JP2016060880A - 親水性熱硬化性樹脂組成物および親水性成形品 - Google Patents

親水性熱硬化性樹脂組成物および親水性成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリエステル樹脂/スチレンやエポキシ樹脂/酸無水物の樹脂硬化物/水に対する接触角が高いため、高圧水により外観表面が削除されるので、高圧水等の水の影響を受ける環境下においても、表面耐久性の優れた親水性熱硬化性樹脂組成物及び親水性成形品の提供。【解決手段】(A)不飽和ポリエステル樹脂と、(B)水酸基及び炭素−炭素二重結合を有する反応性希釈剤と、(C)重合開始剤と、を必須成分とし、又は、(D)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂と、(E)水酸基及び炭素−炭素二重結合を有するフェノール樹脂硬化剤と、(F)硬化促進剤と、を必須成分とし、その硬化物表面の水に対する接触角が70度以下である熱硬化性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、表面が水になじみやすい樹脂硬化物が得られる親水性熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いて製造される親水性成形品に関する。
従来、床、外壁塗装などに用いられる建材や電子部品用などのコイルを保護する目的で、ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂などが使用されている。床や外壁の洗浄には、高圧洗浄水など、高圧の水にさらされる機会があり、またコイルの冷却にも水冷の方法が用いられており、樹脂硬化物が水と接触し、表面に水滴による負荷がかかる機会が増えている。
一般的なポリエステル樹脂/スチレンやエポキシ樹脂/酸無水物の樹脂硬化物では、水に対する接触角が高いため、水をはじく傾向にあり、高圧の水が長時間当たると、硬化物の外観表面が削られてしまい、長期信頼性に劣る可能性がある。
これに対して、樹脂硬化物に親水性を付与させることで長期信頼性を向上させることができると考えられる。樹脂硬化物に親水性を付与させる方法としては、例えば、プラズマ処理によってフィルム面を処理する方法(例えば、特許文献1)、成形品の表面に特定の分子量範囲内の重合性不飽和基含有樹脂を金型内で被覆することにより耐水性塗膜を形成する方法(例えば、特許文献2)、等が提案されている。
特開2005−223167号公報 特開2013−184307号公報
しかしながら、特許文献1記載の方法では、プラズマ処理による表面の改質効果が持続せず、長期間にわたって耐久性を改善する効果は低い。また、特許文献2記載の方法では、比較的薄い塗膜が形成されるのみであるため、上記洗浄のような高圧水による負荷に十分な耐性を有していない。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、高圧水等の水の影響を受ける環境下においても、表面耐久性の優れた硬化物となる親水性熱硬化性樹脂組成物および親水性成形品の提供を目的とする。
本発明者らは、樹脂硬化物の接触角に注目し、硬化物表面が特定の接触角を有するものとなる熱硬化性樹脂組成物が耐水性に優れることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明の親水性熱硬化性樹脂組成物は、不飽和ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂を主成分とし、硬化物表面の水に対する接触角が70度以下であることを特徴とする。より具体的には、上記不飽和ポリエステル樹脂が、(A)不飽和ポリエステル樹脂と、(B)水酸基及び炭素−炭素二重結合を有する反応性希釈剤と、(C)重合開始剤と、を必須成分とする樹脂組成物、又は、(D)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂と、(E)水酸基及び炭素−炭素二重結合を有するフェノール樹脂硬化剤と、(F)硬化促進剤と、を必須成分とする樹脂組成物が好ましい。
また、本発明の親水性成形品は、本発明の親水性熱硬化性樹脂組成物を、硬化させて成形したことを特徴とする。このとき、基材に含浸させてから硬化させてもよく、基材としては繊維基材を用いることが好ましい。
本発明は、樹脂硬化物の表面において、水に対する接触角を低くすることで樹脂硬化物表面が水になじみやすく、高圧の水等との接触に対して表面が削られる等により侵食されるのを抑制し、凹凸が発生しにくくなる成形品を得ることができる。このようにして得られた成形品は、水に対する耐性が高いことから、製品寿命を長くでき、長期の製品信頼性を付与できる。
以下、本発明の親水性熱硬化性樹脂組成物および親水性成形品について詳細に説明する。
[親水性熱硬化性樹脂組成物]
本発明の親水性熱硬化性樹脂組成物は、不飽和ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂を主成分とするものであって、該樹脂組成物を硬化させたときの硬化物表面における、水に対する接触角が70度以下となる樹脂組成物である。硬化物表面の水との接触角を70度以下とすることで、洗浄による高圧水等との接触の際に、水滴と硬化物表面とが接触する際の衝撃が和らぎ、樹脂硬化物表面の損傷を抑制でき耐久性が向上する。この接触角が70度を超えると、高圧の水滴による衝撃が直接硬化物表面にダメージを与え、硬化物表面が損傷しやすくなり、耐久性が低下する。
〔不飽和ポリエステル樹脂組成物〕
このような接触角を実現する樹脂組成物として、例えば、(A)不飽和ポリエステル樹脂と、(B)水酸基及び炭素−炭素二重結合を有する反応性希釈剤と、(C)重合開始剤と、を必須成分とする親水性熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。
ここで用いる(A)不飽和ポリエステル樹脂は、酸成分とアルコール成分とを混合し、エステル化反応により得られる公知のものである。
酸成分としては、α、β−不飽和多塩基酸、飽和多塩基酸などが挙げられる。α、β−不飽和多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸およびその無水物などが挙げられ、飽和多塩基酸としてはフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラブロモフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられる。これらの酸成分は、単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
また、アルコール成分としては、多価アルコールが挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、水素化ビスフェノールA、2,2−ジ(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパン、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
また、この(A)不飽和ポリエステル樹脂には、不飽和ポリエステル樹脂以外の変性成分を加えることができる。使用できる変性成分としては、アマニ油、ヤシ油、大豆油、トール油などが挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
この(A)不飽和ポリエステル樹脂の配合量は、樹脂組成物中に20〜90質量%含有することが望ましい。配合量が20質量%未満では不飽和ポリエステル樹脂が十分な反応性を得られず、硬化物の機械的強度が低下するおそれがあり、配合量が90質量%を超える場合は、作業性、含浸性が悪くなるおそれがある。
不飽和ポリエステル樹脂の調製は、所定の原料を反応容器内で窒素などの不活性ガスを吹き込みながら150〜230℃程度で脱水縮合反応させればよい。反応は、少なくとも反応系が透明になるまで続ける必要があり、得られる不飽和ポリエステル樹脂の酸価は30以下であることが望ましい。
ここで用いる(B)反応性希釈剤としては、水酸基および炭素−炭素二重結合を有する反応性希釈剤が挙げられ、例えば、水酸基を有するアクリレートモノマーが挙げられる。このようなアクリレートモノマーとしては、例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
この(B)反応性希釈剤の配合量は、樹脂組成物中に5〜70質量%含有することが望ましい。配合量が5質量%未満では作業性、含浸性が悪くなり、配合量が70質量%を超える場合は、不飽和ポリエステル樹脂が十分な反応性を得られず、硬化物の機械的強度が低下するおそれがある。
ここで用いる(C)重合開始剤としては、(A)不飽和ポリエステル樹脂の硬化に用いられる公知の有機過酸化物が挙げられる。この有機過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、ハイドロパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、アルキルパーエステル類などが挙げられる。
この(C)重合開始剤の配合量は、樹脂組成物中に、0.1〜5質量%が好ましい。0.1質量%未満では十分に硬化が進まず、十分な特性が得られず、5質量%を超えると低温での硬化剤混合後の可使時間が短くなってしまうおそれがある。
〔エポキシ樹脂〕
また、本発明のような接触角を実現する他の樹脂組成物として、例えば、(D)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂と、(E)水酸基及び炭素−炭素二重結合を有するフェノール樹脂硬化剤と、(F)硬化促進剤と、を必須成分とする親水性熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。
ここで用いる(D)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、一分子中に2個以上のエポキシ基を有する公知の液状タイプのビスフェノール型化合物であればよく、特に制限されるものではない。
この液状ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、等が挙げられ、なかでも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂が好適である。このような液状ビスフェノール型エポキシ樹脂は、市販品として入手可能で、例えば、EP4100E〔アデカ(株)製、商品名〕、♯828EL〔三菱化学(株)製、商品名〕、DOW331〔DOW(株)製、商品名〕、R140P、R710〔三井石油化学(株)製、商品名〕、等が挙げられる。
ここで使用するエポキシ樹脂として、(D)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂以外の他のエポキシ樹脂を併用してもよい。ここで他のエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであればよく、汎用エポキシ樹脂、固形エポキシ樹脂等、特に制限されない。また、これらの他に必要に応じて液状のモノエポキシ樹脂等を使用することもできる。
他のエポキシ樹脂を併用する場合には、使用するエポキシ樹脂を100質量%としたとき(D)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂が50質量%以上含有することが好ましく、70質量%以上含有することがより好ましい。また、使用するエポキシ樹脂はエポキシ樹脂全体として液状エポキシ樹脂であることが好ましく、ここで液状エポキシ樹脂は、室温(25℃)で液状のものであればよい。
ここで用いる(E)水酸基及び炭素−炭素二重結合を有するフェノール樹脂硬化剤は、水酸基と炭素−炭素二重結合を有するフェノール樹脂であればよく、一分子中に2個以上の水酸基を有する液状のフェノール樹脂が好ましい。
このような(E)フェノール樹脂硬化剤としては、例えば、アリルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂(アリルフェノールとホルムアルデヒドを原料として合成したフェノール樹脂)が挙げられる。
この(E)フェノール樹脂硬化剤の配合量は、上記(D)エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対してフェノール性水酸基を0.8〜1.3当量、好ましくは0.85〜1.2当量程度になるように調整する。0.8当量より少ないと硬化が不十分となり、1.3当量を超えると硬化物の機械的特性が低下するおそれがある。
ここで用いる(F)硬化促進剤としては、エポキシ樹脂の硬化促進剤として公知のものが挙げられ、(D)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂と(E)フェノール樹脂硬化剤との反応を促進する作用を有するものであれば特に制限されずに使用できる。このような(F)硬化促進剤としては、例えば、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、イミダゾール類、有機ホスフィン、ルイス酸触媒等が挙げられる。また、これらの化合物の具体例としては、例えば、2−エチル−4−エチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−エチルイミダゾール等のイミダゾール類、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)及びそのオクチル塩等の3級アミン類、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン等が挙げられる。これらの(F)硬化促進剤は、単独で又は2種類以上を混合して使用することができる。
この(F)硬化促進剤の配合量は、上記(E)フェノール樹脂硬化剤の100質量部に対して、1〜5質量部の範囲であることが好ましい。配合量が1質量部未満であると、硬化時間が長く機械的特性を十分に向上させることができないおそれがあり、5質量部を超えると、反応が速く、ポットライフが短くなるため好ましくない。
(添加剤)
本発明の親水性熱硬化性樹脂組成物は、上記(A)〜(C)成分を必須成分とする系、または、上記(D)〜(F)成分を必須成分とする系であるが、それぞれ必要に応じて、添加剤を配合することができ、添加剤としては、例えば(G)充填材が挙げられる。
ここで、(G)充填材としては、樹脂組成物中に添加、配合される公知の充填材が挙げられ、珪砂、タルク、シリカ、マイカ、クレーガラス、コアシェルゴムなどの無機充填材であることが好ましい。ここで用いる(G)充填材は、平均粒径が10〜500μmの充填材が好ましく、50〜200μmの充填材がより好ましい。このような充填材を配合することにより、樹脂組成物の低線膨張性、高強度等の機械的、物理的特性を付与できる。これら充填材は、1種類を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
なお、本明細書において平均粒径は、レーザー回折・散乱法により得られる体積基準の粒度分布から算出される50%粒径D50である。このとき、測定される粒度分布は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(例えば、シーラス社製、商品名:CILAS1064等)により測定できる。
(G)充填材の配合量は、樹脂組成物全体を100質量%としたとき、1〜10質量%の範囲であることが好ましく、配合量が1質量%未満であると、硬化時間が長く機械的特性を十分に向上させることができないおそれがあり、10質量%を超えると、粘度が高くなり、作業性の面から好ましくない。
この(G)充填材は、さらに優れた硬化物の絶縁信頼性、機械的強度を得るために、樹脂組成物中へのカップリング剤の添加により、その表面を改質処理することもできる。ここで用いることができるカップリング剤としては、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等の公知のカップリング剤が挙げられる。なかでも、耐湿性等の特性向上に優れていることから特にシランカップリング剤が好ましく、さらにアミノシラン系カップリング剤が好ましい。
アミノシラン系カップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)ブトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
また、上記(A)〜(C)成分を必須成分とする不飽和ポリエステル樹脂組成物においては、本発明の目的に反しない限り、必要に応じて硬化促進剤としてコバルト、銅、鉛、マンガン、亜鉛、カルシウムなどの金属石鹸、重合禁止剤としてハイドロキノン、パラベンゾキノン、メチルハイドロキノン、t−ブチルカテコールなどを適宜添加配合することができる。
また、上記(D)〜(F)成分を必須成分とするエポキシ樹脂組成物においては、本発明の目的に反しない限り、必要に応じて消泡剤、レベリング剤など適宜添加配合することができる。
[親水性成形品]
本発明の親水性成形品は、上記した本発明の親水性熱硬化性樹脂組成物を、そのまま硬化、成形させ又は基材に含浸した後、硬化させて成形した成形品である。このようにして基材を被覆することで、成形品の表面が、水との接触角が70度以下の樹脂硬化物で覆われ、高圧水との接触による耐久性が向上したものとなる。
ここで、基材としては、上記親水性熱硬化性樹脂組成物により被覆できる固形物質であれば特に限定されるものではないが、なかでも、繊維基材が好ましいものとして挙げられる。この基材に上記親水性熱硬化性樹脂組成物を含浸させたり、基材表面に上記親水性熱硬化性樹脂組成物を塗布したりして、被覆した後、該樹脂組成物を硬化させることで、親水性成形品を効率的に製造できる。
ここで使用する繊維基材は、絶縁紙、ガラスクロス、カーボンファイバー、ポリオレフィン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維等からなる繊維基材が挙げられる。
樹脂組成物の硬化は、(A)〜(C)成分を含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物においては、例えば、90〜110℃で0.5〜2時間加熱した後、さらに110〜130℃で0.5〜2時間加熱して行うことが好ましい。また、(D)〜(F)成分を含有するエポキシ樹脂組成物においては、例えば、90〜110℃で0.5〜2時間、140〜160℃で0.5〜2時間加熱して行うことが好ましい。
次に、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
(実施例1)
無水マレイン酸 16質量部、無水フタル酸 12質量部、エチレングリコール 16質量部を、窒素雰囲気下で、200〜230℃に加熱しながら脱水縮合反応させた。酸価25で減圧脱水を行い、不飽和ポリエステル樹脂を得た。
得られた不飽和ポリエステル樹脂 40質量部を、ハイドロキノン 0.03質量部とともにメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEMA) 60質量部と混合して稀釈し、さらにナフテン酸マンガン溶液 0.2質量部を添加して、親水性熱硬化性樹脂組成物の調製用混合物を得た。
得られた調製用混合物 100.23質量部に、有機過酸化物(株式会社日油製、商品名:パーヘキサC(S))を1質量部、無機フィラー(株式会社龍森製、商品名:クリスタライトAA)を5質量部加え、得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物を100℃で1時間加熱した後、さらに120℃で1時間加熱成形して、50mm×50mm×5mmの試験用の親水性成形品(コンパウンド)を製造した。
また、得られた調製用混合物 100.23質量部に、有機過酸化物(株式会社日油製、商品名:パーヘキサC(S))を1質量部加え、得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物を絶縁紙(デュポン社製、商品名:ノーメックス)に含浸させ、100℃で1時間加熱した後、さらに120℃で1時間加熱成形して、金型内で加熱加圧硬化して、樹脂分60質量%の試験用の親水性成形品(無機繊維コンポジット)を製造した。
(実施例2)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂 100質量部、アリルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂 70質量部、硬化促進剤 1質量部をよく混合し、親水性熱硬化性樹脂組成物としてエポキシ樹脂組成物を得た。
得られたエポキシ樹脂組成物を100℃で1時間加熱した後、さらに150℃で1時間加熱成形して、50mm×50mm×5mmの試験用の親水性成形品(コンパウンド)を製造した。
また、得られたエポキシ樹脂組成物を絶縁紙(デュポン社製、商品名:ノーメックス)に含浸させ、100で1時間加熱した後、さらに150℃で1時間加熱成形して、金型内で加熱加圧硬化して、樹脂分60質量%の試験用の親水性成形品(無機繊維コンポジット)を製造した。
(実施例3および比較例1〜6)
表1に示す配合成分により、実施例1又は実施例2と同様の操作により親水性熱硬化性樹脂組成物および親水性成形品を製造した。
ここで用いた配合成分は、具体的には以下の通りである。
〔不飽和ポリエステル樹脂〕
実施例1で合成した不飽和ポリエステル樹脂
〔エポキシ樹脂〕
ビスフェノールF型エポキシ樹脂:三菱化学株式会社製、商品名:jER807
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:三菱化学株式会社製、商品名:jER828
〔硬化剤〕
アリルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂:明和化成株式会社製、商品名:MEH−8000H
ポリアミドポリアミン樹脂:三洋化成工業株式会社製、商品名:ポリマイド L−4051
メチルテトラヒドロ無水フタル酸:日立化成株式会社、商品名:HN−2000
メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸:日本化薬株式会社製、商品名:カヤハードMCD
〔反応性希釈剤〕
メタクリル酸 2−ヒドロキシエチル:三菱ガス化学株式会社製、商品名:2−HEMA
スチレンモノマー:旭化成ケミカルズ株式会社製
〔硬化促進剤〕
2−ヘプタデシルイミダゾール:四国化成株式会社製、商品名:キュアゾール C17Z
〔重合開始剤〕
過酸化物:日本油脂株式会社製、商品名:パーヘキサC(S)
〔表面処理剤〕
96%濃硫酸:和光純薬株式会社製
〔重合禁止剤〕
ハイドロキノン:精工化学株式会社製
〔重合促進剤〕
ナフテン酸マンガン溶液:DIC株式会社製、商品名:Mn−NAPHENATE 6%X
〔充填材〕
無機フィラー:株式会社龍森製、商品名:クリスタライト AA(結晶シリカ粉末、平均粒子径 6μm)
<特性試験>
得られた親水性熱硬化性樹脂組成物および親水性成形品について、以下に示す試験により、粘度、接触角、ガラス転移点、弾性率、耐摩耗性、について測定し、評価を行った。その結果を表1に樹脂組成と共に示す。
(1)粘度:E型粘度計を用いて、25℃における親水性熱硬化性樹脂組成物の粘度を測定した。
(2)接触角:接触角計を用いて、親水性成形品表面の蒸留水に対する接触角を測定。
(3)ガラス転移点:動的粘弾性測定装置(DMS)を用いて、昇温速度10℃/分で測定した際の、親水性熱硬化性樹脂組成物の貯蔵弾性率の変曲点から算出した。
(4)弾性率:DMSを用いて、親水性成形品表面の40℃の弾性率を測定。
(5)耐摩耗性:不飽和ポリエステル樹脂組成物においては100℃で1時間、120℃で1時間加熱硬化させ、エポキシ樹脂組成物においては100℃で1時間、150℃で1時間加熱硬化させ、5mm厚の注形板を得て試験片とした。該試験片に洗浄水(水圧10MPa、0.5〜10h)を当て、試験後の外観を目視にて確認し、次の基準により評価した。
また、実施例1〜3、比較例1〜6で得た親水性成形品(コンパウンド及び無機繊維コンポジット)についても、同様の耐摩耗性試験を行い、同様に評価した。
判断基準 ○:変化なし、△:表面の一部に凹凸あり、×:表面に凹凸あり
Figure 2016060880
以上より、本発明の樹脂組成物は、その硬化物表面の水に対する接触角が低く、親水性に優れ、このような特性を有することにより高圧水等との接触に対して優れた耐摩耗性を有する成形品を得ることができる。また、このようにして得られた成形品は、製品寿命が長く、長期の製品信頼性を付与できる。

Claims (7)

  1. 不飽和ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂を主成分とし、硬化物表面の水に対する接触角が70度以下であることを特徴とする親水性熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記不飽和ポリエステル樹脂が、(A)不飽和ポリエステル樹脂と、(B)水酸基及び炭素−炭素二重結合を有する反応性希釈剤と、(C)重合開始剤と、を必須成分とすることを特徴とする請求項1記載の親水性熱硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(B)反応性希釈剤が、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルであることを特徴とする請求項2記載の親水性熱硬化性樹脂組成物。
  4. 前記エポキシ樹脂が、(D)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂と、(E)水酸基及び炭素−炭素二重結合を有するフェノール樹脂硬化剤と、(F)硬化促進剤と、を必須成分とすることを特徴とする請求項1記載の親水性熱硬化性樹脂組成物。
  5. さらに、(G)充填材を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の親水性熱硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の親水性熱硬化性樹脂組成物を、硬化させて成形したことを特徴とする親水性成形品。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の親水性熱硬化性樹脂組成物を、繊維基材に含浸させ、被覆した後、硬化してなることを特徴とする親水性成形品。
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