JP2016079147A - 水性分散体組成物及びそれを含有する化粧料、塗料、インク - Google Patents
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Abstract
【課題】界面活性剤などの分散安定剤の添加によって引き起こされる形成皮膜の耐水性の低下を防ぎ、かつ、分散性、分散安定性に優れた水性分散体組成物及びそれを含有する化粧料、塗料、インクを提供することを目的とし、特に該水性分散体組成物を化粧料に用いる場合は、水分保持能、密着性、抗ウイルス活性、抗酸化作用、感触、使用感に優れる化粧料を提供する。【解決手段】水性分散体組成物は、(a)淡水性藍藻類であるスイゼンジノリを由来とするスイゼンジノリ多糖体及び(b)顔料粉体を含有してなるものとする。該水性分散体組成物を配合することで目的とする化粧料、塗料、インクを得る。【選択図】なし
Description
本発明は、界面活性剤を分散安定剤として使用せず、淡水性藍藻類であるスイゼンジノリ(Aphanothece sacrum)由来のスイゼンジノリ多糖体を添加することで得られる顔料粉体の水性分散体組成物とそれを含有する化粧料、塗料、インクに関するものである。
従来、淡水性藍藻類であるスイゼンジノリを由来とする多糖体は、例えば特許文献1および非特許文献1で記載されているとおり、分子量16,000,000という巨大な高分子であり、純水に対して5700倍以上の重量比吸収率を示し、この値はヒアルロン酸に比べ約5倍の吸水性である。そして、生理食塩水に対して3300倍以上の重量比吸収率が確認されており、純水に対する吸収率と生理食塩水に対する吸収率の比が約0.57以上の値を示すほど該多糖体は優れた吸溶媒性、吸水性、保湿性、保水性を示すことが知られている。
また、非特許文献2により、抗ウイルス活性は、分子量が高いほど、また硫酸化度が高いほど優れていると報告されている。さらに、特許文献1,2および非特許文献1〜3により、上記に示した特性により淡水性藍藻類スイゼンジノリには抗酸化作用、抗アレルギー活性が報告されている。
さらに、特許文献4に記載されているように、淡水性藍藻類であるスイゼンジノリを由来とする多糖体の水溶液は、その高い粘性から、この水溶液に不溶性なカーボンナノチューブ等を安定に分散できることが知られているが、化粧料用、塗料用、インク用等の粉体の水性分散体組成物に関する記述はない。
顔料粉体の水性分散体組成物を作製する際には、各種の界面活性剤を分散安定剤として添加することが一般的であるが、過剰な界面活性剤は、製品の最終形態で様々な問題を引き起してしまうことがある。特に化粧料の場合には、化粧料に配合される多価アルコールのような溶剤とのソルベントショックによる沈降現象が生じたり、親水性が高くなって形成皮膜の耐水性が劣ることにより、マスカラなどでは、いわゆる化粧落ちが激しいものになったりするなどの問題点があった。さらに、特許文献3で使用されている非イオン系界面活性剤には、皮膚刺激や目刺激を起こすものや生分解性が低いものもあり、環境負荷や人体に対しての安全性の観点から問題がある場合があった。
Macromolecules,41(12)(2008)
"Ecotoxicology and Environmental Safety "の45巻208〜227貢(2000年)D.J.Shaeffel,V.S.Krylov
椛田聖考 「大地の恵み、地下水、湧水の恩恵と将来」 第13回水環境学会市民セミナー講演資料集 29項 (2004年)
本発明は、前述のような問題点に鑑みてなされたもので、界面活性剤などの分散安定剤の添加によって引き起こされる形成皮膜の耐水性の低下を防ぎ、かつ、分散性、分散安定性に優れた水性分散体組成物及びそれを含有する化粧料、塗料、インクを提供することを目的とし、特に該水性分散体組成物を化粧料に用いる場合は、水分保持能、密着性、抗ウイルス活性、抗酸化作用、感触、使用感に優れる化粧料を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、顔料粉体の水性分散体組成物を作製する際に、一般的な界面活性剤を添加するのではなく、水分保持能、密着性、抗ウイルス活性、抗酸化作用に優れた淡水性藍藻類であるスイゼンジノリを由来とするスイゼンジノリ多糖体を添加することで、界面活性剤の添加による形成皮膜の耐水性の低下を防ぐことができ、かつ、分散性、分散安定性に優れた化粧料、塗料、インク用の粉体の水性分散体組成物が得られることを見出した。また、これを含有する化粧料では特に、上記特徴に加え、水分保持能、密着性、抗ウイルス活性、抗酸化作用、感触、使用感に優れることを見出した。
要するに、前記目的を達成するために、第1発明による水性分散体組成物は、
(a)淡水性藍藻類であるスイゼンジノリを由来とするスイゼンジノリ多糖体及び
(b)顔料粉体
を含有してなることを特徴とするものである。
(a)淡水性藍藻類であるスイゼンジノリを由来とするスイゼンジノリ多糖体及び
(b)顔料粉体
を含有してなることを特徴とするものである。
第1発明において、実質的に界面活性剤を含有しないのが好ましい(第2発明)。
次に、第3発明による化粧料は、
第1発明または第2発明に係る水性分散体組成物を含有することを特徴とするものである。
第1発明または第2発明に係る水性分散体組成物を含有することを特徴とするものである。
また、第4発明による塗料は、
第1発明または第2発明に係る水性分散体組成物を含有することを特徴とするものである。
第1発明または第2発明に係る水性分散体組成物を含有することを特徴とするものである。
また、第5発明によるインクは、
第1発明または第2発明に係る水性分散体組成物を含有することを特徴とするものである。
第1発明または第2発明に係る水性分散体組成物を含有することを特徴とするものである。
本発明の水性分散体組成物によれば、スイゼンジノリ多糖体と顔料粉体とが含有されることによって、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などの界面活性剤を用いることなく、顔料粉体を水溶媒中に安定に分散させることが可能であるため、界面活性剤の添加による、化粧料、塗料またはインクなどの耐水性の悪化を生じない水性分散体組成物を得ることができる。また、これを含有する化粧料の場合では特に、水分保持能、密着性、抗ウイルス活性、抗酸化作用に優れた淡水性藍藻類であるスイゼンジノリを由来とするスイゼンジノリ多糖体を添加することから、保湿効果、感触、肌への付着性・親和性、化粧もち改善効果に優れた化粧料を提供することができる。
次に、本発明による水性分散体組成物及びそれを含有する化粧料、塗料、インクの具体的な実施の形態について以下に説明する。
本発明における水性分散体組成物とは、一般的に用いられる界面活性剤などの分散剤を用いることなく、淡水性藍藻類であるスイゼンジノリを由来とする多糖体を添加して作製することを特徴とする顔料粉体の水性分散体組成物である。
ここで、本発明における水性分散体組成物で用いる(a)淡水性藍藻類であるスイゼンジノリを由来とする多糖体とは、前記特許文献1に記載の方法により抽出されたものであって、平均分子量が2,000,000以上であり、ヘキソース構造を持つ糖構造体およびペントース構造を持つ糖構造体がα−グリコシド結合または、β−グリコシド結合により直鎖状または分岐鎖状に連結した糖鎖ユニットの繰り返し結合を持ち、前記糖鎖ユニットが糖構造として乳酸化された硫酸化糖を含み、かつ、前記糖鎖ユニットにおいては、水酸基100個当たり2.7個以上水酸基が硫酸化され、あるいは全元素中で硫黄元素が1.5質量%以上占める多糖体である。
前記スイゼンジノリ多糖体は、水溶液中で棒状(棒状らせん状)の構造をとると考えられている。それは、重量平均分子量が約16,000,000のスイゼンジノリ多糖体水溶液の濃度が、0.2%以上で液晶構造をとるためである。液晶構造を確認するためには、所定の濃度で水溶液を調製し、その溶液を直交偏光系で光をあてて観察する。このとき、直交偏光系で光をあてたときに明るく光り、虹色の輝きを確認したとき、液晶構造をとっていると言える。これは、液晶構造による複屈折カラーである。スイゼンジノリ多糖体ではこのように液晶構造が、0.2質量%以上の水溶液で発現するため、その分子は、棒状(棒状らせん状)であると言える。
また、本発明における水性分散体組成物で用いる(b)顔料粉体としては従来公知のものが使用でき、その形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、鱗片状、紡錘状等)、粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)および粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができる。具体的には、無機粉体としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ等が挙げられる。
有機粉体としては、例えば、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、シリコーンレジンパウダー、シリコーンエラストマー粉体、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、アクリルパウダー、アクリルエラストマー、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末、ラウロイルリジン等が挙げられる。
界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等が挙げられる。
有色顔料としては、例えば、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、微粒子酸化チタン、微粒子酸化セリウム、微粒子酸化亜鉛等の微粒子粉体、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、およびこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体等が挙げられる。
パール顔料としては、例えば、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等が挙げられる。
金属粉末顔料としては、例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等から選ばれる粉体が挙げられる。
タール色素としては、例えば、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等が挙げられる。
天然色素としては、例えば、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等から選ばれる顔料が挙げられる。
さらに、インク用色素成分としては、一般的な、染料や有機顔料を用いることができ、具体的な染料としては、例えば、アシッドイエロー17、アシッドイエロー23、アシッドイエロー73、アシッドイエロー79、ダイレクトイエロー86等のイエロー染料、アシッドレッド1、アシッドレッド8、アシッドレッド14、アシッドレッド37、アシッドレッド52、アシッドレッド87、アシッドレッド92、アシッドレッド103、アシッドレッド289、リアクティブレッド4等のマゼンタ染料、アシッドブルー9、アシッドブルー87、アシッドブルー92、リアクティブブルー15、ダイレクトブルー86等のシアン染料、アシッドブラック2、ダイレクトブラック22、ダイレクトブラック154、フードブラック2等のブラック染料等を挙げることができ、また、有機顔料としては、例えば、アニリンブラック、ファーストイエロー、ジスアゾイエロー、パーマネントオレンジ、リゾールレッド、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ブリリアントカーミン6B、カーミン3B、コバルトバイオレット、メチルバイオレットレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、フタロシアニングリーン等を挙げることができる。
また、これらの粉末は従来公知の各種の表面処理が施されていてもいなくても構わない。表面処理の例としては、例えば、アクリルシリコーン処理、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、シリコーンレジン処理、オクチルトリエトキシシラン処理、N−アシル化リジン処理、有機チタネート処理、シリカ処理、アルミナ処理、セルロース処理、パーフルオロポリエーテル処理、フッ素化シリコーンレジン処理など親水性、親油性、撥水性の各種の処理を用いることが可能である。
なお、本発明で用いられるスイゼンジノリ多糖体を当該粉体の表面処理剤として用いて、例えば、スイゼンジノリ多糖体と粉体とを分散させたスラリーを混合して粘性スラリーにした後、該粘性スラリーを凍結乾燥して粉砕するか、噴霧乾燥するという特開2013−82649号公報に記載の方法で表面処理された顔料粉体を使用することも可能であり、その場合、本発明における水性分散体組成物の効果が発揮されやすい。
なお、本発明で用いられるスイゼンジノリ多糖体を当該粉体の表面処理剤として用いて、例えば、スイゼンジノリ多糖体と粉体とを分散させたスラリーを混合して粘性スラリーにした後、該粘性スラリーを凍結乾燥して粉砕するか、噴霧乾燥するという特開2013−82649号公報に記載の方法で表面処理された顔料粉体を使用することも可能であり、その場合、本発明における水性分散体組成物の効果が発揮されやすい。
本発明においては、さらに、乾燥防止剤、pH調整剤、防腐剤、防カビ剤などを適時添加しても良い。例えば、乾燥防止、湿潤調整剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール類、あるいはエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコールアルキルエーテル類が挙げられる。
また、本発明で添加する淡水性藍藻類であるスイゼンジノリを由来とする多糖体の配合量としては、水性分散体組成物全量に対して、3質量%以上では、粘度が高すぎて顔料粉体を分散させることが困難であるし、0.001質量%以下では顔料粉体を安定に分散させるのには不十分な量であることから、0.001〜3質量%の間であることが必要であり、0.01〜1質量%の間であることがより好ましい。
本発明で分散させる顔料粉体の配合量であるが、水性分散体組成物全量に対して、1質量%以下では、少なすぎて用途が限定されるし、60質量%以上では激しく増粘してしまい、分散体として成り立たなくなってしまうため、1〜60質量%の間であることが必要であり、好ましくは、10〜50質量%の間であり、より好ましくは、20〜40質量%の間である。
また、防腐剤、防カビ剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、サリチル酸、石炭酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、トリクロサン、デヒドロ酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
次に、本発明の水性分散体組成物を調製する方法としては、顔料粉体を微粒子化できる湿式分散機を用いるのが好ましく、例えば、ホモミキサー、ディスパー、ニーダー、ロールのような分散機や、ボールミル、ロールミル、サンドグラインドミル等の各種メディアミル、マイクロフルイタイザー、ナノマイザー、アルテマイザー等の高圧解砕機等が使用できる。このような装置を用いて、分散混合することで、顔料粉体の凝集がなく、かつ経時安定性の高い水性分散体組成物を得ることができる。
本発明の水性分散体組成物を化粧料に使用する場合、通常の化粧料に使用される固体、半固体、液状の油剤、水、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、界面活性剤、油溶性ゲル化剤、水溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、樹脂、粉体、紫外線吸収剤、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等を添加することができる。
ここで、化粧料としては、化粧水、乳液、クリーム、パック、マッサージ料、リップクリーム、ハンドクリーム、洗浄剤等のスキンケア料、ファンデーション、メイクアップ下地、頬紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料等を例示することができる。
また、本発明の水性分散体組成物を塗料に使用する場合、合成樹脂バインダーとして、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、アクリル酸エステル系樹脂エマルジョン、バーサチック酸ビニル系樹脂エマルジョン、エチレン系樹脂エマルジョン等を添加することができる。
さらに、本発明の水性分散体組成物をインクに使用する場合、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー等の色を与える公知の色素成分として用いられるもの等を好適に使用することができる。
次に、本発明による顔料粉体の水性分散体組成物及び化粧料の実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(スイゼンジノリ由来多糖体水溶液の製造例)
特許文献1に記載されている方法によりスイゼンジノリから多糖体の抽出を行った。光散乱法により分子量を測定したところ分子量16,000,000であり、同一であることを確認した。さらに、該多糖体2gを精製水998gに加え、ホモミキサーを用いて、60℃で1時間、10000rpmで攪拌、溶解させ、スイゼンジノリ由来多糖体水溶液とした。
特許文献1に記載されている方法によりスイゼンジノリから多糖体の抽出を行った。光散乱法により分子量を測定したところ分子量16,000,000であり、同一であることを確認した。さらに、該多糖体2gを精製水998gに加え、ホモミキサーを用いて、60℃で1時間、10000rpmで攪拌、溶解させ、スイゼンジノリ由来多糖体水溶液とした。
(スイゼンジノリ由来多糖体被覆粉体の製造例)
スイゼンジノリ由来多糖体0.0005gと精製水200gとを攪拌機を用い混合溶解し、そこに赤酸化鉄(チタン工業製)100gを投入し、300rpmで混合し10分間攪拌を行うことで粘性スラリーとした。この粘性スラリーを凍結乾燥した後、ハンマーミルで粉砕を行いスイゼンジノリ由来多糖体被覆粉体を得た。黒酸化鉄(チタン工業製)についても同様の方法で被覆粉体を得た。
スイゼンジノリ由来多糖体0.0005gと精製水200gとを攪拌機を用い混合溶解し、そこに赤酸化鉄(チタン工業製)100gを投入し、300rpmで混合し10分間攪拌を行うことで粘性スラリーとした。この粘性スラリーを凍結乾燥した後、ハンマーミルで粉砕を行いスイゼンジノリ由来多糖体被覆粉体を得た。黒酸化鉄(チタン工業製)についても同様の方法で被覆粉体を得た。
(製造実施例1)
スイゼンジノリ由来多糖体水溶液、精製水を重量比3:1で予備混合する。そこへ、赤酸化鉄(チタン工業製)を分散体全量に対して30質量%となるように添加し、さらに防腐剤としてフェノキシエタノールを微量添加する。これを、平羽を取り付けた攪拌機を用いて予備混合した後、ガラスビーズを添加し、分散混合を行った。分散混合後、ガラスビーズを金網でこしとり、水性分散体組成物を得た。
スイゼンジノリ由来多糖体水溶液、精製水を重量比3:1で予備混合する。そこへ、赤酸化鉄(チタン工業製)を分散体全量に対して30質量%となるように添加し、さらに防腐剤としてフェノキシエタノールを微量添加する。これを、平羽を取り付けた攪拌機を用いて予備混合した後、ガラスビーズを添加し、分散混合を行った。分散混合後、ガラスビーズを金網でこしとり、水性分散体組成物を得た。
(製造実施例2)
スイゼンジノリ由来多糖体水溶液、精製水を重量比3:1で予備混合する。そこへ、黒酸化鉄(チタン工業製)を分散体全量に対して40質量%となるように添加し、さらに防腐剤としてフェノキシエタノールを微量添加する。これを、平羽を取り付けた攪拌機を用いて予備混合した後、ガラスビーズを添加し、分散混合を行った。分散混合後、ガラスビーズを金網でこしとり、水性分散体組成物を得た。
スイゼンジノリ由来多糖体水溶液、精製水を重量比3:1で予備混合する。そこへ、黒酸化鉄(チタン工業製)を分散体全量に対して40質量%となるように添加し、さらに防腐剤としてフェノキシエタノールを微量添加する。これを、平羽を取り付けた攪拌機を用いて予備混合した後、ガラスビーズを添加し、分散混合を行った。分散混合後、ガラスビーズを金網でこしとり、水性分散体組成物を得た。
(製造実施例3)
赤酸化鉄に代えて、上記スイゼンジノリ由来多糖体被覆粉体の製造例で得られたスイゼンジノリ由来多糖体被覆赤酸化鉄を用いた以外は製造実施例1と同様にして水性分散体組成物を得た。
赤酸化鉄に代えて、上記スイゼンジノリ由来多糖体被覆粉体の製造例で得られたスイゼンジノリ由来多糖体被覆赤酸化鉄を用いた以外は製造実施例1と同様にして水性分散体組成物を得た。
(製造実施例4)
黒酸化鉄に代えて、上記スイゼンジノリ由来多糖体被覆粉体の製造例で得られたスイゼンジノリ由来多糖体被覆黒酸化鉄を用いた以外は製造実施例2と同様にして水性分散体組成物を得た。
黒酸化鉄に代えて、上記スイゼンジノリ由来多糖体被覆粉体の製造例で得られたスイゼンジノリ由来多糖体被覆黒酸化鉄を用いた以外は製造実施例2と同様にして水性分散体組成物を得た。
(製造比較例1)
分散体全量に対して、赤酸化鉄30質量%、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量=6,000)3質量%、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB=17)3質量%、フェノキシエタノール微量、精製水64質量%を混合する。これを、平羽を取り付けた攪拌機を用いて予備混合した後、ガラスビーズを添加し、分散混合を行った。分散混合後、ガラスビーズを金網でこしとり、水性分散体組成物を得た。
分散体全量に対して、赤酸化鉄30質量%、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量=6,000)3質量%、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB=17)3質量%、フェノキシエタノール微量、精製水64質量%を混合する。これを、平羽を取り付けた攪拌機を用いて予備混合した後、ガラスビーズを添加し、分散混合を行った。分散混合後、ガラスビーズを金網でこしとり、水性分散体組成物を得た。
(製造比較例2)
分散体全量に対して、黒酸化鉄40質量%、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量=6,000)3質量%、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB=17)3質量%、フェノキシエタノール微量、精製水54%を混合する。これを、平羽を取り付けた攪拌機を用いて予備混合した後、ガラスビーズを添加し、分散混合を行った。分散混合後、ガラスビーズを金網でこしとり、水性分散体組成物を得た。
分散体全量に対して、黒酸化鉄40質量%、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量=6,000)3質量%、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB=17)3質量%、フェノキシエタノール微量、精製水54%を混合する。これを、平羽を取り付けた攪拌機を用いて予備混合した後、ガラスビーズを添加し、分散混合を行った。分散混合後、ガラスビーズを金網でこしとり、水性分散体組成物を得た。
(製造比較例3)
分散体全量に対して、赤酸化鉄30質量%、フェノキシエタノール微量、精製水70質量%を混合する。これを、平羽を取り付けた攪拌機を用いて予備混合した後、ガラスビーズを添加し、分散混合を行った。分散混合後、ガラスビーズを金網でこしとり、水性分散体組成物を得た。
分散体全量に対して、赤酸化鉄30質量%、フェノキシエタノール微量、精製水70質量%を混合する。これを、平羽を取り付けた攪拌機を用いて予備混合した後、ガラスビーズを添加し、分散混合を行った。分散混合後、ガラスビーズを金網でこしとり、水性分散体組成物を得た。
(製造比較例4)
分散体全量に対して、黒酸化鉄40質量%、フェノキシエタノール微量、精製水60%を混合する。これを、平羽を取り付けた攪拌機を用いて予備混合した後、ガラスビーズを添加し、分散混合を行った。分散混合後、ガラスビーズを金網でこしとり、水性分散体組成物を得た。
分散体全量に対して、黒酸化鉄40質量%、フェノキシエタノール微量、精製水60%を混合する。これを、平羽を取り付けた攪拌機を用いて予備混合した後、ガラスビーズを添加し、分散混合を行った。分散混合後、ガラスビーズを金網でこしとり、水性分散体組成物を得た。
本発明による界面活性剤を含有しない、水性分散体組成物は、界面活性を用いて作製した製造比較例1,2の水性分散体組成物と大差なく安定な分散性を示すことが明らかになった。また、精製水と粉体のみから作製した製造比較例3,4の水性分散体では、粉体が沈降してしまうことから、スイゼンジノリ多糖体が、粉体の水性溶媒への安定な分散に効果を発揮することは明らかである。
製造実施例1,2,3,4または、製造比較例1,2で作製した水性分散体組成物に加え、皮膜形成剤、増粘剤、乾燥防止剤、防腐剤等を配合して、表2の処方で下記製造方法に従いアイライナーを得た。なお、表2中の単位は質量%である。
(注1):DAITOSOL 5000STY(大東化成工業)
製造方法:
成分Bを、均一に溶解した成分Aに加え、次いで成分Cも成分Aに除々に加えてよく混合した後、ペン型容器に充填して製品を得た。
製造方法:
成分Bを、均一に溶解した成分Aに加え、次いで成分Cも成分Aに除々に加えてよく混合した後、ペン型容器に充填して製品を得た。
得られた二種類のブラウン色のアイライナーに関して女性パネラー10人を用いて、官能評価を行った。化粧もち、みずみずしさ、つきの良さの3つの項目に関して、1〜5点の間で評価をしてもらいその平均値を表3に記載した。点数の付け方に関しては、評価が良い場合には高い点数を、悪い場合には低い点数で評価を行った。すなわち高得点であるほど、その化粧料は、品質の高いものであると考えることができる。
表3から、淡水性藍藻類であるスイゼンジノリを由来とした多糖体を用いて作製した水性分散体を配合した実施例1,2のアイライナーは、界面活性剤を添加し作製した水性分散体を配合した比較例1のアイライナーよりも、化粧もち、みずみずしさ、つきの良さの全てにおいて優れることが分かった。
上記結果から明らかなように、本発明の化粧料、塗料、インク用等の一般粉体の水性分散体組成物は界面活性剤などの分散安定剤を含有しないため、形成皮膜の耐水性の低下を防ぐことができ、かつ、分散性、分散安定性に優れた特性を示すことから、化粧料、塗料、インク等の用途に好適に用いることができる。
また、分散安定剤の代わりに水分保持能、密着性、抗ウイルス活性、抗酸化作用に優れた淡水性藍藻類であるスイゼンジノリを由来とする多糖体を用いるため、化粧料に含有させた場合には、上記特性に加え、保湿効果、感触、肌への付着性・親和性、化粧もち改善効果を得ることができることから、ファンデーション、アイシャドウ、アイライナー、どのメイクアップ化粧料、サンスクリーン化粧料または乳液、クリーム等の基礎化粧品に用いて、より好適である。
また、分散安定剤の代わりに水分保持能、密着性、抗ウイルス活性、抗酸化作用に優れた淡水性藍藻類であるスイゼンジノリを由来とする多糖体を用いるため、化粧料に含有させた場合には、上記特性に加え、保湿効果、感触、肌への付着性・親和性、化粧もち改善効果を得ることができることから、ファンデーション、アイシャドウ、アイライナー、どのメイクアップ化粧料、サンスクリーン化粧料または乳液、クリーム等の基礎化粧品に用いて、より好適である。
Claims (5)
- (a)淡水性藍藻類であるスイゼンジノリを由来とするスイゼンジノリ多糖体及び
(b)顔料粉体
を含有してなることを特徴とする水性分散体組成物。 - 実質的に界面活性剤を含有しないことを特徴とする請求項1に記載の水性分散体組成物。
- 請求項1または2に記載の水性分散体組成物を含有することを特徴とする化粧料。
- 請求項1または2に記載の水性分散体組成物を含有することを特徴とする塗料。
- 請求項1または2に記載の水性分散体組成物を含有することを特徴とするインク。
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KR101812619B1 (ko) * | 2017-04-21 | 2017-12-27 | 양근영 | 친환경 도료 조성물 |
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-
2014
- 2014-10-21 JP JP2014214178A patent/JP2016079147A/ja active Pending
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