以下で説明する実施形態のハロゲンヒータ1−1、1−2は、バルブ2と、フィラメント3と、ガス4と、金属体51、52と、を具備する。フィラメント3は、バルブ2の内部2aに、管軸に沿って配置されている。フィラメント3は、発光部31と、非発光部32、33と、を具備する。発光部31は、通電時に発光する。非発光部32、33は、発光部31の管軸方向の両端に配置されて発光部31と電気的に接続され、通電時に発光部31に対して非発光となる。バルブ2は、発光領域P1と、非発光領域P2、P3と、を具備する。発光領域P1は、発光部31が配置されている。非発光領域P2、P3は、非発光部32、33が配置されている。ガス4は、バルブ2の内部2aに充填されている。金属体51、52は、バルブ2の内部2aに配置されている。金属体51、52は、熱伝導可能である。金属体51、52は、非発光領域P2、P3に配置されている。
また、以下で説明する実施形態のハロゲンヒータ1−1、1−2では、非発光部32、33と金属体51、52とは、径方向視で重なって配置され、非発光部32、33の管軸方向の長さは、5cm以上であり、金属体51、52の管軸方向の長さは、5cm以上であり、管軸方向において非発光部32、33および金属体51、52のそれぞれの長さは、同等に設定されている。
また、以下で説明する実施形態のハロゲンヒータ1−1、1−2では、金属体51、52は、密巻きコイルで構成されている。
また、以下で説明する実施形態のハロゲンヒータ1−1では、発光部31は、素線を巻回してなるコイルであり、非発光部32、33は、前記素線より大径の金属棒である。
〔実施形態1〕
図1、図2を参照して、実施形態を説明する。図1は、実施形態1のハロゲンヒータを示す正面図である。図2は、実施形態1のハロゲンヒータの要部を示す図である。
本実施形態1のハロゲンヒータは、加熱したい物や空間に熱を与えるものであり、一例として、半導体や太陽電池等の製造用の加熱炉内に設置される熱源として使用する場合について説明する。ハロゲンヒータ1−1(以下、単に「ヒータ1−1」と称する)は、図1に示すように、バルブ2と、フィラメント3と、ガス4と、金属体51、52と、金属箔61、62と、アウターリード71、72と、を含んで構成されている。
バルブ2は、筒状部21と、シール部22、23と、チップ24と、を含んで構成されている。バルブ2は、例えば、石英ガラスで形成され、透明で、かつ無着色であり管径と比較して全長L1が長い長尺物である。バルブ2は、管壁負荷が21.3〔W/cm2〕である。
筒状部21は、内部空間として内部2aが形成され、その内部2aにフィラメント3が配置されている。
シール部22、23は、バルブ2の管軸方向における両端に配置されている。シール部22、23は、封着部であり、筒状部21を封止する。本実施形態1におけるシール部22、23は、ピンチシールにより板状に形成されている。なお、シール部22、23は、シュリンクシールにより円柱状に形成されてもよい。
チップ24は、ヒータ1−1の製造時に、内部2aの排気およびガス4の封入を行うために設けられた排気管24’(図3参照)の焼切痕である。チップ24は、ヒータ1−1の完成時に閉塞されている。
また、本実施形態1におけるバルブ2は、発光領域P1と、非発光領域P2、P3と、を備えている。発光領域P1は、バルブ2の筒状部21の内部2a(つまり内部空間)において、フィラメント3への通電時に後述する発光部31が発光する領域であり、管軸方向に区切られた内部2aの領域である。本実施形態1における発光領域P1は、筒状部21の管軸方向の中央部に位置している。発光領域P1は、筒状部21における発光部31の管軸方向の長さと同じ幅となっている。非発光領域P2、P3は、バルブ2の筒状部21の内部2a(つまり内部空間)において、フィラメント3への通電時に後述する非発光部32、33が非発光となる領域であり、管軸方向に区切られた内部2aの領域である。本実施形態1における非発光領域P2、P3は、筒状部21の管軸方向において発光領域P1の両端に位置し、管軸方向において発光領域P1とシール部22、23との間に位置している。非発光領域P2、P3は、筒状部21における非発光部32、33の管軸方向の長さと同じ幅となっている。
フィラメント3は、バルブ2の内部2aに、管軸に沿って配置されている。フィラメント3は、発光部31と、非発光部32、33と、アンカー34とが一体に形成されている。
発光部31は、フィラメント3における主部であり、通電時に発熱して発光する部分である。発光部31は、筒状部21の内部2aに配置されている。発光部31は、タングステンの素線を螺旋状に巻回してなるコイルである。発光部31は、管軸方向視で円形状に形成されている。つまり、発光部31は、円筒形状に形成されている。
非発光部32、33は、通電時に発光部31に対して非発光となる部分である。非発光部32、33は、発光部31とは別部材として構成されている。非発光部32、33は、発光部31の管軸方向の両端に配置され、管軸方向の両端の一部がシール部22、23に埋め込まれて配置されている。非発光部32、33は、一端が発光部31の両端部とそれぞれ電気的に接続され、他端が金属箔61、62とそれぞれ電気的に接続されている。非発光部32、33は、図2に示すように、発光部31を構成するタングステンの素線より大径の金属棒である。本実施形態1における非発光部32、33は、管軸方向に延びるタングステンからなる金属棒である。また、非発光部32、33は、例えば、バルブ2の管軸に沿って延びる丸棒状に形成されている。
ここで、通電時に非発光部32、33が発光部31に対して非発光となるとは、フィラメント3の通電時において、非発光部32、33が発光部31より暗い状態となることであり、好ましくは、目視で非発光部32、33の発光を確認できない状態となることである。
また、本実施形態1における非発光部32、33の棒径は、通電時に非発光となる程度に、発光部31より低い電気抵抗となるように、発光部31の素線径より大径に形成されている。また、発光部31(つまり螺旋状に巻回してなるコイル)に対して、非発光部32、33が管軸方向に延びる金属棒であるため、非発光部32、33が発光部31より電気抵抗が低くなっている。
また、非発光部32、33の管軸方向の長さは、5cm以上30cm以下に設定されることが好ましい。
ここで、非発光部32、33の管軸方向の長さを5cm以上としたのは、5cmを下回ると、非発光部32、33の温度低下がほとんどみられなくなり、金属体51、52を設けなくてもバルブ2の内壁2cの黒化が発生しにくいからである。また、非発光部32、33の管軸方向の長さを30cm以下としたのは、30cmを超えると、金属体51、52を設けても金属体51、52からの伝熱効果が小さくなり、バルブ2の内壁2cの黒化を抑制することが困難となる虞があるからである。
アンカー34は、図1および図2に示すように、発光部31をバルブ2の内壁2cに対して支持する部材であり、発光部31のサポート部材である。アンカー34は、発光部31および非発光部32、33とは別部材として構成されている。アンカー34は、一方の端部が発光部31の周回りに数ターン巻きつけられていることで発光部31と接続されている。アンカー34は、中央部がバルブ2の内壁2cに向かって形成されている。アンカー34は、他方の端部が内壁2cに沿うように、管軸方向視で円弧状に形成されている。アンカー34は、1つ以上の、所定ピッチを保つように、管軸方向に複数設けられ、フィラメント3の発光部31をバルブ2の内部2aの径方向の略中央に位置するように支持している。これにより、発光部31がバルブ2の内壁2cに対して全体的に接触あるいは近接することを抑制することができる。
ガス4は、バルブ2の内部2aに充填されている。本実施形態1におけるガス4は、微量のジブロモメタン(CH2Br2)が含まれた約0.8気圧のアルゴンガスである。なお、ガス4は、具体的には、クリプトン、キセノン、アルゴン、ネオンなどのうち1種類、または複数種を組み合わせた、不活性なガスを含んで構成されていればよい。さらに、臭素、ヨウ素などのうち1種類、または複数種組み合わせたハロゲン物質を含んで構成されていればよい。
金属体51、52は、筒状部21の内部2aにおいて、非発光領域P2、P3に配置されている。金属体51、52は、熱伝導可能な金属体であり、通電時に発光部31が発した熱を、非発光領域P2、P3に位置するバルブ2へ伝達する金属体である。本実施形態1における金属体51、52は、モリブデンからなる金属線を螺旋状に巻回したコイルで構成されている。金属体51、52は、管軸方向視で円形状に形成されている。つまり、金属体51、52は、円筒形状に形成されている。金属体51、52は、そのコイル内径が、非発光部32、33の棒径および発光部31のコイル外径より大きく形成されている。これにより、金属体51、52は、バルブ2の径方向において内壁2cと非発光部32、33との間に配置されており、径方向視で非発光部32、33と重なって配置されている。金属体51、52は、管軸方向において、シール部22、23と隣接して配置されている。
また、金属体51、52は、そのコイル外径が、径方向に弾性変形してバルブ2の内部2aに配置可能となる範囲で、バルブ2の内径(以下、単に「バルブ内径」と称する)より大きく形成されている。これにより、金属体51、52は、バルブ2の内部2aに圧入され、金属体51、52の外周がバルブ2の内壁2cに対して弾力的に接している。
バルブ2の内部2aに圧入された金属体51、52は、その外周と接触する非発光領域P2、P3に位置するバルブ2の内壁2cに対して熱を伝達する。また、金属体51、52がバルブ2の内部2aに圧入されているので、金属体51、52の管軸方向の移動が規制される。
また、金属体51、52は、密巻きコイルで構成されていることが好ましい。ここで、密巻きコイルは、金属体51、52をバルブ2の内部2aに配置した状態で、管軸方向において、螺旋状に巻回した金属線同士が接するものである。密巻きコイルの金属線同士が管軸方向で接することにより、螺旋状に巻回した金属線同士が管軸方向において離間している粗巻きコイルで金属体51、52を構成する場合よりも、内壁2cと金属体51、52の外周との接触面積が増える。これにより、非発光領域P2、P3に位置するバルブ2に対して、発光部31が発した熱を伝達する面積が増える。
また、金属体51、52は、発光部31や非発光部32、33と電気的に接触して通電しても、非発光部32、33と同様に発光しないように、密巻きコイルの素線径が発光部31の素線径より大径に形成されている。これにともない、金属体51、52は、発光部31より電気抵抗値が小さくなる。
また、金属体51、52の管軸方向の長さは、5cm以上に設定されることが好ましい。
ここで、金属体51、52の管軸方向の長さを5cm以上としたのは、5cmを下回ると、金属体51、52を設けても金属体51、52からの伝熱効果が小さくなり、バルブ2の内壁2cの黒化を抑制することが困難となる虞があるからである。
また、管軸方向において非発光部32、33および金属体51、52のそれぞれの長さは、同等に設定されることが好ましい。
ここで、管軸方向において非発光部32、33および金属体51、52のそれぞれの長さを同等に設定したのは、管軸方向において金属体51、52が非発光部32、33より短くなると、径方向視において非発光部32、33と金属体51、52との重なり部分が少なくなり、非発光領域P2、P3に位置するバルブ2の少なくとも一部で管壁温度が低下する虞があるからである。また、管軸方向において金属体51、52が非発光部32、33より長くなると、径方向視において金属体51、52の少なくとも一部と発光部31とが重なり、発光部31の少なくとも一部が金属体51、52で遮光され、被照射体に対する発光部31の発光効率が低下する虞があるからである。
なお、本実施形態1における非発光部32、33および金属体51、52の管軸方向のそれぞれの長さが同等であるとは、非発光部32、33および金属体51、52の管軸方向のそれぞれの長さが、非発光領域P2、P3におけるハロゲンサイクルを促進し、発光領域P1に位置するバルブ2の発光効率の低下を抑制することができる範囲で互いに揃っていることをいう。本実施形態1における非発光部32、33および金属体51、52の管軸方向のそれぞれの長さは、5cm以上30cm以下の範囲において、例えば±1cmで互いに揃っている。これにより、±1cmの製造誤差などが許容される。
金属箔61、62は、図1に示すように、非発光部32、33と電気的に接続され、他端がアウターリード71、72と電気的に接続されている。金属箔61、62は、シール部22、23の内部にそれぞれ埋設されている。本実施形態1における金属箔61、62は、モリブデン箔であり、シール部22、23の板状面に沿うように配置されている。
アウターリード71、72は、金属箔61、62と外部の図示しない電源とを接続する。アウターリード71、72は、一端が金属箔61、62にそれぞれ電気的に接続され、他端がバルブ2の外部に露出している。アウターリード71、72の一部は、シール部22、23にそれぞれ埋設されている。アウターリード71、72の他端は、シール部22、23とともに、図示しないコネクタにそれぞれ挿入され、コネクタに設けられている図示しないケーブルと電気的に接続され、ケーブルを介して電源と接続される。本実施形態1におけるアウターリード71、72は、モリブデン棒である。
次に、ヒータ1−1の製造手順について説明する。図3は、バルブを示す正面図である。図4は、フィラメントを示す正面図である。図5および図6は、実施形態1のハロゲンヒータの製造手順を示す図である。
バルブ2は、図3に示すように、加工前において全体が筒状部21であり、排気管24’は、内部2aとバルブ2の外部とを連通している。また、フィラメント3は、図4に示すように、金属箔61、62およびアウターリード71、72が溶接などで予め接続されている。
まず、図5に示すように、バルブ2の内部2aにフィラメント3を挿入する。このとき、フィラメント3は、シール部22、23のシール部が形成される予定の位置に金属箔61、62が位置するように、バルブ2の内部2aに挿入される。
次に、図6に示すように、バルブ2の両端から内部2aに金属体51、52を圧入する。このとき、金属体51、52は、シール部22、23のシール部が形成される予定の位置より管軸方向の中心側で、形成される予定のシール部と隣接する位置に金属体51、52が位置するように、バルブ2の内部2aに圧入される。
次に、バルブ2の両端をガスバーナー(図示しない)で溶融してピンチャー(図示しない)でピンチし、シール部22、23(図1参照)を形成する。これにより、フィラメント3および金属体51、52が筒状部21に収納される。
次に、排気管24’より、筒状部21の気体を排気し、ガス4を封入する。
次に、ガスバーナー(図示しない)で排気管24’を溶融して焼切り、筒状部21を密閉し、ガス4(図1参照)をバルブ2の内部2aに充填する。
次に、ヒータ1−1の製造例を示す。ヒータ1−1は、全長L1が510mm、バルブ管径が10mm、バルブ内径が8mm、有効発光長L2が480mm、発光領域P1の管軸方向の長さが280mm、非発光領域P2、P3のそれぞれの管軸方向の長さが100mmである。また、ヒータ1−1は、発光部31の管軸方向の長さが280mm(発光領域P1と同様)、発光部31のコイル外径が5mm、発光部31の素線径が0.2mm〜0.5mm、非発光部32、33のそれぞれの管軸方向の長さが100mm(非発光領域P2、P3と同様)、非発光部32、33の棒径が0.5mm〜1.2mm(発光部31の素線径より大径)である。また、ヒータ1−1は、金属体51、52のそれぞれの管軸方向の長さが100mm(非発光部32、33と同等)、金属体51、52のコイル外径が8mm、金属体51、52の素線径が0.6mmである。
また、ヒータ1−1は、ヒータ電力が1500Wの場合における管壁負荷が21.3W/cm2、ヒータ電圧が235V、ヒータ電流が6.4Aである。なお、管壁負荷は、ヒータ電力をバルブ2の内表面積で除した値であり、バルブ2の内表面積はバルブ内径〔mm〕×3.14(円周率)×有効発光長L2〔mm〕で求められる。
次に、ヒータ1−1の動作について説明する。ヒータ1−1には、アウターリード71、72を介して外部から電力が供給される。ヒータ1−1では、電力が供給されることで、フィラメント3の発光部31および非発光部32、33が管軸方向に通電される。これにともない、発光部31が発熱して発光し、非発光部32、33が発光部31に対して非発光となる。また、発光領域P1では、発光部31から発生した熱により、バルブ2の管壁温度がハロゲンサイクルを促進する温度となる。また、非発光領域P2、P3では、発光部31から発生した熱が金属体51、52により伝達され、非発光領域P2、P3に位置するバルブ2の内壁2cに熱が伝達される。そして、金属体51、52からバルブ2の内壁2cに熱が伝達されることで、非発光領域P2、P3に位置するバルブ2の管壁温度がハロゲンサイクルを促進する温度となる。また、非発光領域P2、P3に位置するバルブ2の内壁2cと密巻きコイルで構成された金属体51、52との接触面積が大きいため、金属体51、52からバルブ2の内壁2cへの熱伝導効率が向上する。したがって、ヒータ1−1は、非発光領域P2、P3に位置するバルブ2の温度低下を抑制することができる。
また、加熱炉内に設置されたヒータ1−1により被照射体を加熱する場合においては、ヒータ1−1は、加熱炉の外側に非発光領域P2、P3が配置された状態でアウターリード71、72を介して外部から電力が供給されることで、発光部31が発熱して発光する。また、発光領域P1および非発光領域P2、P3では、バルブ2の管壁温度がハロゲンサイクルを促進する温度となる。また、シール部22、23では、非発光部32、33および金属体51、52の管軸方向の長さが5cm以上である。したがって、ヒータ1−1は、非発光領域P2、P3に位置するバルブ2の温度低下を抑制することができる。
また、ヒータ1−1に設けられる金属体51、52は、密巻きコイルで構成されているので、非発光領域P2、P3に位置するバルブ2の温度低下をさらに抑制することができる。
また、ヒータ1−1に設けられる発光部31は素線を巻回してなるコイルであり、非発光部32、33は素線より大径の金属棒であるため、非発光領域P2、P3に位置するバルブ2の温度低下をさらに抑制することができる。
なお、上記実施形態1では、非発光部32、33は、発光部31の素線径より大径の金属棒であったが、通電時に発光部31に対して非発光となればよいので、発光部31より電気抵抗値が小さくなる構成であればよい。このため、非発光部32、33は、例えば、発光部31の素線径より大径の金属線などであってもよい。
また、上記実施形態1では、金属体51、52が密巻きコイルで構成されていたが、非発光領域P2、P3に位置するバルブ2の管壁温度を、ハロゲンサイクルを促進する温度にできればよいので、例えば、管軸方向視で円筒状に形成された金属筒などで構成されていてもよい。この場合、金属体51、52は、バルブ2の内部2aに挿入可能で、非発光領域P2、P3に位置するバルブ2の内壁2cに熱伝導可能な外径で形成されていることが好ましい。
また、上記実施形態1では、金属体51、52がバルブ2の内部2aに圧入されていたが、非発光領域P2、P3に位置するバルブ2の管壁温度をハロゲンサイクルが促進される温度に維持できる場合には、金属体51、52の外径をバルブ内径より小径に形成してもよい。この場合、金属体51、52は、管軸方向の移動が規制されるように、例えば、非発光部32、33などに直接固定されたり、金属体51、52におけるシール部22、23とは反対側の端部にアンカー34などが配置されたりすることが好ましい。金属体51、52の外径をバルブ内径より小径に形成すると、金属体51、52をバルブ2の内部2aに簡単に挿入することができる。
また、上記実施形態では、金属体51、52の管軸方向の少なくとも一端が発光部31や非発光部32、33と電気的に非接触であったが、金属体51、52の管軸方向の両端が発光部31や非発光部32、33と電気的に接触していてもよい。この場合、フィラメント3の通電時に、金属体51、52が管軸方向に通電され、非発光部32と同様に非発光となりつつ発熱するようになる。これにより、発光領域P1からの熱に加え、金属体51、52自体の発熱により、非発光領域P2、P3に位置するバルブ2の管壁温度の低下をいっそう抑制することができる。
〔実施形態2〕
次に、実施形態2について説明する。図7は、実施形態2のハロゲンヒータを示す正面図である。図8は、実施形態2のハロゲンヒータの要部を示す図である。
図7に示す実施形態2のハロゲンヒータ1−2(以下、単に「ヒータ1−2」と称する)が実施形態1のヒータ1−1と異なる点は、非発光部32、33が金属線で構成されている点である。
図7および図8に示すように、非発光部32、33は、タングステンからなる金属線であり、発光部31と同様の素線径の金属線である。本実施形態2における非発光部32、33は、管軸に沿う直線状に形成されていることで、タングステンの素線を螺旋状に巻回してなる発光部31に対して、電気抵抗が低くなっている。これにより、非発光部32、33は、通電時に発光部31に対して非発光となる。また、非発光部32、33は、実施形態1のヒータ1−1と同様に、管軸方向において金属体51、52と同等の長さに形成されている。
また、ヒータ1−2は、実施形態1のヒータ1−1と同様に、筒状部21の内部2aにおいて非発光部32、33が配置される空間の領域が、非発光領域P2、P3である。
次に、ヒータ1−2の製造例を示す。ヒータ1−2は、全長L1が510mm、バルブ管径が10mm、バルブ内径が8mm、有効発光長L2が480mm、発光領域P1の管軸方向の長さが280mm、非発光領域P2、P3のそれぞれの管軸方向の長さが100mmである。また、ヒータ1−2は、発光部31の管軸方向の長さが280mm(発光領域P1と同様)、発光部31のコイル外径が5mm、発光部31の素線径が0.2mm〜0.5mm、非発光部32、33のそれぞれの管軸方向の長さが100mm(非発光領域P2、P3と同様)、非発光部32、33の線径が0.2mm〜0.5mm(発光部31の素線径と同様)である。また、ヒータ1−2は、金属体51、52のそれぞれの管軸方向の長さが100mm(非発光部32、33と同等)、金属体51、52のコイル外径が8mm、金属体51、52の素線径が0.6mmである。
また、ヒータ1−2は、ヒータ電力が1500Wの場合における管壁負荷が21.3W/cm2、ヒータ電圧が235V、ヒータ電流が6.4Aである。
次に、ヒータ1−2の動作について説明する。ヒータ1−2は、電力が供給されることで、フィラメント3の発光部31および非発光部32、33が管軸方向に通電され、発光領域P1に位置するバルブ2の管壁温度がハロゲンサイクルを促進する温度となる。ヒータ1−2の非発光領域P2、P3では、金属体51、52により発光領域P1から熱が伝達され、バルブ2の管壁温度がハロゲンサイクルを促進する温度となる。したがって、ヒータ1−2は、非発光領域P2、P3に位置するバルブ2の温度低下を抑制することができる。
また、加熱炉内に設置されたヒータ1−2により被照射体を加熱する場合においては、ヒータ1−2は、電力が供給されることで、発光領域P1に位置するバルブ2の管壁温度がハロゲンサイクルを促進する温度となり、非発光領域P2、P3に位置するバルブ2の管壁温度がハロゲンサイクルを促進する温度となる。ヒータ1−2のシール部22、23では、非発光部32、33および金属体51、52の管軸方向の長さが5cm以上である。したがって、ヒータ1−2は、非発光領域P2、P3に位置するバルブ2の温度低下を抑制することができる。
なお、上記実施形態2では、非発光部32、33は、タングステンからなる金属線であり、発光部31と同様の素線径の金属線であったが、通電時に発光部31に対して非発光となればよいので、例えば、発光部31より電気抵抗値が小さくなる程度の粗巻きのコイルなどで構成されていてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。