JP2016074156A - モールドの製造方法、モールド及び重合体層形成用組成物 - Google Patents

モールドの製造方法、モールド及び重合体層形成用組成物 Download PDF

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英之 松本
川島 直之
Naoyuki Kawashima
直之 川島
光弘 和田
Mitsuhiro Wada
光弘 和田
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Abstract

【課題】離型性、耐久性及び耐溶媒性が良好なモールドを提供する。
【解決手段】第1の官能基を有する化合物(A)を含有する重合体層形成用組成物を基板上に塗布して重合体層11を形成する工程と、第1の官能基と反応して化学結合を形成し得る第2の官能基を有する化合物(B)を含有する離型剤(D)を重合体層11の表面に塗布し、第1の官能基と第2の官能基とを反応させる工程と、を含む方法によりモールド10を製造する。特に、第1の官能基及び第2の官能基の一方を、イソ(チオ)シアネート基及び保護イソ(チオ)シアネート基よりなる群から選ばれる少なくとも一種とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、モールドの製造方法、モールド及び重合体層形成用組成物に関する。
従来、凹凸のパターンが形成された金型(モールド)を用いて、樹脂等の表面にパターンを形成する技術が知られている。例えばナノインプリント法は、凹凸のパターンが形成されたモールドを、基板上に形成したパターン被転写層としての樹脂に押し付け、この樹脂にモールドのパターンを転写することによって微細パターンを形成する技術である。このナノインプリント法によれば、微細パターンを低コストでかつ簡便に形成可能であり、近年、さまざまな分野への応用が期待されている。
モールドのパターン形成面は、樹脂との剥離性を向上させるために通常、離型剤によって処理されている。ところが、離型剤がモールド本体に十分に定着していないと、モールドを繰り返し使用するうちに離型剤が剥がれてしまい、パターン形成能が低下するおそれがある。そこで従来、モールド本体への離型剤の定着性を向上させる技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、樹脂製モールドにおける樹脂層が、溶媒可溶性樹脂と、離型剤と結合可能な置換基A及び溶媒可溶性樹脂と相溶性を有する置換基Bを有し、かつ溶媒可溶性樹脂に対するブリード性を有する添加剤と、を含み、この添加剤を樹脂層表面近傍に偏在させて、置換基Aが離型剤と化学結合して樹脂層と離型層とを接合させることが開示されている。
特許第5292622号公報
モールドは、ケイ素やニッケル、石英等を材料として例えばフォトリソグラフィー技術により形成された高価なマスターモールドから、ナノインプリント技術を用いて、例えば樹脂製のレプリカモールドが大量に複製される。そして、このレプリカモールドを用いて、例えばレジストなどの樹脂へのパターン転写が繰り返し行われる。したがって、レプリカモールドとしては、繰り返しの使用(例えば数十回〜数百回の使用)にも耐え得る耐久性の高いものが求められる。また、パターン転写時において、レプリカモールドはパターン被転写層に残存する有機溶媒に接触するため、耐溶媒性が高いことも要求される。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、離型性、耐久性及び耐溶媒性が良好なモールドを提供することを一つの目的とする。
本発明者らは、上記のような従来技術の課題を達成するべく鋭意検討した結果、重合体層と離型層とを特定の結合基で化学結合させることにより、上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明により以下のモールドの製造方法、モールド及び重合体層形成用組成物が提供される。
本発明は一つの側面において、表面上に凹凸形状を有する重合体層と、前記重合体層の表面上に形成された離型層とを備えるモールドの製造方法であって、第1の官能基を有する化合物(A)を含有する重合体層形成用組成物を、基板上に塗布して前記重合体層を形成する工程と、前記第1の官能基と反応して化学結合を形成し得る第2の官能基を有する化合物(B)を含有する離型剤(D)を前記重合体層の表面に塗布し、前記第1の官能基と前記第2の官能基とを反応させる工程と、を含み、前記第1の官能基及び前記第2の官能基の一方が、イソ(チオ)シアネート基及び保護イソ(チオ)シアネート基よりなる群から選ばれる少なくとも一種であるモールドの製造方法を提供する。
また、別の一つの側面において、表面上に凹凸形状を有する重合体層と、前記重合体層の表面上に形成された離型層とを備えるモールドであって、前記重合体層は、第1の官能基を有する化合物(A)を含み、前記離型層は、前記第1の官能基と反応して化学結合を形成し得る第2の官能基を有する化合物(B)を含み、前記第1の官能基及び前記第2の官能基の一方が、イソ(チオ)シアネート基及び保護イソ(チオ)シアネート基よりなる群から選ばれる少なくとも一種であり、前記重合体層と前記離型層との境界部において、前記第1の官能基と前記第2の官能基とが反応して結合基を形成しているモールドを提供する。
また、別の一つの側面において、モールドの重合体層を形成するための重合体層形成用組成物であって、イソ(チオ)シアネート基及び保護イソ(チオ)シアネート基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する化合物(A)を含有する重合体層形成用組成物を提供する。
重合体層に含まれる成分が有する第1の官能基と、離型層に含まれる成分が有する第2の官能基とを化学結合によって結合させることにより、離型層を重合体層から剥がれにくくすることができる。特にイソ(チオ)シアネート基の反応効率の高さを利用することで、離型性、耐久性及び耐溶媒性が良好なモールドを得ることができる。こうしたモールドは繰り返し使用しても損傷しにくく、コストの観点からも好適である。
インプリント用モールドの概略構成を示す図。 インプリント用モールドの製造工程を示す図。 インプリント用モールドの作製に使用した治具の概略構成を示す図。
以下、本発明に係るモールドについて説明する。図1に示すように、本発明に係るモールド10は、表面上に凹凸形状を有する重合体層11と、重合体層11の表面上に形成された離型層12とを備えている。なお、重合体層11がモールド本体を構成している。モールド10は、下記の工程[1]及び工程[2];
[1]第1の官能基を有する化合物(A)を含有する重合体層形成用組成物を、基板13上に塗布して重合体層11を形成する工程
[2]第1の官能基と反応して化学結合を形成し得る第2の官能基を有する化合物(B)を含有する離型剤(D)を重合体層11の表面に塗布し、第1の官能基と第2の官能基とを反応させる工程、を含む方法により製造される。
なお、本明細書において「イソ(チオ)シアネート」は、「イソシアネート」及び「イソチオシアネート」を含む意味ある。
<重合体層形成用組成物>
重合体層形成用組成物は、化合物(A)を含有するとともに、必要に応じてその他の成分を含有する。
[化合物(A)]
化合物(A)は第1の官能基を有する。第1の官能基は、離型剤(D)が有する第2の官能基と反応して化学結合を形成し得る基であり、第2の官能基に応じて異なる。具体的には、第1の官能基及び第2の官能基の一方は、イソ(チオ)シアネート基及び保護イソ(チオ)シアネート基よりなる群から選ばれる少なくとも一種であり、下記の2つの態様が挙げられる。
(1)第1の官能基が、イソ(チオ)シアネート基及び保護イソ(チオ)シアネート基よりなる群から選ばれる少なくとも一種であり、第2の官能基が、イソ(チオ)シアネート基と反応して化学結合を形成し得る基である態様。
(2)第1の官能基が、イソ(チオ)シアネート基と反応して化学結合を形成し得る基であり、第2の官能基が、イソ(チオ)シアネート基及び保護イソ(チオ)シアネート基よりなる群から選ばれる少なくとも一種である態様。
これらのうち、離型剤(D)の選択の幅が広い点で、(1)の態様であることが好ましい。
第1の官能基における保護イソ(チオ)シアネート基は、常温ではイソ(チオ)シアネート基を不活性とし、加熱によってイソ(チオ)シアネート基を再生する性質を有する基であれば特に制限されない。こうした保護イソ(チオ)シアネート基としては、イソ(チオ)シアネート基と、活性水素を有する化合物(ブロック剤)とを反応させて得られる基などが挙げられる。なお、「活性水素」とは、脱離性が高い水素原子を意味し、好ましくは、水中の酸解離定数pKaが20以下のものを指す。
ブロック剤としては公知のものを使用することができ、例えば、アルコール系化合物、フェノール系化合物、活性メチレン系化合物、メルカプタン系化合物、酸アミド系化合物、酸イミド系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、尿素系化合物、オキシム系化合物、アミン系化合物、イミン系化合物、ピリジン系化合物等が挙げられる。これらの具体例としては、アルコール系化合物として、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、メチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、メチルカルビトール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等を;
フェノール系化合物として、例えばフェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステル等を;
活性メチレン系化合物として、例えばマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等を;メルカプタン系化合物として、例えばブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等を;酸アミド系化合物として、例えばアセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等を;酸イミド系化合物として、例えばコハク酸イミド、マレイン酸イミド等を;
イミダゾール系化合物として、例えばイミダゾール、2−メチルイミダゾール等を;ピラゾール系化合物として、例えば3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3,5−エチルピラゾール等を;尿素系化合物として、例えば尿素、チオ尿素、エチレン尿素等を;
オキシム系化合物として、例えばホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等を;アミン系化合物として、例えばジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール等を;イミン系化合物として、例えばエチレンイミン、ポリエチレンイミン等を;ピリジン系化合物として、例えば2−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシキノリン等を、それぞれ挙げることができる。
化合物(A)は第1の官能基を有していれば特に制限されず、例えば光又は熱により硬化する硬化成分であってもよく、あるいは硬化成分とは別に配合される添加剤であってもよい。化合物(A)は、これらのうち硬化成分であることが好ましく、具体的には、(i)第1の官能基を有する重合体(以下「特定重合体」ともいう。)であるか、又は(ii)第1の官能基及び重合性基を有し、かつ重合性基が反応して重合体を形成し得る単量体(以下「特定単量体」ともいう。)であることが好ましい。また、モールドの耐久性や離型性、使いやすさ等の観点からすると、(i)の態様であることがより好ましい。
・化合物(A)が特定単量体の場合
重合体層形成用組成物の調製に使用する特定単量体は、第1の官能基及び重合性基を有していれば特に制限されない。重合性基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、エポキシ基、マレイミド基、アリル基等が挙げられ、中でも、透明性や材料強度、反応性の観点から(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
こうした特定単量体の具体例としては、(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート化合物として、例えば2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、1,1−(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、商品名で「カレンズMOI−EG」(昭和電工(株)製)などを;
(メタ)アクリロイル基を有するイソ(チオ)シアネート化合物のブロック体として、例えば2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルなどを、それぞれ挙げることができる。なお、本明細書における「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」を含む意味である。特定単量体は、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
・化合物(A)が特定重合体の場合
重合体層形成用組成物の調製に使用する特定重合体は、第1の官能基を有していればよいが、透明性や材料強度の観点から、中でも(メタ)アクリル系重合体を好ましく使用することができる。なお、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」を含む意味である。
特定重合体は、例えば上記特定単量体をモノマー組成に含む重合によって得ることができる。なお、特定重合体の合成に使用する特定単量体の具体例については、化合物(A)が特定単量体である場合の例示を適用できる。特定重合体の合成に際しては、特定単量体として上記例示の化合物の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
特定重合体の合成に際しては、特定単量体のみを使用してもよいが、その他の単量体を併用してもよい。当該その他の単量体は特に制限されないが、例えば特定重合体の主骨格が(メタ)アクリル系重合体からなる場合、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;ベンジル(メタ)アクリレート等のアリール(メタ)アクリレート類;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシ(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等のエーテル系(メタ)アクリレート類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコール系(メタ)アクリレート類、などの単官能(メタ)アクリレート;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;などが挙げられる。なお、その他の単量体としては、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
特定重合体の合成に使用する特定単量体は、重合体層11に対する離型層12の定着性を良好にする観点から、合成に使用する単量体の全体量に対して、5重量%以上とすることが好ましく、10重量%以上とすることがより好ましく、15重量%以上とすることが更に好ましい。また、特定単量体の使用割合の上限は特に制限されず、合成に使用する単量体の全体量に対して100重量%以下の範囲で任意に設定することができる。好ましくは、97重量%以下であり、より好ましくは90重量%以下である。
上記重合反応は公知の方法に従って行うことができる。例えば特定重合体が(メタ)アクリル系重合体の場合、重合開始剤を用いた(メタ)アクリル系単量体のラジカル重合により合成する方法等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(イソブチレート)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1’−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物;過酸化水素;これらの過酸化物と還元剤とからなるレドックス型開始剤等が挙げられる。これらの中でもアゾ化合物が好ましい。重合開始剤の使用割合は、反応に使用する単量体の合計量100重量部に対して、0.01〜40重量部とすることが好ましく、0.1〜30重量部とすることがより好ましい。
(メタ)アクリル系単量体の重合反応は、好ましくは有機溶媒中で行われる。反応に使用する有機溶媒としては、例えばエーテル、ケトン、アミド、エステル、炭化水素化合物などが挙げられる。これらの中でも、エーテル、ケトン及びエステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種を使用することが好ましく、例えばジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、メチルアミルケトンなどが挙げられる。なお、有機溶媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(メタ)アクリル系単量体の重合反応において、反応温度は30℃〜120℃とすることが好ましく、60〜110℃とすることがより好ましい。反応時間は、1〜36時間とすることが好ましく、2〜24時間とすることがより好ましい。また、有機溶媒の使用量(a)は、反応に使用する単量体の合計量(b)が、反応溶液の全体量(a+b)に対して、1〜60重量%になるような量にすることが好ましく、5〜50重量%になるような量にすることがより好ましい。
以上のようにして、特定重合体を溶解してなる反応溶液が得られる。特定重合体について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、500〜300,000であることが好ましい。モールド製造時の成形しやすさの観点からすると、光インプリントにより製造する場合、1,000〜120,000であることがより好ましく、1,500〜50,000であることが更に好ましく、2,000〜10,000であることが更により好ましく、2,000〜8,000であることが特に好ましい。また、熱インプリントにより製造する場合、1,000〜200,000であることがより好ましく、2,000〜150,000であることが更に好ましく、3,000〜120,000であることが特に好ましい。
光インプリント又は熱インプリントによりモールドを作製する場合、重合体層形成用組成物に配合する特定重合体は架橋性基を側鎖に有することが好ましい。これにより、モールド製造時の光照射又は加熱により架橋が形成され、モールドの耐久性及び耐溶媒性を改善することができ好適である。架橋性基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニル基、マレイミド基、アリル基等が挙げられ、中でも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
架橋性基を側鎖に有する特定重合体は公知の方法に従って合成することができる。その具体例としては、例えば(1)特定重合体が有するイソ(チオ)シアネート基と、活性水素及び架橋性基を有する化合物とを反応させる方法、(2)活性水素を有する特定重合体を合成し、次いで、得られた重合体と、イソ(チオ)シアネート基及び架橋性基を有する化合物とを反応させる方法、などが挙げられる。
上記(1)の方法で使用する「活性水素及び架橋性基を有する化合物」としては、例えば水酸基含有化合物、チオール基含有化合物、アミノ基含有化合物などが挙げられる。汎用性の観点からすると水酸基含有化合物が好ましく、具体的には、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。活性水素及び架橋性基を有する化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記方法(2)で使用する「活性水素を有する特定重合体」としては、例えば水酸基、アミノ基及びチオール基の少なくともいずれかの官能基を有する特定重合体などが挙げられる。これらの中でも、水酸基を有する特定重合体を好ましく使用することができる。なお、水酸基、アミノ基及びチオール基の少なくともいずれかの官能基を有する特定重合体は、例えば上記特定重合体の合成に際し、その他の単量体として、当該官能基及び重合性基を有する化合物をモノマーの少なくとも一部に用いることによって得ることができる。「イソ(チオ)シアネート基及び架橋性基を有する化合物」としては、特定単量体の説明で例示した(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート化合物などが挙げられる。
上記(1)及び上記(2)の方法の各反応は、必要に応じて触媒の存在下、好ましくは有機溶媒中で行われる。このとき、イソ(チオ)シアネート基1モルに対して、水酸基等が通常0.7〜1.5モルの割合で反応させる。イソ(チオ)シアネート基が過剰であると、イソ(チオ)シアネート基が未反応で残存して空気中の水と反応し、ゲル化する場合があるためである。好ましくは0.9〜1.2モルの割合である。
反応に使用する有機溶媒としては、特定重合体の合成で使用する有機溶媒を挙げることができる。なお、特定重合体を含む反応溶液をそのまま上記(1)の方法及び上記(2)の方法の反応に供してもよい。
反応に使用する触媒としては、例えば有機スズ化合物、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物などが挙げられる。
これらの具体例としては、有機スズ化合物として、例えばジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ジマレート、モノブチル錫メルカプチド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫2−エチルヘキサノエート、ジブチル錫カルボキシレート、ジ−n−オクチル錫マレート、ジオクチル錫ラウレート、ジオクチル錫メルカプト等を;
有機ジルコニウム化合物として、例えばテトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等を;
有機チタン化合物として、例えばテトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(メチルアセトアセテート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン等を、それぞれ挙げることができる。
触媒の使用割合は、特定重合体との反応に使用する架橋性基含有化合物の合計重量に対して、0.1〜10重量%とすることが好ましく、0.5〜5重量%とすることがより好ましい。
特定重合体を溶解してなる反応溶液は、これをそのまま重合体層形成用組成物の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれる特定重合体を単離したうえで重合体層形成用組成物の調製に供してもよく、又は単離した特定重合体を精製したうえで重合体層形成用組成物の調製に供してもよい。特定重合体の単離及び精製は公知の方法に従って行うことができる。
重合体層形成用組成物中における化合物(A)の配合割合は、化合物(A)の種類に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、化合物(A)が特定単量体である場合、化合物(A)の配合割合を、重合体層形成用組成物に配合される固形分(組成物中に含まれる溶媒以外の成分)の合計量100重量部に対して、0.5〜80重量部とすることが好ましく、1〜70重量部とすることがより好ましく、3〜60重量部とすることが更に好ましい。
化合物(A)が特定重合体である場合、化合物(A)の配合割合を、重合体層形成用組成物に配合される固形分の合計量100重量部に対して、10〜99.9重量部とすることが好ましく、15〜99.8重量部とすることがより好ましく、18〜99.5重量部とすることが更に好ましい。
[その他の成分]
本発明に係る重合体層形成用組成物は、本発明の目的や効果を損なわない範囲で、化合物(A)以外のその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えば、重合性基を1個有する化合物(以下「単官能重合性化合物」ともいう。)、重合性基を複数個有する多官能性の化合物(以下「多官能重合性化合物」ともいう。)、イソ(チオ)シアネート基と反応する官能基を複数個有する化合物(以下「多官能反応性化合物」ともいう。)、光重合開始剤等を挙げることができる。
(単官能重合性化合物)
単官能重合性化合物は、化合物(A)が特定単量体の場合には硬化成分の一部として、化合物(A)が特定重合体の場合には組成物の流動性を改善するための希釈成分として使用することができる。かかる単官能重合性化合物としては、上記その他の単量体で例示した単官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、単官能重合性化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
化合物(A)が特定単量体である場合における単官能重合性化合物の配合割合は、過剰量の添加に起因する重合体層と離型層との接着性の低下を抑制する観点から、重合体層形成用組成物中に含まれる硬化成分の合計重量に対して、1〜80重量%とすることが好ましく、1〜70重量%とすることがより好ましく、3〜60重量%とすることが更に好ましい。
また、化合物(A)が特定重合体である場合、単官能重合性化合物の配合割合は、組成物の流動性向上を好適に図りつつ、塗膜の膜厚を十分に確保する観点から、重合体層形成用組成物中に含まれる重合体成分と単官能重合性化合物との合計重量に対して、50重量%以下とすることが好ましく、30重量%以下とすることがより好ましく、20重量%以下とすることが更に好ましい。
(多官能重合性化合物)
多官能重合性化合物は、硬化成分の一部として又は架橋成分として使用することができる。多官能重合性化合物を配合することにより、モールド製造時の光照射によって重合体層に架橋構造を導入可能となり、よってモールドの耐久性及び耐溶媒性を改善できる点で好適である。かかる多官能重合性化合物としては、特定重合体の合成に使用してもよいその他の単量体で例示した多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、多官能重合性化合物としては、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
化合物(A)が特定単量体である場合、多官能重合性化合物の配合割合は、架橋形成を十分に行わせつつ、重合体層と離型層との接着性の低下を抑制する観点から、重合体層形成用組成物中に含まれる硬化成分の合計重量に対して、1〜95重量%とすることが好ましく、3〜90重量%とすることがより好ましく、5〜80重量%とすることが更に好ましい。
化合物(A)が特定重合体である場合、多官能重合性化合物の配合割合は、特定重合体での架橋形成を十分に促進させる観点から、重合体層形成用組成物中に含まれる特定重合体の合計100重量部に対して、200重量部以下とすることが好ましく、150重量部以下とすることがより好ましい。
(多官能反応性化合物)
多官能反応性化合物は、化合物(A)が特定重合体の場合に、特に熱インプリントによりモールドを製造する際の架橋成分として使用することができる。かかる多官能反応性化合物としては、例えばポリオール、多官能アミン化合物、多官能チオール化合物等が挙げられる。これらの具体例としては、ポリオールとして、例えば1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリカプロラクトンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、クオドロール、エチレンオキシド(EO)変性トリメチロールプロパン、プロピレンオキシド(PO)変性トリメチロールプロパン、PO変性グリセリン等を;
多官能アミン化合物として、例えば1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等を;
多官能チオール化合物として、例えば1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、3,7−ジチア−1,9−ノナンジチオール、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジメルカプトベンゼン、1,4−ビス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、イソシアヌル酸、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、チオール基を有する多官能性ポリマー(例えば、商品名で、チオコールLP(登録商標)、ポリチオール(登録商標)(以上、東レ・ファインケミカル(株)製))等を、それぞれ挙げることができる。多官能重合性化合物としては、上記のうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
多官能反応性化合物の配合割合は、架橋形成に伴うモールドの耐久性及び耐溶媒性の向上を十分に図りつつ、過剰な架橋形成に起因する膜収縮を抑制する観点から、重合体層形成用組成物中に含まれる特定重合体の合計重量に対して、1〜50重量%とすることが好ましく、3〜40重量%とすることがより好ましく、5〜30重量%とすることが更に好ましい。
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の照射によってラジカルを発生可能なラジカル重合開始剤を好ましく使用することができる。
かかるラジカル重合開始剤としては、特に制限されるものではなく、従来公知の化合物を使用することができる。具体的には、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、市販品として、商品名でNCI−831、NCI−930(以上、ADEKA製)等が挙げられる。光重合開始剤は、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
光重合開始剤の配合割合は、硬化反応を速やかに行わせるとともに過剰量の添加に起因する硬化性の低下を抑制する観点から、重合体層形成用組成物中に含まれる溶媒以外の成分(固形分)の合計重量に対して、0.1〜10重量%とすることが好ましく、0.5〜8重量%とすることがより好ましく、1〜7重量%とすることが更に好ましい。
その他の成分としては、上記のほか、例えば連鎖移動剤、粒子、界面活性剤、光増感剤、光酸発生剤、重合禁止剤、重合開始助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、着色剤、光塩基性発生剤、塩基性化合物、流動調整剤、消泡剤、密着促進剤、分散剤等を挙げることができる。
[重合体層形成用組成物の調製]
本発明に係る重合体層形成用組成物は、上記化合物(A)及び必要に応じて任意に配合されるその他の成分が、好ましくは有機溶媒中に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。
重合体層形成用組成物の調製に使用する溶剤としては、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル等のエステル類;トルエン、キシレン等の炭化水素類;などを挙げることができる。これらのうち、ケトン類、エーテル類及びエステル類を好ましく使用することができる。溶剤は、上記の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明に係る重合体層形成用組成物における固形分濃度(重合体層形成用組成物の溶媒以外の成分の合計重量が、該組成物の全重量に占める割合)は、粘性及び揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは2〜50重量%の範囲である。固形分濃度が2重量%未満である場合には、基板表面に塗布した塗膜の膜厚が過小となり、適度な高さを有するモールドを得にくくなる。一方、固形分濃度が50重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となり、また組成物の粘性が増大して塗布性に劣る傾向がある。より好ましくは、3〜40重量%の範囲であり、更に好ましくは、4〜30重量%の範囲である。
上記の化合物(A)、及び必要に応じて配合されるその他の成分を混合することにより、本発明に係る重合体層形成用組成物を調製することができる。当該組成物を調製する際の温度は、好ましくは10〜100℃であり、より好ましくは20〜80℃である。
本発明に係る重合体層形成用組成物は、微細パターンを高い精度で形成可能にする目的で、各成分を混合した後にフィルターでろ過することが好ましい。使用するフィルターの孔径は、0.001〜0.1μmとすることが好ましく、0.002〜0.05μmとすることがより好ましい。フィルターの材質は特に限定しないが、好ましい具体例として、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)や超高分子量ポリエチレン(UPE)などのポリエチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ化炭素樹脂、ナイロン6,6などのポリアミド系樹脂等が挙げられる。フィルターによるろ過の回数は、1回でもよいし2回以上であってもよい。さらに循環ろ過を行ってもよい。ろ過を2回以上行う場合、フィルターの孔径を同じとしてもよく、異なる孔径としてもよい。
<離型剤(D)>
重合体層11の表面に塗布する離型剤(D)は、第2の官能基を有する化合物(B)を含有する。第1の官能基がイソ(チオ)シアネート基及び保護イソ(チオ)シアネート基よりなる群から選ばれる少なくとも一種である場合、第2の官能基は活性水素を有する官能基であり、例えば水酸基、チオール基、アミノ基などを好ましい具体例として挙げることができる。化合物(B)としては、フッ素含有化合物、ケイ素含有化合物、ポリエチレン系化合物、ポリプロピレン系化合物、パラフィン系化合物、テトラフルオロエチレン、リン酸エステル系化合物等が挙げられる。これらの中でも、離型性が高い点及び化合物の選択性が高い点で、フッ素含有化合物又はケイ素含有化合物を好ましく使用することができる。
フッ素含有化合物の具体例としては、例えばパーフルオロアルキル基と活性水素を有する官能基とを同一分子中に含有する化合物、活性水素を有する官能基を含有するパーフルオロポリエーテル系化合物等が挙げられ、それらの市販品として、例えば、商品名でCHEMINOXFA−4、CHEMINOXFA−6(以上、ユニマテック(株)製)、Fluorolink D10−H(以上、ソルベイソレクシス製)等が挙げられる。
ケイ素含有化合物としては、ポリシロキサン骨格と活性水素を有する官能基とを同一分子中に含有する化合物などが挙げられ、その市販品として、例えば、商品名でBY10−201、SF8427、SF8428、FZ−2162、SH3773M、BY16−871、BY16−853U、FZ−3705、SF8417、BY16−849、FZ−3785、BY16−849、FZ−3785、BY16−872、BY16−890、BY16−208、BY16−893、FZ−3789、BY16−878、BY16−891、BY16−752、BY16−799(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、KF−393、KF−859、KF−860、KF−861、KF−867、KF−869、KF−880、KF−8002、KF−8004、KF−8005、KF−858、KF−864、KF−865、KF−868、KF−8003、X−22−4015、KF−2001、KF−2004、X−22−170DX(以上、信越化学工業(株)製)、サイラプレーンFM−0411、同FM−0421、同FM−0425、同FM−DA11、同FM−DA21、同FM−DA26、同FM−33111、同FM−3321、同FM−3325、同FM−4411、同FM−4421、同FM−4425(以上、JNC(株)製)等を、それぞれ挙げることができる。
離型剤(D)は市販品をそのまま用いてもよいし、あるいは適当な有機溶媒で希釈して用いてもよい。また、市販品に対し、第1の官能基と第2の官能基との反応を促進する触媒(有機スズ化合物、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物など)を配合して使用してもよい。離型剤(D)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
<モールドの製造>
次に、本発明に係るモールドの製造方法、特にインプリント用モールドの製造方法における各工程について、図2を用いて説明する。
(工程[1];重合体層の形成)
まず、上記で調製した重合体層形成用組成物を基板13の表面に塗布し、基板13上に重合体層11を形成する(図1(a))。ここで基板13としては、例えばポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)等からなるポリマー基板;フロートガラス、ソーダガラス等からなるガラス基板、などの透明基板を用いることができる。
基板13上に重合体層形成用組成物を塗布する方法としては、例えばインクジェット法、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコーター法、エアーナイフコート法、スリットスキャン法、カーテンコート法、ワイヤーバーコード法、グラビアコート法などを挙げることができる。組成物の塗布に際しては、基板表面と塗膜との接着性を更に良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成する面に、例えばUV−オゾン処理、プライマー処理、金属蒸着処理、プラズマアッシングなどの前処理を施しておいてもよい。組成物を基板に塗布した後は、必要に応じて加熱処理を行ってもよい。このときの加熱温度は、好ましくは30〜180℃であり、より好ましくは40〜110℃である。加熱時間は、好ましくは0.5〜15分であり、より好ましくは1〜10分である。加熱後の塗膜(重合体層11)の膜厚は、例えば0.01〜5μmである。
(工程[1−1]:モールドの圧接)
次いで、基板上に塗布した重合体層11の表面にマスターモールド(マスターモールドをインプリント技術により複製したサブマスターモールドを含む。)を圧接し、重合体層11の表面にマスターモールドの凹凸パターンを転写させる。ここで、重合体層11に圧接するマスターモールドとしては光透過性のもの又は光不透過性のものを用いることができ、具体的には、例えばガラス、石英、ニッケル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、環状オレフィン系樹脂、シリコン、ニッケル等により構成されたものが挙げられる。マスターモールドにおける凹凸パターンの形成面には、剥離性を高めるためにシリコーン系やフッ素系などの離型剤によって表面処理が施されていてもよい。マスターモールドが有するパターン形状は特に制限されず、例えばL/S形状、ホール形状、格子形状、ピラー形状、曲折形状等が挙げられる。
マスターモールドを重合体層11に圧接させる際の圧力は、特に制限されないが、通常、0.1〜100MPaであり、0.1〜50MPaとすることが好ましく、0.1〜30MPaとすることがより好ましく、0.1〜20MPaとすることが更に好ましい。圧接時間は、通常、1〜600秒であり、1〜300秒とすることが好ましく、1〜180秒とすることがより好ましく、1〜120秒とすることが更に好ましい。マスターモールドの圧接の際には、重合体層の表面及び内部において気泡が発生することを防止するために真空条件下で行うことが好ましい。
(工程[1−2]:硬化処理)
次いで、基板13上に形成された重合体層11に対して光照射を行うか、又は加熱することにより、重合体層形成用組成物中に含まれる硬化成分を硬化させる。重合体層11に対する光照射又は加熱は、マスターモールドを重合体層11に圧接させた状態で行ってもよいし、重合体層11からマスターモールドを引き離した後に行ってもよい。これらのうち、パターン形成の精度が高い点で、モールドを圧接させた状態で行うことが好ましい。
光インプリントによる場合、照射する光は特に制限されず、例えば可視光線、紫外線、X線、γ線等の電磁波や、α線、β線、陽子線、中性子線等の粒子線、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)等のレーザー光などを用いることができる。重合体層11に対する光照射は、重合体層11の表面の全面に行ってもよく、その一部領域に対して行ってもよい。また、光の照射量としては、好ましくは0.05〜5.0J/cmであり、より好ましくは0.1〜3J/cmである。光照射の際には、気泡の発生防止、酸素の混入に伴う反応性低下の防止のために真空条件下で行ってもよい。また、光照射は、通常、室温で行われるが、反応性を高める等を目的として加熱しながら行ってもよい。また、重合体層形成用組成物が熱硬化性を有する場合には、光照射後において加熱硬化を更に行ってもよい。このときの加熱条件は特に制限されないが、例えば不活性雰囲気下又は減圧下で加熱する。
熱インプリントによる場合の加熱手段としては、例えばホットプレート、オーブン、ファーネス等が挙げられる。加熱温度は、重合体層形成用組成物中に含まれる硬化成分の種類に応じて適宜設定されるが、例えば硬化成分(熱硬化性ポリマー)のガラス転移温度(Tg)以上の温度条件で行うことが好ましい。加熱時間は、通常0.1〜5時間であり、0.15〜2時間とすることが好ましい。
モールドを重合体層11から引き離した後に硬化処理を行った場合には硬化処理の終了に伴い、又はモールドを重合体層11に圧接させた状態で硬化処理を行った場合には、硬化処理の終了後にモールドを重合体層11から引き離すことにより、表層に凹凸パターンを有する重合体層11を得ることができる(図1(b))。なお、熱インプリントの場合には、重合体層11をガラス転移温度以下の温度まで冷却させた後にモールドを重合体層11から引き離すことが好ましい。
(工程[2];離型層の形成)
次いで、凹凸パターンが表層に形成された重合体層11の表面に離型剤(D)を塗布し、離型層12を形成する。重合体層11の表面に離型剤(D)を塗布する方法は特に制限されず、例えばディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコーター法、ロールコーティング法等の方法を用いることができる。
次いで、重合体層11及び離型層12に対して加熱処理を行う。この加熱処理により、重合体層11と離型層12との境界面において、第1の官能基と第2の官能基とが反応して結合基が形成され、離型層12が重合体層11に対して接合される。このときの加熱温度は、40〜200℃とすることが好ましく、60〜180℃とすることがより好ましい。加熱時間は、0.1〜10時間とすることが好ましく、0.2〜5時間とすることがより好ましい。加熱手段としては、熱インプリントの際に使用する加熱手段の説明を適用できる。加熱後における離型層12の厚みは、例えば0.5〜20nmである。加熱処理の終了後は、重合体層11が不溶であって、且つ離形剤(D)を溶解可能な有機溶媒でモールド10の表面を洗浄し、乾燥処理を行うことが好ましい。
このようにして、マスターモールドの複製物であるモールド10を得ることができる(図2(c))。得られたモールド10は、例えば光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を用いて形成した薄膜に対し、ナノインプリント技術によりパターンを形成するためのモールドとして好ましく使用することができる。本発明に係るモールド(好ましくはインプリント用モールド)を用いてパターンが形成された薄膜は種々の用途に適用することができ、例えば反射防止膜、防汚膜、撥水膜、帯電防止膜、犠牲膜などの各種機能を有する薄膜として使用することができる。また、当該薄膜は、例えば電子部品、光学部品、又は包装容器の少なくとも一部を構成する材料として使用することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
以下の実施例及び比較例において、重合体の重量平均分子量(Mw)及びガラス転移温度(Tg)は以下の方法により測定した。
[重合体の重量平均分子量(Mw)]
東ソー(株)製のGPCカラム(G2000HXL2本、G3000HXL1本、G4000HXL1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶剤:テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
[ガラス転移温度(Tg)]
セイコーインスツルメンツ社製の示差走査熱量計「DSC6200」(型式名)を用いて、昇温速度を毎分20℃、窒素気流下で、重合体のガラス転移温度(Tg)を測定した。Tgは、微分示差走査熱量の最大ピーク温度(A点)及び最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求めた。
<重合体の合成>
[合成例1:重合体(AP−1)の合成]
メタクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル[昭和電工(株)製 カレンズMOI−BM] 58.04g、メチルメタクリレート 14.39g、2−イソシアナトエチルメタクリレート[昭和電工(株)製 カレンズMOI]14.87g、及びメチルアミルケトン130.95gを混合して均一に溶解した後、窒素気流下で1時間撹拌した。この溶液に2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)[和光純薬(株)製 V−65]を1.75g加え、80℃で7時間反応させた。反応後、更に90℃まで温度を上げて1時間反応を行った。
上記反応液46.6gに、ジブチルヒドロキシトルエン0.012g及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート3.26gを加え、60℃で均一になるまで撹拌した。この溶液にジオクチルスズラウレート0.083gを添加し3時間反応させることにより、分子内にブロックイソシアネート基とアクリロイル基とを有する重合体(AP−1)を得た。GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は110,000であった。
Figure 2016074156
[合成例2〜6及び合成例10,11]
重合処方、及び重合体の変性反応の処方を下記表1に記載の通りに変更した点以外は合成例1と同様の方法により重合体(AP−2)〜重合体(AP−6)、重合体(RP−1)及び重合体(RP−2)をそれぞれ合成した。得られた各重合体の重量平均分子量を下記表1に併せて示した。
Figure 2016074156
表1中、重合組成におけるモノマー及び重合開始剤の各数値、並びに変性反応における変性剤及び触媒の各数値は「重量部」を示す。表1中の化合物の略称はそれぞれ以下の意味である。
(モノマー)
m−1;メチルメタクリレート
m−2;n−ブチルメタクリレート
m−3;n−ブチルアクリレート
m−4;2−エチルヘキシルアクリレート
m−5;ジシクロペンタニルメタクリレート(FA−513MS、日立化成(株)製)
m−6;2−ヒドロキシエチルメタクリレート
m−7;2−イソシアナトエチルメタクリレート(カレンズMOI、昭和電工(株)製)
m−8;2−イソシアナトエチルアクリレート(カレンズAOI、昭和電工(株)製)
m−9;メタクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(カレンズMOI−BM、昭和電工(株)製)
m−10;2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート(カレンズMOI−BP、昭和電工(株)製)
m−11;グリシジルメタクリレート
(重合開始剤)
r1−1;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬(株)製)
r1−2;ジメチル2,2’−アゾビス(イソブチレート)(V−601、和光純薬(株)製)
(溶媒種)
MAK;メチルアミルケトン
BuOAc;酢酸ブチル
PGMEA;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PhCH3;トルエン
(変性剤)
d−1;2−ヒドロキシエチルメタクリレート
d−2;2−ヒドロキシエチルアクリレート
d−3;4−ヒロドキシブチルアクリレート
d−4;2−イソシアナトエチルメタクリレート
(触媒)
ca−1;ジオクチル錫ラウレート
[合成例7:重合体(AP−7)の合成]
メチルメタクリレート 10.58g、2−イソシアナトエチルメタクリレート[昭和電工(株)製 カレンズMOI]54.64g、ジシクロペンタニルメタクリレート[日立化成(株)製 FA−513MS]54.31g、及び酢酸ブチル179.3gを混合して均一に溶解した後、窒素気流下で1時間撹拌した。この溶液にジメチル2,2’−アゾビス(イソブチレート)[和光純薬(株)製 V−601]を1.2g加え、80℃で反応させた。7時間反応させた後、更に110℃まで温度を上げて1時間反応させることにより、分子内にイソシアネート基を有する重合体(AP−7)を得た。重合体(AP−7)につき、GPCにより測定した重量平均分子量は80,000、ガラス転移温度Tgは70℃であった。
Figure 2016074156
[合成例8,9]
重合処方、及び重合体の変性反応の処方を上記表1に記載の通りに変更した点以外は合成例7と同様の方法により重合体(AP−8)及び重合体(AP−9)をそれぞれ合成した。得られた各重合体の重量平均分子量Mw及びガラス転移温度Tgを上記表1に併せて示した。
<重合体層形成用組成物の調製及び評価>
[実施例1]
(1)重合体層形成用組成物の調製
化合物(A)としてカレンズMOI(昭和電工(株)製) 50重量部、その他の重合性化合物としてメタクリル酸メチル 40重量部、及びビスコート♯300(PETA、大阪有機化学工業(株)製)10重量部、並びに光重合開始剤としてIRGACURE 184(BASF製)3重量部をメチルイソブチルケトンに加え、均一になるまで室温で撹拌して溶解させ、固形分濃度20重量%の溶液とした。得られた溶液を孔径0.2μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過し、重合体層形成用組成物を得た。
(2)モールドの作製
上記(1)で得られた重合体層形成用組成物を、10cm×15cmに切り出したPETフィルム(東洋紡(株)製、コスモシャインA4300)の上に0.5mL塗布し、バーコーターNo3で塗工した。塗工したフィルムを80℃のオーブンで5分間乾燥した。次いで、PETフィルム上に形成した膜に対し、離型剤がコーティングされた石英モールド30(直径1μm、ピッチ3μm、高さ0.5μm、サイズ5cm×5cm)を押し付け、図3に示す治具20にて固定して1N・mのトルクでねじ止めした。なお、図3中、(a)は治具で固定した状態の断面図、(b)は上面図を示す。ここでは、治具20の底面を構成する金属板21の上に、基板13、重合体層11及び石英モールド30を重合体層11に石英モールド30を押し付けた状態で載置し、その上に、石英板23、及び石英窓22aを有する金属板22の順に積層し、ねじ24で金属板21,22の四隅を固定した。
この状態の治具20を、超高圧水銀灯光源を備えたUVコンベアーに通して2J/cmの露光を行った。その後、石英モールド30を剥離し、パターンが形成されたフィルムを得た。この膜上に離型剤として商品名「FM−0411」(JNC製)を0.5mL塗布し、バーコーターNo2で塗工した。この膜を100℃のオーブンで2時間加熱することにより離型剤を膜表面と反応させた。未反応の離型剤を溶媒(n−ヘキサン)でリンスしてエアーブローすることでフィルム状のモールドを得た。
(3)動摩擦係数μの測定
上記(2)で得られたフィルム状モールドのパターンが形成されていない平坦部分に、新東科学(株)製 表面性試験機に曲率半径4mmの鉄球を取り付けて100gの荷重をかけ、引っ張り速度300mm/minで引っ張ったときの応力からモールド表面の動摩擦係数μを計算した。なお、動摩擦係数μが小さい値であるほど、離型性が良好であることを示す。その結果、本実施例では動摩擦係数μ=0.2であった。
(4)水接触角θの測定
上記(2)で得られたフィルム状モールドのパターンが形成されていない平坦部分にて、室温23℃、湿度45%、常圧の環境下で、KRUS社製の「DSA−10」を用いて以下の手順で水との接触角を測定した。まず、フィルム状モールドをステージにセットした。次に、針に水を注入し、フィルム状モールドの平坦部分に針の位置を微調整した。その後、針から水を排出させてモールド上に2μLの水滴を形成し、接触角(°)を測定した。なお、水接触角θが大きいほど、離型性が良好であることを示す。その結果、本実施例では水接触角θ=97°であった。
(5)離型性の評価
上記(2)で得られたフィルム状モールドを用いてUV硬化性樹脂にUVインプリントを行い、離型する際の抵抗により離型性を評価した。まず、大阪有機化学工業(株)製「ビスコート700」96g、東レ・ダウコーニング製「SH−200」1g、及びBASF製「IRGACURE184」3gをメチルエチルケトン1000gに溶解したものを0.5μmのPTFE製フィルターでろ過して硬化性組成物を調製した。この硬化性組成物を4インチのシリコンウェハー上に、約200nmの膜厚になるようにスピンコートにより塗布した。次いで、シリコンウェハー上に形成した塗膜に対し、上記(2)で得られたフィルム状モールドを押し付け、上記(2)と同様の方法により露光を行った。その後、モールドを剥離した。このとき、モールドを抵抗なく剥離できた場合を「A」、少し抵抗はあるがモールドを剥離できた場合を「B」、モールドをUV硬化性樹脂から剥離できなかった場合を「C」とした。その結果、本実施例では「B」の評価であった。
(6)耐久性の評価
上記(5)と同様にしてUVインプリント成形及び離型の操作を繰り返し行い、同一のフィルム状モールドを繰り返し使用可能な回数によって耐久性を評価した。ここでは、離型性の低下によってモールド側のパターンにUV硬化性樹脂が詰まった状態で剥がれ、被成形体が材料破壊を起こした状態になるまでの使用回数によって評価を行った。離型の操作を50回以上行っても離形性に変化がなかった場合を「A」、3〜49回の使用でモールドの離形性が低下した場合を「B」、1又は2回の使用でモールドの離形性が低下した場合を「C」とした。その結果、本実施例では、耐久性は「B」の評価であった。
(7)耐溶媒性の評価
上記(2)と同様にしてフィルム状モールドを作製し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中に5分間浸漬した後の膜の変化の有無により耐溶媒性を評価した。このとき、溶媒中への浸漬の前後で膜に変化がなかった場合を「良好(○)」、膜の浸食が観察された場合を「不良(×)」とした。その結果、本実施例では耐溶媒性「良好」の評価であった。
[実施例2〜16,20及び比較例1〜6]
配合処方を下記表2及び表3の通りに変更した点以外は実施例1と同様にして重合体層形成用組成物を調製するとともに、調製した重合体層形成用組成物を用いてフィルム状モールドを作製した。また、作製したフィルム状モールドを用いて各種評価を行った。その結果を下記表2及び表3に示した。
[実施例17]
配合処方を下記表3の通りに変更した点以外は実施例1と同様にして重合体層形成用組成物を調製した。得られた重合体層形成用組成物を、10cm×15cmに切り出したPETフィルム(東洋紡(株)製、コスモシャインA4300)の上に0.5mL塗布し、バーコーターNo3で塗工した。塗工したフィルムを80℃のオーブンで5分間乾燥した。
次いで、PETフィルム上に形成した膜に対し、離型剤がコーティングされたシリコン製のモールド(直径1μm、ピッチ3μm、高さ0.5μm、サイズ5cm×5cm)を押し付け、5kgの重りを載せて、ガラス転移温度Tg+30℃となる温度のオーブン内で1時間加熱成形を行った(圧力200g/cm)。その後、室温まで冷却してシリコン製モールドを剥離し、パターンが形成されたフィルムを得た。この膜上に離型剤として商品名「FM−0425」(JNC製)を0.5mL塗布し、バーコーターNo2で塗工した。この膜を70℃のオーブンで2時間加熱することにより離型剤を膜表面と反応させた。未反応の離型成分を溶媒でリンスしてエアーブローすることで、フィルム状のモールドを得た。また、得られたフィルム状モールドを用いて、実施例1と同様に各種評価を行った。その結果を下記表3に示した。
[実施例18,19]
配合処方を下記表3の通りに変更した点以外は実施例17と同様にして重合体層形成用組成物を調製するとともに、調製した重合体層形成用組成物を用いてフィルム状モールドを作製した。また、得られたフィルム状モールドを用いて各種評価を行った。その結果を下記表3に示した。
Figure 2016074156
Figure 2016074156
表2及び表3中、重合体層形成用組成物の配合処方における各化合物の数値は「重量部」を示す。表2及び表3中の化合物の略称はそれぞれ以下の意味である。
(化合物(A))
AM−1;カレンズMOI(昭和電工(株)製)
AM−2;カレンズAOI(昭和電工(株)製)
((メタ)アクリレート化合物)
ma−1;メチルメタクリレート
ma−2;イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート(新中村化学工業(株)製)
ma−3;ペンタエリスリトールとアクリル酸との縮合物、商品名「ビスコート♯300」(大阪有機化学工業(株)製)
ma−4;トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業(株)製)
(光重合開始剤)
r2−1;IRGACURE184(BASF製)
r2−2;IRGACURE907(BASF製)
(添加剤)
ad−1;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
ad−2;UM90(1/3)(宇部興産(株)製、ポリカーボネートジオール)
ad−3;ペンタエリスリトール
(溶媒種)
MIBK;メチルイソブチルケトン
MEK;メチルエチルケトン
PGMEA;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
BuOAc;酢酸ブチル
MAK;メチルアミルケトン
PhCH3;トルエン
(離型剤)
D−1;FM−0411(JNC(株)製)
D−2;FM−0425(JNC(株)製)
D−3;Fluorolink D10−H(ソルベイソレクシス(株))
rd−1;オプツールTM DSX(ダイキン工業(株))
rd−2;KF−96(信越シリコーン(株)、ポリジメチルシリコーン)
表2及び表3に示すように、実施例1〜20のモールドは、離型性、耐久性及び耐溶媒性をバランスよく兼ね備えていることが分かった。中でも、特定重合体を配合した実施例11〜16(光インプリント)及び実施例17〜20(熱インプリント)ではいずれの特性も良好であった。これに対し、比較例のものは、離型性、耐久性及び耐溶媒性の1つ以上の特性が実施例のものよりも劣っていた。
10…モールド、11…重合体層、12…離型層、13…基板、20…治具、21,22…金属板、22a…石英窓、23…石英、24…ねじ、30…石英モールド。

Claims (12)

  1. 表面上に凹凸形状を有する重合体層と、前記重合体層の表面上に形成された離型層とを備えるモールドの製造方法であって、
    第1の官能基を有する化合物(A)を含有する重合体層形成用組成物を、基板上に塗布して前記重合体層を形成する工程と、
    前記第1の官能基と反応して化学結合を形成し得る第2の官能基を有する化合物(B)を含有する離型剤(D)を前記重合体層の表面に塗布し、前記第1の官能基と前記第2の官能基とを反応させる工程と、を含み、
    前記第1の官能基及び前記第2の官能基の一方が、イソ(チオ)シアネート基及び保護イソ(チオ)シアネート基よりなる群から選ばれる少なくとも一種である、モールドの製造方法。
  2. 前記化合物(A)は、前記第1の官能基を有する重合体である、請求項1に記載のモールドの製造方法。
  3. 前記化合物(A)は、前記第1の官能基と架橋性基とを側鎖に有する重合体である、請求項2に記載のモールドの製造方法。
  4. 前記重合体層形成用組成物は、架橋成分として、前記第2の官能基を複数個有する化合物を更に含む、請求項2に記載のモールドの製造方法。
  5. 前記化合物(A)は、前記第1の官能基及び重合性基を有し、かつ前記重合性基が反応して重合体を形成し得る単量体である、請求項1に記載のモールドの製造方法。
  6. 前記重合体層形成用組成物は、架橋成分として、前記重合性基を複数個有する化合物を更に含む、請求項5に記載のモールドの製造方法。
  7. 前記化合物(B)は、フッ素含有化合物及びケイ素含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のモールドの製造方法。
  8. 表面上に凹凸形状を有する重合体層と、前記重合体層の表面上に形成された離型層とを備えるモールドであって、
    前記重合体層は、第1の官能基を有する化合物(A)を含み、
    前記離型層は、前記第1の官能基と反応して化学結合を形成し得る第2の官能基を有する化合物(B)を含み、
    前記第1の官能基及び前記第2の官能基の一方が、イソ(チオ)シアネート基及び保護イソ(チオ)シアネート基よりなる群から選ばれる少なくとも一種であり、
    前記重合体層と前記離型層との境界部において、前記第1の官能基と前記第2の官能基とが反応して結合基を形成している、モールド。
  9. 前記化合物(A)は、前記第1の官能基を有する重合体である、請求項8に記載のモールド。
  10. 前記重合体層において前記化合物(A)は架橋構造を形成している、請求項8又は9に記載のモールド。
  11. 前記化合物(B)は、フッ素含有化合物及びケイ素含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項8〜10のいずれか一項に記載のモールド。
  12. モールドの重合体層を形成するための重合体層形成用組成物であって、
    イソ(チオ)シアネート基及び保護イソ(チオ)シアネート基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する化合物(A)を含有する、重合体層形成用組成物。
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