JP2016062745A - イオン性素子および電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光機能を向上させることが可能なイオン性素子等を提供する。【解決手段】イオン性素子1は、多孔質材121と、この多孔質材121内に分散された電解質122および発光性微粒子123とを含むイオン層12と、このイオン層12に対して電圧を印加するための複数の電極(2つの電極111,112)とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、イオン層に形成されるpn接合を利用して機能性を発揮するイオン性素子、およびそのようなイオン性素子を備えた電子機器に関する。
イオン液体等の電解質を用いたデバイス(イオン性素子)として、各種機能を有するものが提案されている。例えば、電解質を一対の電極で挟み込むようにした構造の電気二重層キャパシタが挙げられる。また、電解質と導電性ポリマー(発光性ポリマー)との混合物に対して複数の電極から電圧を印加できるようにした構造の電気化学発光セル(LEC:Light-emitting Electrochemical Cells)も挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。
Q.Pai, A.J.Heeger et al., Science(1996)
ところで、上記したイオン性素子では一般に、その機能性(例えば発光機能)を高めてユーザの利便性を向上させることが求められている。したがって、発光機能を向上させることを可能とするイオン性素子の提案が望まれる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、発光機能を向上させることが可能なイオン性素子、およびそのようなイオン性素子を備えた電子機器を提供することにある。
本発明のイオン性素子は、多孔質材と、この多孔質材内に分散された電解質および発光性微粒子とを含むイオン層と、このイオン層に対して電圧を印加するための複数の電極とを備えたものである。
本発明の電子機器は、1または複数の上記本発明のイオン性素子を備えたものである。なお、このような電子機器としては、例えば、照明装置または表示装置等が挙げられる。
本発明のイオン性素子および電子機器では、イオン層に、多孔質材と、この多孔質材内に分散された電解質および発光性微粒子とが含まれている。したがって、例えば、上記複数の電極からイオン層に対して電圧が印加されることによってイオン層内に形成されたpn接合において、このpn接合を利用した発光機能が発光性微粒子によって促進され、イオン層における発光領域が拡大する。
本発明のイオン性素子では、例えば上記したように、イオン層が少なくとも発光機能を有すると共に、上記発光性微粒子がこのイオン層における発光機能を促進させるようにすることが好ましい。また、上記複数の電極によってイオン層に対して電圧が印加されたときに、イオン層内にpn接合が形成されると共に、このpn接合において発光機能が発揮されるようにするのが好ましい。
この場合において、イオン層に対して電圧が印加されたときに、形成されたpn接合の接合面近傍において、発光性微粒子がEL(Electro-Luminescence)発光を行うと共に、この発光性微粒子からの発光光を利用して多孔質材が光励起されることによって、多孔質材がPL(Photo-Luminescence)発光を行うようにするのが好ましい。また、このような発光性微粒子からの発光光を利用してイオン層内の他の発光性微粒子もが光励起されることによって、この他の発光性微粒子がPL発光を行うようするのが更に好ましい。
ここで、このような発光性微粒子からの発光光を利用したPL発光(多孔質材や上記他の発光性微粒子のPL発光)によって、例えば上記したように、イオン層における発光領域が拡大するのが好ましい。
本発明のイオン性素子では、電圧の印加状態から無印加状態へ移行した後も、pn接合が所定時間維持されるようにすることが可能である。このようにした場合、電圧無印加状態への移行後もpn接合がある程度維持されるため、電圧無印加状態においても、pn接合を利用した各機能(蓄電機能および発光機能や、発電機能等)が実現可能となる。また、発光性微粒子におけるバンドギャップが、多孔質材におけるバンドギャップよりも大きいか、もしくは、互いに等しいのが好ましい。このようにした場合、発光性微粒子からの発光光を利用した多孔質材の光励起およびPL発光が起こり易くなる。
本発明のイオン性素子では、面発光するように構成するのが好ましい。このようにした場合、点発光するイオン性素子(例えばLED(Light Emitting Diode)等)と比べ、例えば照明装置等の電子機器に適用し易くなる。また、本発明のイオン性素子では、イオン層および複数の電極がそれぞれ可撓性を有する、すなわち、イオン性素子全体として可撓性を示すようにするのが好ましい。このようにした場合、各種の電子機器に適用した際の利便性や設計の自由度等が向上する。
本発明のイオン性素子では、複数の電極の間にイオン層が挿設されているように構成することが可能である。あるいは、基板上に複数の電極が並設されると共に、これらの基板および複数の電極の上をイオン層が覆っているように構成することも可能である。ここで、後者の構成の場合、前者の構成と比べ、素子の応答速度が低下するものの、電圧無印加状態への移行後におけるpn接合の維持時間がより長くなる。逆に言うと、前者の構成では後者の構成と比べ、素子の応答速度が向上する。また、前者の構成では後者の構成と比べ、界面(例えば、基板とイオン層との間の界面)の影響を受けにくくなり、イオン性素子における機能性(発光特性)が向上する。
本発明のイオン性素子では、上記電解質を、イオンの移動度の抑制構造を有する分子を用いて構成するのが好ましい。このようにした場合、例えば、上記複数の電極からイオン層に対して電圧が印加されることによってイオン層内に形成されたpn接合が、電圧の無印加状態への移行後も消滅しにくくなる(ある程度の時間、pn接合が維持されるようになる)。したがって、このような特性を有するpn接合を利用して、イオン性素子における機能性(発光特性)を向上させることが可能となる。なお、この場合において、例えば、上記分子が直鎖構造を有するように構成することが可能である。
本発明のイオン性素子では、上記発光性微粒子として、例えば量子ドットを用いることが可能である。また、上記電解質としては、例えばイオン液体を用いることが可能であり、上記多孔質材としては、例えば導電性ポリマー(発光性ポリマー)を用いることが可能である。
本発明のイオン性素子および電子機器によれば、イオン層に、多孔質材とこの多孔質材内に分散された電解質および発光性微粒子とが含まれているようにしたので、イオン層における発光機能が促進され、発光領域を拡大させることができる。よって、発光機能を向上させることが可能となる。
本発明の一実施の形態に係るイオン性素子の構成例を表す模式断面図である。 図1に示したイオン層の状態を模式的に表す断面図である。 図1に示したイオン性素子の製造方法の一例を工程順に表す流れ図である。 電圧印加時に形成される電気二重層の状態を表す模式図である。 図4に示した電気二重層の態様を拡大して表す模式図である。 電圧印加時におけるpn接合の形成原理を説明するための模式図である。 pn接合およびそれを利用した蓄電機能について説明するための模式図である。 pn接合を利用した発光機能について説明するための模式図である。 pn接合を利用した発電機能について説明するための模式図である。 蓄電機能、発光機能および発電機能同士の関係の一例について説明するための模式図である。 比較例に係るイオン性素子の構成を表す模式断面図である。 図11に示したイオン性素子の発光領域について説明するための模式図である。 図1に示したイオン層内における発光性微粒子の作用について説明するための模式図である。 図13に示した発光性微粒子の作用の詳細について説明するための模式図である。 図1に示したイオン性素子の発光領域について説明するための模式図である。 イオン性素子の他の構成例を表す模式断面図である。 図16に示したイオン性素子における電圧無印加状態への移行後のイオン層の状態を表す模式図である。 図1に示したイオン性素子における電圧無印加状態への移行後のイオン層の状態を表す模式図である。 図1に示したイオン性素子における電圧無印加状態への移行後のイオン層での各機能について説明するための模式図である。 実施例1に係る発光特性の一例を表す写真図である。 実施例1に係る発光特性の一例を表す特性図である。 実施例2に係る発光特性の一例を表す写真図である。 実施例2に係る発光特性の一例を表す特性図である。 実施例1〜3に係る波長と発光強度との関係の一例を表す特性図である。 変形例に係るイオン性素子の構成例を表す模式断面図である。 図25に示したイオン層の状態を模式的に表す断面図である。 図25に示したイオン性素子における電圧印加時のイオン層での各機能について説明するための模式図である。 図25に示したイオン性素子における電圧無印加状態への移行後のイオン層での各機能について説明するための模式図である。 イオン性素子の適用例1に係る電子機器の構成例を表す模式図である。 イオン性素子の適用例2に係る電子機器の構成例を表す模式図である。 イオン性素子の適用例3に係る電子機器の構成例を表す模式図である。 イオン性素子の適用例4,5に係る電子機器の構成例を表す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(一対の電極の間にイオン層が挿設された素子構造の例)
2.変形例(基板上に複数の電極が並設され、その上をイオン層が覆う素子構造の例)
3.適用例1〜5(イオン性素子の電子機器への適用例)
4.その他の変形例
<1.実施の形態>
[構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係るイオン性素子(イオン性素子1)の断面構成例(Z−X断面構成例)を模式的に表したものである。このイオン性素子1は、一対の電極111,112とイオン層12(機能層)とからなる積層構造を有している。
(電極111,112)
電極111,112はそれぞれ、イオン層12に対して電圧を印加するための電極である。本実施の形態では、これらの電極111,112は、イオン層12を挟み込むように配置されている。
電極111,112の厚みはそれぞれ、例えば30nmである。また、電極111,112はそれぞれ、例えば、金(Au),白金(Pt),アルミニウム(Al),ニッケル(Ni),チタン(Ti)などの各種金属の他、酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)などの導電性酸化物、導電性高分子、カーボンナノチューブ、グラファイト等の導電性材料からなる。なお、このイオン性素子1では、一般的な有機EL素子等とは異なり、電極111,112とイオン層12との間の仕事関数の値の差を考慮せずに、電極111,112の材料を選定することができる。このため、電極111,112としては種々の導電性材料を使用することが可能となっている。
(イオン層12)
イオン層12は、上記したように一対の電極111,112の間に挿設されており、後述する各種の機能(この例では、蓄電機能、発光機能および発電機能)が発揮される層である。このイオン層12は、例えば図1中の符号P1で示した拡大模式図のように、多数の細孔121hを有する多孔質材121と、この多孔質材121内に分散された電解質(電解質の分子)122および発光性微粒子123とを含んでいる。具体的には、この例では、多孔質121における多数の細孔121h内に、電解質122および発光性微粒子123がそれぞれ分散されていると共に、多孔質121の中に、発光性微粒子123が分散されている。換言すると、イオン層12は、電解質122と発光性微粒子123と多孔質材121とが、所定の混合比(例えば、混合重量比または混合体積比など)にて混合されたものとなっている。なお、このようなイオン層12の厚みは、例えば200nmである。
ここで、イオン層12における、電解質122と発光性微粒子123と多孔質材121との混合比は、例えば、電解質122:発光性微粒子123:多孔質材121=1:m:n(例えば、m>0.01程度、n>3程度)であることが望ましい。これは、電解質122の混合率(例えば、混合重量比率または混合体積比率)が相対的に小さ過ぎると(電解質122の含有量が少な過ぎると)、後述するpn接合が形成されにくくなり、発光動作等が困難になってしまうと予想されるためである。換言すると、電解質122と多孔質材121との混合比には、後述する電圧無印加状態への移行後においてもpn接合の形成状態(発光動作および発電動作)が維持されるための好適な範囲が存在すると予想される。
多孔質材121は、イオン層12の母材(基材)として機能するものである。この多孔質材121における細孔121hの大きさ(径)は、電解質122の分子よりも大きければよく、例えば1nmである。多孔質材121は、例えば、導電性ポリマー(発光性ポリマー)等の有機材料や、カーボンナノチューブ等の無機材料からなる。具体的には、導電性ポリマーとしては、例えば、F8T2(poly(9,9-dioctylfluorene-co-bithio-phene))等の材料が挙げられる。このように、多孔質材121としては有機材料および無機材料のいずれも使用可能であるが、導電性ポリマー等の有機材料を用いるのが望ましい。分子量が大きくなるため、イオン層12を形成し易くなるからである。また、この多孔質材121は、以下説明する電解質122との兼ね合い(相性)から、疎水性を示すものであることが望ましい。
電解質122は、上記したように、その分子が多孔質材121の細孔121h内に分散された状態となっている。換言すると、電解質122は、多孔質材121中に含浸されている(浸み込むようにして配置されている)。
また、例えば図2中に模式的に示したように、この電解質122は、実際にはイオン層12内において、主にイオン状態となって分散している。すなわち、電解質122の分子には、陽イオン122cと陰イオン122aとに電離した状態となっているものが存在する。これは、多孔質材121が電解質122の溶媒として機能するからである。
ここで、このような電解質122は、詳細は後述するが、例えば、自身の移動度を抑制する構造(イオンの移動度の抑制構造)を有する分子(イオン)を用いて構成されている。このようなイオンの移動度の抑制構造を有する分子としては、例えば、極性を有する分子などが挙げられる。また、この極性を有する分子の一具体例としては、図1中の符号P1で示した拡大模式図中の電解質122のように、異方性形状(細長い形状)を有する分子、例えば直鎖構造を有する分子が挙げられる。この直鎖構造としては、例えば、アルキル基(一般式:Cn2n+2)、アリール基等が挙げられる。
ここで、上記したイオンの移動度の抑制構造の長さ(例えば、直鎖構造の長さ)は、例えば2nm以上である(分子量が大きい構造である)ことが望ましい。また、別の観点からみると、このイオンの移動度の抑制構造は、多孔質材121における細孔121hの径に対して、2倍以上の長さであることが望ましい。これらの長さの範囲内であれば、後述するイオン移動度の抑制作用が効果的になされるからである。
このような電解質122としては、イオン液体を用いるのが望ましい。イオン層12内に後述する電気二重層が形成され易くなるからである。このようなイオン液体としては、例えば以下の(1)式で表わされる化合物(tetradecyltrihexylphosphonium(tri- fluoromethylsulfonyl)amide [P66614][TFSA])のように、直鎖構造(この例では、アルキル基)を有する分子構造のものが挙げられる。この(1)式で表わされるイオン液体は、上記したようにイオンの移動度の抑制構造を有する分子であると共に、陽イオンと陰イオンとの間での強い分極が生じる(極性を有する)分子構造となっている。
Figure 2016062745
なお、このようなイオン液体としては、(1)式で表わされるものには限られず、イオンの移動度の抑制構造を有する分子(例えば、極性を有する分子)のものであれば、他のイオン液体を用いるようにしてもよい。具体的には、例えば、以下の陽イオンと陰イオンとを組み合わせてなるイオン液体を用いるようにしてもよい。
(A)陽イオン
・イミダゾリウム系陽イオン:
1-methyl-3-methylimidazolium(MMI),
1-ethyl-3-methylimidazolium(EMI),
1-propyl-3-methylimidazolium(PMI),
1-butyl-3-methylimidazolium(BMI),
1-pentyl-3-methylimidazolium(PeMI),
1-hexyll-3-methylimidazolium(HMI),
1-Octyl-3-methylimidazolium,
1-oxyl-3-methylimidazolium(OMI),
1-hexadecyl-3-methylimidazolium,
1-Butyl-2,3-dimethulimidazolium,
1,2-dimethyl-3-propylimidazolium(DMPI);
・ピリジニウム系陽イオン:
1-methl-1-propylpiprodonium(PP13),
1-methyl-1-propylpyrrolidinium(P13),
1-methyl-1-butylpyrrolidinium(P14),
1-butyl-1-methylpyrrolidinium(BMP);
・アンモニウム系陽イオン:
trimethylpropylammonium(TMPA),
trimethyloctylammonium(TMOA),
trimethylhexylammonium(TMHA),
trimethylpentylammonium(TMPeA),
trimethylbutylammonium(TMBA);
・ピラゾリウム系陽イオン:
1-ethyl-2,3,5-trimethylpyrazolium(ETMP),
1-butyl-2,3,5-trimethylpyrazolium(BTMP),
1-propyl-2,3,5-trimethylpyrazolium(PTMP),
1-hexyl-2,3,5-trimethylpyrazolium(HTMP),
1-Buthylpyridium,
1-Hexylpyridium;
(B)陰イオン
bis(trifluoromethanesulfonyl)imide(TFSI),
bis(fluorosulfonyl)imide(FSI),
bis(perfluoroethylsulfonyl)imide(BETI),
tetrafluoroborate(BF4),
hexafluorophosphate(PF6);
このような電解質122は、前述した多孔質材121との相性から、疎水性を示すものであることが望ましい。つまり、多孔質材121および電解質122がいずれも疎水性を示すものとなっているのが望ましい。これにより、イオン層12を形成する際に、多孔質材121と電解質122とが均一に混ざり易くなるからである。
発光性微粒子123は、ナノスケール等の微粒子(発光性ナノ粒子)であり、上記したように、多孔質121における多数の細孔121h内および多孔質121の中に分散された状態となっている。換言すると、発光性微粒子123もまた、多孔質材121中に含浸されている(浸み込むようにして配置されている)。このような発光性微粒子123からは、詳細な原理は後述するが、発光光(EL発光光)が出射されるようになっており、この発光性微粒子123からの発光光を利用して、イオン層12(多孔質材121)における発光機能が促進されるようになっている。また、各発光性微粒子123におけるサイズ(粒径)や材料の組成等を変化させることで、発光波長(光子エネルギーに対応)も変化するようになっている。これにより発光性微粒子123では、異なる波長(色)の発光光(赤色発光光,緑色発光光,青色発光光)を得ることが可能となっている。
このような発光性微粒子123は、例えば、酸化シリコン(SiO2)や酸化アルミニウム(Al23)、蛍光性ナノ材料、量子ドット等からなる。これらのうちの量子ドットとしては、例えば、CdSe,CdS,ZnS,InN,InP,CuCl,CuBr,Siなどが挙げられ、その粒径(一辺方向のサイズ)は、例えば1nm〜50nm程度である。また、このような量子ドットの材料のうち、赤色発光材料としては例えばInP等が挙げられ、緑色発光材料としては例えばCdSe等が挙げられ、青色発光材料としては例えばCdS等が挙げられる。
[製造方法]
このイオン性素子1は、例えば、図3に示したようにして製造することができる。この図3は、イオン性素子1の製造方法の一例を、工程順に流れ図で表わしたものである。
(混合体の作製工程)
まず、前述した材料からなる多孔質材121、電解質122および発光性微粒子123と、両親媒性物質(両親媒性分子を有する物質;レベリング剤)とを、所定の溶媒(例えば、クロロベンゼン,ジクロロベンゼン等の高沸点溶剤など)中で混合することにより、混合体を作製する(工程S11)。なお、両親媒性物質としては、例えば界面活性剤が挙げられる。また、この界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。フッ素系界面活性剤の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。この際、多孔質材121と電解質122と発光性微粒子123とは、例えば、前述した所定の混合比にて混合するようにする。また、この混合体における両親媒性物質の含有量は、例えば1000ppm以下程度とするのが望ましく、例えば10ppm程度とするのがより望ましい。混合体への両親媒性物質の過剰な含有が防止され、後述する両親媒性物質の機能がより効果的に発揮されるからである。
・ペルフルオロアルキルスルホン酸(CF3(CF2nSO3H)
・ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS;perfluorooctanesulfonate)
・ペルフルオロアルキルカルボン酸(CF3(CF2nCOOH)
・ペルフルオロオクタン酸(PFOA;perfluorooctanoate)
・フッ素テロマーアルコール(F(CF2nCH2CH2OH)
ここで、このようにして多孔質材121、電解質122、発光性微粒子123および両親媒性物質を混合する際には、これらの材料について、事前に超音波(例えば、50kHz,100W程度の超音波)を用いた撹拌を行っておくのが望ましい。これらの材料同士(例えば、多孔質材121、電解質122および発光性微粒子123同士)が、均一に混ざり易くなるからである。なお、このような超音波を用いた撹拌は、例えば、下限時間以上かつ上限時間以下の所定の期間(撹拌時間)で行うのが望ましい。詳細は後述するが、撹拌効率を高めつつ、動作時のイオン性素子1の耐久性を確保できる(イオン性素子1が壊れてしまうのを回避できる)ようになるからである。ここで、上記した上限時間および下限時間としてはそれぞれ、例えば、3分,10分が挙げられる。つまり、例えば、超音波を用いた撹拌を3分以上かつ10分以下の期間で行うようにする。ただし、これらの上限値および下限値(適切な撹拌時間)はそれぞれ、多孔質材121や電解質122、発光性微粒子123の種類、超音波の出力値等に応じて変化する。そのため、超音波を用いた撹拌を行う場合は、上記したように、撹拌効率が高く、かつイオン性素子1が壊れない程度の出力および撹拌時間で行うのが好ましい。
(混合体の薄膜化工程)
次いで、例えばスピンコートやインクジェット等を用いて、上記した混合体を薄膜状に成形する(工程S12)。換言すると、工程S11において得られた混合体を、薄膜化させる。この際、スピンコートを用いる場合には、例えば、空気中において、500rpm(回転/分)程度の回転率にて1分間程度のスピンコートを行うようにする。なお、このようにして混合体を薄膜状にする手法としては、上記したスピンコートおよびインクジェットには限られず、他の印刷技術を用いることも可能である。具体的には、例えば、ナノインプリント法、誘導プラズマエッチング法、ドライエッチング法といったプリント技術、エッチング技術などの印刷技術を用いることが可能である。
(乾燥工程)
続いて、このようにして得られた薄膜状の混合体を乾燥させることにより、この混合体から上記した溶媒を蒸発させる(工程S13)。これにより、図1中の符号P1で示した拡大模式図のような、多数の細孔121hを有する多孔質材121と、この多孔質材121内に分散された電解質122および発光性微粒子123とからなるイオン層12が形成される。なお、乾燥させる際には、例えば、窒素(N2)雰囲気中において乾燥を行うようにする。
(電極の取付工程)
そののち、このようして得られたイオン層12に対して、複数の電極111,112を取り付ける(工程S14)。具体的には、工程S13において得られたイオン層12を、例えば真空蒸着法や塗布法等を用いて別途形成した一対の電極111,112の間に挟み込むようにする。以上により、図1に示したイオン性素子1が完成する。このように、真空プロセス等の複雑な工程が不要であると共に、室温環境下にて作製可能であることから、イオン性素子1は、比較的簡易なプロセスにて安価に製造することが可能である。
なお、このイオン性素子1の製造方法では、上記したように、両親媒性物質の混合および超音波を用いた撹拌の双方を行っているが、これには限られず、例えば、これらのうちのいずれか一方を行わないようにしてもよい。
[作用・効果]
(A−1.pn接合の形成)
このイオン性素子1では、電極111,112を用いてイオン層12に対して電圧が印加されると、以下の原理にてイオン層12内にpn接合が形成される。
すなわち、まず図4に示したように、電極112を電圧供給源PSの正(+)側、電極111を電圧供給源PSの負(−)側とそれぞれ電気的に接続し、この電圧供給源PSから電極111,112を介してイオン層12に、所定の電圧(この例では直流電圧)が印加されるようにする。すると、例えば図2に示したように陽イオン122cおよび陰イオン122aがそれぞれイオン層12内で分散した状態から、陽イオン122cおよび陰イオン122aがそれぞれ選択的に移動し、イオン層12内に電気二重層が形成される。具体的には、図4に示したように、イオン層12内の陽イオン122cが、電極111の表面(イオン層12側の表面)と所定の間隔をおいて整列するようになる。一方、イオン層12内の陰イオン122aは、電極112の表面と所定の間隔をおいて整列するようになる。なお、図4中において、「h」は正孔(ホール)を表すと共に「e」は電子を表し、以降の図においても同様である。
このとき、例えば図5に拡大して示したように、電極111側の電気二重層および電極112側の電気二重層はそれぞれ、間隔g=1nm程度の微小な距離を用いて形成される。このため、これらの電気二重層ではそれぞれ、例えば10(μF/cm2)程度の非常に大きな静電容量が形成されると共に、例えば3(MV/cm)程度の非常に大きな電界が生じることになる。
このようにして電気二重層に大電界が発生すると、例えば図6に示したように、電極111から電子eがイオン層12内に注入されるようになり、イオン層12内の電極111側に電気伝導領域A1が形成される。また、電極112から正孔hがイオン層12内に注入されるようになり、イオン層12内の電極112側に電気伝導領域A2が形成される。すると、今度は、電気伝導領域A1内と陽イオン122cとの間で電気二重層が形成されると共に、電気伝導領域A2内と陰イオン122aとの間で電気二重層が形成されるようになる。
そして、このようにして電気二重層および電気伝導領域が繰り返し形成されていくことで、最終的には例えば図7に示したように、イオン層12内にpn接合が形成される。具体的には、イオン層12内では、pn接合の接合面Sjよりも電極111側に、電子eと陽イオン122cとが混在して分散されたn型領域12nが形成される。また、接合面Sjよりも電極112側に、正孔hと陰イオン122aとが混在して分散されたp型領域12pが形成される。これらのp型領域12pとn型領域12nとによって、pn接合が構成される。以上のような原理にて、イオン層12内では電圧が印加されると自己組織的にpn接合が形成される。
(A−2.蓄電機能)
ここで、このpn接合(p型領域12pおよびn型領域12n)では、前述したように電気二重層を利用して非常に大きな静電容量が形成されることから、換言すると、大容量の電荷を蓄えている状態(蓄電状態)であると言える。つまり、イオン性素子1では、イオン層12内に形成される電気二重層を利用して、イオン層12において蓄電機能が発揮される。
(A−3.発光機能)
また、イオン性素子1では、例えば図8に示したように、このイオン層12内に形成されたpn接合を利用して、発光機能も発揮される。具体的には、このpn接合の接合面Sj付近において、p型領域12p内の正孔hとn型領域12n内の電子eとが再結合し(キャリアの再結合が生じ)、その結果、この接合面Sj付近から外部へ発光光Lout(出射光)が出射する。このような原理にて、イオン性素子1において発光動作がなされる。なお、図8では、便宜上、発光光Loutが電極111,112の方向へそれぞれ出射される態様で図示されているが、実際には発光光Loutは全ての方向に出射可能となっている。
(A−4.発電機能)
更に、イオン性素子1では、例えば図9に示したように、このイオン層12内に形成されたpn接合を利用して、発電機能(光電変換機能)も発揮される。具体的には、このpn接合の接合面Sj付近に外部から入射光Linが入射すると、この接合面Sj付近で光電変換がなされ、正孔hと電子eとのキャリア対が生成される。このようにして生成されたキャリア対を利用して(pn接合における光電変換を利用して)、イオン層12内に電荷が蓄積されることにより、イオン性素子1において発電動作がなされる。なお、図9においても、便宜上、入射光Linが電極111,112の方向からそれぞれ入射する態様で図示されているが、実際には入射光Linも全ての方向から入射可能となっている。
このように、本実施の形態のイオン性素子1では、イオン層12内に形成されるpn接合を利用して、このイオン層12において多機能性(蓄電機能、発光機能および発電機能)が発揮される。
すなわち、例えば図10に示したように、まず、電極111,112を利用してイオン層12に対して電圧が印加されると、イオン層12内にpn接合が形成されると共に、このpn接合では前述した電気二重層を利用して蓄電状態となる(図10中の状態S1)。すると、次に図10中の破線の矢印で示したように、このようにして形成されたpn接合を利用して、上記した原理にて、発光動作(状態S2)および発電動作(状態S3)がそれぞれなされるようになる。なお、このような発光動作および発電動作はそれぞれ、図10中の破線の矢印で示したように、相補的に実現することも可能である。つまり、例えば、蓄電によって得られたキャリア(正孔hおよび電子e)に加え、発電動作によって得られたキャリアをも利用して、発光動作を行うことも可能である。また、蓄電動作および発電動作もそれぞれ、図10中の破線の矢印で示したように、相補的に実現することが可能である。つまり、例えば、発電動作によって得られたキャリアを蓄電することも可能である。
(A−5.発光性微粒子の作用)
ここで、本実施の形態のイオン性素子1では、前述したように、イオン層12内に発光性微粒子123が含まれるようにしている。以下、この発光性微粒子123の作用(イオン層12における発光機能の促進作用)について、比較例と比較しつつ詳細に説明する。
(比較例)
図11は、比較例に係るイオン性素子(イオン性素子101)の断面構成例(Z−X断面構成例)を、模式的に表したものである。この比較例のイオン性素子101は、本実施の形態のイオン性素子1においてイオン層12の代わりにイオン層102を設けたものに対応し、他の構成は同様となっている。
このイオン層102では、例えば図11中の符号P101で示した拡大模式図のように、イオン層12に、多孔質材121と、この多孔質材121内に分散された電解質122とが含まれている。すなわち、このイオン層102は、図1中の符号P1で示した本実施の形態のイオン層12とは異なり、発光性微粒子123を含んでいないものとなっている。
このため、例えば図12に模式的に示したように、この比較例のイオン性素子101では、後述するイオン性素子1とは異なり、以下のようになる。すなわち、電極111,112からイオン層102に電圧が印加されると、前述した原理にてイオン層102内に形成されたpn接合において、そのpn接合の接合面Sj付近に位置する多孔質材12のみが発光する。したがって図12に示したように、このイオン性素子101では、後述するイオン性素子1と比べ、イオン層102内での発光領域Aeが狭いものとなり、発光輝度が低くなってしまう。また、発光輝度を高める(高輝度化)ためには、イオン性素子101の駆動電圧を高くする必要が生じ、素子寿命が短くなってしまうことから、このイオン性素子101では発光輝度を向上させるのが困難であると言える。
(本実施の形態)
これに対して本実施の形態のイオン性素子1では、前述した図1に示したように、イオン層12に、多孔質材121と、この多孔質材121内に分散された電解質122および発光性微粒子123とが含まれている。
したがって、例えば図13に模式的に示したように、前述した原理にてイオン層12内にpn接合が形成されると、このpn接合における接合面Sjの近傍において、前述した原理にて多孔質材121が発光を開始するとともに、発光性微粒子123も発光(EL発光)を開始する。
すると、例えば図14(A)および図14(B)に模式的に示したように、この発光性微粒子123からの発光光(EL発光光)を励起光として利用して、pn接合の接合面Sj近傍における多孔質材121が、光励起される。これは、発光性微粒子123からのEL発光光の発光強度が相対的に大きいためである。その結果、この接合面Sj近傍における多孔質材121もまた、発光(PL発光)を開始する。そして、イオン性素子1では、最終的に、この多孔質材121からのPL発光による発光光Lout(出射光)が、外部へ出射される(面発光する)ことになる。
このようにして、例えば図15に模式的に示したように、このイオン性素子1では、イオン層12内における多孔質材121の発光領域Aeが、pn接合の接合面Sj近傍からその周囲へと徐々に拡がっていき、発光領域Aeが広範なものとなる。つまり、本実施の形態のイオン性素子1では、発光性微粒子123からの発光光(EL発光光)を利用した多孔質材121のPL発光によって、上記比較例のイオン性素子101と比べ、イオン層12内での発光領域Aeが拡大する。換言すると、発光性微粒子123は、イオン層12における発光機能を促進させる作用(発光機能の促進作用)を有していると言える。このようにしてイオン性素子1では、イオン層12内での発光領域Aeが拡大する結果、発光輝度が向上する(高輝度化が図られる)ことになる。これにより、イオン性素子1における駆動電圧(動作電圧)が低く抑えられると共に、長寿命化も図られることになる。
ここで、例えば図14(A)中に示したように、発光性微粒子123におけるバンドギャップBG3が、多孔質材121におけるバンドギャップBG1よりも大きくなっているか、もしくは、互いに等しくなっている(BG3≧BG1)のが好ましい。上記した発光性微粒子123からの発光光を利用した多孔質材121の光励起およびPL発光が起こり易くなるためである。
また、このとき例えば図13中の符号P2で示したように、発光性微粒子123からの発光光を利用して、イオン層12内の他の発光性微粒子123もが光励起されてPL発光を行うようにするのが好ましい。つまり、光励起される対象として、上記したような多孔質材121だけでなく、他の発光性微粒子123もが含まれるようにするのが好ましい。これにより、この他の発光性微粒子からのPL発光光をも利用して、イオン層12(多孔質材121)における発光領域Aeが相乗的に拡大していき、発光輝度の更なる向上が図られるからである。
(B.製造方法における作用)
次に、本実施の形態のイオン性素子1の製造方法における作用について説明する。
まず、例えば図3中の工程S11では、多孔質材121、電解質122および発光性微粒子123とともに、両親媒性物質が溶媒中で混合されることにより、混合体が作製される。このように両親媒性物質もが混合されることで、この両親媒性物質がレベリング剤(表面張力調整剤)として機能する。その結果、その後の工程12においてこの混合体を薄膜状にする際に、混合体の表面張力が低下し、混合体が薄く均一に拡がり易くなる(イオン層12内での膜厚ばらつきが抑えられる)。
また、このときの溶媒として、例えば前述した材料等からなる高沸点溶媒(例えば、沸点が80℃程度以上の溶媒)を用いているため、その後の工程S13において薄膜状の混合体を乾燥させる際に、溶媒が蒸発しにくくなり、混合体がゆっくりと乾燥するようになる。したがって、上記した両親媒性物質による表面張力の低減作用がより効果的に機能し、混合体が膜内で均等に乾燥し易くなる結果、イオン層12内での膜厚ばらつきが更に抑えられる。なお、混合体を乾燥させる際に、例えばホットプレート(50℃程度の温度)を用いた場合には、混合体が急激に乾燥するため、両親媒性物質の機能発揮が不十分になってしまうおそれがある。加えて、この場合には高温での乾燥となることから、多孔質材121(導電性ポリマー等)が壊れてしまうおそれもある。
更に、工程S11において多孔質材121、電解質122、発光性微粒子123および両親媒性物質を混合する際には、これらの材料について、事前に超音波を用いた撹拌が行われる。これにより、多孔質材121と電解質122と発光性微粒子123とが、均一に混ざり易くなり、工程S12において混合体を薄膜状にする際に、膜内での組成ばらつきが抑えられる。その結果、イオン性素子1における面内での特性ばらつき(前述した発光機能等の特性のばらつき)が抑えられる。
(C.イオンの移動度の抑制構造を有する分子による作用)
続いて、本実施の形態の電解質122が、イオンの移動度の抑制構造を有する分子を用いて構成されている場合における作用について説明する。
(他の構成例)
図16は、他の構成例に係るイオン性素子(イオン性素子201)の断面構成例(Z−X断面構成例)を、模式的に表したものである。この他の構成例のイオン性素子201は、本実施の形態のイオン性素子1においてイオン層12の代わりにイオン層202を設けたものに対応し、他の構成は同様となっている。
このイオン層202では、例えば図16中の符号P201で示した拡大模式図のように、多孔質材121の細孔121h内に分散された電解質203が、等方的形状を有する分子(イオン)を用いて構成されている。すなわち、イオン層202内の電解質203は、図1中の符号P1で示した本実施の形態の電解質122とは異なり、異方性形状を有する分子(イオンの移動度の抑制構造を有する分子)とはなっていない。
このため、イオン性素子201では、例えば図17に示したように、イオン層202内にイオン層12と同様の原理にてpn接合が形成された後に、電圧供給源PSからの電圧供給が遮断されると(電圧印加状態から電圧無印加状態へ移行すると)、以下のようになる。すなわち、電圧無印加状態へ移行してイオン層202に電圧(この例では直流電圧)が印加されなくなると、例えば図17中の矢印で示したように、イオン層202内の陽イオン122cおよび陰イオン122aがそれぞれ移動して分散し、すぐに再び図2に示した状態に戻ってしまう。
すると、このような陽イオン122cおよび陰イオン122aの移動に伴って、イオン層202(pn接合)内の正孔hおよび電子eもそれぞれ移動して分散する結果、イオン層202内からpn接合が消滅してしまう。このようにして電圧無印加状態へ移行した後にすぐにpn接合が消滅してしまうのは、以下の理由による。すなわち、以下説明する本実施の形態とは異なり、電解質203の分子が等方的形状となっていることから、陽イオン122cおよび陰イオン122aがそれぞれ動き易い(イオン移動度が大きい)ためである。換言すると、電解質203の分子は、本実施の形態の電解質122の分子とは異なり、イオンの移動度の抑制構造を有していないためである。
このようにしてイオン性素子201では、電圧無印加状態への移行後にすぐにpn接合が消滅してしまうため、電圧無印加状態への移行後には発光機能および発電機能がそれぞれ発揮できなくなる。よって、このイオン性素子201では、その機能性が不十分となってしまう(多機能性が実現できないことになる)。
(本実施の形態)
これに対して本実施の形態のイオン性素子1では、イオン層12内の電解質122が、例えば、イオンの移動度の抑制構造を有する分子(例えば、極性を有する分子)を用いて構成されている。具体的には、例えば図1中に示した電解質122のように、異方性形状(例えば直鎖構造)を有する分子を用いて構成されている。
これによりイオン性素子1では、イオン層12におけるイオン(陽イオン122cおよび陰イオン122a)の移動度が抑制される。具体的には、この例では異方性形状を有することから、そのような形状のイオンおよび多孔質材121の細孔121h同士、あるいは、イオン同士が互いに絡み合い易くなり、その結果、イオンが動きにくくなるものと予想される。このように、イオン層12内の陽イオン122cおよび陰イオン122aがそれぞれ動きにくくなると、それに伴って、イオン層12内のpn接合が保持され易くなる。なお、pn接合の形成時には、前述したように電気二重層において大電界が生じるため、この大電界を利用して強制的にイオンおよびキャリアを移動させ、pn接合を形成している。
このような理由から、例えば図18に示したように、イオン性素子1では上記他の構成例に係るイオン性素子201と比べ、イオン層12内に形成されたpn接合が、電圧無印加状態への移行後も消滅しにくくなる。換言すると、イオン性素子1ではイオン性素子201とは異なり、電圧無印加状態への移行後も、ある程度の時間(例えば、1000秒(約17分)程度)、pn接合の形成状態が維持されるようになる。
その結果、例えば図19に示したように、イオン性素子1ではイオン性素子201とは異なり、電圧無印加状態への移行後においても、このpn接合を利用して引き続き多機能性が実現される。すなわち、pn接合を利用して、発光機能(発光光Loutの出射動作:発光性微粒子123を利用したPL発光)および発電動作(入射光Linの光電変換動作)がそれぞれ発揮されることになる。
以上のように本実施の形態では、イオン層12に、多孔質材121とこの多孔質材121内に分散された電解質122および発光性微粒子123とが含まれているようにしたので、イオン層12における発光機能が促進され、発光領域Aeを拡大させることができる。よって、イオン性素子1(イオン層12)における発光機能を向上させることが可能となる。
具体的には、このイオン性素子1では、イオン層12内での発光領域Aeが拡大することから、発光輝度を向上させる(高輝度化を図る)ことができ、駆動電圧(動作電圧)を低く抑える(例えば、1.0V〜1.5V程度)ことが可能となる。また、その結果、イオン性素子1における長寿命化を図ることも可能となる。より具体的には、イオン性素子1では、例えば以下の効果が得られる。
・低電圧駆動化(例えば、従来の2〜3V程度から、1.5V程度への低電圧化が可能)
・素子の長寿命化(例えば、従来の1時間程度から、3時間以上への長寿命化が可能)
・素子の大面積化(例えば、1cm×1cm程度の面積が実現可能)
・発光動作時の高輝度化(例えば、従来の1000cd/m2以下から、2500cd/m2以上への高輝度化が可能)
また、発光性微粒子123はイオン層12内で分散配置されていることから、形成されたpn接合を利用して、発光動作が等方的になされ易くなる。よって、イオン性素子1において前述した面発光がなされる際の、発光輝度の面内ばらつきが抑えられ易くなると言える。
更に、本実施の形態では、電解質122がイオンの移動度の抑制構造を有する分子(例えば極性を有する分子)を用いて構成されているようにした場合には、イオン層12内に形成されるpn接合を、電圧無印加状態への移行後においてもある程度維持することができるようになる。よって、このような特性を有するpn接合を利用して、機能性を向上させることが可能となり、ユーザの利便性を向上させることも可能となる。
具体的には、イオン層12内に形成されるpn接合を利用して、多機能性(蓄電機能および発光機能や、発電機能等)を実現することが可能となる。
加えて、電圧無印加状態への移行後もpn接合がある程度維持されるため、電圧無印加状態においても、pn接合を利用した発光機能を実現することが可能となる。
また、特に本実施の形態に係るイオン性素子1の素子構造では、後述する変形例に係るイオン性素子(イオン性素子1A)の素子構造と比べ、以下の利点も得られる。すなわち、まず、本実施の形態では変形例と比べ、イオン性素子の応答速度を向上させることが可能となる。また、本実施の形態では変形例と比べ、界面(例えば、後述する基板10とイオン層12との間の界面)の影響を受けにくくなり、機能性(発光機能)を更に向上させることも可能となる。
[実施例]
次いで、本実施の形態における具体的な実施例(実施例1〜3)について、詳細に説明する。
(実施例1)
まず、実施例1の条件は、以下の通りである。
・多孔質材121 …… 発光性ポリマー
・電解質122 …… 前述した(1)式で表わされるイオン液体
・発光性微粒子123 …… 量子ドット(CdSeS)
(ZnSからなる保護層を周囲に被覆)
・多孔質材121と発光性微粒子123との混合比
…… 多孔質材121:発光性微粒子123=10:1
ここで、図20(A)〜(G)は、実施例1に係るイオン性素子1において、イオン層12に対する印加電圧(駆動電圧)を変化させた場合における、イオン性素子1の発光特性(発光態様)の一例を写真図で表したものである。具体的には、図20(A)〜(G)はそれぞれ、印加電圧=3.0V,3.2V,3.4V,3.6V,3.8V,4.0V,4.2Vの場合における写真図を示している。なお、印加電圧=3.0〜3.8Vの各場合では、撮影の際のシャッター速度=2.0(sec)とした。一方、印加電圧=4.0V,4.2Vの各場合では、発光輝度が非常に大きかった(非常に明るかった)ため、撮影の際のシャッター速度=0.5(sec)とした。図20(A)〜(G)により、この実施例1では、印加電圧=4.0V付近において、イオン性素子1における発光輝度が最大値を示していることが分かる。なお、この実施例1のイオン性素子1では、印加電圧を0Vから上げていったときに、印加電圧=2.0V付近から発光動作が開始された。
一方、図21は、実施例1に係るイオン性素子1において、イオン層12に対する印加電圧(駆動電圧)を変化させた場合における、イオン性素子1の発光輝度および電流密度の変化の一例をそれぞれ、特性図として表したものである。この図21により、上記したように、実施例1のイオン性素子1では、印加電圧=2.0V付近から発光動作が開始されることが分かる。また、上記したように、印加電圧=4.0V付近において、イオン性素子1における発光輝度が最大値(約3000(cd/m2))を示していることが分かる。
(実施例2)
次いで、実施例2の条件は、以下の通りである。
・多孔質材121 …… 発光性ポリマー
・電解質122 …… 前述した(1)式で表わされるイオン液体
・発光性微粒子123 …… 量子ドット(CdSeS)
(ZnSからなる保護層を周囲に被覆)
・多孔質材121と発光性微粒子123との混合比
…… 多孔質材121:発光性微粒子123=100:1
ここで、図22(A)〜(E)は、実施例2に係るイオン性素子1において、イオン層12に対する印加電圧(駆動電圧)を変化させた場合における、イオン性素子1の発光特性(発光態様)の一例を写真図で表したものである。具体的には、図22(A)〜(E)はそれぞれ、印加電圧=2.5V,2.8V,3.0V,3.4V,4.0Vの場合における写真図を示している。なお、印加電圧=2.5〜3.4Vの各場合では、撮影の際のシャッター速度=2.0(sec)とした。一方、印加電圧=4.0Vの場合では、発光輝度が非常に大きかった(非常に明るかった)ため、撮影の際のシャッター速度=0.5(sec)とした。なお、図22(A)〜(E)には示されていないが、この実施例2では、印加電圧=4.5V付近において、イオン性素子1における発光輝度が最大値を示した。また、この実施例2のイオン性素子1においても実施例1と同様に、印加電圧を0Vから上げていったときに、印加電圧=2.0V付近から発光動作が開始された。
一方、図23は、実施例2に係るイオン性素子1において、イオン層12に対する印加電圧(駆動電圧)を変化させた場合における、イオン性素子1の発光輝度および電流密度の変化の一例をそれぞれ、特性図として表したものである。この図23により、上記したように、実施例2のイオン性素子1においても、印加電圧=2.0V付近から発光動作が開始されることが分かる。また、上記したように、印加電圧=4.5V付近において、イオン性素子1における発光輝度が最大値(約3000(cd/m2))を示していることが分かる。
(実施例1〜3の発光スペクトル)
ここで、図24は、実施例1〜3に係るイオン性素子1において、最終的な発光光Loutにおける発光強度(任意単位)の波長依存性(発光スペクトル)の一例を、特性図として表したものである。
なお、このときの実施例3の条件は、以下の通りである。
・多孔質材121 …… 発光性ポリマー
・電解質122 …… 前述した(1)式で表わされるイオン液体
・発光性微粒子123 …… 量子ドット(CdSeS)
(ZnS(硫化亜鉛)からなる保護層を周囲に被覆)
・多孔質材121と発光性微粒子123との混合比
…… 多孔質材121:発光性微粒子123=1:1
この図24により、実施例1〜3のいずれにおいても、イオン性素子1から出射される発光光Loutの波長は、主に、約550nm付近(黄緑色の光)であることが分かる。また、この図24には示されていないが、前述した励起光として機能する発光性微粒子123からの発光光のピーク(約440nm付近の波長を有する)については、検出されなかった。このため、発光性微粒子123からの発光光自体は発光光Loutとして外部には出射されず、前述したように多孔質材121の励起光として機能することが確認された。なお、図24において、実施例2の場合における、約640nm付近の波長での発光光Loutのピークは、イオン性素子1が発光状態から燃え尽きてしまうときに射出される、赤色光によるものである。
<2.変形例>
続いて、上記実施の形態の変形例について説明する。なお、この実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
[構成]
図25は、変形例に係るイオン性素子(イオン性素子1A)の断面構成例を模式的に表したものである。このイオン性素子1Aは、基板10上に、一対の電極111,112、イオン層12および保護層13からなる積層構造を有している。
基板10は、イオン素子1Aの素子構造を保持するための基板である。この基板10は、例えば、ガラス基板やプラスチック基板、シリコン基板等からなる。
ここで、このイオン性素子1Aでは、実施の形態のイオン性素子1とは異なり、この基板10上に、一対の電極111,112が所定の間隔をおいて並設されている。そして、これらの基板10および電極111,112の上を、イオン層12が一様に覆う素子構造となっている。
ただし、本変形例においてもイオン層12は、例えば、実施の形態(図1)等と同様の構成となっている。すなわち、イオン層12は、多数の細孔121hを有する多孔質材121と、この多孔質材121の細孔121h内に分散された電解質122および発光性微粒子123とを含んでいる。また、例えば図26中に模式的に示したように、電解質122の分子には、実際には陽イオン122cと陰イオン122aとに電離した状態(イオン状態)となっているものが存在する。そして電解質122は、前述したように、イオンの移動度の抑制構造を有する分子(例えば分極を有する分子)を用いて構成されている。
保護層13は、イオン層12を外部から保護するための層(パッシベーション層)である。保護層13は、例えばポリマーや酸化物等の材料からなり、その厚みは、例えば10nm〜100nm程度である。なお、この保護層13は、場合によっては設けられていなくてもよい。
なお、本変形例のイオン性素子1Aも、基本的には実施の形態のイオン性素子1と同様にして製造することが可能である。ただし、前述した両親媒性物質の混合や高沸点溶媒の使用、超音波を用いた撹拌等を行わないようにしてもよい。
[作用・効果]
本変形例のイオン性素子1Aにおいても、基本的には実施の形態と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能である。具体的には、イオン性素子1Aでは以下のように作用する。
すなわち、まず例えば図27に示したように、電極111,112を利用してイオン層12に対して電圧が印加されると、イオン層12内にpn接合が形成されると共に、このpn接合では前述した電気二重層を利用して蓄電状態となる。すると、次にこのようにして形成されたpn接合を利用して、前述した原理にて、発光動作(発光光Loutの出射動作)および発電動作(入射光Linの光電変換動作)がそれぞれなされるようになる。つまり、イオン層12内に形成されるpn接合を利用して、多機能性(蓄電機能、発光機能および発電機能)を実現される。なお、この図27および以下の図28では、便宜上、発光光Loutおよび入射光Linがそれぞれ、イオン層12の延在方向に沿って出射または入射する態様で図示されている。ただし、実際には、発光光Loutは全ての方向に出射可能となっていると共に、入射光Linは全ての方向から入射可能となっている。
また、イオン性素子1Aにおいても、電解質122がイオンの移動度の抑制構造を有する分子(例えば極性を有する分子)を用いて構成されているため、実施の形態と同様の原理にて、電圧無印加状態への移行後もpn接合の形成状態がある程度維持される。
したがって、例えば図28に示したように、電圧無印加状態への移行後においても、このpn接合を利用して引き続き多機能性が実現される。すなわち、pn接合を利用して、発光機能(発光光Loutの出射動作)および発電動作(入射光Linの光電変換動作)がそれぞれ発揮されることになる。
このようにして本変形例においても、イオン層12内に形成されるpn接合を利用して機能性を向上させることができ、ユーザの利便性を向上させることも可能となる。また、特に本変形例では上記実施の形態と比べ、イオン性素子の応答速度が低下するものの、電圧無印加状態への移行後におけるpn接合の維持時間(pn接合状態の寿命時間)をより長くすることが可能となる。
<3.適用例>
続いて、上記した実施の形態および変形例に係るイオン性素子(イオン性素子1,1A)の電子機器への適用例(適用例1〜5)について説明する。
[適用例1]
図29は、適用例1に係る電子機器(携帯用の照明装置3)の構成例を、模式的に斜視図で表したものである。この照明装置3は、筺体内に、1または複数のイオン性素子1(またはイオン性素子1A)を内蔵したものであり、光出射口30から発光光Lout(照明光)を出射する機能を有している。
具体的には、前述したpn接合の形成を利用して、電圧無印加状態への移行後もある程度の時間は、発光光Loutの発光動作を行うことが可能となっている。このようにして携帯用の照明装置3では、例えば非常用の懐中電灯のような機能が、非常に小型かつ簡易な構成で実現可能となっている。
なお、図29は、筐体の側面に光出射口30が設けられている場合の例であるが、これには限られず、例えば筐体の上面または下面に光出射口30が設けられているようにしてもよい。この場合、電極111や電極112をITO等からなる透明電極とすればよい。
[適用例2]
図30は、適用例2に係る電子機器(室内用の照明装置4)の構成例を、模式的に表したものである。この照明装置4もまた、1または複数のイオン性素子1(またはイオン性素子1A)を内蔵したものであり、照明光としての発光光Loutを出射する機能を有している。このような照明装置4は、例えば図30に示したように、建造物の天井401に配置されている。ただし、用途等に応じて、天井401に限らず、例えば図25中に示した壁402A,402Bなど、任意の場所に照明装置4を設置することが可能である。
また、このような室内用の照明装置4では、イオン性素子1等において面発光するようにした場合、点発光する発光素子(例えばLED等)と比べて発光輝度のむらを抑え易くなるため、照明装置として適用し易くなると言える。
[適用例3]
図31は、適用例3に係る電子機器(卓上用の照明装置5)の構成例を、模式的に表したものである。この照明装置5もまた、1または複数のイオン性素子1(またはイオン性素子1A)を内蔵したものであり、照明光としての発光光Loutを出射する機能を有している。この照明装置5は、例えば図31に示したように、基台501に設けられた支柱502A,502Bによって支持されている。
また、この照明装置5では、内蔵するイオン性素子1等において、イオン層12および電極111,112がそれぞれ、可撓性を有するようになっている。すなわち、この例では、イオン性素子1等が全体として可撓性を示すようになっている。これにより照明装置5では、例えば図31に示した筒状や曲面状など、任意の形状(湾曲形状等)とすることが可能となっている。このようにして照明装置5では、利便性や設計の自由度等を向上させることが可能となる。
[適用例4,5]
図32(A)および図32(B)はそれぞれ、適用例4,5に係る電子機器(自発光型の表示装置6A,6B)の構成例を、模式的に表したものである。これらの表示装置6A,6Bはそれぞれ、マトリクス状に2次元配置された各画素60に、イオン性素子1(またはイオン性素子1A)を内蔵したものであり、表示光として発光光Loutを利用した自発光型の表示装置となっている。表示装置6A,6Bではまた、材料等に応じてR(赤),G(緑),B(青)の各色の発光を行うイオン性素子1を利用して、例えば図32(A)および図32(B)に示したように、R,G,Bの各色に対応する画素60が設けられている。これにより、表示装置6A,6Bではそれぞれ、任意のカラー表示を行うことが可能となっている。
また、特に表示装置6Bでは、内蔵するイオン性素子1等において、イオン層12および電極111,112がそれぞれ、可撓性を有するようになっている。すなわち、この例では、イオン性素子1等が全体として可撓性を示すようになっている。これにより表示装置6Bでは、例えば図32(B)に示したように、任意の形状(湾曲形状等)とすることが可能となっている(フレキシブルタイプの表示装置として構成されている)。このようにして表示装置6Bでは、利便性や設計の自由度等を向上させることも可能となる。
<4.その他の変形例>
以上、いくつかの実施の形態、変形例および適用例等を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態等において説明した各層および各部材の材料等は限定されるものではなく、他の材料としてもよい。具体的には、例えば電解質を構成する分子については、イオンの移動度の抑制構造を有するものであればよく、上記実施の形態等で説明した分子には限られない。また、場合によっては、電解質を構成する分子が、イオンの移動度の抑制構造を有さないようにしてもよい。更に、例えばイオン層における電解質と発光性微粒子(量子ドット)と多孔質材との混合比についても、上記実施の形態等で説明した混合比には限られない。
また、上記実施の形態等では、イオン性素子の素子構造を具体的に挙げて説明したが、これらの構造には限られず、他の素子構造としてもよい。具体的には、例えば、電極の数は2つには限られず、複数(2以上)であれば任意の数の電極を設けるようにしてもよい。また、場合によっては、図16に示した他の構成例に係るイオン性素子を、本発明に適用するようにしてもよい。
更に、上記実施の形態等では、イオン性素子の製造方法および駆動方法について具体的に挙げて説明したが、これらの製造方法や駆動方法には限られず、他の手法を用いるようにしてもよい。
加えて、上記実施の形態等では、イオン性素子(イオン層)が、蓄電機能、発光機能および発電機能の各機能を有する場合について説明したが、この場合には限られない。すなわち、(蓄電機能および)発光機能を少なくとも有するようにすればよく、例えば、発電機能については、場合によっては有さないようにしてもよい。
また、上記実施の形態等では、本発明のイオン性素子の適用例に係る電子機器として、照明装置および表示装置を例に挙げて説明したが、電子機器の例としてはこれらには限られない。すなわち、本発明のイオン性素子は、他の様々な電子機器(発光機能を少なくとも利用した各種の電子機器)にも適用することが可能である。
更に、本発明では、これまでに説明した内容を、任意の組み合わせで適用することも可能である。
1,1A,201…イオン性素子、10…基板、111,112…電極、12…イオン層、12p…p型領域、12n…n型領域、121…多孔質体、121h…細孔、122…電解質(分子)、122c…陽イオン、122a…陰イオン、123…発光性微粒子、13…保護層、3,4,5…照明装置、401…天井、402A,402B…壁、501…基台、502A,502B…支柱、6A,6B…表示装置、60…画素、601…表示パネル、602…筺体、PS…電圧供給源、h…正孔(ホール)、e…電子、g…間隔、A1,A2…電気伝導領域、Ae…発光領域、Sj…接合面、Lout…発光光(出射光)、BG1,BG3…バンドギャップ。

Claims (19)

  1. 多孔質材と、前記多孔質材内に分散された電解質および発光性微粒子とを含むイオン層と、
    前記イオン層に対して電圧を印加するための複数の電極と
    を備えたイオン性素子。
  2. 前記イオン層が少なくとも発光機能を有し、
    前記発光性微粒子は、前記イオン層における前記発光機能を促進させる
    請求項1に記載のイオン性素子。
  3. 前記複数の電極によって前記イオン層に対して電圧が印加されると、前記イオン層内にpn接合が形成されると共に、
    前記pn接合において前記発光機能が発揮される
    請求項2に記載のイオン性素子。
  4. 前記イオン層に対して前記電圧が印加されると、形成された前記pn接合の接合面近傍において、前記発光性微粒子がEL(Electro-Luminescence)発光を行うと共に、
    前記発光性微粒子からの発光光を利用して前記多孔質材が光励起されることにより、前記多孔質材がPL(Photo-Luminescence)発光を行う
    請求項3に記載のイオン性素子。
  5. 前記発光性微粒子からの発光光を利用して前記イオン層内の他の発光性微粒子もが光励起されることにより、前記他の発光性微粒子がPL発光を行う
    請求項4に記載のイオン性素子。
  6. 前記発光性微粒子からの発光光を利用した前記PL発光により、前記イオン層における発光領域が拡大する
    請求項4または請求項5に記載のイオン性素子。
  7. 前記電圧の印加状態から無印加状態へ移行した後も、前記pn接合が所定時間維持される
    請求項3ないし請求項6のいずれか1項に記載のイオン性素子。
  8. 前記発光性微粒子におけるバンドギャップが、前記多孔質材におけるバンドギャップよりも大きいか、もしくは、互いに等しい
    請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のイオン性素子。
  9. 前記イオン層において面発光する
    請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のイオン性素子。
  10. 前記イオン層および前記複数の電極がそれぞれ、可撓性を有する
    請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のイオン性素子。
  11. 前記複数の電極の間に前記イオン層が挿設されている
    請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のイオン性素子。
  12. 基板上に前記複数の電極が並設されると共に、前記基板および前記複数の電極の上を前記イオン層が覆っている
    請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のイオン性素子。
  13. 前記電解質が、イオンの移動度の抑制構造を有する分子を用いて構成されている
    請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のイオン性素子。
  14. 前記分子が直鎖構造を有する
    請求項13に記載のイオン性素子。
  15. 前記発光性微粒子が量子ドットである
    請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載のイオン性素子。
  16. 前記電解質がイオン液体である
    請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載のイオン性素子。
  17. 前記多孔質材が導電性ポリマーである
    請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載のイオン性素子。
  18. 1または複数のイオン性素子を備え、
    前記イオン性素子は、
    多孔質材と、前記多孔質材内に分散された電解質および発光性微粒子とを含むイオン層と、
    前記イオン層に対して電圧を印加するための複数の電極と
    を有する電子機器。
  19. 前記イオン層が少なくとも発光機能を有し、
    前記イオン性素子における前記発光機能を利用した照明装置または表示装置として構成されている
    請求項18に記載の電子機器。
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