JP2016065191A - ポリオキサミド樹脂及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、従来のポリオキサミド樹脂の製造において必須工程であった前重縮合工程を経由する段階的な合成方法ではなく、単工程かつ簡便な反応操作にて高分子量のポリオキサミド樹脂を製造する方法を提供するものである。【解決手段】 本発明の課題は、シュウ酸ジアリールエステルと、1又は複数種のジアミンとを反応させることを特徴とする、特定の繰り返し単位を1又は複数種有する高分子量ポリオキサミド樹脂の製造方法によって解決される。【選択図】 なし
Description
本発明は、高分子量のポリオキサミド樹脂及びその製造方法に関する。
ナイロン6やナイロン66などに代表されるポリアミド樹脂は、その結晶性などの優れた特性と溶融成形の容易さから、例えば、衣料用、産業資材用繊維、汎用のエンジニアリングプラスチック等にこれまで幅広く用いられてきた。しかしながら、一方で、吸水による物性変化、酸、高温のアルコール、熱水中での劣化などの問題点も指摘されており、近年、より寸法安定性、耐薬品性に優れた新たなポリアミド樹脂への要求が高まっている。
ポリアミド樹脂において、例えば、ジカルボン酸モノマーがシュウ酸由来のユニットであるポリアミド樹脂は「ポリオキサミド樹脂」と呼ばれ、これまでに様々なポリオキサミド樹脂が合成されている。また、このポリオキサミド樹脂は、同じアミノ基濃度の他のポリアミド樹脂と比較して融点が高いこと、飽和吸水率が低いことも既に知られている(例えば、特許文献1、特許文献2又は非特許文献1参照)。
一般的にポリオキサミド樹脂は、シュウ酸若しくはシュウ酸ジエステルと、脂肪族ジアミン又は芳香族ジアミンとの重縮合反応により得られるが、例えば、シュウ酸をモノマーとして使用する場合には、反応温度が180℃を超えるとシュウ酸及び重合物のシュウ酸末端部位が熱分解(又は変性)するため、これまで相対粘度ηrが2.6(98%硫酸を使用した1.0g/dlのポリオキサミド樹脂硫酸溶液を25℃で測定したとき相対粘度)を超えるような高分子量のポリオキサミド樹脂は、合成方法を含めて知られていなかった(例えば、特許文献1〜5及び非特許文献1参照)。また、シュウ酸エステルをモノマーとして使用する場合についても、シュウ酸ジアルキル、特にシュウ酸ジブチルが使用された報告例が多く、本発明で使用するシュウ酸ジアリールエステルを用いた合成例については一切知られていない。
一方、ポリオキサミド樹脂の反応方法に関しては、例えば、原料のジアミンを、トルエンなどを溶媒としてあらかじめ混合し、次いでシュウ酸ジエステルを加えてプレポリマーを得る「前重縮合工程」と、ここで得られるプレポリマーから溶媒を留去した後に溶融重合又は固相重合してより高分子量のポリオキサミド樹脂を得る「後重縮合工程」の2段階の重合工程を用いる反応方法が一般的である。しかしながら、この方法では、後工程で溶融重合又は固相重合を行うために、一旦、プレポリマーから溶媒を留去させる必要があり、多くのエネルギーと時間とを浪費するという点で、工業的に好適な製造方法とは言い難かった(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
S.W.Shalaby.,J.Polym.Sci.,11,1(1973)
そこで、本発明は、従来のポリオキサミド樹脂の製造において必須工程であった前重縮合工程を経由する段階的な合成方法ではなく、単工程かつ簡便な反応操作にて高分子量のポリオキサミド樹脂を製造する方法を提供するものである。
本発明の課題は、式(1)で示されるシュウ酸ジアリールエステルと、式(2)で示される1又は複数種のジアミンとを反応させることを特徴とする、式(3)で示される繰り返し単位を1又は複数種有する高分子量ポリオキサミド樹脂の製造方法によって解決される。
(式中、R1及びR2は、置換基を有していてもよい炭素数6〜24のアリールオキシ基であり、さらにR1とR2は互いに同一またはそれぞれ異なっていてもよい。但し、式(1)の総炭素数は36を越えない。)
(式中、Zは、炭素数2〜24のアルキレン基、炭素数6〜24のアリーレン基、分子鎖中にヘテロ原子を含有していてもよい炭素数2〜24のアルキレン基、分子鎖中にヘテロ原子を含有していてもよい炭素数6〜24のアリーレン基であり、さらにこれらの基は置換基を有していてもよい。但し、式(2)の総炭素数は36を越えない。)
(式中、Zは前記式(2)のものと同義である。)
本発明により、単工程かつ簡便な反応操作にて高分子量のポリオキサミド樹脂を製造する方法を提供することができる。本発明の高分子量のポリオキサミド樹脂は、例えば、耐熱性及や、耐引張り特性等の高い寸法安定性は、高い物性基準が要求される自動車部材や各種電子部品分野などでの適用が期待される。
本発明の式(3)で示される繰り返し単位を1又は複数種有する高分子量ポリオキサミド樹脂(3’)は、式(1)で示されるシュウ酸ジアリールエステルと、式(2)で示される1又は複数種のジアミンとを反応させることによって得られる(下記式<1>)。なお、本発明の高分子量ポリオキサミドの製造のことを、「本発明の反応」と称することもある。
(式中、R1及びR2は、置換基を有していてもよい炭素数6〜24のアリールオキシ基であり、さらにR1とR2は互いに同一またはそれぞれ異なっていてもよい。但し、一般式(1)の総炭素数は36を越えない。
Zは、炭素数2〜24のアルキレン基、炭素数6〜24のアリーレン基、分子鎖中にヘテロ原子を含有していてもよい炭素数2〜24のアルキレン基、分子鎖中にヘテロ原子を含有していてもよい炭素数6〜24のアリーレン基であり、さらにこれらの基は置換基を有していてもよい。但し、一般式(2)の総炭素数は36を越えない。
nは繰り返し単位の数を示す。)
Zは、炭素数2〜24のアルキレン基、炭素数6〜24のアリーレン基、分子鎖中にヘテロ原子を含有していてもよい炭素数2〜24のアルキレン基、分子鎖中にヘテロ原子を含有していてもよい炭素数6〜24のアリーレン基であり、さらにこれらの基は置換基を有していてもよい。但し、一般式(2)の総炭素数は36を越えない。
nは繰り返し単位の数を示す。)
(シュウ酸ジアリールエステル)
本発明の反応で使用するシュウ酸ジアリールエステルは、前記の式(1)で示される。その式(1)において、R1及びR2は、置換基を有していてもよい炭素数6〜24のアリールオキシ基であり、「炭素数6〜24のアリールオキシ基」としては、例えば、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントラニルオキシ基、ビフェニルオキシ基などが挙げられるが、好ましくはフェニルオキシ基である。
本発明の反応で使用するシュウ酸ジアリールエステルは、前記の式(1)で示される。その式(1)において、R1及びR2は、置換基を有していてもよい炭素数6〜24のアリールオキシ基であり、「炭素数6〜24のアリールオキシ基」としては、例えば、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントラニルオキシ基、ビフェニルオキシ基などが挙げられるが、好ましくはフェニルオキシ基である。
前記「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、フッ素で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基(直鎖、分岐鎖、環状)、フッ素で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキルオキシ基(直鎖、分岐鎖、環状)などが挙げられるが、好ましくはニトロ基である(なお、置換位置が限定されない)。
R1とR2は互いに同一またはそれぞれ異なっていてもよいが、式(1)の総炭素数は36を越えない。
シュウ酸ジアリールエステルの使用量は、重合反応に悪影響を与えない量であれば、特に限定されない。しかしながら、工業的製造を考えた場合、その経済性から式(2)で示されるジアミンの使用量1モルに対して、好ましくは0.1〜10モル、更に好ましくは0.5〜5モル、より好ましくは0.5〜2.2モルである。
(ジアミン)
本発明の反応で使用するジアミンは、前記の式(2)で示される。その式(2)において、Zは、炭素数2〜24のアルキレン基、炭素数6〜24のアリーレン基、分子鎖中にヘテロ原子を含有していてもよい炭素数2〜24のアルキレン基、分子鎖中にヘテロ原子を含有していてもよい炭素数6〜24のアリーレン基である。
本発明の反応で使用するジアミンは、前記の式(2)で示される。その式(2)において、Zは、炭素数2〜24のアルキレン基、炭素数6〜24のアリーレン基、分子鎖中にヘテロ原子を含有していてもよい炭素数2〜24のアルキレン基、分子鎖中にヘテロ原子を含有していてもよい炭素数6〜24のアリーレン基である。
炭素数2〜24のアルキレン基としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、へプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、シクロヘキシレン、ジシクロヘキシレンなどが挙げられる。なお、これらの基は各種異性体(例えば、ノニレン基(ノナメチレン基)に対して2−メチルオクチレン基など)を含む。
炭素数6〜24のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基などが挙げられる。
分子鎖中にヘテロ原子を含有していてもよい炭素数2〜24のアルキレン基としては、前記炭素数2〜24のアルキレン基の1又は複数の水素がハロゲン、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)で置換されているものや、炭素原子が酸素原子(−O−)や硫黄原子(−S−)で置換されているものを示す。
分子鎖中にヘテロ原子を含有していてもよい炭素数6〜24のアリーレン基としては、前記炭素数6〜24のアリーレン基の1又は複数の水素がハロゲン、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)で置換されているものや、炭素原子が酸素原子(−O−)や硫黄原子(−S−)で置換されているものを示す。
炭素数6〜24のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基などが挙げられる。
分子鎖中にヘテロ原子を含有していてもよい炭素数2〜24のアルキレン基としては、前記炭素数2〜24のアルキレン基の1又は複数の水素がハロゲン、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)で置換されているものや、炭素原子が酸素原子(−O−)や硫黄原子(−S−)で置換されているものを示す。
分子鎖中にヘテロ原子を含有していてもよい炭素数6〜24のアリーレン基としては、前記炭素数6〜24のアリーレン基の1又は複数の水素がハロゲン、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)で置換されているものや、炭素原子が酸素原子(−O−)や硫黄原子(−S−)で置換されているものを示す。
なお、Zは、更に置換基を有していても良く、そのような置換基としては、例えば、炭素数1〜12のアルキル基であり、その置換基数は限定されない。但し、式(1)の総炭素数は36を越えない。
本発明の反応で使用するジアミンは、植物由来のものを用いることにより、植物由来成分含有率の高いポリオキサミドを得ることができる。例えば、1,5−ヘキサンジアミンは、リジンを原料として製造することができる。
ジアミンの植物由来の場合には、目的とするポリオキサミド樹脂の商物由来成分含有率は60%以上となり好ましい。
このように、高い比率で植物由来の成分を含有させることにより、焼却によって排出される二酸化炭素と、植物の育成過程で吸収される二酸化炭素が同じ量とはならないまでも、いわゆるカーボンニュートラルという環境に優しいプロセスとなり得る。
ジアミンの植物由来の場合には、目的とするポリオキサミド樹脂の商物由来成分含有率は60%以上となり好ましい。
このように、高い比率で植物由来の成分を含有させることにより、焼却によって排出される二酸化炭素と、植物の育成過程で吸収される二酸化炭素が同じ量とはならないまでも、いわゆるカーボンニュートラルという環境に優しいプロセスとなり得る。
(ポリオキサミド樹脂の製造)
本発明の反応は、シュウ酸ジアリールエステル、1又は複数種のジアミン及び溶媒を混合して、攪拌しながら反応させるなどの方法によって行われる。
その際の反応温度は、使用する溶媒の沸点以下であって円滑に反応が進行する温度であれば、特に限定されないが、好ましくは30〜200℃、更に好ましくは75〜200℃、より好ましくは75〜180℃ある。この温度範囲であれば、本発明の高分子量のポリオキサミド樹脂を効率的に製造することができる。
また、反応圧力は、大気圧下、加圧下又は減圧下、或いは窒素又は不活性ガスの雰囲気下又はガス気流下のいずれであってもよい。
本発明の反応は、シュウ酸ジアリールエステル、1又は複数種のジアミン及び溶媒を混合して、攪拌しながら反応させるなどの方法によって行われる。
その際の反応温度は、使用する溶媒の沸点以下であって円滑に反応が進行する温度であれば、特に限定されないが、好ましくは30〜200℃、更に好ましくは75〜200℃、より好ましくは75〜180℃ある。この温度範囲であれば、本発明の高分子量のポリオキサミド樹脂を効率的に製造することができる。
また、反応圧力は、大気圧下、加圧下又は減圧下、或いは窒素又は不活性ガスの雰囲気下又はガス気流下のいずれであってもよい。
(溶媒)
本発明の反応で使用する溶媒は、重合反応に悪影響を与えない溶媒であれば、特に限定されないが、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、クレゾール、ニトロベンゼン、フェノール、チオフェノールなどの芳香族系溶媒;ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、メチルt−ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの脂肪族系溶媒;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドなどのアミド系溶媒;塩化メチレン、塩化エチレン、クロロベンゼンなどの含ハロゲン化系溶媒;ジメチルスルホキシド、ホスファゼン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネンなどが挙げられるが、好ましくは芳香族系溶媒が使用される。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
本発明の反応で使用する溶媒は、重合反応に悪影響を与えない溶媒であれば、特に限定されないが、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、クレゾール、ニトロベンゼン、フェノール、チオフェノールなどの芳香族系溶媒;ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、メチルt−ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの脂肪族系溶媒;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドなどのアミド系溶媒;塩化メチレン、塩化エチレン、クロロベンゼンなどの含ハロゲン化系溶媒;ジメチルスルホキシド、ホスファゼン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネンなどが挙げられるが、好ましくは芳香族系溶媒が使用される。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
本発明の反応に使用する溶媒の量は、重合反応に悪影響を与えない量であれば、特に限定されない。
反応終了後、得られた反応液から溶媒を留去し、乾燥して目的物であるポリオキサミド樹脂を固体として取得しても、又は得られた反応液を再沈殿などの常法により精製して、目的物であるポリオキサミド樹脂を固体として取得してもいずれの取得方法であってもよい。
なお、2種のジアミンを使用した場合には、下記式や後述する実施例2などで示すように、複数種の分子構造を有する高分子量ポリオキサミド樹脂が生成する。
(式中、Z1及びZ2はZと同義であり、n1及びn2はnと同義である。)
(高分子量ポリオキサミド樹脂)
本発明の反応で得られる高分子量ポリオキサミド樹脂は、以下の測定方法で示される相対粘度が2.6〜6.0であり、数平均分子量が20,000〜50,000である、新規な高分子量ポリオキサミド樹脂である。
(相対粘度)
98%硫酸で調製した0.01g/mL濃度のポリオキサミド樹脂溶液を、25℃でオストワルド式粘度計を用いて測定する。
(数平均分子量)
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC:ポリスチレン標準)を用いて測定する。
本発明の反応で得られる高分子量ポリオキサミド樹脂は、以下の測定方法で示される相対粘度が2.6〜6.0であり、数平均分子量が20,000〜50,000である、新規な高分子量ポリオキサミド樹脂である。
(相対粘度)
98%硫酸で調製した0.01g/mL濃度のポリオキサミド樹脂溶液を、25℃でオストワルド式粘度計を用いて測定する。
(数平均分子量)
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC:ポリスチレン標準)を用いて測定する。
相対粘度は2.6〜6.0であるが、好ましくは3.0〜6.0である。相対粘度がこの範囲にあることで良好な成形性を有することが期待される。相対粘度が2.6以上では、所望の物性を持つフィルムや成型品等を得ることが可能であり、一方、6.0を越えないことで成形加工性の難易度が高くなるのを防ぐことができる。
数平均分子量は20,000〜50,000であるが、好ましくは25,000〜50,00、更に好ましくは30,000〜50,000である。数平均分子量が20,000以上であることで、従来品より成形物の靭性が増すことが期待され、一方、50,000を超えないことで溶融粘度が低く抑え、それに伴い成形加工性の難易度が高くなるのを防ぐことができる。
本発明により得られるポリオキサミド樹脂の末端基は、ジアミン成分由来のアミノ基、シュウ酸ジアリールエステル成分由来のアリールオキシ基、或いはホルムアミド基(−NHCHO基)のうちのいずれかである。ここで、ホルムアミド基は、例えば、特開2012−72200号公報に記載のように原料中および反応系中の水分とアルコキシ基の反応、又はアミノ基とアルコキシ基の反応により生成するものと考えられる。
<ポリオキサミド樹脂成型品>
(ポリオキサミド樹脂の配合物)
本発明で得られるポリオキサミド樹脂は、例えば、ポリオキサミド樹脂成型品等を作製するにあたり、本発明の効果を損なわない範囲で、他のポリオキサミドや、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミドなどポリアミド類を混合することが可能である。また、ポリアミド以外にも、例えば、熱可塑性ポリマー、エラストマー、フィラー、補強繊維剤、各種添加剤、銅化合物などの安定化剤、着色剤(色素)、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、ガラス繊維、可塑剤、潤滑剤(易滑剤)などを反応時、または反応の前後に添加してもよい。
(ポリオキサミド樹脂の配合物)
本発明で得られるポリオキサミド樹脂は、例えば、ポリオキサミド樹脂成型品等を作製するにあたり、本発明の効果を損なわない範囲で、他のポリオキサミドや、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミドなどポリアミド類を混合することが可能である。また、ポリアミド以外にも、例えば、熱可塑性ポリマー、エラストマー、フィラー、補強繊維剤、各種添加剤、銅化合物などの安定化剤、着色剤(色素)、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、ガラス繊維、可塑剤、潤滑剤(易滑剤)などを反応時、または反応の前後に添加してもよい。
(成形方法)
本発明で得られるポリオキサミド樹脂の成形方法としては、例えば、射出、押出、中空、プレス、ロール、発泡、真空・圧空、延伸などポリアミドに適用できる公知の成形加工法はすべて可能であり、これらの成形法によって、例えば、フィルム、シート、成形品、繊維などに加工・成形することができる。
本発明で得られるポリオキサミド樹脂の成形方法としては、例えば、射出、押出、中空、プレス、ロール、発泡、真空・圧空、延伸などポリアミドに適用できる公知の成形加工法はすべて可能であり、これらの成形法によって、例えば、フィルム、シート、成形品、繊維などに加工・成形することができる。
(使用用途)
本発明によって得られるポリオキサミド樹脂成型品は、従来のポリアミド成形品が用いられてきた各種成形品、例えば、シート、フィルム、パイプ、チューブ、モノフィラメント、繊維、容器等として、自動車部材、コンピューター及び関連機器、光学機器部材、電気・電子機器、情報・通信機器、精密機器、土木・建築用品、医療用品、家庭用品など広範な用途に使用することができる。
本発明によって得られるポリオキサミド樹脂成型品は、従来のポリアミド成形品が用いられてきた各種成形品、例えば、シート、フィルム、パイプ、チューブ、モノフィラメント、繊維、容器等として、自動車部材、コンピューター及び関連機器、光学機器部材、電気・電子機器、情報・通信機器、精密機器、土木・建築用品、医療用品、家庭用品など広範な用途に使用することができる。
次に、本発明の内容を実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。なお、実施例に示す材料、使用量、割合、操作等は、本発明の範囲内であれば適宜変更しても同様の効果が期待できる。したがって、本発明は以下に示す具体例の範囲に制限されるものではない。
なお、実施例中の構造解析、数平均分子量の算出、末端基濃度の算出、相対粘度の測定は、特開2012−72200号公報に記載の方法に従って行った。
なお、実施例中の構造解析、数平均分子量の算出、末端基濃度の算出、相対粘度の測定は、特開2012−72200号公報に記載の方法に従って行った。
<実施例1:ポリオキサミド5樹脂の合成>
温度計、還流管および滴下漏斗を備えたガラス製反応容器に、11.8gのシュウ酸ジフェニルと75mLのトルエンを加え、75℃で撹拌して溶解させた。得られた溶解液に、5.00gの1,5−ペンタンジアミン(植物由来成分含有率;100%、特願2013−040273号に記載の方法と同じ方法で得られたもの)と20mLのトルエンの混合液を、内温75℃に保ちながら滴下した。滴下終了後、引き続き、反応液を還流下(〜114℃)にて5時間激しく撹拌して反応を行った。
反応終了後、得られた反応物から、トルエン及びフェノールを減圧下で留去し、得られた残渣物を200℃、3時間乾燥した。乾燥終了後、フラスコから内容物を取り出し、目的物である下記式(3−P5)を繰り返し単位として分子構造に持つポリオキサミド5樹脂を白色固体として7.17g得た(植物由来成分含有率;64%)。得られたポリオキサミド5樹脂の融点は305℃(Tg−DTA装置測定 操作速度:20℃/分)、GPC分析による数平均分子量(標準物質:ポリスチレン)は33,200であった。また、オストワルド式粘度計を用いたポリオキサミド5樹脂(98%硫酸中、0.01g/ml濃度)の相対粘度(ηr:25℃)は、3.33であった(特開2012−31393号公報:[硫酸相対濃度]項の測定方法参照)。さらに、その他の物性については表1に示す(なお、各分析値は特開2012−72200号公報に記載の測定法に従う)。
温度計、還流管および滴下漏斗を備えたガラス製反応容器に、11.8gのシュウ酸ジフェニルと75mLのトルエンを加え、75℃で撹拌して溶解させた。得られた溶解液に、5.00gの1,5−ペンタンジアミン(植物由来成分含有率;100%、特願2013−040273号に記載の方法と同じ方法で得られたもの)と20mLのトルエンの混合液を、内温75℃に保ちながら滴下した。滴下終了後、引き続き、反応液を還流下(〜114℃)にて5時間激しく撹拌して反応を行った。
反応終了後、得られた反応物から、トルエン及びフェノールを減圧下で留去し、得られた残渣物を200℃、3時間乾燥した。乾燥終了後、フラスコから内容物を取り出し、目的物である下記式(3−P5)を繰り返し単位として分子構造に持つポリオキサミド5樹脂を白色固体として7.17g得た(植物由来成分含有率;64%)。得られたポリオキサミド5樹脂の融点は305℃(Tg−DTA装置測定 操作速度:20℃/分)、GPC分析による数平均分子量(標準物質:ポリスチレン)は33,200であった。また、オストワルド式粘度計を用いたポリオキサミド5樹脂(98%硫酸中、0.01g/ml濃度)の相対粘度(ηr:25℃)は、3.33であった(特開2012−31393号公報:[硫酸相対濃度]項の測定方法参照)。さらに、その他の物性については表1に示す(なお、各分析値は特開2012−72200号公報に記載の測定法に従う)。
<実施例2:ポリオキサミド9/8樹脂の合成>
温度計、還流管および滴下漏斗を備えたガラス製反応容器に、7.62gのシュウ酸ジフェニルと75mLのトルエンを加え、75℃で撹拌して溶解させた。得られた溶解液に、4.25gの1,9−ノナメチレンジアミンと0.75gの2−メチル−1,8−オクタメチレンジアミン(複数種のジアミンを使用)及び20mLのトルエンの混合液を、内温75℃に保ちながら滴下した。滴下終了後、引き続き、反応液を還流下(〜115℃)にて5時間激しく撹拌して反応を行った。
反応終了後、得られた反応物から、トルエン及びフェノールを減圧下で留去し、得られた残渣物を200℃、3時間乾燥した。乾燥終了後、フラスコから内容物を取り出し、目的物である下記式(3−P9/8)を繰り返し単位として分子構造に持つポリオキサミドポリオキサミド9/8樹脂を固体として5.2g得た。得られたポリオキサミド9/8樹脂の融点は235℃(Tg−DTA装置測定 操作速度:20℃/分)、GPC分析による数平均分子量(標準物質:ポリスチレン)は44,736であった。また、オストワルド式粘度計を用いたポリオキサミド5樹脂(98%硫酸中、0.01g/ml濃度)の相対粘度(ηr:25℃)は、4.94であった(特開2012−31393号公報:[硫酸相対濃度]項の測定方法参照)。さらに、その他の物性は表1に示す(なお、各分析値は特開2012−72200号公報に記載の測定法に従う)。
温度計、還流管および滴下漏斗を備えたガラス製反応容器に、7.62gのシュウ酸ジフェニルと75mLのトルエンを加え、75℃で撹拌して溶解させた。得られた溶解液に、4.25gの1,9−ノナメチレンジアミンと0.75gの2−メチル−1,8−オクタメチレンジアミン(複数種のジアミンを使用)及び20mLのトルエンの混合液を、内温75℃に保ちながら滴下した。滴下終了後、引き続き、反応液を還流下(〜115℃)にて5時間激しく撹拌して反応を行った。
反応終了後、得られた反応物から、トルエン及びフェノールを減圧下で留去し、得られた残渣物を200℃、3時間乾燥した。乾燥終了後、フラスコから内容物を取り出し、目的物である下記式(3−P9/8)を繰り返し単位として分子構造に持つポリオキサミドポリオキサミド9/8樹脂を固体として5.2g得た。得られたポリオキサミド9/8樹脂の融点は235℃(Tg−DTA装置測定 操作速度:20℃/分)、GPC分析による数平均分子量(標準物質:ポリスチレン)は44,736であった。また、オストワルド式粘度計を用いたポリオキサミド5樹脂(98%硫酸中、0.01g/ml濃度)の相対粘度(ηr:25℃)は、4.94であった(特開2012−31393号公報:[硫酸相対濃度]項の測定方法参照)。さらに、その他の物性は表1に示す(なお、各分析値は特開2012−72200号公報に記載の測定法に従う)。
<実施例3:ポリオキサミド12樹脂の合成>
温度計、還流管および滴下漏斗を備えたガラス製反応容器に、6.17gのシュウ酸ジフェニルと75mLのトルエンを加え、75℃で撹拌して溶解させた。得られた溶解液に、1,12−ドデカメチレンジアミン5.16g(24.9ミリモル)と20mLのトルエンの混合液を、75℃に保温したフラスコに滴下した。滴下終了後、引き続き、反応液を還流下(〜115℃)にて5時間激しく撹拌して反応を行った。
反応終了後、得られた反応物から、トルエン及びフェノールを減圧下で留去し、得られた残渣物を200℃、3時間乾燥した。乾燥終了後、フラスコから内容物を取り出し、目的物である下記式(3−P12)を繰り返し単位として分子構造に持つポリオキサミド12樹脂を固体として5.56g得た。得られたポリオキサミド12樹脂の融点は225℃(Tg−DTA装置測定 操作速度:20℃/分)、GPC分析による数平均分子量(標準物質:ポリエチレン)は25,300であった。また、オストワルド式粘度計を用いたポリオキサミド12樹脂(98%硫酸中、0.01g/ml濃度)の相対粘度(ηr:25℃)は、2.62であった(特開2012−31393:[硫酸相対濃度]項の測定方法参照)。また、その他の物性は表1に示す(なお、各分析値は特開2012−72200号公報に記載の測定法に従う)。
温度計、還流管および滴下漏斗を備えたガラス製反応容器に、6.17gのシュウ酸ジフェニルと75mLのトルエンを加え、75℃で撹拌して溶解させた。得られた溶解液に、1,12−ドデカメチレンジアミン5.16g(24.9ミリモル)と20mLのトルエンの混合液を、75℃に保温したフラスコに滴下した。滴下終了後、引き続き、反応液を還流下(〜115℃)にて5時間激しく撹拌して反応を行った。
反応終了後、得られた反応物から、トルエン及びフェノールを減圧下で留去し、得られた残渣物を200℃、3時間乾燥した。乾燥終了後、フラスコから内容物を取り出し、目的物である下記式(3−P12)を繰り返し単位として分子構造に持つポリオキサミド12樹脂を固体として5.56g得た。得られたポリオキサミド12樹脂の融点は225℃(Tg−DTA装置測定 操作速度:20℃/分)、GPC分析による数平均分子量(標準物質:ポリエチレン)は25,300であった。また、オストワルド式粘度計を用いたポリオキサミド12樹脂(98%硫酸中、0.01g/ml濃度)の相対粘度(ηr:25℃)は、2.62であった(特開2012−31393:[硫酸相対濃度]項の測定方法参照)。また、その他の物性は表1に示す(なお、各分析値は特開2012−72200号公報に記載の測定法に従う)。
<比較例1:ポリオキサミド5樹脂の合成>
温度計、還流管および滴下漏斗を備えたガラス製反応容器に、9.86gのシュウ酸ジブチルと75mLのトルエンを加え、75℃で撹拌、溶解した。滴下漏斗から5.00gの1,5−ペンタンジアミン(植物由来成分含有率;100%、特願2013−040273号公報に記載の方法と同じ方法で得られたもの)と20mLのトルエンの混合液を、75℃に保温したフラスコに滴下した。滴下終了後、引き続き還流下(〜114℃)にて5時間激しく撹拌を行った。
反応終了後、得られた反応物から、トルエン及びフェノールを減圧下で留去し、得られた残渣物を200℃、3時間乾燥した。乾燥終了後、フラスコから内容物を取り出し、目的物である前記式(3−P5)を繰り返し単位として分子構造に持つポリオキサミド5樹脂を白色固体として7.17g得た(植物由来成分含有率;64%)。得られたポリオキサミド5樹脂の融点は305℃(Tg−DTA装置測定 操作速度:20℃/分)、GPC分析による数平均分子量(標準物質:ポリスチレン)は8,013であった。また、オストワルド式粘度計を用いたポリオキサミド5樹脂(98%硫酸中、0.01g/ml濃度)の相対粘度(ηr:25℃)は、1.62であった(特開2012−31393:[硫酸相対濃度]項の測定方法参照)。また、その他の物性は表1に示す(なお、各分析値は特開2012−72200号公報に記載の測定法に従う)。
温度計、還流管および滴下漏斗を備えたガラス製反応容器に、9.86gのシュウ酸ジブチルと75mLのトルエンを加え、75℃で撹拌、溶解した。滴下漏斗から5.00gの1,5−ペンタンジアミン(植物由来成分含有率;100%、特願2013−040273号公報に記載の方法と同じ方法で得られたもの)と20mLのトルエンの混合液を、75℃に保温したフラスコに滴下した。滴下終了後、引き続き還流下(〜114℃)にて5時間激しく撹拌を行った。
反応終了後、得られた反応物から、トルエン及びフェノールを減圧下で留去し、得られた残渣物を200℃、3時間乾燥した。乾燥終了後、フラスコから内容物を取り出し、目的物である前記式(3−P5)を繰り返し単位として分子構造に持つポリオキサミド5樹脂を白色固体として7.17g得た(植物由来成分含有率;64%)。得られたポリオキサミド5樹脂の融点は305℃(Tg−DTA装置測定 操作速度:20℃/分)、GPC分析による数平均分子量(標準物質:ポリスチレン)は8,013であった。また、オストワルド式粘度計を用いたポリオキサミド5樹脂(98%硫酸中、0.01g/ml濃度)の相対粘度(ηr:25℃)は、1.62であった(特開2012−31393:[硫酸相対濃度]項の測定方法参照)。また、その他の物性は表1に示す(なお、各分析値は特開2012−72200号公報に記載の測定法に従う)。
<比較例2:ポリオキサミド5樹脂の合成>
温度計、還流管および滴下漏斗を備えたガラス製反応容器に、5.75gのシュウ酸ジメチルと75mLのトルエンを加え、75℃で撹拌、溶解した。滴下漏斗から5.00gの1,5−ペンタンジアミン(植物由来成分含有率;100%、特願2013−040273号公報に記載の方法と同じ方法で得られたもの)と20mLのトルエンの混合液を、75℃に保温したフラスコに滴下した。滴下終了後、引き続き還流下(〜114℃)にて5時間激しく撹拌を行った。
反応終了後、得られた反応物から、トルエン及びフェノールを減圧下で留去し、得られた残渣物を200℃、3時間乾燥した。乾燥終了後、フラスコから内容物を取り出し、目的物である前記式(3−P5)を繰り返し単位として分子構造に持つポリオキサミド5樹脂を白色固体として7.17g得た(植物由来成分含有率;64%)。得られたポリオキサミド5樹脂の融点は305℃(Tg−DTA装置測定 操作速度:20℃/分)、GPC分析による数平均分子量(標準物質:ポリスチレン)は9,800であった。また、オストワルド式粘度計を用いたポリオキサミド5樹脂(98%硫酸中、0.01g/ml濃度)の相対粘度(ηr:25℃)は、1.47であった(特開2012−31393:[硫酸相対濃度]項の測定方法参照)。また、その他の物性は表1に示す(なお、各分析値は特開2012−72200号公報に記載の測定法に従う)。
温度計、還流管および滴下漏斗を備えたガラス製反応容器に、5.75gのシュウ酸ジメチルと75mLのトルエンを加え、75℃で撹拌、溶解した。滴下漏斗から5.00gの1,5−ペンタンジアミン(植物由来成分含有率;100%、特願2013−040273号公報に記載の方法と同じ方法で得られたもの)と20mLのトルエンの混合液を、75℃に保温したフラスコに滴下した。滴下終了後、引き続き還流下(〜114℃)にて5時間激しく撹拌を行った。
反応終了後、得られた反応物から、トルエン及びフェノールを減圧下で留去し、得られた残渣物を200℃、3時間乾燥した。乾燥終了後、フラスコから内容物を取り出し、目的物である前記式(3−P5)を繰り返し単位として分子構造に持つポリオキサミド5樹脂を白色固体として7.17g得た(植物由来成分含有率;64%)。得られたポリオキサミド5樹脂の融点は305℃(Tg−DTA装置測定 操作速度:20℃/分)、GPC分析による数平均分子量(標準物質:ポリスチレン)は9,800であった。また、オストワルド式粘度計を用いたポリオキサミド5樹脂(98%硫酸中、0.01g/ml濃度)の相対粘度(ηr:25℃)は、1.47であった(特開2012−31393:[硫酸相対濃度]項の測定方法参照)。また、その他の物性は表1に示す(なお、各分析値は特開2012−72200号公報に記載の測定法に従う)。
*1〜*6:各分析値は、それぞれ特開2012−72200号公報に記載公報の測定法に従う。
*5:比較例の場合は末端アルキルオキシ基濃度である。
*5:比較例の場合は末端アルキルオキシ基濃度である。
表1より、シュウ酸ジフェニルを使用した実施例1〜3は、分子量20,000以上かつ相対粘度2.6以上の高分子量の重合物が得られることがわかる。一方、シュウ酸ジブチルまたは、シュウ酸ジメチルを使用した比較例1及び2は、分子量が10,000以下であり、相対粘度も2以下であることから、高分子量の重合物を得るためには、シュウ酸ジフェニルが必要であることがわかる。
<実施例4、比較例3:ポリオキサミド5のフィルム及びダンベル片の作成>
次に実施例4として、シュウ酸ジフェニルを使用した実施例1のポリオキサミド5を熱プレス装置にかけ、125マイクロメートル厚のフィルムを作成した。得られたフィルムをJISダンベル8号型に成型し、ポリオキサミド5のダンベル片を得た。
同様にして比較例3として、シュウ酸ジブチルを使用した比較例1のポリオキサミド5を熱プレス装置にかけ、125マイクロメートル厚のフィルムを作成した。
次に実施例4として、シュウ酸ジフェニルを使用した実施例1のポリオキサミド5を熱プレス装置にかけ、125マイクロメートル厚のフィルムを作成した。得られたフィルムをJISダンベル8号型に成型し、ポリオキサミド5のダンベル片を得た。
同様にして比較例3として、シュウ酸ジブチルを使用した比較例1のポリオキサミド5を熱プレス装置にかけ、125マイクロメートル厚のフィルムを作成した。
表2の通り、実施例4では気泡が無く、厚みの均質なフィルムを作成可能であった。一方、比較例3では、ポリオキサミド5の熱分解が原因と想定される気泡が、フィルム内に多く発生し、低分子量または低粘度のポリオキサミド5はフィルム化が不可能であった。
<実施例5、比較例4:ポリオキサミド5及びポリアミド6の熱物性と引張り特性>
実施例4で作成したポリオキサミド5のダンベル片を用いて行った、熱物性及び引張り試験の結果を表3に示した。
さらに、比較例として、ポリアミド6樹脂(UBE 1030B;宇部興産(株)製)についても、実施例4と同様にフィルム化してダンベル片を作成し、熱物性及び引張り特性の測定を行った。
実施例4で作成したポリオキサミド5のダンベル片を用いて行った、熱物性及び引張り試験の結果を表3に示した。
さらに、比較例として、ポリアミド6樹脂(UBE 1030B;宇部興産(株)製)についても、実施例4と同様にフィルム化してダンベル片を作成し、熱物性及び引張り特性の測定を行った。
*1〜*3:各分析値は、それぞれ特開2012−72200号公報に記載の測定法に従う。
*4〜*7:試験条件(ISO572法を参考):23℃、50%RH、引張速度50mm/min.
*4〜*7:試験条件(ISO572法を参考):23℃、50%RH、引張速度50mm/min.
表3より、ポリオキサミド5は305℃の融点、及び110℃のガラス転移点を持つことから、耐熱性に優れていることがわかる。
さらに、ポリオキサミド5の引張り弾性率はポリアミド6樹脂の4倍あり、高い強度を持つことがわかる。
さらに、ポリオキサミド5の引張り弾性率はポリアミド6樹脂の4倍あり、高い強度を持つことがわかる。
<実施例6、比較例5:ポリオキサミド5樹脂及びポリアミド6樹脂の耐熱性試験(空気中)>
次に、実施例4で得られたポリオキサミド5樹脂のダンベル片を150℃で48時間及び100時間の熱処理(空気中)後の引張り特性を表4に示した。
さらに、比較例として、ポリアミド6樹脂(UBE 1030B;宇部興産(株)製)についても、同様の試験を行った。
次に、実施例4で得られたポリオキサミド5樹脂のダンベル片を150℃で48時間及び100時間の熱処理(空気中)後の引張り特性を表4に示した。
さらに、比較例として、ポリアミド6樹脂(UBE 1030B;宇部興産(株)製)についても、同様の試験を行った。
*1〜4:試験条件(ISO572法を参考):23℃、50%RH、引張速度50mm/min.
表4より、ポリオキサミド5樹脂はポリアミド6樹脂と比較して、100時間の熱処理後も高い強度を維持するということがわかる。
<実施例7、比較例6:ポリオキサミド5樹脂及びポリアミド6樹脂の耐水性試験>
次に、実施例4で得られたポリオキサミド5樹脂のフィルムを120℃の水に5時間浸漬した後の引張り特性を表5に示した。
さらに、比較例として、ポリアミド6樹脂(UBE 1030B;宇部興産(株)製)についても、同様の試験を行った。
次に、実施例4で得られたポリオキサミド5樹脂のフィルムを120℃の水に5時間浸漬した後の引張り特性を表5に示した。
さらに、比較例として、ポリアミド6樹脂(UBE 1030B;宇部興産(株)製)についても、同様の試験を行った。
*1〜4:試験条件(ISO572法を参考):23℃、50%RH、引張速度50mm/min.
表5より、ポリオキサミド5樹脂はポリアミド6樹脂と比較して、120℃の熱水処理後も高い強度、弾性率を維持するということがわかる。
<実施例8、比較例7:ポリオキサミド5樹脂及びポリアミド6樹脂の耐エタノール性試験>
次に、実施例4で得られたポリオキサミド5樹脂のフィルムを120℃のエタノールに5時間浸漬した後の引張り特性を表6に示した。
さらに、比較例として、ポリアミド6樹脂(UBE 1030B;宇部興産(株)製)についても、同様の試験を行った。
次に、実施例4で得られたポリオキサミド5樹脂のフィルムを120℃のエタノールに5時間浸漬した後の引張り特性を表6に示した。
さらに、比較例として、ポリアミド6樹脂(UBE 1030B;宇部興産(株)製)についても、同様の試験を行った。
*1〜4:試験条件(ISO572法を参考):23℃、50%RH、引張速度50mm/min.
表6より、ポリオキサミド5樹脂はポリアミド6樹脂と比較して、120℃のエタノールに浸漬した後も高い強度、弾性率を維持するということがわかる。
表2〜表6より、例えば、本発明のポリオキサミド5樹脂は、その高い分子量に起因して、高い融点(及びガラス転移点)と引張り特性を有することから、耐熱性と寸法安定性が優れた樹脂であることが分かる。
本発明のポリオキサミド樹脂は、例えば、シート、フィルム、パッチ、チューブ、モノフィラメント、繊維、積層体、袋又は容器から選ばれるいずれか一つの形状に成形可能であることから、必要に応じて様々な配合剤等を添加して、ポリオキサミド樹脂成型品を作製することで、ピューター及びコンピューター機器、光機器部材、電気・電子機器、情報・通信機器、精密機器、土木、建築用品、医療用品又は家庭用品から選ばれるいずれか一つの用途に使用することができる。
Claims (11)
- 式(1)で示されるシュウ酸ジアリールエステルと、式(2)で示される1又は複数種のジアミンとを反応させることを特徴とする、式(3)で示される繰り返し単位を1又は複数種有する高分子量ポリオキサミド樹脂の製造方法。
- 高分子量ポリオキサミド樹脂が、以下の測定方法で示される相対粘度が2.6〜6.0であり、数平均分子量が20,000〜50,000である請求項1記載の高分子量ポリオキサミド樹脂の製造方法。
(相対粘度)
98%硫酸で調製した0.01g/mL濃度のポリオキサミド樹脂溶液を、25℃でオストワルド式粘度計を用いて測定する。
(数平均分子量)
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC、標準物質:ポリスチレン)を用いて測定する。 - ジアミンが植物由来である請求項1〜2のいずれか1項に記載の高分子量ポリオキサミド樹脂製造方法。
- 以下の測定方法で示される相対粘度が2.6〜6.0であり、数平均分子量が20,000〜50,000である、式(3)で示される繰り返し単位を有する高分子量ポリオキサミド樹脂。
(相対粘度)
98%硫酸で調製した0.01g/mL濃度のポリオキサミド樹脂溶液を、25℃でオストワルド式粘度計を用いて測定する。
(数平均分子量)
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC、標準物質:ポリスチレン)を用いて測定する。
- 植物由来成分含有率が60%以上である、請求項5記載の高分子量ポリオキサミド樹脂。
- 高分子量ポリオキサミド樹脂が、請求項1に記載の方法で製造されたものである、請求項4〜7のいずれか1項に記載の高分子量ポリオキサミド樹脂。
- 請求項4〜7のいずれか1項に記載の高分子量ポリオキサミド樹脂を含む、ポリオキサミド樹脂成型品。
- ポリオキサミド樹脂成型品が、自動車部材、コンピューター及びコンピューター機器、光機器部材、電気・電子機器、情報・通信機器、精密機器、土木、建築用品、医療用品又は家庭用品から選ばれるいずれか一つの用途に使用される、請求項9に記載のポリオキサミド樹脂成型品。
- ポリオキサミド樹脂成型品が、シート、フィルム、パッチ、チューブ、モノフィラメント、繊維、積層体、袋又は容器から選ばれるいずれか一つの形状である、請求項9に記載のポリオキサミド樹脂成型品。
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