JP2016071171A - 感光性導電ペースト、導電性薄膜、電気回路、及びタッチパネル - Google Patents

感光性導電ペースト、導電性薄膜、電気回路、及びタッチパネル Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、十分な導電性を有しつつ、現像時間が短時間であっても良好な細線現像性を維持するとともに、基材に対し優れた密着性、耐久性を有し、かつ経時安定性に優れた感光性導電ペーストを提供するものである。【解決手段】 感光性有機バインダー(A)、導電性粉体(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)、有機溶剤(E)、および塩基性物質(F)を含有し、該感光性有機バインダー(A)の酸価が500〜4,000eq/ton、重量平均分子量が5,000〜8,0000であることを特徴とする感光性導電ペーストを用いて形成された導電性薄膜、導電性積層体、電気回路およびタッチパネル。【選択図】なし

Description

本発明は、種々の基材上とりわけ透明導電性膜上に精細なパターンを形成するのに好適な導電性組成物を提供すると共に、それにより製造される各種電気回路基板、タッチパネルに関する。
近年、各種電子部品においては、小型化、高精度化が求められ、特に導体回路パターンの高密度化が強く求められている。
導体回路パターンを形成する方法として、スクリーン印刷による印刷方法が広く採用されてきたが、高密度パターンの形成には限界があり、L/S=50/50μm以下の解像度で、一定幅のラインを形成することが困難であった。
一方で、感光性樹脂を用いて、フォトリソグラフィー法により、ファインパターン化を実現する方法が例えば、特開平5−271578号公報(特許文献1)で提案されている。しかしながら、こうした感光性導電ペーストを用いたパターン形成方法では、塗膜の性能を発揮するために、パターン形成後500度以上の高温で焼成処理を行う必要があり、そのため、耐熱性の乏しい基材上への適用が困難であった。
幅広い基材への適応を可能とするための試みとして、例えば、特開2003−162921号公報(特許文献2)では感光性導電ペーストにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を配合し、80〜300℃ での熱硬化反応を行うことにより、実用性のあるパターン成形品が得られるとしている。しかしながら、こうしたエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を導電ペーストに配合すると、導電ペーストに含有された感光性樹脂中のカルボキシル基と、保存している間に徐々に反応が進行し、導電ペーストの粘度が高く変化し、平滑な塗膜が得られなくなったり、所定の細線が得難くなったり、また得られた細線も基板材料との密着性が低下してくるなどの問題があった。
スマートフォンやストレートPC用途の導電回路パターンは従来に比べて高細線化が進み、30μm以下のパターン形成が必要になってきているが、従来の感光性導電ペーストでは十分な材料が得られていないのが現状である。これは、感光性導電ペースト中に含まれる金属粉末によって、露光時の紫外光が散乱することにより解像性が低下したり、露光部により発生した活性ラジカルが未露光部との硬化反応が進んでしまい反応を制御できなかったり、塗膜内部まで紫外光が透過しないために硬化反応が進まず導電回路パターンに剥がれや欠けが発生したりするためである。
上記の問題を改善し回路パターンを得るための方法として例えば特開2013−101861号公報(特許文献3)ではハイドロキノンを使用した方法が検討されているが、膜厚を3〜5μmに調節しなければならず、生産工程上管理しやすい膜厚であるとは言い難い。工業生産の工程においては数時間もの間に連続して印刷を続けるため、インキから有機溶剤が揮発し、印刷物の膜厚が厚くなる場合がある。そのためより広い膜厚の範囲において、性能を維持できる導電ペーストでなければ実用に値しない。また、添加するハイドロキノン量が非常に多いため、活性ラジカルの失活効果が大きすぎる傾向にある。そのため所定の細線を得るためにはUVの露光量を大きくする必要があり、生産工程上不利である。
また、特開2013−157251号公報(特許文献4)では導電ペースト中に高沸点の有機溶剤を添加し、意図的に乾燥塗膜中に溶剤を残存させることで現像液を塗膜中に浸透させ易くして塗布膜の保存安定性と良好な現像性を実現している。しかし塗膜にフォトマスクを介してパターン露光して現像を行う工程において、塗膜中に残存した有機溶剤の影響によりタックが発生し、フォトマスクとの接触時に裏移りすることがあり、現像工程が困難となる場合がある。
また、感光性樹脂を用いてファインパターン化を実現する場合は、UV未露光の部分を完全に除去するために現像液および水に一定の時間浸透させる必要があり、工程上時間がかかる問題点がある。
特開平5−271578号公報 特開2003−162921号公報 特開2013−101861号公報 特開2013−157251号公報
本発明は、かかる問題を解消するためになされたものであり、その主たる目的は、十分な導電性を有しつつ、現像時間が短時間であっても良好な細線現像性を維持するとともに、基材に対し優れた密着性、耐久性を有し、かつ経時安定性に優れた感光性導電ペーストを提供するものである。
本発明の感光性導電ペーストは以下の構成からなる。
1.感光性有機バインダー(A)、導電性粉体(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)、有機溶剤(E)、および塩基性物質(F)を含有し、該感光性有機バインダー(A)の酸価が500〜4,000eq/ton、重量平均分子量が5,000〜8,0000であることを特徴とする感光性導電ペースト。
2.塩基性物質(F)が有機塩基類であることを特徴とする1.に記載の感光性導電ペースト。
3.塩基性物質(F)の分子量が200以下の範囲であることを特徴とする1.または2.に記載の感光性導電ペースト。
4.塩基性物質(F)の沸点が5〜250℃の範囲であることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の感光性導電ペースト。
5.さらにブロックイソシアネート化合物(G)を含むことを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の感光性導電ペースト。
6.光重合開始剤(D)がオキシムエステル系化合物、及び/またはアミノアルキルフェノン系化合物を含むことを特徴とする1.〜5.のいずれかに記載の感光性導電ペースト。
7.感光性有機バインダー(A)が2種以上の異なる感光性有機バインダーを含むことを特徴とする1.〜6.のいずれかに記載の感光性導電ペースト。
8.導電性粉体(B)の含有量が、感光性有機バインダー(A)の重量部を100としたときに、200〜2,000重量部であることを特徴とする1.〜7.のいずれかに記載の感光性導電ペースト。
9.塩基性物質(F)の含有量が、(A)+(B)+(C)+(D)の合計重量部を100としたときに、0.2〜5重量部であることを特徴とする1.〜8.のいずれかに記載の感光性導電ペースト。
10.ブロックイソシアネート化合物(G)の含有量が、(A)+(B)+(C)+(D)の合計重量部を100としたときに、0.05〜15重量部であることを特徴とする請求項5に記載の感光性導電ペースト。
11.導電性粉体(B)が少なくとも平均粒子径(D50)が5μm以下の銀粉を含むことを特徴とする1.〜10.のいずれかに記載の感光性導電ペースト。
12.前記1.〜11.のいずれかの項に記載の感光性導電ペーストを用いて形成された、厚みが3〜8μmの範囲内であることを特徴とする導電性薄膜。
13.前記12.に記載の導電性薄膜を用いてなる電気回路。
14.前記13.に記載の電気回路を構成部材として含むタッチパネル。
15.
(1)前記1.〜11.のいずれかに記載の感光性導電ペーストを基材上に塗布する工程、(2)次いで前記塗布された感光性導電ペーストの一部を露光する工程、
(3)次いで未露光部を現像する工程
の工程を含むことを特徴とする12.に記載の導電性薄膜の製造方法。
本発明によれば、十分な導電性を有しつつ、現像時間が短時間であっても良好な細線現像性を維持するとともに、基材に対し優れた密着性、耐久性を有し、かつ経時安定性に優れた感光性導電ペースト、その感光性導電ペーストを用いた導電回路パターン、その導電回路パターンを有する、タッチパネルセンサーおよび表示装置を提供することができる。
現像後の導電性薄膜パターンを示した図である。
本発明の感光性導電ペーストは、感光性の有機バインダーを使用することにより、基板上に塗膜を形成した後、フォトリソグラフィ法により精細なファインパターンを形成することが可能であり、かつ、得られた細線は、高い導電性、基板に対する優れた密着性を有している。
本発明における感光性導電ペーストは、少なくとも感光性有機バインダー(A)、導電性粉体(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)、有機溶剤(E)、および塩基性物質(F)を有しており、必要に応じてその他の添加剤を含むことができる。
本発明の感光性有機バインダー(A)とは、分子内に光反応性の(メタ)アクリロイル基を有する有機バインダーをさし、分子鎖の主鎖にペンダントカルボキシル基を有する(メタ)アクリル系共重合体であることが好ましい。
これは、本発明において感光性有機バインダー(A)にカルボキシル基を導入することによりアルカリ可溶性を付与しているためである。ペンダントカルボキシル基を導入することにより、感光性有機バインダー(A)に後述する適正な範囲の酸価を付与することができる。
感光性有機バインダー(A)を構成する(メタ)アクリレートモノマーの共重合成分としては具体的には、アルカリ可溶性付与を目的としてカルボキシル基を導入するために、アクリル酸やメタクリル酸、カルボン酸イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、酢酸ビニルの他に不飽和基とカルボン酸の間に鎖延長された変性不飽和モノカルボン酸、例えばβ−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ラクトン変性等エステル結合を有する不飽和モノカルボン酸、エーテル結合を有する変性不飽和物のような化合物が用いられる。
上記カルボン酸を導入する以外の共重合成分としてはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロカクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソオクチルオキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、その他、可とう性を付与するためにカプロラクトン系の(メタ)アクリレート(商品名:日本化薬社製サートマーSR495、ダイセル社製プラクセルFA−1、プラクセルFA−2、プラクセルFA−2D、プラクセルFA−3、プラクセルFA−4、プラクセルFA−5、プラクセルFM−1、プラクセルFM−2、プラクセルFM−2D、プラクセルFM−3、プラクセルFM−4、プラクセルFM−5などの(メタ)アクリレート類)等を使用してもよい。
アクリル系モノマー以外の共重合成分としては、炭素ー炭素2重結合を有する全ての化合物を使用することができるが、好ましいモノマーとしては、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレンなどを挙げることができる。
上記の化合物を用いて公知の重合方法、例えばラジカル重合により、(メタ)アクリル系共重合体を重合することができる。
尚、上記の化合物を用いて重合された、カルボキシル基含有の(メタ)アクリレートポリマーのカルボキシル基の一部に脂環式エポキシ(メタ)アクリレートを付加してもよい。この場合は3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートが好ましい。
尚、このような感光性有機バインダー(A)としては、市販品としては、ダイセル・オルネクス(株)製のサイクロマーPシリーズが好ましく、(ACA)200M、(ACA)230AA,(ACA)Z250,(ACA)Z251、(ACA)Z300,(ACA)Z320などが挙げられる。
上記は単独で用いても良いし、2種以上を混合しても何ら問題はない。
本発明に使用される感光性有機バインダー(A)は、酸価500〜4,000eq/tonを有しており、更には700〜3,000eq/tonであることが好ましい。酸価が500eq/ton未満ではアルカリによる現像性が不十分であり、ファインパターンの形成は困難である。反対に酸価が4,000eq/tonを超えると親水性が高くなりすぎて、湿熱下での基材との密着性が大幅に低下する場合がある。
また、本発明の感光性導電ペーストに使用される感光性有機バインダー(A)は、重量平均分子量が5,000〜80,000を有していることを特徴とする。重量平均分子量の範囲としては好ましくは6,000〜50,000であり、より好ましくは、7,000〜40,000である。重量平均分子量が5,000未満では光架橋で得られる塗膜がもろくなり、基材への密着性も劣ったものとなり、逆に、重量平均分子量が80,000を超えると導電ペーストの溶液粘度が高くなりすぎて、平滑な基材への塗布が困難となる。溶液粘度を低下させるために有機溶剤を多量に使用すると導電性粉体の分散性が不均一となる場合があり、形成した細線の導電性が低下し問題となる。
本発明の導電ペーストに使用される感光性有機バインダー(A)は、単独で使用しても良いし、更にもう1種類以上の感光性有機バインダーをブレンドしても良い。理由としては、本発明の感光性導電ペーストは導電塗膜とした際に、耐熱性、耐水性、基材への密着性が重要となるが、これらを主眼とし、ガラス転移温度または分子量が高い感光性有機バインダー(A)のみを単一使用した場合は、現像性が極めて低下し、現像後に多量の残渣が生じる場合がある。また、現像性を確保するためにガラス転移温度または分子量が低い感光性有機バインダー(A)のみを単一使用した場合は、反対に耐熱性・耐水性が低下する場合がある。必要に応じて主ポリマーとなる感光性有機バインダー(A1)よりも分子量やガラス転移温度の異なる感光性有機バインダー(A’)をブレンド使用することで、微細な現像性と硬化塗膜の信頼性を両立させることができるので好ましい。
感光性有機バインダー(A’)の重量平均分子量としては、感光性有機バインダー(A1)よりも500〜20000小さいことが好ましく、(A1)よりも1000〜16000小さいことがより好ましい。500よりも小さい場合は現像性の改良効果が少なく、20000よりも大きい場合は膜表面にタック性が発現することがあり、フォトマスクを接触した際にマスクへ塗膜成分が移行し、マスクを汚染することがある。
本発明に使用される感光性有機バインダー(A)は、酸価500〜4,000eq/tonを有しているが、更に感光性或いは硬化塗膜の特性を調整する目的で、側鎖に感光性を有する不飽和二重結合を導入することができる。不飽和二重結合を導入する方法は、特に限定されるものではないが、分子中に不飽和二重結合とエポキシ基を有する化合物を有機バインダー(A)中のカルボキシル基と反応させる方法が簡便である。分子中に不飽和二重結合とエポキシ基とを含有する化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどを使用することができる。
次に、本発明で使用される導電性粉体(B)は、導電性を有する粉末状のものであれば使用することができ、具体的には、金、銀、プラチナ、パラジウム、ニッケル、銅、アルミニウム、錫、鉄などの金属が好ましく、金属単体或いはそれらの合金、酸化錫、及び酸化インジウムなどを用いることができるが、中でも銀が本発明では好ましく、銅を銀で被覆した銀コート銅粉を用いることも何ら問題はない。導電性粉体の形状としては、公知のフレーク状(リン片状)、球状、樹枝状(デンドライト状)、特開平9−306240号公報に記載されている球状の1次粒子が3次元状に凝集した形状(凝集銀粉)等があり、いずれも使用可能であるが、導電性、光透過性を考慮すると球状もしくは球状と凝集銀粉の組み合わせが好ましい。
また上記導電性粉体(B)の平均粒径(D50)としては、現像後の細線形状が良好であるという観点から、平均粒径(D50)が5μm以下であることが好ましい。中心径が5μm以下の小さい導電性粉体を用いることで、スクリーン印刷における細線形状が良好となる。
下限は特に限定されないが、コスト的観点ならびに、粒径が細かくなると凝集し易く、結果として分散が困難となるため80nm以上が好ましい。80nmより小さくなると、導電性粉体の凝集力が増し、現像性、スクリーン印刷性が悪化する他、コスト的観点からも好ましくない。
中心径が5μmより大きい導電性粉体を用いた場合には、細線現像性が悪化し、結果として細線同士が接触を起こし、短絡を招く可能性がある。
本発明で用いる導電性粉体(B)の平均粒径(D50)は3μm以下であることがより好ましい。
本発明で使用される導電性粉体(B)の含有量は、感光性有機バインダー(A)の総量を100重量部としたときに、200〜2,000重量部であることが好ましく、より好ましくは300〜1500が好ましい。導電性粉体(B)の配合量が200重量部未満では目的とする導電性を得ることが困難となる場合があり、反対に、2,000重量部を超えて使用すると、導電性粉体の分散が困難となり、均一な塗布も困難となる場合がある。
また、該導電性粉体(B)は、少なくとも平均粒子径(D50)が5μm以下の銀粉を含むことが好ましく、全導電性粉体の内、50重量%以上を占めることがより好ましい。
本発明の感光性導電ペーストに使用される光重合性化合物(C)としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−エチルヘキシル (メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAーエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル・(メタ)アクリル酸付加物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンーエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル・(メタ)アクリル酸付加物、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ-ジエチレングリコールアクリレート、メトキシ-トリエチレングルコールアクリレート、2−エチルヘキシル-ジグルコールアクリレート、メトキシ-ポリエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングルコールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチル-コハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチル-フタル酸、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、PEG400#ジアクリレート、PEG600#ジアクリレート、ポリテトラメチレングルコールジアクリレート、などの(メタ)アクリレートモノマーを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、公知の感光性を有する不飽和二重結合を有する化合物であれば、単独或いは2種以上を混合して使用することができる。
これら光重合性化合物(C)を含むことで、架橋密度を向上させることができる他、光反応の際の架橋点間距離を調節することによって、塗膜の柔軟性や硬度を調整することができる。
本発明の感光性導電ペーストに使用される光重合性化合物(C)は、良好な現像性を実現するという観点から、親水性の官能基及び/またはエーテル結合を有していることが好ましい。親水性の官能基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、およびこれらの金属中和塩、アミン中和塩、ハロゲン置換物、酸無水物基、アミノ基、水酸基などが挙げられる。
これらの置換基の中で、良好な現像性が得られる観点からカルボキシル基を含有する光重合性化合物(C)を使用することが特に好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲において、親水性の官能基及び/またはエーテル結合を含有しない光重合性化合物を併用しても構わない。
また、上記のような光反応性化合物のみでは柔軟性の不足や基材密着性の不足が生じることがあり、それらを改善するために、分子量が高く様々な機能を付与できる反応性オリゴマー(プレポリマー)を配合してもよい。オリゴマーとしては、ウレタン系オリゴマー、ポリエーテル系オリゴマー、エポキシ系オリゴマー、ポリエステル系オリゴマー、アクリル系オリゴマー等が挙げられる。
より具体的には、ウレタン系オリゴマーとしては、例えば、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL230、EBECRYL244、EBECRYL245、EBECRYL270、EBECRYL284、EBECRYL285、EBECRYL4858、EBECRYL210、EBECRYL204、EBECRYL8804、EBECRYL8800−20R、共栄社化学社製のAH−600、AT−600、UA−306H、荒川化学工業社製のビームセット502H、ビームセット504H、ビームセット505A−6、ビームセット550B、ビームセット575、AKCROS社製のActilane200、Actilane200TP20、Actilane210TP30、Actilane230HD30、Actilane250HD25、Actilane250TP25、Actilane270、Actilane280、Actilane290、Actilane165、Actilane167、Actilane170、サートマー社製のCN929、CN961E75、CN961H81、CN962、CN963、CN963A80、CN963B80、CN963E75、CN983E80、CN964、CN965、CN980、CN981、東亞合成社製のアロニックスM−1100、アロニックスM−1200、アロニックスM−1600、日本化薬社製のカヤラッドUX−2201、カヤラッドUX−2301、カヤラッドUX−3204、カヤラッドUX−3301、カヤラッドUX−4101、カヤラッドUX−7101等が挙げられる。
ポリエーテル系オリゴマーの具体例として、例えば、BASF社製のPO84F、LR−8894等を挙げることができる。
エポキシ系オリゴマーの具体例としては、例えば、AKCROS社製のActilane300、Actilane310、Actilane320、Actilane320DA25、Actilane340、Actilane330、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL600、EBECRYL3500、EBECRYL3608、EBECRYL3700、EBECRYL3702、サートマー社製のCN104、CN111、CN115、CN151等を挙げることができる。
ポリエステル系オリゴマーの具体例としては、例えば、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL770、EBECRYL811、EBECRYL1830、東亞合成社製のアロニックスM−6100、アロニックスM−6200、アロニックスM−7100、荒川化学工業社製のビームセット700、ビームセット710、ビームセット720、ビームセット730、ビームセット750、等を挙げることができる。
アクリル系オリゴマーの具体例としては、例えば、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL767、EBECRYL1200等を挙げることができる。
これらは単独で用いても良いし、数種類を組みあわせて使用することもできる。これらについても現像に影響を与えないという観点から、親水性の官能基である水酸基やカルボキシル基を有していることが好ましい。
本発明の感光性導電ペーストに使用される光重合性化合物(C)の含有量は、有機バインダー(A)+(B)の合計重量部を100としたとき、1〜100重量部であることが好ましく、より好ましくは2〜80重量部である。光重合性化合物(C)の含有量が、1重量部未満の場合には、光による硬化反応が不十分となる場合があり、反対に100部を超えると、硬化塗膜の表面部と底部での硬化斑が大きくなり、不均一な膜が形成される場合がある。
本発明に使用される光重合性化合物(C)は、カルボキシル基を含有する場合は酸価1,000〜14,000eq/tonを有しており、更には1,800〜12000eq/tonであることが好ましい。酸価が1,000eq/ton未満ではアルカリによる現像性が不十分であり、ファインパターンの形成は困難となる場合がある。反対に酸価が14,000eq/tonを超えると親水性が高くなりすぎて、現像時にパターンが形成できない場合や湿熱下での基材との密着性が大幅に低下する場合がある。
本発明の感光性導電ペーストに使用される光重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、アセトフェノン、2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、チオサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール、ジベンジルケトン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニールケトン、アントロン、ベンズアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニールフォスフィンオキサイド、2−ブタジオンー2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニループロパンジオンー2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、2−メチルー〔4−(メチルチオ)フェニル〕ー2−モルフォリーノー1−プロパン、ナフタレンスルホニルクロライド、4,4−アゾビスイソブチロニトリルジフェニルジスルフィドなどをあげることができる。市販品としては、例えば、BASF社製のOXE−01、OXE−02、イルガキュアー184、イルガキュアー819、イルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー379、ルシリンTPOなどが挙げられる。
光重合開始剤(D)としてはOXE−02のようなオキシムエステル系化合物や、イルガキュアー907、イルガキュアー369のようなアミノアルキルフェノン系化合物を含むことがより好ましい。オキシムエステル系化合物、およびアミノアルキルフェノン系化合物は非常に高感度であるため、光重合開始剤(D)の含有量を少なくすることができる。その結果として、導電性塗膜の導電性や湿熱信頼性の向上することができるために好ましい。低感度の光重合開始剤(D)を使用する場合は感光性導電ペースト中の光重合開始剤(D)の割合が多くなってしまい、接着性や塗膜の耐湿熱性低下の原因となる場合がある。
これら公知の光重合開始剤は、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。2種以上の光重合開始剤を組み合わせて使用することで、溶剤への溶解性を考慮しながら、感度を調節することができる。
このような光重合開始剤(D)の配合量は、(A)+(B)+(C)の合計重量部を100としたときに、0.005〜30重量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜10重量部である。0.005重量部より少ないと硬化が塗膜深部まで進行せず、硬化不良によってパターンの密着不良や現像時のパターン剥がれ、エッジ形状のシャープ性損失が生じる場合がある。 30重量部より多いと開始剤が残存し、塗膜にタック性を生じたり、塗膜の信頼性を損ねる場合がある。
本発明の導電性ペーストは有機溶剤(E)を含む。有機溶剤(E)としては、沸点が100℃以上、300℃未満であることが好ましく、より好ましくは沸点が130℃以上、280℃未満である。
有機溶剤(E)の例としてはダイセル社製のエチルジグリコールアセテート(ECA)、ブチルグリコールアセテート(BCA)、ブチルジグリコールアセテート(BDGAC)、エクソン化学製のソルベッソ100,150,200が挙げられる。その他、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、イソホロン、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、テキサノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ターピオネール等を挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
上記の中でも、感光性導電性ペーストを用いた導電性薄膜生産プロセスの観点から、沸点130℃以上の溶剤が好ましい。有機溶剤(E)の沸点が低すぎると、ペースト製造工程やペースト使用の際、スクリーン印刷での連続印刷に溶剤が揮発し、導電性ペーストを構成する成分比が変化しやすい懸念がある。一方で、溶剤の沸点が高すぎると、乾燥後の塗膜内部に溶剤が残存することがあり、露光プロセスのフォトマスク接触時に、塗膜の一部がフォトマスクへ移行してしまう可能性があるため、沸点は280℃以下であることが好ましい。
このような背景もあり、沸点110℃以上の溶剤と、沸点が280℃より低い溶剤を混合して用いられる場合もある。本発明においては、スクリーン印刷性(連続印刷時の溶剤揮発性)、と乾燥性において良好であるという観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テキサノール、ベンジルアルコール、ECA、BCA、BDGACからなる群より選択されてなる少なくとも1種類以上の溶剤が好ましい。
本発明の感光性導電ペーストに使用される有機溶剤(E)の含有量は、(A)+(B)+(C)+(D)の重量部を100としたときに、5重量部以上、40重量部以下であることが好ましく10重量部以上、35重量部以下であることがさらに好ましい。有機溶剤(E)の含有量が5重量部より少ないと、スクリーン印刷の連続印刷時に導電性ペーストの粘度が高くなり、印刷形状にカスレを生じる場合がある。
一方、40重量部を超えると、ペースト粘度が低くなり、印刷形状がニジミで不安定となる場合がある。さらに乾燥後の塗膜に溶剤が残存し、フォトマスクとの接触時に裏移りすることがある他、得られる塗膜の膜厚が薄くなり、電気特性が低下する場合がある。
本発明に使用される塩基性物質(F)は、感光性有機バインダー(A)や光重合性化合物(C)のカルボキシル基を部分的に、あるいは全面的に中和させる作用を持つ物質をさし、感光性導電ペーストに添加することによりUV未露光部の現像液への溶解性を上昇させることが可能となり、導電回路パターンの寸法精度の向上が可能となる。
本発明に使用できる塩基性物質(F)としては、トリブチルアミンやトリエチルアミンなどに代表される有機塩基類、あるいは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどに代表される無機塩基類の使用が可能であるが、印刷性の観点から有機塩基類であることが好ましい。無機塩基類を使用すると感光性導電ペーストが増粘し、良好な印刷性が損なわれる場合がある。
本発明に使用できる塩基性物質(F)としては、特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、モノ−n−プロピルアミン、ジメチル−n−プロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンをはじめ、N−メチルエタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルモルホリンまたはN,N−ジメチルプロパノールアミンなどの各種のアミン類などである。また、これらの有機塩基性化合物から選ばれる2種以上の併用は決して妨げられるものではない。
本発明に使用できる塩基性物質(F)としては、分子量が300以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは250以下、さらに好ましくは250以下の範囲である。分子量が300を超える塩基性物質は、カルボキシル基を部分的に、あるいは全面的に中和させたとしても親水性が低くなり、良好な現像性が得られない場合がある。
本発明に使用できる塩基性物質(F)の沸点は−40〜350℃の範囲であることが好ましい。より好ましくは−20〜300℃、さらに好ましくは0〜250℃の範囲である。−40℃を下回ると常温で容易に揮発するため感光性導電ペースト中への添加が困難である。350℃を超える場合は、親水性が低すぎて、良好な現像性が得られない場合がある。また、塩基性物質(F)がヒドロキシル基などの親水性基を含む場合はカルボキシル基を部分的に、あるいは全面的に中和させた場合の親水性が高すぎて感光性導電ペーストが増粘し、良好な印刷性が損なわれる場合がある。
本発明において常温よりも沸点の低い塩基性物質(F)を使用する場合、水などの媒体に塩基性物質(F)を溶解させて添加することもできる。
本発明に使用できる塩基性物質(F)の含有量は、(A)+(B)+(C)+(D)の合計重量部を100としたときに、0.05〜10重量部であることが好ましい。より好ましくは0.1〜7.5重量部、さらに好ましくは0.2〜5質量部の範囲である。0.05重量部を下回ると親水性が不足して良好な現像性が得られない場合がある。また、10重量部を超えると後述する感光性導電ペーストの一部を露光する(2)の工程において、一般的には塗膜にフォトマスクを介してパターン露光して現像を行うが、塗膜中に有機塩基性化合物が多く残存しているためタックが発生し、塗膜とマスクの密着により現像工程が困難となる場合がある。
本発明の導電性ペーストは、仮乾燥塗膜の状態で長期間保管しても、良好な現像性を保つことが可能である。仮乾燥塗膜は塗膜中に微量の溶剤を含有しているため、作成直後は良好な現像性を示すが、時間の経過により塗膜中に残存している溶剤が徐々に揮発するため現像性が悪化する場合がある。本発明の導電性ペーストは、塩基性物質(F)により感光性有機バインダー(A)中のカルボキシル基が中和されており、親水性が上昇しているため、塗膜中の有機溶剤が経時により揮発した場合でも良好な現像性を維持することが出来る。
本発明の導電性ペーストにおいては、感光性有機バインダー(A)と反応し得る硬化剤としてブロックイソシアネート化合物(G)を配合してもよい。本発明の導電性ペーストに含まれる感光性有機バインダー(A)の好適な様態においては、(メタ)アクリル系共重合体のカルボキシル基の一部に脂環式エポキシ(メタ)アクリレートを付加させた構造を有しており、該付加反応により発生する反応性の水酸基を含有している。このため、水酸基と反応する硬化剤を使用することができる。硬化剤の中でも、ブロック化したイソシアネート(ブロックイソシアネート化合物)を使用することが貯蔵安定性の観点からより好ましい。また反応点となる水酸基を含有する光重合性化合物(C)を適宜使用することにより、架橋密度を制御することも可能となる。
ブロックイソシアネート化合物を配合することにより、塗膜乾燥時の熱による架橋で塗膜の耐熱性、湿熱信頼性の向上が期待できる。
ブロックイソシアネート化合物(G)の量としては(A)+(B)+(C)+(D)の合計重量部を100としたときに、0.05〜15重量部であることが好ましく、0.1〜10重量部であることがさらに好ましい。0.05重量部以下であると効果が得られず、15重量部を超えると塗膜中に残存し、導電性や塗膜信頼性に影響を与える懸念がある他、塗膜にタック性が生じる場合がある。さらにはブロック化剤が空気中に飛散し、作業者あるいは環境に悪影響を与える懸念がある。
本発明の感光性有機バインダー(A)、光重合性化合物(C)に反応し得るブロックイソシアネート化合物(G)を構成するイソシアネート化合物の例としては、芳香族又は脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等があり、低分子化合物、高分子化合物のいずれでもよい。例えばヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、等の脂肪族ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、等の芳香族ジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、あるいはこれらのイソシアネート化合物の3量体、及びこれらのイソシアネート化合物の過剰量と例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の低分子活性水素化合物又は各種ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物等と反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物が挙げられる。
また、イソシアネート基のブロック化剤としては、例えば、アセト酢酸エチル等の活性メチレン系ブロック剤、フェノール、クレゾール及びキシレノール等のフェノール系ブロック剤、ジメチルピラゾール等のピラゾール系ブロック剤、メタノール、エタノール、マロン酸ジエチル、乳酸メチル及び乳酸エチル等のアルコール系ブロック剤、メチルエチルケトンオキシム、ジアセチルモノオキシム及びシクロヘキサンオキシム等のオキシム系ブロック剤、ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン及びチオフェノール等のメルカプタン系ブロック剤、コハク酸イミド等のイミド系ブロック剤、アニリン及びブチルアミン等のアミン系ブロック剤、イミダゾール及び2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤、並びにメチレンイミン及びプロピレンイミン等のイミン系ブロック剤等が挙げられるが、これらブロック剤のうち、低温硬化性と貯蔵安定性の両立、硬化塗膜の耐屈曲性、硬度の観点から、ジメチルピラゾール、マロン酸ジエチルが好ましい。
ブロックイソシアネートは市販のものであっても使用可能であり、例えば、日本ポリウレタン工業社製のコロネート2509、2512、コロネート2513、コロネート2520、旭化成ケミカルズ社製のMF−K60B、SBN‐70D、TPA−B80E、17B−60PX、E402−B80T、SBN−70D、SBB−70P、住友バイエルウレタン社製のスミジュールBL−3175、BL−4165、BL−1100、BL−1265、デスモジュールTPLS−2957、TPLS−2062、TPLS−2078、TPLS−2117、デスモサーム2170、デスモサーム2265、三井武田ケミカル社製B−830、B−815、B−846、B−870、B−874、B−882、バクセンデン社製のBI7986、BI7951、BI7982、BI7960、BI7990、BI7991、BI7992、DP9C/437(バクセンデン社製、商品名)、昭和電工社製のカレンズMOI‐BM、カレンズMOI‐BP等が挙げられる。
これらの中でも特にピラゾール誘導体、マロン酸ジエチルでブロックされたブロックイソシアネートを使用することが好ましく、BI7982、BI7960などが好ましい。尚、これらのブロックイソシアネートは単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
イソシアネート化合物以外の硬化剤としては、メチル化メラミン、ブチル化メラミン、ベンゾグアナミン、尿素樹脂等のアミノ樹脂、酸無水物、イミダゾール類、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の公知の化合物が挙げられる。これらの硬化剤には、その種類に応じて選択された公知の触媒あるいは促進剤を併用することもできる。
硬化剤の配合量としては、本発明の効果を損なわない程度に配合されるものであり、特に制限されるものではないが、感光性有機バインダー(A)に対して0.5〜30重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましく、2〜15重量%がさらに好ましい。
本発明の導電性ペーストにおいては、上記のブロックされたイソシアネート基の脱ブロック化触媒およびイソシアネート基の架橋反応触媒を配合することができる。例えば、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、スタナスオクトエート等の有機錫系触媒、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N−メチルモルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン−5、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等のアミン系触媒、これらアミン系触媒のボラン塩、フェノール塩、オクチル酸塩、炭酸塩等のアミン塩系触媒、ナフテン酸マグネシウム、ナフテン酸鉛、酢酸カリウム等のカルボン酸金属塩系触媒、トリエチルホスフィン、トリベンジルホスフィン等のリン系触媒、ナトリウムメトキシド等のアルコキシド系触媒、ビスマス−トリス(2−エチルヘキノール)、オクチル酸ビスマス等のビスマス系触媒が挙げられる。
ブロックされたイソシアネート基の脱ブロック化触媒およびイソシアネート基の架橋反応触媒は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
硬化触媒の添加量としてはブロックイソシアネート(G)に対して、0.01〜40重量%が好ましく、0.05〜30重量%がより好ましく、0.1〜20重量%がさらに好ましい。
本発明の感光性導電ペーストは、上記成分以外に、オキセタン化合物を配合してもよい。オキセタン化合物としては、宇部興産社製3−エチルー3−ヒドロキシメチルオキセタン、或いは東亞合成(株)製アロンオキセタン OXT−101、OXT−212、OXT−211、OXT−213などの単官能オキセタン化合物を挙げることができる。また、アロンオキセタン OXT−121、OXT−221のような2官能オキセタン化合物も導電ペーストを経時的に増粘させない範囲内であれば使用することができる。オキセタン化合物を配合する量は、感光性有機バインダー(A)+導電性粉体(B)の総量を100重量部としたときに、1〜30重量部使用することが好ましい。
本発明の導電性ペーストにはフィラー分散性を向上させる目的や分散安定性付与のために分散剤を含んでいてもよい。
分散剤の具体例としては、ビックケミー・ジャパン社製Anti−Terra−U、Anti−Terra−203/204Disperbyk−101、107、110、111、130、161、162、163、164、165、166、170、2020,2155、BYK−P104、P105P104S、240S、2150、2025、Efka CHEMICALS社製エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766、共栄社化学社製フローレンTG−710、フローノンSH−290、SP−1000、ポリフローNo.50E、No.300、楠本化成社製ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150、#7004が挙げられる。分散剤は組成物中に0.01〜10重量%含まれることが好ましい。
また、本発明の導電性ペーストには、基材塗布後の基材への濡れ広がり性を向上させるために表面調整剤を加えることが好ましい。表面調整剤の具体例としては、ビックケミー社製のBYK−350、352、354、355、358N、361N、381N、381、392、380、380N、が挙げられる。BYK−300、302、306、307、310、315、320、322、323、325、330、331、333、337、340、344、370、375、377、355、356、357、390、UV3500、UV3510、UV3570、楠本化成社製のLF1980、共栄社化学社製のポリフローNo.90等、テゴケミー社製Tegorad−2100,2200、2250、2500、2700等が挙げられる。
上記の中でも本発明で用いる表面調整剤としては、アクリル系表面調整剤を使用することが好ましい。表面調整剤は組成物中に、0.001〜5重量%含まれることが好ましい。0.001重量%未満では効果がなく、5重量%より多いと、乾燥後にタック性を発現したり、塗膜の信頼性が低下するおそれがある。これら表面調整剤は、一種または必要に応じて二種以上用いてもよい。
本発明の感光性導電ペーストは、増感剤を添加してもよい。増感剤を添加することによってUV露光時の感度を向上させることができる。増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールなどがあげられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。なお、増感剤の中には光重合開始剤としても使用できるものがある。感光性有機バインダー(A)に対して通常0.05〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20重量%である。0.05重量%未満では感度を向上させる効果が小さく、30重量%を超えると表面にタック性を生じたり、光の吸収が過多となることによって反対に光感度を低下させる場合がある。
本発明の感光性導電ペーストは、光重合開始剤以外にまた、熱重合開始剤を併用して用いることができる。この熱重合開始剤は、熱硬化成分を反応させるだけでなく、高温におけるエージングにより未硬化の光重合性モノマーを反応させうるものである。 このような熱硬化触媒としては、例えば、1,1´−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2,4−ジバレロニトリル、1´−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2´−アゾビスイソブチレイト、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド、2−メチル−2,2´−アゾビスプロパンニトリル、2,4−ジメチル−2,2,2´,2´−アゾビスペンタンニトリル、2,2,2´,2´−アゾビス(2−メチルブタナミドオキシム)ジヒドロクロライド、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、等が挙げられる。
本発明の感光性導電ペーストは感光性有機バインダー(A)の酸化を防ぐために酸化防止剤を含んでいても良い。2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−6−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス[3,3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフェニルホスファイトなどがあげられる。酸化防止剤を添加する場合、その添加量は、感光性有機バインダー(A)に対して0.01〜1重量%であることが好ましい。
本発明の感光性導電ペーストは、イソシアネートと反応し得る官能基を有する化合物を添加することができる。
イソシアネートと反応し得る官能基を有する化合物を添加することで、本発明に含まれているブロックイソシアネートとの反応で、架橋点を増やすことや、架橋点間の距離を調節することができるため、硬化塗膜物性を調整することができる。
イソシアネートと反応し得る官能基としては、水酸基及びアミノ基が好ましく、いずれか一方を有するものでも双方を有するものであっても良い。具体的化合物としては、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸の他、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2’,2’−ジメチル−3−ヒドロキシプロパネート、2−ノルマルブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3−オクチル−1,5−ペンタンジオール、3−フェニル−1,5−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−3−ナトリウムスルホ−2,5−ヘキサンジオール、ダイマージオール(PRIPOL−2033(ユニケマ・インターナショナル社製))等の1分子中に2個の水酸基を有する化合物、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリグリセリン等の多価アルコール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の1分子に1個以上の水酸基とアミノ基を有するアミノアルコール、エチレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミンなどの脂肪族ジアミンやメタキシレンジアミン、4,4‘-ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンなどの1分子中に2個のアミノ基を有する化合物が挙げられる。上記の数平均分子量1,000未満の1分子に2個以上のイソシアネートと反応し得る官能基を有する化合物は単独で用いてもよいし複数を併用しても何ら問題はない。
これらの中でもアルカリ可溶性を付与するためにカルボン酸を含有している、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸が好ましい。
本発明の感光性導電性ペーストには非金属である導電性の酸化チタンを有していてもよい。導電性の酸化チタンを添加することで、導電性を維持しながらも、塗膜の機械的強度を改善することができる。導電性の酸化チタンとしては、石原産業社製のET―300W、ET−500W、ET−600W、SN−100P、FT−1000、FT−2000、FT−3000、FT−4000、FS−10Pなどが用いられる。
導電性の酸化チタンの添加量としてはペースト合計重量部を100としたときに0.1〜5重量部、もしくは0.3〜2重量部含むことが好ましい。0.1重量部未満の場合は、導電性を高める効果や機械的強度を高める効果が小さい。一方で5重量部より多い値においては、導電性薄膜の導電性や基材との密着性が低下する他、光硬化の際に光を散乱してしまい、硬化性が顕著に低下する場合がある。
本発明の感光性導電性ペーストにはカーボンブラック、グラファイト粉などの炭素系のフィラー等の非金属を含有してもよい。カーボンブラック、グラファイト粉を添加することで、導電性、印刷性を改善することができる。上記の中でも特にカーボンブラックが好ましく、カーボンブラックの添加量としてはペースト合計重量部を100としたときに0.1〜5重量部、もしくは0.3〜2重量部含むことが好ましい。0.1重量部未満の場合は、導電性を高める効果が小さい。一方で5重量部より多い値においては、導電性薄膜の導電性や基材との密着性が低下する他、光硬化の際にカーボンブラックが光を吸収してしまい、硬化性が顕著に低下する場合がある。
本発明の導電性ペーストにおいては、沈降防止剤を入れることができる。沈降防止剤としては、脂肪酸アミドワックス、酸化ポリエチレン、高分子ポリエステルのアミン塩、直鎖ポリアミノアミドと高分子酸ポリエステルの塩、ポリカルボン酸のアミド溶液、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、コロイダル系エステル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ホワイトカーボン、レシチン、エチルオレートなど公知慣用のフィラー沈降防止剤も使用することができ、市販されているものとしては、例えばディスパロン#6900−20X、ディスパロン#4200−10、4200−20、ディスパロンKS−873N、ディスパロン#1850(以上、楠本化成(株)製)、BYK−405(ビック・ケミー・ジャパン社製)を使用することができる。その他、モンモリロナイトを主成分とする有機ベントナイトも用いることができ、市販されているものとしては、例えばベンゲル、ベンゲルFW、エスベン、エスベン74、オルガナイト、オルガナイトT(以上、豊順洋行(株)製)、穂高印、オルベン、250M、ベントン34、ベントン38(以上、ウイルバー・エリス社製)、ラポナイト、ラポナイトRD、ラポナイトRDS(以上、日本シリカ工業(株)製)、A−S−AT−20S、A−S−AT−350F、A−S−AD−10A、A−S−AD−160(以上、伊藤製油(株)製)などが挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、該有機ベントナイトは有機溶剤に分散されているものでもよい。これらのフィラー沈降防止剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
沈降防止剤の使用量は、用いる銀粉や溶剤の配合量にも依存し、特定の割合に限定されるものではないが、一般に前記有機感光性バインダー(A)100重量部に対して0.5〜20重量部が適当であり、好ましくは1〜10重量部である。沈降防止剤の使用量が少な過ぎる場合、バインダーとフィラーの均一分散性や組成物の保存安定性が低下する場合がある。沈降防止剤の使用量が多過ぎると、基材密着性や導電性に悪影響を及ぼす場合があるため好ましくない。
本発明の導電性ペースト中には、密着性向上や現像性向上を目的に光重合性を有さない樹脂を配合することができる。例えばセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂以外のウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等を使用することができ、併用することにも何ら制限は設けない。
また、本発明の導電性ペーストには、上記成分以外にヒドロキノンなどの重合禁止剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の光安定剤、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、亜リン酸エステル等の酸化防止剤、有機樹脂微粒子、脂肪酸アマイド系ワックス、ポリアマイド系ワックス、ポリエチレン系ワックス、酸化ポリエチレン系ワックス、シリカ、有機ベントナイト、尿素化合物系粘性調整剤等の粘性調整剤、ビニル化合物系表面調整剤等の表面調整剤、シリコーン系消泡剤、ビニル化合物系消泡剤等の消泡剤、酸性リン酸エステル系硬化触媒やスルホン酸系等の硬化触媒、アセチルアセトン、ベンゾトリアゾール類等の金属キレート化剤, さらには樹脂分解抑制剤としてカルボジイミド、エポキシ等を単独もしくは併用で用いることができる。
さらにまた、本発明の導電性ペーストには、無機物を添加することができる。無機物としては、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化タングステン、炭化クロム、炭化モリブテン、炭化カルシウム、ダイヤモンドカーボンラクタム等の各種炭化物;窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウム等の各種窒化物、ホウ化ジルコニウム等の各種ホウ化物;酸化チタン(チタニア)、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アルミニウム等の各種酸化物;チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム等の各種チタン酸化合物;二硫化モリブデン等の硫化物;フッ化マグネシウム、フッ化炭素等の各種フッ化物;ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の各種金属石鹸;その他、滑石、ベントナイト、タルク、炭酸カルシウム、ベントナイト、カオリン、ガラス繊維、雲母等を用いることができる。これらの無機物を添加することによって、印刷性や耐熱性、さらには機械的強度を向上させることが可能となる場合がある。
本発明の導電性ペーストは、F値が55〜95%であることが好ましく、より好ましくは75〜90%である。F値とはペースト中に含まれる全固形分100重量部に対するフィラー重量部を示す数値であり、F値=(フィラー重量部/固形分重量部)×100で表される。ここで言うフィラー重量部とは導電性粉体の重量部、固形分重量部とは溶剤以外の成分の重量部であり、導電性粉体、感光性有機バインダー、光重合性化合物、光重合開始剤、有機溶剤その他のブロックイソシアネートや添加剤を全て含む。F値が55%未満であると良好な導電性が得られず、95%をこえると密着性及び/又は硬度が低下する傾向にある。さらに現像性の低下も避けられない。なお、ここで導電性粉体とは、導電性粉体(B)および非金属からなる導電性粉体の双方を指す。
本発明の感光性導電性ペーストの製造方法は特に限定されないが、例えば、以下のような工程により、製造することができる。まず、感光性有機バインダー(A)を有機溶剤(E)に溶解する。次いでこの溶液に導電性粉体(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)、塩基性物質(F)、その他ブロックイソシアネートや沈降防止剤などの添加剤を添加し、ダブルプラネタリーやディゾルバー、遊星式の攪拌機等で予備分散を実施する。次いでこれを、三本ロールミルで分散して、導電性ペーストを得る。このような工程により得られた導電性ペーストは、さらに濾過しても良い。濾過を実施することで、現像後の線形状が良好となる場合がある。
また、本発明のような溶剤含有量が少ない導電性ペーストにおいては、三本ロールミルを用いる分散工程が生産効率の点で特に有効であるが、その他の分散機、例えばビーズミル、ニーダー、エクストルーダーなどを用いて分散しても何ら問題はない。
本発明の感光性導電ペーストを用いて、導電性薄膜あるいは細線を形成する手順としては、下記の(1)〜(3)の工程を含む。
(1)スクリーン印刷等により、感光性導電ペーストを基材上に塗布する工程、前乾燥工程を伴うパターン形成、(2)次いで前記塗布された感光性導電ペーストの一部を露光する工程による細線パターン露光 、(3)次いで未露光部を現像する工程による細線パターン形成
前記工程(1)については本発明の導電性ペーストをスクリーン印刷法やスピンコートやバーコーター、ブレードコーター、ディップ法などを用いて基材上に塗布または印刷して塗膜を形成させる。
塗布方法については上記のどの塗布方法で塗布してもよいが、生産性、品質安定性の面からスクリーン印刷法で実施することが好ましい。基材としては特に限定はされないが、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリイミド、ポリエステル等の基材が挙げられる。また、前記基材と導電性膜との間に透明導電性層を設け、導電性薄膜を透明導電性層上に積層することにより、導電性積層体を得ることができる。透明導電性層の素材は特に限定されないが、例えば、酸化インジウム・スズを主成分としてなるITO膜の導電薄膜を適用することが可能である。また、透明導電性層は基材全面に形成されたものだけでなく、エッチングにより透明導電性層の一部が除去されたものを使用することもできる。その他、ガラス基板やガラスエポキシ基板、ガラスポリイミド基板セラミック基板、ポリイミド基板、ビスマレイミドトリアジン)板、フェノール基板、紙フェノールなどの基板を用いることができる。
次いで上記で基板上に形成したパターンを例えば、熱風循環式乾燥炉、遠赤外線乾燥炉等を用い、例えば約60〜110℃で3〜30分程度乾燥させて、塗膜内部の有機溶剤を蒸発させる必要がある。これは次の露光工程において形成した塗膜とネガマスクを接触させる必要があるため、タック性を低減させる必要があるためである。
尚、本実施態様の感光性導電ペーストは、予めフィルム状に成膜したドライフィルムとして用いても何ら問題はない。
また、上記乾燥して得られるパターンの膜厚は、現像性が良好であるという観点と電気回路としての導電性の観点から3μm以上が好ましく、4μm以上がより好ましい。一方で、現像性の観点から、厚みが厚いと現像液が塗膜内部に十分浸透せず、多大な残渣が残るという観点から、8μm以下が好ましく、6μm以下がさらに好ましい。
前記工程(2)については(1)で作製した塗膜にフォトマスクを介してパターン露光して、現像を行う。露光方法としては、例えば、所定の露光パターンを有するフォトマスク(ネガ型、ポジ形)を用いた接触露光又は非接触露光が一般的であるが、フォトマスクを用いずに、レーザー光などで直接描画する方法を用いても良い。露光光源としては、ハロゲンランプ、高圧水銀灯、レーザー光、マルチランプ、メタルハライドランプ、ブラックランプ、無電極ランプなどが使用される。露光量としては、50〜1000mJ/cm2程度が好ましく、線太りや、生産性の観点から、100mJ/cm2〜600mJ/cm2がさらに好ましい。
前記工程(3)については現像方法としては、スプレー法、浸漬法等が用いられる。現像液としては、例えば感光性導電ペースト中にカルボキシル基を含有する場合、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウムなどの金属アルカリ水溶液や、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン水溶液が用いられる。現像液濃度としては0.01〜10重量%であることが好ましく、0.1〜5重量%であることがより好ましい。アルカリ水溶液の濃度が0.01重量%未満であると可溶部が除去されない傾向があり、10重量%を超えるとパターン部を剥離させ、また、非可溶部を腐食させる傾向がある。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。但し、カルボキシル基が中和され、未露光部が除去されればよく、これらの現像液や、現像液濃度、現像温度に限定されるものではない。また、現像後、不要な現像液の除去のため、水洗や酸中和を行うことが好ましい。
以上の現像工程については、アルカリ現像液、水洗、酸中和ゾーン、さらには乾燥ゾーンが設けられた連続槽式の現像装置を用いると生産効率が向上するので好ましい。
上記のように露光、現像により得られた感光性導電ペーストのパターン塗膜を後乾燥、後硬化させて電極パターンを形成する。
露光、現像後の後乾燥、後硬化については工程(1)と同様に熱風循環式乾燥炉、遠赤外線乾燥炉等を用いることが好ましい。乾燥、硬貨温度についてはパターン塗膜を、100〜180℃の温度、好ましくは110〜140℃の温度にて、10〜60分程度加熱処理を行うことで電極パターンが形成される。
100℃より低い温度で最終硬化すると、硬化反応が進まず、さらには溶剤が残存することで所望の導電性が発現しない場合がある。一方で、180℃より高い温度で最終硬化すると、基材の変形が生じる場合があり、密着性の低下が生じる場合がある。
本発明の感光性導電ペーストを用いて、形成する導電性薄膜の厚みは3〜8μmの範囲内であることが好ましい。厚みが3μmよりも薄い場合は、十分な抵抗値が得られない場合や現像時に現像液が塗膜中に浸透しすぎて塗膜が維持できずに剥がれが生じてしまう場合がある。また、8μmよりも厚い場合には、現像液が塗膜中に十分に浸透しない、または露光部の銀粉による光散乱によって発生する光散乱光による未露光部への硬化反応が起こりやすくなる等の理由により良好な細線現像性が得られない場合がある。現像性と未露光部への硬化反応抑制の観点から、4〜6μmの厚みが特に好ましい。
本発明の感光性導電ペーストを用いて形成する導電性回路のL/Sとしては、特に制限されないが、10/10〜100/100(μm)の範囲であることが好ましい。より好ましく10/10〜75/75の範囲であり、さらに好ましくは15/15〜50/50(μm)の範囲である。L/Sが10/10を下回るとフィルムとの密着性が不十分となり、回路のカケが生じる場合や、線間に残渣が発生する場合がある。また、L/Sが100/100(μm)を超えるとスクリーン印刷法により直接導電性回路を印刷する方が工程上効率的であり、本発明で使用する感光性導電ペーストの利点である細線形成を活かすことが出来なくなる。
本発明の導電性積層体を用い、タッチパネルを製造することができる。タッチパネルは、抵抗膜方式であっても静電容量方式であってもよい。いずれのタッチパネルにも適用が可能であるが、本ペーストは、細線形成に好適であるため、静電容量方式に用いられることが好ましい。
タッチパネルの製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ITO膜等の透明導電性層を積層した基材上に、導電性ペーストを塗布又は印刷し、露光、現像を経て作製した導電性回路を加熱により硬化させ、導電性積層体を形成させ、得られる導電性積層体を別の導電性積層体と貼り合わせることにより製造することができる。
本発明の導電性ペーストは、タッチパネルの電極回路配線用として好適に用いられるが、それ以外にも、電磁波シールド用途、電子部品の回路形成用途、端子やリード線の導電性接着剤等の用途にも使用することが可能である。
本発明の感光性導電性ペーストは最終的に熱および光にて硬化さえすることができれば、従来のスクリーン印刷用のペーストとして用いても何ら問題はない。その他例えばグラビア印刷、凸版印刷等、その他印刷方式にも適用することができる。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、特に断らない限り例中の「部」は「重量部」を示し、固形分濃度とは有機溶剤を完全に揮発させた後の不揮発分のことを示す。
本発明における導電性ペーストの評価は、下記の方法により行った。
1.重量平均分子量
2.酸価
試料樹脂0.2gを精秤し20mlのクロロホルムに溶解した。ついで、0.01Nの水酸化カリウム(エタノール溶液)で滴定して求めた。指示薬には、フェノールフタレイン溶液を用いた。酸価の単位はeq/ton、すなわち試料1トン当たりの当量とした。
3.導電性積層体テストピースの作製
厚み100μmのアニール処理をしたPETフィルム(東レ社製ルミラーS)およびITO膜(日東電工社製、V150)のそれぞれに、400メッシュのポリエステルスクリーンを用いてスクリーン印刷法により導電性ペーストを印刷し、熱風循環式乾燥炉にて90℃×10分乾燥させ、幅80mm、長さ120mmのパターンを形成した。尚、乾燥膜厚が4〜6μmになるように印刷時の塗布厚を調整した。
その後、上記パターンへ積算光量が150mJ/cm2となるよう露光し、液温25℃の0.2wt%Na2CO3水溶液を用いて現像を行い、次いで水洗した。その後、熱風循環式乾燥炉にて140℃×60分で熱硬化し、以下に示す比抵抗、密着性、鉛筆硬度測定用の幅25mm、長さ100mmの導電性積層体テストピースを作製した。
4.比抵抗
3でPETフィルム上に作製した導電性積層体テストピースのシート抵抗と膜厚を測定し、比抵抗を算出した。膜厚はゲージスタンドST−022(小野測器社製)を用い、PETフィルムの厚みをゼロ点として硬化塗膜の厚みを5点測定し、その平均値を用いた。シート抵抗はMILLIOHMMETER4338B(HEWLETT PACKARD社製)を用いてテストピース4枚について測定し、その平均値を用いた。
5.密着性
3でITO膜上に作製した導電性積層体テストピースを用いてJIS K−5400−5−6:1990に従って、セロテープ(登録商標)(ニチバン(株)製)を用い、剥離試験により評価した。但し、格子パターンの各方向のカット数は11個、カット間隔は1mmとした。100/100は剥離がなく密着性が良好なことを示し、0/100は全て剥離してしまったことを表す。
6.鉛筆硬度
3でITO膜上に作製した導電性積層体テストピースを厚さ2mmのSUS304板上に置き、JIS K 5600−5−4:1999に従って鉛筆硬度を測定した。
7.耐湿熱性試験:
3でITO膜上に作製した導電性積層体テストピースを、85℃、85%RH(相対湿度)下で120時間静置した後、取り出した。その後24時間常温で放置した後、各種評価を行った。
8.ペースト粘度
粘度の測定はサンプル温度25℃において、BH型粘度計(東機産業社製,)を用い、20rpmにおいて測定を実施した。
9.導電性ペーストの貯蔵安定性
導電性ペーストをポリ容器に入れ、密栓したものを25℃で1週間貯蔵した。貯蔵後に粘度測定及び上記3.導電性積層体テストピースにより作製したテストピースの評価を行った。
○:著しい粘度変化はなく、初期の比抵抗、鉛筆硬度および密着性を維持している。
×:著しい粘度上昇(初期粘度の2倍以上)または著しい粘度低下(初期粘度の1/2以下)、および/または、比抵抗の上昇、鉛筆硬度および/または密着性の低下、のいずれかが認められる。
10.現像性試験
アニール処理、および5%塩酸を用いてエッチング処理をしたITO膜(日東電工社製 V150)に、導電性ペーストをスクリーン印刷法にて印刷した。スクリーン版としては東京プロセスサービス社製のST400ステンレスメッシュ(版サイズ320mm、乳剤厚10μm、線径23μm)を用い、幅80mm、長さ120mmの現像評価用のべた塗りパターンを形成し、熱風循環式乾燥炉にて90℃で10分間乾燥して、仮乾燥塗膜の指触乾燥性の良好な銀パターンを形成した。
尚、乾燥膜厚が6μmになるように印刷時の塗布厚を調整した。
スクリーン印刷条件は、スキージー圧を0.4MPa、スキージー速度を100mm/sec、クリアランスを1.5mmとした。
その後、光源として高圧水銀灯を用いてフォトマスクを介して150mJ/cmでパターン露光を実施した。フォトマスクとして、ラインアンドスペース(L/S)が30μm/30μm、25μm/25μm、20μm/20μmの寸法を持つパターンを使用した。
次いで、液温25℃の0.2wt%Na2CO3水溶液を用いて現像を行った後、25℃の純水にて水洗した。尚、現像時間は30秒、水洗時間は60秒とした。
水洗後、熱風循環式オーブンにて140℃60分加熱処理を実施して試験片を作製した。得られたパターンを光学顕微鏡により観察し、パターン間に残渣が無く、かつパターン剥がれの無いものを○とし、残渣やパターン剥がれのあるものを×とした。
11.仮乾燥塗膜保存安定性試験
アニール処理および5%塩酸を用いてエッチング処理をしたITO膜(日東電工社製 V150)に、導電性ペーストをスクリーン印刷法にて乾燥膜厚が6μmになるように塗布厚を調整して印刷した。スクリーン版としては東京プロセスサービス社製のST400ステンレスメッシュ(版サイズ320mm、乳剤厚10μm、線径23μm)を用い、幅80mm、長さ120mmの現像評価用のべた塗りパターンを形成し、熱風循環式乾燥炉にて90℃で10分間乾燥して、仮乾燥塗膜の指触乾燥性の良好な銀パターンを形成した。
この銀パターンを形成したフィルムを25℃環境下に保存し、14日後に光源として高圧水銀灯を用いてフォトマスクを介して150mJ/cmでパターン露光を実施した。フォトマスクとして、ラインアンドスペース(L/S)が30μm/30μm、25μm/25μm、20μm/20μmの寸法を持つパターンを使用した。
次いで、液温25℃の0.2wt%Na2CO3水溶液を用いて現像を行った後、25℃の純粋にて水洗した。尚、現像時間は30秒、水洗時間は60秒とした。
水洗後、熱風循環式オーブンにて140℃60分加熱処理を実施して試験片を作製した。得られたパターンを光学顕微鏡により観察し、パターン間に残渣が無く、かつパターン剥がれの無いものを○とし、残渣やパターン剥がれのあるものを×とした。
12.現像時間短時間化試験
アニール処理および5%塩酸を用いてエッチング処理をしたITO膜(日東電工社製 V150)に、導電性ペーストをスクリーン印刷法にて印刷した。スクリーン版としては東京プロセスサービス社製のST400ステンレスメッシュ(版サイズ320mm、乳剤厚10μm、線径23μm)を用い、幅80mm、長さ120mmの現像評価用のべた塗りパターンを形成し、熱風循環式乾燥炉にて90℃で10分間乾燥して、指触乾燥性の良好な銀パターンを形成した。
尚、乾燥膜厚が6μmになるように印刷時の塗布厚を調整した。
スクリーン印刷条件は、スキージー圧を0.4MPa、スキージー速度を100mm/sec、クリアランスを1.5mmとした。
その後、光源として高圧水銀灯を用いてフォトマスクを介して150mJ/cmでパターン露光を実施した。フォトマスクとして、ラインアンドスペース(L/S)が30μm/30μm、25μm/25μm、20μm/20μmの寸法を持つパターンを使用した。
次いで、液温25℃の0.2wt%Na2CO3水溶液を用いて現像を行った後、25℃の純粋にて水洗した。尚、現像時間は15秒、水洗時間は30秒とした。
水洗後、熱風循環式オーブンにて140℃60分加熱処理を実施して試験片を作製した。得られたパターンを光学顕微鏡により観察し、パターン間に残渣が無く、かつパターン剥がれの無いものを○とし、残渣やパターン剥がれのあるものを×とした。
実施例1
感光性有機バインダー(A)としてダイセル・オルネクス社製(ACA)Z254F(固形分濃度が55wt%)を1273部(固形部換算700部(溶剤(E)としてジプロピレングリコールモノメチルエーテルを573部含む))、ダイセル・オルネクス社製(ACA)Z320(固形分濃度が39wt%)を1590部(固形部換算620部(溶剤(E)としてジプロピレングリコールモノメチルエーテルを970部含む))、導電性粉体(B)として球状銀粉(D50=2.0μm)を9,300部、光重合性化合物(C)として共栄社化学(株)製 ライトエステルHOA(N)を60部、共栄社化学(株)製 HOA−MS(N)を160部、光重合開始剤(D)としてBASF社製イルガキュア379EGを20部、塩基性物質(F)として東京化成工業(株)製トリエチルアミンを200部、ブロックイソシアネート(G)としてバクセンデン製BI7960を100部、硬化触媒としてKS1260を1部、レベリング剤として共栄社化学(株)製のAC−300HFを40部、添加剤として楠本化成(株)製 ディスパロン4200−10を20部、およびナカライ(株)製 ヒドロキノンを0.5部配合し、チルド三本ロール混練り機に3回通して分散した。その後、得られた導電性ペーストをPET基材、ITO膜(日東電工社製 V150)に対してそれぞれ所定のパターンに印刷後、90℃×10分間熱風乾燥機にて乾燥し、導電性薄膜を得た。その後、本導電性薄膜を用いて露光、現像、最終乾燥を行い、比抵抗、密着性、鉛筆硬度などの基本物性を測定し、現像性の評価を行った。ペーストおよびペースト塗膜、現像性の評価結果を表1に示した。
実施例2〜12
導電性ペーストの樹脂および配合を変えて実施例2〜12を実施した。導電性ペーストの配合および評価結果を表1に示した。実施例においては良好な塗膜特性、細線現像性、仮乾燥塗膜保存安定性を得ることができた。また、ITO膜への密着性、湿熱環境試験後の密着性も良好であった。また、現像時間を短くしても良好な細線現像性を得ることができた。
なお、表1において、感光性有機バインダー、導電性粉体、光重合性化合物、光重合開始剤、有機溶剤、塩基性物質、ブロックイソシアネート、その他配合物は以下のものを用いた。
感光性有機バインダー(A)はいずれもカルボキシル基を有するアクリル系共重合体である。

感光性有機バインダ A(1):ダイセル・オルネクス社製(ACA)Z254F(重量平均分子量:21000、酸価 1250eq/ton、固形分濃度55.0wt%)
感光性有機バインダ A(2):ダイセル・オルネクス社製(ACA)Z300(重量平均分子量:22000、酸価 2020eq/ton、固形分濃度47.0wt%)
感光性有機バインダ A(3):ダイセル・オルネクス社製(ACA)Z320(重量平均分子量:23000、酸価 2400eq/ton、39.0wt%)
感光性有機バインダ A(4):ダイセルオルネクス社製(ACA)Z200M(重量平均分子量:13000、酸価 2000eq/ton、固形分濃度49.0wt%)
感光性有機バインダ A(5):ダイセルオルネクス社製IRR793(重量平均分子量:31000、酸価 1300eq/ton、固形分濃度50.0wt%)

導電性粉体B(1):球状銀粉(D50:1.5μm)
導電性粉体B(2):球状銀粉(D50:2.0μm)

光重合性化合物(C)はいずれも不飽和二重結合を有する低分子化合物である。

光重合性化合物C(1):共栄社化学(株)製 ライトエステルHOA(N)(化学名:2−ヒドロキシエチルアクリレート、酸価 0eq/ton)
光重合性化合物C(2):共栄社化学(株)製 HOA−MS(N)(化学名:2−アクリロイロキシエチル-コハク酸、酸価 4630eq/ton)
光重合性化合物C(3):共栄社化学(株)製 ライトアクリレートHOA−HH(N)(化学名:2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、酸価 3700eq/ton)
光重合性化合物C(4):共栄社化学(株)製 ライトアクリレート9EG−A(化学名:PEG400#ジアクリレート、酸価 5eq/ton)
光重合開始剤D(1):BASF社製イルガキュアOXE−02(オキシムエステル系光重合開始剤)
光重合開始剤D(2):BASF社製イルガキュア907(アミノアルキルフェノン系光重合開始剤)
光重合開始剤D(3):BASF社製イルガキュア379EG(アミノアルキルフェノン系光重合開始剤)
光重合開始剤D(4):BASF社製イルガキュアOXE−01(オキシムエステル系光重合開始剤)
光重合開始剤D(5):BASF社製TPO(アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤)
有機溶剤E(1):東邦化学(株)製ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(ハイソルブDPM)
有機溶剤E(2):東邦化学(株)製プロピレングリコールモノメチルエーテル(ハイソルブPM)
有機溶剤E(3):ジメチルエステル系溶媒
塩基性物質F(1):東京化成工業株式会社製 トリエチルアミン (沸点90℃、分子量101.19)
塩基性物質F(2):東京化成工業株式会社製 トリブチルアミン (沸点216℃、分子量185.35)
塩基性物質F(3):東京化成工業株式会社製 N−メチルモルホリン (沸点115℃、分子量101.15)
ブロックイソシアネートG(1):バクセンデン製BI7982
ブロックイソシアネートG(2):バクセンデン製BI7960
硬化触媒:共同薬品(株)製KS1260
レベリング剤:共栄社化学(株)製 AC−300HF
添加剤1:楠本化成(株)製 ディスパロン4200−10
添加剤2:BYK製 Antiterra203
添加剤3:ナカライ(株)製 ヒドロキノン
比較例1〜10
表2に示す成分及び配合により実施例1と同様に銀ペーストを作製し、アニール処理をしたPETフィルム、ITO膜(日東電工社製 V150)を基材として塗膜を作製し、塗膜物性ならびに現像性の評価を比較例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
なお、表2において、感光性有機バインダー、導電性粉体、光重合性化合物、光重合開始剤、有機溶剤、塩基性物質、ブロックイソシアネート、その他配合物は表1の内容と同じである。
実施例1〜12、比較例1〜10より、本発明の感光性導電性ペーストは、十分な導電性・基材への密着性を備えつつ、仮乾燥塗膜保存安定性に優れ、現像時間を短縮化しても良好な細線が得られることがわかる。
本発明の感光性導電性ペーストは、十分な導電性を有しつつ、現像時間が短時間であっても良好な細線現像性を維持するとともに、基材に対し優れた密着性、耐久性を有し、かつ経時安定性に優れた感光性導電ペーストを提供することができ、例えば、タッチパネルを搭載する携帯電話、ノートパソコン、電子書籍などに用いる導電性ペーストとして有用である。

Claims (15)

  1. 感光性有機バインダー(A)、導電性粉体(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)、有機溶剤(E)、および塩基性物質(F)を含有し、該感光性有機バインダー(A)の酸価が500〜4,000eq/ton、重量平均分子量が5,000〜8,0000であることを特徴とする感光性導電ペースト。
  2. 塩基性物質(F)が有機塩基類であることを特徴とする請求項1に記載の感光性導電ペースト。
  3. 塩基性物質(F)の分子量が200以下の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の感光性導電ペースト。
  4. 塩基性物質(F)の沸点が5〜250℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感光性導電ペースト。
  5. さらにブロックイソシアネート化合物(G)を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感光性導電ペースト。
  6. 光重合開始剤(D)がオキシムエステル系化合物、及び/またはアミノアルキルフェノン系化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の感光性導電ペースト。
  7. 感光性有機バインダー(A)が2種以上の異なる感光性有機バインダーを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の感光性導電ペースト。
  8. 導電性粉体(B)の含有量が、感光性有機バインダー(A)の重量部を100としたときに、200〜2,000重量部であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の感光性導電ペースト。
  9. 塩基性物質(F)の含有量が、(A)+(B)+(C)+(D)の合計重量部を100としたときに、0.2〜5重量部であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の感光性導電ペースト。
  10. ブロックイソシアネート化合物(G)の含有量が、(A)+(B)+(C)+(D)の合計重量部を100としたときに、0.05〜15重量部であることを特徴とする請求項5に記載の感光性導電ペースト。
  11. 導電性粉体(B)が少なくとも平均粒子径(D50)が5μm以下の銀粉を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の感光性導電ペースト。
  12. 請求項1〜11のいずれかの項に記載の感光性導電ペーストを用いて形成された、厚みが3〜8μmの範囲内であることを特徴とする導電性薄膜。
  13. 請求項12に記載の導電性薄膜を用いてなる電気回路。
  14. 請求項13に記載の電気回路を構成部材として含むタッチパネル。
  15. (1)請求項1〜11のいずれかに記載の感光性導電ペーストを基材上に塗布する工程、(2)次いで前記塗布された感光性導電ペーストの一部を露光する工程、
    (3)次いで未露光部を現像する工程
    の工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の導電性薄膜の製造方法。
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