JP2016069194A - 多孔質セラミックスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】リードタイムの短縮や設備コストの低減を実現しうる多孔質セラミックスの製造方法を提供する。【解決手段】実施形態に係る多孔質セラミックスの製造方法は、水中にセラミックス粒子を分散させた懸濁体を生成する工程と、凍結工程と、乾燥工程と、焼成工程とを含む。凍結工程は、懸濁体を凍結させて凍結体を生成する。乾燥工程は、凍結体に成長した氷を除去して気孔を生成する。焼成工程は、氷が除去された凍結体を焼成して焼成体を生成する。そして、凍結体の生成に要する時間を経過した懸濁体の粘度は、懸濁体の凍結直前の粘度に対し50〜150%である。【選択図】図2

Description

開示の実施形態は、多孔質セラミックスの製造方法に関する。
従来、気体または液体から不純物を除去するフィルターや吸着剤、自動車の排気ガス浄化用触媒の担持材料など、セラミックスに多くの気孔が形成された多孔質セラミックスは多岐に及ぶ用途で利用されている。
このような多孔質セラミックスの製造方法として、水溶性高分子の水溶液にセラミックス粒子を分散させた懸濁体(スラリー)をゲル化させた後、凍結させるゲル化凍結法を適用する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許第5176198号公報
しかしながら、特許文献1に記載された多孔質セラミックスの製造方法では、リードタイムの短縮や設備コストの低減を実現する上で改善の余地がある。
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、リードタイムの短縮や設備コストの低減を実現しうる多孔質セラミックスの製造方法を提供することを目的とする。
実施形態に係る多孔質セラミックスの製造方法は、水中にセラミックス粒子を分散させた懸濁体を生成する工程と、凍結工程と、乾燥工程と、焼成工程とを含む。凍結工程は、前記懸濁体を凍結させて凍結体を生成する。乾燥工程は、前記凍結体に成長した氷を除去して気孔を生成する。焼成工程は、前記氷が除去された前記凍結体を焼成して焼成体を生成する。前記凍結体の生成に要する時間を経過した前記懸濁体の粘度は、前記懸濁体の調製直後の粘度に対し50%〜150%である。
実施形態の一態様によれば、リードタイムの短縮や設備コストの低減を実現しうる多孔質セラミックスの製造方法を提供することができる。
図1は、実施形態に係る多孔質セラミックスの製造方法の概要を説明する説明図である。 図2は、実施形態に係る多孔質セラミックスの製造方法の一例を示すフローチャートである。 図3は、実施例1により作製した多孔質セラミックスの部分断面図である。
以下、添付図面を参照して、本願の開示する多孔質セラミックスの製造方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
従来の多孔質セラミックスの製造方法は、混合、ゲル化、凍結、乾燥、脱脂および焼成の各工程を含む。一方、実施形態に係る多孔質セラミックスの製造方法では、混合工程において調製される懸濁体の組成を変更することにより、上述した従来の製造方法からゲル化工程を省略することとした。このように、ゲル化工程を省略しても従来と同様の物性を有する多孔質セラミックスが形成される。以下では、実施形態に係る多孔質セラミックスの製造方法について、図1を用いて説明する。
図1は、実施形態に係る多孔質セラミックスの製造方法の概要を説明する説明図である。なお、図1では、上述した製造工程のうち、左から順に混合、凍結および焼成の各工程を図示し、乾燥、脱脂の各工程に対応する図示は省略する。
まず、混合工程について説明する。混合工程は、セラミックス粒子1と、分散安定化成分2と、水3と、を含む懸濁体4を調製する工程である。分散安定化成分2を含有することにより、セラミックス粒子1は水3中に均質に分散される。なお、分散安定化成分2の詳細については後述する。
次に、凍結工程について説明する。凍結工程は、懸濁体4を冷却して凍結体6を生成する工程である。懸濁体4を冷却すると、セラミックス粒子1および分散安定化成分2を含有する懸濁体4から分離した水3が氷5に状態変化し、結晶構造を形成しながら成長する。その結果、セラミックス粒子1と、セラミックス粒子1の周囲に形成された、分散安定化成分2が水3中に濃縮された部分(図示せず)と、結晶化した氷5の部分とを含む凍結体6が得られる。
ここで、懸濁体4の下面7側に冷却装置12を配置して懸濁体4を冷却すると、懸濁体4中の水3が下面7側から凍結して氷5に状態変化し、この氷5の結晶が下面7側から上面8側に向かって成長しようとする。そして、氷5の結晶が成長する際には、セラミックス粒子1を移動させるのに十分な程度の押圧力が作用する。このため、氷5の結晶が成長しようとする方向にセラミックス粒子1が存在すると、分散安定化成分2により安定的に分散されていたセラミックス粒子1は、成長する氷5の結晶の周囲に排除されるように移動する。
このように、実施形態に係る多孔質セラミックスの製造方法では、従来のようなゲル化工程を経ずに懸濁体4を冷却しても、一方向側から他方向側に柱状に成長した氷4の結晶を囲むようにセラミックス粒子1が再配列され、これによりセラミックス粒子1の分布に粗密が生じた凍結体6が生成する。
次に、乾燥工程について説明する。乾燥工程は、凍結体6に成長した氷5を除去して気孔10を生成する工程である。氷5が成長した凍結体6を、例えば真空乾燥により乾燥させると、氷5の結晶が昇華して消失し、代わりに気孔10が形成される。すなわち、乾燥工程は、氷5を気孔10に置換する工程である。
次に、脱脂工程について説明する。脱脂工程は、乾燥工程において気孔10を生成した凍結体6から有機成分を除去する工程である。具体的には、セラミックス粒子1の種類に応じて、予め定められた温度条件下で有機成分を分解して除去する処理を実行する。なお、後述するように、脱脂工程で除去される有機成分には分散安定化成分2が含まれうる。
最後に、焼成工程について説明する。焼成工程は、有機成分および氷5が除去され、気孔10が形成された凍結体6を焼成して焼成体(多孔質セラミックス)11を作製する工程である。焼成により得られる多孔質セラミックス11は、上述した乾燥工程において形成された気孔10と、気孔10を囲むようにセラミックス粒子1同士が結合して緻密化したセラミックス骨格9とを有する。
このように、実施形態に係る多孔質セラミックス11の製造方法によれば、冷却装置12を用いることで凍結体6に生成された氷5の形状に基づき、下面7側から上面8側に向かって一方向に配向する筒状の気孔10の周囲にセラミックス骨格9が形成された多孔質セラミックス11が生成される。ここで、気孔10が「一方向に配向する」とは、気孔10の平均アスペクト比が1.5以上であることをいう。なお、気孔10の平均アスペクト比は、後述する実施例に記載する方法により測定される。
上述したように、混合工程で調製される懸濁体4は、セラミックス粒子1と、分散安定化成分2と、水3と、を含む。以下では、懸濁体4を構成する各成分について詳細に説明する。
まず、セラミックス粒子1について説明する。懸濁体4に含有されるセラミックス粒子1は、焼成工程において適切に焼成可能なものであれば特に制限はない。具体的には、例えば、ジルコニア、アルミナ、シリカ、チタニア、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、コーディエライト、サイアロン、ジルコン、チタン酸アルミニウム、およびムライトなどがセラミックス粒子1として適用できるが、これらに限定されない。また、セラミックス粒子1を適切に焼成させるために、懸濁体4にセラミックス粒子1の種類に応じた焼成助剤を配合してもよい。
また、懸濁体4中のセラミックス粒子1の配合量は、1〜50vol%の範囲が好ましく、より好ましくは1〜30vol%である。セラミックス粒子1の配合量が1vol%未満だと、例えば乾燥工程において形状を維持することができない場合があり、また、所望の強度を有する多孔質セラミックス11を製作することが困難となる。また、セラミックス粒子1の配合量が50vol%を超えると、得られる多孔質セラミックス11の気孔率が概ね50vol%未満となる。このため、気孔率が高い多孔質セラミックス11を安定的に作製することが可能な実施形態に係る多孔質セラミックス11の製造方法を、適用する必要性は低くなる。ここで、「気孔率」とは、JISR1634:2008に規定する手法に基づき、アルキメデス法により得られた値である。かかる測定では、閉気孔は考慮されないため、「見掛け気孔率」とも呼ばれる。なお、本実施形態では、閉気孔はほとんど形成されないため、この「見掛け気孔率」を「気孔率」として取り扱うことができる。
また、セラミックス粒子1は、実用上、平均粒径が0.05μm〜100μmのものが好ましい。セラミックス粒子1の平均粒径が100μmを超えると、所望する多孔質セラミックス12の形状や大きさによってはセラミックス粒子1の適切な焼成が困難な場合がある。ここで、「平均粒径」とは、たとえば日機装社製マイクロトラックX−100などのレーザ回折式粒度分布測定装置(湿式法)において、球相当径に換算した体積基準の粒度分布に基づいて得られたメジアン径(d50)を指す。なお、同じ結果を得られるものであれば、測定方法に制限はない。
ところで、水3中でのセラミックス粒子1の挙動は、セラミックス粒子1の平均粒径が1μm以下の場合と、1μmを超える場合とで相違する。以下では、セラミックス粒子1の平均粒径に応じた水3中でのセラミックス粒子1の挙動についてそれぞれ説明する。
まず、平均粒径が1μm以下のセラミックス粒子1を水3中に分散させた懸濁体4の挙動の変化の様子について説明する。平均粒径が1μm以下と粒子サイズの比較的小さなセラミックス粒子1は、水3中で凝集して見掛け上の粒子サイズが大きくなる傾向にある。そして、水3中でセラミックス粒子1が凝集すると、凝集したセラミックス粒子1の隙間に水3が保持されることで自由に動くことのできる水3が相対的に減少し、懸濁体4の粘度は時間とともに上昇する。このようなセラミックス粒子1を水3中に分散させると、懸濁体4の粘度は時間とともに上昇していくが、凝集により見掛け上の粒子径が大きくなるにつれてセラミックス粒子1の沈降速度は増大する。このため、凝集したセラミックス粒子1はやがて水3中に沈降し、セラミックス粒子1の分布にムラができる。
次に、平均粒径が1μm超100μm以下のセラミックス粒子1を水3中に分散させた懸濁体4の挙動について説明する。平均粒径が1μmを超える粒子サイズの比較的大きなセラミックス粒子1は、その自重により沈降してセラミックス粒子1の分布にムラができ、また、懸濁体4の粘度は低下する。
このように、懸濁体4中のセラミックス粒子1の分布にムラができると、焼成した焼成体11に割れや変形が生じ、あるいは乾燥工程終了後の成形体のハンドリング性が低下する。そこで、水3中にセラミックス粒子1とともに分散安定化成分2を配合した懸濁体4を調製することにより、セラミックス粒子1の分散をより安定化させる。
上述したように、セラミックス粒子1は、その平均粒径に応じて水3中での挙動が相違する。このため、懸濁体4に含有される分散安定化成分2には、セラミックス粒子1の平均粒径に応じて異なる作用が求められる。
まず、セラミックス粒子1の平均粒径が1μm以下の場合について説明する。かかる場合、分散安定化成分2として高分子分散剤を含む。高分子分散剤は、懸濁体4中でのセラミックス粒子1の均一な分散を補助する物質である。高分子分散剤が適量配合されることにより、セラミックス粒子1の凝集を抑制してセラミックス粒子1の沈降が抑制されるとともに、懸濁体4の粘度が上昇することを抑制する。特に、分散安定化成分2の使用により、凍結工程において懸濁体4の冷却を開始して凍結が完了するまでの時間における、粘度の変動幅が小さくなり、割れや変形の発生が抑制される。
すなわち、この懸濁体4の粘度の変動に伴う多孔質セラミックス11の割れや変形の発生の有無は、調製直後の懸濁体4の粘度に対する、凍結体6の生成に要する時間を経過した懸濁体4の粘度の比率として定義される分散安定性により推定することができる。実施形態において、かかる懸濁体4の分散安定性は50%〜150%、好ましくは70%〜130%、より好ましくは90%〜110%の範囲である。
懸濁体4の分散安定性が50%未満だと、例えば凍結工程中に懸濁体4中のセラミックス粒子1の沈降が進行してしまい、多孔質セラミックス11の反りなどの変形や割れが発生しやすくなる。また、懸濁体4の分散安定性が150%を超えると、粒子の凝集および沈降が進行することにより、厚み方向で、セラミックス粒子1の充填率に差異が生じ、不均質な組織を形成する。このため、乾燥および焼成工程において、凍結体6の部位により収縮率に差異が生じてしまい、やはり多孔質セラミックス11の変形や割れが発生しやすくなる。
ここで、「凍結体6の生成に要する時間」とは、懸濁体4を調製後、この懸濁体4を凍結させて凍結体6を生成するまでに要する時間の合計をいう。すなわち、この「凍結体6の生成に要する時間」は、懸濁体4の量、冷却方法および冷却温度などの諸条件に応じて個別に設定される。例えば、10分、30分、60分、12時間などとすることができるが、これらに限定されない。
また、「凍結体6の生成に要する時間を経過した懸濁体4の粘度」は、調製直後の懸濁体4を25℃に設定した恒温機に入れ、上記した「凍結体6の生成に要する時間」が経過した後で、この懸濁体4の粘度を、B型粘度計を用いて測定した値である。なお、B型粘度計としては、ブルックフィールド社製デジタル粘度計、型式(DV1、PRIME)を使用し、測定温度25℃、スピンドルNo.SC4−34、回転数20rpm(600mPa・s未満)または100rpm(600mPa・s以上)で測定した。ただし、同じ結果を得られるものであれば測定装置および測定方法に制限はない。
また、「懸濁体4の調製直後の粘度」は、懸濁体4の調製後、1分以内に「凍結体6の生成に要する時間を経過した懸濁体4の粘度」と同じ条件下で測定した値である。
分散安定化成分2としては、好ましくは重量平均分子量が500〜2000000の化合物を含むものであって、以下に述べる高分子分散剤またはバインダが好ましい。こうした好ましい高分子分散剤として、例えば、ポリカルボン酸塩もしくはアクリル酸塩またはこれらをベースとした共重合体、もしくはこれらの混合物が挙げられるが、懸濁体4に対して上述したような作用を発揮する物質であればこれに限定されない。また、必要に応じて、アンモニア、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムのうち1種以上、もしくはこれらの混合物をpH調整剤として配合してもよい。pH調整剤が配合されることにより、pHの変化に伴う懸濁体4の粘度の変動が抑制される。
このような高分子分散剤の重量平均分子量として好ましくは1000〜40000、より好ましくは5000〜30000、さらに好ましくは8000〜30000の範囲である。高分子分散剤の重量平均分子量が1000未満だと、懸濁体4の粘度を調整するために大量の高分子分散剤が必要となる場合があるため、あまり好ましくない。また、高分子分散剤の重量平均分子量が40000を超えると、懸濁体4の粘度の微調整が困難となる場合があるため、あまり好ましくない。
また、懸濁体4は、N−アルキルアミド系高分子、N−イソプロピルアクリルアミド系高分子、スルホメチル化アクリルアミド系高分子、N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド系高分子、ポリアルキルアクリルアミド系高分子、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、ポリエチレンイミン、セルロース誘導体系、ポリアクリル酸塩、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、デンプン、ゼラチン、寒天、ペクチン、グルコマンナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナンガム、グァーガム、ジェランガム、リグニンスルホン酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルエステル、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびウレタン樹脂のうち1種以上、もしくはこれらの混合物をバインダとしてさらに含んでもよい。バインダは、懸濁体4中のセラミックス粒子1同士を結合させる物質である。このため、かかるバインダを分散安定化成分2として含有することにより、懸濁体4は、より安定的にセラミックス粒子1を分散させることができる。
これらのバインダの重量平均分子量として好ましくは500〜2000000、より好ましくは2000〜1500000、さらに好ましくは4000〜1000000の範囲である。バインダの重量平均分子量が500未満だと、懸濁体4の粘度を調整するために大量のバインダが必要となる場合があるため、あまり好ましくない。また、バインダの重量平均分子量が2000000を超えると、懸濁体4の粘度の微調整が困難となる場合があるため、あまり好ましくない。
次に、セラミックス粒子1の平均粒径が1μm超100μm以下の場合について説明する。かかる場合、分散安定化成分2として、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース系誘導体、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどのアクリル系ポリマー、およびアルギン酸、デンプン、キサンタンガムなどの増粘多糖体類のうち1種以上の増粘剤を含む。増粘剤を適量配合することにより、セラミックス粒子1の沈降が抑制されるとともに、懸濁体4の粘度低下が抑制される。なお、懸濁体4に対して上述したような作用を発揮する物質であれば増粘剤はこれらに限定されない。
これらの増粘剤の重量平均分子量として好ましくは500〜2000000、より好ましくは100000〜2000000、さらに好ましくは750000〜2000000の範囲である。増粘剤の重量平均分子量が500未満だと、懸濁体4の粘度を調整するために大量の増粘剤が必要となる場合があるため、あまり好ましくない。また、増粘剤の重量平均分子量が2000000を超えると、懸濁体4の粘度の微調整が困難となる場合があるため、あまり好ましくない。
このような分散安定化成分2の配合量は、懸濁体4を調製してから凍結完了までに要する時間、セラミックス粒子1の種類、平均粒径および配合量、選択する分散安定化成分2の種類等に基づいて決定される。具体的には、凍結体6の生成に要する時間を経過した懸濁体4の粘度の、懸濁体4の調製直後の粘度に対する比率を分散安定性と規定したとき、この分散安定性の値が50〜150%、好ましくは70%〜130%、より好ましくは90%〜110%となるように配合される。このように、セラミックス粒子1の平均粒径に応じて分散安定化成分2を適切に配合することで、懸濁体4中に分散されたセラミックス粒子1の凝集および沈降を、凍結工程完了まで抑制することができる。このため、ゲル化工程を省略してもセラミックス粒子1の沈降による分散不良に伴う多孔質セラミックス11の割れや変形を適切に抑制することができる。
最後に、水3について説明する。水3としては、水道水、蒸留水などを用いてもよいが、含有する不純物、特に無機成分の少ない脱イオン水がより好ましい。
なお、多孔質セラミックス11の割れや変形は、焼成工程で顕著に表れるが、場合によっては乾燥工程においても起こり得る。ここで、セラミックス粒子1の沈降に伴う多孔質セラミックス(焼成体)11の割れや変形は、目視により容易に確認することができる。なお、多孔質セラミックス11の用途により目視では確認できない程度の不具合を判定する必要がある場合には、公知の測定機器を用いて多孔質セラミックス11の割れや変形の有無を評価することができる。このような測定機器として、例えば、焼成体に染料を染み込ませ、クラックを確認する方法、焼成体に光を照射し、この光の透過率の差異に基づいてクラックを発見する方法、マイクロスコープで観察する方法、X線CT(X-ray Computed Tomography)・超音波などによる非破壊検査などが挙げられるが、これらに限定されない。
また、上述した凍結工程において、公知の冷却装置12を利用することが可能である。具体的には、型に入れた懸濁体4の下面7を例えば冷却した金属板などの固体に接触させる、冷却した液体中に型ごと浸漬させる等、さまざまな冷却方法を適用した冷却装置12が挙げられる。また、例えば、所定の温度に冷却されたエタノールを、対面する一方の側から他方の側にエタノールの液面付近に淀みや波立ちが生じることなく流動するように循環させることで液面付近の温度を一定に保持したエタノール冷却装置を冷却装置12として適用しても良い。かかる構成を有するエタノール冷却装置を適用し、冷却されたエタノールの液面に懸濁体4の入った型の底面を接触または浸漬させて保持し、凍結体6を生成することにより、気孔径のばらつきの少ない多孔質セラミックス11を作製することができる。
また、凍結工程における懸濁体4の凍結温度は、懸濁体4中の水3が凍結して氷5を生成することが可能な程度であれば制限はない。なお、分散安定化成分2の種類によっては、水3との相互作用により−10℃以上では懸濁体4が凍結しない場合があるため、−10℃以下の凍結温度が好ましい。
また、乾燥工程において、凍結体6の内外の乾燥速度の差を抑制しながら、徐々に氷5を気孔10に置換することにより亀裂を防ぐ乾燥手法を利用することが可能である。具体的には、凍結体6を凍結乾燥、あるいは水溶性有機溶剤や水溶性有機溶剤水溶液中への浸漬と風乾により、氷5を気孔10に置換することができる。
例えば、凍結体6を水溶性有機溶剤や水溶性有機溶剤水溶液中に浸漬すると、凍結体6中の氷5は融解し、水溶性有機溶剤と混合される。かかる操作を1回または複数回実行することにより、まず、凍結体6中の氷5であった部分は水溶性有機溶剤に置換される。その後、凍結体6内部が水溶性有機溶剤で置換された凍結体6を、大気中または減圧条件下において乾燥させると、凍結工程において氷5であった部分が気孔10に置換される。
水溶性有機溶剤を利用した乾燥工程において、水溶性有機溶剤としては、分散安定化成分2を浸食せず、かつ水3よりも揮発性が高いものが適用される。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらの水溶性有機溶剤を単独で、あるいは複数種類併用した乾燥を1回または複数回実行することにより、凍結体6内で氷5であった部分に、気孔10が形成される。
また、脱脂工程において、例えば300℃〜900℃の脱脂温度が適用される。このとき、例えば、炭化珪素、窒化珪素などの非酸化物セラミックスを脱脂する場合には、アルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気下で脱脂をすることが好ましい。これに対し、例えば、アルミナやジルコニアなどの酸化物セラミックスを原料とする場合には、大気雰囲気下で脱脂をすることが好ましい。
そして、焼成工程では、使用するセラミックス粒子1の種類や配合量、目標とする硬度等に応じて、焼成温度、焼成時間および焼成雰囲気が適宜調整されることにより、一方向に配向した気孔10を有する多孔質セラミックス11が作製される。
このようにして得られる多孔質セラミックス11の気孔率は、50%〜99%の範囲が好ましく、より好ましくは70%〜99%である。セラミックス粒子1の気孔率が50%未満だと、実施形態に係る多孔質セラミックス11の製造方法を用いる必要性が低減する。また、セラミックス粒子1の気孔率が99%を超えると、例えば乾燥工程において形状を維持することができない場合があり、また、所望の強度を有する多孔質セラミックス11を製作することが困難となる。
また、多孔質セラミックス11は、平均気孔径10μm〜300μmの連通孔を有することが実用上好ましく、より好ましくは10μm〜100μmである。ここで、「平均気孔径」は、接触角140度で水銀圧入法を用いて測定し、気孔10を円柱近似した際の気孔分布に基づいて得られたメジアン径(d50)を指す。
また、多孔質セラミックス11の体積は、凍結体6の体積の78%以下、より好ましくは72%以下にまで収縮するように焼成されることが好ましい。多孔質セラミックス11の体積が凍結体6の体積の78%を超えると、原料の焼成性が乏しいため、十分な強度を示さず、ボロツキ、すなわち成形体の部分的な崩れなどを生じやすくなる傾向がある。
次に、実施形態に係る多孔質セラミックス11を製造する方法について、図2を用いて詳細に説明する。図2は、実施形態に係る多孔質セラミックス11を製造する処理手順を示すフローチャートである。
図2に示すように、まず、水3にセラミックス粒子1を分散させた懸濁体4を調製する(ステップS101)。分散安定化成分2や焼成助剤などの添加剤は、このタイミングで添加すると良い。セラミックス粒子1、分散安定化成分2および水3を混合する順序に制限はなく、分散安定化成分2の添加量や性状等に応じて適宜設定することができる。
続いて、ステップS101において調製した懸濁体4を凍結させて凍結体6を生成する(ステップS102)。続いて、凍結体6を乾燥させて凍結体6に成長した氷7を除去し、気孔10を生成する(ステップS103)。
さらに、氷5が除去されて気孔10が生成された凍結体6から分散安定化成分2等の有機成分を除去する脱脂を行い(ステップS104)、引き続いて焼成を行う(ステップS105)。以上の各工程により、実施形態に係る一連の多孔質セラミックス11の製造が終了する。
上述してきたように、実施形態に係る多孔質セラミックスの製造方法は、水中にセラミックス粒子を分散させた懸濁体を生成する工程と、凍結工程と、乾燥工程と、焼成工程とを含む。凍結工程は、懸濁体を凍結させて凍結体を生成する。乾燥工程は、凍結体に成長した氷を除去して気孔を生成する。焼成工程は、氷が除去された凍結体を焼成して焼成体を生成する。凍結体の生成に要する時間を経過した懸濁体の粘度は、懸濁体の調製直後の粘度に対し50〜150%である。
したがって、実施形態に係る多孔質セラミックスの製造方法によれば、懸濁体のゲル化工程を省略しても一方向に配向した気孔を有し、割れや変形の無い多孔質セラミックスを作製することができ、リードタイムの短縮や設備コストの低減を実現することができる。
なお、上述した実施形態では、セラミックス粒子の平均粒径に応じて分散安定化成分2の種類を変更するとして説明したが、調製直後と調製から所定時間の経過後において、懸濁体4の粘度を所定の範囲とすることができるものであれば、分散安定化成分2の種類、配合量およびその組み合わせに制限はない。
また、上述した実施形態では、冷却装置12としてエタノール冷却装置を例に挙げて説明したが、凝固温度が低く、懸濁体4を凍結させるために所望する温度まで液状である成分であればエタノール以外のものを適用しても良い。かかる成分として、具体的には、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、エチレングリコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。なお、これらの成分を単独で、あるいは複数種類併用し、また必要に応じて水と混和させて使用することができる。
また、上述した実施形態では、脱脂工程(ステップS104)は必須の工程として説明したが、分散安定化成分2等を含みうる有機成分の種類及び配合量によっては省略しても良い。かかる場合、凍結体6中の有機成分は焼成工程(ステップS105)において分解、除去される。
(実施例1)
平均粒径0.5μmのアルミナ粒子(セラミック粒子1に対応)10vol%と脱イオン水(水3に対応)90.0vol%とを混合した。これにポリカルボン酸アンモニウム塩(重量平均分子量(Mw)30000)(分散安定化成分2(高分子分散剤)に対応)1.5質量%およびゼラチン(分散安定化成分2(バインダ)に対応)3質量%(いずれも100質量%の水3に対して)を添加して懸濁体4を調製し、型に入れた。ここで、懸濁体4の調製直後の粘度(25℃)は6.5mPa・sであった。
次に、懸濁体4の入った型を、−10℃に設定した冷凍庫で60分冷却し、厚さ10mmの板状の凍結体6を生成させた。なお、懸濁体4の60分後の粘度(25℃)は8.5mPa・sであった。
続いて凍結体6を型から取り出し、真空乾燥装置で24時間乾燥した。さらに、大気雰囲気下の電気炉にて600℃で2時間脱脂した後、焼成温度1600℃で2時間、焼成収縮率(焼成に伴う線収縮率)が21%、すなわち体積収縮率で49.3%となるように焼成し、多孔質セラミックス11を得た。
(実施例2)
平均粒径2.0μmのアルミナ粒子10vol%と脱イオン水90.0vol%とを混合した。これにポリカルボン酸アンモニウム塩(重量平均分子量30000)1.5質量%およびポリビニルアルコール(分散安定化成分2(バインダ)に対応)4質量%(いずれも100質量%の水3に対して)を添加して懸濁体4を調製し、型に入れた。ここで、懸濁体4の調製直後の粘度(25℃)は3.5mPa・sであった。
次に、懸濁体4の入った型を、−10℃に設定した冷凍庫で50分間冷却し、厚さ10mmの板状の凍結体6を生成させた。なお、懸濁体4の50分後の粘度(25℃)は4.0mPa・sであった。
続いて凍結体6を型から取り出し、真空乾燥装置で24時間乾燥した。さらに、大気雰囲気下の電気炉にて600℃で2時間脱脂した後、焼成温度1600℃で2時間、焼成収縮率が8%、すなわち体積収縮率で77.9%となるように焼成し、多孔質セラミックス11を得た。
(実施例3)
高分子分散剤に代えてヒドロキシプロピルメチルセルロース(重量平均分子量750000)(分散安定化成分2(増粘剤)に対応)3質量%(100質量%の水3に対して)に変更したことを除き、実施例2と同様にして多孔質セラミックス11を作製した。ここで、懸濁体4の調製直後の粘度(25℃)は1130mPa・s、懸濁体4の50分後の粘度(25℃)は1050mPa・sであった。
(実施例4)
平均粒径9μmのジルコニア粒子20vol%と脱イオン水80.0vol%とを混合した。これにポリカルボン酸アンモニウム塩(重量平均分子量30000)1.5質量%、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(重量平均分子量750000)2質量%およびイソブチレン無水マレイン酸共重合体(分散安定化成分2(バインダ)に対応)5質量%(いずれも100質量%の水3に対して)を添加して懸濁体4を調製し、型に入れた。ここで、懸濁体4の調製直後の粘度(25℃)は44800mPa・sであった。
次に、懸濁体4の入った型を、−10℃に設定した冷凍庫で50分間冷却し、厚さ10mmの板状の凍結体6を生成させた。なお、懸濁体4の50分後の粘度(25℃)は43500mPa・sであった。
続いて凍結体6を型から取り出し、真空乾燥装置で24時間乾燥した。さらに、大気雰囲気下の電気炉にて600℃で2時間脱脂した後、焼成温度1600℃で2時間、焼成収縮率が11%、すなわち体積収縮率で70.5%となるように焼成し、多孔質セラミックス11を得た。
(比較例1)
ポリカルボン酸アンモニウム塩の配合量を0.5質量%に変更したことを除き、実施例1と同様にして多孔質セラミックス11を作製した。ここで、懸濁体4の調製直後の粘度(25℃)は5.5mPa・s、懸濁体4の50分後の粘度(25℃)は9.5mPa・sであった。
(比較例2)
高分子分散剤をカルボン酸系共重合体(重量平均分子量8000)0.5%(100質量%の水3に対して)に変更したことを除き、実施例1と同様にして多孔質セラミックス11を作製した。ここで、懸濁体4の調製直後の粘度(25℃)は5.5mPa・s、懸濁体4の50分後の粘度(25℃)は10mPa・sであった。
(比較例3)
カルボン酸系共重合体の配合量を1.5質量%に変更したことを除き、比較例2と同様にして多孔質セラミックス11を作製した。ここで、懸濁体4の調製直後の粘度(25℃)は5.5mPa・s、懸濁体4の50分後の粘度(25℃)は10.5mPa・sであった。
(比較例4)
ポリカルボン酸アンモニウム塩の配合量を0.5質量%に変更したことを除き、実施例2と同様にして多孔質セラミックス11を作製した。ここで、懸濁体4の調製直後の粘度(25℃)は9.5mPa・s、懸濁体4の50分後の粘度(25℃)は4.5mPa・sであった。
(比較例5)
平均粒径9μmのジルコニア粒子20vol%と脱イオン水80.0vol%とを混合した。これにポリカルボン酸アンモニウム塩(重量平均分子量30000)0.5質量%およびイソブチレン無水マレイン酸共重合体5質量%(いずれも100質量%の水3に対して)を添加して懸濁体4を調製し、型に入れた。ここで、懸濁体4の調製直後の粘度(25℃)は290mPa・sであった。
次に、懸濁体4の入った型を、−10℃に設定した冷凍庫で50分間冷却し、厚さ10mmの板状の凍結体6を生成させた。なお、懸濁体4の50分後の粘度(25℃)は50mPa・sであった。
続いて凍結体6を型から取り出し、真空乾燥装置で24時間乾燥した。さらに、大気雰囲気下の電気炉にて600℃で2時間脱脂した後、焼成温度1600℃で2時間、焼成収縮率が11%、すなわち体積収縮率で70.5%となるように焼成し、多孔質セラミックス11を得た。
(比較例6)
ポリカルボン酸アンモニウム塩の配合量を1.5質量%に変更したことを除き、比較例5と同様にして多孔質セラミックス11を作製した。ここで、懸濁体4の調製直後の粘度(25℃)は25mPa・s、懸濁体4の50分後の粘度(25℃)は12mPa・sであった。
実施例および比較例において使用したセラミック粒子1の平均粒子径、分散安定化成分2の種類、重量平均分子量Mwおよびその配合量について、表1に示す。
また、実施例1〜4において得られた多孔質セラミックス11において、平均気孔径および気孔10の平均アスペクト比をそれぞれ測定した。その結果、いずれも平均気孔径10μm〜300μm、気孔11のアスペクト比1.5以上という所望する数値範囲をそれぞれ満たすものであった。なお、気孔10の平均アスペクト比は、次のようにして測定した。
<気孔10の平均アスペクト比>
気孔10の平均アスペクト比は、SEM(Scanning Electron Microscope)で撮影した多孔質セラミックス11の画像解析に基づいて算出した。より具体的には、作製した多孔質セラミックス11の縦断面の所定の範囲をSEMで撮影した(図3参照)。次いで、気孔10の断面部を楕円体に近似し、面積、長径および短径を測定し、長径から短径を除した値を「気孔10のアスペクト比」として算出した。そして、任意に選択した50個の気孔10において算出した、気孔10のアスペクト比の平均値を、「気孔10の平均アスペクト比」と規定した。
さらに、実施例および比較例において得られた多孔質セラミックス11の気孔率、割れの有無および変形の程度を測定した。結果を懸濁体4の分散安定性とともに表2にまとめて示す。ここで、多孔質セラミックス11の割れは、目視観察にて評価した。また、多孔質セラミックス11の変形の程度は、次のようにして測定した。
<多孔質セラミックス11の変形の程度>
300mmのアルミニウム製バーの中央に孔をあけ、この孔にデジタルゲージをはめ込んだ測定器を、多孔質セラミックス11の表面に当て、最も変形量が大きい値を反り量とした。本実施例および比較例では、得られた「反り」が1mm以下であることを「変形なし」として規定した。なお、得られた多孔質セラミックス11に割れが認められた場合には、かかる測定は実施しなかった。
表1、2に示されるように、凍結体6の生成に要する時間を経過した懸濁体4の粘度が、懸濁体4の調製直後の粘度に対する比率を分散安定性と規定したとき、この分散安定性の値が50%〜150%となるように分散安定化成分2の種類および配合量を調整すると、ゲル化工程を省略しても割れや変形の無い多孔質セラミックス11が作製される。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 セラミックス粒子
2 分散安定化成分
3 水
4 懸濁体
5 氷
6 凍結体
7 下面
8 上面
9 セラミックス骨格
10 気孔
11 多孔質セラミックス(焼成体)
12 冷却装置

Claims (11)

  1. 水中にセラミックス粒子を分散させた懸濁体を調製する工程と、
    前記懸濁体を凍結させて凍結体を生成する凍結工程と、
    前記凍結体に成長した氷を除去して気孔を生成する乾燥工程と、
    前記氷が除去された前記凍結体を焼成して焼成体を生成する焼成工程と
    を含み、
    前記凍結体の生成に要する時間を経過した前記懸濁体の粘度は、前記懸濁体の調製直後の粘度に対し50%〜150%であること
    を特徴とする多孔質セラミックスの製造方法。
  2. 前記セラミックス粒子の平均粒径が0.05μm〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の多孔質セラミックスの製造方法。
  3. 前記焼成体の体積は、前記凍結体の体積の78%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質セラミックスの製造方法。
  4. 前記懸濁体は、重量平均分子量が500〜2000000の化合物をさらに含むことを特徴とする請求項2または3に記載の多孔質セラミックスの製造方法。
  5. 前記化合物は重量平均分子量が1000〜40000のポリカルボン酸塩またはアクリル酸塩を含むことを特徴とする請求項4に記載の多孔質セラミックスの製造方法。
  6. 前記懸濁体は、アンモニア、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムのうち1種以上をさらに含むことを特徴とする請求項4または5に記載の多孔質セラミックスの製造方法。
  7. 前記セラミックス粒子の平均粒径が1〜100μmであり、
    前記懸濁体は、セルロース系誘導体、アクリル系ポリマーおよび増粘多糖類のうち1種以上をさらに含むこと
    を特徴とする請求項2または3に記載の多孔質セラミックスの製造方法。
  8. 前記懸濁体は、N−アルキルアミド系高分子、N−イソプロピルアクリルアミド系高分子、スルホメチル化アクリルアミド系高分子、N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド系高分子、ポリアルキルアクリルアミド系高分子、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、ポリエチレンイミン、セルロース誘導体系、ポリアクリル酸塩、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、デンプン、ゼラチン、寒天、ペクチン、グルコマンナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナンガム、グァーガム、ジェランガム、リグニンスルホン酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルエステル、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびウレタン樹脂のうち1種以上をさらに含むこと
    を特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の多孔質セラミックスの製造方法。
  9. 多孔質セラミックスの気孔率が50%〜99%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の多孔質セラミックスの製造方法。
  10. 前記セラミックス粒子は、ジルコニア、アルミナ、シリカ、チタニア、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、コーディエライト、サイアロン、ジルコン、チタン酸アルミニウム、またはムライトを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の多孔質セラミックスの製造方法。
  11. 気孔の平均アスペクト比が1.5以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の多孔質セラミックスの製造方法。
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