JP2016069677A - 穴広げ性に優れたフェライト系ステンレス鋼鈑及びその製造方法 - Google Patents

穴広げ性に優れたフェライト系ステンレス鋼鈑及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本願発明では、鋼の成分及び金属組織を制御することにより、穴拡げ性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供することを目的とする。特に、既存のプロセスでの製造を前提とし、特殊な工程を経ることなく、成分とプロセス条件の調整により、穴広げ性を向上させる金属組織を得ることを課題とする。【解決手段】所定の成分を含有するフェライト系ステンレス鋼において、Sn:0.010〜0.050%に限定し、結晶粒の結晶粒度番号が7.0から9.5にすることにより、良好な穴広げ性を確保することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、穴広げ性に優れたフェライト系ステンレス鋼鈑及びその製造方法に関する。
フェライト系ステンレス鋼は優れた耐食性を有するため、多くの用途に用いられている。フェライト系ステンレス鋼の薄鋼板の場合、種々の加工が加えられて目的の形状に成形加工される場合が多い。加工は曲げ、張り出し、深絞り、伸びフランジ等のモードがあり、それぞれの加工に適した金属組織の制御が行われている。
中でも伸びフランジ成形性は、加工により開けられたパンチ穴の拡がり率(穴拡げ性)を調査して得られる。フェライト系ステンレス鋼においては穴拡げ性を向上するための検討が行われてきた。特許文献1では2回冷延における圧下配分を適正化することにより、rmin値を高めて穴拡げ性を向上する手法が取られている。特許文献1の技術は2回冷延法が前提となるため、一般的な1回冷延法には適用できない。
析出物を制御することにより穴拡げ性を高める方法も知られている(特許文献2及び特許文献3)。特許文献2及び特許文献3では成分に加えて中間焼鈍条件を規定することにより析出物のサイズ及び密度を制御して穴拡げ性を改善する手法が開示されている。しかし、本技術は中間焼鈍が必須となるため、必ずしも効率的なプロセスとは言えない。
一方で、フェライト系ステンレス鋼に微量のSnを添加し、耐銹性を向上する技術が知られている(特許文献4及び特許文献5)。特許文献4及び特許文献5においては、成分を規定し、耐銹性を向上させる手法が記載されているが、穴拡げ性については何ら記載されていない。また穴拡げ性は金属組織と大きな相関があることが考えられるが、金属組織制御に関する示唆はされていない。
穴拡げ性は局部変形に対応することから素材の延性及び深絞り性と定性的に相関があることが知られているが、工程を付加することなく穴拡げ性を向上させる手法が確立されていなのが現状である。
特開平4−311518号公報 特開2003−213376号公報 特開2004−360003号公報 特開2009−174036号公報 特開2010−159487号公報
このような背景のもと、本発明は、鋼の成分及び金属組織を制御することにより、穴拡げ性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供することを目的とする。特に、既存のプロセスでの製造を前提とし、特殊な工程を経ることなく、成分とプロセス条件の調整により、穴広げ性を向上させる金属組織を得ることを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために、穴拡げ性に及ぼす成分及び金属組織の影響を調査した。特に、耐銹性向上のために添加するSnに着目し、Snの含有量と、穴広げ性の関係を徹底的に調査した。その結果、Snの含有量と結晶粒度および穴広げ性の間に関係があることを知見した。言い換えれば、Snの含有量と結晶粒度をある範囲に制御することにより穴拡げ性を極大にできることを見出した。
結晶粒度番号(GSN)が8.0と6.3の素材を用いて穴拡げ率を測定した結果を図1に示す。結晶粒度番号6.3の場合、Sn添加量を増加しても穴拡げ率はほとんど変化しない。一方、結晶粒度番号8.0の場合、穴拡げ率はSn添加量が0.01%を超えると高くなり、Sn:0.03%で極大を示し、それ以上の添加量では低下する。
このように結晶粒度番号とSn含有量の最適組み合わせが存在することを見出した。この理由は明らかではないが、Snは結晶粒界に偏析しやすい元素であることから、結晶粒界面積(結晶粒度に対応)とSn量の組み合わせにより、結晶粒界に適正なSn量が偏析し、粒界の結合性を強化して穴拡げ性を向上させたものと考えられる。
本発明は、この知見を基に成されたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)
重量%で、
C:0.0005〜0.020%、
Si:0.01〜1.0%、
Mn:0.01〜1.0%、
P:0.050%未満、
S:0.010%未満、
Cr:10.0〜15.0%、
N:0.0005〜0.020%、
Sn:0.010〜0.050%
Ti:0.03〜0.25%、
Nb:0.030%未満、
を含有し、残部が実質的に鉄及び不可避的不純物である鋼組成を有し、結晶粒の結晶粒度番号が7.0以上9.5以下であることを特徴とする穴広げ性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
(2)
質量%で、
Al:0.003〜0.5%
を含有することを特徴とする(1)に記載の穴広げ性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
(3)
質量%で、
Ni:0.01〜0.50%、
Cu:0.01〜0.50%、
Mo:0.01〜0.50%
Sb:0.001〜0.30%、
Zr:0.005〜0.5%、
Co:0.005〜0.50%、
W:0.002〜0.50%、
V:0.02〜0.50%、
Ga:0.001〜0.10%のうち1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の穴広げ性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
(4)
質量%で、
B:0.0003〜0.0025%、
Mg:0.0001〜0.0030%、
Ca:0.0003〜0.0030%
REM(希土類金属):0.002〜0.20%
Zn:0.002〜0.10%
Ta:0.002〜0.50%
Hf:0.002〜0.50%
As:0.001〜0.20%
Bi:0.001〜0.30%
Pb:0.001〜0.10%
Se:0.001〜0.10%
のうち1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)乃至(3)の何れか一項に記載の穴広げ性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
(5)
(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の成分を有する鋼を、熱間圧延における総圧下率を97%以上且つ最終パスの圧延仕上げ温度を950℃以下として熱間圧延を行った後、700℃未満の温度で巻き取り処理を行った後に、875℃以上950℃以下の温度に加熱して熱処理を実施し、その後冷間圧延における圧下率を50%以上85%未満となる冷間圧延を行ない、その後の熱処理工程において820〜900℃の範囲になるよう加熱し熱処理を行うことを特徴とする穴広げ性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
本発明によれば、鋼の成分系及び製造プロセスの各条件を制御することにより、既存の製造設備を適用し、特殊なプロセスを経ることなく、穴広げ性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を提供できる。
Sn含有量と穴広げ率の関係を示す図である。 Snを約0.03%含有するステンレス鋼における結晶粒度と穴広げ率の関係を示す図である。
以下に、本発明について説明する。
本発明者らは、13%Crステンレス鋼を基本成分として、種々の元素の添加量を変化させてサイズの異なる鋼塊を作製した。鋼塊を種々の条件で熱間圧延後、冷間圧延と熱処理の組み合わせにより1.0mm厚の鋼板を作製した。最終焼鈍温度を調整して結晶粒径を調整した。得られた鋼板より90mm角の鋼板を切り出し、穴拡げ試験に供した。穴拡げ試験は直径10mmの円形状の穴をクリアランスが12.5%となるように打ち抜いた後、60°円錐ポンチにて押し込み成形して穴縁の亀裂が板厚を貫通したときに試験を停止した。穴広げ率λは、試験後の穴径と試験前の穴径から下記(1)の計算式で求めた。
穴広げ率λ(%)=((試験後の穴径−試験前の穴径)/試験前の穴径)×100・・・(1)
その結果、結晶粒径をある範囲に制御した場合に、穴拡げ性を極大にするSn量が存在することを知見した。結晶粒度番号(GSN)が8.0と6.3の素材を用いて穴拡げ率を測定した結果を図1に示す。粒度番号6.3の場合、Sn添加量を増加しても穴拡げ率はほとんど変化しない。一方、粒度番号8.0の場合、穴拡げ率はSn添加量が0.01%を超えると高くなり、Sn:0.03%で極大を示し、それ以上の添加量では低下する。このように結晶粒径によって穴拡げ性に対するSn添加の効果が異なることが判明した。
次に、本発明に係るフェライト系ステンレス鋼板の成分元素の限定理由と製造条件の限定理由を述べる。なお、組成についての%の表記は、特に断りがない限り質量%を意味する。
<C:0.0005〜0.020%>
Cは、多量に添加されると加工性の劣化を招く。また溶接部の鋭敏化による耐食性を招く場合があるため少ない方が好ましい。ただし、過度に低減することは製鋼段階でのコスト増加を招くため、その下限値は0.0005%とする。なお、安定的な製造性の観点からは0.0015%以上とすることが好ましい。上限は耐食性の点から0.020%とする。なお、深絞り性、曲げ性等を考慮すると0.0080%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは0.0060%以下である。
<Si:0.01〜1.0%>
Siは、脱酸元素として活用する場合や、耐酸化性の向上のために積極的に添加する場合があるが、極低Si化はコスト増加を招くためその下限を0.01%とする。なお、脱酸の観点から、0.03%以上とすることが好ましい。また多量の添加は材質硬質化による穴拡げ性の低下を招くことがあるため、上限は1.0%とするのがよい。なお、加工性、安定製造性の観点からは0.30%以下とすることが好ましく、さらに0.20%以下とすることが好ましい。さらに加工性、安定製造性を確実にするために0.15%以下にすることが望ましい。
<Mn:0.01〜1.0%>
MnもSi同様脱酸元素として活用する場合があるが、Mnの過度な低化はコストの増加を招くためその下限を0.01%とする。なお、精錬コストの点から0.03%以上とすることが好ましく、さらに好ましくは0.07%以上である。また多量のMn添加は材質硬質化を招くことがあるため上限を1.0%とするのがよい。なお、加工性、安定製造性の観点からは0.30%以下とすることが好ましく、さらに0.25%以下とすることが好ましい。さらに加工性、安定製造性を確実にするために0.15%以下にすることが望ましい。
<P:0.050%未満>
Pは、不可避的不純物である。原料から不純物元素として混入する場合があるが、その含有量は少ないほど良い。Pが大量に存在すると二次加工性の劣化を招くため、不可避的不純物ではあるが上限を0.050%未満と制限する。なお、加工性劣化の抑制の観点から、0.035%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは0.030%未満である。一方、P量の下限は特に決める必要はないが、過度の低減は原料及び製鋼コストの増大に繋がるため、この点からは0.005%を下限としてもよく、さらには0.010%以上としてもよい。
<S:0.010%未満>
Sは、不可避的不純物である。原料から不純物元素として混入する場合がある。耐食性を劣化させる元素でありその含有量は少ないほど良いため、不可避的不純物ではあるが上限を0.010%未満と制限する。また含有量が低いほど耐食性は良好でありため、好ましくは0.0030%未満である。更に好ましくは0.0010%未満である。一方、過度の低減は精錬コストの増加に繋がるため、下限を0.0002%としてもよく、さらには0.0005%以上としてもよい。
<Cr:10.0〜15.0%>
Crは、耐食性を確保する上で極めて重要な元素であり、不動態被膜を形成して安定的な耐食性を発揮する。この効果を得るには10.0%以上が必要である。なお、耐食性及び安定製造性の観点から、12.0%以上とすることが好ましい。
一方、多量の添加は製造時の靭性劣化を招くため、上限は15.0%とする。なお、穴拡げ性の点からは14.0%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは13.5%以下である。
<N:0.0005〜0.020%>
NもCと同様に加工性の低下、ストレッチャーストレインの発生をもたらす元素であるため少ない方が好ましい。ただし、過度に低減することは製鋼段階でのコスト増加を招くため、その下限値は0.0005%としてもよい。なお、安定的な製造性の観点からは0.0015%以上とすることが好ましく、さらに好ましくは0.0030%以上である。またN加工性が低下することに加えて溶接部の耐食性が低下するため上限を0.020%とする。なお、加工性の観点からは0.015%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは0.010%以下である。
<Sn:0.010〜0.05%>
Snは、本発明において重要な元素であり、結晶粒径との組み合わせにより、穴拡げ性を極大にする元素である。その効果を発現するには0.010%以上の添加量が必要であるため、これを下限とする。なお、当該効果をより安定して確保するためには、0.015%以上とすることが好ましい。さらに好ましくは0.020%以上とするとよい。また0.050%を超えて添加しても穴拡げ向上の効果は発揮されないためこれを上限とする。なお、穴拡げ性及び原料コストの観点からは0.040%とすることが好ましく、さらに好ましくは0.035%以下とするとよい。
また、Snは特許文献4及び特許文献5に記載されているように耐銹性向上にも寄与する。Snの含有量が上記範囲内であれば、耐銹性向上効果も得ることができる。
<Ti:0.03〜0.25%>
Tiは、C及びNを析出物として固定して深絞り性を向上するのに重要な元素であり、加工性向上にも有効である。その効果を発揮するには0.03%以上の添加が必要であるため、これを下限とする。また深絞り性を考慮した場合には0.06%以上の添加が好ましい。さらに好ましくは0.1%以上とするとよい。一方、多量の添加は製品の延性劣化を招くことに加えて、製造時の圧延疵の発生を招く。このため上限を0.25%とする。原料コスト及び製造安定性を考慮すると上限は0.20%とすることが好ましい。
<Nb:0.030%未満>
Nbは、添加することによって材料の硬質化を招くため、低い方が好ましい。但し、不純物として鋼中に含有する場合があるため、上限を0.030%とした。低い方が好ましく、上限は0.020%未満とすることが好ましい。
<結晶粒度番号が7.0から9.5>
本発明は、結晶粒の大きさ(結晶粒度番号)とSn添加量と穴広げ率が密接な関係を有すことを知見したことに基づいており、結晶粒度番号は重要な要件である。本発明で言う結晶粒はフェライト結晶粒である。結晶粒度番号は、JIS G 0552に準拠する。図1に示すように、結晶粒度番号が6.3の場合は、Snの含有量に関わらず穴広げ性はほとんど変化しない。一方、結晶粒度番号が8.0の場合は、Sn含有量が0.01%〜0.05%の範囲で穴広げ率が変化することを知見した。この時、Sn含有量が0.03%で穴広げ率は極大を示す。
図2にSn含有量が約0.03%(0.028%〜0.031%)としたときの結晶粒度と穴広げ性の関係を示す。結晶粒度が8.0〜8.5程度を極大点となることが分かる。ここで、穴広げ性が良好である目安として穴広げ率λ=100を超える範囲として考えると、結晶粒度7〜9.5程度となることが分かる。本発明においては、この範囲であれば穴広げ性が良好となることが確認できたため、結晶粒を結晶粒度番号で7〜9.5と規定した。
一方、結晶粒度番号が小さい場合、成形時の肌荒れが生じやすくなるため7.0を下限とする。肌荒れは粒度番号が大きいほど発生しにくいため、7.5以上とすることが好ましい。また結晶粒度番号が9.5を超えると強度が増加する反面、延性、穴拡げ性が低下する。このため結晶粒度番号の上限を9.5とする。また安定製造性の観点からは9.0以下とすることが好ましい。
また、本実施形態では、上記元素に加えて、Al:0.003〜1.0%を添加してもよい。
Alは脱酸元素として用いる場合があり、また耐酸化性を向上させることが知られているため必要に応じて添加してもよい。なお、脱酸に有効な量は0.003%であり、これを下限とすることが好ましく、ある程度の脱酸効果を得るためには下限を0.005%とすることが好ましい。また添加量が1.0%を超える場合には強度増加が大きくなり、成形性が劣化するおそれがあるため、これを上限とすることが好ましい。成形性を大きく低下させないために、より好ましくは、その上限を0.15%とよい。
また、本実施形態では、上記元素に加えて、Ni:0.01〜0.50%、Cu:0.01〜0.50%、Mo:0.01〜0.50%、Sb:0.001〜0.30%、Zr:0.005〜0.50%、Co:0.005〜0.50%、W:0.002〜0.50%、V:0.02〜0.50%、Ga:0.001〜0.10%
の1種または2種以上を添加することが好ましい。
Ni,Cu及びMoは耐食性を向上させる元素であり、必要に応じて添加してもよい。いずれも0.01%以上の添加で効果が発揮されるため、これを下限とすることが好ましい。また多量の添加は材質の硬化、延性の劣化を招くため、Ni、CuおよびMoについては0.50%を上限とすることが好ましい。望ましくは、0.01〜0.10%である。
Sb、Zr、Co、Wも耐食性を向上させるために必要に応じて添加させることができる。これらは腐食速度を抑制するのに重要な元素であるが、過剰な添加は製造性及びコストを悪化させるため、Sbの範囲を0.001〜0.30%、Zr、Coの範囲を0.005〜0.50%、Wの範囲を0.002〜0.50%とした。より望ましくは0.01〜0.2%である。
Vは耐すき間腐食性を改善するため、必要に応じて添加することができる。ただしVの過度の添加は加工性を低下させる上、耐食性向上効果も飽和するため、Vの下限を0.02%、上限を0.50%とする。より望ましくは0.05〜0.30%である。
Ga:Gaは耐食性および加工性向上に寄与する元素であり、0.001〜0.10%の範囲で含有させることができる。より好ましくは0.002〜0.05%である。
また、本実施形態では、上記元素に加えて、B:0.0003〜0.0025%、Mg:0.0001〜0.0030%、Ca:0.0003〜0.0030%の1種または2種以上を添加することができる。
B,Mg及びCaは二次加工性、耐リジング性を向上させる効果を持つ元素である。その効果はB:0.0003%、Mg:0.0001%、Ca:0.0003%以上で効果を発揮するためこれを下限とすることが好ましい。一方、多量の低下は製造時の歩留まり低下をもたらす場合があるため、上限をB:0.0025%、Mg及びCa:0.0030%とすることが好ましい。なお、より好ましい添加範囲はB及びCa:0.0003〜0.0010%、Mg:0.0002〜0.0008%である。
また、本実施形態では、上記元素に加えて、REM(希土類金属):0.002〜0.20%、Zn:0.002〜0.10%、Ta:0.002〜0.50%、Hf:0.002〜0.50%、As:0.001〜0.20%、Bi:0.001〜0.30%、Pb:0.001〜0.10%、Se:0.001〜0.10%、のうち1種または2種以上を含有することが出来る。これら元素は強度の確保、耐食性の向上等に作用する元素である。上記の範囲内であれば有用に作用するため、これを上下限範囲とした。
次に製造条件について述べる。
本発明は結晶粒度番号と成分、特にSn量の最適値を見つけた点に新規性がある。結晶粒度は最終熱処理温度及びその前のひずみ量の影響を大きく受ける。
そのため、熱間圧延における総圧下率を97%以上とする。熱間圧延における総圧下率はその後の熱処理における再結晶粒径並びに再結晶集合組織に大きく影響する。総圧下率が97%未満であると熱間圧延後の結晶粒径が粗大になり、後述の冷間圧延及び熱処理条件では所定の結晶粒度が得られないため、これを下限とした。総圧下率の上限は特に定める必要ないが、圧延機への負荷を考慮すると99%とすることが望ましい。熱間圧延における総圧下率は、熱延前のスラブ厚(板厚)をt0、熱延終了後の板厚をtとしたとき、以下の関係となる。従って、理論的には熱間圧延における総圧下率は100%以上となることはない。
総圧下率=(t0−tf)/t0 =1−tf/t0
熱間圧延における最終パスの圧延仕上げ温度を950℃以下とする。圧延仕上げ温度が950℃を超えると最終熱処理後に所定の結晶粒度を得られないためである。圧延仕上げ温度の下限は、圧延機への負荷及び圧延疵の抑制を考慮すると700℃とするとよい。
熱間圧延後の巻取り温度は700℃未満とする。巻取温度が700℃以上であるとその後の熱処理において結晶粒が粗大化して、最終的に所定の結晶粒度を得られないためである。
熱間圧延後の熱処理における最高温度を875℃以上とする。これを下回ると未再結晶組織が残存し、製品のリジング性、穴拡げ性が劣化するためである。また熱処理温度の上限は950℃とする。これを超えると結晶粒が粗大化し、最終熱処理後の結晶粒径の粗大化を招いて穴拡げ性が劣化するため、これを上限とした。
最終熱処理前の冷間圧延の圧下率を50%以上85%未満とする。冷間圧延圧下率はその後の再結晶粒径に大きく影響をする。冷間圧延の圧下率が50%未満の場合、再結晶の駆動力が小さいために未再結晶組織となる場合がある、また再結晶したとしてもその結晶粒径が大きくなり、結晶粒度番号が7.0未満となるためこれを下限とした。冷間圧延の圧下率は高いほど再結晶粒径は細かくなるため、できれば60%以上とすることが好ましい。また冷間圧延圧下率が高いほど、冷延機への負荷が大きくなるため、上限は85%とした。冷延時の安定性(板厚、形状等)を考慮すると80%以下とすることが好ましい。なお冷間圧延の条件については、用いるワークロールのロール粗度、ロール径、さらには圧延油、圧延パス回数、圧延速度、圧延温度を変えても、熱処理後に得られる金属組織は大きく変化ないため、これら条件についてはは特に規定しない。
冷延後の最終熱処理工程における最高温度を820℃以上とする。820℃未満であると再結晶不足のため、材料が硬質化して穴拡げ性が低下する。再結晶を確実にするには、好ましくは、下限を850℃にするとよい。また900℃以上では粒成長により結晶粒度番号が7.0未満となるため、これを上限とする。好ましくは880℃以下にするとよい。
また本発明の効果は2回冷延、3回冷延後に最終熱処理を行っても同様の効果が発揮されるが、製造の効率性を考えると1回冷延法で製造することが好ましい。
なお、熱間圧延後の熱処理および冷間圧延後の熱処理における保持時間は、特に規定するものではないが、結晶粒度の安定製造性の観点から1秒以上とすることが好ましい。また保持時間が長いと製造性が低下することから保持時間の最大値は100秒とすることが好ましい。さらに好ましくは60秒以内にするとよい。熱処理後の冷却速度は遅すぎると結晶粒度に影響を及ぼすため、1℃/秒を下限とする。冷却速度の上限は製造コストの大幅な増加の無いように100℃/秒にするとよい。強制風冷、ミスト噴霧、水冷等は上記の範囲を満足する。
以上の製造プロセスを経ることにより、結晶粒度番号7.0〜9.5となるステンレス鋼板を得ることができる。
実施例により本発明の効果を説明するが、本発明は、以下の実施例で用いた条件に限定されるものではない。
表1の成分組成(質量%)を有する鋼を溶製した。次に、得られた鋼塊より板厚90mmの鋼片に切断採取し、種々の条件で熱間圧延、熱延板焼鈍、冷間圧延を実施し1.0mm厚の冷延鋼板を作製した。その後、種々の温度で熱処理を行った。熱処理実施後に金属組織観察を行い、結晶粒度番号を測定した。結晶粒度番号の測定はJIS Z 0552に準拠した。得られた焼鈍板より穴拡げ率を測定した。測定方法は前述同様、90mm角の鋼板を切り出し、直径10mmの円形状の穴をクリアランスが12.5%となるように打ち抜いた後、60°円錐ポンチにて押し込み成形して求めた。穴拡げ試験はn=5で実施し、平均値を用いた。
表2に得られた特性を記載する。本願発明で得られた鋼板は穴拡げ率が100%以上である。一方、比較鋼(比較法)では穴拡げ率が100%に満たない。
本発明によれば、穴拡げ性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を得ることができ、あらゆる産業分野で利用することができる。
Figure 2016069677
Figure 2016069677
Figure 2016069677

Claims (5)

  1. 重量%で、
    C:0.0005〜0.020%、
    Si:0.01〜1.0%、
    Mn:0.01〜1.0%、
    P:0.050%未満、
    S:0.010%未満、
    Cr:10.0〜15.0%、
    N:0.0005〜0.020%、
    Sn:0.010〜0.050%
    Ti:0.03〜0.25%、
    Nb:0.030%未満、
    を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物である鋼組成を有し、結晶粒の結晶粒度番号が7.0以上9.5以下であることを特徴とする穴広げ性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
  2. 質量%で、
    Al:0.003〜0.5%
    を含有することを特徴とする請求項1に記載の穴広げ性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
  3. 質量%で、
    Ni:0.01〜0.50%、
    Cu:0.01〜0.50%、
    Mo:0.01〜0.50%
    Sb:0.001〜0.30%、
    Zr:0.005〜0.50%、
    Co:0.005〜0.50%、
    W:0.002〜0.50%、
    V:0.02〜0.50%、
    Ga:0.001〜0.10%
    のうち1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の穴広げ性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
  4. 質量%で、
    B:0.0003〜0.0025%、
    Mg:0.0001〜0.0030%、
    Ca:0.0003〜0.0030%
    REM(希土類金属):0.002〜0.20%
    Zn:0.002〜0.10%
    Ta:0.002〜0.50%
    Hf:0.002〜0.50%
    As:0.001〜0.20%
    Bi:0.001〜0.30%
    Pb:0.001〜0.10%
    Se:0.001〜0.10%
    のうち1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の穴広げ性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の成分を有する鋼を、熱間圧延における総圧下率を97%以上且つ最終パスの圧延仕上げ温度を950℃以下として熱間圧延を行い700℃未満の温度で巻き取り処理を行った後に、875℃以上950℃以下の温度で熱処理を実施し、その後圧下率を50%以上85%未満と冷間圧延を行ない、その後820〜900℃の温度で熱処理を行うことを特徴とする穴広げ性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
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