まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、パチンコ遊技機を示す背面図である。図3は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。図4は、パチンコ遊技機を開放した状態を示す斜視図である。図5は、遊技盤ユニットを示す分解斜視図である。
パチンコ遊技機1は、図1、図2及び図4に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠100と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101と、で主に構成されている。前面枠101の前面には、ガラス扉枠102及び下扉枠103がそれぞれ左側辺を中心に開閉可能に設けられている。
下扉枠103の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠102の背面には、遊技盤6が前面枠101に対して着脱可能に取り付けられている。
図4及び図5に示すように、遊技盤6は、遊技領域7が前面に形成された木製のベニヤ板からなり、該遊技盤6の背面側には、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット49が一体的に組み付けられている。
遊技盤6を前面枠101の前面に取り付けるには、遊技盤6の左端部を図中太矢印に示すように、前面枠101に形成された縦長長方形状の開口部115の左上下位置に設けられた係止凹部116a,116bに、遊技盤6の左端部を差し込んだ状態で、右端部を盤押え金具117a,117bで係止することにより取り付けられるようになっている。係止凹部116a,116bには盤押えバネ118a,118bが設けられており、係止凹部116a,116bに係止された遊技盤6の前後のガタツキが防止されている。遊技盤6が取り付けられた状態において、該遊技盤6の背面に設けられた変動表示制御ユニット49が開口部115を介して前面枠101の背面側に臨むようになっている。
図1に戻って、遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄(演出図柄)を可変表示する複数の可変表示部を含む演出表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。演出図柄の可変表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
遊技盤6における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示手段)8aが設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器8aの上方位置には、第2識別情報としての第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
第1特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の可変表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13aを有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14a(例えば、近接スイッチ)及び第1入賞確認スイッチ14b(例えば、フォトセンサ)によって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13aを有する入賞装置の下側には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口13bを有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)13bに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ15a及び第2入賞確認スイッチ15bによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13aよりも、第2始動入賞口13bに遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口13bに入賞しない。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
また、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bの検出結果及び第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。
以下、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口13bに極めて入賞しやすい。そして、第1始動入賞口13aは演出表示装置9の直下に設けられているが、演出表示装置9の下端と第1始動入賞口13aとの間の間隔をさらに狭めたり、第1始動入賞口13aの周辺で釘を密に配置したり、第1始動入賞口13aの周辺での釘配列を、遊技球を第1始動入賞口13aに導きづらくして、第2始動入賞口13bの入賞率の方を第1始動入賞口13aの入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
第2特別図柄表示器8bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。なお、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
また、演出表示装置9の表示画面には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部9aと、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部9bとが設けられている。なお、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、可変表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
なお、この実施例では、図1に示すように、第2始動入賞口13bに対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13aおよび第2始動入賞口13bのいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の右側方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は大入賞口扉20aを備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって大入賞口扉20aが開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口20bが開放状態になる。大入賞口20bに入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。
カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置20において開放状態となった大入賞口20bを遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置20において大入賞口20bが開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置20において大入賞口20bが閉鎖状態となれば、大入賞口20bに遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
第1特別図柄表示器8aの右側には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球が特別可変入賞球装置20の上方近傍位置に設けられたゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
なお、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置20の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
遊技領域7の下部には普通入賞装置の入賞口29a〜29dが設けられ、入賞口29a〜29cに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30aによって検出され、入賞口29dに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30bによって検出される。各入賞口29a〜29dは、遊技球を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。なお、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13bや大入賞口20bも、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。
第1始動入賞口13a内には、始動入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b)が設けられている。この実施例では、第1始動入賞口13a内で、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bとが上下に配置されている(本例では、第1始動口スイッチ14aが上側に配置され、第1入賞確認スイッチ14bが下側に配置されている)。従って、この実施例では、第1始動入賞口13a内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まず第1始動口スイッチ14aで検出され、次いで第1入賞確認スイッチ14bで検出される。
また、第2始動入賞口13b内には、始動入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b)が設けられている。この実施例では、第2始動入賞口13b内で、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bとが上下に配置されている(本例では、第2始動口スイッチ15aが上側に配置され、第2入賞確認スイッチ15bが下側に配置されている)。従って、この実施例では、第2始動入賞口13b内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まず第2始動口スイッチ15aで検出され、次いで第2入賞確認スイッチ15bで検出される。
また、大入賞口20b内には、大入賞口20b内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23a)が設けられている。この実施例では、大入賞口20b内で、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aとが配置されている(本例では、カウントスイッチ23が上側に配置され、第3入賞確認スイッチ23aが下側に配置されている)。従って、この実施例では、大入賞口20b内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まずカウントスイッチ23で検出され、次いで第3入賞確認スイッチ23aで検出される。
また、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aとして、それぞれ異なる検出方式のスイッチが用いられる。この実施例では、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15aおよびカウントスイッチ23として近接スイッチを用い、第1入賞確認スイッチ14b、第2入賞確認スイッチ15b、第3入賞確認スイッチ23aとしてフォトセンサを用いている。
また、第1始動口スイッチ14aによって遊技球が検出されたことにもとづいて、第1特別図柄の変動表示が開始され、賞球払出が実行される。また、第2始動口スイッチ15aによって遊技球が検出されたことにもとづいて、第2特別図柄の変動表示が開始され、賞球払出が実行される。また、カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことにもとづいて、賞球払出が実行される。また、第1始動口スイッチ14aによる検出結果に加えて第1入賞確認スイッチ14bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。また、第2始動口スイッチ15aによる検出結果に加えて第2入賞確認スイッチ15bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。また、カウントスイッチ23による検出結果に加えて第3入賞確認スイッチ23aの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。従って、第1入賞確認スイッチ14b、第2入賞確認スイッチ15b、第3入賞確認スイッチ23aは、異常入賞の判定のみに用いられる。
このように、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15a、カウントスイッチ23は近接スイッチを用いて構成し、第1〜第3入賞確認スイッチ14b,15b,23aはフォトセンサを用いているが、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aの検出方式はこの実施例で示したものにかぎらず、例えば、第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23と、第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aとで異なる検出方式であれば、逆に第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23としてフォトセンサを用い、第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aとして近接スイッチを用いてもよい。この場合、フォトセンサである第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23の検出結果にもとづいて特別図柄の変動表示や賞球払出処理が実行され、近接スイッチである第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aの検出結果は、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13b、大入賞口20bの異常入賞の判定のみに用いられることになる。また、例えば、電磁式のスイッチである近接スイッチや光学式のフォトセンサに代えて、第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23または第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aとして、機械式のスイッチ(マイクロスイッチなど)を用いてもよい。
また、この実施例では、特別図柄の変動表示や賞球払出処理の実行の契機となる第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23は、異常入賞の判定に用いられる第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aよりも上流側に設けられていたが、異常入賞の判定に用いられるスイッチの下流側に設けてもよい。
そして遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14a(近接スイッチ)から入力した検出信号と第1入賞確認スイッチ14b(フォトセンサ)から入力した検出信号とにもとづいて、第1始動口スイッチ14aにて検出された遊技球数と第1入賞確認スイッチ14bにて検出された遊技球数との差が所定の閾値を超えたと判定すると、所定のエラーとして、第1始動入賞口13aへの異常入賞が発生したと判定する。また、第2始動口スイッチ15a(近接スイッチ)から入力した検出信号と第2入賞確認スイッチ15b(フォトセンサ)から入力した検出信号とにもとづいて、第2始動口スイッチ15aにて検出された遊技球数と第2入賞確認スイッチ15bにて検出された遊技球数との差が所定の閾値を超えたと判定すると、所定のエラーとして、第2始動入賞口13bへの異常入賞が発生したと判定する。また、カウントスイッチ23(近接スイッチ)から入力した検出信号と第3入賞確認スイッチ23a(フォトセンサ)から入力した検出信号とにもとづいて、カウントスイッチ23にて検出された遊技球数と第3入賞確認スイッチ23aにて検出された遊技球数との差が所定の閾値を超えたと判定すると、所定のエラーとして、大入賞口20bへの異常入賞が発生したと判定する。
このように、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aと、を互いに異なる検出方式のセンサ(本例では、近接スイッチとフォトセンサ)により構成していることで、例えば電磁波などを用いて第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13b、大入賞口20bへの入賞数が実際の入賞数よりも多くなるように認識させるような不正行為が行われた場合に、近接スイッチにて検出された遊技球数とフォトスイッチにて検出された遊技球数とに差が生じ、遊技制御用マイクロコンピュータ156はこの差球数が所定の閾値を超えた場合に異常入賞が発生したと判定するため、確実な不正行為対策を講ずることができる。
遊技領域7の左側には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aを有する装飾部材25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cが設けられている。天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cおよび装飾LED25aは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
図1および図2では、図示を省略しているが、左枠LED28bの近傍に、賞球払出中に点灯する賞球ランプが設けられ、天枠LED28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプが設けられている。なお、賞球ランプおよび球切れランプは、賞球の払出中である場合や球切れが検出された場合に、演出制御基板に搭載された演出制御用マイクロコンピュータによって点灯制御される。さらに、特に図示はしないが、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
遊技者の操作により、後述する打球発射装置から発射された遊技球は、発射球案内通路(図示略)を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の可変表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ15aで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の可変表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示及び第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄とは異なる所定の小当り図柄(所定表示結果)であると「小当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄及び小当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。
特図ゲームでの可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。また、特図ゲームでの可変表示結果が「小当り」になった後には、大当り遊技状態とは異なる小当り遊技状態に制御される。
この実施例では、特図ゲームにおける確定特別図柄が「非確変」または「確変A」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、多ラウンド特定遊技状態としての第1大当り状態(15ラウンド大当り状態)に移行する。大当り遊技状態(通常15ラウンド大当り状態)では、特別可変入賞球装置20の大入賞口扉20aが、第1期間となる所定期間(例えば29.5秒間)あるいは所定個数(例えば8個)の入賞球が発生するまでの期間にて大入賞口20bを開放状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に大入賞口20bを開放状態とした大入賞口扉20aは、遊技盤6の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口20bを閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。15ラウンド大当り状態では、大入賞口20bの開放サイクルであるラウンドの実行回数が、第1ラウンド数(例えば「15」)となる。ラウンドの実行回数が「15」となる15ラウンド大当り状態における遊技は、15回開放遊技とも称される。このような15ラウンド大当り状態では、大入賞口20bに遊技球が入賞するたびに15個の出玉(賞球)が得られる。なお、15ラウンド大当り状態は、第1特定遊技状態ともいう。
特図ゲームにおける確定特別図柄として「確変B」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、多ラウンド特定遊技状態としての第2大当り状態(高速15ラウンド大当り状態)に移行する。第2大当り状態では、特別可変入賞球装置20の大入賞口扉20aが、第1大当り状態における第1期間よりも短い第2期間(例えば0.5秒間)あるいは所定個数(例えば3個)の入賞球が発生するまでの期間にて大入賞口20bを開放状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に大入賞口20bを開放状態とした大入賞口扉20aは、遊技盤6の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口20bを閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。第2大当り状態では、大入賞口20bの開放サイクルであるラウンドの実行回数が、第2ラウンド数(例えば「15」)となる。
このような第2大当り状態では、大入賞口20bに遊技球が入賞すれば15個の出玉(賞球)が得られるが、大入賞口20bの開放期間が第2期間(0.5秒間)であって、非常に短い。そのため、第2大当り状態は実質的には出玉(賞球)が得られない大当り遊技状態である。なお、第2大当り状態は第2特定遊技状態ともいう。また、第2大当り状態は、第1大当り状態に比べてラウンドの実行回数が少ないものであってもよい。すなわち、第2大当り状態は、各ラウンドで大入賞口20bを開放状態に変化させる期間が第1大当り状態における第1期間よりも短い第2期間となることと、ラウンドの実行回数が第1大当り状態における第1ラウンド数よりも少ない第2ラウンド数となることのうち、少なくともいずれか一方となるものであってもよい。
また、「非確変」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき第1大当り状態が終了した後には、特別遊技状態の1つとして、通常状態に比べて特図ゲームにおける特別図柄の可変表示時間(特図変動時間)が短縮される時間短縮制御(時短制御)が行われる時短状態に制御される。ここで、通常状態とは、大当り遊技状態等の特定遊技状態や確変状態及び時短状態とは異なる遊技状態としての通常遊技状態であり、パチンコ遊技機1の初期設定状態(例えばシステムリセットが行われた場合のように、電源投入後に初期化処理を実行した状態)と同一の制御が行われる。時短状態は、所定回数(例えば100回)の特図ゲームが実行されることと、可変表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに、終了すればよい。このように「非確変」に対応する大当り図柄特別図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく第1大当り状態が終了した後に時短状態に制御される大当り図柄は、非確変大当り図柄(「通常大当り図柄」ともいう)と称される。また、大当り図柄のうち非確変大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「非確変大当り」(「通常大当り」ともいう)と称される。
「確変A」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき第1大当り状態が終了した後や、確変状態において「確変B」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき第2大当り状態が終了した後には、時短状態とは異なる特別遊技状態の1つとして、例えば通常状態に比べて特図変動時間が短縮される時短制御とともに、継続して確率変動制御(確変制御)が行われる確変状態(高確率状態)に制御される。この確変状態では、各特図ゲームや飾り図柄の可変表示において、可変表示結果が「大当り」となって更に大当り遊技状態に制御される確率が、通常状態や時短状態よりも高くなるように向上する。このような確変状態は、特図ゲームの実行回数にかかわりなく、次に可変表示結果が「大当り」となるまで継続する。
こうした「確変A」に対応する大当り図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく第1大当り状態が終了した後に確変状態に制御される大当り図柄は、確変大当り図柄と称される。また、「確変B」に対応する大当り図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく大当り遊技状態が終了した後に確変状態に制御される大当り図柄は、突確大当り図柄と称される。また、大当り図柄のうち確変大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「確変大当り」と称される。突確大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「突確大当り」(「突確大当り」ともいう)と称される。なお、これら大当り図柄は任意であり、例えば、遊技者に大当り図柄であることや、大当り種別を認識されないようにするために、大当り図柄を数字とせずに予め定められた記号等にしてもよい。
「小当り」に対応する特別図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示された後には、小当り遊技状態に制御される。この小当り遊技状態では、第2大当り状態と同様に特別可変入賞球装置20において大入賞口20bを遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させる可変入賞動作が行われる。すなわち、小当り遊技状態では、例えば特別可変入賞球装置20を第2期間にわたり第1状態(開放状態)とする動作が、第2回数{第2ラウンド数に等しい実行回数(本例では、15回)}に達するまで繰り返し実行される。なお、小当り遊技状態では、第2大当り状態と同様に、特別可変入賞球装置20を第1状態とする期間が第2期間となることと、第1状態とする動作の実行回数が第2回数となることのうち、少なくともいずれか一方が行われるように制御されればよい。小当り遊技状態が終了した後には、遊技状態の変更が行われず、可変表示結果が「小当り」となる以前の遊技状態に継続して制御されることになる。ただし、可変表示結果が「小当り」となる特図ゲームが実行されたときに、特別遊技状態における特図ゲームの実行回数が所定回数に達していれば、小当り遊技状態の終了後には、特別遊技状態が終了して通常状態となることがある。可変入賞動作により特別可変入賞球装置20を第1状態とする回数が「15」である小当り遊技状態における遊技は、第2大当り状態における遊技と同様に、15回開放遊技とも称される。なお、第2大当り状態における各ラウンドで特別可変入賞球装置20とは別個に設けられた入賞球装置を第1状態に変化させる場合には、小当り遊技状態でも、第2大当り状態と同様の態様で、その入賞球装置を第1状態に変化させるようにすればよい。
確変状態や時短状態では、普通図柄表示器10による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく可変入賞球装置15における可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口13bを通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御が行われる。なお、確変状態や時短状態では、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組み合せられて行われるようにしてもよい。このように、確変状態や時短状態において第2始動入賞口13bに遊技球が進入しやすくして遊技者にとって有利となる制御は、高開放制御ともいう。高開放制御が行われることにより、第2始動入賞口13bは、高開放制御が行われていないときよりも拡大開放状態となる頻度が高められる。これにより、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に可変表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。したがって、確変状態や時短状態では、通常状態に比べて大当り遊技状態となりやすくなる。高開放制御が実行可能となる期間は、高開放制御期間ともいい、この期間は、パチンコ遊技機1における遊技状態が確変状態と時短状態のいずれかに制御されている期間と同一であればよい。また、高開放制御期間であるときには、遊技状態が高ベース中であるともいう。これに対して、高開放制御期間でないときには、遊技状態が低ベース中であるともいう。この実施例における時短状態は、低確高ベース状態とも称される遊技状態であり、通常状態は、低確低ベース状態とも称される遊技状態であり、高開放制御期間ではない確変状態である潜伏確変状態は高確低ベース状態とも称される遊技状態である。
また、この実施例では、通常状態において「確変B」に対応する「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後には、確変制御のみが行われて時短制御や高開放制御が行われない第2確変制御(潜伏確変状態)へ移行する。また、確変状態において「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後には、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われる第1確変状態へ移行する。
このように確変状態のうちには、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われるものの他に、確変制御のみが行われて時短制御や高開放制御が行われないもの(潜伏確変)が含まれていてもよい。また、例えば、特図ゲームにける可変表示結果が「確変大当り」となったことに基づく第1大当り状態の終了後には、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われる第1確変状態(高確高ベース状態ともいう)に制御され、その後、特図表示結果が「大当り」となることなく、特図ゲームの実行回数が所定回数(例えば70回)に達したときには、確変制御は継続して行われるものの、時短制御や高開放制御が終了して行われなくなる第2確変状態(高確低ベース状態ともいう)に制御されるようにしてもよい。
また、この実施例では、確変状態であるときに特図ゲームにおける可変表示結果が「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後には第2確変状態(潜伏確変状態)へと移行するようになっていたが、確変状態だけでなく、時短状態であるときに特図ゲームにおける可変表示結果が「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後にも第1確変状態へと移行するようにしてもよい。あるいは、「確変大当り」に基づく第1大当り状態の終了後には、再び特図表示結果が「大当り」となるまで第1確変状態に制御される一方、「突確大当り」に基づく第2大当り状態の終了後には、第1確変状態に移行して、特図表示結果が「大当り」となることなく特図ゲームの実行回数が所定回数に達したときに第2確変状態へと移行するようにしてもよい。時短制御と高開放制御は、それらの開始と終了が同時に(連動して)行われる一方で、確変制御の開始と終了は、時短制御や高開放制御の開始や終了と必ずしも連動するものでなくてもよい。
演出表示装置9に設けられた「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、飾り図柄の可変表示(変動表示)が開始される。そして、飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにおける確定飾り図柄の停止表示により可変表示が終了するまでの期間では、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置9の表示領域にて仮停止表示された飾り図柄が大当り組み合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない飾り図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の飾り図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組み合せを構成する飾り図柄(例えば「7」の英数字を示す飾り図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの飾り図柄表示エリア(例えば「中」の飾り図柄表示エリアなど)では飾り図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける全部又は一部で飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
次に、パチンコ遊技機1の背面の構造について図2を参照して説明する。図2は、遊技機を背面から見た背面図である。図2に示すように、パチンコ遊技機1の背面側では、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声制御基板70、ランプドライバ基板35、および球払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている。なお、遊技制御基板31は基板収納ケース150に収納されている。
さらに、パチンコ遊技機1背面側には、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板90やタッチセンサ基板(図示略)が設けられている。電源基板90には、パチンコ遊技機1における遊技制御基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、遊技制御基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156のRAM55をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
なお、この実施例では、主基板31は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板31と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
なお、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置9、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。なお、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置であって、払い出された賞球や貸し球をカウントする払出個数カウントスイッチ等もユニットの一部として構成されている。なお、この実施例では、払出検出手段は、払出個数カウントスイッチによって実現され、球払出装置97から実際に賞球や貸し球が払い出されたことを検出する機能を備える。この場合、払出個数カウントスイッチは、賞球や貸し球の払い出しを1球検出するごとに検出信号を出力する。
パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板91が設置されている。ターミナル基板91には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。なお、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レールを通り、カーブ樋を経て払出ケース97aで覆われた球払出装置97に至る。球払出装置97の上方には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ43が設けられている。球切れスイッチ43が球切れを検出すると、球払出装置97の払出動作が停止する。球切れスイッチ43が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構からパチンコ遊技機1に対して遊技球の補給が行われる。
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払出されて打球供給皿3が満杯になると、遊技球は、余剰球誘導通路を経て余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払出されると、感知レバー(図示略)が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ(図示略)を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチがオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに打球発射装置の駆動も停止する。
図3は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図3には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)156が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路60が内蔵されている。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、乱数回路60が内蔵されている。乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路60が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路60が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路60が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ15aへの始動入賞が生じたときに乱数回路60から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRにもとづいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路61が内蔵されている。なお、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータにも、遊技制御用マイクロコンピュータ156とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータ(具体的には、後述する賞球コマンド出力カウンタの値)は、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施例では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。なお、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。なお、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。なお、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板31)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15a、第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23、第3入賞確認スイッチ23aおよび各入賞口スイッチ30a,30bからの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載され、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21と、基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載され、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ156をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板91を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置9との表示制御を行う。
演出制御基板80は、演出制御用CPUおよびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU(図示略)は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU(図示略)は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
演出制御用CPU(図示略)は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU(図示略)は、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、演出制御用CPUから入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板31から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
さらに、演出制御用CPU(図示略)は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板35に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cなどの枠側に設けられている各LEDに供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25aに駆動信号を供給する。なお、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板35に搭載される。
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
次に、本実施例の遊技盤の構造について、図面にもとづいて説明する。図6は、遊技領域の構成を示す概略図である。図7は、センター枠飾りを示す斜視図である。図8は、球案内通路を示す概略図である。図9は、(a)は図8のF−F断面図、(b)は図8のG−G断面図である。図10は、第1球誘導部材を示す斜視図である。図11は、(a)は第1球誘導部材を示す平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図、(d)は(a)のC−C断面図である。図12は、(a)は第1球誘導部材に遊技球が衝突した状態を示す正面図、(b)は(a)の断面図である。図13は、第2球誘導部材を示す斜視図である。図14は、(a)は第2球誘導部材を示す平面図、(b)は(a)のE−E断面図、(c)は(a)のF−F断面図、(d)はF−F拡大端面図である。図15は、第2球誘導部材に遊技球が衝突した状態を示す正面図である。図16は、第2球誘導部材に遊技球が衝突した状態を示す断面図である。図17は、図16の要部拡大図である。図18は、変形例としての第2球誘導部材の配置例を示す図である。図19は、変形例としての第2球誘導部材の構成例を示す説明図である。なお、以下において、パチンコ遊技機1の正面に対峙した状態を基準として左右・上下方向を説明する。
図6に示すように、遊技盤6の遊技盤面6aには、遊技領域7を囲むように設けられ、打球発射装置(図示略)から発射された遊技球を遊技領域7内に誘導する発射球案内通路400の一部を構成する外レール401及び内レール402、外レール飾り410a〜410c、障害釘K(一部図示略)、風車F等の遊技用部材が取り付けられるとともに、センター枠飾り11、可変入賞球装置15、特別可変入賞球装置20、ゲート32、装飾部材25や、後述する第1球誘導部材500及び第2球誘導部材550等が前面側から取り付けられている。
これら外レール401及び内レール402、外レール飾り410a〜410c、障害釘K、風車F、センター枠飾り11、可変入賞球装置15、特別可変入賞球装置20、ゲート32、装飾部材25、第1球誘導部材500、第2球誘導部材550は、遊技盤面6a上に配設される遊技用構造物(遊技用部材)であり、そのうち遊技領域7の周囲に配設される外レール飾り410a〜410c及び各レール401,402を除く障害釘K、風車F、センター枠飾り11、可変入賞球装置15、特別可変入賞球装置20、ゲート32、装飾部材25、第1球誘導部材500、第2球誘導部材550は、遊技領域7に遊技球の流下の障害となる立体物であり、遊技球の流下方向を変更させる流下方向変更部材を構成する。
また、外レール飾り410a〜410cは、遊技盤面6aにおける遊技領域7の周囲に配設されることで、遊技盤面6a上に立設される正面視円弧状の各誘導面同士が接続されて略円環状の誘導面410dが構成される。なお、誘導面410dのうち、外レール飾り410a及び一部の外レール飾り410bの誘導面410dに関しては、その内側に配設された外レール401にて誘導面が構成されている。
このようにこれら外レール401及び内レール402や外レール飾り410a〜410cの誘導面410dにより、遊技盤面6aは中央部に形成される略円形の遊技領域7とその周囲に形成される非遊技領域とに区画されるため、外レール飾り410a〜410c及び外レール401及び内レール402は遊技領域7を形成するレール部材を構成している。
遊技領域7の前面は、遊技盤6の前側に配設されるガラス扉枠102に形成される透視窓102a(図4参照)により閉鎖されるようになっている。すなわち、遊技盤面6aと該遊技盤面6aに対し所定の隙間を隔てて配置される透視窓102aとの間に遊技領域7が形成され、遊技者は透視窓102aを通して遊技領域7を視認可能とされている。
遊技盤6は、遊技領域7の略中央位置から右側の領域にかけて、背面側に配設される演出表示装置9の表示画面を遊技者側から視認可能とするための開口部201(図4,5参照)が形成されており、該開口部201には、枠状に形成されるセンター枠飾り11が前面側から嵌合され、該開口部201の周縁が装飾されている。
センター枠飾り11は、図7〜図9に示すように、例えばポリカーボネート樹脂材等により構成され、枠本体270と、該枠本体270の前面に取り付けられる装飾部材274と、からパチンコ遊技機1の前後方向に所定の厚みを有するように形成され、装飾部材274が遊技盤面6aから少なくとも遊技球の直径以上の厚み分突出するように取り付けられている。
枠本体270は、遊技盤6に形成された開口部201(図4,図5参照)に遊技盤面6aに沿って配置される略円環状の枠板部271と、該枠板部271の背面から後向きに突設され、開口部201内に嵌合可能に形成された環状の嵌合壁部272と、から主に構成される。また、特に図示はしないが、下辺部には遊技球を揺動させるステージが設けられ、さらに、枠本体270のステージの左側には、所謂ワープルートとも呼ばれる通過路(図示略)が形成され、遊技領域7からステージへ通じている。よって、遊技領域7を転動流下する過程で通過路の通過路入口(図示略)から入球した遊技球は、通過路の通過路出口(図示略)からステージ(図示略)に排出される。
装飾部材274は、枠板部271の下辺部を除き正面視下向き略C字形に形成されており、その外周面は遊技球を誘導する誘導面275を構成している。この誘導面275のうち、特に上部から右側にかけて、外レール401及び外レール飾り410cの誘導面410dに対し所定の隙間を隔てて配置される誘導面275aと、外レール401及び誘導面410dとの間に、遊技球を1球ずつ通過可能とする球案内通路276が形成されている。この球案内通路276の幅寸法L1は、遊技球の直径2Rよりも長く、直径2Rの2倍の長さ(2R×2=4R)よりも短い(2R<L1<4R)。
このように誘導面275は、遊技盤面6aに対し直交するように立設され、正面視下向き略C字形に形成されているため、該枠本体270の上部にて接触した遊技球を該接触した位置に応じて左右どちらかに転動流下させることで、遊技領域7の左右へ振り分けている。
また、誘導面275aの前側辺には、側壁277が該誘導面275aに対し直交するように立設されている。この側壁277は、殆どが遊技球の直径2Rよりも短寸であるが、図9(b)に示すように、後述する第1減速部278に設けられるカバー側壁277aのみ長寸に形成されている。
図6に戻って、遊技領域7において、センター飾り枠11よりも左側の左遊技領域7aは、正面視略C字形に形成され、遊技球の直径2R以上の幅寸法を有し、主に通常遊技状態において有利となる領域であり、第1始動入賞口13a及び入賞口29a〜29cに遊技球が入賞可能とされている。
一方、センター飾り枠11よりも右側の右遊技領域7bは、上部は遊技球の直径よりやや幅広な通路幅を有する球案内通路276が外レール401に沿って延設され、下部には左遊技領域7aの下部とほぼ同等の大きさを有し、主に時短状態や確変状態において有利となる領域であり、第2始動入賞口13b及び入賞口29dに遊技球が入賞可能とされている。
球案内通路276は、遊技領域7の上部から右側にかけて略円弧状に延設され、その中間位置には第1減速部278が形成されているとともに、さらにその下流側近傍には第2減速部279が形成されている。
第1減速部278における外レール401の内面所定箇所には、ゴム材等からなる緩衝部280が遊技球の移動方向に対し交差するように設けられているとともに、通路壁298もこの緩衝部280に沿って屈曲形成され、遊技球が遊技盤面6aに沿って蛇行する蛇行部を構成している。これにより、緩衝部280に衝突した遊技球が外レール401から離れる方向(遊技領域7の中央側)に方向変換される。また、第1減速部278の下流側近傍位置にも、誘導面275a及び外レール飾り410cの誘導面410dの一部に凹凸部が形成され、遊技球が遊技盤面6aに沿って蛇行する蛇行部を構成している。
このように球案内通路276の所定箇所には、第1減速部278及び第2減速部279が設けられ、これらを通過する際に遊技球が減速されるようになっている。打球発射装置は、打球操作ハンドル5の初期位置からの回転角度が大きくなるに従い遊技球を打ち出す際の弾発力が増大するようになっている。よって、遊技球の発射位置(図示略)からの距離が左遊技領域7aよりも遠くなる右遊技領域7bに遊技球を打ち出す場合、左遊技領域7aに遊技球を打ち出す場合よりも遊技球の弾発力を増大させる必要があり、これにより遊技球の移動速度も速くなるため、発射球案内通路400から外レール401に沿って障害釘K等に衝突することなく高速で流入する遊技球を移動案内する球案内通路276内において、遊技球を効果的に減速させることができる。
特に緩衝部280は、右遊技領域7bに向けて強く打ち出された遊技球が最初に衝突する衝突部であるため、緩衝部280により反発力が減衰されるようになっているものの、遊技球が透視窓102a側に跳ね返る可能性がある。よって、この第1減速部278においては、側壁277の一部を延設してなるカバー側壁277aを、球案内通路276における第1減速部278の透視窓102a側を被覆するように設けて透視窓102aを保護しているため、跳ね返った遊技球により透視窓102aが損傷することが防止される。
また、球案内通路276の流入部276a近傍には、球案内通路276の長手方向に対し直交する方向に枠板部271の端部271aが配置されることにより板厚分の段部が形成されている。これにより、遊技球が流入する際に枠板部271の端部271aに遊技球が接触し、該遊技球が下流側に移動するに従い漸次透視窓102a側に接近する可能性がある。そこで、端部271aよりも所定距離下流側であり、該端部271aに接触した遊技球が透視窓102aに接触しうる位置である第1減速部278にカバー側壁277aが設けられていることで、透視窓102a側に近接してきた遊技球が透視窓102aに接触することを回避できる。
また、枠板部271は、遊技盤6の遊技盤面6aに取り付けるための取付ネジ(図示略)の取付穴281a,281b等が複数箇所に形成されているが、このような取付穴を形成するための取付片等が球案内通路276内に部分的に張り出すように形成されると、遊技盤面6aに対し板厚分だけ突出して遊技球が接触して透視窓102a側に跳ねやすくなる。よって、取付穴281aは流入部276aの手前側で球案内通路276から退避した退避位置に設けられ、取付穴281bは、球案内通路276に設けられるものの、遊技球が減速する第1減速部278の下流側に設けられ、一旦遊技盤面6aに衝突した遊技球が透視窓102a側に勢いよく跳ね返らないようにしている。
第2減速部279を通過した遊技球は、外レール飾り410cの誘導面410dに沿うように下方に向けて流下して流出部276bから流出した後、球案内通路276の直下に配設された第1球誘導部材500の上面を構成する転動面501上に落下するようになっている。
図10〜図12に示すように、第1球誘導部材500は、遊技盤面6aから前方に隆起するように設けられる立体構造物であり、遊技盤面6aに対して前面側からネジ等により取り付けられる。上面には、球案内通路276から流出し落下された遊技球を転動により遊技領域7の中央側に向けて誘導する転動部としての転動面501が形成されている。
転動面501は、遊技盤面6aに対し略直交する方向を向くとともに、該遊技盤面6aに沿う方向のうち、遊技領域7の右側から中央側に向けて下方に傾斜するように延設される平坦な帯板状の傾斜面にて構成されている。転動面501の傾斜上位側には段部としての転動傾斜面501aが形成されており、該転動傾斜面501aと、転動傾斜面501aの傾斜上位側の上転動面501bと、転動傾斜面501aの傾斜下位側の下転動面501cと、により連続する転動面501が構成されている。
また、転動面501における前辺には、傾斜上位側の端部から傾斜下位側の端部のやや手前にかけて所定高さを有する側壁503が延設されている。側壁503は、高さ寸法が遊技球の半径Rよりも短寸である。また、側壁503における転動面501側の内側面503aは、上部から下部に向けて転動面501側に傾斜する傾斜面とされており、上方から側壁503上に落下してきた遊技球を転動面501側に誘導するようになっている。
上転動面501bは、右側端部から転動傾斜面501aまで延設され、傾斜方向の長さは下転動面501cよりも短寸とされ、下転動面501cは、転動傾斜面501aから左側端部まで延設され、傾斜方向の長さは上転動面501bよりも長寸とされている。これら上転動面501b及び下転動面501cの水平面に対する左右方向の傾斜角度は同一(略平行)であり、転動傾斜面501aの水平面に対する左右方向の傾斜角度のみが上転動面501b及び下転動面501cの傾斜角度よりも大とされている。
上転動面501bには、側壁503から遊技盤6に向けて延設された衝突部505が突設され、上転動面501b上に遊技球が直接落下しないようになっている。また、衝突部505の上面には、側壁503から後辺の手前位置まで下方に傾斜するように延設され、かつ、右側から左側に向けて下方に傾斜する帯板状の衝突傾斜面505aが形成されている。なお、衝突傾斜面505aは側壁503から連設されているため、側壁503とは別個に形成した場合よりも強度が高くなっている。
衝突傾斜面505aの水平面に対する左右幅方向の傾斜角度は、上転動面501bの水平面に対する左右方向の傾斜角度よりも小さく、かつ、水平でない角度に維持されている。
このように構成された第1球誘導部材500は、図12(a)に示すように、球案内通路276の流出部276bの直下近傍位置に、外レール飾り410cの誘導面410dに右側端部が接するように配置される。ここで、図12(b)に示すように、転動面501は、遊技盤面6aに対し略直交する起立姿勢で設けられ、前後幅寸法L10は、遊技球の直径2Rよりも幅広で、かつ、遊技盤面6aと透視窓102aとの離間幅寸法L11よりも若干幅狭に形成されている。尚、離間幅寸法L11は直径幅2Rの遊技球2個分の長さ(2R×2=4R)よりも幅狭とされている(2R<L10<L11<4R)。
よって、球案内通路276の流出部276bから流出した遊技球は、第1球誘導部材500と透視窓102aとの間に挟まったりすり抜けたりすることなく、確実に転動面501上に落下して左側に向けて誘導されるようになっている。
具体的には、球案内通路276の流出部276bから流出して外レール410cの誘導面410dに沿うように流下してくる遊技球は、衝突部505の衝突傾斜面505aに衝突する。離間幅寸法L11は、遊技球の直径2R以上の幅寸法を有しているので、衝突傾斜面505aに衝突した遊技球が透視窓102a側に跳ねる可能性があるが、衝突傾斜面505aは、遊技盤6側に向けて下方に傾斜しているため、遊技球が強制的に遊技盤面6a側に向けて跳ね返されるようになる。
これにより、遊技球が透視窓102a側に跳ね返ることが防止され、透視窓102aを接触により傷つけることを抑制できるので、傷により体裁や耐久性が損なわれたり、視認性が低下することが防止される。
また、衝突傾斜面505aは幅方向の右側から左側に向けて下方に傾斜しているため、衝突して跳ね返った遊技球は、遊技盤面6a側だけでなく、転動面501の傾斜下位側、つまり遊技球の誘導方向に向けて跳ね返るようになる。よって、流出部276b(特定方向)から衝突傾斜面505aに誘導される遊技球を、遊技盤面6a側ではあるものの流出部276b方向、つまり遊技球の進入方向に跳ね返ってしまい、後続の遊技球と衝突してしまうことが防止される。
また、この第1球誘導部材500は、流出部276bから下向きに流出された遊技球を左側に方向変換して遊技領域7の中央に向けて誘導する転動面501を有しているが、上転動面501bのみが流出部276bに対応するため、上転動面501bに集中して遊技球が衝突してくる。よって、このように遊技球の衝突位置がある程度特定されている場合、転動面501のうち衝突位置にのみ衝突部505を突設することで、部分的に肉厚部が形成され強度が高まるため、転動面501の破損や損傷が防止される。
また、上転動面501bは、転動傾斜面501aを挟んで下転動面501cよりもやや上方位置に形成されていることで、跳ね返った遊技球が衝突傾斜面505aよりも下流側で、かつ、下方位置に落下するとともに、傾斜角度が大きい転動傾斜面501aにより左側に誘導されやすくなることで、跳ね返った後その場に留まらずに速やかに誘導されるため、後続球との干渉を回避できる。
次に、図13〜図16に示すように、第2球誘導部材550は、遊技盤面6aから前方に隆起するように設けられる立体構造物であり、遊技盤面6aに対して前面側からネジ等により取り付けられる。上面には、第1球誘導部材500により遊技領域7の中央側に誘導された後、複数の障害釘Kにより誘導されてきた遊技球をさらに遊技領域7の中央側、具体的には左側方に位置する可変入賞球装置15に誘導可能とする転動部としての転動面551が形成されている。
転動面551は、遊技盤面6aに対し略直交する方向を向くとともに、該遊技盤面6aに沿う方向のうち、遊技領域7の右側から中央側に向けて下方に傾斜するように延設される平坦な帯板状の傾斜面にて構成されている。転動面551の前後幅方向の略中央位置には段部としての転動傾斜面551aが形成されており、該転動傾斜面551aと、転動傾斜面551aの傾斜上位側の上転動面551bと、転動傾斜面551aの傾斜下位側の下転動面551cと、により連続する転動面551が構成されている。
転動面551における前辺には、右側端部から左側端部の手前にかけて所定高さを有する側壁553が延設されている。また、側壁553における転動面551側の内側端面553aは、上部から下部に向けて転動面551側に傾斜する傾斜面とされており、上方から側壁553上に落下してきた遊技球を転動面551側に誘導するようになっている。また、転動面551の左側端部には、段部554を介して平坦な右転動面555が形成されている。尚、転動傾斜面551aは段部554から連設されているため、段部554とは別個で形成された場合よりも強度が高くなっている。
上転動面551bは、前辺から転動傾斜面551aまで延設され、下転動面551cは、転動傾斜面551aから後辺まで延設されている。これら上転動面551b及び下転動面551cは、前後幅方向に向けて略水平に設けられ、転動傾斜面551aのみが前側から後側に向けて下方に傾斜している。すなわち、転動面551の前側には、段部554から左側端部の手前にかけて横長帯状の凸条が延設されている。
このように構成された第2球誘導部材550は、図15及び図16に示すように、第1球誘導部材500よりも左側下方であって、大入賞口20bの下方位置に設けられている。図16に示すように、転動面551は、遊技盤面6aに対し略直交する起立姿勢で設けられ、前後幅寸法L12は、遊技球の直径2Rよりも幅広で、かつ、遊技盤面6aと透視窓102aとの離間幅寸法L11よりも若干幅狭に形成されている。尚、離間幅寸法L11は直径2Rの遊技球2個分の長さ(2R×2=4R)よりも幅狭とされている(2R<L12<L11<4R)。
よって、第1球誘導部材500にて誘導され第2球誘導部材550上に流下してきた遊技球は、該第2球誘導部材550と透視窓102aとの間に挟まったりすり抜けたりすることなく、確実に転動面551上に落下して左側の可変入賞球装置15に向けて誘導されるようになっている。
また、上転動面551bの前後幅寸法L13は、遊技球の半径Rよりも短寸とされているため(R>L13)、側壁553付近に落下してきた遊技球は、上転動面551bに衝突することなく、転動傾斜面551aに衝突するようになっている。
一方、下転動面551cの前後幅寸法L14は、遊技球の半径Rよりも長寸とされているとともに(R<L14)、転動傾斜面551aの傾斜角度が小さいことから、遊技盤面6a側の壁面20c近くを流下してきた遊技球は下転動面551cに衝突し、該下転動面551c上を転動可能とされている。
このように、前後方向に水平な下転動面551cを有することで、遊技球が転動傾斜面551aにより壁面20c側に寄せられて、該転動傾斜面551aと壁面20cとの2点に接触した状態のまま転動することが回避されるので、遊技球を下転動面551c上で抵抗なく転動させてスムーズに誘導することができる。つまり、下転動面551cは転動部を構成している。
また、第1球誘導部材500及び複数の障害釘Kによって左側に誘導され流下してきた遊技球は、転動面551における上転動面551bを除く長手方向の所定箇所に衝突する。離間幅寸法L11は、遊技球の直径2R以上の幅寸法を有しているので、転動面551に衝突した遊技球が透視窓102a側に跳ねる可能性があるが、転動傾斜面551aは遊技盤6側に向けて下方に傾斜しているため、透視窓102a近傍を流下してきた遊技球が遊技盤面6a側に向けて強制的に跳ね返されるようになる。
尚、壁面20c近傍を流下してきた遊技球は、前後方向に略水平な下転動面551cに衝突することがあるが、透視窓102aから離れているため、パチンコ遊技機1の傾き等により透視窓102a側に跳ねたとしても勢いよくぶつかることもないし、少しでも前側にずれて衝突すれば、転動傾斜面551aに衝突して遊技盤面6a側に向けて跳ね返ることになる。
これにより、遊技球が透視窓102aに跳ね返ることが防止され、透視窓102aを接触により傷つけることを抑制できるので、傷により体裁や耐久性が損なわれたり、視認性が低下することが防止される。
また、転動傾斜面551a及び下転動面551cを含む転動面551は、幅方向の左側から右側に向けて下方に傾斜しているため、衝突して跳ね返った遊技球は、遊技盤面6a側だけでなく、転動面551の傾斜下位側、つまり遊技球の誘導方向に向けて跳ね返るようになる。よって、特定方向から転動傾斜面551a及び下転動面551cに誘導される遊技球を、遊技盤面6a側ではあるものの前記特定方向、つまり遊技球の進入方向に跳ね返ってしまい、後続の遊技球と衝突してしまうことが防止される。
また、転動傾斜面551aは、転動面551の一部に形成され、透視窓102a側から遊技盤面6a側に向けて下方に傾斜する傾斜面にて構成されているため、衝突部が転動面551に対し突設されることがないので、衝突した遊技球を遊技盤面6a側に跳ね返しつつ、転動面551の傾斜方向である左方向への転動を妨げない。つまり、転動傾斜面551aは、衝突部及び転動部双方を構成している。
また、転動面551は、転動傾斜面551aの傾斜下位側から遊技盤面6aに向けて設けられる下転動面551cと、転動傾斜面551aの傾斜上位側から透視窓102a側の側壁553に向けて設けられる上転動面551bと、を含むことで、転動傾斜面551aの傾斜角度を確保しつつ、該転動傾斜面551aにおいて遊技球が透視窓102aや側壁553などに接触することにより衝突しない傾斜上位部や、遊技球が遊技盤面6aや壁面20cなどに接触することにより衝突しない傾斜下位部を平面にすることで、転動面551を構成する第2球誘導部材550の上下方向の幅寸法を極力抑制することができる。
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、遊技領域7を流下する遊技球が衝突する衝突部505や転動傾斜面551a及び下転動面551cと、これら衝突部505や転動傾斜面551a及び下転動面551cに衝突した遊技球を遊技盤面6aに沿う方向のうち所定方向である左側に向けて誘導する転動部である転動面501,551と、を備えており、衝突部505及び転動傾斜面551aは、衝突した遊技球を遊技盤面6a側に向けて跳ね返すように、透視窓102a側から遊技盤面6aに対し下方に傾斜するように形成されているため、遊技領域7を流下する際に衝突部505や転動傾斜面551aに衝突した遊技球は、転動面501,551により遊技盤面6aに沿って左側に誘導されるが、衝突部505や転動傾斜面551aに衝突した際に遊技球は遊技盤面6a側に跳ね返されるので、該跳ね返った遊技球が透視窓102aに接触し損傷することによりガラス板や合成樹脂板からなる透視窓102aの耐久性が低下したり、傷により遊技領域7の視認性が低下することが防止される。
本実施例では、衝突部505は、第1球誘導部材500の転動面501上に一体に形成され、転動傾斜面551a及び下転動面551cは、第2球誘導部材550の転動面551上に一体に形成されていたが、衝突部と転動部とは、上記のように単一の部材に一体に形成されていてもよいし、あるいは、衝突部と転動部とをそれぞれ別個の部材に設けてもよい。
また、遊技領域7を流下する遊技球を、遊技盤面6aに沿う方向のうち特定方向(例えば、鉛直上方)から衝突部505や転動傾斜面551aへ誘導する誘導部である球案内通路276や障害釘Kを備え、衝突部505や転動傾斜面551aは、前記特定方向とは異なる方向(例えば、左斜め上等)に遊技球を跳ね返すように形成されることで、特定方向から衝突部505や転動傾斜面551aに向けて誘導された遊技球が該特定方向、つまり、遊技球の進入方向に跳ね返ることが防止されることで、跳ね返った遊技球が後続の遊技球に衝突して遊技球を転動面501,551で誘導できなくなることが防止される。
なお、本実施例では、衝突部505へ誘導する誘導部は球案内通路276を構成する誘導面275a,410dであり、これら誘導面275a,410dは略真上から衝突部505に遊技球を誘導するようになっていたが、例えば遊技盤面6aに沿う方向であれば、例えば左斜め上や右斜め上方向から衝突部505に誘導するようにしてもよい。また、誘導部は、このような誘導面275a,410dだけでなく、遊技球を特定方向から転動傾斜面551aへ誘導する障害釘K等であってもよい。
また、本実施例では、衝突部505や転動傾斜面551aに衝突した遊技球を特定方向(進入方向)とは異なる、転動面501,551の傾斜方向に向けて跳ね返すようにしていたが、遊技球の進入方向とは異なっていれば、転動面501,551の傾斜方向以外の方向に跳ね返るようにしてもよい。
また、衝突部に衝突した遊技球を遊技盤面6aに沿う方向のうち所定方向である左斜め下側に誘導する転動部としての転動面501,551は、遊技領域7を流下する遊技球を遊技盤面6aに沿う方向のうち所定方向である左斜め下側に向けて誘導するように構成されていたが、例えば右斜め下等の他の方向に向けて誘導するように構成してもよい。
また、前記転動部は、遊技盤面6aに沿って延設される所定長さを有する転動面にて構成されていたが、遊技球を遊技盤面6aに沿って所定方向に誘導できる長さを有するものであれば、遊技球が転動可能な転動面に限定されるものではなく、例えばレール部材や凹溝部等であってもよい。
また、本実施例では、衝突部としての衝突部505や転動傾斜面551a、転動部としての転動面501,551は、第1,2球誘導部材500,550に形成されていたが、このような衝突部及び誘導部は、例えばセンター枠飾り11、可変入賞球装置15、特別可変入賞球装置20、装飾部材25の一部等、遊技球が衝突可能な箇所に設けられる他の部材に形成されていてもよい。
例えば、緩衝部280は、本発明の衝突部として構成する場合、遊技球との衝突面が遊技盤面6a側に向けて傾斜するように設けられていればよい。また、この場合、緩衝部280の下流側の誘導面275a,410dが緩衝部280に衝突した遊技球を誘導する転動面を構成する。
また、転動傾斜面551aは、転動面551の一部に形成され、透視窓102a側から遊技盤面6a側に向けて下方に傾斜する傾斜面にて構成されていることで、衝突部を転動面551と一体に形成できるとともに、転動面551に対し突出しないので衝突した遊技球を遊技盤面6a側に跳ね返しつつ、転動面551による遊技球の所定方向への転動を妨げることがない。つまり、転動傾斜面551aは衝突部及び転動部双方を構成している。
また、転動面551は、転動傾斜面551aの傾斜下位側から遊技盤面6aに向けて設けられる下転動面551cと、転動傾斜面551aの傾斜上位側から透視窓102aに向けて設けられる上転動面551bと、を含むことで、転動傾斜面551aの傾斜角度を確保しつつ、該転動傾斜面551aにおいて遊技球が透視窓102aや遊技盤面6aなどに接触することにより衝突しない傾斜上位部や傾斜下位部を平面にすることで、転動面551を構成する第2球誘導部材550の上下方向の幅寸法を極力抑制することができる。
また、衝突部505は、転動面501の所定箇所である上転動面501bに突設され、透視窓102a側から遊技盤面6a側に向けて下方に傾斜するように形成されていることで、衝突部505を転動面501上に突設するので、転動面501による遊技球の所定方向への転動に影響を及ぼすことなく跳ね返し角度を調整して形成することができる。言い換えると、転動面501の左右方向の傾斜に影響されることなく、遊技球を遊技盤面6a側に跳ね返す傾斜面を形成することができる。
また、本実施例では、転動傾斜面551aは、特別可変入賞球装置20よりも下方位置に設けられ、透視窓102a側から遊技盤面6aに向けて下方に傾斜して設けられていたが、例えば図18に示すように、該転動傾斜面551aの法線Pが遊技盤面6aにおける大入賞口20bより下方位置で交差するように設ければ、転動傾斜面551aにて跳ね返った遊技球が開状態の大入賞口扉20aに接触しにくくなるので、例えば大当り遊技状態などで開状態にある大入賞口扉20aを閉状態にしてしまうことを回避できる。
また、遊技領域7の周囲に設けられ、該遊技領域7に打ち出された遊技球を遊技領域7の周縁に沿うように誘導する外レール401及び外レール飾り410a〜410cと、遊技領域7に設けられるセンター枠飾り11と、遊技領域7のうち外レール401及び外レール飾り410a〜410cとセンター枠飾り11との間に形成される球案内通路276と、を備え、衝突部505は球案内通路276の下流側に配設され、この球案内通路276に、流下する遊技球の流下速度を減速させる第1減速部278及び第2減速部279が設けられていることで、遊技領域7に打ち出され勢いがある遊技球が流下する球案内通路276にて遊技球の流下速度が減速されることで衝突部505にかかる衝撃が抑制されるため、衝突部505の破損が防止されるばかりか、跳ね返りも小さくなるので透視窓102aに接触しにくくなる。
なお、本実施例では、球案内通路276にて遊技球の流下速度を低下させる第1減速部278及び第2減速部279は、球通路を蛇行させることにより流下速度を減速させるものであったが、例えば遊技球が接触する流下面に模様など微小の凹凸部を形成することにより接触時の抵抗を増大させることで減速させるようにしてもよいし、通路の一部にUターン部を設けて遊技球を一旦上方に戻してから再度流下させるようにしてもよい。
また、本実施例では、衝突部505や転動傾斜面551aに衝突して跳ね返った遊技球は、遊技盤面6aに衝突するようになるが、このように、遊技盤面6aや遊技盤面6a側に配置される壁面20c等において衝突部505や転動傾斜面551aに対応する部位に、衝突してきた遊技球を跳ね返す力を減衰させる反発減衰部が設けられていることが好ましい。
具体的には、例えばこのような反発減衰部は、遊技盤6に比べて、反発係数が低い素材(例えば、ゴム材等)にて構成されていたり、衝突面が粗面にて構成されていたり、衝撃を吸収または緩和可能な構造にて構成されていてもよい。なお、この衝撃を吸収または緩和可能な構造とは、例えば入賞通路空間の開口である大入賞口20bを開閉する大入賞口扉20aのように、中空状の空間の開口を閉鎖する部材等であってもよい。
また、本実施例では、第2球誘導部材550は、転動傾斜面551aだけでなく、下転動面551cにも遊技球が衝突可能に構成されていたが、上転動面551b及び下転動面551c双方に遊技球が衝突することなく、転動傾斜面551aにのみ遊技球が衝突するようにしてもよい。この場合、下転動面551cの前後幅寸法L13を、遊技球の半径Rと同一、または半径Rよりも短寸とすればよい(L13≦R)。
また、下転動面551cの前後幅寸法L13を遊技球の半径Rよりも短寸としなくても、前後幅寸法L13に応じて、転動傾斜面551aの水平面に対する前後方向の傾斜角度を変えることによっても、下転動面551cよりも優先して転動傾斜面551aに遊技球が衝突するようにすることができる。
具体的に説明すると、図19に示すように、下転動面551cの前後幅寸法t(t=L13)が遊技球の半径Rよりも長寸である場合において(t=r+x)、遊技球が遊技盤面6a、下転動面551c、転動傾斜面551aの3点に接する状態では、転動傾斜面551aの水平面に対する前後方向の傾斜角度θと前後幅寸法tとの関係は、以下に示す数式1が成り立つ値となる。
(数式1)
t=R+(1/tanA)×R=R(1+(1/tanA))
※A=180−θ/2、tanA=R/x、x=(1/tanA)×R
よって、例えば、θ=60度とした場合、t=R(1+(1/tanA))=R(1+(1/√3))=1.58Rとなるため、前後幅t=1.58であれば遊技球は転動傾斜面551aに接するため、t≧R、θ=60度とする場合、前後幅tを1.58R以下の値とすれば(t≦1.58R)、下転動面551cよりも優先して転動傾斜面551aに遊技球が衝突するようになる。すなわち、角度θの値を大きくすれば前後幅tを長くしてもよく、角度θの値を小さくすれば前後幅tを短くする必要がある。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
また、前記実施例では、遊技媒体の一例として、球状のパチンコ球(遊技球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えばメダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。