JP2016080890A - 電気機械システム - Google Patents
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Abstract
【課題】高品質な画像を低コストで得ることが可能な電気機械システムを提供する。【解決手段】MEMSスキャナ2の圧電膜に印加する電圧を発生する印加電圧発生部11と、印加電圧発生部11が発生する電圧の制御を行う制御部15と、を備え、印加電圧発生部11は、MEMSスキャナ2の圧電膜に駆動電圧を印加する駆動電圧印加発生部12,13と、MEMSスキャナ2の圧電膜に直流定電圧を印加する直流電圧発生部14と、を有し、制御部15は、駆動電圧印加発生部12,13及び直流電圧発生部14による電圧出力のオン/オフを切り換え可能であり、MEMSスキャナ2の圧電膜への駆動電圧の印加がオフとなっている場合に、圧電膜への直流定電圧の印加をオンとする。【選択図】図1
Description
本発明は、電気機械システムに関する。
車載ヘッドアップディスプレイは交通情報や目的地までの経路などの画像をフロントガラス方向に表示し、ドライバーの運転を支援する装置である。車載装置には長期間の稼動を想定した品質保証(例えば15年)が要求される。しかしながら、画像エンジンである2次元MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャナの駆動に用いられる圧電膜としてのPZT膜は、経時による特性劣化が懸念される。特に、振幅感度が低下し所望の振れ角が得られなくなった場合、画像サイズが仕様よりも小さくなってしまうなど、スキャナの機能に多大な影響を与える。
この場合、PZT膜へ印加する駆動電圧を増加させることで、低下した振幅感度を補うことができる。例えば、レーザ走査角をスクリーン脇などに備えたPDで検出しながら所望の振れ角になるまで駆動電圧を増加させる制御方法などが既に知られている。
また、経時変化によるMEMSデバイスの特性変化によって低下したスキャン能力を補うために、変化した共振周波数を検知して、検知した共振周波数に基づいて駆動電圧と駆動周波数を設定する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に開示された従来のMEMSスキャナのように、駆動電圧を上げて振幅感度の低下を補う方法では、駆動電圧を変えることによってデバイスの駆動特性が変化して画像品質が低下するという問題があった。また、感度低下を想定した余剰の電圧印加能力を装置に持たせる必要があるため、高コスト化を招くという問題もあった。
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、MEMSスキャナの不使用時に圧電膜へDC定電圧を印加して、低下したMEMSスキャナの振幅感度を回復させることにより、高品質な画像を低コストで得ることが可能な電気機械システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る電気機械システムは、反射面を有するミラーと、当該ミラーを回転可能に支持するカンチレバーと、当該カンチレバーに設けられた圧電膜と、を有し、当該圧電膜に駆動電圧が印加されることにより前記カンチレバーを変形させて前記ミラーを回転駆動させる電気機械素子と、前記電気機械素子に印加する電圧を発生する印加電圧発生手段と、前記印加電圧発生手段が発生する電圧の制御を行う制御手段と、を備える電気機械システムであって、前記印加電圧発生手段は、前記圧電膜に前記駆動電圧を印加する駆動電圧印加手段と、前記圧電膜に直流定電圧を印加する直流電圧印加手段と、を有し、前記制御手段は、前記駆動電圧印加手段及び前記直流電圧印加手段による電圧出力のオン/オフを切り換え可能であり、前記圧電膜への前記駆動電圧の印加がオフとなっている場合に、当該圧電膜への前記直流定電圧の印加をオンとすることを特徴とする。
本発明は、MEMSスキャナの不使用時に圧電膜へDC定電圧を印加して、低下したMEMSスキャナの振幅感度を回復させることにより、高品質な画像を低コストで得ることが可能な電気機械システムを提供する。
以下、本発明に係る電気機械システムの実施形態について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態としての電気機械システム10は、ヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)1が備えるMEMSスキャナ2を駆動するものである。
図1に示すように、本発明の実施形態としての電気機械システム10は、ヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)1が備えるMEMSスキャナ2を駆動するものである。
HUD1は、投射系や画像制御系などを含む画像システム3と、2次元的にレーザ光を掃引することで画像システム3のスクリーンに画像を描画するMEMSスキャナ2と、によって構成される。
図2は、電気機械素子としてのMEMSスキャナ2の正面図である。
MEMSスキャナ2は、MEMSミラー20と、MEMSミラー20を挟むように配置され、MEMSミラー20を回転軸L1の周りに矢印P1方向に回転可能に支持するカンチレバー21,22を有する。
MEMSミラー20は、ほぼ楕円形の反射面を有するミラー23、リブ24、一対のトーション梁25a,25b、両トーション梁25a,25bを支持するSiからなる可動枠26、可動枠26の裏面に設けられた補強板27を有する。さらに、MEMSミラー20は、ミラー23を回転軸L2の周りに矢印P2方向に回転駆動させる圧電膜としてのPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)膜28,29を有する。
リブ24は、ミラー23の裏面に設けられミラー23が捻れるのを防止する。リブ24の形状は、図2では略Φ字形状に形成されているが、本発明は、これに限定されるものではなく、ミラー23が捻れるのを防止できればどのような形状でもよい。
ミラー23はパッケージ内に気密封止され、パッケージ内は窒素パージされているのが好ましい。パッケージ内にミラー23を固定する接着剤は95℃〜−40℃の温度変化に対して機能を損なわない必要がある。
トーション梁25a,25bはミラー23の両側に設けられ、可動枠26と一体化されている。TOは、ミラー23の回転軸L2と、ミラー23の中心軸L3との間のトーションオフセットである。
カンチレバー21は、Siからなり回転軸L1を中心として捻れることが可能なクランク部30と、クランク部30の屈曲部に設けられクランク部30を回転軸L1の周りに回転駆動させるPZT膜31と、を有する。
カンチレバー22は、Siからなり回転軸L1を中心として捻れることが可能なクランク部32と、クランク部32の屈曲部に設けられクランク部32を回転軸L1の周りに回転駆動させるPZT膜33と、を有する。
画像システム3は、回転軸L1に関するミラー23の振れ角の振幅θL1と、回転軸L2に関するミラー23の振れ角の振幅θL2を検知する振幅検知部4を有している。
図3は、振幅検知部4による振幅θL1及び振幅θL2の検知のための説明図である。MEMSスキャナ2は、スクリーン40の垂直方向及び水平方向にレーザ光を走査するようになっている。スクリーン40の上下にはPD(フォトダイオード)41a,41b、スクリーン40の左右にはPD42a,42bが設置されている。
振幅検知部4は、レーザ光がPD41a,41bに入射して検出されたタイミング、MEMSスキャナ2からPD41a,41bまでの距離、PD41a,41b間の距離からMEMSスキャナ2の振れ角の振幅θL1を検出する。同様に、振幅検知部4は、レーザ光がPD42a,42bに入射して検出されたタイミング、MEMSスキャナ2からPD42a,42bまでの距離、PD42a,42b間の距離からMEMSスキャナ2の振れ角の振幅θL2を検出する。
さらに、振幅検知部4は、検出した振幅θL1及び振幅θL2の情報を後述の制御部15に入力する。制御部15は、振幅θL1及び振幅θL2の情報に基づいて、MEMSスキャナ2に印加される駆動電圧の電圧波形の振幅、駆動周波数、及び電圧波形間の位相差などを制御するようになっている。
図4(a)〜(j)はMEMSスキャナ2についての説明図である。本実施形態では図2のようなSiとPZT膜とを有するMEMSスキャナ2を用いている。
ミラー23は、圧電素子であるPZT膜28,29によって変位が与えられることにより主走査の回転を与えるトーション梁25a,25bによって保持される。
主走査については、正弦波の駆動電圧がPZT膜28,29に印加されることにより、トルクが与えられたトーション梁25a,25bが回転変位する(図4(a)〜図4(e))。
副走査については、鋸波の駆動電圧(Ach,Bch)がそれぞれ独立したカンチレバー21,22のPZT膜31,33に印加されることにより、カンチレバー21,22が変形(変位)する(図4(f)〜(i))。これにより可動枠26が変位することによってミラー23が回転し、2次元スキャンとしての2D走査が実現される(図4(j))。
図1に示すように、電気機械システム10は、MEMSスキャナ2を駆動する印加電圧発生部11を備える。
印加電圧発生部11は、主走査駆動電圧発生部12、副走査駆動電圧発生部13、及び直流電圧発生部14を備える。主走査駆動電圧発生部12及び副走査駆動電圧発生部13は駆動電圧印加手段を構成する。
主走査駆動電圧発生部12は、制御部15の制御により、主走査用の正弦波の駆動電圧を発生して、MEMSスキャナ2のPZT膜28,29に印加する。一方、副走査駆動電圧発生部13は、制御部15の制御により、副走査用の鋸波の駆動電圧を発生して、MEMSスキャナ2のPZT膜31,33に印加する。
直流電圧発生部14は、MEMSスキャナ2の駆動のための駆動電圧とは異なる直流(DC)定電圧を発生して、MEMSスキャナ2の副走査用のPZT膜31,33に印加する機能を有する。
上述のように、制御部15は、振幅検知部4から入力された振幅θL1及び振幅θL2の情報に基づいて、主走査駆動電圧発生部12及び副走査駆動電圧発生部13から出力される駆動電圧の電圧波形の振幅、駆動周波数、及び電圧波形間の位相差などを制御する。また、制御部15は、直流電圧発生部14から出力されるDC定電圧の大きさを変化させることが可能である。
さらに、制御部15は、主走査駆動電圧発生部12、副走査駆動電圧発生部13及び直流電圧発生部14による電圧出力のオン/オフを切り換えるようになっている。具体的には、制御部15は、副走査駆動電圧発生部13によるPZT膜31,33への駆動電圧の印加がオフとなっている場合に、直流電圧発生部14によるPZT膜31,33へのDC定電圧の印加をオンとする。ここで、副走査用のPZT膜31,33への駆動電圧の印加がオフとなっている場合とは、例えばHUD1の電源がオフとなった不使用状態である。
このため、制御部15は、HUD1の使用状態を検知する手段を有していて、HUD1の不使用時に、直流電圧発生部14によって副走査用のPZT膜31,33にDC定電圧を印加する構成になっていることが望ましい。これにより、後述するように、副走査用のPZT膜31,33の振幅感度が回復する効果を利用して、MEMSスキャナ2の感度低下を抑制することができる。
印加電圧発生部11は、車載の電源などの外部電源100から電力を供給される。MEMSスキャナ2の感度回復は、車両が駐車時などに電源を切っている状態で行われることが想定される。このため、印加電圧発生部11は、充電可能な固有の内部電源16と、電源供給元を内部電源16と外部電源100とで切り換えるための電源切換部17と、を有している。これにより、外部電源100と独立して直流電圧発生部14を動作可能とすることができる。
図5(a),(b)を参照して、副走査におけるリニアリティの悪化による画像乱れについて説明する。リニアリティは、例えば、振幅検知部4の測定で得られるミラー23の振れ角の時間変化を最小二乗法によって直線近似し、その直線からのミラー23の振れ角のずれ量をミラー23の振れ角の振幅θL1で除した値として得られる。
主走査が共振周波数で共振駆動されるのに対して、副走査は非共振駆動される。これは、垂直方向の一方向に走査する時間の割合を逆方向に走査する時間よりもできるだけ多くすることが望ましいためである。このために、副走査は走査効率が悪く、所望の振れ角の振幅θL1を得るために必要な駆動電圧が主走査の場合よりも大きくなる。
また、副走査において良好な画像品質を得るためには、副走査の駆動条件(駆動電圧、Ach,Bchの位相差、駆動周波数)がそれぞれ最適化されている必要がある。図5(a)の画像は最適条件を満たしたものである。一方、最適条件から外れたときは、リニアリティが悪化して図5(b)のような筋が画像に表れてしまう。原因は副走査の共振によるものであり、特に一次のモードによる共振によって画像の副走査方向の明るさにムラが発生する。
しかしながら、PZT膜28,29,31,33は経時変化により振幅感度が低下し、それによって振れ角の振幅θL1,θL2が低下する。このような振幅低下を補償するためには、主走査用のPZT膜28,29よりも副走査用のPZT膜31,33に対して更に大きな駆動電圧を印加する必要がある。このため、初期値で高いリニアリティを実現する駆動条件が設定されていたとしても、低下した振れ角の振幅θL1を補償するために副走査の駆動電圧を大幅に上げることでリニアリティが悪化することになる。
図6のグラフは、本実施形態のMEMSスキャナ2における、リニアリティと副走査の駆動電圧(鋸波の最大値)の関係を評価した結果を示すものである。すなわち、図6は、駆動電圧によってリニアリティが変化し、ある駆動電圧でリニアリティが最小値を示すことを表している。なお、リニアリティの値が大きいほど、画像における明るさムラは強くなる。
図1で説明した電気機械システム10の構成でいえば、所望の振れ角の振幅θL1を得るために制御部15によって感度低下を補償する駆動電圧調整を行った際に、リニアリティが悪化し画像の明るさムラが強くなってしまう。
例えば、副走査の駆動電圧が30Vのときにリニアリティ0.019となるように調整した駆動条件(Ach,Bchの位相差、駆動周波数)において、駆動電圧を36Vに変化させるとリニアリティは0.026に悪化する。
このようなMEMSスキャナ2の感度低下の原因としては、誘電体であるPZT膜31,33の電荷チャージと脱分極などが考えられる。
電荷チャージとは、PZT膜31,33に内部電荷が残留することを指している。電荷チャージされたPZT膜に駆動電圧が印加された場合、内部電荷により生じる電界のために、電荷チャージされていない場合と比較してPZT膜に印加される実効的な駆動電圧が低下する。また、加熱などによりPZT膜の脱分極が進むと、PZT膜の圧電性が損なわれる。
本発明者は、上記のように電荷チャージや脱分極によって振幅感度が低下したPZT膜に対して一定以上の大きさのDC定電圧を印加すると、チャージされた電荷が除去されるとともに、脱分極したPZT膜が再分極されることを見出した。また、これらの理由によって、DC定電圧をPZT膜に印加することによって、低下した振幅感度を回復できることが分かった。
電荷チャージについては、上記のようにPZT膜31,33に印加される実効的な駆動電圧が低下するものであり、内部電荷を除去するためにPZT膜31,33に対して、DC定電圧による高電界の印加や加熱を行うことで、感度回復が加速される。
再分極については、脱分極したPZT膜31,33を再分極するものであるから、分域を揃えるためにPZT膜31,33に対して、DC定電圧による高電界の印加や加熱を行うことで、感度回復が加速される。なお、PZT膜は、過度に高い電圧を印加することで絶縁破壊してしまうので注意が必要である。
つまり、感度回復の速度は電界強度と温度に依存したものであり、MEMSスキャナ2に対して一定以上のDC定電圧を印加すること、更にはMEMSスキャナ2を一定以上の温度下に置くことで、効果的に感度回復の速度を向上させることができる。
図1に示すように、PZT膜31,33を加熱するための構成として、電気機械システム10は、MEMSスキャナ2を加熱するためのヒータ18を更に備えている。ヒータ18は、制御部15の制御により、PZT膜31,33へのDC定電圧の印加がオンとなっている場合にMEMSスキャナ2を加熱するようになっている。
また、本発明者は、低温ほど高いDC定電圧、高温ほど低いDC定電圧で、感度回復の効果が得られることを見出した。このための構成として、図1に示すように、電気機械システム10は、MEMSスキャナ2周辺の温度を検出する温度センサ19を更に備えている。制御部15は、温度センサ19によって検出された温度に応じて、直流電圧発生部14から出力されるDC定電圧の大きさを変化させることが可能となっている。
既に述べたように、上記の感度回復はHUD1の不使用時に実行されるとよい。HUD1が車載の装置であれば、例えば24時間連続して使用する状況はほとんどないと考えられるため、駐車している時間などを利用して、数時間単位でDC定電圧をMEMSスキャナ2に印加して感度回復を行うことができる。JEDECの規格によれば、自動車の稼働時間は15年間の車両寿命のうち8200時間であり、平準化すると自動車の実際の稼動時間は7%未満である。したがって、自動車の稼働時間以外にMEMSスキャナ2の振幅感度の回復を実施することが望ましい。
図7は、図1に示した印加電圧発生部11による感度回復処理について説明する説明図である。
図7(a)に示すHUD1の使用時には、主走査駆動電圧発生部12及び副走査駆動電圧発生部13がMEMSスキャナ2に駆動電圧を印加する(図7(b))。このときの副走査の駆動電圧の電圧波形は図7(c)に示すような鋸波である。このとき、図7(d)に示すようにMEMSスキャナ2の副走査の振幅感度は、HUD1の使用時間の経過、すなわち副走査駆動電圧発生部13によるMEMSスキャナ2のPZT膜31,33への駆動電圧の印加時間の経過とともに低下する。
図7(a)に示すHUD1の不使用時には、直流電圧発生部14が、MEMSスキャナ2の副走査用のPZT膜31,33に図7(c)に示すようなDC定電圧を印加する(図7(b))。このとき、図7(d)に示すようにMEMSスキャナ2の副走査の振幅感度はHUD1の不使用時間の経過とともに上昇する。
なお、図7(c)に示すように、制御部15の制御により、直流電圧発生部14から出力されるDC定電圧の大きさが駆動電圧の最大値以上となることが望ましい。これにより、感度回復の速度を向上させることができる。
図8は、MEMSスキャナ2の副走査の振幅感度の低下について示すグラフである。副走査用のPZT膜31,33に鋸波の駆動電圧を印加し、MEMSスキャナ2を連続駆動して振幅感度の低下を測定した結果、70時間の連続駆動で20%程度の感度低下が起こることが分かった。
このときのMEMSスキャナ2の周辺温度は、車載条件を参照してヒータ18の加熱により95℃としている。また、駆動電圧30V、駆動周波数52Hzである。20%の感度低下を補償するために駆動電圧を20%上げる場合には、駆動電圧を30Vから36Vに増加させることになり、図6のグラフによればリニアリティは0.019から0.026に悪化する。
図9は、MEMSスキャナ2の副走査の振幅感度の回復について示すグラフである。ここでは、実際の車載搭載時の駆動条件を想定して振幅感度の低下と回復を測定した。具体的には、一日24時間のうち、車両ユーザが3時間車両を運転(HUD1を使用)した後、21時間車両を駐車(HUD1を不使用)したことを想定している。
まず、図9(a)に示すように、副走査用のPZT膜31,33に鋸波の駆動電圧を印加して3時間の連続駆動を行ったところ、副走査の振幅感度が6%低下した。その後、副走査用のPZT膜31,33に21時間のDC定電圧印加を行ったところ、図9(b)に示すように振幅感度が3%回復した。
また、図9のような使用状況が毎日繰り返される場合には、MEMSスキャナ2の製品ライフタイムにおいて、感度回復を行わなかった場合に仮に20%の感度低下があるとすれば、感度回復を行うことで感度低下が半分の10%になることが予想される。
さらに、この10%の感度低下を補償するために駆動電圧を10%上げる場合には、駆動電圧を30Vから33Vに増加させることになる。このため、図6のグラフによればリニアリティは0.019から0.021に悪化するが、20%の感度低下をDC定電圧印加によって補償せずに駆動電圧を20%上げた場合のリニアリティと比較して、リニアリティの悪化が改善されていることが分かる。
以上説明したように、本実施形態の電気機械システム10は、圧電膜への駆動電圧の印加がオフとなっている場合に、圧電膜へのDC定電圧の印加をオンとする構成を備えている。このように、装置使用の合間に圧電膜にDC定電圧を印加することにより、低下したMEMSスキャナ2の振幅感度を回復させることができる。これにより、振幅感度の低下を補償するための駆動電圧の変化幅を小さく抑えることができるため、電気機械システム10に持たせる電圧印加能力を最低限に抑えて、高品質な画像を低コストで得ることができる。
また、本実施形態の電気機械システム10は、充電可能な内部電源を有している。これにより、車両の電源などから電力を供給されない状態であっても、MEMSスキャナ2の感度回復を行うことができる。
また、本実施形態の電気機械システム10は、圧電膜に印加するDC定電圧の大きさを副走査の駆動電圧の最大値以上としている。これにより、MEMSスキャナ2の感度回復の速度を向上させることができる。
また、本実施形態の電気機械システム10は、温度センサ19によって検出された温度に応じて、圧電膜に印加するDC定電圧の大きさを変化させる。これにより、低温ほど高いDC定電圧、高温ほど低いDC定電圧で、効率的にMEMSスキャナ2の感度回復を行うことができる。
また、本実施形態の電気機械システム10は、圧電膜へのDC定電圧の印加がオンとなっている場合に、ヒータ18によって電気機械素子を加熱する。これにより、MEMSスキャナ2の感度回復の速度を向上させることができる。
1 HUD
2 MEMSスキャナ
3 画像システム
4 振幅検知部
10 電気機械システム
11 印加電圧発生部(印加電圧発生手段)
12 主走査駆動電圧発生部(駆動電圧印加手段)
13 副走査駆動電圧発生部(駆動電圧印加手段)
14 直流電圧発生部(直流電圧印加手段)
15 制御部(制御手段)
16 内部電源
17 電源切換部
18 ヒータ
19 温度センサ
20 MEMSミラー
21,22 カンチレバー
23 ミラー
24 リブ
25a,25b トーション梁
26 可動枠
28,29 PZT膜
30,32 クランク部
31,33 PZT膜
40 スクリーン
41a,41b,42a,42b PD
100 外部電源
2 MEMSスキャナ
3 画像システム
4 振幅検知部
10 電気機械システム
11 印加電圧発生部(印加電圧発生手段)
12 主走査駆動電圧発生部(駆動電圧印加手段)
13 副走査駆動電圧発生部(駆動電圧印加手段)
14 直流電圧発生部(直流電圧印加手段)
15 制御部(制御手段)
16 内部電源
17 電源切換部
18 ヒータ
19 温度センサ
20 MEMSミラー
21,22 カンチレバー
23 ミラー
24 リブ
25a,25b トーション梁
26 可動枠
28,29 PZT膜
30,32 クランク部
31,33 PZT膜
40 スクリーン
41a,41b,42a,42b PD
100 外部電源
Claims (5)
- 反射面を有するミラーと、当該ミラーを回転可能に支持するカンチレバーと、当該カンチレバーに設けられた圧電膜と、を有し、当該圧電膜に駆動電圧が印加されることにより前記カンチレバーを変形させて前記ミラーを回転駆動させる電気機械素子と、
前記電気機械素子に印加する電圧を発生する印加電圧発生手段と、
前記印加電圧発生手段が発生する電圧の制御を行う制御手段と、を備える電気機械システムであって、
前記印加電圧発生手段は、
前記圧電膜に前記駆動電圧を印加する駆動電圧印加手段と、
前記圧電膜に直流定電圧を印加する直流電圧印加手段と、を有し、
前記制御手段は、前記駆動電圧印加手段及び前記直流電圧印加手段による電圧出力のオン/オフを切り換え可能であり、前記圧電膜への前記駆動電圧の印加がオフとなっている場合に、当該圧電膜への前記直流定電圧の印加をオンとすることを特徴とする電気機械システム。 - 前記印加電圧発生手段は、充電可能な内部電源を有し、電源供給元を当該内部電源と外部電源とで切り換え可能であることを特徴とする請求項1に記載の電気機械システム。
- 前記制御手段は、前記直流電圧印加手段から出力される前記直流定電圧の大きさを前記駆動電圧の最大値以上とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気機械システム。
- 前記電気機械素子周辺の温度を検出する温度センサを更に備え、
前記制御手段は、前記温度センサによって検出された温度に応じて、前記直流電圧印加手段から出力される前記直流定電圧の大きさを変化させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気機械システム。 - 前記電気機械素子を加熱するためのヒータを更に備え、
前記制御手段は、前記圧電膜への前記直流定電圧の印加がオンとなっている場合に、前記ヒータによって前記電気機械素子を加熱することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1の請求項に記載の電気機械システム。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2014-10-17 JP JP2014212554A patent/JP2016080890A/ja active Pending
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