JP2016081729A - 粒子加速器およびそのビーム出射方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化、低コスト化を図れる粒子加速器およびそのビーム出射方法を提供する。
【解決手段】本発明の粒子加速器は、荷電粒子ビームを周回しつつ、加速させてから出射する粒子加速器1Sであって、荷電粒子ビームを出射するための第1の出射デフレクタ8aおよび最終の出射デフレクタ8bと、第1の出射デフレクタ8aと最終の出射デフレクタ8bとの間に配置され、荷電粒子ビームを収束させるビーム収束手段7と、第1の出射デフレクタ8aと最終の出射デフレクタ8bとの間に配置され、周回する荷電粒子ビームの軌道と分離した軌道をもって出射される荷電粒子ビームを、最終の出射デフレクタ8bの入口8b1に向かうように曲げる単数または複数の第2の出射デフレクタ8cとを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、荷電粒子ビームを周回させて加速させ出射する粒子加速器およびそのビーム出射方法に関する。
従来、科学、医療、産業分野において、高エネルギービームを生成するための装置として、シンクロトロンと呼ばれる円形加速器が広く使われている。シンクロトロンは、高周波加速空洞でビームにエネルギーを与えながら、ビームエネルギーの変化に合わせて電磁石などでの発生磁場を高めることによって、ビームの所定の軌道半径を保ちつつ様々なエネルギーにビームを加速して、出射することができる。
図7は、従来のシンクロトロンの構成例の上面図である。
一般的なビーム出射では、シンクロトロン101にはイオン源102から線形加速器103で加速された荷電粒子ビームが入射される。そして、入射された荷電粒子ビームは、発散四極電磁石105と収束電磁石107とにより発散、収束を繰り返して、高周波加速空洞109により加速され、偏向電磁石106により、偏向されて、シンクロトロンの軌道上を周回する。これにより、荷電粒子ビームは所定のエネルギーに加速される。
そして、図8に示すように、所定のエネルギーの荷電粒子ビームの一部を第1の出射デフレクタ108aの薄い静電デフレクタ電極108d間に入れ、電場により周回軌道の中心から離れる方向に曲げ、出射ビームとする。図8は、従来のシンクロトロンでの荷電粒子ビームの出射軌道を示す上面図である。図8では、周回する周回ビーム110の中心軌道に対して直交する平面上における水平方向と鉛直方向をそれぞれX、Y座標とし、荷電粒子ビームの進行方向をS座標としている。このとき、X座標の正値をシンクロトロンリング101rの外側、負値をシンクロトロンリングの内側とする。
そして、曲げられた荷電粒子ビーム(出射ビーム)を、ある程度離れたところで最終の出射デフレクタ108bのセプタム電磁石の磁場によるローレンツ力によりさらに大きく外側に曲げ、シンクロトロンリングの外に荷電粒子ビームを取り出す。
シンクロトロンリングを周回する荷電粒子ビームを出射ビームとして取り出す際、第1の出射デフレクタ(静電デフレクタ)と最終の出射デフレクタ(セプタム電磁石)との二段階構成にするのは下記の理由からである。
第1に、電荷による静電気力で偏向させる静電偏向装置である第1の出射デフレクタだけでは、放電による電界強度制限の問題から高エネルギーのビームを大きく曲げるのは難しい。第2に、電磁石である最終の出射デフレクタは、周回ビームの外側に機器(コア、コイルなど)が配置される構造上、周回ビームと出射ビームが大きく分離されていないと機器に衝突してビームロスが大きくなってしまうからである。
つまり、第1の出射デフレクタと最終の出射デフレクタとの二段階構成にすることで、シンクロトロンを周回する荷電粒子ビームと出射ビームとを大きく分離でき、ビームロスを少なくシンクロトロンリングの外に加速されたビームを、出射ビームとして取り出すことができる。
なお、本願に係る先行技術文献としては、特許文献1、2がある。特許文献1は本願に関連する技術分野ものであり、特許文献2は本願と課題が共通する。
特許第4873563号公報 特開2012−234805号公報
ところで、昨今、シンクロトロン101の施設面積や装置コストや施設ランニングコストの低減などの観点から、シンクロトロンの小型化に関する要望は多く、超電導技術を用いた高磁場電磁石などが盛んに研究、開発されている。
しかし、シンクロトロンを小型化しようとした場合、さまざまなシンクロトロン構成機器(発散・収束電磁石105、107、偏向電磁石106など)を密に並べる必要が生じる。そのため、第1と最終の出射デフレクタ108a、108bの間に収束要素(例えば、収束電磁石や偏向電磁石)が入ってきてしまい、それによってビーム出射を難しくしてしまう。
つまり、一旦は第1の出射デフレクタによって荷電粒子ビームをシンクロトロンリング101rの周回軌道中心から離しても、収束要素によって再び中心方向に戻されてしまい(図8の出射ビーム111の先端側参照)、最終の出射デフレクタ位置で周回ビーム110と出射ビームを大きく分離することが困難になる。
周回ビームと出射ビーム軌道が大きく分離されていないと、ビームダクトや最終の出射デフレクタに荷電粒子ビームが衝突してビームロスが多くなってしまい、シンクロトロンリングの外に加速されたビームを効率よく取り出すことができなくなる。
また、それでも最終の出射デフレクタの位置で周回ビームと出射ビームとを大きく分離しようとすると、第1の出射デフレクタを大型化・高電界化することでより大きく曲げる必要があるだけでなく、大きく膨らんだ出射軌道を描く荷電粒子ビームを通すことになるため、第1・最終出射デフレクタ間の電磁石などの磁極幅やボア径、電磁場の有効領域を大きくしなければならない。なお、放電が発生するため、電界強度が制限されるという問題は別にある。
これは結果として、機器サイズや製造コストの増加につながる。特に、超電導技術による高磁場化でシンクロトロンの小型化を目指す場合、電磁石の磁極幅やボア径、電磁場の有効領域を広げることは製造難度や製造コスト、ランニングコストを格段に高めるため、シンクロトロン小型化実現に向けた大きな課題となる。
本発明は上記実状に鑑み、小型化、低コスト化を図れる粒子加速器およびそのビーム出射方法の提供を目的とする。
前記課題を解決するため、第1の本発明の粒子加速器は、荷電粒子ビームを周回しつつ、加速させてから出射する粒子加速器であって、前記荷電粒子ビームを出射するための第1の出射デフレクタおよび最終の出射デフレクタと、前記第1の出射デフレクタと前記最終の出射デフレクタとの間に配置され、前記荷電粒子ビームを収束させるビーム収束手段と、前記第1の出射デフレクタと前記最終の出射デフレクタとの間に配置され、周回する前記荷電粒子ビームの軌道と分離した軌道をもって出射される荷電粒子ビームを、前記最終の出射デフレクタの入口に向かうように曲げる単数または複数の第2の出射デフレクタとを備えている。
第1の本発明の粒子加速器によれば、第1の出射デフレクタと最終の出射デフレクタとの間に配置され、周回する荷電粒子ビームの軌道と分離した軌道をもって出射される荷電粒子ビームを、最終の出射デフレクタの入口に向かうように曲げる単数または複数の第2の出射デフレクタとを備えるので、出射する荷電粒子ビームを大きく膨らませることなく、最終の出射デフレクタの入口に向かわせることができる。
そのため、第1の出射デフレクタと最終の出射デフレクタとの間の機器の磁極幅やボア径、電磁場の有効領域も小さくでき、粒子加速器を小型化できる。また、粒子加速器の小型化により、粒子加速器の製造コスト、ランニングコストを低減できる。
第2の本発明の粒子加速器は、荷電粒子ビームを周回しつつ、加速させてから出射する粒子加速器であって、前記荷電粒子ビームを出射するための第1の出射デフレクタおよび最終の出射デフレクタと、前記第1の出射デフレクタと前記最終の出射デフレクタとの間に配置され、前記荷電粒子ビームを収束させるビーム収束手段と、前記第1の出射デフレクタと前記最終の出射デフレクタとの間に配置される単数または複数の第2の出射デフレクタとを備え、前記第2の出射デフレクタは、出射するために前記第1の出射デフレクタにより分離された荷電粒子ビームを、前記第1の出射デフレクタと前記最終の出射デフレクタとの間の前記粒子加速器を構成する機器の前記荷電粒子ビームに磁界または電界を印加する領域が、前記第2の出射デフレクタが無い場合よりも、小さくなるように曲げている。
第2の本発明の粒子加速器によれば、第2の出射デフレクタにより、出射するために分離された荷電粒子ビームを、第1の出射デフレクタと最終の出射デフレクタとの間の粒子加速器を構成する機器の荷電粒子ビームに磁界または電界を印加する領域が、第2の出射デフレクタが無い場合よりも、小さくなるように曲げるので、粒子加速器を構成する機器の小型化を行える。また、粒子加速器全体の大きさも小型にすることができる。
第3の本発明の粒子加速器は、第1または第2の本発明の粒子加速器において、前記第1の出射デフレクタは、前記荷電粒子ビームの周回軌道の中心に対して、前記最終の出射デフレクタが配置される位置とは反対側の位置に配置されている。
第3の本発明の粒子加速器によれば、第1の出射デフレクタは、荷電粒子ビームの周回軌道の中心に対して、最終の出射デフレクタが配置される位置とは反対側の位置に配置されるので、出射される荷電粒子ビームを荷電粒子ビームが周回する軌道から大きく膨らませることなく、最終の出射デフレクタの入口に向かわせることができる。
第4の本発明の粒子加速器は、第1から第3の本発明の粒子加速器のうちの何れかにおいて、前記第1の出射デフレクタは、前記荷電粒子ビームの周回軌道の中心に対して、前記最終の出射デフレクタが配置される位置とは反対側の方向に、出射される荷電粒子ビームを分離している。
第4の本発明の粒子加速器によれば、第1の出射デフレクタは、荷電粒子ビームの周回軌道の中心に対して、最終の出射デフレクタが配置される位置とは反対側の方向に、出射される荷電粒子ビームを分離するので、出射される荷電粒子ビームを荷電粒子ビームが周回する軌道から大きく膨らませることなく、最終の出射デフレクタの入口に向かわせることができる。
第5の本発明の粒子加速器は、第1から第4の本発明の粒子加速器のうちの何れかにおいて、前記第2の出射デフレクタは、出射のために前記第1の出射デフレクタによって周回する前記荷電粒子ビームから分離される荷電粒子ビームを、周回する前記荷電粒子ビームの周回軌道の中心に対して前記最終の出射デフレクタの反対側の位置から、前記最終の出射デフレクタの入口に向かうように曲げている。
第5の本発明の粒子加速器によれば、第2の出射デフレクタは、出射のために第1の出射デフレクタによって周回する荷電粒子ビームから分離される荷電粒子ビームを、周回する荷電粒子ビームの周回軌道の中心に対して最終の出射デフレクタの反対側から、最終の出射デフレクタの入口に向かうように曲げるので、出射される荷電粒子ビームを荷電粒子ビームが周回する軌道から大きく膨らませることなく、最終の出射デフレクタの入口に向かわせることができる。
第6の本発明の粒子加速器のビーム出射方法は、荷電粒子ビームを出射するための第1の出射デフレクタ、第2の出射デフレクタ、および最終の出射デフレクタと、前記第1の出射デフレクタと前記最終の出射デフレクタとの間に配置され、前記荷電粒子ビームを収束させるビーム収束手段とを備え、前記荷電粒子ビームを周回しつつ印加される高周波電場でビームを拡散することで出射する粒子加速器のビーム出射方法であって、前記第2の出射デフレクタは、前記最終の出射デフレクタの入口に、出射する前記荷電粒子ビームの軌道が、周回する前記荷電粒子ビームから分離して入るように、出射のために前記第1の出射デフレクタで分離される前記荷電粒子ビームの軌道を、周回する前記荷電粒子ビームの軌道中心方向に曲げている。
第6の本発明の粒子加速器のビーム出射方法によれば、第2の出射デフレクタは、最終の出射デフレクタの入口に、出射する荷電粒子ビームの軌道が、周回する荷電粒子ビームから分離して入るように、出射のために第1の出射デフレクタで分離される前記荷電粒子ビームの軌道を、周回する荷電粒子ビームの軌道中心方向に曲げるので、出射される荷電粒子ビームを荷電粒子ビームが周回する軌道から大きく膨らませることなく、最終の出射デフレクタの入口に導くことができる。
第7の本発明の粒子加速器のビーム出射方法は、荷電粒子ビームを出射するための第1の出射デフレクタ、第2の出射デフレクタ、および最終の出射デフレクタと、前記第1の出射デフレクタと前記最終の出射デフレクタとの間に配置され、前記荷電粒子ビームを収束させるビーム収束手段とを備え、前記荷電粒子ビームを周回しつつ印加される高周波電場でビームを拡散することで出射する粒子加速器のビーム出射方法であって、前記第2の出射デフレクタは、前記第1の出射デフレクタと前記最終の出射デフレクタとの間の前記粒子加速器を構成する機器の前記荷電粒子ビームに磁界または電界を印加する領域が、前記第2の出射デフレクタが無い場合よりも小さくなるように、出射のために前記第1の出射デフレクタにより分離された荷電粒子ビームを、周回する荷電粒子ビームの軌道の中心方向に曲げている。
第7の本発明の粒子加速器のビーム出射方法によれば、第2の出射デフレクタは、第1の出射デフレクタと最終の出射デフレクタとの間の粒子加速器を構成する機器の荷電粒子ビームに磁界または電界を印加する領域が、第2の出射デフレクタが無い場合よりも小さくなるように、出射のために第1の出射デフレクタにより分離された荷電粒子ビームを、周回する荷電粒子ビームの軌道の中心方向に曲げるので、粒子加速器を構成する機器の荷電粒子ビームに磁界または電界を印加する領域を小さくできる。
また、出射のために第1の出射デフレクタにより分離された荷電粒子ビームを大きく膨らませることなく、最終の出射デフレクタに導くことができる。そのため、粒子加速器の小型化を図ることができる。
本発明によれば、小型化、低コスト化を図れる粒子加速器およびそのビーム出射方法を実現できる。
本発明に係る実施形態1の粒子加速器の構成例を示す上面図。 実施形態1のシンクロトロンにおけるビームの出射軌道を示す上面図。 本発明に係る実施形態2の粒子加速器の構成例を示す上面図。 実施形態2のシンクロトロンにおけるビームの出射軌道を示す上面図。 本発明に係る実施形態3の粒子加速器の構成例を示す上面図。 本発明に係る実施形態4の粒子加速器の構成例を示す上面図。 従来のシンクロトロンの構成例を示した図。 従来技術のシンクロトロンにおけるビームの出射軌道を示す上面図。
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
<<実施形態1>>
図1は、本発明に係る実施形態1の粒子加速器の構成例を示す上面図である。
実施形態1の粒子加速器であるシンクロトロン1Sは、荷電粒子入射系1Aから荷電粒子ビームが入射される。
荷電粒子入射系1Aとシンクロトロン1Sとは、図示しないコントローラにより制御される。
<荷電粒子入射系1A>
荷電粒子入射系1Aは、荷電粒子を生成して所定のエネルギーに加速した荷電粒子をシンクロトロン1Sに供給する役割をもつ。
荷電粒子入射系1Aは、イオン源2と線形加速器3とを備える。イオン源2と線形加速器3とシンクロトロン1Sとは、高真空に保たれる入射ビーム路1mで連結されている。
イオン源2は、中性ガスに高速の電子を衝突させるなどしてイオンを生成し、線形加速器3にてシンクロトロン1Sで加速可能な状態に加速する。イオン化される原子、粒子としては、例えば、水素、ヘリウム、炭素、窒素、酸素、ネオン、シリコン、アルゴンなどがある。
線形加速器3は、イオン源2から供給される荷電粒子を所定のエネルギーまで加速して、シンクロトロン1Sに供給する。線形加速器3としては、例えば、高周波の4極電場によって荷電粒子の加速と集束を行うRFQライナックやドリフトチューブライナックが用いられる。線形加速器3によって、荷電粒子は、例えば、核子あたり数MeV程度のエネルギーに加速される。
<シンクロトロン1S>
シンクロトロン1Sは、荷電粒子入射系1Aの線形加速器3から供給される荷電粒子を、シンクロトロン1Sから出射される出射ビーム11(図2参照)のエネルギーまで加速する。
線形加速器3から供給される荷電粒子は、入射インフレクタ4によって、荷電粒子入射系1Aからの軌道が偏向され、周回軌道をもつシンクロトロン1Sに入射される。
シンクロトロン1Sは、荷電粒子を出射ビームのエネルギーまで加速するための構成要素として、発散四極電磁石5と偏向電磁石6と収束電磁石7と高周波加速空胴9とを備えている。
シンクロトロン1Sは、出射ビーム11を取り出すための構成要素として、第1の出射デフレクタ8aと第2の出射デフレクタ8cと最終の出射デフレクタ8bとを備えている。出射ビーム11とは、照射対象に照射するために、シンクロトロン1Sから取り出される荷電粒子ビームをいう。
第1の出射デフレクタ8aは、シンクロトロン1Sを周回する荷電粒子ビームの外側方向にけり出すために、荷電粒子ビームに電場を印加して分離するデフレクタ電極8dを有している。
シンクロトロン1Sは、発散電磁石5と偏向電磁石6と収束電磁石7が、シンクロトロンリング1rを形成して周回状に構成されている。
シンクロトロン1Sにおいて、入射した荷電粒子ビームは、発散電磁石5と収束電磁石7とによって発散と収束とを繰り返しつつ偏向電磁石6によって偏向することで、シンクロトロンリング1rの周回軌道上を周回する。
高周波加速空胴9は、内部に設けられる加速ギャップ(図示せず)の間に発生する電界によって、シンクロトロンリング1rの周回軌道を周回する荷電粒子を加速するものである。高周波加速空胴9において、加速ギャップの間(図1に示す下から上)を通る荷電粒子は、正のエネルギーゲインを得られる位相で高周波電界が印加されて加速され、周回毎にエネルギーが増加していく。また、出射ビーム11の出射終了後、加速ギャップの間で発生する電界の位相を逆にすることによって、荷電粒子を減速し放射線の発生を抑制する。
シンクロトロン1Sにおいて、荷電粒子は、所定のエネルギー、例えば核子あたり数百MeVのエネルギーまで加速される。
この際、偏向電磁石6、発散電磁石5および収束電磁石7は、高周波加速空胴9における加速または減速に同期して、加速または減速された荷電粒子のエネルギーに応じて、荷電粒子がシンクロトロンリング1rの周回軌道に沿った軌道を描くように磁場強度がコントローラにより制御される。
周回軌道上で所定のエネルギーに加速された荷電粒子ビームは、第1の出射デフレクタ8aと第2の出射デフレクタ8cと最終の出射デフレクタ8bとによって、その軌道を変更されて、シンクロトロンリング1rから出射され、出射ビーム11としてビーム輸送系(図示せず)に取り出される。
ビーム輸送系は、照射部(図示せず)に出射ビームである荷電粒子ビームを導く。照射部において、取り出された出射ビーム11である荷電粒子ビームは、照射対象に照射される。
<シンクロトロン1Sの制御>
コントローラは、荷電粒子入射系1A(イオン源2、線形加速器3)と、シンクロトロン1Sを構成する入射インフレクタ4、発散電磁石5、偏向電磁石6、収束電磁石7、高周波加速空胴9、第1の出射デフレクタ8a、第2の出射デフレクタ8c、最終の出射デフレクタ8bなどを制御する。これにより、荷電粒子の生成、線形加速器3による前段加速、シンクロトロン1Sへの入射、加速および荷電粒子ビームのシンクロトロン1Sからの出射、さらに、ビーム輸送系を通過しての照射部における取り出した荷電粒子ビーム(出射ビーム11)の照射の制御が遂行される。
荷電粒子入射系1A、シンクロトロン1S、およびビーム輸送系の随所には荷電粒子のモニタ(図示せず)が配置され、荷電粒子の軌道、電流量およびエネルギーが測定され、コントローラにその測定信号がフィードバックされることによって、制御が行われる。
<荷電粒子ビームの出射軌道>
図2は、実施形態1のシンクロトロンにおけるビームの出射軌道を示す上面図である。図2では、周回する荷電粒子ビームである周回ビーム10の中心軌道に対して直交する平面上における水平方向と鉛直方向とをそれぞれX、Y座標とし、周回ビーム10の進行方向をS座標としている。このとき、X座標の正値をシンクロトロンリング1rの外側、負値をシンクロトロンリング1rの内側とする。
第1の出射デフレクタ8aにおけるデフレクタ電極8dは、周回する荷電粒子ビームである周回ビーム10の周回軌道中心(S軸)より内側に配置され、周回ビーム10の周回軌道中心より内側方向に出射ビームをけり出すように構成されている。
第1の出射デフレクタ8aとその下流の発散電磁石5との間には、第2の出射デフレクタ8cが配置される。つまり、第1の出射デフレクタ8aの直ぐ下流には、第2の出射デフレクタ8cが配置される。
第2の出射デフレクタ8cは、第1の出射デフレクタ8aのデフレクタ電極8dにより周回ビーム10の周回軌道中心より内側方向に分離される出射ビーム11が入射され、出射ビーム11を周回ビーム10の周回軌道中心(S軸)方向に曲げる。
第2の出射デフレクタ8cは、シンクロトロンリング1rの外部に向かうまで出射ビーム11を曲げるものではない。そのため、第2の出射デフレクタ8cは、比較的小型のものでよく、第1の出射デフレクタ8aに近接して配置できる。
第2の出射デフレクタ8cの下流には、発散電磁石5、偏向電磁石6、発散電磁石5、偏向電磁石6、収束電磁石7、および最終の出射デフレクタ8bが順番に配置される。
シンクロトロン1Sにおいて、所定のエネルギーまで加速された周回ビーム10から出射ビーム11を取り出す際には、以下のように行われる。
シンクロトロン1Sを周回する荷電粒子ビームである周回ビーム10は、発散電磁石5と収束電磁石7とにより、収束と発散とを繰り返えしつつ、偏向電磁石6により軌道を曲げられ、シンクロトロンリング1rを周回して、出射ビーム11に設定された所定エネルギーまで加速される。
周回ビーム10が所定エネルギーまで加速されると、図2に示すように、周回ビーム10の内側縁部の荷電粒子ビームが、第1の出射デフレクタ8aのデフレクタ電極8dの電場により、周回ビーム10の周回軌道中心から内側に離れる方向に曲げられ分離される。周回ビーム10から分離される荷電粒子ビームが出射ビーム11である。
その後、出射ビーム11は、第2の出射デフレクタ8cによって周回ビーム10の周回軌道中心方向(S軸方向)に曲げ戻され、収束要素の収束電磁石7を抜けることで、収束電磁石7の収束作用によりもう一度周回軌道中心(図2のS軸)に向けて曲げられる。そして、出射ビーム11は最終の出射デフレクタ8bのギャップに、その入口8b1から入射される。
最終の出射デフレクタ8bに入射される出射ビーム11は、最終の出射デフレクタ8bによって、周回ビーム11の周回軌道中心方向から大きく外側に曲げられ、シンクロトロンリング1r外に取り出される。
<第2の出射デフレクタ8cでの出射ビーム11の軌道の偏向角>
第2の出射デフレクタ8cでの出射ビーム11の軌道の偏向角θは、以下のような計算から求められる。
偏向角θとは、X座標の変数xの変化量ΔXをS座標の変数Sの変化量ΔSで割ったものであり、
θ=ΔX/ΔS=ΔX´ (1)
で表わされる。
第2の出射デフレクタ8cの位置での水平方向(X座標の方向)の出射ビーム11の位置と角度を(X0、X0´)とする。
第2の出射デフレクタ8cで、ΔX´の偏向角を受けた場合、第2の出射デフレクタ8c自体の長さを無視すれば、第2の出射デフレクタ8c自体の長さの項を“0”とおき、出射ビーム11の位置と角度は、(X0、X0´+ΔX´)と表わされる。
第2の出射デフレクタ8cから最終の出射デフレクタ8bの入口8b1までの輸送行列をMとし、その行列要素をそれぞれ
Figure 2016081729
とすれば、最終の出射デフレクタ8bの入口8b1における出射ビーム11の軌道の位置Xと角度X´は、それぞれ輸送行列Mと(X0、X0´+ΔX´)との積により、
X =m11 0+m12(X0´+ΔX´) (2)
X´=m21 0+m22(X0´+ΔX´) (3)
となる。(高エネルギー加速器セミナー OHO'87(1987年)における佐藤高太郎氏のビームの輸送・入射・取り出し 1 .ビームの輸送・入射・取り出し〔I〕(理論)参照)(リンクURL:http://accwww2.kek.jp/oho/OHOtxt/OHO-1987/txt-1987-I.pdf)
シンクロトロンリング1r内を真空に保つためのビームダクト(図示せず)や最終の出射デフレクタ8bでビームロスを少なく、つまり荷電粒子ビームが最終の出射デフレクタ8bの機材(ビームダクトなど)に衝突することが少なく、シンクロトロンリング1rの外に効率よく取り出すため、最終の出射デフレクタ8bの入口8b1においての周回ビーム10の周回中心(S軸)の軌道から離すべき出射ビーム11の軌道までの距離をdとする。つまり、出射ビーム11がシンクロトロンリング1rの外に効率よく取り出されるdを求める。
式(2)において、X=dとおけば、必要となる第2の出射デフレクタ8cでの出射ビーム11の軌道の偏向角ΔX´は、式(2)を変形して次式(4)と求まる。
ΔX´=(d−m110 )/m12−X0´ (4)
式(4)のように偏向角ΔX´を求めて、第2の出射デフレクタ8cの電極、電磁石やその長さなどを決定することができる。
上記構成によれば、第1の出射デフレクタ8aをシンクロトロンリング1rの周回ビーム10の周回軌道に対して外側の最終の出射デフレクタ8bの反対側である内側に配置する。そして、第2の出射デフレクタ8cをシンクロトロンリング1rの周回ビーム10の周回軌道に対して第1の出射デフレクタ8aと同じ内側に配置する。
これにより、第2の出射デフレクタ8cと最終の出射デフレクタ8bの間の収束要素の収束電磁石7の収束作用では、従来(図7参照)に比べて、出射ビーム11は最終の出射デフレクタ8bの比較的中心付近を通過するようにできる。
そのため、出射ビーム11の軌道をシンクロトロンリング1rの外側に向けて大きく膨らませることなく、最終の出射デフレクタ8bの入口8b1の位置で、周回ビーム10と出射ビーム11の軌道とを大きく分離できる。また、出射ビーム11の軌道を最終の出射デフレクタ8bの中央付近に導くことができる。
従って、出射ビーム11がビームダクト(荷電流子ビームが通過するダクト)や最終の出射デフレクタ8bに衝突して荷電粒子を失うビームロスを少なくできる。結果として、シンクロトロンリング1rの外部に、加速された荷電粒子ビーム(出射ビーム11)を効率よく取り出すことができる。
さらに、第2の出射デフレクタ8cと最終の出射デフレクタ8bとの間で出射ビーム11の軌道が、シンクロトロンリング1rから外れて大きく膨らまないため、電磁石(5、6、7)などの有効磁場領域(電磁石が荷電粒子ビームに磁束をかける空間)(図2の寸法s0〜s4参照)を、従来の有効磁場領域 (図8の寸法s10〜s14参照)に比べ、比較的小さくできる。換言すれば、第2の出射デフレクタ8cは、電磁石(5、6、7)などの有効磁場領域が第2の出射デフレクタ8cが無い場合よりも小さくなるように出射ビーム11を曲げる。
結果として、粒子加速器(シンクロトロン1S)の機器サイズが小さくでき、粒子加速器の製造コストの低減につながる。特に、超電導技術による高磁場化でシンクロトロン1Sの小型化を目指す場合、電磁石の有効磁場領域 (図2の寸法s0〜s4参照)が小さいことは製造難度が低下し、粒子加速器の製造コストやランニングコストを大幅に低減できる。
そのため、三段構成の出射デフレクタ(8a、8b、8c)に変えることで、シンクロトロン1Sの小型化を実現できる。
以上のことから、第2と最終の出射デフレクタ8c、8b間機器の有効磁場領域を大きくする必要はないため、製造難度や製造コスト、ランニングコストを下げることができる。また、超電導技術を用いた高磁場電磁石によるシンクロトロン1Sの小型化設計も、従来よりも遥かに容易に実現できる。
<<実施形態2>>
図3は、本発明に係る実施形態2の粒子加速器の構成例を示す上面図である。
図4は、実施形態2のシンクロトロンにおけるビームの出射軌道を示す上面図である。図4では、周回する荷電粒子ビームである周回ビームの中心軌道に対して直交する平面上における水平方向と鉛直方向とをそれぞれX、Y座標とし、荷電粒子ビームの進行方向をS座標としている。このとき、X座標の正値をシンクロトロンリング21rの外側、負値をシンクロトロンリング21rの内側とする。
実施形態2の粒子加速器であるシンクロトロン21Sは、三段構成の第1の出射デフレクタ18a、第2の出射デフレクタ18cと最終の出射デフレクタ18bのシンクロトロン21Sに対する内側と外側の配置を、実施形態1のシンクロトロン1S(図1、図2参照)に対して、入れ替えて配置したものである。
その他の構成は、実施形態1と同様であるから、同一の構成要素には、同一の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
実施形態2のシンクロトロン21Sでは、ビーム輸送系に続く最終の出射デフレクタ18bは周回ビーム10の周回軌道中心の内側に配置される。
そして、第1の出射デフレクタ18aにおけるデフレクタ電極18dは、最終の出射デフレクタ18bが周回ビーム10の周回軌道中心(図4のS軸)の内側に配置されるのに伴い、周回ビーム10の周回軌道中心の外側に配置される。
周回ビーム10の周回軌道中心の外側に配置されるデフレクタ電極18dは、荷電流粒子ビームの周回ビーム10から出射ビーム11を分離するため、周回ビーム10の外側縁部の荷電流粒子ビームを外側に蹴り出す。
第1の出射デフレクタ18aの下流に配置される第2の出射デフレクタ18cは、第1の出射デフレクタ18aと同様、周回ビーム10の周回軌道中心の外側に配置される。
<出射ビーム11の生成>
シンクロトロン21Sにおいて、周回ビーム10は、発散電磁石5と収束電磁石7とによって発散と収束とを繰り返しつつ偏向電磁石6によって偏向することで、シンクロトロンリング21rの周回軌道上を周回し、高周波加速空胴9で加速される。
そして、出射ビーム11に設定されるエネルギーに周回ビーム10が加速されると、図4に示すように、第1の出射デフレクタ18aのデフレクタ電極18dは、周回ビーム10の外側縁部の荷電粒子ビームを、その周回軌道中心(図4のS軸)の外側に蹴り出して周回ビーム10から分離する。デフレクタ電極18dにより分離された荷電粒子ビームが出射ビーム11である。
周回ビーム10から分離された出射ビーム11は、第1の出射デフレクタ18aの直ぐ下流の第2の出射デフレクタ18cによりシンクロトロンリング21rの周回軌道の中心(図4のS軸)より内側方向に曲げ戻される。
曲げ戻された出射ビーム11は、収束要素の収束電磁石7を抜けることで、収束電磁石7の収束作用によりもう一度周回軌道中心(図2のS軸)の内側から逆側(図4の周回軌道中心のS軸側)に曲げられる。
そして、出射ビーム11は最終の出射デフレクタ8bのギャップに、その入口18b1から入射される。最終の出射デフレクタ18bに入射される出射ビーム11は、最終の出射デフレクタ18bによって、周回ビーム11の周回軌道中心方向から大きく曲げられ、シンクロトロンリング21r外に取り出される。
第2の出射デフレクタ8cでの出射ビーム11の軌道の周回ビーム10からの偏向角θ(=dX/dS)は、実施形態1と同様にして求められる。
上記構成によれば、図4に示すように、第1の出射デフレクタ18aを、シンクロトロンリング21rの周回ビーム10の周回軌道に対して内側の最終の出射デフレクタ18bの反対側の外側に配置する。そして、第2の出射デフレクタ18cをシンクロトロンリング21rの周回ビーム10の周回軌道に対して第1の出射デフレクタ18aと同じ外側に配置する。これにより、第2の出射デフレクタ18cと最終の出射デフレクタ18bの間の収束要素の収束電磁石7の収束作用では、出射ビーム11は、従来(図7参照)に比べて、最終の出射デフレクタ18bの入口18b1の中心付近を通過するようにできる。
つまり、出射ビーム11の軌道をシンクロトロンリング21rの外側に向けて大きく膨らませることなく、最終の出射デフレクタ18bの入口18b1の位置で、周回ビーム10と出射ビーム11の軌道とを大きく分離できる。そして、出射ビーム11の軌道を最終の出射デフレクタ18bの入口18b1中央付近に導くことができる。
また、出射ビーム11がビームダクトや最終の出射デフレクタ18bに衝突して荷電粒子を失うビームロスを少なくできる。そのため、シンクロトロンリング21rの外部に加速された荷電粒子ビーム(出射ビーム11)を効率よく取り出すことが可能となる。
さらに、第2の出射デフレクタ18cと最終の出射デフレクタ18bとの間での出射ビーム11の軌道が大きく膨らまないため、電磁石(5、6、7)などの有効磁場領域(電磁石が荷電粒子ビームに磁束をかける空間)(図2参照)は比較的小さくすることが可能である。
結果として、粒子加速器(シンクロトロン21S)の機器サイズが小さくでき、粒子加速器の製造コストの低減につながる。特に、超電導技術による高磁場化でシンクロトロン21Sの小型化を目指す場合、電磁石の有効磁場領域が小さいことは製造難度が低下し、粒子加速器の製造コストやランニングコストを大幅に低減できる。 そのため、三段構成の出射デフレクタ(18a、18b、18c)に変えることで、シンクロトロン21Sの小型化を実現できる。
<<実施形態3>>
図5は、本発明に係る実施形態3の粒子加速器の構成例を示す上面図である。
実施形態3の粒子加速器であるシンクロトロン31Sは、第1の出射デフレクタ28aより下流で最終の出射デフレクタ28bの上流(前)に第2の出射デフレクタ28cと第3の出射デフレクタ28eとを設けて構成したものである。
最終の出射デフレクタ28bは、シンクロトロンリング31rの周回ビーム10の周回軌道中心の外側に配置される。そして、第1の出射デフレクタ28aのデフレクタ電極(図示せず)は、シンクロトロンリング31rの周回ビーム10の周回軌道中心の内側に配置される。
その他の構成は、実施形態1と同様であるから、同一の構成要素には、同一の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
シンクロトロン31Sを小型化する場合、発散電磁石5、偏向電磁石6、収束電磁石7などの電磁石のような様々な機器を密に並べて構成し、小型化を行う。
そのため、シンクロトロン31Sで周回するシンクロトロンリング31rを構成する必要から、荷電粒子ビームの進行方向に長い機器を配置させることは困難である。
そこで、分割可能なもの、例えば図3の第1の出射デフレクタ18aは図5の第1の出射デフレクタ28aと第2の出射デフレクタ28cとのように分割して配置する。これにより、図3の第1の出射デフレクタ18aの出射ビーム11の軌道を確保するための必要な長さを確保することができる。
そのため、第1の出射デフレクタ28aに、収束電磁石7を介して、下流に続く第2の出射デフレクタ28cのデフレクタ電極(図示せず)は、第1の出射デフレクタ28aのデフレクタ電極と同様、シンクロトロンリング31rの周回ビーム10の周回軌道中心の内側に配置される。
この場合、図1や図3での第2の出射デフレクタ8c、18cの役割は、第3の出射デフレクタ8eが担うことになる。
そのため、第2の出射デフレクタ28cの下流に続く第3の出射デフレクタ28eは、第2の出射デフレクタ28cのデフレクタ電極と同様、シンクロトロンリング31rの周回ビーム10の周回軌道中心の内側に配置される。
上述と同様に、出射デフレクタが分割配置されれば、上記の「第3、第4、…、…出射デフレクタでも構わない」任意の複数の出射デフレクタを有する構成を取り得る。
上記構成によれば、第1の出射デフレクタ28aより下流で出射デフレクタ28bの上流(前)に、複数の出射デフレクタ28c、28eやその他の出射デフレクタを配置することで、シンクロトロン31Sの小型化を進めることができる。
なお、実施形態3においても、実施形態1の作用効果は同様に奏する。
<<実施形態4>>
図6は、本発明に係る実施形態4の粒子加速器の構成例を示す上面図である。
実施形態4の粒子加速器であるシンクロトロン41Sは、第1の出射デフレクタ38aより下流で最終の出射デフレクタ38bの上流(前)に第2の出射デフレクタ38cと第3の出射デフレクタ38eとを設けて構成したものである。
そして、実施形態4の粒子加速器では、実施形態3と異なり、最終の出射デフレクタ38bをシンクロトロンリング31rの周回ビーム10の周回軌道中心の内側に配置し、第1の出射デフレクタ38aのデフレクタ電極(図示せず)をシンクロトロンリング31rの周回ビーム10の周回軌道中心の外側に配置する。
図6に示す第1の出射デフレクタ38aと第2の出射デフレクタ38cとは、図3の第1の出射デフレクタ18aを分割して配置するものである。そこで、第2の出射デフレクタ38cのデフレクタ電極(図示せず)は、第1の出射デフレクタ38aのデフレクタ電極と同様、シンクロトロンリング31rの周回ビーム10の周回軌道中心の外側に配置される。
この場合、実施形態3と同様、図1や図3での第2の出射デフレクタ18cの役割は、第3の出射デフレクタ38eが担うことになる。
そのため、第3の出射デフレクタ38eは、第2の出射デフレクタ38cのデフレクタ電極と同様、シンクロトロンリング31rの周回ビーム10の周回軌道中心の外側に配置される。
その他の構成は、実施形態1と同様であるから、同一の構成要素には、同一の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
実施形態3と同様に、出射デフレクタが分割配置されれば、上記の「第3、第4、…、…出射デフレクタでも構わない」任意の複数の出射デフレクタを有する構成を取り得る。
上記構成によれば、図3の第1の出射デフレクタ18aは図6の第1の出射デフレクタ38aと第2の出射デフレクタ38cに分割して配置することで、図3の第1の出射デフレクタ18aの出射ビーム11の軌道を確保するための必要な長さを確保することができる。そのため、小型のシンクロトロン41Sで周回するシンクロトロンリング41rを構成する必要から、荷電粒子ビームの進行方向に長い機器を配置させることを回避できる。
従って、小型のシンクロトロン41Sでは、発散電磁石5、偏向電磁石6、収束電磁石7などの電磁石のような様々な機器を密に並べて構成することに寄与でき、小型化が可能である。
第1の出射デフレクタ38aより下流で出射デフレクタ38bの上流(前)に、複数の出射デフレクタ38c、38eやその他の出射デフレクタを配置することで、シンクロトロン41Sの小型化を進めることができる。
なお、実施形態4においても、実施形態1の作用効果は同様に奏する。
<<その他の実施形態>>
1.第1、…、最終の出射デフレクタ8b、…は、出射ビーム11を所定の軌道に導くことができれば、適宜、デフレクタ電極の電場を用いてもよいし、電磁石によるローレンツ力を用いることとしてもよい。
2.第1の出射デフレクタ8aと最終の出射デフレクタ8bとの間に配置する出射デフレクタの数は任意に選択できる。
3.なお、実施形態1〜4では、様々な構成を説明したが、説明した構成を適宜選択して組み合わせて構成してもよい。
4.本発明は、前記した実施形態1〜4に限定されるものでなく、様々な実施形態が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分り易く説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、説明した構成の一部を含むものであってもよい。また、本発明の具体的形態は、特許請求の範囲に記載した構成を満たせば、様々な変形形態を採用することが可能である。
1S、21S、31S、41S シンクロトロン(粒子加速器)
5 発散電磁石(粒子加速器を構成する機器)
6 偏向電磁石(粒子加速器を構成する機器)
7 収束電磁石(ビーム収束手段、粒子加速器を構成する機器)
8a、18a、28a、38a 第1の出射デフレクタ
8b、18b、28b、38b 最終の出射デフレクタ
8b1、18b1 入口
8c、18c、28c、38c 第2の出射デフレクタ
8d、18d デフレクタ電極
9 高周波加速空洞
10 出射ビーム(出射される荷電粒子ビーム)
11 周回ビーム(周回する荷電粒子ビーム)
28e 第3の出射デフレクタ(第2の出射デフレクタ
38e 第3の出射デフレクタ(第2の出射デフレクタ)
S 荷電粒子ビームの周回軌道の中心
101 従来技術におけるシンクロトロン
105 従来技術における発散四極電磁石
106 従来技術における偏向電磁石
107 従来技術における収束電磁石
108a 従来技術における第1の出射デフレクタ
108b 従来技術における最終の出射デフレクタ
108d 従来技術における静電デフレクタ電極
109 従来技術における高周波加速空洞
110 周回ビーム
111 出射ビーム

Claims (7)

  1. 荷電粒子ビームを周回しつつ、加速させてから出射する粒子加速器であって、
    前記荷電粒子ビームを出射するための第1の出射デフレクタおよび最終の出射デフレクタと、
    前記第1の出射デフレクタと前記最終の出射デフレクタとの間に配置され、前記荷電粒子ビームを収束させるビーム収束手段と、
    前記第1の出射デフレクタと前記最終の出射デフレクタとの間に配置され、周回する前記荷電粒子ビームの軌道と分離した軌道をもって出射される荷電粒子ビームを、前記最終の出射デフレクタの入口に向かうように曲げる単数または複数の第2の出射デフレクタとを
    備えることを特徴とする粒子加速器。
  2. 荷電粒子ビームを周回しつつ、加速させてから出射する粒子加速器であって、
    前記荷電粒子ビームを出射するための第1の出射デフレクタおよび最終の出射デフレクタと、
    前記第1の出射デフレクタと前記最終の出射デフレクタとの間に配置され、前記荷電粒子ビームを収束させるビーム収束手段と、
    前記第1の出射デフレクタと前記最終の出射デフレクタとの間に配置される単数または複数の第2の出射デフレクタとを備え、
    前記第2の出射デフレクタは、
    出射するために前記第1の出射デフレクタにより分離された荷電粒子ビームを、前記第1の出射デフレクタと前記最終の出射デフレクタとの間の前記粒子加速器を構成する機器の前記荷電粒子ビームに磁界または電界を印加する領域が、前記第2の出射デフレクタが無い場合よりも、小さくなるように曲げる
    ことを特徴とする粒子加速器。
  3. 前記第1の出射デフレクタは、前記荷電粒子ビームの周回軌道の中心に対して、前記最終の出射デフレクタが配置される位置とは反対側の位置に配置される
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の粒子加速器。
  4. 前記第1の出射デフレクタは、前記荷電粒子ビームの周回軌道の中心に対して、前記最終の出射デフレクタが配置される位置とは反対側の方向に、出射される荷電粒子ビームを分離する
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちの何れか一項に記載の粒子加速器。
  5. 前記第2の出射デフレクタは、
    出射のために前記第1の出射デフレクタによって周回する前記荷電粒子ビームから分離される荷電粒子ビームを、周回する前記荷電粒子ビームの周回軌道の中心に対して前記最終の出射デフレクタの反対側の位置から、前記最終の出射デフレクタの入口に向かうように曲げる
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちの何れか一項に記載の粒子加速器。
  6. 荷電粒子ビームを出射するための第1の出射デフレクタ、単数または複数の第2の出射デフレクタ、および最終の出射デフレクタと、
    前記第1の出射デフレクタと前記最終の出射デフレクタとの間に配置され、前記荷電粒子ビームを収束させるビーム収束手段とを備え、前記荷電粒子ビームを周回しつつ印加される高周波電場でビームを拡散することで出射する粒子加速器のビーム出射方法であって、
    前記第2の出射デフレクタは、
    前記最終の出射デフレクタの入口に、出射する前記荷電粒子ビームの軌道が、周回する前記荷電粒子ビームから分離して入るように、出射のために前記第1の出射デフレクタで分離される前記荷電粒子ビームの軌道を、周回する前記荷電粒子ビームの軌道中心方向に曲げることを特徴とする粒子加速器のビーム出射方法。
  7. 荷電粒子ビームを出射するための第1の出射デフレクタ、単数または複数の第2の出射デフレクタ、および最終の出射デフレクタと、
    前記第1の出射デフレクタと前記最終の出射デフレクタとの間に配置され、前記荷電粒子ビームを収束させるビーム収束手段とを備え、前記荷電粒子ビームを周回しつつ印加される高周波電場でビームを拡散することで出射する粒子加速器のビーム出射方法であって、
    前記第2の出射デフレクタは、
    前記第1の出射デフレクタと前記最終の出射デフレクタとの間の前記粒子加速器を構成する機器の前記荷電粒子ビームに磁界または電界を印加する領域が、前記第2の出射デフレクタが無い場合よりも小さくなるように、出射のために前記第1の出射デフレクタにより分離された荷電粒子ビームを、周回する荷電粒子ビームの軌道の中心方向に曲げる
    ことを特徴とする粒子加速器のビーム出射方法。
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