(1)第1の実施形態
以下では、本発明に係る画像読取装置及び画像読取方法の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
第1の実施形態では、例えば、複合機(MFP:Multi Function Peripheral)が備える画像読取装置に、本発明を適用する場合を例示する。
(A−1)第1の実施形態の構成
図2は、第1の実施形態に係る画像読取装置100を上から見たときの外観図である。
第1の実施形態に係る画像読取装置100は、例えば、カラー画像を読み取るカラー設定又はモノクロ画像を読み取るモノクロ設定や、画像を読み取るときの解像度の設定をすることができるものである。画像読取装置100は、カラー設定又はモノクロ設定、解像度の設定等の各読み取り条件を組み合わせたものを1つの動作モード(以下では、「読み取りモード」とも呼ぶ。)とし、画像読取装置100には、複数の動作モードが設定されているものとする。そして、画像読取装置100は、ユーザ操作により選択された読み取りモードで画像読み取りを行なうことができる。
図2において、画像読取装置100は、原稿を読み取る原稿読み取り部1、オペレータパネル部2を有する。オペレータパネル部2は、装置状態に関する情報やユーザにより入力された情報等を表示する表示部3と、例えば「コピー機能」、「ScanTo機能」、「FAX送信機能」などの画像読取装置100が実行可能な機能を表示する機能表示画面の切り替えやまた例えば数字や文字等の情報をユーザ操作により受け付けるスイッチ部4とを有する。
図3は、第1の実施形態に係る画像読取装置100をオペレータパネル部2側から見たときの外観側面図である。図3において、画像読取装置100は、自動原稿送り部(以下、ADF:Auto Document Feederと称する。)5、フラットベッド部(以下、FB:Flat Bedと称する。)6を有する。図3において、原稿読み取り部1は、ADF部5を一体的に有しているものとする。原稿読み取り部1及びADF部5は、FB6の上部に載置されており、4辺のうち1辺が固定されており開閉可能なものである。
図4は、原稿読み取り部1を取り除いた状態の画像読取装置100のFB部6を上から見たときの外部平面図である。画像読取装置100のFB部6は、ADF部5から給紙された原稿を読み取るADF読み取りエリア7と、FB部6の上面部に載置された原稿を読み取るFB読み取りエリア8とを有する。ADF読み取りエリア7及びFB読み取りエリア8の表面は、それぞれガラス面(原稿台ガラス面)となっており、内部に搭載されている読み取りセンサ9(図5参照)により原稿画像が読み取られる構造となっている。
図5は、第1の実施形態に係る画像読取装置100のFB部6の内部構成を示す内部構成図である。図6は、第1の実施形態に係る画像読取装置100のFB部6の内部構成を示す断面透視図である。FB部6は、ADF読み取りエリア7及びFB読み取りエリア8の原稿台ガラス面の下に原稿イメージを読み取る読み取りセンサ9を有する。また、FB部6の内部には、読み取りセンサ9の待機位置を検知するためのホームポジションセンサ(以下、H.Pと称する。)15、読み取りセンサ9を左右方向に平行移動させるためのFBモータ11、FB駆動ベルト12、駆動ベルトギア13及び14、搬送シャフト10、キャリブレーションシート16を有する。
読み取りセンサ9は、主走査方向に配列された所定の画素数に対応する複数の受光素子を有するイメージセンサである。読み取りセンサ9は、各受光素子によって受光された受光量に対応する電気量の電気信号を出力する。読み取りセンサ9は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等を適用することができる。
キャリブレーションシート16は、読み取りセンサ9の読み取り画質のばらつきを調整するために使用されるテスト基準媒体である。キャリブレーションシート16は、白基準シート161と暗基準シート162とを有する。
白基準シート161は、読み取りセンサ9により読み取られた画像の白色の基準データを取得するために使用されるテスト基準媒体である。暗基準シート162は、読み取りセンサ9により読み取られた画像の黒色の基準データを取得するために使用されるテスト基準媒体である。白基準シート161及び暗基準シート162を有するキャリブレーションシート16は、読み取りセンサ9の読取データを較正(キャリブレーション)する際に、読み取りセンサ9により読み取り可能な位置に設けられており、例えば、装置内部の天面に設けられている。
図1は、第1の実施形態に係る画像読取装置100の制御系の構成を示す構成図である。
図1において、第1の実施形態に係る画像読取装置100は、表示部3、スイッチ部4、オペレータパネル制御部18、メイン制御部19、読み取り機構制御部20、ADFモータ21、FBモータ11、読み取りセンサ9、H.Pセンサ15、キャリブレーション制御部23A、補正データ記録部24、画像処理部25、出力データ格納部26、データ出力制御部27を有する。
表示部3は、オペレータパネル制御部18の制御を受けて、装置状態に関する情報やユーザにより入力された情報等を表示するものである。また、スイッチ部4は、上述したように、ユーザ操作により入力された情報をオペレータパネル制御部18に与えるものである。
オペレータパネル制御部18は、表示部3、スイッチ部4の処理を制御・監視して、表示部3の表示制御やスイッチ部4の制御を行なうものである。つまり、オペレータパネル制御部18は、画像読取装置100の装置状態や実行機能に応じた表示制御や操作制御を行なう。
メイン制御部19は、画像読取装置100において実行される処理動作を制御する処理部又は装置である。メイン制御部19は、例えば、CPU、RAM、ROM、入出力インタフェース部を有して構成されるものであり、CPUがROMに格納される処理プログラムを実行することにより、画像読取装置100の機能を実現する。
読み取り機構制御部20は、メイン制御部19の制御の下、画像読取処理を行なう各構成要素(各読み取り機構)の読み取り動作を司るものであり、補正データ記録部24の補正データを用いて、読み取りセンサ9を駆動してデータを入力するものである。
画像処理部25は、メイン制御部19の制御を受けて、読み取りセンサ9により読み取られた読み取りデータに基づいて所定の画像処理を行なうものである。
出力データ格納部26は、画像処理部25により処理された画像データを一時的に格納するものである。
データ出力制御部27は、出力データ格納部26に保持されているデータを用いて、1ページ分の原稿のデータを出力データとして出力するものである。
ADFモータ21は、読み取り機構制御部20の制御を受けて、自動原稿送り(ADF)部5の原稿送り動作を駆動する駆動部である。
FBモータ11は、読み取り機構制御部20の制御を受けて、フラットベッド(FB)部6の内部に搭載されている各構成要素の動作を駆動する駆動部である。
読み取りセンサ9は、読み取り機構制御部20の制御を受けて、上述したように、画像読み取りを行なうものである。読み取りセンサ9は、受光素子により受光された受光量に対応する電気量の電気信号を読み取り機構制御部20に与える。
H.Pセンサ15は、読み取り機構制御部20の制御を受けて、ホームポジションの位置で読み取りセンサ15を検知すると、その検知信号を読み取り機構制御部20に出力するものである。
キャリブレーション制御部23Aは、読み取りセンサ9の読み取りデータを較正(キャリブレーション)する際、読み取りデータの較正処理(キャリブレーション処理)を制御するものである。
キャリブレーション制御部23Aは、例えば装置電源ONとなったときや所定のSleep状態から装置が復旧したとき等のシステム初期化されたときに、全ての読み取りモードについて、読み取りセンサ9の読み取りデータのキャリブレーションを行なう。
ここで、キャリブレーションとは、読み取りセンサ9の読み取りデータの値を較正することをいう。特に、キャリブレーションは、読み取りセンサ9により読み取られた白基準及び暗基準を調整するときの白基準データ及び暗基準データを較正することを意図する。
従来、読み取りセンサ9の経時変化や環境変化により発生する画像品質のばらつきを調整する際、予め設定されている装置固有の値を初期値とし、読み取りセンサ9の読み取りデータの値が目標基準値となるように調整している。
しかし、常に装置固有の値を初期値として、読み取りデータの値を調整しようとすると、キャリブレーションに要する時間がかかってしまい、その間、画像読取処理ができず、ユーザを待たせてしまうことになる。
そこで、この実施形態では、キャリブレーション制御部23Aが、読み取りセンサ9の白基準データ及び暗基準データの初期値(すなわち、装置固有の設定値)と、直前のキャリブレーションで獲得した白基準データ及び暗基準データの補正値とを保持する。そして、キャリブレーション制御部23Aが、必要に応じて、読み取りセンサ9の白基準データ及び暗基準データの補正値を初期値として使用する。これにより、読み取りデータの値を目標基準値に調整するまでの時間を短縮することができる。
補正データ記録部24は、キャリブレーション制御部23Aにより読み取りセンサ9の白基準データ及び暗基準データに係る初期値、補正値を保持するものである。
図7は、第1の実施形態に係る補正データ記録部24に記憶される読み取りデータの構成を説明する説明図である。
なお、特許請求の範囲に記載の「画像読み取りに係る設定値」は、例えば白基準データ及び暗基準データを調整するために必要な設定値であり、例えば、図7に例示する「アナログデータ電圧値」、「暗基準データ」、「読み取りセンサ露光時間」を含むものである。
図7において、第1の実施形態に係る補正データ記憶部24に記録される読み取りデータは、「読み取りモードデータ種別」、「アナログデータ電圧値」、「暗基準データ」、「読み取りセンサ露光時間」を項目として有する。
「読み取りモードデータ種別」は、画像読取装置100において予め設定されている読み取りモードの種類である。例えば、この実施形態に係る画像読取装置100は、解像度300dpi(dot per inch)でカラー画像を読み取る動作モードを「解像度300dpi/カラー」としている。同様に、「解像度300dpi/モノクロ」、「解像度600dpi/カラー」、「解像度600dpi/モノクロ」の4種類の動作モードが設定されている場合を例示する。なお、この実施形態では、読み取りモードが4種類の場合を例示するが、読み取りモードの種類の数は特に限定されるものではなく、1種類又は2以上の種類であっても良い。
「アナログデータ電圧値」は、読み取りセンサ9からのアナログ入力データのレベルを調整するものである。図7に示すように、「アナログデータ電圧値」は、予め装置固有に設定されている電圧値である「初期値」と、キャリブレーション処理(すなわち、読み取りセンサ9の読み取りデータの較正処理)により得られたときの電圧値である「補正値」とを区別して保持する。
「暗基準データ」は、読み取りセンサ9を消灯した際に、キャリブレーション制御部23Aにより補正した読み取りセンサ9の主走査方向の画素データである。例えば、「読み取りモード種別:解像度300dpi/カラー」の場合、暗基準データは、解像度300dpiで読み取りセンサ9が暗基準シート161を読み取った1ライン分の黒色のデータが「暗基準データ」に記録される。他の読み取りモードの場合も、読み取りセンサ9が読み取った1ライン分の黒色のデータが記録される。
「読み取りデータセンサ露光時間」は、キャリブレーション制御部23Aにおり補正された読み取りセンサ9の点灯周期時間である。図7に示すように、「読み取りデータセンサ露光時間」は、予め装置固有に設定されている露光時間である「初期値」と、キャリブレーション処理(すなわち、読み取りセンサ9の読み取りデータの較正処理)により得られたときの露光時間である「補正値」とを区別して保持する。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態に係る画像読取装置100における読み取りセンサ9の読み取りデータを較正するキャリブレーション処理の動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図8は、第1の実施形態に係る画像読取装置100における画像読取処理の概略的な動作を示すフローチャートである。
まず、画像読取装置100において、装置電源ON若しくはSleepモードから復旧すると、OSの起動やRAMの初期化等のシステム初期化処理が行なされる(S100)。
システム初期化後、読み取りセンサ9をホームポジション(待機位置)に戻すため、FBモータ11が駆動することで読み取りセンサ9が移動し、ホームポジションまで移動した読み取りセンサ9をH.Pセンサ15が検知する。これにより、読み取りセンサ9のH.P位置出し動作が実施される(S101)。
ホームポジションに位置出しされた読み取りセンサ9は、キャリブレーションシート16の下に停止する。つまり、キャリブレーションする際、キャリブレーションシート16の下に読み取りセンサ9を移動させ、キャリブレーションシート16を用いて、読み取りセンサ9の読み取りデータの値を調整する。
メイン制御部19からキャリブレーション制御部23Aに対して、キャリブレーション要求信号が与えられると、キャリブレーション処理が実行される(S102)。このキャリブレーション処理の動作の詳細については後述する。
その後、画像読取装置100において、装置電源OFF若しくはSleep移行要求があるか否かを確認し(S103)、装置電源OFF若しくはSleep移行要求がある場合、システムは停止する。一方、装置電源OFF若しくはSleep移行要求が無い場合、処理はS104に移行する。
S104では、ユーザ操作により画像読取要求がメイン制御部19に与えられるか否かを確認し、画像読取要求が無い場合、処理はS103に移行して、繰り返し処理が実行される。一方、画像読取要求がある場合、処理はS105に移行する。
S105において、画像読取要求がメイン制御部19に与えられると、読み取り機構制御部20が、前記キャリブレーションで決定した「アナログデータ電圧値」と「読み取りデータセンサ露光時間」とを読み取りセンサ9に設定し、ADFモータ21とFBモータ11を駆動する。そして、読み取りセンサ9が、ADF5上にセットされた原稿、又は、FB6上にセットされた原稿を読み取る。読み取りセンサ9により読み取られたデータは、画像処理部25に与えられる。画像処理部25では、入力された画像データに基づいて出力データを加工し、出力データを出力データ格納部26に格納しながら、データ出力制御部27が1ページ分の原稿の画像データを外部デバイスに出力する。なお、S105における原稿読み取り処理は、複数枚の原稿がある場合には、1ページ毎の原稿の読み取り処理を行ない、全ての原稿の読み取り処理が終了すると、処理はS103に戻り、繰り返し処理がなされる。
図9は、第1の実施形態に係るキャリブレーションの処理動作を示すフローチャートである。
上述したように、システム初期化後、キャリブレーション要求がキャリブレーション制御部23Aに与えられると、キャリブレーション制御部23Aは、読み取りセンサ9の読み取りデータの較正処理を行なう。
まず、キャリブレーション要求がなされたキャリブレーション制御部23Aは、補正データ記録部24に記憶されている読み取りデータ(図7参照)を参照し、「読み取りモード種別」の先頭情報を読み出す(S201)。すなわち、キャリブレーション制御部23Aは、読み取りモード種別情報の初期化を行う。
キャリブレーション制御部23Aは、読み出した読み取りモード種別情報を用いて、当該読み取りモードについて読み取りセンサ9の読み取りデータの補正データ生成処理を実行する(S202)。この補正データ生成処理の詳細な動作については後述する。
当該読み取りモード種別の補正データ生成処理が終了すると、キャリブレーション制御部23Aは、補正データ記録部24を参照して、全ての読み取りモードについて補正データ生成処理を行なったか否かを確認する(S203)。
そして、全ての読み取りモードについて補正データ生成処理が終了していない場合には、処理をS202に移行し、キャリブレーション制御部23Aは、次の読み取りモードについてデータ補正処理を行なう。一方、全ての読み取りモードの補正データ生成処理が終了している場合には、全ての読み取りモードの読み取りモード情報を更新して(S204)、処理を終了する。
図10は、第1の実施形態に係る補正データ生成処理の動作を示すフローチャートである。
キャリブレーション制御部23Aは、当該読み取りモードのアナログデータ電圧値の初期値を決定する(S301)。
ここで、アナログデータ電圧値の初期値の決定方法は、キャリブレーション制御部23Aが補正データ記録部24の当該読み取りモードの「アナログデータ電圧値」に記憶されている「初期値」又は「補正値」のいずれかの値とする。すなわち、アナログデータ電圧値の「補正値」に値が記憶されていない場合には、アナログデータ電圧値の「初期値」(すなわち、予め設定されている値)をS301の初期値として決定する。またアナログデータ電圧値の「補正値」に値が記憶されている場合には、アナログデータ電圧値の「補正値」に記憶されている値をS301の初期値として決定する。これにより、「補正値」に値が記憶されている場合には、補正値を初期値としてキャリブレーションすることができるため、キャリブレーションに係る時間を短縮することができる。
次に、S301で決定した初期値としてのアナログデータ電圧値により読み取りセンサ9を消灯した状態で、画像を読み取り暗基準データを採取する(S302)。
読み取りセンサ9により採取した暗基準データの画素の最も暗い画素データの値を検索し、キャリブレーション制御部23Aは、その暗基準データの値が期待する基準範囲に納まっているかチェックする(S303)。
図11は、第1の実施形態に係る暗基準データが基準範囲内にあるか否かの確認処理を説明する説明図である。図11において、縦軸は基準範囲を示し、横軸は読み取りセンサ9の画素(受光素子)を示している。図11に示すように、キャリブレーション制御部23Aは、読み取りセンサ9の各画素データの値が、暗基準データの基準範囲に納まっているか否かを確認する。
なお、第1の実施形態では、キャリブレーション制御部23Aが、最も暗い画素データが、基準範囲の最大値から最小値までの範囲に納まっているか否かを判断する場合を例示する。しかし、この方法に限定されるものではなく、キャリブレーション制御部23Aは、例えば、全ての画素データ値が基準範囲の最大値から最小値までの範囲に納まっているか否かを確認するようにしても良い。また例えば、キャリブレーション制御部23Aは、全ての画素データ値の平均値を求め、その画素データ平均値が基準範囲の最大値から最小値までの範囲に納まっているか否かを確認するようにしても良い。いずれの場合も、読み取りセンサ9の暗基準データが所定の基準範囲に納まっているか否かを確認することができれば、種々の方法を広く適用することができる。
S303において、暗基準データが基準範囲に納まっていない場合、処理はS304に移行し、暗基準データが基準範囲に納まっている場合、処理はS305に移行する。
S304では、暗基準データが基準範囲に納まるように、キャリブレーション制御部23Aが、アナログデータ電圧値の値を調整し(S304)、調整後のアナログデータ電圧値により読み取りセンサ9を消灯した状態で、画像を読み取り暗基準データを採取する(S302)。暗基準データが基準範囲に納まるまで、S302〜S304の処理は繰り返し実行される。
ここで、アナログデータ電圧値の調整方法は、種々の方法を適用することができる。つまり、暗基準データが最大値を超える場合には、アナログデータ電圧値を下げるようにするため、現在のアナログデータ電圧値から所定の電圧値だけ減算した値に調整したり、又暗基準データが最小値を下回っている場合には、アナログデータ電圧値を上げるために、現在のアナログデータ電圧値に所定の電圧値だけ加算した値に調整したりする等の方法を適用する。なお、加算又は減算する電圧値の値は、例えば、暗基準データ値と最大値(又は最小値)と差分値に応じて、加算又は減算する値を変えるようにしても良い。これにより、徐々に暗基準データの値を目標値に近づくように調整することができる。
S305では、暗基準データが基準範囲に納まったときに、キャリブレーション制御部23Aは、そのときのアナログデータ電圧値を図7のアナログデータ電圧値の「補正値」に記憶(更新)すると共に、そのときの暗基準データを図7の「暗基準データ」に記憶(更新)する。これにより、読み取りセンサ9の暗基準に関するデータを、補正データ記録部24に記憶することができる。
次に、キャリブレーション制御部23Aは、当該読み取りモードでの、読み取りセンサ9の読み取りに係る露光時間の初期値を決定する(S306)。
ここで、露光時間の初期値の決定方法は、上述したアナログデータ電圧値の初期値の決定方法と同様の方法を適用できる。すなわち、キャリブレーション制御部23Aが補正データ記録部24の当該読み取りモードの「露光時間」の「補正値」に値が記憶されていない場合には、露光時間の「初期値」(すなわち、予め設定されている値)をS306の初期値として決定する。また露光時間の「補正値」に値が記憶されている場合には、露光時間の「補正値」の値をS306の初期値として決定する。
S307では、キャリブレーション制御部23Aは、読み出した露光時間で読み取りセンサ9を点灯させて、キャリブレーションシート16から反射された反射光の画像を読み取り白基準データとして採取する(S306)。
キャリブレーション制御部23Aは、読み取りセンサ9から採取した白基準データと、S301で採取した暗基準データとの差分値を各画素単位で求める。キャリブレーション制御部23Aは、白基準データと暗基準データとの差分値のうち、最大値及び最小値を検索し、その最大値及び最小値が期待する値の基準範囲に納まっているか否かを確認する(S307)。
S307において、最大値及び最小値の値が基準範囲に納まっていない場合、処理はS309に移行し、最大値及び最小値の値が基準範囲に納まっている場合、処理はS310に移行する。
S309では、最大値及び最小値の値が基準範囲に納まるように、キャリブレーション制御部23Aが、読み取りセンサ9の読み取りに係る露光時間を調整し(S309)、再度白基準データを採取する(S306)。
ここで、露光時間の調整方法は、種々の方法を適用することができる。例えば、白基準データと暗基準データとの差分値が大きいときには、露光時間を短くするために、現在の露光時間から所定の時間だけ減算した値に調整したり、又例えば、白基準データと暗基準データとの差分値が小さいときには、露光時間を長くするために、現在の露光時間に所定の時間だけ加算した値に調整したりする等の方法を適用する。なお、加算又は減算する時間は、例えば、白基準データと暗基準データとの差分値に応じて、加算又は減算する値を変えるようにしても良い。
そして、最大値及び最小値が期待する値の基準範囲に納まった場合、キャリブレーション制御部23Aは、そのときの露光時間を図7の読み取りデータセンサ露光時間の「補正値」に格納する(S310)。
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、装置起動時に、全ての読み取りモードについて、読み取りセンサの読み取りデータの値を較正(キャリブレーション)することができる。そのため、例えばユーザにより読み取りモードの設定変更があった場合でも、読み取り要求後のキャリブレーションを実行しないので、読み取り要求してから読み取りが完了するまでの時間を短縮することができる。
(B)第2の実施形態
次に、本発明に係る画像読取装置及び画像読取方法の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(B−1)第2の実施形態の構成
上述した第1の実施形態では、画像読取装置100の電源ON又はSleepモードからの復旧の際に(すなわち、システム初期化後に)、読み取りセンサ9の読み取りデータをキャリブレーションする場合を例示した。
これに対して、第2の実施形態は、ユーザにより読み取りモードの設定変更があった場合、読み取りモード要求後に、読み取りセンサ9の読み取りデータのキャリブレーションを実行する場合を例示する。
第2の実施形態に係る画像読取装置100の外観構成及び制御系の構成は、第1の実施形態と同一又は対応する構成を適用することができる。そのため、第2の実施形態においても、第1の実施形態に係る図1〜図7を用いて説明する。
第2の実施形態では、キャリブレーション制御部の処理が第1の実施形態と異なる。第2の実施形態に係るキャリブレーション制御部を、キャリブレーション制御部23Bと表記して説明する。
キャリブレーション制御部23Bは、第1の実施形態と同様に、読み取りセンサ9の読み取りデータを較正(キャリブレーション)するものである。
キャリブレーション制御部23Bは、ユーザ操作により読み取りモードの設定又は変更がなされたときに、その指定された読み取りモードについて、読み取りセンサ9の読み取りデータのキャリブレーションを個別に行なう。
(B−2)第2の実施形態の動作
図12は、第2の実施形態に係る画像読取装置100における画像読取処理の概略的な動作を示すフローチャートである。
図13は、第2の実施形態に係るキャリブレーション実行確認処理の動作を示すフローチャートである。
まず、画像読取装置100において、装置電源ON若しくはSleepモードから復旧すると、OSの起動やRAMの初期化等のシステム初期化処理が行なされる(S400)。
システム初期化後、読み取りセンサ9をホームポジション(待機位置)に戻すため、FBモータ11が駆動することで読み取りセンサ9が移動し、ホームポジションまで移動した読み取りセンサ9をH.Pセンサ15が検知する。これにより、読み取りセンサ9のH.P位置出し動作が実施される(S401)。
その後、画像読取装置100において、装置電源OFF若しくはSleep移行要求があるか否かを確認し(S402)、装置電源OFF若しくはSleep移行要求がある場合、システムは停止する。一方、装置電源OFF若しくはSleep移行要求が無い場合、処理はS403に移行する。
S403において、キャリブレーション制御部23Bは、読み取り要求があるか否かを監視しており(S403)、読み取り要求がない場合、処理はS402に移行する。一方、読み取り要求があった場合、処理はS404に移行する。
このとき、読み取り要求がキャリブレーション制御部23Bに与えられると共に、ユーザにより選択された読み取りモードの種別情報もキャリブレーション制御部23Bに与えられる。
S404では、読み取り要求がキャリブレーション制御部23Bに与えられると、キャリブレーション制御部23Bは、当該選択された読み取りモードに関する読み取りセンサ9の読み取りデータのキャリブレーション処理を実行するか否かの確認処理を行なう(S404)。
S404における処理について図13を用いて説明する。キャリブレーション制御部23Bは、ユーザにより選択された読み取りモードの種別情報に基づいて、補正データ記録部24に記憶されている読み取りデータを参照して、当該選択された読み取りモードについて、読み取りデータの補正が既に実行されているか否かを確認する(S501)。
そして、読み取りデータの補正が既に実行されている場合、キャリブレーション制御部23Bは、処理をS405に移行し、当該選択された読み取りモードで、原稿画像の読み取り処理を行なう(S405)。一方、読み取りデータの補正がまだ実行されていない場合、キャリブレーション制御部23Bは、処理をS502に移行して、当該選択された読み取りモードについての補正データ生成処理を実行する(S502)。
第2の実施形態に係る補正データ記録部24は、図14に例示するように、項目「補正実行フラグ」を追加した読み取りデータを記憶するように、読み取りデータを補正する際に、キャリブレーション制御部23Bが、対応する読み取りモードの「補正実行フラグ」にフラグを立てるようにしても良い。これにより、S501において、キャリブレーション制御部23Bは「補正実行フラグ」を参照することで、選択された読み取りモードについて、すでに補正処理がなされているか否かを容易に認識することができる。なお、図14の「補正実行フラグ」では、「○」は補正実行済みであり、「×」は補正実行されていないことを示している。
例えば、選択された読み取りモードが「解像度300dpi/カラー」であったとすると、キャリブレーション制御部23Bは、図14の読み取りデータの「補正実行フラグ」を参照して補正実行済みであることを確認する。そのため、キャリブレーション制御部23Bはキャリブレーション実行確認処理を終了し、原稿画像の読み取り処理が行なわれる。
一方、例えば、選択された読み取りモードが「解像度300dpi/モノクロ」であったとすると、キャリブレーション制御部23Bは、図14の読み取りデータの「補正実行フラグ」を参照して補正実行がなされていないことを確認する。そのため、キャリブレーション制御部23Bは、読み取りモードが「解像度300dpi/モノクロ」についての読み取りデータについて補正データ生成処理を行なう。この補正データ生成処理は、第1の実施形態に係る図10で説明した処理と同様の処理を適用することができる。そして、補正データ生成処理が終了すると、原稿画像の読み取り処理が行なわれる。なお、キャリブレーション制御部23Bが補正データ生成処理を実行すると、読み取りデータの補正をした旨を記録するため、キャリブレーション制御部23Bは、図14の「補正実行フラグ」にフラグを立てる。
上記のように、キャリブレーション制御部23Bは、読み取り要求後に、指定された読み取りモードについて、個別に、読み取りデータの補正がなされているか否かを確認し、キャリブレーションが実行されていないときに、個別にキャリブレーションを実行する。
(B−3)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、キャリブレーション済みの読み取りモードが指定された場合、キャリブレーションを実行しないので、ユーザによる読み取り要求してから読み取りが完了するまでの時間を短縮できる。
(C)第3の実施形態
次に、第3の実施形態に係る画像読取装置及び画像読取方法の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(C−1)第3の実施形態の構成
第3の実施形態に係る画像読取装置100の外観構成は、第1の実施形態と同一又は対応する構成を適用することができる。そのため、第3の実施形態においても、第1の実施形態に係る図2〜図7を用いて説明する。
図15は、第3の実施形態に係る画像読取装置100の制御系の構成を示す構成図である。
図15において、第3の実施形態に係る画像読取装置100は、表示部3、スイッチ部4、オペレータパネル制御部18、メイン制御部19、読み取り機構制御部20、ADFモータ21、FBモータ11、読み取りセンサ9、H.Pセンサ15、キャリブレーション制御部23C、補正データ記録部24、画像処理部25、出力データ格納部26、データ出力制御部27、補正データ格納部30を有する。
キャリブレーション制御部23Cは、第1の実施形態と同様に、読み取りセンサ9の読み取りデータを較正(キャリブレーション)するものである。
キャリブレーション制御部23Cは、システム初期化の際に、読み取りセンサ9の読み取りデータの較正を行うが、複数の読み取りモードのうち、ある読み取りモードについて、読み取りセンサ9の読み取りデータ値が基準範囲に納まっている場合には、他の読み取りモードについても読み取りデータの補正が実行されているものとみなし、他の読み取りモードについての補正データ生成処理を実行しない。
つまり、画像読取装置100において、読み取りセンサ9の読み取りデータの値が較正されておらず、装置固有の値のみが設定されている状態(一番最初の状態)で、システム初期化がなされると、キャリブレーション制御部23Cは全ての読み取りモードについて読み取りデータのキャリブレーションを行なう。
その一番最初の初期化以降、Sleep復旧等のシステム初期化処理がなされるときに、キャリブレーション制御部23Cは、各読み取りモードの読み取りモードのキャリブレーション処理を実行するが、このときに、ある読み取りモードについてデータ補正がなされているときには、他の読み取りモードについてキャリブレーションを実行せずに、原稿画像の読み取り処理を許容する。これにより、全ての読み取りモードのキャリブレーションに係る時間を短縮することができる。
補正データ格納部30は、キャリブレーション制御部23Cによりキャリブレーションされた読み取りデータの補正データを格納するものである。補正データ格納部30は、不揮発性記憶装置を適用することが望ましく、キャリブレーション制御部23Cによりキャリブレーションされるたびに、その補正データを記憶する。なお、補正データ格納部30に格納される補正データの構成は、図7に例示する読み取りデータと同一又は対応するデータ構成としても良い。
(C−2)第3の実施形態の動作
第3の実施形態に係る画像読取装置100は、第1の実施形態に係る図8の画像読取処理がなされる。
すなわち、図8に示すように、画像読取装置100において、装置電源ON若しくはSleepモードから復旧すると、OSの起動やRAMの初期化等のシステム初期化処理が行なされる(S100)。
システム初期化後、読み取りセンサ9がホームポジション(待機位置)に戻され、読み取りセンサ9のH.P位置出し動作が実施される(S101)。
メイン制御部19からキャリブレーション制御部23Cに対して、キャリブレーション要求信号が与えられると、キャリブレーション処理が実行される(S102)。図8のS103〜S105の処理については、第1の実施形態で説明したため、ここでの詳細な説明は省略する。
図16は、第3の実施形態に係るキャリブレーションの処理動作を示すフローチャートである。
システム初期化後、キャリブレーション要求がキャリブレーション制御部23Cに与えられると、キャリブレーション制御部23Cは、補正データ格納部30から補正データを読み出し、その補正データを補正データ記録部24に記憶する(S601)。つまり、前回のキャリブレーションで得られた補正データを補正データ記録部24に記憶して、読み取りデータの更新を行なう。
なお、例えば画像読取装置100の出荷前等に、補正データ格納部30に読み取りデータの初期値を記憶させておくことで、初期状態の場合でも、読み取りデータの初期値を用いたキャリブレーションが可能となる。
キャリブレーション制御部23Cは、補正データ記録部24に記憶される読み取りデータのうち、先頭の読み取りモードの情報を読み出し(S602)、キャリブレーション制御部23は、読み出した読み取りモード情報を用いて、補正データ生成処理を実行する(S603)。
ここで、キャリブレーション制御部23Cは、先頭の読み取りモードの情報(すなわち、デフォルトで決定されている読み取りモードの情報)を読み出す場合を例示しているが、現時点で設定されている読み取りモード(すなわち、直前の読み取りモード)の情報であっても良いし、又はランダムに決定したいずれかの読み取りモードの情報であっても良い。
この補正データ生成処理の詳細な説明は後述するが、キャリブレーション制御部23Cは、当該読み取りモードについて、読み取りデータ値が基準範囲に納まっているか否かを確認すると共に、読み取りデータの更新を行なったか否かを確認する。
S604では、S603においてキャリブレーション制御部23Cが読み取りデータの更新を行なったか否かを確認する(S604)。
キャリブレーション制御部23Cが、当該読み取りモードの読み取りデータの更新をしない場合、処理を終了させる。すなわち、他の読み取りモードについても、読み取りデータの補正処理を行なわずに処理を終了する。
一方、キャリブレーション制御部23Cが、当該読み取りモードの読み取りデータの更新をした場合、処理はS605に移行して、他の読み取りモードについても、読み取りデータの補正処理を行なう。
S605では、キャリブレーション制御部23Cは、補正データ記録部24から次の読み取りモードの情報を読み出して(S605)、次の読み取りモードの情報を用いて補正データ生成処理を実行する(S606)。S606における補正データ生成処理は、第1の実施形態に係る図10に例示する処理を適用できる。
S606の補正データ生成処理が実行されると、キャリブレーション制御部23Cは、全ての読み取りモードについて補正データ処理を実行したか否かを確認する(S607)。全ての読み取りモードについて実行していないときには、処理をS605に移行して、処理を繰り返す。
一方、全ての読み取りモードについて実行したときには、処理をS608に移行し、キャリブレーション制御部23Cは、補正データ記録部24に記憶されている情報を、不揮発性記憶装置である補正データ格納部30に保存する(S608)。これにより処理を終了する。
図17は、第3の実施形態に係る補正データ生成処理を示すフローチャートである。図17の補正データ生成処理は、図16のS603における処理である。
キャリブレーション制御部23Cは、補正データ記録部24に記憶されている読み取りデータ(図7参照)を参照して、当該読み取りモードのアナログデータ電圧値を読み出し(S701)、その電圧値で読み取りセンサ9を消灯した状態で、画像を読み取り暗基準データを採取する(S702)。キャリブレーション制御部23Cは、採取した暗基準データの画素のうち最も暗い画素データを検索し、その値が期待する基準範囲に納まっているか否かを確認する(S703)。暗基準データが基準範囲に納まっているか否かの確認方法は、第1の実施形態と同様の方法を適用できる。
S703において、暗基準データが基準範囲に納まっていない場合、処理をS704に移行し、キャリブレーション制御部23Cは、アナログデータ電圧値を調整して更新する(S704)。キャリブレーション制御部23Cは、更新後のアナログデータ電圧値で読み取りセンサ9を消灯した状態で暗基準データを採取し(S705)、暗基準データが基準範囲に納まったか否かを判断し(S706)、暗基準データが基準範囲に納まるまで、アナログデータ電圧値を調整する。
暗基準データが基準範囲に納まった場合、処理をS707に移行し、基準範囲に納まった暗基準データを、補正データ記録部24に更新する(S707)。その後、処理をS712に移行して、白基準データに関する補正処理がなされる。
S703において、暗基準データが基準範囲に納まっていない場合、処理をS708に移行する。キャリブレーション制御部23Cは、補正データ記録部24に記憶されている読み取りデータ(図7参照)を参照して、該当する読み取りモードの露光時間で読み取りセンサ9を点灯させて、白基準データを採取する(S708)。
キャリブレーション制御部23Cは、第1の実施形態と同様に、各画素単位で、白基準データと暗基準データとの差分を取り、それら差分値うち最大値と最小値を検索し、その最大値及び最小値が基準範囲に納まっているか否かを確認する(S710)。最大値及び最小値が基準範囲に納まっていない場合、処理はS712に移行し、基準範囲に納まっている場合、処理はS711に移行する。
S711において、最大値及び最小値が基準範囲に納まっている場合、暗基準データ及び白基準データが基準範囲に納まっており、キャリブレーション制御部23Cは、読み取りデータを補正する必要がないと判断し、補正データ更新なしを示す旨を通知する。
一方、S709において、最大値及び最小値が基準範囲に納まっていない場合、露光時間を調整するために、処理をS712に移行する。
S712では、キャリブレーション制御部23Cが、補正データ記録部24に記憶されている読み取りデータ(図7参照)を参照して、当該読み取りモードの露光時間を読み出し(S712)、その露光時間で読み取りセンサ9を点灯させて、白基準データを採取する(S713)。キャリブレーション制御部23Cは、第1の実施形態と同様に、各画素単位で、白基準データと暗基準データとの差分を取り、それら差分値うち最大値と最小値を検索し、その最大値及最小値が基準範囲に納まっているか否かを確認する(S714)。
前記最大値及び前記最小値が基準範囲に納まっていないときには、キャリブレーション制御部23Cは、最大値及び最小値が基準範囲に納まるまで、露光時間を調整し更新して(S715)、処理をS716に移行する。
S716では、暗基準データと白基準データとのいずれか又は両方の読み取りデータが補正処理された場合である。この場合、キャリブレーション制御部23Cは、補正データ更新なしを示す旨を通知する。
(C−3)第3の実施形態の効果
以上のように、第3の実施形態によれば、1つの読み取りモードのキャリブレーションを実施し、更新が不要と判断した際は、他の読み取りモードのキャリブレーションを実行しないので、装置の立ち上がり時間も短縮できる。
(D)第4の実施形態
次に、本発明に係る画像読取装置及び画像読取方法の第4の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(D−1)第4の実施形態の構成
第4の実施形態に係る画像読取装置100の外観構成は、第1の実施形態と同一又は対応する構成を適用することができる。そのため、第3の実施形態においても、第1の実施形態に係る図2〜図7を用いて説明する。
図18は、第4の実施形態に係る画像読取装置100の制御系の構成を示す構成図である。
図18において、第4の実施形態に係る画像読取装置100は、表示部3、スイッチ部4、オペレータパネル制御部18、メイン制御部19、読み取り機構制御部20、ADFモータ21、FBモータ11、読み取りセンサ9、H.Pセンサ15、キャリブレーション制御部23D、補正データ記録部24、画像処理部25、出力データ格納部26、データ出力制御部27、読み取りモード変更検出部40を有する。
読み取りモード変更検出部40は、オペレーションパネル制御部18から当該画像読取装置100の機能画面の変更有無情報を取得し、機能画面の変更有無情報に応じて、読み取りモードの変更を検出するものである。つまり、読み取りモード変更検出部40は、ユーザ操作により画像読取装置100の機能(例えば、コピー機能、ScanTo機能、FAX送信機能等)の変更がなされたときに、その機能に応じて読み取りモードの変更を検出する。
キャリブレーション制御部23Dは、第2の実施形態のキャリブレーション制御部23Bと同様の処理を行なうものである。
(D−2)第4の実施形態の動作
図19は、第4の実施形態に係る画像読取装置100における動作概略を示すフローチャートである。
図20は、第4の実施形態に係る読み取りモード変更検出処理を示すフローチャートである。
まず、図19を用いて、画像読取装置100における画像読み取り動作の概略を説明する。画像読取装置100において、装置電源ON若しくはSleepモードから復旧すると、OSの起動やRAMの初期化等のシステム初期化処理が行なされる(S800)。
システム初期化後、読み取りセンサ9をホームポジション(待機位置)に戻すため、FBモータ11が駆動することで読み取りセンサ9が移動し、ホームポジションまで移動した読み取りセンサ9をH.Pセンサ15が検知する。これにより、読み取りセンサ9のH.P位置出し動作が実施される(S801)。
このとき、読み取りモード変更検出部40は、初期時のキャリブレーション条件を確定する(S802)。キャリブレーション条件の確定方法は、例えば、装置デフォルトのコピー機能、ScanTo機能、FAX送信機能等の機能画面の読み取り条件に基づいて、キャリブレーション条件を確定する。
初期時のキャリブレーション条件が確定すると、その初期時のキャリブレーション条件に従って、キャリブレーション制御部23Dが読み取りセンサ9の読み取りデータのキャリブレーションを実行する(S803)。キャリブレーション実行後、画像読取装置100は待機状態に移行する。
その後、画像読取装置100において、電源OFF又はSleep移行要求があるか否かを確認し(S804)、電源OFF又はSleep移行要求があった場合、システムを停止する。電源OFF又はSleep移行要求がない場合、読み取り要求があるか否かを確認する(S805)。
S805において、読み取り要求があった場合、原稿読取り動作を実行する(S806)。読み取り要求がなかった場合、読み取りモードの更新がないか否かを確定するため、読み取りモード変更検出部40は読み取りモード変更検出処理を実行する(S807)。S807における読み取りモード変更検出処理の詳細については後述する。
そして、読み取りモード変更検出部40により読み取りモードの変更が検出された場合、キャリブレーション制御部23Dは、読み取りセンサ9の読み取りデータのキャリブレーションを実行し(S809)、その後処理をS804に移行して装置を待機状態に移行する。
一方、読み取りモード変更検出部40により読み取りモードの変更がない場合、キャリブレーション制御部23Dは、キャリブレーションを実行しないで、処理をS804に移行して装置を待機状態に移行する。
次に、第4の実施形態に係る読み取りモード変更検出処理について図20を参照しながら詳細に説明する。
まず、読み取りモード変更検出部40は、オペレータ制御部18を通じて表示部3に現在表示されている機能画面(例えば、コピー機能、ScanTo機能、FAX送信機能等の画面)を確認する。そして、前回確認した表示画面と今回確認した表示画面とが異なるか否かによって、読み取りモード変更検出部40は機能画面が変更になったか否かを確認する(S501)。つまり、機能画面を通じて、カラー又はモノクロの別や解像度等の設定情報が変更したか否かを確認する。
S501において、機能画面が変更になったと判断した場合、読み取りモード変更検出部40は、表示されている機能画面のカラー/モノクロ設定と解像度設定により読み取りモードを決定する(S502)。このとき、コピー機能、ScanTo機能、FAX送信機能等の各機能には、モノクロ又はモノクロの別、解像度等の設定情報が予め設定されており、その機能設定情報が記憶されている。読み取りモード変更検出部40は、その機能設定情報を参照しながら、カラー/モノクロ設定と解像度設定に応じた読み取りモードを決定することができる。そして、読み取りモード変更検出部40はオペレータパネル制御部18を通じて、メイン制御部19に通知する(S503)。
S501において、機能画面が変更していないと判断した場合、読み取りモード変更検出部40は、表示部3に表示されている機能画面に基づいて、カラー又はモノクロ設定が変更になったか否かを確認する(S504)。カラー又はモノクロ変更がされた場合、読み取りモード変更検出部40は、前述した読み取りモード変更処理を実施する(S502)。一方、カラー、モノクロ設定が変更になっていないと判断した場合、処理をS505に移行する。
S505では、読み取りモード変更検出部40は、表示部3に表示されている機能画面の読み取り解像度設定が変更になったか否かを確認する(S505)。そして、読み取り解像度設定が変更になったと判断した場合、読み取りモード変更検出部40は、前述した読み取りモード変更処理を実施する(S502)。
一方、読み取り解像度設定が変更になっていないと判断した場合(つまり、カラー又はモノクロ設定と、解像度設定との両方が変更しないと判断した場合)、読み取りモード変更検出部40は、オペレータパネル制御部18を通じて、メイン制御部19に読み取りモード変更なしを通知する(S506)。
(D−3)第4の実施形態の効果
以上のように、第4の実施形態によれば、読み取りモード更新を読み取り要求の前に検出して予めキャリブレーションを実行できるので、ユーザが読み取り要求してから読み取りが完了するまでの時間を短縮できる。
(E)他の実施形態
上述した第1〜第4の実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の変形実施形態にも適用可能である。
(E−1)上述した第1及び第2の実施形態で説明した処理を組み合わせた処理を本発明に係る画像読取装置のキャリブレーション制御部が実行するようにしても良い。つまり、キャリブレーション制御部は、システム初期後に、全ての読み取りモードについてキャリブレーションし、その後、ユーザにより読み取りモードの変更があった場合に、その読み取りモード毎の読み取りデータをキャリブレーションするようにしても良い。これにより、画像読取装置の装置電源ON後に全ての読み取りモードについてキャリブレーションを実行し、その後装置ONが継続しているときには、読み取り要求があったときに、その読み取りモード毎に読み取りデータのキャリブレーションを実行することができるため、ユーザの待機時間を短縮することができる。
(E−2)上述した第1〜第4の実施形態では、図7又は図14に示すように、キャリブレーション制御部によるキャリブレーションが実行されるたびに、その補正値を記憶する場合を例示した。すなわち、今回実行されたキャリブレーションで得られた値(最新の値)を補正値として補正データ記録部に記憶する場合を例示した。しかし、キャリブレーション制御部は、今回のキャリブレーション以前の過去の複数の補正値を保持し、その複数の補正値を平均した値を、補正データ記録部に記憶するようにしても良い。