JP2016081685A - 二次電池の劣化低減方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本明細書は、二次電池の劣化を低減することができる技術を提供する。【解決手段】本明細書が開示する二次電池の劣化低減方法は、二次電池をSOC50%からSOC70%の間まで調整する調整工程(S3)と、二次電池の温度を40℃から50℃の間に維持しつつ、休止時間の後に二次電池をSOC0%まで放電する初期放電工程(S5からS7)と、二次電池の温度を40℃から50℃の間に維持しつつ、二次電池をSOC0%から所定のSOC閾値まで充電する工程と二次電池をSOC閾値からSOC0%まで放電する工程とを間に休止時間を設けて繰り返す充放電工程(S20)を備えている。【選択図】図3

Description

本明細書が開示する技術は、二次電池の劣化低減方法に関する。
繰り返し充放電することができる二次電池が普及している。二次電池は、例えば、ハイブリッド車や電気自動車に搭載される。二次電池は充放電を繰り返すことで劣化することが知られている。
文献1には、電気自動車に搭載された二次電池の劣化を低減することができる充電方法が開示されている。文献1に開示されている充電方法は、ハイレート電流を供給する期間と供給しない休止期間を交互にパルス状に繰り返す充電方法である。この充電方法により、二次電池の劣化が低減される。また、文献2には、二次電池の初期充電時における劣化を低減する方法が開示されている。文献2では、初期充電の後に、二次電池の電極間に溜まったガスを排出する工程を加えることで初期充電時の劣化が低減される。
特開2010−272470号公報 特開2010−009983号公報
本明細書では、文献1、2とは異なる方法により二次電池の劣化を低減する技術を提供する。なお、本明細書において「二次電池の劣化」とは、二次電池の内部抵抗値が初期状態から増加することを示す。また、本明細書における劣化低減は、経時劣化により増加した内部抵抗値を下げることである。
本明細書が開示する二次電池の劣化低減方法は、調整工程と初期放電工程と、充放電工程を備えている。調整工程では、二次電池をSOC50%からSOC70%の間まで調整する。初期放電工程では、二次電池の温度を40℃から50℃の間に維持しつつ、休止時間の後に二次電池をSOC0%まで放電する。充放電工程では、二次電池の温度を40℃から50℃の間に維持しつつ、二次電池をSOC0%から所定のSOC閾値まで充電する工程と二次電池をSOC閾値からSOC0%まで放電する工程とを間に休止時間を設けて繰り返す。所定のSOC閾値は、40%から60%の間の値であり、その範囲内で二次電池の特性により個別に適宜設定される。なお、「SOC(State Of Charge)」とは、二次電池の満充電容量に対する充電残量の割合を示す。即ち、SOC100%が満充電状態を示し、SOC0%が完全放電状態を示す。
二次電池が劣化する一因として、電極内の電解液の塩濃度や電極内の金属イオンが不均一に分布することが挙げられる。SOC50%からSOC70%の状態で二次電池の温度を40℃から50℃に維持すること、及び、休止時間を設けてSOC0%から所定のSOC閾値の間で充放電を繰り返すことによって、その不均一の少なくとも一部が解消される。詳細は実施例にて述べる。即ち、前述の方法により、二次電池の劣化を低減することができる。
本明細書が開示する技術によれば、二次電池の劣化を低減することができる。本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
実施例の方法の適用対象となるリチウムイオン二次電池の断面図である。 リチウムイオン二次電池に収容されている電極体の展開斜視図である。 実施例の方法を示すフローチャートである。 充放電工程を示すフローチャートである。 SOC60%における負極電位の分布を示すグラフである。 SOC0%における負極電位の分布を示すグラフである。 リチウムイオン二次電池の電解液の粘度と温度の関係を示すグラフである。 リチウムイオン二次電池の負極シートの膜厚の変動値とSOCの関係を表すグラフである。 実施例の実行前後のリチウムイオン二次電池の抵抗増加率を示すグラフである。
図面を参照して実施例のリチウムイオン二次電池の劣化低減方法を説明する。先ず、実施例の方法の適用対象となるリチウムイオン二次電池2について説明する。リチウムイオン二次電池2は充放電可能な二次電池である。リチウムイオン二次電池2は、ケース3とケース3に収容された電極体4を備えている。図1では、ケース3は断面で示されており、電極体4は正面図で示されている。また、図中にはXYZ座標系が示されている。本明細書では、適宜その座標系を用いてリチウムイオン二次電池2の構成を説明をする。
ケース3は、上面(Z軸正方向における側面)が開口している矩形のケース本体3bと、その開口を塞ぐカバー3aにより構成されている。カバー3aには正極端子7a及び負極端子7bがケースの内側からケースの外側へ貫通するように設けられている。正極端子7a、負極端子7bは絶縁部材9a、9bによりカバー3aから絶縁されている。また、カバー3aには、ガス排出弁5が設けられている。ガス排出弁5はケース内の圧力が所定の値以上に上昇したときにケース3内からガスを排出する安全弁である。
電極体4について図2を参照して説明する。図2は、電極体4の展開斜視図である。図2に示すように、電極体4は、正極シート12と負極シート13とセパレータ14が積層されて積層体を形成した後に、この積層体が扁平に巻回されて形成されている。図中のX軸が電極体4の巻回軸方向に一致する。正極シート12は、電極活物質が塗布された塗工部12aと、電極活物質が塗工されていない未塗工部12bを有している。正極シート12は、巻回軸方向の一端に沿って未塗工部12bが残るようにシートの両面に電極活物質が塗布されている。負極シート13も、正極シート12と同様に、塗工部13aと未塗工部13bを有している。なお、図2において、電極活物質が塗布されている部分(塗工部12a、13a)は斜線のハッチングで描かれている。また、セパレータ14はドットのハッチングで描かれている。図2に示すように、巻回軸方向(X軸方向)の一端に未塗工部12bが残り、他端に未塗工部13bが残るように、正極シート12と負極シート13は巻回軸方向にずらされて積層されている。ここで、塗工部12a、13aが重なっている部分を重複部15と称する。重複部15では、塗工部12aと塗工部13aの間にセパレータ14が挟まれている。また、電極体4において、正極シート12の未塗工部12bだけが重なっている部分を正極集電タブ16aと称し、負極シート13の未塗工部13bだけが重なっている部分を負極集電タブ16bと称する。図2に示すように巻回された電極体4は、図1に示すように電解液とともにケース3に収納される。電解液は正極シート12、負極シート13に浸み込み、電解液の一部(余剰電解液8)はケース3の底に溜まる。図1に示すように、電極体4の下端は余剰電解液8に浸っている。なお、正極シート12、負極シート13を区別なく称して、電極シートと称する場合がある。
図1に戻り説明を続ける。正極集電タブ16aには導電性の正極リード6aが接続されている。正極リード6aはケース3の内側で正極端子7aと接続されている。一方、負極集電タブ16bには導電性の負極リード6bが接続されている。負極リード6bはケース3の内側で負極端子7bと接続されている。電極体4から発生した電気エネルギは正極端子7a、負極端子7bを通じて外部に出力される。また、リチウムイオン二次電池2を充電する電気エネルギは正極端子7a、負極端子7bを通じて電極体4へと入力される。
リチウムイオン二次電池2は複数直列に接続されリチウムイオン二次電池モジュール(不図示)を構成し、電気自動車(不図示)に搭載される。電気自動車はリチウムイオン二次電池モジュールに充電された電力によりモータを駆動し、その駆動力により走行する。リチウムイオン二次電池モジュールは、外部電源からの電力で充電されるだけでなく、電気自動車の回生エネルギでも充電される。従って、リチウムイオン二次電池モジュールは大電流で充放電を繰り返す。リチウムイオン二次電池モジュール(リチウムイオン二次電池2)は、充放電を繰り返すことで様々な要因により劣化する。なお、「劣化」とは、二次電池の容量が初期状態から低下した状態を示す。容量の低下は、内部抵抗の増加によりもたらされる。本明細書では、「劣化」は、二次電池の内部抵抗値の初期状態からの増加率で定量化される。本明細書における劣化低減は、増加した内部抵抗値を下げることにある。本明細書における「劣化低減」は、「劣化の回復」と表現してもよい。
図3、4を参照して、リチウムイオン二次電池の劣化を低減する方法について説明する。図3は実施例の劣化低減方法を示すフローチャートである。図3に示す劣化低減方法は、例えば、電気自動車の販売店が電気自動車をユーザから預かったときに実施される。ユーザには、リチウムイオン二次電池の劣化が低減された状態の電気自動車が返却される。
図3に示す一連の処理は、車外の制御装置(不図示)により自動的に実行される。リチウムイオン二次電池モジュールの外部端子は制御装置に接続される。この際、電気自動車のシステムメインリレーは遮断され、リチウムイオン二次電池モジュールと電気自動車の駆動機器(モータ等)の間は遮断される。また、リチウムイオン二次電池モジュールに隣接して工業用ヒータが設置され、さらにその周囲はグラスウール等の断熱材により覆われる。これらの準備が完了した後に、図3に示す一連の処理が実行される。なお、工業用ヒータで温度調整する前のリチウムイオン二次電池モジュールの周囲温度は、ここでは25℃と仮定する。
最初に、制御装置は電気自動車に搭載されたリチウムイオン二次電池モジュールのSOCと内部抵抗値を測定する(S1)。次に、抵抗増加率(リチウムイオン二次電池モジュールの初期の内部抵抗値に対するステップS1で測定した内部抵抗値の割合)が130%より大きい場合(S2:YES)、リチウムイオン二次電池モジュールは、回復が必要なほどに劣化していると判断し、ステップS3に進む。一方、抵抗増加率が130%以下の場合(S2:NO)、リチウムイオン二次電池モジュールは劣化していない(回復は必要でない)と判断し、一連の処理は終了する。
ステップS3で、制御装置は、リチウムイオン二次電池モジュールのSOCを60%に調整する。即ち、ステップS1で測定したSOCが60%より小さい場合には、制御装置はリチウムイオン二次電池モジュールを充電し、ステップS1で測定したSOCが60%より大きい場合には、制御装置はリチウムイオン二次電池モジュールを放電する。次に、制御装置は、SOC60%に調整されたリチウムイオン二次電池モジュールを遮断する(S4)。即ち、リチウムイオン二次電池モジュールが充放電しないように、制御装置とリチウムイオン二次電池モジュールの間が遮断される。次に、制御装置は、リチウムイオン二次電池モジュールの周囲温度を40℃から50℃の間に維持する(S5)。周囲温度を40℃から50℃の間にすることにより、リチウムイオン二次電池モジュールの温度も40℃から50℃の間へと近づく。具体的には、リチウムイオン二次電池モジュールの周囲を工業用ヒータで加温しつつ、グラスウール等の断熱材で保温することで、周囲温度を40℃から50℃の間に維持する。次に、制御装置は、周囲温度を40℃から50℃に維持しつつ、リチウムイオン二次電池モジュールを24時間以上放置する(S6)。この際、制御装置は温度センサにより周囲温度をモニタし、周囲温度を40℃から50℃に維持するように工業用ヒータを制御する。リチウムイオン二次電池モジュールの周囲温度は、後述するステップS8で周囲温度を25℃に戻すまで、制御装置により40℃から50℃に維持される。
ステップS6により24時間以上の放置が終了した後、制御装置は、遮断を解除し、リチウムイオン二次電池モジュールをSOC0%になるまで、0.5Cの電流で放電する(S7)。ここで、「C」という単位系は、二次電池の電池容量[Ah]を単位時間で割った電流値を意味する。即ち、「0.5C」とは、満充電状態(SOC100%)の二次電池を2時間で完全放電(SOC0%)させることのできる電流値のことである。
次に、制御装置は、充放電工程を実行する(S20)。繰り返しになるが、充放電工程を実行している間、リチウムイオン二次電池モジュールの周囲温度は制御装置により40℃から50℃に維持される。充放電工程について図4を参照して説明する。先ず、充放電工程がスタートすると、制御装置はカウンタNを0に設定する。次に、制御装置は、リチウムイオン二次電池モジュールを所定のSOC閾値Th%になるまで、0.5Cの電流で充電する(S22)。SOC閾値Th%は、40%から60%の間の値であり、その範囲内で二次電池の特性により個別に適宜設定される。次に、制御装置は、リチウムイオン二次電池モジュールの充放電を20分間休止する(S23)。次に、制御装置は、リチウムイオン二次電池モジュールをSOC0%になるまで、0.5Cの電流で放電する(S24)。次に、制御装置は、リチウムイオン二次電池モジュールの充放電を20分間休止する(S25)。次に、制御装置は、カウンタNの値を1つ進める(S26)。制御装置は、カウンタNの値が繰り返し回数N1に到達するまで、ステップS22からS26の処理を繰り返す。そして、カウンタNの値が繰り返し回数N1となった場合(S27:YES)、充放電工程は終了する。繰り返し回数N1は、3回から5回の値が選ばれる。即ち、充放電工程は、ステップS22からS26までの工程を所定の回数繰り返し実行して終了する。
図3のフローチャートに戻り、説明を続ける。充放電工程が終了すると、制御装置は、周囲温度を25℃まで下げ、その温度に維持する(S8)。さらに、制御装置は、リチウムイオン二次電池モジュールのSOCをステップS1で測定したSOCまで調整する(S9)。そして、周囲温度を25℃に維持しつつ、制御装置はリチウムイオン二次電池モジュールを24時間以上放置する(S10)。その後、制御装置は、リチウムイオン二次電池モジュールの内部抵抗値を測定する。そして、抵抗増加率が110%より小さい場合(S11:YES)、制御装置はリチウムイオン二次電池モジュールの劣化は低減されたと判断し、一連の処理を終了する。一方、抵抗増加率が110%以上の場合(S11:NO)、ステップS3に戻り、制御装置は、再度一連の処理を実行する。即ち、制御装置は、抵抗増加率が110%より小さくなるまで、図3に示す一連の処理を繰り返し実行する。
上述の劣化低減方法により、リチウムイオン二次電池の劣化が解消される原理について説明する。リチウムイオン二次電池が劣化する要因として、塩濃度ムラと充電ムラがある。塩濃度ムラとは、リチウムイオン二次電池の電極シート(正極シート、負極シート)内における電解液の塩濃度の分布が不均一になる現象のことである。塩濃度の分布が不均一になることで、リチウムイオン二次電池の抵抗が増加する。一方、充電ムラとは、充電時に負極シートに集まるリチウムイオンの分布が不均一になる現象のことである。リチウムイオンの分布が不均一になることで、リチウムイオン二次電池の抵抗が増加する。即ち、塩濃度ムラと充電ムラを解消し、リチウムイオン二次電池の抵抗増加を低減することにより、リチウムイオン二次電池の劣化を低減することができる。
図5は、劣化状態(抵抗増加率が130%以上の状態)のリチウムイオン二次電池のSOC60%における負極シート13の電位の分布を示すグラフである。ここで、SOC60%は一例である。図5の横軸は、巻回軸方向(X軸方向)に沿った負極シート13上の位置(負極測定位置)を示す。負極測定位置は、負極シート13の塗工部13aの巻回軸方向における一端から他端までの間の位置である。図1に示すように、負極測定位置は、電極体4の重複部15と負極集電タブ16bとの境界を0とし、重複部15と正極集電タブ16aとの境界を100とした百分率で示される。図5における縦軸は各負極測定位置において測定された負極の電位[V]を示す。負極の電位は、リチウムイオン二次電池をSOC60%まで充電した後に、分解して負極シートを取り出し、負極シートと基準電位となる電極との間の電位差として測定される。電位の値とリチウムイオンの数には相関関係があるので、測定される負極の電位の分布は、負極シート内のリチウムイオンの分布に相当する。一方、図6は、劣化状態のリチウムイオン二次電池のSOC0%における負極シート13の電位の分布を示すグラフである。図6の横軸は、図5と同じ負極測定位置である。図6の縦軸も、図5と同じように測定した負極の電位[V]である。図5に示すように、SOC60%における負極シートの電位は約0.05Vの幅の値域に収まっている。一方、図6に示すように、SOC0%における負極シートの電位が収まる値域は約0.15Vの幅まで拡がっている。即ち、劣化状態のままSOC0%まで放電すると、SOC0%における負極シートの電位の分布は、SOC60%に対して約3倍不均一となる。即ち、劣化状態のままSOC0%まで放電すると負極シート13の電位の分布、即ち、負極シート13のリチウムイオンの分布が一層不均一となる。
図7は、リチウムイオン二次電池2の電解液の粘度と温度の関係を示すグラフである。図7の横軸が電解液の温度[℃]を示し、縦軸が電解液の粘度[cp]を示す。図7に示すように、電解液の粘度は温度が高くなるにつれて低くなる。温度が45℃の場合の粘度V2は、温度が25℃の場合の粘度V1の3分の2である。
図3の劣化低減方法のステップS3からS6では、制御装置は、リチウムイオン二次電池モジュールのSOCを60%に調整する。そして、制御装置は、リチウムイオン二次電池モジュールの温度を40℃から50℃の間に維持しつつ、リチウムイオン二次電池モジュールを24時間以上放置する。この工程によれば、温度が40℃から50℃の間であるので電解液の粘度が低くなり、電極シート内の電解液が流動しやすくなる。この状態で充放電を行わず放置するので、電極シート内の電解液は拡散し、電解液の塩濃度の分布も均一となる方向に変化しやすくなる。また、電極シート内の電解液の拡散に伴い電極シート内のリチウムイオンも拡散する。リチウムイオン二次電池のSOCは60%なので、図5に示すように負極シートのリチウムイオン分布は均一に近い状態である。均一に近い状態から拡散するので、速やかにリチウムイオン分布の均一化を図ることができる。即ち、ステップS3からS6の工程により塩濃度ムラと充電ムラの解消を図ることができる。
また、図8は、リチウムイオン二次電池2の負極シート13の厚みの変化量とSOCの関係を示すグラフである。図8は、リチウムイオン二次電池2を徐々にSOC0%からSOC100%まで充電した場合における負極シート13の厚みの変化量(負極厚み変化量)の推移とリチウムイオン二次電池2の正負極の端子間電圧の推移を示している。図8には、2本のグラフが描かれている。2本のうち上側に描かれている一方のグラフは端子間電圧の推移を示すグラフである。図8では、SOCがSOC閾値Th%、SOCが100%になったときの、時間を破線で示す。ここで、SOC閾値Th%は、SOC40%からSOC60%の範囲内の所定の値を示す。SOC閾値Th%は、SOC40%からSOC60%の範囲内でリチウムイオン二次電池2の特性により決まる値である。SOC0%のときの時間はグラフの左枠で示す。図8に示すように、リチウムイオン二次電池2はSOC0%で端子間電圧が3Vであり、SOC100%で端子間電圧が4.1Vである。リチウムイオン二次電池2はSOCが大きくなると端子間電圧も大きくなる関係にある。また、2本のうち下側に描かれている他方のグラフは負極厚み変化量[μm]の推移を示すグラフである。負極厚み変化量とは、負極シート13の初期状態の厚みと測定時の厚みとの差を示す値である。負極厚み変化量が大きくなるほど、負極が膨張していることを示している。図8に示すように、負極厚み変化量は、SOC0%からTh%までは大きな傾きで増え、SOCがTh%から100%までは、その傾きが小さくなる。即ち、SOCが0%からTh%の間では負極の厚みは大きく変化するが、がTh%から100%の間では負極の厚みは余り変化しない。
図4の劣化低減方法の充放電工程では、リチウムイオン二次電池モジュールをSOC0%から所定のSOC閾値Th%の間で充放電を繰り返している。この工程によれば、SOC0%からTh%の間で充放電を繰り返しているので、負極シート13が大きく膨張と収縮を繰り返し、負極シート13内の電解液がよく流動する。従って、負極シート13内の電解液の拡散を促し、電解液の塩濃度の均一化をより促進することができる。さらに、負極シート13が収縮することで、リチウムイオン二次電池2のケース3の底に溜まった余剰電解液8が負極シート13に吸い上げられる。反対に、負極シート13が膨張することで、負極シート13内の電解液が負極シート13の外へと排出される。したがって、負極シート13内の電解液と余剰電解液8が混ざり合う。負極シート13内の電解液と余剰電解液8が混ざり合うことで、電解液の塩濃度の均一化を一層促進することができる。即ち、リチウムイオン二次電池の塩濃度ムラの解消をさらに促進することができる。なお、充放電工程では、リチウムイオン二次電池2の周囲温度は40℃から50℃に維持されているので、電解液の粘性が低い。このことによっても、負極シート13内の電解液が流動しやすくなり、電解液の拡散が促進される。
また、ステップS3からS6で充電ムラの解消が図られた後に充放電工程が実行されるので、充放電を繰り返しても一連の処理を実行する前に比べて充電ムラの増長が抑えられる。さらに、充放電工程では、20分の休止時間を挟んで充放電を繰り返している。その休止時間のときに負極シート内のリチウムイオンの分布の均一化を図ることができる。即ち、充放電工程では、充電ムラの増長を抑えつつ塩濃度ムラの解消を促進することができる。
実施例の劣化低減方法の効果について説明する。図9は、実施例の劣化低減方法を実行した後のリチウムイオン二次電池の抵抗増加率を示した棒グラフである。図9の図面左側に位置するグラフG1が実施例及び比較例の方法を実行する前のリチウムイオン二次電池の抵抗増加率を示す。図9の図面中央に位置するグラフG2が実施例の劣化低減方法を実行した後のリチウムイオン二次電池の抵抗増加率を示す。そして、図9の図面右側に位置するグラフG3が比較例の方法を実行した後のリチウムイオン二次電池の抵抗増加率を示す。比較例は、次の点で実施例と工程が異なる。先ず、比較例では、実施例のステップS3からステップS7までの工程を実施しない。即ち、比較例では40℃から50℃に維持した状態での24時間の放置を実行せず、ステップS2の直後、ステップS7を実行する。さらに、比較例では充放電工程を周囲温度25℃、充放電の電流値1Cで実行する。実施例及び比較例の繰り返し回数は3回が選ばれる。なお、上述のように、リチウムイオン二次電池の抵抗増加率は、内部抵抗値の初期状態からの増加率である。内部抵抗値は、10Cの電流値で10秒間放電した際のリチウムイオン二次電池の端子間の電圧降下を測定し、その測定値から算出する。
グラフG1に示すように、実施例の劣化低減方法を実行する前のリチウムイオン二次電池の抵抗増加率は133%である。そして、グラフG2に示すように、実施例の劣化低減方法を実行した後のリチウムイオン二次電池の抵抗増加率は109%となる。即ち、実施例の劣化低減方法により、抵抗増加率は110%以下まで低下する。一方、グラフG3に示すように、比較例の方法を実行した後のリチウムイオン二次電池の抵抗増加率は131%であり、抵抗増加率は余り低下しない。図9に示すように、実施例の劣化低減方法は、リチウムイオン二次電池の劣化低減に有効な方法である。
実施例の「ステップS3」が「調整工程」の一例である。また、実施例の「ステップS5からステップS7」が「初期放電工程」の一例である。
以下、実施例で示した技術に関する留意点を述べる。実施例の劣化低減方法が適用可能な二次電池は、リチウムイオン二次電池に限らない。図5から図8に示す性質と似た性質を持つ二次電池であれば実施例と同様の効果が期待される。
実施例の方法を適用する二次電池を搭載する車両は、ハイブリッド車であってもよい。
電気自動車の二次電池は、走行中は二次電池に過度な負荷がかからないように制御されている。この制御では、リチウムイオン二次電池の内部抵抗値をモニタし、その値を記憶する。実施例のステップS2において確認する内部抵抗値をこの制御により記憶された内部抵抗値を利用してもよい。
ステップS3で調整するSOCの値は厳密に60%でなくてもよい。50%から70%の間であれば、実施例と同様の効果が期待される。また、実施例のステップS8で維持する温度は、少なくとも常温であればよい。「常温」とは、5℃から35℃の間の温度のことである(日本工業規格JIS Z 8703)。また、充放電工程で繰り返す回数は3回から5回とは限らない。繰り返す回数は、二次電池の劣化の状況に応じて適宜設定される回数である。
実施例の二次電池はSOC100%での端子間電圧が4.1Vであるが、これは例示に過ぎない。SOC100%で別の端子間電圧を持つ二次電池であっても、実施例の方法を適用することで、実施例と同様の効果が期待される。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:リチウムイオン二次電池
3:ケース
3a:カバー
3b:ケース本体
4:電極体
5:ガス排出弁
6a:正極リード
6b:負極リード
7a:正極端子
7b:負極端子
8:余剰電解液
9a、9b:絶縁部材
12:正極シート
12a、13a:塗工部
12b、13b:未塗工部
13:負極シート
14:セパレータ
15:重複部
16a:正極集電タブ
16b:負極集電タブ

Claims (1)

  1. 二次電池をSOC50%からSOC70%の間まで調整する調整工程と、
    前記二次電池の温度を40℃から50℃の間に維持しつつ、休止時間の後に前記二次電池をSOC0%まで放電する初期放電工程と、
    前記二次電池の温度を40℃から50℃の間に維持しつつ、前記二次電池をSOC0%から所定のSOC閾値まで充電する工程と前記二次電池を前記SOC閾値からSOC0%まで放電する工程とを間に休止時間を設けて繰り返す充放電工程と、
    を備えることを特徴とする二次電池の劣化低減方法。
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