<運搬車の動作概要:図1>
本実施例の運搬車1は、図1に示すように、所定の置き場に縦置きされた原反ロールW(本発明の「対象物」に相当する。)を拾い上げて繰り出し機Mの前まで運搬し、繰り出し機Mのセット台Ma上に横向きに倒した状態にして排出することのできる機能を備えたものとなっている。上記運搬車1の一連の動きは、作業者が運搬車1を後側から押したり引いたりする手動操作や、運搬車1に備え付けられた解除レバー53Aを引いたりする手動操作によってそれぞれ行えるようになっている。
具体的には、上記運搬車1は、その前部に原反ロールWを縦向きで抱え込むことのできる荷台20を備えた構成となっている。上記運搬車1は、上記所定の置き場に縦置きされた原反ロールWに向かって押し付けられるように操作されることにより、その前部の荷台20によって原反ロールWを進行方向に押し傾けながら荷台20の内部に抱え込んだ状態にして拘束することができるようになっている。その際、上記運搬車1は、上記押し傾けた原反ロールWの下側に空いた隙間Sp(図14参照)内に荷台20のフォーク23を差し込むことにより、原反ロールWを下側からも支えた状態にして拘束することができるようになっている。
そして、上記運搬車1は、上記原反ロールWを抱え込んだ後に後側に引き下げられて、繰り出し機Mの前まで動かされた後に、作業者によって解除レバー53Aが引かれることにより、原反ロールWを抱え込んだ状態の荷台20が横向きに倒されるように回動操作されるようになっている。この回動操作のための力は、詳しくは後述するが、運搬車1の後退移動に伴う動力が運搬車1に装備されたスプリングバランサ52に蓄積されて、その蓄積された動力が解除レバー53Aの操作によって開放されることにより発揮されるものとなっている。
また、上記運搬車1は、上記荷台20が横向きに倒される回動に伴って、荷台20による原反ロールWの拘束状態が解除されるようになっている。したがって、この解除に伴って、運搬車1は、上記原反ロールWを荷台20の内部から繰り出し機Mのセット台Ma上に転がし出すようになっている。そして、上記運搬車1は、上記原反ロールWが荷台20の内部から繰り出し機Mのセット台Ma上に排出されることにより、荷台20がその下部に取り付けられたウェイト21Fの自重作用によって自然と縦向きに起こされて初期状態に戻されるようになっている。
以下、上述した運搬車1の具体的な構成について詳しく説明していく。なお、本実施例では、上記運搬車1が抱えて運搬する原反ロールWとして、無数のガラス繊維を面状に絡めて成形したシート状の原反を円筒状の芯材に巻き付けて形成したものが用いられている。上記原反ロールWは、パレットP上に複数個縦置きされて束ねられた状態で、フォークリフト等の荷役車両によって、所定場所から上記の置き場まで運び込まれるようになっている。
そして、上記原反ロールWは、上記所定の置き場にて束が外されて、以下に詳述する運搬車1によって、1つ1つ順番に繰り出し機Mまで運搬されて、繰り出し機Mのセット台Ma上に横向きに倒された状態に排出されて繰り出し工程に付されるようになっている。上述した原反ロールWは、繰り出し機Mのセット台Ma上に置かれた後に、その芯材の両端部に繰り出し機Mの把持軸Mbが両外側から差し込まれて把持されることにより、把持軸Mbを中心に回転しながら原反が繰り出されていくようになっている。
<運搬車の基本構造と機能:図2〜図11>
次に、上記運搬車1の基本構造と機能について説明する。運搬車1は、図2〜図4に示すように、枠状に組まれた車本体10と、車本体10の前部に組み付けられた荷台20と、車本体10の下部に取り付けられた本体車輪30と、荷台20を車本体10に対して横回転させられる状態に連結する回動機構40と、運搬車1の後退移動に伴う動力を蓄積する蓄積機構50と、荷台20の横倒しにより原反ロールWの拘束状態を解除する切換機構60と、本体車輪30の後述する前側2箇所の前輪31を後側に折り畳めるようにロック解除するロック解除機構70(図11参照)と、を有する。
上述した車本体10は、複数のパイプ材が略容器型状に枠組みされた構成となっている。具体的には、上記車本体10は、その底側面の骨組みを成す台枠11と、前側面の骨組みを成す前枠12と、後側面の骨組みを成す後枠13と、両横側面の骨組みを成す両横枠14と、を一体的に有する形に枠組みされた構成となっている。また、上記前枠12と後枠13との上腕部間には、これらの間にアーチ状に架橋される形で左右一対の吊枠15が一体的に組み付けられている。そして、これら吊枠15の間には、後述するスプリングバランサ52から繰り出されたケーブル52Aの途中部位を下側から掛けて下側へ返すための滑車15Aが取り付けられている。
また、上記前枠12の左腕部には、その上下2箇所の部位から前方側に向かって真っ直ぐに延びる形の係止アーム16A,16Bが一体的に組み付けられている。これら2本の係止アーム16A,16Bは、後述する荷台20が縦向きの姿勢となっている時に、荷台20の基体21の左腕部にあてがえられて荷台20の姿勢を縦向きの姿勢に保持するための係止部として機能するものとなっている。また、下側の係止アーム16Bは、図5〜図7に示すように、荷台20が横向きに倒された際に荷台20の上側にくる腕部にあてがえられて荷台20の横倒れ位置を規制する係止部としても機能するようになっている。
上述した各係止アーム16A,16Bには、図示は省略されているが、それらの外周面上に、荷台20の各腕部との当たりを和らげるためのゴム等の緩衝材が取り付けられている。なお、これらの緩衝構造は、荷台20の各腕部側に設けられていても良く、また、荷台20の回転によって相対移動を伴う部材間に、荷台20の起倒回転する動きを弾性的に受け止めて吸収できるようなダンパー構造を設けた構成であってもよい。
また、図2〜図4に示すように、荷台20は、上述した車本体10の前枠12の前部に組み付けられた縦枠状の基体21と、基体21の前部に組み付けられた縦枠状の受入部22と、受入部22の下端部に一体的に組み付けられた横板状のフォーク23と、受入部22の後述する左側2本の支持アーム22Dに組み付けられた上下一対のストッパ24と、受入部22の後述する下側2本の支持アーム22Dに組み付けられた左右一対の荷台車輪25と、を有する。
上述した基体21は、その縦枠の左右両側の腕部間に、横方向に真っ直ぐに延びる上部補強パイプ21Aと下部補強パイプ21Bとが高さ方向に並んで2本、一体的に架橋された構成となっている。前者の上部補強パイプ21Aは、基体21の上腕部に近い上部側の領域に配設されている。また、後者の下部補強パイプ21Bは、基体21の下腕部に近い下部側の領域に配設されている。また、上述した上部補強パイプ21Aには、その左右2箇所の部位から前方側に向かって真っ直ぐに延びる形の懸架アーム21Cが一体的に組み付けられている。これら2本の懸架アーム21Cは、それぞれ、前方側に向かって延びる途中の箇所が、補強部材を介して基体21の上腕部にも一体的に組み付けられて基体21に対して強く支えられた状態として設けられている。これら2本の懸架アーム21Cの前方側に延びた先の端部には、筒孔を横方向に向ける円筒形状の把持筒21C1が一体的に組み付けられている。
また、下部補強パイプ21Bには、筒孔を前後方向に向ける円筒形状のガイド筒21Dが、把持筒21D1により下部補強パイプ21Bの下部に吊り下げられる形で組み付けられている。上記把持筒21D1は、下部補強パイプ21Bの外周部に相対回転可能な状態に嵌め込まれて組み付けられており、ガイド筒21Dを下部補強パイプ21Bのまわりに前後方向に揺動させられる状態に組み付けた状態となっている。また、上記把持筒21D1の後面部には、縦長状の係止板21Eが連結軸21E1によって横向きに首振り運動できる状態に連結されている(図9参照)。上記係止板21Eは、その自重作用によってガイド筒21Dの後側の筒孔を塞ぐように附勢された状態として設けられている。
また、上記基体21の下腕部には、基体21の重心を下げるためのウェイト21Fが取り付けられている。ここで、上記基体21は、その高さ方向の中央より下側の領域部が、後述する回動機構40(出力軸53E)によって、車本体10に対して横向きに回転することができる状態に連結された構成となっている。これにより、上記基体21は、それ自体では、自重作用によって横向きに倒される方向に附勢のかかる構成となっているが、その下腕部に取り付けられたウェイト21Fの作用によって、全体としての重心が下げられて、自重作用によって縦向きに起こされる方向の附勢のかかる構成とされている。
受入部22は、その縦枠の左右両側の腕部間に、横方向に真っ直ぐに延びる上部補強パイプ22Aと下部補強パイプ22Bとが高さ方向に並んで2本、一体的に架橋された構成となっている。前者の上部補強パイプ22Aは、受入部22の上腕部に近い上部側の領域に配設されている。また、後者の下部補強パイプ22Bは、受入部22の下端部に近い下部側の領域に配設されている。上述した受入部22は、上述した上部補強パイプ22Aの左右2箇所の部位に、前述した基体21から延びる2本の懸架アーム21Cの先に組み付けられた各把持筒21D1がそれぞれ回転可能な状態に嵌め込まれて組み付けられている。これにより、受入部22は、図8に示すように、上述した2本の懸架アーム21C(図2参照)によって回転可能な状態に支えられた上部補強パイプ22Aを中心に、基体21に対して前後方向に揺動することのできる状態に組み付けられた状態とされている。
ここで、上述した受入部22は、図2〜図4に示すように、上述した上部補強パイプ22Aより下側の領域に、後述する複数の支持アーム22Dやフォーク23や荷台車輪25等の装備品が前方側に張り出して設けられた構成となっている。これにより、受入部22は、全体としての重心が本体枠より前側に位置する構成となっており、基体21に対して上部補強パイプ22Aを中心に前のめり状に傾斜した角度姿勢を自重作用の釣り合いのとれる回転姿勢とする構成となっている。
上述した下部補強パイプ22Bには、その横方向の中央箇所に、下部補強パイプ22Bから後方側に真っ直ぐに延びる形の摺動アーム22Cが、把持筒22C1により回転可能にヒンジ連結された状態として組み付けられている。上記把持筒22C1は、下部補強パイプ22Bの外周部に相対回転可能な状態に嵌め込まれて組み付けられており、摺動アーム22Cを下部補強パイプ22Bのまわりに前後方向に揺動させられる状態に組み付けた構成となっている。
上記摺動アーム22Cは、前述した基体21の下部補強パイプ21Bに吊り下げられたガイド筒21Dの筒内に差し込まれた状態とされている。上記摺動アーム22Cは、受入部22が上述した自重作用の釣り合いのとれる前のめり状に傾斜した初期姿勢の状態時には、ガイド筒21Dから後方側に突出して、ガイド筒21Dの後側の筒孔を塞ぐように設けられた係止板21Eを横向きに首振りさせた状態に係止させておくようになっている(図9参照)。
上記摺動アーム22Cは、図8に示すように、受入部22が上部補強パイプ22Aを中心に前方側に揺動するように動かされることにより、ガイド筒21Dに対して前方側に摺動し、後端部がガイド筒21D内に引き込まれるようになっている。そして、この引き込みにより、上述した係止板21Eが自重作用によってガイド筒21Dの後側の筒孔を塞ぐ形に落とし込まれた状態となる(図9参照)。これにより、上述した摺動アーム22Cのガイド筒21Dに対する後方側への摺動が規制された状態となり、受入部22が初期の前のめり状に傾斜した姿勢状態から、前方側に揺動して垂直向きに近づけられた角度姿勢に保持された状態となる。
上述した係止板21Eは、図5〜図7に示すように、荷台20が横向きに倒される回動に伴って、自重作用によって首振りし、ガイド筒21Dの後側の筒孔を塞いだ状態から外されるようになっている。そして、上記のように係止板21Eが首振りした後には、荷台20がその後に縦向きに起こされる回動に伴って、摺動アーム22Cが受入部22の自重作用によって係止板21Eの動きに先行して再びガイド筒21Dから後方側に突出した状態となるように摺動することにより、係止板21Eが上記摺動アーム22Cの外周面に当たってガイド筒21Dの後側の筒孔を塞ごうとする移動が係止された状態(初期状態)に戻されるようになっている。
図2〜図4に示すように、上述した受入部22の左右両側の各腕部には、それぞれ、これらの高さ方向の2箇所の部位から前方側に向かって真っ直ぐに延びる形の支持アーム22Dが一体的に組み付けられている。上述した各支持アーム22Dは、そのうちの上側2本が上部補強パイプ22Aの直ぐ下側の互いに同じ高さ位置に配設されており、下側2本が下部補強パイプ22Bの直ぐ上側の互いに同じ高さ位置に配設されている。上記受入部22は、その縦長状の本体枠と左右一対の支持アーム22Dとによって囲まれた平面視U字型の受入口22E内に縦向きの原反ロールW(図1参照)をその開口側から受け入れて、受け入れた原反ロールWを両外側と後側(作業者側)とからU字状に囲い込んだ状態とすることができるようになっている。
ここで、上記受入部22の本体枠には、受入口22E内に受け入れた原反ロールWを弾性的に支えられるようにするための受止板22Fが取り付けられている。上記受止板22Fは、横長状の薄い鋼板材を横断面略V字状の形に折り曲げたものを、高さ方向に複数枚並べて構成したものとなっている。上記受止板22Fは、上述した各鋼板材のV字の開口が受入口22Eの開口に向けられた状態で、それぞれのV字の根元側部分が受入部22の上部補強パイプ22Aと下部補強パイプ22Bとの間に高さ方向に架橋された受止パイプ22F1に一体的に結合されて設けられた状態とされている。
上記受止板22Fの配設により、上述した受入口22Eの実質的な開口形状が、受入口22Eの内部から開口側に向かって開口幅を傾斜状に広げる形となって形成されている。これにより、受入部22は、上述した原反ロールWを受入口22E内に受け入れる移動に伴って、原反ロールWを受止板22FのV字のガイド形状に沿ってV字の狭くなる隙間内に向けて押し詰めた状態として受け入れることができるようになっている。フォーク23は、1枚の横長状の鋼板材によって形成されており、上述した受入部22の本体枠の下端部に一体的に組み付けられて、本体枠から形状を前方側に張り出した形となって設けられている。
ストッパ24は、上述した受入部22の左側2本の支持アーム22Dの上部にそれぞれ連結軸24Aによって回転可能に連結された状態として設けられている。上述した各ストッパ24は、図10に示すように、それぞれ、バネ24Bにより受入部22の受入口22E内に向かって附勢されて突出した状態として保持されている。各ストッパ24は、原反ロールWが受入口22E内に受け入れられる移動により、一旦原反ロールWの受け入れ方向(図示時計回り方向)に押し退けられた後に復帰して、原反ロールWの背後側(受入口22Eの開口側)に形状を回し込む形で突出し、原反ロールWの脱落を防止した突出状態となる構成となっている。
図2〜図4に示すように、荷台車輪25は、上述した受入部22の下側2本の支持アーム22Dの外側部にそれぞれ一体的に連結された状態として設けられている。上記各荷台車輪25は、上述した各支持アーム22Dとの連結部から下方側へ延び出した先の箇所に、いわゆる固定キャスタを備えた構成となっている。各荷台車輪25は、上述した固定キャスタを受入部22のフォーク23よりも下方側に突出させた位置に備えた構成となっている。
詳しくは、各荷台車輪25は、上述した固定キャスタの車輪がフォーク23の前端より前側と下側とに張り出した状態となるように設けられている。これにより、上記受入部22は、上述したフォーク23よりも下方側に突出した各荷台車輪25が図1で前述したパレットP上に乗り上がってパレットP上を滑らかに動くことができるように構成されている。その際、受入部22は、各荷台車輪25が固定キャスタによって構成されていることにより、直進性良くパレットP上を進退移動することができるようになっている。
本体車輪30は、車本体10の前側の左右2箇所に取り付けられた前輪31と、車本体10の後側の左右2箇所に取り付けられた後輪32と、の4輪から成っている。前側2箇所の前輪31は、いわゆる固定キャスタによって構成されており、連結軸31Aによって車本体10の両横枠14の外側部に回転可能にヒンジ連結された状態として設けられている。具体的には、各前輪31は、上記各連結軸31Aによるヒンジ連結によって、車本体10から真っ直ぐに垂下した使用位置と、この使用位置から連結軸31Aを中心に台枠11の下面とほぼ同じ高さ位置まで後方側に回転した退避位置との間で回転することができるようになっている。しかし、各前輪31は、常時は、上述した連結軸31Aまわりの回転がロックされた状態とされており、後述するロック解除機構70によってロックが解除されることにより、後方側に折り畳まれる形で回転させられるようになっている。後側2箇所の後輪32は、いわゆる自在キャスタによって構成されており、車本体10の両横枠14の外側部に一体的に連結されて設けられている。
上記本体車輪30は、上述したように前側2箇所の前輪31が固定キャスタで、後側2箇所の後輪32が自在キャスタとなっていることにより、作業者が車本体10を後側から押したり引いたりする際に直進性良く動かすことができるようになっている。また、車本体10を旋回させる際にも、前側2箇所の前輪31を支点に車本体10を左右に揺動させるように操作することで、車本体10を容易に旋回させることができるようになっている。
回動機構40は、上述した荷台20を車本体10に対して横回転させられる状態に連結する構成となっている。具体的には、回動機構40は、後述する車本体10に組み付けられた蓄積機構50の出力軸53Eが、荷台20の基体21に一体的に連結されていることで、荷台20を車本体10に対して横回転させられる状態に連結した構成となっている。このような構成となっていることにより、荷台20が、出力軸53Eの回動に伴って、車本体10に対して縦向きに起こされた状態(図2〜図4参照)と、横向きに倒された状態(図5〜図7)と、の間で起倒回転することができるようになっている。上述した出力軸53Eは、その前後方向に延びる軸の後端部が車本体10の後枠13に軸支されていると共に中間部が前枠12においても軸支されていることにより、車本体10に対して強く軸支された状態として設けられている。
蓄積機構50は、図2〜図4に示すように、運搬車1の後退移動に伴う動力を蓄積するための動力伝達を行う入力伝達機構部51と、入力伝達機構部51から伝達された動力を弾性的なひずみエネルギとして蓄積するスプリングバランサ52と、スプリングバランサ52に蓄積した動力を図5〜図7に示すように解除レバー53Aの操作により開放して荷台20を横倒しするためのトルクとして発揮させる動力伝達を行う出力伝達機構部53と、を有する。この蓄積機構50の具体的な構成については、図23〜図32を用いて後に詳しく説明することとする。
切換機構60は、図2〜図4に示すように、前述した荷台20の受入部22の左側2本の支持アーム22D上に取り付けられた各ストッパ24を、図5〜図7に示すように荷台20を横倒しする回転移動に伴って突出状態から退避させるように操作する機構となっている。具体的には、図2〜図4に示すように、切換機構60は、各ストッパ24に一端が接続された操作ワイヤ61と、各操作ワイヤ61の他端が接続された1本の解除棒62と、を有する構成となっている。
上述した各操作ワイヤ61は、荷台20が縦向きに起こされた状態時には、各ストッパ24に対して退避方向に引き込むようなテンションをかけることなく、各ストッパ24を自由に動かせる状態にするようになっている。しかし、各操作ワイヤ61は、図5〜図7に示すように、荷台20が横向きに倒される動きによって、上述した各操作ワイヤ61に繋がれた解除棒62が、例えば車本体10の前枠12から前方側に延びる図示しない係止構造に当たるなどして各操作ワイヤ61の他端を引き込むように操作されることにより、各ストッパ24を受入口22Eの外側へ退避させるように引き込むようになっている。
上記解除棒62は、図2〜図4に示すように、荷台20が縦向きに起こされる移動により、各操作ワイヤ61の引き込み状態を解除した状態に戻されるようになっている。なお、上述した解除棒62を荷台20の横倒しによって各操作ワイヤ61を引き込むように操作する構造は、荷台20の横倒しによって解除棒62を引き込み方向に操作するように解除棒62と係合する構成であれば、特にどのような構造が採用されていてもよい。
ロック解除機構70は、車本体10の前側の左右2箇所に取り付けられた左右一対の解除アーム71と、これら解除アーム71と前述した前側2箇所の各前輪31のヒンジをロックしている図示しないロック構造とを繋ぐ解除ワイヤ72と、を有する。各解除アーム71は、それぞれ、連結軸71Aによって車本体10の両横枠14の前端側の下端部箇所に前後方向に揺動することができる状態にヒンジ連結されて設けられている。上述した各解除アーム71は、それぞれ、上述した各前輪31よりも前側の位置に配設されており、図示しないバネにより車本体10の台枠11より下側に突出した姿勢状態に保持されている。
各解除アーム71は、図11に示すように、運搬車1の前進移動によってパレットP上に押し付けられることにより、後方側に押し回されて、これらに繋がれた解除ワイヤ72を引張る。これにより、前述した車本体10の前側2箇所に取り付けられた各前輪31のヒンジのロック状態が解除される。したがって、この状態から、更に運搬車1をパレットPに向けて前進移動させることにより、各前輪31がパレットPに押し付けられてパレットPによって後方側に押し蹴られる形で回される。これにより、運搬車1は、各前輪31の折り畳みによって車本体10もパレットP上に乗り上がることができる状態となり、荷台20がパレットP上の奥の方の位置まで行き届けられる状態となる。
<運搬車の動作の流れ:図12〜図22>
続いて、上述した運搬車1の動作の流れについて説明する。図12に示すように、先ず、運搬車1を、原反ロールWが縦置きされたパレットPの前側の位置まで移動させる。この状態では、運搬車1は、その初期状態として、後述するスプリングバランサ52にはトルクが蓄積されておらず、縦向きとされた荷台20の受入部22が基体21に対して前のめり状に傾斜した姿勢状態となっている。また、車本体10の各前輪31は、下方側に真っ直ぐに垂下した使用位置の状態で、後側に折り畳まれないようにヒンジがロックされた状態とされている。
上記の初期状態から、先ず、原反ロールWを運搬車1の荷台20に拾い上げるために、運搬車1を原反ロールWに向かって押し付けるように前進移動させる。これにより、荷台20がパレットP上に乗り上げられて、荷台車輪25の転動に伴って荷台20がパレットP上を滑らかに前方側に押し滑らされていく。そして、上記運搬車1の前進移動により、荷台20が原反ロールWの配設位置まで到達すると、図13に示すように、荷台20は、先ず、上述した前のめり状に傾斜した姿勢となっている受入部22の上部補強パイプ22Aを原反ロールWに先行して押し付けて、原反ロールWを進行方向に押し傾けた状態とする。なお、本実施例では、パレットP上に置かれた原反ロールWの高さが荷台20の受入部22の本体枠の上腕部よりも低い形状となっているために、上部補強パイプ22Aが原反ロールWを押し傾けるようになっているが、原反ロールWの高さによっては、受入部22のその他の部位が原反ロールWを押し傾けることとなる。
そして、上記原反ロールWが荷台20の受入部22によって押し傾けられることにより、原反ロールWが受入部22の受入口22E内に受け入れられた状態となり、受入口22E内に設けられた受止板22FのV字のガイド形状に沿ってV字の狭くなる隙間内に押し詰められた状態となる。そして、この原反ロールWを受け入れる動きに伴って、荷台20の受入部22に取り付けられた上下一対のストッパ24が、受入口22E内に入り込んだ原反ロールWの背後側(受入口22Eの開口側)に形状を回し込む形で突出し、原反ロールWを受入口22E内に閉じ込めた状態に係止させた状態となる(図10参照)。
更に、上記原反ロールWが荷台20の受入部22によって押し傾けられるのに伴って、図14に示すように、受入部22の下側のフォーク23が、原反ロールWの押し傾けられて浮いた下側のパレットPとの間の隙間Sp内に差し込まれる。これにより、原反ロールWは、その外周部が荷台20の受入部22によって受入口22Eから外側に脱落しないように抱え込まれた状態となると共に、受入部22のフォーク23によって下側からあてがえられた状態となる。
上記のように原反ロールWを押し傾けながら荷台20の受入部22内に受け入れて抱え込んだら、次に、運搬車1を後退移動させる。この時、運搬車1は、図15に示すように、原反ロールWがまだパレットP上に押し傾けられて接地した状態となっているために、その摩擦力によって、原反ロールWを抱え込む荷台20の受入部22が、パレットP上に取り残される形で、上部補強パイプ22Aが基体21によって後方側に引張られる形で力を受けるようになっている。そして、この引張り力によって、荷台20は、原反ロールWを抱える受入部22が、基体21に対して上部補強パイプ22Aを中心に揺動し、前のめり状となっていた姿勢から垂直向きに起こされた姿勢へと切り換えられる。
そして、上記のように荷台20の受入部22が基体21に対して垂直向きに起こされる動きに伴って、受入部22の下部から後方側へ延びる前述した摺動アーム22Cが、基体21の下部のガイド筒21D内を前方側に摺動し、同ガイド筒21Dに取り付けられた係止板21Eが自重によってガイド筒21Dの後側の筒孔を塞いだ状態となる(図9参照)。これにより、摺動アーム22Cが、ガイド筒21Dの筒孔を後側に突き出ることができない状態となるため、図15に示すように、荷台20の受入部22が基体21に対して初期の前のめり状の姿勢に戻れない状態、すなわち垂直向きに姿勢が起こされた状態に保持されることとなる。
上記荷台20の受入部22の姿勢が垂直向きに起こされる動きに伴って、原反ロールWの姿勢も垂直向きに起こされていく。したがって、上記の動きによって、原反ロールWが荷台20のフォーク23の上に乗り上がり、パレットP上から持ち上げられた状態となる。原反ロールWがフォーク23の上に乗り上がることにより、原反ロールWを荷台車輪25の転動によって比較的軽い力で後方側に引き込むことができるようになる。したがって、上記状態から更に運搬車1の後退移動を進行させることにより、図16に示すように、原反ロールWをパレットP上から引き摺り下ろして荷台20の受入部22上に縦向きで抱え込んだ状態にすることができる。
そして、上記運搬車1の後退移動の後、更に運搬車1を適宜後退移動させたり旋回移動させたり前進移動させたりして、図17に示すように、運搬車1を繰り出し機Mの前側の位置まで移動させる。このとき、運搬車1は、ここまでの一連の動きにおいて、後退移動を行った際の動力を、後述する蓄積機構50によって蓄積した状態となっており、解除レバー53Aを引くことによって、この蓄積した動力を開放して、荷台20を横倒し方向に回転させることができる状態となっている。
したがって、上記運搬車1を、更に、図18に示すように、荷台20が繰り出し機Mの目の前の位置に付けられるところまで前進移動させ、この位置で、図19に示すように、解除レバー53Aを横に引く。これにより、図20に示すように、荷台20が作業者から見て時計回りとなる方向に横倒しされて、原反ロールWが横倒しされた状態となる。上記荷台20の横倒れ回転は、横倒れにより上側にくる基体21の腕部が車本体10の前枠12に組み付けられた前方側に延びる下側の係止アーム16Bに当たる水平な角度位置で係止されるようになっている。
更に、この荷台20の横倒し移動に伴って、図21に示すように前述した受入部22に設けられた突出状態の各ストッパ24が切換機構60の作動によって受入部22から退避する方向に引き込まれた状態となる。これにより、各ストッパ24による原反ロールWの受入部22に対する脱落防止状態が解除され、図22に示すように、原反ロールWが受入部22内に設けられた受止板22FのV字の傾斜形状に沿って繰り出し機Mのセット台Ma上に転がし出される。
このとき、原反ロールWは、上述した荷台20の受入部22に取り付けられた各ストッパ24が、荷台20が横倒しとなった時に上側にくる各支持アーム22Dに取り付けられた構成となっていることから、各ストッパ24に対して自重によって押し付けられる力が比較的軽く済む構成となっており、原反ロールWの表面に巻かれた原反が各ストッパ24によって傷付けられにくくなっている。また、各ストッパ24においても、原反ロールWの自重による負荷を強く受けないことから、切換機構60によって退避方向に引き込まれる際に無理な力を受けないようになっており、破損しにくくなっている。
上記運搬車1は、上記荷台20の受入部22から原反ロールWが排出されることにより、基体21の下腕部に取り付けられたウェイト21Fの自重作用による附勢力によって、図2〜図4に示す初期の縦向きの姿勢状態に戻されて保持されるようになっている。ここで、上述した解除レバー53Aの操作によって荷台20を横倒しするように働く蓄積機構50の開放トルクは、荷台20を完全に横倒しする位置まで働き続けるのではなく、荷台20をある程度横倒しする位置までしか働かないようになっている。荷台20は、原反ロールWのような重量物を抱えた状態で横倒しされることにより、ある程度の傾斜角度まで横倒しされると、蓄積機構50の開放トルクを受けなくても、原反ロールWの自重作用によって、ウェイト21Fの自重作用による附勢力に打ち勝って横倒しされていくようになっているからである。
<蓄積機構の全体構成について:図23〜図24>
次に、上述した蓄積機構50の構成について説明する。蓄積機構50は、図23〜図24に示すように、運搬車1の後退移動に伴う動力を蓄積するための動力伝達を行う入力伝達機構部51と、入力伝達機構部51から伝達された動力を弾性的なひずみエネルギとして蓄積するスプリングバランサ52と、スプリングバランサ52に蓄積した動力を解除レバー53Aの操作により開放して荷台20を横倒しするためのトルクとして発揮させる動力伝達を行う出力伝達機構部53と、を有する。
入力伝達機構部51は、車本体10の下部に取り付けられた固定キャスタから成る駆動輪51Aと、駆動輪51Aの後退回転に伴う動力を伝達する複数のスプロケット及びローラチェーンの組み合わせから成るチェーン伝動部51Bと、チェーン伝動部51Bに対して動力伝達を遮断可能に接続された可動クラッチ51Cと、可動クラッチ51Cとの接続によりチェーン伝動部51Bの動力伝達を受けて回転する回転ラチェット51Dと、回転ラチェット51Dと一体的に連結されて車本体10の両横枠14間に軸回転可能な状態に連結された主軸51Eと、主軸51Eと一体的に連結された巻取り板51Fと、車本体10に一体的に固定された固定ラチェット51Gと、巻取り板51Fの回転が所定位置まで達することで巻取り板51Fの傾斜台51F1上に乗り上がる乗り上がり棒51Hと、乗り上がり棒51Hにより押し操作される操作棒51Jと、操作棒51Jが操作されることで押し動かされる押動部51Kと、上述したチェーン伝動部51Bの第4スプロケット51B7と可動クラッチ51Cとの間に軸方向に押し挟まれる形で設けられた第1圧縮バネ51Lと、上述した巻取り板51Fと後述する出力伝達機構部53の第1ねじ歯車53Cとの間に軸方向に押し挟まれる形で設けられた第2圧縮バネ51Mと、を有する。
駆動輪51Aは、車本体10の台枠11の下部、詳しくは前側2箇所の前輪31と後側2箇所の後輪32との間の、概ね前後方向にも横方向にも中央となる箇所に配設されている。これにより、駆動輪51Aは、図11で前述したように前側2箇所の前輪31がヒンジのロックの解除によって後側に折り畳まれて車本体10がパレットP上に乗り上がる時でも、パレットPと当たらないようになっている。また、駆動輪51Aは、後側2箇所の後輪32よりも前側に位置することから、各後輪32が自在キャスタによって構成されていることによる旋回のしやすさを阻害しにくいようになっている。
上述した駆動輪51Aは、前述した前側2箇所の前輪31と同じく、軸方向を横方向に向ける支軸51A1によって、車本体10の台枠11の下部に回転可能に軸支された状態として設けられている。詳しくは、上記支軸51A1は、駆動輪51Aの転動する輪と一体的に連結されており、台枠11の下部にブラケットを介して回転可能に軸視された状態として設けられている。上述した駆動輪51Aは、上述した運搬車1を前後に移動させる動きに伴って、上述した本体車輪30と共にその動かされた方向に回動するようになっている。
図24に示すように、チェーン伝動部51Bは、第1スプロケット51B1、第1ローラチェーン51B2、第2スプロケット51B3、支軸51B4、第3スプロケット51B5、第2ローラチェーン51B6、第4スプロケット51B7と、から成る。第1スプロケット51B1は、上述した駆動輪51Aの輪を支える支軸51A1に通されて一体的に組み付けられており、駆動輪51Aの回転に伴って駆動輪51Aと一体的となって支軸51A1を中心に回転するようになっている。第1ローラチェーン51B2は、上述した第1スプロケット51B1と、第1スプロケット51B1より高い位置で支軸51B4により台枠11に軸支された第2スプロケット51B3と、の間に動力伝達可能な状態に巻き付けられて架橋されている。これにより、第1スプロケット51B1が回転するのに合わせて、第1ローラチェーン51B2を介して第2スプロケット51B3が同じ方向に回転するように動力伝達される機構が構成されている。
第3スプロケット51B5は、上述した第2スプロケット51B3を支える支軸51B4に通されて一体的に組み付けられており、第2スプロケット51B3の回転に伴って第2スプロケット51B3と一体的となって支軸51B4を中心に回転するようになっている。第2ローラチェーン51B6は、上述した第3スプロケット51B5と、上述した主軸51Eにより車本体10に軸支された第4スプロケット51B7と、の間に動力伝達可能な状態に巻き付けられて架橋されている。これにより、上述した第2スプロケット51B3が回転するのに合わせて、第3スプロケット51B5が一体的となって回転すると共に、第2ローラチェーン51B6を介して第4スプロケット51B7が同じ方向に回転するように動力伝達される機構が構成されている。上述した第4スプロケット51B7は、主軸51Eに対して、軸方向には移動しないように係止された状態として設けられている。
可動クラッチ51Cは、上述した主軸51Eに通されて主軸51Eに対して回転可能に軸支された状態として設けられており、上述した第4スプロケット51B7の図示左側に隣り合って軸方向に並んで配設された状態とされている。上述した可動クラッチ51Cは、上述した第4スプロケット51B7との間に押し挟まれる形で設けられた第1圧縮バネ51Lの附勢力により、第4スプロケット51B7から図示左側に押し離される方向の力を受けて、常時は後述する回転ラチェット51Dに押し付けられて動力伝達可能に噛合された状態とされている。しかし、上述した可動クラッチ51Cは、上記のように第4スプロケット51B7から図示左側に押し込まれた状態とされていても、第4スプロケット51B7に対して動力伝達可能な接続状態を維持できるように、軸方向に長尺な嵌合歯構造によって、互いに軸方向の移動は逃がせるが回転方向には一体的な状態となるように嵌合された状態とされている。
回転ラチェット51Dは、上述した主軸51Eに通されて主軸51Eに対して一体的に連結された構成となっており、上述した可動クラッチ51Cの図示左側に隣り合って軸方向に並んで配設された状態とされている。上述した回転ラチェット51Dには、常時は、上述した可動クラッチ51Cが第1圧縮バネ51Lのバネ力によって軸方向に押し付けられた状態とされている。これにより、回転ラチェット51Dは、可動クラッチ51Cが後ろ回り(運搬車1の後退移動により駆動輪51Aが回る方向)に回転する時には可動クラッチ51Cと一体的となって回転するが、可動クラッチ51Cが前回り(運搬車1の前進移動により駆動輪51Aが回る方向)に回転する時には可動クラッチ51Cの回転を逃がすように、可動クラッチ51Cとラチェット歯の噛合によって一方向の回動力のみを伝達するように連結された状態とされている。
上記構成により、運搬車1が後退移動する時には、上述した駆動輪51Aから回転ラチェット51Dに動力が伝達されるが、運搬車1が前進移動する時には、駆動輪51Aから回転ラチェット51Dには動力が伝達されない機構が構成されている。上述した回転ラチェット51Dが運搬車1の後退移動によって後ろ回りに回転することにより、この回転ラチェット51Dを支える主軸51Eが回転ラチェット51Dと一体的となって後ろ回りに回転するようになっている。
巻取り板51Fは、上述した回転ラチェット51Dや第4スプロケット51B7から図示右側に離れた位置で主軸51Eに通されて主軸51Eに対して一体的に連結された構成となっている。これにより、巻取り板51Fは、上述した主軸51Eが後ろ回りに回転することで、主軸51Eと一体的となって後ろ回りに回転するようになっている。上述した巻取り板51Fには、その外周部に、後述するスプリングバランサ52から繰り出されたケーブル52Aの端部が接続されており、主軸51Eと一体的となって後ろ回りに回転することによってケーブル52Aをその外周部に巻き取っていくようになっている。上述した巻取り板51Fの図示左側の側面上には、巻取り板51Fが一定の回転位置まで回転することで、後述する乗り上がり棒51Hを乗り上げさせて軸方向(図示左側)に押し動かす傾斜台51F1が取り付けられている。
固定ラチェット51Gは、上述した巻取り板51Fの図示右側に隣り合って軸方向に並ぶ位置に配設されており、上述した主軸51Eが内部に通されて車本体10の図示右側の横枠14の内側部に一体的に固定された状態とされている。上述した固定ラチェット51Gには、常時は、上述した巻取り板51Fが第2圧縮バネ51Mのバネ力によって軸方向(図示右側)に押し付けられた状態とされている。これにより、固定ラチェット51Gは、上述した巻取り板51Fが後ろ回りに回転する時には、巻取り板51Fの回転を許容するが、巻取り板51Fがその後ろ回りの回転によってスプリングバランサ52のケーブル52Aを巻き取ることで受ける弾発力の作用により前回り方向に回転が戻されようとしても、同方向の回転を食い止めるように、巻取り板51Fとラチェット歯の噛合によって一方向の回動のみを許容する状態に連結された状態とされている。
また、上述した固定ラチェット51Gが巻取り板51Fの前回り方向の回転を規制する力の作用によって、上述した主軸51Eや回転ラチェット51Dの前回り方向の回転も規制された状態とされている。したがって、この規制力によって、運搬車1が前進移動した際に駆動輪51Aから回転ラチェット51Dに伝わろうとする可動クラッチ51Cを介した動力伝達が強く遮断されるようになっている。
乗り上がり棒51Hは、上述した車本体10の図示左側の横枠14や車本体10上に固定された支持板17に横方向に通されることで、車本体10に対して軸方向にのみ移動可能となるように支えられた状態として設けられている。上述した乗り上がり棒51Hは、常時は、後述する操作棒51Jや押動部51Kが可動クラッチ51Cを図示左側に押し動かす第1圧縮バネ51Lの附勢力を受けた反力によって、操作棒51Jにより図示右側に押されて巻取り板51Fの図示左側の側面にあてがわれた状態に保持されている。
上述した乗り上がり棒51Hは、図27において後述するように、運搬車1の後退移動により巻取り板51Fが一定の位置まで後ろ回りに回転することにより、巻取り板51Fの図示左側の側面上に取り付けられた傾斜台51F1上に乗り上げられて、図示左側へ押し動かされるようになっている。この動作により、乗り上がり棒51Hは、その図示左側の先端部で後述する操作棒51Jを押動し、操作棒51Jに連結された押動部51Kによって可動クラッチ51Cを図示右側へ押し動かして、可動クラッチ51Cを回転ラチェット51Dとの噛合状態から外して動力伝達を遮断した状態に切り換えるようになっている。
図24に示すように、操作棒51Jは、車本体10の図示左側の横枠14の外側部において、横方向に揺動する形で首振り運動することができるようにヒンジ連結された状態とされている。上述した操作棒51Jは、常時は、後述する押動部51Kが可動クラッチ51Cを図示左側に押し動かす第1圧縮バネ51Lの附勢力を受けた反力によって、押動部51Kによってヒンジの下側に突出する脚部が外側(図示左側)へ押圧され、これによりヒンジの上側に突出する頭部が内側(図示右側)に押された状態として、上述した乗り上がり棒51Hを図示右側へ押して巻取り板51Fの図示左側の側面にあてがえた状態に保持した状態となっている。
上述した操作棒51Jは、そのヒンジの上側に突出する頭部が上述した乗り上がり棒51Hによって図示左側に押されることにより、そのヒンジの下側に突出する脚部で後述する押動部51Kを図示右側へ押動するようになっている。押動部51Kは、車本体10の図示左側の横枠14に対して横方向に差し込まれて横方向にのみ移動可能となるように組み付けられた状態とされている。上記押動部51Kは、上述した可動クラッチ51Cと一体的に連結されており、可動クラッチ51Cと一体的となって横方向に移動するようになっている。押動部51Kの作用については上述した通りである。
スプリングバランサ52は、内部に巻き取り式のぜんまいバネを有し、外部に繰り出されたケーブル52Aが外側へ引かれることにより、その引かれた分の操作移動量を、内部のぜんまいバネが捩り込まれるひずみトルクとして蓄積する機能を備えた一般的な器具である。上記スプリングバランサ52は、その本体部が車本体10にフックで引っ掛けられて固定されており、そこから引き出されたケーブル52Aが、車本体10の吊枠15に吊り下げられた滑車15Aに掛けられて、上述した巻取り板51Fの外周部に端部が接続された状態とされている。これにより、スプリングバランサ52は、巻取り板51Fが後ろ回りに回転することでケーブル52Aが巻取り板51Fに巻き取られることにより、その巻き取られた分の操作移動量を、内部のぜんまいバネが捩り込まれるひずみトルクとして蓄積するようになっている。
出力伝達機構部53は、車本体10の図示右側の横枠14の外側部に取り付けられた解除レバー53Aと、解除レバー53Aが操作されることで押し動かされる押動部53Bと、主軸51Eに通されて回転可能に軸支された第1ねじ歯車53Cと、第1ねじ歯車53Cと噛み合わされた状態として設けられた第2ねじ歯車53Dと、第2ねじ歯車53Dと一体的に連結された出力軸53Eと、を有する。解除レバー53Aは、車本体10の図示右側の横枠14の外側部において、横方向に揺動する形で首振り運動することができるようにヒンジ連結された状態とされている。上述した解除レバー53Aは、常時は、上述した巻取り板51Fを第1ねじ歯車53Cに対して固定ラチェット51Gに押し付けるように図示右側に押し動かす第2圧縮バネ51Mの附勢力を受けた反力によって、押動部53Bによりヒンジの下側に突出する脚部が外側(図示右側)へ押圧され、これによりヒンジの上側に突出する操作部が内側(図示左側)に押圧された状態として保持された状態となっている。
押動部53Bは、車本体10の図示右側の横枠14に対して横方向に差し込まれて横方向にのみ移動可能となるように組み付けられた状態とされている。上記押動部53Bは、上述した巻取り板51Fと一体的に連結されており、巻取り板51Fと一体的となって横方向に移動するようになっている。上記押動部53Bは、図29において後述するように、上述した解除レバー53Aが図示右側へ倒されるように操作されることにより、解除レバー53Aのヒンジの下側に突出する脚部によって図示左側へ押動され、巻取り板51Fを図示左側へ押動して固定ラチェット51Gとの噛合状態から外すようになっている。この押動操作により、巻取り板51Fは、固定ラチェット51Gによって戻り回転の回転が食い止められていた状態が解除され、ケーブル52Aの巻取りによりスプリングバランサ52に蓄えられていたトルクが開放されて、戻り方向(前回り)に駆動回転させられる状態に切り換えられる。
図24に示すように、第1ねじ歯車53Cは、上述した巻取り板51Fの図示左側に隣り合って軸方向に並ぶ位置に配設されており、上述した主軸51Eが内部に通されて主軸51Eに対して回転可能に軸支された状態として設けられている。上記第1ねじ歯車53Cは、主軸51Eに対して軸方向には移動しないように係止された状態として設けられている。上述した第1ねじ歯車53Cは、常時は、上述した巻取り板51Fとの間に押し挟まれた形で設けられた第2圧縮バネ51Mのバネ力によって、巻取り板51Fを図示右側に押し付けて、巻取り板51Fとは動力伝達が遮断された状態とされている。
しかし、第1ねじ歯車53Cは、図29において後述するように、上述した解除レバー53Aの操作により巻取り板51Fが押動部53Bに押されて図示左側に押動されることにより、巻取り板51Fとの間に形成された軸方向に嵌合する嵌合歯構造によって回転方向に一体的に嵌合されるようになっている。この嵌合により、第1ねじ歯車53Cは、巻取り板51Fがスプリングバランサ52の蓄積トルクの開放によって戻り方向(前回り)に駆動回転させられる動力の伝達を受けて、巻取り板51Fと一体的となって回転するようになっている。
第2ねじ歯車53Dは、第1ねじ歯車53Cの下部において、常時、第1ねじ歯車53Cと軸方向が直交する向きで動力伝達可能に噛合した状態に組み付けられている。上記第2ねじ歯車53Dは、その内部に、後述する車本体10の前枠12と後枠13とに前後方向に差し込まれて軸支された出力軸53Eが差し込まれて出力軸53Eに対して一体的に連結された状態とされている。これにより、第2ねじ歯車53Dは、上述した第1ねじ歯車53Cからの動力伝達を受けて回転することにより、出力軸53Eを一体的に軸回転させるようになっている。
出力軸53Eは、図23〜図24に示すように、上述した第2ねじ歯車53Dの軸心に通されて第2ねじ歯車53Dに対して一体的に連結された状態として、車本体10の後枠13と前枠12とに前後方向に差し込まれて回転可能に軸支された状態として設けられている。そして、上記出力軸53Eの上記前枠12に通されて前方側に突出した先の端部には、前述した荷台20の基体21が一体的に連結されている。これにより、上記出力軸53Eは、上述した第2ねじ歯車53Dが駆動回転させられる動力の伝達を受けることにより、第2ねじ歯車53Dと一体的となって回転して、荷台20を横倒しするようになっている。
<蓄積機構の入力伝達の流れ:図25〜図28>
続いて、上記説明した蓄積機構50の具体的な動作の流れについて説明する。先ず、運搬車1の後退移動によって蓄積機構50に動力を蓄積する入力伝達機構部51の動作の流れについて説明する。図25〜図26に示すように、入力伝達機構部51は、運搬車1が後退移動することにより、駆動輪51Aが後ろ回りに回転し、この駆動輪51Aの動力が前述したチェーン伝動部51Bを介して第4スプロケット51B7に伝達されて、第4スプロケット51B7が同方向(後ろ回り)に回転する。これにより、図26に示すように、第4スプロケット51B7の後ろ回りの回転動力が可動クラッチ51Cを介して回転ラチェット51Dへと伝達されて、回転ラチェット51Dに一体的に連結された主軸51Eが回転し、主軸51Eに一体的に連結された巻取り板51Fが後ろ回りに回転する。
そして、上記巻取り板51Fの後ろ回りの回転により、スプリングバランサ52から繰り出されたケーブル52Aが巻取り板51Fに巻き取られ、スプリングバランサ52にその巻き取られた分のひずみトルクが蓄積されていく。そして、上記運搬車1の後退移動の進行により、巻取り板51Fの後ろ回りの回転が所定の回転量に到達すると、図27に示すように、巻取り板51Fの図示左側の側面に取り付けられた傾斜台51F1上に乗り上がり棒51Hが乗り上がって、乗り上がり棒51Hが図示左側に押し動かされる。これにより、乗り上がり棒51Hの図示左側の端部によって操作棒51Jの頭部が押されて、操作棒51Jの脚部により押動部51Kが図示右側に押し返されて、可動クラッチ51Cが回転ラチェット51Dとの接続状態から切り離される。
そして、上記の切り離しが行われることにより、図28に示すように、運搬車1が上記状態から更に後退移動しても、係る動力は、第4スプロケット51B7から回転ラチェット51Dには伝達されない状態となる。その際、巻取り板51Fの回転によりスプリングバランサ52に蓄えられた動力は、巻取り板51Fが固定ラチェット51Gによって戻り方向(前回り方向)の回転が係止されていることにより、開放されることなく蓄えられた状態に保持されるようになっている。したがって、この状態からは、運搬車1を更に後退させたり、或いは前進させたり旋回させたりしても、スプリングバランサ52に蓄えられたトルクは開放されることなく一定量蓄積された状態に保持される。よって、スプリングバランサ52にトルクを蓄えた状態で、運搬車1を繰り出し機Mの前まで適宜進行方向を切り換えて移動させることができる。
<蓄積機構の出力伝達の流れ:図29〜図32>
次に、上述したスプリングバランサ52に蓄積したトルクを開放して、荷台20を横倒れさせる動力として出力する出力伝達機構部53の動作の流れについて説明する。すなわち、図29に示すように、上述したように運搬車1を繰り出し機Mの前まで移動させた状態で、解除レバー53Aを横(図示右側)に倒すと、解除レバー53Aの脚部によって押動部53Bが図示左側に押し動かされる。これにより、巻取り板51Fが同方向に押し動かされて固定ラチェット51Gとの接続状態から切り離されると共に、第1ねじ歯車53Cと動力伝達可能に接続された状態となる。
そして、これにより、巻取り板51Fは、図30に示すように、固定ラチェット51Gによって戻り方向の回転が規制されていた状態が解除され、スプリングバランサ52によって発揮される蓄積トルクの開放に伴う駆動力を受けて前回り方向に回転する。このとき、上記巻取り板51Fが回転すると、巻取り板51Fと一体の主軸51Eも前回り方向に回転する。しかし、巻取り板51Fが図示左側に押し出されていることにより乗り上がり棒51Hが同方向に一定量押し出された状態に保たれることで、可動クラッチ51Cが回転ラチェット51Dとの接続状態から切り離された状態(図27参照)に保たれるため、主軸51Eの回転が回転ラチェット51Dには伝達されないようになっている。そして、上記巻取り板51Fの前回り方向の回転により、その動力が第1ねじ歯車53Cに伝達されると共に、この動力が更に図31に示すように第1ねじ歯車53Cから第2ねじ歯車53Dを介して出力軸53Eに伝達される。これにより、荷台20が出力軸53Eの回動力によって横倒し方向に回される。
そして、荷台20が横倒しされた後(開放トルクが発揮され切った後)に解除レバー53Aの操作を戻すことにより、図32に示すように、巻取り板51Fが第2圧縮バネ51Mの附勢力によって再び固定ラチェット51Gに噛み合わされて接続された状態となる。これにより、蓄積機構50が、再び運搬車1の後退移動によって係る動力を蓄積可能な初期の状態に戻された状態となる。
<まとめ>
以上をまとめると、本実施例の運搬車1は次のような構成となっている。すなわち、運搬車1は、縦置きされた原反ロールW(対象物)を抱えて運搬する構成となっている。この運搬車1は、原反ロールWを抱えるための荷台20と、荷台20を回動させて荷台20に抱えられた原反ロールWを縦向きから横向きに変える回動機構40と、を有する。荷台20は、縦置きされた原反ロールWに押し付けられる移動により原反ロールWを進行方向に押し傾けながら内部に受け入れる受入部22と、上記の移動に伴い原反ロールWの押し傾けられて浮いた下側の隙間Sp内に差し込まれるフォーク23と、受入部22内に受け入れられた原反ロールWの脱落を防止可能に突出する状態と脱落を許容する退避状態とに切り換え可能に設けられたストッパ24と、を有する。
このような構成となっていることにより、運搬車1は、縦置きされた原反ロールWに荷台20を押し付けるように移動させることにより、原反ロールWを押し傾けながら荷台20の受入部22内に受け入れると共に、フォーク23を上記押し傾けられた原反ロールWの下側の隙間Sp内に差し込んだ状態となる。そして、この状態で、ストッパ24が原反ロールWの脱落を防止可能に突出した状態とされることにより、原反ロールWが荷台20によって下方側から支持された状態として抱えられた状態となる。上記荷台20は、上記原反ロールWを抱えた状態から回動機構40によって横向きに倒されることにより、原反ロールWを横向きに倒した状態となる。そして、この状態から、ストッパ24が退避状態に切り換えられることにより、原反ロールWを横向きで排出することができる状態となる。このように、縦置きされた原反ロールWに下方側からフォーク23を差し込む隙間Spがなくても、原反ロールWをフォーク23の上に適切に支持した状態にして荷台20に載せることができる。
また、荷台20の受入部22は、原反ロールWを受け入れる受入口22Eが内部に設けられた受止板22Fによって開口を傾斜状に広げる形となっており、この開口を広げる下側の斜面が荷台20を横向きにした時に原反ロールWを外部に落とし出せるようにする下側の斜面として機能するようになっている。このように、受入口22Eの開口を傾斜状に広げる形によって、縦置きされた原反ロールWを荷台20の受入部22内に受け入れやすくなると共に、原反ロールWを横向きに倒して排出する際に、原反ロールWを簡便に外部に排出することができる。
また、ストッパ24は、バネ力により突出状態に保持されており、原反ロールWが受入部22内に受け入れられる移動により一旦押し退けられた後に復帰して原反ロールWの脱落を防止した突出状態となると共に、荷台20が縦向きから横向きに変えられる移動によって退避状態に切り換えられるよう切換機構60によって操作されるようになっている。このような構成となっていることにより、縦置きされた原反ロールWに荷台20を押し付ける移動のみによって、ストッパ24が原反ロールWの脱落を防止可能な突出状態に切り換えられて、原反ロールWを荷台20に抱え込ませた状態にして保持することができる。また、荷台20を横向きに倒す回転によって上記ストッパ24による原反ロールWの脱落の防止状態が解除されるようになっていることで、原反ロールWを横向きにした後に排出する作業をより簡便に行うことができる。
また、上記運搬車1は、更に、運搬車1を後退させる移動によってその回転トルクを蓄積する蓄積機構50を有する。蓄積機構50は、解除レバー53Aの操作(所定の解除操作)によって、その蓄えられた回転トルクを放出して、荷台20を縦向きから横向きに回転させるようになっている。このような構成となっていることにより、荷台20を横向きに倒す作業を、蓄積機構50に蓄えられた回転トルクを開放する解除レバー53Aの操作(所定の解除操作)を行うのみによって簡便に行うことができる。
また、荷台20は、附勢によって縦向きの状態に保持されるようになっており、荷台20が横向きに倒されて原反ロールWが排出されることにより附勢によって縦向きの状態に戻されるようになっている。このような構成となっていることにより、横向きに倒した荷台20を、特に何らの操作を要することなく、縦向きの状態に戻すことができる。また、上記荷台20に荷台車輪25が付いていることから、荷台20や車本体10に大きな負荷をかけることなく、重量物たる原反ロールWをパレットP上から円滑に引き摺り出すことができる。
以上、本発明の実施形態を1つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施することができるものである。例えば、上記実施例では、本発明の運搬車によって運搬する対象物として、無数のガラス繊維を面状に絡めて成形したシート状の原反を円筒状の芯材に巻き付けて形成した原反ロールを例示した。しかし、上記運搬車によって運搬する対象物は、上記材料から成る原反ロールの他、ファブリックや皮革等の表皮材やカーペット材等の厚手の面状材を芯材に巻き付けて形成した原反ロールなどのロール材であってもよい。また、上記対象物は、必ずしもロール材でなくてもよく、単に筒状(円筒状や角筒状など)や棒状(丸棒状や角棒状など)等の縦置き可能な形をした物であってもよい。本発明の運搬車は、様々な材質から成る対象物の表面を傷付けることなく、対象物を縦置きされた状態から拾い上げて横向きにして排出することができるものである。
また、本発明の運搬車は、電動で動くように構成されたものであってもよい。具体的には、例えば、上記実施例では回動機構が蓄積機構に蓄えられたトルクの開放によって横向きに倒され、自重作用によって縦向きに起こされるようになっていたが、これを電動モータの駆動力を用いて行うようにしてもよい。また、蓄積機構に代えて、荷台をロックの解除操作によって自重により横向きに倒すように構成してもよい。具体的には、例えば、荷台を、原反ロール等の対象物が載せられる前は自重またはウェイトの追加などによって縦向きに保持するように附勢した状態として縦向きの状態でロックしておき、原反ロール等の対象物が荷台に載せられた後にロックを解除することにより、荷台の重量バランスが崩れて荷台が横向きに倒されるようなものである。
また、上記実施例では、荷台を縦向きに附勢する手段として荷台にウェイトを取り付けた構成を例示したが、ウェイトに代えてバネ等の附勢手段によって荷台を縦向きに起こし上げる方向に附勢したものであってもよい。また、上記実施例では、荷台を横向きに倒す移動によってストッパを退避状態に切り換える切換機構として、荷台の横倒れに伴いワイヤが引かれて荷台が水平姿勢に倒れ込んだ時にはストッパが退避状態となるように構成したものを示したが、荷台が水平姿勢に到達することに起因してストッパが退避状態に引かれるように操作されるものであってもよい。
また、上記実施例では、ストッパが横倒れした荷台の上側にくる腕部に取り付けられたものを例示したが、ストッパは、横倒れした荷台の下側にくる腕部に取り付けられていてもよい。また、ストッパは、軸回転により出没動作するものの他、直線運動により出没動作するものであってもよい。また、ストッパは、荷台の受入部内に受け入れられた対象物の外周面に当たって対象物の脱落を防止するものの他、対象物の端部面に押し当てられたり対象物が筒状である場合に筒の内周面に当てられたりして対象物の脱落を防止するものであってもよい。また、ストッパは、バネ力により突出状態に附勢されて保持されるものの他、手動操作によって適宜、突出状態と退避状態とに切り換えられるようになっていてもよい。
また、受入部の開口は、上記実施例で示したように受入口22E内に設けられた受止板が傾斜した形に設けられることで開口が傾斜状に広げられた形とされているものの他、受止板のない構成において受入部の外枠が傾斜した形となっていることで開口が傾斜状に広げられた形とされているものであってもよい。なお、受入部は、開口が口内に向かって寸胴な形とされていて、対象物を排出する際に受入部が下斜め向きとなるように動かされることで対象物を外部に転がり落とせるように構成されていてもよい。
また、上記実施例では、回動機構が荷台を後方側から見て時計回り方向に横倒しさせるように構成されていたが、反時計回り方向に横倒しさせるようになっていてもよい。上記の回動向きは、原反ロールを繰り出し機にセットした後の原反ロールの繰り出し向きに合わせるなど、使用目的に応じて適宜決定されるものである。