JP2016081838A - 膜電極接合体 - Google Patents

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友和 坂本
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浩一郎 朝澤
田中 裕久
Hirohisa Tanaka
裕久 田中
和彦 間所
Kazuhiko Madokoro
和彦 間所
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Abstract

【課題】燃料電池の発電特性を維持しながら、燃料電池の耐久性を向上させることができる燃料電池の膜電極接合体を提供する。
【解決手段】アニオン成分を移動させることができる電解質膜5と、電解質膜5を挟んで対向配置された、燃料成分が供給される燃料側電極6、および、酸素が供給される酸素側電極7とを備え、燃料側電極6は、カーボンにニッケル類が担持され、焼成されている触媒を含み、その触媒が、電解質膜5に、2.7mg/cm以上3.6mg/cm以下で担持されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、膜電極接合体、詳しくは、燃料電池に備えられる膜電極接合体に関する。
近年、液体燃料を直接供給する直接液体燃料形燃料電池の開発が進められており、例えば、液体燃料として、メタノールやヒドラジンなどが知られている。
このような燃料電池に採用される電極として、電解質膜と、電解質膜の一方の面に接合された燃料側電極(アノード)と、電解質膜の他方の面に接合された空気側電極(カソード)とを備える膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)が知られている。
このような膜電極接合体の燃料側電極として、電解質膜の一方の面に、NiZn(ニッケル亜鉛)をケッチェンブラック(カーボン)に担持させた触媒を、2.0mg/cmで担持させることが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
Alexey Serov et. al., Anode Catalysts for Direct Hydrazine Fuel Cells: From Laboratory Test to an Electric Vehicle, Angewandte Chemie International Edition Vol.53 Issue39 pp.10336−10339 (2014年)
しかるに、このような膜電極接合体が用いられる燃料電池においては、耐久性のさらなる向上が要求されている。
そこで、本発明の目的は、燃料電池の発電特性を維持しながら、燃料電池の耐久性を向上させることができる、燃料電池の膜電極接合体を提供することにある。
本発明の膜電極接合体は、アニオン成分を移動させることができる電解質層と、前記電解質層を挟んで対向配置された、燃料が供給される燃料側電極、および、酸素が供給される酸素側電極とを備え、前記燃料側電極は、カーボンにニッケル類が担持され、焼成されている触媒を含み、前記触媒が、前記電解質層に、2.7mg/cm以上3.6mg/cm以下で担持されていることを特徴としている。
本発明の膜電極接合体は、アニオン成分を移動させることができる電解質層と、前記電解質層を挟んで対向配置された、燃料が供給される燃料側電極、および、酸素が供給される酸素側電極とを備え、燃料側電極は、カーボンにニッケル類が担持され、焼成されている触媒を含み、その触媒が、電解質層に、2.7mg/cm以上3.6mg/cm以下で担持されている。
そのため、燃料電池の発電特性を維持しながら、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
本発明の膜電極接合体を備える燃料電池の一実施形態を示す概略構成図である。 実施例1および比較例1の触媒を含む燃料側電極を備える燃料電池の定格出力密度の時間変化を示すグラフである。
1.燃料電池
図1において、燃料電池1は、液体または気体の燃料成分、好ましくは、液体の燃料成分(以下、液体燃料という。)が、改質などを経由することなく、直接供給されるアニオン交換型燃料電池である。より好ましくは、液体燃料が、少なくとも水素および窒素を含有する化合物(以下、燃料化合物という。)を含んでいる。
燃料化合物では、水素は窒素に直接結合していることが好ましい。また、燃料化合物は、窒素−窒素結合を有するものが好ましく、炭素−炭素結合を有しないものが好ましい。また、炭素の数はできる限り少ない(できればゼロである)ものが好ましい。
また、このような燃料化合物には、その性能を阻害しない範囲において、酸素原子、イオウ原子などを含んでいてよく、より具体的には、カルボニル基、水酸基、水和物、スルホン酸基あるいは硫酸塩などとして、含まれていてもよい。
このような観点から、本発明において燃料化合物としては、具体的には、例えば、ヒドラジン(NHNH)、水加ヒドラジン(NHNH・HO)、炭酸ヒドラジン((NHNHCO)、硫酸ヒドラジン(NHNH・HSO)、モノメチルヒドラジン(CHNHNH)、ジメチルヒドラジン((CHNNH、CHNHNHCH)、カルボンヒドラジド((NHNHCO)などのヒドラジン類、例えば、尿素(NHCONH)、例えば、イミダゾール、1,3,5−トリアジン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールなどの複素環類、例えば、ヒドロキシルアミン(NHOH)、硫酸ヒドロキシルアミン(NHOH・HSO)などのヒドロキシルアミン類などが挙げられる。このような燃料化合物は、単独または2種類以上組み合わせて用いることができる。好ましくは、ヒドラジン類が挙げられる。
上記した燃料化合物のうち、炭素を含まない化合物、すなわち、ヒドラジン(NHNH)、水加ヒドラジン(NHNH・HO)、硫酸ヒドラジン(NHNH・HSO)、ヒドロキシルアミン(NHOH)、硫酸ヒドロキシルアミン(NHOH・HSO)などは、後述するヒドラジンの反応のように、COによる触媒の被毒がないので耐久性の向上を図ることができ、実質的なゼロエミッションを実現することができる。
また、液体燃料には、添加剤として、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物などが添加することができる。添加剤の添加量は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
液体燃料は、上記例示の燃料化合物をそのまま用いてもよいが、上記例示の燃料化合物を、例えば、水および/またはアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの低級アルコールなど)などの溶液として用いることができる。この場合、溶液中の燃料化合物の濃度は、燃料化合物の種類によっても異なるが、例えば、1〜90重量%、好ましくは、1〜30重量%である。
燃料電池1は、膜電極接合体2、膜電極接合体2の一方側(アノード側)に配置された燃料供給部材3、および、膜電極接合体2の他方側(カソード側)に配置された空気供給部材4を有する燃料電池セル(単位セル)が、複数積層されたスタック構造に形成されている。なお、図1では、複数の単位セルのうち1つだけを燃料電池1として表し、その他の単位セルについては省略している。
膜電極接合体2は、電解質層としての電解質膜5、電解質膜5の厚み方向一方側の面(以下、単に一方面と記載する。)に形成される燃料側電極6、電解質膜5の厚み方向他方側の面(以下、単に他方面と記載する。)に形成される酸素側電極7を備えている。つまり、膜電極接合体2は、電解質膜5と、電解質膜5を挟んで対向配置される燃料側電極6および酸素側電極7とを備えている。
電解質膜5は、例えば、アニオン交換膜から形成されている。アニオン交換膜としては、酸素側電極7で生成されるアニオン成分としての水酸化物イオン(OH)を、酸素側電極7から燃料側電極6へ移動させることができる媒体であれば、特に限定されないが、例えば、4級アンモニウム基、ピリジニウム基などのアニオン交換基を有する固体高分子膜(アニオン交換樹脂)が挙げられる。
燃料側電極6は、電解質膜5の一方面に対向接触されている。この燃料側電極6には、触媒として、カーボンにニッケル類が担持され、焼成されている触媒(以下、ニッケル担持カーボン触媒という。)を含んでおり、好ましくは、ニッケル担持カーボン触媒からなる。また、ニッケル担持カーボン触媒は、好ましくは、ニッケル類のみがカーボンのみに担持されている。
カーボンとしては、例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどが挙げられ、好ましくは、ケッチェンブラックが挙げられる。
これらカーボンは、単独使用または2種以上を併用することができる。
ニッケル類としては、例えば、ニッケル金属単体(Ni)、酸化ニッケル(例えば、NiOなど)、水酸化ニッケル(Ni(OH))、および、それらの混合物などが挙げられる。つまり、ニッケル類には、ニッケル金属単体(Ni)、酸化ニッケル(例えば、NiOなど)および水酸化ニッケル(Ni(OH))が含まれる。ニッケル類として、好ましくは、ニッケル金属単体と酸化ニッケルとからなる混合物が挙げられる。
ニッケル類として、ニッケル金属単体と酸化ニッケルとからなる混合物が用いられる場合において、ニッケル金属単体および酸化ニッケルの含有割合は、ニッケル類の総モルに対して、ニッケル金属単体が、例えば、20モル%以上、好ましくは、40モル%以上であり、例えば、80モル%以下、好ましくは、60モル%以下であり、また、酸化ニッケルが、例えば、20モル%以上、好ましくは、40モル%以上であり、例えば、80モル%以下、好ましくは、60モル%以下である。
ニッケル類の総モルに対するニッケル金属単体および酸化ニッケルの含有割合が上記範囲内であれば、燃料電池の発電性能、出力安定性および耐久性を向上させることができる。
また、ニッケル類におけるニッケル金属単体と酸化ニッケルとの比(ニッケル金属単体のモル数/酸化ニッケルのモル数)は、例えば、20/80以上、好ましくは、40/60以上であり、また、例えば、80/20以下、好ましくは、60/40以下である。
ニッケル類におけるニッケル金属単体と酸化ニッケルとの比が上記範囲内であれば、燃料電池の発電性能、出力安定性および耐久性を向上させることができる。
上記したニッケル担持カーボン触媒は、燃料側電極6として、電解質膜5の一方面に、2.7mg/cm以上、好ましくは、2.8mg/cm以上、より好ましくは、3.0mg/cm以上、また、3.6mg/cm以下、好ましくは、3.5mg/cm以下、より好ましくは、3.4mg/cm以下で担持されている。
ニッケル担持カーボン触媒が上記範囲内で担持されていれば、燃料電池の発電特性を維持しながら、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
燃料側電極6の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上、より好ましくは、40μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、150μm以下、より好ましくは、100μm以下である。
燃料側電極の厚みが上記範囲内であれば、燃料電池の発電特性を維持しながら、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
酸素側電極7は、電解質膜5の他方面に対向接触されている。この酸素側電極7は、特に限定されないが、例えば、金属触媒が担持される多孔質電極として形成されている。
上記金属触媒は、例えば、遷移金属と錯体形成有機化合物とが錯体を形成することにより、形成されており、また、例えば、遷移金属が導電性高分子からなる担体に担持されることにより、形成されていてもよい。
遷移金属としては、例えば、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)などが挙げられる。これらのうち、好ましくは、鉄、銀、コバルトが挙げられ、より好ましくは、鉄が挙げられる。また、これらは、単独使用または2種以上併用することができ、これらの合金も使用することができる。
錯体形成有機化合物は、金属原子に配位することによって、当該金属原子と錯体を形成する有機化合物であって、例えば、ピロール、ポルフィリン、テトラメトキシフェニルポルフィリン、ジベンゾテトラアザアヌレン、フタロシアニン、コリン、クロリン、フェナントロリン、サルコミン、アミノアンチピリン(AAPYr)などの錯体形成有機化合物またはこれらの重合体が挙げられる。これらのうち、好ましくは、ピロールの重合体であるポリピロール、フェナントロリン、サルコミン、アミノアンチピリンが挙げられ、とりわけ好ましくは、アミノアンチピリンが挙げられる。また、これらは、単独使用または2種以上併用することができる。
導電性高分子としては、上記した錯体形成有機化合物と重複する化合物もあるが、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリビニルカルバゾール、ポリトリフェニルアミン、ポリピリジン、ポリピリミジン、ポリキノキサリン、ポリフェニルキノキサリン、ポリイソチアナフテン、ポリピリジンジイル、ポリチエニレン、ポリパラフェニレン、ポリフルラン、ポリアセン、ポリフラン、ポリアズレン、ポリインドール、ポリジアミノアントラキノンなどが挙げられる。これらのうち、好ましくは、ポリピロールが挙げられる。また、これらは、単独使用または2種以上併用することができる。
上記した金属触媒は、酸素側電極7として、電解質膜5の他方面に、例えば、0.7mg/cm以上、好ましくは、0.8mg/cm以上、また、例えば、1.3mg/cm以下、好ましくは、1.2mg/cm以下で担持されている。
酸素側電極7の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、300μm以下、好ましくは、150μm以下である。
燃料供給部材3は、ガス不透過性の導電性部材からなり、燃料側電極6に燃料成分を供給する。燃料供給部材3には、その表面から凹む、例えば、葛折状などの溝が形成されている。そして、燃料供給部材3は、溝の形成された表面が燃料側電極6に対向接触されている。これにより、燃料側電極6の一方面と燃料供給部材3の他方面(溝の形成された表面)との間には、燃料側電極6全体に燃料成分を接触させるための燃料供給路8が形成される。
燃料供給路8には、燃料成分を燃料供給部材3内に流入させるための燃料供給口9が一端側(図1における紙面下側)に形成され、燃料成分を燃料供給部材3から排出するための燃料排出口10が他端側(図1における紙面上側)に形成されている。
空気供給部材4は、ガス不透過性の導電性部材からなり、酸素側電極7に空気を供給する。空気供給部材4には、その表面から凹む、例えば、葛折状などの溝が形成されている。そして、空気供給部材4は、溝の形成された表面が酸素側電極7に対向接触されている。これにより、酸素側電極7の他方面と空気供給部材4の一方面(溝の形成された表面)との間には、酸素側電極7全体に空気を接触させるための空気供給路11が形成される。
空気供給路11には、空気を空気供給部材4内に流入させるための空気供給口12が他端側(図1における紙面上側)に形成され、空気を空気供給部材4から排出するための空気排出口13が一端側(図1における紙面下側)に形成されている。
また、燃料供給部材3および酸素供給部材4は、実際には、両面に燃料供給路8および空気供給路11が形成されるセパレータとして構成される。
また、図示しないが、燃料電池1においては、必要に応じて、燃料供給部材3と燃料側電極6との間、および、酸素供給部材4と酸素側電極7との間に、公知のガス拡散層を積層することができる。
なお、図示しないが、この燃料電池1には、導電性材料によって形成される集電板が備えられており、集電板に備えられた端子から燃料電池1で発生した起電力を外部に取り出すことができるように構成されている。
また、試験的(モデル的)には、この燃料電池セルSの燃料供給部材3と酸素供給部材4とを外部回路14によって接続し、その外部回路14に電圧計15を介在させて、発生する電圧を計測することもできる。
2.膜電極接合体の製造方法
次に、膜電極接合体2の製造方法について説明する。
この方法では、まず、電解質膜5に電極(燃料側電極6および酸素側電極7)を形成するための触媒インクを調製する。
より具体的には、燃料側電極インクを調製するには、例えば、まず、上記したニッケル担持カーボン触媒を製造し、次いで、得られたニッケル担持カーボン触媒と電解質樹脂とを混合し、必要により、適宜の溶媒を添加して燃料側電極インクを調製する。
ニッケル担持カーボン触媒を製造するには、例えば、まず、ニッケル塩とカーボンとを含む分散液を調製し、次いで、アルカリ溶液を、その分散液に添加してカーボンにニッケル類を担持させ、その後、その分散液を乾燥させて粉末とし、得られた粉末を焼成する。
より具体的には、ニッケル担持カーボン触媒を製造するには、例えば、まず、ニッケル塩と上記したカーボンとを、分散媒に分散させ、分散液を調製する。
ニッケル塩としては、例えば、ニッケル金属単体の無機金属塩、ニッケル金属単体の有機金属塩などが挙げられる。
また、ニッケル塩は、ニッケル金属単体の無機金属塩の水和物であってもよい。
ニッケル金属単体の無機金属塩としては、例えば、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、例えば、塩化物、アンモニウム塩などが挙げられる。
ニッケル金属単体の有機金属塩としては、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩などのニッケル金属単体のカルボン酸塩、例えば、下記一般式(1)で示されるβ−ジケトン化合物またはβ−ケトエステル化合物、および/または、下記一般式(2)で示されるβ−ジカルボン酸エステル化合物から形成されるニッケル金属単体の金属キレート錯体などが挙げられる。
COCHRCOR (1)
(式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基またはアリール基を示し、Rは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリール基または炭素数1〜4のアルコキシ基を示し、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
CH(COR (2)
(式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基を示し、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
上記一般式(1)および上記一般式(2)中、R、RおよびRの炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、t−アミル、t−ヘキシルなどが挙げられる。また、RおよびRの炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなどが挙げられる。
上記一般式(1)中、RおよびRの炭素数1〜6のフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチルなどが挙げられる。また、RおよびRのアリール基としては、例えば、フェニルが挙げられる。また、Rの炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシなどが挙げられる。
β−ジケトン化合物は、より具体的には、例えば、2,4−ペンタンジオン、2,4−ヘキサンジオン、2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオン、1−フェニル−1,3−ブタンジオン、1−トリフルオロメチル−1,3−ブタンジオン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、ジピバロイルメタンなどが挙げられる。
また、β−ケトエステル化合物は、より具体的には、例えば、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、t−ブチルアセトアセテートなどが挙げられる。
また、β−ジカルボン酸エステル化合物は、より具体的には、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチルなどが挙げられる。
これらニッケル塩は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ニッケル塩として、好ましくは、ニッケル金属単体の無機金属塩、より好ましくは、ニッケル金属単体の無機酸塩が挙げられる。さらに好ましくは、ニッケル金属単体の硝酸塩(硝酸ニッケル)が挙げられる。
分散媒としては、例えば、水、アルコール類(例えば、2−プロパノールなど)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン(THF)など)、ケトン類、エステル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類などが挙げられる。
これら分散媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
分散媒として、好ましくは、水、アルコール類、エーテル類などが挙げられる。
分散液は、例えば、ニッケル塩とカーボンとを分散媒に配合する方法や、例えば、ニッケル塩および分散媒の混合物と、カーボンおよび分散媒の混合物とを配合する方法などにより、調製することができる。
そして、それらを配合して得られる分散液(ニッケル塩、カーボンおよび分散媒の混合物)において、ニッケル塩の濃度は、例えば、0.008mol/L以上、好ましくは、0.04mol/L以上であり、例えば、6.7mol/L以下、好ましくは、3.3mol/L以下であり、カーボンの濃度は、例えば、0.04mol/L以上、好ましくは、0.2mol/L以上であり、例えば、20mol/L以下、好ましくは、12mol/L以下である。
次いで、この方法では、水素化ホウ素ナトリウム水溶液などのアルカリ溶液を添加して、上記したカーボンにニッケル類を担持させる。
アルカリ溶液におけるアルカリの濃度は、例えば、0.05mol/L以上、好ましくは、0.1mol/L以上であり、例えば、31mol/L以下、好ましくは、13mol/L以下である。
アルカリの添加量は、ニッケル類100質量部に対して、例えば、6質量部以上、好ましくは、32質量部以上であり、また、例えば、1200質量部以下、好ましくは、650質量部以下である。
次いで、この方法では、上記した方法により得られた、ニッケル類が担持されたカーボンの分散液を、必要に応じて、ろ過する。
なお、ニッケル類が担持されたカーボンの分散液をろ過する場合には、そのろ液の導電率が、例えば、100μS/cm以下、好ましくは、50μS/cm以下になるまでろ過する。
ろ液の導電率が上記以下になるまでろ過すれば、アルカリ溶液由来の不純物を除去できる。
なお、ろ液の導電率は、交流二電極法により測定することができる。
次いで、この方法では、例えば、常温乾燥、加熱乾燥、真空(凍結)乾燥などの公知の方法により、上記ろ過により得られた粉末(ろ物)から、さらに分散媒を除去し、その粉末を乾燥させ乾燥粉末を得る。
乾燥条件としては、乾燥温度が、例えば、10℃以上、好ましくは、60℃以上であり、例えば、120℃以下、好ましくは、100℃以下である。また、乾燥時間が、例えば、5時間以上、好ましくは、8時間以上であり、例えば、24時間以下、好ましくは、15時間以下である。
次いで、得られた乾燥粉末を、不活性雰囲気(例えば、アルゴン(Ar)ガスなど)下において、焼成する。
焼成条件としては、焼成温度が、例えば、400℃以上、好ましくは、500℃以上、より好ましくは、550℃以上であり、また、例えば、800℃以下、好ましくは、700℃以下、より好ましくは、650℃以下である。
焼成温度が上記範囲内であれば、ニッケル類として、ニッケル類の総モルに対するニッケル金属単体および酸化ニッケルの含有割合が、それぞれ、上記した範囲内である、ニッケル金属単体と酸化ニッケルとからなる混合物を得ることができる。
また、焼成条件として、焼成時間が、例えば、0.2時間以上、好ましくは、0.5時間以上であり、例えば、5時間以下、好ましくは、3時間以下である。
これにより、ニッケル担持カーボン触媒を得ることができる。
なお、例えば、ニッケル類がニッケル金属単体のみからなるニッケル担持カーボン触媒と、例えば、ニッケル類が酸化ニッケルのみからなるニッケル担持カーボン触媒とを、適宜の割合で混合することにより、ニッケル類における酸化ニッケルの含有割合を調整してもよい。
ニッケル担持カーボン触媒において、ニッケル類とカーボンとの総量100質量部に対して、ニッケル類の含有割合が、例えば、30質量部以上、好ましくは、40質量部以上であり、70質量部以下、好ましくは、60質量部以下である。
ニッケル担持カーボン触媒におけるニッケル類の含有割合が、上記の割合であれば、燃料電池の発電性能を向上させることができる。
なお、ニッケル類の含有割合が上記の範囲であるニッケル担持カーボン触媒は、例えば、上記したニッケル担持カーボン触媒の製造方法において、ニッケル類の配合割合を調整することにより、製造することができる。
より具体的には、ニッケル担持カーボン触媒の製造方法において、ニッケル類とカーボンとが、ニッケル担持カーボン触媒の総量に対して、上記の含有割合となるように、ニッケル塩とカーボンとを配合することにより、ニッケル類の含有割合が上記の範囲であるニッケル担持カーボン触媒を製造することができる。
ニッケル担持カーボン触媒の比表面積は、例えば、100m/g以上、好ましくは、200m/g以上であり、また、例えば、1000m/g以下、好ましくは、800m/g以下である。
ニッケル担持カーボン触媒の比表面積が、上記範囲内であれば、燃料電池は、優れた発電性能を得ることができる。
なお、比表面積は、JIS Z 8830(2013)に準拠したキャリアガス法により測定される(以下同様)。
次いで、例えば、得られたニッケル担持カーボン触媒と電解質樹脂とを混合し、必要により溶媒を添加して攪拌し、粘度を調整することにより、燃料側電極インクを調製する。
電解質樹脂としては、例えば、酸素側電極7で生成されるアニオン成分としての水酸化物イオン(OH)を、移動させることができる媒体であれば特に限定されないが、例えば、4級アンモニウム基、ピリジニウム基、イミダゾリウム基などのアニオン交換基を有する固体高分子樹脂(アニオン交換樹脂)が挙げられる。電解質樹脂は、予め溶媒に溶解されたものを用いてもよい。また、電解質樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。また、電解質樹脂は、電解質膜5を形成するアニオン交換膜と同成分であってもよい。
電解質樹脂の含有割合は、ニッケル担持カーボン触媒100質量部に対して、例えば、30質量部以上、好ましくは、40質量部以上であり、また、例えば、70質量部以下、好ましくは、60質量部以下である。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどの低級アルコール類、例えば、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル類、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒、水などの公知の溶媒が挙げられる。これら溶媒は、単独使用または2種以上併用することができる。
また、このときの攪拌温度は、例えば、10〜30℃であり、攪拌時間は、例えば、1〜60分間である。
燃料側電極インクにおける溶媒の配合割合は、ニッケル担持カーボン触媒100質量部に対して、例えば、120質量部以上、好ましくは、150質量部以上であり、また、例えば、10000質量部以下、好ましくは、5000質量部以下である。
また、燃料側電極6は、撥水性を付与するための樹脂成分(電解質樹脂を除く)(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など)などの公知の高分子添加剤が含有されていてもよい。高分子添加剤の含有割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
これにより、燃料側電極インクを調製することができる。
また、酸素側電極インクは、燃料側電極インクと同様にして、調製することができる。
具体的には、例えば、まず、上記した金属触媒を製造し、次いで、得られた金属触媒と電解質樹脂とを混合し、必要により溶媒を添加して燃料側電極インクを調製する。
金属触媒を製造するには、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。
次いで、例えば、得られた金属触媒と電解質樹脂とを混合し、必要によりアルコールなどの適宜の溶媒を添加して攪拌し、粘度を調整することにより、酸素側電極インクを調製する。
電解質樹脂としては、例えば、燃料側電極6の調製において例示した電解質樹脂が挙げられる。電解質樹脂は、予め溶媒に溶解されたものを用いてもよい。また、電解質樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。また、電解質樹脂は、電解質膜5を形成するアニオン交換膜と同成分であってもよい。
電解質樹脂の含有割合は、金属触媒100質量部に対して、例えば、30質量部以上、好ましくは、40質量部以上であり、また、例えば、70質量部以下、好ましくは、60質量部以下である。
溶媒としては、例えば、燃料側電極6の調製において例示した溶媒が挙げられる。これら溶媒は、単独使用または2種以上併用することができる。
また、このときの攪拌温度は、例えば、10〜30℃であり、攪拌時間は、例えば、1〜60分間である。
酸素側電極インクにおける溶媒の配合割合は、金属触媒100質量部に対して、例えば、120質量部以上、好ましくは、150質量部以上であり、また、例えば、10000質量部以下、好ましくは、5000質量部以下である。
また、酸素側電極7は、撥水性を付与するための樹脂成分(電解質樹脂を除く)(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など)などの公知の高分子添加剤が含有されていてもよい。高分子添加剤の含有割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
これにより、酸素側電極インクを調製することができる。
次いで、この方法では、電解質膜5の一方面に燃料側電極6を形成するための燃料側電極インクを塗布し、電解質膜5の他方面に酸素側電極7を形成するための酸素側電極インクを塗布する。
各電極インクの塗布方法としては、例えば、スプレー法、ダイコーター法、インクジェット法など公知の塗布方法が挙げられ、好ましくは、スプレー法が挙げられる。
次いで、塗布した各触媒インクを、例えば、10〜40℃で乾燥させる。これにより、燃料側電極6および酸素側電極7が形成される。
これにより、上記したニッケル担持カーボン触媒が、燃料側電極6として、電解質膜5の一方面に担持され、また、上記した金属触媒が、酸素側電極7として、電解質膜5の他方面に担持される。
これにより、膜電極接合体2が製造される。
3.燃料電池による発電
図1が参照されるように、上記した膜電極接合体2を備える燃料電池1では、燃料成分が燃料供給口9から燃料側電極6に供給される。一方、空気(酸素(O):20質量%)が空気供給口12から酸素側電極7に供給される。
酸素側電極7においては、次に述べるように、燃料側電極6で発生し、外部回路14を介して移動する電子(e)と、水(HO)と、酸素(O)とが反応して、水酸化物イオン(OH)を生成する。生成した水酸化物イオン(OH)は、アニオン交換膜からなる電解質膜5を、酸素側電極7から燃料側電極6へ移動する。そして、燃料側電極6においては、電解質膜5を通過した水酸化物イオン(OH)と、燃料成分とが反応して、電子(e)が生成する。生成した電子(e)は、燃料供給部材3から外部回路14を介して酸素供給部材4に移動され、酸素側電極7へ供給される。このような燃料側電極6および酸素側電極7における電気化学的反応によって、起電力が生じ、発電が行われる。
そして、このような電気化学的反応には、燃料側電極6において、燃料成分に水酸化物イオン(OH)を直接反応させる一段反応と、燃料成分を、水素(H)と窒素(N)とに分解した後に、分解により生成した水素(H)に水酸化物イオン(OH)を反応させる二段反応との2種類の反応がある。
例えば、燃料成分としてヒドラジン(NHNH)を用いた場合には、一段反応は、燃料側電極6、酸素側電極7および全体として、次の反応式(1)〜(3)で表すことができる。
(1) NHNH+4OH→4HO+N+4e (燃料側電極)
(2) O+2HO+4e→4OH (酸素側電極)
(3) NHNH+O→2HO+N (全体)
また、二段反応は、燃料側電極6、酸素側電極7および全体として、次の反応式(4)〜(7)で表すことができる。
(4) NHNH→2H+N (分解反応;燃料側電極)
(5) H+2OH→2HO+2e (燃料側電極)
(6) 1/2O+HO+2e→2OH (酸素側電極)
(7) H+1/2O→HO (全体)
なお、この燃料電池1の運転条件は、特に限定されないが、例えば、燃料側電極6側の加圧が200kPa以下、好ましくは、100kPa以下であり、酸素側電極7側の加圧が200kPa以下、好ましくは、100kPa以下であり、燃料電池1のセル温度が0〜120℃、好ましくは、20〜80℃として設定される。
4.作用効果
上記のように、膜電極接合体2において、燃料側電極6として、電解質膜5の一方面に、ニッケル担持カーボン触媒を2.7mg/cm以上3.6mg/cm以下で担持させることにより、燃料電池1の発電特性を維持しながら、膜電極接合体2の耐久性の向上を図ることができる。そのため、上記の膜電極接合体2によれば、燃料電池1の発電特性を維持しながら、燃料電池1の耐久性の向上を図ることができる。
なお、上記した実施形態では、膜電極接合体2は、電解質膜5と、燃料側電極6および酸素側電極7とを備えているが、例えば、酸素側電極7を備えることなく、電解質膜5と燃料側電極6とから形成することもできる。そのような場合には、別途、酸素側電極7が形成され、電解質膜5と燃料側電極6とからなる膜電極接合体2に積層されて用いられる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜設計を変形することができる。
本発明の膜電極接合体が用いられる燃料電池の用途としては、例えば、自動車、船舶、航空機などにおける駆動用モータの電源や、携帯電話機などの通信端末における電源などが挙げられる。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。また、以下の説明において特に言及がない限り、「部」および「%」は質量基準である。なお、以下に示す実施例の数値は、実施形態において記載される対応する数値(すなわち、上限値または下限値)に代替することができる。
<膜電極接合体の作製>
(燃料側電極インクの調製)
調製例1
カーボン粉末(商品名:カーボンECP600JD(ケッチェンブラックECP600JDの粉末)、ライオン社製)5gを純水0.45Lに加え分散させた。この分散液に、硝酸ニッケル水溶液(硝酸ニッケル六水和物、ニッケル含有量:ニッケル金属単体に換算して5g)0.6Lを配合し、十分にカーボン粉末の分散液と混合させた。次いで、その混合させた分散液に、水素化ホウ素ナトリウム6.4gを含む水溶液1.5Lを滴下し、ニッケル類をカーボン上に担持させた。その後、この分散液をろ過するとともに、ろ液の導電率が50μS/cm以下になるまで水洗して粉末を得て、その粉末を100℃で10時間真空乾燥させた。その後、アルゴン(Ar)ガス中において600℃で2時間熱処理(焼成)して、ニッケル担持カーボン触媒を得た。
上記で得られたニッケル担持カーボン触媒0.15gと、電解質樹脂溶液(炭化水素系アイオノマー(電解質樹脂)(商品名:A3、AS4)、溶媒:1−プロパノール:THF=1:1(質量比)、2質量%濃度、トクヤマ社製)3.75gとを混合し、得られた混合物を、溶媒(1−プロパノール:THF=1:1(質量比))2.0gに分散させて、燃料側電極インクを調製した。
(酸素側電極インクの調製)
調製例2
金属触媒として、アミノアンチピリンの鉄錯体触媒(CABOT社製)を使用した。
上記の金属触媒0.05gと、電解質樹脂溶液(炭化水素系アイオノマー(電解質樹脂)(商品名:A3、AS4)、溶媒:1−プロパノール:THF=1:1(質量比)、2質量%濃度、トクヤマ社製)1.25gと、ポリテトラフルオロエチレン水溶性分散液(商品名:D210C、60質量%濃度、ダイキン工業社製)3.8μLとを混合し、得られた混合物を、溶媒(1−プロパノール:THF=1:1(質量比))2.0gに分散させて、酸素側電極インクを調製した。
(膜電極接合体の製造)
実施例1
アニオン交換形電解質膜(商品名:A201CE トクヤマ社製)の一方側表面にニッケル担持カーボン触媒の量が3.2mg/cmとなり、かつ、乾燥後の表面の面積が4cm、厚さが100μmとなるように、調製例1で得られた燃料側電極インクを塗布して常温で乾燥させた。また、他方側表面に金属触媒の量が1.0mg/cmとなり、かつ、乾燥後の表面の面積が4cm、厚さが50μmとなるように、実施例1において得られた酸素側電極インクを塗布して常温で乾燥させた。これにより膜電極接合体を製造した。
その後、溶媒を常温の大気中で蒸発させ、12MPaの圧力で油圧プレス機により、電解質膜の厚み方向両側から、膜電極接合体(電解質膜、燃料側電極および酸素側電極)を2分加圧した後、得られた膜電極接合体を1MのKOHに12時間以上浸漬させ、膜電極接合体Aを得た。
比較例1
アニオン交換形電解質膜(商品名:A201CE トクヤマ社製)の一方側表面にニッケル担持カーボン触媒の量が2.6mg/cmとなるように、調製例1で得られた燃料側電極インクを塗布して常温で乾燥させた以外は、実施例1と同様にして膜電極接合体Bを得た。
(評価)
<発電特性の測定>
燃料電池評価セル(ラボセル、ダイハツ工業社製)に、実施例1および比較例1で得られた膜電極接合体をセットして、燃料側電極側へ1MのKOHと5体積%濃度の水加ヒドラジンとの混合溶液を、酸素側電極側へ空気(酸素(O):20質量%濃度)を、それぞれ2cc/minおよび0.5L/minの流速で供給して、電子負荷装置(890e、Scribner Associates社製)で電流密度を制御し、下記の耐久試験条件で耐久試験をして、そのときのセルの定格出力密度(電流密度:200mA/cm)を測定した。
(耐久試験条件)
電流密度を200mA/cmで6時間一定に制御した。その後、燃料電池特性を把握するため、電圧を制御して、開放電圧(0.8V)から0.2Vの間でセル電圧を走査し、その時の電流密度を測定するのを往復3回実施した。これらのサイクルを繰り返して耐久試験とした。
出力密度の測定条件を以下に示す。
セル温度;80℃
背圧;アノード:10kPa、カソード:10kPa
その結果について、図2に示す。
(考察)
図2より、実施例1で得られた膜電極接合体を用いた場合、比較例1で得られた膜電極接合体を用いた場合に比べ、時間が経過しても、定格出力密度がさほど低下していないことがわかる。
また、実施例1で得られた膜電極接合体を用いた場合、比較例1で得られた膜電極接合体を用いた場合に比べても、初期の定格出力密度は同程度の値であり、発電特性は維持されていることがわかる。
そのため、実施例1で得られた膜電極接合体を用いることにより、連続運転による燃料電池の定格出力密度の低下を低減できるため、燃料電池の発電特性を維持しながら、燃料電池の耐久性を向上させることができることがわかる。
1 燃料電池
2 膜電極接合体
5 電解質膜
6 燃料側電極
7 酸素側電極

Claims (1)

  1. アニオン成分を移動させることができる電解質層と、
    前記電解質層を挟んで対向配置された、燃料成分が供給される燃料側電極、および、酸素が供給される酸素側電極と
    を備え、
    前記燃料側電極は、カーボンにニッケル類が担持され、焼成されている触媒を含み、
    前記触媒が、前記電解質層に、2.7mg/cm以上3.6mg/cm以下で担持されていることを特徴とする、膜電極接合体。
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