JP2016065228A - 液晶ポリマー - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、蛍光物質を練り込む必要がなく、それ自体が蛍光性を示す樹脂を提供することを課題とする。本発明はまた、疎水性シリカや硫酸バリウム等のブリードアウトする物質を含まず、樹脂自体にフィブリル化を抑制する効果を有する液晶ポリマーを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、ピロメリット酸またはその無水物、およびその反応性誘導体からなる群より選択される重合性単量体(A)を、他の重合性単量体(B)と共重合させて成ることを特徴とする液晶ポリマーに関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、蛍光性を有する新規な液晶ポリマー、および該ポリマーを含む組成物、ならびにそれらの成形品、繊維およびフィルム等の加工品に関する。本発明はまた、成形品のフィブリル化が抑制された液晶ポリマーに関する。
従来、蛍光顔料用の材料として、多くの有機系の蛍光物質が利用されている。蛍光顔料は、蛍光物質を樹脂の軟化温度以上で樹脂に練り込む方法で含有させて製造することができる。
また、有機溶剤に溶解可能な蛍光物質と合成樹脂との固溶体を粉末化した蛍光顔料も知られている。かかる蛍光顔料は、蛍光物質を混練機により合成樹脂の軟化温度以上で合成樹脂と練り合わせ、冷却後に微粉砕することにより得られる。得られた蛍光顔料粉末を、さらに樹脂の軟化温度以上で他の樹脂に練り込んで含有させ、蛍光性樹脂を製造することができる。
しかしながら、従来の有機系の蛍光顔料は、蛍光物質として低分子量の有機化合物を用いているため、該蛍光顔料を樹脂に練り込んで蛍光性樹脂とした場合、時間の経過と共に蛍光物質が樹脂の表面に移動するブリード現象を起こしやすい。ブリード現象を起こした蛍光性樹脂は、蛍光物質が脱離しやすくなり、該蛍光性樹脂の蛍光強度が時間とともに低下してしまう問題があった。また、蛍光性樹脂の表面に移動した蛍光物質が、該蛍光性樹脂と接触する物体に転写され、色移りを起こすおそれもあった。
特許文献1には、ブリード現象を低減するために、低分子量の蛍光顔料ではなく、高分子量の蛍光顔料を合成し、得られた高分子量の蛍光顔料を樹脂に練り込む方法が記載されている。しかし、かかる方法も樹脂への練り込みであるため、ブリード現象が起こる可能性は残る。また、かかる方法は、蛍光性樹脂を得るために、高分子量の蛍光顔料の合成及び、樹脂との練り込みという二段階の工程を必要とする。
そこで、樹脂自体が蛍光性を有し、ブリード現象が起こらない蛍光性樹脂の開発が求められている。
ところで、液晶ポリマーは、機械特性、成形性、耐薬品性、ガス遮断性、耐湿性、電気特性などに優れるため、多種多様な分野の部品に用いられている。特に、耐熱性、薄肉成形性に優れることから、精密機器等の電子部品への使用が拡大しつつある。
一方、液晶ポリマーの成形品は、超音波洗浄や他部材との摺動によって、樹脂表面が剥離し、毛羽立つ現象(以下、「フィブリル化」と称する)が生じることが知られている。
精密機器、特にレンズがあるような光学機器の場合、わずかなゴミや埃が機器性能に影響を与える。例えば、カメラモジュールのような光学機器に用いられる部品においては、小さなゴミ、油分、埃などがレンズに付着すると、カメラモジュールの光学特性を著しく低下させる原因となる。
このような光学特性の低下を防ぐ目的で、通常、カメラモジュールを構成する部品は、組み立て前に超音波洗浄され、表面に付着している小さなゴミや埃等が除去される。
しかしながら、上述したように超音波洗浄によって、液晶ポリマー成形品表面のフィブリル化によって生じる粉が、カメラモジュール組立時およびカメラ使用時に異物となり、カメラモジュールの光学特性を著しく低下させるという問題があった。
フィブリル化を抑える方法として、疎水性シリカ等の無機粒子を樹脂に添加することが知られている。しかし、シリカ等の無機粒子は樹脂との吸着力が弱く、ブリードアウトするという問題があった。ブリードアウトした微粒子は、ごく微小かつ微量であっても、カメラモジュールの光学特性を低下させる異物となり得る。
また、粒子径1μm以下の硫酸バリウムを含有させることにより、フィブリル化が抑制された液晶ポリエステル樹脂組成物が提案されている(特許文献2)。しかし、この樹脂組成物は5〜40容量部もの大量の硫酸バリウムを含有させるものであり、やはり硫酸バリウムがブリードアウトするという問題が避けられないものであった。
したがって、ブリードアウトする物質を含有させることなく、樹脂自体がフィブリル化抑制効果を有する液晶ポリマーが求められていた。
特開2004−250536号公報 特許第5695389号公報
本発明は、蛍光物質を練り込む必要がなく、それ自体が蛍光性を示す樹脂を提供することを目的とする。本発明はまた、疎水性シリカや硫酸バリウム等のブリードアウトする物質を含まず、樹脂自体にフィブリル化を抑制する効果を有する液晶ポリマーを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ピロメリット酸を他の重合性単量体と共重合させることによって、蛍光性を有するとともにフィブリル化を抑制し得る液晶ポリマーが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、ピロメリット酸またはその無水物、およびその反応性誘導体からなる群より選択される重合性単量体(A)と、他の重合性単量体(B)とから構成される共重合体である、液晶ポリマー(以下、「本発明の液晶ポリマー」とも称する)、つまり、上記重合性単量体(A)と、他の重合性単量体(B)とを共重合させて成る液晶ポリマーを提供する。ここで、通常、ピロメリット酸は式(I)によって表され、その無水物は式(II)で表される。
Figure 2016065228
Figure 2016065228
本発明の液晶ポリマーは、ピロメリット酸が重合性単量体としてポリマー鎖に組み込まれていることにより、ポリマー自体が特定波長の蛍光性を有し、ブリード現象が起こらない。すなわち、本発明の液晶ポリマーは、蛍光物質が溶出・脱離しないため、経時的に蛍光強度が低下することがなく、表面に溶出した蛍光物質による転写や色移りのないものである。また、本発明者らは、特定のモノマー組成からなり、紫外線照射によって特定の色調に発光する液晶ポリマーも別途開発している。一方、本発明の液晶ポリマーは、典型的には、紫外線照射により上記色調と異なる色調に発光するものであり、液晶ポリマーの用途の多様化や製品外観の向上に寄与するものである。
本発明の液晶ポリマーは、一段階の工程で製造することが可能であり、成形用樹脂として使用できるものである。
また、本発明の液晶ポリマーを成形すると、成形品表面のフィブリル化が抑制されるという効果を有するため、超音波洗浄を必要とする部品や、他の部材との摺動を伴う摺動部材などの電子部品の成形用樹脂として好適に用いることができる。
本発明の液晶ポリマー(実施例5、重合性単量体(B)100モル部に対しピロメリット酸1.0モル部)の蛍光スペクトルを示す図である。なお、740nmおよび900nm付近のシグナルは、該液晶ポリマーの分子構造等に起因する固有のシグナルである。 ピロメリット酸を含まない液晶ポリマー(比較例3)の蛍光スペクトルを示す図である。なお、740nmおよび900nm付近のシグナルは、該液晶ポリマーの分子構造等に起因する固有のシグナルである。
本発明の液晶ポリマーは、異方性溶融相を形成するポリエステルまたはポリエステルアミドであり、当該技術分野においてサーモトロピック液晶ポリエステル又はサーモトロピック液晶ポリエステルアミドと呼ばれるものであれば特に限定されない。
異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した慣用の偏光検査法により確認することができる。より具体的には、異方性溶融相の確認は、Leitz偏光顕微鏡を使用し、Leitzホットステージにのせた試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率で観察することにより実施できる。本発明の液晶ポリマーは光学的に異方性を示すもの、即ち、直交偏光子の間で検査したときに光を透過させるものである。試料が光学的に異方性であると、たとえ静止状態であっても偏光は透過する。
本明細書において、重合性単量体の「反応性誘導体」とは、目的とする構成単位を導入できる反応性を有する単量体の誘導体を言うものとする。本発明において用い得る好適なピロメリット酸の反応性誘導体としては、ピロメリット酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、アシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体、ならびにこれら置換体のアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が例示される。置換基としてのアルキル基またはアルコキシ基としては、炭素数6までのものが好適に用いられる。ピロメリット酸またはその無水物、およびその反応性誘導体からなる群より選択される重合性単量体(A)として、1種のみの化合物を用いてもよく、2種以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。
本明細書において、「芳香族」とは縮合環数が4までの芳香族基を含む化合物を意味するものとする。また、「脂肪族」とは、炭素原子数2〜12の、分岐を有していてもよい飽和または不飽和炭素鎖を含む化合物を示すものとする。
本明細書において「特定波長の蛍光性を有する」液晶ポリマーとは、波長250〜450nmの光で励起した場合に、波長470〜600nmの範囲にピークトップを有する蛍光ピークを示す液晶ポリマーを意味するものとする。一つの態様において、本発明の液晶ポリマーは、波長250〜450nmの光で励起した場合に、波長470〜600nmの範囲、好ましくは480〜590nmの範囲、より好ましくは490〜580nmの範囲にピークトップを有する蛍光ピークを示すものである。
本発明の液晶ポリマーに用いる、ピロメリット酸またはその無水物、およびその反応性誘導体からなる群より選択される重合性単量体(A)の合計量は、他の重合性単量体(B)の合計量100モル部に対して、0.01〜10モル部であることが好ましく、0.03〜5モル部であることがより好ましく、0.05〜3モル部であることがさらに好ましい。本発明のある態様では、本発明の液晶ポリマーに用いる、ピロメリット酸、またはピロメリット酸無水物、およびそれらの反応性誘導体からなる群より選択される重合性単量体(A)の合計量は、他の重合性単量体(B)の合計量100モル部に対して、0.01〜10モル部であることが好ましく、0.1〜5モル部であることがより好ましく、0.2〜3モル部であることがさらに好ましく、0.35〜2.5モル部であることが特に好ましい。重合性単量体(A)の合計量が他の重合性単量体(B)の合計量100モル部に対して10モル部を超えると、生成するポリマーが架橋しやすくなり、液晶性が損なわれる傾向がある。重合性単量体(A)の合計量が他の重合性単量体(B)の合計量100モル部に対して0.01モル部未満であると、生成するポリマーが蛍光性を示さない、または生成するポリマーのフィブリル化が抑制されない傾向がある。
本発明の液晶ポリマーに用いる他の重合性単量体(B)としては、従来の液晶ポリマーに用いられる単量体、例えば芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。これら化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、ヒドロキシ基またはアミノ基を有する単量体を少なくとも1種用いることが望ましい。
本発明の液晶ポリマーに用いる他の重合性単量体(B)として、前記化合物の1種以上が結合してなるオリゴマーを、ピロメリット酸またはその無水物、およびその反応性誘導体からなる群から選択される重合性単量体(A)との共重合に供してもよい。なお、本明細書および特許請求の範囲における、他の重合性単量体(B)の量については、「重合性単量体」をオリゴマーとして用いる場合であっても、当該オリゴマーを構成する単量体ユニット毎にカウントするものとする。
芳香族ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−5−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−7−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、4'−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、3'−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、4'−ヒドロキシフェニル−3−安息香酸およびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でも、4−ヒドロキシ安息香酸または2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を単独で、あるいは両者を組み合わせて用いることが得られる液晶ポリマーの耐熱性および機械強度ならびに融点を調節し易いという点でより好ましい。
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ジカルボキシビフェニル、3,4'−ジカルボキシビフェニル、4,4''−ジカルボキシターフェニル、ビス(4−カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4−カルボキシフェノキシ)ブタン、ビス(4−カルボンキシフェニル)エタン、ビス(3−カルボキシフェニル)エーテルおよびビス(3−カルボキシフェニル)エタン、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにそれらのエステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
これらの中でも、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸が好適に用いられ、特に得られる液晶ポリマーの耐熱性を効果的に高められる点で、テレフタル酸が好ましい。
芳香族ジオールの具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、3,3'−ジヒドロキシビフェニル、3,4'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジヒドロキシビフェノールエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンおよび2,2'−ジヒドロキシビナフチル、およびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにそれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
これらの中でも、ハイドロキノン、レゾルシン、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ジヒドロキシナフタレンが好適に用いられ、特に重合時の反応性に優れる点において、ハイドロキノン、4,4'−ジヒドロキシビフェニルまたは2,6−ジヒドロキシナフタレンが好ましい。
芳香族アミノカルボン酸の具体例としては、4−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにそれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
芳香族ヒドロキシアミンの具体例としては、4−アミノフェノール、N−メチル−4−アミノフェノール、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4'−ヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4'−ヒドロキシビフェニルエーテル、4−アミノ−4'−ヒドロキシビフェニルメタン、4−アミノ−4'−ヒドロキシビフェニルスルフィドおよび2,2'−ジアミノビナフチル、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにそれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でも、4−アミノフェノールが得られる液晶ポリマーの耐熱性および機械強度のバランスをとりやすいことから好ましく用いられる。
芳香族ジアミンの具体例としては、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにそれらのアシル化物などのアミド形成性誘導体が挙げられる。
脂肪族ジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ならびにそれらのアシル化物が挙げられる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどの脂肪族ジオールを含有するポリマーを、前記の芳香族オキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよびそれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などと反応させてもよい。
脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸が挙げられる。これらの中でも、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸が重合時の反応性に優れることから好ましく用いられる。
本発明の液晶ポリマーは、本発明の目的を損なわない範囲で、チオエステル結合を含むものであってもよい。このような結合を与える単量体としては、メルカプト芳香族カルボン酸、芳香族ジチオールおよびヒドロキシ芳香族チオールなどが挙げられる。これらの単量体の使用量は、他の重合性単量体(B)の合計量に対して10モル%以下であるのが好ましい。
他の重合性単量体(B)として、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸からなる群から選択される2種以上の化合物を併用することは、本発明の好ましい態様の一つである。
これら重合性単量体のうち、芳香族ヒドロキシカルボン酸を含む組合せがより好適に用いられ、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールを含む組合せがさらに好適に用いられる。
本発明の液晶ポリマーに用いる他の重合性単量体(B)の具体例としては、例えば下記の組み合わせからなるものが挙げられる:
1)4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸
2)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル
3)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/イソフタル酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル
4)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/イソフタル酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル/ハイドロキノン
5)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/ハイドロキノン
6)2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン
7)4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル
8)2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル
9)4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン
10)4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン/4,4'−ジヒドロキシビフェニル
11)4−ヒドロキシ安息香酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル
12)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン
13)4−ヒドロキシ安息香酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン
14)4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン
15)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン/4,4'−ジヒドロキシビフェニル
16)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4−アミノフェノール
17)2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/テレフタル酸/4−アミノフェノール
18)4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/テレフタル酸/4−アミノフェノール
19)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル /4−アミノフェノール
20)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/エチレングリコール
21)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル/エチレングリコール
22)4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/テレフタル酸/エチレングリコール
23)4−ヒドロキシ安息香酸/2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル/エチレングリコール
24)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニル。
以下、本発明の液晶ポリマーの製造方法について説明する。
本発明の液晶ポリマーは、ピロメリット酸またはその無水物、およびその反応性誘導体からなる群より選択される重合性単量体(A)と、他の重合性単量体(B)とを共重合させて成る液晶ポリマーである。
本発明の液晶ポリマーを製造する方法に特に制限はなく、ピロメリット酸またはその無水物、およびその反応性誘導体からなる群より選択される重合性単量体(A)ならびに他の重合性単量体(B)を、エステル結合またはアミド結合を形成させる公知の縮重合方法、たとえば溶融アシドリシス法、スラリー重合法などに供することにより本発明の液晶ポリマーを得ることができる。
溶融アシドリシス法は、本発明の液晶ポリマーを製造するのに好ましい方法である。この方法は、最初に重合性単量体を加熱して反応物質の溶融溶液を形成し、次いで縮重合反応を続けて溶融ポリマーを得るものである。なお、縮合の最終段階で副生する揮発物(たとえば酢酸、水など)の除去を容易にするために真空を適用してもよい。
スラリー重合法とは、熱交換流体の存在下で重合性単量体を反応させる方法であって、固体生成物は熱交換媒質中に懸濁した状態で得られる。
溶融アシドリシス法およびスラリー重合法のいずれの場合においても、液晶ポリマーを製造する際に使用される重合性単量体(A)ならびに他の重合性単量体(B)は、いずれも、常温において、ヒドロキシル基および/またはアミノ基をアシル化した変性形態、すなわち低級アシル化物として反応に供することもできる。
低級アシル基は炭素原子数2〜5のものが好ましく、炭素原子数2または3のものがより好ましい。特に好ましくは前記重合性単量体のアセチル化物を反応に用いる方法が挙げられる。
重合性単量体の低級アシル化物は、別途アシル化して予め合成したものを用いてもよいし、液晶ポリマーの製造時に重合性単量体に無水酢酸等のアシル化剤を加えて反応系内で生成せしめることもできる。
溶融アシドリシス法またはスラリー重合法のいずれの場合においても、重合反応は、温度150〜400℃、好ましくは250〜370℃で、常圧および/または減圧下で行うのがよく、必要に応じて触媒を用いてもよい。
触媒の具体例としては、ジアルキルスズオキシド(たとえばジブチルスズオキシド)、ジアリールスズオキシドなどの有機スズ化合物;二酸化チタン;三酸化アンチモン;アルコキシチタンシリケート、チタンアルコキシドなどの有機チタン化合物;カルボン酸のアルカリおよびアルカリ土類金属塩(たとえば酢酸カリウム);ルイス酸(たとえば三フッ化硼素)、ハロゲン化水素(たとえば塩化水素)などの気体状酸触媒などが挙げられる。
触媒を使用する場合、該触媒の量は他の重合性単量体(B)全量に対し、好ましくは1〜1000ppm、より好ましくは2〜100ppmである。
また、本発明の液晶ポリマーの溶融粘度は、キャピラリーレオメーターを用いて温度320℃、せん断速度1000s−1の条件で測定した場合、好ましくは1〜1000Pa・s、より好ましくは5〜300Pa・sである。
このようにして重縮合反応されて得られた本発明の液晶ポリマーは、通常、溶融状態で重合反応槽より抜き出された後に、ペレット状、フレーク状、または粉末状に加工される。
ペレット状、フレーク状、または粉末状の液晶ポリマーは、分子量を高め耐熱性を向上させる目的などで、減圧下、真空下、または窒素、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下において、実質的に固相状態で熱処理を行ってもよい。
固相状態において行う熱処理の温度は、液晶ポリマーが溶融しない限り特に限定されないが、好ましくは260〜350℃、より好ましくは280〜320℃である。
上記のようにして得られた、本発明の液晶ポリマーには、無機または有機充填材、以下に説明する他の添加剤、および他の樹脂成分から選択される一種以上を配合して、液晶ポリマー組成物としてもよい。本発明においては、各種の添加剤や他の樹脂を含む液晶ポリマー組成物を、単に液晶ポリマーと称する場合がある。
液晶ポリマー組成物の例としては、本発明の液晶ポリマーと、無機または有機充填剤とを含む液晶ポリマー組成物等が挙げられる。
本発明の液晶ポリマーに配合してもよい無機または有機充填材は、繊維状、板状または粒状のものであってよく、たとえばガラス繊維、ミルドガラス、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウイスカ、ホウ酸アルミニウムウイスカ、ウォラストナイト、タルク、マイカ、グラファイト、炭酸カルシウム、ドロマイト、クレイ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、硫酸バリウム、および酸化チタンが挙げられる。これらの中では、ガラス繊維が物性とコストのバランスが優れている点で好ましい。これらの充填材は、2種以上を併用してもよい。
本発明の液晶ポリマー組成物における、無機または有機充填材の合計量は、液晶ポリマー100重量部に対して、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは5〜100重量部である。前記の無機または有機充填材の合計量が液晶ポリマー100重量部に対して200重量部を超える場合には、液晶ポリマー組成物の成形加工性が低下する傾向や、成形機のシリンダーや金型の磨耗が大きくなる傾向がある。
本発明の液晶ポリマーには、本発明の効果を損なわない範囲で、他の添加剤、例えば高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩(ここで高級脂肪酸とは、炭素原子数10〜25のものをいう)、ポリシロキサン、フッ素樹脂などの離型改良剤;染料、顔料などの着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤などを配合しても良い。これらの添加剤は1種のみを配合してもよく、または2種以上を組み合わせて配合してもよい。
本発明の液晶ポリマー組成物における他の添加剤の合計量は、液晶ポリマー100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。他の添加剤の合計量が液晶ポリマー100重量部に対して10重量部を超える場合には、液晶ポリマー組成物の成形加工性が低下する傾向や、熱安定性が悪くなる傾向がある。
また、本発明の液晶ポリマーもしくは液晶ポリマー組成物を成形するに際し、上記他の添加剤のうち高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤等の外部滑剤効果を有する添加剤を、予め、液晶ポリマーのペレット表面に付着せしめてもよい。
本発明の液晶ポリマーには、他の樹脂成分を添加してもよい。他の樹脂成分としては、たとえばポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、およびその変性物、ならびにポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなどの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。他の樹脂成分は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて配合することができる。他の樹脂成分の配合量は特に限定的ではなく、液晶ポリマーの用途や目的に応じて適宜定めればよい。一つの典型的な例において、他の樹脂成分の合計量は、液晶ポリマー100重量部に対して0.1〜100重量部、特に0.1〜80重量部である。
本発明の液晶ポリマー組成物は、無機または有機充填剤、他の添加剤および他の樹脂成分等を液晶ポリマー中に添加し、これをバンバリーミキサー、ニーダー、一軸もしくは二軸押出機などを用いて、液晶ポリマーの結晶融解温度近傍から結晶融解温度プラス100℃までの温度範囲で溶融混練して得ることができる。
このようにして得られた本発明の液晶ポリマーまたは液晶ポリマー組成物は、通常、射出成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形など公知の加工方法によって成形品、フィルム、繊維などに加工することができる。
本発明の液晶ポリマーは、それ自体が蛍光性を有するという従来の液晶ポリマーになかった特徴を備えるものである。そのため、本発明の液晶ポリマーまたは液晶ポリマー組成物の成形品、フィルム、繊維などは反射板や装飾品などの用途に好適に使用することができる。
また、本発明の液晶ポリマーによればフィブリル化が抑制されるため、精密機器等の電子部品として使用される。特に、超音波洗浄を必要とする電子部品や、他の部材との摺動を伴う摺動部材用電子部品として好適に使用される。
このような本発明の液晶ポリマーを含む電子部品としては、コネクタ、スイッチ、リレー、コンデンサ、コイル、トランス、カメラモジュール、アンテナおよびチップアンテナからなる群から選択される部品が挙げられる。
これらの中でも、本発明の液晶ポリマーは、成形品表面のフィブリル化に起因する光学特性の低下を阻止することから、カメラモジュールの部品として特に好適に使用される。カメラモジュールの部品としては、レンズバレル部(レンズが載る部分)、マウントホルダー部(バレルを装着し、基板に固定する部分)、CMOS(イメージセンサー)の枠、シャッターおよびシャッターボビン部、絞りのリング、ストッパー(レンズを押さえる部分)などが挙げられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例における特性値は以下の方法によって測定した。

〈溶融粘度〉
溶融粘度測定装置(東洋精機(株)製キャピログラフ1D)により、0.7mmφ×10mmのキャピラリーを用いて、せん断速度1000s−1の条件で溶融粘度を測定した。
〈結晶融解温度〉
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製Exstar6000)を用いて、試料を室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)を測定した後、Tm1より20〜50℃高い温度で10分間保持した。次いで、20℃/分の降温条件で室温まで試料を冷却し、さらに再度20℃/分の昇温条件で測定した際の吸熱ピークを観測し、そのピークトップを示す温度を結晶融解温度(Tm)とした。
〈荷重たわみ温度〉
射出成形機(日精樹脂工業(株)製UH1000−110)を用いて、短冊状試験片(長さ127mm×幅12.7mm×厚さ3.2mm)を成形し、これを用いてASTM D648に準拠し、荷重1.82MPa、昇温速度2℃/分で所定たわみ量(2.54mm)になる温度を測定した。
〈引張強度〉
型締め圧15tの射出成形機(住友重機械工業(株)製 MINIMAT M26/15)を用いて融点+20〜40℃のシリンダー温度、金型温度70℃で射出成形し、ダンベル状引張試験片(長さ63.5mm×幅3.5mm×厚さ2.0mm)を作製した。INSTRON5567(インストロンジャパン カンパニイリミテッド社製万能試験機)を用いて、スパン間距離25.4mm、引張速度5mm/minで測定した。
〈曲げ強度、曲げ弾性率〉
引張強度測定に用いた成形片と同条件にし、短冊状曲げ試験片(長さ65mm×幅12.7mm×厚さ2.0mm)を作製した。曲げ試験は、3点曲げ試験をINSTRON5567(インストロンジャパンカンパニイリミティッド社製万能試験機)を用いて、スパン間距離40.0mm、圧縮速度1.3mm/minで行った。
〈蛍光スペクトル〉
表面が平滑な成形片を作製し、日立製分光蛍光光度計F−4500を用いて、励起波長373nm、スキャンスピード1200nm/minで蛍光スペクトルを測定した。
蛍光ピーク波長の値は、400〜700nmの範囲において検出されたピークトップの波長を示す。
〈消しゴムを用いたフィブリル化の評価〉
曲げ強度測定に用いた成形片の表面を、JIS S 6050に規定の消しゴムでMD方向に30往復擦り、目視によって、フィブリルの有無を確認した。
フィブリルが確認されれば×、確認されなければ○とした。
〈超音波を用いたフィブリル化の評価〉
蒸留水を入れた超音波洗浄機(株式会社エスエヌディ社製超音波洗浄機US−102)に曲げ強度測定に用いた試験片を沈め、発信周波数38kHz、100Wの出力で5分間、超音波洗浄を行った。洗浄後の樹脂表面を、目視およびマイクロスコープによって、フィブリルの有無を確認した。フィブリルが目視により確認されれば×、目視では確認されないがマイクロスコープにより確認されれば△、マイクロスコープでも確認されなければ○とした。
実施例1
下記化合物を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下に40〜170℃の間を1時間かけて昇温し、170℃で30分保った後、350℃まで7時間かけて昇温し、さらに350℃で10分反応させた後、350℃で減圧を行った。次いで1.5時間かけて10torrまで減圧し、所定の攪拌トルクに達した時点で重縮合を完結させた。反応容器から内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリマーのペレットを得た。重合時の留出酢酸量はほぼ理論量どおりであった。

4−ヒドロキシ安息香酸 :70モル部
2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸 :2モル部
ハイドロキノン :14モル部
2,6−ナフタレンジカルボン酸 :14モル部
ピロメリット酸 :1.0モル部
無水酢酸 :105モル部
得られたペレットを成形し、荷重たわみ温度、引張強度、曲げ強度および曲げ弾性率、蛍光スペクトル、ならびにフィブリル化の評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表1に示した。
比較例1
下記化合物を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、実施例1と同様の手順で重縮合、成形を行い、荷重たわみ温度、引張強度、曲げ強度および曲げ弾性率、蛍光スペクトル、ならびにフィブリル化の評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表1に示した。
4−ヒドロキシ安息香酸 :70モル部
2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸 :2モル部
ハイドロキノン :14モル部
2,6−ナフタレンジカルボン酸 :14モル部
無水酢酸 :105モル部
実施例2
下記化合物を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、実施例1と同様の手順で重縮合、成形を行い、荷重たわみ温度、引張強度、曲げ強度および曲げ弾性率、ならびにフィブリル化の評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表1に示した。
4−ヒドロキシ安息香酸 :70モル部
2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸 :2モル部
ハイドロキノン :14モル部
2,6−ナフタレンジカルボン酸 :14モル部
ピロメリット酸 :0.3モル部
無水酢酸 :105モル部
実施例3
下記化合物を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、実施例1と同様の手順で重縮合、成形を行い、荷重たわみ温度、引張強度、曲げ強度および曲げ弾性率、ならびにフィブリル化の評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表1に示した。
4−ヒドロキシ安息香酸 :70モル部
2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸 :2モル部
ハイドロキノン :14モル部
2,6−ナフタレンジカルボン酸 :14モル部
ピロメリット酸 :0.5モル部
無水酢酸 :105モル部
Figure 2016065228
表1に示される通り、ピロメリット酸をモノマー成分として用いた実施例1〜3の液晶ポリマーは、ピロメリット酸をモノマー成分として用いなかった比較例1の液晶ポリマーと比べてフィブリル化が抑制されると共に、電子部品等の成形品に用いるために十分な溶融粘度、結晶融解温度、荷重たわみ温度、引張強度、曲げ強度および曲げ弾性率を有することが分かる。
実施例4
下記化合物を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下に40〜170℃の間を1時間かけて昇温し、170℃で30分保った後、350℃まで7.5時間かけて昇温し、さらに350℃で10分反応させた後、350℃で減圧を行った。次いで1.5時間かけて10torrまで減圧し、所定の攪拌トルクに達した時点で重縮合を完結させた。反応容器から内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリマーのペレットを得た。重合時の留出酢酸量はほぼ理論量どおりであった。
4−ヒドロキシ安息香酸 :42モル部
2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸 :16モル部
ハイドロキノン :21モル部
テレフタル酸 :21モル部
ピロメリット酸 :1.0モル部
無水酢酸 :103モル部
得られたペレットを成形し、荷重たわみ温度、引張強度、曲げ強度および曲げ弾性率、蛍光スペクトル、ならびにフィブリル化の評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表2に示した。
比較例2
下記化合物を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、実施例4と同様の手順で重縮合、成形を行い、荷重たわみ温度、引張強度、曲げ強度および曲げ弾性率、蛍光スペクトル、ならびにフィブリル化の評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表2に示した。
4−ヒドロキシ安息香酸 :42モル部
2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸 :16モル部
ハイドロキノン :21モル部
テレフタル酸 :21モル部
無水酢酸 :103モル部
Figure 2016065228
表2に示される通り、ピロメリット酸をモノマー成分として用いた実施例4の液晶ポリマーは、ピロメリット酸をモノマー成分として用いなかった比較例2の液晶ポリマーと比べてフィブリル化が抑制されると共に、電子部品等の成形品に用いるために十分な溶融粘度、結晶融解温度、荷重たわみ温度、引張強度、曲げ強度および曲げ弾性率を有することが分かる。
実施例5
下記化合物を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下に40〜170℃の間を1時間かけて昇温し、170℃で30分保った後、330℃まで7時間かけて昇温し、さらに330℃で10分反応させた後、330℃で減圧を行った。次いで1.5時間かけて10torrまで減圧し、所定の攪拌トルクに達した時点で重縮合を完結させた。反応容器から内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリマーのペレットを得た。重合時の留出酢酸量はほぼ理論量どおりであった。
4−ヒドロキシ安息香酸 :73モル部
2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸 :27モル部
ピロメリット酸 :1.0モル部
無水酢酸 :101モル部
得られたペレットを成形し、荷重たわみ温度、引張強度、曲げ強度および曲げ弾性率、ならびに蛍光スペクトルの評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表1に示した。また、蛍光スペクトルを図1に示した。
比較例3
下記化合物を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、実施例5と同様の手順で重縮合、成形を行い、荷重たわみ温度、引張強度、曲げ強度および曲げ弾性率、ならびに蛍光スペクトルの評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表3に示した。また、蛍光スペクトルを図2に示した。
4−ヒドロキシ安息香酸 :73モル部
2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸 :27モル部
無水酢酸 :101モル部
Figure 2016065228
実施例6
下記化合物を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下に40〜170℃の間を1時間かけて昇温し、170℃で30分保った後、350℃まで7.5時間かけて昇温し、さらに350℃で10分反応させた後、350℃で減圧を行った。次いで1.5時間かけて5torrまで減圧し、所定の攪拌トルクに達した時点で重縮合を完結させた。反応容器から内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリマーのペレットを得た。重合時の留出酢酸量はほぼ理論量どおりであった。
4−ヒドロキシ安息香酸 :35モル部
2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸 :5モル部
ハイドロキノン :16モル部
4,4´−ビフェノール :14モル部
テレフタル酸 :30モル部
ピロメリット酸 :2.0モル部
無水酢酸 :103モル部
得られたペレットを成形し、荷重たわみ温度、引張強度、曲げ強度および曲げ弾性率、ならびにフィブリル化の評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表4に示した。
比較例4
下記化合物を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、実施例5と同様の手順で重縮合、成形を行い、荷重たわみ温度、引張強度、曲げ強度および曲げ弾性率、ならびにフィブリル化の評価を行った。その結果を得られた樹脂の溶融粘度および結晶融解温度とともに表4に示した。
4−ヒドロキシ安息香酸 :35モル部
2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸 :5モル部
ハイドロキノン :16モル部
4,4´−ビフェノール :14モル部
テレフタル酸 :30モル部
無水酢酸 :103モル部
Figure 2016065228
表4に示される通り、ピロメリット酸をモノマー成分として用いた実施例6の液晶ポリマーは、ピロメリット酸をモノマー成分として用いなかった比較例4の液晶ポリマーと比べてフィブリル化が抑制されると共に、電子部品等の成形品に用いるために十分な溶融粘度、結晶融解温度、荷重たわみ温度、引張強度、曲げ強度および曲げ弾性率を有することが分かる。

Claims (10)

  1. ピロメリット酸またはその無水物、およびその反応性誘導体からなる群より選択される重合性単量体(A)と、他の重合性単量体(B)とから構成される共重合体である、液晶ポリマー。
  2. 重合性単量体(A)の合計量が、他の重合性単量体(B)の合計量100モル部に対して0.01〜10モル部である、請求項1に記載の液晶ポリマー。
  3. 他の重合性単量体(B)が、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸からなる群から選択される1種以上の化合物である、請求項1または2に記載の液晶ポリマー。
  4. 他の重合性単量体(B)が芳香族ヒドロキシカルボン酸を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の液晶ポリマー。
  5. 他の重合性単量体(B)が、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の液晶ポリマー。
  6. 芳香族ヒドロキシカルボン酸が、4−ヒドロキシ安息香酸および/または2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸である、請求項3〜5のいずれかに記載の液晶ポリマー。
  7. 芳香族ジカルボン酸が、テレフタル酸、イソフタル酸、および2,6−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選択される1種以上の化合物である、請求項3または5に記載の液晶ポリマー。
  8. 芳香族ジオールが、ハイドロキノン、レゾルシン、4,4'−ジヒドロキシビフェニルおよび2,6−ジヒドロキシナフタレンからなる群から選択される1種以上の化合物である、請求項3または5に記載の液晶ポリマー。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の液晶ポリマーと無機または有機充填材を含む液晶ポリマー組成物。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の液晶ポリマーまたは請求項9に記載の液晶ポリマー組成物を加工してなる、成形品、フィルムおよび繊維からなる群から選択される製品。
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