JP2016076490A - マグネシウムクラッドコード - Google Patents

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Abstract

【課題】マグネシウムと異種金属の特徴を兼ね備え、長尺品を安定して製造することができるマグネシウムクラッドコードを提供する。
【解決手段】マグネシウムクラッドコード10は、第1素線20と、前記第1素線の周囲に環状に配置され、かつ、前記第1素線の長手方向に螺旋状に延びる複数の第2素線30と、を備え、前記第1素線および前記第2素線のいずれか一方がマグネシウムまたはマグネシウム基合金からなり、他方がマグネシウムおよびマグネシウム基合金とは異なる金属からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、マグネシウムまたはマグネシウム基合金の素線とこれ以外の金属の素線とを撚り合わせて形成されたマグネシウムクラッドコードに関する。
導電性、軽量化、周波数特性や半田付けの容易性などの向上を目的として、金属線を異種金属で被覆したクラッドワイヤが知られている。このクラッドワイヤには、電気信号の伝搬特性や作業性などの点において細く長いものが求められている。
このように細く長いクラッドワイヤの製造方法としては、主に2つの方法がある。第1の方法では、金属線を異種金属の管に挿入し、これをダイスなどで縮径加工して、長尺のクラッドワイヤを製造する。第2の方法には、たとえば、特許文献1の金属管の製造方法が用いられる。
この金属管の製法方法では、ブレークダウンロール群により金属帯材の両端を円弧状に曲げ、さらにフィンパスロール群により金属帯材を円筒状に成形する。そして、円筒状の両側端を突き合わせて溶接し、サイジングロール群により金属管の真円度を修正して仕上げている。
特開2004−114118号公報
クラッドワイヤには求められる性能に応じてさまざまな金属が用いられており、この候補として比伝導性や制振機能に優れるマグネシウムが挙げられる。しかしながら、たとえば、マグネシウムの金属線を用いて、細く長いクラッドワイヤを製造する場合、以下の課題がある。第1の方法では、クラッドワイヤに用いる金属管の長さが限られているため、クラッドワイヤの長尺物を作成することは困難である。また、第2の方法では、金属帯材を溶接する際の熱により、マグネシウムの金属線が変質してしまうことがある。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、マグネシウムと異種金属の特徴を兼ね備え、長尺品を安定して製造することができるマグネシウムクラッドコードを提供することを目的としている。
本発明のある態様に係るマグネシウムクラッドコードは、第1素線と、前記第1素線の周囲に環状に配置され、かつ、前記第1素線の長手方向に螺旋状に延びる複数の第2素線と、を備え、前記第1素線および前記第2素線のいずれか一方がマグネシウムまたはマグネシウム基合金からなり、他方がマグネシウムおよびマグネシウム基合金の何れとも異なる金属からなる。
マグネシウムクラッドコードでは、前記マグネシウム基合金は、マグネシウムを80質量%以上含んでいてもよい。また、マグネシウムクラッドコードでは、前記異なる金属は、アルミニウム、銅、金、白金および銀のいずれかの金属またはこの合金であってもよい。さらに、マグネシウムクラッドコードでは、前記第1素線の外周面および前記第2素線の外周面の少なくともいずれか一方の外周面に、銅、金、白金、銀、亜鉛および錫のいずれかの金属またはこの金属の合金による表面処理が施されていてもよい。
マグネシウムクラッドコードでは、前記第1素線および前記第2素線の各断面における最小の外形寸法が、0.05mm以上5.0mm以下であってもよい。また、マグネシウムクラッドコードは、複数の前記第2素線を前記第1素線の周囲に環状に配置して撚り合せ、この撚り線に縮径加工を施して形成されるマグネシウムクラッドコードであって、前記第1素線および前記第2素線の各断面における最小の外形寸法が、前記縮径加工前の95%以下であってもよい。さらに、マグネシウムクラッドコードは、複数の前記第2素線により形成された外周面の周囲に環状に配置され、かつ、前記第1素線の長手方向に螺旋状に延びる複数の第3素線をさらに備え、前記第1素線の本数が1以上4以下であって、前記第2素線の本数が4以上9以下であって、前記第3素線の本数が0以上15以下であってもよい。
マグネシウムクラッドコードは、複数の前記第2素線により形成された外周面または複数の前記第3素線により形成された外周面が、プラスチック、油脂、カーボン、ゴムおよび繊維のいずれかにより被覆されていてもよい。
本発明のある態様に係るコードは、前記マグネシウムクラッドコードを複数、撚り合せて形成されている。
本発明は、以上に説明した構成を有し、マグネシウムと異種金属の特徴を兼ね備え、長尺品を安定して製造することができるマグネシウムクラッドコードを提供することができるという効果を奏する。
本発明の上記目的、他の目的、特徴および利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
図1(a)は、本発明の実施の形態1に係るマグネシウムクラッドコードの断面図であり、図1(b)は、図1(a)のマグネシウムクラッドコードを示す外観図である。 図2(a)は、中央素線材と外周素線材とを撚り合せた撚り線を示す断面図であり、図2(b)は、図2(a)の撚り線を示す外観図である。 図3は、マグネシウムクラッドコードの製造工程を概略的に示すブロック図である。 図4(a)は、実施の形態2に係るマグネシウムクラッドコードを示す断面図であり、図4(b)および図4(c)は、実施の形態2の変形例に係るマグネシウムクラッドコードを示す断面図である。 本発明の実施の形態3に係るマグネシウムクラッドコードの断面図である。 図6(a)は、実施の形態4に係るマグネシウムクラッドコードを示す断面図であり、図6(b)は、実施の形態4の変形例に係るマグネシウムクラッドコードを示す断面図である。 マグネシウムクラッドコードの評価結果を示す。 図8(a)は、本発明の実施の形態5に係るマグネシウムクラッドコードの断面図であり、図8(b)は、図8(a)のマグネシウムクラッドコードを示す外観図である。 図9は、図8のマグネシウムクラッドコードの製造工程を概略的に示すブロック図である。 図10は、図1および図8のマグネシウムクラッドコードの対数減衰率を示す表である。 図11(a)は、図1のマグネシウムクラッドコードの導体抵抗および挿入損失の周波数特性を示すグラフであり、図11(b)は、比較用の銅コードの導体抵抗および挿入損失の周波数特性を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、説明の便宜上、マグネシウムクラッドコードの中心軸側を内側と称し、マグネシウムクラッドコードの外周面側を外側と称している。
(実施の形態1)
図1(a)は、マグネシウムクラッドコード10の断面図であり、図1(b)は、マグネシウムクラッドコード10を示す外観図である。図1(a)および図1(b)に示すように、マグネシウムクラッドコード10は、配電、通信および音響などの機器やシステムに用いられ、断面が円形またはほぼ円形の長尺の電線である。マグネシウムクラッドコード10は、たとえば、その径が数百μmから数mmで、長さが数百mから数千mである。マグネシウムクラッドコード10は、マグネシウムまたはマグネシウム基合金とこの異種金属とにより形成されており、中央素線(第1素線)20と、中央素線20を被覆する複数の外周素線(第2素線)30とにより構成されている。
中央素線20は、長尺の線状物であり、マグネシウムクラッドコード10の中央に配置されており、マグネシウムクラッドコード10の中心軸に平行またはほぼ平行に長手方向に延びている。中央素線20の断面が円形または多角形の形状であって、断面における最小の外形寸法が、たとえば、0.05mm以上5.0mm以下である。この最小の外形寸法は、円形状断面では直径であり、多角形状断面ではその中心を通り対向する外周を結ぶ線分のうち最も短いものの長さである。
中央素線20は、マグネシウムまたはマグネシウム基合金により形成されている。マグネシウムは、マグネシウム金属元素を99.9%以上含み、意図的に加えたものでない不純物を非常に僅かに含むことがある。マグネシウム基合金は、マグネシウム金属元素に一種類以上の他の金属元素を加えた合金であって、マグネシウム金属元素を80質量%以上含む。他の金属元素としては、たとえば、アルミニウム、亜鉛、マンガン、カルシウム、ケイ素、リチウムなどが挙げられる。
外周素線30は、長尺の線状物である。外周素線30の断面は、その外側辺が弧状の略台形状であり、この断面における最小の外形寸法(この実施の形態では、内側辺と外側辺との間の長さ)は、たとえば、0.05mm以上5.0mm以下である。外周素線30は、複数(この実施の形態では、6本)設けられており、中央素線20の周囲に環状に配置されている。複数の外周素線30は、それぞれが互いに平行またはほぼ平行に中央素線20の長手方向に螺旋状に延びている。
外周素線30は、その内側面が中央素線20の外周面に接し、側方面が隣接する外周素線30と接し、マグネシウムクラッドコード10の外周面を構成している。このように、隣り合う6本の外周素線30が密着することにより、環状層が形成される。この環状層は、内周面が中央素線20の外周面に接して、中央素線20の外周面を被覆している。
外周素線30は、マグネシウムおよびマグネシウム基合金の何れとも異なる金属(異種金属)により形成されている。この異種金属としては、たとえば、アルミニウム、銅、金、白金、銀、亜鉛、ニッケル、錫、チタンおよびステンレスのいずれかの金属またはこの合金が挙げられる。さらに、異種金属として、アルミニウム、銅、金、白金、および銀のいずれかの金属またはこの合金が好ましい。なお、複数の外周素線30の全てが同種の金属または合金から構成されていてもよいし、複数の外周素線30の一部または全てが異種の金属または合金で構成されていてもよい。
中央素線20および外周素線30の構成金属、径、本数および断面積比率は、マグネシウムクラッドコード10に求められる性能などにより適宜、設定される。たとえば、マグネシウムクラッドコード10に高い強度特性が求められている場合には、外周素線30にステンレスや銅などを用いる。また、マグネシウムクラッドコード10における中央素線20の特性を増加させる場合には、外周素線30の径を小さくすることにより、外周素線30に対する中央素線20の断面積比率を増加させる。一方、マグネシウムクラッドコード10における外周素線30の特性を増加させる場合には、外周素線30の径を大きくすることにより、外周素線30に対する中央素線20の断面積比率を減少させる。また、マグネシウムクラッドコード10の可撓性を向上させるには、各素線20、30の径を小さく本数を増やす。
次に、図1(a)〜図3を参照して、マグネシウムクラッドコード10の製造方法について説明する。図2(a)は、中央素線材21と外周素線材31とを撚り合せた撚り線11を示す断面図であり、図2(b)は、撚り線11を示す外観図である。図3は、マグネシウムクラッドコード10の製造工程40を概略的に示すブロック図である。なお、マグネシウムクラッドコード10の製造方法はこの製造方法に限定されず、公知の種々の手法、条件、製造工程等を適宜採用することができる。
まず、図2(a)、図2(b)および図3に示すように、中央素線材供給器41から中央素線材21を供給し、外周素線材供給器42から外周素線材31を供給する。中央素線材21は縮径加工が施される前の中央素線20であり、外周素線材31は縮径加工が施される前の外周素線30である。中央素線材21および外周素線材31は、その径および長さは、マグネシウムクラッドコード10の径および長さに応じてそれぞれ設定される。中央素線材21および外周素線材31には、加工が容易なため、断面が円形状の丸線を用いる。ただし、中央素線材21および外周素線材31の形状は丸線に限定されない。たとえば、断面が矩形である板状の外周素線材31に用いてもよい。
中央素線材21および外周素線材31は、たとえば、中央素線材21および外周素線材31の各原材を縮径加工または圧延加工を施すことにより形成してもよい。中央素線材21および外周素線材31の各原材には、たとえば、縮径材、押し出し材または圧延材などが用いられる。
この1本の中央素線材21の周囲に6本の外周素線材31を配置して、チューブラー型またはバンチャー型などの撚り機43により外周素線材31を撚り合せる。たとえば、径0.7mmの中央素線材21と径0.6mmの外周素線材31とを撚り合せた場合、撚り線11の径が1.9mmになる。外周素線材31の撚りピッチは、特に限定されないが、たとえば、撚り線11の径の10倍である。
そして、撚り線11をダイス44に通過させる。たとえば、出口の径が1.66mmのダイス44に、1.9mm径の撚り線11を通過することにより、撚り線11は、その径が小さくなって締まる(各素線が密着する)。これにより、撚り線11を縮径加工し易くなる。ただし、撚り線11をダイス44に通過させる工程は、適宜省略されてもよい。
そして、縮径加工機45により撚り線11に縮径加工を施して、所望の径または長さまで撚り線11を細く長くして、マグネシウムクラッドコード10を形成する。この際、中央素線材21および外周素線材31が変形して、中央素線20および外周素線30は密着しながら細く長くなる。この中央素線20および外周素線30の各断面における最小の外形寸法を、縮径加工前の中央素線材21および外周素線材31の95%以下にする。
この縮径加工には、伸線加工、圧延加工またはスウェジング加工などが用いられる。伸線加工では、入口側が太く出口側が細い円錐状の孔が設けられたダイスに、撚り線11を通過させることにより、撚り線11が縮径して長く伸びる。圧延加工では、回転する複数のローラの間に撚り線11を通過させることにより、撚り線11が縮径して長く伸びる。スウェジング加工では、分割された金型が回転しながら撚り線11を叩くことにより、撚り線11が縮径して長く伸びる。
なお、撚り線11を伸ばしていくと、外周素線30の撚りピッチが長くなり、外周素線30が短冊状にばらけ易くなる。このため、縮径加工中に、マグネシウムクラッドコード10に適宜撚り入れを行ってもよい。
上記構成によれば、マグネシウムクラッドコード10の中央素線20にマグネシウムまたはマグネシウム基合金を用いた。これにより、比重が小さい、比強度(強度/重量)が高い、比伝導性(導電性/重量)が大きい、比熱が小さい、および、振動減衰率が高いなどのマグネシウムの特性を有するクラッドコードを形成することができる。
一般に、音響機器において導線は、通電により振動したり、スピーカの振動などの外的要因により振動したりする。このような振動が磁界中で起こると、導線に誘起起電力が生じ、この極性が変動する。これが、ノイズになったり、電気信号の導通を妨害したりする。これに対して、マグネシウムクラッドコード10における中央素線20は、振動減衰率が高いマグネシウムにより形成されているため、制振機能を発揮する。よって、音響機器などにマグネシウムクラッドコード10を用いると、電気信号が主に外周素線30を伝搬する際に、外周素線30およびマグネシウムクラッドコード10の振動を中央素線20が低減するため、振動によるノイズや通電妨害を極めて低く抑えることができる。
さらに、撚り線11に縮径加工を施すことにより、中央素線20と外周素線30とが互いに密着する。これにより、中央素線20と外周素線30との接触面積が増えるため、たとえば、外周素線30の振動を中央素線20がより効率的に低減して、振動によるノイズなどを抑制することができる。
また、中央素線20に用いたマグネシウム基合金がマグネシウムを80質量%以上含む。このため、中央素線20がマグネシウムではなくマグネシウム基合金により形成されていても、マグネシウムクラッドコード10はマグネシウムの特性を発揮することができる。
さらに、外周素線30に異種金属を用いることにより、マグネシウムとは異なる異種金属の特性をマグネシウムクラッドコード10に持たせることができる。たとえば、アルミニウム、銅、金、白金および銀のいずれかの金属またはこの合金などの電気伝導率の高い金属を用いることにより、マグネシウムクラッドコード10の電気信号の伝搬性能の向上が図られる。
また、中央素線20および外周素線30の最小の外形寸法を、たとえば、0.05mm以上5.0mm以下とした。これにより、中央素線20を外周素線30により被覆したマグネシウムクラッドコード10を比較的容易に形成することができる。また、マグネシウムクラッドコード10は、撚り合せ加工および縮径加工に対する強度が得られる。さらに、この径により製造されたマグネシウムクラッドコード10は、電気部材として用いることができる。
さらに、中央素線20および外周素線30の各断面における最小の外形寸法が、縮径加工前の95%以下になるように、撚り線11に縮径加工を施した。これにより、外周素線30同士、および、中央素線20と外周素線30とが互いに密着し、マグネシウムクラッドコード10を一体的に形成することができる。
また、中央素線材21および外周素線材31の撚り線11を縮径加工してマグネシウムクラッドコード10を形成している。これにより、外周素線30同士、および、中央素線20と外周素線30とは、互いに密着しているが、これらの間でずれることができるため、マグネシウムクラッドコード10は可撓性を有する。
なお、上記構成では、1本の中央素線20がマグネシウムクラッドコード10に用いられたが、中央素線20の本数はこれに限定されない。たとえば、中央素線20は4本以下であることが好ましい。また、6本の外周素線30がマグネシウムクラッドコード10に用いられたが、外周素線30の本数はこれに限定されない。たとえば、外周素線30は4本以上9本以下であることが好ましい。このような中央素線20および外周素線30の本数にすることにより、中央素線20を外周素線30で被覆したマグネシウムクラッドコード10を製造し易い。ただし、中央素線20や外周素線30の本数は、これらに限定されるものではない。
(実施の形態2)
実施の形態2に係るマグネシウムクラッドコード10は表面処理されており、この点が実施の形態1に係るマグネシウムクラッドコード10とは異なるが、それ以外は同様である。図4(a)は、実施の形態2に係るマグネシウムクラッドコード10を示す断面図である。なお、図4(a)では、わかりやすいように、表面処理層50の厚みを大きく示しているが、表面処理層50はこれよりも薄い。
図4(a)に示すように、中央素線20の外周面に表面処理が施されている。この表面処理としては、たとえば、めっき(湿式めっき)および蒸着(乾式めっき)が挙げられる。表面処理を中央素線20の外周面に施して、中央素線20の周囲に複数の外周素線30を配置し撚り合わせ、この撚り線に縮径加工を行う。これにより、中央素線20の外周面は薄膜(第1表面処理層)50により覆われ、第1表面処理層50が中央素線20と外周素線30との間に設けられる。
第1表面処理層50は、耐食性の高い金属、たとえば、中央素線20のマグネシウムよりイオン化傾向の小さな金属により形成されている。このイオン化傾向の小さい金属として、たとえば、銅、金、白金、銀、亜鉛および錫のいずれか金属またはこの金属の合金が挙げられる。第1表面処理層50の金属は、マグネシウムクラッドコード10の要求特性や外周素線30の金属の種類などにより適宜、選択される。
上記構成によれば、中央素線20と外周素線30との間に第1表面処理層50が介在している。これにより、第1表面処理層50は、中央素線20のマグネシウムが外周素線30の異種金属と接触することにより形成される反応生成物の発生を軽減または防止することができる。
なお、上記構成では、中央素線20の外周面に表面処理が施したが、これに代えて/これと共に、複数の外周素線30に表面処理を施してもよい。この表面処理は、耐食性の高い金属、たとえば、中央素線20のマグネシウムよりイオン化傾向の小さな金属により形成されている。このイオン化傾向の小さい金属として、たとえば、銅、金、白金、銀、亜鉛および錫のいずれか金属またはこの金属の合金が挙げられる。
図4(b)に示すように、各外周素線30の外周面に表面処理を施し、外周素線30を中央素線20の周囲で撚り合わせた線に縮径加工を行う。これにより、外周素線30の外周面は薄膜(第2表面処理層)51により覆われ、第2表面処理層51によって外周素線30の腐食が防止される。
図4(c)に示すように、中央素線20および外周素線30の各外周面に表面処理を施し、外周素線30を中央素線20の周囲で撚り合わせた線に縮径加工を行う。これにより、第1および第2表面処理層50、51によって各素線20、30の腐食が防止される。
(実施の形態3)
実施の形態1では、複数の外周素線30によって1つの環状層が中央素線20の周りに形成されていた。これに対して、実施の形態3では、複数の周囲素線(第3素線)60によって環状層が外周素線30の周りにさらに形成されている。この点を除いて、実施の形態3に係るマグネシウムクラッドコード10は、実施の形態1に係るマグネシウムクラッドコード10と同様である。図5は、実施の形態3に係るマグネシウムクラッドコード10を示す断面図である。
図5に示すように、マグネシウムクラッドコード10は、中央素線20、および、複数の外周素線30により形成された環状の層(第1環状層)に加えて、複数の周囲素線60により形成された環状の層(第2環状層)を備えている。このように第1環状層が第2環状層で覆われていることにより、第1環状層の外周面は第2環状層の外周面に接している。このため、第1環状層の外周素線30は、その断面が略台形状になり、外側面が周囲素線60の内側面と接している。
第2環状層は、この実施の形態では、12本の周囲素線60により構成されている。周囲素線60の断面は、外側辺が弧状の略台形状である。周囲素線60は、その内側面が外周素線30の外側面に接し、側方面が隣接する周囲素線60と接し、外側面がマグネシウムクラッドコード10の外周面を構成している。このように、隣り合う12本の周囲素線60が密着することにより、第2環状層が形成される。
周囲素線60は、たとえば、マグネシウム、アルミニウム、銅、金、白金、銀、亜鉛、ニッケル、錫、チタンおよびステンレスのいずれかの金属またはこの合金が挙げられる。さらに、この金属として、マグネシウム、アルミニウム、銅、金、白金および銀のいずれかの金属またはこの合金が好ましい。なお、周囲素線60の全てが同種の金属または合金から構成されていてもよいし、周囲素線60の一部または全てが異種の金属または合金で構成されていてもよい。
このマグネシウムクラッドコード10の製造方法では、図2(a)のように中央素線材21の周囲に外周素線材31を撚り合わせて縮径し、図1(a)に示すコードを作成する。このコードの周囲に周囲素線60の素線材を配置して撚り機43により撚り合せる。この撚り線をダイス44に通過させて、撚り線の径を小さくする。そして、縮径加工機45により撚り線に縮径加工を施して、所望の径または長さまで撚り線を細く長くして、図5のマグネシウムクラッドコード10を形成する。
上記構成によれば、中央素線20の周りに複数の環状層を設けることにより、マグネシウムクラッドコード10の特性の多様性や向上を図ることができる。たとえば、中央素線20および第1環状層の外周素線30をマグネシウムで形成し、第2環状層の周囲素線60を異種金属で形成してもよい。これにより、マグネシウムクラッドコード10におけるマグネシウムの比率を増やしたり、中央素線20および外周素線30を細くしてマグネシウムクラッドコード10の可撓性を向上させたりすることができる。
なお、上記構成では、12本の周囲素線60が用いられたが、この周囲素線60の本数はこれに限定されない。たとえば、周囲素線60の本数は15以下であることが好ましい。この本数であれば、周囲素線60による第2層が第1層の外周面を被覆し易い。ただし、周囲素線60の本数は、これらに限定されるものではない。
さらに、上記構成では、1つの第2環状層を第1環状層の周囲に設けたが、環状層の数はこれに限定されない。たとえば、第2環状層の周囲にさらに環状層を設けてもよい。
また、実施の形態3に係るマグネシウムクラッドコード10においても、実施の形態2のように、中央素線20の外周面および/または複数の外周素線30の外周面に表面処理を施してもよい。さらに、周囲素線60の外周面に実施の形態2と同様の表面処理を施してもよい。
(実施の形態4)
実施の形態4に係るマグネシウムクラッドコード10は被覆されており、この点が実施の形態1に係るマグネシウムクラッドコード10とは異なるが、それ以外は同様である。図6(a)は、実施の形態4に係るマグネシウムクラッドコード10を示す断面図である。
図6(a)に示すように、複数の外周素線30により形成された外周面が、たとえば、プラスチック、油脂、カーボン、ゴムおよび繊維のいずれかの材料により被覆されている。これにより、外周素線30により形成された外周面は被覆層70で覆われるため、被覆層70によって外周素線30は保護される。
また、被覆層70の材料は、被覆目的に応じて適宜選択される。たとえば、電気絶縁物を被覆層70に用いれば、被覆層70によってマグネシウムクラッドコード10の漏電が防がれる。また、熱絶縁物を被覆層70に用いれば、被覆層70によってマグネシウムクラッドコード10の耐火性などが向上する。さらに、制振部材を被覆層70に用いれば、マグネシウムクラッドコード10における電気信号の伝搬特性の向上が図られる。電磁波シールド特性を有する物質を被覆層70に用いれば、マグネシウムクラッドコード10における電磁波によるノイズの低減を図ることができる。
さらに、被覆層70は、1つの材料だけに限らず、複数の材料を用いてもよい。たとえば、外周素線30により形成された外周面上に絶縁物による絶縁被覆層70を設け、この絶縁被覆層70の外周面上に電磁波シールド特性を有する物質の被覆層70を設けることもできる。これにより、複数の特性をマグネシウムクラッドコード10に持たせることができる。
なお、実施の形態4に係るマグネシウムクラッドコード10においても、実施の形態2のように、中央素線20の外周面および/または複数の外周素線30の外周面に表面処理が施されてもよい。
また、実施の形態4に係るマグネシウムクラッドコード10においても、実施の形態3のように、周囲素線60による第2環状層をさらに設けてもよい。この場合、図6(b)に示すように、第2環状層の外周面が被覆層70により覆われる。
(実施の形態5)
図8(a)は、本発明の実施の形態5に係るマグネシウムクラッドコード12の断面図であり、図8(b)は、図8(a)のマグネシウムクラッドコード12を示す外観図である。図8に示すように、マグネシウムクラッドコード12は、中央素線(第1素線)22と、中央素線22を被覆する複数の外周素線(第2素線)32とにより構成されている。また、マグネシウムクラッドコード12は、図1に示すマグネシウムクラッドコード10は縮径加工が施されているのに対して、縮径加工が施されていない点で相違する。
中央素線22は、その断面が円形または多角形の形状であって、断面における最小の外形寸法が、たとえば、0.05mm以上5.0mm以下である。中央素線22は、マグネシウムまたはマグネシウム基合金により形成されている。マグネシウム基合金は、マグネシウム金属元素に一種類以上の他の金属元素を加えた合金であって、マグネシウム金属元素を80質量%以上含む。他の金属元素としては、たとえば、アルミニウム、亜鉛、マンガン、カルシウム、ケイ素、リチウムなどが挙げられる。
外周素線32は、その断面が円形または多角形の形状であって、断面における最小の外形寸法が、たとえば、0.05mm以上5.0mm以下である。外周素線32は、複数(この実施の形態では、6本)設けられており、中央素線22の周囲に環状に配置されている。複数の外周素線32は、それぞれが互いに平行またはほぼ平行に中央素線22の長手方向に螺旋状に延びている。
外周素線32は、マグネシウムおよびマグネシウム基合金の何れとも異なる金属(異種金属)により形成されている。この異種金属としては、たとえば、アルミニウム、銅、金、白金、銀、亜鉛、ニッケル、錫、チタンおよびステンレスのいずれかの金属またはこの合金が挙げられる。さらに、異種金属として、アルミニウム、銅、金、白金、および銀のいずれかの金属またはこの合金が好ましい。なお、複数の外周素線32の全てが同種の金属または合金から構成されていてもよいし、複数の外周素線32の一部または全てが異種の金属または合金で構成されていてもよい。
次に、図8および図9を参照して、マグネシウムクラッドコード12の製造方法について説明する。図9は、マグネシウムクラッドコード12の製造工程80を概略的に示すブロック図である。なお、マグネシウムクラッドコード12の製造方法はこの製造方法に限定されず、公知の種々の手法、条件、製造工程等を適宜採用することができる。
まず、図9に示す製造工程80において、中央素線供給器81から中央素線22を供給し、外周素線供給器82から外周素線32を供給する。中央素線22および外周素線32は、その各素線22、32は縮径加工または圧延加工を施すことにより形成されていてもよい。中央素線22および外周素線32には、たとえば、縮径材、押し出し材または圧延材などが用いられる。
1本の中央素線22の周囲に6本の外周素線32を配置して、撚り機83により外周素線32を撚り合せる。外周素線32の撚りピッチは、特に限定されないが、たとえば、マグネシウムクラッドコード12の径の10倍である。このように撚り合わされた撚り線がマグネシウムクラッドコード12として形成される。
上記構成によれば、実施の形態1のマグネシウムクラッドコード10と同様に、制振機能などのマグネシウムの特性を有するマグネシウムクラッドコード12を形成することができる。また、外周素線32の異種金属により、マグネシウムとは異なる異種金属の特性をマグネシウムクラッドコード12に持たせることができる。
さらに、マグネシウムクラッドコード12は、中央素線22および外周素線32を撚り合せて形成されている。これにより、外周素線32同士、および、中央素線22と外周素線32とが互いに線接触するため、マグネシウムクラッドコード12を一体的に形成することができる。また、外周素線32同士、および、中央素線22と外周素線32とは、これらの間でずれることができるため、マグネシウムクラッドコード12は可撓性を有する。
なお、実施の形態5に係るマグネシウムクラッドコード12においても、実施の形態2のように、中央素線22の外周面および/または外周素線32の外周面に表面処理が施されてもよい。また、実施の形態5に係るマグネシウムクラッドコード12においても、実施の形態3のように、複数の周囲素線60によって外周素線32の周りが被覆されていてもよい。さらに、実施の形態5に係るマグネシウムクラッドコード12においても、実施の形態4のように、複数の外周素線32により形成された外周面が被覆層70で覆われていてもよい。
このように、クラッドコードは、2種類以上の金属線を撚り合わせたコードである。このうち、マグネシウムクラッドコードは、マグネシウムと他の金属線を撚り合わせたコードである。たとえば、マグネシウムクラッドコートとして、マグネシウムの芯線の外周に銅線を配したコードを縮径した図1のマグネシウムクラッドコード10、および、マグネシウムの芯線の外周に銅線を配したコードを縮径していない図8のマグネシウムクラッドコード12が挙げられる。
(その他の実施の形態)
上記実施の形態1〜4では、中央素線20にマグネシウムまたはマグネシウム基合金を用い、外周素線30に異種金属を用いた。これに対し、外周素線30にマグネシウムまたはマグネシウム基合金を用い、中央素線20に異種金属を用いてもよい。
上記実施の形態1〜4に係るマグネシウムクラッドコード10の製造において、撚り線11の加熱処理を加えてもよい。すなわち、撚り機43による撚り線11を撚る加工、ダイス44により撚り線11を圧縮する加工、および、縮径加工機45により撚り線11を縮径する加工の途中または最後に、撚り線11を加熱する。これにより、各加工によってマグネシウムクラッドコード10が硬化して脆くなった場合であっても、加熱処理によりマグネシウムクラッドコード10の延性を回復することができる。なお、この加熱処理では、たとえば、撚り線11を200℃以上で所定時間、加熱することが好ましい。
上記実施の形態5では、中央素線22にマグネシウムまたはマグネシウム基合金を用い、外周素線32に異種金属を用いた。これに対し、外周素線32にマグネシウムまたはマグネシウム基合金を用い、中央素線22に異種金属を用いてもよい。また、上記実施の形態5に係るマグネシウムクラッドコード12の製造において、中央素線22および外周素線32を撚り合せたものに加熱処理を加えてもよい。
上記全ての実施の形態では、1本のマグネシウムクラッドコード10、12を電線などに用いたが、複数のマグネシウムクラッドコード10、12を撚り合わせて形成されたコードを電線などに用いることもできる。
(第1実施例)
次に、実施例1および比較例1、2を用いてマグネシウムクラッドコード10の機械的性質を評価した結果を説明する。図7は、マグネシウムクラッドコード10の評価結果を示す。この実施例1として径が1.2mmのマグネシウムクラッドコード10を用い、比較例1として径が1.2mmの銅ワイヤを用い、比較例2として径が1.2mmのマグネシウムワイヤを用いた。
実施例1のマグネシウムクラッドコード10は、径が0.7mmでマグネシウムからなる中央素線材21と、径が0.6mmで銅からなる外周素線材31とにより製造した。上記製造方法と同様に、1本の中央素線材21の周囲に6本の外周素線材31を撚り機43で撚り合わせた。この径が1.9mmの撚り線11をダイス44に通過させて、撚り線11の径を1.66mmまで縮めた。そして、撚り線11を200〜232℃で1.5分間加熱した後、縮径加工機45(伸線機)において3枚のダイスを通過させて、1.2mm径のマグネシウムクラッドコード10を作成した。
図7の評価結果に示すように、実施例1の破断力は比較例1と同等以上であり、実施例1の捻回値は比較例2と同等以上であった。また、実施例1の柔軟性は、比較例1および2に比べて優れていた。なお、柔軟性試験では、互いの間隔が200mm開いた2つの支持台上に試験片を載せ、2つの支持台の間に5gの重錘を吊り下げて、試験片のたわみ量を柔軟性として測定した。
(第2実施例)
図10は、実施例2のマグネシウムクラッドコード10および実施例3のマグネシウムクラッドコード12、また、比較例3、4の銅コードの対数減衰率を示す表である。実施例2の対数減衰率の比率は、比較例3の値に対する割合である。実施例3の対数減衰率の比率は、比較例4の値に対する割合である。
対数減衰率は、互いの間隔L、開いた2つの支持台上にマグネシウムクラッドコード10、12および銅コードを載せる。そして、各コードの一方端に重さTの重錘を吊り下げて、各コードを張り、2つの支持台間で各コードを振動させてその音圧(dB)の変化を測定した。この時、各コードの初期固有振動数を160Hzに調整した。また、対数減衰率は、6回測定した値の平均値である。
実施例2のマグネシウムクラッドコード10は、径が0.48mmでマグネシウムからなる中央素線材21と、径が0.42mmで無酸素銅からなる外周素線材31とにより製造した。1本の中央素線材21の周囲に6本の外周素線材31を撚り機43で撚り合わせて、径が1.32mmの撚り線11を製作した。これを、200℃で1分間の加熱しながら縮径加工機45(伸線機)において6枚のダイスに通過させて、0.9mm径のマグネシウムクラッドコード10を作成した。
実施例3のマグネシウムクラッドコード12は、径が0.48mmでマグネシウムからなる中央素線22と、径が0.42mmで無酸素銅からなる外周素線32とにより製造した。1本の中央素線22の周囲に6本の外周素線32を撚り機83で撚り合わせて、この撚り線を200℃で1分間加熱して、マグネシウムクラッドコード12を作成した。
比較例3の銅コードは、径が0.48mmで無酸素銅からなる中央素線材と、径が0.42mmで無酸素銅からなる外周素線材とにより製造した。1本の中央素線材の周囲に6本の外周素線材を撚り合わせて、径が1.32mmの撚り線を製作した。これを、撚り線を200℃で1分間加熱しながら、縮径加工機において6枚のダイスに通過させて、0.9mm径の銅コードを作成した。
比較例4の銅コードは、径が0.48mmで無酸素銅からなる中央素線と、径が0.42mmで無酸素銅からなる外周素線とにより製造した。1本の中央素線の周囲に6本の外周素線を撚り合わせて、この撚り線を200℃で1分間加熱して作成した。
図10の表に示すように、実施例2の対数減衰率は比較例3より1.2倍大きく、実施例3の対数減衰率は比較例4より1.2倍大きい。
(第3実施例)
次に、マグネシウムクラッドコード10の周波数特性を評価した結果を説明する。この周波数特性は、実施例2および比較例3の各コードを4本、樹脂で絶縁一体化したケーブルを用いて、LCRメーターで測定した。図11(a)は、実施例2のマグネシウムクラッドコード10の周波数(kHz)に対する導体抵抗(mΩ/m)および挿入損失(dB)を示すグラフである。図11(b)は、比較例3の無酸素銅100%の銅コードの周波数(kHz)に対する導体抵抗(mΩ/m)および挿入損失(dB)を示すグラフである。
周波数1kHzでは、図11(a)の実施例2の導体抵抗は、42.7mΩ/mであり、図11(b)の比較例3の導体抵抗41.0mΩ/mより大きい。しかしながら、周波数が10kHz以上の高周波域では、図11(a)の実施例2の導体抵抗の上昇カーブの傾き(導体抵抗の上昇割合)は、図11(b)の比較例3より小さい。また、周波数が60kHzでは、図11(a)の実施例2の導体抵抗は、45.2 mΩ/mであり、図11(b)の比較例3の導体抵抗45.0mΩ/mと同等レベルになっている。
このような導体抵抗の周波数特性と同様の傾向が挿入損失にも見られる。一般的に、高周波域における挿入損失の上昇割合が小さいと、高音帯域への広がりが得られ、高解像度の音質が得られる。また、実際に測定した高周波域における実施例2の電力の減衰量の上昇割合は、比較例3より小さかった。これは、マグネシウムクラッドコード10の表皮効果によるものである。つまり、マグネシウムクラッドコード10の中央素線20、22にまで流れようとする低域成分は、その抵抗が大きいため、減衰する傾向にある。一方、マグネシウムクラッドコード10の外周素線30、32に流れる高域成分は、減衰しないため、その周波数特性が全域でよりフラットになる。
なお、上記全実施の形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明のマグネシウムクラッドコードは、マグネシウムと異種金属の特徴を兼ね備え、長尺品を安定して製造することができるマグネシウムクラッドコード等として有用である。
10 :マグネシウムクラッドコード
11 :撚り線
12 :マグネシウムクラッドコード
20 :中央素線(第1素線)
30 :外周素線(第2素線)
50 :表面処理層
50 :第1表面処理層(表面処理層)
51 :第2表面処理層(表面処理層)
60 :周囲素線(第3素線)
70 :被覆層
22 :中央素線(第1素線)
32 :外周素線(第2素線)

Claims (9)

  1. 第1素線と、
    前記第1素線の周囲に環状に配置され、かつ、前記第1素線の長手方向に螺旋状に延びる複数の第2素線と、を備え、
    前記第1素線および前記第2素線のいずれか一方がマグネシウムまたはマグネシウム基合金からなり、他方がマグネシウムおよびマグネシウム基合金の何れとも異なる金属からなる、マグネシウムクラッドコード。
  2. 前記マグネシウム基合金は、マグネシウムを80質量%以上含む、請求項1に記載のマグネシウムクラッドコード。
  3. 前記異なる金属は、アルミニウム、銅、金、白金および銀のいずれかの金属またはこの合金である、請求項1または2に記載のマグネシウムクラッドコード。
  4. 前記第1素線の外周面および前記第2素線の外周面の少なくともいずれか一方の外周面に、銅、金、白金、銀、亜鉛および錫のいずれかの金属またはこの金属の合金による表面処理が施されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマグネシウムクラッドコード。
  5. 前記第1素線および前記第2素線の各断面における最小の外形寸法が、0.05mm以上5.0mm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のマグネシウムクラッドコード。
  6. 複数の前記第2素線を前記第1素線の周囲に環状に配置して撚り合せ、この撚り線に縮径加工を施して形成されるマグネシウムクラッドコードであって、
    前記第1素線および前記第2素線の各断面における最小の外形寸法が、前記縮径加工前の95%以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のマグネシウムクラッドコード。
  7. 複数の前記第2素線により形成された外周面の周囲に環状に配置され、かつ、前記第1素線の長手方向に螺旋状に延びる複数の第3素線をさらに備え、
    前記第1素線の本数が1以上4以下であって、前記第2素線の本数が4以上9以下であって、前記第3素線の本数が0以上15以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のマグネシウムクラッドコード。
  8. 複数の前記第2素線により形成された外周面または複数の前記第3素線により形成された外周面が、プラスチック、油脂、カーボン、ゴムおよび繊維のいずれかにより被覆されている、請求項7に記載のマグネシウムクラッドコード。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の前記マグネシウムクラッドコードを複数、撚り合せて形成されている、コード。
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