JP2016078479A - フライホイール回生システム及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】発進クラッチの温度が限界温度を超えて上昇しないようにする。
【解決手段】フライホイール回生システムは、発進クラッチSCが解放された状態から車両100を発進又は加速させる場合、発進クラッチSC及びフライホイールクラッチFWCを完全締結させると発進クラッチSCの温度Tscが限界温度Tlim以上になる場合はエンジン1の動力が増やされるとともに発進クラッチSCを動力伝達状態にして車両100を発進又は加速させる。
【選択図】図1
【解決手段】フライホイール回生システムは、発進クラッチSCが解放された状態から車両100を発進又は加速させる場合、発進クラッチSC及びフライホイールクラッチFWCを完全締結させると発進クラッチSCの温度Tscが限界温度Tlim以上になる場合はエンジン1の動力が増やされるとともに発進クラッチSCを動力伝達状態にして車両100を発進又は加速させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両の運動エネルギーをフライホイールで回生する技術に関する。
特許文献1は、車両減速時に駆動輪から入力される回転によってフライホールを回転させ、車両の運動エネルギーをフライホイールの運動エネルギーに変換して保存するフライホイール回生システムを開示している。
フライホイール回生システムを備えた車両においては、フライホイールに保存されている運動エネルギーを車両の発進や加速に利用することで、車両の燃費・電費を向上させることができる。
特許文献1の図6に開示されるフライホイール回生システムは、エンジン又はフライホイールの回転を発進クラッチを介して駆動輪に伝達する構成である。発進クラッチを解放した状態から車両を発進又は加速させる場合は、発進クラッチを滑らせながら締結するので、発進クラッチの温度が上昇する。特に、フライホイールは保存している運動エネルギーが多いほど回転速度が高くなるので、フライホイールに保存されている運動エネルギーを発進又は加速に利用する場合は、発進クラッチを締結する際の回転速度差が大きくなり、発進クラッチの温度上昇が大きくなる傾向がある。
発進クラッチは、一般的なクラッチと同じく、フェーシングの耐久性が低下し始める限界温度を有している。このため、発進クラッチの締結及び解放が短時間のうちに繰り返されて発進クラッチの温度が既に上がっているような状況では、発進クラッチの温度が限界温度を超えて上昇しないよう注意する必要がある。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、エンジン等の駆動源又はフライホイールの回転を発進クラッチを介して駆動輪に伝達するフライホイール回生システムにおいて、発進クラッチの温度が限界温度を超えて上昇しないようにすることを目的とする。
本発明のある態様によれば、車両に適用されるフライホイール回生システムであって、駆動源と駆動輪との間に配置される発進クラッチと、フライホイールと、前記駆動源と前記発進クラッチとの間に前記フライホイールを断接可能なフライホイールクラッチと、を備え、前記発進クラッチが解放された状態から前記車両を発進又は加速させる場合、前記発進クラッチ及び前記フライホイールクラッチを完全締結させても前記発進クラッチの温度が限界温度以上にならない場合は前記フライホイールクラッチ及び前記発進クラッチを動力伝達状態にして前記車両を発進又は加速させ、前記発進クラッチ及び前記フライホイールクラッチを完全締結させると前記発進クラッチの温度が限界温度以上になる場合は前記発進クラッチを動力伝達状態にして前記駆動源の動力によって前記車両を発進又は加速させるフライホイール回生システムが提供される。
本発明の別の態様によれば、これに対応するフライホイール回生システムの制御方法が提供される。
これらの態様によれば、フライホイールに保存されている運動エネルギーを利用した車両の発進又は加速(フライホイール発進加速)を行うと発進クラッチの温度が限界温度を超えてしまうような状況ではフライホイール発進加速は行われず、エンジンの動力を利用した発進又は加速が行われる。
エンジンの動力を利用する場合はフライホイール発進加速と比較して発進クラッチにおける回転速度差が小さくなり、発進クラッチの発熱を抑えることができるので、発進クラッチの温度が限界温度を超えてしまい、発進クラッチの耐久性が低下するのを抑えることができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るフライホイール回生システムを備えた車両100の全体構成を示している。
車両100は、駆動源としてのエンジン1と、回生用のフライホイール2と、無段変速機(以下、CVT)3と、副変速機4と、差動装置5と、左右の駆動輪6と、油圧回路7と、コントローラ8と、ブレーキ14とを備えている。
エンジン1とCVT3との間には、発進クラッチSCが設けられている。発進クラッチSCは、油圧によってトルク容量(伝達可能なトルク)を制御可能な油圧クラッチである。
フライホイール2は、金属製の円筒体又は円盤であり、回転時の風損を低減するために真空又は減圧された容器内に収容されている。フライホイール2は、フライホイールクラッチFWCによってエンジン1と発進クラッチSCとの間(エンジン1の出力軸1out)に減速ギヤ列11を介して断接可能である。
フライホイールクラッチFWCは、図示しないクラッチアクチュエータによって締結・解放を切り換えることのできる電動クラッチである。フライホイールクラッチFWCは、電動オイルポンプやアキュムレータからの油圧で作動する油圧クラッチであってもよい。
フライホイール2が断接される位置とエンジン1との間には、エンジン1から発進クラッチSC側にのみ動力を伝達可能なワンウェイクラッチWCが配置される。これにより、フライホイール2に保存されている運動エネルギーを利用して走行している間のエンジン1の連れ周りを無くすことができる。
エンジン1の出力軸1outには、ギヤ式又はベーン式のオイルポンプ10が接続されている。オイルポンプ10は、エンジン1の出力軸1outが回転すると駆動され、油圧を発生させる。オイルポンプ10が発生した油圧は油圧回路7へと送られる。
CVT3は、プーリの溝幅を変更することによって変速比を無段階に変更することができるベルトCVTである。
副変速機4は、遊星歯車とブレーキ、クラッチ等の摩擦要素とで構成される前進2速、後進1速のステップ変速機である。
油圧回路7は、コントローラ8からの信号を受けて動作するソレノイド弁等で構成され、CVT3、副変速機4、発進クラッチSC及びオイルポンプ10と油路を介して接続される。油圧回路7は、オイルポンプ10で発生した油圧を元圧として、CVT3、発進クラッチSCで必要とされる油圧を生成し、生成した油圧をCVT3、副変速機4、発進クラッチSCに供給する。
ブレーキ14は、ブレーキペダル15とマスターシリンダ16とが機構的に独立している電子制御式ブレーキである。運転者がブレーキペダル15を踏み込むと、ブレーキアクチュエータ17によってマスターシリンダ16のピストンが変位し、これによって、ブレーキ14に油圧が供給されて制動力が発生する。
コントローラ8は、CPU、RAM、入出力インターフェース等で構成され、コントローラ8には、エンジン1の回転速度Neを検出する回転速度センサ21、CVT3の入力軸3inの回転速度Ninを検出する回転速度センサ22、フライホイール2の回転速度Nfwを検出する回転速度センサ23、車速VSPを検出する車速センサ24、アクセルペダル25の開度APOを検出するアクセル開度センサ26、運転者によるブレーキペダル15の踏み込み量及び踏み込み加速度を検出するブレーキセンサ27等からの信号が入力される。
コントローラ8は、入力される信号に基づき各種演算を行い、CVT3の変速、発進クラッチSC及びフライホイールクラッチFWCの締結及び解放、ブレーキアクチュエータ17を制御する。特に、運転者がブレーキペダル15を踏み込んだことを受けて車両100が減速させる場合は、コントローラ8は、フライホイールクラッチFWCを締結し、駆動輪6から入力される回転でフライホイール2を回転させる、これにより、車両100が持つ運動エネルギーをフライホイール2の運動エネルギーに変換(回生)し、これによって車両100に制動力(回生ブレーキ)を作用させる。
さらに、フライホイールクラッチFWCが締結されるまでの間で回生ブレーキを作用させることができない場合や回生ブレーキのみでは運転者が要求する減速度を実現できない場合は、コントローラ8はブレーキアクチュエータ17を動作させてブレーキ14による制動力を補助的に作用させ、運転者が要求する減速度が実現されるようにする。
上記車両100においては、発進クラッチSCが解放された状態から車両100を発進又は加速させる場合、フライホイール2に保存されている運動エネルギーを利用することもエンジン1の動力を利用することも可能であるが、燃費向上という観点からは、フライホイール2に保存されている運動エネルギーを利用して車両100を発進又は加速させるのが有利である。
しかしながら、フライホイール2は保存している運動エネルギーが多いほどその回転速度Nfwが高くなり、発進クラッチSCを締結する際の滑りに起因する発進クラッチSCの発熱が増大する。特に、フライホイール2に保存されている運動エネルギーを利用して発進加速を行う際は、フライホイールクラッチFWCが完全締結状態になってから発進クラッチSCの締結を開始するので、発進クラッチSCの発熱が顕著となる。
このため、発進クラッチSCの締結及び解放が繰り返される等で発進クラッチSCの温度Tscが既に高くなっているような状況で、発進クラッチSCの次回締結時の発熱を考慮することなくフライホイール2に保存されている運動エネルギーを利用した発進又は加速を行うと、発進クラッチSCの温度Tscが限界温度Tlimを超え、発進クラッチSCの耐久性を低下させてしまう可能性がある。限界温度Tlimは、具体的には、発進クラッチSCのフェーシングの摩擦係数が低下しはじめる温度であり、例えば300℃である。
そこで、コントローラ8は、以下に説明する発進加速制御を行うようにし、発進クラッチSCが解放された状態から車両100を発進又は加速させる場合に発進クラッチSCの温度Tscが限界温度Tlimを超えないようにする。
なお、以下の説明では、フライホイール2に保存されている運動エネルギーを利用した発進又は加速を「フライホイール発進加速」と呼び、エンジン1の動力を利用した発進又は加速を「エンジン発進加速」と呼ぶ。
図2は、コントローラ8が行う発進加速制御の内容を示したフローチャートである。以下、これを参照しながらコントローラ8が行う発進加速制御について説明する。
ステップS11では、コントローラ8は、発進クラッチSCの温度Tscを演算する。発進クラッチSCの温度Tscは、トルク容量及び回転速度差に応じて決まる発進クラッチSCの発熱量、発進クラッチSCの放熱係数及び油温に応じて決まる放熱量、比熱、質量等に基づき演算することができる。
ステップS12では、コントローラ8は、発進クラッチSCが解放された状態で発進要求又は加速要求があったかを判断する。発進要求又は加速要求は、アクセル開度APOの変化量に基づき判断することができる。コントローラ8は、発進要求又は加速要求があったと判断すると処理をステップS13に進め、そうでない場合は処理を終了する。
ステップS13では、コントローラ8は、フライホイール発進加速を行った場合に予想される、発進クラッチSCが完全締結するまでの発進クラッチSCの温度上昇量ΔTfwを演算する。
温度上昇量ΔTfwは、発進クラッチSCにおける回転速度差と発進クラッチSCのトルク容量との積に基づき発進クラッチSCの発熱率を求め、これを発進クラッチSCの締結開始から締結完了までの期間で時間積分して発進クラッチSCの発熱量を演算し、演算された発進クラッチSCの発熱量に基づき演算することができる。
ステップS14では、コントローラ8は、演算された温度上昇量ΔTfwに基づき、フライホイール発進加速を行って発進クラッチSCが完全締結した時点の発進クラッチSCの温度(=Tsc+ΔTfw)を予測し、これが発進クラッチSCの限界温度Tlimを超えるか判断する。
発進クラッチSCの温度予測値(=Tsc+ΔTfw)が限界温度Tlimを超えると判断された場合は、フライホイール発進加速を行うと、発進クラッチSCの温度Tscが限界温度Tlimを超える可能性があるので、コントローラ8は処理をステップS15に進め、エンジン発進加速を行う。
エンジン発進加速では、コントローラ8は、エンジン1を始動してエンジン1の回転速度を上昇させるとともに発進クラッチSCの締結を開始する。発進クラッチSCの締結開始当初は発進クラッチSCのトルク容量が小さく、この間はエンジン1の空吹きによって発進クラッチSCの滑りが大きくなる可能性がある、すなわち、発進クラッチSCの発熱量が増大して発進クラッチSCの温度Tscが上昇する可能性があるので、エンジン1のトルクダウンも併せて実行する。
フライホイール発進加速同様に発進クラッチSCが完全締結するまでの間は滑りに起因する発熱によって発進クラッチSCの温度Tscが上昇するが、発進クラッチSCにおける回転速度差はフライホイール発進加速と比較して小さいので、発進クラッチSCにおける発熱は低く抑えられ、発進クラッチSCの温度Tscが限界温度Tlimを超えて上昇することはない。
図3はこの時の様子を示している。
時刻t11でアクセルペダル25が踏み込まれて発進要求ありと判断されている。この例では、フライホイール発進加速を行った場合の発進クラッチSCの温度予測値(=Tsc+ΔTfw)が限界温度Tlimを超えるので、フライホイール発進加速は行われず、エンジン発進加速が行われる。
これにより、時刻t12で発進クラッチSCが完全締結するまでの間、フライホイール発進加速を行う場合と比較して発進クラッチSCの発熱が抑えられ、発進クラッチSCの温度Tscが限界温度Tlimを超えて発進クラッチSCの耐久性が低下するのを抑えることができる(請求項1、3に対応する効果)。
これに対し、発進クラッチSCの温度予測値(=Tsc+ΔTfw)が限界温度Tlimを超えないと判断された場合は、フライホイール発進加速を行っても発進クラッチSCの温度Tscが限界温度Tlimを超えることがないので、コントローラ8は処理をステップS14からステップS16に進め、フライホイール発進加速を行う。
フライホイール発進加速では、コントローラ8は、フライホイールクラッチFWC及び発進クラッチSCを動力伝達状態にして、フライホイール2に保存されている運動エネルギーを駆動輪6へと伝達する。ここでは、フライホイールクラッチFWCを完全締結するとともに発進クラッチSCの締結を開始し、発進クラッチSCが完全締結するまでの間の発進クラッチSCのトルク容量を制御することで、駆動輪6に伝達されるトルクを調整し、運転者が要求する発進要求又は加速要求が満たされるようにする。
発進クラッチSCが完全締結するまでの間は滑りに起因する発熱によって発進クラッチSCの温度Tscが上昇するが、発進クラッチSCの温度Tscが限界温度Tlimを超えることはない。
図4はこの時の様子を示している。
時刻t21でアクセルペダル25が踏み込まれて発進要求ありと判断されており、この例では、フライホイール発進加速を行った場合の発進クラッチSCの温度予測値(=Tsc+ΔTfw)が限界温度Tlimを超えないので、フライホイール発進加速が行われている。
フライホイール発進加速では、エンジン1は停止したままであり、燃料を消費しないので、車両100の燃費を向上させることができる。
続いて、本発明の一部変形例について説明する。
図2に示した発進加速制御では、フライホイール発進加速を行った場合の発進クラッチSCの温度予測値(=Tsc+ΔTfw)が発進クラッチSCの限界温度Tlimを超える場合は、フライホイール発進加速を行わず、エンジン発進加速のみを行うようにしていた。
しかしながら、エンジン発進加速を行った場合の発進クラッチSCの温度予測値(=Tsc+ΔTeng)が限界温度Tlimよりも低い場合は、発進加速当初フライホイール発進加速を行い、発進クラッチSCが完全締結する前にエンジン発進加速に切り換えるようにしても発進クラッチSCを限界温度Tlim未満に抑えることが可能であり、この点において図2に示した発進加速制御は改善の余地がある。
図5は一部変形例に係る発進加速制御の内容を示している。
ステップS21からステップS24までの処理、及び、ステップS31の処理は、図2のステップS11からステップS14までの処理、及び、ステップS16の処理と同じである。したがって、一部変形例においても、フライホイール発進加速を行った場合の発進クラッチSCの温度予測値(=Tsc+ΔTfw)が限界温度Tlimを超えないと判断された場合は、フライホイール発進加速を行う(ステップS24→ステップS31)。
しかしながら、フライホイール発進加速を行った場合の発進クラッチSCの温度予測値(=Tsc+ΔTfw)が限界温度Tlimを超えると判断された場合に進むステップS25以降の処理が図2に示した発進加速制御と異なる。以下、図2に示した発進加速制御と相違する部分を中心に説明する。
ステップS25では、コントローラ8は、エンジン発進加速を行った場合に発進クラッチSCが完全締結するまでに予想される発進クラッチSCの温度上昇量ΔTengを予測する。
温度上昇量ΔTengは、温度上昇量ΔTfwと同様に、発進クラッチSCにおける回転速度差と発進クラッチSCのトルク容量との積に基づき発進クラッチSCの発熱率を求め、これを発進クラッチSCの締結開始から締結完了までの期間で時間積分することによって発進クラッチSCの発熱量を演算し、発進クラッチSCの演算された発熱量に基づき予測することができる。
ステップS26では、コントローラ8は、限界温度Tlimからエンジン発進加速を行った場合の発進クラッチSCの温度予測値(=Tsc+ΔTeng)を引いた値Tmgn(以下、「余裕温度差」という)が所定値Tmgnlim以下か判断する。所定値Tmgnlimは、駆動源をフライホイール2からエンジン1に切り換える期間における発進クラッチSCの発熱量に等しく設定される。
余裕温度差Tmgnが所定値Tmgnlim以下の場合は、発進クラッチSCの温度Tscが既に高く、フライホイール発進加速をするだけの余裕はないので、コントローラ8は、処理をステップS27に進め、フライホイール発進加速を行うことなくエンジン発進加速のみを行う。
これに対し、余裕温度差Tmgnが所定値Tmgnlimよりも大きい場合は、コントローラ8は、処理をステップS28に進め、フライホイール発進加速を開始する。フライホイール発進加速では、フライホイールクラッチFWCを最初に完全締結し、その後、発進クラッチSCの締結を開始する。
しかしながら、発進クラッチSCが完全締結するまでフライホイール発進加速を続けてしまうと、ステップS24で予測した通り、発進クラッチSCの温度Tscが限界温度Tlimを超え、発進クラッチSCの耐久性が低下してしまうので、発進クラッチSCが完全締結する前にフライホイール発進加速を中断してエンジン発進加速に切り換える必要がある。
また、フライホイール発進加速の途中でエンジン発進加速に切り換えるにしても、エンジン発進加速によっても発進クラッチSCの温度がある程度上昇することから、エンジン発進加速に切り換える時点が遅いと、発進クラッチSCの温度Tscが限界温度Tlimを超えてしまい、発進クラッチSCの耐久性が低下してしまう。
これらの点を考慮し、ステップS29及びステップS30では、コントローラ8は、フライホイール発進加速を中断してエンジン発進加速に切り換えた場合の発進クラッチSCの完全締結時の温度(=Tsc+ΔTeng)を繰り返し予測する。
発進クラッチSCの温度Tscは時間の経過とともに上昇し、エンジン発進加速に切り換えた場合の発進クラッチSCの温度上昇量ΔTengは発進クラッチSCの回転速度差が小さくなるにつれて小さくなるので、ステップS29では、コントローラ8は、発進クラッチSCの温度Tscとエンジン発進加速に切り換えた場合の温度上昇量ΔTengを時々刻々と更新する。
そして、コントローラ8は、エンジン発進加速に切り換えた場合の発進クラッチSCの温度予測値(=Tsc+ΔTeng)を限界温度Tlimから引いて得られる余裕温度差Tmgnが所定値Tmgnlim以下になったら処理をステップS30からステップS27に進め、フライホイール発進加速を中断してエンジン発進加速に切り換えるようにする。すなわち、締結前の発進クラッチSCの温度Tscに、フライホイール発進加速で発進クラッチSCをスリップさせたことによる発進クラッチSCの温度上昇量、及び、フライホイール発進加速からエンジン発進加速への切り換えに伴う発進クラッチSCの温度上昇量ΔTengを加えた値が限界温度Tlimになると、エンジン発進加速への切り換えが行われるようにする。
なお、ここではフライホイール発進加速を終了してエンジン発進加速への切り換えを開始するまでの間の温度上昇を考慮していないが、この温度上昇を加味して発進クラッチSCの温度予測値を求めるようにしてもよい。
図6は、フライホイール発進加速からエンジン発進加速に切り換えられる様子を示している。
時刻t31でアクセルペダル25が踏み込まれて発進要求ありと判断され、発進加速制御が開始されている。この例では、フライホイール発進加速を行った場合の発進クラッチSCの温度予測値(=Tsc+ΔTfw)が限界温度Tlimを超えるものの、エンジン発進加速を行った場合の発進クラッチSCの温度予測値(=Tsc+ΔTeng)が限界温度Tlimに対して余裕があるので(Tmgn>Tmgnlim)、エンジン発進加速ではなくフライホイール発進加速が開始されている。
フライホイール発進加速が継続するにつれ発進クラッチSCの温度Tscが上昇し、フライホイール発進加速からエンジン発進加速に切り換えた場合の発進クラッチSCの温度予測値(=Tsc+ΔTeng)を限界温度Tlimから引いて得られる余裕温度差Tmgnが所定値Tmgnlim以下になると(時刻t32)、フライホイールクラッチFWCが解放され、フライホイール発進加速からエンジン発進加速への切り換えが開始される(時刻t33)。
時刻t34で発進クラッチSCが完全締結され、フライホイール発進加速からエンジン発進加速への切り換えが完了するが、フライホイール発進加速からエンジン発進加速に切り換わるまでの発進クラッチSCの温度上昇量ΔTengを考慮してエンジン発進加速への切り換え時期が判断されているので、発進クラッチSCの温度Tscが限界温度Tlimを超えることはない。
なお、エンジン1と発進クラッチSCとの間にワンウェイクラッチWCが配置されているので、フライホイール発進加速からエンジン発進加速に切り換えるにあたっては、フライホイールクラッチFWCを解放するとともにエンジン1を始動すればよく、複雑な切換制御は不要である。
このように、一部変形例では、発進クラッチSC及びフライホイールクラッチFWCを完全締結すると発進クラッチSCの温度Tscが限界温度Tlim以上になる場合であっても、発進クラッチSCを完全締結する前のスリップ状態とし、かつ、フライホイールクラッチFWCを完全締結した場合の発進クラッチSCの温度Tscと限界温度Tlimとの差である余裕温度差Tmgnが所定値Tmgnlimよりも大きい場合はフライホイールクラッチFWCを完全締結させ、かつ、発進クラッチSCをスリップ状態にして、フライホイールクラッチ2に保存されている運動エネルギーを利用して車両100を発進又は加速させるようにした。
そして、余裕温度差Tmgnが所定値Tmgnlimよりも小さくなったらフライホイールクラッチFWCを解放するとともにエンジン1の動力によって車両100をさらに加速させるようにした。
これにより、フライホイール2に保存されている運動エネルギーを発進クラッチSCの温度が限界温度Tlimを超えない範囲でできる限り利用することができ、フライホイール回生システムが搭載された車両100の燃費をさらに向上させることができる(請求項2に対応する効果)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、上記実施形態では、車両100は駆動源としてエンジン1のみを備えているが、駆動源としてエンジン1とモータとを備えていてもよいし、エンジン1に代えてモータのみを備えていてもよい。
また、図2又は図5に示した発進加速制御は発進時だけでなく、加速時、特に、発進クラッチSCを解放して車両100がコースティングしている状態からの再加速時にも有効な制御であるが、コースティング時はCVT3、副変速機4をダウンシフトさせることでCVT3の入力軸3inの回転速度を上げ、発進クラッチSC締結時の発熱を抑えることができることに鑑み、特に効果の高い発進時にのみ図2又は図5に示した発進加速制御を行うようにしてもよい。
また、図2又は図5に示した発進加速制御によれば、基本的には発進クラッチSCの温度Tscが限界温度Tlimを超えないようにフライホイール発進加速又はエンジン発進加速が選択的に行われるが、万一、発進クラッチSCの温度Tscが限界温度Tlimを超えてしまうような場合になったら、発進クラッチSCを完全締結して発進クラッチSCのさらなる温度上昇を抑制し、代わりに副変速機4内の動力伝達経路に配置される摩擦要素をスリップさせる処理を追加してもよい。これにより、発進クラッチSCの温度Tscが限界温度Tlimを超えてしまうのを、さらに抑えることができる。
2 フライホイール
3 CVT
4 副変速機
8 コントローラ
100 車両
SC 発進クラッチ
FWC フライホイールクラッチ
3 CVT
4 副変速機
8 コントローラ
100 車両
SC 発進クラッチ
FWC フライホイールクラッチ
Claims (3)
- 車両に適用されるフライホイール回生システムであって、
駆動源と駆動輪との間に配置される発進クラッチと、
フライホイールと、
前記駆動源と前記発進クラッチとの間に前記フライホイールを断接可能なフライホイールクラッチと、
を備え、
前記発進クラッチが解放された状態から前記車両を発進又は加速させる場合、
前記発進クラッチ及び前記フライホイールクラッチを完全締結させても前記発進クラッチの温度が限界温度以上にならない場合は前記フライホイールクラッチ及び前記発進クラッチを動力伝達状態にして前記車両を発進又は加速させ、
前記発進クラッチ及び前記フライホイールクラッチを完全締結させると前記発進クラッチの温度が限界温度以上になる場合は前記発進クラッチを動力伝達状態にして前記駆動源の動力によって前記車両を発進又は加速させる、
ことを特徴とするフライホイール回生システム。 - 請求項1に記載のフライホイール回生システムであって、
前記発進クラッチが解放された状態から前記車両を発進又は加速させる場合、前記発進クラッチ及び前記フライホイールクラッチを完全締結させると前記発進クラッチの温度が前記限界温度以上になる場合であっても、前記発進クラッチをスリップ状態とし、かつ、前記フライホイールクラッチを完全締結させた場合の前記発進クラッチの温度と前記限界温度との差である余裕温度差が所定値よりも大きい場合は前記フライホイールクラッチを完全締結させ、かつ、前記発進クラッチをスリップ状態にして前記車両を発進又は加速させ、その後前記余裕温度差が前記所定値よりも小さくなったら前記フライホイールクラッチを解放させるとともに前記発進クラッチを完全締結させて前記駆動源の動力によって前記車両をさらに加速させる、
ことを特徴とするフライホイール回生システム。 - 車両に適用され、駆動源と駆動輪との間に配置される発進クラッチと、フライホイールと、前記駆動源と前記発進クラッチとの間に前記フライホイールを断接可能なフライホイールクラッチとを備えたフライホイール回生システムの制御方法であって、
前記発進クラッチが解放された状態から前記車両を発進又は加速させる場合、
前記発進クラッチ及び前記フライホイールクラッチを完全締結させても前記発進クラッチの温度が限界温度以上にならない場合は前記フライホイールクラッチ及び前記発進クラッチを動力伝達状態にして前記車両を発進又は加速させ、
前記発進クラッチ及び前記フライホイールクラッチを完全締結させると前記発進クラッチの温度が限界温度以上になる場合は前記発進クラッチを動力伝達状態にして前記駆動源の動力によって前記車両を発進又は加速させる、
ことを特徴とするフライホイール回生システムの制御方法。
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2014
- 2014-10-09 JP JP2014208209A patent/JP2016078479A/ja active Pending
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