以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態に係る、ぱちんこ遊技機は、従来の第1種ぱちんこ遊技機に相当する機能を二つ混在した機種であり、第1の遊技(第1特別図柄遊技)と第2の遊技(第2特別図柄遊技)とを展開可能である。
[本実施形態]
本実施形態に係る、ぱちんこ遊技機PMの正面図及び背面図を図1及び図2に示しており、まず、この図を参照して、ぱちんこ遊技機PMの全体構成について概要説明する。
<遊技機の基本構成>
はじめに、図1を参照しながら、ぱちんこ遊技機PMの正面側の基本構造を説明する。ぱちんこ遊技機PMは、図1に示すように、外郭方形枠サイズに構成された縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載枠をなす前枠2が互いの正面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構3a,3bにより横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側縁部に設けられたダブル錠と称される施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉鎖状態に保持される。
前枠2の前面側には、ガラス枠5および球皿ユニット6が正面左側部に設けられたヒンジ機構7a,7b,7cを利用して横開き開閉および着脱可能に組み付けられ、施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉鎖状態に保持される。ガラス枠5の背後に位置する前枠2の上部には、遊技盤20が着脱可能にセット保持され、常には閉鎖保持されるガラス枠5の複層ガラスを通して遊技盤20の正面の遊技領域PAを視認可能に臨ませるようになっている。
ガラス枠5の前面側には、遊技の展開状況に応じて発光する枠ランプ(LEDランプ)10や、遊技の展開状況に応じて効果音を発生するスピーカ11が設けられている。球皿ユニット6には、遊技球を貯留する上下の球皿(上球皿8及び下球皿9)が設けられており、上球皿8の正面中央には遊技者によって押圧操作される演出ボタン15が設けられ、下球皿9の正面右側には遊技球の発射操作を行う発射ハンドル12が設けられている。
遊技盤20は、例えばアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂、ABS樹脂等の合成樹脂材料を用いて矩形平板状に形成された基板をベースとして構成されている。遊技盤20の前面には、遊技球が転動可能な略円形の遊技領域PAが区画形成され、この遊技領域PAに多数本の遊技釘(図1では不図示)や風車とともに、一般入賞口50、第1始動口51、第2始動口52、作動ゲート53、大入賞口60などの各種入賞口の他、第1特別図柄表示装置71、第2特別図柄表示装置72、第1特図保留ランプ73、第2特図保留ランプ74、普通図柄表示装置75、普図保留ランプ76などの各種表示装置が設けられている。遊技領域PAの略中央にはセンター役物80が配設されており、このセンター役物80の中央開口を通して演出表示装置70の画面が視認可能に設けられている。遊技領域PAの下端には各入賞口に入球せずに転動流下した遊技球を遊技盤20の裏側へ排出するアウト口29が設けられている。以下、遊技盤20に設けられた各構成要素を順番に説明する。
一般入賞口50は、遊技球の入球を検出するための一般入賞口スイッチ501を備えている。なお、複数の一般入賞口スイッチ501を複数の一般入賞口50に対する兼用のスイッチとして構成してもよい。なお、一般入賞口50への遊技球の入球は、いずれの抽選の契機ともならない。
第1始動口51は、第1特別図柄遊技に対応する始動入賞口として設けられており、遊技球の入球を検出するための第1始動口スイッチ511を備えている。第1始動口51への遊技球の入球は、第1特別図柄抽選の契機となる。
第2始動口52は、第2特別図柄遊技に対応する始動入賞口として設けられており、遊技球の入球を検出するための第2始動口スイッチ521を備えている。第2始動口52への遊技球の入球は、第2特別図柄抽選の契機となる。また、第2始動口52は、普通電動役物522と、この普通電動役物522を開閉駆動させるための普通電動役物ソレノイド523とを備える。普通電動役物522は、第2始動口52へ遊技球が入球し難い閉鎖状態と該状態よりも遊技球が入球し易い開放状態とに可変する。ここで、第2始動口52は、作動ゲート53の真下に配置されており、普通電動役物522が開放状態であれば、作動ゲート53を通過した遊技球が入球し易くなっている。第2始動口52は、遊技領域PAにおける右側寄りの領域に設けられている。そのため、入球容易状態においては、遊技領域PAへ向けて遊技球を発射する際に、右側領域を狙って打つ、いわゆる右打ちを行うことで、第2始動口52へ入球容易となっている。
作動ゲート53は、普通図柄遊技に対応する始動入賞口として設けられており、遊技球の通過を検出するための作動ゲートスイッチ531を備えている。なお、作動ゲート53への遊技球の通過は、該ゲート直下に配置された普通電動役物522を拡開させるか否かを決定するための普通図柄抽選の契機となる。
大入賞口60は、第1特別図柄又は第2特別図柄の当否抽選で大当り又は小当りとなった場合に開放状態となる可変入賞口として形成される。大入賞口60は、遊技球の入球を検出するための大入賞口スイッチ641を備えるとともに、いわゆるアタッカー装置と称される特別電動役物642と、この特別電動役物642を開閉駆動させるための大入賞口ソレノイド643とを備えている。特別電動役物642は、大入賞口60に遊技球が入球不能又は入球困難な通常状態と遊技球が入球可能又は入球容易な開放状態とに可変する。大入賞口60は、遊技領域PAにおける右側寄りの領域に設けられている。そのため、特別遊技状態においては、遊技領域PAへ向けて遊技球を発射する際に、右側領域を狙って打つ、いわゆる右打ちを行うことで、大入賞口60へ入球容易となっている。
第1特別図柄表示装置71は、遊技球が第1始動口51に入球したことを契機として、第1特別図柄の変動表示および確定表示を行う。第1特別図柄表示装置71は、例えば7セグメントのLEDで構成され、第1特別図柄の変動表示は各セグメントの点滅パターンに従って表現され、当該セグメントの点滅が停止して点灯表示に切り替わることで第1特別図柄が確定表示される。この第1特別図柄の停止図柄は、各セグメントの組合せで表現される数字や記号などによって形成される。
第2特別図柄表示装置72は、遊技球が第2始動口52に入球したことを契機として、第1特別図柄の変動表示および確定表示を行う。第2特別図柄表示装置72は、例えば7セグメントのLEDで構成され、第2特別図柄の変動表示は各セグメントの点滅パターンに従って表現され、当該セグメントの点滅が停止して点灯表示に切り替わることで第2特別図柄が確定表示される。この第2特別図柄の停止図柄は、各セグメントの組合せで表現される数字や記号などによって形成される。
第1特図保留ランプ73および第2特図保留ランプ74は、例えば2個のLEDランプからそれぞれ構成され、当該ランプの点灯・点滅表示によって第1特別図柄および第2特別図柄の作動保留球数(最大4個)を表現する。第1特別図柄の作動保留球数は、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動中あるいは特別遊技の実行中に、第1始動口51への入球に基づき取得した乱数値に係る数であり、当該取得した乱数値を保留する、すなわち、当該取得した乱数値について当否判定許可条件(変動開始条件)を充足するまで当否判定が一旦保留されることになった数を示している。第2特別図柄の作動保留球数は、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動中あるいは特別遊技の実行中に、第2始動口52への入球に基づき取得した乱数値に係る数であり、当該取得した乱数値を保留する、すなわち、当該取得した乱数値について当否判定許可条件(変動開始条件)を充足するまで当否判定が一旦保留されることになった数を示している。
普通図柄表示装置75は、例えば2個のLEDランプから構成され、当該ランプの点灯・点滅表示によって、普通図柄の変動表示及び確定表示を行う。本実施形態では、例えば、普通図柄の変動表示を二つのランプが交互に点灯と消灯とを繰り返すかたちで表現し、いずれのランプが最終的に点灯した状態で停止表示するかによって、普通図柄の抽選結果を報知する。普図保留ランプ76は、例えば2個のLEDランプから構成され、当該ランプの点灯・点滅表示によって、普通図柄の作動保留球数(最大4個)を表現する。なお、普通図柄表示装置75の左側には、特別遊技におけるラウンド遊技の回数(ラウンド数:特別電動役物642が連続して作動する回数)を表示するラウンド表示器77が設けられている。
演出表示装置70は、主として、第1特別図柄又は第2特別図柄と連動して変動表示・停止する装飾図柄や予告演出を含む演出画像を表示するとともに、第1特別図柄および第2特別図柄の保留表示を行う。具体的には、演出表示装置70の画面上に、装飾図柄の変動表示や予告演出表示などが実行される装飾図柄表示部700と、第1特図保留ランプ73と同期して第1特別図柄の保留表示が実行される第1特図保留表示部701と、第2特図保留ランプ74と同期して第2特別図柄の保留表示が実行される第2特図保留表示部702と、が設けられている。本実施形態では、演出表示装置70として、液晶表示装置を採用している。装飾図柄表示部700には、所定の有効ライン(不図示)上に、装飾図柄の変動表示領域となる三列の表示領域(左表示領域Z1、中表示領域Z2、右表示領域Z3)が設けられており、左表示領域Z1に対応して装飾図柄の左図柄、中表示領域Z2に対応して装飾図柄の中図柄、右表示領域Z3に対応して装飾図柄の右図柄がそれぞれ停止表示される。特図保留表示部701,702には、通常の表示態様では、特別図柄の作動保留球が生起されると白丸印の保留画像が表示される一方、当該作動保留球が消化されると対応する保留画像が消失される。この保留画像は、特別図柄の作動保留球の発生順(入球順)に従って順番に表示され、各保留表示部701,702に最大で4個ずつ表示が可能である。
センター役物80は、演出表示装置70の周囲に設置され、遊技球の流路、演出表示装置70の画面の保護、装飾等の機能を有する。センター役物80には、遊技の展開状況に応じた演出動作を実行する可動役物24が設けられている。可動役物24は、ステッピングモータやソレノイドなどの駆動源を備えて構成されている。また、センター飾り22には、遊技の展開状況に応じて発光する盤ランプ(LEDランプ)25が設けられている。以下の説明では、便宜上、枠ランプ10および盤ランプ25を総称して「演出ランプLP」とも称する。なお、遊技盤20の盤面構成については、後に詳述する。
続いて、図2を参照しながら、ぱちんこ遊技機PMの背面側の基本構造を説明する。前枠2の背面側には、ほぼ中央に前後連通する窓口を有して前枠2よりも幾分小型の矩形枠状に形成された裏セット盤30が着脱自在に取り付けられている。裏セット盤30の各部には、多数個の遊技球を貯留する貯留タンク31、貯留タンク31から右方に緩やかな下り傾斜を有して延びるタンクレール32、タンクレール32の右端部に繋がり下方に延びる球供給通路部33、球供給通路部33により導かれた遊技球を払い出す賞球払出ユニット34、賞球払出ユニット34から払い出された遊技球を上球皿6に導くための賞球通路部35などが設けられている。
遊技盤10の背面側には、ぱちんこ遊技機PMの作動を統括的に制御する主制御基板100や、演出全般の制御を行う演出制御基板200、遊技展開に応じた画像表示、効果音の制御を行う画像制御基板300などが取り付けられている。なお、本実施形態では、演出制御基板200および画像制御基板300は、演出表示装置(液晶表示装置)70と一体化されたアッセンブリ状態で液晶ユニットを構成している。これに対して、裏セット盤30の背面側には、遊技球の発射及び払い出しに関する制御を行う払出制御基板400や、遊技施設側から受電して各種制御基板や電気・電子部品に電力を供給する電源基板500などが取り付けられている。なお、これらの制御基板は、不正改造防止のため、カシメ構造及び封印シール構造を有する透明樹脂製の基板ケースに収容されたアッセンブリ状態で遊技盤20背面又は裏セット盤30背面の所定位置にそれぞれ配設される。これらの制御基板とぱちんこ遊技機PM各部の電気・電子部品とがハーネス(コネクタケーブル)を介して相互に接続されて、ぱちんこ遊技機PMが作動可能に構成されている。
<ぱちんこ遊技機の制御構成>
次に、図3を追加参照して、本実施形態に係るぱちんこ遊技機PMに搭載された各制御基板について説明する。図3は、ぱちんこ遊技機PMの制御構成を示す制御ブロック図である。
主制御基板100は、遊技に関する各種の演算処理を行うメインCPU101と、制御プログラムや各種データ等を記憶したROM102と、一時記憶領域となるワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM103と、周辺基板や各デバイスとの間の信号を入出力するI/Oポート回路104とを備えて構成された主制御マイコン(ワンチップマイコン)110を搭載しており、メインCPU101がROM102に記憶された制御プログラムに従って遊技進行に係る主要な制御を実行するように構成されている。その他、主制御基板100には、図示省略するが、水晶発振器からのクロック信号を分周して内部システムクロックを生成するクロック回路、メインCPU101が誤動作や暴走状態となったときにリセットをかけて正常な状態に復帰させるWDT回路、リアルタイム割込みの発生や時間計測を可能とするCTC回路、メインCPU101によるプログラム処理(ソフトウェア乱数)とは別系統として動作して所定の乱数(内蔵乱数)を生成する乱数生成回路などが搭載されており、これらが内部バスを介して相互に接続されている。
メインCPU101は、各スイッチからの検出情報などに基づき、ROM102に格納された各種の制御プログラムを読み出して演算処理を行うことで、遊技の主制御に係る各種処理を実行する。RAM103は、電源基板500において生成されるバックアップ電源(VBB)によってバックアップされる不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。RAM103のバックアップ領域は、電源断が生じた場合、当該電源断時に保持していたスタックポインタや各レジスタ等のデータを記憶しておくためのエリアとなっており、電源投入時(電源断復帰時)には当該バックアップ領域の情報に基づいて遊技機の状態が電源断前の状態に復帰されるようになっている。
また、主制御基板100は、一般入賞口スイッチ501、第1始動口スイッチ511、第2始動口スイッチ521、作動ゲートスイッチ531、大入賞口スイッチ641などと電気的に接続されており、I/Oポート回路104を介して、各種スイッチからの検出信号をメインCPU101に入力する。また、主制御基板100は、第1特別図柄表示装置71、第2特別図柄表示装置72、第1特図保留ランプ73、第2特図保留ランプ74、普通図柄表示装置75および普図保留ランプ76に電気的に接続され、さらに、普通電動役物ソレノイド623および特別電動役物ソレノイド643,653、に電気的に接続されており、I/Oポート回路104を介して、メインCPU101からの制御信号を各種表示手段および各種ソレノイドに送信する。
主制御基板100と演出制御基板200との間は、8本のパラレル信号線および1本のストローブ線で接続されており、主制御基板100から演出制御基板200へと向かう単一方向のみで通信可能に接続され、主制御基板100から演出制御基板200へ各種の演出制御コマンドが送信される。演出制御基板200から主制御基板100へデータを送信することはできず、また、主制御基板100に対してデータの送信を要求することはできない。
演出制御基板200は、主制御基板100からの演出制御コマンドに基づき遊技演出に関する各種の演算処理を行うサブメインCPU201と、演出制御プログラムや各種データ等を記憶したROM202と、一時記憶領域となるワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM203と、周辺基板や各デバイスとの間の信号を入出力するI/Oポート回路204とを備えて構成された演出制御マイコン(ワンチップマイコン)210を搭載しており、サブメインCPU201がROM202に記憶された制御プログラムに従って遊技演出に係る主要な制御を実行するように構成されている。その他、演出制御基板200には、図示省略するが、水晶発振器からのクロック信号を分周して内部システムクロックを生成するクロック回路、サブメインCPU201が誤動作や暴走状態となったときにリセットをかけて正常な状態に復帰させるWDT回路、システムクロックに基づき各種信号を出力するTPU回路、TPU回路からの信号などに基づきタイマ割込み等の各種割込みを起動させる割込みコントローラ、シリアルデータを入出力するためのシリアル通信回路などが搭載されており、これらが内部バスを介して相互に接続されている。
演出制御基板200は、主制御基板100からの演出制御コマンドに基づく演出制御処理にて、画像制御基板300へ画像および音響を指示する画像制御コマンド、ランプ接続基板91を制御するためのランプ制御信号(ランプデータ)、モータドライバ92を制御するための駆動制御信号(駆動データ)などを生成する。演出制御基板200は、画像制御基板300と双方向通信が可能に接続されており、画像および音響に関する画像制御コマンドが演出制御基板200から画像制御基板300へ送信される一方、その応答として、この画像制御コマンドを正常に受信できた旨を示す応答コマンド(ACKコマンド)が画像制御基板300から演出制御基板200へ送信される。
また、演出制御基板200は、複数のLEDドライバを搭載したランプ接続基板91と電気接続されており、シリアル通信回路を介して、ランプ接続基板91を制御するためのランプ制御信号(ランプデータ)を送信する。なお、本例では、演出制御基板200とランプ接続基板91とは、クロック同期式のシリアル通信が採用されており、ランプデータ伝送用のデータ線とは別の信号線(クロック線)で送信されるクロック信号に同期して、ランプ制御信号が当該データ線を介して1ビットずつ送信される。ランプ接続基板91は、演出制御基板200から送信されるLED駆動用のランプ制御信号を受けて機能するLEDドライバを内蔵しており、このランプ制御信号に基づき回路内のスイッチをオン/オフ切り替えることにより、演出ランプLPに対して駆動電流を供給又は遮断して、演出ランプLPを点灯又は消灯させる制御を行う。
さらに、演出制御基板200は、複数のモータドライバ92と電気接続されており、I/Oポート回路204を介して、モータドライバ92を制御するための駆動制御信号(駆動データ)をモータドライバ92へ送信する。モータドライバ92は、演出制御基板200から送信される役物駆動用の駆動制御信号に基づき回路内のスイッチをオン/オフ切り替えることにより、各可動役物24のステッピングモータに対して駆動電流を供給又は遮断して、各可動役物24を動作させる制御を行う。なお、モータドライバ92へのデータ送信はパラレル通信方式が採用されている。
画像制御基板300は、演出制御基板200からの画像制御コマンドに基づき画像演出に関する各種の演算処理を行うサブサブCPU301と、画像制御プログラムや各種データ等を記憶したROM302と、一時記憶領域となるワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM303と、周辺基板や各デバイスとの間の信号を入出力するI/Oポート回路304とを備えて構成された画像制御マイコン(ワンチップマイコン)310を搭載しており、サブサブCPU301がROM302に記憶された制御プログラムに従って画像演出に係る主要な制御を実行するように構成されている。その他、画像制御基板300には、図示省略するが、サブサブCPU301から取得した制御信号に基づき演出内容に沿った画像データを生成するVDPと、サブサブCPU301から取得した制御信号に基づき演出内容に沿った音響データを生成する音源ICとを搭載している。VDPは、いわゆる画像プロセッサであり、サブサブCPU301からの指示に応じて画像ROMに記憶された画像データを読み込み、これを画像処理して生成した映像信号(画像データ)を演出表示装置に送信する。このVPDには、画像ROMから読み出された画像データの展開・加工に使用される高速のVRAMが接続されている。音源ICは、サブサブCPU301からの指示に応じて音声ROMに記憶された音響データを読み込み、これを合成処理して生成した音響データを増幅器(デジタルアンプ)を介してスピーカ11に出力する。
払出制御基板400は、払出CPU401、ROM402およびRAM403を主体として構成されている。払出制御基板400は、主制御基板100と双方向通信可能に接続されており、主制御基板100からの払出制御コマンドに基づいて賞球払出ユニット34を駆動させて賞球を払い出すための制御を実行するとともに、発射ハンドル12の操作量に基づき球送り機構13と発射機構14とを同期的に駆動させて遊技球の発射の制御を実行する。
電源基板500は、詳細図示を省略するが、遊技島の電源設備から供給される一次電源を基に、各制御基板で使用される通常時の電源を生成するための通常電源回路と、バックアップ電源(VBB)を生成するためのバックアップ電源回路と、電圧低下による電源断を監視するための電源断監視回路と、を具備して構成され、各制御基板や遊技用機器等の電子・電気部品に必要な電源を供給する。電源基板500には、電源回路を起動させるための電源スイッチが接続されており、遊技島の電源装置から1次電源が供給されていることを前提として、該電源スイッチがオンになると、電源基板500の通常電源回路から各制御基板などに所定の電源が供給される。電源基板500は、遊技島の電源装置からの電源供給が遮断されたことを検出可能に構成されており、電源断の検出時にはその旨を報知する電源断信号(NMI信号)を主制御基板100、演出制御基板200、払出制御基板400に送信する。なお、バックアップ電源回路は、遊技島の電源装置からぱちんこ遊技機PMに電源が供給されているときに充電される仕組みとなっている。また、電源基板500には、ぱちんこ遊技機PMの電源投入時に、主制御基板100のRAM103の一時記憶内容を一旦消去して初期値を設定するためのRAMクリアスイッチ(図示せず)が接続されている。なお、RAMクリアスイッチは、電源基板500ではなく、例えば主制御基板100に接続される構成であってもよい。
<ぱちんこ遊技機の基本動作>
以上のように構成される、ぱちんこ遊技機PMは、外枠1が遊技施設の遊技島に固定設置され、前枠2、ガラス枠5、球皿ユニット6等が閉鎖施錠された状態で遊技に供され、上球皿8に遊技球を貯留させて発射ハンドル12を回動操作することにより遊技が開始される。発射ハンドル12が回動操作されると、上球皿8に貯留された遊技球が、ガラス枠5の背面側に配設される球送り機構13(図3を参照)によって1球ずつ発射機構14(図3を参照)に送り出され、該発射機構14により遊技領域PAに打ち出される。
遊技領域PAを転動流下する遊技球が、一般入賞口50、第1始動口51、第2始動口52、大入賞口60のいずれかに入球すると、その入賞口の種別に応じた賞球が賞球払出ユニット33により上球皿8又は下球皿9に払い出される。本例では、一般入賞口50に入賞した場合の賞球数は「10個」、第1始動口51又は第2始動口51に入賞した場合の賞球数は「3個」、大入賞口60に入賞した場合の賞球数は「15個」である。また、遊技球が第1始動口51又は第2始動口52に入球すると、特別図柄遊技の抽選乱数値が取得され、当該乱数値を所定の上限個数まで特別図柄の保留球として一時記憶する。そして、所定の始動条件が成立する場合に、最先の保留球に係る抽選乱数値に対して特別図柄の当否判定、図柄判定、変動パターン判定を行い、この判定結果に応じた態様で、第1特別図柄表示装置71又は第2特別図柄表示装置72において特別図柄が変動表示されるとともに、演出表示装置70において装飾図柄が変動表示される。特別図柄および装飾図柄の変動表示は、前記選択された変動パターンに応じた変動時間の経過後に同期的に停止表示される。
第1特別図柄又は第2特別図柄が大当りを示す停止態様で確定表示された場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口60の開閉動作が開始される。大当りを示す装飾図柄の停止態様は、例えば3つの図柄の種類が一致する態様である。本実施形態では、特別遊技として、ラウンド遊技が16回(16ラウンド)に設定された16R特別遊技と、ラウンド遊技が8回(8ラウンド)に設定された8R特別遊技と、ラウンド遊技が2回(2ラウンド)に設定された2R特別遊技とが設けられている。
本実施形態では、16R特別遊技、8R特別遊技および2R特別遊技のいずれに移行されたとしても、特別遊技の終了後から特別図柄の変動回数が所定の終期回数に達するまで、特別図柄の確率変動機能が一律に作動する。すなわち、本実施形態に係るぱちんこ遊技機PMは、確変突入率が100%の回数切り確変機、所謂「ST機」と称される遊技機である。従って、本実施形態では、特別図柄の確率変動機能が作動中の状態(「特別図柄確変状態」とも称する)が次の大当りの発生まで継続するのではなく、特別図柄の確変状態が維持される期間(「ST期間」とも称する)が所定の終期回数(「ST回数」とも称する)に達するまでの間に限定されている。特別図柄の確率変動機能が作動した場合には、通常の確率状態よりも特別図柄の大当り確率が高い抽選が行われるため、比較的早期に新たな特別遊技が発生するようになる。
一方、特別遊技が終了した後は、特別図柄の確率変動機能に付随して、又は、特別図柄の確率変動機能と独立して、特別図柄の変動時間短縮機能が作動する場合がある。特別図柄の変動時間短縮機能が作動中の状態(「特別図柄時短状態」とも称する)では、特別図柄及び装飾図柄の平均的な変動時間が通常状態よりも短縮される傾向となり、通常状態よりも単位時間当たりの当否抽選回数が向上する(単位時間当たりの大当りの獲得容易性を高めることができる)。
特別図柄の変動時間短縮機能が作動すると、これに付随して、いわゆる電チューサポート機能が作動した状態(「入球容易状態」と称する)へ移行する。入球容易状態は、電チューサポート機能の一例として、普通図柄の確率変動機能、普通図柄の変動時間短縮機能、普通電動役物522の開放延長機能が作動することにより、第2始動口52への入球容易性が高められる状態である。この入球容易状態においては、一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常よりも増加する可能性が高まる上、第2始動口52への入球容易性も高まるため、第2始動口52への入球数が増加する可能性も向上する。普通図柄の確率変動機能が作動すると、普通図柄の当選確率が通常の確率状態よりも高まる状態となる。普通図柄の変動時間短縮機能が作動すると、普通図柄の変動時間が通常よりも短縮される状態となる。普通電動役物522の開放時間延長機能が作動すると、普通電動役物522の開放時間が通常よりも延長された状態となる。したがって、特別図柄の変動時間短縮機能及び電チューサポート機能の作動により、その期間中は第2始動口52への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち球をほとんど減らさずに遊技を継続することが可能となる。
以下では、説明の便宜上、特別図柄の確率変動機能、特別図柄の変動時間短縮機能、および電チューサポート機能が作動した遊技状態を単に「確変状態」とも称し、特別図柄の確率変動機能のみが作動した遊技状態を「潜伏確変状態(潜伏状態)」とも称し、いずれの機能も作動しない状態を「通常状態」とも称する。
<ぱちんこ遊技機の主要な機能構成>
次に、図4の機能ブロック図を追加参照しながら、本実施形態に係る、ぱちんこ遊技機PM(主として、主制御基板100/演出制御基板200)の各種機能について説明する。
主制御基板100は、図4に示すように、入球判定手段110、遊技抽選乱数発生手段120、保留制御手段130、事前判定手段135、特別図柄抽選処理手段140、普通図柄抽選処理手段145、特別遊技制御手段150、図柄表示制御手段155、電動役物制御手段160、遊技状態制御手段165、エラー監視制御手段170、メイン情報記憶手段180、コマンド送受信手段190、を含む。なお、主制御基板100における上述の各手段は、主制御基板100上に設けられたメインCPU101、ROM102、RAM103、電子回路等のハードウェア及びROM102等に格納された制御プログラム等のソフトウェアにより構成されるものを機能的に表現したものである。
入球判定手段110は、一般入賞口スイッチ501、第1始動口スイッチ511、第2始動口スイッチ521、作動ゲートスイッチ531、大入賞口スイッチ641などからの検出信号に基づき、各入賞口への遊技球の入球を判定する。
遊技抽選乱数発生手段120は、主制御マイコン110の乱数生成回路で生成した内蔵乱数をソフトウェアで取り込み、これに後述の特別図柄当りソフト乱数を加算することで、特別図柄の当否抽選に使用される特別図柄当り乱数を生成する。また、遊技抽選乱数発生手段120は、メインCPU101のプログラム処理によって各種のソフトウェア乱数を生成するための乱数カウンタを備えている。これらの乱数カウンタは、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段としての役割を担っている。このソフトウェア乱数としては、前述の内蔵乱数に加算されて特別図柄当り乱数をなす特別図柄当りソフト乱数、特別図柄当りソフト乱数の初期値および終了値を決定するための特別図柄当りソフト初期値乱数、特別図柄の停止図柄として当り図柄(条件装置を作動させることとなる図柄の組合せ)の決定に使用する特別図柄停止図柄乱数、特別図柄停止図柄乱数の初期値および終了値を決定するための特別図柄停止図柄初期値乱数、特別図柄の変動パターンの選択に使用するための特別図柄変動パターン乱数、普通図柄の当否抽選に使用するための普通図柄当り乱数、普通図柄当り乱数の初期値および終了値を決定するための普通図柄当り初期値乱数、普通図柄の変動パターンの選択に使用するための普通図柄変動パターン乱数などが含まれる。これらのソフトウェア乱数の更新時期としては、タイマ割込み処理が発生する毎に1回更新し、また、初期値乱数についてはタイマ割込み処理を実行していない間(ループ処理中)も割込み周期の残余時間を利用して更新する。
保留制御手段130は、特別図柄保留制御手段131、普通図柄保留制御手段132、を含む。
特別図柄保留制御手段131は、第1始動口51又は第2始動口52への遊技球の入球を契機として、特別図柄遊技に係る抽選乱数値である、特別図柄当り乱数値、特別図柄当り図柄乱数値、特別図柄変動パターン乱数値を取得して、当該乱数値を第1特別図柄又は第2特別図柄の作動保留球情報として管理する。特別図柄保留制御手段131は、第1特別図柄又は第2特別図柄の作動保留球情報をそれぞれ所定の上限個数(4個)まで、当該保留球の入球順序と結合したかたちでメイン情報記憶手段180の第1特別図柄保留格納領域又は第2特別図柄保留格納領域に一時記憶する。
第1特別図柄保留格納領域および第2特別図柄保留格納領域には、各始動口51,52への入球順に、保留1記憶領域(1個目の保留記憶領域)、保留2記憶領域(2個目の保留記憶領域)、保留3記憶領域(3個目の保留記憶領域)、保留4記憶領域(4個目の保留記憶領域)、がそれぞれ設けられている。各保留記憶領域は、作動保留球情報として、
特別図柄当り乱数値、特別図柄当り図柄乱数値、特別図柄変動パターン乱数値を1組セットとしてそれぞれ記憶可能である。作動保留球情報は、保留1記憶領域、保留2記憶領域、保留3記憶領域、保留4記憶領域の順に格納される一方、保留1記憶領域、保留2記憶領域、保留3記憶領域、保留4記憶領域の順に消化される(先入れ先出しの原則)。また、保留1記憶領域の作動保留球情報が消化されると、保留2記憶領域、保留3記憶領域、保留4記憶領域に格納された作動保留球情報を下位の番号の記憶領域にそれぞれシフトするとともに、保留4記憶領域の内容をゼロクリアする。
また、特別図柄保留制御手段131は、第1特別図柄の作動保留球数をカウントするための第1特別図柄保留球数カウンタ、第2特別図柄の作動保留球数をカウントするための第2特別図柄保留球数カウンタ、を有している。特別図柄保留制御手段131は、特別図柄の作動保留球数の更新処理として、特別図柄の作動保留球を1個取得するごとに対応するカウンタを1加算し、作動保留球が1個消化されるごとに対応するカウンタを1減算する。
また、特別図柄保留制御手段131は、第1特別図柄又は第2特別図柄の作動保留球数を更新(加算又は減算)したとき、当該保留球数の更新情報を含む演出制御コマンド(「図柄記憶数コマンド」と称する)を生成して、これをメイン情報記憶手段180のコマンド格納領域に一時記憶する。この1コマンドには、第1特別図柄の作動保留球数と第2特別図柄の作動保留球数との両方の情報が含まれている。なお、原則として、各特別図柄の作動保留球は入球した順番に消化されることになるが、本実施形態では、第1特別図柄よりも第2特別図柄の変動表示を優先的に実行する、いわゆる優先消化を採用するため、第2特別図柄遊技に係る作動保留球が存在する間は、第1特別図柄遊技に係る作動保留球の存在に関係なく、第2特別図柄遊技に係る作動保留球を優先的に消化するように構成されている。なお、この優先消化の下では、第2特別図柄の作動保留球が存在する場合は、第1特別図柄の作動保留球が存在していたとしても、第1特別図柄の作動保留球の消化が保留されることになる。
普通図柄保留制御手段132は、作動ゲート53への遊技球の入球を契機として、普通図柄遊技に係る抽選乱数値である、普通図柄当り乱数値、普通図柄当り図柄乱数値、普通図柄変動パターン乱数値、を取得して、当該乱数値を普通図柄の作動保留球情報として管理する。普通図柄保留制御手段132は、普通図柄の作動保留球情報を所定の上限個数(4個)まで、当該保留球の入球順序と結合したかたちでメイン情報記憶手段180の普通図柄保留格納領域に一時記憶する。また、普通図柄保留制御手段132は、普通図柄の作動保留球数をカウントするための普通図柄保留球数カウンタを有している。普通図柄保留制御手段132は、作動普通図柄の保留球数の更新処理として、普通図柄の作動保留球を1個取得するごとに対応するカウンタを1加算し、作動保留球が1個消化されるごとに対応するカウンタを1減算する。
事前判定手段135は、所定の事前判定タイミングにて特別図柄の作動保留球を取得した場合、当該作動保留球を対象として先読み予告のための事前判定を実行する。事前判定タイミングの一例としては、(1)当り待ち中、且つ、電チューサポート機能が未作動中に第1特別図柄の作動保留球を取得した場合、(2)当り待ち中、かつ、電チューサポート機能が作動中に第2特別図柄の作動保留球を取得した場合、(3)大当り中又は小当り中に第2特別図柄の作動保留球を取得した場合、のうちのいずれかの条件を充足するときである。具体的には、事前判定手段135は、今回取得した作動保留球に対応する乱数値をメイン情報記憶手段180の第1特別図柄保留格納領域又は第2特別図柄保留格納領域から読み出して、当否抽選に係る事前判定(当否事前判定)、図柄抽選に係る事前判定(図柄事前判定)、変動パターン抽選に係る事前判定(変動パターン事前判定)を順次実行する。各事前判定で用いられる事前判定テーブルについては、図示省略するが、後述の抽
選テーブル(特別図柄当否抽選テーブル、特別図柄当り図柄テーブル、変動パターンテーブル)と同様の区切り方で、乱数の総数に相当する領域が複数の領域に区画され、この領域ごとに、抽選結果が割り当てられている。この抽選結果には、各事前判定の結果を示す番号(「事前判定番号」とも称する)として、当否事前判定番号、図柄事前判定番号、変動パターン事前判定番号がそれぞれ設定される。そして、事前判定手段135は、この事前判定結果(事前判定番号)の情報を含む演出制御コマンド(「事前判定コマンド」と称する)を順に生成して、これをメイン情報記憶手段180のコマンド格納領域に格納する。
特別図柄抽選処理手段140は、特別図柄当否判定手段141、特別図柄停止図柄判定手段142、特別図柄変動パターン判定手段143、を含む。特別図柄抽選処理手段140は、特別図柄の変動開始条件が成立したとき、メイン情報記憶手段180における特別図柄保留格納領域の最先の記憶領域(保留1記憶領域)に格納された特別図柄当り乱数値、特別図柄当り図柄乱数値、特別図柄変動パターン乱数値を読み出して、これをメイン情報記憶手段180の特別図柄当否判定領域、特別図柄図柄判定領域、特別図柄変動パターン判定領域にそれぞれ格納する。ここで、「特別図柄の変動開始条件が成立する」とは、その一例として、(1)大当り又は小当り中ではないこと、(2)第1特別図柄および第2特別図柄のいずれも変動待機中であること、(3)第1特別図柄および第2特別図柄の少なくとも一方に作動保留球が存在すること、の全ての条件を満足したときであり、その結果として、特別図柄が変動開始可能な状態であると判断される。
特別図柄当否判定手段141は、メイン情報記憶手段180の特別図柄当否判定領域から特別図柄当り乱数値を読み出して当否判定を実行し、当該判定結果が、大当り、小当り、はずれ、のいずれに該当するかを決定する。この当否判定の結果は、メイン情報記憶手段180の特別図柄判定フラグに一時記憶され(例えば、大当りデータ「55H」、小当りデータ「33H」、はずれデータ「00H」)、以降の処理で使用された後、特別図柄の変動停止時にクリアされる。特別図柄当否判定手段141は、この当否判定の際に参照される特別図柄当否抽選テーブルを保持する。
ここで、図5は、特別図柄当否抽選テーブルを模式的に示す図であり、(A)は通常状態(低確率状態)で参照され、(B)は確変状態(高確率状態)で参照される。この特別図柄当否抽選テーブルには、特別図柄当り乱数値と、大当り、小当り、はずれの判定結果とが対応付けられており、この対応付けられた乱数範囲に応じて大当りおよび小当りの当選確率が定まる。図5からも分かるように、特別図柄遊技の当否抽選において、通常状態(低確率状態)では乱数値が「0〜217」の範囲に該当したときのみ大当りとなる。一方、確変状態(高確率状態)では大当りの範囲が拡大され、乱数値が「0〜217」の範囲に該当する場合だけでなく、「218〜2170」の範囲に該当する場合にも大当りとなる。つまり、特別図柄の確率変動機能が作動すると、大当りの抽選確率が低確率状態(約1/300)から高確率状態(約1/30)に変動する。このように大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化するが、第1特別図柄の当否抽選と第2特別図柄の当否抽選とで大当りの当選確率は等しい。ここで、特別図柄当り乱数値が大当りの範囲に該当しない場合であっても、所定の範囲に該当する場合には小当りとなる。本例では、第1特別図柄の当否抽選のみ小当りが存在するように構成しているが、例えば、第2特別図柄の当否抽選にも小当りを設けて、第2特別図柄の当否抽選よりも第1特別図柄の当否抽選のほうが高い確率で小当りとなるように構成してもよい。
特別図柄停止図柄判定手段142は、第1特別図柄又は第2特別図柄の当否抽選の結果に基づいて、第1特別図柄又は第2特別図柄の停止図柄を決定する。特別図柄停止図柄判定手段142は、第1特別図柄および第2特別図柄の停止図柄を決定する際に参照される第1特別図柄停止図柄テーブルおよび第2特別図柄停止図柄テーブルを有している。
図6(A)は第1特別図柄停止図柄テーブルの一例を模式的に示す図である。第1特別図柄停止図柄テーブル(大当り図柄用)には、特別図柄停止図柄乱数値に対して、三種類の停止図柄(大当り図柄)「A」,「B」,「C」が割り当てられている。なお、本例では、説明の便宜上、各大当り図柄に対して、大当りの内容(特別図柄の確率変動機能および変動時間短縮機能の作動回数、大入賞口60の作動パターン)も付記している。なお、括弧内の数値「84」は、特別図柄の確率変動機能および変動時間短縮機能の作動回数、すなわち、ST回数を意味する。このテーブルでは、第1特別図柄の停止図柄「A」〜「C」が大当りの種別に応じて区分されている。具体的には、図柄「A」には16R特定時短有図柄、図柄「B」には8R特定時短有図柄、図柄「C」には2R特定時短無図柄がそれぞれ対応付けられている。なお、本実施形態において、「特定図柄」とは特別遊技の終了後に特別図柄の確率変動機能を作動させることとなる図柄、「時短有図柄」とは特別遊技の終了後に特別図柄の変動時間短縮機能(および電チューサポート機能)を作動させることとなる図柄、「時短無図柄」とは特別遊技の終了後に特別図柄の変動時間短縮機能(および電チューサポート機能)を作動させることのない図柄である(後述する第2特別図柄についても同様である)。
図柄A,Bは、特別遊技の終了後の遊技状態を特別図柄確変状態(高確率状態)へ移行させる、いわゆる「確変大当り」を示す特定図柄であり、特別図柄の変動回数がST回数内で大当りを発生させることなく終了するまでの間、あるいは、ST回数内で次回の大当りが発生するまでの間に限定して、特別図柄の確率変動機能および変動時間短縮機能、並びに電チューサポート機能が付与されることになる。図柄Aについては、特別遊技の規定ラウンド数は16ラウンドで、1回のラウンド遊技における大入賞口60の最大開放時間は約30秒である。図柄Bについては、特別遊技の規定ラウンド数は8ラウンドで、1回のラウンド遊技における大入賞口60の最大開放時間は約30秒である。
図柄Cは、特別遊技の終了後に遊技状態を特別図柄確変状態(高確率状態)へ移行させる一方で、特別図柄時短状態および入球容易状態へ移行させない、いわゆる「潜伏確変大当り」を示す特定図柄であり、特別図柄の変動回数がST回数内で大当りを発生させることなく終了するまでの間、あるいは、ST回数内で次回の大当りが発生するまでの間に限定して、特別図柄の確率変動機能のみが付与されることになる(特別図柄の変動時間短縮機能および電チューサポート機能は付与されない)。図柄Cについては、特別遊技の規定ラウンド数は2ラウンドで、1回のラウンド遊技における大入賞口60の最大開放時間は約0.05秒である。
一方、第1特別図柄停止図柄テーブル(はずれ図柄用)には、特別図柄停止図柄乱数値に対して、単一の停止図柄(はずれ図柄)「HA」が一義的に割り当てられている。また、第1特別図柄停止図柄テーブル(小当り図柄用)には、特別図柄停止図柄乱数値に対して、単一の停止図柄(小当り図柄)「K」が一義的に割り当てられている。なお、小当りの場合には、遊技状態の変更の契機とはならず、当否抽選の前後で当該遊技状態が維持される。
図6(B)は第2特別図柄停止図柄テーブルの一例を模式的に示す図である。第2特別図柄停止図柄テーブル(大当り図柄用)には、特別図柄停止図柄乱数値に対して、二種類の停止図柄(大当り図柄)「D」,「E」が割り当てられている。なお、本例では、説明の便宜上、各大当り図柄に対して、大当りの内容(特別図柄の確率変動機能および変動時間短縮機能の作動回数、大入賞口60の作動パターン)も付記している。このテーブルでは、第2特別図柄の停止図柄「D」,「E」が大当りの種別に応じて区分されている。具体的には、図柄「D」には16R特定時短有図柄、図柄「E」には8R特定時短有図柄がそれぞれ対応付けられている。
図柄D,Eは、特別遊技の終了後の遊技状態を特別図柄確変状態(高確率状態)へ移行させる、いわゆる「確変大当り」を示す特定図柄であり、特別図柄の変動回数がST回数内で大当りを発生させることなく終了するまでの間、あるいは、ST回数内で次回の大当りが発生するまでの間に限定して、特別図柄の確率変動機能および変動時間短縮機能、並びに電チューサポート機能が付与されることになる。図柄Dについては、特別遊技の規定ラウンド数は16ラウンドで、1回のラウンド遊技における大入賞口60の最大開放時間は約30秒である。図柄Eについては、特別遊技の規定ラウンド数は8ラウンドで、1回のラウンド遊技における大入賞口60の最大開放時間は約30秒である。
また、第2特別図柄停止図柄テーブル(はずれ図柄用)には、特別図柄停止図柄乱数値に対して、単一の停止図柄(はずれ図柄)「HD」が一義的に割り当てられている。
ここで、本実施形態では、上記のように、大当り種別として、16R大当り(16R特定時短有図柄)と8R大当り(8R特定時短有図柄)と2R大当り(2R特定時短無図柄)との3種類が設けられている。そして、特別遊技における賞球獲得の期待値(賞球獲得期待値)は、16R大当り>8R大当り>2R大当りとなっている。そして、前述の説明からも分かるように、第1特別図柄の当否抽選で大当りになった場合には、30%の確率で16R大当りが選択されるのに対して、第2特別図柄の当否抽選で大当りになった場合には、70%の確率で16R大当りが選択されることにより、第1始動口51に入賞するよりも第2始動口52に入賞した方が、多くの出玉を獲得できる点で遊技者に有利である。
特別図柄変動パターン判定手段143は、特別図柄変動パターン乱数値に基づき、特別図柄の変動パターンを決定する。ここで、特別図柄変動パターン判定手段143は、特別図柄の変動パターンを選択する際に参照される複数種の変動パターンテーブルを保持している。特別図柄変動パターン判定手段143は、現在の変動パターン選択状態と当否抽選の結果とに基づき、複数種の変動パターンテーブルの中からいずれかの変動パターンテーブルを選択する。各変動パターンテーブルには、複数種の変動パターンが規定されており、特別図柄変動パターン乱数値に応じて、変動パターンを決定するための判定値(乱数値の範囲)が設定され、変動パターン乱数値がいずれの判定値に属するかに基づき、変動パターンが決定されるようになっている。各種の変動パターンは、その図柄変動の終了条件として当該変動パターンごとに変動時間が定められており、その変動時間にて複数の図柄で構成される装飾図柄による図柄変動も実行されることを前提として規定される。具体的には、図柄の変動過程として非リーチの変動態様を取り得る変動パターン、図柄の変動過程としてノーマルリーチ(Nリーチ)の変動態様を取り得る変動パターン、図柄の変動過程としてリーチ付きの変動態様を取り得り、最終的にはスーパーリーチ(SPリーチ)に発展する変動パターンなどが存在する。
本実施形態では、変動パターン選択状態として、「通常変動状態α」、「短縮変動状態β」、「特殊変動状態γ」などの3種類が存在する。ここで、通常変動状態αとは、遊技状態が通常状態のときに選択される通常変動パターンテーブルを参照して特別図柄の変動パターンを選択する状態である。短縮変動状態βとは、遊技状態が確変状態のときに選択される短縮変動パターンテーブルを参照して特別図柄の変動パターンを選択する状態である。特殊動状態γとは、遊技状態が潜伏状態のときに特別遊技の終了直後の一定期間(本例では10回の図柄変動表示に亘る期間:「限定期間」と称する)のみ選択が許容される特殊変動パターンテーブルを参照して特別図柄の変動パターンを選択する状態である。
また、特別図柄抽選処理手段140は、特別図柄の変動パターンを選択した後、演出制御基板200に対して装飾図柄の変動開始を指示するため、特別図柄の変動パターン情報
を含む演出制御コマンド(「変動パターン指定コマンド」と称する)、特別図柄および遊技状態の情報を含む演出制御コマンド(「図柄指定コマンド」と称する)等を生成して(以降、これらの演出制御コマンドを纏めて「変動開始コマンド」とも称する)、これをメイン情報記憶手段180のコマンド格納領域に格納する。
普通図柄抽選処理手段145は、普通図柄当否判定手段146と、普通図柄停止図柄判定手段147と、普通図柄変動パターン判定手段148と、を有する。普通図柄抽選処理手段145は、普通図柄の変動開始条件が充足したとき、普通図柄保留格納領域における最先の記憶領域に格納された普通図柄当り乱数値、普通図柄変動パターン乱数値を読み出して、メイン情報記憶手段180の普通図柄当否判定領域、普通図柄変動パターン判定領域にそれぞれ格納する。
普通図柄当否判定手段146は、メイン情報記憶手段180の普通図柄当否判定領域から普通図柄当り乱数値を読み出して当否判定を実行し、当該判定結果が、当り、はずれ、のいずれに該当するかを決定する。この当否抽選の結果は、メイン情報記憶手段180の普通図柄判定フラグに一時記憶され、以降の処理で使用された後、普通図柄の変動停止時にクリアされる。普通図柄当否判定手段146は、この当否抽選の際に参照される普通図柄当否抽選テーブルを保持しており、通常状態(低確率状態)においては例えば「160/283」の確率で当りとなる普通図柄当否抽選テーブルを参照し、普通図柄の確変状態(高確率状態)においては、例えば「282/283」の確率で当りとなる普通図柄当否抽選テーブルを参照して、普通図柄の当否抽選を実行する。
普通図柄停止図柄判定手段147は、図柄抽選テーブルを参照して、当否抽選の結果が当りである場合には所定の当り図柄を割り当てる一方、はずれである場合には所定のはずれ図柄を割り当てるようになっている。
普通図柄変動パターン判定手段148は、メイン情報記憶手段180の普通図柄変動パターン判定領域から普通図柄変動パターン乱数値を読み出すとともに、普通図柄変動パターンテーブルを参照して、通常状態における普通図柄の変動表示においては、相対的に長い変動時間を選択する(例えば「4秒・5秒・6秒・7秒・8秒・9秒・10秒」の7種類をそれぞれ均一的に選択する)。一方、普通図柄の時短状態(入球容易状態)では相対的に短い変動時間(例えば「0.5秒」)を選択する。
特別遊技制御手段150は、当否抽選の結果が大当りである場合、前記決定された大当り図柄に応じて、特別遊技中に演出表示装置70等に表示される開始デモ演出および終了デモ演出に係るデモ演出時間を決定する。また、特別遊技制御手段150は、演出制御基板200側に対して、開始デモ演出の実行を指示する演出制御コマンド(「大当り開始デモコマンド」と称する)と、終了デモ演出の実行を指示する演出制御コマンド(「大当り終了デモコマンド」と称する)を生成して、これをメイン情報記憶手段180のコマンド格納領域に格納する。なお、大当り開始デモコマンドは、演出制御基板200側において、特別遊技中に展開される一連の大当り演出(開始デモ演出、ラウンド演出、終了デモ演出)の内容を決定するための契機ともなる。また、特別遊技制御手段150は、特別遊技中の各ラウンド遊技において、各ラウンド遊技に対応したラウンド演出の開始を指示するための演出制御コマンド(「ラウンド演出指定コマンド」と称する)を生成して、これをメイン情報記憶手段180のコマンド格納領域に格納する。このラウンド演出指定コマンドには、現在のラウンド数の情報および大入賞口スイッチ641の検出の情報などが含まれる。なお、特別遊技に関する実行時間に関して、1)開始デモ時間を大当り図柄の停止時〜最初のラウンド遊技の開始時までの所定時間、2)終了デモ時間を最後のラウンド遊技終了時〜特別遊技の終了時(大当り終了後の最初の変動開始直前)までの所定時間、とする一方で、3)大当り変動時の状態に応じて、その大当りに係る開始デモ時間および終
了デモ時間の少なくとも一方を可変させてもよい。いずれかのデモ時間を可変させる場合は、確変状態(入球容易状態)で大当りした方がデモ時間を短くすることが好適である。また、同じ大当り図柄であっても、前述したように、通常状態で大当りするか、確変状態で大当りするかによって、デモ時間が可変するようにしてもよい。
また、特別遊技制御手段150は、当否抽選の結果が小当りの場合、小当り遊技中に演出表示装置70等に表示される小当り開始デモ演出および小当り終了デモ演出に係るデモ演出時間を決定する。また、特別遊技制御手段150は、小当り開始デモ演出の実行を指示する演出制御コマンド(「小当り開始デモコマンド」)と、小当り終了デモ演出の実行を指示する演出制御コマンド(「小当り終了デモコマンド」)を生成して、これをメイン情報記憶手段180のコマンド格納領域に格納する。
図柄表示制御手段155は、特別図柄表示制御手段156、普通図柄表示制御手段157、を含む。特別図柄表示制御手段156は、第1特別図柄の変動パターン(変動時間)に従って、第1特別図柄を第1特別図柄表示装置71に変動表示させるとともに、該変動表示後に第1特別図柄を確定表示させる。また、特別図柄表示制御手段156は、第2特別図柄の変動パターン(変動時間)に従って、第2特別図柄を第2特別図柄表示装置72に変動表示させるとともに、該変動表示後に第2特別図柄を確定表示させる。特別図柄表示制御手段156は、第1特別図柄および第2特別図柄の表示に係る時間(変動時間、確定表示時間)を管理するための特別図柄遊技タイマを有している。第1特別図柄表示装置71および第2特別図柄表示装置72の動作状態は、メイン情報記憶手段180の特別図柄遊技ステイタスに基づき監視される。特別図柄表示制御手段156は、特別図柄の変動停止の際に(すなわち、特別図柄遊技タイマの値が「0」となるタイミングで)、演出制御基板200に対して装飾図柄の確定表示を要求するための演出制御コマンド(「変動停止コマンド」と称する)を生成する。普通図柄表示制御手段157は、普通図柄の変動パターン(変動時間)に従って、普通図柄を普通図柄表示装置75に変動表示させるとともに、該変動表示後に普通図柄を確定表示させる。普通図柄表示制御手段157は、普通図柄の表示に係る時間(変動時間、確定表示時間)を管理するための普通図柄遊技タイマを有している。普通図柄表示装置75の動作状態は、メイン情報記憶手段180の普通図柄遊技ステイタスに基づき監視される。
電動役物制御手段160は、特別図柄の当否抽選の結果が大当りとなった場合、特別図柄の確定表示後に、特別遊技処理として、特別電動役物ソレノイド643に制御信号を出力し、特別電動役物642を所定の作動パターンに従って開放させる。特別遊技は、特別電動役物642の1回の開閉動作を1回のラウンド遊技とし、当該ラウンド遊技を規定ラウンド数(本例では、16R,8R,2R)だけ連続して実行するものである。電動役物制御手段160は、特別電動役物642の作動回数(すなわち、実行中のラウンド数)を格納するための大入賞口開放カウンタを保持する。ここで、大当り種別がいわゆる16R大当り(図柄A,D)又は8R大当り(図柄B,E)である場合には、1回のラウンド遊技において大入賞口60を最大で約30秒間開放させる。他方、大当り種別がいわゆる2R大当り(図柄C)である場合には、1回のラウンド遊技において大入賞口60を最大で約0.05秒間開放させる。ここで、特別遊技における大入賞口60の閉鎖条件(単位遊技の終了条件)とは、規定カウント数の遊技球の入賞又は規定秒数の開放可能期間の経過である。
また、電動役物制御手段160は、特別図柄の当否抽選の結果が小当りとなった場合、特別図柄の確定表示後に、小当り遊技処理として、特別電動役物ソレノイド643に制御信号を出力し、特別電動役物642を短期間だけ開放させる。小当り遊技は1回のラウンド遊技で構成される点で、複数回のラウンド遊技で構成される特別遊技とは区別される。ここで、前述した2R特別遊技と小当り遊技とを比較すると、内部的には相違するものの
、1回の開閉時間(0.05秒)が同じ点及び開閉回数が同一である点(前者が1ラウンド当たり1開閉を2ラウンドの2回、後者が1ラウンド当たり2開閉を1ラウンドの2回)で共通するので、見た目上は近似した開放時間・開放パターンの遊技が繰り広げられる。
また、電動役物制御手段160は、普通図柄の当否抽選に当選した場合、普通電動役物ソレノイド523に制御信号を出力して、所定の開放時間だけ普通電動役物522を開放させる。ここで、電動役物制御手段160は、通常状態では普通電動役物522を極短時間(例えば0.2秒間)だけ開放させるのに対し、入球容易状態(電チューサポート状態)では普通電動役物522を通常状態と比較して相対的に長い時間(例えば4秒間)に亘り開放させる。
遊技状態制御手段165は、特別図柄の当否抽選の結果が大当りである場合に、当該大当り図柄の種類に基づき、特別遊技後の遊技状態を決定するとともに、特別遊技後の遊技状態を切り替える。本実施形態では、前述のとおり、回数切りの所謂ST機であるため、特別遊技後の遊技状態は、特別図柄の変動回数が特別遊技の終了時点から数えて所定の終期回数、すなわちST回数に到達するまでの間、特別図柄確変状態が継続する(但し、ST回数内で次回の大当りが発生した場合には当該変動にて特別図柄確変状態は終了する)。なお、ST期間中に小当りとなった場合には、ST回数がゼロリセット(復活)されることはなく、小当り発生の前後でST回数は継続してカウントされている。本実施形態では、ST回数は84回に設定されているが、他の回数に設定されてもよいことは勿論である。なお、前述したように、本実施形態では、特別図柄の確率変動機能に付随して特別図柄の変動時間短縮機能および電チューサポート機能が作動した状態である「確変状態」と、特別図柄の確率変動機能のみが作動した状態である「潜伏確変状態(潜伏状態)」と、いずれの機能も作動しない状態である「通常状態」との間で遊技状態が遷移する。このとき、遊技状態が確変状態又は潜伏確変状態である場合は大当り当選確率が高確率状態(特別図柄確変状態)であり、遊技状態が通常状態である場合は大当り当選確率が低確率状態(特別図柄非確変状態)である。なお、各遊技状態については既に説明しているため、ここでは重複説明を省略する。ここで、特別図柄の当否抽選の結果が大当りである場合には、当該大当り前の遊技状態が通常状態および特別図柄確変状態(確変状態又は潜伏確変状態)のいずれであっても、特別遊技の実行中は通常状態であり且つ特別遊技の終了後はST回数を限度として一律に特別図柄確変状態(確変状態又は潜伏確変状態)となる。一方、特別図柄の当否抽選の結果が小当りであれば、当該小当り前の遊技状態が通常状態であった場合、小当り遊技中および小当り遊技後の遊技状態も通常状態となる。また、当該小当り前の遊技状態が特別図柄確変状態(確変状態又は潜伏確変状態)であった場合には、小当り遊技中および小当り遊技後の遊技状態も特別図柄確変状態(確変状態又は潜伏確変状態)となる。
また、遊技状態制御手段165は、当否抽選の結果が大当りである場合に、当該大当りの種別(大当り図柄A〜Eの種類)に基づき、特別遊技後の変動パターン選択状態を決定するとともに、特別遊技後の変動パターン選択状態を切り替える。変動パターン選択状態とは、前述の変動パターンテーブルを選択する際に参照される条件の一つである。変動パターン選択状態の切り替え時期は、特別遊技の終了時又は変動パターン選択状態の終期回数を満了したときである。本実施形態では、前述したように、変動パターン選択状態として、「通常変動状態α」、「短縮変動状態β」、「特殊変動状態γ」などの3種類が存在する。なお、各変動パターン選択状態については既に説明しているため、ここでは重複説明を省略する。本実施形態では、大当り図柄A,B,D,Eが選択された場合(16R又は8R大当りの場合)は、(1)特別遊技の終了直後、変動回数がST期間(84回)内にあるときは短縮変動状態βに滞在し、(2)ST回数の終了後、すなわち、実行回数として85回目以降は通常変動状態αに滞在する。一方、大当り図柄Cが選択された場合(
2R大当りの場合)は、(1)特別遊技の終了直後、変動回数10回の限定期間のみ特殊変動状態γに滞在し、(2)限定期間の終了後、且つ、変動回数がST回数(84回)内にあるときは短縮変動状態βに滞在し、(3)ST回数の終了後、すなわち、変動回数として85回目以降は通常変動状態αに滞在する。無論、初当たりが発生するまでの期間は、通常変動状態αに滞在することになる。そして、遊技状態制御手段165は、現在の遊技状態情報および変動パターン選択状態情報を含む演出制御コマンド(「遊技状態指定コマンド」と称する)を生成して、これをメイン情報記憶手段180のコマンド格納領域に格納する。
エラー監視制御手段170は、I/Oポート回路104の入力情報を監視し、磁気センサによる磁気検知信号、断線短絡電源異常信号、電波センサによる電波検知信号、扉・枠開放信号などを検査して、遊技機がエラー状態であるか否かを判定する。エラー状態である場合には、演出制御基板200にエラー状態演出を指示すべく、当該エラー情報を含む演出制御コマンド(「エラー演出指定コマンド」)を要求する。なお、図3では記載を省略しているが、扉開放スイッチはガラス枠5が開放されているか否かの検出手段であり、枠開放スイッチは前枠2が開放されているか否かの検出手段であり、裏セット開放スイッチは裏セット盤30が開放されているか否かの検出手段である。また、磁気センサおよび電波センサはいわゆるゴト行為を発見するための検出手段である。
メイン情報記憶手段180は、特別図柄遊技および普通図柄遊技にて取得した乱数値情報、特別図柄および普通図柄の作動保留球情報、特別図柄遊技および普通図柄遊技に関する遊技状態(確変状態、時短状態、入球容易状態)の情報、変動パターン選択状態に関する情報、当否抽選の結果情報(当り、小当り、はずれ)、特別図柄や普通図柄に係る停止図柄および変動パターンの情報、特別遊技に関する情報(ラウンド数、開放時間、開放態様(1ラウンド遊技あたりの開放回数)など)、特別図柄表示装置71,72の動作状態を示すステイタス情報、特別電動役物642の動作状態を示すステイタス情報、演出制御コマンドデータの情報等を一時記憶するように構成されており、各情報を記憶するための所定の記憶領域を備えている。
コマンド送受信手段190は、コマンド送信要求があった場合に、メイン情報記憶手段180のコマンド格納領域に格納された各種の演出制御コマンドデータをパラレル伝送方式にて演出制御基板200に送信するように構成されている。なお、各演出制御コマンドは、1バイトのMODEデータと、1バイトのEVENTデータとを含んだ2バイト構成となっており、MODEとEVENTを区別するために、MODデータのBit7は「1」、EVENTデータのBit7は「0」としている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、MODEおよびEVENTの各々に対してストローブ信号が出力される。各処理で発生した演出制御コマンドは、原則として、メイン情報記憶手段180のコマンド格納領域にセットされた順番に従って割込み周期毎に1コマンド送信される。
演出制御基板200は、図4に示すように、演出抽選乱数発生手段210、演出統括手段220、ランプ演出制御手段230、役物演出制御手段240、エラー演出制御手段250、サブメイン情報記憶手段260、コマンド送受信手段270、を含む。なお、演出制御基板200における上述の各手段は、演出制御基板200上に配されたサブメインCPU201、ROM202、RAM203、電子回路等のハードウェア及びROM202に格納された制御プログラム等のソフトウェアにより構成されるものを機能的に表現したものである。
演出抽選乱数発生手段210は、サブメインCPU201のプログラム処理によって各種のソフトウェア乱数(演出抽選乱数)を生成するための乱数カウンタを備えている。これらの乱数カウンタは、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段としての役割を担
っている。このソフトウェア乱数としては、先読み予告演出の実行可否の抽選に使用する先読み予告抽選乱数、先読み予告パターンの選択に使用する先読み予告パターン乱数、装飾図柄の停止図柄の選択に使用する装飾図柄乱数、装飾図柄の変動演出パターンの選択に使用する変動演出パターン乱数、予告演出パターンの選択に使用する予告演出パターン乱数、大当り演出パターンの選択に使用する大当り演出パターン乱数などが含まれる。これらの乱数の更新時期としては、後述の演出制御側メイン処理内でコマンド解析が行われなかった場合の残余時間を利用して更新する。
演出統括手段220は、演出モード制御手段221、保留情報表示制御手段222、先読み予告制御手段223、装飾図柄決定手段224、変動演出決定手段225、予告演出決定手段226、大当り演出決定手段227、を含む。
保留情報表示制御手段222は、第1特別図柄の作動保留球数をカウントするための第1保留球数カウンタ、第2特別図柄の作動保留球数をカウントするための第2保留球数カウンタを有している。保留情報表示制御手段222は、主制御基板100からの図柄記憶数コマンドを受信すると、この図柄記憶数コマンドに含まれる作動保留球数の情報に基づき、第1保留球数カウンタおよび第2保留球数カウンタの値を更新する。また、保留情報表示制御手段222は、第1保留球数カウンタおよび第2保留球数カウンタの値に基づいて、演出表示装置70の保留表示部701,702に、第1特別図柄の作動保留球数に対応する数の保留画像と、第2特別図柄の作動保留球数に対応する数の保留画像とを表示する制御を行う。通常の表示態様では、特別図柄の作動保留球が生起されると白色表示の保留画像が表示される一方、次述する保留変化先読み予告演出が実行された場合には、先読み予告の対象となった保留画像が通常の表示態様(表示色)の「白色」から特殊な表示態様(表示色)として「青色」、「緑色」、「赤色」、「虹色」のうちのいずれかを取り得る。上記4種類の特殊な表示態様は、抽選結果が大当りとなる信頼度(「大当り信頼度」と称する)と関係しており、「青色」、「緑色」、「赤色」、「虹色」の順に1段階ずつ大当り信頼度が高くなるように設定されている。本例では、保留画像が「虹色」に変化した場合には、当該先読み対象の作動保留球において大当りが確定的となる。なお、保留変化先読み予告演出において、保留画像の表示態様の変化を表示色ではなく、形状や模様等で表現してもよい。
先読み予告制御手段223は、主制御基板100から事前判定コマンドを受信したことを契機として、先読み予告の実行可否を抽選にて決定する。先読み予告制御手段223は、第1特別図柄の事前判定結果の情報と第2特別図柄の事前判定結果の情報とを区別して、それぞれ所定の上限個数(4個)まで、作動保留球の入球順序と結合したかたちでサブメイン情報記憶手段260の先読み情報格納領域に一時記憶する。この先読み情報格納領域は、主制御基板100の保留記憶領域と同様の構成となっており、各始動口51,52への入球順に、保留1記憶領域(1個目の保留記憶領域)、保留2記憶領域(2個目の保留記憶領域)、保留3記憶領域(3個目の保留記憶領域)、保留4記憶領域(4個目の保留記憶領域)がそれぞれ設けられている。各保留記憶領域は、当否事前判定結果の情報、図柄事前判定結果の情報、変動パターン事前判定結果の情報を1組セットとしてそれぞれ記憶可能である。
先読み予告制御手段223は、先読み予告の実行可否を判定するとき、主制御基板100による事前判定結果に基づき、この先読み予告の対象となる作動保留球に対して先読み的な判定(「先読み判定」とも称する)を実行する。通常先読み予告は、装飾図柄の連続的な複数回の変動表示に亘って大当り当選又はリーチ演出発生の可能性を予告するいわゆる連続予告演出の一態様として発生される。先読み予告演出(連続予告演出)を実行可と判定した場合は、主制御基板100からの事前判定コマンドの情報(事前判定の結果)および図柄記憶数コマンドの情報(現存する作動保留球数)を解析して、今回の先読み予告
演出の発生契機となる作動保留球(「トリガ保留」と称する)を対象として連続的な複数回の変動表示に亘る先読み予告演出パターンが抽選で決定される。なお、先読み予告には、保留変化先読み予告演出、チャンス目先読み予告演出、背景変化先読み予告演出など各種のバリエーションが存在する。
演出モード制御手段221は、主制御基板100からの遊技状態指定コマンドに基づき、主制御基板100側で管理された遊技状態および変動パターン選択状態との整合性をとるかたちで、演出モードの移行制御を実行する。本実施形態では、3種類の演出モードとして、通常演出モードMα、確変演出モードMβ、潜伏演出モードMγが含まれており、主制御基板100から指示された特別図柄の変動パターンが同一であっても、演出モード毎に図柄変動演出の具体的内容を特定する変動演出パターン(詳細後述)が異なるように設定されている。演出表示装置70には、現在滞在中の演出モードに対応した演出モード報知画像(本例では、装飾図柄の背面表示となる背景画像)が表示され、この背景画像は演出モード毎に互いに異なるよう設定されているため、背景画像の種類から、現在滞在中の演出モードがいずれであるかを遊技者が認識し得るようになっている。
装飾図柄決定手段224は、主制御基板100からの変動開始コマンドに含まれる情報(変動パターン情報、キャラクタ演出番号情報)に基づき、装飾図柄の最終的な停止図柄の組み合わせ(左図柄・中図柄・左図柄)を抽選により決定する。本例では、複数種類の装飾図柄を含む3つの図柄列が構成される。この装飾図柄は、例えば、数字又は文字からなる識別要素により形成されている。本例では、識別要素として、「1」〜「9」の数字、「S」の文字などの全10種類が設定されている。各装飾図柄は図柄列の配列に従って「1」→「2」→「3」→・・・→「8」→「9」→「S」の順序で各表示領域Z1,Z2,Z3にて巡回表示させる。
また、装飾図柄決定手段224は、装飾図柄の停止図柄の組合せ(「停止図柄パターン」ともいう)を抽選で決定する際に参照される複数種の停止図柄パターンテーブルを保持している。この複数種のテーブルとしては、大当り用の停止図柄パターンテーブル、小当り用の停止図柄パターンテーブル、リーチはずれ用の停止図柄パターンテーブル、非リーチはずれ用の停止図柄パターンテーブルなどがある。装飾図柄の停止図柄は、3つの図柄の組み合わせとして形成され、「大当りを示す停止図柄(大当り図柄)」と、「はずれを示す停止図柄(はずれ図柄)」とを含む。特定大当り(確変大当り)を示す大当り図柄は、同一の奇数数字の図柄が3つ揃った停止態様の組合せ(例えば「7・7・7」)となる。通常大当り(非確変大当り)を示す大当り図柄は、同一の偶数数字の図柄が3つ揃った停止態様の組合せ(例えば、「2・2・2」)となる。はずれ図柄は、3つの図柄のうちの少なくとも1つが他の数字と異なる数字の図柄となる停止態様の組合せ(例えば「1・3・8」)となる。ここで、はずれ図柄のうちリーチはずれ図柄は、左図柄と右図柄とが一致している状態で中図柄のみが前後に数コマずれた停止態様の組合せ(例えば「3・1・3」)となる。なお、「小当りを示す停止図柄(小当り図柄)」や、大当り図柄であっても2R大当り図柄などの場合は、例えば「3・5・7」のような所定の停止態様の組み合わせとなる場合がある。なお、装飾図柄を停止させるための停止順序は、次述の変動演出パターン毎に予め定められており、本実施形態では原則として、左図柄→右図柄→中図柄の順に停止させる。但し、変動時間の極短い変動演出パターンである場合には、左図柄・中図柄・右図柄をほぼ同時に停止させ、特殊の変動演出パターンである場合には、右図柄→中図柄→左図柄の順に停止させることもできる。このとき、上記原則の停止順序(左図柄→右図柄→中図柄)でない場合は、大当り期待度が相対的に高くなる傾向となる。
変動演出決定手段225は、主制御基板100からの変動開始コマンドに含まれる情報(変動パターン情報)に基づき、装飾図柄の変動表示における変動開始から停止までの変動過程(演出過程)を規定した変動演出パターンを決定する。本実施形態では、リーチ表
示後に行われる図柄変動演出(リーチ演出)として、演出内容が単純なリーチ演出(ノーマルリーチ演出)と、演出内容が途中で発展するリーチ演出(スーパーリーチ演出)とが含まれる。変動演出決定手段225は、変動演出パターンを選択する際に参照される複数種の変動演出パターンテーブルを保持しており、これら複数種の変動演出パターンテーブルの中から特別図柄の変動パターン(変動時間)に対応した変動演出パターンテーブルを選択するようになっている。変動演出パターンテーブルでは、特別図柄の変動パターン抽選の結果(すなわち、リーチ種別)に応じて、変動演出パターン乱数値と変動演出パターンとが対応付けられている。ここで、主制御基板100側では変動パターンとして図柄変動の基本パターン(例えば、「ノーマルリーチA」、「スーパーリーチA」など)が定まるのに対して、演出制御基板200側では変動演出パターンとして当該基本パターンを基に演出表示過程のシナリオを詳細に規定した図柄変動の詳細パターン(例えば、「ノーマルリーチA1,A2,A3…」、「スーパーリーチA1,A2,A3…」など)が定まる。このように装飾図柄の変動演出パターンには、装飾図柄の変動表示態様、すなわち、装飾図柄の変動開始から変動終了までの一連の演出表示過程のシナリオが定義されており、当該表示過程中の各段階において予告演出を発生させるタイミングなどもタイムスケジュールとして規定されている。
予告演出決定手段226は、上述した変動演出パターンのシナリオに沿って装飾図柄の変動過程の各段階で実行される予告演出の内容を規定した予告演出パターンを決定する。予告演出パターンには、特定のキャラクタの画像、アニメーションなどを一時的又は段階的に画像表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターン、可動役物を動作させる演出パターン等が含まれる。予告演出は、装飾図柄の変動表示と並行して実行され、その図柄変動が大当り態様にて停止する大当り信頼度が高いことを予告的に示唆するものである。予告演出には、装飾図柄の変動過程においてリーチ状態が発生する前(リーチ発生時を含む)に実行される予告演出と、リーチ状態が発生した後に実行される予告演出とがある。予告演出はそれぞれ大当り信頼度が異なるものとなっており、基本的には、リーチ発生前に表示される予告演出よりも、リーチ発生後に表示される予告演出の方が相対的に大当り信頼度は高くなっている。予告演出決定手段226は、予告演出パターンを選択する際に参照される予告演出パターンテーブルを予告演出の種類別に保持しており、変動演出パターンのシナリオに沿って発生する予告演出の種類に応じた予告演出パターンテーブルを選択するようになっている。予告演出決定手段226は、上記で選択された予告演出パターンテーブルを参照して、演出抽選乱数発生手段210から取得した予告演出パターン乱数値に基づき、抽選によって、複数種の予告演出パターンの中からいずれかを選択する。なお、具体的な予告演出パターンの種類としては、コメント予告演出パターン、背景予告演出パターン、SU(ステップアップ)予告演出パターン、群予告演出パターン、カットイン予告演出パターン、役物可動予告演出パターン、などが用意されている。この予告演出は、基本的には、演出表示装置70での装飾図柄の変動表示に、1又は複数の予告演出の表示を合成することによって行われる。そのため、同一の変動演出パターンによる装飾図柄の変動表示であっても、1又は複数の予告演出との組み合わせによって多彩な演出態様を発生させることが可能となる。
大当り演出決定手段227は、特別遊技中であることを報知する大当り演出の内容(大当り演出パターン)を決定する。大当り演出は、特別遊技の開始を報知する開始デモ演出と、ラウンド遊技中であることを報知するラウンド演出と、特別遊技の終了を報知する終了デモ演出とを含む。大当り演出決定手段227は、主制御基板100から大当り開始デモコマンドを受信した場合、サブメイン情報記憶手段260に格納された大当り種別の情報などに基づき、大当り演出パターン(開始デモ演出パターン、ラウンド演出パターン、終了デモ演出パターン)を決定する。この大当り演出パターンには、大当り種別に応じて、大当り開始デモ演出時間とラウンド演出時間(大入賞口60の開放パターンに応じた演出時間)と大当り終了デモ演出時間とが設定されるとともに、その時間軸に沿って一連の
演出内容が設定されている。また、大当り演出決定手段227は、大当り演出パターンに従って、主制御基板100から大当り開始デモコマンドを受信したことを契機として開始デモ演出を実行し、ラウンド演出指定コマンドを受信したことを契機として各ラウンド演出を実行し、大当り終了デモコマンドを受信したことを契機として終了デモ演出を実行する。大当り開始デモ演出では、例えば画面上に「大当り開始」の文字が表示されて、特別遊技の開始が告げられる。また、ラウンド演出では、例えば画面上の現在実行中のラウンド数や獲得賞球数が表示されるとともに、特別遊技を盛り上げる各種画像(アニメーション画像など)が表示される。そして、大当り終了デモ演出では、例えば画面上に「大当り終了」の文字が表示されて、特別遊技の終了が告げられる。
以上、演出統括手段220は、前記決定された演出内容(先読み演出パターン、連荘演出パターン、変動演出パターン、予告演出パターン、停止図柄パターン、大当り演出パターンなど)に基づき画像および音響に関する画像制御コマンドを生成して、これをサブメイン情報記憶手段260のコマンド格納領域に格納する。
ランプ演出制御手段230は、演出統括手段220にて設定された演出内容に従って演出ランプの点灯や発光色等を制御する。ランプ演出制御手段230は、演出ランプLP(枠ランプ10、盤ランプ25)を点灯制御するための複数種のランプデータ(ランプパターンデータ)を保持しており、前記決定した演出パターンに応じたランプデータを読み出して、このランプ制御信号(ランプデータ)をランプ接続基板91へ送信する。
役物演出制御手段240は、演出統括手段220にて設定された演出内容に従って各可動役物24の駆動を制御する。役物演出制御手段240は、可動役物24を駆動制御するための複数種の駆動データを保持しており、前記決定した演出パターンに応じた駆動制御信号(駆動データ)をモータドライバ92へ送信する。
エラー演出制御手段250は、主制御基板100からエラー演出指定コマンドを受信した場合にエラー演出パターンを決定し、遊技機にエラー状態が発生したことを当該エラー演出パターンに従って報知するように構成されている。
サブメイン情報記憶手段260は、装飾図柄の情報、変動演出パターンの情報、予告演出パターンの情報、制御コマンドの情報等を一時記憶するように構成されており、各情報を記憶するための所定の記憶領域を備えている。例えば、コマンド格納領域には、主制御基板100からの演出制御コマンドを格納するための演出制御コマンドバッファ、画像制御基板300への画像制御コマンドを格納するための画像制御コマンドバッファ、画像制御基板300からのACKコマンドを格納するためのACKコマンドバッファを含む。各コマンドバッファはそれぞれリングバッファから構成されており、所定数の演出制御コマンド、画像制御コマンド、ACKコマンドをそれぞれ格納可能である。
コマンド送受信手段270は、主制御基板100から送信された演出制御コマンドを受信し、この演出制御コマンドを演出制御コマンドバッファに格納するように構成されている。コマンド送受信手段270は、主制御基板100からの前述のストローブ信号の入力に基づき割込みを発生させて演出制御コマンドの受信割込み処理(詳細後述)を実行し、この割込み処理において各種の演出制御コマンドを取得するようになっている。なお、コマンド送受信手段270は、ストローブ信号を受信した場合には、この演出制御コマンドの受信割込み処理を他の割込み処理(後述する優先レベル7未満の割込み処理)よりも優先的に行うようになっている。
また、コマンド送受信手段270は、演出統括手段220にて設定された演出内容(変動演出パターン情報、予告演出パターン情報、装飾図柄情報など)の実行を指示すべく、
サブメイン情報記憶手段260に格納された画像制御コマンドをシリアル通信方式にて画像制御基板300へ送信する。画像制御コマンドは、原則として、サブメイン情報記憶手段260のコマンド格納領域にセットされた順番に従って所定の周期(本例では500μs)毎に送信される。これにより、画像制御基板300は、演出制御基板200から送信された各種の画像制御コマンドを解析し、変動演出パターンのシナリオに沿って演出表示装置70に装飾図柄を含む演出画像を変動表示させるとともに、変動表示過程の各段階で図柄変動の演出に重畳させたかたちで予告演出を表示させる。さらに、コマンド送受信手段270は、画像制御基板300から送信されたACKコマンドを受信し、このACKコマンドをACKコマンドバッファに格納するようになっている。
<盤面構成>
次に、本実施形態に係る遊技盤20の盤面構成について説明する。図7は遊技盤20の正面図、図8は遊技盤20の左側を示す正面図、図9は遊技盤20の上側を示す正面図である。なお、図7〜図9では、説明の理解を容易にするため、センター役物80を簡略化して図示している。
遊技盤20は、前述したように、例えば合成樹脂材料を用いて矩形平板状に形成された基板をベースとして構成されている。遊技盤20の前面には、左下部から右上部にかけて配設された円弧状の外レール41と、外レール41の内側において左下部から左上部にかけて配設された円弧状の内レール42と、外レール41の右上部から該盤面の下部までの間に配設されて左向きに開く湾曲形状に形成されたレール飾り43とを備えており、外レール41と内レール42とレール飾り43とで囲まれた内側に略円形の遊技領域PAが区画形成されている。また、外レール41と内レール42とにより、発射機構14により打ち出された遊技球を遊技領域PAへ案内するための案内通路44が形成されている。この案内通路44における遊技球の出口開口44dの近傍位置、すなわち、内レール42の先端部に、案内通路44を通って出口開口44dから遊技領域PA内へ放出された遊技球が再び案内通路44へ逆戻りするのを防止する球戻り防止弁45が配設されている。
球戻り防止弁45は、内レール42の先端部に設けられた支持体46と、この支持体46に枢結されて遊技盤20と平行な面内(略垂直面内)で揺動変位可能な弁体47とを有して構成される。
支持体46は、内レール42の先端部に一体的に設けられた支持ベース46aと、この支持ベース46aの前面側に着脱自在に取り付けられる支持カバー(図7〜図9では、弁体47の動作を分かり易くするために支持カバーの記載を省略している)とから構成されている。
弁体47は、その中間部に支持体46の枢結軸に挿入される円筒状の軸部46bが形成され、さらに、この軸部47bから外レール41側へ向けて直線的に延びた薄肉帯板状の球当て部47aが形成されている。球当て部47aは、その表面側が案内通路44を通過してきた遊技球を接触させるための発射側接触面となり、裏面側は遊技領域PAから案内通路44へ向けて逆戻りする遊技球を接触させるための戻り側接触面となっている。この球当て部47aの戻り側接触面は支持体46の規制部46aと当接可能であり、戻り側接触面が規制部46aに当接することにより、弁体47の図7〜図9における時計回り方向への揺動が制止されるようになっている。また、弁体47の基端側には、該弁体47をその自重によって反時計回り方向へ揺動付勢するためのウェイト部47cが設けられており、このウェイト部47cが支持体46の底部46bに当接することにより、弁体47の図7〜図9における反時計回り方向への揺動が制止され、常には弁体47が略垂直姿勢に保持されることになる。なお、以下では、弁体47(球当て部47a)の揺動側の先端部を「球戻り防止弁45の先端部」とも称する。
このように、弁体47の反時計回り方向への揺動は、ウェイト部47cが支持体46の底部46bに当接したところで制限され、時計回り方向への揺動は、球当て部47aが支持体46の規制部46bに当接したところで制限される。そのため、弁体47は、ウェイト部47cが底部46bに当接する位置(「初期位置」と称する)と、球当て部47aが規制部46aに当接する位置(「最大揺動位置」と称する)との間で揺動することが可能である。換言すれば、弁体47は、案内通路44の出口開口44dを閉止して案内通路44への遊技球の逆戻りを防止し得る位置(初期位置)と、出口開口44dを開放して遊技領域PAへの遊技球の通過を許容し得る位置(最大揺動位置)との間で揺動可能である。なお、ここで「出口開口44dの閉止」とは、出口開口44dを完全閉止する意味に限定されず、遊技領域PA内の遊技球が案内通路44側へ逆戻りするのを妨げる程度の閉止状態をも含む概念である。また、「出口開口44dの開放」とは、出口開口44dを完全開放する意味に限定されず、案内通路44を通ってきた遊技球が遊技領域PAへ放出されるのを妨げない程度の開放状態をも含む概念である。
遊技領域PAの略中央には、センター役物80が配設されている。センター役物80は、この遊技機の正面側から演出表示装置70が視認可能となるよう略矩形の開口部(図示せず)が形成され、この開口部により該役物全体が枠状に形成されている。センター役物80は、その前面側が略全周に亘って演出表示装置70に表示される演出内容と関連した装飾が施されている。センター役物80は、遊技盤20の略中央に前後貫通された貫通口(図示せず)に取り付けられて、遊技盤20の基板よりも前側(ガラス枠5側)に突出するように配設されている。
センター役物80には、その左縁部で外周側に開口するワープ口85と、ワープ口85に流入した遊技球をセンター役物80の内周に沿って下方へ誘導するワープ通路86と、センター役物80の下縁部の内周側に配置されてワープ通路86によって誘導された遊技球が略左右方向に転動可能とされるステージ87とが備えられている。
遊技領域PAは、略中央のセンター役物80を基準として、センター役物80の上側の領域である上側領域PA1と、センター役物80の左側の領域である左側領域PA2と、センター役物80の右側の領域である右側領域PA3と、センター役物80の下側の領域である下側領域PA4とに区画される。より具体的には、上側領域PA1は、外レール41との間で、後述の球入口911〜913よりも上側、或いは、後述の天板部81よりも上側の領域である。左側領域PA2は、内レール42とセンター役物80との間で、後述の球入口911〜913よりも下側であって、後述の道釘95Mよりも上側の領域である。右側領域PA3は、レール飾り43とセンター役物80との間で、緩衝部材97よりも下側であって、大入賞口60よりも上側の領域である。下側領域PA4は、遊技領域PAから各領域PA1,PA2,PA3およびセンター役物80の配設領域を除いた残りの領域である。
上側領域PA1は、発射機構14により遊技球が打ち込まれる領域となっており、センター役物80の上部の略中央(本例では、上部中央の若干右寄り)を基準として、そこから左右に分岐して、左側部分に打ち込まれた遊技球は左側領域PA2へ流下され、右側部分に打ち込まれた遊技球は右側領域PA3へ流下される。すなわち、発射ハンドル12を基準回動量未満で操作したときは、上側領域PA1における左右方向の略中央よりも左側にて遊技球が流下する。この場合には、遊技球は上側領域PA1→左側領域PA2→下側領域PA4という順に盤面上を流下する。一方、発射ハンドル12を基準回動量以上で操作したときは、上側領域PA1における左右方向の略中央よりも右側にて遊技球が流下する。この場合には、遊技球は上側領域PA1→右側領域PA3、又は、上側領域PA1→右側領域PA3→下側領域PA4という順に盤面上を流下する。
左側領域PA2には、複数本の遊技釘95や風車96などが配設されるとともに、上側領域PA1に打ち込まれた遊技球を風車96やワープ口85などを介して下側領域PA4へ向けて流下させるための左打ち流路構造(詳細後述)が形成されている。
右側領域PA3には、複数本の遊技釘95や作動ゲート53、第2始動口52などが配設されるとともに、上側領域PA1に打ち込まれた遊技球を作動ゲート53、第2始動口52、下側領域PA4へ向けて流下させるための右打ち流路構造(詳細後述)が形成されている。また、上側領域PA1と右側領域PA3との境界部の近傍には、該右側領域PA3へ向けて打ち込まれた遊技球が衝突可能な緩衝部材97がネジ等により固定されている。この緩衝部材97は、例えばゴムやウレタン等の弾性体から形成されており、右打ち時に打ち出された遊技球が衝突することで、該遊技球の勢いを適度に低減するようになっている。
下側領域PA4には、複数本の遊技釘95とともに、一般入賞口50や第1始動口51、大入賞口60、アウト口29などが配設されており、左側領域PA2又は右側領域PA3から流下してきた遊技球は、これら左側領域PA2又は右側領域PA3にて振り分けられた経路に応じて、一般入賞口50、第1始動口51、大入賞口60のいずれかに入球し得る一方で、いずれの入賞口にも入球しなかった場合はアウト口29へ流下される。また、下側領域PA4に配設された複数本の遊技釘95のうち、風車96の近傍から第1始動口51へ向けて列状に配設された複数本の遊技釘95(「道釘95M」と称する)は、風車96の右側へ流下した遊技球を第1始動口51へ向けて案内するよう設定されている。
≪左打ち流路構造≫
本実施形態では、遊技領域PAの左打ち流路構造として、以下の構成を採用する。なお、本例における「流路」とは、所定のレール部材(外レール41、内レール42、レール飾り43)とセンター飾り80との間に画成されて、遊技球が上流から下流へ向けて流下し得る領域をいう本実施例においては、主に、後述する左側流下流路(左側流下領域)と右側流下流路(右側流下領域)とに分けられており、換言すると、盤面左側の遊技球流下領域と、盤面右側の遊技球流下領域とに区分けしている)。また、この「流路」については、遊技球が流下可能な領域と同義であり、一の流路(遊技球が流下可能な一の領域)が、列状の遊技釘群などによって実質的に左右又は斜めに区切られて遊技球が通過可能な複数の部分流路を形成する場合があるが、本例では、遊技釘等の障害部材の有無に関わらず、一の流路(遊技球が流下可能な一の領域)として取り扱う。なお、樹脂等で形成された部分流路(一体的に成形された流路)、又は2以上の成形部が近接配置されることで構成された流路(例としては、大入賞口60の上部)だけでなく、遊技釘を連続配置した「連続釘配置」を2列用意して(2列近接配置して)、それにより「流路」もしくは「部分流路」として形成してもよい(本実施形態では、部分流路として機能している)。但し、この場合、各列の複数本の遊技釘において、遊技球が通過可能な距離を空けて配置している場合は、連続釘配置とみなさない。換言すれば、遊技球が通過不可能な距離間で配置している場合を、連続釘配置とみなす。また、部分流路は、後述する一列球流路(一列球領域)よりも流路の長さが短く、更に言えば、複数本の道釘95Mにて構成される道釘流路(本例では、連続釘配置による3つの道釘流路に分かれている)のうち、最長の連続釘配置である道釘流路の距離よりも短いことが望ましい。
(1)球戻り防止弁45の先端部とセンター役物80の外端部との間に遊技釘95等の障害部材によって区画された複数の球入口が存在する。球入口は、遊技球が通過可能な領域である。
(2)複数の球入口よりも下流であって下側領域PA4よりも上流である所定位置(所定の高さ位置)に、内レール42とセンター役物80との間で遊技釘95等の障害部材によって区画された複数の球出口が存在する。球出口は、遊技球が通過可能な領域である。な
お、下側領域PAよりも上流とは、例えば、複数本の道釘95Mよりも上流や、風車96よりも上流、ワープ口85よりも上流、などが該当する。
(3)複数の球入口から複数の球出口へ至る範囲に、複数の球入口のいずれかを通過した遊技球を複数の球出口のいずれかかへ導くための流下流路(流下領域)が存在する。そのため、球入口は流下流路(流下領域)の入口部分であり、球出口は流下流路(流下領域)の出口部分であるといえる。
(4)流下流路(流下領域)は、遊技球の直径の2倍以上の寸法に設定されて遊技球を2列以上(複数列)にて流下可能な流路幅である複列球流路(複列球領域)として形成される。複列球流路(複列球領域)は、遊技釘等の障害部材の存在の有無に関わらず、遊技球が複数列にて流下可能な領域である。そのため、複列球流路(複列球領域)には、遊技釘等の障害部材によって、その流路が実質的に複数に区分されて、各部分流路を少なくとも1球以上の遊技球が流下し得る場合も含まれる。よって、実質的にみて、該複列球流路(複列球領域)は、部分流路の集合体であると解することもできる。ここで、球入口の数と球出口の数との関係は「複数:複数」とする。つまり、二通り以上の球入口と、二通り以上の球出口とを設定する。このとき、各球入口と各球出口とが1:1に対応付けられるものではない、すなわち、いずれの球入口に遊技球が流入するかに応じて、いずれの球出口から遊技球が流出するかは一様には決まらない。従って、いずれの球入口に遊技球が流入した場合でも、複数の球出口のいずれからも遊技球が流出し得るようになっている。
(5)流下流路(流下領域)の球出口と下側領域PA4の上端との間には、一列球流路(一列球領域)は存在しない。本例における一列球流路(一列球領域)とは、遊技球の流下経路(球流れ)を一様にするため、遊技球が一列にて通過可能な流路幅からなる集約的な流路(又は領域)をいう。つまり、遊技球1個分の直径よりも広く、且つ、遊技球2個分の直径よりも狭くなる流路幅に形成された流路(又は領域)である。なお、換言すると、遊技球の流下方向(ベクトル)に影響を与える間隔が遊技球の直径未満である(その通過領域内で遊技球の挙動が生じたとしても、その挙動幅が遊技球1個未満)であり、且つ、その流路長が所定長(所定の距離)であれば一列球流路(一列球領域)とする。「所定長」とは、直線の距離に限らず、上記流路の定義を満たしていれば、屈曲していても、それに沿ったトータルの距離として換算してよい。また、この所定長としては、その一例として、複数本の道釘95Mにて構成される道釘流路(本例では、連続釘配置による3つの道釘流路に分かれている)のうち、最長の連続釘配置である道釘流路の距離よりも長いことが望ましい。
それでは、かかる構成を適用した左打ち流路構造の具体例について説明する。
センター役物80の上部には、外レール41と略上下方向に対向する天板部81が一体形成されている。天板部81は、案内通路44の延長上において、外レール41との間で遊技球が通過可能な導入通路48を形成している。この天板部81には、上側領域PA1と左側領域PA2との境界部の近傍からセンター役物80の上部の略中央(本例では、上部中央の若干右寄り)に至るまでの範囲において、複数の突起部(第1突起部811、第2突起部812および第3突起部813)が備えられている。各突起部811,812,813は、外レール41の延出方向に沿って互いに所定の間隔をおいて配置されている。各突起部811,812,813は、遊技者が当該位置を狙って遊技球を打ち込むことで所定の入賞口(本例では第1始動口51)へ入球する可能性が相対的に高いとされる部位(所謂「ぶっ込み位置」と称される部位)である。また、天板部81の上面側には、センター役物80の上部の略中央を基準として、その左側には左斜め下方に向けて緩やかに傾斜する二つのスロープ面81a,81bが形成され、その右側には外レール41側に凸を向けて円弧状に湾曲する円弧面81cが形成されており、これにより上側領域PA1に打ち込まれた遊技球を左側領域PA2又は右側領域PA3へ振り分けている。
第1突起部811は、第1スロープ面81aの左側の端部に形成されて、案内通路44
の出口開口44d側に向けて凸形状となる部位であり、本例における第1のぶっ込み位置に相当する。第1突起部811の先端には、1本の遊技釘95(後述する右側の特定釘95T)が近接配置されており、該突起部(第1のぶっ込み位置)へ到達しようとする遊技球は、実質的には該遊技釘95に衝突することになるため、該遊技釘95を第1のぶっ込み位置として包含することができる。また、本例では、第1突起部811の下端と連続的に形成されて出口開口44dに向けて凹形状となる凹部814も第1のぶっ込み位置として包含してもよい。第1のぶっ込み位置で跳ね返された遊技球は、左側領域PA2へ導入される。
第2突起部812は、第1スロープ面81aと第2スロープ面81bとの間で段差となる部位であり、本例における第2のぶっ込み位置に相当する。第2のぶっ込み位置で跳ね返された遊技球は、第1スロープ面81a上を左方向へ転動して、左側領域PA2へ導入される。すなわち、第2突起部812は、遊技球を左側領域PA2へ向かわせるように跳ね返すための跳ね返り面として作用する。
第3突起部813は、センター役物80の上部の略中央(本例では、上部中央の若干右寄り)に設けられて、第2スロープ面81bと円弧面81cとの間で段差となる部位であり、本例における第3のぶっ込み位置に相当する。第3のぶっ込み位置で跳ね返された遊技球は、スロープ面81a,81b上を左方向へ転動して、左側領域PA2へ導入される。すなわち、第3突起部813は、遊技球を左側領域PA2へ向かわせるように跳ね返すための跳ね返り面として作用する。第3突起部813は、上側領域PA1の導入通路48に沿って右側領域PA3側へと案内される右打ち時の遊技球の通過を許容する一方で、該第3突起部813よりも手前で天板部81上に落下する等、該第3突起部813側へと移動する左打ち時の遊技球の右側領域PA3への進入を低減するようになっている。ここで、第3突起部813と第2スロープ81bとの間の角部81R2は、第2突起部812と第1スロープ81aとの間の角部81R1よりも、半径の大きいR形状(つまり、緩やかなR形状)に形成されている。つまり、同じ発射強度の遊技球であれば、第2突起部812よりも第3突起部813の方が該角部を乗り越え易く構成されている。これは、右側領域PA3への遊技球の発射強度が弱い場合には、第2スロープ面81bを左から右へ向けて転動する該遊技球が第3突起部813を乗り越えて右側領域PA3へ進入するのを規制して、いわゆるオーバー入賞を獲得するための弱打ちを防止する一方で、右側領域PA3への遊技球の発射強度が強い場合には、該遊技球が第3突起部813を乗り越えて右側領域PA3へ進入するのを許容することで、第2始動口52や大入賞口60などへの入球を確保するためである。なお、「オーバー入賞」とは、特別遊技におけるラウンド遊技(単位遊技)において、大入賞口60に予め定められた規定数(本例では10球)を超過した遊技球の入賞がある現象をいう。このオーバー入賞は、偶発的に発生する場合の他、例えば、変則打ちをする(右側領域PA3へ向けて、10球目を弱打ちした後、11球目を強打ちする)ことで、これら10球目と11球目とをほぼ同時に大入賞口60へ入球させるといった、遊技者による意図的な操作によっても発生する場合がある。そのため、左打ちをした場合に遊技球が第3突起部813に到達した場合には、該遊技球を遊技者の意図通りに左側領域PA2へ向けて跳ね返して流下させることができる一方で、オーバー入賞を狙って右打ちをした遊技球(10球目)が第3突起部813に到達した場合にも、該遊技球を左側領域PA2へ向けて跳ね返して右側領域PA3へ流下するのを防止する。なお、外レール41と天板部81との間の導入通路48において、第2突起部812から第3突起部813に至るまでの範囲(第2スロープ面81bの上部)には、遊技釘95等の障害部材は配置されていない。
また、センター役物80における天板部81よりも下方の位置には、センター役物80の左縁部を形成する左側壁部82と、センター役物80の右縁部を形成する右側壁部83とが設けられている。左側壁部82は内レール42と左右方向に対峙し、右側壁部83は
レール飾り43と左右方向に対峙している。
球戻り防止弁45の先端部とセンター役物80の外端部との間には、遊技球を左側領域PA2へ流下させるための複数の球入口911,912,913が形成されている。ここで、本実施形態でいう「センター役物80の外端部」とは、以下のように定義するものである。すなわち、上側領域PA1に臨むセンター役物80の外形の一部分であって、遊技釘等の他の部材を介さずに外レール41と対峙するように配置されて該外レール41との間で遊技球の通過を許容する隙間を形成する傾斜状又は円弧状の部位のうち、球戻り防止弁45の先端に最も近い位置に配された端部を「センター役物80の外端部」と定義する。なお、球戻り防止弁45の先端部を起点としてセンター役物80の或る端部までを繋ぐ直線上に、センター役物80の他の領域が重複しない場合に、該或る端部を「センター役物80の外端部」と定義してもよい。また、球戻り防止弁45よりも上側であり、且つ、上側領域PA1にてセンター役物80の或る端部よりも上側に釘がない場合に、該或る端部を「センター役物80の外端部」と定義してもよい。さらに、上記複数の定義のうちのいずれかを満たす場合に、「センター役物80の外端部」としてもよい。また、上記複数の定義の全てを満たす場合や、二以上の組み合わせを満たす場合に、「センター役物80の外端部」としてもよい。なお、「外端部」とは、例えば、突起状の端部、段差状の端部、角状の端部などを含む概念である。「上側領域PA1に臨むセンター役物80の外形の一部分」とは、少なくともセンター役物80の上面側の一部分を形成する部位であり、本例では天板部81が該当する。「傾斜状又は円弧状の部位」とは、天板部81の全体又は一部の部位であり、本例ではスロープ面81a,81bおよび円弧面81cが該当する。このとき、「センター役物80の外端部」は、好ましくは、ぶっ込み位置として機能する部位である。本例において、「センター役物80の外端部」は、天板部81(スロープ面81a,81bおよび円弧面81c)のうち球戻り防止弁45の先端部に最も近い位置に配された端部、すなわち、第1のぶっ込み位置として機能する第1突起部811が該当する。
具体的には、球戻り防止弁45の先端部と第1突起部811との間(盤面と平行な面内において両者の間を繋ぐ仮想線X上)には、3本の遊技釘95(「特定釘95T」と称する)が植設されており、これらの特定釘95Tにより相互に区切られて3つの球入口911,912,913が形成される。すなわち、球戻り防止弁45の先端部と左側の特定釘95Tの軸部との間に第1球入口911が形成され、左側の特定釘95Tの軸部と中央の特定釘95Tの軸部との間に第2球入口912が形成され、中央の特定釘95Tの軸部と右側の特定釘95Tの軸部(第1突起部811)との間に第3球入口913が形成される。各球入口911,912,913は、遊技球の直径よりも大きな幅をもつ隙間からなり、遊技球が通過可能に形成されている。本例では、複数の球入口911,912,913のうち、最も右側に配置された第3球入口913は、上側領域PA1に打ち込まれた遊技球が該第3球入口913に流入することで、他の球入口911,912に流入するよりも、第1始動口51に入球する可能性が相対的に高いとされるターゲット領域として構成されている。そして、本例では、第1ぶっ込み位置、第2ぶっ込み位置、第3ぶっ込み位置のいずれに遊技球を到達させた場合でも、このターゲット領域である第3球入口913に流入し易くなるよう構成されている。
なお、本例では、球入口911,912,913を区画するための障害部材として遊技釘95を適用したが、これに限定されるものではなく、例えば、遊技球の流下方向に変化を与え得る盤面上の構造物であれば、遊技釘95以外の他の障害部材を適用してもよい。また、本例では、球入口911,912,913は、仮想線X上に配置された障害物により区画されているが、これに限定されるものではなく、仮想線Xの近傍に位置する障害部材や、仮想線Xよりも上方に位置する障害部材などにより区画されるものでもよい。つまり、球戻り防止弁45の先端部とセンター役物80の外端部との間で、一以上の障害部材
が仮想線Xと重複ないし上方に位置することが望ましい。
複数の球入口911〜913よりも下流には、該球入口911〜913から遊技領域PAの上下略中央まで延在する左側流下流路(左側流下領域)91と、この左側流下流路(左側流下領域)91の下端と連続的に繋がって下側領域PA4の近傍(道釘95Mの近傍)まで延在する左側振分流路(左側振分領域)92とが設けられている。なお、以下では、左側流下流路(左側流下領域)91と左側振分流路(左側振分領域)92とを区別せずに、一纏めにして「左打ち流路」と称する場合がある。
左側流下流路(左側流下領域)91は、内レール42とセンター役物80の左側壁部82との間に画成されており、少なくとも遊技球の直径の2倍以上の大きさを有して遊技球が2列にて流下し得る流路幅に形成されている。そのため、左側流下流路(左側流下領域)91に流入した遊技球は、該流路内において、左右方向(左右斜め方向を含む)へ少なくとも遊技球1個分以上の距離を移動することが可能となっている。また、左側流下流路(左側流下領域)91には、該流路の左右方向の略中央に沿って上流側から下流側へ向かい複数本の遊技釘95(「遊技釘群95A」と称する)が列状に配設され、該流路は実質的にみて左側の部分流路と右側の部分流路とに区画されている。左側の部分流路と右側の部分流路とは、いずれも遊技球が流下し得る流路幅に形成されており、左側流下流路(左側流下領域)91に流入した遊技球は、左側の部分流路又は右側の部分流路を流下することができる。また、上記の遊技釘群95Aには、複数本の遊技釘95ごとに遊技球が1個通過可能な幅の隙間が形成されている。そのため、左側流下流路(左側流下領域)91を流下する遊技球は、該隙間を通じて左側の部分流路と右側の部分流路との間で互いに行き来することが可能である。
左側流下流路(左側流下領域)91の下端には、複数本の遊技釘95により区切られて、該流路からの遊技球の出口部分となる2つの球出口914,915が設けられている。すなわち、左側流下流路(左側流下領域)91における左側の部分流路に対応して左側の球出口914が配置され、右側の部分流路に対応して右側の球出口915が配置されている。各球出口914,915は、遊技球1個分の直径よりも大きな幅をもつ隙間からなり、遊技球が通過可能に形成されている。このように、左側流下流路(左側流下領域)91には、3カ所の球入口911,912,913に対して、2カ所の球出口914,915が設けられている。すなわち、左側流下流路(左側流下領域)91における球入口の数と球出口の数との関係でいえば、「複数:複数」で対応し得るよう構成されている。なお、前述したように、左側流下流路(左側流下領域)91内での遊技球の経路としては、左側の部分流路と右側の部分流路との間を互いに行き来することが可能であるため、複数の球入口と複数の球出口とは必ずしも1:1で対応付けられていない。つまり、3カ所のうちのいずれの球入口に流入したとしても、2カ所のうちのいずれの球出口から流出するのかは定まらない。
左側振分流路(左側振分流路)92は、内レール42とセンター役物80の左側壁部82との間に画成されており、少なくとも遊技球の直径の2倍以上の大きさを有して遊技球が2列にて流下し得る流路幅に形成されている。そのため、左側振分流路(左側振分流路)92に流入した遊技球は、該流路内において、左右方向(左右斜め方向を含む)へ遊技球1個分以上の距離を移動することが可能となっている。左側振分流路(左側振分流路)92には、経路変更部材としての複数本の遊技釘95および風車96などが配設されており、遊技球の流下経路を、ワープ口85を通過する経路と、道釘95Mに向かう経路と、それ以外の経路とに振り分ける。そのため、左打ちをした場合の遊技球の流下経路の多様性を創出することができる。
≪右打ち流路構造≫
本実施形態では、遊技領域PAの右打ち流路構造として、以下の構成を採用する。
(1)右側領域PA3の上流側には、一列球流路(一列球領域)が存在する一方で、右側領域PA3の下流側には、一列球流路(一列球領域)が存在しない。前述のように、本例における一列球流路(一列球領域)とは、遊技球の流下経路(球流れ)を一様にするため、遊技球が一列にて通過可能な流路幅からなる集約的な流路をいう。つまり、遊技球1個分の直径よりも広く、且つ、遊技球2個分の直径よりも狭くなる流路幅に形成された流路である。
(2)右側領域PA3の上流側には、いずれの入賞口も配置されていない一方で、右側領域PA3の下流側には、いずれかの入賞口が配置されている。
それでは、かかる構成を適用した右打ち流路構造の具体例について説明する。
右側領域PA3には、緩衝部材97の下方から該右側領域PA3の上下方向の略中央までに亘り延在する右側流下流路(右側流下領域)93と、この右側流下流路(右側流下領域)93の下端から下側領域PA4の上端までに亘り延在する右側振分流路(右側振分領域)94とが設けられている。なお、以下では、右側流下流路(右側流下領域)93と右側振分流路(右側振分領域)94とを区別せずに、一纏めにして「右打ち流路」と称する場合がある。
右側流下流路(右側流下領域)93は、レール飾り43とセンター役物80の右側壁部83との間に画成されており、遊技球の直径の2倍より狭く遊技球が一列でのみ通過可能な流路幅に形成されている。すなわち、右側流下流路(右側流下領域)93は、本例における「一列球流路(一列球領域)」として形成されている。右側流下流路(右側流下領域)93には、該流路を形成する内面側に、該流路内に向けて突出する複数の緩衝突起99が設けられており、該緩衝突起99に遊技球が接触することで流下中の遊技球の勢いを低減し得るようになっている。
右側振分流路(右側振分領域)94は、レール飾り43とセンター役物80の右側壁部83との間に画成されており、少なくとも遊技球の直径の2倍以上の大きさを有して遊技球が2列にて流下し得る流路幅に形成されている。そのため、右側振分流路(右側振分領域)94に流入した遊技球は、該流路内において、左右方向(左右斜め方向を含む)へ少なくとも遊技球1個分以上の距離を移動することが可能となっている。すなわち、右側振分流路(右側振分領域)94は、本例における「一列球流路(一列球領域)」として形成されていない。この右側振分流路(右側振分領域)94に臨む盤面上には、遊技球の流下方向を変更可能な複数本の遊技釘95が植設されるとともに、その下方に作動ゲート53および第2始動口52が配設されている。右側振分流路(右側振分領域)94に流入した遊技球は、複数本の遊技釘95によって、作動ゲート53を通過する経路と、作動ゲート53を通過しない経路と、のいずれかに振り分けられる。作動ゲート53を通過した遊技球は、その真下に配置された第2始動口52へ向けて流下し、該普通電動役物522が開放状態であれば容易に入球し得るように構成されている。一方、遊技球が作動ゲート53を通過しなかった場合は、そのまま該右側振分流路(右側振分領域)94を流下して、大入賞口60へ向けて誘導され、該特別電動役物642が開放状態であれば容易に入球し得るように構成されている。
このように、右打ち流路においては、大入賞口60の周辺となる右側振分流路(右側振分領域)94では一列球流路(一列球領域)を形成しない一方で、大入賞口60から離間した右側流下流路93(右側流下領域)では一列球流路(一列球領域)を形成している。
[作用]
次に、本実施形態の理解を容易なものとするために、ぱちんこ遊技機PMの特徴的作用
について説明する。以下では、流下流路(流下領域)を単に「流下流路」と称し、振分流路(振分領域)を単に「振分流路」と称し、一列球流路(一列球領域)を単に「一列球流路」と称し、複列球流路(複列球領域)を「複列球流路」と称する(後述の変形例においても同様とする)。
≪左打ちによる遊技≫
遊技状態が通常状態のときは、右側領域PA3に配設された第2始動口52が開放状態になり難く且つ開放状態になったとしても該開放時間が短いため、第2始動口52に遊技球が入球するのは稀である。そのため、通常状態では、主として遊技球を第1始動口51に入球しやすい左側領域PA2に流下させるため、左打ちによる遊技を行う。発射機構14により遊技球を打ち出すと、その遊技球は案内通路44を通って球戻り防止弁45の弁体47に衝突してこれを開放方向(時計周り方向)に押圧し、出口開口44dら遊技領域PAへ放出される。遊技球が出口開口44dを通過すると、球戻り防止弁45の弁体47はウェイト部47cの自重により閉止方向(反時計周り方向)へ揺動し、後続の遊技球が到達する前に初期位置に戻る。このとき、左打ち(弱打ち)を行う場合は、発射ハンドル12の操作量を基準回動量未満に調節して、遊技球の打ち込み位置を天板部81の左右略中央よりも左側に設定する。こうして左打ち(弱打ち)をした場合、発射ハンドル12の操作量(発射強度の大小)に応じて遊技球の慣性力が異なり、その発射強度に応じて上側領域PA1内での遊技球の落下点(落下位置)が規則的又は不規則に変化する。
この弱打ちの範囲で操作量を一定量未満の僅かにして、遊技球を極弱く打ち込む場合(「チョロ打ち」と称する)は、複数の突起部811,812,813のいずれにも到達することなく、複数の球入口911,912,913のいずれかに流入する(但し、ファール球となる場合を除く)。この場合は、チョロ打ちの加減に応じて、遊技球は、第1球入口911、第2球入口912、第3球入口913のいずれかに流入する。
一方、この弱打ちの範囲で操作量を一定量以上にして、遊技球をぶっ込み位置に打ち込む場合(「ぶっ込み打ち」と称する)は、遊技球は複数の突起部811,812,813のいずれかに衝突して跳ね返される。例えば、ぶっ込み打ちの範囲で遊技球を相対的に弱く打ち込む場合は、該遊技球は第1突起部811(手前側の特定釘95T)に衝突して跳ね返されて第3球入口913に流入する。ぶっ込み打ちの範囲で遊技球を相対的に中程度で打ち込む場合は、該遊技球は第1突起部811を越えることはできるが、その多くは第2突起部812の手前に落下して第2突起部812に衝突して跳ね返された後、第1スロープ面81aを流下して第3球入口913へ流入する。ぶっ込み打ちの範囲で遊技球を相対的に強く打ち込む場合は、第1突起部811および第2突起部812を越えることはできるが、その多くは第3突起部813の手前に落下して第3突起部813に衝突して跳ね返された後、第1スロープ面81aおよび第2スロープ面81bを流下して第3球入口913に流入する。
そして、球入口911,912,913のいずれかに流入した遊技球は、左側流下流路91を流下する。前述したように、この左側流下流路91は、遊技球の直径の2倍以上の流路幅に形成されており、ほぼ一列の遊技釘によって左右に略区画された流路の間で遊技球が相互に行き来できるようになっている。そのため、各球入口911,912,913を通過した遊技球に対して複数通りの流下経路が確保されている。この左側流下流路91の下端には、2カ所の球出口914,915が配置されており、球入口911〜913と球出口914〜915とは必ずしも1:1で対応付けられていない。つまり、3カ所の球入口911〜913のいずれに遊技球が流入したとしても、2カ所の球出口914〜915のうちのいずれから遊技球が流出するのかは定まらない。
球出口914,915を通過した遊技球は、左側流下流路91と連続的に形成された左
側振分流路92に流入する。この左側振分流路92は、遊技球の下側領域PA4への流下経路を振り分けるためのものである。そのため、左側振分流路92に流入した遊技球は、経路変更部材としての遊技釘95や風車96などによって、ワープ口85を通過する経路と、道釘95Mに向かう経路と、それ以外の経路とに振り分けられる。このように、いずれの球出口914,915を通過したかに応じて、該振分流路における遊技球の振り分け先が一様に決まるものではない。そのため、いずれの球出口914,915から該振分流路に流入した場合であったも、遊技球の流下経路が常に同一の経路となることはない(遊技球の流れが常に一定となることはない)。
具体的には、左側振分流路92のうち右側へ寄せられた遊技球は、複数本の遊技釘95によって、センター役物80の左側壁部82に開口されたワープ口85に流入するか否かを振り分けられる。ワープ口85へ流入した遊技球は、ワープ通路86を通過してステージ87へと案内される。ステージ97へ案内された遊技球は、該ステージ87上を転動しながら、第1始動口51の真上付近へと誘導される。このように、ワープ口85に進入した遊技球は、ワープ通路86およびステージ87を経由して、第1始動口51へ入球し易くなる。一方、ワープ口85に振り分けられなかった遊技球、又は、左側振分流路92の中央に寄せられた遊技球は、風車96の上方において略二列で配列された遊技釘95によって該風車96側に案内される場合があり、該遊技球が風車96に接触することで、該遊技球の流下経路が風車96の左右いずれかに振り分けられる。風車96により右側に振り分けられた遊技球は、ほぼ直線的に並設された複数本の遊技釘95(道釘95M)上を流下することで、下側領域PA4の左右略中央に配設された第1始動口51へ向かって誘導され、第1始動口51又は一般入賞口50へ入球するか、あるいは、いずれの入賞口にも入球することなくアウト口29に流入する。複数本の遊技釘95によりワープ口85および風車96のいずれにも至らなかった場合、又は、風車96によって道釘95Mへ導かれなかった場合は、風車96の左側を流下して、一般入賞口50に入球するか、あるいは、一般入賞口50にも入球することなくアウト口29に流入する。
このように、左打ちによる遊技を行う場合は、遊技者自身の技量に応じて発射ハンドル12の操作量(遊技球の発射強度)を調節して、遊技球を打ち分けることにより、該遊技球の流下経路に変化を生じさせることができる。その際、遊技球が打ち込まれたぶっ込み位置に応じて、該遊技球の流下経路に少なからず規則性が生起し得ることで、第1始動口51への入球率の向上を期待することができる。そのため、遊技者の技量の介入の余地が高まり、遊技の興趣を向上させることができる。
≪右打ちによる遊技≫
特定遊技状態あるいは特別遊技状態では、主として遊技球を第2始動口52や大入賞口60等へ入球しやすい右側領域PA3へ流下させるため、右打ちによる遊技を行う。ここで、「特定遊技状態」とは、通常状態よりも特別遊技への移行確率が高められた状態であり、特別図柄の確率変動機能、特別図柄の変動時間短縮機能、電チューサポート機能のうちの少なくとも一の機能が作動した状態のことである。本例では、特定遊技状態として、少なくとも電チューサポート機能(入球容易状態)が作動していることを条件とする。
発射機構14により遊技球を打ち出すと、その遊技球は案内通路44を通って球戻り防止弁45の弁体47に衝突してこれを開放方向(時計周り方向)に押圧し、出口開口44dから遊技領域PAへ放出される。遊技球が出口開口44dを通過すると、球戻り防止弁45の弁体47はウェイト部47cの自重により閉止方向(反時計周り方向)へ揺動し、後続の遊技球が到達する前に初期位置に戻る。このとき、右打ち(強打ち)を行う場合は、発射ハンドル12の操作量を基準回動量以上に調節して、遊技球の打ち込み位置を天板部71の左右略中央よりも右側に切り替える。
外レール41に沿って第3突起部713よりも右側へ打ち込まれた遊技球は、外レール41と天板部70との間の導入通路48を通過して、右側領域PA3(右側流下流路93)へ流入する。前述したように、この右側流下流路93は、その流路幅が遊技球の直径の2倍より狭く形成され、遊技球が一列でのみ通過可能に構成されている。そのため、右側流下流路93に流入した遊技球は、常に同一の流下経路を辿り、該右側流下流路93から一様な球流れにて下方へ流出される。
右側流下流路93を流出した遊技球は、右側流下流路93と連続的に繋がる右側振分流路94に流入する。右側振分流路94に流入した遊技球は、経路変更部材としての複数本の遊技釘95によって、作動ゲート53を通過する経路と、作動ゲート53を通過しない経路と、のいずれかに振り分けられる。作動ゲート53は、一対の遊技釘95の隙間の真下に配置されており、該遊技釘95の隙間から遊技球を流入させることができる。作動ゲート53の直下には、該作動ゲート53への遊技球の通過を契機として実行される普通図柄の当否抽選で当選した場合に所定時間だけ開放状態とされる第2始動口52が配設されている。本例では、遊技球が右側振分流路94を流下する過程で作動ゲート53を通過する限り、該遊技球は第2始動口52に向かって流下することになり、そのとき普通電動役物522が開放状態であれば、遊技球は第2始動口52に入球することになる。
一方、右側振分流路94において作動ゲート53を通過しなかった遊技球は、そのまま下側領域PA4へ流下する。右側振分流路94の下方に位置して下側領域PA4の右側部分には、大入賞口60が設けられている。大入賞口60は、右打ちされた遊技球(右側領域PA3を流下した遊技球)が入球しやすい位置に配設されている。このとき、本例では、遊技球が右側領域PA3を流下する過程で作動ゲート53および第2始動口52に入球しない限り、遊技球は大入賞口60へ向けて流下することになり、特別電動役物642が開放状態であれば、遊技球は大入賞口60に入球することになる。そのため、本例では、特別電動役物642が開放状態にある場合は、ムダ球が発生する可能性が低減されている。
このように、右打ちによる遊技を行う場合は、特別遊技状態又は特定遊技状態における迅速な遊技を可能にすべく、右側領域PA3では左側領域PA2と比べて、遊技釘95や役物等の障害部材の数が少なく配置されている。そのため、右側領域PA3に打ち出された遊技球は該障害部材によってその流下経路を干渉され難くなっており、第2始動口52又は大入賞口60までの到達時間が短くなっている。
以上、本実施形態では、球戻り防止弁45の先端部からセンター役物80の外端部までの間に遊技釘95等の障害部材によって相互に区画された複数の球入口911,912,913を設けて、遊技球をいずれの球入口に流入させたとしても、その下流において遊技球の流下経路が集約されることなく多様に振り分けられるよう構成されている。従って、遊技者の技量に応じて遊技領域PA内への遊技球の打ち込み位置を任意に切り換えることで、該遊技球の流下経路(球流れ)に変化を生じさせて、入賞口への入球率を異ならしめることができるため、遊技者の技術介入性を高めて、遊技の興趣を向上させることが可能となる。
なお、本実施形態では、3カ所の球入口と2カ所の球出口とを形成したが、この構成に限定されるものではなく、複数カ所の球入口と複数カ所の球出口とが形成されていれば、その個数は適宜に設定可能である。また、複数カ所の球入り口と複数カ所の球出口との一部が1:1で対応するものであってもよい。
<大入賞口>
次に、本実施形態に係る大入賞口60として用いられている大入賞口装置600につい
て説明する。図10〜図14は、大入賞口装置600の具体的な構成を示すものである。この大入賞口装置600は、図10(a)に示すように、前面部601と、この前面部601の背後に設けられた背面部602とを備えており、遊技盤20に、前面部601が遊技領域PA中の所定位置に配置されるように固定される。そして、前面部601は、遊技領域PAにおけるゲージ構成や意匠の一部を担うものであり、背面部602は、図示は省略するが、遊技盤20に形成された部品用開口(図示略)に挿通されて遊技盤20の背面に一部を突出させものである。
大入賞口装置600の前面部601には、基板部603、遮蔽カバー部材604(カバー部材)、球通路形成部605、水平シャッタ部材606、及び、倒伏扉部材607などが備えられている。基板部603の前面には遮蔽カバー部材604が装着されており、基板部603の前面の大部分は、遮蔽カバー部材604により覆われている。
基板部603は、遊技盤50の表面にビス止めされる平板状の部材であり、該遊技機の正面から見て、外周縁部の右上隅部、左下隅部、左中断部といった所定部位に、遊技盤20への装着用のビス穴603a〜603cを有している。そして、基板部603は、遊技領域PAの右下隅の部位に配置されて固定されている。
遮蔽カバー部材604は、平板状の本体部604aを有しており、この本体部604a下縁部及び左右の側部には、図14中に示すように、連続してコ字状に形成された隔壁部604bが突設されている。さらに、遮蔽カバー部材604は、基板部603の中央部に組み合わされて固定されており、基板部603のとの間に、上向きに帯状に開口し、遊技球を受け入れて流下させることが可能な流下空間を形成している。また、遮蔽カバー部材604は、光透過性のある透明プラスチック製であり、外側(表側)から内側の流下空間を視認できるようになっている。
前述の球通路形成部605は、図11(a)や図12(a),(b)に示すように、所定形状の複数のリブの組合せにより構成されており、基板部603の背後から前方に向かって突出している。球通路形成部605の、基板部603からの突出量は、遊技球の直径よりも幾分(数ミリ程度)大きく、且つ、全体に亘り同程度となるように設定されている。ここで、図11(a),(b)及び図12(a),(b)は、遮蔽カバー部材604を取り外した状態を示している。
図12(a),(b)に示すように、球通路形成部605は、流入球案内部608、第1入賞案内部609、及び、第2入賞案内部610を形成しており、流入球案内部608に進入した遊技球を、前述の水平シャッタ部材606の状態に応じて、異なる経路に案内するようになっている。つまり、流入球案内部608は、上方から流下してきた遊技球の流下方向を変化させて、該遊技機の正面から見て右側から左側に案内する遊技球通路を構成している。また、第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610は、流入球案内部608を流下する遊技球が進入した場合に、この進入した遊技球を、下方に案内する遊技球通路を構成している。
これらのうち流入球案内部608は、受容部608a、接続部608b、及び、排出部608cを横一列に備えており、右端に位置する受容部608aと中間に位置する接続部608bとの間、及び、接続部608bと左端に位置する排出部608cとの間に、遊技球の直径よりも幾分(数ミリ程度)大きく、第1入球口609a及び第2入球口610aを構成する間隙を介在させている。さらに、受容部608aは、右から左へ低く所定角度で傾斜するとともに、右端部を右斜め上方に向け湾曲させている。接続部608bは、受容部608aの左端部よりも幾分(数ミリ)低い位置に形成されており、直線状に右から左へ低く傾斜している。また、排出部608cは、接続部608bに間隙を介して連続す
るよう形成されており、直線状に右から左へ低く傾斜している。
受容部608aと接続部608bの間の第1入球口609a、及び、接続部608bと排出部608cの間の第2入球口610aは、水平シャッタ部材606に設けられた第1シャッタ部606a、及び、第2シャッタ部606bにより、通常時(大入賞口装置600の非作動時)は、図12(a)中に示すように閉鎖されている。つまり、水平シャッタ部材606は、図13中及び図14中に示すように、矩形板状に成型された本体部606cと、本体部606cの前縁において左右に離間した板状の第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bとを有している。第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bの大きさは、縦横寸法が遊技球よりも幾分(数ミリ程度)大きくなるように設定されている。さらに、第1シャッタ部606aと第2シャッタ部606bは、受容部608a、接続部608b、及び、排出部608cが有する傾きと同程度の傾きで右から左へ低く傾斜している。
また、第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bは、前述の第1入球口609a及び第2入球口610aと、それぞれ対応する位置関係にある。そして、通常時は、水平シャッタ部材606が、前進位置で停止しており、第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bが、図12(a)中に示すように基板部603の前方に突出して、第1入球口609a及び第2入球口610aを共に塞いでいる。この状態においては、大入賞口装置600の受容部608aに流入した遊技球は、第1シャッタ部606a、接続部608b、及び、第2シャッタ部606bを伝って排出部608cに到達し、更に排出部608cから一般入賞口50および第1始動口51の側に向けて放出される。ここで、水平シャッタ部材606の駆動機構については後述する。
また、流入球案内部608の途中の部位には、流入球案内部608を流下する遊技球の速度を低下させるための減速部611が設けられている。この減速部611は、基板部603及び遮蔽カバー部材604に一体に設けられたリブ状の突起611a,611bにより構成されている。基板部603の突起611a、及び、遮蔽カバー部材604の突起611bの突起はそれぞれ2個ずつであり、これらの突起611a,611bの形状は、尖端を流入球案内部608の幅方向(遊技機の前後方向)の中央に向けた三角柱状である。さらに、各突起611a,611bの上端は、前方にいくほど低い傾斜面となっている。
基板部603の2個の突起611aは、接続部608bの直上の部位において、遊技球の直径よりも幾分(数ミリ)大きい程度の所定距離をもって左右に離間している。このような2つの突起の位置関係は、遮蔽カバー部材604の2個の突起611bについても同様である。また、基板部603の突起611aと、遮蔽カバー部材604の突起611bとの位置関係については、双方の突起611a,611bが、接続部608bの上部空間を挟み、且つ、遊技球の流下方向(遊技機のほぼ左右方向)に所定量(遊技球の半径分程度)ずれた状態に設定されている。そして、図10(b)中に示すように、基板部603の2つの突起611aのうち上流側のものが、遮蔽カバー部材604の2つの突起611bのうちの上流側のものよりも、第1入球口609aに近い側に位置している。
このような減速部611を設けることにより、流入球案内部608を流下する遊技球は、4つのうちの少なくとも何れか1つ以上の突起611a,611bに干渉することで減速される。そして、遊技球は、流入球案内部608への流入時や減速部611への到達時よりも速度を落とした状態で、接続部608bの下流側に向かう。
前述の第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610は、大入賞口装置600が作動する非通常時(大入賞口装置600の作動時)には、第1入球口609a及び第2入球口610aの開放に伴い、遊技球が進入可能な状態となる。つまり、非通常時には、水平シ
ャッタ部材606が後退位置に下がり、第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bを、基板部603の後方へ向けて退避させる。そして、図12(b)中に示すように、第1入球口609a及び第2入球口610aが露出し、流入球案内部608と、第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610とが連通する。
ここで、本実施例においては、大入賞口装置600が作動するのは、前述のように、大入賞口装置600を作動させるための当否抽選に当選し、この当選に係る特別遊技や小当り遊技が実行される場合である。また、第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bによる第1入球口609a及び第2入球口610aの開放は、特別遊技等のラウンド中に行われ、複数ラウンドが繰返される場合におけるラウンド間(ラウンドインターバル)には、第1入球口609a及び第2入球口610aは、第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bにより閉塞されている。
第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610は、第1検出球案内部609b、第1排出球案内部609c、及び、第2検出球案内部610b、第2排出球案内部610cをそれぞれ有している。また、第1検出球案内部609bと第1排出球案内部609cとの間の部位、及び、第2検出球案内部610bと第2排出球案内部610cとの間の部位には、大入賞口スイッチ641としての第1入賞センサ79a及び第2入賞センサ79bがそれぞれ配置されている。これらの入賞センサ79a,79bは、近接センサであり、この近接センサとしては、各種のマイクロスイッチなどを利用できる。さらに、マイクロスイッチとしては、接触式、非接触式、機械式、光学式、電磁誘導式など、種々のものを採用することが可能である。
各入賞センサ97a,97bは、遊技球の直径よりも小さい厚みを有する矩形状のケーシング612a,612bと、厚み方向に遊技球を通過させる検出穴613a,613bと有している。さらに、各入賞センサ97a,97bは、検出穴613a,613bを介して、第1検出球案内部609bと第1排出球案内部609c、及び、第2検出球案内部610bと第2排出球案内部610cを、遊技球が流下可能なように連通させている。また、各入賞センサ97a,97bは、互いに長手方向の向きをほぼ90°異ならせて、第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610に装着されている。そして、本実施例では図11(a)等に示すように、第1入賞センサ97aは長手方向を、基板部603の前面側において左右方向に向けており、第1入賞センサ97bは長手方向を、基板部603を通過する前後方向に向けている。
また、本実施例においては、第1検出球案内部609bは、途中の部位で、正面から見て右側から左側へ屈曲しており、第1検出球案内部609bに落下した遊技球は、第1検出球案内部609bの内壁に一旦干渉し、減速されてから第1入賞センサ97bを通過するようになっている。また、本実施では、第1検出球案内部609bの背後側の内壁中央に、所定の突出量(例えば1ミリ以下)のリブ609dが、第1検出球案内部609bの形状に沿うように設けられている。そして、このリブ609dにより、第1検出球案内部609b内での球噛み等の防止が図られている。なお、第1検出球案内部609bのみでなく、第2検出球案内部610bについても、屈曲形状としたり、内壁にリブを突設してもよい。
また、水平シャッタ部材606が後退し、第1入球口609a及び第2入球口610aが開放された状況においては、流入球案内部608を流下する遊技球は、上流側にある第1入球口609aに進入し、第1入賞センサ79aにより検出されて、第1入賞案内部609から排出される。しかし、一部の遊技球が第1入球口609aを飛び越え、接続部608bから、下流側にある第2入球口610aに達する場合も考えられる。このような場合に第2入球口610aに達した遊技球は、第2入賞案内部610に進入し、第2入賞セ
ンサ79bにより検出されて、第2入賞案内部610から排出される。前述のように、第1入球口609aと第2入球口610aのとの間には、減速部611が設けられているので、仮に第1入球口609aに進入しなかった遊技球があっても、この遊技球の勢いは、第2入球口610aの手前で、減速部611により十分に弱められる。
さらに、本実施例では、前述のように遮蔽カバー部材604が透明であるため、上述のように流入球案内部608、第1入賞案内部609、及び、第2入賞案内部610を流下する遊技球の様子は、遮蔽カバー部材604を介して遊技者が視認可能である。
続いて、前述の倒伏扉部材607は、図12(a),(b)及び図13等に示すように、平板状の扉部607aを有しており、第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610の下方に配置されている。この倒伏扉部材607は、図12(b)、図13及び図14中に示すように、基板部603に矩形に開口した遊技球回収口614と対応する位置関係にある。そして、倒伏扉部材607は、下縁部を中心として前後方向に回動可能に軸支されており、通常時は、図11(a),(b)及び図12(a)に示すように、遊技球回収口614を閉塞している。遊技球回収口614の左右方向の長さ(開口寸法)は、図11(a)に示すように、流入球案内部608における受容部608aの右端(上流端)よりも内側の部位から、排出部608cの右端(上流端)に至る程度の長さとなっている。そして、倒伏扉部材607の左右方向の長さも、遊技球回収口614の開口寸法と同程度になっている。
大入賞口装置600が作動すると、倒伏扉部材607は、図12(b)に示すように、下縁部を基端とし、上縁部へいくほど基板部603の前方に突出するように傾倒する。そして、倒伏扉部材607は、上方の第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610を向いて開口し、第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610から排出された遊技球を受け入れて、基板部603の後方の回収通路616aへ案内する。そして、回収通路616aに進入した遊技球は、右から左へ低くなる傾斜面を伝って、左端部に開口した回収穴616bに導かれ、回収穴616bから遊技盤50の背面側へ向けて案内される。
本実施例では、回収穴616bの内部には遊技球を検出するセンサ類は設けられておらず、遊技球回収口614に進入した遊技球に対して、少なくとも遊技盤20の近辺におけるカウントは行われないようになっている。したがって、倒伏扉部材607により開閉される遊技球回収口614は、開放した際には、第1入賞案内部609又は第2入賞案内部610で検出された遊技球に対して、前述のアウト口29と同様な球排出の機能を果たす。また、倒伏扉部材607の動作する様子や、開状態となった遊技球回収口614の様子は、透明な遮蔽カバー部材604を介して遊技者が視認できるようになっている。さらに、倒伏扉部材607と球通路形成部605との間は、カバー部材としての遮蔽カバー部材604により覆われており、遊技球回収口614へは、第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610から放出された遊技球のみが入球できるようになっている。
また、倒伏扉部材607は、水平シャッタ部材606とは異なり、大入賞口装置600の作動中は、継続的に開放状態となっている。そして、複数のラウンドが繰返される場合でも、最初のラウンドの開始時から最後のラウンドの終了時まで、倒伏扉部材607は開放状態を継続する。さらに、本実施例では、水平シャッタ部材606が開放状態となるタイミングよりも所定時間(例えば1秒)前のタイミングで、倒伏扉部材607が開放状態となり、水平シャッタ部材606が閉塞状態となるタイミングよりも所定時間(例えば1秒)後のタイミングで、倒伏扉部材607が閉塞状態となる。
なお、本実施例では、図11(a),(b)及び図12(a),(b)に示すように、基板部603の右上部に遊技球通過口615が形成されている。この遊技球通過口615
は、受容部608aの下方に位置しており、流入球案内部608からは、球通路形成部605によって隔離されている。さらに、遮蔽カバー部材604の右側部から、前述の流下空間への遊技球の進入が可能となっており、流入球案内部608の下方において大入賞口装置600に流入した遊技球は、図13及び図14等に示すように、遮蔽カバー部材604に形成された遮蔽カバー側案内樋604c、及び、基板部603に形成された基板側案内樋603dを伝って後方に案内される。
次に、前述の背面部602について説明する。この背面部602は、図13及び図14等に示すように、シャッタ駆動ユニット621、通路構成ユニット622、及び、倒伏扉部材駆動ユニット623により構成されている。シャッタ駆動ユニット621は、前述の水平シャッタ部材606を前進及び後退させるものであり、上方を開放し前後左右を囲った支持枠部621aに、ソレノイド部624(図14参照)や、リンクアーム部材625などを収容している。
ソレノイド部624には、リンクアーム部材625が、ラック・ピニオン機構(図示略)を介して連結されており、リンクアーム部材625には、スライド穴625aを介して、前述の水平シャッタ部材606が緩やかに連結されている。ソレノイド部624は、大入賞口装置600が動作していない通常時にはオフされており、図11(b)中に実線で示すようにリンクアーム部材625を前方に回動させた状態として、水平シャッタ部材606を前進させている。また、大入賞口装置600が作動している非通常時には、ソレノイド部624はオンされ、図11(b)中に2点鎖線で示すようにリンクアーム部材625を後方に回動させた状態として、水平シャッタ部材606を後退させる。つまり、ソレノイド部624のオン・オフに伴い、リンクアーム部材625が前後に揺動し、水平シャッタ部材606が直線的に前進又は後退する。そして、水平シャッタ部材606の進退は、基板部603、支持枠部621a、及び、後述する通路構成ユニット622によりガイドされるようになっている。
通路構成ユニット622においては、上方を開放し前後左右を囲った支持枠部622aの前面に、前述の球通路形成部605が形成されている。さらに、通路構成ユニット622にはシャッタ駆動ユニット621が載置され、通路構成ユニット622がシャッタ駆動ユニット621を下方から支持している。
倒伏扉部材駆動ユニット623は、矩形箱状の筐体部623aの前面に、前述の遊技球回収口614を開口するとともに、左右側部の前方の部位に、倒伏扉部材607の左右下端部が回動可能に連結される扉支持部626を有している。さらに、倒伏扉部材駆動ユニット623は、図示は省略するが、筐体部623a内に、倒伏扉部材607を開閉させるためのソレノイドや、倒伏扉部材607の閉塞時に付勢するばね等を有している。また、倒伏扉部材駆動ユニット623には、通路構成ユニット622が載置され、倒伏扉部材駆動ユニット623が通路構成ユニット622を下方から支持している。
ここで、大入賞口装置600には、図11に示すように、各種の中継基板を介して主制御基板100との電気的接続を行う第1コネクタ627と、倒伏扉部材駆動ユニット623と通路構成ユニット622との電気的接続を行うための第2コネクタ628とを備える。そして、各種電気機器への給電、各入賞センサ79a,79bの信号の出力、各種ソレノイドへの制御信号の供給などは、これらの第1コネクタ627や第2コネクタ628を利用して行われている。
以上説明したような大入賞口装置600を備えたぱちんこ遊技機PMによれば、水平シャッタ部材606を用いたシャッタ式の機構により、上向きの大入賞口となる第1入球口609a(上流口)及び第2入球口610a(下流口)の開閉が同時に行われている。し
たがって、倒伏扉式の機構により正面向きの大入賞口を開閉するタイプのものに比べて、高さ方向の寸法についての小型化が容易となる。そして、小型化により空いたスペースを利用して、大入賞口装置600の形状や機構設計の自由度を高めることができ、更に大入賞口装置600の周囲における他の部品や遊技釘の配置等に関しても、設計の自由度を高めることができる。
また、流入球案内部608において、第1入球口609aが第2入球口610aの上流に位置しており、流入球案内部608に流入した遊技球は、第1入球口609aを必ず通るようになっている。したがって、第1入球口609aのみでも、ぱちんこ遊技機PMの大入賞口として用いることが可能である。また、第1入球口609aの縦横の開口寸法は、遊技球の直径よりも幾分大きい程度となっており、大入賞口を横長の帯状に大きく確保した従来のタイプに比べて、大入賞口が縮小化されている。したがって、大入賞口装置600の最小限の機能である、開放に伴い進入した遊技球を検出するといった機能を確保するうえでは、左右方向についても小型化が可能であり、このことによっても大入賞口装置600の設計の自由度を高めることができる。
また、本実施例では、第1入球口609aの下流に第2入球口610aが設けられているため、仮に第1入球口609aを飛び越えた遊技球が発生しても、第2入球口610aを予備的な大入賞口として利用できる。そして、大入賞口装置600の作動時に、大入賞口装置600から零れる遊技球の発生を防止でき、所定数(ここでは10個)の遊技球の計数を迅速に終えることができる。さらに、流入球案内部608に、第1入球口609aと第2入球口610aとを併せて大入賞口が形成されているので、大入賞口の開口幅の確保が容易であり、効率よく遊技球を流下させ、排出することができる。
さらに、第1入球口609aと第2入球口610aとの間に減速部611が設けられており、流入球案内部608を流下する遊技球が、減速部611において突起611a,611bに干渉するようになっている。したがって、この減速部611により、第2入球口610aへ向かう遊技球の勢いを弱めることができる。そして、第1入球口609aに入球せずに通り過ぎた遊技球を、より確実に、第2入球口610aに入球させることができる。
特に、遊技領域PAの右側の部位においては、センター飾り80によりスペースが占有されて釘等の配置が困難であり、釘等を十分に配設した部位(例えば遊技領域PAの左側の部位など)に比べて、流下する遊技球の速度が速くなりがちである。そして、大入賞口装置600に進入した遊技球の挙動も安定しづらく、このことは、入賞センサ79a,79bでのチャタリングの発生や、入賞センサ79a,79bの破損などの原因になり得る。しかし、本実施例のように、流入球案内部608の受容部608aを湾曲させて遊技球の流下方向を上下方向から左右方向に変化させたり、流入球案内部608に減速部611を設けたりすることにより、第1入球口609aや第2入球口610aに向かう遊技球の勢いを十分に低下させることができる。なお、第1入球口609aの手前に減速部611を設けて、第1入球口609aに向かう遊技球の減速を行ってもよい。
また、減速部611により遊技球の減速を行うことは、遊技球が流入球案内部608上に存在する時間を長くすることに繋がる。したがって、大入賞口装置600で1ラウンドの規定数(ここでは10個)よりも多くの入賞を発生させる可能性が高まり、このような観点からは、所謂オーバー入賞や超過入賞などが発生し易くなることが考えられる。
さらに、本実施例においては、水平シャッタ部材606を用いているとともに、大入賞口である第1入球口609a及び第2入球口610aは、前述のように従来に比べ縮小化されたものである。したがって、水平シャッタ部材606や、水平シャッタ部材606の
案内部(図示略)について、姿勢の維持や摩擦などといった設計条件を緩和することが可能となり、水平シャッタ部材606の円滑な動作を容易に確保できるようになる。
すなわち、従来のように扉を起立又は倒伏動作させるタイプの大入賞口装置の場合には、大入賞口が前面を向いて開口するため、大入賞装置の厚み(上下方向の寸法)が大となる。また、板状の扉を、下端縁部を軸として回動動作させるため、駆動源として用いられるソレノイドには、扉を動かすのに十分なモーメントを発生させることが可能な比較的大出力のものが必要となる。さらに、扉を戻すのに用いられるばねの弾性力によっては、遊技球の重みが加わることで扉が閉まらなくなったり、予期せず開いたりすることもあり、ばねの選定にも注意が必要である。
また、シャッタを前後に進退させるタイプの大入賞口の場合には、従来のようにシャッタのスライドにより開閉される開口(大入賞口)が大きいと、摩擦、摩耗、汚れといった種々の要素の影響を受けやすくなり、場合によっては、シャッタが閉まらなくなったりすることも考えられる。さらに、シャッタに均等な力を作用させなければ、シャッタが傾いてしまい、このことによっても、シャッタが円滑に動作しない場合が生じ得る。
しかし、本実施例における大入賞口装置600のように、水平シャッタ部材606を用いるとともに、第1入球口609a(及び第2入球口610a)に全ての遊技球を導くことにより、大入賞口の縮小化、及び、大入賞口を塞ぐシャッタ(ここでは第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606b)の小型化が可能となる。そして、水平シャッタ部材606の全体的な形状や大きさを、大入賞口の形状や大きさに合わせて決めなければならないといった制約がなくなり、水平シャッタ部材606の軽量化や、本体部606cの形状の自由化が可能となる。そして、水平シャッタ部材606の本体部606cの形状や大きさの自由化により、摩擦、摩耗、汚れといった種々の要素の影響を抑制するような設計を行い得るようになる。また、本体部606cに作用させる力の均等化や、傾きに対しても設計上の要求を緩和できるようになり、シャッタ機構に係る設計が容易になる。そして、結果として、大入賞口の開閉に係るトラブルの発生を防止できるようになる。
また、本実施例によれば、第2入球口610aが設けられているので、大入賞口装置600の作動時において、流入球案内部608に流入した遊技球を、ラウンドを跨いで入賞させることが可能となる。つまり、或るラウンドの終了間際に流入球案内部608に流入した遊技球が、第1入球口609aが閉鎖して、第1入球口609aへの入球を果たせなかった場合であっても、ラウンド間の所定期間(ラウンドインターバル)を経て次のラウンドが開始され、水平シャッタ部材606が後退した際に、当該遊技球が、第1入球口609aと第2入球口610aとの間の部位に残っていれば、第2入球口610aを介して、当該遊技球を第2入賞案内部610に導き、入賞を発生させることが可能である。さらに、本実施例では、第2入球口610aの上流側に減速部611が設けられているので、この減速部611により、このようなラウンドを跨いだ第2入球口610aへの入球の可能性を高めることができる。ここで、ラウンドインターバルは、例えば1秒未満の期間とすることが考えられる。
また、本実施例によれば、水平シャッタ部材606に加えて、倒伏扉部材607が設けられており、この倒伏扉部材607の動作は、遮蔽カバー部材604を介して遊技者が視認可能となっている。このため、大入賞口装置600が作動開始したことや、作動中であることを、倒伏扉部材607の様子を介して遊技者に知覚させることが可能である。
つまり、第1入球口609a及び第2入球口610aを閉塞する第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bは、遊技者に対して厚み部分のみを向けており、更にこれらの厚さ寸法を除いた縦横寸法は、遊技球の直径程度に縮小化されている。このため、第
1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bが動作しても、遊技者が、これらが動作したことに気付かないことも考えられる。
しかし、本実施例のように、倒伏扉部材607を付設し、第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bの動作タイミングに合わせて、倒伏扉部材607を動作させることにより、大入賞口の開閉に倒伏扉部材607を用いた場合と同様の知覚効果を奏することが可能となる。そして、遊技者が、大入賞口装置600の作動開始に合わせて遊技球を打ち出す際の、打ち出し開始のタイミングを図り易くなる。また、倒伏扉部材607の動作により、当り(特に大当り)の発生をアピールでき、遊技者の当りに対する満足度を高めることが可能になる。
ここで、小当りの発生時には倒伏扉部材607を作動させず、水平シャッタ部材606のみを作動させ、大当りの発生の際には倒伏扉部材607と水平シャッタ部材606の双方を作動させるといった動作態様を採用することも可能である。また、出球の期待が持てる前述の16R確変のような大当りが発生した場合にのみ倒伏扉部材607を作動させ、他の大当りの場合には水平シャッタ部材606のみを作動させる、といった動作態様も採用が可能である。さらに、16R確変のような大当りであっても、所定の場合の大当りのみ倒伏扉部材607を開放する、といった動作態様も考えられる。
さらに、本実施例によれば、遮蔽カバー部材604が備えられており、倒伏扉部材607と球通路形成部605との間は、遮蔽カバー部材604により覆われている。このため、遊技球回収口614へ入球する遊技球を、第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610から放出された遊技球のみとすることができる。そして、第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bと、倒伏扉部材607とに対し、取扱う遊技球の共通化により、取扱う遊技球に関する機能的な一体感を与えることが可能である。
また、本実施例によれば、倒伏扉部材607の開放期間は、最初のラウンドの開始から最後のラウンドの終了までの期間を跨いでおり、水平シャッタ部材606が、ラウンド数に応じて進退動作を行う間、倒伏扉部材607は開放を継続している。つまり、倒伏扉部材607は、大入賞口装置600の作動時には、ラウンドを跨いで開き続ける。さらに、倒伏扉部材607は、水平シャッタ部材606よりも先に開放し、水平シャッタ部材606よりも後に閉塞する。したがって、第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610から放出された遊技球を、取り溢すことなく遊技球回収口614内に案内することができる。また、倒伏扉部材607の開放動作により、大入賞口装置600が作動したことを迅速に報知できる。
なお、大入賞口装置600が作動開始する際の演出の設計にあたり、例えば開発段階において、遊技球の発射から遊技球が大入賞口装置600に到達するまでの時間を所定回数計測して平均値を算出し、算出結果に基づいて倒伏扉部材607や水平シャッタ部材606の動作タイミングを決定することが考えられる。そして、倒伏扉部材607や水平シャッタ部材606の動作タイミングを踏まえた演出内容とすることにより、遊技者に対し右打ち時に、大入賞口に入球しない遊技球の発生を抑制するとともに、特別遊技などの消化を早めさせることが可能となる。
さらに、本実施例によれば、流入球案内部608に減速部611が設けられているので、第1入球口609aから第2入球口610aへ向かう遊技球の速度を低下させることができる。したがって、第1入球口609aを通り過ぎた遊技球を、より確実に、第2入球口610aに入球させることができる。さらに、前述のラウンド終了の際に、第1入球口609aが閉じて入球できなかった遊技球を、次回の第1入球口609a及び第2入球口610aの開放までのラウンドインターバルを経て、第2入球口610aへ入球させるこ
とが可能となる。
また、本実施例によれば、大入賞口装置600から第2始動口52へ向かう遊技球の経路中に減速部611を設けているので、減速部611により、第2始動口52に係る入賞率を調整することが可能である。そして、大入賞口装置600や第2始動口52の周囲の釘等の配置に制約があり、遊技球の流下傾向の調整が困難であったとしても、減速部611により、釘等の配置の制約を補うことが可能になる。
さらに、減速部611の構成を工夫することにより、更に第2始動口52に係る入賞率を調整することが可能である。減速部611の構成の工夫としては、突起611aの配置、大きさ、形状の変更や、減速部611の構造変更などが考えられる。また、減速部611の構造変更としては、例えば、流入球案内部608の接続部608bの表面を上下の起伏を有する波形に成型することなどを例示できる。
なお、本実施形態では、遊技領域PAに一つの大入賞口のみを備えた構成を採用したが、この構成に限定されず、例えば、第1始動口51の下方などにも大入賞口を配置して、遊技領域PAに二つ大入賞口を備えた構成を採用してもよい。大入賞口装置600の近傍に開閉羽根部材を追加し、この開閉羽根部材を、第1特別図柄遊技に係る第1大入賞口として用いてもよい。この場合は、遊技球を遊技領域PAの右側に向けて発射する所謂右打ちにより、第1大入賞口への入賞を狙うようにすることが可能である。さらに、第1大入賞口に、水平シャッタ部材606や倒伏扉部材704を有する構成を採用してもよい。
また、本実施例では、大入賞口装置600の第1入球口609a及び第2入球口610aを、第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bを一体に備えた水平シャッタ部材606により開閉するようにしているが、本発明はこれに限定されず、例えば、第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bを別々に駆動し、第1入球口609a及び第2入球口610aを、時間差をもって開閉するようにしてもよい。その場合には、第1入球口609aの開放中、或いは閉鎖後に、第2入球口610aの開放を開始する、といった動作態様を例示できる。
[第1変形例]
次に、本実施形態の第1変形例に係る遊技機について説明する。この第1変形例に係る遊技機は、基本的には、上述の本実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、同様の構成を有する部分には同一の符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。ここで、図15は、第1変形例に係る遊技盤20の上側を示す正面図である。
前述の実施形態では、球戻り防止弁45の先端部とセンター役物80の外端部との間に、3カ所の球入口が形成されていたが、本変形例に係る遊技機では、球戻り防止弁45の先端部とセンター役物80の外端部との間に、2カ所の球入口が形成されている。
具体的には、図15に示すように、球戻り防止弁45の先端部と第1突起部811との間(盤面と平行な面内において両者の間を繋ぐ仮想線X上)には、1本の遊技釘95(「特定釘95T」と称する)が植設されており、この特定釘95Tにより相互に区切られて2つの球入口911,913が形成される。
そのため、本変形例においても、球入口の数と球出口の数との関係は「複数:複数」となる。つまり、二通り以上の球入口と、二通り以上の球出口とが設定されている。このとき、各球入口と各球出口とが1:1に対応付けられるものではない。すなわち、いずれの球入口に遊技球が流入するかに応じて、いずれの球出口から遊技球が流出するかは一様には決まらない。従って、いずれの球入口に遊技球が流入した場合でも、複数の球出口のい
ずれからも遊技球が流出し得るようになっている。
以上、第1変形例では、球戻り防止弁45の先端部からセンター役物80の外端部までの間に遊技釘95等の障害部材によって相互に区画された複数の球入口911,913を設けて、遊技球をいずれの球入口に流入させたとしても、その下流において遊技球の流下経路が集約されることなく多様に振り分けられるよう構成されている。従って、遊技者の技量に応じて遊技領域PA内への遊技球の打ち込み位置を任意に切り換えることで、該遊技球の流下経路(球流れ)に変化を生じさせて、入賞口への入球率を異ならしめることができるため、遊技者の技術介入性を高めて、遊技の興趣を向上させることが可能となる。
[第2変形例:非対称盤面]
次に、本実施形態の第2変形例に係る遊技機について説明する。この第2変形例に係る遊技機は、基本的には、上述の本実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、同様の構成を有する部分には同一の符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
本変形例における遊技盤20では、図示省略するが、いわゆる左右非対称盤面として、イ)左側領域PA2および右側領域PA3の双方に作動ゲート53(左側領域には「第1の作動ゲート53L」、右側領域には「第2の作動ゲート53R」)を配置し、ロ)センター役物80の下方であって下側領域PA4の略左右中央に第1始動口51を配置するとともに、この第1始動口51の直下に第2始動口52を配置し、ハ)第2の作動ゲート53Rの下方に大入賞口60を配置した構成を採用する。なお、第1始動口51と第2始動口52とは、上下に重なる位置に配設されており、通常時は、第1始動口51の存在により第2始動口52の上部が塞がれる形態(いわゆるコップ電チュー)を採用する。
第1の作動ゲート53Lは、左側流下流路91の途中、又は、左側振分流路92の途中に配置されており、左打ち時に該流路を流下する遊技球は、遊技釘95等の障害部材によって、該第1の作動ゲート53Lを通過するか否かを振り分けられる。この第1の作動ゲート53Lの下流には、風車96が配置されており、この風車96により右側に振り分けられた遊技球は、ほぼ直線的に並設された複数本の遊技釘95(道釘95M)上を流下することで、下側領域PA4の中央に配設された第1始動口51および第2始動口52へ向かって誘導され、第1始動口51又は第2始動口52へ入球するか、あるいは、いずれの入賞口にも入球することなくアウト口29に流入する。
第2の作動ゲート53Rは、右側振分流路94の上端近傍、すなわち、一列球流路としての右側流下流路93の出口近傍に配設されている。そのため、右打ち時に右側流下流路93から放出された遊技球は、第2の作動ゲート53R側へ誘導されて、第2の作動ゲート53Rへの入球率が高められている。第2の作動ゲート53Rの直下には、大入賞口60が配設されており、遊技球が該作動ゲート53Rを通過する限り、該遊技球は大入賞口60へ向かって流下することになり、そのとき特別電動役物642が開放状態であれば、遊技球は大入賞口60に入球することになる。一方、大入賞口60が閉鎖状態であれば、遊技球は特別電動役物642の上面を流下して、第1始動口51および第2始動口52へ案内される。また、第2の作動ゲート53Rを通過せず大入賞口60の近傍を流下した遊技球も、第1始動口51および第2始動口52へ案内される。このように、本変形例では、左打ち時および右打ち時のいずれの場合でも、遊技球が第2の作動ゲート53Rを通過し得るとともに、第2始動口52に入球し得るように構成されている。
ここで、前述の本実施形態では、普通図柄の当否抽選に当選した場合、通常状態では普通電動役物622を極短時間(例えば0.2秒間)だけ開放させるのに対し、入球容易状態(特定遊技状態)では普通電動役物622を通常状態と比較して相対的に長い時間(例
えば4秒間)に亘り開放させている。これに対して、本変形例では、遊技状態が通常状態(非入球容易状態)には、普通図柄の当否判定における当選確率は低確率に設定されているが、普通図柄の当否判定の結果が当選した場合には、該通常状態であっても普通電動役物522を相対的に長い時間、例えば、0.5秒間だけ開放したのち、1秒間だけ閉鎖して、さらに5秒間に亘り開放させ得るよう構成する。その場合は、通常状態における普通電動役物522の開放パターンを、常に長開放パターン(例えば、4秒間)のみが選択される構成としてもよいし、長開放パターン(例えば、4秒間)と短開放パターン(例えば、0.2秒間)との両方を用意しておき、特定の場合(例えば、普通図柄の停止図柄(当り図柄)を複数用意しておき、特定の停止図柄で当選した場合など)に限って長開放パターンが選択される構成としてもよい。その場合、長開放パターンに係る当り図柄Aと、短開放パターンに係る当り図柄Bの選択率は、例えば1:10のように(当選確率で言えば、1/100:1/10など)とすること、つまり、長開放パターンの方が選択され難い構成としてもよい(通常状態での当り図柄Bは、0.2秒開放とする)。また、その際、入球容易状態で当り図柄Aの場合は、「2秒開放→0.5秒閉鎖→2秒開放」として、入球容易状態で当り図柄Bの場合は、「1秒開放→0.5秒閉鎖→1秒開放→0.5秒閉鎖→1秒開放」などとしてもよい。また、通常状態においては、長開放パターンになる予定か否かを報知する演出を実行してもよい。その一例としては、画面上に「電チューロング開放!」といった文字や画像を出現させる。更には、通常状態においては、長開放パターンが予定されているか否かを期待させるための示唆演出を実行してもよい。その一例としては、画面上に「電チューロング開放!」だけでなく、「残念・・・」といった文字や画像のマスを複数個ルーレットにように表示し、最終的に停止したマスに対応した事象がなされるようにしてもよい。つまり、「残念・・・」はロング開放しない。この通常状態のロング開放時に第2始動口52に入球して生起した作動保留球に係る通常状態の変動表示については、通常状態における第1特別図柄の変動表示では出現しない特別な演出が実行されるように構成してもよい。
そのため、本変形例では、遊技状態が確変状態(入球容易状態)であるときは無論のこと、通常状態(非入球容易状態)であるときでも、遊技領域PAへ打ち出した遊技球を作動ゲート53および第2始動口52に入球させる遊技が高い頻度で実行可能である。このとき、左打ちおよび右打ちのいずれの場合でも、遊技球を第2始動口52へ入球させることができるが、左打ちの場合は、遊技球が左側領域PA2を流下する過程で、複数本の遊技釘95や風車96によって流下経路が不規則に変化し得るため、第2始動口52へ到達するまでに要する時間値に大きなばらつきが生じ得る。一方、右打ちの場合は、遊技球が右側領域PA3を流下する過程で、その上流側では一列球流路により一様な流下経路で流下するとともに、その下流側では左側領域PA2と比べて障害部材の数も少なく、その流下経路がほぼ規則的でスムーズな球流れとなり得るため、第2始動口52へ到達するまでに要する時間値に大きなばらつきは生じ難い。すなわち、右打ちによる遊技が実行される場合は、特別遊技状態又は特定遊技状態における迅速な遊技を可能にすべく、右側領域PA3では左側領域PA2と比べて、流下経路の振り分けの幅が小さく、遊技釘95や役物等の障害部材の数が少なく配置されている。そのため、右側領域PA3に打ち出された遊技球は該障害部材などによってその流下経路を干渉され難くなっており、第2始動口52又は大入賞口60までの到達時間が短くなっている。
以上、第2変形例では、左打ち時において遊技球が打球されてから左側領域PA2を流下して第2始動口52に到達するまでに要する時間値と、右打ち時において遊技球が打球されてから右側領域PA3を流下して第2始動口52に到達するまでに要する時間値とに差異(時間的差異)をもたせて、遊技球の打ち方に応じて変化に富んだ球流れを実現することで、遊技領域PA内での球流れに対する興趣の低下を抑制し、遊技性の幅を拡げることが可能となる。
[第3変形例:高速消化]
次に、本実施形態の第3変形例に係る遊技機について説明する。この第3変形例に係る遊技機は、基本的には、上述の本実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、同様の構成を有する部分には同一の符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
本変形例では、前述の本実施形態とほぼ同様の盤面構成を採用する。ここで、右側領域PA3には、作動ゲート53と第2始動口52とが上下方向に近接して配置されており、遊技球が流下する過程で作動ゲート53を通過する限り、該遊技球は第2始動口52に向かって流下することになり、そのとき普通電動役物522が開放状態であれば、遊技球は第2始動口52に入球することになる。
本変形例では、遊技球が作動ゲート53を通過したとき(作動ゲートスイッチ531にて検出されたとき)から、該遊技球が第2始動口52に至るまでの時間内に、該遊技球の通過を契機として実行される普通図柄遊技に関する処理を完了するよう構成されている。本例における「普通図柄遊技に関する処理」とは、該遊技球が作動ゲート53を通過したことを契機として実行される、イ)普通図柄の抽選処理(普通図柄の当否判定、普通図柄の停止図柄判定、普通図柄の変動時間判定)と、ロ)この抽選結果に基づき普通図柄表示装置75における普通図柄の変動表示処理および停止表示処理と、ハ)普通電動役物522を作動させる処理と、を含む。このとき、入球容易状態(特定遊技状態)では、普通図柄の変動表示処理として、普通図柄の変動時間は、相対的に短い時間値(例えば「0.1秒」)が選択される。また、入球容易状態(特定遊技状態)では、普通図柄の当否判定の結果が当選である場合、普通電動役物522の作動処理として、普通電動役物522を相対的に長い時間(例えば4秒間)に亘り開放させる。
このような状況下、遊技球が作動ゲート53を通過した場合に、該遊技球の作動ゲート53への通過を契機として実行される普通図柄の当否判定結果が当選であれば、該遊技球が第2始動口52へ到達するまでの間に、該普通図柄の変動表示および停止表示を経て、普通電動役物522を開放状態とするものである(該遊技球をそのまま第2始動口52へ入球可能とするものである)。その一例として、イ)遊技球を作動ゲート53に通過させてから、普通図柄の変動開始〜変動停止〜普通電動役物522の開放までの時間をA(秒)とし、ロ)作動ゲート53を通過した遊技球が普通電動役物522近傍に到達する時間をB(秒)とし、ハ)遊技球を作動ゲート53に通過させてから、普通図柄の変動開始〜変動停止〜普通電動役物522の開放〜普通電動役物522の閉鎖までの時間をC(秒)とし、ニ)遊技球1球の発射間隔を0.6(秒)とすると、A<B<C、且つ、A<0.6、という時間的な対応関係が成立する。
以上、第3変形例によれば、作動ゲート53と第2大入賞口52とを上下に直列的に配置して、作動ゲート53への遊技球の通過を契機として普通電動役物522を開放状態に変位させて該遊技球をそのまま第2始動口52へ入球させることができるため、特定遊技状態(少なくとも入球容易状態)において、単位時間当たりの第2始動口52への入球数を増加させて、第2特別図柄の変動効率(遊技の平均消化速度)を向上させることで、大当り当選の到来時期を早めることが可能となる。
なお、上記の如く、高速消化を採用した場合には、単位時間の賞球ベースが増大するおそれがある。そこで、前述の本実施形態では、第2始動口52に入賞した場合の賞球数として「3個」を採用したが、本変形例では、第2始動口52に入賞した場合の賞球数として「1個」を採用する。例えば、上述の本実施形態では、特定遊技状態において、遊技球を1分間当たり100球(100球/分)打ち出した場合、そのうちの1/3が第2始動口52に入球し、残りの2/3がこぼれ球(アウト球)になるよう設定すると、図柄の変
動回数は33回で、その賞球数は99球である。一方、本変形例では、特定遊技状態において、遊技球を1分間当たり100球(100球/分)打ち出した場合、そのほとんど全てが第2始動口52に入球し得るよう設定すると、図柄の変動回数は100回で、その賞球数は100球となる。従って、遊技の高速消化を実現しつつ、単位時間当たりの賞球ベースを略一定に維持することができる。
[第4変形例:入賞演出]
次に、本実施形態の第4変形例に係る遊技機について説明する。この第4変形例に係る遊技機は、基本的には、上述の本実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、同様の構成を有する部分には同一の符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
前述の本実施形態において、16R特別遊技および8R特別遊技では、そのラウンド回数に対応する長開放のラウンド遊技(「長開放単位遊技」)が実行され、2R特別遊技では、そのラウンド回数に対応する短開放のラウンド遊技(「短開放単位遊技」)が実行される構成を例示した。本変形例では、複数回のラウンド遊技(一の特別遊技)において、長開放単位遊技と短開放単位遊技とを混在させている。その一例として、1)16R特別遊技A:すべて長開放、2)16R特別遊技B:8Rまで長開放で残り8Rは短開放(1Rあたり1回開放)、3)16R特別遊技C:4Rまで長開放で残り12Rは短開放(1Rあたり1回開放)、4)8R特別遊技A:すべて長開放、5)8R特別遊技B:4Rまで長開放で残り4Rは短開放(1Rあたり1回開放)、6)8R特別遊技C:すべて短開放(1Rあたり1回開放)、7)2R特別遊技:すべて短開放(1Rあたり1回開放)、としてもよい。この場合、すべて短開放となる6)と7)についてはカウント内入賞で特殊演出、すべて長開放となる1)と4)についてはカウント外入賞で特殊演出、それ以外は長開放と短開放とが混在しているので、長開放ではカウント外入賞で特殊演出、短開放ではカウント内入賞で特殊演出を実行してもよい。ここで、長開放単位遊技とは、大入賞口60への入球が可能又は容易となるよう、大入賞口60が相対的に長期間(本例では30秒間)に亘り開放される単位遊技のことをいう。短開放単位遊技とは、大入賞口60への入球が不能又は困難となるよう、大入賞口60が相対的に短期間(本例では0.05秒間)に亘り開放される単位遊技のことをいう。なお、いずれの単位遊技においても、所定の開放期間が終了する前に、規定数(本例では10球)以上の遊技球の入球があった場合には、大入賞口60は一旦閉鎖される。
本変形例では、特別遊技状態において、遊技球が大入賞口60へ入球した場合、所定の入賞演出が発生するよう構成されている。この入賞演出には、通常入賞演出と、オーバー入賞演出と、カウント内入賞演出とが含まれる。
まず、長開放単位遊技の実行中では、規定数(10球)に到達するまで、遊技球が大入賞口60に入球するたびに、通常入賞演出が発生する。この通常入賞演出では、演出表示装置70において、例えば、大入賞口60への入球数を報知する画像が表示(遊技球が入球するたびに増加表示)されたり、特定のLEDが点灯表示されたりする。
続いて、長開放単位遊技の実行中に、規定数(10球)を超過する遊技球の入球(オーバー入賞)があったときは、オーバー入賞演出が発生する。ここで、前述のように、「オーバー入賞」とは、該大入賞口60が閉鎖される前に規定数以上の遊技球(本例では、11球目以降の遊技球)が入球される現象をいう。このオーバー入賞の一例として、10カウント目の遊技球が大入賞口60内の大入賞口スイッチ641に到達するまでに、後続の遊技球が該大入賞口スイッチ641までは達していなくとも大入賞口60内には入球している状況であれば、インターバル期間(10カウント目を大入賞口スイッチ641で検知することで大入賞口60が閉鎖し、該閉鎖した後でも大入賞口スイッチ641による遊技
球の検知を有効とする期間)においては、大入賞口60が閉鎖しても入球したとみなす(すなわち、賞球対象となる)。オーバー入賞演出では、長開放単位遊技において11球目以降の遊技球が入賞(オーバー入賞)した場合、演出表示装置70の画面上において、大入賞口60への入球数を報知する画像が表示されるとともに、特別演出として、例えば「GET!」という文字が表示されるとともに、特殊な効果音が発生する。
次いで、短開放単位遊技の実行中に、1以上の遊技球の入球があったときは、カウント内入賞演出が発生する。一方、カウント内入賞とは、本来であれば、大入賞口60への入球が困難又は不能とされる短開放単位遊技において、遊技球が大入賞口60へ入球する現象をいう。カウント内入賞演出では、短開放単位遊技において遊技球が入賞(カウント内入賞)した場合、大入賞口60への入球数を報知する画像が表示されるとともに、特別演出として、例えば「GET!」という文字が表示されるとともに、特殊な効果音が発生する。すなわち、本変形例では、オーバー入賞演出とカウント内入賞演出とを同一の特別演出にて兼用している。これは、両者とも、本来であれば大入賞口60へ入球する可能性が極めて低い状況でありながら、意図的な操作又は偶発的な現象によって大入賞口60への入球を可能としている点で共通しているので、同一の特別演出として兼用した方が演出効果として統一性が図れるからであり、また、これにより当該遊技機の限られたハードウェア資源を無駄に消費することを防止することが可能となる。なお、当然ながら、オーバー入賞演出とカウント内入賞演出とを互いに異なる表示態様の演出としてもよい。但し、大入賞口60の長開放時には、カウント内の入賞にて特殊な演出は発生させない(該演出を発生させたとしても、特殊な効果音ではなく、通常の効果音程度の演出とする)。なお、上述の本実施形態にて例示した大入賞口装置600であれば、短開放時でも従来の扉型大入賞装置(扉型アタッカー)と比べて入賞しやすいので、短開放時における該カウント内入賞演出が実行されやすくなる。
なお、本発明は、上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。また、上記実施形態および変形例に記載された各構成要素を適宜組み合わせたもの、あるいは、上記実施形態および変形例に記載された各構成要素のうち一部を削除又は周知・慣用技術等で転換したものについても、本発明の範囲に含まれるものである。例えば、上述の実施形態では、遊技盤20を左右非対称盤面として形成したが、この構成に限定されるものではなく、左右対称盤面として形成してもよい。また、上述の実施形態では、左側領域PA2において左側流下流路の下流に左側振分流路が配置されているが、この構成に限定されるものではなく、左側振分流路を省略してもよい。また、上述の実施形態では、センター役物80の一部分として天板部81が形成されているが(すなわち、両者が一体物として形成されているが)、この構成に限定されるものではなく、センター役物80と天板部81とを別体として形成してもよい。また、上述の実施形態では、普通電動役物522(第2始動口52)として、開閉式の羽型の電チューを例示して説明したが、この構成の限定されるものではなく、開閉式の扉型の電チューや開閉式のベロ型の電チューを適用してもよい。
また、本発明の技術的意義をより明瞭に把握し易くするために、以上説明した本実施形態に基づき、本発明を例示する態様の構成要件を挙げる。但し、以下に列記する構成要件はあくまで一例であり、これら列記した構成要件の結合や分離(上位概念化)は勿論のこと、以上の実施形態において示した更なる構成要件を、これら構成要件に付加してもよい。
本発明(1)を例示する態様のぱちんこ遊技機は、
遊技球が流下する遊技領域が形成された遊技盤と、前記遊技領域内に設けられて遊技球が入球可能な始動口と、前記遊技領域内に配設された装飾部材と、始動口への遊技球の入球を契機として当否判定を実行する当否判定手段と、当否判定の結果が当選である場合、
非特別遊技状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態へ移行し得る特別遊技実行手段とを備え、前記遊技盤に設けられた外レールとその内側に設けられた内レールとの間に、遊技球が通過可能な案内通路が形成され、発射装置により遊技球を前記案内通路に沿って前記遊技領域内に打ち込み、該遊技球を前記遊技領域内にて流下させるよう構成されたぱちんこ遊技機であって、
前記案内通路における前記遊技領域への遊技球の出口開口の近傍に設けられ、前記出口開口を開放する方向に弁体が揺動することで前記遊技領域への遊技球の流入を可能にするとともに、前記弁体が前記出口開口を閉止する方向に揺動することで前記案内レールへの遊技球の戻りを阻止する球戻り防止弁と、
前記装飾部材の上部に設けられ、前記案内通路の延長上の領域において前記外レールとの間で該外レールに沿って遊技球を通過させることが可能な上側通路を形成する天板部と、
前記遊技領域内に設けられて、前記弁体の先端部と前記天板部の前記出口開口側に位置する外端部との間に流入した遊技球を流下させる流下流路とを備え、
前記弁体の先端部と前記天板部の外端部との間には、遊技球の流下方向を変化せしめることが可能な1つ以上の障害部材が配設され、
前記流下流路は、遊技球の直径の2倍以上の流路幅となる複列球流路として形成され、
前記流下流路よりも下流、且つ、前記装飾部材の下方に列状に配設されて遊技球を前記始動口側へ誘導する複数本の遊技釘よりも上流である位置には、遊技球の直径の2倍未満の流路幅となる一列球流路は設けられていないことを特徴とする、ぱちんこ遊技機である。
本発明(2)を例示する態様のぱちんこ遊技機は、
遊技球が流下する遊技領域が形成された遊技盤と、前記遊技領域内に設けられて遊技球が入球可能な始動口と、前記遊技領域内に配設されて該遊技領域を少なくとも左側領域と右側領域とに区画する装飾部材と、始動口への遊技球の入球を契機として当否判定を実行する当否判定手段と、当否判定の結果が当選である場合、非特別遊技状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態へ移行し得る特別遊技実行手段とを備え、前記遊技盤に設けられた外レールとその内側に設けられた内レールとの間に、遊技球が通過可能な案内通路が形成され、発射装置により遊技球を前記案内通路に沿って前記遊技領域内に打ち込み、該遊技球を前記遊技領域内の左側領域又は右側領域のいずれかに流下させるよう構成されたぱちんこ遊技機であって、
前記案内通路における前記遊技領域への遊技球の出口開口の近傍に設けられ、前記出口開口を開放する方向に弁体が揺動することで前記遊技領域への遊技球の流入を可能にするとともに、前記弁体が前記出口開口を閉止する方向に揺動することで前記案内レールへの遊技球の戻りを阻止する球戻り防止弁と、
前記装飾部材の上部に設けられ、前記案内通路の延長上の領域において前記外レールとの間で該外レールに沿って遊技球を通過させることが可能な上側通路を形成する天板部と、
前記遊技領域内に設けられて、前記弁体の先端部と前記天板部の前記出口開口側に位置する外端部との間に流入した遊技球を前記左側領域において流下させる流下流路とを備え、
前記弁体の先端部と前記天板部の外端部との間には、遊技球の流下方向を変化せしめることが可能な1つ以上の障害部材が配設され、
前記流下流路は、遊技球の直径の2倍以上の流路幅となる複列球流路として形成され、
前記左側領域には、前記流下流路よりも下流、且つ、前記装飾部材の下方に列状に配設されて遊技球を前記始動口側へ誘導する複数本の遊技釘よりも上流である位置には、遊技球の直径の2倍未満の流路幅となる一列球流路が設けられておらず、
前記右側領域には、遊技球の直径の2倍未満の流路幅となる一列球流路が設けられていることを特徴とする、ぱちんこ遊技機である。
本発明(3)を例示する態様のぱちんこ遊技機は、
遊技球が流下する遊技領域が形成された遊技盤と、前記遊技領域内に設けられて遊技球が入球可能な始動口と、前記遊技領域内に設けられて開状態と閉状態とに変位する大入賞口と、前記遊技領域内に配設されて該遊技領域を少なくとも左側領域と右側領域とに区画する装飾部材と、始動口への遊技球の入球を契機として当否判定を実行する当否判定手段と、当否判定の結果が当選である場合、前記大入賞口を遊技者にとって有利な状態とし得る特別遊技状を実行する特別遊技実行手段と、特別遊技の実行終了後における遊技状態として通常遊技状態と該通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な特定遊技状態とを有して特別遊技の実行終了後において特定遊技状態とし得るよう制御する特定遊技移行手段とを備え、前記遊技盤に設けられた外レールとその内側に設けられた内レールとの間に、遊技球が通過可能な案内通路が形成され、発射装置により遊技球を前記案内通路に沿って前記遊技領域内に打ち込み、該遊技球を前記左側領域に流下せしめる左打ち遊技と、該遊技球を前記右側領域に流下せしめる右打ち遊技とを実行可能に構成されたぱちんこ遊技機であって、
前記案内通路における前記遊技領域への遊技球の出口開口の近傍に設けられ、前記出口開口を開放する方向に弁体が揺動することで前記遊技領域への遊技球の流入を可能にするとともに、前記弁体が前記出口開口を閉止する方向に揺動することで前記案内レールへの遊技球の戻りを阻止する球戻り防止弁と、
前記装飾部材の上部に設けられ、前記案内通路の延長上の領域において前記外レールとの間で該外レールに沿って遊技球を通過させることが可能な上側通路を形成する天板部と、
前記遊技領域内に設けられて、前記弁体の先端部と前記天板部の前記出口開口側に位置する外端部との間に流入した遊技球を前記左側領域において流下させる流下流路とを備え、
前記弁体の先端部と前記天板部の外端部との間には、遊技球の流下方向を変化せしめることが可能な1つ以上の障害部材が配設され、
前記流下流路は、遊技球の直径の2倍以上の流路幅となる複列球流路として形成され、
前記左側領域には、前記流下流路よりも下流、且つ、前記装飾部材の下方に列状に配設されて遊技球を前記始動口側へ誘導する複数本の遊技釘よりも上流である位置には、遊技球の直径の2倍未満の流路幅となる一列球流路が設けられておらず、
前記右側領域には、遊技球の直径の2倍未満の流路幅となる一列球流路が設けられており、
前記通常遊技状態では、前記左打ち遊技を行う場合の方が前記右打ち遊技を行う場合よりも遊技者の有利度合いが相対的に高くなる一方、
前記特定遊技状態では、前記左打ち遊技を行う場合よりも前記右打ち遊技を行う場合の方が遊技者の有利度合いが相対的に高くなることを特徴とする、ぱちんこ遊技機である。