JP2016065034A - ポリオール混合物およびその製造方法 - Google Patents

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伸治 岡田
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一剛 鈴木
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Tomoshi Suzuki
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Abstract

【課題】ビスフェノール系化合物のプロピレンオキシド付加体と、ビスフェノール系化合物のエチレンオキシド付加体の混合物を、少ない工程で簡便に製造できる方法を提供する。【解決手段】ビスフェノール系化合物(b1)のプロピレンオキシド付加体(P)を含む溶媒に、ビスフェノール系化合物(b2)を溶解させた溶液中で、触媒の存在下、該ビスフェノール系化合物(b2)にエチレンオキシドを付加して、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E)を生成する工程を有し、前記プロピレンオキシド付加体(P)におけるプロピレンオキシドの平均付加モル数mが1.0〜30.0、前記エチレンオキシド付加体(E)におけるエチレンオキシドの平均付加モル数nが1.0〜30.0であることを特徴とするポリオール混合物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明はビスフェノール系化合物のプロピレンオキシド付加体と、ビスフェノール系化合物のエチレンオキシド付加体の混合物を製造する方法に関する。
ビスフェノールAプロピレンオキシド付加体またはビスフェノールAエチレンオキシド付加体等のビスフェノールAアルキレンオキシド付加体は、例えばポリエステル系樹脂やポリウレタン系樹脂の原料として用いられる。
ビスフェノールAにアルキレンオキシドを付加する方法は、出発原料であるビスフェノールAの融点が157℃と高いため、融点以上の高い温度で反応させる方法(特許文献1)や、アルキレンオキシドと反応しない不活性な有機溶媒(例えばキシレン)にビスフェノールAを溶解または分散させた状態で反応させる方法(特許文献2)で行われる。
ビスフェノールAプロピレンオキシド付加体、ビスフェノールAエチレンオキシド付加体、またはこれらの混合物を原料として合成されたポリエステル樹脂は、例えば電子写真用トナーの結着樹脂の主成分として用いられる。
特許文献3には、プロピレンオキシド2.0モル付加体を90%以上含有するポリオキシプロピレン化ビスフェノールA、及び/又はエチレンオキシド2.0モル付加体を88%以上含有するポリオキシエチレン化ビスフェノールAを含有するポリオール成分と、酸成分を重合させて得られる線状ポリエステルを用いた電子写真用トナーが記載されている。
特開2002−155005号公報 特開2004−123615号公報 特開平10−339969号公報
ビスフェノールAのプロピレンオキシド約2.0モル付加体は常温で液体であるが、ビスフェノールAのエチレンオキシド約2.0モル付加体は融点が100℃前後と高いため、取扱いが難しい。
例えばポリエステル樹脂の原料のポリオール成分として、ビスフェノールAのプロピレンオキシド約2.0モル付加体とビスフェノールAのエチレンオキシド約2.0モル付加体を混合して用いる場合、それぞれの成分を別個に製造し、常温で液体であるビスフェノールAのプロピレンオキシド約2.0モル付加体に、固体であるビスフェノールAのエチレンオキシド約2.0モル付加体を破砕処理して添加混合し、高温にして溶解させる必要があるため工程数が多く、手間がかかる。
または、ビスフェノールAのエチレンオキシド約2.0モル付加体を不活性な溶媒に溶解して、液体であるビスフェノールAのプロピレンオキシド約2.0モル付加体と混合する方法もあるが、溶媒を除去する工程が必要であり、やはり手間がかかるのが問題である。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、ビスフェノール系化合物のプロピレンオキシド付加体と、ビスフェノール系化合物のエチレンオキシド付加体とを含むポリオール混合物を、少ない工程で簡便に製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の[1]〜[4]である。
[1]ビスフェノール系化合物(b1)のプロピレンオキシド付加体(P)と、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E)とを含むポリオール混合物を製造する方法であって、ビスフェノール系化合物(b1)のプロピレンオキシド付加体(P)を含む溶媒に、ビスフェノール系化合物(b2)を溶解させた溶液中で、触媒の存在下、該ビスフェノール系化合物(b2)にエチレンオキシドを付加して、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E)を生成する工程を有し、前記ビスフェノール系化合物(b1)、(b2)がそれぞれ独立に、下式(I)で表されるビスフェノール系化合物の1種以上であり、前記プロピレンオキシド付加体(P)におけるプロピレンオキシドの平均付加モル数mが1.0〜30.0、前記エチレンオキシド付加体(E)におけるエチレンオキシドの平均付加モル数nが1.0〜30.0であることを特徴とするポリオール混合物の製造方法。
Figure 2016065034
[式中、Aはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜13の2価の炭化水素基、または−SO−であり、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはフェニル基である。]
[2]ビスフェノール系化合物(b1)のプロピレンオキシド付加体(P)と、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E)とを含むポリオール混合物を製造する方法であって、ビスフェノール系化合物(b1)のプロピレンオキシド付加体(P)と、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E’)とを含む溶媒に、ビスフェノール系化合物(b2)を溶解させた溶液中で、触媒の存在下、該ビスフェノール系化合物(b2)にエチレンオキシドを付加して、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E’’)を生成する工程を有し、前記ビスフェノール系化合物(b1)、(b2)がそれぞれ独立に、上式(I)で表されるビスフェノール系化合物の1種以上であり、前記プロピレンオキシド付加体(P)におけるプロピレンオキシドの平均付加モル数mが1.0〜30.0、前記エチレンオキシド付加体(E)におけるエチレンオキシドの平均付加モル数nが1.0〜30.0、前記エチレンオキシド付加体(E’)におけるエチレンオキシドの平均付加モル数n’が1.0〜30.0、n≦(m+1)、n’≦(m+1)であることを特徴とするポリオール混合物の製造方法。
[3]前記ビスフェノール系化合物(b1)のプロピレンオキシド付加体(P)と、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E’)とを含む溶媒におけるエチレンオキシド付加体(E’)の含有量が5〜95質量%である、[2]に記載のポリオール混合物の製造方法。
[4]ビスフェノール系化合物(b1)のプロピレンオキシド付加体(P)と、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E)とを含み、前記ビスフェノール系化合物(b1)、(b2)がそれぞれ独立に、上式(I)で表されるビスフェノール系化合物の1種以上であり、さらにビスフェノール系化合物(b1)にプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドが付加した副生ポリオールを0.05〜10質量%含有するポリオール混合物。
本発明によれば、ビスフェノール系化合物のプロピレンオキシド付加体と、ビスフェノール系化合物のエチレンオキシド付加体とを含むポリオール混合物を、少ない工程で簡便に製造できる。
本発明のポリオール混合物の製造方法は、ビスフェノール系化合物(b1)のプロピレンオキシド付加体(P)と、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E)とを含むポリオール混合物を製造する方法である。本発明で得られるポリオール混合物は常温(25℃)で液体である。100℃で液体であることが好ましい。
本発明のポリオール混合物の製造方法では、出発原料であるビスフェノール系化合物(b2)(以下、(b2)成分とも記す。)を特定の溶媒に溶解させた溶液中で、触媒の存在下、該(b2)成分にエチレンオキシド(以下、EOとも記す。)を付加させる反応を行う。
第1の実施形態では、溶媒として、ビスフェノール系化合物(b1)のプロピレンオキシド付加体(P)(以下、(P)成分とも記す。)を含む溶液を用いる。該溶媒に溶解したビスフェノール系化合物(b2)にEOを付加させて、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E)(以下、(E)成分とも記す。)を生成することにより、(P)成分と(E)成分を含むポリオール混合物を得る。
溶媒として用いる(P)成分におけるビスフェノール系化合物(b1)は、生成目的物である(E)成分におけるビスフェノール系化合物(b2)と同じであってもよく、異なっていてもよい。
溶媒は、(P)成分および後述の(E’)成分のいずれにも該当しない他のポリオールを含んでもよい。溶媒における(P)成分の含有割合は70質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が最も好ましい。
第2の実施形態では、溶媒として、ビスフェノール系化合物(b1)のプロピレンオキシド付加体(P)と、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E’)(以下、(E’)成分とも記す。)とを含む溶液を用いる。該溶媒に溶解したビスフェノール系化合物(b2)にEOを付加させて、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E’’)(以下、(E’’)成分とも記す。)を生成することにより、(P)成分と(E)成分の混合物を得る。得られる混合物中の(E)成分は、溶媒として用いた(E’)成分と、新たに生成した(E’’)成分の総和に該当する。
溶媒として用いる(P)成分におけるビスフェノール系化合物(b1)は、生成目的物である(E)成分におけるビスフェノール系化合物(b2)と同じであってもよく、異なっていてもよい。溶媒として用いる(E’)成分におけるビスフェノール系化合物(b2)は、生成目的物である(E’’)成分におけるビスフェノール系化合物(b2)と同種のものを用いる。
溶媒は、(P)成分および(E’)成分のいずれにも該当しない他のポリオールを含んでもよい。溶媒における(P)成分と(E’)成分の含有量の合計の割合は70質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が最も好ましい。
以下、詳述する。
<ビスフェノール系化合物>
ビスフェノール系化合物(b1)、(b2)は、それぞれ独立に下式(I)で表される化合物の1種以上である。式(I)で表される化合物はいずれも水酸基を2個有し、該水酸基が芳香環に結合している化合物であり、常温で固体である。
芳香環に結合している水酸基は、(E’)成分等のオキシエチレン基に結合した一級水酸基、または(P)成分等のオキシプロピレン基に結合した二級水酸基よりも、エチレンオキシド付加反応における反応性が高く、かかる芳香環に結合している水酸基を有するビスフェノール系化合物を用いることにより、本発明の方法で所期のポリオール混合物を得ることができる。
Figure 2016065034
式(I)において、Aはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜13の2価の炭化水素基、または−SO−である。
ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基とは、炭化水素基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されていてもよいことを意味する。ハロゲン原子としてはフッ素原子または塩素原子が好ましい。
Aとしての炭化水素基は飽和でも不飽和でもよい。例えば、直鎖状、分岐状または環を含む飽和炭化水素基;直鎖状、分岐状または芳香環を含む不飽和炭化水素基である。分岐状の飽和炭化水素基が好ましい。
式(I)において、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはフェニル基である。R〜Rの全部が水素原子;R〜Rの全部がハロゲン原子;R、Rのいずれか一方とR、Rのいずれか一方がアルキル基であり、残りが水素原子;または、R、Rのいずれか一方とR、Rのいずれか一方がフェニル基であり残りが水素原子;が好ましい。ハロゲン原子としては臭素原子が好ましい。
式(I)で表される化合物の例として、
ビスフェノールA(下式(1)、融点152〜153℃)、
ビスフェノールAP(下式(2)、融点188〜191℃)、
ビスフェノールAF(下式(3)、融点160〜163℃)、
ビスフェノールB(下式(4)、融点125〜128℃)、
ビスフェノールBP(下式(5))、
ビスフェノールC(下式(6)、融点138〜140℃)、
ビスフェノールE(下式(7)、融点125〜128℃)、
ビスフェノールF(下式(8)、融点162〜164℃)、
ビスフェノールG(下式(9)、融点96〜100℃)、
ビスフェノールM(下式(10)、融点137〜141℃)、
ビスフェノールS(下式(11)、融点247℃)、
ビスフェノールP(下式(12)、融点194〜197℃)、
ビスフェノールPH(下式(13)、融点115〜124℃)、
ビスフェノールTMC(下式(14)、融点208℃)、
ビスフェノールZ(下式(15)、融点190〜192℃)、
テトラブロモビスフェノールA(下式(16)、融点180〜184℃)、および
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−ジクロロエチレン(下式(17)、融点213〜219℃)が挙げられる。特にビスフェノールAが好ましい。
Figure 2016065034
Figure 2016065034
<ビスフェノール系化合物のプロピレンオキシド付加体(P)>
溶媒として用いられる(P)成分は、ビスフェノール系化合物(b1)(以下、(b1)成分とも記す。)にプロピレンオキシド(以下、POとも記す。)のみが付加した、末端に水酸基を有するポリオールである。(P)成分はオキシプロピレン基に結合した二級水酸基を有する。
(P)成分におけるPOの平均付加モル数mは1.0以上である。POの平均付加モル数mが1.0以上であると、(b1)成分にPOとEOが付加した副生ポリオールの生成が良好に抑えられる。該平均付加モル数mが大きいほど、該副生ポリオールの生成が抑えられやすい。
該平均付加モル数mの上限値は特に限定されず用途に応じて設定できるが、ビスフェノール系化合物(b2)の溶解性の点からは30.0以下が好ましく、10以下がより好ましい。
用途がトナー用バインダーの原料である場合には、(P)成分の平均付加モル数mが1〜5であることが好ましく、2〜4であることがさらに好ましく、2〜3であることが特に好ましい。
(P)成分は公知の方法で製造できる。市販品からも入手可能である。
また、既に合成されたビスフェノール系化合物(b1)のプロピレンオキシド付加体(P)中で、さらにビスフェノール系化合物(b1’)にPOを付加して、ビスフェノール系化合物(b1’)のプロピレンオキシド付加体を生成させる反応を行って得られる溶液を、(P)成分として用いてもよい。すなわち(b1)のPO付加体と、(b1’)のPO付加体の総和が(P)成分となる。
該ビスフェノール系化合物(b1’)は上記式(I)で表されるビスフェノール系化合物の1種以上であり、溶液中に共存する(b1)成分と同じであってもよく、異なっていてもよい。
(b1’)のPO付加体におけるPOの平均付加モル数m’は、前記(P)成分におけるPOの平均付加モル数mと、好ましい範囲も含めて同様である。
<ビスフェノール系化合物のエチレンオキシド付加体(E)>
(E)成分は、ビスフェノール系化合物(b2)にEOのみが付加した、末端に水酸基を有するポリオールである。(E)成分中の水酸基は、オキシエチレン基に結合した一級水酸基か、または(b2)成分の芳香環に結合した水酸基である。
(E)成分におけるEOの平均付加モル数nは1.0以上である。該平均付加モル数nが1.0以上であると、未反応の(b2)成分の含有量が充分に少なく好ましい。
該平均付加モル数nの上限値は特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。例えば30.0以下とすることができる。特に該平均付加モル数nが3以下である(E)成分は、融点が高くて取り扱い難く従来の製造方法では製造が容易でないため、本発明を適用することによる効果が大きい。該平均付加モル数nは2.5以下がより好ましい。
また用途がトナー用バインダーの原料である場合には、(E)成分の平均付加モル数nが1〜5であることが好ましく、2〜4がより好ましく、2〜3が特に好ましい。
<触媒>
ビスフェノール系化合物(b2)にEOを付加する反応において用いられる触媒は、水酸基に対するアルキレンオキサイドの付加反応を促進する公知の酸触媒又はアルカリ触媒が使用できる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムアルコラート、カリウムアルコラート等のアルカリ金属化合物が好ましく、特にアルカリ金属水酸化物が好ましい。
触媒の使用量は特に限定されないが、最終製品としてのポリオール混合物100質量部に対して0.01〜2質量部程度が好ましく、0.01〜0.5質量部がより好ましい。
<第1の実施形態>
本発明の製造方法の第1の実施形態は、まず、(P)成分を含む溶媒に(b2)成分を溶解させる。
(b2)成分は常温で固体であり、粉末状にして溶媒に添加することが好ましい。また(b2)成分を添加する前に、溶媒を後述の反応温度まで加熱しておくことが好ましい。
(P)成分を含む溶媒の使用量は、(E)成分の生成反応に使用する(b2)成分の少なくとも一部を溶解できる量であれば特に限定されない。例えば(E)成分の生成反応に使用する(b2)成分の100質量部に対して5質量部以上とすることができる。良好な反応性が得られやすい点では10質量部以上がより好ましい。
また、溶媒に触媒を溶解させる。溶媒に触媒を溶解させる工程は、溶媒に(b2)成分を添加する前でも、後でもよく、同時でもよい。溶媒成分の反応を抑制する点からは溶媒に(b2)成分を添加して少なくともその一部を溶解させた後に、触媒を添加して溶解させることが好ましい。
次いで、溶媒に(b2)成分および触媒を溶解させた溶液に、EOを徐々に供給する。これにより該溶液中でEOの(b2)成分への付加反応が生じて(E)成分が生成する。EOの供給量によって、溶液中で生成する(E)成分におけるEOの平均付加モル数を調整できる。
EOの供給速度が遅いほど副生ポリオールの生成が抑えられやすいが、製造時間が長くなる。EOの供給時間は30分〜10時間が好ましく、2時間〜5時間がより好ましい。
EOの(b2)成分への付加反応の条件は特に限定されないが、温度は70〜150℃程度が好ましく80〜140℃がより好ましい。反応温度が上記範囲の下限値以上であると反応が良好に進みやすい。上限値以下であると原料の熱分解による着色が生じにくい。
反応時間は付加反応が終了する時間であればよい。付加反応の終了は圧力平衡に達したことによって確認できる。
EOの付加反応が終了した後、系内の水分及び揮発分を除去することが好ましい。除去方法は特に限定されないが、例えば反応温度に維持しつつ減圧して除去する方法が好ましい。さらに公知の吸着剤を用いて反応生成物中の触媒を除去することが好ましい。
こうして、溶媒として使用した(P)成分と、溶媒中で生成した(E)成分とを含むポリオール混合物が得られる。溶媒が(P)成分のみからなる場合は、(P)成分と(E)成分との混合物が得られる。
生成した(E)成分は溶媒中に溶解した状態で得られる。すなわち、液状の混合物が得られる。
反応生成物として得られるポリオール混合物における(P)成分と(E)成分の混合比は特に限定されない。用途に応じて適宜設定できる。
また反応生成物として得られたポリオール混合物に、さらにポリオール(希釈用ポリオール)を加えて希釈したものを最終製品としてもよい。例えば(P)成分を加えて希釈すると、(P)成分と(E)成分の混合比を所望の値に調整することができる。反応生成物を(P)成分で希釈して、(P)成分と(E)成分の混合比を調整する場合、反応生成物における(P)成分と(E)成分の混合比は、所望の混合比よりも(E)成分の割合が高くなるように設定する。また希釈用ポリオールとして、前記(P)成分の他に、(P)成分と(E)成分の混合物などを用いてもよい。または、固体状、或いは、加温により液状にした(E)成分などを添加して(P)成分と(E)成分の混合比を所望の値に調整してもよい。
または反応生成物として得られたポリオール混合物中で、さらにビスフェノール系化合物(b1’’)にPOを付加して、ビスフェノール系化合物(b1’’)のプロピレンオキシド付加体を生成させる反応を行ったものを最終製品としてもよい。該ビスフェノール系化合物(b1’’)は上記式(I)で表されるビスフェノール系化合物の1種以上であり、溶液中に共存する(P)成分の(b1)と同じであってもよく、異なっていてもよい。
(b1’’)のPO付加体におけるPOの平均付加モル数m’’は、前記(P)成分におけるPOの平均付加モル数mと、好ましい範囲も含めて同様である。
このように(P)成分を含む溶媒中で(E)成分を生成して得られた混合物には、(P)成分にEOが付加した副生ポリオールが含まれるのが特徴である。すなわち(b1)成分にPOとEOが付加した副生ポリオールが含まれている。副生ポリオールは添加された触媒の濃度が高いほど生成されにくい。触媒濃度が高いほど所期の反応が速やかに進行し、副生ポリオールの生成が抑制されやすいためである。(P)成分と(E)成分を含むポリオール混合物に、かかる副生ポリオールが含まれていると、(P)成分と(E)成分の混合安定性が向上する。その理由は明確ではないが、副生ポリオールがPOとEOの両方の構造を有しているためと考えられる。最終製品としてのポリオール混合物中における副生ポリオールの含有量は0.05〜10質量%が好ましく、0.05〜4質量%がより好ましく、0.05〜2質量%が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると、副生ポリオールを含むことによる混合安定性の向上効果が充分に得られ易い。上限値以下であると、目的物である(P)成分と(E)成分の混合物における所期の特性が充分に得られる。
<第2の実施形態>
本発明の製造方法の第2の実施形態が、第1の実施形態と大きく異なる点は、(b2)成分を溶解させる溶媒として、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E’)と(P)成分とを含む溶液を用いる点である。
(E’)成分は公知の方法で製造したものを用いてもよい。または市販品からも入手可能である。あるいは第1の実施形態の方法で得られる、(P)成分と(E)成分を含む反応生成物またはそれを前記希釈用ポリオールで希釈した溶液を、本実施形態における溶媒として用いることができる。
本実施形態では、溶媒中の(E’)成分と、該溶媒中で新たに生成するビスフェノール系化合物のエチレンオキシド付加体(E’’)(以下、(E’’)成分とも記す。)の総和が、目的の(E)成分となる。したがって、前記(E’)成分におけるEOの平均付加モル数n’と、(E’’)成分におけるEOの平均付加モル数n’’の平均値が、目的の(E)成分におけるEOの平均付加モル数nとなる。
(E)成分におけるEOの平均付加モル数n、および(P)成分におけるPOの平均付加モル数mは、それぞれ好ましい範囲も含めて第1の実施形態と同様である。
また(E’)成分におけるEOの平均付加モル数n’、および(E’’)成分におけるEOの平均付加モル数n’’は、好ましい範囲も含めて(E)成分におけるEOの平均付加モル数nと同様である。(E)成分におけるEOの平均付加モル数nを所望の値に調整しやすい点で、n’とnの差の絶対値が10以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましく、ゼロであることが最も好ましい。
(E’’)成分におけるEOの平均付加モル数n’’は、EOの供給量によって調整できる。
本実施形態において、溶媒中の(P)成分におけるPOの平均付加モル数mと、(E)成分におけるEOの平均付加モル数nが、n≦(m+1)を満たし、かつ該mと、(E’)成分におけるEOの平均付加モル数n’がn’≦(m+1)を満たす。この範囲であると、溶媒中の(P)成分とEOとの反応性が、(E’)成分とEOとの反応性より小さくなりやすく、(b2)成分にPOとEOが付加した副生ポリオールの生成が抑えられやすい。
本実施形態において、溶媒における(E’)成分と(P)成分との質量比は、(E)成分の生成反応に使用する(b2)成分の少なくとも一部を溶解できる組成であれば特に限定されない。
溶媒に(b2)成分が溶解しやすい点で、溶媒が(P)成分を5質量%以上含むことが好ましく、20質量%以上含むことがより好ましい。
また(b2)成分にPOとEOが付加した副生ポリオールの生成が抑えられやすい点で、溶媒が(E’)成分を5質量%以上含むことが好ましく、20質量%以上含むことがより好ましい。溶媒が(E’)成分を多く含むほど、供給されたEOと(P)成分との接触確率が低下するため副生ポリオールの生成が少なくなると考えられる。したがって、溶媒における(E’)成分の含有量は5〜95質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
本実施形態では、まず、溶媒に(b2)成分を溶解させる。第1の実施形態と同様に、(b2)成分は粉末状にして溶媒に添加することが好ましい。また溶媒に(b2)成分を添加する前に、溶媒を後述の反応温度まで加熱しておくことが好ましい。
溶媒の使用量は、(E)成分の生成反応に使用する(b2)成分の少なくとも一部を溶解できる量であれば特に限定されない。例えば(E)成分の生成反応に使用する(b2)成分の100質量部に対して5質量部以上とすることができる。反応性の点では10質量部以上がより好ましい。
また、溶媒に触媒を溶解させる。この工程は第1の実施形態において溶媒に触媒を溶解させる工程と同様に行うことができる。
次いで、溶媒に(b2)成分および触媒を溶解させた溶液に、EOを徐々に供給する。この工程は、好ましい反応条件も含めて、第1の実施形態においてEOを供給する工程と同様に行うことができる。
EOの付加反応が終了した後、第1の実施形態と同様に、系内の水分及び揮発分を除去することが好ましい。
こうして、溶媒として使用した(E’)成分および(P)成分と、溶媒中で生成した(E’’)成分とを含むポリオール混合物が得られる。生成した(E’’)成分は溶媒中に溶解した状態で得られる。すなわち、液状の混合物が得られる。
第1の実施形態と同様に、反応生成物として得られるポリオール混合物における(P)成分と(E)成分((E’)成分と(E’’)成分との合計)の混合比は特に限定されない。また反応生成物として得られた混合物に、例えば(P)成分等の前記希釈用ポリオールを加えて希釈することにより、(P)成分と(E)成分を所望の混合比で含有する混合物を得ることができる。
また第1の実施形態と同様に、反応生成物として得られたポリオール混合物中で、さらにビスフェノール系化合物(b1’’)にPOを付加して、ビスフェノール系化合物(b1’’)のプロピレンオキシド付加体を生成させる反応を行ったものを最終製品としてもよい。
第1の実施形態と同様に、溶媒中で(E)成分を生成して得られた混合物にも、(P)成分にEOが付加した副生ポリオールが含まれる。(P)成分と(E)成分の混合物中における副生ポリオールの含有量は、好ましい範囲も含めて第1の実施形態と同様である。
本発明によれば、出発原料の(b2)成分を溶解させる溶媒として、(P)成分を含む溶媒、または(P)成分と(E’)成分とを含む溶媒を用いることにより、一段の工程で、(E)成分と(P)成分を含むポリオール混合物を得ることができる。また、該工程で得られた混合物、または該ポリオール混合物をさらに(P)成分等の前記希釈用ポリオールで希釈した希釈後混合物を、最終製品とすることができる。
すなわち、目的とする(E)成分と(P)成分を含むポリオール混合物を少ない工程で簡便に製造できる。
<用途>
本発明で得られる(E)成分と(P)成分の混合物は、例えば、電子写真法用トナー、静電記録法用トナー、静電印刷法用トナー等の製造に用いられるポリエステルの原料、熱転写受像シートの受容層の製造に用いられるポリエステルの原料;繊維強化プラスチック成形体における補強材のバインダーとして用いられるポリエステルの原料;ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の原料;ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアセタール等各種樹脂の可塑剤、改質剤としてのポリエーテル;等に好適に用いることができる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の例で用いた各成分は以下の通りである。
BPA:ビスフェノールA。
(P1)成分:BPAのプロピレンオキシド付加体、PO平均付加モル数m=2.4。
(E’1)成分:BPAのエチレンオキシド付加体、EO平均付加モル数n’=2.4、融点:106℃。
(例1)
本例では、溶媒として(P1)成分を用いる方法で、(P1)成分:BPAのEO付加体((E1)成分)の質量比が約1:1である混合物を製造した。
まず、反応容器(5LのSUS製オートクレーブ、以下同様。)に(P1)成分2078gを仕込み、窒素ガスで容器内を置換した後、撹拌しながらゆっくりと加熱した。135℃に達した所で、BPA1420gおよび水酸化カリウム(触媒、フレーク状、以下同様。)3.79gをこの順に仕込み、更に1時間撹拌した。
続いてEO658g(BPA1モルに対して2.4モル)を、反応圧力を0.1〜0.3MPaに保ちながら135分(EOフィード時間)かけて滴下した後、1時間熟成し、圧力平衡を確認した。135℃のままで反応容器内を真空ポンプで30分間10mmHg以下に減圧にし、水分及び揮発分を留去した。反応容器内の生成物を80℃に冷却して取り出した。さらにキョーワード600S(製品名、合成吸着剤、協和化学工業社製)を用いて精製を行うことによって残存する触媒を除去し、無色透明の反応生成物を得た。
得られた反応生成物は、(P1)成分と、BPAのEO付加体((E1)成分)と、副生ポリオールの混合物である。
製造条件(原料組成、EOのフィード時間、反応温度)を表1に示す。表2は表1に示す原料組成を、BPA100質量部を基準として換算したものである(以下、同様)。
得られた反応生成物における副生ポリオールの構造は、反応生成物の水酸基をトリメチルシリル基でキャップ(TMS化)した化合物についてGC/MS測定を行う事により決定した(以下、同様)。
精密マススペクトルを解析した結果、副生ポリオールがTMS化された化合物は、質量電荷比532の分子イオンピークからBPA1モルにPOが2モル、EOが1モル付加したポリエーテルポリオールのTMS体と帰属された。
反応生成物中の副生ポリオールの含有量は、反応生成物の13C−NMR測定により決定した。測定は日本電子製JNM−AL300型を用いて共鳴周波数300MHz、積算回数2万回で行った。62.05ppmに帰属される副生ポリオールのEO構造由来の水酸基と結合した炭素、及び41.95ppmに帰属されるBPA構造由来の脂肪族4級炭素の積分値から、副生ポリオールの含有量を算出したところ3.06質量%であった。
副生ポリオールの構造と反応生成物中の含有量から、副生ポリオールの生成に使用された(P1)成分の量およびEOの量を算出した。
原料として用いた(P1)成分の使用量から副生ポリオールの生成に使用された(P1)成分の量を差し引いて、反応生成物中の(P1)成分の量を算出し、(P1)成分の含有量(計算値)を求めた。
また、原料として用いたBPAとEOの使用量の合計から副生ポリオールの生成に使用されたEOの量を差し引いた値を(E1)成分の生成量とし、反応生成物中の(E1)成分の含有量(計算値)を求めた。
原料として使用したEOの使用量から前記副生ポリオールの生成に使用されたEOの量を差し引いて(E1)成分の生成に使用されたEOの量を求めた。
原料として用いたBPAの使用量からBPAのモル数を算出し、(E1)成分の生成に使用されたEOの量からEOのモル数を算出した。これらの値からBPA1モルあたりのEOの付加モル数を(E1)成分のEO平均付加モル数nとして求めた。(E1)成分のEO平均付加モル数nは2.35であった。
以下例2、3についても同様に算出した。これらの結果を表3および4に示す。
(例2)
本例では、溶媒として(P1)成分を用いる方法で、(P1)成分:(E1)成分の質量比が約3:1である混合物を製造した。
すなわち、例1において、原料組成およびEOフィード時間を表1,2に示す通りに変更したほかは例1と同様にして、(P1)成分と、(E1)成分と、副生ポリオールの混合物である反応生成物を得た。
副生ポリオールの構造はBPA1モルにPOが2モル、EOが1モル付加したポリエーテルポリオールであった。(E1)成分のEO平均付加モル数nは2.36であった。
(例3)
本例では、溶媒として(P1)成分を用いる方法で、(P1)成分と(E1)成分の混合物を製造し、さらに(P1)成分で希釈して(P1)成分:(E1)成分の質量比を約1:1に調整した。
すなわち、例1において、原料組成およびEOフィード時間を表1,2に示す通りに変更したほかは例1と同様にして、(P1)成分と、(E1)成分と、副生ポリオールの混合物である反応生成物を得、さらに、理論値における(P1)成分:(E1)成分の質量比が1:1となるように(P1)成分で希釈した。希釈の手順は後述の例4と同じである。
副生ポリオールの構造はBPA1モルにPOが2モル、EOが1モル付加したポリエーテルポリオールであった。(E1)成分のEO平均付加モル数nは2.37であった。
表4に示す希釈後の副生ポリオールの含有量は、希釈前の反応生成物における副生ポリオールの含有量の実測値から、希釈倍率に基づいて算出した計算値である(以下、同様)。
(例4)
本例では、溶媒として(P1)成分と(E’1)成分の混合物を用いる方法で、(P1)成分と(E1)成分の混合物を製造し、さらに(P1)成分で希釈して(P1)成分:(E1)成分の質量比を約1:1に調整した。
すなわち、反応容器に、(E’1)成分と(P1)成分の混合物410gを仕込んだ。(E’1)成分と(P1)成分の質量比は1:1である。
窒素ガスで容器内を置換した後、撹拌しながらゆっくりと加熱した。135℃に達した所で、BPA1294gおよび水酸化カリウム3.79gをこの順に仕込み、更に1時間撹拌した。続いて、EO600g(BPA1モルに対して2.40モル)を、反応圧力を0.1〜0.3MPaに保ちながら124分かけて滴下した後、1時間熟成し、圧力平衡を確認した。135℃のままで反応容器内を真空ポンプで30分間10mmHg以下に減圧し、水分及び揮発分を留去して、反応生成物を得た。
続いて、反応容器内に(P1)成分1894gを投入し、1時間撹拌して混合することにより希釈した。撹拌終了後、80℃に冷却して反応容器から無色透明の混合液体を取りだした。その後、キョーワード600Sを用いて精製を行い希釈された反応生成物を得た。
反応生成物中の副生ポリオールの構造はBPA1モルにPOが2モル、EOが1モル付加したポリエーテルポリオールであった。得られた混合物における(P1)成分の含有量(計算値)は例1と同様に求めた。また、例1と同様に、副生ポリオールの生成に使用されたEOの量を算出した。原料として用いたBPAとEOと(E‘1)成分の使用量の合計から副生ポリオールの生成に使用されたEOの量を差し引いて、(E1)成分の量とし、反応生成物中の(E1)成分の含有量(計算値)を求めた。
原料として用いたEOの使用量から前記副生ポリオールの生成に使用されたEOの量を差し引いて(E1)成分の生成に使用されたEOの量を求めた。(E1)成分の生成に使用されたEOの量と(E’1)成分中のEOの量との合計量から(E1)成分中のEOのモル数を算出した。原料として用いたBPAの使用量と(E’1)成分中のBPAの量との合計量から、BPAのモル数を算出し、例1と同様にして(E1)成分のEO平均付加モル数nを求めた。(E1)成分のEO平均付加モル数nは2.40であった。
以下例5〜7についても同様に算出した。これらの結果を表3および4に示す。
(例5)
本例では、溶媒として(P1)成分と(E’1)成分の混合物を用いる方法で、(P1)成分と(E1)成分の混合物を製造し、さらに(P1)成分で希釈して(P1)成分:(E1)成分の質量比を約1:1に調整した。
すなわち、例4において、原料組成およびEOフィード時間を表1,2に示す通りに変更したほかは例4と同様にして、(P1)成分と、(E1)成分と、副生ポリオールの混合物である反応生成物を得、さらに、理論値における(P1)成分:(E1)成分の質量比が1:1となるように(P1)成分で希釈した。
副生ポリオールの構造はBPA1モルにPOが2モル、EOが1モル付加したポリエーテルポリオールであった。(E1)成分のEO平均付加モル数nは2.40であった。
(例6)
本例では、溶媒として(P1)成分と(E’1)成分の混合物を用いる方法で、(P1)成分と(E1)成分の混合物を製造し、さらに(P1)成分で希釈して(P1)成分:(E1)成分の質量比を約1:1に調整した。
すなわち、例4において、原料組成、EOフィード時間および反応温度を表1,2に示す通りに変更したほかは例4と同様にして、(P1)成分と、(E1)成分と、副生ポリオールの混合物である反応生成物を得、さらに、理論値における(P1)成分:(E1)成分の質量比が1:1となるように(P1)成分で希釈した。
副生ポリオールの構造はBPA1モルにPOが2モル、EOが1モル付加したポリエーテルポリオールであった。(E1)成分のEO平均付加モル数nは2.38であった。
(例7)
本例では、溶媒として(P1)成分と(E’1)成分の混合物を用いる方法で、(P1)成分と(E1)成分の混合物を製造し、さらに(P1)成分で希釈して(P1)成分:(E1)成分の質量比を約1:1に調整した。
すなわち、例4において、原料組成およびEOフィード時間を表1,2に示す通りに変更したほかは例4と同様にして、(P1)成分と、(E1)成分と、副生ポリオールの混合物である反応生成物を得、さらに、理論値における(P1)成分:(E1)成分の質量比が1:1となるように(P1)成分で希釈した。
副生ポリオールの構造はBPA1モルにPOが2モル、EOが1モル付加したポリエーテルポリオールであった。(E1)成分のEO平均付加モル数nは2.29であった。
Figure 2016065034
Figure 2016065034
Figure 2016065034
Figure 2016065034
このように、例1〜7において(P1)成分と(E1)成分の混合物を一段の工程で製造することができた。また得られた混合物を(P1)成分で希釈することにより、(P1)成分と(E1)成分の混合比を容易に調整することができた。
触媒濃度が同じ条件で比較すると、例1、3〜5はいずれも、最終製品として(P1)成分:(E1)成分の混合比が約1:1である混合物を製造したが、溶媒として(P1)成分と(E’1)成分の混合物を用いた例4、5の方が、最終製品における副生ポリオールの含有量をより低減させることができた。
また、例4に比べて、EOの供給速度が遅い例5は副生ポリオールの生成がより抑えられた。
(試験例1)
本例では(P)成分と(E)成分の混合物中に副生ポリオールが存在する場合と、存在しない場合とで、混合物の貯蔵安定性(混合安定性)の違いを調べた。
試験液A:(P)成分と(E)成分と副生ポリオールを含む試験液Aとして、前記(例1)で得られた反応生成物を用いた。該反応生成物は、(P1)成分と、BPAのEO付加体(E1)成分と、副生ポリオールの混合物である。
比較試験液B:副生ポリオールを含まない、(P)成分と(E)成分の混合物である比較試験液Bとして、(P1)成分と(E’1)成分を質量比1:1で混合した混合物を用意した。
内径40mm、高さ75mmの容量約80mlの蓋付きガラス容器に、試験液Aの50gを収容したものを2個作成した(サンプルA−1、サンプルA−2という)。
同様の蓋付きガラス容器に、比較試験液Bの50gを収容したものを2個作成した(比較サンプルB−1、比較サンプルB−2という)。
得られた4種のサンプルを90℃に加温して粘度を十分低下させた状態にし、組成が均一になるように良く混合した後、室温まで除冷した。
室温に達したサンプルA−1と比較サンプルB−1を25℃の条件下で静置して貯蔵した。また室温に達したサンプルA−2と比較サンプルB−2を60℃の条件下で静置して貯蔵した。
貯蔵開始日(0日)、貯蔵開始日から10日後、15日後、25日後に、混合安定性を目視で評価した。その結果を表5に示す。
Figure 2016065034
表5の結果に示されるように、25℃で保存した場合、副生ポリオールを含む比較サンプルA−1は、貯蔵開始日から25日後にも無色透明の状態が維持されていた。これに対して、副生ポリオールを含まない比較サンプルB−1は、貯蔵開始日から10日後に白濁が生じ、その後白濁した状態が続いた。
また、60℃で保存した場合、副生ポリオールを含む比較サンプルA−2は、貯蔵開始日から10日後に白色沈降物の析出が認められたが、該沈降物は容器底面内縁部に僅かに見られるだけであり、25日後にもその状態が維持されていた。一方、副生ポリオールを含まない比較サンプルB−2は、貯蔵開始日から10日後に、容器底部に約1cmの厚みの白色沈降層が析出し、その状態が続いた。
これらの結果より、副生ポリオールを含むサンプルA−1、A−2の方が、該副生ポリオールを含まない比較サンプルB−1、B−2よりも貯蔵安定性が良好であることがわかる。

Claims (4)

  1. ビスフェノール系化合物(b1)のプロピレンオキシド付加体(P)と、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E)とを含むポリオール混合物を製造する方法であって、
    ビスフェノール系化合物(b1)のプロピレンオキシド付加体(P)を含む溶媒に、ビスフェノール系化合物(b2)を溶解させた溶液中で、触媒の存在下、該ビスフェノール系化合物(b2)にエチレンオキシドを付加して、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E)を生成する工程を有し、
    前記ビスフェノール系化合物(b1)、(b2)がそれぞれ独立に、下式(I)で表されるビスフェノール系化合物の1種以上であり、
    前記プロピレンオキシド付加体(P)におけるプロピレンオキシドの平均付加モル数mが1.0〜30.0、前記エチレンオキシド付加体(E)におけるエチレンオキシドの平均付加モル数nが1.0〜30.0であることを特徴とするポリオール混合物の製造方法。
    Figure 2016065034
    [式中、Aはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜13の2価の炭化水素基、または−SO−であり、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはフェニル基である。]
  2. ビスフェノール系化合物(b1)のプロピレンオキシド付加体(P)と、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E)とを含むポリオール混合物を製造する方法であって、
    ビスフェノール系化合物(b1)のプロピレンオキシド付加体(P)と、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E’)とを含む溶媒に、ビスフェノール系化合物(b2)を溶解させた溶液中で、触媒の存在下、該ビスフェノール系化合物(b2)にエチレンオキシドを付加して、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E’’)を生成する工程を有し、
    前記ビスフェノール系化合物(b1)、(b2)がそれぞれ独立に、下式(I)で表されるビスフェノール系化合物の1種以上であり、
    前記プロピレンオキシド付加体(P)におけるプロピレンオキシドの平均付加モル数mが1.0〜30.0、前記エチレンオキシド付加体(E)におけるエチレンオキシドの平均付加モル数nが1.0〜30.0、前記エチレンオキシド付加体(E’)におけるエチレンオキシドの平均付加モル数n’が1.0〜30.0、n≦(m+1)、n’≦(m+1)であることを特徴とするポリオール混合物の製造方法。
    Figure 2016065034
    [式中、Aはハロゲン原子で置換されていてもよい、炭素数1〜13の2価の炭化水素基、または−SO−であり、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはフェニル基である。]
  3. 前記ビスフェノール系化合物(b1)のプロピレンオキシド付加体(P)と、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E’)とを含む溶媒におけるエチレンオキシド付加体(E’)の含有量が5〜95質量%である、請求項2記載のポリオール混合物の製造方法。
  4. ビスフェノール系化合物(b1)のプロピレンオキシド付加体(P)と、ビスフェノール系化合物(b2)のエチレンオキシド付加体(E)とを含み、
    前記ビスフェノール系化合物(b1)、(b2)がそれぞれ独立に、下式(I)で表されるビスフェノール系化合物の1種以上であり、
    さらにビスフェノール系化合物(b1)にプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドが付加した副生ポリオールを0.05〜10質量%含有するポリオール混合物。
    Figure 2016065034
    [式中、Aはハロゲン原子で置換されていてもよい、炭素数1〜13の2価の炭化水素基、または−SO−であり、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはフェニル基である。]
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