JP2016079771A - 気泡シールド工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多価金属塩で構成される不溶化剤を含む不溶化材を用いても気泡混合土中の気泡の持続性を維持し、かつ、重金属等の汚染物質を不溶化する
【解決手段】
アニオン系界面活性剤で構成される気泡剤を含む起泡材と、多価金属塩で構成される不溶化剤を含み、汚染土に含まれる汚染物質を不溶化する不溶化材とを用いる気泡シールド工法であって、起泡材と不溶化材を混ぜ合わせた混合溶液の25℃におけるpHが3.5以上となるように、起泡材と不溶化材を調整し、シールド機1のカッター4の面版上、あるいはシールド機1のチャンバー12内に、起泡材を発泡して得られた気泡と不溶化材とを、別系統(気泡注入管6,第1不溶化材供給管10,第2不溶化材供給管11)で送り込むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、気泡シールド工法に関し、特に汚染物質を不溶化しつつ高流動性を維持するものに関する。
気泡シールド工法は、起泡材の発泡で得られたシェービングクリーム状の気泡を、シールド機のカッター面版上或いはシールド機のチャンバー内に注入しながら掘進する工法である。この気泡シールド工法では、カッター面版等に注入される気泡が掘削土の流動性と止水性を向上させ、かつ、チャンバー内での掘削土の付着を抑制する。これにより、切羽の安定を保持しつつ掘進をスムーズに行うことができる。この起泡材に含まれる気泡剤としては、例えばアニオン系界面活性剤が好適に用いられている。
一方、地盤には、重金属等の汚染物質が含まれていることがある。例えば、関東の臨海地域で広く分布する洪積層の硬質粘土(土丹)には、汚染物質として自然由来のヒ素を含む場合がある。一般に、この汚染物質については、掘削発生土に対して汚染物質の不溶化処理を施すことで、環境への悪影響を抑制している。例えば、地上に設置された処理プラントに掘削発生土を運搬し、この処理プラントで不溶化材を混合する方法がある。また、深層混合機等を用いて、汚染地盤に対して原位置で不溶化材を混合する方法もある。そして、不溶化材は、汚染物質の種類に応じて、セメントや石灰といった固化材が選択されたり、マグネシウム化合物や鉄系化合物等の多価金属塩を不溶化剤とする液体状の不溶化材が選択されたりする。
気泡シールド工法に用いられる起泡材には、汚染物質の不溶化効果を有する成分が含有されていない。このため、汚染物質が含まれている地盤を掘削した場合には、掘削で生じた土砂を地上の処理プラントまで運搬し、汚染物質の不溶化処理が行われる。この場合、気泡シールド工法で使用されるプラントに加え、不溶化用の処理プラントを設置する必要があり、設置スペースや人手を要する等の問題がある。
このような問題を解決すべく、特許文献1には、汚染物質である揮発性有機化合物を含有する地盤の掘進に際し、起泡材、超微細鉄粉、及び微粉末活性炭を切羽に注入する泥土圧シールド工法が開示されている。
特開2012−120987号公報
特許文献1の工法では、揮発性有機化合物を還元分解すべく鉄粉が用いられているが、自然由来の汚染土は、低濃度の重金属で汚染されており、かつ大量に発生するという特徴を有している。このような低濃度の重金属による汚染土に対しては、不溶化剤である多価金属塩を用いることが有効と考えられる。例えば、気泡剤と不溶化剤(多価金属塩)を含んだ起泡材を作製し、この起泡材を発泡させて得られた気泡を汚染土に混合させることが考えられる。
しかしながら、気泡剤と不溶化剤を含んだ起泡材を用いた場合、気泡が混合された汚染掘削土(気泡混合土)における気泡の持続性が損なわれ、早期に消泡されてしまうことがある。そして、気泡が早期に消滅されてしまうと、掘削土の流動性が悪くなり、円滑な掘進が行えなくなるおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、不溶化剤である多価金属塩を用いても気泡混合土中の気泡の持続性を維持し、重金属等の汚染物質を不溶化することにある。
前述の目的を達成するため、本願発明者等は鋭意検討を重ねた結果、起泡材と不溶化材を混ぜ合わせた混合溶液の25℃におけるpHが3.5以上となるように、起泡材と不溶化材を調整すること、及び、起泡材と不溶化材とを別々の系統で送り込むことにより、気泡混合土中の気泡の持続性を維持でき、かつ汚染物質を不溶化できることを見いだした。
すなわち、本発明は、アニオン系界面活性剤で構成される気泡剤を含む起泡材と、多価金属塩で構成される不溶化剤を含み、汚染土に含まれる汚染物質を不溶化する不溶化材とを用いる気泡シールド工法であって、前記起泡材と前記不溶化材を混ぜ合わせた混合溶液の25℃におけるpHが3.5以上となるように、前記起泡材と前記不溶化材を調整し、シールド機のカッター面版上、あるいは前記シールド機のチャンバー内に、前記起泡材を発泡して得られた気泡と前記不溶化材とを、別系統で送り込むことを特徴とする。
また、本発明は、アニオン系界面活性剤で構成される気泡剤を含む起泡材と、多価金属塩で構成される不溶化剤を含み、汚染土に含まれる汚染物質を不溶化する不溶化材とを用いる気泡シールド工法であって、前記起泡材と前記不溶化材を混ぜ合わせた混合溶液の25℃におけるpHが3.5以上となるように、前記起泡材と前記不溶化材を調整し、シールド機のカッター面版上、あるいは前記シールド機のチャンバー内に前記起泡材を発泡して得られた気泡を送り込んだ後、前記チャンバーから前記シールド機内に取り込まれた掘削土に前記不溶化材を加えることを特徴とする。
前述の発明において、起泡材には、発泡性を向上させる助剤を加えることが好ましい。また、不溶化材には、金属キレート能を持つキレート物質を含んだキレート剤を加えることが好ましい。
本発明によれば、不溶化剤である多価金属塩を用いても気泡混合土中の気泡の持続性を維持し、かつ、重金属等の汚染物質を不溶化することができる。
シールド機の断面図である。 起泡材の組成を説明する図である。 実施例及び比較例の配合を説明する図である。 実施例及び比較例の試験結果を説明する図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。まず、図1を参照し、気泡シールド工法に用いられるシールド機1の概略構成について説明する。このシールド機1は、スキンプレート2と、隔壁3と、カッター4と、カッターモーター5と、気泡注入管6と、スクリューコンベア7と、土圧センサ8と、ベルトコンベア9を備えている。また、シールド機1には、第1不溶化材供給管10と第2不溶化材供給管11が設けられている。
スキンプレート2は、シールド機1の外殻部となる鋼製の筒状部材である。隔壁3は、スキンプレート2に設けられており、スキンプレート2の前側部分にチャンバー12を区画する。カッター4は、回転によって地中を掘削する部分であり、スキンプレート2よりも前方に配設されている。カッターモーター5は、カッター4を回転させるための駆動源であり、隔壁3の後側に設けられている。カッターモーター5の駆動力は支持アーム13を介してカッター4に伝達される。
気泡注入管6は、シェービングクリーム状の微細気泡を送り込むための管状部材である。この微細気泡は、液体状の起泡材が発泡装置(図示せず)で発泡されることで得られたものである。そして、気泡注入管6の先端がカッター4の前方に位置しているため、微細気泡はカッター4の面版上に注入される。なお、気泡注入管6の先端位置を変更することで、微細気泡の注入先をチャンバー12にすることができる。
カッター4で掘削された掘削土(汚染土)は、このカッター4の回転によって微細気泡と混合されることで流動性が高められ、気泡混合土となってチャンバー12に流入する。そして、チャンバー12では、微細気泡の存在によって壁面への掘削土の付着が抑制される。また、土粒子同士の間に微細気泡が入り込むので、止水性も高められる。同様に、微細気泡をチャンバー12に注入した場合にも、チャンバー12内で掘削土と微細気泡とが混合されて気泡混合土となり、壁面への掘削土の付着が抑制されたり、止水性が高められたりする。
スクリューコンベア7は、チャンバー12に流入した気泡混合土を、隔壁3よりも掘進方向後方側の作業空間に取り込む第1の搬送装置である。土圧センサ8は、チャンバー12に流入した気泡混合土の圧力を測定する土圧測定部である。この土圧センサ8で測定された気泡混合土の圧力に応じて、シールド機1の推進力やスクリューコンベア7による掘削土の排出量が調整される。ベルトコンベア9は、スクリューコンベア7から排出された気泡混合土をさらに後方の立坑側へ搬送する第2の搬送装置である。
第1不溶化材供給管10は、カッター4の面版あるいはチャンバー12内に液体状の不溶化材を送り込むための管状部材であり、気泡注入管6とは別系統の配管として設けられる。第1不溶化材供給管10は、気泡注入管6と同様に、管の先端がカッター4の前方に位置している。このため、不溶化材はカッター4の面版上に注入される。なお、第1不溶化材供給管10の先端位置を変更することで、不溶化材をチャンバー12内に注入することができる。
第2不溶化材供給管11は、スクリューコンベア7で隔壁3よりも後方側の空間に取り込まれた気泡混合土に加えられる、液体状の不溶化材を送り込むための管状部材であり、気泡注入管6とは別系統の配管として設けられる。図1のシールド機1において、第2不溶化材供給管11は、ベルトコンベア9の直上に配置されている。そして、第2不溶化材供給管11の先端には、シャワーノズルが設けられており、ベルトコンベア9で運搬されている気泡混合土Gに対し、液体状の不溶化材が上方から加えられる。加えられた不溶化材は、気泡混合土Gの内部に浸透する。
次に、図2を参照し、気泡シールド工法に用いる起泡材、及び不溶化材について説明する。ここで、起泡材は、微細気泡の基となる資材であり、気泡剤を必須構成成分として含むとともに、発泡性を向上させるための助剤が必要に応じて添加される。また、不溶化材は、ヒ素や鉛等の有害物質(重金属)を不溶化するための薬剤であり、有害物質を不溶化する不溶化剤を必須構成成分として含むとともに、金属キレート能を有するキレート剤、及びpH調整剤が必要に応じて添加される。
ここで、気泡シールド工法では、これらの起泡材及び不溶化材をそれぞれ所定濃度に調整した液体が用いられる。現場での作業性を考慮すると、起泡材の高濃度溶液と不溶化材の高濃度溶液とを現場まで運搬し、これらの高濃度溶液を現場にて希釈、混合することが好ましい。なお、起泡材や不溶化材に対し、分散剤や流動化剤などの他の任意成分を添加してもよい。
起泡材に含まれる気泡剤は、気泡の基となる薬剤であり、アニオン系界面活性剤によって構成されている。この気泡剤は、アルキル硫酸エステル塩(AS)、アルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)、及びアルファオレフィンスルホン酸(AOS)の一種または二種以上のアニオン系界面活性剤によって構成されることが好ましい。
前述のアルキル硫酸エステル塩は、一般式(1)のm=0で表され、アルキルエーテル硫酸エステル塩は、一般式(1)のm=1以上で表される。また、アルファオレフィンスルホン酸は、一般式(2)で表されるものを含有する。
[R1−O−(AO)−SOX ・・・ (1)
[R2−CH=CH(CH−SOX ・・・ (2)
これらの一般式(1)、(2)において、R1は炭素数8〜20の炭化水素基が好ましく炭素数10〜16がさらに好ましい。R2は炭素数8〜30の炭化水素基が好ましく炭素数10〜18がさらに好ましい。AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物が好ましく、炭素数2のオキシアルキレン基(オキシエチレン基)がさらに好ましい。Xは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩が好ましく、アルカリ金属がさらに好ましい。tはXの酸化数、mはAOの平均付加モル数であって0〜50が好ましく、0〜10がさらに好ましい。nは0〜5の数である。
前述のアルキル硫酸エステル塩としては、例えば、一般式(1)のR1が炭素数10〜14のアルキル基、mが0、Xがナトリウムに相当する、ライオン株式会社製の商品名「サンノールLM−1130」が好適に用いられる。また、アルキルエーテル硫酸エステル塩としては、例えば、一般式(1)のR1が炭素数12〜16のアルキル基、mが3、Xがナトリウムに相当する、ライオン株式会社製の商品名「サンノールLMT−1430」が好適に用いられる。さらに、アルファオレフィンスルホン酸としては、例えば、一般式(2)で表されるライオン株式会社製の商品名「リポランLB−440」が好適に用いられる。
起泡材に用いられる助剤は、起泡材の発泡性及び気泡混合土中の気泡の持続性を向上させるための薬剤であり、一般式(3)、(4)で表される化合物が好ましい。
R3−O−(AO)−R4 ・・・ (3)
HO−(AO)−H ・・・ (4)
一般式(3)において、R3は、炭素数1〜4の炭化水素基であり、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基が好ましく、ブチル基がさらに好ましい。R4は、水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基であり、水素原子が好ましい。AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物であり、オキシエチレン基が好ましい。pはAOの平均付加モル数であって1〜5であり、1〜3が好ましく、2がさらに好ましい。
一般式(3)の化合物の具体的な例としては、メチルジグリコール、エチルジグリコール、イソプロピルジグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、ブチルトリグリコール、メチルプロピレングリコール、ブチルプロピレングリコール、ブチルジプロピレングリコール、ジメチルグリコール、ジメチルプロピレングリコール、ジエチルグリコール、ジエチルジグリコール、ジエチルプロピルグリコールなどが挙げられ、これらの中でもメチルジグリコール、エチルジグリコール、ブチルジグリコール、ジエチルジグリコールが好ましい。
一般式(4)において、AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物であり、オキシエチレン基が好ましい。qはAOの平均付加モル数であって2〜40であり、5〜30が好ましく、10〜20がさらに好ましい。
一般式(4)の化合物の具体的な例としては、AOがオキシエチレン基、qが2のジエチレングリコール(DEG)、AOがオキシプロピレン基、qが2のジプロピレングリコール(DPG)、AOがオキシエチレン基、qが3〜40のポリエチレングリコール(PEG)、AOがオキシプロピレン基、qが3〜40のポリプロピレングリコール(PPG)などが挙げられ、これらの中でもジエチレングリコール、AOがオキシエチレン基、qが2〜40のポリエチレングリコール(PEG)が好ましい。
また、一般式(3)、(4)で表される助剤は、起泡材の発泡性および気泡の持続性を向上させる面から起泡材中に0〜30質量%含有することが好ましく、0.1〜10質量%含有することがさらに好ましい。
不溶化材に用いられる不溶化剤は、前述したように有害物質を不溶化する薬剤である。不溶化の対象となる有害物質としては、例えばヒ素や鉛といった重金属がある。ヒ素を例に挙げると、難溶性化合物として、ヒ酸鉄、ヒ酸カルシウム、及びヒ酸マグネシウム等が挙げられる。このため、不溶化剤は、鉄イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等を含有する多価金属塩を含んでいる。すなわち、この不溶化剤としては、鉄、カルシウム、マグネシウムの硫酸塩、硝酸塩、塩化物などの酸性の金属塩が用いられ、より好ましくは硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄が用いられる。そして、鉛に対してはマグネシウム系化合物等が好適に用いられる。
不溶化材に適宜添加されるキレート剤は、水酸化物の沈殿を抑制するための薬剤である。キレート剤としては、金属イオンをキレートできればよく、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、クエン酸、グルコン酸などおよびその塩が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、生分解性の良いクエン酸、グルコン酸、MGDA及びその塩がより好ましい。
キレート剤の添加量は、モル濃度で換算して金属イオンよりも少ないことが好ましい。モル濃度で金属イオンより多すぎると不溶化の効果が得られ難く、逆に金属イオンより少なすぎると沈殿が生じてしまうからである。
不溶化材に適宜添加されるpH調整剤は、起泡材及び不溶化材を希釈及び混合した混合溶液の、25℃におけるpHが3.5未満の場合に、このpHを3.5以上に調整するために添加される薬剤である。pH調整剤としてはアルカリ性の薬剤であれば特に限定されないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、オルトケイサンナトリウム、メタ珪酸ナトリウム等が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウムである。
気泡混合土の流動性及び不溶化剤による有害物質の不溶化効果を確認するため、前述の起泡材及び不溶化材と試料土を用いて複数のサンプルを作製し、確認試験を行った。この確認試験では、(1)試料土に気泡を混合した気泡混合土の流動性試験、(2)有害物質(ヒ素)に対する不溶化効果の確認試験を行った。
各試験の説明に先立ち、試料土の作製について説明する。試料土の作製手順は次の通りである。まず土丹を粉砕し、ふるいを用いて9.5mm以下の粒径のものを選別した。選別した土丹を適当量分取して、JIS A1203「土の含水比試験方法」に従って含水比を測定した後、上水を添加することで含水比45%に調整した。含水比が調整された土丹を厚手のビニール袋に入れて一晩静置し、試料土として用いた。そして、気泡混合土の流動性試験では、この試料土に対して気泡及び不溶化材を混合してサンプルを作製した。そして、作製した気泡混合土を流動性試験に供した。
また、不溶化効果の確認試験では、粒径が9.5mm以下の土丹を選別し、含水比を測定した後、量り取った土丹に対して規定量のヒ素含有水及び上水を添加して含水比45%の模擬汚染土を作製した。ヒ素含有水は、和光純薬株式会社製の「ヒ素標準液(1000mg/L)」を用いた。ヒ素含有水及び上水の添加に際しては、土丹全体に対して一様に水分が行き渡るように、ホバートミキサーで土丹を攪拌しながら添加した。模擬汚染土については、厚手のビニール袋に入れて一晩静置し、確認試験に供した。
次に、確認試験に用いる各サンプルの配合について説明する。図3に示すように、この確認試験では、実施例1〜8、及び比較例1〜3からなる11種類の配合のサンプルを作製した。
図3に示す各サンプルにおいて、気泡剤は、前述の一般式(2)に属するアルファオレフィンスルホン酸(便宜上、AOSという)、具体的には前述の商品名「リポランLB−440」を用いた。
助剤は、前述の一般式(3)に属するブチルジグリコール(便宜上、C4E2という)と、前述の一般式(4)に属するポリエチレングリコール(便宜上、PEG600という)を用いた。C4E2は、一般式(3)におけるR3が炭素数4のブチル基、AOが炭素数2のオキシエチレン基(EO)、AOの平均付加モル数pが2、R4が水素原子(H)である。PEG600は、分子量600のポリエチレングリコールである。
不溶化剤は、酸性の鉄塩である硫酸第一鉄(FeSO,便宜上、硫酸鉄という)を用いた。キレート剤は、クエン酸3ナトリウムとグルコン酸ナトリウム(GluNa)それぞれ単独であるいは組み合わせて用いた。pH調整剤は、水酸化ナトリウム(NaOH)を用いた。
次に、各実施例及び各比較例の配合について説明する。なお、本明細書及び図3に記載された各成分の濃度は、起泡材と不溶化材の混合後の合計量に対する濃度(質量%)を表している。また、混合溶液のpHについては図3及び図4に記載されている。このpHは、混合溶液の温度を25℃に調整した際の測定値であり、JIS Z8802の方法によって測定した。
実施例1,2では、起泡材として、助剤を添加せずに気泡剤(AOS)のみで作製した溶液を用い、不溶化材として、不溶化剤(硫酸鉄)にキレート剤(クエン酸3ナトリウム)とpH調整剤(水酸化ナトリウム)を添加した溶液を用いてサンプルを作製した。具体的には、起泡材として、濃度が1.8質量%となる量のAOSが溶解された水を用いた。また、不溶化材として、硫酸鉄、クエン酸3ナトリウム、及び水酸化ナトリウムの水溶液を用いた。この水溶液において、硫酸鉄は濃度が0.9質量%となる量を溶解し、クエン酸3ナトリウムは濃度が1質量%となる量を溶解した。水酸化ナトリウムは、起泡材と不溶化材の混合溶液におけるpHが6.1となる量を溶解した。
そして、実施例1では、起泡材を発泡して得られた気泡を試料土に添加する際に、液体状の不溶化材も試料土に添加して、気泡及び不溶化材を一緒に試料土に混合することでサンプルを作製した。これは、カッター4の面版あるいはチャンバー12内に、第1不溶化材供給管10を通じて液体状の不溶化材を添加する工法を意図している。また、実施例2では、気泡を試料土に添加及び混合することで気泡混合土を作製し、この気泡混合土に対して液体状の不溶化材を添加及び混合することでサンプルを作製した。これは、チャンバー12からシールド機1内に取り込まれ、スクリューコンベア7やベルトコンベア9といった搬送装置で搬送されている気泡混合土に対し、第2不溶化材供給管11を通じて液体状の不溶化剤を添加する工法を意図している。
実施例3〜8では、起泡材として、気泡剤(AOS)に助剤(C4E2,PEG600)を添加した溶液を用い、不溶化材として、不溶化剤(硫酸鉄)にキレート剤(クエン酸3ナトリウム,グルコン酸ナトリウム)とpH調整剤(水酸化ナトリウム)を添加した溶液を用いてサンプルを作製した。
起泡材に関して説明すると、実施例3〜8では、AOS、C4E2、及びPEG600の水溶液を用いた。この水溶液において、AOSは濃度が1.8質量%となる量を溶解し、C4E2及びPEG600はそれぞれ濃度が0.9質量%となる量を溶解した。
次に、不溶化材について説明すると、実施例3,4では、硫酸鉄、クエン酸3ナトリウム、及び水酸化ナトリウムの水溶液を用いた。この水溶液において、硫酸鉄は濃度が0.9質量%となる量を溶解し、クエン酸3ナトリウムは濃度が1質量%となる量を溶解した。水酸化ナトリウムは、起泡材と不溶化材の混合溶液におけるpHが5.8となる量を溶解した。
実施例5,6では、硫酸鉄、グルコン酸ナトリウム、及び水酸化ナトリウムの水溶液を用いた。この水溶液において、硫酸鉄は濃度が0.9質量%となる量を溶解し、グルコン酸ナトリウムは濃度が1質量%となる量を溶解した。水酸化ナトリウムは、起泡材と不溶化材の混合溶液におけるpHが4.3となる量を溶解した。
実施例7,8では、硫酸鉄、クエン酸3ナトリウムとグルコン酸ナトリウムの1対1混合物、及び水酸化ナトリウムの水溶液を用いた。この水溶液において、硫酸鉄は濃度が0.9質量%となる量を溶解し、クエン酸3ナトリウムとグルコン酸ナトリウムの混合物は濃度が1質量%となる量を溶解した。水酸化ナトリウムは、起泡材と不溶化材の混合溶液におけるpHが5.8となる量を溶解した。
そして、不溶化材の添加方法は、実施例3,5,7と実施例4,6,8とで異ならせた。すなわち、実施例3,5,7では、実施例1と同様に、気泡を試料土に添加する際に不溶化材を試料土に添加して、気泡及び不溶化材を試料土に混合することでサンプルを作製した。また、実施例4,6,8では、実施例2と同様に、気泡を試料土に添加及び混合することで気泡混合土を作製し、この気泡混合土に対して不溶化材を添加及び混合することでサンプルを作製した。
比較例1〜3では、起泡材として、助剤を添加せずに気泡剤(AOS)のみで作製した溶液を用い、不溶化材として、キレート剤やpH調整剤を添加せずに不溶化剤(硫酸鉄)のみで作製した溶液を用いてサンプルを作製した。具体的には、起泡材として、濃度が1.8質量%となる量のAOSを溶解した水溶液を用いた。また、不溶化材として、濃度が0.9質量%となる量の硫酸鉄を溶解した水溶液を用いた。
比較例1では、起泡材と不溶化材の混合溶液を発泡させて試料土に混合することでサンプルを作製した。これは、気泡剤と不溶化剤を含んだ液体状の起泡材を作製し、この起泡材を発泡させて得られた気泡を汚染土に混合させる工法を意図している。比較例2では、実施例1等と同様に、気泡を試料土に添加する際に不溶化材を試料土に添加して、気泡及び不溶化材を試料土に混合することでサンプルを作製した。比較例3では、実施例2等と同様に、気泡を試料土に添加及び混合することで気泡混合土を作製し、この気泡混合土に対して不溶化材を添加及び混合することでサンプルを作製した。
次に、流動性試験について詳しく説明する。この流動性試験は、ミニスランプを測定することで行った。ミニスランプの測定に際し、最初に必要量の試料土を電子天秤によって量り取った。そして、起泡材を発泡させて得られた気泡を、量り取った試料土に対して添加した。気泡は、液体状の起泡材を8倍の体積まで発泡させたものを用い、試料土の体積に対して50%添加した。起泡材の発泡にはハンドポンプ(ボディソープ用泡ポンプ)を用いた。なお、比較例1のサンプルについてのみ、起泡材と不溶化材を混合した混合溶液を発泡させて気泡を作製した。
気泡を試料土に添加したならば、ヘラを用いて気泡と試料土を全体が均等になるように混ぜ合わせ、サンプル(不溶化材入りの気泡混合土)を作製した。前述したように、実施例1,3,5,7及び比較例2では、気泡の添加時に不溶化材も添加することでサンプルを作製した。一方、実施例2,4,6,8及び比較例3では、不溶化材を添加せずに気泡混合土を作製し、作製した気泡混合土に対して不溶化材を添加して混ぜ合わせることでサンプルを作製した。また、比較例1では、混合溶液を発泡させているので、単に気泡を試料土に混ぜ合わせることでサンプルを作製した。
ここで、不溶化材は、不溶化剤を高濃度で含有する硫酸鉄水溶液(硫酸鉄9質量%含有)を用いた。また、不溶化材は、気泡(起泡剤材)と不溶化材の合計量に対して硫酸鉄濃度が0.9質量%となるように添加(混合)した。具体的には、試料土1.0kgに対して不溶化材を3.38g、及び、気泡(起泡材)を30.4gを添加した。
このようにして作製されたサンプルを使用し、ミニスランプ値を測定した。測定に際しては、まず、JIS A1171に規定されるミニスランプコーン(上端内径50±0.5mm,下端内径100±0.5mm,高さ150±0.5mm)を、スランプ板の上に載置した。次に、気泡混合土をこのミニスランプコーンに投入し、投入した気泡混合土を突き棒で適度に突いた。気泡混合土は3回に分けて投入し、全量を投入した後に開口面の気泡混合土を均した。その後、気泡混合土を詰めたミニスランプコーンを鉛直上方に引き抜いた。そして、ミニスランプ値を1mm単位で読み取った。このミニスランプ値の測定は、作製直後のサンプルと、作製から30分間静置したサンプルに対して行った。図4に測定結果を示す。
この流動化試験では、気泡混合土の作製から30分間静置した気泡混合土におけるミニスランプ値が1.0cm以上であるサンプルを流動性ありと評価し、1.0cm未満であるサンプルを流動性なしと評価した。
実施例1のサンプル、すなわち、助剤を添加せずにAOS水溶液で作製した起泡材と、硫酸鉄溶液にクエン酸3ナトリウムと水酸化ナトリウムを添加することで作製した不溶化材を用い、試料土への気泡混合時に不溶化材を添加し混合したサンプルでは、サンプルの作製直後におけるミニスランプ値が7.7cmであり、作製から30分経過後のミニスランプ値が1.0cmであった。このため、実施例1のサンプルは、流動性ありと評価された。
実施例2のサンプル、すなわち、実施例1と同じ起泡材及び不溶化材を用い、気泡混合土に対して不溶化材を添加して混合したサンプルでは、サンプルの作製直後におけるミニスランプ値が8.5cmであり、作製から30分経過後のミニスランプ値が1.8cmであった。このため、実施例2のサンプルは、流動性ありと評価された。
実施例3のサンプル、すなわち、AOS水溶液にC4E2とPEG600を添加することで作製した起泡材と、硫酸鉄溶液にクエン酸3ナトリウムと水酸化ナトリウムを添加することで作製した不溶化材を用い、試料土への気泡混合時に不溶化材を添加し混合したサンプルでは、サンプルの作製直後におけるミニスランプ値が8.8cmであり、作製から30分経過後のミニスランプ値が2.8cmであった。このため、実施例3のサンプルは、流動性ありと評価された。
実施例4のサンプル、すなわち、実施例3と同じ起泡材及び不溶化材を用い、気泡混合土に対して不溶化材を添加して混合したサンプルでは、サンプルの作製直後におけるミニスランプ値が8.8cmであり、作製から30分経過後のミニスランプ値が3.6cmであった。このため、実施例4のサンプルは、流動性ありと評価された。
実施例5のサンプル、すなわち、AOS水溶液にC4E2とPEG600を添加することで作製した起泡材と、硫酸鉄溶液にグルコン酸ナトリウムと水酸化ナトリウムを添加することで作製した不溶化材を用い、試料土への気泡混合時に不溶化材を添加し混合したサンプルでは、サンプルの作製直後におけるミニスランプ値が9.2cmであり、作製から30分経過後のミニスランプ値が5.0cmであった。このため、実施例5のサンプルは、流動性ありと評価された。
実施例6のサンプル、すなわち、実施例5と同じ起泡材及び不溶化材を用い、気泡混合土に対して不溶化材を添加して混合したサンプルでは、サンプルの作製直後におけるミニスランプ値が9.1cmであり、作製から30分経過後のミニスランプ値が4.6cmであった。このため、実施例6のサンプルは、流動性ありと評価された。
実施例7のサンプル、すなわち、AOS水溶液にC4E2とPEG600を添加することで作製した起泡材と、硫酸鉄溶液にクエン酸3ナトリウムとグルコン酸ナトリウムと水酸化ナトリウムを添加することで作製した不溶化材を用い、試料土への気泡混合時に不溶化材を添加し混合したサンプルでは、サンプルの作製直後におけるミニスランプ値が8.8cmであり、作製から30分経過後のミニスランプ値が2.8cmであった。このため、実施例7のサンプルは、流動性ありと評価された。
実施例8のサンプル、すなわち、実施例7と同じ起泡材及び不溶化材を用い、気泡混合土に対して不溶化材を添加して混合したサンプルでは、サンプルの作製直後におけるミニスランプ値が8.8cmであり、作製から30分経過後のミニスランプ値が3.6cmであった。このため、実施例8のサンプルは、流動性ありと評価された。
比較例1のサンプル、すなわち、AOS水溶液で作製した起泡材と硫酸鉄溶液で作製した不溶化材の混合溶液を発泡させて気泡を作製し、この気泡を試料土に混合したサンプルでは、サンプルの作製直後におけるミニスランプ値が5.0cmであり、作製から30分経過後のミニスランプ値が0.0cmであった。このため、比較例1のサンプルは、流動性なしと評価された。
比較例2のサンプル、すなわち、比較例1と同じ起泡材及び不溶化材を用い、試料土への気泡混合時に不溶化材を添加し混合したサンプルでは、サンプルの作製直後におけるミニスランプ値が8.1cmであり、作製から30分経過後のミニスランプ値が0.8cmであった。このため、比較例2のサンプルは、流動性なしと評価された。
比較例3のサンプル、すなわち、比較例1と同じ起泡材及び不溶化材を用い、気泡混合土に対して不溶化材を添加して混合したサンプルでは、サンプルの作製直後におけるミニスランプ値が8.1cmであり、作製から30分経過後のミニスランプ値が0.9cmであった。このため、比較例3のサンプルは、流動性なしと評価された。
次に、不溶化効果の確認試験について詳しく説明する。この確認試験は、汚染物質であるヒ素の溶出量を測定することで行った。溶出量の測定に際し、最初に、前述の模擬汚染土を電子天秤によって量り取った。そして、量り取った模擬汚染土に対し、起泡材を発泡させて得られた気泡と不溶化材を添加して混合した。気泡の発泡や、気泡と不溶化材の添加及び混合は、流動性試験と同じ要領で行った。得られたサンプル(気泡と不溶化材が混合された模擬汚染土)については、24時間養生して測定に供した。ヒ素溶出量の測定は、環告46号溶出試験に準じて行った。ヒ素溶出量の測定は、不溶化材が混合されていない初期の模擬汚染土と、24時間養生後の各サンプルについて行った。図4に測定結果を示す。
この確認試験では、対象サンプルについてのヒ素溶出量が、初期の模擬汚染土についてのヒ素溶出量に対して半分以下に減少している場合に不溶化効果ありと評価した。そして、これよりも減少量が少ない場合に不溶化効果なしと評価した。なお、この確認試験は、実施例1〜8について行い、比較例1〜3については行っていない。
実施例1に関し、初期の模擬汚染土についてのヒ素溶出量が0.014mg/Lであったのに対し、養生後のサンプルではヒ素溶出量が0.006mg/Lであった。また、実施例2に関し、初期の模擬汚染土についてのヒ素溶出量が0.014mg/Lであったのに対し、養生後のサンプルではヒ素溶出量が0.006mg/Lであった。このため、実施例1,2のサンプルについては、不溶化効果ありと評価された。
実施例3に関し、初期の模擬汚染土についてのヒ素溶出量が0.014mg/Lであったのに対し、養生後のサンプルではヒ素溶出量が0.007mg/Lであった。また、実施例4に関し、初期の模擬汚染土についてのヒ素溶出量が0.014mg/Lであったのに対し、養生後のサンプルではヒ素溶出量が0.006mg/Lであった。このため、実施例3,4のサンプルについては、不溶化効果ありと評価された。
実施例5に関し、初期の模擬汚染土についてのヒ素溶出量が0.007mg/Lであったのに対し、養生後のサンプルではヒ素溶出量が0.003mg/Lであった。また、実施例6に関し、初期の模擬汚染土についてのヒ素溶出量が0.007mg/Lであったのに対し、養生後のサンプルではヒ素溶出量が0.003mg/Lであった。このため、実施例5,6のサンプルについては、不溶化効果ありと評価された。
実施例7に関し、初期の模擬汚染土についてのヒ素溶出量が0.014mg/Lであったのに対し、養生後のサンプルではヒ素溶出量が0.007mg/Lであった。また、実施例8に関し、初期の模擬汚染土についてのヒ素溶出量が0.014mg/Lであったのに対し、養生後のサンプルではヒ素溶出量が0.007mg/Lであった。このため、実施例7,8のサンプルについては、不溶化効果ありと評価された。
このように、不溶化効果の確認試験では、実施例1〜8の各サンプルについてヒ素の不溶化効果を有していることが確認された。
なお、今回の試験では、起泡材と不溶化材の混合溶液について沈殿の有無も確認した。図4に示すように、実施例1〜8、及び比較例1〜3の何れも、混合溶液に沈殿は確認されなかった。
試験結果について考察する。なお、汚染物質の不溶化については、実施例1〜8の何れも、不溶化の判断基準(初期の模擬汚染土に対し、ヒ素溶出量を1/2以下にすること)を充足した。この結果から、実施例1〜8の配合では、十分な不溶化効果が得られることが確認された。
次に、気泡混合土の流動性試験について検討する。前述した実施例1〜8の何れも、作製から30分間静置したサンプルのスランプが1.0cm以上であった。これに対して、比較例1〜3の何れも、作製から30分間静置したサンプルのスランプが1.0cm未満であった。
実施例1,3,5,7と比較例1,2の比較から、起泡材と不溶化材の混合溶液における25℃でのpHを3.5以上とすることで、起泡材の発泡で得られた気泡と不溶化材とを別系統でシールド機1のカッター4の面版やチャンバー12に送り込んでも、気泡混合土の流動性を不溶化材の混合から30分間程度にわたって確保できることが確認できた。
同様に、実施例2,4,6,8と比較例1,3の比較から、起泡材と不溶化材の混合溶液における25℃でのpHを3.5以上とすることで、起泡材の発泡で得られた気泡をカッター4の面版やチャンバー12に送り込むと共に、シールド機1内に搬送された気泡混合土に不溶化材を添加及び混合しても、気泡混合土の流動性を不溶化材の混合から30分間程度にわたって確保できることが確認できた。
また、実施例1,2と実施例3〜8の比較から、起泡材に助剤を添加することにより、不溶化材を混合した後の気泡混合土の流動性を向上できることが確認できた。
また、実施例5,6と実施例3,4,7,8の比較から、キレート剤に関して、クエン酸3ナトリウムよりもグルコン酸ナトリウムの方が流動性の向上の観点からは、好ましいことが確認できた。
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。例えば、次のように構成してもよい。
起泡材に含まれる気泡剤に関し、図2で説明したように、アルキル硫酸エステル塩(AS)やアルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)をはじめ、各種のアニオン系界面活性剤を用いることができる。同様に、助剤やpH調整剤に関しても、前述した各種の薬材が使用できる。
気泡や不溶化材の送り込みに関し、前述した例に加え、シールド機1のカッター4の面版上に液体状の起泡材を発泡させた気泡を送り込み、シールド機1のチャンバー12内に、液体状の不溶化剤を送り込むようにしてもよい。
掘削土をチャンバー12からシールド機1の内部に取り込む搬送装置に関し、前述の実施形態では、スクリューコンベア7を例示したが、これに限定されるものではない。掘削土をチャンバー12からシールド機1の内部に取り込むことができれば、他の搬送装置を用いてもよい。
1…シールド機,2…スキンプレート,3…隔壁,4…カッター,5…カッターモーター,6…気泡注入管,7…スクリューコンベア,8…土圧センサ,9…ベルトコンベア,10…第1不溶化材供給管,11…第2不溶化材供給管,12…チャンバー,13…支持アーム

Claims (4)

  1. アニオン系界面活性剤で構成される気泡剤を含む起泡材と、多価金属塩で構成される不溶化剤を含み、汚染土に含まれる汚染物質を不溶化する不溶化材とを用いる気泡シールド工法であって、
    前記起泡材と前記不溶化材を混ぜ合わせた混合溶液の25℃におけるpHが3.5以上となるように、前記起泡材と前記不溶化材を調整し、
    シールド機のカッター面版上、あるいは前記シールド機のチャンバー内に、前記起泡材を発泡して得られた気泡と前記不溶化材とを、別系統で送り込むことを特徴とする気泡シールド工法。
  2. アニオン系界面活性剤で構成される気泡剤を含む起泡材と、多価金属塩で構成される不溶化剤を含み、汚染土に含まれる汚染物質を不溶化する不溶化材とを用いる気泡シールド工法であって、
    前記起泡材と前記不溶化材を混ぜ合わせた混合溶液の25℃におけるpHが3.5以上となるように、前記起泡材と前記不溶化材を調整し、
    シールド機のカッター面版上、あるいは前記シールド機のチャンバー内に前記起泡材を発泡して得られた気泡を送り込んだ後、前記チャンバーから前記シールド機内に取り込まれた掘削土に前記不溶化材を加えることを特徴とする気泡シールド工法。
  3. 前記起泡材は、下記一般式(3)または(4)で示される助剤を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の気泡シールド工法。
    R3−O−(AO)−R4 ・・・ (3)
    HO−(AO)−H ・・・ (4)
    (上記各式において、R3は、炭素数1〜4の炭化水素基である。R4は、水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基である。AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物である。pは、AOの平均付加モル数であって1〜5である。qは、AOの平均付加モル数であって2〜40である。)
  4. 前記不溶化材は、金属キレート能を持つキレート物質を含んだキレート剤を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の気泡シールド工法。
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