JP2005032552A - 熱源用ヒータランプ - Google Patents
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Abstract
【課題】白熱ランプへの電圧印加時に発生する突入電流を低減し、しかも、発光管の黒化を抑制した長寿命の熱源用ヒータランプを提供することにある。
【解決手段】本発明の熱源用ヒータランプは、発光管1内にハロゲンが封入され、レニウムが含有されたタングステンフィラメント5が配置された熱源用ヒータランプにおいて、フィラメント5に含有されるレニウムの量が、0.5〜3wt%であることを特徴とする。さらには、発光管内1に、窒素ガスが10vol%以上封入され、フィラメント5は複数のフィラメント素線を束ね合わせた構造であることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の熱源用ヒータランプは、発光管1内にハロゲンが封入され、レニウムが含有されたタングステンフィラメント5が配置された熱源用ヒータランプにおいて、フィラメント5に含有されるレニウムの量が、0.5〜3wt%であることを特徴とする。さらには、発光管内1に、窒素ガスが10vol%以上封入され、フィラメント5は複数のフィラメント素線を束ね合わせた構造であることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機、レーザプリンタ、ファクシミリ等におけるトナー像定着装置の加熱ローラ内に配置される熱源用ヒータランプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電子写真複写機等のトナー定着装置の加熱ローラ内に熱源として白熱ランプが使用されている。白熱ランプは立上りが早く、フィラメントの設計によって配熱分布を変えることができ、広く一般的に熱源用ヒータランプとして使われている。
【0003】
従来の熱源用ヒータランプは、石英などのガラスからなる管型の発光管内にタングステン製のフィラメントを挿通し、アルゴン、窒素、クリプトンなどの不活性ガスを封入したものである。
【0004】
また、これらの不活性ガスと共に微量の臭素、塩素等のハロゲン化物を封入し、これから生ずるハロゲン化タングステンによってハロゲンサイクルを生じさせて、寿命末期まで発光管の内面の黒化を防止することを特徴としたハロゲンガスが封入された熱源用ヒータランプが知られている。しかし、この熱源用ヒータランプは、タングステンフィラメントの特性上、ランプに電圧を印加した瞬間に大電流が発生する。
【0005】
表1は、タングステンとモリブデンと後述するレニウムの温度に対する電気比抵抗値を示すデータであり、表1を参照しながらフィラメントを構成する物質の特性を電気比抵抗に着目して説明を続ける。
【0006】
【表1】
【0007】
タングステンフィラメントは、表1に示すタングステンの電気比抵抗値に示すようにランプ点灯中タングステンの温度が2230℃の時、すなわち電圧印加中に相当する電気比抵抗値は74.9μΩ・cmであるのに対し、ランプ消灯中タングステンの温度が20℃の時、すなわち電圧印加前に相当する電気比抵抗値は5.48μΩ・cmであり、電圧印加前の電気比抵抗値が電圧印加中の電気比抵抗値に比べ小さいため、タングステンフィラメントに電圧を印加した瞬間に大電流が発生し、この電流が突入電流と呼ばれ周辺機器の供給電圧を下げることにつながり、同じ給電回路に電気的につながっているモニターが立ち消えしたり、同じ給電回路に電気的につながっている照明機器にフリッカーとよばれるチラツキが発生する原因となっている。
【0008】
この突入電流を抑える方法として、従来から白熱ランプに電流を供給する回路内に、交流で印加する電圧の位相角を制御して突入電流を抑えるゼロクロススイッチ回路を設ける方法や、交流印加電圧を序所に上げて突入電流を抑えるスローアップ回路を設ける方法や、抵抗を入れる技術が知られているが、このような回路は付加的構造を有する回路であり、回路設計が複雑になり、コストアップの要因となっていた。
【0009】
また、異なった技術として、付加的な回路を設けるのではなく、タングステンフィラメント自体に改良を加え、タングステンフィラメントにモリブデンを含有した方法が知られている。
【0010】
タングステンフィラメントにモリブデンを含有したフィラメントは、表1に示すモリブデンの電気比抵抗値に示すようにランプ消灯中モリブデンの温度が20℃の時、すなわち電圧印加前に相当する電気比抵抗値は6.00μΩ・cmであり、表1に示すタングステンの同温度の電気比抵抗値に比べ若干大きく、このような特性を有するモリブデンをタングステンフィラメントに含有することにより、フィラメントに電圧を印加する前の電気比抵抗値をタングステン単体のフィラメントより大きくして、突入電流のレベルを下げる技術が開発されている。
【0011】
しかしながら、表1に示すように、電圧印加前のランプ消灯中に相当するモリブデンの温度が20℃の時の電気比抵抗値は、同温度でのタングステンの電気比抵抗値に比べ、僅かに0.52μΩ・cmだけ高く、電圧印加中のランプ点灯中に相当するモリブデンの温度が2230℃の時の電気比抵抗値は、同温度でのタングステンの電気比抵抗値に比べ、22.9μΩ・cmだけ高いものであり、モリブデンとタングステンの電気比抵抗の物性の違いがそれほどないため、突入電流を抑えるためには、多量のモリブデンをタングステンフィラメントに含有させる必要がある。
【0012】
この結果、白熱ランプの点灯中にフィラメントが高温になると、フィラメントに含有されたモリブデンも蒸発することになるが、モリブデンの含有量が多いために蒸発するモリブデンの量も多くなり、モリブデンとハロゲンが化合して発光管内の表面に赤色等の付着物が早期に形成されてしまうという問題があった。
【0013】
一方、タングステンフィラメントにレニウムを含有したフィラメントは既に知られている。レニウムは電子放射性が高く、フィラメントを加熱して熱電子を放出させ、その電子を電子ビームとして利用する電子ビーム発生機の電子源として利用されている。
【0014】
さらには、レニウムを含有したフィラメントは、高い延性が得られ理由から耐震性が要求される小型の自動車用の白熱電球に使われることがあった。
【0015】
表1に示すように、レニウムの電気比抵抗値は、ランプ消灯中、すなわち電圧印加前に相当する20℃での電気比抵抗値は19.4μΩ・cmであり、同温度でのタングステンの電気比抵抗値5.48μΩ・cmと比べ4倍近い高い値を示すことは知られている。
【0016】
しかしならが、従来からレニウムが含有されたタングステンは、20℃という室温時での電気比抵抗値に着目して利用されているものではなく、単に、電子ビーム発生機の分野では電子放射性を高めるためにフィラメントに20wt%以上もの大量のレニウムを含有していた。
【0017】
また、レニウムが含有されたタングステンフィラメントを使用している自動車用の白熱電球では、電力が、例えば25Wというような低い電力で点灯するランプであり、フィラメントに流れる電流値は2A程度と小さく、突入電流が起きても問題となる範囲ではなく、フィラメントに含有されるレニウムの量を考慮したものではなかった。
【0018】
【特許文献1】
特開2002−15848号公報
【特許文献2】
特開2003−77423号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、白熱ランプへの電圧印加時に発生する突入電流を低減し、しかも、発光管の黒化を抑制した長寿命の熱源用ヒータランプを提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の熱源用ヒータランプは、発光管内にハロゲンが封入され、レニウムが含有されたタングステンフィラメントが配置された白熱ランプにおいて、前記フィラメントに含有されるレニウムの量が、0.5〜3wt%であることを特徴とする。
【0021】
請求項2に記載の熱源用ヒータランプは、請求項1に記載の熱源用ヒータランプであって、特に、前記発光管内に、窒素ガスが10vol%以上封入されていることを特徴とする。
【0022】
請求項3に記載の熱源用ヒータランプは、請求項1に記載の熱源用ヒータランプであって、特に、前記フィラメントは複数のフィラメント素線を束ね合わせた構造であることを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の熱源用ヒータランプの説明図である。
図1に示すように、本発明の熱源用ヒータランプ(以下、単に、ランプとも呼ぶ)は、石英ガラス製の管型の発光管1の両端に封止部2、2が形成され、これらの封止部2において、外部リード4、4とフィラメント5とが接続されたモリブデンからなる金属箔3が封止されている。発光管1内のフィラメント5は、不図示のサポータで発光管1の中心に長手方向に沿って保持されている。
【0024】
フィラメント5は、タングステンに微量のレニウムが含有されたレニウムタングステンである。
図1に示すランプは、安定点灯時、定格電力750W、100V、7.5Aで点灯するものであり、100Vの商業電源から直接電力を供給されるものであり、電子複写機等の加熱ローラ内に配置される熱源用ヒータランプであって、自動車用白熱ランプのように電圧電流を制御するバッテリーから電力を供給される照明用白熱ランプではない。
【0025】
図1に示すランプと同じ定格電力値、電圧値、電流値、フィラメントの抵抗値を有し、タングステンフィラメントにレニウムを含有していないランプを基準ランプと位置付け、タングステンフィラメントに含有させるレニウムの量を調整して、点灯中、基準ランプと定格電力値、電圧値、電流値、フィラメントの抵抗値が等しくなる比較ランプを5本作製し、基準ランプと比較ランプのフィラメントの温度を変えた時に、その温度における基準ランプのフィラメントの抵抗値と比較ランプのフィラメントの抵抗値との抵抗比を調べる実験を行った。
なお、全てのランプはランプ点灯中は、同じ点灯性能を有するように、ランプ点灯中の電力値、電圧値、電流値、フィラメント抵抗値が等しくなるように設計されている。
【0026】
実験結果を図2に示す。
図2では横軸にフィラメント温度(℃)をとり、縦軸に同じ温度での基準ランプのフィラメントの抵抗値に対する比較ランプのフィラメントの比抵抗値の抵抗比をとったデータである。
【0027】
各グラフと、フィラメントに含有されるレニウムの含有量を整理した表を下記の表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
グラフaは、データの基準となるように、基準ランプのフィラメントの抵抗値に対する同じく基準ランプのフィラメントの抵抗値の比をとったデータであり、どの温度でも分母と分子の比抵抗値が常に同じになり抵抗比は常に「1」の値をとるものである。
【0030】
グラフbでは、フィラメントの温度が20℃の時、すなわち電圧印加前の状態に相当している時、抵抗比が1.2であり、フィラメントにレニウムを含有していない基準ランプのフィラメントの抵抗値に比べ1.2倍、比抵抗値が大きくなっていることがわかる。
【0031】
グラフcでは、フィラメントの温度が20℃の時、すなわち電圧印加前の状態に相当している時、抵抗比が1.3であり、フィラメントにレニウムを含有していない基準ランプのフィラメントの抵抗値に比べ1.3倍、抵抗値が大きくなっていることがわかる。
【0032】
グラフdでは、フィラメントの温度が20℃の時、すなわち電圧印加前の状態に相当している時、抵抗比が1.5であり、フィラメントにレニウムを含有していない基準ランプのフィラメントの抵抗値に比べ1.5倍、抵抗値が大きくなっていることがわかる。
【0033】
グラフeでは、フィラメントの温度が20℃の時、すなわち電圧印加前の状態に相当している時、抵抗比が1.7であり、フィラメントにレニウムを含有していない基準ランプのフィラメントの抵抗値に比べ1.7倍、抵抗値が大きくなっていることがわかる。
【0034】
グラフfでは、フィラメントの温度が20℃の時、すなわち電圧印加前の状態に相当している時、抵抗比が3.4であり、フィラメントにレニウムを含有していない基準ランプのフィラメントの抵抗値に比べ3.4倍、抵抗値が大きくなっていることがわかる。
【0035】
また、どのグラフもフィラメントの温度が2230℃の時、すなわちランプの安定点灯時には抵抗比が1になり、全ての比較ランプはフィラメントに含有されるレニウムの量が変わっても、点灯中は、ランプ特性である電力値と電圧値と電流値とフィラメントの抵抗値が基準ランプと同じになるように設計してあり、レニウムを含有していない基準ランプと同じ点灯性能を有するものである。
【0036】
グラフb〜fから理解できるように、タングステンフィラメントにレニウムを含有させると、フィラメントの温度が20℃の時、すなわち電圧印加前の状態の時、フィラメントの抵抗値はタングステンフィラメントにレニウムを含有していない場合に比べ大きくなり、さらに、レニウムの含有量を多くするに従ってフィラメントの抵抗値は大きくなり、ランプを点灯する際に発生する突入電流がレニウムの物性によって効果的に抑えられることがわかる。
【0037】
次に、タングステンフィラメントにレニウムを含有させる量と、ランプとしての性能との関係について、上述した基準ランプと比較ランプ1〜5を用いて、タングステンフィラメントに含有されるレニウムの量と、突入電流の値と、ランプから放射される光の強度との関係を調べる実験を行った。
実験結果を図3に示す。なお、図3にはランプとして機能するものには評価の欄で○を、機能しないものは×を記入している。
【0038】
この実験では、全てのランプはフィラメントの温度が20℃の時に、ランプを点灯させるために100Vの電圧を印加し、突入電流を測定し、安定点灯後、100時間経過した時点でのランプから放射される光放射強度を測定したものである。なお、光放射強度とは基準ランプの光放射強度を100として相対値で示すものである。
【0039】
図3からわかるように、基準ランプでは突入電流が65.5Aとなっており、点灯時の点灯電流7.5Aと比較して約8.7倍の大きな電流が流れている。
一方、レニウムの含有量が増えるに従い、比較ランプ1〜5に示すように順々に突入電流の値が小さくなっている。
【0040】
比較ランプ1では、タングステンフィラメントにレニウムが0.5wt%含有されており、突入電流は60.2Aと点灯時の電流7.5Aと比較して約8倍に抑えられており、タングステンフィラメントにレニウムを含有させると突入電流が抑えられることがわかる。
【0041】
比較用ランプ5では、タングステンフィラメントにレニウムが15.0wt%含有されており、突入電流は36.0Aと点灯時の電流7.5Aと比較して4.8倍に抑えられており、タングステンフィラメントにレニウムを大量に含有させると突入電流が十分に抑えられることがわかる。
【0042】
しかしながら、レニウムの含有量が多くなるとフィラメントが高温になりタングステンに含有されたレニウムが蒸発して、発光管内のハロゲンと反応を起こし、発光管内の表面に黒化物が付着してしまい、光放射強度が低下することになる。
つまり、比較ランプ4、5ではレニウムの含有量が多すぎる結果、突入電流を下げる効果はあるが、点灯後短時間で光放射強度が低くなり、ランプとして機能しなくなる。
【0043】
このような結果から、タングステンフィラメントに含有されるレニウムの量は、0.5〜3wt%であれば、突入電流を抑え光放射強度が十分に高い熱源用ヒータランプとなる。
また、熱源用ヒータランプの突入電流が十分に抑えられているので、同じ給電回路となっている共通する商業用電源に電気的につながっているモニターが立ち消えしたり、共通する商業用電源に電気的につながっている照明機器にフリッカーとよばれるチラツキが発生することがない。
【0044】
また、レニウムを含有したタングステンフィラメントは、電子放射しやすい物質となっているので、フィラメントの両端部間で気中放電が起こりやすくなる。このためバッファーガスとして窒素を10vol%以上封入すると気中放電を抑えることができる。
なお、発光管内には、窒素以外に、アルゴン、クリプトン、キセノンの単体、あるいは混合ガスが89vol%以上封入され、ハロゲンガスが1vol%以下封入されている。
【0045】
この窒素を10vol%以上とは、タングステンフィラメントに含有されるレニウムの量が0.5〜3wt%の時に有効となる条件である。
【0046】
さらに、より一層突入電流を下げるために、レニウムが含有されたタングステンフィラメントの形状を、図4に示すように、フィラメント素線を縒り線にした縒り線巻形にしたり、図5に示すように、複数のフィラメント素線を平行に配置した平行巻形が好ましい。
【0047】
このようにフィラメントの形状を縒り線巻形状や平行巻形状にし、1本のフィラメント素線を巻いたフィラメントと同じ電気特性を出し、同じランプ特性となるランプにする場合、縒り線巻形状や平行巻形状のフィラメントでは1本のフィラメント素線を巻いたフィラメントより長さが短く、フィラメントの断面積の総和が小さくなる。そのためフィラメントの体積が減り、フィラメント全体の熱容量が小さくなり、フィラメントに電流が流れると1本のフィラメント素線を巻いたフィラメントと比較して短時間でフィラメントの温度が上昇するものである。
【0048】
つまり、短時間でフィラメントの温度が上がるということは、電圧を印加した直後にフィラメントの比抵抗が大きくなり、大きな突入電流がフィラメントに入らなくなる。
【0049】
上述した比較ランプ2と同じランプ特性である定格電力750W、100V、7.5Aで点灯するランプであって、レニウムを1.0wt%含有したタングステンフィラメントを使用し、フィラメントを1本のフィラメント素線から成形した基本形ランプと、図4に示すようにフィラメント5を複数のフィラメント素線5a、5bを縒り線にした縒り線形ランプと、図5に示すようにフィラメント5を複数のフィラメント素線5a、5bを平行巻きした平行巻形ランプとの、突入電流の大きさを調べる実験を行った。結果を図6に示す。
この実験においては、全てのランプはフィラメントの温度が20℃の時に、ランプを点灯させるために100Vの電圧を印加して突入電流を測定した。
【0050】
図6から理解できるように、全てのランプは同じ含有量のレニウムを含むタングステンフィラメントであるが、フィラメントの形状を1本のフィラメント素線を巻いた基本形ランプでは突入電流値が58.9Aであるのに対し、複数のフィラメント素線を束ね合わせた構造の縒り線形ランプでは突入電流値が50.2A、同じく平行巻形ランプでは突入電流値が51.3Aであり、基本形ランプに比べて突入電流値を抑えることができる、ことがわかる。
【0051】
【発明の効果】
本発明の熱源用ヒータランプによれば、発光管内にハロゲンが封入され、レニウムが含有されたタングステンフィラメントが配置された熱源用ヒータランプであって、フィラメントに含有されるレニウムの量が0.5〜3wt%であることにより、確実に突入電流を抑えることができる。
【0052】
さらに、発光管内に窒素ガスが10vol%以上封入されているので、発光管内のフィラメントの両端部間で気中放電が起こり、ランプが不点灯になることを防止することができる。
【0053】
さらには、フィラメントは複数のフィラメント素線を束ね合わせた構造であるので、なお一層突入電流を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱源用ヒータランプの説明図である。
【図2】レニウムを含有していないフィラメントの電気比抵抗値と、レニウムが含有されたフィラメントの電気比抵抗値の比(抵抗比)と、温度との関係を示すデータ説明図である。
【図3】レニウムを含有していないフィラメントを有するランプと、レニウムを含有したフィラメントを有するランプの突入電流値とランプ性能評価を示すデータ説明図である。
【図4】フィラメント素線を縒り線状にしたフィラメントの説明図である。
【図5】フィラメント素線を平行にして巻いた並行巻き状のフィラメントの説明図である。
【図6】基本形ランプと縒り線形ランプと平行巻形ランプの突入電流値を示すデータ説明図である。
【符号の説明】
1 発光管
2 封止部
3 金属箔
4 外部リード
5 フィラメント
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機、レーザプリンタ、ファクシミリ等におけるトナー像定着装置の加熱ローラ内に配置される熱源用ヒータランプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電子写真複写機等のトナー定着装置の加熱ローラ内に熱源として白熱ランプが使用されている。白熱ランプは立上りが早く、フィラメントの設計によって配熱分布を変えることができ、広く一般的に熱源用ヒータランプとして使われている。
【0003】
従来の熱源用ヒータランプは、石英などのガラスからなる管型の発光管内にタングステン製のフィラメントを挿通し、アルゴン、窒素、クリプトンなどの不活性ガスを封入したものである。
【0004】
また、これらの不活性ガスと共に微量の臭素、塩素等のハロゲン化物を封入し、これから生ずるハロゲン化タングステンによってハロゲンサイクルを生じさせて、寿命末期まで発光管の内面の黒化を防止することを特徴としたハロゲンガスが封入された熱源用ヒータランプが知られている。しかし、この熱源用ヒータランプは、タングステンフィラメントの特性上、ランプに電圧を印加した瞬間に大電流が発生する。
【0005】
表1は、タングステンとモリブデンと後述するレニウムの温度に対する電気比抵抗値を示すデータであり、表1を参照しながらフィラメントを構成する物質の特性を電気比抵抗に着目して説明を続ける。
【0006】
【表1】
【0007】
タングステンフィラメントは、表1に示すタングステンの電気比抵抗値に示すようにランプ点灯中タングステンの温度が2230℃の時、すなわち電圧印加中に相当する電気比抵抗値は74.9μΩ・cmであるのに対し、ランプ消灯中タングステンの温度が20℃の時、すなわち電圧印加前に相当する電気比抵抗値は5.48μΩ・cmであり、電圧印加前の電気比抵抗値が電圧印加中の電気比抵抗値に比べ小さいため、タングステンフィラメントに電圧を印加した瞬間に大電流が発生し、この電流が突入電流と呼ばれ周辺機器の供給電圧を下げることにつながり、同じ給電回路に電気的につながっているモニターが立ち消えしたり、同じ給電回路に電気的につながっている照明機器にフリッカーとよばれるチラツキが発生する原因となっている。
【0008】
この突入電流を抑える方法として、従来から白熱ランプに電流を供給する回路内に、交流で印加する電圧の位相角を制御して突入電流を抑えるゼロクロススイッチ回路を設ける方法や、交流印加電圧を序所に上げて突入電流を抑えるスローアップ回路を設ける方法や、抵抗を入れる技術が知られているが、このような回路は付加的構造を有する回路であり、回路設計が複雑になり、コストアップの要因となっていた。
【0009】
また、異なった技術として、付加的な回路を設けるのではなく、タングステンフィラメント自体に改良を加え、タングステンフィラメントにモリブデンを含有した方法が知られている。
【0010】
タングステンフィラメントにモリブデンを含有したフィラメントは、表1に示すモリブデンの電気比抵抗値に示すようにランプ消灯中モリブデンの温度が20℃の時、すなわち電圧印加前に相当する電気比抵抗値は6.00μΩ・cmであり、表1に示すタングステンの同温度の電気比抵抗値に比べ若干大きく、このような特性を有するモリブデンをタングステンフィラメントに含有することにより、フィラメントに電圧を印加する前の電気比抵抗値をタングステン単体のフィラメントより大きくして、突入電流のレベルを下げる技術が開発されている。
【0011】
しかしながら、表1に示すように、電圧印加前のランプ消灯中に相当するモリブデンの温度が20℃の時の電気比抵抗値は、同温度でのタングステンの電気比抵抗値に比べ、僅かに0.52μΩ・cmだけ高く、電圧印加中のランプ点灯中に相当するモリブデンの温度が2230℃の時の電気比抵抗値は、同温度でのタングステンの電気比抵抗値に比べ、22.9μΩ・cmだけ高いものであり、モリブデンとタングステンの電気比抵抗の物性の違いがそれほどないため、突入電流を抑えるためには、多量のモリブデンをタングステンフィラメントに含有させる必要がある。
【0012】
この結果、白熱ランプの点灯中にフィラメントが高温になると、フィラメントに含有されたモリブデンも蒸発することになるが、モリブデンの含有量が多いために蒸発するモリブデンの量も多くなり、モリブデンとハロゲンが化合して発光管内の表面に赤色等の付着物が早期に形成されてしまうという問題があった。
【0013】
一方、タングステンフィラメントにレニウムを含有したフィラメントは既に知られている。レニウムは電子放射性が高く、フィラメントを加熱して熱電子を放出させ、その電子を電子ビームとして利用する電子ビーム発生機の電子源として利用されている。
【0014】
さらには、レニウムを含有したフィラメントは、高い延性が得られ理由から耐震性が要求される小型の自動車用の白熱電球に使われることがあった。
【0015】
表1に示すように、レニウムの電気比抵抗値は、ランプ消灯中、すなわち電圧印加前に相当する20℃での電気比抵抗値は19.4μΩ・cmであり、同温度でのタングステンの電気比抵抗値5.48μΩ・cmと比べ4倍近い高い値を示すことは知られている。
【0016】
しかしならが、従来からレニウムが含有されたタングステンは、20℃という室温時での電気比抵抗値に着目して利用されているものではなく、単に、電子ビーム発生機の分野では電子放射性を高めるためにフィラメントに20wt%以上もの大量のレニウムを含有していた。
【0017】
また、レニウムが含有されたタングステンフィラメントを使用している自動車用の白熱電球では、電力が、例えば25Wというような低い電力で点灯するランプであり、フィラメントに流れる電流値は2A程度と小さく、突入電流が起きても問題となる範囲ではなく、フィラメントに含有されるレニウムの量を考慮したものではなかった。
【0018】
【特許文献1】
特開2002−15848号公報
【特許文献2】
特開2003−77423号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、白熱ランプへの電圧印加時に発生する突入電流を低減し、しかも、発光管の黒化を抑制した長寿命の熱源用ヒータランプを提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の熱源用ヒータランプは、発光管内にハロゲンが封入され、レニウムが含有されたタングステンフィラメントが配置された白熱ランプにおいて、前記フィラメントに含有されるレニウムの量が、0.5〜3wt%であることを特徴とする。
【0021】
請求項2に記載の熱源用ヒータランプは、請求項1に記載の熱源用ヒータランプであって、特に、前記発光管内に、窒素ガスが10vol%以上封入されていることを特徴とする。
【0022】
請求項3に記載の熱源用ヒータランプは、請求項1に記載の熱源用ヒータランプであって、特に、前記フィラメントは複数のフィラメント素線を束ね合わせた構造であることを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の熱源用ヒータランプの説明図である。
図1に示すように、本発明の熱源用ヒータランプ(以下、単に、ランプとも呼ぶ)は、石英ガラス製の管型の発光管1の両端に封止部2、2が形成され、これらの封止部2において、外部リード4、4とフィラメント5とが接続されたモリブデンからなる金属箔3が封止されている。発光管1内のフィラメント5は、不図示のサポータで発光管1の中心に長手方向に沿って保持されている。
【0024】
フィラメント5は、タングステンに微量のレニウムが含有されたレニウムタングステンである。
図1に示すランプは、安定点灯時、定格電力750W、100V、7.5Aで点灯するものであり、100Vの商業電源から直接電力を供給されるものであり、電子複写機等の加熱ローラ内に配置される熱源用ヒータランプであって、自動車用白熱ランプのように電圧電流を制御するバッテリーから電力を供給される照明用白熱ランプではない。
【0025】
図1に示すランプと同じ定格電力値、電圧値、電流値、フィラメントの抵抗値を有し、タングステンフィラメントにレニウムを含有していないランプを基準ランプと位置付け、タングステンフィラメントに含有させるレニウムの量を調整して、点灯中、基準ランプと定格電力値、電圧値、電流値、フィラメントの抵抗値が等しくなる比較ランプを5本作製し、基準ランプと比較ランプのフィラメントの温度を変えた時に、その温度における基準ランプのフィラメントの抵抗値と比較ランプのフィラメントの抵抗値との抵抗比を調べる実験を行った。
なお、全てのランプはランプ点灯中は、同じ点灯性能を有するように、ランプ点灯中の電力値、電圧値、電流値、フィラメント抵抗値が等しくなるように設計されている。
【0026】
実験結果を図2に示す。
図2では横軸にフィラメント温度(℃)をとり、縦軸に同じ温度での基準ランプのフィラメントの抵抗値に対する比較ランプのフィラメントの比抵抗値の抵抗比をとったデータである。
【0027】
各グラフと、フィラメントに含有されるレニウムの含有量を整理した表を下記の表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
グラフaは、データの基準となるように、基準ランプのフィラメントの抵抗値に対する同じく基準ランプのフィラメントの抵抗値の比をとったデータであり、どの温度でも分母と分子の比抵抗値が常に同じになり抵抗比は常に「1」の値をとるものである。
【0030】
グラフbでは、フィラメントの温度が20℃の時、すなわち電圧印加前の状態に相当している時、抵抗比が1.2であり、フィラメントにレニウムを含有していない基準ランプのフィラメントの抵抗値に比べ1.2倍、比抵抗値が大きくなっていることがわかる。
【0031】
グラフcでは、フィラメントの温度が20℃の時、すなわち電圧印加前の状態に相当している時、抵抗比が1.3であり、フィラメントにレニウムを含有していない基準ランプのフィラメントの抵抗値に比べ1.3倍、抵抗値が大きくなっていることがわかる。
【0032】
グラフdでは、フィラメントの温度が20℃の時、すなわち電圧印加前の状態に相当している時、抵抗比が1.5であり、フィラメントにレニウムを含有していない基準ランプのフィラメントの抵抗値に比べ1.5倍、抵抗値が大きくなっていることがわかる。
【0033】
グラフeでは、フィラメントの温度が20℃の時、すなわち電圧印加前の状態に相当している時、抵抗比が1.7であり、フィラメントにレニウムを含有していない基準ランプのフィラメントの抵抗値に比べ1.7倍、抵抗値が大きくなっていることがわかる。
【0034】
グラフfでは、フィラメントの温度が20℃の時、すなわち電圧印加前の状態に相当している時、抵抗比が3.4であり、フィラメントにレニウムを含有していない基準ランプのフィラメントの抵抗値に比べ3.4倍、抵抗値が大きくなっていることがわかる。
【0035】
また、どのグラフもフィラメントの温度が2230℃の時、すなわちランプの安定点灯時には抵抗比が1になり、全ての比較ランプはフィラメントに含有されるレニウムの量が変わっても、点灯中は、ランプ特性である電力値と電圧値と電流値とフィラメントの抵抗値が基準ランプと同じになるように設計してあり、レニウムを含有していない基準ランプと同じ点灯性能を有するものである。
【0036】
グラフb〜fから理解できるように、タングステンフィラメントにレニウムを含有させると、フィラメントの温度が20℃の時、すなわち電圧印加前の状態の時、フィラメントの抵抗値はタングステンフィラメントにレニウムを含有していない場合に比べ大きくなり、さらに、レニウムの含有量を多くするに従ってフィラメントの抵抗値は大きくなり、ランプを点灯する際に発生する突入電流がレニウムの物性によって効果的に抑えられることがわかる。
【0037】
次に、タングステンフィラメントにレニウムを含有させる量と、ランプとしての性能との関係について、上述した基準ランプと比較ランプ1〜5を用いて、タングステンフィラメントに含有されるレニウムの量と、突入電流の値と、ランプから放射される光の強度との関係を調べる実験を行った。
実験結果を図3に示す。なお、図3にはランプとして機能するものには評価の欄で○を、機能しないものは×を記入している。
【0038】
この実験では、全てのランプはフィラメントの温度が20℃の時に、ランプを点灯させるために100Vの電圧を印加し、突入電流を測定し、安定点灯後、100時間経過した時点でのランプから放射される光放射強度を測定したものである。なお、光放射強度とは基準ランプの光放射強度を100として相対値で示すものである。
【0039】
図3からわかるように、基準ランプでは突入電流が65.5Aとなっており、点灯時の点灯電流7.5Aと比較して約8.7倍の大きな電流が流れている。
一方、レニウムの含有量が増えるに従い、比較ランプ1〜5に示すように順々に突入電流の値が小さくなっている。
【0040】
比較ランプ1では、タングステンフィラメントにレニウムが0.5wt%含有されており、突入電流は60.2Aと点灯時の電流7.5Aと比較して約8倍に抑えられており、タングステンフィラメントにレニウムを含有させると突入電流が抑えられることがわかる。
【0041】
比較用ランプ5では、タングステンフィラメントにレニウムが15.0wt%含有されており、突入電流は36.0Aと点灯時の電流7.5Aと比較して4.8倍に抑えられており、タングステンフィラメントにレニウムを大量に含有させると突入電流が十分に抑えられることがわかる。
【0042】
しかしながら、レニウムの含有量が多くなるとフィラメントが高温になりタングステンに含有されたレニウムが蒸発して、発光管内のハロゲンと反応を起こし、発光管内の表面に黒化物が付着してしまい、光放射強度が低下することになる。
つまり、比較ランプ4、5ではレニウムの含有量が多すぎる結果、突入電流を下げる効果はあるが、点灯後短時間で光放射強度が低くなり、ランプとして機能しなくなる。
【0043】
このような結果から、タングステンフィラメントに含有されるレニウムの量は、0.5〜3wt%であれば、突入電流を抑え光放射強度が十分に高い熱源用ヒータランプとなる。
また、熱源用ヒータランプの突入電流が十分に抑えられているので、同じ給電回路となっている共通する商業用電源に電気的につながっているモニターが立ち消えしたり、共通する商業用電源に電気的につながっている照明機器にフリッカーとよばれるチラツキが発生することがない。
【0044】
また、レニウムを含有したタングステンフィラメントは、電子放射しやすい物質となっているので、フィラメントの両端部間で気中放電が起こりやすくなる。このためバッファーガスとして窒素を10vol%以上封入すると気中放電を抑えることができる。
なお、発光管内には、窒素以外に、アルゴン、クリプトン、キセノンの単体、あるいは混合ガスが89vol%以上封入され、ハロゲンガスが1vol%以下封入されている。
【0045】
この窒素を10vol%以上とは、タングステンフィラメントに含有されるレニウムの量が0.5〜3wt%の時に有効となる条件である。
【0046】
さらに、より一層突入電流を下げるために、レニウムが含有されたタングステンフィラメントの形状を、図4に示すように、フィラメント素線を縒り線にした縒り線巻形にしたり、図5に示すように、複数のフィラメント素線を平行に配置した平行巻形が好ましい。
【0047】
このようにフィラメントの形状を縒り線巻形状や平行巻形状にし、1本のフィラメント素線を巻いたフィラメントと同じ電気特性を出し、同じランプ特性となるランプにする場合、縒り線巻形状や平行巻形状のフィラメントでは1本のフィラメント素線を巻いたフィラメントより長さが短く、フィラメントの断面積の総和が小さくなる。そのためフィラメントの体積が減り、フィラメント全体の熱容量が小さくなり、フィラメントに電流が流れると1本のフィラメント素線を巻いたフィラメントと比較して短時間でフィラメントの温度が上昇するものである。
【0048】
つまり、短時間でフィラメントの温度が上がるということは、電圧を印加した直後にフィラメントの比抵抗が大きくなり、大きな突入電流がフィラメントに入らなくなる。
【0049】
上述した比較ランプ2と同じランプ特性である定格電力750W、100V、7.5Aで点灯するランプであって、レニウムを1.0wt%含有したタングステンフィラメントを使用し、フィラメントを1本のフィラメント素線から成形した基本形ランプと、図4に示すようにフィラメント5を複数のフィラメント素線5a、5bを縒り線にした縒り線形ランプと、図5に示すようにフィラメント5を複数のフィラメント素線5a、5bを平行巻きした平行巻形ランプとの、突入電流の大きさを調べる実験を行った。結果を図6に示す。
この実験においては、全てのランプはフィラメントの温度が20℃の時に、ランプを点灯させるために100Vの電圧を印加して突入電流を測定した。
【0050】
図6から理解できるように、全てのランプは同じ含有量のレニウムを含むタングステンフィラメントであるが、フィラメントの形状を1本のフィラメント素線を巻いた基本形ランプでは突入電流値が58.9Aであるのに対し、複数のフィラメント素線を束ね合わせた構造の縒り線形ランプでは突入電流値が50.2A、同じく平行巻形ランプでは突入電流値が51.3Aであり、基本形ランプに比べて突入電流値を抑えることができる、ことがわかる。
【0051】
【発明の効果】
本発明の熱源用ヒータランプによれば、発光管内にハロゲンが封入され、レニウムが含有されたタングステンフィラメントが配置された熱源用ヒータランプであって、フィラメントに含有されるレニウムの量が0.5〜3wt%であることにより、確実に突入電流を抑えることができる。
【0052】
さらに、発光管内に窒素ガスが10vol%以上封入されているので、発光管内のフィラメントの両端部間で気中放電が起こり、ランプが不点灯になることを防止することができる。
【0053】
さらには、フィラメントは複数のフィラメント素線を束ね合わせた構造であるので、なお一層突入電流を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱源用ヒータランプの説明図である。
【図2】レニウムを含有していないフィラメントの電気比抵抗値と、レニウムが含有されたフィラメントの電気比抵抗値の比(抵抗比)と、温度との関係を示すデータ説明図である。
【図3】レニウムを含有していないフィラメントを有するランプと、レニウムを含有したフィラメントを有するランプの突入電流値とランプ性能評価を示すデータ説明図である。
【図4】フィラメント素線を縒り線状にしたフィラメントの説明図である。
【図5】フィラメント素線を平行にして巻いた並行巻き状のフィラメントの説明図である。
【図6】基本形ランプと縒り線形ランプと平行巻形ランプの突入電流値を示すデータ説明図である。
【符号の説明】
1 発光管
2 封止部
3 金属箔
4 外部リード
5 フィラメント
Claims (3)
- 発光管内にハロゲンが封入され、レニウムが含有されたタングステンフィラメントが配置された熱源用ヒータランプにおいて、
前記フィラメントに含有されるレニウムの量が、0.5〜3wt%であることを特徴とする熱源用ヒータランプ。 - 前記発光管内に、窒素ガスが10vol%以上封入されていることを特徴とする請求項1に記載の熱源用ヒータランプ。
- 前記フィラメントは複数のフィラメント素線を束ね合わせた構造であることを特徴とする請求項1に記載の熱源用ヒータランプ。
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