JP2016079220A - 分子内にイミド基及びカルボジイミド基を有する化合物、該化合物の製造方法、樹脂組成物、プリプレグ、積層板及びフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】分子内にイミド基及びカルボジイミド基を有する化合物、該化合物の製造方法、並びに該化合物を用いた樹脂組成物、プリプレグ、積層板及びフィルムである。
【選択図】なし
Description
近年の半導体装置の高密度化及び高信頼性への要求から、層間絶縁材料には、従来より優れた銅箔接着性、耐熱性、低熱膨張性等が必要とされている。さらに、近年の環境意識の高まりから、鉛フリーはんだによる電子部品の搭載、ハロゲンフリー基板等が要求されている。鉛フリーはんだは、従来のはんだよりも使用温度が高いため、層間絶縁材料にはより一層高い耐熱性が求められている。また、製品の安全性及び作業環境向上の観点から、層間絶縁材料は毒性の低い成分で構成されることが要求されており、それに伴い、毒性ガス等が発生しない熱硬化性樹脂が望まれている。
特許文献2には、特定のグアナミン化合物と、アミン化合物と、マレイミド化合物とを反応させることを特徴とするポリイミド化合物の製造方法、及び該ポリイミド化合物を含む熱硬化性樹脂組成物等が開示されている。
特許文献3には、特定のビスマレイミド化合物と、1分子中に2個以上のシアナト基を有するシアン酸エステル化合物と、無機系難燃剤とを、所定の割合で配合して得られた樹脂組成物を、基材に含浸又は塗布して得られるプリプレグが開示されている。
特許文献4には、エチレン−極性モノマー共重合体と、イソシアネート化合物により形成されたカルボジイミド化合物とを含み、前記カルボジイミド化合物における未反応イソシアネート基の含有量が1.0質量%以下である太陽電池用の封止膜が開示されている。
また、特許文献2の技術によると、金属箔接着性、耐熱性、耐湿性、難燃性等のバランスの優れた熱硬化性樹脂組成物が得られるものの、比誘電率については更なる改善が望まれており、また、ポリイミド化合物は一般的に溶剤への溶解性が低く、合成実験での取り扱いが困難であった。また、高温での加熱硬化が必要であるため、通常の硬化条件では硬化が不十分となり、樹脂の強靭性が不足する場合があった。
特許文献3の技術によると、シアネート化合物とポリイミド化合物とを組み合わせることにより、電気特性、耐熱性、耐湿性等に優れる、ビスマレイミドとトリアジン環とが架橋結合した共重合体を形成することができるが、原料であるシアネート化合物のコストが高いという問題があった。
特許文献4のポリカルボジイミド化合物は、耐熱性及び低誘電特性に優れ、分子内にプロトン性極性基を含まないため、次世代の高周波用途向けの低誘電材料として期待されているが、―N=C=N−で表されるカルボジイミド基は、中心炭素が強い求核性を有するため、水による加水分解が起こり易く、改善が望まれていた。
すなわち、本発明は、
[1]分子内にイミド基及びカルボジイミド基を有する化合物。
[2]分子内に下記一般式(1)で表される構成単位を有する、上記[1]に記載の化合物。
[4]分子内に下記一般式(2)で表される構成単位を有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物。
[6]分子内に下記一般式(3)で表される構成単位を有する、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物。
[8]1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(a)と、1分子中に2個以上の無水物環を有する酸無水物(b)とを、塩基性下で脱炭酸縮合反応させることにより、イミド基変性イソシアネート化合物(A)を得る工程1と、
該イミド基変性イソシアネート化合物(A)が有するイソシアネート基同士を脱炭酸縮合反応させ、分子内にイミド基及びカルボジイミド基を有する化合物を得る工程2とを有する、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物の製造方法。
[9]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物と、エポキシ化合物、シアネート化合物、及びマレイミド化合物から選ばれる1種以上の熱硬化性化合物とを含有する、樹脂組成物。
[10]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物、又は上記[9]に記載の樹脂組成物を基材に含浸又は塗工してなるプリプレグ。
[11]上記[10]に記載のプリプレグを積層成形してなる積層板。
[12]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物、又は上記[9]に記載の樹脂組成物を支持体に塗工してなるフィルム。
本発明の化合物(以下、「化合物(I)」ともいう)は、分子内にイミド基及びカルボジイミド基を有する。
本発明の化合物(I)が、耐熱性、低誘電特性、耐湿性、及びコスト面に優れる理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明の化合物(I)は、分子内に剛直で強固な分子構造を有するイミド基及びカルボジイミド基を有するため、耐熱性に優れ、さらにイミド基及びカルボジイミド基は汎用的な原料により分子中に導入できるため、コスト面にも優れていると考えられる。
また、加水分解点となるカルボジイミド基間に、イミド基を含有させることにより、分子内の加水分解点を低減することができ、これにより従来のポリカルボジイミドの問題点であった耐湿性が改善された化合物が得られると共に、比誘電率の低いカルボジイミド基を有するため、低誘電特性にも優れると考えられる。
なお、本明細書において、イミド基とは、下記一般式(4)で表される基から、窒素原子に結合した水素原子1個を除いた基を意味する。
また、化合物(I)中のイミド基濃度は、同様の観点から、好ましくは5〜35質量%、より好ましくは10〜30質量%、さらに好ましくは15〜25質量%である。
ここで、イミド基濃度は、化合物(I)の重量平均分子量Mwと、イミド基の分子量(70.03)と、化合物(I)1分子中のイミド基のモル量Aiとから、下記式により求められる。
イミド基濃度(質量%)=〔(Ai×70.03)/Mw〕×100
なお、化合物(I)の重量平均分子量Mwは実施例に記載の方法により求めることができる。
R1は、アミノ基、エポキシ基、フェノール基、シアネート基、アクリル基等の官能基を有していてもよい。これにより、任意の官能基を骨格中に導入し、用途に応じた特性を付与することができる。
R1としては、炭素数1〜100の2価の炭化水素基であれば特に限定されず、例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(a)(以下、単に「イソシアネート化合物(a)」ともいう)の2価の残基が好ましく挙げられる。
なお、本明細書中、「残基」とは、原料成分から結合に供された官能基を除いた部分の構造を意味する。すなわち、上記の例の場合、イソシアネート化合物(a)からイソシアネート基(−NCO)を2個除いた2価の結合基を意味する。
イソシアネート化合物(a)としては、例えば、1分子中に2個のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物、又は1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、低誘電特性、耐湿性、及びコスト面の観点から、1分子中に2個のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物が好ましく、下記一般式(5)で表されるイソシアネート化合物がより好ましい。
R2は、アミノ基、エポキシ基、フェノール基、シアネート基、アクリル基等の官能基を有していてもよい。これにより、任意の官能基を骨格中に導入し、用途に応じた特性を付与することができる。
R2としては、炭素数1〜100の4価の炭化水素基であれば特に限定されず、例えば、1分子中に2個以上の無水物環を有する酸無水物(b)(以下、単に「酸無水物(b)」ともいう)の4価の残基、すなわち酸無水物(b)から酸無水物基(−C(=O)OC(=O)−)を2個除いた4価の基が好ましく挙げられる。
酸無水物(b)としては、例えば、1分子中に2個の無水物環を有する酸無水物、又は1分子中に3個以上の無水物環を有する酸無水物が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、低誘電特性、耐湿性、及びコスト面の観点から、1分子中に2個の無水物環を有する酸無水物が好ましく、下記一般式(6)で表される酸無水物がより好ましい。
これらの中でも、耐熱性、低誘電特性、耐湿性、及びコスト面の観点から、芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物が好ましく、コストの観点からは、二無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’―ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物がより好ましく、耐熱性の観点からは、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオンがより好ましい。
化合物(I)1分子中のカルボジイミド基のモル量は、耐熱性、低誘電特性、耐湿性、及びコスト面の観点から、好ましくは1〜2000モル、より好ましくは3〜500モル、さらに好ましくは5〜100モル、特に好ましくは8〜30モルである。
また、化合物(I)中のカルボジイミド基濃度は、同様の観点から、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは2〜15質量%、さらに好ましくは4〜10質量%である。
カルボジイミド基濃度は、化合物(I)の重量平均分子量Mwと、カルボジイミド基の分子量(38.03)と、化合物(I)1分子中のカルボジイミド基のモル量Acとから、下記式により求められる。
カルボジイミド基濃度(質量%)=〔(Ac×38.03)/Mw〕×100
本発明の化合物(I)1分子中に含まれるイミド基とカルボジイミド基とのモル比(イミド基/カルボジイミド基)は、耐熱性、低誘電特性、耐湿性、及びコスト面の観点から、好ましくは1.2〜2.5、より好ましくは1.4〜2.2、さらに好ましくは1.6〜2.0である。
一般式(3)で表される構成単位のモル量は、実施例に記載の方法により算出することができる。
一般式(7−1)中、qは、1〜10の数であり、好ましくは1〜5の数、より好ましくは1〜3の数、さらに好ましくは1である。qが10以下であると、カルボジイミド基を含む構成単位からなる鎖長が長くなりすぎることがなく、耐湿性を良好に保つことができる。
なお、一般式(7−1)において、p及びqが共に1の場合、イミド基を含む一般式(1)で表される構成単位と、カルボジイミド基を含む一般式(2)で表される構成単位とが交互に連結した構造になる。また、pが2以上の場合は、一般式(1)で表される構成単位同士が連結した構造を有し、qが2以上の場合は、一般式(2)で表される構成単位同士が連結した構造を有する。
R3は、特に限定されないが、末端封止材として用いられるモノイソシアネート化合物の残基が好ましく挙げられる。
末端封止材として用いられるモノイソシアネート化合物としては、例えば、n−ブチルイソシアネート、tert−ブチルイソシアネート、iso−ブチルイソシアネート、エチルイソシアネート、n−プロピルイソシアネート、iso−プロピルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、n−オクタデシルイソシアネート等のアルキルイソシアネート;フェニルイソシアネート等の芳香族イソシアネートなどが挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、芳香族イソシアネートが好ましく、フェニルイソシアネートがより好ましい。これらの末端封止材は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
すなわち、本発明の化合物(I)は、下記一般式(7−2)で表される化合物であることがより好ましい。
本発明の製造方法は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(a)と、1分子中に2個以上の無水物環を有する酸無水物(b)とを、塩基性下で脱炭酸縮合反応させることにより、イミド基変性イソシアネート化合物(A)を得る工程1と、該イミド基変性イソシアネート化合物(A)が有するイソシアネート基同士を脱炭酸縮合反応させ、分子内にイミド基及びカルボジイミド基を有する化合物を得る工程2とを有する。
本発明の製造方法に用いる1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(a)と、1分子中に2個以上の無水物環を有する酸無水物(b)の具体例及び好ましい態様は前述のとおりである。
工程1は、イソシアネート化合物(a)と、酸無水物(b)とを、塩基性下で脱炭酸縮合反応させることにより、イミド基変性イソシアネート化合物(A)を得る工程である。
なお、本明細書中、工程1における脱炭酸縮合反応を「イミド化反応」と称する場合がある。
塩基性触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類;2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジエチルイミダゾール、2−エチル−4−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、イソシアネートマスク型イミダゾール等のイミダゾール類などが挙げられる。イソシアネートマスク型イミダゾールとしては、「G−8009L」(商品名、第一工業製薬(株)製)が商業的に入手可能である。
これらの中でも、合成安定性及び低臭気性の観点から、イソシアネートマスク型イミダゾールが好ましい。これらの塩基性触媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
工程1で用いる有機溶媒としては、イソシアネート化合物(a)及び酸無水物(b)を溶解できるものであれば特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒が好ましく挙げられる。これらの中でも、低吸湿性の観点から、シクロヘキサノンが好ましい。これらの有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機溶媒の使用量は、イソシアネート化合物(a)と酸無水物(b)との総和100質量部に対して、好ましくは40〜1000質量部、より好ましくは150〜500質量部、さらに好ましくは200〜250質量部である。有機溶媒の使用量が、イソシアネート化合物(a)と酸無水物(b)との総和100質量部に対して、40質量部以上であると、原料の溶解性が十分となり、1000質量部以下であると、十分な反応速度が得られ、生産性を向上させることができる。
工程1におけるイミド化反応は、例えば、イソシアネート化合物(a)、酸無水物(b)、塩基性触媒、及び有機溶媒等を合成釜等の反応容器に仕込み、必要に応じて加熱又は保温をしながら撹拌して行うことができる。
加熱時間は、原料の種類に応じて適宜調整すればよいが、好ましくは0.1〜10時間、より好ましくは0.5〜7時間、さらに好ましくは1〜5時間である。反応時間が0.1時間以上であると、イミド化反応を十分進行させることができ、10時間以下であると、生産性を良好に維持することができる。
また、イソシアネート基は空気中の水と容易に反応するため、反応系から水分を排除する観点から、窒素ガス又はアルゴンガス等の不活性ガス流通下で反応を行うことが好ましい。ガスの流量は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜1L/min、より好ましくは0.03〜0.5L/min、さらに好ましくは0.05〜0.2L/minである。
例えば、イソシアネート化合物(a)として、前記一般式(5)で表され、R1としてベンゼン環を有するイソシアネート化合物を用いる場合、イミド化反応の終点は、FT−IR測定において2275cm−1付近に観測されるイソシアネート基由来のピーク強度をI1、2939cm−1付近に観測されるベンゼン環(C−H伸縮振動)由来のピーク強度をI2、反応初期における強度比I1/I2をZi、反応終了後の強度比I1/I2をZfとすると、Zfが、Ziの好ましくは0.1〜0.9倍、より好ましくは0.3〜0.8倍、さらに好ましくは0.4〜0.7倍となる時点である。ZfがZiの0.1倍以上であると、イミド化反応後のイソシアネート基の量を十分に保つことができ、続くカルボジイミド化反応を効率良く進行させることができる。また、ZfがZiの0.9倍以下であると、イソシアネート基が過剰に残存することがなく、続くカルボジイミド化反応におけるゲル化を抑制することができる。
また、1711cm−1付近に観測される生成したイミド基由来のピークを観測することによっても、イミド化反応の進行を確認することができる。
工程2は、工程1で得られたイミド基変性イソシアネート化合物(A)が有するイソシアネート基同士を脱炭酸縮合反応させ、分子内にイミド基及びカルボジイミド基を有する化合物を得る工程である。
本工程により、イミド基変性イソシアネート化合物(A)が有するイソシアネート基同士が脱炭酸縮合反応し、カルボジイミド基が生成する。
なお、本明細書中、工程2における脱炭酸縮合反応を「カルボジイミド化反応」とも称する。
カルボジイミド化反応触媒としては、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド等のリン酸化合物が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドが好ましい。これらのカルボジイミド化反応触媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
工程2では末端封止材を用いることが好ましい。末端封止材としては、前記モノイソシアネート化合物が挙げられ、好ましい態様も同様である。これらの末端封止材は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止材の使用量は、末端封止材と、イソシアネート化合物(a)が有するイソシアネート基とのモル比(末端封止材/イソシアネート基)が、好ましくは0.001〜0.9、より好ましくは0.005〜0.5、さらに好ましくは0.01〜0.3となる量である。モル比(末端封止材/イソシアネート基)が、0.9以下であると、モノイソシアネート化合物同士の反応による低分子量のカルボジイミド化合物の生成を抑制し、耐熱性を良好に保つことができる。また、モル比(末端封止材/イソシアネート基)が、0.001以上であると、分子量の著しい増加が抑制され、ゲル化することなく均一な樹脂が得られる。
工程2におけるカルボジイミド化反応は、例えば、工程1で得られたイミド変性イソシアネート化合物(A)の溶液に、カルボジイミド化反応触媒及び末端封止材を添加し、必要に応じて加熱又は保温をしながら撹拌して行うことができる。
加熱時間は、原料の種類に応じて適宜調整すればよいが、好ましくは0.1〜10時間、より好ましくは0.5〜8時間、さらに好ましくは2〜7時間である。反応時間が0.1時間以上であると、カルボジイミド化反応を十分進行させることができ、10時間以下であると、生産性を良好に維持することができる。
また、イソシアネート基は、空気中の水と容易に反応するため、反応系から水分を排除する観点から、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス流通下で、反応を行うことが好ましい。ガスの流量は、好ましくは0.01〜1L/min、より好ましくは0.03〜0.5L/min、さらに好ましくは0.05〜0.2L/minである。
例えば、イソシアネート化合物(a)として、前記一般式(5)で表され、R1としてベンゼン環を有するイソシアネート化合物を用いる場合、カルボジイミド化反応の終点は、FT−IR測定において2275cm−1付近に観測されるイソシアネート基由来のピーク強度をI1、2939cm−1付近に観測されるベンゼン環(C−H伸縮振動)由来のピーク強度をI2、イミド化反応の反応初期における強度比I1/I2をZi、反応終了後の強度比I1/I2をZfとすると、Zfが、Ziの好ましくは0.3倍以下、より好ましくは0.2倍以下、さらに好ましくは0.1倍以下となる時点である。Zfが、Ziの0.3倍以下であると、残存イソシアネート基を低減することができ、耐湿性を良好に保つことができる。
また、2135cm−1付近に観測される生成したカルボジイミド基由来のピークを観測することによっても、カルボジイミド化反応の進行を確認することができる。
FT−IR測定における、得られる化合物(I)のカルボジイミド基由来のピークと、イミド基由来のピークとのピーク強度比(カルボジイミド基/イミド基)は、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜2.0、さらに好ましくは0.8〜1.2である。ピーク強度比(カルボジイミド基/イミド基)が0.1以上であると、分子内のカルボジイミド基の濃度が十分となり、比誘電率及び誘電正接を良好に保つことができ、10以下であると、分子内のイミド基の濃度が十分となり、耐熱性を良好に保つことができる。
本発明の樹脂組成物は、本発明の化合物(I)と、エポキシ化合物、シアネート化合物、及びマレイミド化合物から選ばれる1種以上の熱硬化性化合物とを含有する。
本発明の樹脂組成物に用いる熱硬化性化合物は、エポキシ化合物、シアネート化合物、及びマレイミド化合物から選ばれる1種以上であり、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の樹脂組成物中の熱硬化性化合物の含有量は、化合物(I)100質量部に対して、好ましくは20〜200質量部、より好ましくは50〜150質量部、さらに好ましくは80〜120質量部である。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキルクレゾール共重合型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂;その他、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能フェノール類及び多環芳香族類のジグリシジルエーテル化合物、グリシジルアミン化合物、グリシジルエステル化合物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、低誘電特性、耐湿性、及びコスト面の観点から、アラルキル型エポキシ樹脂が好ましく、ナフトールアラルキルクレゾール共重合型エポキシ樹脂がより好ましい。
これらのエポキシ化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記のエポキシ化合物を必要により重合させたエポキシ重合物を用いてもよい。
エポキシ化合物のエポキシ当量は、好ましくは100〜1000g/mol、より好ましくは150〜500g/mol、さらに好ましくは200〜300g/molである。
エポキシ化合物用の硬化剤としては、従来公知の硬化剤を使用することができ、例えば、フェノール樹脂、アミン化合物、酸無水物等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂用硬化剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ化合物用の硬化促進剤としては、従来公知の硬化促進剤を用いることができる。具体的には、イミダゾール化合物又はそのエポキシアダクト若しくはマイクロカプセル化物、DBU(1,8−ジアザビシクロ(4.5.0)ウンデセン−7)又はその誘導体等の複素環式化合物;第2級アミン化合物;トリエタノールアミン等の第3級アミン化合物;トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物;第4級アンモニウム塩、テトラフェニルホスフォニウム塩、テトラフェニルボレート塩等のオニウム塩化合物などが挙げられる。イミダゾール化合物としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール等が挙げられる。
シアネート化合物としては、1分子中に2個以上のシアネート基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、フェノールノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、ビスフェノールF型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、低誘電特性、耐湿性、及びコスト面の観点から、フェノールノボラック型シアネート樹脂が好ましい。
これらのシアネート化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、シアネート化合物を必要により、トリアジン環化重合させた、シアネート重合物を用いてもよい。
シアネート化合物のシアネート基当量は、特に限定されないが、硬化物物性及び成形性の観点から、好ましくは60〜300g/mol、より好ましくは90〜200g/mol、さらに好ましくは120〜140g/molである。
熱硬化性化合物としてシアネート化合物を用いる場合、シアネート化合物用の硬化促進剤を併用してもよい。
シアネート化合物用の硬化促進剤としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸錫、オクチル酸コバルト等の有機金属塩;イミダゾール類及びその誘導体;第三級アミン類;第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
マレイミド化合物としては、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、低誘電特性、耐湿性、及びコスト面の観点から2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンが好ましい。これらのマレイミド化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
マレイミド化合物のイミド基当量は、特に限定されないが、好ましくは100〜500g/mol、より好ましくは200〜400g/mol、さらに好ましくは250〜300g/molである。
熱硬化性化合物としてマレイミド化合物を用いる場合、重合促進剤を併用してもよい。マレイミド化合物の重合促進剤としては、過酸化物、イミダゾール類、アミン類、リン系化合物等が挙げられる。これらの重合促進剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の樹脂組成物には、無機充填剤を使用してもよい。
無機充填材としては、例えば、石英粉末、破砕シリカ、球状シリカ等のシリカ;アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン等のシリカ以外の金属酸化物;マイカ、タルク等の鉱物;ガラス短繊維、ガラス微粉末、中空ガラスビーズ等のガラス;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物などが挙げられる。これらの中でも、低熱膨張性、高弾性、耐熱性、及び難燃性の観点から、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物が好ましく、高い耐熱性と難燃性とを両立する観点から、熱分解温度が300℃以上である金属水酸化物がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、任意に公知の熱可塑性樹脂、エラストマー、難燃剤、有機充填剤、及びその他の配合剤を含有していてもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂及びシリコーン樹脂等が挙げられる。
エラストマーとしては、例えば、ポリブタジエン、アクリロニトリル、エポキシ変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、フェノール変性ポリブタジエン及びカルボキシ変性アクリロニトリル等が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、リン酸エステル系化合物、ホスファゼン、赤リン等のリン系難燃剤;三酸化アンチモン、モリブデン酸亜鉛等の無機難燃助剤などが挙げられる。
有機充填剤としては、例えば、シリコーンパウダー、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びポリフェニレンエーテル等の有機物粉末などが挙げられる。
その他の配合剤としては、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系、スチレン化フェノール等の酸化防止剤、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、チオキサントン系等の光重合開始剤、スチルベン誘導体等の蛍光増白剤、尿素シラン等の尿素化合物、シランカップリング剤等の密着性向上剤などが挙げられる。
本発明のプリプレグは、本発明の化合物(I)又は本発明の樹脂組成物を基材に含浸又は塗工してなるものである。
本発明のプリプレグは、必要に応じて有機溶媒に溶解した本発明の化合物(I)又は本発明の樹脂組成物を基材に含浸又は塗布した後、加熱等を行い製造することができる。
本発明のプリプレグに用いる基材としては、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知の基材を使用することができる。その材質としては、目的とする成形物の用途及び性能に応じて適宜選択すればよいが、例えば、Eガラス、Dガラス、Sガラス及びQガラス等の無機物繊維;ポリイミド、ポリエステル及びテトラフルオロエチレン等の有機繊維;並びにそれらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、低熱膨張性の観点から、Qガラス及び有機繊維が好ましい。ここで、Qガラスとは、石英含有率が90%以上のものを指す。
有機繊維を構成する樹脂としては、例えば、アラミド樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、超高分子ポリエチレン樹脂、及びフッ素樹脂等が挙げられる。
有機繊維の市販品としては、例えば、帝人(株)製のアラミド繊維クロス(商品名:テクノーラ(登録商標))、KBセーレン(株)製の芳香族ポリエステル繊維クロス(商品名:ゼクシオン(登録商標))、及び東洋紡(株)製のポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維クロス(商品名:ザイロン(登録商標))等が挙げられる。基材の材質は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
基材の形状としては、目的とする成形物の用途及び性能に応じて適宜選択すればよいが、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット及びサーフェシングマット等が挙げられる。基材の形状は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
基材の厚さは、特に制限されず、例えば、0.03〜0.5mmのものを使用することができる。
また、基材としては、シランカップリング剤等で表面処理したもの、並びに機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性、耐湿性、及び加工性の面から好適である。
化合物(I)又は樹脂組成物を含浸又は塗工した後の乾燥条件は、溶媒を除去できる条件であれば特に限定されないが、100〜200℃の温度で1〜30分加熱することが好ましく、樹脂組成物を用いる場合は、前記乾燥条件により半硬化(Bステージ化)させることが好ましい。
本発明の積層板は、本発明のプリプレグを積層成形してなるものである。
本発明の積層板は、例えば、本発明のプリプレグを、1〜20枚重ね、その片面又は両面に、銅、アルミニウム等の金属箔を配置した構成で積層成形することにより製造することができる。金属箔は、電気絶縁材料用積層板で用いるものであれば特に制限されない。
成形方法は、公知の電気絶縁材料用積層板及び多層板の製造方法を適用することができる。成形装置としては、例えば、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用することができる。成形条件としては、温度100〜250℃、圧力2〜100kg/cm2(1961〜98067hPa)、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。
また、本発明のプリプレグと内層用配線板とを組合せ、積層成形して、多層板を製造することもできる。
本発明のフィルムは、本発明の化合物(I)又は本発明の樹脂組成物を支持体に塗工してなるものである。
本発明のフィルムは、必要に応じて有機溶媒に溶解した本発明の化合物(I)又は本発明の樹脂組成物を、ダイコーター等を用いて支持体に塗布した後、加熱等を行い、支持体の一方の面に化合物(I)を層形成してなる樹脂層又は樹脂組成物を半硬化(Bステージ化)してなる樹脂組成物層を形成して、製造することができる。
加熱条件としては、特に限定されないが、樹脂層又は樹脂組成物層の有機溶剤の含有量が、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下となる条件である。具体的な加熱条件は、使用する有機溶媒等の種類に応じて適宜調整すればよく、例えば加熱温度が100〜200℃、加熱時間が1〜30分である。
本発明のフィルムの厚さは、特に限定されないが、回路基板が有する導体層の厚さが通常5〜70μmの範囲であることを考慮すると、好ましくは1〜200μmである。
なお、本発明のフィルムは、樹脂層又は樹脂組成物層を支持体から剥離したものであってもよい。
支持体の厚さは、特に限定されないが、好ましくは10〜150μm、より好ましくは25〜50μmである。
樹脂層又は樹脂組成物層の支持体が密着していない面には、保護フィルムを積層してもよい。保護フィルムを積層することにより、樹脂層又は樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着及びキズを防止することができる。
保護フィルムとしては、前記支持体と同様の各種プラスチックフィルムを使用することができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されないが、例えば1〜40μmである。製造後のフィルムは、ロール状に巻き取って貯蔵することもできる。
各実施例及び比較例で得られた化合物及び樹脂組成物は以下の条件により評価した。
各実施例及び比較例の反応溶液を約0.1g、KRS−5セル(ピアーオプティックス(株)製)に塗布し、反応溶液に含まれる溶媒を圧縮空気で揮発させ、セル上に反応物の薄膜を形成させた測定サンプルを得た。得られた測定サンプルをフーリエ変換赤外分光光度計(日本分光(株)製、商品名:FT/IR−6300)を用いて、以下の条件にて測定した。
<測定条件>
・測定領域:400−4000cm−1
・分解能: 4cm−1
・積算回数:32回
各実施例及び比較例で得られた化合物の重量平均分子量は、以下の条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
<検量線の作成方法>
検量線は、テトラヒドロフラン(以下、「THF」ともいう)を溶媒としたGPCを使用して、ポリスチレンを標準物質として作成した。検量線の作成にあたっては、標準ポリスチレンとして5サンプルセット(東ソー(株)製、商品名:PStQuickMP−H,PStQuick B)を用いた。
<測定条件>
・オートサンプラー:東ソー(株)製「AS−8020」(商品名)
・カラムオーブン:日本分光(株)製「860−C0」(商品名)
・RI検出器:日本分光(株)製「830−RI」(商品名)
・UV/VIS検出器:日本分光(株)製「870−UV」(商品名)
・HPLCポンプ:日本分光(株)製「880−PU」(商品名)
・カラム:東ソー(株)製「TSKgel SuperHZ2000,2300」(商品名)
・使用溶媒:THF
・測定温度:40℃
・流量:0.5ml/min
・試料濃度:50mg/THF5ml
・注入量:50μl
各実施例で得られた化合物を構成する構成単位は、原料の仕込みモル数から、下記式(9)で表される構造であると仮定した。
各種物性の評価に用いる樹脂板は、以下の方法により作製した。
各実施例及び比較例で得られた化合物及び樹脂組成物の溶液を卓上コータを用いて、PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名:G2、厚さ:50μm)上に50±5μmの厚さで塗布し、170℃で10分間、熱風乾燥機を用いて加熱乾燥させた。その後、PETフィルムから乾燥後の前記化合物又は樹脂組成物を剥離し、乳鉢を用いて微粉状にした。得られた化合物又は樹脂組成物の粉を50mm(幅)×50mm(長さ)、板厚500μmのテフロン(登録商標)製の成形枠の中に入れ、両側に銅箔(日本電解(株)製、商品名:GP、厚さ:12μm)の光沢面を配して、真空プレス装置を用いて成形した。プレス条件は、昇温速度10℃/min、加熱温度230℃、圧力2.0MPaとした。プレス後、成形枠から成形物を取り出し、50mm(幅)×50mm(長さ)×500μm(厚さ)の樹脂板を得た。
上記で得られた樹脂板を4mm(幅)×30mm(長さ)×500μm(厚さ)の大きさに切り出して、ガラス転移温度測定用の測定サンプルを作製した。得られた測定サンプルについて、動的粘弾性測定装置((株)ユービーエム製、商品名:E−4000)を用いて、以下の条件にて測定したtanδ(E”(損失弾性率)/E’(貯蔵弾性率))が極大値を示す温度をガラス転移温度として求めた。
<測定条件>
・測定モード:引張りモード
・測定温度:40〜350℃
・昇温速度:5℃/分
・周波数:10Hz
・チャック間距離:20mm
・測定雰囲気:空気
上記で得られた樹脂板を4mm(幅)×30mm(長さ)×500μm(厚さ)の大きさに切り出して、比誘電率及び誘電正接測定用の測定サンプルを作製した。得られた測定サンプルについて、比誘電率測定装置(Hewllet Packerd社製、商品名:HP4291B)を用いて、周波数1GHzでの比誘電率及び誘電正接を測定した。比誘電率及び誘電正接が低いほど、低誘電特性に優れる。
上記で得られた樹脂板を4mm(幅)×30mm(長さ)×500μm(厚さ)の大きさに切り出して、耐湿性評価用の測定サンプルを作製した。得られた測定サンプルに対して、130℃、85%RHで200時間、加熱吸湿処理を施した。処理後、表面の水分を拭き取り、上記の方法でガラス転移温度(Tg)を測定した。
吸湿処理前のTgをTgi、吸湿処理後のTgをTgfとし、吸湿処理前後のTgの比Tgf/Tgiを算出し、以下の基準で評価した。なお、Tgf/Tgiは値が高いほど、耐湿性に優れることを示す。
A:0.9≦Tgf/Tgi≦1.0
B:Tgf/Tgi<0.9
上記で得られた樹脂板を25mm(幅)×25mm(長さ)×500μm(厚さ)の大きさに切り出して、吸湿はんだ耐熱性評価用の測定サンプルを作製した。得られた測定サンプルに対して、プレッシャークッカー試験装置((株)平山製作所製)を用いて、121℃、2atmの条件で5時間、プレッシャークッカー処理を行った。その後、温度288℃のはんだ浴に、測定サンプルを20秒間浸漬し、外観を目視で観察した。
(分子内にイミド基及びカルボジイミド基を有する化合物(I−1)の製造)
温度計、撹拌装置、及び還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、下記式(10)で表される4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(和光純薬工業(株)製、イソシアネート基当量;125g/mol)182g、下記式(11)で表される3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(和光純薬工業(株)製、無水物環当量;161g/mol)118g、シクロヘキサノン700g、及びイソシアネートマスク型イミダゾール(第一工業製薬(株)製:商品名:G−8009L、分子量388.5)0.00283g(無水物環に対して、0.001モル%相当)を投入した。なお、イソシアネート基と無水物環との当量比(イソシアネート基/無水物環)は2.0である。
その後、イシアネート基由来のピーク強度をI1、2939cm−1付近に観測されるベンゼン環由来のピーク強度をI2、反応初期のI1/I2の値をZi、所定時間経過後のI1/I2の値をZfとすると、2時間反応後にZf/Ziが0.5になったことを確認し、室温に冷却して、下記式(12)で表されるイミド変性イソシアネート化合物(A−1)の溶液を得た。
次いで、撹拌しながら80℃に昇温し、N2ガスを0.1L/minで流通させながら、80℃でカルボジイミド化反応を行った。反応中、0.5時間毎に反応溶液のサンプリングを行い、FT−IR測定により、2275cm−1付近に観測されるイソシアネート基由来のピーク強度が減少すること、及び2135cm−1付近に観測されるカルボジイミド基由来のピーク強度が増加することを確認した。4時間経過後に、イソシアネート基由来のピークが消失したことを確認し、室温に冷却して、下記式(13)で表される構成単位を含有する、分子内にイミド基及びカルボジイミド基を有する化合物(I−1)の溶液を得た。
FT−IR測定における、カルボジイミド基とイミド基とのピーク強度比(カルボジイミド基/イミド基)は、1.0であった。また、GPC測定により求められた重量平均分子量は8,300であり、化合物(I−1)1分子中に含まれる下記式(13)で表される構成単位のモル数mは12であった。
(分子内にイミド基及びカルボジイミド基を有する化合物(I−2)の製造)
温度計、撹拌装置、及び還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、上記式(10)で表される4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート187g、下記式(14)で表される1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン(新日本理化(株)製、商品名:リカシッド(登録商標)TDA−100、無水物環当量:150g/mol)113g、シクロヘキサノン700g、及びイソシアネートマスク型イミダゾール(第一工業製薬(株)製:商品名:G−8009L、分子量388.5)0.73g(無水物環に対し0.25モル%相当)を投入した。なお、イソシアネート基と無水物環との当量比(イソシアネート基/無水物環)は2.0である。
次いで、実施例1と同様の条件でカルボジイミド化反応を行った。5時間経過後に、イソシアネート基由来のピークが消失したことを確認し、室温に冷却して、下記式(16)で表される構成単位を含有する、分子内にイミド基及びカルボジイミド基を有する化合物(I−2)の溶液を得た。
FT−IR測定における、カルボジイミド基/イミド基のピーク強度比は、0.9であった。またGPC測定により求められた重量平均分子量は6,000であり、化合物(I−2)1分子中に含まれる下記式(16)で表される構成単位のモル数mは9であった。
(化合物(I−1)とエポキシ樹脂とを含有する樹脂組成物の製造)
温度計、撹拌装置、及び還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、上記で得られた分子内にイミド基及びカルボジイミド基を有する化合物(I−1)の溶液667g(固形分:200g)と、下記式(17)で表される構成単位を有するナフトールアラルキルクレゾール共重合型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名:NC−7000L、エポキシ当量:230g/mol)200gを投入した。次いで、100℃に昇温し、樹脂が溶解するまで100℃で撹拌を続けた。その後、室温に冷却し、分子内にイミド基及びカルボジイミド基を有する化合物(I−1)とエポキシ樹脂とを含有する樹脂組成物の溶液を得た。
(化合物(I−1)とシアネート樹脂とを含有する樹脂組成物の製造)
実施例3において、ナフトールアラルキルクレゾール共重合型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名:NC−7000L、エポキシ当量:230g/mol)200gを、下記式(18)で表される構成単位を有するフェノールノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン(株)製、商品名:Primaset PT−30、シアネート基当量:129g/mol)200gに変更した以外は、実施例3と同様にして、分子内にイミド基及びカルボジイミド基を有する化合物(I−1)とシアネート樹脂とを含有する樹脂組成物の溶液を得た。
(化合物(I−1)とマレイミド化合物とを含有する樹脂組成物の製造)
温度計、撹拌装置、及び還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、上記で得られた分子内にイミド基及びカルボジイミド基を有する化合物(I−1)の溶液667g(固形分:200g)、下記式(19)で表される2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(大和化成(株)製、商品名:BMI−4000、イミド基当量:285g/mol)200gを投入した。次いで、110℃に昇温し、樹脂が溶解するまで110℃で撹拌を続けた。その後、室温に冷却し、分子内にイミド基及びカルボジイミド基を有する化合物(I−1)とマレイミド化合物とを含有する樹脂組成物の溶液を得た。
(ポリカルボジイミド化合物(II−1)の製造)
温度計、撹拌装置、及び還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、上記式(10)で表される4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート800g、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド6.16g(イソシアネート基に対し0.5モル%相当)、及びフェニルイソシアネート91.6g(イソシアネート基に対し12モル%相当)を投入した。
次いで、撹拌しながら80℃に昇温し、N2ガスを0.1L/minで流通させながら、80℃でカルボジイミド化反応を行った。反応中0.5時間毎に反応溶液のサンプリングを行い、FT−IR測定により、2275cm−1付近に観測されるイソシアネート基由来のピーク強度が減少すること、及び2135cm−1付近に観測されるカルボジイミド基由来のピーク強度が増加することを確認した。4時間経過後に、イソシアネート基由来のピークが消失したことを確認し、室温に冷却して、ポリカルボジイミド化合物(II−1)の溶液を得た。
(化合物(II−1)とエポキシ樹脂とを含有する樹脂組成物の製造)
温度計、撹拌装置、及び還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、上記の化合物(II−1)の溶液667g(固形分:200g)、上記式(17)で表される構成単位を有するナフトールアラルキルクレゾール共重合型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名:NC−7000L、エポキシ当量:230g/mol)200gを投入した。次いで、100℃に昇温し、樹脂が溶解するまで100℃で撹拌を続けた。その後、室温に冷却し、ポリカルボジイミド化合物(II−1)とエポキシ樹脂とを含有する樹脂組成物の溶液を得た。
(ポリイミド化合物(II−2)の製造)
温度計、撹拌装置、及び還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、上記式(19)で表される2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン500g、p−ベンゾキノンのトリ−n−ブチルホスフィン付加反応物(黒金化成(株)製、商品名:TBP2)2.50g(マレイミド化合物に対し0.5質量%相当)、並びにプロピレングリコールモノメチルエーテル500gを投入した。
次いで、撹拌しながら110℃に昇温し、N2ガスを0.1L/minで流通させながら、110℃で4時間反応を行い、室温に冷却して、ポリイミド化合物(II−2)の溶液を得た。GPC測定により求められた重量平均分子量は7,000であった。
(ポリイミド化合物(II−2)とエポキシ樹脂とを含有する樹脂組成物の製造)
温度計、撹拌装置、及び還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、上記の化合物(II−2)の溶液400g(固形分:200g)、上記式(17)で表される構成単位を有するナフトールアラルキルクレゾール共重合型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名:NC−7000L、エポキシ当量:230g/mol)200g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル200gを投入した。次いで、100℃に昇温し、樹脂が溶解するまで100℃で撹拌を続けた。その後、室温に冷却し、ポリイミド化合物(II−2)とエポキシ樹脂とを含有する樹脂組成物の溶液を得た。
Claims (12)
- 分子内にイミド基及びカルボジイミド基を有する化合物。
- 前記一般式(1)で表される構成単位を、1分子中に1〜200モル有する、請求項2に記載の化合物。
- 前記一般式(2)で表される構成単位を、1分子中に1〜200モル有する、請求項4に記載の化合物。
- 前記一般式(3)で表される構成単位を、1分子中に1〜200モル有する、請求項6に記載の化合物。
- 1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(a)と、1分子中に2個以上の無水物環を有する酸無水物(b)とを、塩基性下で脱炭酸縮合反応させることにより、イミド基変性イソシアネート化合物(A)を得る工程1と、
該イミド基変性イソシアネート化合物(A)が有するイソシアネート基同士を脱炭酸縮合反応させ、分子内にイミド基及びカルボジイミド基を有する化合物を得る工程2とを有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物の製造方法。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物と、エポキシ化合物、シアネート化合物、及びマレイミド化合物から選ばれる1種以上の熱硬化性化合物とを含有する、樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物、又は請求項9に記載の樹脂組成物を基材に含浸又は塗工してなるプリプレグ。
- 請求項10に記載のプリプレグを積層成形してなる積層板。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物、又は請求項9に記載の樹脂組成物を支持体に塗工してなるフィルム。
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JP2014209321A JP2016079220A (ja) | 2014-10-10 | 2014-10-10 | 分子内にイミド基及びカルボジイミド基を有する化合物、該化合物の製造方法、樹脂組成物、プリプレグ、積層板及びフィルム |
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- 2014-10-10 JP JP2014209321A patent/JP2016079220A/ja active Pending
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