JP2016060321A - ハイブリッド自動車 - Google Patents

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英明 石原
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Abstract

【課題】後進走行を継続可能な時間や距離をある程度確保する。
【解決手段】要求トルクTr*と、エンジンからの直達トルクをキャンセルするためのトルクと、の和のトルクを第2モータから駆動軸に出力できるようにエンジンの上限パワーPemaxを設定し(S210〜S230)、要求トルクTr*に対応する要求パワーPr*が上限パワーPemaxより大きいときには、バッテリの許容下限割合SOCminを基本許容下限割合SOCmin0より小さい値にする(S330)。
【選択図】図7

Description

本発明は、ハイブリッド自動車に関し、詳しくは、エンジンと、動力を入出力可能な第1モータと、車軸に連結された駆動軸とエンジンの出力軸と第1モータの回転軸とに3つの回転要素が共線図上で駆動軸,出力軸,回転軸の順に並ぶように接続されたプラネタリギヤと、駆動軸に動力を入出力可能な第2モータと、第1モータおよび第2モータと電力をやりとり可能なバッテリと、を備えるハイブリッド自動車に関する。
従来、この種のハイブリッド自動車としては、エンジンと、第1回転電機と、車軸とエンジンの出力軸と第1回転電機の出力軸とにリングギヤとキャリアとサンギヤとが接続された第1プラネタリ機構と、第2回転電機と、車軸と第2回転電機の出力軸とにリングギヤとサンギヤとが接続されると共にキャリアが固定された第2プラネタリ機構と、第1回転電機や第2回転電機と電力をやりとりする蓄電装置とを備え、後進走行する際に、蓄電装置のSOC値が充電開始閾値以下に至るとエンジンを始動して第1回転電機による強制充電を開始し、SOC値が充電終了閾値以上に至ると強制充電を終了するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このハイブリッド自動車では、後進走行する際に、傾斜度が傾斜度閾値以上のときには、傾斜度が傾斜度閾値未満のときに比して充電開始閾値および充電終了閾値を小さくすることにより、エンジンの始動を遅らせて、エンジンの負荷運転による車軸における駆動力の低下を遅らせ、目標の走行持続距離を達成できるようにしている。
特開2010−221745号公報
こうしたハイブリッド自動車では、エンジンを負荷運転しながら後進走行する際において、駆動軸に要求される後進走行方向の要求トルク(要求パワー)が大きいときには、走行性能を確保するために、エンジンからのパワーを用いて第1回転電機により発電される電力と蓄電装置からの電力とを用いて第2回転電機から駆動軸にトルク(パワー)を出力することが行なわれる。このとき、蓄電装置からの放電電力の大きさによっては、蓄電装置のSOC値が迅速に低下し、後進走行を継続可能な時間や距離が比較的短くなってしまう場合がある。
本発明のハイブリッド自動車は、後進走行を継続可能な時間や距離をある程度確保することを主目的とする。
本発明のハイブリッド自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のハイブリッド自動車は、
エンジンと、
動力を入出力可能な第1モータと、
車軸に連結された駆動軸と前記エンジンの出力軸と前記第1モータの回転軸とに3つの回転要素が共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に並ぶように接続されたプラネタリギヤと、
前記駆動軸に動力を入出力可能な第2モータと、
前記第1モータおよび前記第2モータと電力をやりとり可能なバッテリと、
を備えるハイブリッド自動車であって、
前記エンジンを負荷運転しながら後進走行する所定時には、前記駆動軸に要求される後進走行方向の要求トルクと、前記エンジンの負荷運転に伴って前記駆動軸に作用する前進走行方向のトルクをキャンセルするためのキャンセルトルクと、の和のトルクを前記第2モータから前記駆動軸に出力することができるように前記エンジンの上限パワーを設定し、該上限パワー以下の範囲内で前記エンジンの目標パワーを設定し、前記バッテリの蓄電割合が許容下限割合以上となる範囲内で、前記目標パワーが前記エンジンから出力されると共に前記要求トルクに対応する対応要求パワーにより走行するように前記エンジンと前記第1モータと前記第2モータとを制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記所定時において、前記対応要求パワーが前記上限パワーより大きいときには、前記対応要求パワーが前記上限パワー以下のときより前記許容下限割合を小さくする、
ことを特徴とする。
この本発明のハイブリッド自動車では、エンジンを負荷運転しながら後進走行する所定時には、駆動軸に要求される後進走行方向の要求トルクと、エンジンの負荷運転に伴って駆動軸に作用する前進走行方向のトルク(直達トルク)をキャンセルするためのキャンセルトルクと、の和のトルクを第2モータから駆動軸に出力することができるようにエンジンの上限パワーを設定し、上限パワー以下の範囲内でエンジンの目標パワーを設定し、バッテリの蓄電割合が許容下限割合以上となる範囲内で、目標パワーがエンジンから出力されると共に要求トルクに対応する対応要求パワーにより走行するようにエンジンと第1モータと第2モータとを制御する。これにより、後進走行時の走行性能が低下するのを抑制することができる。そして、所定時において、対応要求パワーが上限パワーより大きいときには、対応要求パワーが上限パワー以下のときより許容下限割合を小さくする。所定時において、対応要求パワーが上限パワーより大きいときには、対応要求パワーにより後進走行しようとすると、バッテリを放電させることになる。したがって、このときに、対応要求パワーが上限パワー以下のときより許容下限割合を小さくすることにより、蓄電割合が許容下限割合に至るまでに放電可能な電力量を多くすることができ、現在から後進走行を継続可能な時間や距離を長くすることができる。即ち、後進走行を継続可能な時間や距離をある程度確保することができる。ここで、「対応要求パワー」は、要求トルクに駆動軸の回転数を乗じて得られるパワーを意味する。
こうした本発明のハイブリッド自動車において、前記制御手段は、前記所定時において、前記対応要求パワーが前記上限パワーより大きいときには、前記上限パワーを前記目標パワーに設定し、前記対応要求パワーと、前記上限パワーと前記バッテリの最大許容出力との和である走行可能パワーと、のうち小さい方のパワーにより走行するように制御し、前記最大許容出力は、前記許容下限割合が小さいほど大きくなる傾向で且つ前記蓄電割合が前記許容下限割合に近づくほど小さくなる傾向に設定される、ものとすることもできる。こうすれば、所定時において、対応要求パワーが上限パワーより大きいために許容下限割合を小さくしたときに、最大許容出力が小さくなるのを抑制することができ、後進走行時の走行性能が低下するのを抑制することができる。
許容下限割合が小さいほど大きくなる傾向で且つ蓄電割合が許容下限割合に近づくほど小さくなる傾向に最大許容出力が設定される態様の本発明のハイブリッド自動車において、前記制御手段は、前記所定時に前記対応要求パワーが前記上限パワーより大きいときにおいて、前記対応要求パワーと前記上限パワーとの差分と、前記蓄電割合と前記許容下限割合との差分と、に応じた後進走行を継続可能な時間および距離の少なくとも一方である走行可能値が閾値以上のときには、前記対応要求パワーと前記走行可能パワーとのうち小さい方のパワーにより走行するように制御し、前記走行可能値が前記閾値未満のときには前記対応要求パワーより小さい制限要求パワーと前記走行可能パワーとのうち小さい方のパワーにより走行するように制御する、ものとすることもできる。こうすれば、走行可能値が閾値未満のときにおいて、制限要求パワーが走行可能パワーより小さい場合には、対応要求パワーと走行可能パワーとのうち小さい方のパワーより小さいパワーにより走行することになるから、バッテリからの放電電力を小さくし、蓄電割合の低下を緩やかにし、後進走行を継続可能な時間や距離を長くすることができる。
所定時において対応要求パワーが上限パワーより大きいときに走行可能値と閾値との大小関係に応じたパワーにより走行するように制御する態様の本発明のハイブリッド自動車において、前記制御手段は、前記所定時において、前記対応要求パワーが前記上限パワーより大きく且つ前記走行可能値が前記閾値未満のときには、前記走行可能値が前記閾値以上となるように前記許容下限割合および前記制限要求パワーを設定する、ものとすることもできる。こうすれば、走行可能値が閾値未満のときにおいて、制限要求パワーが走行可能パワーより小さい場合に、後進走行を継続可能な時間や距離をより十分に長くすることができる。
また、所定時において対応要求パワーが上限パワーより大きいときに走行可能値と閾値との大小関係に応じたパワーにより走行するように制御する態様の本発明のハイブリッド自動車において、前記閾値は、後進走行開始からの時間と距離との少なくとも一方が長いほど小さくなる傾向に設定される、ものとすることもできる。この場合、更に、前記閾値は、路面勾配が小さいほど大きくなる傾向で且つ前記蓄電割合と前記許容下限割合との差分が大きいほど大きくなる傾向に設定される、ものとすることもできる。こうすれば、閾値をより適切に設定することができる。
さらに、所定時において対応要求パワーが上限パワーより大きいときに走行可能値と閾値との大小関係に応じたパワーにより走行するように制御する態様の本発明のハイブリッド自動車において、前記制御手段は、前記所定時において、前記対応要求パワーが前記上限パワーより大きいときには、前記蓄電割合と前記許容下限割合との差分を、前記対応要求パワーと前記上限パワーとの差分と前記最大許容出力とのうち小さい方で除して、前記後進走行を継続可能な時間を演算し、車速と前記演算した時間との積として前記後進走行を継続可能な距離を演算する、ものとすることもできる。
本発明のハイブリッド自動車において、前記制御手段は、前記所定時において、前記対応要求パワーと前記バッテリの充電要求パワーとの和が前記上限パワー以下のときには、前記対応要求パワーと前記充電要求パワーとの和を前記目標パワーに設定し、前記対応要求パワーが前記上限パワー以下で且つ前記対応要求パワーと前記充電要求パワーとの和が前記上限パワーより大きいときには、前記上限パワーを前記目標パワーに設定する、ものとすることもできる。こうすれば、対応要求パワーとバッテリの充電要求パワーとの和が上限パワー以下のときには、充電要求パワーに相当する電力でバッテリを充電しながら後進走行することができる。また、対応要求パワーが上限パワーより小さく且つ対応要求パワーと充電要求パワーとの和が上限パワーより大きいときには、上限パワーと対応要求パワーとの差分に相当する電力でバッテリを充電しながら走行することができる。さらに、対応要求パワーが上限パワーと等しく且つ対応要求パワーと充電要求パワーとの和が上限パワーより大きいときには、バッテリを充放電させずに後進走行することができる。即ち、これらの場合、バッテリの蓄電割合の低下を抑制しながら後進走行することができる。
また、本発明のハイブリッド自動車において、前記制御手段は、前記所定時には、前記要求トルクと前記第2モータから前記駆動軸に出力可能な後進走行方向の上限トルクとの差分を前記出力軸のトルクに換算して得られる前記エンジンの上限トルクと、前記エンジンの上限回転数と、の積を前記上限パワーに設定する、ものとすることもできる。この態様の本発明のハイブリッド自動車において、前記上限回転数は、前記プラネタリギヤのピニオンギヤの性能に基づく前記エンジンの上限回転数である第1仮上限回転数と、前記第1モータの性能に基づく前記エンジンの上限回転数である第2仮上限回転数と、前記エンジンの定格値としての第3仮上限回転数と、の最小値を値0で下限ガードして設定される、ものとすることもできる。こうすれば、エンジンや第1モータ,プラネタリギヤのピニオンギヤの保護を図ることができる。
本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 バッテリ50の電池温度Tbと基本値Wouttmpとの関係の一例を示す説明図である。 バッテリ50の蓄電割合SOCと補正係数koutとの関係の一例を示す説明図である。 実施例のHVECU70により実行される所定時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 所定時のプラネタリギヤ30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 エンジン目標運転ポイント設定処理の一例を示すフローチャートである。 駆動軸36の回転数Nrとエンジン22の上限回転数Nemaxとの関係の一例を示す説明図である。 バッテリ50の出力制限Woutを再設定する様子を示す説明図である。 総目標走行時間設定用マップの一例を示す説明図である。 総目標走行距離設定用マップの一例を示す説明図である。 所定時でバッテリ50の充電が要求されているときのアクセル対応要求パワーPracc,バッテリ50の充電要求パワーPch*,エンジン22の目標パワーPe*,実際の走行パワー(実Pr),バッテリ50の実際の充放電電力(充電時には実Pch,放電時には実Pdi)の関係の一例を示す説明図である。 所定時にアクセル対応要求パワーPraccが上限パワーPemaxより大きいときの走行可能パワーPrrunの時間変化の様子を示す説明図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力するエンジン22と、エンジン22を駆動制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して複数のピニオンギヤ33を連結したキャリヤ34が接続されると共に駆動輪63a,63bにデファレンシャルギヤ62とギヤ機構60とを介して連結された駆動軸36にリングギヤ32が接続されたシングルピニオン式のプラネタリギヤ30と、例えば周知の同期発電電動機として構成されてプラネタリギヤ30のサンギヤ31に回転子が接続されたモータMG1と、例えば周知の同期発電電動機として構成されて駆動軸36に減速ギヤ35を介して回転子が接続されたモータMG2と、モータMG1,MG2を駆動するためのインバータ41,42と、インバータ41,42のスイッチング素子をスイッチング制御することによってモータMG1,MG2を駆動制御するモータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40と、例えばリチウムイオン二次電池として構成されてインバータ41,42を介してモータMG1,MG2と電力をやりとりするバッテリ50と、バッテリ50を管理するバッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52と、車両全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70と、を備える。
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されており、エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための種々の制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24は、エンジン22のクランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいてエンジン22の回転数Neを演算している。
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号、例えば、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2などが入力ポートを介して入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42の図示しないスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。また、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を演算している。
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な各種センサからの信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからの端子間電圧Vbやバッテリ50の出力端子に接続された電力ラインに取り付けられた電流センサ51bからの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tbなどが入力ポートを介して入力されている。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために、電流センサ51bにより検出されたバッテリ50の充放電電流Ibの積算値に基づいてそのときのバッテリ50から放電可能な電力の容量の全容量に対する割合である蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと温度センサ51cにより検出された電池温度Tbとに基づいてバッテリ50から出力してもよい最大許容出力としての出力制限Woutを演算したりしている。なお、バッテリ50の出力制限Woutは、電池温度Tbに基づいて出力制限Woutの基本値Wouttmpを設定し、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて補正係数koutを設定し、設定した基本値Wouttmpに補正係数koutを乗じる、ことによって設定することができる。図2にバッテリ50の電池温度Tbと基本値Wouttmpとの関係の一例を示し、図3にバッテリ50の蓄電割合SOCと補正係数koutとの関係の一例を示す。図3に示すように、補正係数koutは、蓄電割合SOCが所定値S1以上の領域では値1が設定され、蓄電割合SOCが所定値S1未満で且つ通常時の許容下限割合SOCminである基本許容割合SOCmin0より大きい領域では蓄電割合SOCが基本許容下限割合SOCmin0に近づくほど値1から値0に向けて小さくなるように設定され、蓄電割合SOCが基本許容下限割合SOCmin0以下の領域では値0が設定されるものとした。ここで、所定値S1や基本許容下限割合SOCmin0は、バッテリ50の特性に応じて、バッテリ50の劣化が抑制されるように定められる。所定値S1は、例えば、50%や55%などに定められ、基本許容下限割合SOCmin0は、例えば、35%や40%などに定められる。
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。HVECU70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,勾配センサ89からの路面勾配θrgなどが入力ポートを介して入力されており、HVECU70からは、情報を表示するディスプレイ90への表示制御信号などが出力ポートを介して出力されている。また、HVECU70は、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信可能に接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。なお、実施例のハイブリッド自動車20では、シフトレバー81の操作位置(シフトポジションセンサ82により検出されるシフトポジションSP)としては、駐車時に用いる駐車ポジション(Pポジション),後進走行用のリバースポジション(Rポジション),中立のニュートラルポジション(Nポジション),前進走行用のドライブポジション(Dポジション)などがある。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、エンジン22の運転を伴って走行するハイブリッド走行モード(HV走行モード)やエンジン22の運転を停止して走行する電動走行モード(EV走行モード)で走行する。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、エンジン22を負荷運転しながら後進走行する所定時の動作について説明する。図4は、実施例のHVECU70により実行される所定時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時に所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。
所定時制御ルーチンが実行されると、HVECU70は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の蓄電割合SOC,バッテリ50の出力制限Wout,勾配センサ89からの路面勾配θrg,後進走行開始(例えば、シフトポジションSPがRポジションに設定されたときなど)から現在までの走行時間Tや走行距離Lなど制御に必要なデータを入力する(ステップS100)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいて演算された値をモータECU40から通信により入力するものとした。また、バッテリ50の蓄電割合SOCは、電流センサ51bにより検出されたバッテリ50の充放電電流Ibの積算値に基づいて演算された値をバッテリECU52から通信により入力するものとした。さらに、バッテリ50の出力制限Woutは、蓄電割合SOCと温度センサ51cにより検出されたバッテリ50の電池温度Tbとに基づいて設定された値をバッテリECU52から通信により入力するものとした。走行時間Tは、後進走行開始時に計時が開示されたタイマの計時値を入力するものとした。走行距離Lは、後進走行開始からの車速Vの積算値に基づいて演算されたものを入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて走行に要求される(駆動軸36に要求される)要求トルクTr*を設定し(ステップS110)、設定した要求トルクTr*に駆動軸36の回転数Nrを乗じて、走行に要求される要求パワーPr*を計算する(ステップS120)。ここで、要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとして図示しないROMに記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。要求トルク設定用マップの一例を図5に示す。図示するように、要求トルクTr*には、負の値(後進走行方向の値)が設定される。また、駆動軸36の回転数Nrは、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除して計算したり、車速Vに換算係数を乗じて計算したりすることができる。以下、このステップS110,S120の処理で設定した要求トルクTr*,要求パワーPr*をそれぞれアクセル対応要求トルクTracc,アクセル対応走行要求パワーPraccということがある。
続いて、後述するエンジン目標運転ポイント設定処理によりエンジン22の目標運転ポイントしての目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS130)。そして、エンジン22の目標回転数Ne*と駆動軸36の回転数Nr(=Nm2/Gr)とプラネタリギヤ30のギヤ比ρとを用いて次式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*とモータMG1の現在の回転数Nm1とエンジン22の目標トルクTe*とプラネタリギヤ30のギヤ比ρとを用いて式(2)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算する(ステップS140)。ここで、式(1)は、プラネタリギヤ30の回転要素に対する力学的な関係式である。所定時のプラネタリギヤ30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図6に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリヤ34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除して得られるリングギヤ32(駆動軸36)の回転数Nrを示す。また、図中、R軸上の2つの太線矢印は、モータMG1から出力されてプラネタリギヤ30を介して駆動軸36に作用するトルクと、モータMG2から出力されて減速ギヤ35を介して駆動軸36に作用するトルクとを示す。式(1)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。また、式(2)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させる(エンジン22を目標回転数Ne*で回転させる)ためのフィードバック制御における関係式であり、右辺第1項はフィードフォワード項であり、右辺第2項,第3項はフィードバック項の比例項,積分項である。式(2)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/(Gr・ρ) (1)
Tm1*=-ρ・Te*/(1+ρ)+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*-Nm1)dt (2)
そして、次式(3)に示すように、要求トルクTr*(アクセル対応要求トルクTraccまたは後述のエンジン目標運転ポイント設定処理により再設定した値(制限要求トルクTrmod))にモータMG1のトルク指令Tm1*をプラネタリギヤ30のギヤ比ρで除した値を加えて更にこれを減速ギヤ35のギヤ比Grで除して、モータMG2のトルク指令Tm2*の仮の値としての仮トルクTm2tmpを計算し(ステップS150)、バッテリ50の出力制限WoutからモータMG1のトルク指令Tm1*にモータMG1の現在の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)を減じた値をモータMG2の回転数Nm2で除して、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内でモータMG2から出力してもよいトルクの下限(絶対値としては上限)としてのトルク制限Tm2minを計算し(ステップS160)、式(5)に示すように、モータMG2の仮トルクTm2tmpを、トルク制限Tm2minと、モータMG2の回転数Nm2に応じた負側の定格値のトルクとしてのトルク制限Tm2limと、で制限して(下限ガードして)モータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS170)。ここで、式(3)は、図4の共線図を用いれば容易に導くことができる。
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (3)
Tm2min=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 (4)
Tm2*=max(Tm2tmp,Tm2min,Tm2lim) (5)
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS180)、本ルーチンを終了する。エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とからなる運転ポイントで運転されるようにエンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行なう。また、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようにインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
次に、この図4の所定時制御ルーチンのステップS130の処理、即ち、図7に例示するエンジン目標運転ポイント設定処理によりエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する処理について説明する。
エンジン目標運転ポイント設定処理では、HVECU70は、まず、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいてバッテリ50の充電要求パワーPch*を設定する(ステップS200)。ここで、バッテリ50の充電要求パワーPch*は、実施例では、バッテリ50の蓄電割合SOCと充電要求パワーPch*との関係を予め定めて図示しないROMに記憶しておき、蓄電割合SOCが与えられると記憶したマップから対応する充電要求パワーPch*を導出して設定するものとした。この充電要求パワーPch*は、蓄電割合SOCが目標割合SOC*(例えば50%や55%,60%など)より小さいときには、値0より大きい範囲内(充電側の範囲内)で蓄電割合SOCが小さいほど大きくなる傾向に設定され、蓄電割合SOCが目標割合SOC*より大きいときには、値0より小さい範囲内(放電側の範囲内)で蓄電割合SOCが大きいほど小さくなる(絶対値としては大きくなる)傾向に設定される。なお、後進走行する際には、エンジン22を負荷運転すると、エンジン22から出力されてプラネタリギヤ30を介して駆動軸36に作用する前進走行方向のトルク(以下、「直達トルク」という)により、駆動軸36に出力可能なトルクの下限が大きくなる(絶対値としては小さくなる)。このため、バッテリ50の充電が要求されていないときには、図4の所定時制御ルーチンを実行せずに、エンジン22を運転停止してモータMG2からのトルク(パワー)により後進走行するのが好ましい。これを考慮して、以下の説明では、エンジン22を負荷運転する必要がある(バッテリ50の充電が要求されている)ときを考える。
続いて、要求トルクTr*(アクセル対応要求トルクTracc)とモータMG2のトルク制限Tm2limとプラネタリギヤ30のギヤ比ρと減速ギヤ35のギヤ比Grとを用いて、次式(6)により、エンジン22の上限トルクTemaxを計算する(ステップS210)。ここで、式(6)中、「Tm2ilim・Gr」は、モータMG2から駆動軸36に出力することができるトルクの下限(後進走行方向のトルクの上限)を示す。また、式(6)の両辺を「1+ρ」で除して得られる「Temax/(1+ρ)」は、エンジン22からの直達トルクの上限(前進走行方向のトルクの上限)を示す。したがって、式(6)は、前進走行方向のトルクTemax/(1+ρ)と後進走行方向のトルクTm2ilim・Grとにより駆動軸36に要求トルクTr*を出力することができるように、上限トルクTemaxを計算することを意味する。式(6)から分かるように、上限トルクTemaxは、要求トルクTr*(アクセル対応要求トルクTracc)が小さい(後進走行方向のトルクとして大きい)ほど小さくなる。
Temax=(Tr*-Tm2lim・Gr)・(1+ρ) (6)
そして、駆動軸36の回転数Nr(=Nm2/Gr)に基づいてエンジン22の上限回転数Nemaxを設定し(ステップS220)、エンジン22の上限トルクTemaxと上限回転数Nemaxとの積をエンジン22の上限パワーPemaxに設定する(ステップS230)。ここで、上限回転数Nemaxは、実施例では、以下の手法により計算するものとした。まず、モータMG1の正側の定格値の回転数としての上限回転数Nm1maxと駆動軸36の回転数Nrとプラネタリギヤ30のギヤ比ρ(サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)とを用いて、次式(7)により、モータMG1の性能に基づくエンジン22の上限回転数Nemax(mg1)を計算する。ここで、式(7)は、上述の図6の共線図を用いれば容易に導くことができる。続いて、プラネタリギヤ30のピニオンギヤ33の正側の定格値の回転数としての上限回転数Npinmaxと駆動軸36の回転数Nrとプラネタリギヤ30のピニオンギヤ33についてのギヤ比(ピニオンギヤ33の歯数/リングギヤ32の歯数)γとを用いて、式(8)により、ピニオンギヤ33の性能に基づくエンジン22の上限回転数Nemax(pin)を計算する。そして、式(9)に示すように、エンジン22の上限回転数Nemax(mg1),Nemax(pin)とエンジン22の定格値の回転数としての上限回転数Nemax(eg)との最小値を値0で下限ガードしてエンジン22の上限回転数Nemaxを設定する。駆動軸36の回転数Nrとエンジン22の上限回転数Nemaxとの関係の一例を図8に示す。そして、この上限回転数Nemaxを後述のステップS370の処理でエンジン22の目標回転数Ne*に設定することにより、エンジン22やモータMG1,プラネタリギヤ30のピニオンギヤ33を保護しつつ、エンジン22の回転数を大きくすることができる。これにより、エンジン22から上限パワーPemaxより小さいパワーを出力する場合には、上限回転数Nemaxより小さい回転数でエンジン22を運転するものに比してエンジン22から出力するトルクを小さくすることができ、エンジン22からの直達トルク(前進走行方向のトルク)を小さくすることができる。なお、上述したように、要求トルクTr*が小さい(後進走行方向のトルクとして大きい)ほど上限トルクTemaxが小さくなるから、上限パワーPemaxも要求トルクTr*が小さいほど小さくなる。
Nemax(mg1)=ρ・Nm1max/(1+ρ)+Nm2/(Gr・(1+ρ)) (7)
Nemax(pin)=Nm2/Gr+γ・Npinmax (8)
Nemax=max(min(Nemax(mg1),Nemax(pin),Nemax(eg)),0) (9)
次に、要求パワーPr*をエンジン22の上限パワーPemaxと比較すると共に(ステップS240)、要求パワーPr*にバッテリ50の充電要求パワーPch*を加えた値(Pr*+Pch*)をエンジン22の上限パワーPemaxと比較する(ステップ250)。このステップS240,S250の処理は、図4の所定時制御ルーチン(図7のエンジン目標運転ポイント設定処理)の今回の実行時における初回のとき(後述のステップS350,S360の処理で要求パワーPr*や要求トルクTr*を再設定していないとき)には、アクセル対応要求パワーPraccを上限パワーPemaxと比較すると共にアクセル対応要求パワーPraccに充電要求パワーPch*を加えた値(Pracc+Pch*)を上限パワーPemaxと比較する処理となり、図4の所定時制御ルーチンの今回の実行時における2回目以降のとき(ステップS350,S360の処理で要求パワーPr*や要求トルクTr*を再設定した後)には、再設定後の要求パワーPr*を上限パワーPemaxと比較すると共に再設定後の要求パワーPr*に充電要求パワーPch*を加えた値を上限パワーPemaxと比較する処理となる。以下、まず、ステップS240,S250の処理が初回のときについて説明し、その後、2回目以降のときについて説明する。
ステップS240,S250の処理が初回のときにおいて、要求パワーPr*および値(Pr*+Pch*)がエンジン22の上限パワーPemax以下のとき、即ち、アクセル対応要求パワーPraccおよび値(Pracc+Pch*)が上限パワーPemax以下のときには、値(Pr*+Pch*)をエンジン22の目標パワーPe*に設定し(ステップS260)、エンジン22の上限回転数Nemaxをエンジン22の目標回転数Ne*に設定すると共に目標パワーPe*をエンジン22の目標回転数Ne*で除してエンジン22の目標トルクTe*を設定して(ステップS370)、エンジン目標運転ポイント設定処理を終了する。このように上限パワーPemax(=Temax・Nemax)以下の値(Pr*+Pch*)を目標パワーPe*に設定すると共に上限回転数Nemaxを目標回転数Ne*に設定することにより、目標トルクTe*は、上限トルクTemax以下の値になる。
この場合、ステップS370の処理で上限トルクTemax以下の値を目標トルクTe*に設定すると共に、図4のステップS150の処理でアクセル対応要求トルクTraccを用いてモータMG2の仮トルクTm2tmpを設定することになる。したがって、モータMG2の仮トルクTm2tmpは、上述の式(2)のフィードフォワード項と式(3)と式(6)との関係から、基本的には、トルク制限Tm2limの範囲内の値になる。また、この場合、ステップS260の処理でアクセル対応要求パワーPraccより大きい値(Pracc+Pch*)を目標パワーPe*に設定することになる。したがって、モータMG2の仮トルクTm2tmpは、バッテリ50の出力制限Woutに基づくトルク制限Tm2minの範囲内の値になると考えられる。これらより、図4のステップS170の処理では、仮トルクTm2tmpをトルク指令Tm2*に設定することになる。これにより、アクセル対応要求トルクTraccと、エンジン22からの直達トルクをキャンセルするためのキャンセルトルクTcと、の和のトルクをモータMG2から駆動軸36に出力することができ、アクセル対応要求トルクTracc(アクセル対応要求パワーPracc)により後進走行することができる。また、充電要求パワーPch*に相当する電力でバッテリ50を充電することができる。これにより、バッテリ50の蓄電割合SOCの低下を抑制することができる。
ステップS240,S250の処理が初回のときにおいて、要求パワーPr*がエンジン22の上限パワーPemax以下で且つ値(Pr*+Pch*)がエンジン22の上限パワーPemaxより大きいとき、即ち、アクセル対応要求パワーPraccが上限パワーPemax以下で値(Pracc+Pch*)が上限パワーPemaxより大きいときには、上限パワーPemax(=Nemax・Temax)をエンジン22の目標パワーPe*に設定し(ステップS270)、エンジン22の上限回転数Nemaxをエンジン22の目標回転数Ne*に設定すると共に目標パワーPe*をエンジン22の目標回転数Ne*で除して得られる値、即ち、上限トルクTemaxをエンジン22の目標トルクTe*に設定して(ステップS370)、エンジン目標運転ポイント設定処理を終了する。
この場合、ステップS270の処理でアクセル対応要求パワーPracc以上の上限パワーPemaxを目標パワーPe*に設定し、ステップS370の処理で上限トルクTemaxを目標トルクTe*に設定し、図4のステップS150の処理でアクセル対応要求トルクTraccを用いてモータMG2の仮トルクTm2tmpを設定することになる。したがって、アクセル対応要求パワーPraccおよび値(Pracc+Pch*)が上限パワーPemax以下のときと同様に、アクセル対応要求トルクTracc(アクセル対応要求パワーPracc)により後進走行することができる。また、アクセル対応要求パワーPraccが上限パワーPemaxより小さいときには、上限パワーPemaxからアクセル対応要求パワーPraccを減じた値(Pemax−Pracc)に相当する電力でバッテリ50を充電することができ、アクセル対応要求パワーPraccが上限パワーPemaxと等しいときにはバッテリ50を充放電させない。これにより、バッテリ50の蓄電割合SOCの低下を抑制することができる。
ステップS240の処理が初回のときにおいて、要求パワーPr*がエンジン22の上限パワーPemaxより大きいとき、即ち、アクセル対応要求パワーPraccが上限パワーPemaxより大きいときには、上限パワーPemaxをエンジン22の目標パワーPe*に設定する(ステップS280)。
続いて、バッテリ50の許容下限割合SOCminを所定値ΔSだけ小さくして再設定する(ステップS290)。いま、ステップS240,S250の処理が初回のときを考えているから、ステップS290の処理も初回のときとなる。したがって、ステップS290の処理は、許容下限割合SOCminを上述の基本許容下限割合SOCmin0から所定値ΔSだけ小さくする処理となる。ここで、所定値ΔSOCは、例えば、3%や5%,10%などとされる。なお、所定時は、前進走行時やEVモードでの後進走行時などに比して頻度が少ないと考えられる。このため、許容下限割合SOCminを基本許容下限割合SOCmin0より小さくしたとしても、バッテリ50の劣化が促進される可能性は比較的低いと考えられる。
そして、再設定した蓄電割合SOCminと蓄電割合SOCとを用いてバッテリ50の出力制限Woutを再設定する(ステップS300)。図9は、バッテリ50の出力制限Woutを再設定する様子を示す説明図である。図中、実線は、再設定後の許容下限割合SOCminを用いたときの蓄電割合SOCと補正係数koutとの関係を示し、破線は、基本許容下限割合SOCmin0を用いたときの蓄電割合SOCと補正係数koutとの関係(図3の関係)を示す。図中実線に示すように、再設定後の許容下限割合SOCminを用いたときの補正係数koutは、蓄電割合SOCが所定値S1以上の領域では値1が設定され、蓄電割合SOCが所定値S1未満で且つ再設定後の許容下限割合SOCminより大きい領域では蓄電割合SOCが再設定後の許容下限割合SOCminに近づくほど値1から値0に向けて小さくなるように設定され、蓄電割合SOCが再設定後の許容下限割合SOCmin以下の領域では値0が設定されるものとした。出力制限Woutの再設定は、上述の図2を用いて得られる基本値Wouttmpに図9を用いて得られる補正係数koutを乗じる、ことにより行なうものとした。こうして再設定される出力制限Woutは、図9の蓄電割合SOCと補正係数koutとの関係から分かるように、所定値S1未満で且つ再設定後の許容下限割合SOCminより大きい範囲内で、再設定前の値より大きくなる。即ち、許容下限割合SOCminが小さくなるほど、その許容下限割合SOCminから所定値S1までの範囲内で、出力制限Woutが大きくなるのである。
こうして出力制限Woutを再設定すると、次式(10)に示すように、要求パワーPr*から上限パワーPemaxを減じた値(Pr*−Pemax)と再設定した出力制限Woutとのうち小さい方を、バッテリ50を出力制限Woutの範囲内で放電させながら後進走行する際にバッテリ50から放電されると想定される想定放電電力Pdiesを計算する(ステップS310)。そして、バッテリ50の蓄電割合SOCから許容下限割合SOCminを減じた値(SOC−SOCmin)を想定放電電力Pdiesで除して、バッテリ50の蓄電割合SOCが許容下限割合SOCminに至るまでに走行可能な残り走行可能時間Trunを計算すると共に、車速Vに残り走行可能時間Trunを乗じて、バッテリ50の蓄電割合SOCが許容下限割合SOCminに至るまでに走行可能な残り走行可能距離Lrunを計算する(ステップS320)。
Pdies=min(Pr*-Pemax,Wout) (10)
続いて、後進走行開始から現在までの走行時間Tや走行距離Lと、路面勾配θrgと、値(SOC−SOCmin)と、に基づいて残り目標走行時間Trun*と残り目標走行距離Lrun*とを設定する(ステップS330)。ここで、残り目標走行時間Trun*は、後進走行の継続を確保したい現在からの時間の下限値であり、実施例では、路面勾配θrgと値(SOC−SOCmin)とに基づく後進走行開始からの総目標走行時間Trunsumから、後進走行開始から現在までの走行時間Tを減じて、求めるものとした。総目標走行時間Trunsumは、路面勾配θrgと値(SOC−SOCmin)と総目標走行時間Trunsumとの関係を予め定めて総目標走行時間設定用マップとして図示しないROMに記憶しておき、路面勾配θrgと値(SOC−SOCmin)とが与えられると記憶したマップから対応する総目標走行時間Trunsumを導出して設定するものとした。また、残り目標走行距離Lrun*は、後進走行の継続を確保したい現在からの距離の下限値であり、実施例では、路面勾配θrgと値(SOC−SOCmin)とに基づく後進走行開始からの総目標走行距離Lrunsumから、後進走行開始から現在までの走行距離Lを減じて、求めるものとした。総目標走行距離Lrunsumは、路面勾配θrgと値(SOC−SOCmin)と総目標走行距離Lrunsumとの関係を予め定めて総目標走行距離設定用マップとして図示しないROMに記憶しておき、路面勾配θrgと値(SOC−SOCmin)とが与えられると記憶したマップから対応する総目標走行距離Lrunsumを導出して設定するものとした。総目標走行時間設定用マップの一例を図10に示し、総目標走行距離設定用マップの一例を図11に示す。総目標走行時間Trunsumや総目標走行距離Lrunsumは、それぞれ、図10や図11に示すように、路面勾配θrgが小さいほど長くなる傾向で、且つ、値(SOC−SOCmin)が大きいほど長くなる傾向に設定される。前者は、一般に、平坦路や路面勾配θrgの小さい登坂路をある程度の時間や距離に亘って後進走行することは比較的あり得るが、路面勾配θrgの大きい登坂路をある程度の時間や距離に亘って後進走行することは非常にまれであると考えられる、との理由に基づく。後者は、値(SOC−SOCmin)が大きいほど、蓄電割合SOCが許容下限割合SOCminに至るまでに放電可能な電力量が多くなり、走行可能な時間や距離が長くなる、との理由に基づく。
こうして残り目標走行時間Trun*と残り目標走行距離Lrun*とを設定すると、残り走行可能時間Trunを残り目標走行時間Trun*と比較すると共に残り走行可能距離Lrunを残り目標走行距離Lrun*と比較する(ステップS340)。
ステップS340で、残り走行可能時間Trunが残り目標走行時間Trun*以上で且つ残り走行可能距離Lrunが残り目標走行距離Lrun*以上のときには、エンジン22の上限回転数Nemaxをエンジン22の目標回転数Ne*に設定すると共に目標パワーPe*(この場合、上限パワーPemax(=Nemax・Temax))をエンジン22の目標回転数Ne*で除して得られる値、即ち、上限トルクTemaxをエンジン22の目標トルクTe*に設定して(ステップS370)、エンジン目標運転ポイント設定処理を終了する。この場合、現在から残り目標走行時間Trun*以上で且つ残り目標走行距離Lrun*以上に亘る後進走行、即ち、後進走行開始から値(T+Trun*)以上で且つ値(L+Lrun*)以上に亘る後進走行を行なうことができると考えられる。
この場合、ステップS370の処理で上限トルクTemaxを目標トルクTe*に設定すると共に、図4のステップS150の処理でアクセル対応要求トルクTraccを用いてモータMG2の仮トルクTm2tmpを設定することになる。したがって、アクセル対応要求パワーPraccおよび値(Pracc+Pch*)が上限パワーPemax以下のときなどと同様に、モータMG2の仮トルクTm2tmpは、基本的には、トルク制限Tm2limの範囲内の値(この場合、トルク制限Tm2limと等しい値)になる。しかし、この場合、ステップS280の処理でアクセル対応要求パワーPraccより小さい上限パワーPemaxを要求パワーPe*に設定することになる。したがって、仮トルクTm2tmpは、トルク制限Tm2minの範囲内の値になる場合とトルク制限Tm2minの範囲外の値になる場合とがある。これらより、図4のステップS170の処理では、仮トルクTm2tmpまたはトルク制限Tm2minをトルク指令Tm2*に設定することになる。
仮トルクTm2tmpをトルク指令Tm2*に設定するときには、アクセル対応要求トルクTraccとキャンセルトルクTcとの和のトルクをモータMG2から駆動軸36に出力することができる。したがって、アクセル対応要求トルクTracc(アクセル対応要求パワーPracc)により後進走行すると共にアクセル対応要求パワーPraccから上限パワーPemaxを減じた値(Pracc−Pemax)に相当する電力でバッテリ50を放電させることになる。一方、トルク制限Tm2minをトルク指令Tm2*に設定するときには、仮トルクTm2tmpをモータMG2から出力できず、即ち、アクセル対応要求トルクTraccとキャンセルトルクTcとの和のトルクをモータMG2から駆動軸36に出力することができない。したがって、アクセル対応要求トルクTracc(アクセル対応要求パワーPracc)より制限されたトルク(パワー)により後進走行すると共に出力制限Woutに相当する電力でバッテリ50を放電させることになる。このときの後進走行用のパワーは、上限パワーPemaxと出力制限Woutとの和のパワー(以下、「走行可能パワー」という)Prrunとなる。以上より、アクセル対応走行要求パワーPraccが上限パワーPemaxより大きいときには、アクセル対応走行要求パワーPraccと走行可能パワーPrrunとのうち小さい方のパワーにより後進走行すると共に値(Pracc−Pemax)と出力制限Woutとのうち小さい方に相当する電力でバッテリ50を放電させることになる、と言える。
また、この場合、上述したように、許容下限割合SOCminを基本許容下限割合SOCmin0より小さくすると共にそれに応じて出力制限Woutを大きくする。許容下限割合SOCminを基本許容下限割合SOCmin0より小さくすることにより、蓄電割合SOCが許容下限割合SOCminに至るまでに放電可能な電力量(以下、放電可能電力量」という)Wdiを多くすることができる。出力制限Woutを大きくすることにより、走行可能パワーPrrunが大きくなるから、後進走行時の走行性能が低下するのを抑制することができるが、蓄電割合SOCが低下しやすくなる。実施例では、許容下限割合SOCminを小さくすることによる放電可能電力量Wdiの増加分と、出力制限Woutを大きくすることによる走行可能パワーPrrunの増加分と、を考慮して出力制限Woutの低下が緩やかになると共に蓄電割合SOCが基本許容下限割合SOCmin0に至るまでの走行時間や走行距離が長くなるように、上述の所定値ΔSを設定する、即ち、許容下限割合SOCminを小さくすると共に出力制限Woutを大きくするものとした。したがって、許容下限割合SOCminを小さくすると共に出力制限Woutを大きくすると、後進走行時の走行性能の低下を抑制しつつ後進走行を継続可能な時間や距離を長くすることができる。
ステップS340で、残り走行可能時間Trunが残り目標走行時間Trun*未満のときや残り走行可能距離Lrunが残り目標走行距離Lrun*未満のときには、要求パワーPr*を所定値ΔPrだけ小さくして再設定すると共に(ステップS350)、再設定した要求パワーPr*を駆動軸36の回転数Nr(=Nm2/Gr)で除して要求トルクTr*を再設定して(ステップS360)、ステップS240に戻る。いま、ステップS240,S250の処理が初回のときを考えているから、ステップS350,S360の処理も初回のときとなる。したがって、ステップS350,S360の処理は、要求パワーPr*をアクセル対応要求パワーPraccから所定値ΔPrだけ小さくすると共にそれに応じて要求トルクTr*をアクセル対応要求トルクTraccから大きくする(絶対値としては小さくする)処理となる。ここで、所定値ΔPrは、例えば、1kWや2kW,3kWなどとされる。また、ステップS350で再設定した要求パワーPr*は、ステップS240,S250の処理で目標パワーPe*をどのように設定するかを判定する際に用いられ、ステップS360で再設定した要求トルクTr*は、図4のステップS150の処理でモータMG2の仮トルクTm2tmpを設定する際に用いられる。
次に、ステップS240,S250の処理が2回目以降のとき(ステップS350,S360の処理で要求パワーPr*や要求トルクTr*を再設定した後)について説明する。
ステップS240の処理が2回目以降のときにおいて、再設定後の要求パワーPr*が上限パワーPemaxより大きいときには、ステップS280以降の処理を再度実行する。この場合、バッテリ50の許容下限割合SOCminを再設定前より所定値ΔSだけ小さくすると共に要求パワーPr*を再設定前より所定値ΔPrだけ小さくしたことにより、ステップS300で設定される出力制限Woutが大きくなり、ステップS310の値(Pr*−Pemax)が小さくなり、ステップS310で値(Pr*−Pemax)が想定放電電力Pdiesに設定されやすくなる。したがって、値(Pr*−Pemax)が想定放電電力Pdiesに設定されるときを考えれば、想定放電電力Pdiesが小さくなり、ステップS320で計算される残り走行可能時間Trunや残り走行可能距離Lrunが長くなる。そして、ステップS340で残り走行可能時間Trunが残り目標走行時間Trun*未満のときや残り走行可能距離Lrunが残り目標走行距離Lrun*未満のときには、要求パワーPr*や要求トルクTr*を再々設定して(ステップS350,S360)、ステップS240に戻る。このようにして、ステップS240で要求パワーPr*が上限パワーPemax以下になったと判定されるか、ステップS340で残り走行可能時間Trunが残り目標走行時間Trun*以上で且つ残り走行可能距離Lrunが残り目標走行距離Lrun*以上になったと判定されるまで、ステップS240,S280〜S360の処理を繰り返し実行し、許容下限割合SOCminを所定値ΔSずつ小さくすると共に要求パワーPr*を所定値ΔPrずつ小さくするのである。以下、ステップS240で要求パワーPr*が上限パワーPemax以下になったと判定される直前、または、ステップS340で残り走行可能時間Trunが残り目標走行時間Trun*以上で且つ残り走行可能距離Lrunが残り目標走行距離Lrun*以上になったと判定される直前に設定した最新の許容下限割合SOCmin,要求パワーPr*,要求トルクTr*をそれぞれ低下許容下限割合SOCminmod,制限要求パワーPrmod,制限要求トルクTrmodということがある。
そして、ステップS340で残り走行可能時間Trunが残り目標走行時間Trun*以上で且つ残り走行可能距離Lrunが残り目標走行距離Lrun*以上になったと判定されたときには、エンジン22の上限回転数Nemaxをエンジン22の目標回転数Ne*に設定すると共に目標パワーPe*(この場合、上限パワーPemax(=Nemax・Temax))をエンジン22の目標回転数Ne*で除して得られる値、即ち、上限トルクTemaxをエンジン22の目標トルクTe*に設定して(ステップS370)、エンジン目標運転ポイント設定処理を終了する。
この場合、ステップS280の処理で制限要求パワーPrmodより小さい上限パワーPemaxを目標パワーPe*に設定し、ステップS370の処理で上限トルクTemaxを目標トルクTe*に設定し、図4のステップS150の処理で制限要求トルクTrmodを用いてモータMG2の仮トルクTm2tmpを設定することになる。したがって、仮トルクTm2tmpは、トルク制限Tm2limの範囲内の値になるが、トルク制限Tm2minの範囲内の値になる場合とトルク制限Tm2minの範囲外の値になる場合とがある。このため、図4のステップS170の処理では、仮トルクTm2tmpまたはトルク制限Tm2minをトルク指令Tm2*に設定することになる。
仮トルクTm2tmpをトルク指令Tm2*に設定するときには、制限要求トルクTrmod(制限要求パワーPrmod)により後進走行すると共に制限要求パワーPrmodから上限パワーPemaxを減じた値(Prmod−Pemax)に相当する電力でバッテリ50を放電させることになる。一方、トルク制限Tm2minをトルク指令Tm2*に設定するときには、制限要求パワーPrmodより小さい上述の走行可能パワーPrrun(=Pemax+Wout)により後進走行すると共に出力制限Woutに相当する電力でバッテリ50を放電させることになる。即ち、制限要求パワーPrmodと走行可能パワーPrrunとのうち小さい方のパワーにより走行すると共に値(Prmod−Pemax)と出力制限Woutとのうち小さい方に相当する電力でバッテリ50を放電させることになる、と言える。これにより、アクセル対応走行要求パワーPraccと走行可能パワーPrrunとのうち小さい方のパワーにより後進走行すると共に値(Pracc−Pemax)と出力制限Woutとのうち小さい方に相当する電力でバッテリ50を放電させるものに比して、バッテリ50からの放電電力を小さくなりやすくし、バッテリ50の蓄電割合SOCの低下を緩やかになりやすくし、後進走行を継続可能な時間や距離を長くしやすくすることができる。
また、この場合、許容下限割合SOCminを基本許容下限割合SOCmin0より小さい低下許容下限割合SOCminmodにすると共にそれに応じて出力制限Woutを大きくする。これにより、上述の理由により、後進走行時の走行性能の低下を抑制しつつ後進走行を継続可能な時間や距離を長くすることができる。
一方、ステップS240で要求パワーPr*が上限パワーPemax以下になったと判定されたときには、ステップS250以降の処理を実行して、エンジン目標運転ポイント設定処理を終了する。
この場合、制限要求パワーPrmodに応じてステップS260またはS270の処理で制限要求パワーPrmodより大きい値(Prmod+Pch*)または制限要求パワーPrmod以上の上限パワーPemaxを目標パワーPe*に設定し、ステップS370の処理で上限トルクTemaxを目標トルクTe*に設定し、図4のステップS150の処理で制限要求トルクTrmodを用いてモータMG2の仮トルクTm2tmpを設定することになる。したがって、仮トルクTm2tmpは、トルク制限Tm2limおよびトルク制限Tm2minの範囲内の値になり、図4のステップS170の処理で仮トルクTm2tmpをトルク指令Tm2*に設定することになる。これにより、制限要求トルクTrmod(制限要求パワーPrmod)により後進走行すると共にバッテリ50を充電するまたは充放電させないことになる。これにより、バッテリ50の蓄電割合SOCの低下を抑制することができる。
図12は、所定時でバッテリ50の充電が要求されているときのアクセル対応要求パワーPracc,バッテリ50の充電要求パワーPch*,エンジン22の目標パワーPe*,実際の走行パワー(実Pr),バッテリ50の実際の充放電電力(充電時には実Pch,放電時には実Pdi)の関係の一例を示す説明図である。なお、図中、上限パワーPemaxは、上述の理由により、要求パワーPr*が大きいほど小さくなっている。また、図12の例では、簡単のために、アクセル対応走行要求パワーPraccが走行可能パワーPrrun(=Pemax+Wout)以下の場合を考える。
図中1番左側に示すように、アクセル対応要求パワーPraccに充電要求パワーPch*を加えた値(Pracc+Pch*)が上限パワーPemax以下のときには、値(Pracc+Pch*)を目標パワーPe*に設定し、アクセル対応要求パワーPraccに相当する走行パワー(実Pr)により後進走行する。このときには、充電要求パワーPch*に相当する電力(実Pch)でバッテリ50を充電する。
図中左から2番目に示すように、アクセル対応要求パワーPraccが上限パワーPemax以下で且つ値(Pracc+Pch*)が上限パワーPemaxより大きいときには、上限パワーPemaxを目標パワーPe*に設定し、アクセル対応要求パワーPraccに相当する走行パワー(実Pr)により後進走行する。このとき、アクセル対応要求パワーPraccが上限パワーPemaxより小さいときには、上限パワーPemaxからアクセル対応要求パワーPraccを減じた値に相当する電力(実Pch)でバッテリ50を充電し、アクセル対応要求パワーPraccが上限パワーPemaxに等しいときには、バッテリ50を充放電させない。
図中左から3番目に示すように、アクセル対応要求パワーPraccが上限パワーPemaxより大きいときにおいて、残り走行可能時間Trunが残り目標走行時間Trun*以上で且つ残り走行可能距離Lrunが残り目標走行距離Lrun*以上のときには、上限パワーPemaxを目標パワーPe*に設定し、アクセル対応走行要求パワーPraccに相当する走行パワー(実Pr)より後進走行する。このときには、アクセル対応走行要求パワーPraccから上限パワーPemaxを減じた値に相当する電力(実Pdi)でバッテリ50を放電させる。
図中左から4番目に示すように、アクセル対応要求パワーPraccが上限パワーPemaxより大きいときにおいて、残り走行可能時間Trunが残り目標走行時間Trun*未満のときや残り走行可能距離Lrunが残り目標走行距離Lrun*未満のときには、上限パワーPemaxを目標パワーPe*に設定し、アクセル対応走行要求パワーPraccより小さい制限要求パワーPrmodに相当する走行パワー(実Pr)より後進走行する。このときには、制限要求パワーPrmodから上限パワーPemaxを減じた値に相当する電力(実Pdi)でバッテリ50を放電させる。これにより、アクセル対応走行要求パワーPraccにより後進走行するときに比して、バッテリ50からの放電電力を小さくし、バッテリ50の蓄電割合SOCの低下を緩やかにし、後進走行を継続可能な時間や距離を長くすることができる。即ち、後進走行を継続可能な時間や距離をある程度確保することができる。
図13は、所定時にアクセル対応要求パワーPraccが上限パワーPemaxより大きいときの走行可能パワーPrrunの時間変化の様子を示す説明図である。図中、実線は、このときにバッテリ50の許容下限割合SOCminを基本許容下限割合SOCmin0より小さくする実施例の様子を示し、一点鎖線は、このときに許容下限割合SOCminを基本許容下限割合SOCmin0で保持する(小さくしない)比較例の様子を示す。また、図中、「Praccθ」は、路面勾配θrgの登坂路を後進走行する際のアクセル対応要求パワーPraccを示す。なお、図13の例では、簡単のために、上限パワーPemaxは一定とし、また、残り走行可能時間Trunが残り目標走行時間Trun*以上で且つ残り走行可能距離Lrunが残り目標走行距離Lrun*以上となるとき(図7のステップS350,S360の処理を実行しないとき)を考えるものとした。
アクセル対応走行要求パワーPraccが上限パワーPemaxより大きいときに、実施例では、バッテリ50の許容下限割合SOCminを基本許容下限割合SOCmin0より小さくすると共にバッテリ50の出力制限Woutを大きくする。具体的には、上述したように、出力制限Woutの低下が緩やかになると共に蓄電割合SOCが基本許容下限割合SOCmin0に至るまでの走行時間や走行距離が長くなるように、許容下限割合SOCminを小さくすると共に出力制限Woutを大きくする。これにより、走行可能パワーPrrunがパワーPraccθを下回る時刻を比較例の時刻t1より後の時刻t2にすることができる。この結果、後進走行性能の低下を抑制しつつ後進走行を継続可能な時間や距離を長くすることができる、
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22を負荷運転しながら後進走行する所定時には、基本的には、アクセル対応要求トルクTraccと、エンジン22からの直達トルクをキャンセルするためのキャンセルトルクと、の和のトルクをモータMG2から駆動軸36に出力することができるようにエンジン22の上限パワーPemaxを設定し、バッテリ50の蓄電割合SOCが許容下限割合SOCmin以上の範囲内で、上限パワーPemax以下の範囲内でエンジン22が運転されると共にアクセル対応要求トルクTraccに対応する要求パワーPr*であるアクセル対応要求パワーPraccにより走行するようにエンジン22とモータMG1,MG2とを制御する。これにより、後進走行時の走行性能が低下するのを抑制することができる。そして、アクセル対応要求パワーPraccが上限パワーPemaxより大きいときには、バッテリ50の許容下限割合SOCminを基本許容下限割合SOCmin0より小さい値にする。これにより、バッテリ50の蓄電割合SOCが許容下限割合SOCminに至るまでに放電可能な電力量を多くすることができ、現在から後進走行を継続可能な時間や距離を長くすることができる。即ち、後進走行を継続可能な時間や距離をある程度確保することができる。
また、実施例のハイブリッド自動車20では、アクセル対応要求パワーPraccが上限パワーPemaxより大きいときにおいて、残り走行可能時間Trunが残り目標走行時間Trun*未満のときや残り走行可能距離Lrunが残り目標走行距離Lrun*未満のときには、アクセル対応要求パワーPraccより小さい制限要求パワーPrmodにより走行するように制御する。これにより、バッテリ50からの放電電力を小さくして、現在から後進走行を継続可能な時間や距離を長くすることができる。
しかも、残り走行可能時間Trunが残り目標走行時間Trun*未満のときや残り走行可能距離Lrunが残り目標走行距離Lrun*未満のときには、残り走行可能時間Trunが残り目標走行時間Trun*以上で且つ残り走行可能距離Lrunが残り目標走行距離Lrun*以上となるように、許容下限割合SOCminを基本許容下限割合SOCmin0より小さくすると共に要求パワーPr*をアクセル対応要求パワーPraccより小さくする。これにより、現在から残り走行可能時間Trun*以上で且つ残り目標走行距離Lrun*以上に亘って後進走行できるようにすることができる。即ち、現在から後進走行を継続可能な時間や距離をより十分に長くすることができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、所定時にアクセル対応要求パワーPraccが上限パワーPemaxより大きいときにおいて、残り走行可能時間Trunが残り目標走行時間Trun*未満のときや残り走行可能距離Lrunが残り目標走行距離Lrun*未満のときには、残り走行可能時間Trunが残り目標走行時間Trun*以上で且つ残り走行可能距離Lrunが残り目標走行距離Lrun*以上となるまで、基本許容下限割合SOCminから所定値ΔSずつ小さくして低下許容下限割合SOCminmodを設定すると共にアクセル対応要求パワーPraccから所定値ΔPrずつ小さくして制限要求パワーPrmodを設定するものとしたが、基本許容下限割合SOCminから所定値ΔS2を1回だけ減じて低下許容下限割合SOCminmodを設定すると共にアクセル対応要求パワーPraccから所定値ΔPr2を1回だけ減じて制限要求パワーPrmodを設定するものとしてもよい。この場合、低下許容下限割合SOCminmod,制限要求パワーPrmodを用いて計算した残り走行可能時間Trun,残り走行可能距離Lrunが残り目標走行時間Trun*,残り目標走行距離Lrun*以上にならない場合があるが、低下許容下限割合SOCminmod,制限要求パワーPrmodを設定しない(基本許容下限割合SOCmin0,アクセル対応要求パワーPraccで保持する)ものと比較すれば、現在から後進走行を継続可能な時間や距離を長くすることができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、所定時にアクセル対応要求パワーPraccが上限パワーPemaxより大きいときにおいて、残り走行可能時間Trunが残り目標走行時間Trun*未満のときや残り走行可能距離Lrunが残り目標走行距離Lrun*未満のときには、残り走行可能時間Trunが残り目標走行時間Trun*以上で且つ残り走行可能距離Lrunが残り目標走行距離Lrun*以上となるまで、許容下限割合SOCminを基本許容下限割合SOCminから所定値ΔSずつ小さくして低下許容下限割合SOCminmodを設定すると共に要求パワーPr*をアクセル対応要求パワーPraccから所定値ΔPrずつ小さくして制限要求パワーPrmodを設定するものとしたが、許容下限割合SOCminや要求パワーPr*を小さくしている最中に、許容下限割合SOCminが所定値Sref(例えば、10%や15%など)以下に至ったときや要求パワーPr*が所定値Pref(例えば、数kWなど)以下に至ったときには、そのときの許容下限割合SOCmin,要求パワーPr*を低下許容下限割合SOCminmod,制限要求パワーPrmodに設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、所定時にアクセル対応走行要求パワーPraccが上限パワーPemaxより大きいときには、残り走行可能時間Trunと残り走行可能距離Lrunとを計算するものとしたが、これらの一方だけを計算するものとしてもよい。また、実施例では、所定時にアクセル対応走行要求パワーPraccが上限パワーPemaxより大きいときには、残り走行可能時間Trunと残り走行可能距離Lrunとに応じて、アクセル対応走行要求パワーPraccまたは走行可能パワーPrrunにより走行するか、制限要求パワーPrmodまたは走行可能パワーPrrunにより走行するか、を判定するものとしたが、残り走行可能時間Trunだけに応じて判定するものとしてもよいし、残り走行可能距離Lrunだけに応じて判定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、図3および図9に示したように、補正係数koutが値1となる蓄電割合SOCの領域の下限としての所定値S1は、バッテリ50の許容下限割合SOCminが基本許容下限割合SOCmin0か再設定後の値(基本許容下限割合SOCmin0より小さい値)かに拘わらず、同一の値を用いるものとしたが、許容下限割合SOCminが小さいほど小さくなる傾向の値(例えば、そのときの許容下限割合SOCminより所定値だけ大きい値など)を用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、所定時にアクセル対応走行要求パワーPraccが上限パワーPemaxより大きいときにおいて、残り走行可能時間Trunが残り目標走行時間Trun*未満のときや残り走行可能距離Lrunが残り目標走行距離Lrun*未満のときには、アクセル対応走行要求パワーPraccより小さい制限要求パワーPrmodにより走行するように制御するものとしたが、アクセル対応走行要求パワーPraccにより走行するように制御するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、残り目標走行時間Trun*や残り目標走行距離Lrun*は、後進走行開始から現在までの走行時間Tや走行距離Lと、路面勾配θrgと、バッテリ50の蓄電割合SOCから許容下限割合SOCminを減じた値(SOC−SOCmin)と、に基づいて設定されるものとしたが、路面勾配θrgと値(SOC−SOCmin)との一方または両方を考慮せずに設定されるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、所定時に要求パワーPr*が上限パワーPemaxより大きいときには、残り走行可能時間Trunおよび残り走行可能距離Lrunを計算するものとしたが、こうして計算した残り走行可能時間Trunおよび残り走行可能距離Lrunの一方または両方をディスプレイ90に表示出力するものとしてもよい。こうすれば、残り走行可能時間Trunや残り走行可能距離Lrunを運転者に報知することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、所定時において、エンジン22の上限回転数Nemaxは、モータMG1の性能に基づくエンジン22の上限回転数Nemax(mg1)と、ピニオンギヤ33の性能に基づくエンジン22の上限回転数Nemax(pin)と、エンジン22の定格値としての上限回転数Nemax(eg)と、の最小値を値0で下限ガードして設定するものとしたが、駆動軸36の回転数Nrのみに応じて設定するものとしたり、所定値を用いるものとしたりしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、所定時のバッテリ50の充電要求パワーPch*は、バッテリ50の蓄電割合SOCに応じて設定するものとしたが、蓄電割合SOCに加えて、バッテリ50の端子間電圧Vbや電池温度Tbなども考慮して設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、プラネタリギヤ30は、シングルピニオン式として構成されるものとしたが、共線図上で、駆動軸36,エンジン22のクランクシャフト26,モータMG1の回転軸と並ぶように3つの回転要素が接続されていれば、ダブルピニオン式として構成されるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の回転軸を、減速ギヤ35を介して駆動軸36に接続するものとしたが、2段や3段などの有段変速機や無段変速機を介して駆動軸36に接続するものとしてもよいし、減速ギヤ35や変速機などを介さずに直接接続するものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、モータMG1が「第1モータ」に相当し、プラネタリギヤ30が「プラネタリギヤ」に相当し、モータMG2が「第2モータ」に相当し、バッテリ50が「バッテリ」に相当し、図7のエンジン目標運転ポイント設定処理を含む図4の所定時制御ルーチンを実行するHVECU70と、HVECU70からのエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*に基づいてエンジン22を制御するエンジンECU24と、HVECU70からのモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*に基づいてモータMG1,MG2(インバータ41,42)を制御するモータECU40と、が「制御手段」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、ハイブリッド自動車の製造産業などに利用可能である。
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 プラネタリギヤ、31 サンギヤ、32 リングギヤ、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、36 駆動軸、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、90 ディスプレイ、MG1,MG2 モータ。

Claims (7)

  1. エンジンと、
    動力を入出力可能な第1モータと、
    車軸に連結された駆動軸と前記エンジンの出力軸と前記第1モータの回転軸とに3つの回転要素が共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に並ぶように接続されたプラネタリギヤと、
    前記駆動軸に動力を入出力可能な第2モータと、
    前記第1モータおよび前記第2モータと電力をやりとり可能なバッテリと、
    を備えるハイブリッド自動車であって、
    前記エンジンを負荷運転しながら後進走行する所定時には、前記駆動軸に要求される後進走行方向の要求トルクと、前記エンジンの負荷運転に伴って前記駆動軸に作用する前進走行方向のトルクをキャンセルするためのキャンセルトルクと、の和のトルクを前記第2モータから前記駆動軸に出力することができるように前記エンジンの上限パワーを設定し、該上限パワー以下の範囲内で前記エンジンの目標パワーを設定し、前記バッテリの蓄電割合が許容下限割合以上となる範囲内で、前記目標パワーが前記エンジンから出力されると共に前記要求トルクに対応する対応要求パワーにより走行するように前記エンジンと前記第1モータと前記第2モータとを制御する制御手段を備え、
    前記制御手段は、前記所定時において、前記対応要求パワーが前記上限パワーより大きいときには、前記対応要求パワーが前記上限パワー以下のときより前記許容下限割合を小さくする、
    ことを特徴とするハイブリッド自動車。
  2. 請求項1記載のハイブリッド自動車であって、
    前記制御手段は、前記所定時において、前記対応要求パワーが前記上限パワーより大きいときには、前記上限パワーを前記目標パワーに設定し、前記対応要求パワーと、前記上限パワーと前記バッテリの最大許容出力との和である走行可能パワーと、のうち小さい方のパワーにより走行するように制御し、
    前記最大許容出力は、前記許容下限割合が小さいほど大きくなる傾向で且つ前記蓄電割合が前記許容下限割合に近づくほど小さくなる傾向に設定される、
    ことを特徴とするハイブリッド自動車。
  3. 請求項2記載のハイブリッド自動車であって、
    前記制御手段は、前記所定時に前記対応要求パワーが前記上限パワーより大きいときにおいて、前記対応要求パワーと前記上限パワーとの差分と、前記蓄電割合と前記許容下限割合との差分と、に応じた後進走行を継続可能な時間および距離の少なくとも一方である走行可能値が閾値以上のときには、前記対応要求パワーと前記走行可能パワーとのうち小さい方のパワーにより走行するように制御し、前記走行可能値が前記閾値未満のときには前記対応要求パワーより小さい制限要求パワーと前記走行可能パワーとのうち小さい方のパワーにより走行するように制御する、
    ことを特徴とするハイブリッド自動車。
  4. 請求項3記載のハイブリッド自動車であって、
    前記制御手段は、前記所定時において、前記対応要求パワーが前記上限パワーより大きく且つ前記走行可能値が前記閾値未満のときには、前記走行可能値が前記閾値以上となるように前記許容下限割合および前記制限要求パワーを設定する、
    ことを特徴とするハイブリッド自動車。
  5. 請求項3または4記載のハイブリッド自動車であって、
    前記閾値は、後進走行開始からの時間と距離との少なくとも一方が長いほど小さくなる傾向に設定される、
    ことを特徴とするハイブリッド自動車。
  6. 請求項5記載のハイブリッド自動車であって、
    前記閾値は、路面勾配が小さいほど大きくなる傾向で且つ前記蓄電割合と前記許容下限割合との差分が大きいほど大きくなる傾向に設定される、
    ことを特徴とするハイブリッド自動車。
  7. 請求項3ないし6のいずれか1つの請求項に記載のハイブリッド自動車であって、
    前記制御手段は、前記所定時において、前記対応要求パワーが前記上限パワーより大きいときには、前記蓄電割合と前記許容下限割合との差分を、前記対応要求パワーと前記上限パワーとの差分と前記最大許容出力とのうち小さい方で除して、前記後進走行を継続可能な時間を演算し、車速と前記演算した時間との積として前記後進走行を継続可能な距離を演算する、
    ことを特徴とするハイブリッド自動車。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016084067A (ja) * 2014-10-28 2016-05-19 トヨタ自動車株式会社 ハイブリッド車
JP2018129887A (ja) * 2017-02-06 2018-08-16 株式会社Subaru 車両の情報処理装置

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