JP5747876B2 - 液圧ブレーキシステム - Google Patents

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Description

本発明は液圧ブレーキシステムに関する。
加圧した作動液をブレーキ装置に供給してブレーキ装置で制動力を発生させる液圧ブレーキシステムには、従来から、圧力を調整した作動液を利用して作動液を加圧するシステムがある。例えば、下記特許文献に記載される液圧ブレーキシステムは、高圧の作動液の圧力を調整するための調圧装置を有し、その調圧装置によって圧力を調整した作動液を、ブレーキ装置と、ブレーキ操作部材の連結されたマスタシリンダ装置との両方に供給するように構成されている。また、この液圧ブレーキシステムは、通常時には、調圧装置からブレーキ装置に加圧した作動液を供給してマスタシリンダ装置からブレーキ装置への作動液の供給は禁止し、電気的失陥が発生したときには、マスタシリンダ装置からブレーキ装置に加圧した作動液を供給して調圧装置からブレーキ装置への作動液の供給は禁止するように構成されている。調圧装置からブレーキ装置に加圧した作動液を供給する場合、先の圧力を調整した作動液が加圧した作動液としてブレーキ装置に供給される。また、マスタシリンダ装置からブレーキ装置に加圧した作動液を供給する場合、マスタシリンダ装置は調圧装置から供給される作動液の圧力を利用して作動液を加圧し、その作動液が加圧した作動液としてブレーキ装置に供給される。このように調圧装置あるいはマスタシリンダ装置からブレーキ装置に供給される作動液の圧力が、ブレーキ操作に応じた圧力に調整されている場合には、ブレーキ装置は、ブレーキ操作に応じた制動力を発生させることになる。
特開2011−226541号公報
近年、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車などの車両では、液圧ブレーキシステムに加えて、回生ブレーキシステムなどの他のブレーキシステムが設けられている。このような車両では、ブレーキ操作が行われている場合に、回生ブレーキシステムでも制動力を発生させるため、液圧ブレーキシステムではブレーキ操作に応じた制動力を発生させない場合がある。そのため、例えば、上記特許文献の液圧ブレーキシステムがこのような車両に搭載されている場合には、通常時に、調圧装置からブレーキ装置に供給される作動液の圧力が、ブレーキ操作に応じた圧力に調整されないことがある。したがって、通常時には、調圧装置からマスタシリンダ装置に供給される作動液の圧力も、ブレーキ操作に応じた圧力とはなっておらず、マスタシリンダ装置は、ブレーキ操作に応じた圧力に作動液を加圧していない場合がある。そのため、例えば、液圧ブレーキシステムで制動力を発生させずに回生ブレーキシステムだけで制動力を発生させているような場合に電気的失陥が発生し、回生ブレーキシステムが制動力を発生できない状態となったときには、そのときのブレーキ操作に応じた制動力を液圧ブレーキシステムで発生させるため、調圧装置は、電気的失陥が発生した後に、作動液をブレーキ操作に応じた圧力に調整し、マスタシリンダ装置はその調整された圧力の作動液によって作動液を加圧してブレーキ装置に加圧した作動液を供給することになる。そのため、電気的失陥が発生してからブレーキ装置がブレーキ操作に応じた制動力を発生させるまでに、ある程度のタイムラグが発生する。
このような、タイムラグの発生を始めとして、ブレーキ装置への加圧した作動液の供給が切り換わる液圧ブレーキシステムには改良の余地が多分に残されている。したがって、何らかの改良を施せば、このような液圧ブレーキシステムの実用性を向上させることが可能となる。本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、液圧ブレーキシステムの実用性を向上させることを課題とする。
本発明の液圧ブレーキシステムは、高圧の作動液の圧力を調整してブレーキ装置に供給するブレーキ装置用調圧装置と、パイロット圧の高さに応じて高圧の作動液の圧力を調整し、ブレーキ操作部材が連結されたマスタシリンダ装置に供給するマスタシリンダ装置用調圧装置とを有し、ブレーキ装置用調圧装置からブレーキ装置への作動液の供給が許容される第1供給状態において、マスタシリンダ装置用調圧装置が、ブレーキ操作に応じた圧力になる作動液の圧力をパイロット圧として利用して作動液の圧力を調整し、マスタシリンダ装置からブレーキ装置への作動液の供給が許容される第2供給状態において、マスタシリンダ装置用調圧装置が、ブレーキ装置に供給される作動液の圧力をパイロット圧として利用して作動液の圧力を調整するように構成されている。
本発明による液圧ブレーキシステムは、2つの調圧装置を備えている。そのため、マスタシリンダ装置用調圧装置は、第1供給状態において、ブレーキ装置用調圧装置によってブレーキ装置に供給される作動液の圧力に拘わらず、ブレーキ操作に応じて作動液の圧力を調整する。つまり、本液圧ブレーキシステムのマスタシリンダ装置用調圧装置は、第1供給状態から第2供給状態に切り換わった後に圧力の調整を開始するのではなく、その切換の前から圧力の調整を行っており、マスタシリンダ装置は、その調整された作動液の圧力を受けた状態で作動液を加圧している。そのため、例えば、第1供給状態においてブレーキ装置用調圧装置からブレーキ装置に作動液が供給されていないときに第2供給状態に切り換わったとしても、マスタシリンダ装置は、ブレーキ操作に応じて加圧した作動液をブレーキ装置に素早く供給することができる。そのため、本液圧ブレーキシステムによれば、その切換において、ブレーキ装置がブレーキ操作に応じた制動力を発生させるまでのタイムラグを相当に小さくすることができる。
さらに、本液圧ブレーキシステムによれば、マスタシリンダ装置用調圧装置は、第2供給状態において、例えば、ピストン間室が密閉されたり低圧源に連通されたりすることでピストン間室の作動液の圧力をパイロット圧として利用することができない場合でも、ブレーキ装置に供給される作動液の圧力をパイロット圧として利用して作動液の圧力を調整することができる。そのため、本液圧ブレーキシステムは、汎用性のより高い液圧ブレーキシステムとなっている。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。そして、請求可能発明の態様のうちのいくつかのものが、特許請求の範囲に記載した請求項に係る発明に相当する。
具体的には、以下の各項において、(1)項が請求項1に、請求項1に(8)項の技術的特徴を付加したものが請求項2に、請求項2に(9)項の技術的特徴を付加したものが請求項3に、それぞれ相当する。
(1)車両を制動するための液圧ブレーキシステムであって、
車輪に設けられ、供給される作動液の圧力に依存して制動力を発生させるブレーキ装置と、
運転者によって操作がなされるブレーキ操作部材と、
そのブレーキ操作部材が連結され、加圧した作動液を前記ブレーキ装置に供給するマスタシリンダ装置と、
高圧の作動液を供給する高圧源装置と、
前記高圧源装置から供給される高圧の作動液の圧力を調整し、圧力を調整した作動液を前記ブレーキ装置に供給するブレーキ装置用調圧装置と、
前記高圧源装置から供給される高圧の作動液の圧力をパイロット圧の高さに応じた高さに調整し、圧力を調整した作動液を前記マスタシリンダ装置に供給するマスタシリンダ装置用調圧装置と、
前記ブレーキ装置用調圧装置から前記ブレーキ装置への作動液の供給を許容する状態と、その供給を禁止する状態とを選択的に実現する第1供給切換機構と、
前記マスタシリンダ装置から前記ブレーキ装置への作動液の供給を許容する状態と、その供給を禁止する状態とを選択的に実現する第2供給切換機構と
を備え、
前記マスタシリンダ装置が、
ハウジングと、
そのハウジング内に配設され、前記マスタシリンダ装置用調圧装置から供給される作動液の圧力を受けて前進する加圧ピストンと、
前記ハウジング内において前記加圧ピストンの後方に配設され、前記ブレーキ操作部材が連結される入力ピストンと、
前記加圧ピストンの前方側に区画され、前記加圧ピストンの前進によって前記ブレーキ装置に供給される作動液が加圧される加圧室と、
前記加圧ピストンと前記入力ピストンとの間に区画され、内部に作動液が満たされたピストン間室と、
前記ブレーキ操作部材の操作による前記入力ピストンの前進を許容し、その前進の量に応じた高さに前記ピストン間室の作動液を加圧することで、前記入力ピストンを介して前記ブレーキ操作部材に操作反力を付与する操作反力付与機構と
を有し、
当該液圧ブレーキシステムが、
(a)前記第1供給切換機構によって前記ブレーキ装置用調圧装置から前記ブレーキ装置への作動液の供給が許容され、前記第2供給切換機構によって前記マスタシリンダ装置から前記ブレーキ装置への作動液の供給が禁止される第1供給状態において、前記マスタシリンダ装置用調圧装置が、前記ピストン間室の圧力を前記パイロット圧として利用して高圧の作動液の圧力を調整し、(b)前記第1供給切換機構によって前記ブレーキ装置用調圧装置から前記ブレーキ装置への作動液の供給が禁止され、前記第2供給切換機構によって前記マスタシリンダ装置から前記ブレーキ装置への作動液の供給が許容される第2供給状態において、前記マスタシリンダ装置用調圧装置が、前記加圧室の圧力を前記パイロット圧として利用して高圧の作動液の圧力を調整するように構成された液圧ブレーキシステム。
本液圧ブレーキシステムは、2つの調圧装置、つまり、ブレーキ装置に供給するためのブレーキ装置用調圧装置と、マスタシリンダ装置に供給するためのマスタシリンダ装置用調圧装置とを備えている。そのため、第1供給状態においては、ブレーキ装置用調圧装置によってブレーキ装置に供給される作動液の圧力に拘わらず、マスタシリンダ装置用調圧装置は、ブレーキ操作に応じて圧力の変化するピストン間室の圧力を前記パイロット圧として利用して作動液の圧力を調整する。また、第2供給状態においては、マスタシリンダ装置用調圧装置は、加圧室の圧力をパイロット圧として利用して作動液の圧力を調整する。そのため、本液圧ブレーキシステムのマスタシリンダ装置用調圧装置は、第1供給状態から第2供給状態に切り換わった後に圧力の調整を開始するのではなく、その切換の前からブレーキ操作に応じて圧力を調整し、その圧力を調整した作動液をマスタシリンダ装置に供給する。したがって、マスタシリンダ装置は、第1供給状態においても、ブレーキ操作に応じて調整された作動液の圧力を受けた状態で作動液を加圧している。そのため、例えば、第1供給状態においてブレーキ装置用調圧装置からブレーキ装置に作動液が供給されていないときに第2供給状態に切り換わったとしても、マスタシリンダ装置は、ブレーキ操作に応じて加圧した作動液をブレーキ装置に素早く供給することができる。そのため、本液圧ブレーキシステムによれば、その切換において、ブレーキ装置がブレーキ操作に応じた制動力を発生させるまでのタイムラグを相当に小さくすることができる。
また、前述のように、第1供給状態においては、マスタシリンダ装置用調圧装置は、ピストン間室の圧力を利用して高圧の作動液の圧力を調整する。ピストン間室の圧力は、ブレーキ操作部材が連結された入力ピストンの前進の量に応じて変化するため、加圧ピストンの前進の量に応じて変化する加圧室の圧力などと比較して、運転者によるブレーキ操作部材の操作に対して比較的敏感に変化する。そのため、第1供給状態におけるマスタシリンダ装置用調圧装置による作動液の圧力の調整は、ブレーキ操作に対する応答性が比較的良好となっている。
本液圧ブレーキシステムでは、例えば、第2供給状態が、電気的な失陥が発生したときに実現されてもよい。液圧ブレーキシステムで電気的な失陥が発生すると、高圧源装置が作動できなくなり、ブレーキ装置用調圧装置は、圧力を調整した作動液をマスタシリンダ装置に供給できなくなる場合がある。そのため、マスタシリンダ装置が、第2供給状態において、ブレーキ操作部材に加えられる運転者の操作力によって加圧室の作動液を加圧することができるように構成されていれば、電気的な失陥が発生したときに、ブレーキ操作力によって加圧された作動液をマスタシリンダ装置からブレーキ装置に供給することができる。また、例えば、高圧源装置に高圧とされた作動液が残っているときには、マスタシリンダ装置用調圧装置は、その作動液の圧力を調整し、圧力を調整した作動液をマスタシリンダ装置に供給することができる。そのため、マスタシリンダ装置は、電気的な失陥が発生したときでも、高圧とされた作動液が残されている限りは、操作力と、圧力を調整した作動液の圧力とによって加圧された作動液をマスタシリンダ装置からブレーキ装置に供給することができる。
操作力によって加圧室の作動液を加圧するためには、例えば、ピストン間室が密閉されればよい。その場合には、操作力が、ピストン間室の作動液を介して入力ピストンから加圧ピストンに伝達され、加圧室の作動液が加圧される。また、ピストン間室が低圧源に連通され、ピストン間室の作動液が低圧源に流出されてもよい。その場合には、入力ピストンが加圧ピストンに当接し、操作力が入力ピストンから加圧ピストンに直に伝達され、加圧室の作動液が加圧される。
また、上記のように、電気的な失陥が発生したときに、ピストン間室が密閉されたりピストン間室が低圧源に連通されたりするように構成された液圧ブレーキシステムの場合、マスタシリンダ装置用調圧装置は、ピストン間室の作動液の圧力をパイロット圧として利用することができない可能性がある。本液圧ブレーキシステムによれば、第2供給状態においては、加圧室の圧力をパイロット圧として利用するため、マスタシリンダ装置用調圧装置は、高圧源装置から高圧の作動液が供給される場合には、作動液の圧力を調整することができる。そのため、本液圧ブレーキシステムは、電気的な失陥が発生したときにピストン間室の圧力をパイロット圧として利用できない液圧ブレーキシステムでも、マスタシリンダ装置に圧力を調整した作動液を供給することができる。そのため、本液圧ブレーキシステムは、適用範囲が広い液圧ブレーキシステムとなっている。
なお、本液圧ブレーキシステムによれば、操作反力付与機構によって、運転者は、ブレーキ操作部材の操作量に応じた操作反力を感じ取ることができる。その意味においては、操作反力付与機構は、いわゆるストロークシミュレータと考えることができものとなっている。
(2)前記加圧ピストンが、外周に鍔部を有しており、
前記マスタシリンダ装置が、
前記鍔部の後方側に区画され、前記マスタシリンダ装置用調圧装置からの作動液が供給される入力室と、
前記鍔部の前方側に区画され、前記鍔部を挟んで前記入力室と対向する対向室と
を有し、
当該液圧ブレーキシステムが、
前記ピストン間室が前記対向室に連通しつつ前記対向室と低圧源との連通が遮断される状態と、前記ピストン間室と前記対向室との連通が遮断されつつ前記対向室が低圧源に連通する状態とを選択的に実現する連通状態切換機構を有し、
(a)前記第1供給状態において、前記連通状態切換機構が、前記ピストン間室が前記対向室に連通しつつ前記対向室と低圧源との連通が遮断される状態を実現し、(b)前記第2供給状態において、前記連通状態切換機構が、前記ピストン間室と前記対向室との連通が遮断されつつ前記対向室が低圧源に連通する状態を実現するように構成された(1)項に記載の液圧ブレーキシステム。
本態様の液圧ブレーキシステムによれば、第1供給状態においてピストン間室と対向室とが連通している状態では、ピストン間室の圧力によって加圧ピストンに前方に向かって作用する力と、対向室の圧力によって加圧ピストンに後方に向かって作用する力とをある程度相殺することができる。そのため、操作力によってピストン間室および対向室の圧力が増加しても、操作力によって加圧ピストンが前進するのをある程度抑えることができる。そのため、加圧室の圧力が必要以上に増加するのを防ぐことができる。一方、第2供給状態においては、ピストン間室が密閉されるため、操作力がピストン間室の作動液を介して入力ピストンから加圧ピストンに伝達され、また、対向室の作動液が低圧源に流出することができるため、対向室の作動液によって加圧ピストンの前進が妨げられることはない。そのため、操作力によって作動液を十分に加圧することができる。
(3)前記ピストン間室の圧力が作用する前記加圧ピストンの受圧面積と、前記対向室の圧力が作用する前記加圧ピストンの受圧面積とが等しくされている(2)項に記載の液圧ブレーキシステム。
本態様の液圧ブレーキシステムによれば、第1供給状態において、ピストン間室の圧力によって加圧ピストンに前方に向かって作用する力と、対向室の圧力によって加圧ピストンに後方に向かって作用する力とを相殺することができる。そのため、本態様の液圧ブレーキシステムは、操作力によってピストン間室および対向室の圧力が増加しても、操作力によって加圧ピストンは前進しないシステムとなっている。
(4)前記連通状態切換機構が、
前記ピストン間室と前記対向室とを連通する室間連通路と、
その室間連通路に設けられ、非励磁状態において閉弁する電磁式の開閉弁と、
前記対向室と低圧源とを連通する低圧連通路と、
その低圧連通路に設けられ、非励磁状態において開弁する電磁式の開閉弁と
を有する(2)項または(3)項に記載の液圧ブレーキシステム。
本態様の液圧ブレーキシステムによれば、電気的な失陥が発生した場合には、前述の第2供給状態、つまり、ピストン間室と対向室との連通が遮断されつつ対向室が低圧源に連通する状態が実現されることになる。そのため、電気的失陥の場合に、操作力がピストン間室の作動液を介して入力ピストンから加圧ピストンに伝達され、また、対向室の作動液によって加圧ピストンの前進が妨げられることはないため、操作力で作動液を十分に加圧することができる。なお、通常の場合、つまり、液圧ブレーキシステムが正常に作動できる場合には、2つの開閉弁をそれぞれ励磁させることで、前述の第1供給状態、つまり、ピストン間室が対向室に連通しつつ対向室と低圧源との連通が遮断される状態を実現することができる。
(5)当該液圧ブレーキシステムが、
前記ピストン間室の圧力と前記加圧室の圧力との両方が、前記マスタシリンダ装置用調圧装置に導入されるように構成され、
前記マスタシリンダ装置用調圧装置が、
自身の構造に依拠して、(a)前記第1供給状態において、前記ピストン間室の圧力を前記パイロット圧として利用し、(b)前記第2供給状態において、前記加圧室の圧力を前記パイロット圧として利用するように構成された(4)項に記載の液圧ブレーキシステム。
本態様の液圧ブレーキシステムは、マスタシリンダ装置用調圧装置がパイロット圧として利用するための圧力を切り換えるための機構などを別途必要としないため、比較的簡単な構成のシステムとなっている。本態様のマスタシリンダ装置用調圧装置は、例えば、ピストン間室の圧力による力が加圧室の圧力による力よりも大きくなる場合に、ピストン間室の圧力をパイロット圧として利用し、加圧室の圧力による力がピストン間室の圧力による力よりも大きくなる場合に、加圧室の圧力をパイロット圧として利用するように構成されていればよい。
(6)当該液圧ブレーキシステムが、
前記対向室と前記室間連通路に設けられた前記開閉弁との間にある作動液の圧力が前記マスタシリンダ装置用調圧装置に導入され、
前記第1供給状態において、前記室間連通路に設けられた前記開閉弁が開弁し、前記低圧連通路に設けられた前記開閉弁が閉弁することで、前記対向室と前記室間連通路の前記開閉弁との間にある作動液の圧力が、前記ピストン間室の圧力と等しくなり、前記マスタシリンダ装置用調圧装置が、前記対向室と前記室間連通路の前記開閉弁との間にある作動液の圧力を前記パイロット圧として利用するように構成された(5)項に記載の液圧ブレーキシステム。
本態様の液圧ブレーキシステムによれば、第2供給状態、つまり、電気的な失陥が発生した場合には、室間連通路に設けられた開閉弁が閉弁し、低圧連通路に設けられた開閉弁が開弁することで、室間連通路の対向室と開閉弁との間における部分は、低圧源に連通する。したがって、対向室と室間連通路に設けられた開閉弁との間にある作動液の圧力は、第1供給状態では、ピストン間室の圧力としてマスタシリンダ装置用調圧装置に導入されるが、第2供給状態では、低圧源の圧力となる。つまり、第2供給状態では、加圧室の圧力が、対向室と室間連通路に設けられた開閉弁との間にある作動液の圧力よりも高くなることになる。したがって、本態様の液圧ブレーキシステムによれば、マスタシリンダ装置用調圧装置を、第1供給状態においてはピストン間室の圧力をパイロット圧として利用し、第2供給状態においては加圧室の圧力をパイロット圧として利用するように構成することができる。このように、本態様の液圧ブレーキシステムによれば、前述の連通状態切換機構を用いて、マスタシリンダ装置用調圧装置がパイロット圧として利用するための圧力を切り換えることができる。
(7)前記操作反力付与機構が、
前記室間連通路における前記対向室と前記開閉弁との間において前記室間連通路に連通するように設けられた貯液室と、
前記入力ピストンの前進の量に応じた量の前記貯液室の容積の増加を許容しつつ、前記貯液室内の作動液をその容積増加に応じた高さに加圧する加圧機構と
を有する(4)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
本態様の液圧ブレーキシステムによれば、第1供給状態では、加圧機構によって加圧された作動液の圧力が、ピストン間室の作動液を介して、ブレーキ操作部材に伝達されることになる。そのため、運転者は、その圧力による力を操作反力として感知する。また、第2供給状態では、貯液室は、ピストン間室との連通が遮断され、対向室とともに低圧源に連通することになる。したがって、本態様の液圧ブレーキシステムによれば、前述の連通状態切換機構を用いて、操作反力がブレーキ操作部材に付与される状態と付与されない状態とを切り換えることができる。
(8)当該液圧ブレーキシステムが、
前記ピストン間室の圧力と前記加圧室の圧力との両方が、前記マスタシリンダ装置用調圧装置に導入されるように構成され、
前記マスタシリンダ装置用調圧装置が、
自身の構造に依拠して、(a)前記第1供給状態において、前記ピストン間室の圧力を前記パイロット圧として利用し、(b)前記第2供給状態において、前記加圧室の圧力を前記パイロット圧として利用するように構成された(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
本態様の液圧ブレーキシステムは、前述の液圧ブレーキシステムと同様に、マスタシリンダ装置用調圧装置がパイロット圧として利用するための圧力を切り換えるための機構などを別途必要とせず、比較的簡単な構成のシステムとなっている。
(9)前記第2供給切換機構が、前記加圧室から前記ブレーキ装置に作動液を供給するための加圧液供給路に設けられており、
当該液圧ブレーキシステムが、
前記加圧室と前記第2供給切換機構との間にある作動液の圧力が、前記加圧室の圧力として前記マスタシリンダ装置用調圧装置に導入されるように構成され、
前記マスタシリンダ装置用調圧装置が、
前記第2供給状態において、前記加圧室と前記第2供給切換機構との間にある作動液の圧力を前記パイロット圧として利用するように構成された(8)項に記載の液圧ブレーキシステム。
本態様の液圧ブレーキシステムよれば、例えば、ブレーキ操作中の第1供給状態から第2強強状態への切換においても、第2供給切換機構によってマスタシリンダ装置からブレーキ装置に作動液の供給が開始された後に加圧室の圧力がマスタシリンダ装置用調圧装置に導入されるのではなく、その作動液の供給が開始される前から加圧室の圧力がマスタシリンダ装置用調圧装置に導入されている。そのため、マスタシリンダ装置用調圧装置は、第1供給状態においては、ピストン間室の圧力をパイロット圧として利用して高圧の作動液の圧力を調整するように動作しつつ、第2供給状態となったときに、加圧室の圧力をパイロット圧として利用して素早く動作することができる状態となっている。そのため、マスタシリンダ装置用調圧装置は、第2供給状態に切り換わったときに、高圧の作動液の圧力を加圧室の圧力に応じて高圧の作動液の圧力を素早く調整し、圧力を調整した作動液をマスタシリンダ装置に素早く供給することができる。
本態様の液圧ブレーキシステムは、例えば、回生ブレーキシステムを備えた電気自動車やハイブリッド車両などに好適に用いることができる。電気自動車やハイブリッド車両では、ブレーキ操作中であっても、回生ブレーキシステムで制動力を発生させ、液圧制動力を発生させない、つまり、ブレーキ装置に供給される作動液の圧力を低圧源の圧力とさせる場合がある。そのため、例えば、マスタシリンダ装置用調圧装置が、第2供給切換機構とブレーキ装置との間にある作動液の圧力をパイロット圧として利用するように構成された液圧ブレーキシステムの場合には、ブレーキ操作中であっても、マスタシリンダ装置用調圧装置に低圧源の圧力が導入される可能性がある。本態様の液圧ブレーキシステムによれば、ブレーキ操作中であれば、ブレーキ装置で制動力を発生させているか否かに拘わらず、加圧室の圧力がマスタシリンダ装置用調圧装置に導入される。そのため、例えば、ブレーキ操作中に車両に電気的な失陥が発生し、回生ブレーキシステムが制動力を発生させることができず、液圧ブレーキシステムが第2供給状態になるような事態が発生しても、マスタシリンダ装置用調圧装置は、加圧室の圧力に応じて高圧の作動液の圧力を素早く調整することができる。
(10)前記マスタシリンダ装置用調圧装置が、
ハウジングと、
自身の動作によって前記高圧源装置からの高圧の作動液の圧力を調整する弁機構と、
前記ハウジングの軸線方向に移動可能とされ、前記弁機構に係合し、自身の移動によって前記弁機構を動作させる第1ピストンと、
前記第1ピストンの前記弁機構とは反対の側に、前記第1ピストンと前記軸線方向において並んで配置され、前記軸線方向に移動可能とされた第2ピストンと、
前記第1ピストンと前記第2ピストンとの間に区画され、外部から作動液の圧力が導入される第1圧力室と、
前記第2ピストンの前記第1圧力室とは反対の側に区画され、外部から作動液の圧力が導入される第2圧力室と
を有し、
(A)前記第1圧力室の圧力によって前記第2ピストンに作用する力が、前記第2圧力室の圧力によって前記第2ピストンに作用する力よりも大きい場合に、前記第1ピストンが前記第1圧力室の圧力に依存して移動することで、前記第1圧力室の圧力を前記パイロット圧として利用して高圧の作動液の圧力を調整し、(B)前記第2圧力室の圧力によって前記第2ピストンに作用する力が、前記第1圧力室の圧力によって前記第2ピストンに作用する力よりも大きい場合に、前記第2ピストンが前記第1ピストンに当接した状態で、前記第1ピストンが前記第2圧力室の圧力に依存して移動することで、前記第2圧力室の圧力を前記パイロット圧として利用して高圧の作動液の圧力を調整するように構成された(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
本態様のマスタシリンダ装置用調圧装置は、簡単に言えば、第2ピストンに作用する第1圧力室の圧力による力と第2圧力室の圧力による力との大きい方によって動作させられる。つまり、より大きな力を発生させる方の圧力室に導入される圧力が、パイロット圧として利用されることになる。そのため、本態様のマスタシリンダ装置用調圧装置は、比較的簡単な構成によってパイロット圧として利用される圧力を切り換えることができる。
(11)当該液圧ブレーキシステムが、
前記ピストン間室の圧力が、前記マスタシリンダ装置用調圧装置の前記第1圧力室と前記第2圧力室との一方に導入され、かつ、前記加圧室の圧力が、前記マスタシリンダ装置用調圧装置の前記第1圧力室と前記第2圧力室との他方に導入され、
(a)前記第1供給状態において、前記ピストン間室の圧力によって前記第2ピストンに作用する力が、前記加圧室の圧力によって前記第2ピストンに作用する力よりも大きくなり、前記マスタシリンダ装置用調圧装置が前記ピストン間室の圧力を前記パイロット圧として利用して高圧の作動液の圧力を調整し、(b)前記第2供給状態において、前記加圧室の圧力によって前記第2ピストンに作用する力が、前記ピストン間室の圧力によって前記第2ピストンに作用する力よりも大きくなり、前記マスタシリンダ装置用調圧装置が前記加圧室の圧力を前記パイロット圧として利用して高圧の作動液の圧力を調整するように構成された(10)項に記載の液圧ブレーキシステム。
本態様のマスタシリンダ装置用調圧装置は、第2ピストンに作用するピストン間室の圧力による力と加圧室の圧力による力との大きい方によって動作させられることになる。このようにマスタシリンダ装置用調圧装置が動作するために、マスタシリンダ装置用調圧装置では、例えば、ピストン間室の圧力が第2ピストンに作用する受圧面積と、加圧室の圧力が第2ピストンに作用する受圧面積とが異なる大きさとされていてもよい。このように、本態様のマスタシリンダ装置用調圧装置は、比較的簡単な構成によってパイロット圧として利用される圧力を切り換えることができる。
(12)前記ブレーキ装置用調圧装置が、
前記高圧源装置から前記ブレーキ装置に作動液を供給するための連通路に設けられ、自身に供給される電力の大きさに応じて、開弁するときの圧力の高さが調整される増圧リニア弁と、
前記ブレーキ装置から低圧源に作動液を放出するための連通路に設けられ、自身に供給される電力の大きさに応じて、閉弁するときの圧力の高さが調整される減圧リニア弁と
を有し、
前記増圧リニア弁が、前記第2供給状態において、閉弁する状態に維持されることで前記ブレーキ装置への作動液の供給を禁止し、前記第1供給切換機構として機能する(1)項ないし(11)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキシステム。
本態様のブレーキ装置用調圧装置によれば、作動液の圧力が、電力の大きさに応じた高さの圧力に調整されることになる。より具体的に説明すれば、増圧リニア弁は、自身に供給される電力の大きさに応じた高さに作動液を増圧し、減圧リニア弁は、自身に供給される電力の大きさに応じた高さに作動液を減圧するため、作動液の圧力は、増圧リニア弁の開弁するときの圧力と減圧リニア弁が閉弁するときの圧力との間の高さに調整されることになる。また、増圧リニア弁は、例えば、供給される電力が0とされたときに、高圧源装置から供給される高圧の作動液の圧力によっては開弁することのないように構成されていてもよい。そのような構成であれば、例えば、液圧ブレーキシステムが前述の構成、つまり、電気的な失陥が発生したときに第2供給状態となる構成とされている場合に、増圧リニア弁に電力が供給されないため、増圧リニア弁が閉弁する状態で維持されることになる。したがって、増圧リニア弁は、第2供給状態において、第1供給切換機構として、ブレーキ装置用調圧装置からブレーキ装置への作動液の供給を禁止することができる。このような構成のブレーキ装置用調圧装置によれば、液圧ブレーキシステムの構成を比較的シンプルにすることができる。
請求可能発明の実施例の液圧ブレーキシステムを示す図である。 図1に示す液圧ブレーキシステムのシリンダ装置用調圧装置を示す図である。 変形例とされた液圧ブレーキシステムを示す図である。
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記の実施例および変形例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
≪液圧ブレーキシステムの構成≫
図1に、ハイブリッド車両に搭載される液圧ブレーキシステム10を模式的に示す。なお、詳しい説明は省略するが、この車両は、回生ブレーキシステム、つまり、発電機を駆動させる際に発生する抵抗力を車両の制動力として利用するブレーキシステムを備えている。そのため、この車両は、液圧ブレーキシステム10が発生させる液圧制動力と、回生ブレーキシステムが発生させる回生制動力との両方によって減速するように構成されている。
液圧ブレーキシステム10は、車両に設けられた4つの車輪を制動するために各車輪に設けられたブレーキ装置14と、ブレーキ装置14に加圧した作動液を供給するマスタシリンダ装置16と、マスタシリンダ装置16に連結された操作装置18と、液圧ブレーキシステム10の制御を司るブレーキ電子制御ユニット(ブレーキECU)20とを有している。なお、「ブレーキ装置14」等のいくつかの構成要素は、4つの車輪のいずれかに対応するものであることを示す場合には、左前輪,右前輪,左後輪,右後輪にそれぞれ対応して、添え字「FL」,「FR」,「RL」,「RR」を付して使用する。また、以下の説明において、「前方」は図1における左方、「後方」は図1における右方をそれぞれ表している。また、「前側」、「前端」、「前進」や、「後側」、「後端」、「後進」等も同様に表すものとされている。以下の説明において[ ]の文字は、センサ等を図面において表わす場合に用いる符号である。
車両の運転者は、操作装置18を操作することでマスタシリンダ装置16を作動させることができ、マスタシリンダ装置16は、自身の作動によって作動液を加圧する。その加圧された作動液は、マスタシリンダ装置16に接続されるアンチロック装置22を介して、各車輪に設けられたブレーキ装置14に供給可能となっている。ブレーキ装置14は、その加圧された作動液の圧力(以下、「マスタ圧」という場合がある)に依拠して、車輪の回転を抑制して車両を制動させる力、すなわち、液圧制動力を発生させる。
液圧ブレーキシステム10はまた、作動液の圧力を高圧とし、その高圧の作動液を供給する高圧源装置24と、高圧とされた作動液の圧力(以下、「高圧源圧」という場合がある)を、その圧力以下の圧力に調整する調圧機構26とを有している。高圧源装置24は、高圧源圧の作動液が供給される第1高圧液通路28を介して調圧機構26に接続されている。調圧機構26は、後で詳しく説明するが、自身に導入されるパイロット圧に基づいて、高圧源装置24からの作動液の圧力を調整する。調圧機構26は、調整された作動液の圧力(以下、「調整圧」という場合がある)がマスタシリンダ装置に導入されるように、調整圧の作動液が供給される調整圧液通路30を介してマスタシリンダ装置16に接続されている。なお、液圧ブレーキシステム10は、低圧源として作動液を大気圧下で貯留するリザーバ32を有しており、リザーバ32は、マスタシリンダ装置16,アンチロック装置22,調圧機構26,高圧源装置24の各々に接続されている。
また、高圧源装置24は、第2高圧液通路34によってアンチロック装置22にも接続されている。第2高圧液通路34は、アンチロック装置22の内部で4つに分岐されている。それら分岐された液通路の各々は、4つの車輪に対応して設けられたブレーキ装置14の対応するものに、4つの増圧リニア弁36の対応するものを介して接続されている。また、アンチロック装置22には、リザーバ32に連通する低圧開放路38も繋げられている。その低圧開放路38も、アンチロック装置22の内部において4つに分岐されており、それら分岐された連通路の各々は、4つのブレーキ装置14の対応するものに、4つの減圧リニア弁40の対応するものを介して接続されている。なお、4つの増圧リニア弁36は、いずれも、非励磁状態において閉弁する電磁式のリニア弁となっている。4つの減圧リニア弁40については、前輪側の減圧リニア弁40FL,40FRが非励磁状態において閉弁する電磁式のリニア弁であり、後輪側の減圧リニア弁40RL,40RRが非励磁状態において開弁する電磁式のリニア弁となっている。また、アンチロック装置22の内部には、4つのブレーキ装置14の各々に供給される作動液の圧力を検出するための4つのブレーキ圧センサ42が設けられている。なお、これら増圧リニア弁36,減圧リニア弁40,ブレーキ圧センサ42は、いずれもブレーキECU20に接続されている。
このように構成されたアンチロック装置22によって、増圧リニア弁36および減圧リニア弁40は、ブレーキECU20からの指令に基づいて、ブレーキ装置14に供給される作動液の圧力を調整することができる。具体的に説明すると、4つの増圧リニア弁36がそれぞれ開弁され、かつ、4つの減圧リニア弁40がそれぞれ閉弁されると、ブレーキ装置14に高圧源装置24から作動液が供給され、ブレーキ装置14に供給される作動液の圧力は増加する。一方、4つの増圧リニア弁36がそれぞれ閉弁され、かつ、4つの減圧リニア弁40がそれぞれ開弁されると、ブレーキ装置14はリザーバ32に連通し、ブレーキ装置14に供給される作動液の圧力は低下する。
操作装置18は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル44と、ブレーキペダル44に連結されるオペレーションロッド46とを含んで構成されている。ブレーキペダル44は、上端部において、車体に回動可能に保持されている。オペレーションロッド46は、後端部においてブレーキペダル44に連結され、前端部においてマスタシリンダ装置16に連結されている。また、操作装置18は、ブレーキペダル44の操作量(以下、「ブレーキ操作量」という場合がある)を検出するための操作量センサ[SP]48を有している。操作量センサ48は、ブレーキECU20に接続されている。
また、液圧ブレーキシステム10では、マスタシリンダ装置16に接続されている液通路50,52が、アンチロック装置22を介して、右前輪側のブレーキ装置14FR,左前輪側のブレーキ装置14FLにそれぞれ繋げられている。また、液通路50,52の途中には、マスタシリンダ装置16からブレーキ装置14FR,14FLへの作動液の供給と、その供給の遮断とをするためのマスタカット弁54,56がそれぞれ設けられている。マスタカット弁54,56は、それぞれ、非励磁状態において開弁する電磁式の開閉弁となっており、ブレーキECU20に接続されている。
液通路50には、マスタシリンダ装置16からブレーキ装置14に供給される作動液の圧力を検出するマスタ圧センサ[Po]58が設けられており、マスタ圧センサ58はブレーキECU20に接続されている。詳しい説明は省略するが、各ブレーキ装置14は、一般的なディスクブレーキ装置となっており、車輪を支持するキャリアに支持されたブレーキキャリパと、各車輪とともに回転するブレーキディスクとを含んで構成されている。ブレーキキャリパは、ブレーキ装置14に供給される作動液の圧力に依拠してブレーキパッドをブレーキディスクに押し付け、その押し付けにより発生する摩擦力で車輪の回転を制止するように構成されている。なお、アンチロック装置22は、車輪の回転がロックさせられた場合に、減圧リニア弁40がブレーキ装置14からリザーバ32への作動液の流れを許容することで、車輪のロックを解除するように構成されている。
高圧源装置24は、リザーバ32から作動液を吸込んでその作動液の圧力を増加させる液圧ポンプ60と、増圧された作動液が貯留されるアキュムレータ62とを含んで構成されている。ちなみに、液圧ポンプ60は、電動のモータ64によって駆動される。また、高圧源装置24は、高圧とされた作動液の圧力を検出するための高圧源圧センサ[Ph]66を有している。ブレーキECU20は、高圧源圧センサ66の検出値を監視しており、その検出値に基づいて、液圧ポンプ60は制御駆動される。この制御駆動によって、高圧源装置24は、常時、設定された圧力以上の圧力とされた作動液を調圧機構26およびアンチロック装置22に供給する。
なお、ブレーキECU20は、操作量センサ48の検出値や、後で説明する指標値、つまり、ブレーキペダル44に加えられる運転者の力(以下、「ブレーキ操作力」という場合がある)を示す指標値に基づいて、車両で必要とされる制動力を決定する。そして、ブレーキECU20は、その必要とされる制動力のうち、回生ブレーキシステムで発生させる回生制動力と、液圧ブレーキシステム10で発生させる液圧制動力とを決定する。液圧ブレーキシステム10は、決定された液圧制動力に基づいて、ブレーキECU20によって制御される。
≪マスタシリンダ装置の構成≫
マスタシリンダ装置16は、マスタシリンダ装置16の筐体であるハウジング80と、ブレーキ装置14に供給する作動液を加圧する第1加圧ピストン82および第2加圧ピストン82と、運転者の操作が操作装置18を通じて入力される入力ピストン86とを含んで構成されている。なお、図1は、マスタシリンダ装置16が動作していない状態、つまり、ブレーキ操作がされていない状態を示している。
ハウジング80は、主に、4つの部材から、具体的には、第1ハウジング部材88,第2ハウジング部材90,第3ハウジング部材92,第4ハウジング部材94から構成されている。第1ハウジング部材88は、前端部が閉塞された概して円筒形状となっている。第2ハウジング部材90は、概して円筒形状とされており、前端部に第1ハウジング部材88の後方部が嵌め込まれることで、第1ハウジング部材88と一体となっている。
第2ハウジング部材90の内部には、円筒形状の第3ハウジング部材92が、自身の前端部が第1ハウジング部材88の後端部に嵌り合う状態で配設されている。第3ハウジング部材92は、後端部において内鍔96が形成された円筒形状となっている。また、その内鍔96によって、第3ハウジング部材92の後端には貫通孔98が形成されている。なお、第3ハウジング部材92の内径は、第1ハウジング部材88の内径より大きくなっている。第2ハウジング部材90の内部には、さらに、第3ハウジング部材92の後端面と第2ハウジング部材90の後端部との間に円筒形状の第4ハウジング部材94が配設されている。このように構成されたハウジング80の内部は、第2ハウジング部材90の内鍔96によって、前方側に位置する前方室R1と、後方側に位置する後方室R2とに区画されている。
第2加圧ピストン82は、前方室R1において、第1ハウジング部材88に摺動可能にシールを介して嵌め合わされている。第1加圧ピストン82は、前方室R1において第2加圧ピストン82の後方に配設されており、後端部が塞がれた有底円筒形状の本体部100と、本体部100から貫通孔98を通って後方室R2内に延び出す延出部102とを有している。また、本体部100の後端部における外周には、鍔部104が設けられている。第1加圧ピストン82は、本体部100における前方側が第1ハウジング部材88に、鍔部104が第3ハウジング部材92の内周面に、延出部102が第3ハウジング部材92の貫通孔98にそれぞれ摺動可能な状態で、ハウジング80にシールを介して嵌め合わされている。ちなみに、第1加圧ピストン82は、本体部100の後端が第3ハウジング部材92の内鍔96の前端面に当接することで、それの後退が制限されている。
第1加圧ピストン82と第2加圧ピストン84との間には、左前輪に設けられたブレーキ装置14FLに供給される作動液を加圧するための第1加圧室R3が区画形成されており、また、第2加圧ピストン84の前方には、右前輪に設けられたブレーキ装置14FRに供給される作動液を加圧するための第2加圧室R4が区画形成されている。なお、第1加圧ピストン82では、前方に開口する有底穴の底部において有頭ピン106が螺着立設されており、また、第2加圧ピストン84では、後端面においてピン保持筒108が固設されている。これら有頭ピン106およびピン保持筒108によって、第1加圧ピストン82と第2加圧ピストン84との離間距離は、設定範囲内に制限されている。また、第1加圧室R3内,第2加圧室R4内には、それぞれ、圧縮コイルスプリング(以下、「リターンスプリング」という場合がある)110,112が配設されており、それらスプリングによって、第1加圧ピストン82,第2加圧ピストン84はそれらが互いに離間する方向に付勢されつつ、後方に向かうように付勢されている。
入力ピストン86は、大まかには円筒形状とされている。入力ピストン86は、後方室R2に配設されており、第1加圧ピストン82の延出部102の後方において、第4ハウジング部材94にシールを介して嵌め合わされている。入力ピストン86の後端部には、ブレーキペダル44に加えられるブレーキ操作力を入力ピストン86に伝達すべく、また、ブレーキペダル44の操作量に応じて入力ピストン86を進退させるべく、オペレーションロッド46が連結されている。ちなみに、入力ピストン86は、自身の前方の外周面に設けられた段差部が第4ハウジング部材94の後方における内周面に設けられた段差部に当接することで、それの後退が制限されている。また、オペレーションロッド46には、円板状のスプリングシート114が付設されており、このスプリングシート114と第2ハウジング部材90との間には圧縮コイルスプリング116が配設されている。この圧縮コイルスプリング116によって、オペレーションロッド46は後方に向かって付勢されている。なお、スプリングシート114とハウジング80との間にはブーツ118が渡されており、マスタシリンダ装置16の後部の防塵が図られている。
このように構成されたマスタシリンダ装置16において、第1加圧ピストン82の本体部100の鍔部104の後方側には、調圧機構26からの作動液が供給される入力室R5が区画形成されている。また、鍔部104の前方における第3ハウジング部材92の内周面と第1加圧ピストン82の外周面との間には、鍔部104を挟んで入力室R5と対向する環状の対向室R6が区画形成されている。また、貫通孔98を利用して後方室R2に延び出す第1加圧ピストン82の延出部102の後端面と入力ピストン86の前端面との間には、ブレーキ操作がされていない状態において隙間が設けられている。つまり、その隙間を挟んで第1加圧ピストン82と入力ピストン86とは向かい合っており、その隙間を含んだ延出部102の周囲には、ピストン間室R7が形成されている。
なお、第1加圧ピストン82では、ピストン間室R7の圧力が第1加圧ピストン82に、延出部102の後端面において作用する受圧面積が、対向室R6の圧力が第1加圧ピストン82の鍔部104に作用する受圧面積と同じ大きさとされている。なお、ピストン間室R7の圧力が第1加圧ピストン82に作用する受圧面積とは、ピストン間室R7の圧力によって、第1加圧ピストン82を前進させる力が作用する面積と考えることができる。一方、対向室R6の圧力が第1加圧ピストン82の鍔部104に作用する受圧面積とは、対向室R6の圧力によって、第1加圧ピストン82を後退させる力が作用する面積と考えることができる。
第1加圧室R3は、第1ハウジング部材88に設けられた連通孔130を介して、アンチロック装置22に繋がる液通路50と連通しており、第1加圧ピストン82に設けられた連通孔132および第1ハウジング部材88に設けられた連通孔134を介して、リザーバ32に連通可能とされている。一方、第2加圧室R2は、第1ハウジング部材88に設けられた連通孔136を介して、アンチロック装置22に繋がる液通路52と連通しており、第2加圧ピストン84に設けられた連通孔138および第1ハウジング部材88に設けられた連通孔140を介して、リザーバ62に連通可能とされている。
第1ハウジング部材88には、一端が対向室R6に開口する連通孔142が設けられており、第3ハウジング部材92には、一端が連通孔142の他端と向き合って開口する連通孔144が設けられている。さらに、第2ハウジング部材90には、一端が連通孔144の他端と向き合って開口し、他端が外部に開口する連結ポートとされた連通孔146が設けられている、つまり、これらの連通孔142,144,146を介して、対向室R6は外部に連通している。第3ハウジング部材92の外周面と第2ハウジング部材90の内周面との間には、作動液の流通を可能とする隙間148が設けられている。第3ハウジング部材92には、一端が入力室R5に開口し、他端が隙間148に開口する連通孔150が設けられており、第2ハウジング部材90には、一端が隙間148に開口し、他端が外部に開口する連結ポートとされた連通孔152が設けられている。つまり、入力室R5は、隙間148,連通孔150,152を介して外部に連通している。
第4ハウジング部材94の前端部には、一端がピストン間室R7に開口する連通孔154が設けられており、第2ハウジング部材90には、自身の一端が連通孔154の他端と向き合って開口し、他端が外部に開口する連結ポートとされた連通孔156が設けられている。つまり、ピストン間室R7は、連通孔154,156を介して外部に連通している。
ハウジング80の外部では、調圧された作動液の供給される調整圧供通路30の一端が連通孔152の連結ポートに繋げられている。したがって、入力室R5には、調圧機構26によって調圧された作動液が供給可能とされている。なお、調整圧供給路30には、調圧された作動液の圧力を検出する調圧センサ[Pi]157が設けられており、その調圧センサ157は、ブレーキECU20に接続されている。ハウジング80の外部には、一端が連通孔146の連結ポートに接続され、他端が連通孔156の連結ポートに接続される室間連通路158が設けられている。したがって、ピストン間室R7と対向室R6とは、室間連通路158を介して互いに連通可能とされている。また、室間連通路158の途中には、非励磁状態において閉弁する電磁式の開閉弁である室間連通弁160が設けられている。その室関連弁と連通孔156との間における室間連通路158には、ピストン間室R7の圧力を検出するピストン間室圧センサ[Pp]162が設けられており、そのピストン間室圧センサ162は、ブレーキECU20に接続されている。ピストン間室R7の圧力は、入力ピストン86から作用する力、つまり、ブレーキペダル44を操作する運転者のブレーキ操作力に基づいて変化する。そのため、ピストン間室圧センサ162の検出値は、ブレーキ操作力を示す指標値として利用される。
また、室間連通路158は、連通孔146と室間連通弁160との間で分岐しており、その分岐した液通路は、低圧連通路164として、低圧開放路38を介してリザーバ32に接続されている。なお、低圧連通路164の途中には、非励磁状態において開弁する電磁式の開閉弁である低圧連通弁166が設けられている。また、低圧連通路164は、室間連通路162側の一端と低圧連通弁166との間で分岐しており、その分岐した液通路は、第1パイロット圧供給路168として、調圧機構26に接続されている。さらに、液通路50は、連通孔130とアンチロック装置22との間で分岐しており、その分岐する液通路は、第2パイロット圧供給路170として、調圧機構26に接続されている。
室間連通路158における連通孔146と室間連通弁160との間には、マスタシリンダ装置16からの作動液が流出入する反力発生器180が設けられている。反力発生器180は、筐体であるハウジング182と、そのハウジング182内部に配置されたピストン184および圧縮コイルスプリング186を含んで構成されている。ハウジング182は、両端が閉塞された円筒形状とされている。ピストン184は、円板状とされており、ハウジング182の内周面に摺動可能に配設されている。スプリング276は、それの一端がハウジング182の内底面に支持されており、他端がピストン184の一端面に支持されている。したがって、ピストン184は、スプリング186によってハウジング182に弾性的に支持されている。また、ハウジング182の内部には、ピストン184の他端面とハウジング182とによって、貯液室190が区画形成されている。また、ハウジング182には、一端が貯液室190に開口する連通孔188が設けられている。その連通孔188の他端には、低圧開放路38から分岐する液通路が接続されている。したがって、貯液室190は対向室R6およびピストン間室190に連通可能となっている。したがって、開閉弁260が閉弁されている場合には、入力ピストン86の前進によって対向室R6およびピストン間室R7の合計容積が減少すると、その減少に応じて反力発生器180の貯液室190の容積が増加し、スプリング186は、その増加の量に応じた高さに貯液室190内の作動液を加圧する加圧機構となっている。
≪調圧機構の構造≫
以下に、調圧機構26の構造について、図2を参照しつつ詳しく説明する。調圧機構26は、両端が塞がれた概して円筒形状のハウジング210と、そのハウジング210内に配設された円柱状の第1プランジャ212と、第1プランジャ212の下方に配設された円柱状の第2プランジャ214と、第1プランジャ212の上方に配設された円筒状の調圧筒216とを有している。これら第1プランジャ212,第2プランジャ214,調圧筒216は、それぞれ、ハウジング210に摺動可能に嵌合されている。ハウジング210の内周には、内径がいくつかの異なる大きさとなっているために段差が形成されており、概して、上方へ向かうほど内径は大きくなっている。また、第1プランジャ212,第2プランジャ214,調圧筒216の各々の外周にも、外径がいくつかの異なる大きさとなっているために段差が形成されている。調圧筒216には、自身を軸線方向および径方向に貫く貫通穴218が設けられており、上端面,下端面,側面の各々に、貫通穴218の開口が設けられている。調圧筒216の下端面に設けられた開口には、第1プランジャ212の上端部が着座可能となっている。一方、調圧筒216の上端面に設けられた開口には、ハウジング210の上端面に支持されるピン220が嵌入されており、調圧筒216は、ピン220に対して移動可能となっている。また、調圧筒216の上方には、調圧筒216のハウジング210への当接を防ぐ環状の緩衝ゴム222が設けられている。第1プランジャ212と調圧筒216との間には、圧縮ばねであるスプリング224が設けられており、そのスプリング224によって、第1プランジャ212と調圧筒216とは互いに離間するように付勢されている。調圧筒216とハウジング210との間にも、圧縮ばねであるスプリング226が設けられており、そのスプリング226によって、調圧筒216は下方に付勢されている。
ハウジング210の内部には、ハウジング210の内周面および端面と、第1プランジャ212,第2プランジャ214,調圧筒216の各々の外周面および端面とによって、複数の液室が形成されている。具体的には、第1プランジャ212の下端面と第2プランジャ214の上端面との間には、第1液室230が区画されており、また、第2プランジャ214の下端面とハウジング210の内底面との間には、第2液室232が区画されている。調圧筒216の上部の外径はハウジング210の内径より小さくされており、調圧筒216とハウジング210との間には、第3液室234が区画されている。また、調圧筒216の下部の外径はハウジング210の内径より僅かに小さくされており、調圧筒216とハウジング210との間には、第4液室236が区画されている。さらに、第1プランジャ212上部の外周面と、調圧筒216の下端面と、ハウジング210の内周面とによって第5液室238が区画されている。
これらの液室は、それぞれハウジング210に設けられた連通孔を介して外部に連通している。具体的には、第1液室230は、第1パイロット圧供給路168と連通しており、第1液室230には、ピストン間室R7の圧力が導入可能とされている。第2液室232は、第2パイロット圧供給路170と連通しており、第2液室232には、第1加圧室R3の圧力、つまり、マスタ圧が導入される。なお、第2プランジャ214では、第1液室230の圧力を受ける面積である上端面の面積が、第2液室232の圧力を受ける面積である下端面の面積よりも大きくされている。
第4液室236は、第1高圧液通路28と連通しており、第4液室236には、高圧源圧の作動液が供給される。第5液室238には、低圧開放路38から分岐する液通路と連通しており、第5液室238には、大気圧の作動液が供給可能とされている。また、第3液室234の作動液は、後述するように、調圧機構26の作動によって圧力が調整されることになる。また、第3液室234は、調整圧液通路30と連通しており、マスタシリンダ装置16の入力室R5には、調圧機構26によって調整された圧力の作動液が供給される。つまり、第3液室234の圧力は、マスタシリンダ装置16における入力圧となっている。第3液室234の圧力は、第1液室230に供給される作動液の圧力または第2液室232に供給される作動液の圧力、つまり、ピストン間室R7の圧力または第1加圧室R3の圧力に応じて調整される。調圧機構26は、後で詳しく説明するように、ピストン間室R7の圧力、または、第1加圧室R3の圧力をパイロット圧として利用して動作するように構成されている。
パイロット圧が増加させられると、第1プランジャ212は、コイルスプリング224の弾性力に抗して上方に移動し、調圧筒216の貫通穴218の下端の開口(以下、「第5液室側開口」という場合がある)に着座する。さらに第1プランジャ212が上方へ移動すると、調圧筒216も上方に移動し、調圧筒216の外周部にある段差面240が、ハウジング210の内周部に形成された段差面242から離隔する。そのため、第4液室236から第3液室234への作動液の流れが許容され、第3液室の圧力が増加する。また、パイロット圧が減少させられると、第1プランジャ212が第5液室側開口に着座する状態で、調圧筒216の段差面240がハウジング210の段差面242に着座する。さらにパイロット圧が減少させられると、第1プランジャ212が第5液室側開口から離隔し、第3液室234は第5液室238を介してリザーバ32に連通する。つまり、調圧機構26は、高圧源装置24から供給される作動液の圧力を、パイロット圧の高さに応じた高さに調整し、その調整された圧力の作動液をマスタシリンダ装置16に供給するマスタシリンダ装置用調圧装置とされている。
上述のように構成された調圧機構26では、調圧筒216を含む機構は、高圧源装置24からの高圧の作動液の圧力を調整するように構成された弁機構になっていると考えることができる。また、第1プランジャ212は、軸線方向に移動可能とされており、調圧筒216に係合し、自身の移動によって調圧筒216を動作させる第1ピストンになっており、第2プランジャ214は、第1プランジャ212と軸線方向において並んで配置され、軸線方向に移動可能とされた第2ピストンになっていると考えることができる。さらに、第1液室230は、第1プランジャ212と第2プランジャ214との間に区画された第1圧力室になっており、第2液室232は、第2プランジャ214の第1液室230とは反対の側に区画された第2圧力室になっていると考えることができる。
≪液圧ブレーキシステムの作動≫
液圧ブレーキシステム10の作動について以下に詳しく説明する。通常時、つまり、液圧ブレーキシステム10が正常に作動できる状態では、室間連通弁160は励磁されて開弁させられており、対向室R6とピストン間室R7とは連通する状態となっている。また、低圧連通弁166は励磁されて閉弁させられており、対向室R6およびピストン間室R7のリザーバ32への連通は遮断されている。また、マスタカット弁54,56は励磁されて閉弁させられており、第1加圧室R3および第2加圧室R4の作動液のブレーキ装置14への供給、つまり、マスタシリンダ装置16からブレーキ装置14への作動液の供給は禁止された状態となっている。
上述の状態で、運転者がブレーキ操作を開始すると、ブレーキECU20は、ブレーキペダル44の操作量とピストン間室R7の圧力とに基づいてブレーキ操作状態を把握し、ブレーキ操作状態に基づいて車両に必要とされる制動力を決定する。さらに、ブレーキECU20は、その必要とされる制動力のうち、液圧ブレーキシステム10で発生させる液圧制動力、つまり、ブレーキ装置14に供給すべき作動液の圧力を決定し、その圧力とさせるための指令を、増圧リニア弁36および減圧リニア弁40に送信する。アンチロック装置22では、それらの指令に基づいて増圧リニア弁36および減圧リニア弁40がそれぞれ作動し、第2高圧液通路34を介して高圧源装置24から供給される作動液の圧力が調整される。その調整された圧力の作動液はブレーキ装置14に供給され、ブレーキ装置14はその作動液の圧力に依存して液圧制動力を発生させる。つまり、アンチロック装置22、具体的には、増圧リニア弁36および減圧リニア弁40は、高圧源装置24で高圧とされた作動液の圧力を調整し、圧力を調整した作動液をブレーキ装置14に供給するブレーキ装置用調圧装置になっている。
このように液圧制動力が発生する状態で、マスタシリンダ装置16では、運転者のブレーキ操作によって、第1加圧ピストン82に対して入力ピストン86が前進し、ピストン間室R7の容積が減少する。つまり、ピストン間室R7の作動液が、ピストン間室R7から流出して反力発生器180の貯液室190に流入する。そのため、反力発生器180では、ピストン184が圧縮コイルスプリング186を縮めながら移動して貯液室190の容積が増加し、圧縮コイルスプリング186の発生する弾性反力が増加する。その弾性反力は、貯液室190,室間連通路158,ピストン間室R7の作動液を介して入力ピストン86に伝達されるため、運転者は、自身のブレーキ操作量の増加に応じて、ブレーキペダル44からの反力が増加するように感じることになる。つまり、液圧ブレーキシステム10では、反力発生器180を含む機構は、入力ピストン86の前進を許容し、その前進の量に応じた高さにピストン間室R7の作動液を加圧することで、入力ピストン86を介してブレーキペダル44に操作反力を付与する操作反力付与機構となっている。
なお、前述のように、第1加圧ピストン82では、ピストン間室R7の圧力が作用する受圧面積と、対向室R6の圧力が作用する受圧面積とが等しくされている。そのため、ピストン間室R7の圧力によって第1加圧ピストン82に前方に向かって作用する力と、対向室R6の圧力によって第1加圧ピストン82に後方に向かって作用する力とが相殺する。したがって、上述のブレーキ操作によって、ピストン間室R7および対向室R6の圧力は増加することになるが、第1加圧ピストン82は、その圧力によって移動させられることはない。
また、ブレーキ操作によるブレーキ操作力によって、ピストン間室R7および対向室R6の圧力が増加すると、それらの液室と第1パイロット圧供給路168を介して連通する調圧機構26の第1液室230の圧力が増加することになる。そのため、第1プランジャ212は上方に付勢されて調圧筒216に当接して押圧し、その押圧によって第3液室234と第4液室236とが連通すると、高圧源装置24からの作動液が、第3液室234を介してマスタシリンダ装置16の入力室R5に供給される。したがって、第1加圧ピストン82には、その作動液の圧力によって前方への力が作用し、第1加圧室R3の圧力が増加する。また、第1加圧室R3の圧力によって、第2加圧ピストン84に前方への力が作用するため、第2加圧室R4の圧力も増加する。
第1加圧室R3の圧力が増加すると、調圧機構26では、第2パイロット圧供給路170を介して第2液室232の圧力が増加し、第2プランジャ214が上方に付勢されることになる。しかしながら、調圧機構26は、前述のように、第2プランジャ214の上端面の面積が下端面の面積よりも大きくされていることで、第1液室230の圧力によって第2プランジャ214を下方に向かって付勢する力が、第2液室232の圧力によって第2プランジャ214を上方に向かって付勢する力よりも大きくなるように構成されている。つまり、調圧機構26は、通常時には、第2プランジャ214が下方に向かって押し付けられており、第1プランジャ212は第1液室230の圧力に依存して移動するように構成されている。したがって、調圧機構26は、通常時には、ピストン間室R7の圧力をパイロット圧として利用して高圧源装置24からの高圧の作動液の圧力を調整し、圧力を調整した作動液をマスタシリンダ装置16に供給するように構成されている。
次に、液圧ブレーキシステム10で電気的な失陥が発生したときの液圧ブレーキシステム10の作動について説明する。なお、電気的失陥時には、回生ブレーキシステムは制動力を発生させることができなくなり、液圧ブレーキシステム10だけで制動力を発生させることになる。電気的失陥時には、電磁式の弁がすべて非励磁となる。具体的に説明すると、室間連通弁160は閉弁し、低圧連通弁166は開弁する。そのため、対向室R6とピストン間室R7との連通は遮断させられ、対向室R6はリザーバ32に連通させられる。つまり、電気的失陥時には、ピストン間室R7は密閉させられ、対向室R6は大気圧に開放させられた状態となる。また、マスタカット弁54,56が開弁するため、第1加圧室R3および第2加圧室R4の作動液は、前輪側のブレーキ装置14FR,14FLにそれぞれ供給される。したがって、マスタカット弁54,56は、加圧室R3,R4からブレーキ装置14に作動液を供給するための加圧液供給路である液通路50,52の途中に設けられており、マスタシリンダ装置16からブレーキ装置14への作動液の供給を許容する状態と、その供給を禁止する状態とを選択的に実現する第2供給切換機構になっていると考えることができる。
アンチロック装置20では、4つの増圧リニア弁36のすべてが閉弁させられ、高圧源装置24からブレーキ装置14への作動液の供給が禁止される。したがって、増圧リニア弁36は、自身からブレーキ装置14への作動液の供給を許容する状態と、その供給を禁止する状態とを選択的に実現する第1供給切換機構になっていると考えることができる。また、4つの減圧リニア弁40のうち、前輪側の減圧リニア弁40FL,40FRは閉弁させられ、後輪側の減圧リニア弁40RL,40RRは開弁させられる。つまり、液圧ブレーキシステム10は、電気的失陥時には、前輪側のブレーキ装置14FL,14FRにはマスタシリンダ装置16から作動液が供給され、後輪側のブレーキ装置14RL,14RRには作動液は供給されないように構成されている。そのため、電気的失陥時には、後輪側のブレーキ装置14RL,14RRでは液圧制動力は発生しない。
電気的失陥時において、運転者がブレーキ操作を開始すると、密閉されたピストン間室R7の作動液を介して、ブレーキ操作力が入力ピストン86から第1加圧ピストン82に伝達され、第1加圧ピストン82が前進し、第1加圧室R3の圧力が増加する。この際、対向室R6の作動液はリザーバ32に流出することができるため、対向室R6の作動液によって第1加圧ピストン82の前進が妨げられることはない。そのため、操作力によって作動液を十分に加圧することができる。また、第1加圧室R3の圧力を受けて、第2加圧ピストン84も前進し、第2加圧室R4の圧力も増加する。
また、電気的失陥時には、反力発生器180では、貯液室190のピストン間室R7への連通が遮断され、また、貯液室190は反力室R6とともにリザーバ32に連通される。したがって、ブレーキ操作力は反力発生器180のスプリング186を縮めることに利用されることはなく、ブレーキ操作力によって加圧室R3,R4の作動液を十分に加圧することができる。また、電気的失陥時におけるブレーキ操作に対する操作反力は、加圧室R3,R4の作動液からピストン間室R7の作動液を介してブレーキペダル44に伝達されることになる。
第1加圧室R3の圧力が増加すると、調圧機構26では、第2パイロット圧供給路170を介して第2液室232の圧力が増加し、第2プランジャ214が上方に付勢されることになる。また、第1液室230は、第1パイロット圧供給路168および低圧連通路164を介してリザーバ32に連通している。そのため、電気的失陥時には、第1液室230は大気圧となり、調圧機構26は、第2液室232の圧力によって第2プランジャを上方に向かって付勢する力が、第1液室230の圧力によって第2プランジャを下方に向かって付勢する力よりも大きくなる。つまり、調圧機構26は、電気的失陥時における作動においては、第2液室232の圧力によって、第2プランジャ214が第1プランジャ212に当接し、当接した状態で第1プランジャが移動するように構成されている。したがって、調圧機構26は、電気的失陥時には、第1加圧室R3の圧力をパイロット圧として利用して高圧源装置24からの作動液の圧力を調整し、その調整された圧力の作動液をマスタシリンダ装置16に供給するように構成されている。したがって、調圧機構26は、比較的簡単な構成によって、通常時と電気的失陥時とにおいて、パイロット圧として利用される圧力を切り換えるように動作する。
なお、高圧源装置24では、電気的失陥時において、モータ64が作動することはできないが、アキュムレータ62に高圧の作動液が残されている場合がある。その場合には、調圧機構26は、電気的失陥時においても、その作動液の圧力を調整し、圧力を調整した作動液をマスタシリンダ装置16に供給することができる。その場合、マスタシリンダ装置16は、入力室R5に供給される作動液の圧力と、ブレーキ操作力とに依存して加圧室R3,R4の作動液を加圧する。
上述のようにブレーキ装置14への作動液の供給が切り換えられる液圧ブレーキシステム10では、通常時に、増圧リニア弁36によって自身からブレーキ装置14に作動液の供給が許容され、マスタカット弁54,56によってマスタシリンダ装置16からブレーキ装置14への作動液の供給が禁止される第1供給状態が実現され、また、電気的失陥時には、増圧リニア弁36によって自身からブレーキ装置14への作動液の供給が禁止され、マスタカット弁54,56によってマスタシリンダ装置16からブレーキ装置14への作動液の供給が許容される第2供給状態が実現される。なお、室間連通弁160および低圧連通弁166は、通常時に、ピストン間室R7を対向室R6に連通させつつ対向室R6とリザーバ32との連通を遮断し、失陥時に、ピストン間室R7と対向室R6との連通を遮断しつつ対向室R6をリザーバ32に連通させる連通状態切換機構となっている。
このように構成された液圧ブレーキシステム10では、通常時、つまり、マスタシリンダ装置16からブレーキ装置14への作動液の供給が禁止されている状態においても、調圧機構26は、圧力を調整した作動液をマスタシリンダ装置16に供給する。つまり、調圧機構26は、通常時から電気的失陥時に切り換わった後に圧力の調整を開始するのではなく、電気的失陥が発生していなくても圧力の調整を行って、その圧力を調整した作動液をマスタシリンダ装置16に供給している。したがって、マスタシリンダ装置16は、通常時においても、ブレーキ操作に応じて調整された作動液の圧力を受けた状態で作動液を加圧している。液圧ブレーキシステム10が搭載されるハイブリッド車両は、例えば、ブレーキ操作中に、回生制動力だけを発生させ、液圧制動力を発生させない、つまり、増圧リニア弁36からブレーキ装置14に供給される作動液の圧力を大気圧とさせる場合がある。そのような場合に電気的失陥が発生しても、マスタシリンダ装置16は、ブレーキ操作に応じて加圧された作動液をブレーキ装置14に素早く供給することができる。したがって、液圧ブレーキシステム10によれば、通常時から電気的失陥時への切換において、ブレーキ装置14がブレーキ操作に応じた制動力を発生させるまでのタイムラグが相当に小さくされている。
また、通常時においては、調圧機構26は、前述のように、ピストン間室R7の圧力をパイロット圧として利用して高圧の作動液の圧力を調整する。ピストン間室R7の圧力は、ブレーキペダル44が直に連結された入力ピストン86の移動に応じて変化するため、第1加圧ピストン82の移動に応じて変化する第1加圧室R3の圧力などと比較して、運転者によるブレーキペダル44の操作に応じて比較的敏感に変化する。そのため、調圧機構26による作動液の圧力の調整は、通常時には、ブレーキ操作に対する応答性が比較的良好となっている。
一方、電気的失陥時、つまり、第2供給状態においては、調圧機構26は、第1加圧室R3の圧力をパイロット圧として利用して高圧の作動液の圧力を調整する。電気的失陥時には、例えば、それに加えて、室間連通弁160が開弁状態で固着してしまう失陥が発生する可能性がある。つまり、ピストン間室R7がリザーバ32に連通したままとなるような失陥が発生する可能性がある。その場合であっても、入力ピストン86は、ピストン間室R7の作動液をリザーバ32に流出させて前進し、第1加圧ピストン82に当接してそれを前進させることができるため、加圧室R3,R4の圧力をブレーキ操作力によって増加させることができる。したがって、ピストン間室R7がリザーバ32に連通し、ピストン間室R7の圧力をパイロット圧として利用することができないような失陥時においても、調圧機構26は、第1加圧室R3の圧力をパイロット圧として利用することで、高圧の作動液の圧力を調整することができる。
また、液圧ブレーキシステム10では、例えば、ブレーキ操作中に電気的失陥が発生しても、マスタカット弁54,56によってマスタシリンダ装置16からブレーキ装置14に作動液の供給が開始された後に第1加圧室R3の圧力が調圧機構26に導入されるのではなく、その作動液の供給が開始される前から第1加圧室R3の圧力が調圧機構26に導入されている。そのため、調圧機構26は、通常時においては、ピストン間室R7の圧力をパイロット圧として利用して高圧の作動液の圧力を調整するように動作しつつ、電気的失陥が発生したときには、第1加圧室R3の圧力を利用して素早く動作することができる状態となっている。そのため、調圧機構26は、電気的失陥が発生したときに、第1加圧室R3の圧力に応じて高圧の作動液の圧力を素早く調整し、圧力を調整した作動液をマスタシリンダ装置16に素早く供給することができる。したがって、液圧ブレーキシステム10では、ブレーキ装置14への作動液の供給状態の切換において、調圧機構26からマスタシリンダ装置16に供給される作動液の圧力の変化が比較的小さくなる。そのため、その作動液の圧力によって第1加圧ピストン82に作用する力の変化も比較的小さくなり、ブレーキ操作における操作感への影響が比較的小さくなっている。
なお、液圧ブレーキシステム10が搭載されるハイブリッド車両では、前述のように、ブレーキ操作中であっても、回生制動力だけを発生させ、液圧制動力を発生させない場合がある。そのため、例えば、ブレーキ装置に供給される作動液の圧力をパイロット圧として利用する調圧機構の場合には、ブレーキ操作中であっても、パイロット圧が大気圧になってしまうことがある。液圧ブレーキシステム10では、ブレーキ操作中であれば、ブレーキ装置14で制動力を発生させているか否かに拘わらず、第1加圧室R3の圧力が調圧機構26に導入される。したがって、調圧機構26は、通常時において、ピストン間室R7の圧力をパイロット圧として利用しつつ、電気的な失陥が発生したときに、第1加圧室R3の圧力を利用して素早く動作することができる状態となっている。そのため、例えば、ブレーキ操作中に電気的な失陥が発生し、回生ブレーキシステムが制動力を発生させることができなくなったとしても、調圧機構26は、第1加圧室R3の圧力に応じて高圧の作動液の圧力を素早く調整し、圧力を調整した作動液をマスタシリンダ装置16に素早く供給することができる。
≪変形例≫
図3は、変形例の液圧ブレーキシステム300を示す。液圧ブレーキシステム300は、大まかには実施例の液圧ブレーキシステム10と同様の構成とされている。以下の説明においては、説明の簡略化に配慮し、実施例の液圧ブレーキシステム10と異なる構成および作動について説明し、実施例の液圧ブレーキシステム10と同じ構成および作動については説明を省略する。
液圧ブレーキシステム300は、アンチロック装置302を有しており、高圧源装置24は、そのアンチロック装置302に接続されている。詳しく説明すると、高圧源装置24に接続された第2高圧液通路34は、増圧リニア弁304および流量補助弁306に繋げられている。増圧リニア弁304は、非励磁状態において閉弁する電磁式のリニア弁となっており、高圧源装置24からの高圧の作動液の圧力を調整する。また、流量補助弁306は、非励磁状態において閉弁する電磁式の開閉弁となっている。それら増圧リニア弁304および流量補助弁306は、調圧液通路308を介してアンチロック装置302に連結されており、アンチロック装置302には、増圧リニア弁304によって圧力の調整された作動液が供給される。流量補助弁306は、例えば、急ブレーキの場合など、アンチロック装置302に供給する作動液の圧力を急激に増加させたい場合に開弁させられる。また、調圧液通路308は途中で分岐しており、その分岐した調圧液通路308は、非励磁状態において開弁する電磁式の減圧リニア弁310を介して低圧開放路38に連結されている。減圧リニア弁310は、非励磁状態において開弁する電磁式のリニア弁となっており、アンチロック装置302に供給される作動液の圧力が低下するように作動させられる。なお、これら増圧リニア弁304,流量補助弁306,減圧リニア弁310は、いずれもブレーキECU20に接続されている。
アンチロック装置302は、4つのブレーキ装置14の対応する4つの増圧開閉弁312および4つの減圧開閉弁314とを備えている。なお、4つの増圧開閉弁312は、いずれも、非励磁状態において閉弁する電磁式の開閉弁となっている。4つの減圧開閉弁314のうち、前輪側の減圧開閉弁314FL,314FRは、非励磁状態において閉弁する電磁式の開閉弁であり、後輪側の減圧開閉弁314RL,314RRは、非励磁状態において開弁する電磁式の開閉弁である。それら4つの増圧開閉弁312および4つの減圧開閉弁314は、いずれもブレーキECU20に接続されている。
このように構成された液圧ブレーキシステム300では、増圧リニア弁304および減圧リニア弁310を含む装置によって、高圧源装置24から供給される高圧の作動液の圧力を調整し、その調整された圧力の作動液をブレーキ装置14に供給するブレーキ装置用調圧装置になっていると考えることができる。また、増圧開閉弁312は、増圧リニア弁304および減圧リニア弁310からの圧力の調整された作動液のブレーキ装置14への供給を許容する状態と、その供給を禁止する状態とを選択的に実現する第1供給切換機構になっていると考えることができる。なお、減圧開閉弁314は、車輪の回転がロックさせられた場合に開弁させられ、それにより、ブレーキ装置14に供給される作動液の圧力が強制的に減少させられて車輪のロックは解除される。
10:液圧ブレーキシステム 14:ブレーキ装置 16:マスタシリンダ装置 24:高圧源装置 26:調圧機構(シリンダ装置用調圧装置) 36:増圧リニア弁(ブレーキ装置用調圧装置,第1供給切換機構) 40:減圧リニア弁(ブレーキ装置用調圧装置) 44:ブレーキペダル(ブレーキ操作部材) 50:液通路(加圧液供給路) 52:液通路(加圧液供給路) 54:マスタカット弁(第2供給切換機構) 56:マスタカット弁(第2供給切換機構) 80:ハウジング 82:第1加圧ピストン(加圧ピストン) 86:入力ピストン 104:鍔部 158:室間連通路(連通状態切換機構) 160:室間連通弁(連通状態切換機構) 164:低圧連通路(連通状態切換機構) 166:低圧連通弁(連通状態切換機構) 180:反力発生器(操作反力付与機構) 186:圧縮コイルスプリング(加圧機構) 190:貯液室 210:ハウジング 212:第1プランジャ(第1ピストン) 214:第2プランジャ(第2ピストン) 216:調圧筒(弁機構) 230:第1液室(第1圧力室) 232:第2液室(第2圧力室) 300:液圧ブレーキシステム 304:増圧リニア弁(ブレーキ装置用調圧装置) 310:減圧リニア弁(ブレーキ装置用調圧装置) 312:増圧開閉弁(第1供給切換機構) R3:第1加圧室 R5:入力室 R6:対向室 R7:ピストン間室

Claims (3)

  1. 車両を制動するための液圧ブレーキシステムであって、
    車輪に設けられ、供給される作動液の圧力に依存して制動力を発生させるブレーキ装置と、
    運転者によって操作がなされるブレーキ操作部材と、
    そのブレーキ操作部材が連結され、加圧した作動液を前記ブレーキ装置に供給するマスタシリンダ装置と、
    高圧の作動液を供給する高圧源装置と、
    前記高圧源装置から供給される高圧の作動液の圧力を調整し、圧力を調整した作動液を前記ブレーキ装置に供給するブレーキ装置用調圧装置と、
    前記高圧源装置から供給される高圧の作動液の圧力をパイロット圧の高さに応じた高さに調整し、圧力を調整した作動液を前記マスタシリンダ装置に供給するマスタシリンダ装置用調圧装置と、
    前記ブレーキ装置用調圧装置から前記ブレーキ装置への作動液の供給を許容する状態と、その供給を禁止する状態とを選択的に実現する第1供給切換機構と、
    前記マスタシリンダ装置から前記ブレーキ装置への作動液の供給を許容する状態と、その供給を禁止する状態とを選択的に実現する第2供給切換機構と
    を備え、
    前記マスタシリンダ装置が、
    ハウジングと、
    そのハウジング内に配設され、前記マスタシリンダ装置用調圧装置から供給される作動液の圧力を受けて前進する加圧ピストンと、
    前記ハウジング内において前記加圧ピストンの後方に配設され、前記ブレーキ操作部材が連結される入力ピストンと、
    前記加圧ピストンの前方側に区画され、前記加圧ピストンの前進によって前記ブレーキ装置に供給される作動液が加圧される加圧室と、
    前記加圧ピストンと前記入力ピストンとの間に区画され、内部に作動液が満たされたピストン間室と、
    前記ブレーキ操作部材の操作による前記入力ピストンの前進を許容し、その前進の量に応じた高さに前記ピストン間室の作動液を加圧することで、前記入力ピストンを介して前記ブレーキ操作部材に操作反力を付与する操作反力付与機構と
    を有し、
    当該液圧ブレーキシステムが、
    (a)前記第1供給切換機構によって前記ブレーキ装置用調圧装置から前記ブレーキ装置への作動液の供給が許容され、前記第2供給切換機構によって前記マスタシリンダ装置から前記ブレーキ装置への作動液の供給が禁止される第1供給状態において、前記マスタシリンダ装置用調圧装置が、前記ピストン間室の圧力を前記パイロット圧として利用して高圧の作動液の圧力を調整し、(b)前記第1供給切換機構によって前記ブレーキ装置用調圧装置から前記ブレーキ装置への作動液の供給が禁止され、前記第2供給切換機構によって前記マスタシリンダ装置から前記ブレーキ装置への作動液の供給が許容される第2供給状態において、前記マスタシリンダ装置用調圧装置が、前記加圧室の圧力を前記パイロット圧として利用して高圧の作動液の圧力を調整するように構成された液圧ブレーキシステム。
  2. 当該液圧ブレーキシステムが、
    前記ピストン間室の圧力と前記加圧室の圧力との両方が、前記マスタシリンダ装置用調圧装置に導入されるように構成され、
    前記マスタシリンダ装置用調圧装置が、
    自身の構造に依拠して、(a)前記第1供給状態において、前記ピストン間室の圧力を前記パイロット圧として利用し、(b)前記第2供給状態において、前記加圧室の圧力を前記パイロット圧として利用するように構成された請求項1に記載の液圧ブレーキシステム。
  3. 前記第2供給切換機構が、前記加圧室から前記ブレーキ装置に作動液を供給するための加圧液供給路に設けられており、
    当該液圧ブレーキシステムが、
    前記加圧室と前記第2供給切換機構との間にある作動液の圧力が、前記加圧室の圧力として前記マスタシリンダ装置用調圧装置に導入されるように構成され、
    前記マスタシリンダ装置用調圧装置が、
    前記第2供給状態において、前記加圧室と前記第2供給切換機構との間にある作動液の圧力を前記パイロット圧として利用するように構成された請求項2に記載の液圧ブレーキシステム。
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