JP2016074348A - 調圧器、および、それを備えた車両用液圧ブレーキシステム - Google Patents

調圧器、および、それを備えた車両用液圧ブレーキシステム Download PDF

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Abstract

【課題】 車両用液圧ブレーキシステムにおいて好適であり、かつ、実用性の高い調圧器を提供する。
【解決手段】 (a)スプール弁機構122を構成するスプール120を2つのパイロット圧によってそれぞれ他端側に向かって付勢する2つの付勢機構134,142と、(b) そのスプールを、当該調圧器から供給される作動液の圧力によって一端側に向かって付勢する逆方向付勢機構156とを備えた調圧器24において、その逆方向付勢機構を、スプールを一端側に向かって押す逆方向付勢ピストン144を有するように構成する。パイロット圧による付勢力を大きくしたい場合に、そのピストンの調整圧に対する受圧面積を大きくすることで、容易にパイロット圧に対向する付勢力を大きくすることが可能である。スプールの径を小さくしたままで、応答性の良好な調圧器を実現させることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、高圧源から供給される作動液を調圧する調圧器、および、その調圧器を含んで構成された車両用液圧ブレーキシステムに関する。
車両用液圧ブレーキシステムの分野においては、ブレーキ操作力に依存してブレーキ装置がブレーキ力を発生させるのではなく、専ら高圧源から供給される作動液の圧力に依存してブレーキ装置がブレーキ力を発生させるシステムが存在し、そのシステムでは、高圧源から供給される作動液を調圧するために調圧器が用いられる。そのようなシステムの一例である下記特許文献に記載のシステムでは、パイロット圧によって作動液の圧力を調圧するための調圧器が設けられている。
特開2013−227016号公報
上記特許文献に記載されている調圧器では、いわゆるポペット式の弁機構によって高圧源からの作動液の調圧が行われている。ポペット式弁機構は、弁座に対する弁体の着座・離座によって、作動液を調圧する構造を有しており、弁体が離座した場合の弁体の隙間が比較的大きく設定されている。そのため、異物の噛み込み等の可能性が若干ではあるが高い。それに対して、スプール式の弁機構は、スプールと、スプールの外周と対向する内部ポートを有してそのスプールを移動可能に保持する構成要素(以下、「スプール保持体」という場合がある)とのクリアランスが、比較的小さく、異物の噛み込み等の観点からは優れている。そのような実情に鑑み、本発明は、スプール式の弁機構を含んで構成された実用的な調圧器を提供することを課題とし、また、その調圧器を備えた実用的な車両用液圧ブレーキシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の調圧器は、(a) スプール弁機構を構成するスプールを、2つのパイロット圧によってそれぞれ他端側に向かって付勢する2つの付勢機構と、(b) そのスプールを、当該調圧器から供給される作動液の圧力によって一端側に向かって付勢する逆方向付勢機構とを備え、その逆方向付勢機構が、スプールを一端側に向かって押す逆方向付勢ピストンを有するように構成される。
また、本発明の車両用液圧ブレーキシステムは、ブレーキ操作部材と、車輪に設けられたブレーキ装置と、導入された作動液の圧力に応じた圧力に作動液を加圧してブレーキ装置に供給するマスタシリンダ装置と、高圧の作動液を供給する高圧源装置と、制御によって作動液を任意の圧力に調整して供給する作動液圧調整装置と、高圧源装置からの作動液を調圧する上記本発明の調圧器とを備え、上記2つのパイロット圧の一方が、作動液圧調整装置から供給される作動液の圧力とされ、他方が、マスタシリンダ装置から供給される作動液の圧力、若しくは、ブレーキ操作力に応じた作動液の圧力とされ、かつ、その調圧器によって調圧された作動液が、マスタシリンダ装置に導入されるように構成される。
本発明の調圧器は、スプール式の弁機構を含んで構成されているため、先に説明したように、異物の噛み込み等の発生が少ないといった観点において優れている。また、本発明の調圧器は、パイロット圧に対向するようにスプールを付勢する逆方向付勢機構が、調圧器から供給される作動液の圧力(以下、「調整圧」という場合がある)をスプールの端面に直接作用させるのではなく、上記逆方向付勢ピストンを介して付勢するように構成されていることから、例えばパイロット圧による付勢力を大きくしたい場合において、そのピストンの調整圧に対する受圧面積を大きくすることによって、容易にパイロット圧に対向する付勢力を大きくすることが可能である。つまり、本発明によれば、スプールの径を小さくしたままで、応答性の良好な調圧器の実現が可能なのである。以上のことから、本発明の調圧器は、実用的な調圧器となる。
また、上記本発明の調圧器を用いた本発明の車両用液圧ブレーキシステムは、その調圧器の利点が活かされることで、信頼性が高く、応答性の良好なシステムとなる。つまり、実用性の高いシステムとなるのである。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項〜(7)項が、それぞれ、請求項1〜請求項7に相当し、(11)項が請求項8に相当する。
(1)高圧源からの作動液を2つのパイロット圧によって調整圧に調圧し、その調圧された作動液を供給する調圧器であって、
ハウジングと、
それぞれが、前記ハウジングに設けられた、(a) 高圧源からの作動液が供給される高圧ポート、(b) 低圧源と連通させられる低圧ポート、および、(c) 調圧された作動液を供給するための調整圧ポートと、
前記ハウジング内に設けられ、軸線方向に移動可能とされたスプールを有し、そのスプールが可動範囲における一端側に位置する場合に、前記低圧ポートと前記調整圧ポートとの連通を許容するとともに、前記高圧ポートと前記調整圧ポートとの連通を遮断し、そのスプールの他端側への移動によって、前記低圧ポートと前記調整圧ポートとの連通を遮断するとともに、前記高圧ポートと前記調整圧ポートとの連通を許容するスプール弁機構と、
前記ハウジング内において前記スプールの一端側に設けられ、前記2つのパイロット圧の一方である第1パイロット圧の作動液が導入される第1パイロット圧室を有し、その第1パイロット圧室の作動液の圧力によって、前記スプールを他端側に向かって付勢する第1付勢機構と、
前記ハウジング内において前記スプールの一端側に設けられ、前記2つのパイロット圧の他方である第2パイロット圧の作動液が導入される第2パイロット圧室を有し、その第2パイロット圧室の作動液の圧力によって、前記スプールを他端側に向かって付勢する第2付勢機構と、
前記ハウジング内において前記スプールの他端側に設けられ、前記調整圧ポートと連通して調整圧の作動液が導入される調整圧室を有して、その調整圧室の作動液の圧力によって、前記スプールを一端側に向かって付勢する逆方向付勢機構と
を備え、
前記逆方向付勢機構が、
前記スプールの他端側に配設され、前記調整圧室の作動液の圧力を受けて前記スプールを一端側に向かって押す逆方向付勢ピストンを有することを特徴とする調圧器。
本態様の調圧器は、いわゆるスプール式の弁機構を含んで構成された調圧器である。スプール式の弁機構は、スプール保持体に保持されたスプールの軸線方向への移動によって、調整圧ポートに対する高圧ポートと低圧ポートとの連通を切り換える機構であり、スプールとスプール保持体との間には、一般的に、シールを設けることなく、両者のクリアランスを相当に小さくすることによってシールの機能を実現させている。したがって、スプールとスプール保持体との間における異物の噛み込みといった現象が発生しにくく、その点においては、いわゆるポペット式の弁機構と比較して有利である。しかしながら、加工精度の観点からすれば、上記クリアランスを小さくすることには限度があり、スプールの径をあまり大きくすることが困難である。
本態様の調圧器のスプール弁機構では、スプールの軸線方向への移動は、互いに反対方向にスプールに作用するところの、パイロット圧による付勢力と調整圧による付勢力とのバランスの崩れによって生じるため、それらの付勢力が大きい方が、スプールを移動させ易く、当該調圧器の応答性は良好となる。しかしながら、径の小さなスプールの端面に、パイロット圧,調整圧を直接作用させたとしても、それらによる付勢力を大きくすることはできない。そこで、応答性を考慮すれば、それらの付勢力を大きくすることが求められる。
本態様の調圧器では、調整圧による付勢を行う逆方向付勢機構が、逆方向付勢ピストン(パイロット圧に対向するという意味から、「対向ピストン」と呼ぶこともできる)を有して、そのピストンを介してスプールを付勢するように構成されている。したがって、逆方向付勢ピストンの調整圧室に対する受圧面積を大きくすることによって、逆方向付勢機構によるスプールへの付勢力(以下、「逆方向付勢力」若しくは「対向付勢力」という場合がある)を大きくすることができ、小さい径のスプールを採用しつつ、応答性の良好な調圧器が実現可能となる。逆に言えば、逆方向付勢ピストンの上記受圧面積の調整により、応答性を任意に変更できるのである。なお、パイロット圧による付勢力(以下、「パイロット付勢力」という場合がある)を大きくする場合には、例えば、付勢機構が、パイロット圧室の作動液の圧力を受けてスプールを押すパイロットピストンを有する場合には、そのパイロットピストンのパイロット圧室に対する受圧面積を大きくすればよい。
また、本態様の調圧器では、2つのパイロット圧による2つの付勢機構(以下、「パイロット付勢機構」という場合がある)を備えている。2つのパイロット付勢機構は、並列的に配置されてもよく、後に説明するように、直列的に配置されてもよい。また、両方が同時に機能して、同時にスプールを付勢するように構成されてもよく、後に説明するように、同時には機能せず、一方のみが選択的にスプールを付勢するように構成されてもよい。2つのパイロット圧によって作動液の調圧が可能とされていることで、当該調圧器は、用途の広いものとなる。
(2)前記第1付勢機構による前記スプールの付勢が行われる際には、前記第2付勢機構による前記スプールの付勢が禁止され、前記第1付勢機構による前記スプールの付勢が不能である場合に、前記第2付勢機構による前記スプールの付勢が許容されるように構成された(1) 項に記載の調圧器。
本態様の調圧器では、簡単に言えば、2つのパイロット圧のいずれかによる調圧機能が選択的に行われる。言い換えれば、本態様の調圧器は、第2付勢機構が第1付勢機構のバックアップ的な役割を果たす調圧器と考えることができる。本態様の調圧器を採用することにより、例えば、第1パイロット圧が何らかの原因で発生させられないような場合に、第2パイロット圧による調圧が行われるようなシステムを構築することができる。
(3)前記第1付勢機構と前記第2付勢機構とが直列的に配置され、第2付勢機構が、第1付勢機構の構成要素を介して、前記スプールを他端側に向かって付勢するように構成された(1) 項または(2) 項に記載の調圧器。
例えば、後に詳しく説明するように、第1付勢機構が、第1パイロット圧室の作動液を受けてスプールを他端側に向かって押すためのピストンを有する場合、本態様の調圧器は、第2付勢機構がそのピストンを介してスプールを付勢するように構成することができる。本態様は、先に説明した2つの付勢機構が選択的に機能する態様において好適に採用することが可能である。
(4)前記第1付勢機構が、
前記スプールの一端側に配設され、前記第1パイロット圧室の作動液を受けて前記スプールを他端側に向かって押す第1パイロットピストンを有する(1) 項ないし(3) 項のいずれか1つに記載の調圧器。
本態様の調圧器では、逆方向付勢機構だけでなく、第1付勢機構もピストンによってスプールを付勢するように構成されている。本態様によれば、逆方向付勢ピストンに関して先に説明したように、第1パイロットピストンの第1パイロット圧室に対する受圧面積を大きくすることにより、応答性の良好な調圧器を実現させることが可能であり、その受圧面積の調整により、応答性を任意に変更できることになる。
(5)前記第1パイロットピストンが、他端側に向かって延び出るロッド部を有するとともに、前記スプールが、一端側の端部に一端側に開口する有底孔を有し、
そのロッド部の先端が、前記有底孔の底壁において、前記スプールと係合するように構成された(4) 項に記載の調圧器。
本態様によれば、上記ロッド部の軸線とスプールの軸線を一致させることにより、第1パイロットピストンによる付勢力を、スプールの断面における中心に作用させることが容易に可能となる。また、本態様の調圧器によれば、ロッド部がスプールの有底孔に挿入されるように、第1パイロットピストンとスプールとが配置されるため、それらを合わせたものの軸線方向における長さを短くすることができ、比較的コンパクトな調圧器が実現される。
(6)前記有低孔の底壁がテーパ形状とされ、前記第1パイロットピストンのロッド部の先端が、凸曲面形状とされた(5) 項に記載の調圧器。
本態様の調圧器によれば、第1パイロットピストンの軸線が傾くような場合であっても、第1パイロットピストンの付勢力を、スプールの軸線方向に、つまり、スプールに対して真っ直ぐに作用させることができる。
(7)前記第1パイロット圧室と連通して第1パイロット圧の作動液が導入される制限圧室を有し、その制限圧室の作動液の圧力によって、前記逆方向付勢機構による前記スプールの一端側に向かっての付勢を制限する逆方向付勢制限機構を備えた(1) 項ないし(6) 項のいずれか1つに記載の調圧器。
本態様は、例えば、第1パイロット圧による調圧と第2パイロット圧による調圧とを選択的に行うような構成の調圧器に対して好適な態様となり得る。具体的には、例えば、第1付勢機構の付勢力が比較的小さく、第2付勢機構の付勢力が比較的大きいような場合であっても、上記逆方向付勢制限機構の作用によって、第1付勢機構,第2付勢機構のいずれが機能する場合であっても、対向する1つの逆方向付勢機構によって、良好な調圧を行うことが可能となる。
(11)ブレーキ操作部材と、
車輪に設けられたブレーキ装置と、
調圧された作動液が導入され、その導入された作動液の圧力に応じた圧力に作動液を加圧するとともに、その加圧された作動液を前記ブレーキ装置に供給するマスタシリンダ装置と、
高圧の作動液を供給する高圧源としての高圧源装置と、
制御によって作動液を任意の圧力に調整する作動液圧調整装置と、
(1) 項ないし(7) 項のいずれか1つに記載の調圧器と
を備え、
前記第1パイロット圧室に、前記作動液圧調整装置によって圧力が調整された作動液が、前記第1パイロット圧の作動液として導入され、かつ、前記第2パイロット圧室に、前記ブレーキ操作部材に加えられるブレーキ操作力に応じた高さの圧力を有する作動液と、前記マスタシリンダ装置から前記ブレーキ装置に供給される作動液との一方が、前記第2パイロット圧の作動液として導入されるとともに、前記調圧器によって調圧された作動液が、前記マスタシリンダ装置に導入されるように構成された車両用液圧ブレーキシステム。
本態様の車両用液圧ブレーキシステムは、簡単に言えば、上記各種態様の調圧器が採用されたシステムである。本態様のシステムは、例えば、通常時は、上記作動液圧調整装置によって調整された作動液の圧力を第1パイロット圧として調圧器が調圧し、電気的失陥等によって作動液圧調整装置の機能が失われたような場合に、ブレーキ操作力に応じた高さの作動液の圧力(以下、「操作力依存圧」という場合がある)、若しくは、マスタシリンダ装置からブレーキ装置に供給される作動液の圧力(以下、「マスタ圧」という場合がある)を第2パイロット圧として調圧器が調圧するように構成することができる。例えば、そのような構成とすることで、信頼性の高い車両用液圧ブレーキシステムを実現させることが可能である。
第1実施例の車両用液圧ブレーキシステムの全体構成を示す図である。 第1実施例の調圧器を示す断面図である。 第2実施例の調圧器を示す断面図である。
以下、請求可能発明を実施するための形態として、請求可能発明の実施例およびそれの変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例,変形例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
≪車両用液圧ブレーキシステムの構成≫
i)全体構成
第1実施例の車両用液圧ブレーキシステムは、ブレーキオイルを作動液としてハイブリッド車両に搭載される液圧ブレーキシステムである。本液圧ブレーキシステムは、図1に示すように、大まかには、(A) 4つの車輪10に設けられ、それぞれがブレーキ力を発生させる4つのブレーキ装置12と、(B) ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル14の操作が入力されるとともに、加圧された作動液を各ブレーキ装置12に供給するマスタシリンダ装置16と、(C) マスタシリンダ装置16と4つのブレーキ装置12の間に配置されたABS装置としてのアンチロックユニット18と、(D) 作動液を低圧源であるリザーバ20から汲み上げて加圧することにより、高圧の作動液を供給する高圧源としての高圧源装置22と、(E) 高圧源装置22から供給される作動液を調圧してマスタシリンダ装置16に供給する機械式の調圧器であるレギュレータ24と、(F) レギュレータ24から供給される作動液の圧力を調節するための電磁式増圧リニア弁26および電磁式減圧リニア弁28(以下、それぞれ、単に、「増圧リニア弁26」および「減圧リニア弁28」と略す場合がある)と、(G) それらの装置,機器,弁を制御することで当該液圧ブレーキシステムの制御を司る制御装置としてのブレーキ電子制御ユニット30とを含んで構成されている。ちなみに、アンチロックユニット18は、「ABSユニット18」と呼ぶ場合があり、図では、〔ABS〕という符号が付されている。また、増圧リニア弁26,減圧リニア弁28は、図では、それぞれ、それらの記号標記である[SLA],[SLR]という符号が付されている。さらに、ブレーキ電子制御ユニット30は、以下、「ブレーキECU30」と呼ぶ場合があり、図では、[ECU]という符号で表わされている。なお、4つの車輪10は、左右前後を表わす必要のある場合に、右前輪10FR,左前輪10FL,右後輪10RR,左後輪10RLと表わすこととする。また、4つのブレーキ装置12等の構成要素も、左右前後を区別する必要がある場合に、車輪10と同様の符号を付して、12FR,12FL,12RR,12RL等と表わすこととする。
ii)ブレーキ装置およびABSユニット
各車輪10に対応して設けられたブレーキ装置12は、車輪10とともに回転するディスクロータ,キャリアに保持されたキャリパ,キャリパに保持されたホイールシリンダ,キャリパに保持されてそのホイールシリンダによって動かされることでディスクロータを挟み付けるブレーキパッド等を含んで構成されたディスクブレーキ装置である。また、ABSユニット18は、各車輪10に対応して設けられて対をなす増圧用開閉弁および減圧用開閉弁,ポンプ装置等を含んで構成されたユニットであり、スリップ現象等によって車輪10がロックした場合に作動させられて、車輪10のロックが持続することを防止するための装置である。なお、ブレーキ装置12,ABSユニット18は、一般的な装置,ユニットであり、請求可能発明の特徴とは関連が小さいため、それらの構造についての詳しい説明は省略する。
iii)マスタシリンダ装置
マスタシリンダ装置16は、ストロークシミュレータ一体型のマスタシリンダ装置であり、概して言えば、ハウジング40の内部に、2つの加圧ピストンである第1加圧ピストン42,第2加圧ピストン44,入力ピストン46が配設されるとともに、ストロークシミュレータ機構48が組み込まれている。なお、マスタシリンダ装置16に関する以下の説明において、便宜的に、図における左方を前方,右方を後方と呼び、同様に、後に説明するピストン等の移動方向について、左方に動くことを前進,右方に動くことを後退と呼ぶこととする。
ハウジング40は、第1加圧ピストン42,第2加圧ピストン44,入力ピストン46が配設される空間を有し、その空間は、前方側の端部が閉塞されるとともに、環状をなす区画部50によって前方室52と後方室54とに区画されている。第2加圧ピストン44は、前方に開口する有底円筒状をなしており、前方室52内において前方側に配設される。一方、第1加圧ピストン42は、有底円筒状をなすとともに後端に鍔56が形成された本体部58と、本体部58から後方に延びる突出部60とを有しており、本体部58が、前方室52内において第2加圧ピストン44の後方に配設されている。区画部50は、環状をなしていることから中央に開口62が形成されたものとされており、突出部60は、その開口62を貫通して後方室54に延び出している。入力ピストン46は、後方室54に、詳しく言えば、それの一部分が後方から後方室54の内部に臨み入るようにして、配設され、後方に配置されたブレーキペダル14が、リンクロッド64を介して、入力ピストン46に連結されている。
第1加圧ピストン42と第2加圧ピストン44との間には、詳しく言えば、第1加圧ピストン42の本体部58の前方には、2つの後輪10RR,10RLに対応する2つのブレーキ装置12RR,12RLに供給される作動液が第1加圧ピストン42の前進によって加圧される第1加圧室R1が、第2加圧ピストン44の前方側には、2つの前輪10FR,10FLに対応する2つのブレーキ装置12FR,12FLに供給される作動液が第2加圧ピストン44の前進によって加圧される第2加圧室R2が、それぞれ形成されている。一方、第1加圧ピストン42と入力ピストン46との間には、ピストン間室R3が形成されている。詳しく言えば、区画部50に形成された開口62から後方に延び出す突出部60の後端と、入力ピストン46の前端とが向かい合うようにして、つまり、開口62を利用して第1加圧ピストン42と入力ピストン46とが向かい合うようにして、ピストン間室R3が形成されているのである。さらに、ハウジング40の前方室52内には、突出部60の外周において、区画部50の前端面と、第1加圧ピストン42の本体部58の後端面、つまり、鍔56の後端面とによって区画されるようにして、レギュレータ24から供給される作動液が導入される環状の入力室R4が、本体部58の外周において、鍔56の前方に、その鍔56を挟んで入力室R4と対向する環状の対向室R5が、それぞれ形成されている。
第1加圧室R1,第2加圧室R2は、それぞれ、第1加圧ピストン42,第2加圧ピストン44が移動範囲における後端に位置する際に、大気圧ポートP1,P2を介してリザーバ20と連通可能とされており、また、それぞれ、出力ポートP3,P4を介するとともにABSユニット18を介して、ブレーキ装置12と連通させられている。ちなみに、第1加圧室R1は、後に説明するレギュレータ24をも介してブレーキ装置12RR,12RLと連通させられている。なお、入力室R4は、入力ポートP5を介して、後に説明するレギュレータ24の調整圧ポートと連通させられている。
ピストン間室R3は、連通ポートP6と、対向室R5は、連通ポートP7と、それぞれ連通しており、それら連通ポートP6と連通ポートP7は、外部連通路である室間連通路70によって繋げられている。この室間連通路70の途中には、常閉型の電磁式開閉弁72、つまり、非励磁状態で閉弁状態となり、励磁状態で開弁状態となる開閉弁72が設けられており、開閉弁72が開弁状態とされた場合に、ピストン間室R3と対向室R5は連通させられる。それらピストン間室R3と対向室R5とが連通する状態では、それらによって、1つの液室、すなわち、反力室R6と呼ぶことのできる液室が形成されていると考えることができる。なお、開閉弁72は、ピストン間室R3と対向室R5との連通,非連通を切換える機能を有することから、以下、「室間連通切換弁72」と呼ぶこととする。
また、マスタシリンダ装置16には、さらに2つの大気圧ポートP8,P9が設けられており、それらは、内部通路にて連通している。一方の大気圧ポートP8はリザーバ20に繋げられており、他方の大気圧ポートP9は、外部連通路である大気圧開放路74を介して、室間連通切換弁72と対向室R5との間において室間連通路70に繋げられている。大気圧開放路74には、常開型の電磁式開閉弁76、つまり、非励磁状態で開弁状態となり、励磁状態で閉弁状態となる開閉弁76が設けられている。この開閉弁76は、対向室R5を大気圧に開放する機能を有することから、以下、「大気圧開放弁76」と呼ぶこととする。
ハウジング40は、第1加圧ピストン42,第2加圧ピストン44,入力ピストン46が配設されている空間とは別の空間を有しており、ストロークシミュレータ機構48は、その空間と、その空間内に配設された反力ピストン80と、反力ピストン80を付勢する2つの反力スプリング82,84(いずれも圧縮コイルスプリングである)とを含んで構成されている。反力ピストン80の後方側には、バッファ室R7が形成されている(図では、殆ど潰れた空間として表わされている)。ブレーキペダル14の操作によって入力ピストン46が前進する際、バッファ室R7には、内部通路を介して、対向室R5の作動液、すなわち、反力室R6の作動液が導入され、その導入される作動液の量、すなわち、入力ピストン46の前進量に応じた反力スプリング82,84の弾性反力が反力室R6に作用することで、ブレーキペダル14に操作反力が付与される。つまり、このストロークシミュレータ機構48は、入力ピストン46の前進に対するその前進の量に応じた大きさの反力を入力ピストン46に付与する反力付与機構として機能しているのである。ちなみに、2つの反力スプリング82,84は直列的に配置されるとともに、反力スプリング84は、反力スプリング82に比較して、相当にばね定数が小さくされており、ブレーキペダル14の操作の進行の途中において反力スプリング84の変形が禁止されることで、ストロークシミュレータ機構48は、その途中から増加勾配が大きくなるような反力特性を実現するものとされている。なお、本システムでは、室間連通路70に、反力室R6の作動液の圧力(反力圧)を検出するための反力圧センサ86が設けられている(図では、反力圧の記号標記である[PRCT]という符号が付されている)。
通常の状態では、上記室間連通切換弁72は、開弁状態、上記大気圧開放弁76は、閉弁状態にあり、ピストン間室R3と対向室R5とによって、上記反力室R6が形成されている。本マスタシリンダ装置16では、第1加圧ピストン42を前方に移動させるべくピストン間室R3の作動液の圧力が作用する第1加圧ピストン42の受圧面積(対ピストン間室受圧面積)、すなわち、第1加圧ピストン42の突出部60の後端面の面積と、第1加圧ピストン42を後方に移動させるべく対向室R5の作動液の圧力が作用する第1加圧ピストン42の受圧面積(対対向室受圧面積)、すなわち、第1加圧ピストン42の鍔56の前端面の面積とが、等しくされている。したがって、ブレーキペダル14を操作して入力ピストン46を前進させても、操作力、すなわち、反力室R6の圧力によっては、第1加圧ピストン42,第2加圧ピストン44は前進せず、マスタシリンダ装置16によって加圧された作動液がブレーキ装置12に供給されることはない。その一方で、入力室R4に高圧源装置22からの作動液の圧力が導入されると、その作動液の圧力に依存して第1加圧ピストン42,第2加圧ピストン44は前進し、入力室R4の作動液の圧力に応じた圧力に加圧された作動液が、ブレーキ装置12に供給される。つまり、本マスタシリンダ装置16によれば、通常状態(通常時)において、ブレーキペダル14に加えられた操作力に依存せずに高圧源装置22からマスタシリンダ装置16に供給される作動液の圧力、つまり、レギュレータ24からマスタシリンダ装置16に供給される作動液の圧力に依存した大きさのブレーキ力を、ブレーキ装置12が発生させる高圧源圧依存制動力発生状態が実現されるのである。
本システムが搭載されている車両は、上述したようにハイブリッド車両であり、当該車両においては、回生ブレーキ力が利用できる。そのため、ブレーキ操作に基づいて決定されるブレーキ力から回生ブレーキ力を減じた分のブレーキ力を、ブレーキ装置12によって発生させればよい。本システムは、上記高圧源圧依存制動力発生状態が実現されることから、ブレーキ操作力に依存しないブレーキ力をブレーキ装置12が発生させることができる。そのような作用から、本システムは、ハイブリッド車両に好適な液圧ブレーキシステムなのである。
一方、電気的失陥時等には、上記室間連通切換弁72は、閉弁状態、上記大気圧開放弁76は、開弁状態にあり、ピストン間室R3は密閉されるとともに対向室R5は大気圧に開放される。その状態では、ブレーキペダル14に加えられた操作力は、ピストン間室R3の作動液を介して第1加圧ピストン42に伝達され、第1加圧ピストン42,第2加圧ピストン44は前進する。つまり、ブレーキペダル14に加えられた操作力に依存した大きさのブレーキ力をブレーキ装置12が発生させる操作力依存制動力発生状態が実現されるのである。なお、上記室間連通切換弁72を閉弁状態と、上記大気圧開放弁76を開弁状態とし、入力室R4に高圧源装置22からの作動液を導入すれば、第1加圧ピストン42,第2加圧ピストン44は、高圧源装置22からマスタシリンダ装置16に供給される作動液の圧力と操作力との両方によって前進させられ、それら両方に依存した大きさのブレーキ力、つまり、高圧源装置22からマスタシリンダ装置16に供給される作動液の圧力に依存した大きさのブレーキ力と操作力に依存した大きさのブレーキ力とが足し合わされたブレーキ力をブレーキ装置12が発生させる操作力・高圧源圧依存制動力発生状態が実現されることになる。
iv)高圧源装置
高圧源装置22は、リザーバ20から作動液を汲み上げて加圧するポンプ90と、そのポンプ90を駆動するモータ92と、ポンプ90によって加圧された作動液を蓄えるアキュムレータ94(図では[ACC]という符号が付されている)とを含んで構成されている。なお、高圧源装置22には、アキュムレータ94内の作動液の圧力、すなわち、供給する作動液の圧力(以下、「高圧源圧PACC」という場合がある。いわゆる「アキュムレータ圧」である。)を検出するための高圧源圧センサ96が設けられている(図では、高圧源圧の記号標記である[PACC]という符号が付されている)。
v)レギュレータ
機械式の調圧器であるレギュレータ24は、請求可能発明に係る第1実施例の調圧器である。レギュレータ24の構造,機能については、後に詳しく説明するため、ここでは、機能の概要についてのみ説明する。レギュレータ24は、自身に導入されるある作動液の圧力をパイロット圧として、高圧源装置22から供給される高圧源圧PACCの作動液を、そのパイロット圧に応じた高さに調圧し、その調圧された作動液、つまり、調整圧(以下、「サーボ圧PSRV」という場合がある)の作動液を、マスタシリンダ装置16の入力室R4に供給する。なお、その作動液のレギュレータ24からマスタシリンダ装置16の供給路には、サーボ圧を検出するためのサーボ圧センサ98が設けられている(図では、サーボ圧の記号標記である[PSRV]という符号が付されている。)
本レギュレータ24では、それぞれが、パイロット圧の作動液である、第1パイロット圧PPLT1の作動液と、第2パイロット圧PPLT2の作動液とが導入される。第1パイロット圧PPLT1の作動液は、後に説明するように、通常時に当該システムにて発生させるブレーキ力を制御するために増圧リニア弁26,減圧リニア弁28によって調整された圧力の作動液であり、第2パイロット圧PLT2の作動液は、マスタシリンダ装置16から後輪側の車輪10RL,10RRに対応するブレーキ装置12RL,12RRに供給される作動液、つまり、マスタ圧PMSTの作動液である。
本レギュレータ24は、第1パイロット圧PPLT1による調圧と、第2パイロット圧PLT2による調圧とが選択的に行われるように構成されている。通常時には、第1パイロット圧PLT1による調圧が行われ、増圧リニア弁26,減圧リニア弁28の失陥、当該システムの電気的失陥等の際には、第2パイロット圧PLT2による調圧が行われる。
vi)増圧リニア弁および減圧リニア弁
増圧リニア弁26,減圧リニア弁28は、一般的な電磁式リニア弁であり、構造の図示については省略する。増圧リニア弁26は、高圧源装置22とレギュレータ24との間に配設された常閉型の電磁式リニア弁であり、コイルに通電される励磁電流が大きくなるほど、開度(例えば、閉弁状態から開弁状態への移行のし易さ)が高くなり、開弁圧が高くなる。一方、減圧リニア弁28は、レギュレータ24と低圧源であるリザーバ20との間に配設された常開型の電磁式リニア弁であり、コイルに通電される励磁電流が大きくなるほど、開度(例えば、閉弁状態から開弁状態への移行のし易さ)が低くなり、開弁圧が高くなる。
増圧リニア弁26,減圧リニア弁28は、レギュレータ24を挟んで、詳しく言えば、後述するレギュレータ24の第1パイロット圧室を挟んで、直列的に配置されており、増圧リニア弁26,減圧リニア弁28の各々に供給される励磁電流を制御することにより、第1パイロット圧室の作動液の圧力を制御することができるのである。このような増圧リニア弁26,減圧リニア弁28の機能によれば、本システムでは、それら増圧リニア弁26,減圧リニア弁28を含んで、第1パイロット圧室に導入される作動液の圧力を任意の第1パイロット圧PPLT1に調整する作動液圧調整装置が構成されていると考えることができるのである。
vii)制御系
本システムの制御、つまり、ブレーキ制御は、ブレーキECU30によって行われる。ブレーキECU30は、大まかには、高圧源装置22(詳しくは、それが有するモータ92)の制御を行い、また、増圧リニア弁26および減圧リニア弁28の制御を行う。ブレーキECU30は、中心的な要素であるコンピュータと、高圧源装置22のモータ92,増圧リニア弁26,減圧リニア弁28等をそれぞれ駆動するための駆動回路(ドライバ)とを含んで構成されている。
ブレーキECU30には、反力圧PRCT,高圧源圧PACC,サーボ圧PSRVを、制御に必要な情報として取得するため、上述の反力圧センサ86,高圧源圧センサ96,サーボ圧センサ98が接続されている。また、本システムには、ブレーキ操作量,ブレーキ操作力を、ブレーキ操作部材であるブレーキペダル14の操作情報として取得するために、ブレーキ操作量センサ100,ブレーキ操作力センサ102が設けられており(図では、それぞれ、[δPDL],[FPDL]という符号が付されている)、それらのセンサ100,102も、ブレーキECU30に接続されている。本システムにおけるブレーキECU30による制御は、ここで挙げた各種のセンサの検出値に基づいて行われる。
≪レギュレータの構造≫
第1実施例の調圧器であるレギュレータ24は、図2に示すように、主要構成要素としてのハウジング110と、ハウジング110の内部に配設された各種の部材を含んで構成されている。図において左右に延びる中心軸線が、ハウジング110の軸線であり、軸線方向における左側を一端側、右側を他端側と呼べば、ハウジング110は、一端側が開口する有底円筒形状のハウジング本体112と、その開口を塞ぐようにハウジング本体112の一端側に螺合された蓋体114とを含んで構成されている。ハウジング本体112の内部には、他端側にスプール保持体としてのスプール保持筒116と、スプール保持筒116と蓋体114との間に介在する中間筒118とが、蓋体114によって軸線方向において締結されるようにして、嵌めこまれて固定されている。それらスプール保持筒116と中間筒118をも含んでハウジング110が構成されていると考えることもできる。
スプール保持筒116の軸線方向の中間部は、内径が小さくされており、その中間部において、スプール120が、軸線方向に移動可能に、詳しくは、摺動可能に、保持されている。ハウジング110には、高圧源装置22から作動液が供給される高圧ポートP10,低圧源であるリザーバ20にマスタシリンダ装置16を介して連通させられた低圧ポートとしての大気圧ポートP11,調圧された作動液をマスタシリンダ装置16の入力室R4に供給するための調整圧ポートP12が設けられている。一方、スプール保持筒116の内周面には、それらのポートP10,P11,P12に、ハウジング本体112およびスプール保持筒116に形成されている内部通路を介してそれぞれ連通する3つの内部ポート、および、環状溝が設けられており、スプール120の外周面には、内部ポート間の連通のための2つの凹所が設けられている。スプール120が軸線方向においてどのような位置に位置するかによって、互いに連通する内部ポートが切り換るようになっている。
詳しく言えば、図に示すスプール120の位置は、可動範囲における一端側の移動端であり、スプール120がこの位置に位置する場合には、大気圧ポートP11と調整圧ポートP12との連通が許容されるとともに、高圧ポートP10と調整圧ポートP12との連通が遮断される。スプール120が上記移動端から他端側に移動した場合には、大気圧ポートP11と調整圧ポートP12との連通が遮断されるとともに、高圧ポートP10と調整圧ポートP12との連通が許容される。このような作用に鑑みれば、本レギュレータ24では、スプール120とスプール保持筒116とを含んでスプール弁機構122が構成されているのである。
スプール保持筒116の一端側の端部は、内径が大きくされており、その端部内において、スプール120の一端側には、第1パイロットピストン124が配設されている。第1パイロットピストン124は、概して短い円柱形状(円板形状)のピストン本体部126と、そのピストン本体部126から他端側に延び出たロッド部128とを有している。ピストン本体部126は、スプール保持筒116に摺動可能に保持されている。一方で、スプール120の一端側の端部には、一端側に向かって開口する有底孔130を有しており、ロッド部128は、先端部が有底孔130の底壁と係合するようにして、その有低孔130に挿入されている。ちなみに、ロッド部128の先端は凸曲面形状、詳しくは、半球形状とされ、一方で、有低孔130の底壁は、テーパ形状、詳しくは、すり鉢形状とされている。
第1パイロットピストン124の一端側には、第2パイロットピストン132が配設されており、中間筒118の内部において、それら2つのパイロットピストン124,132の間に、第1パイロット圧室R8が区画形成されている。第1パイロット圧室R8は、ハウジング本体112に形成された第1パイロット圧ポートP13,P14に、内部通路によって連通しており、図1からも解るように、それら第1パイロット圧ポートP13,P14のそれぞれを介して、増圧リニア弁26,減圧リニア弁28と連通している。したがって、第1パイロット圧室R8には、ぞれら増圧リニア弁26,減圧リニア弁28によって圧力が調整された作動液が、第1パイロット圧PPLT1の作動液として導入される。
第1パイロット圧室R8の作動液の圧力によって、すなわち、第1パイロット圧PPLT1の作用によって、第1パイロットピストン124は、スプール120を他端側に向かって押す。つまり、第1パイロット圧室R8,第1パイロットピストン124を含んで、スプール120の一端側に設けられてスプール120を他端側に向かって付勢する第1付勢機構134が構成されているのである。
第2パイロットピストン132は、他端側に向かって細くなる段付形状をなしており、一端側の端部である大径部において、蓋体114の円筒部に摺動可能に保持されている。中間筒118の内部には、段付の円筒形状をなす緩衝ピストン136が、摺動可能に保持されている。第2パイロットピストン132の他端側の小径部には、鍔リング138が固定的に付設されている。鍔リング138が緩衝ピストン136の大径部の内部に摺動可能に保持されることで、第2パイロットピストン132は、緩衝ピストン136を介して、中間筒118にも軸線方向に移動可能に保持されている。
第1パイロット圧室R8は、第1パイロットピストン124,第2パイロットピストン132,鍔リング138,緩衝ピストン136によって区画された作動液室であり、第1パイロット圧PPLT1の作動液が導入される。緩衝ピストン136は、圧縮コイルスプリングである緩衝スプリング140によって弾性的に支持されており、第1パイロット圧PPLT1が急激に変化したような場合に、第1パイロット圧室R8の容積の変化を許容することで、第1パイロットピストン124によるスプール120への付勢力の急変を緩和する機能を有している。
第2パイロットピストン132の一端側には、蓋体114とによって、第2パイロット圧室R9が、区画形成されている。第2パイロット圧室R9は、ハウジング本体112に形成された第2パイロット圧ポートP15,P16に、内部通路によって連通しており、図1からも解るように、それら第2パイロット圧ポートP15,P16のそれぞれを介して、マスタシリンダ装置16の第1加圧室R1,後輪のブレーキ装置12RL,12RRと連通している。したがって、第2パイロット圧室R9は、マスタシリンダ装置16からブレーキ装置12RL,12RRへの作動液の供給経路の一部となっており、第2パイロット圧室R9には、マスタ圧PMSTの作動液が、第2パイロット圧PPLT2の作動液として導入される。
第2パイロット圧室R9の作動液の圧力によって、すなわち、第2パイロット圧PPLT2の作用によって、第2パイロットピストン132は、第1パイロットピストン124に当接した状態において、第1付勢機構134の構成要素であるその第1パイロットピストン124を介して、スプール120を他端側に向かって押す。つまり、第2パイロット圧室R9,第2パイロットピストン132を含んで、スプール120の一端側に設けられてスプール120を他端側に向かって付勢する第2付勢機構142が構成されているのである。
スプール保持筒116の他端側の端部は、内径が大きくされており、その端部内において、スプール120の他端側には、対向ピストン144が配設されている。対向ピストン144は、概して短い円柱形状(円板形状)のピストン本体部146と、そのピストン本体部146から一端側に延び出た延出部148とを有している。ピストン本体部146は、スプール保持筒116に摺動可能に保持されている。また、延出部148は、スプール120と略同じ外径を有しており、スプール120が保持されているスプール保持筒116の中間部に臨み入り、対向ピストン144は、その中間部によっても摺動可能に保持されている。
対向ピストン144とスプール120の間には、圧縮コイルスプリングである離間スプリング150が配設されており、スプール120を一端側に付勢している。この離間スプリング150の付勢力により、スプール120と第1パイロットピストン124とが一体的に一端側に押され、第1パイロットピストン124が中間筒118に当接することで、スプール120は、可動範囲における一端側の移動端に位置させられるのである。
対向ピストン144の他端側には、ハウジング本体112の端壁との間に、調整圧室R10が区画形成されている。スプール120の内部には、調整圧ポートP12に連通するとともに、他端側の端面に開口するスプール内通路152が設けられており、また、対向ピストン144には、延出部148,ピストン本体部146を貫通するようにして、貫通通路154が設けられている。調整圧室R10には、それらスプール内通路152,貫通通路154を通って、マスタシリンダ装置16の入力室R4に供給される作動液、つまり、本レギュレータ24によって調圧された調整圧すなわちサーボ圧PSRVの作動液が導入される。
調整圧室R10の作動液の圧力によって、すなわち、調整圧であるサーボ圧SRVの作用によって、対向ピストン144は、離間スプリング150を介して、スプール120を一端側に向かって押す。つまり、対向ピストン144は、第1付勢機構134,第2付勢機構142による付勢力の方向とは逆の方向にスプール120を押す逆方向付勢ピストンとして機能し、それら調整圧室R10,対向ピストン144を含んで、スプール120の他端側に設けられてスプール120を一端側に向かって付勢する逆方向付勢機構156が構成されているのである。なお、厳密には、スプール120は、スプール内通路152に存在するサーボ圧SRVの作動液の作用によっても、一端側に付勢される。
ちなみに、緩衝ピストン136の一端側(緩衝スプリング140が配設されている室),第1パイロットピストン124のピストン本体部126の他端側,対向ピストン144のピストン本体部146の一端側にも、それぞれ作動液室が区画形成されているが、それらの作動液室は、内部通路を介して大気圧ポートP11と連通しており、それらの作動液室内の作動液の圧力は、常に、大気圧PRSV(リザーバ20内の作動液の圧力である)とされている。
また、ハウジング本体112には、内部通路によって高圧ポートP10と連通するもう1つの高圧ポートP17が設けられており、図1から解るように、この高圧ポートP17は増圧リニア弁26およびリリーフ弁158に連通している。さらに、ハウジング本体112には、内部通路によって大気圧ポートP11と連通するもう1つの大気圧ポートP18が設けられており、図1から解るように、この大気圧ポートP18は、リリーフ弁158に連通している。したがって、高圧源装置22からの高圧源圧PACCの作動液は、レギュレータ24を介して増圧リニア弁26に供給され、その高圧源圧PACCが設定以上の圧力となった場合に、高圧源装置22からの作動液は、レギュレータ24を介して、リザーバ20に流れるようにされている。
≪レギュレータの機能≫
本レギュレータ24では、増圧リニア弁26と減圧リニア弁28とによって第1パイロット圧室R8の作動液の圧力である第1パイロット圧PPLT1が増加させられた場合に、スプール120が、第1付勢機構134によって他端側に付勢されて一端側の移動端から他端側に移動する。この移動によって、スプール弁機構122が高圧ポートP10と調整圧ポートP12とを連通させることで、マスタシリンダ装置16の入力室R4に供給される作動液の圧力、すなわち、サーボ圧PSRVが上昇させられる。その一方で、サーボ圧PSRVの上昇で、調整圧室R10の作動液の圧力も上昇し、スプール120が、逆方向付勢機構156によって一端側に付勢されて一端側に移動する。つまり、第1付勢機構134による付勢力と、逆方向付勢機構156による付勢力とがバランスする状態が維持されて、マスタシリンダ装置16に供給される作動液の圧力であるサーボ圧PSRVが第1パイロット圧PPLT1に応じた高さに調圧される。
なお、第2パイロット圧室R9には、マスタ圧PMSTの作動液が、第2パイロット圧PPLT2の作動液として導入されるが、マスタシリンダ装置16の増圧比、すなわち、サーボ圧PSRVに対するマスタ圧PMSTの比は、略1とされており、また、本レギュレータ24の増圧比、すなわち、第1パイロット圧PPLT1に対するサーボ圧PSRVの比も、略1とされている。したがって、第1パイロット圧PPLT1による調圧が行われている場合は、第2付勢機構142は、実質的に、付勢力をスプール120に作用させないようにされている。
一方、電気的失陥等、第1パイロット圧PPLT1を調整できないような場合には、第2パイロット圧PPLT2による調圧が行われる。第2パイロット圧PPLT2の作動液として導入された作動液の圧力であるマスタ圧PMSTが増加した場合に、スプール120が、第2付勢機構142によって他端側に付勢されて一端側の移動端から他端側に移動する。この移動によって、スプール弁機構122が高圧ポートP10と調整圧ポートP12とを連通させることで、マスタシリンダ装置16の入力室R4に供給される作動液の圧力、すなわち、サーボ圧PSRVが上昇させられる。その一方で、サーボ圧PSRVの上昇で、調整圧室R10の作動液の圧力も上昇し、スプール120が、逆方向付勢機構156によって一端側に付勢されて一端側に移動する。つまり、第2付勢機構142による付勢力と、逆方向付勢機構156による付勢力とがバランスする状態が維持されて、マスタシリンダ装置16に供給される作動液の圧力であるサーボ圧PSRVが第2パイロット圧PPLT2に応じた高さに調圧される。
上記のように、本レギュレータ24は、第1付勢機構134によるスプール120の付勢が行われる際には、第2付勢機構142によるスプール120の付勢が禁止され、第1付勢機構134によるスプール120の付勢が不能である場合に、第2付勢機構142によるスプール120の付勢が許容されるように構成されている。つまり、第1パイロット圧PPLT1による調圧が行われる際には、第2パイロット圧PPLT2による調圧が禁止され、第1パイロット圧PPLT1による調圧が不能である場合に、第2パイロット圧PPLT2による調圧が許容されるのである。本レギュレータ24を採用することで、本液圧ブレーキシステムは、電気的失陥等に対するフェールセーフにおいて優れたシステムとされているのである。
また、本レギュレータ24は、第1パイロットピストン124のロッド部128がスプール120の有底孔130に挿入されて、ロッド部128の先端が有低孔130の底壁に当接することで、第1パイロットピストン124とスプール120とが係合するように構成されている。そのため、本レギュレータ24は、軸線方向において、比較的コンパクトな調圧器とされている。また、有底孔130の底壁がテーパ形状とされ、ロッド部128の先端が凸曲面形状とされている。そのため、第1パイロットピストン124の軸線が傾斜するような場合であっても、第1付勢機構134による付勢力、ひいては、第2付勢力機構142による付勢力を、スプール120の軸線方向に真っ直ぐに作用させることが可能とされているのである。
本レギュレータ24は、第1付勢機構134,第2付勢機構142による付勢力に対向する付勢力を発生させる逆方向付勢機構156の構成要素として、対向ピストン144を採用している。そして、対向ピストン144の調整圧室R10に対する受圧面積を比較的大きくすることによって、逆方向付勢機構156によるスプール120への付勢力をが大きくされている。したがって、小さい径のスプール120を採用しつつ、応答性の良好な調圧器が実現可能されているのである。なお、本レギュレータ24は、逆方向付勢機構156の付勢力に相応するため、第1付勢機構134,第2付勢機構142においても、第1パイロットピストン124の第1パイロット圧室R8に対する受圧面積,第2パイロットピストン132の第2パイロット圧室R9に対する受圧面積も、比較的大きくされている。
≪車両用液圧ブレーキシステムの作動≫
先に説明したように、本液圧ブレーキシステムの作動は、ECU30によって制御される。高圧源装置22の作動に関して言えば、ブレーキECU30は、高圧源圧センサ96の検出に基づいて取得された高圧源圧PACCが、設定上限圧と設定下限圧とで画定される設定圧力範囲に維持されるように、ポンプ90、つまり、モータ92を作動させる。
マスタシリンダ装置16の作動に関して言えば、先に説明したように、通常時には、ECU30は、室間連通切換弁72,大気圧開放弁76を励磁し、それぞれ、開弁状態,閉弁状態とし、高圧源圧依存制動力発生状態を実現させる。そして、ブレーキ操作量センサ100,ブレーキ操作力センサ102の検出に基づいて取得されたブレーキ操作量,ブレーキ操作力から、必要とされるブレーキ力である必要ブレーキ力を算出し、その必要ブレーキ力から回生ブレーキシステムで発生させられる回生ブレーキ力を減算したものを、必要液圧ブレーキ力として決定する。この必要液圧ブレーキ力に基づいて、目標サーボ圧を決定し、サーボ圧センサ98の検出に基づいて取得されるサーボ圧PSRVが目標サーボ圧となるように、増圧リニア弁26,減圧リニア弁28の制御、つまり、それらに供給される励磁電流が制御される。そのような制御によって、当該液圧ブレーキシステムは、高圧源装置22から供給されてレギュレータ24によって調圧された作動液の圧力に依存して、上記必要液圧ブレーキ力が、各車輪10に設けられたブレーキ装置12において、発生させられる。
一方、電気的失陥の場合には、ECU30による制御は行われない。先に説明したように、室間連通切換弁72,大気圧開放弁76は励磁されず、それぞれ、閉弁状態,開弁状態とされて、操作力・高圧源圧依存制動力発生状態を実現される。マスタシリンダ装置16において、ブレーキ操作力は、ピストン間室R3の作動液を介して、第1加圧ピストン42,第2加圧ピストン44に伝達される。出力ポートP3からは、ブレーキ操作力に依存して加圧された作動液が供給されるが、その作動液が、レギュレータ24の第2パイロット圧室R9に導入されることにより、レギュレータ24では、マスタ圧MSTによる調圧が行われ、アキュムレータ94に高圧の作動液が残存している限り、マスタ圧MSTに応じたサーボ圧PSRVの作動液がレギュレータ24からマスタシリンダ装置16の入力室R4に供給される。その供給により、ブレーキ操作力と高圧源装置22から供給されてレギュレータ24によって調圧された作動液の圧力との両方に依存した大きさのブレーキ力が、各車輪10のブレーキ装置12において発生させられることになる。ちなみに、アキュムレータ94に高圧の作動液が残存しなくなった後は、ブレーキ操作力に依存して、各車輪10のブレーキ装置12は、ブレーキ力を発生させることになる。
第2実施例の車両用液圧ブレーキシステムは、第1実施例の車両用液圧ブレーキシステムにおいて採用されているレギュレータ24を別の調圧器に変更しただけのシステムである。そこで、第2実施例の車両用液圧ブレーキシステムの説明は、その調圧器の説明だけに留める。
第2実施例の車両用液圧ブレーキシステムにおいて採用されている第2実施例の調圧器であるレギュレータ200は、図3に示すような構造のものであり、第1実施例のレギュレータ24と類似した構造のものとされている。そのことに鑑み、同じ機能を有する部材,部分については、レギュレータ24において使用された符号と同じ符号を採用し、それらの説明についてはある程度省略する。そして、レギュレータ200に関する説明は、レギュレータ24と相違する構造を中心に行うこととする。
レギュレータ200は、図3に示すように、レギュレータ24と同様に、ハウジング本体112と蓋体114とを含んで構成されるハウジング110を主要構成要素として有し、そのハウジング110の内部に配設された各種の部材を含んで構成される。ハウジング本体112の内部には、レギュレータ24と同様に、スプール保持筒116と中間筒118とが、蓋体114によって軸線方向において締結されるようにして、嵌めこまれて固定されている。同様に、それらスプール保持筒116と中間筒118をも含んでハウジング110が構成されていると考えることもできる。なお、本レギュレータ200の蓋体114には、円筒部は存在しておらず、そのことに関係して中間筒118が長くされている。
レギュレータ24と同様に、スプール保持筒116には、スプール120が摺動可能に保持されており、また、ハウジング110には、高圧ポートP10,低圧ポートとしての大気圧ポートP11,調整圧ポートP12が設けられている。さらに、レギュレータ24と同様に、スプール保持筒116の内周面には、3つの内部ポートおよび環状溝が設けられ、スプール120の外周面には、2つの凹所が設けられており、スプール120とスプール保持体116とを含んで、レギュレータ24が有するのと同様の構造,機能を有するスプール弁機構122が構成されている。
レギュレータ200は、レギュレータ24と異なり、第1パイロットピストンを有していない。スプール120の一端側の端部は、外径が大きくされた頭部202とされており、本レギュレータ200では、その頭部202が第1パイロットピストンと同様の機能をする。したがって、その頭部202を第1パイロットピストンと考えることもでき、また、本スプール120を、レギュレータ24のスプール120と第1パイロットピストン124とが一体化されたものと考えることもできる。
本レギュレータ200では、スプール120の頭部202を取り囲むようにして、第1パイロット圧室R8が区画形成されている。つまり、頭部202の他端側の空間も第1パイロット圧室R8の一部とされているのである。この第1パイロット圧室R8には、レギュレータ24と同様に、第1パイロット圧ポートP13,P14を介して、増圧リニア弁26,減圧リニア弁28によって圧力が調整された作動液が、第1パイロット圧PPLT1の作動液として導入される。
第1パイロット圧室R8の作動液の圧力によって、スプール120は、他端側に付勢されることから、本レギュレータ200では、第1パイロット圧室R8を含んで、スプール120の一端側に設けられてスプール120を他端側に向かって付勢する第1付勢機構134が構成されているのである。ただし、第1パイロット圧室R8に対するスプール120の受圧面積、詳しく言えば、第1パイロット圧室R8の作動液の圧力がスプール120を他端側に移動させるように作用する受圧面積は、スプール120の頭部202を除く部部分の断面積に等しいものとされている。したがって、本第1付勢機構134による付勢力は、先に説明したレギュレータ24の第1付勢機構134による付勢力よりも、相当に小さくされている。
本レギュレータ200の第2パイロットピストン132は、レギュレータ24の第2パイロットピストン132と異なり、他端側に開口する概して有底円筒形状のものとされており、中間筒118に、摺動可能に保持されている。本レギュレータ200では、緩衝ピストン136は、概してロッド形状のものとされ、第2パイロットピストン132の内部に摺動可能に保持されている。緩衝ピストン136は、先のレギュレータ24におけるものと同様に、緩衝スプリング140によって弾性的に支持され、第1パイロット圧の急変に起因する第1付勢機構134の付勢力の急変を緩和する機能を有している。
第2パイロットピストン132の一端側には、先のレギュレータ24と同様に、第2パイロット圧室R9が区画形成されており、その第2パイロット圧室R9は、第2パイロット圧ポートP15,P16のそれぞれを介して、マスタシリンダ装置16の第1加圧室R1,後輪のブレーキ装置12RL,12RRと連通している。第2パイロット圧室R9には、マスタ圧PMSTの作動液が、第2パイロット圧PPLT2の作動液として導入され、その第2パイロット圧PPLT2の作用によって、第2パイロットピストン132は、スプール120の頭部202に当接した状態において、スプール120を他端側に向かって押す。つまり、本レギュレータ200においても、第2パイロット圧室R9,第2パイロットピストン132を含んで、スプール120の一端側に設けられてスプール120を他端側に向かって付勢する第2付勢機構142が構成されているのである。なお、本レギュレータ200では、第2付勢機構142が機能していない場合には、第2パイロットピストン132は、離間スプリング204によって、可動範囲における一端側の端に位置させられている。
先のレギュレータ24と同様に、スプール120の他端側には、対向ピストン144が、離間スプリング150を介在させるようにして配設されており、対向ピストン144の他端側には、調整圧室R10が区画形成されている。この調整圧室R10には、スプール内通路152,対向ピストン144に設けられた貫通通路154を介して、サーボ圧PSRVの作動液が導入される。先のレギュレータ24と同様に、導入されたサーボ圧SRVの作用によって、対向ピストン144は、離間スプリング150を介して、スプール120を一端側に向かって押す。つまり、対向ピストン144は逆方向付勢ピストンとして機能し、それら調整圧室R10,対向ピストン144を含んで、スプール120の他端側に設けられてスプール120を一端側に向かって付勢する逆方向付勢機構156が構成されているのである。
緩衝ピストン136の一端側の作動液室(緩衝スプリング140が配設されている室)は、内部通路を介して大気圧ポートP11と連通しており、その作動液の圧力は、常に、大気圧PRSV(リザーバ20内の作動液の圧力である)とされているが、先のレギュレータ24と異なり、対向ピストン144のピストン本体部146の一端側に区画形成されている作動液室R11は、内部連通路206を介して、第1パイロット圧室R8と連通させられている。この作動液室R11には、第1パイロット圧PPLT1の作動液が導入され、その作動液の圧力によって、対向ピストン144が一端側に移動するのが制限される。本レギュレータ200では、作動液室R11は、制限圧室R11として機能し、その制限圧室R11の作動液の圧力によって対向ピストン144が他端側に付勢されることで、逆方向付勢機構156によるスプール120の一端側に向かっての付勢が制限される。つまり、本レギュレータ200は、制限圧室R11を含んで構成される逆方向付勢制限機構208を備えているのである。
本レギュレータ200の機能については、先のレギュレータ24と略同様であるが、第1パイロット圧PPLT1による調圧において若干異なる。本レギュレータ200では、先に説明したように、第1付勢機構134による付勢力のが依拠するスプール120の頭部202の第1パイロット圧室R8に対する受圧面積が、小さくされている。それに相応するように、第1パイロット圧PPLT1による調圧の際、上記逆方向付勢制限機構208によって、逆方向付勢機構156による付勢力が小さくされる。つまり、第1パイロット圧PPLT1による調圧は、比較的小さな第1付勢機構134による付勢力と、比較的小さな逆方向付勢機構156による付勢力とをバランスさせることによって行われるのである。したがって、本レギュレータ200は、逆方向付勢制限機構208を備えることで、第1付勢機構134による付勢力と第2付勢機構142による付勢力とに相当の差があるにも拘わらず、1つの逆方向付勢機構156によって、それら2つの付勢力のいずれにも適切に対向する付勢力を発生させることが可能とされているのである。つまり、2つの付勢力に相当なる差が存在する場合でも、良好な調圧を行うことが可能とされているのである。
本レギュレータ200を採用する第2実施例の液圧ブレーキシステムの作動に関しては、その作動が第1実施例の液圧ブレーキシステムと同様の作動であるため、ここでの説明は省略する。
変形例
上記2つの実施例の液圧ブレーキシステムは、レギュレータ24,200に、第2パイロット圧PPLT2 の作動液として、マスタシリンダ装置16からブレーキ装置12に供給される作動液、つまり、マスタ圧PMSTの作動液が導入されるように構成されているが、マスタ圧PMSTの作動液に代えて、ブレーキ操作力に応じた高さの圧力を有する作動液を、第2パイロット圧室に導入してもよい。そのような作動液であっても、電気的失陥時等において、レギュレータ24,200は良好な調圧を行うことができ、当該液圧ブレーキシステムは、ブレーキ装置12において好適なブレーキ力を発生させることができる。具体的には、例えば、ピストン間室R3の作動液が導入されるように構成することができる。上記マスタシリンダ装置16は、電気的失陥時等において、室間連通切換弁72が閉弁状態となることで、ピストン間室R3が密閉される。その状態では、ピストン間室R3の作動液の圧力は、ブレーキ操作力に応じた高さの圧力となることから、ピストン間室R3の作動液の圧力を第2パイロット圧PPLT2としても、好適な調圧が可能なのである。
12:ブレーキ装置 14:ブレーキペダル〔ブレーキ操作部材〕 16:マスタシリンダ装置 20:リザーバ〔低圧源〕 22:高圧源装置〔高圧源〕 24:レギュレータ〔調圧器〕 26:電磁式増圧リニア弁[SLA]〔作動液圧調整装置〕 28:電磁式減圧リニア弁[SLR]〔作動液圧調整装置〕 30:ブレーキ電子制御ユニット(ブレーキECU)[ECU]〔制御装置〕 110:ハウジング 120:スプール 122:スプール弁機構 124:第1パイロットピストン 128:ロッド部 130:有低孔 132:第2パイロットピストン 134:第1付勢機構 142:第2付勢機構 144:対向ピストン〔逆方向付勢ピストン〕 156:逆方向付勢機構 200:レギュレータ〔調圧器〕 208:逆方向付勢制限機構 R8:第1パイロット圧室 R9:第2パイロット圧室 R10:調整圧室 R11:制限圧室 P10:高圧ポート P11:大気圧ポート〔低圧ポート〕 P12:調整圧ポート PACC:高圧源圧 PPLT1:第1パイロット圧 PPLT2:第2パイロット圧 PRSV:大気圧 PSRV:サーボ圧〔調整圧〕 PMST:マスタ圧

Claims (8)

  1. 高圧源からの作動液を2つのパイロット圧によって調整圧に調圧し、その調圧された作動液を供給する調圧器であって、
    ハウジングと、
    それぞれが、前記ハウジングに設けられた、(a) 高圧源からの作動液が供給される高圧ポート、(b) 低圧源と連通させられる低圧ポート、および、(c) 調圧された作動液を供給するための調整圧ポートと、
    前記ハウジング内に設けられ、軸線方向に移動可能とされたスプールを有し、そのスプールが可動範囲における一端側に位置する場合に、前記低圧ポートと前記調整圧ポートとの連通を許容するとともに、前記高圧ポートと前記調整圧ポートとの連通を遮断し、そのスプールの他端側への移動によって、前記低圧ポートと前記調整圧ポートとの連通を遮断するとともに、前記高圧ポートと前記調整圧ポートとの連通を許容するスプール弁機構と、
    前記ハウジング内において前記スプールの一端側に設けられ、前記2つのパイロット圧の一方である第1パイロット圧の作動液が導入される第1パイロット圧室を有し、その第1パイロット圧室の作動液の圧力によって、前記スプールを他端側に向かって付勢する第1付勢機構と、
    前記ハウジング内において前記スプールの一端側に設けられ、前記2つのパイロット圧の他方である第2パイロット圧の作動液が導入される第2パイロット圧室を有し、その第2パイロット圧室の作動液の圧力によって、前記スプールを他端側に向かって付勢する第2付勢機構と、
    前記ハウジング内において前記スプールの他端側に設けられ、前記調整圧ポートと連通して調整圧の作動液が導入される調整圧室を有して、その調整圧室の作動液の圧力によって、前記スプールを一端側に向かって付勢する逆方向付勢機構と
    を備え、
    前記逆方向付勢機構が、
    前記スプールの他端側に配設され、前記調整圧室の作動液の圧力を受けて前記スプールを一端側に向かって押す逆方向付勢ピストンを有することを特徴とする調圧器。
  2. 前記第1付勢機構による前記スプールの付勢が行われる際には、前記第2付勢機構による前記スプールの付勢が禁止され、前記第1付勢機構による前記スプールの付勢が不能である場合に、前記第2付勢機構による前記スプールの付勢が許容されるように構成された請求項1に記載の調圧器。
  3. 前記第1付勢機構と前記第2付勢機構とが直列的に配置され、第2付勢機構が、第1付勢機構の構成要素を介して、前記スプールを他端側に向かって付勢するように構成された請求項1または請求項2に記載の調圧器。
  4. 前記第1付勢機構が、
    前記スプールの一端側に配設され、前記第1パイロット圧室の作動液を受けて前記スプールを他端側に向かって押す第1パイロットピストンを有する請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の調圧器。
  5. 前記第1パイロットピストンが、他端側に向かって延び出るロッド部を有するとともに、前記スプールが、一端側の端部に一端側に開口する有底孔を有し、
    そのロッド部の先端が、前記有底孔の底壁において、前記スプールと係合するように構成された請求項4に記載の調圧器。
  6. 前記有低孔の底壁がテーパ形状とされ、前記第1パイロットピストンのロッド部の先端が、凸曲面形状とされた請求項5に記載の調圧器。
  7. 前記第1パイロット圧室と連通して第1パイロット圧の作動液が導入される制限圧室を有し、その制限圧室の作動液の圧力によって、前記逆方向付勢機構による前記スプールの一端側に向かっての付勢を制限する逆方向付勢制限機構を備えた請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の調圧器。
  8. ブレーキ操作部材と、
    車輪に設けられたブレーキ装置と、
    調圧された作動液が導入され、その導入された作動液の圧力に応じた圧力に作動液を加圧するとともに、その加圧された作動液を前記ブレーキ装置に供給するマスタシリンダ装置と、
    高圧の作動液を供給する高圧源としての高圧源装置と、
    制御によって作動液を任意の圧力に調整する作動液圧調整装置と、
    請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の調圧器と
    を備え、
    前記第1パイロット圧室に、前記作動液圧調整装置によって圧力が調整された作動液が、前記第1パイロット圧の作動液として導入され、かつ、前記第2パイロット圧室に、前記ブレーキ操作部材に加えられるブレーキ操作力に応じた高さの圧力を有する作動液と、前記マスタシリンダ装置から前記ブレーキ装置に供給される作動液との一方が、前記第2パイロット圧の作動液として導入されるとともに、前記調圧器によって調圧された作動液が、前記マスタシリンダ装置に導入されるように構成された車両用液圧ブレーキシステム。
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