JP2016082961A - 睡眠誘導牛乳とその製造方法および乳牛用飼料 - Google Patents

睡眠誘導牛乳とその製造方法および乳牛用飼料 Download PDF

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Abstract

【課題】特殊な牛乳でなく、国内産であり通常の時間帯に搾乳された低コストのものであっても、睡眠誘導作用の強い、したがって不眠症やうつ病の改善にも貢献し得る牛乳等の提供。
【解決手段】卵殻膜を、たとえば1日につき190g以上を4日以上連続して乳牛に給与する。また、卵殻膜のほか、バナナおよびカシューナッツをも上記乳牛に給与するとよいことにより、その乳牛から、トリプトファンを多く含んでいて睡眠誘導作用の強い生乳を得、その生乳を低温殺菌処理して牛乳とする方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、睡眠誘導作用のある牛乳とその製造方法、およびそのような牛乳を得るための乳牛用飼料に関するものである。
牛乳に睡眠誘導作用があることが知られている。そのような作用は、必須アミノ酸の一つであるトリプトファンが牛乳中に含まれるためにもたらされる。トリプトファンは、人の体内等においてセロトニンに変化し、それがさらに、「睡眠ホルモン」であるメラトニンに変わって人を眠りに誘導するとされている。
しかし、国内産の通常の牛乳ではトリプトファンの含有量が多くないため、十分な作用を得るには、かなりの量を飲み、または外国産の特殊なもの(北欧産ナイトミルク等)を飲む必要があるといわれている。また、昼間に搾った牛乳にはトリプトファンの含有量が少なく、夜間に搾るとその含有量が増えるという報告もある。
牛乳の睡眠誘導作用については、たとえば下記の特許文献1に記載されている。
特開2006−169221号公報
不眠症に悩む人が増え、それと併発するうつ病の患者が増加している現代社会においては、一般の食品が睡眠誘導作用を有することは重要な意味をなし、牛乳にそのような作用があることはきわめて好ましい事実である。しかし、上記のような理由から、現実にはその作用効果が十分には享受されず、あるいは、外国産牛乳や夜間搾乳品など高価なものに頼らざるを得ない状況にある。
そこで発明者は、そのような特殊な牛乳でなく、国内産であり通常の時間帯に搾乳された低コストのものであっても、睡眠誘導作用の強い、したがって不眠症やうつ病の改善にも貢献し得る牛乳を提供することを目的として、本願発明を行った。
発明による牛乳の生産方法は、卵殻膜を乳牛に給与することを特徴とする。
卵殻膜は、卵(鶏卵等)の殻の内側にある薄膜であり、タンパク質を主成分とし、二層の網目状構造をしていて厚さは70μm程度である。従来、化粧品や皮膚治療薬の成分として採用されることがあっても、食品として使用されることはなかった。そのため、卵殻膜中にトリプトファンが含まれていることはほとんど知られていない。
家畜用の飼料としても卵殻膜が使用された例はなく、それを試験的に給与しようとした事実すら知られてはいない。とくに、牛や羊に対しては、BSE(牛海綿状脳症)の発生防止の観点から農林水産省が一部の動物性タンパク質の給与を禁止していることとの関連で、畜産業者の多くは、飼料中に卵類を配合することを避けてきた経緯もある。
しかし、発明者らの調査によれば、卵殻膜には、100グラム(風乾物)あたり約2700mgというきわめて多量のトリプトファンが含まれている。そのため、これを粉砕するなどして消化されやすい状態にしたうえ乳牛に給与すると、その乳牛から得る生乳について、トリプトファンの濃度を効果的に高めることが可能になる。また、卵殻膜(を含めて卵)は、動物性タンパク質の一種ではあるが、農林水産省等による反芻動物への給与禁止指定物ではない。
しかも、卵殻膜のほとんどは殻とともに産業廃棄物として捨てられているのが現状である。そのため、卵殻膜を入手するためのコストはきわめて低廉であり、それを粉末にし、または液体中に溶かすなどして乳牛に給与することは、比較的容易に低コストで実施することができる。
上記の生産方法によれば、トリプトファンの濃度の高い、したがって種々の効果をもたらす牛乳を、低コストで容易に生産することが可能になる。
発明による牛乳の生産方法は、卵殻膜を乳牛に給与することにより、その乳牛から、睡眠誘導作用のある生乳を得る(その生乳を殺菌処理したうえで牛乳とする)ことを特徴とする。
卵殻膜の性状や、それが家畜用飼料として使用されていない事実、卵殻膜に多量のトリプトファンが含まれていること、および、卵殻膜がこれまで産業廃棄物として捨てられていること等については、上記したとおりである。
上記の生産方法によれば、多量のトリプトファンを含んでいて睡眠誘導作用の高い牛乳を低コストで容易に生産することが可能になる。そしてそうなると、牛乳という、ありふれていて価格も高くない通常の飲料によって、不眠症やうつ病の予防ないし亢進抑制の効果がもたらされ、本発明が現代人の健康増進に大いに資することとなる。
また、発明者らの調査によれば(表1を参照)、卵殻膜には、アミノ酸の一種であるグリシンがきわめて多量に含まれている。グリシンは、摂取した人の体表温を上昇させる作用があり、したがって質の良い眠りを人にもたらす効果がある。卵殻膜を給与した乳牛からは、グリシンについても多く含有する生乳が得られるものと推測されるため、上記生産方法による睡眠誘導および健康増進の効果はきわめて顕著であると考えられる。
上記生産方法については、乳牛1頭あたり1日にトリプトファン含有量が1500mg以上に相当する量の卵殻膜を、4日以上連続して給与し、その後の乳牛から搾乳して上記生乳を得ることとするのが効果的である。
得られる生乳中に含まれるトリプトファンの量は、乳牛に給与する卵殻膜の量が多いほど多くなる。発明者らの試験によれば、乳牛1頭あたり、1日につきトリプトファン含有量が1500mg以上に相当する量の卵殻膜を4日以上連続して給与すると、生乳中のトリプトファンの含有量は、卵殻膜を与えない乳牛に比べて明らかに増加した。そのため、1日あたり上記の量以上の卵殻膜を、上記日数以上連続して特定の乳牛に給与すると、睡眠誘導作用の高い牛乳(生乳)をその乳牛から生産することが可能になる。
卵殻膜のほか、バナナおよびカシューナッツをも上記乳牛に給与するとよい。
バナナやカシューナッツも、トリプトファンを含有する食品である。また、バナナやカシューナッツは果糖を豊富に有していて、人の体内でグルコースに変わり、脳の栄養素となって鎮静効果を発揮する。そのため、卵殻膜とともにバナナおよびカシューナッツを乳牛に給与すると、睡眠誘導作用がさらに高い牛乳を生産することができる。
卵殻膜のほかパイナップル粕をも上記乳牛に給与するとさらに好ましい。
パイナップル粕を乳牛に摂取させると、それに含まれるブロメライン酵素が、乳牛の筋肉組織の分解に伴なって遊離されるシステインにより活性化し、その結果、遊離アミノ酸であるグルタミン酸が乳牛の体内に生産され、生乳中のグルタミン酸の含有量が増える。グルタミン酸は、人の脳内において抑制系の神経伝達物質であるギャバ(γアミノ酪酸)となるため、卵殻膜とともにパイナップル粕を給与された乳牛から得られる牛乳は、メラトニンとギャバとの双方の効果として睡眠誘導作用をもたらす。
なお、パイナップル粕は、たとえばパイナップルの芯と外皮とを乾燥させて得たものを使用できる。その場合、コストはほとんど上昇しない。パイナップル粕およびブロメライン酵素のはたらきについては、特許第3413169号公報等に記載がある。
ビタミンB6を多く含有する食物を、上記乳牛に併せて給与するのも好ましい。
ビタミンB6は、トリプトファンからセロトニン、メラトニンへの移行性を向上させることができる。そのため、ビタミンB6を多く含有する食物を卵殻膜等とともに上記乳牛に給与すると、その乳牛から得る牛乳は睡眠誘導作用が高いと考えられる。ビタミンB6を多く含有する食物として飼料用ガーリックがある。たとえばこれを、通常の飼料中に常時添加することによって乳牛に給与するとよい。
グルコースまたはフルクトースを多く含有する食物を、上記乳牛に併せて給与するのも好ましい。たとえばバナナは、上述のとおりグルコースに置換しやすいフルクトース(果糖)を多く含むが、グルコースやフルクトースを多く含む、バナナ以外の食物を給与するのもよい。
グルコースまたはフルクトースを多く含有する食物を卵殻膜等とともに乳牛に摂取させると、その乳牛から得る牛乳は、脳を鎮静化させて高い睡眠誘導作用をもたらすと考えられる。グルコースを多く含有する食物として、バナナ以外には、たとえば「グルトップエース」((株)近藤榮一商店の商品名。トレハロースの培養副産物)がある。これらを、通常の飼料中に常時添加することにより乳牛に給与するとよい。
チーズを上記乳牛に併せて給与するのもよい。たとえば、ナチュラルチーズやプロセスチーズ等を、卵殻膜を含む食物等とともに乳牛に給与するのである。
チーズには、卵殻膜に劣らないほどの高い割合でトリプトファンが含まれているため、それを多く含む飼料を乳牛に摂取させると、睡眠誘導作用の高い生乳をその乳牛から生産することが可能である。
上記生産方法については、上記乳牛から得た生乳を低温殺菌するのが好ましい。低温殺菌とは生乳を70℃程度以下の温度で殺菌することをいい、たとえば、65℃・30分間の保持による殺菌が適切である。
睡眠誘導物質であるメラトニンないしトリプトファンは、耐熱性があまり高くないといわれている。そのため、上記生産方法によって睡眠誘導作用の強い牛乳を得るためには、乳牛から搾った生乳を上記のとおり低温殺菌するのが望ましい。多くの牛乳について実施されている120℃以上の高温殺菌を行うなら、上記のようにして得た生乳中に含まれるトリプトファンの多くが分解し、減少してしまう恐れがある。
上記生産方法については、とくに、夜間照明として白熱灯を使用する牛舎で、上記乳牛から夜間に搾って生乳を得るのが好ましい。
近年、省電力の観点からLED(発光ダイオード)による照明が普及しているが、LEDが発する高周波の光は、睡眠誘導物質であるメラトニンを消失させるとされており、皮膚ガンを誘発する恐れがあるともいわれている。白熱灯による低周波の光であればそのような恐れはなく、乳牛を安全な環境に保つとともに、睡眠誘導作用の高い生乳を得るうえで有利である。また一般に、夜間に絞る生乳の方がトリプトファンを多く含有するため、上記のようにするのは二つの面で好ましいといえる。
発明による牛乳は、上記生産方法によって生産したことを特徴とする。
上のいずれかの方法にて生産された牛乳は、トリプトファンを多く含有していて、従来の牛乳よりも強い睡眠誘導作用を有し、それを飲んだ人を健康な睡眠に誘導する。上記のような生産方法には特別困難な技術や作業等を要する部分はないので、格別なコストは発生しない。日常的に摂取し得る価格の牛乳として市販されるものでありながら、不眠症やうつ病の予防ないし亢進抑制の効果をも有することから、発明による牛乳は、現代人の健康増進に大いに資するものといえる。
発明による乳牛用飼料は、卵殻膜を含むことを特徴とする。
卵殻膜を含むこのような飼料を乳牛に給与すれば、その乳牛から、上述のとおりトリプトファンを多く含有していて睡眠誘導作用のある牛乳を、低コストで生産することが可能である。卵殻膜は、細かく粉砕するとともに乾燥させた状態で飼料中に含めるとよい。
上記の乳牛用飼料は、バナナおよびカシューナッツをさらに含んでいるとよい。
上述のとおり、卵殻膜とともにバナナやカシューナッツを乳牛に給与すると、睡眠誘導作用がさらに高い牛乳を生産できるからである。
上記の乳牛用飼料がパイナップル粕をさらに含んでいるのも好ましい。
卵殻膜とともにパイナップル粕を給与された乳牛から得られる牛乳は、上述のとおり、メラトニンとギャバとの双方の効果として高い睡眠誘導作用をもたらすからである。パイナップル粕としては、たとえば、パイナップルの芯と外皮とを乾燥させたものを含めるとよい。
なお、給与する卵殻膜は、卵殻を分離除去されたものとするのが有利である。
卵殻の方が卵殻膜よりもかなり比重が高いため、卵殻(の全部または多く)を除去した場合、除去しないものに比べて単位重量あたりのトリプトファンの含有量は格段に(たとえば3倍程度以上に)増加する。そのため、卵殻を取り除いて卵殻膜を給与する方が、生乳中のトリプトファンの含有量を増やすうえで明らかに効果的である。卵殻をともなわない方が、乳牛における消化の点でも好ましい。
発明による牛乳とその製造方法および乳牛用飼料は、睡眠誘導作用を有する日常的な飲料を、低コストで生産することを実現するものである。そしてそのことにより、不眠症やうつ病の予防ないし亢進抑制の効果をもたらし、現代人の健康増進に大いに寄与することができる。
兵庫県内の酪農場において乳牛3頭(検体IDは5番、31番、40番)を用い、飼料中に卵殻膜等を加えた場合の生乳の変化を以下のとおり調査した。
(1)対照区
乳牛用の一般的な配合飼料と牧草とを継続的に給与している上記乳牛3頭から搾乳することにより、生乳200gをそれぞれ採取した。
給与している上記配合飼料は、穀類、そうこう類、植物性油粕類等を原材料とし、粗たん白質、粗脂肪、粗繊維、粗灰分、カルシウム、りん等を含み、各種ビタミンやミネラルが添加された市販のものである。
3頭から、いずれも平成26年6月25日の午前8時に生乳を採取し、それらを冷暗保管したうえ6月27日にラボにて分析し、構成アミノ酸としてのトリプトファンの含有量を測定した。
(2)試験区
上記の乳牛3頭に、上記生乳を採取した時点以降、上記の配合飼料および牧草をそれまでと変更なく給与するとともに、卵殻膜を含む特定飼料を4日間連日給与し、そのうえで各頭から生乳200gを採取した。
上記の特定飼料は、卵殻膜(卵殻をともなうもの)190g(混合率95%)、カシューナッツ5g(同2.5%)、バナナ5g(同2.5%)を、乾燥させたうえ、平均粒径が0.1mm程度になるよう粉砕(すり潰し)して混合したものである。1日に1回、乳牛1頭あたり200gを給与することとし、混合した上記のものを水に混ぜ、各乳牛の舌下にて強制的に経口投与した。
その3頭から、いずれも平成26年6月29日の午前8時に生乳を採取し、試験区の場合と同様、それらを冷暗保管したうえ7月1日にラボにて分析し、構成アミノ酸としてのトリプトファンの含有量を測定した。
(3)試験区で給与した特定飼料中のトリプトファンの量
給与した卵殻膜、カシューナッツ、バナナには、それぞれ100グラムあたり概ね下記の量のトリプトファンが含まれている。上記試験区で給与した卵殻膜は、卵殻との分離が不完全であって卵殻をともない、したがってトリプトファンの含有量は卵殻膜そのものが含有するトリプトファンの量よりも少ない。
卵殻膜(卵殻付き): 790mg
カシューナッツ : 360mg
バナナ : 40mg
したがって、上記(2)で各乳牛に給与した1日分の特定飼料200g中には、
卵殻膜(卵殻付き)から: 790mg×0.95×2=1501mg
カシューナッツから : 360mg×0.025×2=18mg
バナナから : 40mg×0.025×2=2mg
すなわち、合計で1521mgのトリプトファンが含まれていることになる。ただし、このうち98.7%は卵殻膜によるものであり、その影響が支配的であると考えられる。
(4)測定された生乳中のトリプトファンの含有量
上記(1)・(2)の対照区・試験区の各生乳について、測定されたトリプトファンの含有量は、つぎのとおりであった。なお、トリプトファンの含有量は、生乳をアルカリ加水分解し、アミノ酸自動分析機によって分析した。
対照区において、
乳牛5番 : 32mg(生乳100gあたり)
乳牛31番 : 53mg(同上)
乳牛40番 : 47mg(同上)
試験区において、
乳牛5番 : 44mg(生乳100gあたり)
乳牛31番 : 55mg(同上)
乳牛40番 : 56mg(同上)
以上により、上記の特定飼料によって卵殻膜を乳牛に給与した場合、生乳中のトリプトファンの含有量が増加することが確認された。
特定飼料中の卵殻膜の量や、併せて給与するカシューナッツ、バナナ等の量を増やし、または特定飼料の給与頻度もしくは1回あたりの給与量を増やせば、生乳中のトリプトファンの含有量はさらに増加するものと考えられる。飼料中にチーズを加えることによっても、生乳中のトリプトファンの量を増やせるはずである。
このように生乳中のトリプトファンを増やし、さらにそのうえでトリプトファンが分解しないようにその生乳を低温殺菌処理すれば、トリプトファンの含有量の多い、したがって睡眠誘導作用の強い牛乳を生産することができる。乳牛から生乳を搾る牛舎では、LEDではなく白熱灯による照明を用いるのが、メラトニンを消失させない等の点で有利であるとも考えられる。
また、パイナップル粕や、ビタミンB6、グルコース等を多く含む食物を、卵殻膜等とともに乳牛に給与すると、トリプトファンによる作用を補う睡眠誘導作用がもたらされるものと期待される。
なお、上記の卵殻膜、またはさらに上記各種の食物は、乳牛用の一般的な配合飼料中に適当な割合で混ぜて含めておき、その配合飼料と同一の頻度で同時に給与することとするのもよい。そのようにすると、上記(2)の試験区において行ったように乳牛の舌下に強制的に経口投与する必要はなく、卵殻膜等をかなり多く混ぜておいても、乳牛は、他の飼料とともに自ら進んで摂取するはずである。
上記試験区で使用した卵殻膜は卵殻をともなうものであったが、本来は、卵殻を分離除去した卵殻膜を乳牛に給与するのがよい。発明者らの調査によれば、卵殻をともなわない卵殻膜には、その風乾物100g中に2700mgものトリプトファンが含まれていることが分かった。そのため、卵殻を取り除いて卵殻膜を給与すれば、得られる生乳中に含まれるトリプトファンの量も効果的に増加すると予想される。また、それは乳牛の消化の点でも好ましい。したがって、たとえば上記のような配合飼料中には、卵殻をともなわない卵殻膜を含めるのが有利である。
発明者らが調査した、卵殻をともなわない乾燥卵殻膜のアミノ酸組成(一般社団法人日本油料検定協会による検査結果)を表1に示す。卵殻膜100g中のトリプトファンの含有量が上述のとおり2700mgであるほか、グリシンの含有量が、4400mgと高い値である。グリシンにも、質のよい睡眠を人にもたらす作用があることが知られているため、卵殻膜を乳牛に給与することの意義は大きいと考えられる。
Figure 2016082961

Claims (15)

  1. 卵殻膜を乳牛に給与することを特徴とする牛乳の生産方法。
  2. 卵殻膜を乳牛に給与することにより、その乳牛から、睡眠誘導作用のある生乳を得ることを特徴とする牛乳の生産方法。
  3. 1日につきトリプトファン含有量が1500mg以上に相当する量の卵殻膜を、4日以上連続して給与した後の乳牛から、上記生乳を得ることを特徴とする請求項2に記載した牛乳の生産方法。
  4. バナナおよびカシューナッツをも上記乳牛に給与することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載した牛乳の生産方法。
  5. パイナップル粕をも上記乳牛に給与することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載した牛乳の生産方法。
  6. ビタミンB6を含有する食物をも上記乳牛に給与することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載した牛乳の生産方法。
  7. グルコースまたはフルクトースを含有する食物をも上記乳牛に給与することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載した牛乳の生産方法。
  8. チーズをも上記乳牛に給与することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載した牛乳の生産方法。
  9. 上記乳牛から得た生乳を低温殺菌することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載した牛乳の生産方法。
  10. 夜間照明として白熱灯を使用する牛舎で、上記乳牛から夜間に搾って生乳を得ることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載した牛乳の生産方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載した生産方法により生産したことを特徴とする牛乳。
  12. 卵殻膜を含むことを特徴とする乳牛用飼料。
  13. バナナおよびカシューナッツをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の乳牛用飼料。
  14. パイナップル粕をさらに含むことを特徴とする請求項12または13に記載の乳牛用飼料。
  15. 上記卵殻膜が、卵殻を分離除去されたものであることを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の乳牛用飼料。
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