JP2016069627A - 壁紙防汚コート剤用エマルジョンおよび壁紙防汚コート剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 壁紙に対して優れた耐汚染性を付与することができるエマルジョンおよび壁紙防汚コート剤を提供する。
【解決手段】 酸価が400当量/106g以下でありガラス転移温度が−20〜100℃であるアニオン性ポリエステル樹脂を含有する壁紙防汚コート剤用エマルジョン。
【選択図】 なし
【解決手段】 酸価が400当量/106g以下でありガラス転移温度が−20〜100℃であるアニオン性ポリエステル樹脂を含有する壁紙防汚コート剤用エマルジョン。
【選択図】 なし
Description
本発明は、防汚性に優れるポリエステル樹脂を含有するエマルジョンに関するものであり、より詳しくは壁紙に塗工または含浸することによって、防汚性を付与することができる壁紙防汚コート剤用エマルジョンに関する。特に不織布や建材用紙、壁紙などの内装材の表面に処理することにより、汚れにくい内装材に応用できる。
壁紙等の基材の防汚性を得る手段として、基材の表面に耐汚染性のある樹脂フィルム(代表的なものとしてエバールフィルム)を貼着する方法がある(例えば、特許文献1)。
しかし、この方法ではフィルムと基材表面との接着性不足や、あるいはエンボス加工した場合に、凹凸のある基材にフィルムが十分に接着せず、フィルムが剥離したり破れたりして、その部分が汚染されてしまうという問題があった。
また、基材とフィルムの伸縮度が違うため、カールが発生することがあり、化粧紙や壁紙として使用する場合に均一に施工することが難しくなってしまう欠点があった。
そこでフィルムを貼り合せるのではなく、合成樹脂を基材に塗工することにより防汚性を得る方法(特許文献2)や、壁紙の表面に親水性防汚薬剤とドライソル防汚薬剤とを混合した加工液を塗布した壁紙が提案されている(特許文献3)。
しかしながら、特許文献2では、合成樹脂にアクリル合成樹脂エマルジョンを用いている。そのため、防汚性を達成するためにはワックス、無機充填剤を必要としており、樹脂単独では防汚性を達成できていない。また、特許文献3では親水性防汚薬剤にノニオン性を有するポリエステル系樹脂組成物を用いている。壁紙の表面層上に、親水性防汚薬剤とドライソイル防汚薬剤を混合した加工液を塗布し、乾燥させるので、皮脂汚れ、砂や埃等のドライソイル性の汚れには良好だが、ノニオン性を有するポリエステル系樹脂組成物が親水性であるため、水性の汚れには弱いという問題があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、アニオン性ポリエステル樹脂を含有するエマルジョンを壁紙基材へ塗工又は浸漬することによって優れた耐汚染性を付与することができる。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、以下の発明を提案するに至った。すなわち、本願発明は以下の構成からなる。
酸価が400当量/106g以下でありガラス転移温度が−20〜100℃であるアニオン性ポリエステル樹脂を含有する壁紙防汚コート剤用エマルジョン。
前記ポリエステル樹脂のポリカルボン酸成分とポリオール成分の合計量をそれぞれ100モル%としたとき、親水性極性基を含有するポリカルボン酸および/または親水性極性基を含有するポリオールを共重合成分として1〜10モル%含有することが好ましい。
さらに、無機充填剤を含有することが好ましい。
前記無機系充填剤が炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、クレー、タルクおよびカオリンからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
前記ポリエステル樹脂100質量部に対して、前記無機充填剤を3〜200質量部含有することが好ましい。
前記壁紙防汚コート剤用エマルジョンを含有する壁紙防汚コート剤。
前記壁紙防汚コート剤でコートした壁紙。
本発明のアニオン性ポリエステル樹脂を含有する壁紙防汚コート剤用エマルジョンを用いて壁紙をコートすることにより、優れた耐汚染性を発現することができる。
以下に本発明について詳述する。
<ポリエステル樹脂>
本発明に用いるポリエステル樹脂はポリカルボン酸とポリオールとの重縮合物によって得られる化学構造であることが好ましい。ポリエステル樹脂の全ポリカルボン酸及びポリオール成分を100モル%としたとき、共重合する芳香族ジカルボン酸は55モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上が更に好ましく、85モル%以上が特に好ましく、90モル%以上が最も好ましく、100モル%であっても差し支えない。その他のジカルボン酸は45モル%以下であることが好ましく、30モル%以下がより好ましく、20モル%以下がさらに好ましく、15モル%以下が特に好ましく、10モル%以下が最も好ましく、0モル%であっても差し支えない。芳香族ジカルボン酸の合計が55モル%未満では良好な硬度が得られないことがある。
本発明に用いるポリエステル樹脂はポリカルボン酸とポリオールとの重縮合物によって得られる化学構造であることが好ましい。ポリエステル樹脂の全ポリカルボン酸及びポリオール成分を100モル%としたとき、共重合する芳香族ジカルボン酸は55モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上が更に好ましく、85モル%以上が特に好ましく、90モル%以上が最も好ましく、100モル%であっても差し支えない。その他のジカルボン酸は45モル%以下であることが好ましく、30モル%以下がより好ましく、20モル%以下がさらに好ましく、15モル%以下が特に好ましく、10モル%以下が最も好ましく、0モル%であっても差し支えない。芳香族ジカルボン酸の合計が55モル%未満では良好な硬度が得られないことがある。
本発明に用いるポリエステル樹脂に共重合する芳香族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、これらを1種又は2種以上を任意に使用できる。このうち、テレフタル酸とイソフタル酸を併用して使用することが、加工性、硬度のバランス上特に好ましく、エマルジョン(水分散体)作製時の分散性、安定性に優れる。
本発明に用いるポリエステル樹脂に共重合するその他のカルボン酸としては、特に限定されないが、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸などの脂環族ジカルボン酸が挙げられる。また、発明の効果を損なわない範囲で、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの3官能以上のポリカルボン酸を併用しても良い。
本発明に用いるポリエステル樹脂に共重合するポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、2−メチル−3−メチル−1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオールなどが挙げられる。また、脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノール−A、ダイマージオールなどが挙げられる。これらポリオールを単独でまたは2種以上を併用することができる。なかでもエチレングリコール、ジエチレングリコールが好ましい。
また、発明の効果を損なわない範囲で、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3官能以上のポリオールを併用しても良い。
本発明に用いるポリエステル樹脂の組成及び組成比はポリエステル樹脂を重クロロホルム等の溶媒に溶解して測定する1H−NMRの積分比より計算で求めることができる。
本発明に用いるポリエステル樹脂は数平均分子量3000以上が好ましく、より好ましくは4000以上、さらに好ましくは5000以上である。上記数平均分子量の上限は特に限定されないが、樹脂の分散性、水分散体作製時の作業性の観点から、実質的には50000以下であることが好ましい。
本発明に用いるポリエステル樹脂は、ガラス転移温度が−20〜100℃であることが必要である。好ましくは−10℃以上であり、より好ましくは0℃以上であり、さらに好ましくは25℃以上である。また、90℃以下が好ましく、80℃以下がさらに好ましい。ガラス転移温度が−20℃未満ではポリエステル樹脂と汚染物質との付着力が強くなるため防汚性が低下することがある。一方、100℃を超えると水分散性が低下する場合がある。
本発明に用いるポリエステル樹脂は水に分散させて、エマルジョンにする必要があるため、該ポリエステル樹脂中に親水性のある極性基を導入することが好ましい。親水性極性基としては、特に限定されないが、スルホン酸金属塩基、カルボキシル基、リン酸基等が挙げられ、なかでもスルホン酸金属塩、カルボキシル基が特に好ましい。これら親水性極性基は単独であってもよいし、又は2種類以上を併用して使用することもできる。
前記親水性極性基を導入する方法としては、親水性極性基を含有するポリカルボン酸および/または親水性極性基を含有するポリオールをポリエステル樹脂の共重合成分として導入することが挙げられる。共重合量は、ポリエステル樹脂における全ポリカルボン酸成分と全ポリオール成分をそれぞれ100モル%としたとき、親水性極性基を含有するポリカルボン酸および親水性極性基を含有するポリオールの合計量が1モル%以上であることが好ましく、2モル%以上であることがより好ましく、3モル%以上であることがさらに好ましい。また、10モル%以下が好ましく、7モル%以下がより好ましく、5モル%以下がさらに好ましい。1モル%未満ではエマルジョンの分散性や安定性に劣ることがあり、10モル%を超えると耐加水分解性が低下する傾向にある。
また、スルホン酸金属塩基を導入する方法としては、特に限定されないが、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5−〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸などのスルホン酸金属塩を含有する芳香族ジカルボン酸、又は2−スルホ−1,4−ブタンジオ−ル、2,5−ジメチル−3−スルホ−2,5−ヘキサンジオ−ル等のスルホン酸金属塩を含有するグリコールを共重合成分として使用することが挙げられる。金属塩としては、特に限定されないが、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属が挙げられる。これらスルホン酸金属塩を含有する芳香族ジカルボン酸および/またはスルホン酸金属塩を含有するグリコールをそれぞれ単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。なかでも入手性等の観点から、5−スルホイソフタル酸ナトリウムが好ましい。
スルホン酸金属塩を含有する芳香族ジカルボン酸および/またはスルホン酸金属塩を含有するグリコールの共重合量は、ポリエステル樹脂における全ポリカルボン酸成分と全ポリオール成分をそれぞれ100モル%としたとき、1モル%以上であることが好ましく、2モル%以上であることがより好ましく、3モル%以上であることがさらに好ましい。また、10モル%以下が好ましく、7モル%以下がより好ましく、5モル%以下がさらに好ましい。1モル%未満ではエマルジョンの分散性や安定性に劣ることがあり、10モル%を超えると耐加水分解性が低下する傾向にある。
カルボキシル基を導入する方法としては、特に限定されないが、ポリエステル樹脂を重合した後に常圧、窒素雰囲気下、無水トリメリット酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水コハク酸、無水1,8−ナフタル酸、無水1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,3,4−テトラカルボン酸−3,4−無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ナフタレン1,8:4,5−テトラカルボン酸二無水物などの酸無水物を後付加して酸価を付与する方法が挙げられる。これら酸無水物は、単独でしようすることもできるし、2種以上を併用することもできる。また別法としては、ポリエステル樹脂を高分子量化する前のオリゴマー状態のものに前記酸無水物を投入し、次いで減圧下の重縮合により高分子量化することで、ポリエステル樹脂に酸価を導入することができる。この場合、目標とする酸価が得られやすいとして前者の方法が好ましい。
本発明に用いるポリエステル樹脂の酸価は、400当量/106g以下であることが必要である。好ましくは350当量/106g以下であり、より好ましくは300当量/106g以下であり、さらに好ましくは280当量/106g以下である。また、0当量/106gであっても差し支えないが、好ましくは5当量/106g以上であり、より好ましくは10当量/106g以上であり、さらに好ましくは15当量/106g以上である。400当量/106gを超えると水分散性、塗膜物性面が低下し、ポリエステル樹脂の分解が早くなることがある。
本発明に用いるポリエステル樹脂は、アニオン性のポリエステル樹脂である。アニオン性のポリエステル樹脂であることで、ポリエステル樹脂単独であっても優れた防汚性を発現することができる。特にしょうゆ、コーヒー、水性サインペン、クレヨン等の汚染物質(いわゆる頑固な汚れ)であっても、該汚染物質と濡れにくくなり、防汚性が向上するものと考えられる。
本発明に用いるポリエステル樹脂の重合触媒は、例えばチタン化合物(テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、チタンオキシアセチルアセトネートなど)、アンチモン化合物(トリブトキシアンチモン、三酸化アンチモンなど)、ゲルマニウム化合物(テトラ−n−ブトキシゲルマニウム、酸化ゲルマニウムなど)などを使用することができる。これらの触媒は1種又は2種以上使用してもよい。重合の反応性の面からチタン化合物が好ましい。
また、本発明に用いるポリエステル樹脂を作製する際に、重合終了後または酸無水物添加後に、リン化合物を添加し触媒を失活させることができる。
リン化合物としては、亜リン酸や次亜リン酸、そしてこれらのエステル類(例えば、ジエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト及びトリスノニルデシルホスファイトなど)や、これらのリチウム、ナトリウム及びカリウム等の金属の塩等の3価のリン化合物が挙げられる。また、正リン酸やポリリン酸、そしてこれらのエステル類(例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート及びエチルジエチルホスホノアセテートや、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート及びトリエチレングリコールアシッドホスフェートなどの酸性リン酸エステル類等の5価のリン化合物が挙げられる。
また、リン化合物と水素を除くIa族元素化合物、IIa族元素化合物及びマンガン化合物から選択される少なくとも1種の化合物を適量併用して使用しても良い。水素を除くIa族元素化合物、IIa族元素化合物、及びマンガン化合物としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の酸化物、水酸化物、アルコキシド、酢酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、及びハロゲン化物等が挙げられる。具体的には、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マンガン、水酸化マンガン、酢酸マンガン等が挙げられる。
<エマルジョン>
本発明のエマルジョンは、前記ポリエステル樹脂を含有する水分散体である。エマルジョンは、ポリエステル樹脂を、両親媒性溶媒を用いた直接乳化法、またはあらかじめ有機溶剤に溶解してから水に置換する溶剤置換法など公知の方法により水分散し、作製することができる。
本発明のエマルジョンは、前記ポリエステル樹脂を含有する水分散体である。エマルジョンは、ポリエステル樹脂を、両親媒性溶媒を用いた直接乳化法、またはあらかじめ有機溶剤に溶解してから水に置換する溶剤置換法など公知の方法により水分散し、作製することができる。
本発明のエマルジョンには、本発明の効果を損なわない範囲で必要により各種両親媒性溶媒を含有してもよい。両親媒性溶媒としては、特に限定されないが、n−ブタノール、イソプロピルアルコール、ジアセトンアルコール、2−エチルヘキサノール、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、n−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,3−オキソラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトールブチルカルビトール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどを用いることができる。このうちブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ブチルカルビトールが特に好ましい。これら両親媒性溶媒を単独で、または2種以上を併用することができる。上記両親媒性溶媒の含有量は、ポリエステル樹脂固形分濃度が30質量%の時、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。有機溶剤削減の観点から、10質量%以下が特に好ましい。両親媒性溶媒は水分散体を作製する際の作業性が向上する、又はそれを含有した塗料は塗布性が良好になる等の有利な効果がある。
カルボキシル基を導入したポリエステル樹脂のエマルジョンの場合、分散した微粒子の安定化のために、当該粒子表面のカルボキシル基などの極性基を部分的に、あるいは全面的に塩基性物質でもって中和することが好ましい。
前記塩基性物質としては、特に限定されないが、アンモニア、アミン類または無機塩基類が挙げられる。アミン類としては、揮発性のアミン化合物が好ましく、具体的には、トリエチルアミンなどが挙げられ、無機塩基類としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。なかでも乾燥後の塗膜の残存を無くすために、揮発性アミン化合物の使用が好ましい。
揮発性アミン類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−n−プロピルアミン、ジメチル−n−プロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンまたはN,N−ジメチルプロパノールアミン等の各種のアミン類などである。特に好ましいのは、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンまたはN,N−ジメチルプロパノールアミンなどである。これらアミン類を単独で、または2種以上を併用することができる。
<無機充填剤>
本発明のエマルジョンは、必要に応じて無機充填剤を含有することができる。無機充填剤を含有することで、防汚性効果がより向上し、さらにつや消し効果も期待することができる。
本発明のエマルジョンは、必要に応じて無機充填剤を含有することができる。無機充填剤を含有することで、防汚性効果がより向上し、さらにつや消し効果も期待することができる。
本発明に用いられる無機充填剤は、特に限定されないが、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、クレー、シリカ、タルク、カオリン、雲母、またはゼオライトなどがあげられる。これら無機充填剤を単独で、または2種以上を併用することができる。なかでも防汚性とつや消しの観点から炭酸カルシウム、カオリンが好ましい。
無機充填剤の含有量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、3質量部以上であることが好ましく、4質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましい。また、200質量部以下であることが好ましく、150質量部以下であることがより好ましく、100質量部以下であることがさらに好ましい。3質量部未満であると、つや消し効果を発現できないことがあり、200質量部を超えると防汚性、皮膜形成が低下することがある。
<壁紙防汚コート剤>
本発明の壁紙防汚コート剤は、前記エマルジョン、またはエマルジョンに必要に応じて前記無機充填剤、ワックス、シリコーンおよびその他の添加剤を含有したものである。ワックスとしては、天然ワックス、半合成ワックス、合成ワックスのいずれでもよい。天然ワックスとしては、特に限定されないが、カルナバワックス、ライスワックスなどの植物系ワックス、又はモンタンワックスなどの鉱物系ワックス、又はパラフィンワックスなどの石油系ワックスが挙げられる。半合成ワックスとしてはアマイドワックス、変性モンタンワックスなどが挙げられ、合成ワックスはポリエチレンワックス、ポリプレンワックスなどが挙げられる。これらワックスを単独で、または2種以上を併用することができる。ワックス(固形分)の含有量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、2質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましく、6質量部以上がさらに好ましく、8質量部以上が特に好ましい。また、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましく、20質量部以下が特に好ましい。
本発明の壁紙防汚コート剤は、前記エマルジョン、またはエマルジョンに必要に応じて前記無機充填剤、ワックス、シリコーンおよびその他の添加剤を含有したものである。ワックスとしては、天然ワックス、半合成ワックス、合成ワックスのいずれでもよい。天然ワックスとしては、特に限定されないが、カルナバワックス、ライスワックスなどの植物系ワックス、又はモンタンワックスなどの鉱物系ワックス、又はパラフィンワックスなどの石油系ワックスが挙げられる。半合成ワックスとしてはアマイドワックス、変性モンタンワックスなどが挙げられ、合成ワックスはポリエチレンワックス、ポリプレンワックスなどが挙げられる。これらワックスを単独で、または2種以上を併用することができる。ワックス(固形分)の含有量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、2質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましく、6質量部以上がさらに好ましく、8質量部以上が特に好ましい。また、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましく、20質量部以下が特に好ましい。
本発明で使用できるシリコーンとしては、特に限定されないが、例えば、Si−H基含有シリコーン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アルコキシ基含有シリコーン、シラノール基含有シリコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーンオイル、ビニルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、フロロアルキル変性シリコーン、光重合性官能基変性シリコーン等の変性シリコーン等が挙げられる。好ましい形態としては、前記シリコーンが水中に分散されてなる溶液を用いることである。これらのシリコーンは単独でも、2種以上を共存することもできる。シリコーン(固形分)の含有量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、0.8質量部以上がより好ましく、1質量部以上がさらに好ましい。また、50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
さらに、本発明の壁紙防汚コート剤は本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記成分の他に、作膜助剤、分散剤、界面活性剤、湿潤剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、防かび剤、凍結防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、加水分解防止剤、架橋剤などを添加することができる。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば高分子界面活性剤(ポリアクリル酸ナトリウム)やそのナトリウム塩及びアンモニウム塩、更にトリポリリン酸ソーダやヘキサメタリン酸ソーダなどが挙げられる。
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ソーダやジアルキルスルホコハク酸ソーダ、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダなどが挙げられる。
増粘剤としては、特に限定されないが、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ塩及びアンモニウム塩が挙げられる。
<濡れ剤>
本発明の壁紙防汚コート剤は、さらに濡れ剤を配合することができる。濡れ剤を配合することで、動的表面張力を低く維持できるため、壁紙基材への塗工性を改善することが期待できる。濡れ剤としては、エマルジョンの基材への表面張力を小さくし、濡れ性を高める作用を有するものであって、このような作用をなすものであれば、特に限定されないが、低級アルコール、有機極性化合物、鉱物油などが挙げられる。なかでも、耐汚染性に影響が少なくなるためアセチレングリコール系化合物を用いた濡れ剤が好ましい。濡れ剤の含有量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であり、さらに好ましくは2質量部以上である。また、20質量部以下が好ましく、より好ましくは15質量部以下である。
本発明の壁紙防汚コート剤は、さらに濡れ剤を配合することができる。濡れ剤を配合することで、動的表面張力を低く維持できるため、壁紙基材への塗工性を改善することが期待できる。濡れ剤としては、エマルジョンの基材への表面張力を小さくし、濡れ性を高める作用を有するものであって、このような作用をなすものであれば、特に限定されないが、低級アルコール、有機極性化合物、鉱物油などが挙げられる。なかでも、耐汚染性に影響が少なくなるためアセチレングリコール系化合物を用いた濡れ剤が好ましい。濡れ剤の含有量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であり、さらに好ましくは2質量部以上である。また、20質量部以下が好ましく、より好ましくは15質量部以下である。
<消泡剤>
本発明の壁紙防汚コート剤は、さらに消泡剤を配合することができる。消泡剤を配合することで、壁紙基材への塗工性を改善することが期待できる。消泡剤としては、特に限定されないが、低級アルコール系、有機極性化合物系、鉱物油系、シリコーン系などが挙げられる。なかでも、シリコーン系消泡剤が好ましい。少量添加で性能を低下させることなく、消泡性を付与できる。消泡剤の含有量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上である。添加剤量が多くなると耐汚染性の低下を招くおそれがある。
本発明の壁紙防汚コート剤は、さらに消泡剤を配合することができる。消泡剤を配合することで、壁紙基材への塗工性を改善することが期待できる。消泡剤としては、特に限定されないが、低級アルコール系、有機極性化合物系、鉱物油系、シリコーン系などが挙げられる。なかでも、シリコーン系消泡剤が好ましい。少量添加で性能を低下させることなく、消泡性を付与できる。消泡剤の含有量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上である。添加剤量が多くなると耐汚染性の低下を招くおそれがある。
本発明の壁紙防汚コート剤を、壁紙基材に塗布又は含浸加工させることにより、壁紙防汚コート剤からなる防汚層が形成される。塗布又は含浸加工の方法として特に限定はしないが、グラビアなどの印刷機やバーコーター、ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、スクリーンコーター、カーテンコーターなどの各種コーターによる塗工方法や含浸機による含浸加工で、加工した防汚層に欠陥ができにくい方法が好ましい。防汚層の固形分としては1〜80g/m2が好ましく、より好ましくは3〜50g/m2である。
壁紙基材としては、紙、不織布や木質基材、塩ビ樹脂層などが挙げられるが、上述の加工方法により防汚層が得られるものであれば、限定されるものではない。
以下本発明について実施例を用いて説明する。実施例中、単に部とあるのは質量部を示す。また、各測定項目は以下の方法に従った。
1.還元粘度ηsp/c(dl/g)
ポリエステル樹脂0.10gをフェノール/テトラクロロエタン(重量比6/4)の混合溶媒25ccに溶かし、ウベローデ粘度管を用いて30℃で測定した。
ポリエステル樹脂0.10gをフェノール/テトラクロロエタン(重量比6/4)の混合溶媒25ccに溶かし、ウベローデ粘度管を用いて30℃で測定した。
2.数平均分子量
試料(ポリエステル樹脂)を、樹脂濃度が0.5重量%程度となるようにテトラヒドロフランで溶解および/または希釈し、孔径0.5μmのポリ四フッ化エチレン製メンブレンフィルターで濾過したものを測定用試料とした。テトラヒドロフランを移動相とし、示差屈折計を検出器とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により分子量を測定した。流速は1mL/分、カラム温度は30℃とした。カラムには昭和電工製KF−802、804L、806Lを用いた。分子量標準には単分散ポリスチレンを使用し、数平均分子量は標準ポリスチレン換算値とし、分子量1000未満に相当する部分を省いて算出した。
試料(ポリエステル樹脂)を、樹脂濃度が0.5重量%程度となるようにテトラヒドロフランで溶解および/または希釈し、孔径0.5μmのポリ四フッ化エチレン製メンブレンフィルターで濾過したものを測定用試料とした。テトラヒドロフランを移動相とし、示差屈折計を検出器とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により分子量を測定した。流速は1mL/分、カラム温度は30℃とした。カラムには昭和電工製KF−802、804L、806Lを用いた。分子量標準には単分散ポリスチレンを使用し、数平均分子量は標準ポリスチレン換算値とし、分子量1000未満に相当する部分を省いて算出した。
3.ガラス転移温度(Tg)
セイコーインスツルメンツ(株)製示差走査熱量分析計(DSC)DSC−200を用いて測定した。サンプルは試料(ポリエステル樹脂)5mgをアルミニウム押え蓋型容器に入れ、クリンプして密閉したものを用いた。まず、液体窒素を用いて−50℃まで試料を冷却し、次いで150℃まで、20℃/分の昇温速度で測定した。この過程にて得られる吸熱曲線において、吸熱ピークが出る前(ガラス転移温度以下)のベースラインの延長線と、吸熱ピークに向かう接線(ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間での最大傾斜を示す接線)との交点をガラス転移温度とした。
セイコーインスツルメンツ(株)製示差走査熱量分析計(DSC)DSC−200を用いて測定した。サンプルは試料(ポリエステル樹脂)5mgをアルミニウム押え蓋型容器に入れ、クリンプして密閉したものを用いた。まず、液体窒素を用いて−50℃まで試料を冷却し、次いで150℃まで、20℃/分の昇温速度で測定した。この過程にて得られる吸熱曲線において、吸熱ピークが出る前(ガラス転移温度以下)のベースラインの延長線と、吸熱ピークに向かう接線(ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間での最大傾斜を示す接線)との交点をガラス転移温度とした。
4.酸価
試料(ポリエステル樹脂)0.2gを精秤し、20mlのクロロホルムに溶解した。ついで、0.01Nの水酸化カリウム(エタノール溶液)で滴定して、ポリエステル樹脂に対して、水酸化カリウム当量を求め、当量/106g単位に換算し求めた。指示薬には、フェノールフタレインを用いた。
試料(ポリエステル樹脂)0.2gを精秤し、20mlのクロロホルムに溶解した。ついで、0.01Nの水酸化カリウム(エタノール溶液)で滴定して、ポリエステル樹脂に対して、水酸化カリウム当量を求め、当量/106g単位に換算し求めた。指示薬には、フェノールフタレインを用いた。
5.防汚性評価サンプルの作製
壁紙防汚コート剤を壁紙基材(素材塩化ビニル)に対して、ローラー(例えばKロックスプルーファー ロックスワイヤーロール#40(松尾産業社製))を用いて、塗工量約20〜40g/m2を塗工し、熱風乾燥機にて130℃、1分間乾燥し、壁紙防汚コート剤塗布サンプルを作製した。
壁紙防汚コート剤を壁紙基材(素材塩化ビニル)に対して、ローラー(例えばKロックスプルーファー ロックスワイヤーロール#40(松尾産業社製))を用いて、塗工量約20〜40g/m2を塗工し、熱風乾燥機にて130℃、1分間乾燥し、壁紙防汚コート剤塗布サンプルを作製した。
6.防汚性の評価
前記壁紙防汚コート剤塗布サンプルを壁紙工業会が発行する汚れ防止壁紙性能規定に準じて測定した。すなわち、汚染物(醤油、コーヒー、水性サインペン、クレヨン)をそれぞれ壁紙防汚コート剤塗布サンプルに付着させ、24時間後、拭き取ったものを目視で判定した。拭き取りは、コーヒーと醤油は水、クレヨンと水性サインペンは中性洗剤を用いた。拭き取った箇所と原片とを比較し、すべての汚染性評価で評価等級が4級以上であれば評価良好とした。なお、汚染用グレースケールはJIS L 0805−2005に従った。さらに本発明では、汚れ防止壁紙性能規定の評価をさらに細分化し、各級の中間評価も追加した。
評価基準
5級:汚れが汚染用グレースケール5号程度のもの(汚れが残らない)。
4級〜5級:4級より良好であるが、5級には及ばないもの
4級:汚れが汚染用グレースケール4号程度のもの(ほとんど汚れが残らない)。
3級〜4級:3級より良好であるが、4級には及ばないもの
3級:汚れが汚染用グレースケール3号程度のもの(やや汚れが残る)。
2級〜3級:2級より良好であるが、3級には及ばないもの
2級:汚れが汚染用グレースケール2号程度のもの(かなり汚れが残る)。
1級〜2級:1級より良好であるが、2級には及ばないもの
1級:汚れが汚染用グレースケール1号またはその程度をこえるもの(汚れが濃く残る)。
前記壁紙防汚コート剤塗布サンプルを壁紙工業会が発行する汚れ防止壁紙性能規定に準じて測定した。すなわち、汚染物(醤油、コーヒー、水性サインペン、クレヨン)をそれぞれ壁紙防汚コート剤塗布サンプルに付着させ、24時間後、拭き取ったものを目視で判定した。拭き取りは、コーヒーと醤油は水、クレヨンと水性サインペンは中性洗剤を用いた。拭き取った箇所と原片とを比較し、すべての汚染性評価で評価等級が4級以上であれば評価良好とした。なお、汚染用グレースケールはJIS L 0805−2005に従った。さらに本発明では、汚れ防止壁紙性能規定の評価をさらに細分化し、各級の中間評価も追加した。
評価基準
5級:汚れが汚染用グレースケール5号程度のもの(汚れが残らない)。
4級〜5級:4級より良好であるが、5級には及ばないもの
4級:汚れが汚染用グレースケール4号程度のもの(ほとんど汚れが残らない)。
3級〜4級:3級より良好であるが、4級には及ばないもの
3級:汚れが汚染用グレースケール3号程度のもの(やや汚れが残る)。
2級〜3級:2級より良好であるが、3級には及ばないもの
2級:汚れが汚染用グレースケール2号程度のもの(かなり汚れが残る)。
1級〜2級:1級より良好であるが、2級には及ばないもの
1級:汚れが汚染用グレースケール1号またはその程度をこえるもの(汚れが濃く残る)。
<ポリエステル樹脂(A)の製造>
攪拌機、温度計、還流用冷却器を装備した反応釜内に、イソフタル酸79.7質量部、テレフタル酸79.7質量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル12質量部、エチレングリコール83.8質量部、ジエチレングリコール47.8質量部、触媒として三酸化アンチモン0.1質量部、重合安定剤として酢酸ナトリウム0.3質量部を仕込み、160〜230℃で4時間エステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、反応系を230℃から260℃まで昇温する一方、系内をゆっくりと減圧にしてゆき、60分かけて260℃で5Torrとした。そしてさらに1Torr以下で40分間重縮合反応を行った。重縮合反応終了後、窒素を用いて系を真空から常圧に戻し、ポリエステル樹脂(A)を得た。
ポリエステル樹脂(A)の組成は、NMR分析の結果、ポリカルボン酸成分はイソフタル酸48モル%、テレフタル酸48モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸4モル%、ポリオール成分はエチレングリコール75モル%、ジエチレングリコール25モル%であった。また、アニオン性であり、酸価は30当量/106g、ガラス転移温度は65℃、数平均分子量16000であった。評価結果を表1に示す。
攪拌機、温度計、還流用冷却器を装備した反応釜内に、イソフタル酸79.7質量部、テレフタル酸79.7質量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル12質量部、エチレングリコール83.8質量部、ジエチレングリコール47.8質量部、触媒として三酸化アンチモン0.1質量部、重合安定剤として酢酸ナトリウム0.3質量部を仕込み、160〜230℃で4時間エステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、反応系を230℃から260℃まで昇温する一方、系内をゆっくりと減圧にしてゆき、60分かけて260℃で5Torrとした。そしてさらに1Torr以下で40分間重縮合反応を行った。重縮合反応終了後、窒素を用いて系を真空から常圧に戻し、ポリエステル樹脂(A)を得た。
ポリエステル樹脂(A)の組成は、NMR分析の結果、ポリカルボン酸成分はイソフタル酸48モル%、テレフタル酸48モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸4モル%、ポリオール成分はエチレングリコール75モル%、ジエチレングリコール25モル%であった。また、アニオン性であり、酸価は30当量/106g、ガラス転移温度は65℃、数平均分子量16000であった。評価結果を表1に示す。
<ポリエステル樹脂(B)の製造>
攪拌機、温度計、還流用冷却器を装備した反応釜内に、テレフタル酸157.8質量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル14.8質量部、ジエチレングリコール170質量部、触媒としてテトラブチルチタネート0.1質量部を仕込み、160〜230℃で4時間エステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、反応系を230℃から260℃まで昇温する一方、系内をゆっくりと減圧にしてゆき、60分かけて260℃で5Torrとした。そしてさらに1Torr以下で40分間重縮合反応を行った。重縮合反応終了後、窒素を用いて系を真空から常圧に戻し、220℃まで冷却し、無水トリメリット酸を3.8質量部投入し、30分間反応をおこない、ポリエステル樹脂(B)を得た。
ポリエステル樹脂(B)の組成は、NMR分析の結果、ポリカルボン酸成分はテレフタル酸95モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%、ポリオール成分はジエチレングリコール100モル%、無水トリメリット酸2モル%であった。また、アニオン性であり、酸価は270当量/106g、ガラス転移温度は26℃、数平均分子量17000であった。評価結果を表1に示す。
攪拌機、温度計、還流用冷却器を装備した反応釜内に、テレフタル酸157.8質量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル14.8質量部、ジエチレングリコール170質量部、触媒としてテトラブチルチタネート0.1質量部を仕込み、160〜230℃で4時間エステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、反応系を230℃から260℃まで昇温する一方、系内をゆっくりと減圧にしてゆき、60分かけて260℃で5Torrとした。そしてさらに1Torr以下で40分間重縮合反応を行った。重縮合反応終了後、窒素を用いて系を真空から常圧に戻し、220℃まで冷却し、無水トリメリット酸を3.8質量部投入し、30分間反応をおこない、ポリエステル樹脂(B)を得た。
ポリエステル樹脂(B)の組成は、NMR分析の結果、ポリカルボン酸成分はテレフタル酸95モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%、ポリオール成分はジエチレングリコール100モル%、無水トリメリット酸2モル%であった。また、アニオン性であり、酸価は270当量/106g、ガラス転移温度は26℃、数平均分子量17000であった。評価結果を表1に示す。
<ポリエステル樹脂(C)〜(H)の製造>
ポリエステル樹脂(A)または(B)と同様に、ポリエステル樹脂(C)〜(I)を製造した。結果を表1に示す。
ポリエステル樹脂(A)または(B)と同様に、ポリエステル樹脂(C)〜(I)を製造した。結果を表1に示す。
<実施例1>
攪拌機、温度計、還流用冷却器を装備した反応釜内に、ポリエステル樹脂(A)100質量部にブチルセロソルブ33質量部、トリエチルアミン4質量部を投入した後、80℃で1時間攪拌をおこない、溶解した。ついで、イオン交換水196質量部を緩やかに添加し、不揮発分30質量%のエマルジョン(A)を得た。このエマルジョン(A)を壁紙防汚コート剤(A)とした。壁紙防汚コート剤(A)を壁紙基材に対して、Kロックスプルーファー(松尾産業製)により塗工量約20〜40g/m2を塗工し、熱風乾燥機にて130℃、1分間乾燥し、壁紙防汚コート剤塗布サンプルを作製した。該壁紙防汚コート剤塗布サンプルを、壁紙工業会が発行する汚れ防止壁紙性能規定に準じて評価した。結果を表2に示す。
<実施例2〜20、比較例1〜11>
実施例1と同様に、エマルジョン単独または無機充填剤、ワックス、およびシリコーンを表2、3の通り配合し、壁紙防汚コート剤を作製し、防汚性の評価を行った。結果を表2、3に示す。なお、無機充填剤やワックス、シリコーンの配合量は固形分(質量部)に換算したものである。
攪拌機、温度計、還流用冷却器を装備した反応釜内に、ポリエステル樹脂(A)100質量部にブチルセロソルブ33質量部、トリエチルアミン4質量部を投入した後、80℃で1時間攪拌をおこない、溶解した。ついで、イオン交換水196質量部を緩やかに添加し、不揮発分30質量%のエマルジョン(A)を得た。このエマルジョン(A)を壁紙防汚コート剤(A)とした。壁紙防汚コート剤(A)を壁紙基材に対して、Kロックスプルーファー(松尾産業製)により塗工量約20〜40g/m2を塗工し、熱風乾燥機にて130℃、1分間乾燥し、壁紙防汚コート剤塗布サンプルを作製した。該壁紙防汚コート剤塗布サンプルを、壁紙工業会が発行する汚れ防止壁紙性能規定に準じて評価した。結果を表2に示す。
<実施例2〜20、比較例1〜11>
実施例1と同様に、エマルジョン単独または無機充填剤、ワックス、およびシリコーンを表2、3の通り配合し、壁紙防汚コート剤を作製し、防汚性の評価を行った。結果を表2、3に示す。なお、無機充填剤やワックス、シリコーンの配合量は固形分(質量部)に換算したものである。
表2、3で用いた炭酸カルシウム、カオリン、ワックス、シリコーンは以下のものである。
炭酸カルシウム:白石カルシウム社製ホワイトン(登録商標)SB赤
カオリン:BASF社製 ASP-170
ワックス:三井化学社製ケミパール(登録商標)W310
シリコーン:信越シリコーン社製KM-9737A
炭酸カルシウム:白石カルシウム社製ホワイトン(登録商標)SB赤
カオリン:BASF社製 ASP-170
ワックス:三井化学社製ケミパール(登録商標)W310
シリコーン:信越シリコーン社製KM-9737A
本発明のアニオン性ポリエステル樹脂を含有するエマルジョンは、優れた耐汚染性を付与することができるため、壁紙防汚コート剤および壁紙用途において有用である。
Claims (7)
- 酸価が400当量/106g以下でありガラス転移温度が−20〜100℃であるアニオン性ポリエステル樹脂を含有する壁紙防汚コート剤用エマルジョン。
- 前記ポリエステル樹脂のポリカルボン酸成分とポリオール成分の合計量をそれぞれ100モル%としたとき、親水性極性基を含有するポリカルボン酸および/または親水性極性基を含有するポリオールを共重合成分として1〜10モル%含有する請求項1に記載の壁紙防汚コート剤用エマルジョン。
- さらに、無機充填剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の壁紙防汚コート剤用エマルジョン。
- 前記無機系充填剤が炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、クレー、タルクおよびカオリンからなる群より選ばれる1種以上である請求項3に記載の壁紙防汚コート剤用エマルジョン。
- 前記ポリエステル樹脂100質量部に対して、前記無機充填剤を3〜200質量部含有する請求項3または4に記載の壁紙防汚コート剤用エマルジョン。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の壁紙防汚コート剤用エマルジョンを含有する壁紙防汚コート剤。
- 請求項6に記載の壁紙防汚コート剤でコートした壁紙。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019216093A1 (ja) * | 2018-05-07 | 2019-11-14 | 東洋紡株式会社 | 共重合ポリエステル、水分散体およびこれを用いた水性塗料 |
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WO2022168911A1 (ja) * | 2021-02-05 | 2022-08-11 | 東洋紡株式会社 | ポリエステル樹脂組成物、水分散体、塗料組成物および塗膜 |
-
2015
- 2015-07-06 JP JP2015135077A patent/JP2016069627A/ja active Pending
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