Aの左上に設けられている。もちろん、BTアンテナは筐体外部に設けられていても良い。
音声回路ブロック52は、BTモジュール51及びメインCPU45と電気的に接続されて、メインCPU45から入力された音声信号を所定の信号形式に変換してBTモジュール51に出力する。また、BTモジュール51から入力された音声信号をメインCPU45が取り扱うデータ形式に変換して、メインCPU45に出力する。
バックライトコネクタ53は、光源用ケーブルの接続端子と接続するコネクタである。バックライト23は当該バックライトコネクタ53を介して基板4と接続され、メインCPU45又はサブCPU48によって、その出力される光量が調整される。
μSDカードスロット54は、周知のμSDカードが挿入されるスロットである。μSDカードスロット54にμSDカードが挿入されている場合、メインCPU45やサブCPU48は、当該μSDカードへのデータの書き込み、読み出し、削除、移動等を実施できる。このμSDカードスロット54が請求項に記載のメモリスロットに相当する。
タッチパネルコネクタ56は、TP入出力ケーブルの接続端子と接続するコネクタである。板金3の台座部31に設けられたタッチパネルコントローラ55は、当該タッチパネルコネクタ56において基板4と接続され、メインCPU45やサブCPU48と相互通信を実施する。その他、基板4の各角部及び中央部に設けられているネジ穴42は、基板4を板金3及び筐体背面部61と固定するためのネジを通す穴である。
ここで、基板4の各面における各電子部品の詳細な位置関係について説明する前に、基板4上に種々の電子部品を配置する上での要件について述べる。
まず、本実施形態におけるDCU102は、従来のDCU(以降、従来品)において2つの基板を用いて実現していた機能を、1枚の基板4を用いて実現するにあたり、その基板面積が、従来品で用いられていた基板面積に対して増大する量を抑制することを目標としている。
特に、車両への搭載性の観点から、基板4の面積は、従来品で用いられていた基板と同程度の面積、すなわちLCDモジュール2の面積よりも小さいことが好ましい。本実施形態においては、後述する部品配置や台座部31の導入、及び部品の小型化などを組み合わせることによって、LCDモジュール2よりも小さい基板4を用いて、基板4の1枚化を実現できている。
なお、従来品が備えていた代表的な機能としては、タッチパネルやディスプレイの駆動制御、接続機器の連携制御、表示用データの生成、電源管理、車両情報の取得の他、Bluetooth通信や、音声処理機能などがある。また、従来品は、SDカードといった取り外し可能な記憶媒体の挿入スロットも備えていた。
本実施形態におけるDCU102もまた、少なくとも上述した従来品が備えていた機能に対応している必要がある(機能要件とする)。本実施形態では、タッチパネルやディスプレイの駆動制御に対応するものとして、タッチパネルコントローラ55とディスプレイコントローラ50を備える。また、接続機器の連携制御や、表示用データの生成は、メインCPU45によって行われ、電源管理は、電源回路ブロック44とサブCPU48が協働することによって行われる。
さらに、本実施形態においてもBTモジュール51を備えることによって、Bluetooth通信に対応しており、音声処理機能に対応するものとして音声回路ブロック52を備えている。また、SDカードの挿入スロットに対応するものとしてμSDカードスロット54を備える。
つまり、本実施形態のDCU102は、上述の機能要件を満たす構成となっている。なお、本実施形態のサブCPU48は、従来品は備えていなかった機能として、CANウェイクアップ機能を備える。CANウェイクアップ機能は、車両のドアが開かれたことを示す車両情報が入力された場合に、当該車両用ディスプレイユニット100を起動させる機能である。
また、DCU102は、筐体内の放熱性の観点においても、従来品と同程度となっているか、又は向上している必要がある(放熱性要件とする)。さらに、基板4に搭載する主要なICを変更してしまうと、自装置や接続機器のソフトウェアの変更が必要となる場合がある。したがって、従来品から当該DCU102への置き換えのしやすさの観点からは、ソフトウェアの変更を伴う部品の置き換えは避けることが好ましい(ソフトウェア要件とする)。
また、従来品と置き換えるためには、従来品と同程度かそれ以上のEMC性能を実現していなければならない(EMC要件とする)。
さらに、DCU102は車両用ディスプレイユニット100として車両に搭載される際、種々の電子機器と接続されることになる。通常、車両用ディスプレイユニット100を搭載するための車両が備える空間において、当該車両用ディスプレイユニット100と接続するためのケーブルが延出される位置は、車両メーカによって設計される事項である。すなわち、車両用ディスプレイユニット100の製造者によって、車両においてそれらのケーブルが延出される位置を変更することは難しい。したがって、車両用ディスプレイユニット100は、従来品と同様の位置に、車両コネクタ41を配置する必要がある(対車両要件とする)。
さらに、製造時の組み付けやすさもまた、従来品と同等か、又は向上していることが好ましい。ここでの組み付けやすさとは、ネジで止める箇所の抑制などである(組み付け性要件とする)。
次に、上述した種々の要件を満たしつつ、基板4の面積をLCDモジュール2の面積よりも小さくするための、基板4における各電子部品の配置の決定方法について説明する。
まずは、対車両要件に基づいて、車両コネクタ41を部品面4Aの所定位置に配置する。ここでは、車両側において各接続機器からのケーブルが延出される位置は、筐体背面部61の幅方向中央部の上端部(近傍を含む)に対応する位置とする。したがって、部品面4Aの上端部の中央付近に、複数の車両コネクタ41を配置する。
より具体的には、複数の車両コネクタ41を、部品面4Aの上端部の中央付近において長辺方向(すなわち左右方向)に2列で並べて配置する。ここでの上端部とは、基板4の中心部よりも上方の範囲を指す。
次に、EMC要件及び耐振動性の観点から、ネジ穴42の位置と、筐体内における基板4の固定方法を決定する。本実施形態では、基板4の4つの角部にネジ穴42を設け、それぞれのネジ穴42において筐体背面部61、基板4、板金3を共締めすることとする。もちろん、実際にネジ止めをするのは、全ての部品の配置が完了した後の組み付け工程での作業である。
基板4は、筐体背面部61及び板金3と共締めされることによって、機械的な安定性を強化するだけでなく、基板4と筐体背面部61及び板金3との電気的な接続部分が増加し、グランド(基準電位)の安定性を強化することができる。これによってEMC性能を向上させることができる。なお、ここでは筐体背面部61を含む筐体をグランドとして用いる構成としている。
基板4の中央部においても、四隅と同様に、筐体背面部61及び板金3と共締めすることが、グランドの安定性(すなわちEMC要件)の観点からは好ましい。しかしながら、共締めをするには板金3又は筐体背面部61を基板4に接触させる部分の面積だけ、基板4における電子部品の実装面積が減少してしまう。したがって、基板中央部に設けたネジ穴42においては、共締めはせず、基板4は板金3とネジ止めすることとする。
そして、基板中央部に設けたネジ穴42の近くに、オンボードコンタクト43Aを配置して筐体背面部61と接触させる。すなわち、基板中央部においては、ネジによって板金3に対して基板4を固定するとともに、オンボードコンタクト43Aによって、筐体背面部61と基板4との離隔を確保するとともに電気的に接続させる。これによって、耐ノイズ性及び耐振動性を向上させつつ、実装面積やパターン配線の自由度を確保することができる。
次に、電源回路ブロック44の位置を、車両コネクタ41が備えるピンのうち、車両電源(例えば車載バッテリー)と接続するピン(電源用ピンとする)Pb、ネジ穴42、及びオンボードコンタクト43Aの位置に基づいて決定する。電源回路ブロック44や、電源用ピンPbから電源回路ブロック44までを結ぶ配線はノイズ源となりやすい。このため、電源回路ブロック44は、電源用ピンPbの付近であって、かつ、ネジ穴42やオンボードコンタクト43Aなどの、電源回路ブロック44から生じるノイズを筐体へとバイパスする役割を担う素子付近に配置する必要がある。
本実施形態では、図6に示すように電源用ピンPbは、複数の車両コネクタ41のうちの右上の車両コネクタ41の、右端に設けられているものとする。したがって、部品面4Aの右側端部と、その裏側に、電源回路ブロック44を配置する。部品面4Aの右側端部の裏側は、はんだ面4Bの左側端部に相当する。
ここでの部品面4Aの右側端部とは、部品面4Aにおいて電源用ピンPbよりも右側の範囲を指す。なお、電源回路ブロック44は、部品面4A及びはんだ面4Bの少なくとも何れか一方において電源用ピンPbから相対的に近い領域に設けられていればよい。例えば電源用ピンPbの位置が本実施形態のように相対的に部品面4Aの右側にある場合、部品面の中心より右側の領域と、はんだ面4Bの中心より左側の領域の、それぞれの任意の部分に電源回路ブロック44を配置しても良い。
メインCPU45や、サブCPU48は、他の電子部品と接続するために、中央付近に設けられていることが好ましい。また、メモリ46や入出力回路ブロック47は、メインCPU45や、サブCPU48の近くに配置する必要がある。
本実施形態では一例として、部品面4Aの中央部にメインCPU45及び入出力回路ブロック47を配置し、メインCPU45の周辺、及びその裏側に4つずつ合計8個のメモリ46を配置する。また、はんだ面4Bの中央部にサブCPU48を配置する。
次に、ディスプレイコネクタ49及びディスプレイコントローラ50の位置を決定する。前述の通り、LCD用ケーブルは、LCDモジュール2の下方縁部中央付近において延出されている。したがって、当該LCD用ケーブルと接続するディスプレイコネクタ49は、基板4の下端部に設けられていることが好ましい。
ここでは一例として、部品面4Aの下端部において中央からやや右寄りの位置に、ディスプレイコネクタ49を設ける。なお、ディスプレイコネクタ49は、従来品におけるディスプレイコネクタよりも小型化したものを用いる。
また、ディスプレイコントローラ50は、ディスプレイコネクタ49の近くに配置することが好ましい。したがって、ディスプレイコントローラ50は、はんだ面4Bにおいてディスプレイコネクタ49の裏側に相当する位置の近傍、すなわち、はんだ面4Bの下端部において中央からやや右寄りの位置に配置する。
BTモジュール51の設置位置は、BTアンテナの設置位置から近い位置とすることが好ましい。ここでは、BTアンテナが筐体内部の正面方向右上角部に設けられているため、BTモジュール51は、部品面4Aの左上角部に配置する。ここでの左上角部とは、左上角から一定距離(例えば40mm)以内となる範囲を指す。
また、BTモジュール51に接続される音声回路ブロック52は、BTモジュール51から近い位置に配置することが好ましい。そこで、音声回路ブロック52は、はんだ面4Bの右上角部付近、すなわちBTモジュール51の裏側に配置する。
μSDカードスロット54は、メインCPU45によってアクセスされるため、メインCPU45から近い位置に配置する必要がある。したがって本実施形態では一例として、μSDカードスロット54は、部品面4Aの下端部の中央付近に配置する。なお、従来品においては取り外し可能な記憶媒体として、SDメモリーカードを採用していたが、ここではμSDカードに変更することで、機能要件を満たしつつ、実装面積を削減する。
ただし、μSDカードを取り外し可能な記憶媒体として採用することによって、SDカードを取り外し可能な記憶媒体として採用している場合に比べて、μSDカードスロットから生じるノイズが増加することが懸念される。そこで、μSDカードスロット54の近傍に2つのオンボードコンタクト43B、43Cを配置する。オンボードコンタクト43B、43Cは、主としてμSDカードスロット54で生じたノイズを筐体背面部61にバイパスする役割を担う。これによって、EMC性能を維持、又は向上させることができる。なお、本実施形態ではμSDカードスロット54の隣にオンボードコンタクトを2つ設ける構成としているが、少なくとも1つ設けられていればよい。
バックライトコネクタ53は、光源用ケーブルと接続させるため、基板4の縁部に設けることが好ましい。基板4の下端部は上述した、ディスプレイコネクタ49、ディスプレイコントローラ50、μSDカードスロット54、及びそれらに付随する図示しない電子部品によって、バックライトコネクタ53を配置するための十分な余地がない。このため、バックライトコネクタ53は、部品面4Aの左側縁部の下方寄りに配置する。
タッチパネルコネクタ56は、前述の通り、タッチパネルコントローラ55とTP入出力ケーブルを介して接続されるため、タッチパネルコントローラ55が設けられる台座部31の近傍に設けることが好ましい。この台座部31は、本実施形態では板金3の正面方向右下角部に設けられる構成としている。したがって、タッチパネルコネクタ56は、部品面4Aの左下角部付近に配置する。
以上のように主要な電子部品を配置し、さらに、ICの小型化、及び下面電極インダクタ部品の選定し、高密度実装することによって、LCDモジュール2よりも小さい基板4を用いて、従来品と同等以上の機能を実現することができる。なお、ICを小型化する際には、ソフトウェアの変更が生じないように従来品で用いていたICと互換性を有するものを採用する。また、主要なICについては変更しない。これによって、ソフトウェア要件を充足させる。
そして、以上の構成によれば、車両用ディスプレイユニット100が備える基板4の数を2枚から1枚に削減できているため、筐体内の空間が複数の基板によって区切られることがない。すなわち、DCU102(ひいては車両用ディスプレイユニット100)の放熱性を向上させることができている。
また、従来品においては、基板2枚を用いていたため、DCU102の筐体内において冷却用のファンを収容するための空間を確保することが出来ず、筐体外部に設置しなければならなかった。
しかしながら、本実施形態では、基板4を1枚しか用いないため、DCU102の筐体内に冷却用のファン70を収容することができる。例えばファン70は、筐体背面部61の基板4に対向する面において、図6に示すように、電源回路ブロック44の対向する部分に配置する。これは、電源回路ブロック44が基板4に設けられる部品のうち、最も発熱する部品の1つであるためである。
このようにファン70を、筐体内部に配置するということは、筐体外部にファンを設ける構成よりも、熱源に近い位置にファンを設けるということを意味する。すなわち、本実施形態の構成によれば、ファン70を、従来品よりも熱源に近い位置に配置することによって、放熱性をより向上させることができる。
さらに、ファン70を筐体内に収容することによって、ファン70から生じる騒音が筐体外部に漏れる量を低減することができる。したがって、従来品に比べてファン70の回転数を増加させることが出来、放熱性をより向上させることができる。
また、車両用ディスプレイユニット100が備える基板4の数を2枚から1枚に削減できているため、組み付けに要する工数を削減できるとともに、部品費を削減でき、製造コストを抑制することができる。さらに、筐体に固定するべき基板数が半減したため、最終的にネジ止めしなければならない箇所も低減できる。すなわち、従来品に対して組み付けやすさも向上させることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
たとえば、メインCPU45やサブCPU48の位置は入れ替えてもよい。また、ディスプレイコネクタ49及びディスプレイコントローラ50の位置は、LCD用ケーブルを引き回せる範囲において適宜変更してもよい。ただし、基板4の縁部に設けることが好ましい。バックライトコネクタ53の位置も、基板4の縁部に設けられればよく、部品面4Aの左側縁部に限らない。