JP2016079011A - エレベータ制御装置およびエレベータ駆動用電気機器の温度状態推定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度検出器を設置することなく、エレベータ駆動用電気機器の温度状態を判断する。
【解決手段】駆動部(10)と、制御部(20)とを備え、制御部(10)は、駆動部(20)に含まれる複数の電気機器のそれぞれについてあらかじめ取得した温度特性データから、機器限界最小電流を、複数の電気機器ごとにあらかじめ設定し、かごが起動してから停止するまでの1起動ごとに、回転機を駆動させる際に消費される電流値を、電流検出器を介して測定し、1起動ごとの測定結果の履歴から、現時点での電流実効値を算出し、現時点での電流実効値が機器限界最小電流を超えた電気機器が存在する場合には、温度限界を超えた電気機器が存在すると判断する。
【選択図】図1
【解決手段】駆動部(10)と、制御部(20)とを備え、制御部(10)は、駆動部(20)に含まれる複数の電気機器のそれぞれについてあらかじめ取得した温度特性データから、機器限界最小電流を、複数の電気機器ごとにあらかじめ設定し、かごが起動してから停止するまでの1起動ごとに、回転機を駆動させる際に消費される電流値を、電流検出器を介して測定し、1起動ごとの測定結果の履歴から、現時点での電流実効値を算出し、現時点での電流実効値が機器限界最小電流を超えた電気機器が存在する場合には、温度限界を超えた電気機器が存在すると判断する。
【選択図】図1
Description
本発明は、エレベータの乗りかごを昇降制御する際に、エレベータ駆動用電気機器の温度状態を判断するためのエレベータ制御装置およびエレベータ駆動用電気機器の温度状態推定方法に関する。
エレベータの運行を制御する従来のエレベータ制御装置は、エレベータを稼働することによって発熱する機器に対して設置された温度検出器を介して、段階的にあるいは連続的に、機器の温度状態を取り込んでいた。そして、エレベータ制御装置は、取り込んだ温度状態に基づいて過負荷状態と判断した場合には、エレベータの運行を停止する、戸開閉速度を遅くする、あるいは冷却能力を上げるなどして、エレベータの電気的負荷を下げて対応していた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
温度検出器を設置し、機器の温度状態を検知する場合には、機器ごとに温度検出器を設ける必要があり、部品数が増えるといった問題点があった。さらに、温度検出器の実装を考慮する必要があるとともに、温度検出器が故障した場合の対応も考慮する必要があるといった問題点もあった。
温度検出器を設置し、機器の温度状態を検知する場合には、機器ごとに温度検出器を設ける必要があり、部品数が増えるといった問題点があった。さらに、温度検出器の実装を考慮する必要があるとともに、温度検出器が故障した場合の対応も考慮する必要があるといった問題点もあった。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、温度検出器を設置することなく、エレベータ駆動用電気機器の温度状態を判断できるエレベータ制御装置およびエレベータ駆動用電気機器の温度状態推定方法を得ることを目的とする。
本発明に係るエレベータ制御装置は、エレベータのかごを昇降させる回転機を駆動するための複数の電気機器で構成された駆動部と、駆動部を制御して回転機を駆動させることで、かごの昇降制御を行う制御部とを備えたエレベータ制御装置であって、制御部は、駆動部に含まれる複数の電気機器のそれぞれについて、一定値として流す電流値と、一定値を流したときの時間経過に伴う温度変化の関係を温度特性データとして、試験データまたは計算データによりあらかじめ取得し、複数の電気機器ごとの温度特性データから、電気機器の品質を損なわない温度限界値、温度限界値に到達するまでの時間として許容される最大限界時間、および最大限界時間において温度限界値となる一定値の電流に相当する機器限界最小電流を、複数の電気機器ごとにあらかじめ設定し、かごが起動してから停止するまでの1起動ごとに、回転機を駆動させる際に消費される電流値を、電流検出器を介して測定し、1起動ごとの測定結果の履歴から、現時点での電流実効値を算出し、現時点での電流実効値が、複数の電気機器ごとに設定された機器限界最小電流を超えた電気機器が存在する場合には、温度限界を超えた電気機器が存在すると判断するものである。
また、本発明に係るエレベータ駆動用電気機器の温度状態推定方法は、エレベータのかごを昇降させる回転機を駆動するための複数の電気機器で構成された駆動部と、駆動部を制御して回転機を駆動させることで、かごの昇降制御を行う制御部とを備えたエレベータ制御装置で実行されるエレベータ駆動用電気機器の温度状態推定方法であって、制御部において、駆動部に含まれる複数の電気機器のそれぞれについて、一定値として流す電流値と、一定値を流したときの時間経過に伴う温度変化の関係を温度特性データとして、試験データまたは計算データによりあらかじめ取得し、記憶部に記憶させておく記憶ステップと、複数の電気機器ごとの記憶部に記憶された温度特性データから、電気機器の品質を損なわない温度限界値、温度限界値に到達するまでの時間として許容される最大限界時間、および最大限界時間において温度限界値となる一定値の電流に相当する機器限界最小電流を、複数の電気機器ごとに設定する設定ステップと、かごが起動してから停止するまでの1起動ごとに、回転機を駆動させる際に消費される電流値を、電流検出器を介して測定し、1起動ごとの測定結果の履歴から、現時点での電流実効値を算出する算出ステップと、現時点での電流実効値が、複数の電気機器ごとに設定した機器限界最小電流を超えた電気機器が存在する場合には、温度限界を超えた電気機器が存在すると判断する判断ステップとを有するものである。
本発明によれば、エレベータ稼働中の電流検出値から、現時点の電流実効値を算出し、電気機器ごとにあらかじめ取得した温度特性データから規定される個別の機器限界最小電流と電流実効値とを比較することで、電気機器ごとの温度状態を推定する構成を備えている。この結果、温度検出器を設置することなく、エレベータ機器の温度状態を判断できるエレベータ制御装置およびエレベータ駆動用電気機器の温度状態推定方法を得ることができる。
以下、本発明のエレベータ制御装置およびエレベータ駆動用電気機器の温度状態推定方法の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるエレベータ制御装置を含む全体構成図である。図1には、本実施の形態1におけるエレベータ制御装置100とともに、交流電源1、エレベータの巻上機を駆動するモータ2、乗客が乗り降りするかご3、おもり4、かご3とおもり4を接続するロープ5、およびモータ2の回転方向、回転量を検出する速度検出器6が示されている。また、エレベータ制御装置100は、駆動部10および制御部20を備えて構成されている。
図1は、本発明の実施の形態1におけるエレベータ制御装置を含む全体構成図である。図1には、本実施の形態1におけるエレベータ制御装置100とともに、交流電源1、エレベータの巻上機を駆動するモータ2、乗客が乗り降りするかご3、おもり4、かご3とおもり4を接続するロープ5、およびモータ2の回転方向、回転量を検出する速度検出器6が示されている。また、エレベータ制御装置100は、駆動部10および制御部20を備えて構成されている。
ここで、エレベータ制御装置100内の駆動部10は、第1リアクトル11(1)、第2リアクトル11(2)、第1ノイズフィルタ12(1)、第2ノイズフィルタ12(2)、第3ノイズフィルタ12(3)、コンバータ13、平滑コンデンサ14、インバータ15、第1電流検出器16(1)、および第2電流検出器16(2)の各電気機器を含んで構成されている。
第1リアクトル11(1)は、エレベータ制御装置100の入力側に接続され、電源側のノイズを抑制する。第2リアクトル11(2)は、エレベータ制御装置100の出力側に接続され、インバータ15がスイッチングしたときに発生するサージ電圧、ノイズを抑制する。
第1ノイズフィルタ12(1)は、コンデンサ、抵抗、インダクタンスを組み合わせて構成されており、電源側のノイズを抑制する。第2ノイズフィルタ12(2)および第3ノイズフィルタ12(3)は、例えば磁性体で構成されており、円筒形の形状で中空にケーブルを通すことで、ノイズを抑制する。
コンバータ13は、交流を直流に変換する。平滑コンデンサ14は、コンバータ13からの直流出力を平滑化する。インバータ15は、モータ2に流れる電流をスイッチングして可変する。
電流検出器16(1)は、エレベータ制御装置100の入力側に流れる電流を検出する。また、電流検出器16(2)は、エレベータ制御装置100の出力側に流れる電流を検出する。
一方、エレベータ制御装置100内の制御部20は、電流検出部21、速度検出部22、負荷検出部23、温度上昇演算部24、運転モード切替部25を含んで構成されている。
電流検出部21は、第1電流検出器16(1)および第2電流検出器16(2)による検出結果を読み取り、モータ2を駆動することで消費される電流値を算出する。速度検出部22は、速度検出器6による検出結果を読み取り、モータ2の回転方向、回転量を演算する。
負荷検出部23は、かご3内の乗客の乗込み量を検出する秤装置(図示せず)の検出結果を読み取り、乗客の乗込み量を演算する。温度上昇演算部24は、電流検出部21で算出された1起動ごとの電流値を元に、各機器の温度上昇を推定し、各機器の温度状態が限界温度まで達していないかを判定する。さらに、運転モード切替部25は、温度上昇演算部24による判定結果を元に、限界温度まで達している機器が存在する場合には、負荷抑制運転を実施する。
次に、温度上昇演算部24によるエレベータ駆動用電気機器の温度状態推定方法について、図2〜図4を用いて説明する。なお、以下の説明では、駆動部10に含まれているエレベータ駆動用電気機器のことを、単にエレベータ機器、あるいは機器と称する。
図2は、本発明の実施の形態1において、一定の電流値を流した際の、エレベータ機器の上昇温度と経過時間との関係を示す図である。また、図3は、本発明の実施の形態1において、一定の連流値を流すことにより機器温度が飽和したときの、電流と飽和温度との関係を示す図である。さらに、図4は、本発明の実施の形態1において、機器温度限界値を超えるときの、経過時間と電流との関係を示す図である。
図2の関係は、あらかじめ試験または計算により確認しておく必要がある。具体的には、次の手順により、図2の関係を取得する。
(手順1)各機器に一定の電流を流したときの機器の上昇温度と経過時間の関係を温度特性データとして取得し、図示しない記憶部に記憶させておく。
(手順2)電流値を変更して、種々の一定電流値における温度特性データを収集し、記憶部に記憶させておく。
(手順1)各機器に一定の電流を流したときの機器の上昇温度と経過時間の関係を温度特性データとして取得し、図示しない記憶部に記憶させておく。
(手順2)電流値を変更して、種々の一定電流値における温度特性データを収集し、記憶部に記憶させておく。
なお、機器の上昇温度と電流の関係は、下式(1)で算出される。
T=I2×A (1)
ここで、Tは、温度上昇値、Iは、電流、Aは、係数である。また、本実施の形態1による温度状態推定方法は、電流によって機器の温度上昇が決定されるリアクトル、ノイズフィルタなどの機器が主に対象となる。
T=I2×A (1)
ここで、Tは、温度上昇値、Iは、電流、Aは、係数である。また、本実施の形態1による温度状態推定方法は、電流によって機器の温度上昇が決定されるリアクトル、ノイズフィルタなどの機器が主に対象となる。
図2は、一定の電流値を10A、20A、30A、50A、60Aとした場合の、時間経過に伴う温度変化を示しており、機器温度限界値も参考として、合わせて示している。
例えば、一定の電流値として、電流=10Aを流し続けると、ある温度まで機器温度が上昇するが、それ以上は、どれだけ電流を流し続けても機器温度が上昇しなくなり、飽和する。ただし、一定の電流値が、電流=20A、30Aと大きくなるに従って、飽和したときの機器温度は高くなる。
しかしながら、一定の電流値が10A、20A、30Aの場合には、飽和したときの機器温度が、いずれも機器温度限界値まで到達しないため、機器の品質には影響ない。これに対して、一定の電流値として、電流=50Aを流し続けると、一定の時間(図2では、1000sの場合を例示)が経過すると、機器温度が機器温度限界値まで到達する。このため、これ以上の時間、電流を流すと、機器の品質を損なうおそれがある。
そこで、一定の電流値が50Aの場合には、1000s以上電流を流し続けてはいけないこととなる。同様に、一定の電流値が60Aの場合には、500s以上電流を流し続けてはいけないこととなる。
あくまでも一例であるが、実際に測定した結果、第2ノイズフィルタ12(2)および第3ノイズフィルタ12(3)は、この図2に示すように、50Aの電流を流し続けた際に1000S、60Aの電流を流し続けた際に500sのレベルで、機器温度が限界値まで達していた。また、第1リアクトル11(1)および第2リアクトル11(2)は、50Aの電流を流し続けた際に、2hrのレベルで、機器温度が限界値まで達していた。
図2の温度特性データが得られた機器に関しては、例えば、以下のような値を設定することとなる。
機器温度限界値:温度特性データから、機器の品質を損なわない温度限界値として設定され、図2では、120℃を「機器温度限界値」として設定した場合を例示している。
限界時間:機器温度限界値に到達するまでの時間として許容される最大限界時間として設定され、図2では、1000sを「限界時間」として設定した場合を例示している。
機器限界最小電流:最大限界時間において温度限界値となる一定値の電流として設定され、図2では、50Aを「機器限界最小電流」として設定した場合を例示している。
機器温度限界値:温度特性データから、機器の品質を損なわない温度限界値として設定され、図2では、120℃を「機器温度限界値」として設定した場合を例示している。
限界時間:機器温度限界値に到達するまでの時間として許容される最大限界時間として設定され、図2では、1000sを「限界時間」として設定した場合を例示している。
機器限界最小電流:最大限界時間において温度限界値となる一定値の電流として設定され、図2では、50Aを「機器限界最小電流」として設定した場合を例示している。
図3、図4は、図2の結果を基にしてまとめ直したものであり、図3は、ある機器について、機器温度が飽和したときの温度と、機器に流れる電流との関係を示しており、図4は、機器限界最小電流以上の電流を流したときに機器温度限界値に達するまでの時間を示している。
図3では、機器温度限界値である120℃と、機器限界最小電流である50Aが併記されている。また、図4では、機器限界最小電流である50Aと、最大限界時間である1000sが併記されている。すなわち、本実施の形態1における「機器限界最小電流」は、一定値の電流を流した際に、機器温度限界値(ここでは、120℃)に到達するまでに、あらかじめ決められた十分に大きな時間(ここでは、1000s)を要する電流値の最小値として規定されている。そして、図2に示した温度特性データから機器ごとに設定される「機器限界最小電流」は、温度状態を判断する指標として、図示していない記憶部に記憶される。
おな、図2〜図4にまとめたデータは、一定の電流を流した際に得られる結果であり、エレベータが起動しているときは、一定の電流が流れる状態が続くものではない。しかしながら、機器の温度が上昇し、飽和するまでの時定数は大きい。そこで、一定の電流は、機器に流れるRMS(Root Mean Square)電流、すなわち、実効値電流で判断する。
次に、図2〜図4のデータに基づいて、本実施の形態1におけるエレベータ制御装置で実行される負荷抑制運転処理の一連動作について、フローチャートを用いて説明する。図5は、本発明の実施の形態1におけるエレベータ制御装置で実行される負荷抑制運転処理の一連動作に関するフローチャートである。
まず始めに、各ステップの詳細を説明する前に、本実施の形態1での負荷抑制運転処理における基本的な考え方について説明する。機器の温度は、エレベータが起動してから停止するまでの1起動時間よりも、大きい経過時間で上昇していく。しかしながら、大きい経過時間を常に監視するのは大変になる。このため、図5に示すフローチャートでは、1起動あたりのRMS電流を基本として、極力、判定を簡略化して、負荷抑制運転処理を行おうとしている。
まず、ステップS501において、温度上昇演算部24は、電流検出部21による検出結果に基づいて、エレベータが起動してから停止するまでの1起動あたりのRMS電流を算出する。ここで、1起動あたりのRMS電流は、下式(2)で算出される。
次に、ステップS502において、温度上昇演算部24は、先のステップS501で算出した1起動あたりのRMS電流が、先の図3に示したような、機器限界最小電流より小さいか否かを判定する。なお、この判定時において、実際にはマージンを取るため、温度上昇演算部24は、機器限界最小電流から一定値を引いた値を用いて、判定する。
1起動あたりのRMS電流が機器限界最小電流よりも小さい場合には、温度上昇演算部24は、現状のRMS電流は、機器の品質には影響ないので、負荷抑制運転を実施する必要がないと判断する。すなわち、温度上昇演算部24は、今まで負荷抑制運転を実施しておらず、今回の起動時のRMS電流が機器限界最小電流よりも小さければ、現状の運転を継続して明らかに問題ないと判断し、一連処理を終了する。
一方、ステップS502において、1起動あたりのRMS電流が機器限界最小電流以上の場合には、ステップS503に進む。そして、ステップS503において、温度上昇演算部24は、図4に基づいて、先のステップS501で算出した1起動あたりのRMS電流を継続して流した際に、機器温度限界値を超えるまでにかかる時間を限界時間として導出する。
次に、ステップS504において、温度上昇演算部24は、先のステップS503で算出した限界時間分だけ前(過去)の時刻から、現時点までに、ステップS501で算出された1起動時のRMS電流を、上式(2)に代入することで、現時点で限界時間が経過したと仮定した際の、時間経過に伴うRMS電流値を算出する。そして、算出したRMS電流値が、機器限界最小電流よりも大きいか否かを判断する。
そして、ステップS504で算出したRMS電流値が、機器限界最小電流値以上である場合には、温度上昇演算部24は、運転モードを負荷抑制運転に切り替えるべきであると判断し、ステップS505に進む。さらに、ステップS505において、運転モード切替部25は、運転モードを負荷抑制運転に切り替える。
負荷抑制運転を実施する際には、RMS電流を小さくするため、エレベータが停止している時間を長くする必要がある。そこで、エレベータ制御装置100は、具体的には、戸開待機している時間を延ばす、あるいは戸開閉速度を遅くするなどの対策を行うことで、負荷抑制運転を実施する。そして、エレベータ制御装置100は、ステップS505における負荷抑制運転を一定時間実施した後、通常運転に復帰し、一連処理を終了する。
一方、ステップS504で算出したRMS電流値が、機器限界最小電流値未満である場合には、ステップS506に進む。そして、ステップS506において、温度上昇演算部24は、先のステップS501で算出した1起動時のRMS電流値から、あらかじめ決められた減算電流量を減算してRMS電流値を更新し、減算後のRMS電流値が、機器限界最小電流より小さいか否かを判定する。
そして、ステップS506における減算後のRMS電流値が、機器限界最小電流より小さい場合には、温度上昇演算部24は、先のステップS502での判断と同様に、現状の運転を継続して問題ないと判断し、一連処理を終了する。
一方、ステップS506における減算後のRMS電流値が、機器限界最小電流以上の場合には、ステップS503に戻る。そして、温度上昇演算部24は、ステップS506により更新されたRMS電流値を用いて、ステップS506の条件が成立するまで、ステップS503以降の処理を繰り返すこととなる。
今まで負荷抑制運転を実施していない状態で、ステップS502において、今回の起動時のRMS電流が機器限界最小電流を超えていた場合には、今までの時間経過を考慮したRMS電流値が、機器限界最小電流を超えてしまう可能性がある。
そのため、図5のフローチャートにおいけるステップS503〜ステップS506の処理を行うことにより、制御部20は、機器限界最小電流から、機器限界最小電流を超えたRMS電流値(すなわち、ステップS501で算出された初期値に相当)までの範囲内で、経過時間を考慮したRMS電流値が機器限界最小電流を超えることがないかを判断し、負荷抑制運転に移行すべきか否かを判断している。
なお、図5に示したステップS503〜ステップS506における処理は、一例であり、次のような処理1、2を行うことができればよい。
[処理1]かごが起動してから停止するまでの1起動ごとに消費される電流値を、電流検出器を介して測定する。
[処理2]1起動ごとの測定結果の履歴から、現時点での電流実効値を上式(2)を用いて機器ごとに求め、「機器限界最小電流」を超えている機器がある場合には、その機器が限界温度に到達したと推定する。
[処理1]かごが起動してから停止するまでの1起動ごとに消費される電流値を、電流検出器を介して測定する。
[処理2]1起動ごとの測定結果の履歴から、現時点での電流実効値を上式(2)を用いて機器ごとに求め、「機器限界最小電流」を超えている機器がある場合には、その機器が限界温度に到達したと推定する。
以上のように、実施の形態1によれば、事前作業として、エレベータ駆動用電気機器ごとに温度特性データを取得し、温度特性データに基づいて、機器限界最小電流を設定しておく。そして、エレベータの稼働中においては、電流検出器の検出結果に基づいて現時点での電流実効値を算出し、算出した電流実効値がそれぞれの電気機器ごとに設定した機器限界最小電流を超えていないかを判断することで、限界温度に達した電気機器があるか否かを推定している。この結果、温度検出器を設置することなく、エレベータ駆動用電気機器の温度状態を判断できるエレベータ制御装置およびエレベータ駆動用電気機器の温度状態推定方法を得ることができる。
1 交流電源、2 モータ、3 かご、4 おもり、5 ロープ、6 速度検出器、10 駆動部、11(1)、11(2) リアクトル、12(1)、12(2)、12(3) ノイズフィルタ、13 コンバータ、14 平滑コンデンサ、15 インバータ、16(1)、16(2) 電流検出器、20 制御部、21 電流検出部、22 速度検出部、23 負荷検出部、24 温度上昇演算部、25 運転モード切替部。
Claims (3)
- エレベータのかごを昇降させる回転機を駆動するための複数の電気機器で構成された駆動部と、
前記駆動部を制御して前記回転機を駆動させることで、前記かごの昇降制御を行う制御部と
を備えたエレベータ制御装置であって、
前記制御部は、
前記駆動部に含まれる前記複数の電気機器のそれぞれについて、一定値として流す電流値と、前記一定値を流したときの時間経過に伴う温度変化の関係を温度特性データとして、試験データまたは計算データによりあらかじめ取得し、
前記複数の電気機器ごとの前記温度特性データから、電気機器の品質を損なわない温度限界値、前記温度限界値に到達するまでの時間として許容される最大限界時間、および前記最大限界時間において前記温度限界値となる一定値の電流に相当する機器限界最小電流を、前記複数の電気機器ごとにあらかじめ設定し、
前記かごが起動してから停止するまでの1起動ごとに、前記回転機を駆動させる際に消費される電流値を、電流検出器を介して測定し、前記1起動ごとの測定結果の履歴から、現時点での電流実効値を算出し、
前記現時点での電流実効値が、前記複数の電気機器ごとに設定された前記機器限界最小電流を超えた電気機器が存在する場合には、温度限界を超えた電気機器が存在すると判断する
エレベータ制御装置。 - 前記制御部は、
前記温度限界を超えた電気機器が存在すると判断した場合には、前記かごが停止している時間を通常運転モード時よりも長くする負荷抑制運転モードに切り替え、
前記負荷抑制運転モードを一定時間実施した後、前記通常運転モードに切り替える
請求項1に記載のエレベータ制御装置。 - エレベータのかごを昇降させる回転機を駆動するための複数の電気機器で構成された駆動部と、
前記駆動部を制御して前記回転機を駆動させることで、前記かごの昇降制御を行う制御部と
を備えたエレベータ制御装置で実行されるエレベータ駆動用電気機器の温度状態推定方法であって、
前記制御部において、
前記駆動部に含まれる前記複数の電気機器のそれぞれについて、一定値として流す電流値と、前記一定値を流したときの時間経過に伴う温度変化の関係を温度特性データとして、試験データまたは計算データによりあらかじめ取得し、記憶部に記憶させておく記憶ステップと、
前記複数の電気機器ごとの前記記憶部に記憶された前記温度特性データから、電気機器の品質を損なわない温度限界値、前記温度限界値に到達するまでの時間として許容される最大限界時間、および前記最大限界時間において前記温度限界値となる一定値の電流に相当する機器限界最小電流を、前記複数の電気機器ごとに設定する設定ステップと、
前記かごが起動してから停止するまでの1起動ごとに、前記回転機を駆動させる際に消費される電流値を、電流検出器を介して測定し、前記1起動ごとの測定結果の履歴から、現時点での電流実効値を算出する算出ステップと、
前記現時点での電流実効値が、前記複数の電気機器ごとに設定された前記機器限界最小電流を超えた電気機器が存在する場合には、温度限界を超えた電気機器が存在すると判断する判断ステップと
を有するエレベータ駆動用電気機器の温度状態推定方法。
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