JP2016079145A - イソブタノールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕
ヒドロキシアパタイトの存在下、エタノール及びプロパノールからなる群より選ばれる少なくとも一種と、メタノールと、を反応させてイソブタノールを生成させる反応工程を有し、
該反応工程においては、(メタノールのモル数)/(エタノール及びプロパノールからなる群より選ばれる少なくとも一種のモル数)で表される比率が、2.0〜15である、
イソブタノールの製造方法。
〔2〕
前記ヒドロキシアパタイトが、組成式
Ca10-x(PO4)6(OH)2-2x
で示され、ただし、前記組成式中、xは−0.80以上0.40以下であり、
前記組成式中のCa/Pで表されるモル比が、1.60〜1.80である、前項〔1〕に記載のイソブタノールの製造方法。
〔3〕
前記ヒドロキシアパタイトが、酸素含有雰囲気下、200〜800℃で焼成したものである、前項〔1〕又は〔2〕に記載のイソブタノールの製造方法。
〔4〕
前記反応工程において、エタノール又はプロパノールの重量空間速度が、0.030〜1.0hr-1である、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のイソブタノールの製造方法。
〔5〕
前記反応工程において、反応温度が、350〜500℃である、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のイソブタノールの製造方法。
本実施形態のイソブタノールの製造方法は、ヒドロキシアパタイトの存在下、エタノール及びプロパノールからなる群より選ばれる少なくとも一種と、メタノールと、を反応させてイソブタノールを生成させる反応工程を有し、該反応工程においては、(メタノールのモル数)/(エタノール及びプロパノールからなる群より選ばれる少なくとも一種のモル数)で表される比率が、2.0〜15である。
反応工程は、ヒドロキシアパタイトの存在下、エタノール及びプロパノールからなる群より選ばれる少なくとも一種と、メタノールと、を反応させてイソブタノールを生成させる工程である。
ヒドロキシアパタイトとしては、特に限定されないが、例えば、下記組成式で表されるヒドロキシアパタイトが好ましい。ヒドロキシアパタイトは、一般的には、化学式Ca10(PO4)6(OH)2で示されるCa/Pモル比が1.67のものである。しかし、Caが欠損する等によりCa/Pモル比が変動し得る。下記組成式中のCa/Pで表されるモル比は、好ましくは1.60〜1.80であり、より好ましくは1.65〜1.75である。Ca/Pモル比が上記範囲内であることにより、原料アルコールの転化率及びイソブタノールの選択率がより向上し、反応成績の安定性がより向上する傾向にある。
組成式: Ca10-x(PO4)6(OH)2-2x
なお、式中、xは−0.80以上0.40以下である。
反応工程においては、エタノール及びプロパノールからなる群より選ばれる少なくとも一種と、メタノールとを用いる。これらを併せて原料アルコールともいう。原料アルコールの組合せとしては、エタノール及びメタノールの組合せ、プロパノール及びメタノールの組合せ、並びに、エタノール、プロパノール、及びメタノールの組合せが挙げられる。このなかでも、エタノール及びメタノールの組合せ、プロパノール及びメタノールの組合せが好ましく、プロパノール及びメタノールの組合せがより好ましい。なお、プロパノールとしては、1−プロパノール及び2−プロパノールが挙げられる。このなかでも、1−プロパノールが好ましい。アルコール原料は一般的に市販されている化学合成により合成されたものであっても、発酵製造により製造されたものであってもよい。
反応工程において行う反応は、固定床反応器又は流動床反応器において、ヒドロキシアパタイトを固体触媒として用いる気相反応である。原料アルコールは、反応器に供給される前に気化されてもよいし、反応器内で気化されてもよい。また、それぞれのアルコールは、別々に反応器へ供給されてもよいし、混合してから反応器へ供給されてもよい。
本実施形態の製造方法は、反応工程前に、不活性ガス雰囲気下、触媒を加熱する前処理工程を有していてもよい。反応工程においては水素が発生しうるため、このような工程を有することにより、安全性がより向上する傾向にある。また、不活性ガスを用いて前処理を行うことにより、反応工程における水素の酸化や原料の酸化を抑制でき、反応成績がより向上する傾向にある。
反応工程により得られた生成物組成物からイソブタノールを分離精製する方法については、特に制限はないが、一般的な蒸留操作によって精製するができる。
(ガスクロマトグラフィー分析条件)
装置 :6850A(アジレント・テクノロジー株式会社製)
使用カラム:DB−WAX(アジレント・テクノロジー株式会社製)
分析条件 :注入口温度200℃、検出器温度250℃
カラム温度:40℃で10分保持後、250℃まで15℃/分で昇温
検出器 :熱伝導度検出器(TCD)
(触媒調製)
太平化学産業製の「第三リン酸カルシウム」15gをイオン交換水35gに懸濁させ、エバポレーターを用いて50℃で水を除いた。これを150℃で3時間乾燥させた後、600℃で3時間焼成を行った。得られた焼成体を粉砕後に、粉砕体を10〜20メッシュを通過する大きさに揃えてヒドロキシアパタイト触媒Aを得た。この触媒のCa/Pモル比を、ICP(発光分光分析)を用いて測定したところ、1.67であった。
上記のように調製したヒドロキシアパタイト触媒A7gを、内径18mmφのSUS316製反応管に充填した。窒素を40cc/minで流しながら電気炉にて加温し、充填した触媒層を400℃で安定させた。
窒素の供給を停止し、1−プロパノール22.4質量部と、メタノール77.6質量部とを混合した原料液(モル比:メタノール/(1−プロパノール)=6.5)を、流速6.00g/hr(1−プロパノールのWHSV=0.19hr-1)で反応管に通した。
MeOH回収率=(回収されたMeOH量)/{(仕込みのMeOH量)−(イソブタノールの生成に消費されたMeOH量)}
原料アルコールのモル比及び反応温度を表1に示したモル比及び温度に変更したこと以外は実施例1と同様の条件で前処理工程及び反応工程を行った。反応成績を表1に示す。なお、転化率と選択率の間には相関関係があるため、実施例1〜3は、転化率が同程度となるよう反応温度を調整し、同程度の転化率としたときの選択率を評価するものである。
(触媒調製)
シュウ酸二水和物2.43gをイオン交換水40gに溶かし、そこにメタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)1.50gを加えて50℃にて撹拌して均一溶液とした。そこへ二酸化チタン(富士チタン工業製TA−300)40gを加えて50℃で30分間撹拌を行った後、エバポレーターを用いて水を除き、150℃で3時間乾燥した。その後、乾燥体を空気雰囲気下500℃で3時間焼成した。得られた焼成体を粉砕後、粉砕体を10〜20メッシュを通過する大きさに揃えてV2O5−TiO2触媒を得た。
ヒドロキシアパタイト触媒Aに代えて、上記のように調製したV2O5−TiO2触媒を用い、反応温度を350℃とした以外は、実施例1と同様に前処理工程及び反応工程を行った。反応成績を表1に示す。
(触媒調製)
酢酸銅一水和物((CH3COO)2Cu・H2O)1.28gをイオン交換水20gに溶かし、そこへ二酸化チタン(富士チタン工業製TA−300)20gを加えて50℃で30分間撹拌を行った。エバポレーターを用いて水を除き、150℃で3時間乾燥した。その後、乾燥体を空気雰囲気下500℃で3時間焼成した。得られた焼成体を粉砕後、粉砕体を10〜20メッシュを通過する大きさに揃えてCu−TiO2触媒を得た。
上記のように調製した触媒7gを、内径18mmφのSUS316製反応管に充填した。窒素を80cc/minで流しながら電気炉にて加温し、充填した触媒層が150℃になるように安定させた。急激な発熱を避けるため水素ガスを徐々に加えて水素濃度を15vol%とし、その後240℃まで昇温した。そのまま3時間保持することにより触媒を還元した後、窒素ガスでパージした。
ヒドロキシアパタイト触媒Aに代えて、上記のように調製したCu−TiO2触媒を用い、反応温度を380℃とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応成績を表1に示す。
(前処理及び反応)
実施例1にて調製したヒドロキシアパタイト触媒Aを用い、原料アルコールとしてプロパノール38.5質量部、メタノール61.5質量部の割合(モル比:メタノール/(1−プロパノール)=1)で混合した原料液を流速3.45g/hr(プロパノールのWHSV=0.19hr-1)とした以外は、実施例1と同様に前処理工程及び反応工程を行った。反応成績を表1に示す。
PrOH:プロパノール
isoBtOH:イソブタノール
原料アルコールとしてメタノールとエタノールを用い、モル比をメタノール/エタノール=7.5としたこと以外は実施例1と同様に前処理工程及び反応工程を行った。
(触媒調製)
硝酸カルシウム4水和物(Ca(NO3)2・4H2O)40.3gをイオン交換水160gに溶かし、そこへ25質量%アンモニア水溶液140gを加えてpH12以上の溶液Aを得た。別途、リン酸水素2アンモニウム((NH4)2HPO4)13gをイオン交換水315gに溶かし、そこへ25質量%アンモニア水溶液85gを加えてpH10〜11の溶液Bを得た。常温で溶液Aを撹拌しながら、50分間かけて溶液Bを滴下し、その後80℃へ昇温して30分間撹拌した。この際、溶液中に白色沈殿が生じた。このようにして得られた白色沈殿を濾別し、150℃で3時間乾燥した後、空気雰囲気下500℃で3時間焼成した。得られた焼成体を粉砕後、粉砕体を10〜20メッシュを通過する大きさに揃えてヒドロキシアパタイト触媒Bを得た。この触媒のCa/Pモル比は1.73であった。
上記のように調製したヒドロキシアパタイト触媒Bを用いた以外は、実施例4と同様に前処理工程及び反応工程を行った。反応成績を表2に示す。
原料アルコールのモル比及び反応温度を表2に示したモル比及び温度に変更したこと以外は実施例4と同様の条件で反応まで行った。反応成績を表2に示す。なお、転化率と選択率の間には相関関係があるため、実施例4、6〜8は、転化率が同程度となるよう反応温度を調整し、同程度の転化率としたときの選択率を評価するものである。
実施例1にて調製したヒドロキシアパタイト触媒Aの焼成温度を表2に示した焼成温度に変更したこと以外は実施例1と同様の条件で触媒調製、前処理工程及び反応工程を行った。反応成績を表2に示す。
(前処理工程及び反応工程)
実施例1にて調製したヒドロキシアパタイト触媒Aを150℃で3時間乾燥した後に用い、エタノール32.4質量部、メタノール67.6質量部の割合(モル比:メタノール/エタノール=1)で混合した原料アルコールを流速3.02g/hr(エタノールのWHSV=0.14hr-1)で供給した以外は、実施例1と同様に前処理工程及び反応工程を行った。反応成績を表2に示す。
(触媒調製)
硝酸銅1.25molをイオン交換水800gに溶解し、40℃に保ち、A液を得た。また、炭酸ソーダ1.63molをイオン交換水1000gに溶解し、40℃に保ち、B液を得た。さらに、酸化亜鉛0.629molをイオン交換水300gに分散し、40℃に保ち、C液を得た。また、日産化学工業株式会社製アルミナゾル200(アルミナ含有量10%)を用い、アルミナとして0.078mol含有する量をイオン交換水160gに分散し、60℃に保ち、D液を得た。撹拌下、B液へA液を添加した後、C液を添加し、更に炭酸ガスを6L/hrの速度で吹き込み80℃まで昇温し、30分間保持した。反応終了後60℃まで冷却した。このスラリーにD液を添加し、30分間撹拌した後、ろ過して、更にイオン交換水4000gにて洗浄し、水切り後、組成物ケーキを得た。これを80℃にて15時間乾燥した後、空気雰囲気下にて380℃で焼成した。得られた焼成体を粉砕後、粉砕体を10〜20メッシュを通過する大きさに揃えてCu−ZnO触媒を得た。
上記のように調製したCu−ZnO触媒7gを、内径18mmφのSUS316製反応管に充填した。窒素を80cc/minで流しながら電気炉にて加温し、充填した触媒層が150℃になるように安定させた。急激な発熱を避けるため水素ガスを徐々に加えて水素濃度を15vol%とし、その後240℃まで昇温した。そのまま3時間保持することにより触媒を還元した後、窒素ガスでパージした。
上記のように調製したCu−ZnO触媒を用いて反応温度を300℃とし、原料液を流速17.4g/hr(エタノールのWHSV=0.40hr-1)とした以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応成績を表2に示す。
(前処理工程及び反応工程)
原料をエタノール32.4質量部、メタノール67.6質量部の割合(モル比:メタノール/エタノール=1)で混合した原料液を流速3.02g/hr(エタノールのWHSV=0.14hr-1)とした以外は、実施例4と同様に前処理及び反応を行った。反応成績を表2に示す。
EtOH:エタノール
isoBtOH:イソブタノール
Claims (5)
- ヒドロキシアパタイトの存在下、エタノール及びプロパノールからなる群より選ばれる少なくとも一種と、メタノールと、を反応させてイソブタノールを生成させる反応工程を有し、
該反応工程においては、(メタノールのモル数)/(エタノール及びプロパノールからなる群より選ばれる少なくとも一種のモル数)で表される比率が、2.0〜15である、
イソブタノールの製造方法。 - 前記ヒドロキシアパタイトが、組成式
Ca10-x(PO4)6(OH)2-2x
で示され、ただし、前記組成式中、xは−0.80以上0.40以下であり、
前記組成式中のCa/Pで表されるモル比が、1.60〜1.80である、請求項1に記載のイソブタノールの製造方法。 - 前記ヒドロキシアパタイトが、酸素含有雰囲気下、200〜800℃で焼成したものである、請求項1又は2に記載のイソブタノールの製造方法。
- 前記反応工程において、エタノール及びプロパノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の重量空間速度が、0.030〜1.0hr-1である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のイソブタノールの製造方法。
- 前記反応工程において、反応温度が、350〜500℃である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のイソブタノールの製造方法。
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