JP2016062785A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】高負荷要求時に燃料電池の出力を確保することを課題とする。
【解決手段】燃料電池システムは、アノード電極、カソード電極、これらの間に配置された電解質膜、及び反応ガス流路を有する単セルを複数積層してなるセル積層体を含むとともに、前記単セル間に形成された冷媒流路を有する燃料電池を備える燃料電池システムにおいて、前記燃料電池の負荷状態を予測する負荷状態予測部と、前記負荷状態予測部により前記燃料電池の低負荷状態から高負荷状態への移行が予測されたときに、前記冷媒流路内を流通する冷媒の温度が、前記燃料電池の作動温度として定められた目標温度以下の温度として予め定められた所定値よりも高い場合に、前記所定値まで前記冷媒の温度を低下させる温度低下制御を行う温度制御部と、を備える。
【選択図】図8

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
近年、アノード電極とカソード電極とを備えた燃料電池を搭載した電気車両の開発が進んでいる。車両に搭載された燃料電池は、車両の走行状態に応じて低負荷状態と高負荷状態とが切り替わることがある。このような要求電力の変化に対応する技術として、要求電力の増加を推測した場合に、空気供給部、水素供給部の少なくとも一方を稼働させることにより、要求電力の増加に対応する提案が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2004−172028号公報
ところで、燃料電池は、その発電反応に伴って水を発生させる。そして、その水が反応ガス流路に貯まることがある。反応ガス流路に貯まった水は、ガス流量の増加に伴って排出される。しかしながら、反応ガス流路に貯まった水の分布は、通常、不均一であり、その排出が完了するまでに、各単セル内、単セルの積層方向で時間差が生じる。このような状態で燃料電池が低負荷状態から高負荷状態に移行すると、反応ガスの分配にバラつきが生じることがある。具体的に、反応ガスは、水が貯留しておらず、通過しやすい場所を優先的に通過し、水が貯留している場所を通過しにくい。一旦このような反応ガスの分配にバラつきが生じると、そのバラつきは解消しにくく、発電しにくい単セルが生じ、高負荷要求時に燃料電池の出力を確保しにくくなる。特許文献1に開示された燃料電池システムでは、このような現象に対する対策は施されていない。
そこで、本明細書開示の内燃機関の燃料電池システムは、高負荷要求時に燃料電池の出力を確保することを課題とする。
かかる課題を解決するために、本明細書に開示された燃料電池システムは、アノード電極、カソード電極、これらの間に配置された電解質膜、及び反応ガス流路を有する単セルを複数積層してなるセル積層体を含むとともに、前記単セル間に形成された冷媒流路を有する燃料電池を備える燃料電池システムにおいて、前記燃料電池の負荷状態を予測する負荷状態予測部と、前記負荷状態予測部により前記燃料電池の低負荷状態から高負荷状態への移行が予測されたときに、前記冷媒流路内を流通する冷媒の温度を低下させる温度低下制御を行う温度制御部と、を備える。
これにより、反応ガス流路の全域において水の分布の不均一を解消し、その後の反応ガスの流入に備える。この結果、水が排出され、反応ガス流路が一掃された状態となり、反応ガスが流入する各単セルにおいて、適切に発電され、高負荷要求時の燃料電池の出力が確保される。
前記温度低下制御は、前記負荷状態予測部により前記燃料電池の低負荷状態から高負荷状態への移行が予測されたときに、前記冷媒流路内を流通する冷媒の温度が予め定められた所定値よりも高い場合に、前記所定値まで前記冷媒の温度を低下させてもよい。また、前記所定値は、前記燃料電池の作動温度として定められた目標温度以下とすることが好ましい。
通常、燃料電池システムには、燃料電池の作動温度として目標温度が設定されている。本明細書開示の燃料電池システムにおける温度低下制御では、燃料電池の目標温度以下の所定値に温度制御することにより、積極的に反応ガス流路内に水を生成し、水の分布の不均一を解消する。
また、前記所定値は、前記カソード電極に含まれる触媒層におけるフラッディングの発生を回避する温度よりも高い温度に設定することが好ましい。カソード電極に含まれる触媒層においてフラッディングが発生すると、発電効率が低下することから、これを回避するためである。
前記温度制御部は、前記負荷状態予測部により前記燃料電池の低負荷状態から高負荷状態への移行が予測されたときに、前記冷媒流路内を流通する冷媒の温度が前記燃料電池の作動温度として定められた目標温度以上であるときに、急速冷却制御を行うようにしてもよい。燃料電池システムの通常の制御においても冷媒の温度が目標温度になるように冷媒の流通状態が制御される。本明細書開示の燃料電池システムでは、燃料電池の低負荷状態から高負荷状態への移行が予測されたときに、目標温度以上となっている場合には、急速冷却を行うことにより、迅速に所定温度まで冷却し、水を生成する。
前記温度制御部は、前記温度低下制御を所定時間実行するようにしてもよい。燃料電池の低負荷状態から高負荷状態への移行が予測されたにもかかわらず、高負荷状態への移行が確認されないような場合に、必要以上に冷媒の温度を下げないための処理である。
本明細書開示の燃料電池システムによれば、高負荷要求時に燃料電池の出力を確保することができる。
図1は実施形態の燃料電池システムに含まれる燃料電池の斜視図である。 図2は実施形態における燃料電池の内部の一部を示す側面図である。 図3は実施形態における燃料電池に含まれる単セルの断面図である。 図4は実施形態における燃料電池に含まれるセパレータの平面図である。 図5は実施形態の燃料電池システムの構成図である。 図6は実施形態の燃料電池システムに含まれる制御装置の機能ブロック図である。 図7(A)は比較例の燃料電池における低負荷状態時の水の分布を模式的に示す説明図であり、図7(B)は比較例の燃料電池における高負荷状態移行直後の水の分布を模式的に示す説明図である。 図8は実施形態の燃料電池システムの制御の一例を示すフロー図である。 図9は実施形態の燃料電池における水の生成の様子を示す説明図である。 図10は他の実施形態の燃料電池システムの制御の一例を示すフロー図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては細部が省略されて描かれている場合もある。
(第1実施形態)
まず、図1〜図5を参照しつつ、実施形態の燃料電池システム100について説明する。図1は実施形態の燃料電池システム100に含まれる燃料電池1の斜視図である。図2は実施形態における燃料電池1の内部の一部を示す側面図である。図3は実施形態における燃料電池1に含まれる単セル2の断面図である。図4は実施形態における燃料電池1に含まれるセパレータ22a、22bの平面図である。図5は実施形態の燃料電池システム100の構成図である。
燃料電池システム100は、固体高分子電解質型の燃料電池1を含む。図1及び図2を参照すると、スタック構造の燃料電池1は、固体高分子電解質型の単セル2を左右方向に複数積層してなるセル積層体3を有する。すなわち、本実施形態における燃料電池1では、図1に示す左右方向が単セル2の積層方向となっている。セル積層体3の両端に位置する単セル2(以下、端部セル2aという)の外側に、それぞれ、集電板5a、5b、絶縁板6a、6b及びエンドプレート7a、7bが配置される。また、エンドプレート7a、7b間には、燃料電池1の上側及び下側においてテンションプレート8、8が架け渡されている。テンションプレート8、8の端部は、それぞれエンドプレート7a、7bにそれぞれボルト9で固定されている。エンドプレート7bと絶縁板6bとの間には、弾性モジュール10が設けられる。
水素ガス、空気及び冷媒は、エンドプレート7aに形成された供給口11a、12a及び13aに接続した供給管14からセル積層体3内のマニホールド15aに供給される。その後、水素ガス、空気及び冷媒は、単セル2の平面方向に流れて、セル積層体3内のマニホールド15bに至り、エンドプレート7aに形成された排出口11b、12b及び13bに接続した排出管16から燃料電池1外に排出される。なお、供給管14、マニホールド15a、15b及び排出管16は、水素ガス、空気及び冷媒の各流体に対応して設けられているが、図2では同一符号を付して説明を省略している。
図3に示すように、単セル2は、MEA(膜―電極アッセンブリ、Membrane Electrode Assembly)20及び一対のセパレータ22a、22bを備える。MEA20は、イオン交換膜からなる電解質膜23と、電解質膜23を挟んだアノード電極24a及びカソード電極24bと、で構成される。すなわち、燃料電池1は、アノード電極24a、カソード電極24b及びこれらの間に配置された電解質膜23を備える。アノード電極24aにはセパレータ22aの水素流路25aが面し、カソード電極24bにはセパレータ22bの空気流路25bが面する。また、セパレータ22a、22bの冷媒流路26a、26bが対向配置されており、隣接する単セル2、2間で接合されている。水素流路25a及び空気流路25bはそれぞれ反応ガス流路に相当する。
セパレータ22aは、水素流路25aの外側にそれぞれ貫通形成された水素入口27a、空気入口28a、冷媒入口29a、水素出口27b、空気出口28b及び冷媒出口29bを有する。入口27a、28a及び29aは、それぞれの流体に対応するマニホールド15aの一部を構成し、同様に、出口27b、28b及び29bは、それぞれの流体に対応するマニホールド15bの一部を構成する。
セパレータ22aでは、水素ガスが入口27aから水素流路25aに導入され、出口27bへと排出される。この点、冷媒の流れも同様である。また、詳述しないが、セパレータ22aと同様に構成されたセパレータ22bでも、その平面方向に空気が流れる。このようにして、単セル2内のアノード電極24aに水素が供給され、カソード電極24bに空気が供給され、それによりMEA20内で電気化学反応が生じ、起電力が得られる。また、この電気化学反応により、カソード電極24b側に水が生成されると共に発熱する。そして、冷媒が流れることで、各単セル2の熱が低減される。
つぎに、本実施形態の燃料電池システムの概略構成について、図5を参照しつつ説明する。図5に示すように、燃料電池システム100は、空気配管系300、水素配管系400、冷媒配管系500及び制御装置600を備える。燃料電池システム100は、車両、船舶、飛行機、ロボットなどの各種移動体に搭載できるほか、定置型電源にも適用可能である。ここでは、自動車に搭載した燃料電池システム100を例に説明する。
空気配管系300は、燃料電池1に空気を給排する系統であり、加湿装置30、供給流路31、排出流路32及びコンプレッサ33を有する。コンプレッサ33により大気中のエア(低湿潤状態の空気)が取り込まれて加湿装置30に圧送され、加湿装置30にて高湿潤状態の酸化オフガスとの間で水分交換が行われる。その結果、適度に加湿された空気が供給流路31から燃料電池1に供給される。排出流路32には、燃料電池1のエア背圧を調整する背圧弁34が設けられる。また、背圧弁34の近傍には、エア背圧を検出する圧力センサP1が設けられる。コンプレッサ33には、燃料電池1へのエア供給流量を検出する流量センサF1が設けられる。
水素配管系400は、燃料電池1に水素ガスを給排する系統であり、水素供給源40、供給流路41、循環流路42及びシャットバルブ43などを有する。水素供給源40からの水素ガスは、レギュレータ44によって減圧された後、インジェクタ45によって流量及び圧力を高精度に調整される。その後、水素ガスは、循環流路42上の水素ポンプ46によって圧送された水素オフガスと合流点Aで合流して、燃料電池1に供給される。循環流路42には、パージ弁48付きのパージ路47が分岐接続されており、パージ弁48を開弁することで、水素オフガスが排出流路32に排出される。合流点Aの下流側には、燃料電池1への水素ガスの供給圧力を検出する圧力センサP2が設けられる。また、水素ポンプ46には、流量センサF2が設けられる。なお、別の実施態様では、燃料オフガスを水素希釈器などに導入してもよいし、循環流路42に気液分離器を設けてもよい。
冷媒配管系500は、燃料電池1に冷媒(例えば冷却水)を循環供給する系統であり、冷却ポンプ50、冷媒流路51、ラジエータ52、バイパス流路53及び切替え弁54を有する。冷却ポンプ50は、冷媒流路51内の冷媒を燃料電池1内へと圧送する。冷媒流路51は、燃料電池1の冷媒入口側にある温度センサT1と、燃料電池1の冷媒出口側にある温度センサT2と、を有する。ラジエータ52は、燃料電池1から排出される冷媒を冷却する。切替え弁54は、例えばロータリーバルブにより構成され、必要に応じて、ラジエータ52とバイパス流路53との間で冷媒の通流を切り替える。冷媒配管系500は、冷却ポンプ50の駆動状態や切替え弁54の開弁状態を変更してラジエータ52を通過する冷媒の量を調整することにより、冷媒の温度を調整することができる。このとき、本実施形態では、温度センサT2による測定値を参照して冷媒の温度調整を行うが、冷媒の温度を把握することができる他の手段を用いてもよい。
制御装置600は、内部にCPU、ROM、RAMを備えたマイクロコンピュータとして構成される。制御装置600には、各配管系300,400,500を流れる流体の圧力、温度、流量等を検出するセンサ(P1,P2,F1,F2,T1,T2)の検出情報が入力される。また、制御装置600には、燃料電池1が発電した電流値を検出する電流センサ61の検出情報のほか、アクセル開度センサ62、ブレーキセンサ63、パーキング(P)ブレーキセンサ64、シフトセレクタ65、ナビゲーションシステム66、横Gセンサ67及び車速センサ68などの検出情報が入力される。制御装置600は、これら検出情報等に応じて、システム100内の各種機器(コンプレッサ33、シャットバルブ43、インジェクタ45、水素ポンプ46、パージ弁48、冷却ポンプ50、切替え弁54など)を制御し、燃料電池システム100の運転を統括制御する。また、制御装置600は、各種検出情報を読み込み、ROMに格納されている各種マップを利用して、後に詳述する温度低下制御や急速冷却制御を行う。
図6に示すように、制御装置600は、燃料電池1における冷却水の温度を低下させる制御を実現するための機能ブロックとして、記憶部601、検出部602、負荷状態予測部603及び温度制御部604を備える。記憶部601は、燃料電池1が低負荷状態から高負荷状態へ移行することの予測及び冷媒温度の制御を実現するための各種のプログラムや、各種のマップを記憶する。なお、マップは、実験又はシミュレーションにより事前に得られたものである。検出部602は、各種センサ(P1,P2,F1,F2,T1,T2,61〜68)などの検出情報を読み込む。負荷状態予測部603は、検出部602によって得られた各種情報に基づいて、燃料電池1が低負荷状態から高負荷状態へ移行することを予測する。温度制御部604は、負荷状態予測部603によって燃料電池1が低負荷状態から高負荷状態に移行することを予測されたときに、温度低下制御又は急速冷却制御を行う。
なお、制御装置600は、温度低下制御や急速冷却制御を行っていない状態では、冷媒の温度が燃料電池1の作動温度として定められた目標温度Ttrgに近づくように燃料電池システム100内の各種機器(コンプレッサ33、シャットバルブ43、インジェクタ45、水素ポンプ46、パージ弁48、冷却ポンプ50、切替え弁54など)を制御している。本明細書においては、このように温度低下制御や急速冷却制御を行っていない状態における温度制御を通常温度制御と称する。
つぎに、燃料電池1に生じ得る現象について図7(A)、図7(B)を参照しつつ説明する。図7(A)は比較例の燃料電池1における低負荷状態時の水の分布を模式的に示す説明図であり、図7(B)は比較例の燃料電池1における高負荷状態移行直後の水の分布を模式的に示す説明図である。ここで、比較例としては、温度低下制御や急速冷却制御が実施されない燃料電池システムを想定している。すなわち、燃料電池1のハード構成は、実施形態の燃料電池システム100に含まれる燃料電池1と共通している。このため、図7(A)、図7(B)においても、共通の参照番号を付して説明する。なお、図7(A)、図7(B)は、説明を分かりやすくするために積層された単セル2を90°回転させ、寝かした状態としてその内部を模式的に示している。
図7(A)を参照すると、低負荷状態時の燃料電池1内の空気流路25b内には、水Wが貯まっている。この水Wは主として電気化学反応によって生成される。生成された水Wは、空気流路25b内に不均一に分布している。このような状態から、図7(B)に示すように高負荷状態へ移行すると、一部の空気流路25bからは、図中、点線で示すように水Wが排出される。このような現象は、反応ガス、すなわち、空気は、水が貯留しておらず、通過しやすい場所を優先的に通過し、水が貯留している場所を通過しにくいことに起因して生じる。このように、一部の空気流路25bで水が排出されると、空気が通過しやすい場所と空気が通過しにくい場所との差がより鮮明となり、空気の流通場所の偏りがより顕著となる。一旦このような反応ガスの分配にバラつきが生じると、そのバラつきは解消しにくく、発電しにくい単セルが生じ、高負荷要求時に燃料電池の出力を確保しにくくなる。
そこで、本実施形態の燃料電池システム1では、所定条件において温度低下制御や急速冷却制御を行って空気の分配のバラつきを解消し、高負荷要求時に燃料電池1の出力を確保する。以下、燃料電池システム100における制御につき、図8、図9を参照しつつ説明する。なお、燃料電池システム1は、通常の稼働状態において、通常温度制御が実施されているものとする。
まず、ステップS1では、低負荷状態から高負荷状態への移行が予測されたか否かを判断する。例えば、低負荷状態となる間欠運転中に、間欠運転の終了が予想されたときは、低負荷状態から高負荷状態への移行が予測されたと判断する。ここで、間欠運転とは、燃料電池1のシステム効率が低下する低負荷条件時(アイドリング時など)に燃料電池1の発電を停止する運転をいう。具体的には、間欠運転では、アノード電極24aへ水素ガスを供給したり、カソード電極24bへ空気を供給したりする補機類(コンプレッサ33、インジェクタ45、水素ポンプ46など)の作動を停止すると共に、燃料電池1の発電を停止する。そして、この間欠運転中に必要な駆動力及び燃料電池車両の補機動力は、例えば、二次電池などの補助電源から供給される。制御装置600の記憶部601には、間欠運転を行うモード及び間欠運転を行わない通常運転のモードなどが記憶されており、通常運転のモードから間欠運転のモードに必要に応じて切り替えて、間欠運転が実行される。アクセル開度センサ62により取得されたアクセル開度が所定値以下である場合は、間欠運転のモードに切り替えられる。
間欠運転の終了は、負荷状態予測部603によって以下の動作が検出されたか否かによって判断される。
(1)ブレーキセンサ63によって、ブレーキの踏み込み量の減少や解除が検出された場合。
(2)パーキングブレーキセンサ64によって、パーキングブレーキの解除が検出された場合。
(3)シフトセレクタ65によって、パーキング(P)からドライブ(D)、パーキング(P)からリバース(R)、パーキングから1速または2速に切り替えられたことが検出された場合。
(4)ナビゲーションシステム66で捕捉された経路前方に登坂路や高速道路がある場合。
(5)横Gセンサ67により、車両横方向の加速度が検出された場合。この場合、車両がカーブを走行していることが推測でき、カーブを抜けると一般的に速度を増すことが多いからである。
負荷状態予測部603により、上記のような動作が検出されたときは、ステップS1においてYESと判断し、ステップS2へ進む。ステップS1でNOと判断したときは、ステップS7へ進む。すなわち、通常温度制御の実施を継続する。
ステップS2では、温度センサT2によって取得された冷媒温度が所定値αよりも高いか否かを判断する。ステップS2でYESと判断するとステップS3へ進む。ステップS2でNOと判断するとステップS7へ進み、通常温度制御の実施を継続する。ここで、所定値αについて、説明する。所定値αは、燃料電池1の作動温度として定められた目標温度Ttrg以下であるとともに、カソード電極24bに含まれる触媒層24b1におけるフラッディングの発生を回避する温度Tflよりも高い温度に設定されている。すなわち、
Tfl<α≦Ttrg
となる値αが選定されている。
このような所定値αは、単セル2間におけるいわゆるヒートパイプ効果により、空気流路25b内だけで水の発生及び貯留が促進され、カソード電極24bに含まれる触媒層24b1がフラッディングすることがない温度に設定される。ここで、図9を参照して、所定値αの決定方針につき、より詳細に説明する。図9は、実施形態の燃料電池1における水の発生の様子を示す説明図である。図9におけるグラフ部分は、カソード電極24bに含まれる触媒層24b1と電解質膜23との境界線を原点としてカソード電極24bが延びる方向を横軸に設定している。そして、縦軸に冷媒の温度が設定されている。すなわち、グラフ部分は、カソード電極24b周辺の温度分布を示している。グラフ中、実線は、温度低下制御前の温度分布を示し、点線は、温度低下制御開始後の温度分布を示している。そして、一点鎖線は、温度低下制御後に一定時間が経過し、定常状態になっている温度分布を示している。カソード電極24bの周辺の温度分布は、触媒層24b1が最も高く、触媒層24b1と隣接する拡散層24b2、セパレータ22bと移行するに従って順次温度が低下している。これは、セパレータ22bに冷媒流路26a、26bが形成されているためである。実線で示した温度低下制御前の状態では、いずれの領域でも露点Tを上回っているため、積極的な水の生成は見られない。これに対し、温度低下制御を実施すると、点線で示すように温度低下の勾配が大きくなり、冷媒流路26a、26bに近い側から露点Tを下回る領域が現れる。露点Tを下回った領域では、水が生成され始める。そして、一点鎖線で示す定常状態に収束する。
このように、所定値αは、冷媒の温度を低下させることにより、主として空気流路25b内で水が生成される温度に設定される。ここで、α≦Ttrgとしているのは、通常の目標温度Ttrgよりも温度を低下させることにより、積極的に水を発生させ、各空気流路25b内に水を生成するためである。各空気流路25b内で同様に水が生成されれば、水の分布は均一に近づく。一方、Tfl<αとしているのは、冷媒の温度を低下させすぎると、触媒層24b1でも水が生成されてしまい、発電反応に影響を及ぼすことが懸念させるため、これを回避するためである。所定値αは、このような観点で設定されている。実際には、実験やシミュレーションにより、空気流路25b内で水が生成され、触媒層24b1でフラッディングが生じない温度が設定されている。
ステップS3では、温度センサT2によって取得された冷媒温度が燃料電池1の作動温度として定められた目標温度Ttrgよりも高いか否かを判断する。冷媒温度が目標温度Ttrgより低く、ステップS3でNOと判断したときは、ステップS4へ進み、温度低下制御を実施する。温度低下制御では、冷却ポンプ50による冷媒の循環量を増量したり、切替え弁54の開度調整をすることによりラジエータ52を通過する冷媒の量を増量したりすることにより冷媒の温度を低下させる。これにより、空気流路25b内に均一に冷媒が貯留され、分布した状態となる。このような状態で反応ガス(空気)が燃料電池1に導入されると、負荷増加に伴い増加し、流速が速くなった空気が偏りなく分配され、燃料電池の全域において水が一掃される。これにより、各単セル2で適切に発電反応が起こり、高負荷要求時に燃料電池の出力を確保することができる。
ステップS4で温度低下制御を開始した後は、ステップS5へ進む。ステップS5では、実際に高負荷状態へ移行したか否かの判断を行う。高負荷状態へ移行したか否かは、アクセル開度センサによりアクセル開度を把握することにより判断する。
ステップS5でYESと判断するとステップS7へ進み、通常温度制御の実施へ復帰する。一方、ステップS5でNOと判断したときは、ステップS2からの処理を繰り返す。これにより、冷媒の温度が所定値αまで低下する。
冷媒温度が目標温度Ttrg以上であり、ステップS3でYESと判断したときは、ステップS6へ進む。ステップS6では、急速冷却制御を実施する。燃料電池システム1では、通常温度制御においても、冷媒の温度が目標温度Ttrgとなるように冷媒温度の制御が行われている。この際、冷却ポンプ50による冷媒の循環量の調整や、切替え弁54の開度調整が行われている。これに対し、急速冷却制御では、通常温度制御における冷却処理として比較して、より温度を低下させる。具体的には、冷却ポンプ50の回転数を最大限増加したり、ラジエータ52へ循環させる冷媒の量を最大限増加したりする。このように、急速冷却制御を実施することにより、冷媒を迅速に冷却する。ステップS6で急速冷却制御を開始した後は、ステップS2からの処理を繰り返す。急速冷却制御により冷媒の温度が次第に目標温度Ttrg以下の状態となり、再度のステップS3においてNOと判断されるようになる。ステップS3でNOと判断されると、ステップS4へ進み、温度低下制御を実施するようになる。そして、最終的には、ステップS7へ進み、その後、処理はリターンとなる。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システム100では、低負荷状態から高負荷状態への移行が予測されたときに、高負荷状態への移行に先立って、冷媒の温度を低下させる。これにより、燃料電池1の全域にわたって空気流路25b内に水が分布した状態となる。この結果、高負荷状態へ移行したときに空気の分配が偏ることなく、各空気流路25bから水が排出され、燃料電池1の全域で適切に発電反応が起こる。このようにして、高負荷要求時に燃料電池1の出力を確保することができる。
(第2実施形態)
つぎに、第2実施形態につき、図10を参照しつつ説明する。図10は、他の実施形態の燃料電池システムの制御の一例を示すフロー図である。第2実施形態におけるフロー図は、図8に示す第1実施形態におけるフロー図と以下の点で異なる。すなわち、図10に示すフロー図では、図8に示すフロー図におけるステップS5がステップS51に置き換えられている。その他の処理は、両者で異なるところがないので、その詳細な説明は省略する。
図8におけるステップS5は、温度低下制御の停止条件として、高負荷状態に移行したことが確認されたか否かを判断する処理である。ところで、低負荷状態から高負荷状態への移行が予測された場合であっても、その後、所定時間内に高負荷状態への移行が行われない場合が想定される。このような場合、温度低下制御が継続されると、空気流路25b内に必要以上に水が貯留されることが想定される。空気流路25b内に多量の水が貯留すると、空気の流通を妨げ、発電反応に影響を与えることが懸念される。
そこで、第2実施形態では、温度低下制御の開始から所定時間βが経過することをもって一律に温度低下制御から通常温度制御へ移行する。これにより、高負荷状態への移行がなされなかった場合であっても温度低下制御を停止することができる。もちろん、所定時間βが経過する以前に高負荷状態への移行が確認されたときには、その時点で温度低下制御や急速冷却制御を停止し、通常温度制御に移行するようにしてもよい。
上記実施形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
1:燃料電池
2:単セル
23:電解質膜
24a:アノード電極
24b:カソード電極
25a:水素流路(反応ガス流路)
25b:空気流路(反応ガス流路)
100:燃料電池システム
300:空気配管系
400:水素配管系
500:冷媒配管系
600:制御装置
603:負荷状態予測部
604:温度制御部

Claims (4)

  1. アノード電極、カソード電極、これらの間に配置された電解質膜、及び反応ガス流路を有する単セルを複数積層してなるセル積層体を含むとともに、前記単セル間に形成された冷媒流路を有する燃料電池を備える燃料電池システムにおいて、
    前記燃料電池の負荷状態を予測する負荷状態予測部と、
    前記負荷状態予測部により前記燃料電池の低負荷状態から高負荷状態への移行が予測されたときに、前記冷媒流路内を流通する冷媒の温度が、前記燃料電池の作動温度として定められた目標温度以下の温度として予め定められた所定値よりも高い場合に、前記所定値まで前記冷媒の温度を低下させる温度低下制御を行う温度制御部と、
    を、備えた燃料電池システム。
  2. 前記所定値は、前記カソード電極に含まれる触媒層におけるフラッディングの発生を回避する温度よりも高い温度に設定された請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記温度制御部は、前記負荷状態予測部により前記燃料電池の低負荷状態から高負荷状態への移行が予測されたときに、前記冷媒流路内を流通する冷媒の温度が前記燃料電池の作動温度として定められた目標温度以上であるときに、急速冷却制御を行う請求項1に記載の燃料電池システム。
  4. 前記温度制御部は、前記温度低下制御を所定時間実行する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
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