JP2016074198A - 装飾部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた外観特性と機能性を有するとともに、生産性を向上させることができる装飾部品を提供する。
【解決手段】本発明は、基材と、該基材上に積層されたCuめっき層と、該Cuめっき層に直接積層された銀白色金属めっき層と、を有し、表面粗さ(Ra)が0.015μm以下であって、うねり(W)が0.060μm以下である装飾部品である。さらに、前記銀白色金属めっき層の上に透明又は半透明の保護層を形成することが好ましい。前記透明又は半透明の保護層を形成する前に、アルカリ化成処理が行われることが好ましい。前記銀白色金属めっき層が、Sn又はSn合金めっき層である場合、前記Cuめっき層の膜厚は、5〜30μmであることが好ましい。前記銀白色金属めっき層が、Crめっき層である場合、前記Cuめっき層の膜厚は、15〜30μmであることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の面精度を有する銀白色金属めっき層を備えた装飾部品に関するものである。
一般的に、樹脂、金属、ガラス、セラミックス等の装飾部品の装飾性等の外観特性、耐久性等の機能性を付与するために、装飾部品の表面処理技術の一つとしてめっき処理が行われている。その中でも、金属様外観を有するCrめっき層は、めっき膜の硬度が高く、外観特性及び機能性に優れるため、例えば、CuめっきやNiめっきを下地として仕上げの最上層めっきとして使用されている。
この種のめっき処理を施した装飾部品として、例えばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)樹脂に金属めっき処理を施して金属様外観を付与したものが知られている。ABS樹脂の金属めっき処理工程は、例えば、Sn触媒存在下で無電解Niめっき処理を行ってABS樹脂基材に導電性を付与した後、Cuめっき処理、半光沢Ni(SBN)めっき処理、光沢Ni(BN)めっき処理、ジュールNi(DN)めっき処理、Crめっき処理を、順次電気めっき法により行う工程によって行われている。Cuめっき層は、主にABS樹脂基材の延びに追従可能な延性を付与するために積層されており、例えば合成樹脂製の基材と、各めっき層を構成する金属との線膨張率の違いに基づく熱応力を緩和し、各めっき層の密着性低下と装飾部品表面のクラック発生を防止する。また、各Niめっき層は、犠牲防食の観点から、最表層のCrめっき層の腐食をより抑制して装飾部品の耐久性をより向上させている。これらの各層は、それぞれ異なる機能を備えたものであり、装飾部品が適用される部材等に対して要求されるべき必要な機能を付与する。しかしながら、このような多層構造を有する装飾部品は、機能性に優れるが、生産性が低下、例えば製造工程が煩雑化、製造コストが増加等する場合があった。そこで、これら各層の機能を統合することによって生産性を向上させる方法が検討されている。
従来より、例えば、特許文献1,2に開示されるようなSn系めっきを施した装飾部品が知られている。特許文献1は、導電性を付与した樹脂表面に、Ni等の金属めっきを施し、Sn−Co合金による仕上げめっきを施す方法について開示する。特許文献2は、真鍮基材上に光沢Niめっき、次にSn系めっき等を施す方法について開示する。
特開昭48−89839号公報 特開平11−301190号公報
ところが、特許文献1,2に開示されるSn系めっきを用いた装飾部品は、外観特性に劣るため、実用性は決して高いものではなかった。
本発明は、これらの課題を解決するためになされたものであり、その目的は、優れた外観特性と機能性を有するとともに、生産性を向上できる装飾部品を提供することである。
本発明は、発明者らの鋭意研究の結果、装飾部品において、特定の面精度を有する銀白色金属めっき層を設けたことにより、優れた外観特性と機能性を有するとともに、生産性を向上できることを見出したことに基づく発明である。
上記の目的を達成するために、本発明の装飾部品は、基材と、該基材上に積層されたCuめっき層と、該Cuめっき層に直接積層された銀白色金属めっき層と、を有し、表面粗さ(Ra)が0.015μm以下であって、うねり(W)が0.060μm以下であることを要旨とする。この構成によれば、Cuめっき層の上に直接銀白色金属めっき層を設けたことにより、装飾部品のめっき工程を簡略化し、生産性を向上できる。また、かかるめっき層構造を有することにより、優れた外観特性及び機能性を得ることができる。
さらに、前記銀白色金属めっき層の上に透明又は半透明の保護層を形成することが好ましい。この構成によれば、保護機能、特に耐食性をより向上できる。さらに、前記透明又は半透明の保護層を形成する前に、アルカリ化成処理が行われていることが好ましい。この構成によれば、特に保護層の外観特性をより向上できる。
前記銀白色金属めっき層は、Sn又はSn合金めっき層であって、前記Cuめっき層の膜厚は、5〜30μmであることが好ましい。この構成によれば、特に延性、面精度、表面硬度、生産性等をより向上できる。
前記銀白色金属めっき層は、Crめっき層であって、前記Cuめっき層の膜厚は、15〜30μmであることが好ましい。この構成によれば、特に面精度、光沢外観等の面精度をより向上できる。
本発明によれば、優れた外観特性と機能性を有するとともに、生産性を向上できる。
各実施例及び比較例における面精度を示すグラフ。
以下、本発明を装飾部品に具体化した一実施形態を説明する。
本実施形態の装飾部品の基材は、特に限定されず、目的に応じて公知の材料を適宜選択することができる。基材として、例えば、樹脂、金属、ガラス、セラミック等を挙げることができる。樹脂製の基材は、剛性、加工容易性、耐熱性、めっき容易性等の機能性、使用目的等を考慮して適宜選択することができる。樹脂としては、例えばアクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、PC/ABSアロイ(PC/ABSブレンド樹脂)、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリアクリル樹脂(ポリメタクリル樹脂)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂等を挙げることができる。また、樹脂製の基材は、公知の成型方法、例えば射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、圧縮成形法等を用いて成形することができる。基材に用いられる金属としては、例えば鉄、ステンレス、Al、Al合金、Ti、Ti合金等を挙げることができる。これらの基材は、1種類を選択して用いてもよく、又は複数種類を組み合わせて用いてもよい。基材の形状は、装飾部品の使用目的等に応じ適宜設計することができる。
基材の表面上にCuめっき層が積層されている。Cuめっき層は、無電解Cuめっき処理により形成しても、電気Cuめっき処理により形成してもよい。それらは、各めっきの特性に応じて適宜選択することができる。電気Cuめっき処理を施す場合、基材表面に導電性を付与するために、無電解めっき処理を施すことが好ましい。無電解めっき処理としては、無電解Cuめっき処理以外に、無電解Niめっき処理が挙げられる。
無電解Cuめっき処理は、公知の方法を適宜採用することができる。無電解Cuめっき処理として、例えば還元剤としてホルムアルデヒドを用いるホルムアルデヒド浴が挙げられる。また、還元剤としてテトラヒドロホウ酸カリウム、DMAB、水酸化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素系、グリオキシル酸塩、次亜リン酸塩、ホスフィン酸塩、コバルト(II)塩、ヒドラジン等を用いる浴によって行うこともできる。例えば、ホルムアルデヒド浴にて行う場合、還元剤としてのホルムアルデヒドの他に、銅塩としての硫酸銅、錯化剤としてのロシェル塩及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)等、pH調整剤、安定剤、促進剤、皮膜改良剤、界面活性剤等を含有するめっき浴に浸漬することによって行うことができる。
無電解Niめっき処理は、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、基材としてABS樹脂が用いられる場合、基材を界面活性剤含有浴に浸漬して基材表面を脱脂した後、クロム酸/硫酸溶液に浸漬して基材表面に対してエッチング処理を行う。続いて、基材表面にPd/Sn混合コロイド触媒等に代表される触媒を付与して活性化後、無電解Niめっき処理を行う。無電解Niめっき処理は、ホスフィン酸塩、テトラヒドロホウ酸塩、ジメチルアミンボラン(DMAB)、ヒドラジン等を還元剤とし、ニッケル塩として、硫酸ニッケル、塩化ニッケル等を含有するとともに、錯化剤、促進剤、安定剤、pH調整剤、界面活性剤等を含有するめっき浴に浸漬することによって行うことができる。
電気Cuめっき処理は、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、所定の硫酸銅水溶液等の電気Cuめっき浴に、表面導電性を付与した基材を浸漬するとともに、基材と電極間に電源を接続することにより行うことができる。
基材上のCuめっき層の厚みは、延性、面精度、表面硬度、生産性等の観点から適宜設定可能であるが、基材上のCuめっき層の厚みの下限は、好ましくは5μm以上、より好ましくは6μm以上、さらに好ましくは7μm以上である。5μm以上の場合、基材に対する延性、面精度、表面硬度等をより向上させることができる。尚、後述する銀白色金属めっき層として、Crめっき層が用いられる場合は、基材上のCuめっき層の厚みの下限は、好ましくは15μm以上、より好ましくは16μm以上、さらに好ましくは17μm以上である。15μm以上の場合、特に光沢外観、面精度等の外観特性をより向上させることができる。一方、Cuめっき層の厚みの上限は、好ましくは30μm以下、より好ましくは27μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。30μm以下の場合、生産性の向上、例えば生産コストの低減を一層図ることができる。
また、電気Cuめっき処理に用いられる電気Cuめっき浴中に、公知の添加剤、例えばレベリング剤、促進剤、抑制剤等を配合してもよい。これらの添加剤は、基材の表面状態、例えば表面粗さ、うねり等に応じて、配合量及び比率等を適宜調整して添加される。
Cuめっき層上に銀白色金属めっき層が直接積層されている。かかる構成により基材に対して、特に光沢Niめっき層に積層されたCrめっき層のような金属様外観を付与することができる。銀白色金属めっき層としては、例えばSnめっき層、Sn合金めっき層、Crめっき層等が挙げられる。
Sn合金めっき層の形成に適用されるSn合金としては、例えば、Sn−Co合金、Sn−Ni合金、Sn−Pb合金、Sn−Ni−Cu合金、Sn−Cu−Zn合金、Sn−Fe合金、Sn−Fe−Zn合金等が挙げられる。これらのSn合金は、1種類を選択して用いてもよく、又は複数種類を組み合わせて用いてもよい。
Sn又はSn合金めっき処理は、公知の電気めっき法により行うことができる。めっき浴は、酸性浴、アルカリ性浴、中性浴のいずれで行ってもよい。また、酸性浴の場合、硫酸浴、ホウフッ化物浴、有機スルホン酸浴のいずれでも行うことができる。例えば、有機スルホン酸浴中で行う場合、硫酸第一スズ、クレゾールスルホン酸、ホルマリン系化合物(ホルムアルデヒド)、アミンーアルデヒド系光沢剤、界面活性剤、pH調整剤等をメタンスルホン酸に溶解したメタンスルホン酸浴中、処理温度10〜20℃、電流密度1〜5A/dmの条件で電気めっき処理を行うことができる。
Sn又はSn合金めっき層によって基材に光輝外観を付与することを目的として、Sn又はSn合金めっき浴中に光沢剤を含有させてもよい。光沢剤としては、公知の光沢剤を適宜使用することができる。例えば、アルデヒド化合物系光沢剤及び不飽和カルボン酸化合物系光沢剤が挙げられる。不飽和カルボン酸化合物系光沢剤としては、例えば1―ナフトアルデヒド、2―ナフトアルデヒド、o―クロロベンズアルデヒド、m―クロロベンズアルデヒド、p―クロロベンズアルデヒド、2,4−ジクロロベンズアルデヒド、2,6−ジクロロベンズアルデヒド、o−メトキシベンズアルデヒド、p−メトキシベンズアルデヒド、3−インドールカルボキシアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、サリチルアルデヒド、パラアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−バレルアルデヒド、アリルアルデヒド、グルタルアルデヒド、2−チオフェンアルデヒド、3−チオフェンアルデヒド、o−アニスアルデヒド、m−アニスアルデヒド、p−アニスアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、スクシンジアルデヒド、カプロンアルデヒド、イソバレルアルデヒド、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、クロトン酸、ピロピレン−1,3−ジカルボン酸、ケイ皮酸、安息香酸、フマル酸、フタル酸、シトラコン酸、イタコン酸等が挙げられる。
他の光沢剤として、バニリン、アクロレイン、グリオキサール、アルドール、1−ベンジリデン−7−ヘプタナール、2,4−ヘキサジエナール、シンナムアルデヒド、アミン−アルデヒド縮合物、酸化メシチル、イソホロン、ジアセチル、ヘキサンジオン−3,4、アセチルアセトン、3−クロロベンジリデンアセトン、sub.ピリジリデンアセトン、sub.フルフリジンアセトン、sub.テニリデンアセトン、4−(1−ナフチル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−フリル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−チオフェニル)−3−ブテン−2−オン、クルクミン、ベンジリデンアセチルアセトン、ベンザルアセトン、アセトフェノン、(2,4−、3,4−)ジクロロアセトフェノン、ベンジリデンアセトフェノン、2−シンナミルチオフェン、2−(ω−ベンゾイル)ビニルフラン、ビニルフェニルケトン、(o−、m−、p−)トルイジン、(o−、p−)アミノアニリン、アニリン、(o−、p−)クロロアニリン、(2,5−、3,4−)クロロメチルアニリン、N−モノメチルアニリン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、N−フェニル−(α−、β−)ナフチルアミン、メチルベンズトリアゾール、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,3−ベンズトリアジン、イミダゾール、2−ビニルピリジン、インドール、キノリン、モノエタノールアミンとo−バニリンの反応物等が挙げられる。光沢剤は、1種類を選択して用いてもよく、又は複数種類を組み合わせて用いてもよい。光沢剤の添加量は、添加する光沢剤の種類によって適宜設定することができる。Sn又はSn合金めっき浴中の合計濃度として好ましくは0.01〜1g/Lである。光沢剤の濃度を0.01g/L以上とすると、Cuめっき表面へのSnの分散性、密着性が良好になるとともに、装飾部品に適度な光輝外観を付与することができる。
Crめっき処理は、公知の方法を適宜採用することができる。より具体的には、サージェント浴、フッ化物含有浴(ケイフッ化物浴、SRHS浴)、高速度浴、テトラクロメート浴、三価クロム浴、高硬度クロムめっき浴(Cr−C合金めっき浴)等が挙げられる。
Cuめっき上の積層された銀白色金属めっき層の厚みは、色調及び面精度等の外観特性、表面硬度、生産性、Sn合金の種類等の観点から適宜設定することができる。例えばSn又はSn−Ni合金めっきの場合、めっき層の厚みの下限は、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。1μm以上の場合、好ましい外観特性を得ることができる。一方、めっき層の厚みの上限は、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。30μm以下の場合、生産性の向上、例えば生産コストの低減をより図ることができる。
また、例えばSn−Co合金めっきが用いられる場合、めっき層の厚みの下限は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上である。0.1μm以上の場合、好ましい外観特性を得ることができる。一方、めっき層の厚みの上限は、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.9μm以下、さらに好ましくは0.8μm以下である。1μm以下の場合、生産性の向上、例えば生産コストの低減をより図ることができる。
また、例えばCrめっきが用いられる場合、めっき層の厚みの下限は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上である。0.1μm以上の場合、好ましい外観特性を得ることができる。一方、めっき層の厚みの上限は、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.9μm以下、さらに好ましくは0.8μm以下である。1μm以下の場合、生産性の向上、例えば生産コストの低減をより図ることができる。
上記のように基材上に金属めっき層が構成された装飾部品は、所定の面精度を有する。具体的には、銀白色金属めっき層上の表面粗さ(Ra)が0.015μm以下、好ましくは0.01μm以下である。また、銀白色金属めっき層上のうねり(W)が0.060μm以下、好ましくは0.050μm以下である。かかる面精度の構成により、優れた外観特性を得ることができる。
表面粗さ及びうねりは、例えば市販の触針式粗さ測定器を用いて測定することができる。具体的には、測定により得られた断面曲線より、粗さ曲線及びうねり曲線をそれぞれ求め、各曲線より、算術平均粗さ(Ra)(μm)及び算術平均うねり(W)(μm)を算出することにより求めることができる。
銀白色金属めっき層の表面には、耐食性の付与又は色調の調整の観点から、さらに保護層を形成してもよい。保護層としては、めっき表面の保護に用いられる公知の保護層を適宜採用することができるが、銀白色金属めっき層に対する視認性の観点から透明又は半透明の保護層が適用される。半透明の保護層とは、保護層の上面側から視認したときに、銀白色金属めっき層の意匠が透けて視認できる程度の透明性を有していればよい。透明又は半透明の保護層により銀白色金属めっき層の耐食性を付与するとともに、装飾効果を充分に発揮させることができる。また、保護層は、顔料や染料等の着色剤等を配合することにより着色性を付与し、意匠性・装飾性をより向上させてもよい。
透明又は半透明の保護層としては、例えば有機系保護層、無機系保護層、シリコン系樹脂保護層が挙げられる。透明又は半透明の保護層は、1種類を選択して用いてもよく、又は複数種類を組み合わせて用いてもよい。有機系保護層により形成される樹脂として、例えばアクリル樹脂(メタクリル樹脂)、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。これらの中で紫外線硬化型の多官能性アクリル樹脂が優れた耐食性、耐薬品性、耐擦傷性、延性、透明性、取扱い性等を有する観点から好ましい。
有機系保護層及びシリコン系樹脂保護層の形成に用いられるコート剤の塗装方法としては、公知の方法を各コート剤の種類等により適宜選択することができる。塗装方法としては、例えば電着塗装、スピンコート、コーター、スプレー、フロー、ディップ(浸漬)、静電塗装等の方法を挙げることができる。また、紫外線硬化樹脂を使用する場合、被塗物に塗布した後、紫外線を照射して硬化させる紫外線硬化塗装法を適用してもよい。これらの塗装方法の中で、耐食性、外観特性等に優れる観点から電着塗装が好ましい。電着塗装とは、塗料と被塗物にそれぞれ異なる電極の静電気を負わせて、水性塗料中に被塗物を入れて、電気泳動によって被塗物に電着させて電着塗膜層を形成させる塗装方法である。塗料としては、導電性の水溶液又はエマルジョンであり、アニオン電着塗料とカチオン電着塗料の2種類がある。電着塗装に紫外線硬化型塗料を使用した場合、電着させた後、紫外線を照射することにより硬化させてもよい。例えば、紫外線硬化型塗料用の組成物としては、特開平5−263026号公報、特開2010−47692号公報に記載されるような、(メタ)アクリレートが紫外線によってラジカル重合して硬化してなるアクリル系樹脂を使用することができる。また、電着塗装に加熱硬化型塗料を使用してもよい。
無機系保護層の形成に用いられる無機材料として、透明性又は半透明性の金属酸化物、例えば酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等が挙げられる。無機系保護層の形成に用いられる塗膜方法としては、公知の方法を無機材料の種類等により適宜選択することができる。具体的には、例えばゾルゲル法、水熱合成法、物理蒸着法、CVD法、化学溶液析出法、電解析出法等が挙げられる。これらの塗膜方法のより具体的な操作方法としては、公知の方法を適宜採用することができる。
銀白色金属めっき層上の保護層の厚みは、保護機能を発揮することができ、保護層の上面側から視認したときに、銀白色金属めっき層の意匠が透けて視認できる程度の厚みであれば、特に限定されない。保護層として樹脂系の保護層が用いられる場合、保護層の厚みの下限は、好ましくは5μm以上、より好ましくは6μm以上、さらに好ましくは7μm以上である。5μm以上の場合、下地に対する保護機能等をより向上させることができる。一方、保護層の厚みの上限は、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。30μm以下の場合、生産性の向上、例えば生産コストの低減をより図ることができ、視認性をより向上させることができる。
銀白色金属めっき層の表面上に保護層を形成する場合、銀白色金属めっき層を形成した後、その表面上に酸化被膜が形成される前に保護層を形成することが好ましい。又は、保護層を形成する前にアルカリ化成処理を行うことが好ましい。酸化被膜が形成される前に保護層を形成したり、アルカリ化成処理することにより、保護層と銀白色金属めっき層との密着性をより向上させることができる。アルカリ化成処理は、例えば公知のアルカリ性脱脂洗浄剤を使用することができる。アルカリ性脱脂洗浄剤としては、電解洗浄剤及び浸漬用の脱脂洗浄剤のいずれも使用することができる。これらの脱脂洗浄剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの脱脂洗浄剤の中で、洗浄性に優れる観点から電解洗浄剤が好ましく用いられる。洗浄条件は、洗浄剤の組成、表面活性化(親水化)、及び銀白色金属めっき層の白化抑制の観点から適宜設定することができる。
電解洗浄剤として、例えばリン酸塩、炭酸塩、キレート剤、界面活性剤、又は苛性ソーダ等を含有し、pH11〜12のアルカリ性の電解洗浄液を使用することができる。かかる電解洗浄液が用いられる場合、装飾部品を浸漬した後、例えば30〜60℃、30〜120秒、3〜8A/dmの条件を採用することができる。また、浸漬用の脱脂洗浄剤が用いられる場合、装飾部品を浸漬した後、例えば30〜60℃、1〜7分の浸漬条件を採用することができる。
次に、上記のように構成された本実施形態の装飾部品の作用を以下に説明する。
本実施形態の装飾部品は、基材と、該基材上に積層されたCuめっき層と、該Cuめっき層に直接積層された銀白色金属めっき層とを有する。基材上に積層されたCuめっき層は、優れた延性作用を発揮する。したがって、基材に対する金属めっきとの線膨張係数の差による応力を緩和させ、各層間の密着性及び耐久性をより向上させることができる。また、Cuめっき膜は、めっき浴中にレベリング剤、促進剤、抑制剤等の公知の添加剤を配合することにより、面精度をより向上させ、装飾部品の外観特性をより向上させることができる。
Cuめっき層に直接銀白色金属めっき層を積層させることにより、優れた外観特性、特にうねりや表面粗さを抑制し、優れた面精度を得ることができる。銀白色金属めっき層により、特に光沢Niめっき層に積層されたCrめっき層に近似した金属様外観を得ることができる。
銀白色金属めっき層上に保護層を形成した場合、装飾部品表面の耐久性、例えば耐食性、耐薬品性、耐擦傷性等をより向上させることができる。また、保護層は、透明又は半透明であるため、顔料や染料等の着色剤等の添加により、銀白色金属めっき層による金属様外観に容易に色調を付与することができる。
銀白色金属めっき層を形成した後、その表面上に酸化被膜が形成される前に保護層を形成することにより、銀白色金属めっき層上に形成される保護層、特に電着塗装により形成される保護層との密着性をより向上させることができる。それにより、保護層の外観特性をより向上させることができる。
同様に、銀白色金属めっき層の表面上にアルカリ化成処理をした後、保護層を形成することにより、銀白色金属めっき層上に形成される保護層、特に電着塗装により形成される保護層との密着性をより向上させることができる。つまり、アルカリ化成処理により、例えば長期保存した場合に形成される銀白色金属めっき層上の酸化被膜を除去し、銀白色金属めっき層の表面が活性化(親水化)される。銀白色金属めっき層と保護層との密着性の改善により、保護層の外観特性をより向上させることができる。
本実施形態の装飾部品によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の装飾部品は、基材と、該基材上に積層されたCuめっき層と、該Cuめっき層に直接積層された銀白色金属めっき層とを有する。この構成によれば、装飾部品のめっき工程の簡略化等により、生産性を向上できる。例えば、めっき処理時間の短縮化、生産コストの低減等が期待される。また、所定のめっき層構造を有することにより、優れた外観特性及び機能性を付与することができる。
(2)本実施形態の装飾部品は、さらに、前記銀白色金属めっき層の上に透明又は半透明の保護層を形成してもよい。この構成によれば、装飾部品表面の保護機能、例えば耐食性、耐薬品性、耐擦傷性等をより向上できる。また、装飾部品表面の意匠性をより向上することができる。
(3)本実施形態の装飾部品は、さらに、銀白色金属めっき層の表面上に保護層を形成する場合、銀白色金属めっき層を形成した後、その表面上に酸化被膜が形成される前に保護層を形成することが好ましい。又は、保護層を形成する前にアルカリ化成処理を行うことが好ましい。それにより、銀白色金属めっき層上に形成される保護層との密着性をより向上させ、保護膜の外観特性をより向上させることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の装飾部品の形状や用途は、特に限定されず、車両用の内装又は外装部品、電気・電子部品、日用品等の分野に適宜採用することができる。
・上記実施形態において、基材に電気めっき処理を施す際、前処理として無電解Ni,Cuめっき処理を施したが、かかるめっき処理以外の方法を用いてもよい。
・上記実施形態において、各めっき処理の温度及び時間は、基材の種類、生産性等を考慮し、適宜設定することができる。
・上記実施形態において、Cuめっき処理後に、Sn又はSn合金めっき層を形成する場合、Cuめっき表面を水洗及び酸洗いしてもよく、生産性向上の観点から水洗のみ行ってもよい。
・上記実施形態の表面処理後の装飾部品の表面色は、例えば光沢Niめっき層上に積層したCrめっき層によって得られるような金属様外観であれば、特に限定されず、例えば艶消し、黒色艶消し等であってもよい。
・上記実施形態において、アルカリ化成処理を行う場合、アルカリ化成処理を行った後、保護層を形成する前に、酸中和、水洗浄処理を行ってもよい。
上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)前記装飾部品は、車両用の内外装部品に適用される前記装飾部品。
(ロ)前記Sn合金は、Sn−Co合金である前記装飾部品。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施形態を更に具体的に説明する。尚、本発明の構成は、各実施例の構成に限定されない。
<試験例1:めっき処理された装飾部品の外観特性及び機能性の評価試験>
下記表1に開示される所定の膜厚を有するめっき層からなる各例の装飾部品を下記に示される方法に従い作成し、外観特性及び機能性について評価した。
(実施例1)
ABS樹脂製の基材を準備し、樹脂基材の導電性を確保するべく、まず樹脂基材表面を前処理した。前処理は、ABS樹脂基材をクロム酸に浸漬してエッチング処理し、エッチング処理後の表面にPd−Snの金属錯体を付与して活性化後、無電解Niめっき処理を行なうことにより、ABS樹脂基材表面にNi塗膜を形成して導電体とした。
次に、前処理により導電性が付与されたABS樹脂の表面にCuめっき層を形成した。Cuめっき処理は、導電性ABS樹脂基材をCuめっき浴中に浸すことにより形成した。Cuめっき浴としては、市販品を使用することができ、例えば硫酸銅及び硫酸を主成分とした硫酸銅めっき浴を使用することができる。めっき浴の温度は、20〜50℃、電流密度は1〜30A/dmを採用することができる。
次に、表面を水洗した後、Cuめっき層上にSn−Coめっき層を形成した。Sn−Coめっき処理は、Sn−Coめっき浴中に浸すことにより形成した。Sn−Coめっき浴としては、市販品を使用することができ、例えばフッ化第一スズ、酸性フッ化ナトリウム、塩化コバルト等を主成分としたSnCoめっき浴を使用することができる。めっき浴の温度は、50〜70℃、電流密度は1〜3A/dmの条件を採用することができる。
(実施例2)
ABS樹脂製の基材の表面にCuめっき層及びCrめっき層を順に積層した。基材上のCuめっき層は、実施例1と同様の方法を用いて形成した。
Crめっき処理は、サージェント浴にて行った。Crめっき浴としては、市販品を使用することができ、例えば無水クロム酸200〜300g/L、硫酸2〜3g/L等を含有するめっき浴を使用した。めっき浴の温度としては、40〜55℃、電流密度10〜60A/dmの条件を採用した。
(実施例3)
ABS樹脂製の基材の表面にCuめっき層及びSn−Niめっき層を順に積層した。基材上のCuめっき層は、実施例1と同様の方法を用いて形成した。
Sn−Niめっき層は、市販品を使用することができ、例えばNiを5〜15g/L、Snを5〜15g/L等を含有するピロリン酸塩浴を使用した。めっき浴の温度としては、40〜60℃、電流密度は、0.1〜2A/dmの条件を採用した。
(比較例1)
ABS樹脂製の基材の表面にSnめっき層及び光沢Niめっき層を順に積層した。
Snめっき処理は、実施例1と同様の方法により得られた導電性ABS樹脂基材を、Snめっき浴中に浸すことにより形成した。Snめっき浴としては、市販品を使用し、硫酸第一スズ20〜40g/L、硫酸100〜200g/L、ホルムアルデヒド、光沢剤等を含有する硫酸スズめっき浴を使用した。めっき浴の温度は、10〜20℃、電流密度は1〜5A/dmの条件を採用した。
光沢Niめっき処理は、ワット浴にて行った。光沢剤として、アルケンスルホン酸塩光沢剤(荏原製作所製、ハイブライト♯88)を使用した。光沢Niめっき浴としては、市販品を使用し、硫酸ニッケル250〜300g/L、塩化ニッケル40〜60g/L、ホウ酸40〜50g/L、湿潤剤等を含有し、pH3.8〜4.6のめっき浴を使用した。めっき浴の温度としては、50〜60℃、電流密度1.0〜6.0A/dmの条件を採用した。
(比較例2)
ABS樹脂製の基材の表面にCuめっき層及び光沢Niめっき層を順に積層した。Cuめっき層は、実施例1と同様の方法を用いて形成した。光沢Niめっき層は、比較例1と同様の方法を用いて形成した。
(比較例3)
ABS樹脂製の基材の表面に光沢Niめっき層及びSn−Coめっき層を順に積層した。光沢Niめっき層は、実施例1と同様の方法により得られた導電性ABS樹脂基材上に、比較例1と同様の方法を用いて形成した。Sn−Coめっき層は、実施例1と同様の方法を用いて形成した。
(比較例4)
ABS樹脂製の基材の表面にCuめっき層及びCrめっき層を順に積層した。Cuめっき層は、実施例1と同様の方法を用いて形成した。Crめっき層は、実施例2と同様の方法を用いて形成した。
(比較例5)
ABS樹脂製の基材の表面にSnめっき層及びCrめっき層を順に積層した。Snめっき層は、比較例1と同様の方法を用いて形成した。Crめっき層は、実施例2と同様の方法を用いて形成した。
(比較例6)
ABS樹脂製の基材の表面にSnめっき層を形成した。Snめっき処理は、比較例1と同様の方法を用いて形成した。
(比較例7)
ABS樹脂製の基材の表面に光沢Niめっき層を形成した。光沢Niめっき処理は、実施例1と同様の方法により得られた導電性ABS樹脂基材上に、比較例1と同様の方法を用いて形成した。
(比較例8)
ABS樹脂製の基材の表面にCuめっき層を形成した。Cuめっき層の形成方法は、実施例1と同様の方法を用いて形成した。
(評価)
上記のように得られた各例の装飾部品について、下記の基準に従い、外観特性(光沢外観、色調、面精度)、機能性(耐チッピング性)について評価した。結果を表1に示す。また、面精度の結果を図1に示す。
(1)光沢外観
装飾部品の外観について、標準光源下において評価者が目視にて下記基準に従い、評価した。
○:光沢性に優れ、実用性が高い場合。
△:やや光沢性に劣り、実用下限レベルの場合。
×:光沢がなく、実用性が低い場合。
(2)色調
実施例1の装飾部品について、分光型色差計を用い、L、a、b値のそれぞれの値を測定した。
(3)面精度
面精度としての表面粗さ及びうねりは、触針式粗さ測定器(小坂研究所製SHS−4500)を用い、まず断面曲線を求め、カットオフ値0.025μm(λc)及び0.2μm(λf)として粗さ曲線及びうねり曲線をそれぞれ求めた。各曲線より、算術平均粗さ(Ra)(μm)及び算術平均うねり(W)(μm)をそれぞれ求めた。
(4)耐チッピング性
飛石試験機(型式:飛石試験機、スガ試験機社製)を用いて、部材を5cm×10cmに切断した試験板の塗膜上に、砕石6号100gを衝突角度90°及び圧力0.4MPaで衝突させた。その際、最表めっき層を貫通し、下地に到達した傷の数を数えた。評価基準は次のとおりである。
○:下地面まで届いた傷の数が10個以下であり、実用性が高い場合。
△:下地面まで届いた傷の数が10個を超え、且つ50個以下の範囲内であり、実用下限レベルの場合。
×:下地面まで届いた傷の数が50個を超え、実用性が低い場合。
表1に示されるように、各実施例の構成においては、優れた光沢外観及び耐チッピング性を有することが確認された。また、各実施例の構成においては、表面粗さ(Ra)が0.015μm以下であって、うねり(W)が0.060μm以下であるため、優れた面精度を有することが確認された。また、実施例1の構成においては、L値が80以上、a値及びb値がともにほぼ0となり、従来の光沢Niめっき層に積層されたCrめっき層に近似した色調となることが確認された。尚、比較例6〜8は、耐チッピング性の評価が低い結果となった。
<試験例2:めっき層上にさらに保護層が形成された装飾部品の耐久性等の評価試験>
ABS樹脂上にCuめっき層及び銀白色金属めっき層を形成した後、さらにアルカリ化成処理を行い、その上に保護層を形成した装飾部品について耐久性等について評価した。
(実施例4)
ABS樹脂製の基材の表面にCuめっき層及びSn−Coめっき層を順に積層した実施例1の構成において、さらに保護層を形成するために電着塗装処理を行った。
まず、実施例1の装飾部品のSn−Coめっき層上を水洗した後、アルカリ系の脱脂洗浄剤を使用し、アルカリ化成処理を行った。脱脂洗浄剤としては、例えば、リン酸塩、炭酸塩、キレート剤、界面活性剤、又は苛性ソーダ等を含有し、pH11〜12のアルカリ性の電解洗浄液を使用することができる。電解洗浄液に装飾部品を浸漬した後、30〜60℃、30〜120秒、3〜8A/dmの条件で脱脂処理することができる。脱脂処理した後、硫酸等の無機酸を使用し、酸中和した後、シャワー水洗し、純水を用いて浸漬洗浄した後、電着塗装処理を行った。
電着塗装の樹脂塗料としては、市販品を使用することができる。例えば、(メタ)アクリロイル基を含有する紫外線硬化性(メタ)アクリル樹脂と、イソシアネート含有アクリル誘導体(多官能(メタ)アクリレート)、及び光重合開始剤等を塗膜形成成分として含有する電着塗料組成物を使用した。電着塗装の条件としては、液温25℃、塗装時間1分を採用した。電着塗装処理後、UV乾燥機(80W2灯、メタルハライドランプ、距離20cm)で1分間照射し、被膜を硬化させ、15μmの樹脂層を形成することにより、実施例4の装飾部品を得た。
(参考例1)
実施例1と同様に、ABS樹脂製の基材の表面にCuめっき層及びSn−Coめっき層を順に積層した後、1週間放置した。次に、アルカリ化成処理を行うことなく、実施例4と同様の方法により、電着塗装処理を行い、参考例1の装飾部品を得た。
(評価)
保護層として電着塗装処理を行った実施例4及び参考例1の各装飾部品について、下記の基準に従い、外観特性について評価した。また、比較例として、試験例1で使用した上層にSn−Co層を形成した比較例3の装飾部品を使用した。実施例4と比較例3の各装飾部品について、下記の基準に従い、耐アルカリ性、耐酸性、及び耐つめ傷性の各耐久性について評価した。結果を表2に示す。
(1)外観特性
電着塗装処理された装飾部品の外観について、標準光源下において評価者が目視にて下記基準に従い、評価した。
○:電着不良が全くなく、実用性が高い場合。
△:僅かな電着不良があり、実用下限レベルの場合。
×:電着不良があり、実用性が低い場合。
(2)耐アルカリ性
装飾部品の表面に0.1Nの水酸化ナトリウムをスポットし、55℃で4時間放置した後の表面の変色について評価した。試験前後の装飾部品表面の色彩(Lab色度)を分光型色差計を用いて測定し、試験前後のLab色度の値から、試験の前後におけるLab色度変化(ΔE)を求めた。
○:ΔEが1.5以下の場合。
×:ΔEが1.5を超える場合。
(3)耐酸性
装飾部品の表面に0.1Nの硫酸をスポットし、室温(25℃)で24時間放置した後の表面の変色について評価した。試験前後の装飾部品表面の色彩(Lab色度)を分光型色差計を用いて測定し、試験前後のLab色度の値から、試験の前後におけるLab色度変化(ΔE)を求め、下記基準に従い、評価した。
○:ΔEが1.5以下の場合。
×:ΔEが1.5を超える場合。
(4)耐つめ傷性
固体粒子を衝突させるサンドエロージョン試験装置を用いて、所定形状に切断した試験板の塗膜上に、日本工業規格JIS−R6001においてF−54に区分される粒度を有するガラスビーズを21.6Nで50回衝突させた。試験前後の装飾部品表面の衝突面における明度(L値)を分光型色差計を用いて測定し、試験前後の明度(L値)から、試験の前後における明度差(ΔL)を求め、下記基準に従い、評価した。
○:ΔLが1以下の場合。
×:ΔLが1を超える場合。
表2に示されるように、Sn−Coめっき層上に電着塗装処理した実施例4は、耐久性がより向上していることが確認された。また、電着塗装前にアルカリ化成処理を行うことにより、電着塗装の外観特性がより向上することが確認された。

Claims (5)

  1. 基材と、
    該基材上に積層されたCuめっき層と、
    該Cuめっき層に直接積層された銀白色金属めっき層と、を有し、
    表面粗さ(Ra)が0.015μm以下であって、うねり(W)が0.060μm以下である装飾部品。
  2. さらに、前記銀白色金属めっき層の上に透明又は半透明の保護層を形成した請求項1に記載の装飾部品。
  3. 前記透明又は半透明の保護層を形成する前に、アルカリ化成処理が行われている請求項2に記載の装飾部品。
  4. 前記銀白色金属めっき層は、Sn又はSn合金めっき層であって、
    前記Cuめっき層の膜厚は、5〜30μmである請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装飾部品。
  5. 前記銀白色金属めっき層は、Crめっき層であって、
    前記Cuめっき層の膜厚は、15〜30μmである請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装飾部品。
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