JP2016069352A - 共役ジエンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、モリブデン、ビスマス及び鉄を含む酸化物触媒の存在下で流動床反応器を用いて、炭素数4以上のモノオレフィンと酸素とを接触させて共役ジエンを製造する方法において、反応温度が300〜420℃であって、且つ反応器の出口ガス中の酸素濃度が0.05〜0.7体積%である共役ジエンの製造方法が記載されている。
特許文献2には、モリブデン、ビスマス、スズを含む触媒を用いてモノオレフィン濃度13.8容量%、空気をモノオレフィンに対し2.4〜7.1倍量で用いる共役ジオレフィンの製造方法が示されている。
特許文献4には、反応希釈ガスとして、オフガス処理工程から循環するオフガスを使用するブタジエンの製造方法が示されている。
特許文献6には、触媒存在下、モノオレフィンの酸化脱水素反応により共役ジエンを製造する方法において、触媒層の空隙率を制御することが示されている。
特許文献7には、10容量%以上のモノオレフィン、該モノオレフィンに対し2.4〜7.1倍量の空気及び残量の反応に不活性なガスからなる混合ガスを、触媒存在下、気相接触反応させる、炭素数4〜6の共役ジオレフィンの製造方法が示されている。
特許文献8には、低酸素分圧下で二酸化炭素の生成を抑制して、不飽和アルデヒド、ブタジエンを得ることが示されている。
さらに、反応生成ガスから共役ジエン類を吸収等の操作で反応ガスから分離する方法においては、特許文献3、4に示されるように、生成ガス中の限界酸素濃度の制約があるため、反応ガス中の酸素濃度を下げざるを得なかった。
そして、それによって、原料ガス中のn−ブテン等の直鎖状のモノオレフィン濃度が低い場合であっても、生成ガス中の酸素濃度を高めることが出来、コーキングを抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと分子状酸素含有ガスとを混合して得られる混合ガスを反応器に供給する工程と、触媒の存在下、前記炭素原子数4以上のモノオレフィンの酸化脱水素反応により生成した対応する共役ジエンを含む反応生成ガスを得る工程とを有する共役ジエンの製造方法において、前記反応生成ガス中のブタジエン濃度が3〜9.5容量%であって、酸素濃度が2.0〜8.0容量%、かつ、1容量%以上の二酸化炭素を含む事を特徴とする共役ジエンの製造方法。
[2]前記混合ガス中のn−ブテン濃度が14.0容量%以下であることを特徴とする[1]に記載の共役ジエンの製造方法。
[3]前記触媒が、少なくともモリブデン、ビスマス及びコバルトを含有する複合酸化物触媒であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の共役ジエンの製造方法。
[4]前記原料ガスが、エチレンの2量化により得られる1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン若しくはこれらの混合物を含有するガス、n−ブタンの脱水素若しくは酸化脱水素反応により生成するブテン留分、又は重油留分を流動接触分解する際に得られる炭素原子数が4の炭化水素を含むガスであることを特徴とする[1]又は[2]又は[3]に記載の共役ジエンの製造方法。
本発明では、炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと分子状酸素含有ガスとを触媒層を有する反応器に供給し、酸化脱水素反応により対応する共役ジエンを製造する。
本発明の原料ガスは、炭素原子数4以上のモノオレフィンを含むが、この炭素原子数4以上のモノオレフィンとしては、ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン等のn−ブテン、イソブテン)、ペンテン、メチルブテン、ジメチルブテン等の炭素原子数4以上、好ましくは炭素原子数4〜6のモノオレフィンが挙げられ、接触酸化脱水素反応による対応する共役ジエンの製造に有効に適用することができる。この中でも、n−ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン等のn−ブテン)からのブタジエンの製造に最も好適に用いられる。
次に、本発明で好適に用いられる酸化脱水素反応触媒について説明する。本発明で用いる酸化脱水素反応触媒は、少なくともモリブデン、ビスマス及びコバルトを含有する複合酸化物触媒であることが好ましい。そして、この中でも、下記一般式(1)で表される複合酸化物触媒であることがより好ましい。
MoaBibCocNidFeeXfYgZhSiiOj (1)
なお、式中、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。
さらに、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜2、g=0.04〜2、h=0〜3、i=5〜48の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。
まず、この複合酸化物触媒の製造方法においては、前記前工程で用いられるモリブデンが、モリブデンの全原子比(a)の内の一部の原子比(a1)相当のモリブデンであり、前記後工程で用いられるモリブデンが、モリブデンの全原子比(a)からa1を差し引いた残りの原子比(a2)相当のモリブデンであることが好ましい。そして、前記a1が1<a1/(c+d+e)<3を満足する値であることが好ましく、さらに、前記a2が0<a2/b<8を満足する値であることが好ましい。
Feの供給源化合物としては、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、酢酸第二鉄等が挙げられる。
Coの供給源化合物としては、硝酸コバルト、硫酸コバルト、塩化コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト等が挙げられる。
Siの供給源化合物としては、シリカ、粒状シリカ、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等が挙げられる。
Biの供給源化合物としては、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、酸化ビスマス、次炭酸ビスマス等が挙げられる。また、X成分(Mg,Ca,Zn,Ce,Smの1種又は2種以上)やY成分(Na,K,Rb,Cs,Tlの1種又は2種以上)を固溶させた、BiとX成分やY成分との複合炭酸塩化合物として供給することもできる。
例えば、Y成分としてNaを用いた場合、BiとNaとの複合炭酸塩化合物は、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムの水溶液等に、硝酸ビスマス等の水溶性ビスマス化合物の水溶液を滴下混合し、得られた沈殿を水洗、乾燥することによって製造することができる。
前記炭酸アンモニウム又は重炭酸アンモニウムの代わりに、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムを用いると、Bi、Na及びX成分との複合炭酸塩化合物を製造することができる。
その他の成分元素の供給源化合物としては、下記のものが挙げられる。
Rbの供給源化合物としては、硝酸ルビジウム、硫酸ルビジウム、塩化ルビジウム、炭酸ルビジウム、酢酸ルビジウム等を挙げることができる。
Csの供給源化合物としては、硝酸セシウム、硫酸セシウム、塩化セシウム、炭酸セシウム、酢酸セシウム等を挙げることができる。
Tlの供給源化合物としては、硝酸第一タリウム、塩化第一タリウム、炭酸タリウム、酢酸第一タリウム等を挙げることができる。
Pの供給源化合物としては、リンモリブデン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸、五酸化リン等を挙げることができる。
Asの供給源化合物としては、ジアルセノ十八モリブデン酸アンモニウム、ジアルセノ十八タングステン酸アンモニウム等を挙げることができる。
Mgの供給源化合物としては、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム等が挙げられる。
Caの供給源化合物としては、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム等が挙げられる。
Ceの供給源化合物としては、硝酸セリウム、硫酸セリウム、塩化セリウム、炭酸セリウム、酢酸セリウム等が挙げられる。
Smの供給源化合物としては、硝酸サマリウム、硫酸サマリウム、塩化サマリウム、炭酸サマリウム、酢酸サマリウム等が挙げられる。
このようにして得られたシリカを含む原料化合物の水溶液又は水分散液を60〜90℃に加温し、熟成する。
前記撹拌方法としては、任意の方法を採用することができ、例えば、撹拌翼を有する撹拌機による方法や、ポンプによる外部循環による方法等が挙げられる。
灼熱減量(%)=[(W0−W1)/W0]×100
・W0:触媒前駆体を150℃で3時間乾燥して付着水分を除いたものの重量(g)。
・W1:付着水分を除いた前記触媒前駆体を更に500℃で2時間熱処理した後の重量(g)。
本発明の分子状酸素含有ガスとは、通常、分子状酸素が10容量%以上、好ましくは、15容量%以上、更に好ましくは20容量%以上含まれるガスのことであり、具体的に好ましくは空気である。なお、分子状酸素含有ガスを工業的に用意するのに必要なコストが増加するという観点から、分子状酸素の含有量の上限としては、通常50容量%以下であり、好ましくは、30容量%以下、更に好ましくは25容量%以下である。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、分子状酸素含有ガスには、任意の不純物を含んでいても良い。
本発明では、反応器に原料ガスを供給するにあたり、原料ガスと分子状酸素含有ガスとを混合し、その混合されたガス(以下、「混合ガス」呼ぶことがある)を反応器に供給する必要がある。なお、本発明の混合ガス中の、原料ガスの割合としては、通常、3.0容量%以上であり、好ましくは5.0容量%以上、更に好ましくは6.0容量%以上である。この下限値が大きくなるほど、反応器のサイズを小さくでき、建設費および運転に要するコストが低減する傾向にある。また、一方、上限は、25.0容量%以下であり、好ましくは、20.0容量%以下、更に好ましくは、18.0容量%以下である。この上限値が小さくなるほど、原料ガス中の触媒上へのコーキングの起因物質も低減するため、触媒のコーキングが発生しにくく好ましい。
すなわち、この実験において、反応器出口における高温状態を想定して350℃での限界酸素濃度を測定すると、図3に示すとおり、6.7%(不活性ガス:窒素のみ)と、25℃での10%(図2)に比べて限界酸素濃度が低くなってしまうが、不活性ガスを窒素:二酸化炭素=1:1(体積比)としたときは8.7%、不活性ガスを二酸化炭素100容量%としたときは10.4%と、二酸化炭素を不活性ガスの成分として加えることにより、限界酸素濃度を高くすることができるのである。
ブタジエン濃度が下限界以下になると生産効率が低下し経済的に不利となる傾向があり、上限界以上となると触媒のコーキングが増大する傾向がある。
二酸化炭素の濃度が下限界以下となると限界酸素濃度が低くなり、爆発危険が増大する問題がある。
本発明の酸化脱水素反応に用いられる反応器は特に限定されないが、具体的には、管型反応器、槽型反応器、又は流動床反応器が挙げられ、好ましくは、固定床反応器、より好ましくは固定床の多管式反応器やプレート式反応器であり、最も好ましくは固定床の多管式反応器である。
本発明の酸化脱水素反応は発熱反応であり、反応により温度が上昇するが、本発明では、通常、反応温度は250〜450℃、好ましくは、320〜420℃の範囲に調整される。この温度が大きくなるほど、触媒活性が急激に低下しやすい傾向にあり、小さくなるほど、目的生成物である共役ジエンの収率が低下する傾向にある。反応温度は、熱媒体(例えば、ジベンジルトルエンや亜硝酸塩など)を使用して制御することができる。なお、ここでいう反応温度は熱媒体の温度のことである。
以下に、図面を参照して、本発明の共役ジエンの製造方法に関するプロセスの実施形態について、ブタジエンを製造する例を挙げて説明する。
図1は本発明プロセスの実施の態様の一つである。この図1において、1は反応器(反応塔)、2はクエンチ塔、3,6,13は冷却器(熱交換器)、4,7,14はドレンポット、8A,8Bは脱水塔、9は加熱器(熱交換器)、10は溶媒吸収塔、11は脱気塔、12は溶媒分離塔を示し、符号100〜126は配管を示す。
なお、図1においては、原料としてBBSSを用い、得られる共役ジエンとしてブタジエンを用いた場合を示す。
脱水工程における脱水塔内の乾燥剤の再生時間は、特に限定されないが、通常6〜48時間、好ましくは、12〜36時間、更に好ましくは18〜30時間である。
パラモリブデン酸アンモニウム54gを純水250mlに70℃に加温して溶解させた。次に、硝酸第二鉄7.18g、硝酸コバルト31.8g及び硝酸ニッケル31.8gを純水60mlに70℃に加温して溶解させた。これらの溶液を、充分に撹拌しながら徐々に混合した。
次に、シリカ64gを加えて、充分に攪拌した。このスラリーを75℃に加温し、5時間熟成した。その後、このスラリーを加熱乾燥した後、空気雰囲気で300℃、1時間の熱処理に付した。
得られた触媒前駆体の粒状固体(灼熱減量:1.4重量%)を粉砕し、パラモリブデン酸アンモニウム40.1gを純水150mlにアンモニア水10mlを加え溶解した溶液に分散した。次に、純水40mlにホウ砂0.85g及び硝酸カリウム0.36gを25℃の加温下に溶解させて、上記スラリーに加えた。
次に、Naを0.45%固溶した次炭酸ビスマス58.1gを加えて、撹拌混合した。このスラリーを130℃、12時間加熱乾燥した後、得られた粒状固体を、小型成形機にて径5mm、高さ4mmの錠剤に打錠成型し、次に500℃、4時間の焼成を行って、触媒を得た。仕込み原料から計算される触媒は、次の原子比を有する複合酸化物であった。Mo:Bi:Co:Ni:Fe:Na:B:K:Si=12:5:2.5:2.5:0.4:0.35:0.2:0.08:24
また、調製の際のモリブデンの原子比a1とa2は、それぞれ6.9と5.1であった。
不活性ガス、空気、可燃性ガスの混合割合を種々変更した混合ガスを用意し、それらを点火プラグと圧力計を備えた1Lの耐圧容器に導入し、点火プラグでスパークを飛ばして爆発するかどうかを調べた。
爆発の判定は以下の基準で実施し、不爆または境界と判定された可燃物濃度をもって爆発範囲とした。
不活性ガスを窒素(99%以上の純度)とし、可燃性ガスをブタジエンとした場合の25℃における爆発範囲を図2に、不活性ガスを窒素と二酸化炭素の混合ガス(窒素:二酸化炭素=50:50)とし、可燃性ガスをブタジエンとした場合の350℃における爆発範囲を図3に示す。また、350℃におけるブタジエン−空気−イナートガス(二酸化炭素/二酸化炭素−窒素等モル混合物/窒素)の限界酸素濃度を二酸化炭素濃度との関係を図4に示す。
なお、爆発圧力上昇率=(△P/Po)×100の式で爆発圧力上昇率を測定した(△P=爆発圧力、Po=測定初期圧力)。
・不爆:爆発圧力上昇率が8%未満
・境界:爆発圧力上昇率が8%を超えて10%未満
・爆発:爆発圧力上昇率が10%を超える
図3に示す通り、測定温度が350℃になる事で爆発範囲が図2の範囲に比べて大きく拡大する事が示され、反応器の爆発安全については、反応器出口での爆発を考慮する事が最も重要である事が解る。
図3に示す通り、反応器に供給する不活性ガスを窒素と二酸化炭素にすることで、生成ガスの爆発限界の領域が狭まることが分かった。
また、図4に示す如く、限界酸素濃度への二酸化炭素濃度の影響は、二酸化炭素濃度が1.0容量%高くなるごとに限界酸素濃度が0.037容量%高くなる(爆発範囲が縮小する)事が示された。
以下に、反応生成ガス中の二酸化炭素の濃度が爆発回避、触媒コーキング防止に如何に有効であるかを製造例で示す。
上部が内径6mm×長さ175mm、下部が内径4mm×長さ125mmのパイレックス製反応管の内径6mm部分に前記調製例1で調製した触媒を1.0g充填した。この反応管には外径1.6mmの挿入管を設置し、挿入管の中に熱電対を設置して反応器内温度を測定した。加熱源としては電気ヒータを利用した。
反応原料ガスとして表1に示す組成の1,3−ブタジエン濃度、水蒸気、酸素を窒素ガスと混合して供給した。原料ガスの流量は2L/hrとし、電気ヒータを330℃として反応を行った。
反応中の反応器出口からの生成ガスは冷却した後、ガスクロマトグラフィーで分析した。また冷却で凝縮した液成分を捕集し、微量のマレイン酸等の溶解はあるが全量が水としてガスクロマトグラフィーで得た組成と合わせて反応ガスの組成を求めた。
コーク量(触媒にコーキングした量)は、触媒約1.0gをメノー乳鉢で破砕し、80℃で3時間減圧乾燥した後、示差熱同時測定(TG−DTA)法(装置:METTLER社製:TGA/DSC1型、測定条件:空気50ml/分で流通しながら10℃/分で室温から900℃まで昇温)を用いて、触媒の重量減少量から次式にて求めた。
・コーク量[wt%]=(反応後抜き出し触媒の重量減少量/反応後抜き出し触媒の重量×100)−(未使用触媒の重量減少量/未使用触媒の重量×100)
・コーク生成速度[g/h]=(コーク量[wt%]/100×反応後抜き出し触媒の重量)/反応時間
反応条件と結果を表1に示す。また、図6に表1の結果を示す。
これより、ブタジエン濃度が9.5%を超えると急激にコーク量が増加する事が解る。また、ブタジエン濃度を13%以上に上げた場合でも、反応生成ガス中の酸素濃度を2.6%から4.2%に高くする事でコーク量が低下する事がわかる。つまり、コーク量を少なくするためには反応ガス中のブタジエン濃度が低く、酸素濃度は高い方が良い事が解る。
表2に示す組成のBBSSを原料として用い、表3に示す条件で反応を行った。用いた反応装置、分析法は参考例1と同様に操作した。結果を表3、図7に示した。
一方、参考例7、8においては、反応生成ガス中の酸素濃度がそれぞれ1.9容量%、2.8容量%と低かったので触媒のコーク生成が多い事がわかる。また、参考例9においては、反応生成ガス中の酸素濃度を4.5容量%に高くしてもコーク生成が多かったことから、反応供給ガス中のブテン濃度が14容量%を超えるとコーク付着を抑制出来ない事が明確に示された。
表4に示す条件で製造例1と同じく反応を行った。製造例8〜10においては、窒素に変えて、窒素と二酸化炭素の混合ガスを用いる事で反応器供給ガス中に二酸化炭素を混合させて反応を行った。結果を表4に示す。
図5に、350℃における酸素−ブタジエンの爆発範囲と本発明の製造例、参考例の条件(二酸化炭素の条件を除く)をプロットした。コーク生成が微小であった好適な製造例を●で、コークの生成が多く、安定に運転出来なかった参考例を▲でプロットした。爆発範囲を実線で、限界酸素濃度に2容量%余裕を取った爆発範囲を点線で示した。
これによりコーキングが無く好適な範囲は、反応器出口の350℃の爆発範囲では限界酸素濃度に余裕を取ると爆発危険がある場合が多い事が示された。
一方、図3、図4に示した通り、限界酸素濃度は二酸化炭素の存在により高くなる(爆発範囲が縮小する)事が明確に示されており、製造例に示す好適な範囲も二酸化炭素を存在させれば限界酸素濃度が高くなる事で爆発危険が回避される事が示される。
限界酸素濃度(容量%)=0.037×二酸化炭素濃度(容量%)+6.75 (2)
コーク生成が少なく好適な反応条件を実現する為には、式(2)をもとに、二酸化炭素濃度を下記の式(3)で示される濃度以上とする必要がある事は、明確である。
二酸化炭素濃度(容量%)=(反応生成ガス中の酸素濃度(容量%)−6.75+限界酸素濃度余裕代(容量%))/0.037 (3)
二酸化炭素濃度=(5.2−6.75+2)/0.037=12.2(容量%)
となり、反応供給ガス中に二酸化炭素を供給する事で爆発危険を回避し、コーキングが少ない好適な反応を行う事が出来る事が示される。
2 クエンチ塔
3,6,13 冷却器
4,7,14 ドレンポット
5 圧縮機
8A,8B 脱水塔
9 加熱器(熱交換器)
10 溶媒吸収塔
11 脱気塔
12 溶媒分離塔
100〜126 配管
Claims (4)
- 炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと分子状酸素含有ガスとを混合して得られる混合ガスを反応器に供給する工程と、
触媒の存在下、前記炭素原子数4以上のモノオレフィンの酸化脱水素反応により生成した対応する共役ジエンを含む反応生成ガスを得る工程とを有する共役ジエンの製造方法において、
前記反応生成ガス中のブタジエン濃度が3〜9.5容量%であって、酸素濃度が2.0〜8.0容量%、かつ、1容量%以上の二酸化炭素を含む事を特徴とする共役ジエンの製造方法。 - 前記混合ガス中のn−ブテン濃度が14.0容量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の共役ジエンの製造方法。
- 前記触媒が、少なくともモリブデン、ビスマス及びコバルトを含有する複合酸化物触媒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の共役ジエンの製造方法。
- 前記原料ガスが、エチレンの2量化により得られる1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン若しくはこれらの混合物を含有するガス、n−ブタンの脱水素若しくは酸化脱水素反応により生成するブテン留分、又は重油留分を流動接触分解する際に得られる炭素原子数が4の炭化水素を含むガスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の共役ジエンの製造方法。
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